厚 生 年 金 基 金 の 免 除 保 険 料 率 に 関 する 一 考 察 三 井 住 友 信 託 銀 行 ペンション リサーチ センター 研 究 理 事 杉 田 健 要 旨 厚 生 年 金 基 金 の 免 除 保 険 料 は 将 来 部 分 の 均 衡 のみによって 計 算 されており 予 定 利 率 の 引 下 げ 等 の 後 発 債 務 の 償 却 を 反 映 していないが 本 稿 では 後 発 債 務 の 償 却 分 を 免 除 保 険 料 率 に 反 映 させる 新 たな 方 式 ( 以 下 新 免 除 保 険 料 方 式 と 略 称 する)を 検 討 する 新 免 除 保 険 料 方 式 のメリットとしてはキャッシュフローが 安 定 することがあげられる 後 発 債 務 の 償 却 を 直 ちに 始 めることなく 事 後 的 に 給 付 現 価 負 担 金 を 交 付 する 現 行 の 方 式 では キャ ッシュフローがマイナスとなる 可 能 性 が 増 え 厚 生 年 金 基 金 の 運 営 が 難 しくなるかもしれ ないからである 一 方 で 厚 生 年 金 基 金 の 運 用 責 任 は 従 来 よりも 増 し 国 の 利 回 りに 長 期 間 劣 後 すると 従 来 の 方 式 よりも 事 業 主 の 追 加 負 担 が 増 大 する 新 免 除 保 険 料 方 式 は 免 除 保 険 料 の 増 加 により 厚 生 年 金 保 険 本 体 から 厚 生 年 金 基 金 へのキャッシュフローが 増 えるよう に 思 えるかもしれないが シミュレーションしてみると 長 期 間 の 現 金 ベースで 新 免 除 保 険 料 方 式 の 方 がキャッシュフローは 少 ない 現 価 で 考 えると 多 いことも 少 ないこともある なお 新 免 除 保 険 料 方 式 で 給 付 現 価 負 担 金 を 全 廃 してしまうと 免 除 保 険 料 率 計 算 に 用 い る 予 定 利 率 が 長 期 間 にわたり 国 の 運 用 実 績 を 上 回 った 場 合 に 年 金 資 産 が 枯 渇 する 可 能 性 が あり 新 免 除 保 険 料 方 式 においても 給 付 現 価 負 担 金 の 併 用 が 必 要 である キーワード 年 金 厚 生 年 金 基 金 免 除 保 険 料 率 給 付 現 価 負 担 金 1. 本 論 文 の 主 張 と 構 成 厚 生 年 金 基 金 の 免 除 保 険 料 は 将 来 部 分 の 均 衡 のみによって 計 算 されており 予 定 利 率 の 引 下 げ 等 の 後 発 債 務 の 償 却 を 反 映 していないが 本 稿 では 後 発 債 務 の 永 久 償 却 のために 後 発 債 務 の 利 息 分 を 免 除 保 険 料 率 に 反 映 させる 方 式 を 検 討 する 以 下 本 稿 では この 方 式 を 新 免 除 保 険 料 方 式 と 称 する 厚 生 年 金 基 金 には 死 亡 率 の 改 定 および 国 の 予 定 利 率 引 き 下 げ 等 様 々な 後 発 債 務 が 発 生 するが この 償 却 の 先 送 りは 代 行 部 分 以 外 の 企 業 年 金 の 一 般 の 財 政 運 営 では 行 われていない なぜなら 企 業 年 金 の 財 政 では 将 来 部 分 の 均 衡 のため の 標 準 掛 金 ( 通 常 掛 金 とも 言 う)のみならず 特 別 掛 金 によって 後 発 債 務 ( 利 差 損 などの 事 後 的 に 発 生 した 債 務 )も 償 却 することを 義 務 付 けられているからである 厚 生 年 金 基 金 の 1
債 務 の 変 動 による 後 発 債 務 として 基 金 発 足 直 後 から 5 年 ごとの 厚 生 年 金 保 険 本 体 の 改 正 による 死 亡 率 の 改 正 が 課 題 とされていたが これは 厚 生 年 金 基 金 持 ちとされ 利 差 益 など で 埋 め 合 わせるべきものとされてきた その 後 予 定 利 率 の 5.5%から 3.2%への 引 き 下 げによ り 大 きな 後 発 債 務 ( 概 略 債 務 が 3 割 増 しとなった)が 発 生 したが この 償 却 には 従 来 の 後 発 債 務 同 様 手 が 付 けられず 事 後 的 に 給 付 現 価 負 担 金 の 交 付 によって 処 理 されることとな った しかしこの 方 式 では 厚 生 年 