第 22 章 主 要 産 業 の 動 向 と AFTA 及 び FTA の 影 響 1.カンボジアの 主 要 産 業 カンボジアの 産 業 別 GDP( 名 目 )の 構 成 比 を 他 の ASEAN 諸 国 と 比 較 すると 農 林 水 産 業 ( 第 1 次 産 業 )とホテル レストラン( 第 3 次 産 業 )の 比 率 が 相 対 的 に 高 く 電 気 ガ スなどの 公 益 業 ( 第 2 次 産 業 )が 相 対 的 に 低 い 第 1 次 産 業 比 率 が 高 いのは 経 の 発 展 が 他 の ASEAN 諸 国 に 比 べて 遅 れているためと も 考 えられる 各 国 の 第 1 次 産 業 比 率 をみると 1 人 あたり GDP の 水 準 が 低 いミャンマー とカンボジアが 相 対 的 に 高 く 水 準 の 高 いシンガポールとブルネイの 比 率 は 低 い カンボジアのホテル レストラン 業 の 構 成 比 が 高 いのは アンコールワットに 代 表 され る 遺 跡 によって 観 光 関 連 の 産 業 が 恩 恵 を 受 けているためである 図 表 22-1 名 目 GDPに 占 める 産 業 の 構 成 比 ミャンマー カンボジア ラオス ベトナム フィリピン インド タイ マレーシア ブルネイ シンガ ネシア ポール 平 均 (1 人 あたりGDP[ドル]:2011 年 ) (824) (853) (1,320) (1,374) (2,345) (3,512) (5,395) (10,085) (38,534) (49,271) [ 対 象 年 ] [ 2011 ] [ 2010 ] [ 2011 ] [ 2010 ] [ 2011 ] [ 2011 ] [ 2011 ] [ 2011 ] [ 2011 ] [ 2011 ] 第 1 次 産 業 36.4% 36.0% 29.3% 18.8% 12.8% 14.7% 13.3% 12.0% 0.6% 0.0% 17.4% 第 2 次 産 業 26.0% 23.3% 29.1% 41.9% 31.4% 47.2% 43.0% 40.7% 71.7% 26.6% 38.1% 鉱 業 0.9% 0.6% 8.0% 11.5% 1.5% 11.9% 3.6% 10.5% 56.5% 0.0% 10.5% 製 造 業 19.5% 15.6% 9.9% 20.2% 21.0% 24.3% 34.0% 24.6% 11.8% 20.9% 20.2% 公 益 業 1.0% 0.6% 4.8% 3.5% 5.5% 0.7% 2.8% 2.3% 2.7% 4.2% 2.8% 建 設 業 4.5% 6.4% 6.3% 6.7% 3.4% 10.2% 2.6% 3.2% 0.7% 1.5% 4.6% 第 3 次 産 業 37.6% 40.7% 41.7% 39.3% 55.8% 38.1% 43.7% 47.3% 27.7% 73.4% 44.5% 商 業 19.8% 9.9% 21.8% 15.2% 17.4% 11.1% 12.8% 13.8% 3.2% 17.4% 14.2% ホテル レストラン 0.0% 4.8% 0.8% 4.3% 0.0% 2.6% 4.9% 2.7% 0.0% 2.4% 2.2% 運 輸 通 信 13.8% 8.1% 5.3% 4.2% 6.4% 6.6% 6.8% 6.3% 3.0% 11.8% 7.2% 金 融 0.1% 1.5% 0.8% 2.0% 7.0% 3.2% 4.6% 7.4% 2.8% 11.9% 4.1% 不 動 産 ビジネスサービス 1.8% 5.8% 3.0% 3.5% 11.5% 4.0% 2.3% 4.9% 2.2% 14.1% 5.3% その 他 サービス 2.1% 10.7% 9.9% 10.1% 13.5% 10.5% 12.3% 12.3% 16.5% 15.8% 11.4% 合 計 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% ( 注 ) 10 ヵ 国 の 平 均 値 に 対 し +1 標 準 偏 差 より 大 きい 数 値 を 黄 色 で -1 標 準 偏 差 より 小 さい 数 値 を 水 色 でシャドーしている ( 出 所 ) 各 国 統 計 資 料 より 作 成 一 方 日 系 製 造 企 業 の 進 出 が 進 んでいるとはいえ まだ 製 造 業 の 経 全 体 に 占 める 比 率 は 15.6%とラオス(9.9%)やブルネイ(11.8%)に 次 いで 低 く 製 造 業 の 育 成 は 遅 れてい る 図 表 22-2 で 製 造 業 の 内 訳 をみると 縫 製 業 ( 繊 維 衣 類 履 物 )が 製 造 業 の 殆 どを 占 めていることが 分 かる 2010 年 時 点 の 縫 製 業 の 構 成 比 は 63.7% 1999 年 (44.8%)から 129
