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Transcription:

江 戸 城 石 垣 のふるさと はや かわ いし ちょう ば ぐん 早 川 石 丁 場 群 かん ぱく ざわ し ぐん 関 白 沢 支 群

はじめに 早 川 石 丁 場 群 関 白 沢 支 群 は 神 奈 川 県 小 田 原 市 にあり 市 域 の 中 でもさらに 西 端 の 箱 根 町 との 境 に 所 在 しています 地 形 的 には 箱 根 外 輪 山 の 東 側 にあり 箱 根 山 中 より 相 模 湾 に 流 れ 込 む 早 川 の 支 流 の 関 白 沢 と 呼 ばれる 大 きな 沢 によって 深 く 開 析 された 標 高 200 m 前 後 を 測 る 北 向 き の 斜 面 上 に 広 く 展 開 しています 本 遺 跡 は 江 戸 時 代 の 初 め(17 世 紀 前 半 ) 徳 川 幕 府 による 天 下 普 請 によって 近 世 江 戸 城 を 築 城 した 際 に 城 の 石 垣 用 材 として 石 を 切 出 した 生 産 遺 跡 です 古 くから 箱 根 外 輪 山 から 伊 豆 半 島 にか けての 地 域 は 安 山 岩 という 固 い 火 山 岩 が 遺 跡 の 位 置 産 出 することで 知 られており 幕 府 から 江 戸 城 の 石 垣 作 りの 命 令 をうけた 大 名 たちによって これらの 地 域 の 沿 岸 部 を 中 心 に 石 を 切 出 す 作 業 を 行 なう 石 丁 場 が 数 多 く 営 まれていました このたび 県 が 事 業 主 体 となって 整 備 中 の 広 域 農 道 により 遺 構 を 失 うこととなる 部 分 について 発 掘 調 査 による 記 録 保 存 を 行 いました 調 査 の 結 果 広 域 農 道 が 建 設 される 範 囲 には 29 ヶ 所 の 遺 構 が 認 められました それぞれの 調 査 範 囲 からは 石 丁 場 としての 役 割 を 終 え 石 を 割 り 出 したときに 出 来 た 石 の 小 さな 破 片 (コッパ)や 不 要 部 位 として 割 り 捨 てられた 石 材 が 多 く 出 土 しました また 石 を 切 出 したり 形 を 整 える 作 業 を 行 っている 状 態 のま ま 残 されている 遺 構 や 切 出 した 石 垣 用 材 を 山 から 運 び 降 ろすための 通 路 ( 石 曳 道 :いしびきみち)など 石 丁 場 で 行 われていた 様 々な 作 業 の 様 子 をうかがうことが 出 来 ました なかでも 10 区 では 自 然 の 巨 石 から 石 を 切 出 し 形 を 整 え 出 来 上 がった 石 垣 用 材 がまとめて 置 かれてあった 様 子 など 石 を 切 出 すほとんどの 作 業 が 観 察 できる 範 囲 が 発 見 され この 部 分 については 関 係 諸 機 関 のご 理 解 ご 協 力 を 頂 き 道 路 構 造 を 橋 梁 形 式 に 変 更 することにより その 一 部 が 現 状 保 存 されることとなりました 一 部 現 状 保 存 範 囲 調 査 区 分 図