金 基 金 のキャッシュフローがマイナスとなる 程 度 が 増 大 し 厚 生 年 金 基 金 の 運 営 が 厳 しくなる 懸 念 がある なぜなら 掛 金 よりも 給 付 が 多 い 状 況 が 早 く 到 来 し 次 のパラグラフで 説 明 するように 資 産 運 用 が 悪 いときのリカバリーが 困 難 になるのみならず キャッシュアウトフローが 多 いため 掛 金 を 有 価 証 券 で 運 用 する 割 合 を 落 とさざるを 得 ない 極 端 な 場 合 給 付 現 価 負 担 金 が 出 たらそれを 原 資 に 左 から 右 へと 年 金 を 支 払 うような 支 払 い 代 行 の 状 況 になる 厚 生 年 金 基 金 のキャッシュフローがマイナスとなる 程 度 の 増 大 により 厚 生 年 金 基 金 の 運 営 が 厳 しくなる 可 能 性 を Kocken[2011]を 参 考 に 100 億 円 の 年 金 資 産 を 10 年 間 複 利 運 用 する 3 通 りのケース( 図 1-1 から 図 1-3)の 比 較 により 示 す 3 つのケースの 相 違 は 元 本 増 減 の 程 度 である 3 つのケースのいずれにおいても 二 つのシナリオにおける 年 金 資 産 の 推 移 を 比 較 する シナリオ 1 は 当 初 5 年 間 は 利 回 り 5%だったが 次 の 5 年 間 は 利 回 りが 0% の 場 合 である シナリオ 2 は 当 初 5 年 間 は 利 回 りが 0%だったが 次 の 5 年 間 は 利 回 りが 5% の 場 合 である 図 1-1 は 期 中 の 元 本 の 増 減 を 0 としたケースである シナリオ 1 のほうがシナリオ 2 より も 当 初 利 回 りが 良 いので 年 金 資 産 は 大 きい 値 で 推 移 するが 最 終 年 度 末 には 同 一 の 金 額 128 億 円 となる 図 1-2 は 元 本 が 毎 年 3 億 円 ずつ 減 少 するケースである キャッシュフローがマイナス 3 億 円 ということは 掛 金 よりも 給 付 が 3 億 円 多 い 若 干 成 熟 が 進 んだ 基 金 がイメージされる この 場 合 10 年 後 に 2 つのシナリオで 金 額 は 一 致 しない これは 元 本 が 減 少 するので 最 初 に 高 い 利 回 りで 運 用 できたシナリオ 1 の 方 が 95 億 円 と シナリオ 2 の 91 億 円 よりも 4 億 円 金 額 が 多 くなるからである 図 1-3 は 元 本 が 毎 年 6 億 円 ずつ 減 少 するケースである キャッシュフローがマイナス 6 億 円 ということは 掛 金 よりも 給 付 が 6 億 円 多 い 年 金 基 金 に 対 応 し 成 熟 が 進 んだ 基 金 がイ メージされる この 場 合 10 年 後 に 2 つのシナリオによる 金 額 の 乖 離 は 63 億 円 と 55 億 円 の 差 額 である 8 億 円 となり 図 1-2 の 場 合 の 4 億 円 より 大 きくなる この 理 由 は 元 本 が 減 少 するので 最 初 に 高 い 利 回 りで 運 用 できたシナリオ 1 のほうがシナリオ 2 よりも 金 額 が 一 層 多 くなるからである 現 在 代 行 部 分 の 財 政 運 営 において 代 行 部 分 の 後 発 債 務 の 償 却 を 先 送 りしているが 厚 生 年 金 基 金 は 図 1-3 のようになっていないか すなわち 一 旦 利 回 りが 落 ち 込 んだ 場 合 のリ カバリーが 難 しい 状 況 になっていないか 懸 念 されるのである 2
年 金 資 産 ( 億 円 ) 140 120 100 80 60 40 20 0 図 1-1 年 金 資 産 の 推 移 ( 元 本 増 減 なし) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 年 度 シナリオ1 シナリオ2 年 金 資 産 ( 億 円 ) 120 100 80 60 40 20 0 図 1-2 年 金 資 産 の 推 移 ( 元 本 増 減 年 3 億 円 ) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 年 度 シナリオ1 シナリオ2 120 図 1-3 年 金 資 産 の 推 移 ( 元 本 増 減 年 6 億 円 ) 年 金 資 産 ( 億 円 ) 100 80 60 40 20 シナリオ1 シナリオ2 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 年 度 3