2004 年 (70.7%)まで 急 上 昇 したが 2008 年 以 降 は 徐 々に 低 下 している 縫 製 業 とは 対 照 的 な 動 きとなっているのが 食 料 品 飲 料 タバコ 産 業 である 但 し 縫 製 業 にしても 食 品 加 工 業 にしても 軽 工 業 であり 加 工 組 立 あるいは 資 本 集 約 型 の 産 業 は 育 っていない 2010 年 の 貿 易 統 計 では 機 械 車 両 の 輸 出 が 全 体 の 4.5%を 占 めるまでに 至 っているが 産 業 別 ( 小 分 類 )の 統 計 には まだ 資 本 財 関 連 の 産 業 の 構 成 比 が 変 化 して いる 兆 しは 窺 えない 図 表 22-2 製 造 業 の 内 訳 ( 名 目 GDP) 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 食 料 品 飲 料 タバコ 27.3% 19.9% 18.1% 15.5% 14.4% 12.5% 13.3% 12.0% 12.5% 14.3% 15.8% 15.5% 繊 維 衣 類 履 物 44.8% 57.5% 63.7% 66.8% 68.0% 70.7% 68.9% 69.8% 69.7% 67.0% 63.4% 63.7% 木 材 紙 製 品 印 刷 8.6% 5.9% 3.9% 3.8% 3.1% 3.0% 3.2% 3.1% 3.3% 3.7% 4.1% 3.9% ゴム 製 品 3.2% 3.1% 2.3% 2.5% 3.3% 3.0% 2.7% 3.3% 2.4% 2.4% 2.7% 3.2% その 他 16.2% 13.6% 12.0% 11.5% 11.2% 10.8% 11.9% 11.9% 12.0% 12.6% 14.0% 13.7% 製 造 業 計 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% ( 出 所 )National Institute of Statistics より 作 成 2. 縫 製 業 (1) 縫 製 業 の 輸 出 競 争 力 足 下 カンボジアの 主 要 産 業 は 縫 製 業 である 他 国 に 比 べて 低 い 労 働 コストを 生 かし 海 外 から 生 地 等 を 輸 入 し 製 品 を 海 外 に 輸 出 している カンボジアの 輸 出 の 半 分 は 衣 類 が 占 めている 貿 易 収 支 がほぼ 均 衡 している 同 国 にとって 縫 製 業 は 外 貨 を 獲 得 する 重 要 な 産 業 である カンボジアの 縫 製 業 の 国 際 競 争 力 は 他 の 縫 製 輸 出 国 と 比 べても 低 くはない 衣 類 関 連 の 国 際 競 争 力 を 表 す 輸 出 特 化 係 数 {( 輸 出 - 輸 入 ) ( 輸 出 + 輸 入 )}は 0.23(2010 年 ) カンボジアでは 国 内 で 繊 維 や 生 地 の 調 達 ができず 生 産 量 の 拡 大 に 合 わせて 輸 入 が 増 加 し てしまうため 国 内 調 達 できる 中 国 (2011 年 :0.73)に 比 べれば 輸 出 特 化 係 数 は 低 い し かし カンボジアと 同 様 に 米 国 や 日 本 等 に 衣 類 を 輸 出 しているタイ( 同 :0.26)やインドネ シア( 同 :0.22)とほぼ 同 程 度 の 水 準 にある カンボジアの 輸 出 特 化 係 数 を 時 系 列 でみると 2001 年 から 2008 年 までは 0.35 前 後 で 推 移 していたが 2009 年 2010 年 と 低 下 している これは 主 な 向 け 先 の 米 国 の 需 要 がリー マン ショックの 影 響 を 受 けて 低 迷 し 輸 出 が 減 少 したためである 足 下 においては 米 国 向 け 輸 出 が 回 復 していることや 生 産 コストが 上 昇 してきた 中 国 からのシフトが 期 待 さ れるため 輸 出 特 化 係 数 の 改 善 が 期 待 される 130