10 区 ( 一 部 現 状 保 存 範 囲 ) 10 区 では 石 の 切 出 し 作 業 を 行 った 場 所 がそのままの 状 態 で 残 されています 1 では 自 然 石 から 大 きなかたまりを 切 出 し さらに 切 出 した 石 材 を 目 的 の 大 き さに 分 割 している 様 子 が 見 て 取 れます 右 の 写 真 を 見 ると 左 上 のドーム 状 に 覆 いかぶさっている 自 然 石 から 右 下 の 石 材 が 割 り 出 され さらに 目 的 の 大 きさになるよう4つに 分 割 しています 1の 範 囲 ( 上 から) 2 の 範 囲 では 上 下 段 の 石 の 中 央 には 横 一 文 字 に 矢 穴 (やあな)と 呼 ばれるクサ ビを 打 ち 込 むための 穴 がノミによってあけられています 矢 穴 で 区 分 された 上 下 段 の 形 状 から 見 て 切 出 そうとしている 石 材 の 大 きさは 縦 1m 横 1m 長 さ2 ~3mにそろえられているようです 下 段 の 石 では 正 面 を 向 いた 面 の 観 察 によって すでに 一 度 切 出 し 作 業 が 行 われ ていることがわかりました 切 出 し 作 業 の 様 子 ( 石 切 絵 図 : 小 田 原 市 所 蔵 ) 3 の 範 囲 では 割 出 した 石 材 の 形 を 整 え ています 作 業 を 行 うことが 出 来 る 平 坦 な 場 所 を 作 り そこに 素 材 となる 石 を 運 び 込 んでいることがわかります 石 材 は 直 方 体 に 仕 上 げられていて この 石 材 の 正 面 には 製 作 者 集 団 のも のと 考 えられる 刻 印 が 刻 まれています 整 形 作 業 の 様 子 ( 石 切 絵 図 : 小 田 原 市 所 蔵 ) 3の 範 囲 ( 整 形 作 業 を 行 う 場 所 ) 2 3 1 4 4 の 範 囲 には 石 垣 用 材 として 整 形 が 済 んだ 石 材 がまとめて 置 かれています 10 区 全 景 ( 調 査 時 点 )

石 材 1 石 材 2 刻 印 八 と の 関 係 石 材 1は 石 材 2の 正 面 をなす 方 形 面 か ら 割 り 取 られており 黄 色 線 枠 の 石 の 面 同 士 は 一 致 することが 観 察 できました これらのことから 刻 印 八 がある 石 材 1と 刻 印 がある 石 材 2は もともと 1つの 石 であったことがわかりました 石 材 1の 刻 印 八 は 割 取 りがなされ ていない 自 然 面 に 刻 まれており 石 材 2か らは 不 要 な 部 位 として 割 取 られています 一 方 新 しく 出 来 た 石 材 2の 正 面 には 刻 印 が 刻 まれています このことは 刻 印 八 よりも 刻 印 が 新 しいことを 示 しており 刻 印 の 意 味 も 全 く 異 なることが 考 えられます 考 え 方 としては 刻 印 八 は 当 時 の 石 職 人 などによって 山 中 の 自 然 石 のうち 石 材 の 良 し 悪 しを 観 察 した 上 良 い 石 材 に 対 し ての 占 有 権 を 示 したマークであり 刻 印 は 石 垣 用 材 として 製 品 化 された 石 材 に 対 して 刻 んだ 可 能 性 が 考 えられます 石 材 1 刻 印 八 石 材 2 刻 印 刻 印 のバリエーション 切 出 した 石 垣 用 材 の 正 面 には 色 々な 刻 印 が 彫 り 込 まれていることが 観 察 され ました 今 回 の 調 査 では など3 種 の 刻 印 が 見 つかっています それぞれの 刻 印 群 の 特 色 としては は 比 較 的 質 の 良 い 石 材 に 深 く 丁 寧 に 刻 みこんでいるのに 対 して はあまり 質 がいいとは 言 えないような 石 材 に 刻 み 込 んでいる 上 刻 み 方 も 簡 単 に 行 っているなどの 違 いがあります 残 念 ながら は1 例 しか 見 つからなかったことから どのような 石 材 を 選 んでいるのか 刻 印 の 刻 み 方 の 傾 向 についてはよくわかりません これらの 刻 印 は 石 丁 場 を 運 営 していた 大 名 や 石 を 切 出 していた 職 人 集 団 などを 示 す 記 号 などと 言 われていますが 詳 細 については 不 明 です

