党 総 務 会 とは いかなる 会 議 体 なのか 明 治 学 政 治 経 済 学 部 川 伸 nisikawa1116 gmail.com ( @) http://www.nishikawashin-ichi.net/ はじめに 党 本 部 6 階 にある 総 務 会 室 (2016.2.29 撮 影 ) @ 党 の 意 思 決 定 1 党 会 : 年 に1 回 最 機 関 2 党 会 に 代 わる 両 院 議 員 総 会 : 特 に 緊 急 を 要 する 事 項 例 ) 総 裁 が 任 期 途 中 に 辞 職 した 場 合 後 任 総 裁 を 選 任 3 両 院 議 員 総 会 : 特 に 重 要 な 事 項 4 総 務 会 : 重 要 事 項 総 務 会 は 党 の 運 営 及 び 国 会 活 動 に 関 する 重 要 事 項 を 審 議 決 定 する 常 設 の 意 思 決 定 機 関 ( 党 則 38 条 ) 1 1 会 議 体 としての 基 本 事 項 @ 会 議 室 1 国 会 閉 会 中 : 党 本 部 6 階 の 総 務 会 室 2 国 会 開 会 中 : 院 内 の 第 五 控 室 細 い 楕 円 テーブル 壁 際 にも 椅 @ 定 例 時 原 則 として 毎 週 曜 と 曜 の11 時 から; 所 要 時 間 は15 分 ほど どんなに 延 びても 通 常 は 正 午 には 終 わる どの 議 員 も 昼 付 き の 会 議 を 抱 えている 定 数 はない (2016.2.29 撮 影 ) 第 3 次 安 倍 内 閣 の 改 造 に 先 だって 開 かれた 臨 時 総 務 会 2015.10.8 朝 新 聞 2 1
@ 総 務 の 定 員 1 総 務 会 のメンバーを 総 務 といい その を 総 務 会 という 2 定 員 は25 名 全 員 が 党 所 属 国 会 議 員 3 総 務 以 外 に 次 のポストにある 者 も 出 席 する 副 総 裁 幹 事 政 務 調 査 会 国 会 対 策 委 員 選 挙 対 策 委 員 組 織 運 動 本 部 広 報 本 部 参 議 院 議 員 会 参 議 院 幹 事 参 議 院 政 策 審 議 会 参 議 院 国 会 対 策 委 員 年 局 性 局 総 裁 も 出 席 することがある 総 務 以 外 の 出 席 者 には 議 決 権 はない 4 陪 席 者 が 壁 際 の 席 に 座 る 副 幹 事 の 総 務 会 担 当 国 会 対 策 副 委 員 の 総 務 会 担 当 階 俊 博 総 務 会 ( 左 から2 ); 左 は 村 正 彦 副 総 裁 右 は 垣 禎 幹 事 さらに 右 は 稲 朋 美 政 調 会 3 総 務 会 担 当 の 事 務 局 の 職 員 ( 会 議 記 録 は 残 すが 正 式 の 議 事 録 はない 発 の 萎 縮 の 抑 のため) 5 党 議 員 ならばだれでも 傍 聴 できる 総 務 会 は 党 議 員 ならば 誰 でも 室 内 に って 会 議 を 傍 聴 でき るし 誰 もが 番 外 発 と 称 する 意 を 述 べることができる ( 堀 内 2006:60) ただし 傍 聴 および 番 外 発 は 総 務 会 に 事 前 通 告 してお くことが 慣 例 2 総 務 の 構 成 と 任 期 @ 総 務 の 選 出 枠 別 構 成 党 所 属 の 衆 議 院 議 員 の 公 選 による 者 11 名 党 所 属 の 参 議 院 議 員 の 公 選 による 者 8 名 三 総 裁 の 指 名 による 者 6 名 党 則 39 条 は 衆 院 例 代 表 ブロックごとに 置 かれている11のブロック 両 院 議 員 会 が 公 選 は 参 院 執 部 が 公 選 三 は 総 裁 幹 事 総 務 会 が 指 名 する 議 員 を 選 考 4 2