図 表 22-3 衣 類 関 連 の 輸 出 特 化 係 数 の 推 移 ( 輸 出 特 化 係 数 ) 0.8 0.7 中 国 ベトナム タイ カンボジア インドネシア 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 ( 暦 年 ) ( 注 ) 輸 出 特 化 係 数 =( 輸 出 - 輸 入 ) ( 輸 出 + 輸 入 ) ( 出 所 ) 各 国 資 料 より 作 成 (2) 中 国 からの 生 産 シフトが 進 む 米 国 や 日 本 の 衣 類 を 生 産 しているのは 主 に 中 国 である 2012 年 時 点 米 国 では 輸 入 の 内 の 39.4%(SITC コード=84)を 日 本 では 74.4%( 概 況 コード=80701)を 中 国 が 占 め ている しかし 近 年 中 国 で 人 件 費 の 上 昇 が 進 んでいることもあり 徐 々にではあるが 調 達 先 の 中 国 一 辺 倒 の 脱 却 分 散 化 が 進 んでいる 中 国 からの 輸 入 比 率 は 米 国 では 2010 年 を ピークに 日 本 では 2009 年 をピークに 低 下 している 中 国 からの 生 産 シフトの 恩 恵 を 受 け ているのが 東 南 アジアや 南 アジアの 国 々である 2008 年 と 2012 年 との 国 別 輸 入 比 率 をみると 米 国 での 分 散 先 は ベトナム(6.7% 8.5%) インドネシア(5.3% 6.0%)が 日 本 での 分 散 先 は ベトナム(5.03% 8.17%) ミャンマー(1.16% 2.62%) インドネシア(0.70% 2.16%) バングラデシュ(0.29% 1.86%)が 大 きく 伸 びている カンボジアについては 米 国 での 比 率 はほぼ 3.0%で 推 移 しているが 日 本 での 比 率 は 0.04%から 0.92%へと 上 昇 しており 中 国 の 比 率 低 下 ( 同 :81.20% 74.40%)の 受 け 皿 として カンボジアにも 生 産 がシフトしていることが 窺 える 131
図 表 22-4 米 国 の 衣 類 輸 入 先 の 推 移 2008 年 2009 年 2010 年 国 名 100 万 ドル 構 成 比 国 名 100 万 ドル 構 成 比 国 名 100 万 ドル 構 成 比 1 China 28,576 34.7% China 28,204 39.1% China 33,493 40.9% 2 Vietnam 5,528 6.7% Vietnam 5,329 7.4% Vietnam 6,208 7.6% 3 Indonesia 4,358 5.3% Indonesia 4,153 5.8% Indonesia 4,769 5.8% 4 Mexico 4,250 5.2% Mexico 3,580 5.0% Bangladesh 4,154 5.1% 5 Bangladesh 3,657 4.4% Bangladesh 3,579 5.0% Mexico 3,783 4.6% 6 India 3,412 4.1% India 3,126 4.3% India 3,422 4.2% 7 Honduras 2,741 3.3% Honduras 2,157 3.0% Honduras 2,542 3.1% 8 Cambodia 2,508 3.0% Cambodia 1,949 2.7% Cambodia 2,320 2.8% 9 Thailand 2,239 2.7% Thailand 1,764 2.4% Thailand 1,938 2.4% 10 Italy 1,757 2.1% Pakistan 1,467 2.0% El Salvador 1,680 2.1% 全 体 82,466 100.0% 全 体 72,055 100.0% 全 体 81,938 100.0% 2011 年 2012 年 国 名 100 万 ドル 構 成 比 国 名 100 万 ドル 構 成 比 1 China 34,946 