刻 印 と ノミ 消 しされた 刻 印 下 取 り 線 刻 み 直 された 刻 印 ( の は 丁 寧 に 刻 まれて 線 刻 となっていますが の は 点 の みで 表 現 されています ( 上 部 に 写 る 点 線 は 石 を 割 る 計 画 を 立 てた 時 の 設 計 線 ( 下 取 り 線 )) 1つの 石 垣 用 材 に 対 して 刻 印 は 大 抵 1つ 刻 まれていましたが 中 には 2つの 刻 印 をもつ 例 が 見 つかってい ます いずれの 石 垣 用 材 も と が 刻 まれていますが 左 写 真 の 黄 色 の 丸 枠 内 ではノミによって 打 ち 消 し たかのように が 削 りとられ その 後 改 めて が 刻 まれている ことが 観 察 されました このことは と とい う 刻 印 を 使 用 した 石 職 人 の 集 団 や 刻 印 の 刻 まれた 時 期 が 異 なることが 考 えられます 刻 印 此 左 (このひだり ) 刻 まれた 文 字 は 石 材 の 加 工 がなされて いない 自 然 のままの 面 に 刻 まれています 此 左 に 続 いて 何 を 刻 もうとしていた かは 不 明 ですが 調 査 範 囲 の 近 くに 所 在 す る 石 垣 山 一 夜 城 には 此 石 カキ 左 右 加 藤 肥 後 守 石 場 (このいしがきさゆう かとうひごのかみ いしば) 早 川 石 丁 場 群 関 白 沢 支 群 発 見 刻 印 という 刻 印 をもつ 石 が 発 見 されています 今 回 の 調 査 で 確 認 された 文 字 は 同 じ 山 の 斜 面 上 であることや 石 垣 山 一 夜 城 発 見 の 刻 印 が 直 線 距 離 にして 500 m 程 の 位 置 に あることなどから なんらかの 関 連 がある のではないかと 考 えられます 石 垣 山 一 夜 城 発 見 刻 印 21 区 発 見 刻 印 石 垣 山 一 夜 城 早 川 石 丁 場 群 関 白 沢 支 群 遠 景

切 出 された 石 材 の 大 きさ 16 区 検 出 石 垣 用 材 通 常 切 出 そうとしている 石 垣 用 材 は 正 面 を 約 1m 四 方 の 大 きさに 揃 え 長 さ は 平 均 で 約 2.6 mの 直 方 体 をしています 左 の 写 真 では 1つの 自 然 の 石 から 不 定 形 ながら 同 じ 大 きさの 石 材 をいくつも に 切 出 している 様 子 がうかがえます 一 方 下 の2 枚 の 写 真 に 写 る 石 垣 用 材 のようにきれいな 直 方 体 に 仕 上 げている ものがあります 左 下 の 写 真 に 写 る 石 垣 用 材 は 正 面 を 1.2 m 四 方 右 下 写 真 の これから 切 出 そうとしているものは 正 面 を 1.4 m 四 方 長 さも 3.6 mを 測 る 特 別 大 きなものです これらの 石 は 石 垣 の 角 に 使 われる 特 別 な 用 材 として 丁 寧 に 切 出 しています 石 曳 道 (いしびきみち) 11 区 検 出 石 垣 用 材 22 区 検 出 石 垣 用 材 調 査 範 囲 の 西 側 では 石 丁 場 から 切 出 した 石 垣 用 材 を 山 から 曳 き 下 ろす 際 に 使 用 されたと 思 われる 石 曳 道 が 発 見 されました 石 曳 道 の 路 面 には 右 の 絵 図 に 見 られる 地 車 (じぐ るま)と 呼 ばれる 石 を 運 ぶ 荷 車 がわだちにはまらない よう 車 輪 が 通 る 部 分 にコッ パや 小 礫 で 舗 装 していた 様 子 が 確 認 できました 上 : 石 曳 きの 様 子 ( 石 切 絵 図 : 小 田 原 市 所 蔵 ) 右 :26 区 石 曳 道