償 却 の 先 送 りによって 発 生 する 給 付 現 価 負 担 金 の 将 来 の 総 額 は 後 述 するように 新 免 除 保 険 料 方 式 により 免 除 保 険 料 に 加 算 された 後 発 債 務 償 却 のための 掛 金 ( 後 発 債 務 の 利 息 分 ) 総 額 よりも 大 きい すなわち 免 除 保 険 料 率 に 後 発 債 務 の 償 却 を 含 めないことにより 結 果 として 厚 生 年 金 保 険 本 体 の 厚 生 年 金 基 金 へのキャッシュフローは 当 初 は 少 ないものの 長 期 間 で 集 計 すると 多 くなっているのである 本 稿 の 構 成 は 以 下 のとおりである まず 第 2 節 では 厚 生 年 金 基 金 代 行 部 分 の 財 政 運 営 を 概 観 し 第 3 節 では 決 定 論 的 なシミュレーションを 実 施 して 新 免 除 保 険 料 方 式 の 特 徴 を 考 察 し 第 4 節 では 確 率 論 的 なシミュレーションを 実 施 して 新 免 除 保 険 料 方 式 の 特 徴 を 考 察 し 第 5 節 で 以 上 の 考 察 をまとめる 厚 生 年 金 基 金 については 公 的 年 金 制 度 の 健 全 性 及 び 信 頼 性 の 確 保 のための 厚 生 年 金 保 険 法 等 の 一 部 を 改 正 する 法 律 により 一 定 の 基 準 を 満 たした 厚 生 年 金 基 金 を 除 いて 制 度 廃 止 の 方 向 であるが 本 稿 は 後 発 債 務 償 却 の 先 送 りについて 考 察 するという 点 で 理 論 的 な 意 味 を 有 すると 考 える なお 本 稿 に 記 載 した 考 えは 著 者 の 個 人 的 見 解 であり 必 ずし も 著 者 の 所 属 する 会 社 の 見 解 とは 一 致 しない 可 能 性 がある 2. 厚 生 年 金 基 金 代 行 部 分 の 財 政 運 営 この 節 では 厚 生 年 金 基 金 代 行 部 分 の 財 政 運 営 および それに 果 たす 免 除 保 険 料 および 給 付 現 価 負 担 金 の 役 割 を 解 説 する まず 厚 生 年 金 基 金 の 制 度 の 概 要 を 免 除 保 険 料 も 含 めて 解 説 し その 次 に 代 行 部 分 の 債 務 評 価 の 変 遷 を 述 べ 最 後 に 給 付 現 価 負 担 金 の 解 説 をする 厚 生 年 金 基 金 の 実 務 にたずさわっている 方 には 周 知 のことなので この 節 は 飛 ばしてもか まわない 2.1 厚 生 年 金 基 金 の 概 要 厚 生 年 金 基 金 とは 厚 生 年 金 保 険 法 に 規 定 される 企 業 年 金 の 一 形 態 であり 厚 生 年 金 保 険 の 給 付 (おもに 年 金 )の 一 部 を 代 行 してさらに 企 業 独 自 の 上 乗 せ 給 付 を 加 算 して 給 付 する 制 度 である( 図 2 参 照 ) 4
図 2 厚 生 年 金 基 金 と 他 の 年 金 制 度 個 人 年 金 国 民 年 金 基 金 52 万 人 確 定 拠 出 年 金 ( 個 人 型 ) 13 万 人 確 定 拠 出 年 金 ( 企 業 型 421 万 人 確 定 給 付 企 業 年 金 801 万 人 厚 生 年 金 保 険 3,451 万 人 厚 生 年 金 基 金 437 万 人 共 済 年 金 442 万 人 (H23. 3. 末 ) 国 民 年 金 ( 基 礎 年 金 ) 6,775 万 人 自 営 業 者 等 民 間 被 用 者 公 務 員 第 2 号 被 保 険 者 の 被 扶 養 配 偶 者 第 1 号 被 保 険 者 第 2 号 被 保 険 者 等 第 3 号 被 保 険 者 1,904 万 人 3,893 万 人 978 万 人 ( 注 ) 1. 厚 生 年 金 基 金 確 定 給 付 企 業 年 金 および 私 学 共 済 年 金 の 加 入 者 は 確 定 拠 出 年 金 ( 企 業 型 )にも 加 入 できる 2. 国 民 年 金 基 金 の 加 入 員 は 確 定 拠 出 年 金 ( 個 人 型 )にも 加 入 できる 3. 