社 会 主 義 理 論 学 会 第 71 回 研 究 会 @ 慶 應 義 塾 学 三 キャンパス 2016.6.26 @2016 年 1 13 時 点 での 総 務 25 名 の 選 出 枠 別 構 成 総 務 就 任 者 の 特 徴 1 当 選 回 数 豊 富 なベテラン 議 員 が 多 い 2 には 衆 院 からの 鞍 替 え 組 が 半 数 を 占 める 3 三 は 全 員 が 衆 院 議 員 副 会 は9 名 以 内 ( 現 状 は7 名 ) さらに 副 会 から 会 代 理 を 指 名 することができる ( 現 状 は2 名 ) 野 毅 衆 院 議 員 ( 熊 本 2 区 当 選 15 回 ) ( 注 ) 参 院 議 員 の 当 選 回 数 のあとの a は 任 期 前 期 ( 改 選 が 次 々 回 通 常 選 挙 ) b は 任 期 後 期 ( 改 選 が 次 回 通 常 選 挙 )を 指 す 5 ( 出 典 ) 報 告 者 作 成 @ 総 務 と 兼 職 できないポスト 党 政 府 および 国 会 の 以 下 の 役 職 に 就 いている 者 は 慣 例 的 に 総 務 と 兼 職 できない(166 名 ) ( 理 由 ) 仮 に 総 務 に 就 いたとしても 総 務 会 に 物 理 的 に 出 席 できないか あるいは 利 益 相 反 になってしまう ( 参 考 ) 総 務 の 員 数 :1960 年 党 会 以 降 30 名 2001 年 党 会 で31 名 に 2009 年 総 選 挙 で119 名 しか 当 選 せず 衆 院 議 員 に 割 り 当 てら れている 総 務 の 員 数 を 満 たすことができず 2010 年 党 会 で25 名 へ 減 員 2012 年 総 選 挙 での 勝 政 権 復 帰 後 も 総 務 の 員 数 増 員 を 求 め る 要 求 はなく 25 名 のまま 現 在 に る( 党 則 37 条 ) ( 注 ) の 員 数 に 相 は 含 まない 6 ( 出 典 ) 党 および 衆 議 院 参 議 院 のHP 3
@ 総 務 の 任 期 党 則 80 条 1 項 : 役 員 の 任 期 は 総 裁 については 三 年 とし その 他 はすべて 年 とする ただし 重 任 を 妨 げない 党 則 80 条 5 項 : 総 裁 が 新 たに 選 任 された 場 合 は 第 項 の 規 定 にかかわらず 役 員 の 任 期 は 終 了 するものとする 党 則 80 条 6 項 : 総 裁 以 外 の 役 員 については その 補 の 場 合 には 前 任 者 の 残 任 期 間 とし 新 任 の 場 合 には 他 の 般 の 役 員 の 任 期 によるものとする 党 則 81 条 : 役 員 は その 任 期 が 満 了 は 終 了 した 後 でもそれぞれの 続 きを 経 て 後 任 者 が 決 定 する までは 引 き 続 きその 職 に 在 るものとする 直 近 5 年 の 総 務 の 任 期 7 1 党 則 80 条 1 項 で 定 められた1 年 の 任 期 になることは むしろ 珍 しい ( 理 由 ) 新 総 裁 選 任 (Ⅰ Ⅳ) 内 閣 改 造 党 役 員 事 (Ⅲ Ⅴ)があった 場 合 それ に 連 動 して 総 務 の 任 期 が 終 了 する Ⅰ: 総 裁 選 で 安 倍 晋 三 が 総 裁 に 選 出 Ⅳ: 総 裁 選 で 無 投 票 再 選 された 安 倍 が 両 院 議 員 総 会 で 正 式 に 総 裁 に 決 定 Ⅲ:2014 年 9 3 に 内 閣 改 造 党 役 員 事 があり 9 19 に 新 総 務 が 決 定 Ⅴ:2015 年 10 7 に 内 閣 改 造 党 役 員 事 があり 10 27 に 新 総 務 が 決 定 21 年 の 任 期 満 了 を 待 たずに 任 期 が 終 了 した 場 合 党 則 81 条 により 総 務 会 は 開 かれる 総 務 不 在 の 期 間 : 2012 年 9 27 から 同 年 10 15 2015 年 9 25 から 同 年 10 26 党 の 臨 時 総 務 会 で 結 束 を 確 認 する 安 倍 晋 三 総 裁 ( 右 から2 )と 稲 朋 美 政 調 会 ( 右 端 ) ら 党 執 部 =10 7 東 京 永 町 の 党 本 部 ( 斎 藤 良 雄 撮 影 ) ( 出 典 )2015.10.13ウェブ 版 産 経 ニュース 8 4