石 垣 用 材 石 丁 場 から 江 戸 城 へ 早 川 石 丁 場 群 関 白 沢 支 群 の 周 辺 では 神 奈 川 南 西 部 から 静 岡 県 の 伊 豆 半 島 を 中 心 に 数 多 くの 石 丁 場 が 残 されています 近 世 初 頭 の 築 城 ラッシュ 時 には 伊 豆 半 島 の 東 海 岸 からは 主 に 江 戸 城 へ 西 海 岸 からは 静 岡 の 駿 府 城 へ 運 び 出 されていまし た そのため 石 垣 用 材 の 運 搬 方 法 は 非 常 に 多 くの 人 手 や 手 間 がかかることから 石 丁 場 の 開 発 は 海 沿 いを 中 心 に 行 われ あま り 陸 上 運 搬 を 行 わないで 済 む 工 夫 ( 海 上 運 搬 )がなされていた ようです しかしながら 早 川 石 丁 場 群 関 白 沢 支 群 は 海 から 離 れた 内 陸 部 に 所 在 しています 恐 らくこれは 箱 根 の 芦 ノ 湖 を 水 源 に 持 つ 早 川 の 豊 富 な 水 流 を 利 用 して 河 口 まで 水 上 運 搬 することによっ て 労 力 の 軽 減 をしていたものと 考 えられています 石 丁 場 から 早 川 が 流 れる 谷 までの 関 白 沢 沿 いには 沢 の 改 修 工 事 の 際 にきれいに 形 が 整 えられた 石 垣 用 材 が 引 き 上 げられ 現 在 は 下 の 写 真 のように 道 路 の 路 肩 に 保 存 されています 早 川 まで 運 ばれた 石 垣 用 材 はイカダの 様 なものに 積 まれて 河 口 まで 運 び 出 され そこから 左 下 絵 図 にあるよ うな 石 舟 と 呼 ばれる 石 垣 用 材 運 搬 船 に 積 み 替 え られて 海 上 を 運 ばれたものと 考 えられます 石 丁 場 の 分 布 ( 金 子 杉 山 2003 石 垣 普 請 の 風 景 を 読 む より 加 筆 転 載 ) 関 白 沢 沿 いに 保 存 されている 石 垣 用 材 石 舟 ( 石 切 絵 図 : 小 田 原 市 所 蔵 ) 切 出 した 石 垣 用 材 は 石 舟 という 大 きな 船 に 積 み 込 まれ 江 戸 城 まで 海 上 を 運 ばれました 江 戸 城 の 石 垣 ( 大 手 濠 ) 中 央 に 写 る 石 垣 の 角 の 部 分 には 左 ページ 中 段 で 紹 介 したような 用 材 が 使 われています

発 掘 調 査 のきっかけとなった 広 域 農 道 ( 小 田 原 湯 河 原 線 )の 役 割 広 域 農 道 整 備 事 業 小 田 原 湯 河 原 線 石 垣 山 一 夜 城 歴 史 公 園 早 川 石 丁 場 群 関 白 沢 支 群 広 域 農 道 小 田 原 湯 河 原 線 は 県 西 部 丘 陵 地 のみかん 生 産 地 帯 の 農 産 物 の 流 通 の 合 理 化 作 業 の 省 力 化 と 都 市 との 交 流 促 進 を 目 的 とした 基 幹 農 道 として 平 成 8 年 度 から 神 奈 川 県 が 事 業 主 体 となって 整 備 が 進 められています 遺 跡 位 置 図 現 地 の 見 学 を 希 望 される 方 現 状 保 存 範 囲 の 見 学 については 工 事 期 間 中 ( 平 成 22 年 3 月 まで)は 見 学 ができません ご 了 承 下 さい 財 団 法 人 かながわ 考 古 学 財 団 E-mail:kaf@kaf.or.jp 計 画 路 線 受 益 区 域