39.4% China 34,693 39.4% 2 Vietnam 6,956 7.9% Vietnam 7,445 8.5% 3 Indonesia 5,396 6.1% Indonesia 5,284 6.0% 4 Bangladesh 4,696 5.3% Bangladesh 4,643 5.3% 5 Mexico 4,086 4.6% Mexico 3,970 4.5% 6 India 3,633 4.1% India 3,352 3.8% 7 Honduras 2,759 3.1% Honduras 2,712 3.1% 8 Cambodia 2,683 3.0% Cambodia 2,640 3.0% 9 Thailand 1,865 2.1% El Salvador 1,883 2.1% 10 Pakistan 1,840 2.1% Thailand 1,817 2.1% 全 体 88,598 100.0% 全 体 87,974 100.0% ( 出 所 )U.S. Department of Commerce より 作 成 図 表 22-5 日 本 の 衣 類 輸 入 先 構 成 比 の 推 移 2008 2009 2010 2011 2012 08 to 12 中 華 人 民 共 和 国 81.20% 81.24% 80.53% 77.54% 74.40% -6.80% ベトナム 5.03% 5.72% 5.94% 7.36% 8.17% 3.14% ミャンマー 1.16% 1.36% 1.57% 2.34% 2.62% 1.46% インドネシア 0.70% 0.81% 0.93% 1.37% 2.16% 1.46% バングラデシュ 0.29% 0.61% 1.10% 1.34% 1.86% 1.57% インド 1.22% 1.28% 1.29% 1.36% 1.45% 0.22% カンボジア 0.04% 0.24% 0.48% 0.77% 0.92% 0.88% タイ 0.55% 0.47% 0.46% 0.45% 0.50% -0.05% フィリピン 0.41% 0.36% 0.29% 0.31% 0.26% -0.15% ラオス 0.03% 0.04% 0.05% 0.08% 0.13% 0.10% その 他 9.36% 7.88% 7.34% 7.07% 7.53% -1.83% ( 出 所 ) 財 務 省 ( 日 本 ) 資 料 より 作 成 132
(3) 縫 製 業 だけでは 経 の 発 展 は 見 込 めない? 縫 製 業 がカンボジア 製 造 業 の 中 心 にあるが 長 期 的 に 同 国 の 経 が 一 層 発 展 するために は 縫 製 業 に 次 ぐ 製 造 業 または 縫 製 業 に 代 わる 製 造 業 の 台 頭 が 必 要 となろう 東 アジア 諸 国 の 経 発 展 (1 人 あたり GDP)と 産 業 構 成 比 の 推 移 をみると 1980 年 代 の 台 湾 韓 国 や 1990-2000 年 代 のタイでは 製 造 業 における 縫 製 業 の GDP 比 率 が 20%を 下 回 り 始 めるタイミングで 発 展 スピードが 早 くなる 傾 向 が 窺 える( 図 表 22-6) これらの 国 では 同 時 期 に 自 動 車 を 含 む 輸 送 機 器 産 業 や 電 気 機 器 産 業 等 のように 雇 用 者 1 人 あたり の 付 加 価 値 額 の 大 きい 産 業 が 育 っている カンボジアの 縫 製 業 が 製 造 業 に 占 める 比 率 は 徐 々に 低 下 しているとはいえ 2010 年 時 点 ではまだ 60%を 上 回 っている 今 後 機 械 や 車 両 の 輸 出 の 構 成 比 が 上 昇 すれば 同 国 の 経 発 展 は 加 速 すると 予 想 される 図 表 22-6 縫 製 業 比 率 と 経 発 展 (1 人 あたりGDP:ドル) 25,000 台 湾 韓 国 タイ カンボジア 2011 2011 20,000 15,000 10,000 1981 2010 5,000 70% 2010 60% 50% 1999 40% 1970 30% 20% 1980 10% 0% 0 ( 製 造 業 に 占 める 縫 製 業 比 率 ) ( 出 所 )IMF 各 国 資 料 より 作 成 133