@ い 違 う 総 務 会 と 総 務 の 着 任 期 党 則 40 条 5 項 : 総 務 会 及 び 副 会 は 総 務 会 において 互 選 する 実 際 には 総 裁 出 席 の 臨 時 総 務 会 で 総 裁 より 推 薦 がなされ それが 承 認 される 例 )2014 年 9 3 ( ) 午 前 の 臨 時 総 務 会 野 聖 総 務 会 が 安 倍 総 裁 に 発 を 求 め 安 倍 が 階 を 野 に 代 わる 総 務 会 に 推 薦 する 異 議 なし で 階 が 新 総 務 会 に 就 任 野 は 退 席 同 午 後 に 内 閣 改 造 直 近 5 の 総 務 会 と その 下 での 総 務 着 任 その 後 総 務 と 兼 職 できないポストを 順 次 埋 めていき 9 19 ( )に 新 総 務 が 決 まる 9 3 総 務 会 の 機 能 党 則 38 条 : 総 務 会 は 党 の 運 営 及 び 国 会 活 動 に 関 する 重 要 事 項 を 審 議 決 定 する @ 党 の 運 営 に 関 する 重 要 事 項 = 幹 部 事 党 四 役 : 幹 事 総 務 会 政 調 会 選 対 委 員 総 務 会 の 承 認 を 受 けて 総 裁 が 決 定 する ( 党 則 9 条 46 条 52 条 7 項 ) 執 部 : 副 総 裁 幹 事 総 務 会 政 調 会 選 対 委 員 国 会 対 策 委 員 幹 事 代 組 織 運 動 本 部 広 報 本 部 総 裁 特 別 補 佐 組 織 運 動 本 部 と 広 報 本 部 は 党 四 役 と 同 じ 選 任 続 きを 経 る( 党 則 17 条 21 条 ) 国 対 委 員 と 幹 事 代 については 総 務 会 の 承 認 を 受 けて 幹 事 が 決 定 する ( 同 24 条 2 項 10 条 ) 総 務 会 の 承 認 がなければ 党 の 幹 部 事 は 進 まない 10 5
@ 総 務 会 が 担 う 幹 部 事 を 除 く 党 の 運 営 に 関 する 重 要 事 項 11 @ 国 会 活 動 に 関 する 重 要 事 項 政 策 の 事 前 審 査 党 則 42 条 2 項 : 党 が 政 策 として 採 する 議 案 は 政 務 調 査 会 の 議 を 経 なければならない 政 務 調 査 会 :13 部 会 (ほぼ 省 庁 ごと) 政 調 審 議 会 同 45 条 1 項 : 政 務 調 査 会 に 政 策 案 を 審 議 決 定 するため 政 調 審 議 会 を 置 く 同 45 条 5 項 : 政 調 審 議 会 において 決 定 した 政 策 に 関 する 事 項 は 速 やかに 総 務 会 に 報 告 しその 決 定 を 経 なけ ればならない 総 務 会 での 説 明 のため 部 会 が 出 席 総 務 の 評 価 がその 後 の 出 世 にかか わるので 説 明 語 句 の 語 語 を 吟 味 ( 村 川 1989:279)して 臨 む 泉 進 次 郎 農 林 部 会 ( 当 3) ( 出 典 ) 村 川 郎 (1997) 由 主 党 の 政 策 決 定 過 程 の 軌 跡 中 村 睦 男 前 英 昭 編 法 過 程 の 研 究 信 社 127 6
社 会 主 義 理 論 学 会 第 71 回 研 究 会 @ 慶 應 義 塾 学 三 キャンパス 2016.6.26 例 ) 安 保 法 制 11 法 案 2015 年 5 11 ( ) 関 連 部 会 で 了 承 12 ( )10 時 からの 政 調 審 議 会 で 了 承 同 11 時 からの 総 務 会 で 審 議 決 定 総 務 会 の 了 承 = 党 議 拘 束 5 14 ( ) 臨 時 閣 議 で 閣 議 決 定 翌 国 会 提 出 7 16 衆 院 本 会 議 採 決 党 議 にそむく 為 を 回 避 す るため 席 届 を 出 した 村 上 誠 郎 衆 院 議 員 ( 当 10) 右 ひざが 前 から 悪 化 総 務 会 による 法 案 の 事 前 審 査 制 を 確 定 させた 13 城 宗 徳 総 務 会 が 平 正 芳 官 房 官 にあてた 書 総 務 会 の 了 承 が 閣 議 決 定 の 前 提 総 