3. 観 光 業 (1) ASEAN 諸 国 の 中 でも 観 光 業 の 与 えるインパクトは 大 きい カンボジアでは 国 内 外 からの 投 資 の 内 ホテル 建 設 やリゾート 開 発 など 観 光 業 に 関 連 する 案 件 が 全 体 の 5 割 以 上 の 額 を 占 めている( 認 可 ベース) また 政 府 による 観 光 業 振 興 支 援 が 継 続 的 に 行 われており SARS の 影 響 が 大 きかった 2003 年 を 除 いて 海 外 からの 来 訪 者 数 が 増 加 を 続 けている( 図 表 22-7) 産 業 別 GDP ではホテル レストラン 業 が 4.8% を 占 めており 同 比 率 は ASEAN 諸 国 ではタイ(4.9%)に 次 いで 高 い 海 外 からの 訪 問 者 による 国 際 観 光 収 入 は 19 億 ドル(2011 年 ) 国 際 観 光 収 入 の 名 目 GDP 比 率 は 14.9%と ASEAN 諸 国 の 中 では 最 も 高 く 2 位 のタイ(7.6%)との 差 も 大 きい カ ンボジアの 同 比 率 は 2004 年 以 降 10% 超 の 水 準 が 続 いている 図 表 22-7 カンボジアの 来 訪 者 数 と 観 光 業 収 入 の 対 GDP 比 率 の 推 移 (100 万 人 ) 3.5 3.0 来 訪 者 数 ( 左 軸 ) 国 際 観 光 収 入 対 GDP 比 率 ( 右 軸 ) 13.2% 14.4% 16.2% 15.4% 15.0% 15.9% 14.9% 16% 14% 2.5 10.8% 12% 2.0 1.5 6.2% 7.6% 8.8% 7.4% ( 予 ) 10% 8% 1.0 6% 0.5 4% 0.0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 2% ( 出 所 )Ministry of Tourism of Cambodia, World Tourism Organization, World Bank 資 料 等 より 作 成 図 表 22-8 国 名 観 光 業 収 入 の 対 GDP 比 率 の 比 較 来 訪 者 数 ( 万 人 ) 国 際 観 光 収 入 対 名 目 GDP カンボジア (2011 年 ) 288 14.9% タイ (2011 年 ) 1,910 7.6% シンガポール (2011 年 ) 1,039 7.5% マレーシア (2011 年 ) 2,471 6.3% ラオス (2010 年 ) 167 5.3% ベトナム (2011 年 ) 601 4.5% ブルネイ (2009 年 ) 16 2.4% フィリピン (2011 年 ) 392 1.4% インドネシア (2011 年 ) 765 0.9% ミャンマー (2010 年 ) 31 0.1% 日 本 (2011 年 ) 622 0.2% (アンコールワット 第 3 回 廊 ) ( 出 所 )Ministry of Tourism of Cambodia, World Tourism Organization, World Bank 資 料 等 より 作 成 134
(2) 課 題 はアンコールワット 以 外 の 観 光 名 所 の 創 出 国 別 の 来 訪 者 数 (2011 年 )はベトナム 韓 国 中 国 日 本 米 国 の 順 に 多 い(ビジネス 含 む) 内 ベトナムからの 来 訪 者 は 61 万 人 を 超 え 全 体 の 20%を 超 える 割 合 であった なお 日 本 からの 来 訪 者 は 約 16 万 人 で 全 体 の 6% 弱 観 光 業 の 課 題 は アンコールワット 以 外 の 観 光 名 所 の 創 出 である 一 部 報 道 では 2012 年 のアンコールワット 入 場 者 は 200 万 人 を 超 え 2011 年 に 比 べて 28% 増 加 したことが 伝 えられた しかし 来 訪 者 数 自 体 は 増 加 傾 向 が 続 いているものの 来 訪 者 1 人 あたりの 国 際 観 光 収 入 額 は 2009 年 以 降 減 少 に 転 じている( 図 表 22-9) また 平 均 滞 在 日 数 も 2004 年 以 降 横 ばいで 推 移 している 図 表 22-9 来 訪 者 平 均 滞 在 日 数 と 1 人 