務 会 で 了 承 されなかった 場 合 : 閣 議 へあげられず 政 調 審 議 会 へ 差 し 戻 される 重 要 法 案 となると 総 務 会 の 段 階 でもいろいろな 意 が 出 てきて 政 審 に 差 し 戻 すもの 修 正 を 加 えて 再 提 出 させるものもある ( 堀 内 2006:57) 総 務 会 が 予 算 法 案 の 事 前 審 査 の 最 終 関 例 ) 平 政 権 による 祝 法 改 正 案 : 6 第 1 曜 を 家 庭 の として 祝 にする 1980.4.9 家 庭 基 盤 充 実 特 別 委 員 会 と 内 閣 部 会 の 合 同 会 議 で 決 定 総 務 会 は 野 党 の 強 い 反 対 を 理 由 に 政 審 に 差 し 戻 す 5.8 政 審 は 同 改 正 案 を 政 調 会 預 かり とし 国 会 提 出 を 事 実 上 断 念 した 4 総 務 会 の 議 決 法 党 則 41 条 : 総 務 会 の 議 事 は 出 席 者 の 過 半 数 で 決 し 可 否 同 数 のときは 議 の 決 するところによる 1980.4.12 毎 新 聞 14 7
@ 全 会 致 の 良 識 党 総 務 会 は 多 様 な 意 を 持 つ 議 員 の 意 を 集 約 する 場 であり 政 権 を える 与 党 の 最 意 思 決 定 機 関 であるから 異 論 が 続 出 しても 最 後 には 全 会 致 の 原 則 を 守 ってきた これは 国 政 党 としての 党 が 約 四 年 にわたって 維 持 してきた 良 識 であり 議 院 内 閣 制 のわが 国 の 政 治 が 安 定 していた 基 盤 である ( 同 :55) 1962 年 の 城 宗 徳 総 務 会 時 代 からの 慣 例 その 意 義 その 議 決 1 時 間 をかけても 努 して 反 対 者 をなくすこと 2 党 を 割 らないために 最 限 の 努 をすること ( 同 :58) 異 議 なし 採 決 反 対 の 総 務 は 途 中 退 席 する 従 って 定 数 は 設 定 できない 異 例 の 挙 採 決 2005.6.28( ) 臨 時 総 務 会 郵 政 営 化 関 連 法 案 の 修 正 案 で 久 間 章 総 務 会 が 強 挙 の 数 は 数 えておらず 採 決 に 際 し 賛 成 何 名 反 対 何 名 とははっきり 表 明 できなかった ( 同 :113) 10 年 ぶりの 挙 採 決 2015.5.12 総 務 会 : 安 保 法 制 に 反 対 の 村 上 総 務 が 説 を 訴 えたあと 途 中 退 席 し 挙 で 全 会 致 15 理 由 階 総 務 会 重 要 法 案 だ (2015.5.13 毎 新 聞 ) 賛 成 か 反 対 かわからずその 場 にいたというのでは 困 る ( 同 付 経 新 聞 ) むすび 和 の 式 の 維 持 装 置 京 極 純 決 定 に 関 する 伝 統 的 な 制 度 において 成 員 全 員 に 平 等 な 参 加 資 格 があり( 参 加 の 政 治 ) また 全 員 が 拒 否 権 をもつ( 全 員 致 ) 上 に 票 決 を いて 対 ないし 多 数 派 少 数 派 分 化 を 成 員 の 眼 に えるように 表 することは できる 限 り 回 避 すべきこととさ れている ( 京 極 1983:208) 本 型 意 志 決 定 = 和 の 式 票 決 によって 集 合 体 なり 集 団 のなかに シコリが 残 る ことは 避 けがたい したがって 和 を 尊 重 する 々は 根 回 し( 事 前 作 )による 対 決 の 回 避 に 熱 となる ( 同 :210) @ 引 参 照 献 京 極 純 (1983) 本 の 政 治 東 出 版 会 堀 内 光 雄 (2006) 党 は 殺 された! WAC 村 川 郎 (1989) 党 の 政 策 決 定 システム 教 育 社 きょうごく じゅんいち (1924-2016) (1997) 由 主 党 の 政 策 決 定 過 程 の 軌 跡 中 村 睦 男 前 英 昭 編 法 過 程 の 研 究 信 16 社 8