あたり 国 際 観 光 収 入 額 の 推 移 (ドル) 900 ( 日 ) 7.0 800 来 訪 者 1 人 あたり 国 際 観 光 収 入 額 ( 左 軸 ) 来 訪 者 平 均 滞 在 日 数 ( 右 軸 ) 6.30 6.30 6.50 6.50 6.65 6.45 6.45 6.50 6.5 700 5.80 6.0 600 500 5.50 5.50 5.50 5.5 400 5.0 300 4.5 200 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 4.0 ( 出 所 )Ministry of Tourism of Cambodia 資 料 より 作 成 アンコールワット 以 外 の 観 光 地 としては タイとの 国 境 付 近 に 位 置 するコッコン 州 が 伸 びている 同 州 にはペアム クラソップ 自 然 公 園 等 があり 水 上 コテージやカジノリゾー ト サファリパークなどの 観 光 開 発 も 進 んでいる 2003 年 にコッコン 橋 が 開 通 してタイか らの 入 国 が 容 易 となったことから 欧 米 人 の 来 訪 が 増 え 26,000ha におよぶ 広 大 なマングロ ーブ 森 をはじめとした 雄 大 な 自 然 が 観 光 資 源 として 生 かされている しかし 2008 年 に 世 界 文 化 遺 産 に 登 録 されたプレアビヒア 寺 院 や 南 部 には 白 砂 の 海 岸 が 続 くビーチリゾート(シハヌークビル 州 沿 岸 部 )があるが これらについてはまだ 十 分 な 観 光 資 源 にはなっていない シハヌークビルでは 政 府 が 国 際 空 港 を 再 開 発 したものの 国 際 線 の 就 航 には 至 っていない また プレアビヒア 寺 院 については 周 辺 地 区 の 治 安 の 正 常 化 安 定 が 重 要 な 課 題 となっている 135
ひとくちメモ(15): 日 本 人 にも 人 気 の 観 光 地 アンコールワット カンボジアの 観 光 地 で 最 もポピュラーなアンコールワットは カンボジアだけではなく 世 界 の 観 光 地 の なかでも 人 気 の 高 いスポットである 旅 行 口 コミサイトが 日 本 人 を 対 象 に 行 ったアンケート 行 ってよかった 世 界 の 観 光 地 のランキングで はアンコールワットが 2011 年 2012 年 連 続 で 1 位 となった 2011 年 のランキングではバイヨン 寺 院 を 擁 するアンコールトムが 7 位 にランクインしており アンコー ルワット 周 辺 の 遺 跡 群 にも 多 くの 観 光 客 が 訪 れていることが 窺 える(2012 年 のランキングはアンコールワ ット アンコールトム バイヨン 寺 院 を 含 む 統 計 ) 2012 年 のランキング 全 体 では 上 位 50 位 中 33 ヵ 所 が 欧 州 のスポットで 上 位 30 位 中 26 ヵ 所 はユネスコ の 世 界 遺 産 に 登 録 されている 観 光 スポットであった ASEAN 域 内 国 は 30 位 にボロブドゥール 寺 院 (イン ドネシア)がランクインした 欧 州 勢 を 差 し 置 いて 2 年 連 続 1 位 に 選 ばれたアンコールワットは 世 界 に 誇 るカンボジアの 象 徴 のひと つと 言 えよう 図 表 行 ってよかった 世 界 の 観 光 地 上 位 10 ヵ 所 一 覧 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 2012 アンコール ワット/カンボジア マチュピチュ/ペルー ラニカイビーチ/ハワイ ウォルト ディズニー ワールド/アメリカ ウルル(エアーズロック)/オーストラリア オルセー 美 術 館 /フランス サグラダファミリア 教 会 /スペイン ルーヴル 美 術 館 /フランス アヤ ソフィア 博 物 館 ( 教 会 )/トルコ ペルガモン 博 物 館 /ドイツ ( 出 所 )トリップアドバイザー ホームページより 作 成 2011 アンコール ワット/カンボジア サグラダファミリア 教 会 /スペイン マチュピチュ/ペルー ルーヴル 美 術 館 /フランス バチカン 美 術 館 /バチカン 市 国 ドゥオーモ - サンタ マリア デル フィオーレ 大 聖 堂 /イタリア アンコール トム/カンボジア マウナ ケア 山 /ハワイ コロッセオ/イタリア ウォルト ディズニー ワールド/アメリカ 4.FTA の 進 捗 状 況 カンボジアは 開 発 途 上 の 国 であるため 先 進 国 が 供 与 する 一 般 特 恵 関 税 制 度 (Generalized System of Preferences:GSP)の 受 益 国 の 1 つである また 同 国 は 国 連 が 定 める 後 発 開 発 途 上 国 (Leaset Developed Countries:LDC)にも 該 当 しており 海 外 への 輸 出 の 際 に 相 手 国 での 輸 入 税 の 免 除 等 の 恩 恵 を 受 けている このため 2012 年 12 月 時 点 では 同 国 は 二 国 間 の FTA は 結 んでおらず FTA については ASEAN との 枠 組 みで 進 められているものに 限 られている( 図 表 22-10) カンボジアは 輸 入 の 約 半 分 を ASEAN から 約 2 割 を 中 国 から 輸 入 している ASEAN 内 での FTA(ATIGA)では カンボジアの 対 象 品 目 の 輸 入 関 税 の 完 全 撤 廃 期 限 は 2015 年 中 とされている ただし 一 部 の 例 外 品 目 についての 撤 廃 期 限 は 2018 年 までとされてい る また センシティブ 品 目 (SL) 高 度 センシティブ 品 目 (HSL)については 2017 年 までに 関 税 を 0~5%に 引 き 下 げる 予 定 である また 対 中 国 では 2015 年 に 対 インドでは 2016 年 に 対 韓 国 では 2020 年 までに 関 税 を 0%とするとしている また 対 オーストラリア ニュージーランドでは 2024 年 まで 136
に 85%の 品 目 につき 関 税 を 0%とする 日 本 との ASEAN との FTA(AJCEP)については カンボジアは 2009 年 12 月 1 日 に 発 効 した 新 規 加 盟 国 は 経 発 展 に 応 じた 過 渡 的 措 置 があり カンボジアは 2026 年 まで に 85%の 品 目 で 関 税 を 0%とすることとしている 図 表 22-10 ASEAN との FTA とカンボジアの 発 効 状 況 ASEANベース 1 ASEAN 2 中 国 3 韓 国 4 インド 5 豪 州 ニュージーランド 6 日 本 対 象 国 地 域 協 定 合 意 の 名 称 ASEAN Trade In Goods Agreements (ATIGA) ASEAN-China FTA (ACFTA) ASEAN-Korea FTA (AKFTA) ASEAN-India FTA (AIFTA) ASEAN-Australia-NewZealand FTA (AANZFTA) ASEAN-Japan CEP (AJCEP) 発 効 状 況 ( 出 所 ) 各 種 資 料 より 作 成 7 EU ASEAN-EU FTA 未 図 表 22-11 カンボジアの FTA 進 捗 状 況 カンボジア ラオス ミャンマー ベトナム 2015 年 末 までに 関 税 撤 廃 予 定 <ATIGA(ASEAN 物 品 貿 易 協 定 )> <ASEANとしての 協 定 > 一 部 品 目 除 き2010 年 関 税 撤 廃 み カンボジアとは 中 国 2015 年 までに 関 税 撤 廃 インド 日 本 韓 国 カンボジアとは 2011 年 4 月 に 発 効 2016 年 までに 関 税 撤 廃 インドネシア 以 外 の 9ヵ 国 とAJCEP 発 効 (2010 年 6 月 ) ベトナムは2018 年 迄 に カンボジア ラ オス ミャンマーは 2020 年 迄 に 関 税 撤 廃 タイ インドネシア フィリピン 2010 年 1 月 1 日 付 けで 関 税 撤 廃 AFTAに 代 わる 協 定 オーストラリア 2012 年 1 月 FTA 発 効 ニュージーランド シンガポール マレーシア ブルネイ BIMSTEC 2004 年 枠 組 協 定 締 結 FTA 交 渉 継 続 中 FTA 交 渉 中 断 中 EU ( 出 所 )JETRO 資 料 より 作 成 137