適 格 退 職 年 金 については 平 成 23 年 度 末 までに 他 の 企 業 年 金 等 に 移 行 済 4. 第 2 号 被 保 険 者 等 とは 被 用 者 年 金 被 保 険 者 のことを 言 う( 第 2 号 被 保 険 者 のほか 65 歳 以 上 で 老 齢 または 退 職 を 支 給 事 由 とする 年 金 給 付 の 受 給 権 を 有 するものを 含 む ) 5. 数 値 は 注 釈 のない 限 り 平 成 24 年 3 月 末 出 典 :H24.10.24 厚 生 労 働 省 厚 生 年 金 基 金 制 度 をめぐる 状 況 について 第 13 回 社 会 保 障 審 議 会 年 金 部 会 資 料 1-1 厚 生 年 金 基 金 の 給 付 のうち 厚 生 年 金 保 険 の 給 付 を 代 行 する 部 分 を 代 行 給 付 と 呼 ぶ また 母 体 企 業 が 厚 生 年 金 基 金 を 設 立 した 後 は 厚 生 年 金 保 険 の 保 険 料 を 一 部 免 除 され 同 額 以 上 の 額 を 厚 生 年 金 基 金 に 拠 出 する この 免 除 された 保 険 料 のことを 免 除 保 険 料 と よぶ 厚 生 年 金 基 金 にしてみれば 免 除 保 険 料 相 当 額 が 代 行 給 付 の 原 資 として 母 体 企 業 から 拠 出 されるわけであるので 免 除 保 険 料 は 収 入 であり 代 行 給 付 は 支 出 である( 図 3 参 照 ) 5
図 3 代 行 部 分 の 財 政 運 営 将 来 分 の 給 付 に 対 応 免 除 保 険 料 代 行 部 分 の 資 産 ( 以 下 と 呼 ぶ) 代 行 給 付 運 用 益 2.2 代 行 部 分 の 債 務 評 価 の 変 遷 厚 生 年 金 基 金 は 厚 生 年 金 本 体 の 給 付 の 一 部 を 代 行 しているのであるから 常 に 代 行 の 債 務 の 評 価 額 を 把 握 する 必 要 がある この 評 価 額 を といい 基 金 が 解 散 ( 又 は 代 行 返 上 )する 場 合 に 国 に 移 換 すべき 積 立 金 になっている この 変 遷 は 以 下 のとおりで ある( 厚 生 労 働 省 [2012]) (1) 制 度 創 設 ~ 平 成 11 年 9 月 ( 将 来 法 による 計 算 ) の 計 算 方 法 は 創 設 から 平 成 11 年 9 月 までは 将 来 法 ( 給 付 現 価 方 式 ) で 行 われていた (この 場 合 に 用 いる 予 定 利 率 は 当 時 の 厚 年 本 体 の 長 期 の 予 定 運 用 利 回 り である 5.5%を 用 いていた ) (2) 平 成 11 年 9 月 ~ 平 成 17 年 3 月 ( 過 去 法 を 加 味 した 計 算 ( 暫 定 措 置 )) 平 成 11 年 改 正 による 免 除 保 険 料 の 凍 結 により の 計 算 方 法 について 暫 定 的 な 措 置 として 変 更 が 行 われた すなわち 将 来 法 で 計 算 された 平 成 11 年 9 月 時 点 で の をベースに 毎 年 度 の 代 行 部 分 の 収 支 差 を 加 減 し これに 厚 年 本 体 の 実 績 運 用 利 回 りを 乗 じていくという 過 去 法 (いわゆる コロガシ 方 式 )を 加 味 した 計 算 方 法 に 変 更 された この 結 果 厚 生 年 金 保 険 本 体 の 実 績 運 用 利 回 りは 5.5%に 達 していないため は 5.5%の 現 価 以 下 の 数 値 となった (3) 平 成 17 年 4 月 ~ 現 在 ( 暫 定 措 置 の 恒 久 化 と 厚 年 本 体 との 財 政 中 立 化 ) 平 成 16 年 改 正 で 免 除 保 険 料 の 凍 結 が 解 除 されたことに 伴 い 暫 定 措 置 であった 最 低 責 任 準 備 金 の 計 算 方 法 が 恒 久 化 された 同 時 に 厚 年 本 体 との 財 政 中 立 化 の 観 点 から 給 付 現 価 負 担 金 制 度 が 設 けられた 給 付 現 価 負 担 金 については 以 下 に 述 べる 2.3 給 付 現 価 負 担 金 給 付 現 価 負 担 金 制 度 の 趣 旨 は 以 下 のとおりである 代 行 部 分 の 給 付 債 務 は 厚 年 本 体 に 6
おける 死 亡 率 や 長 期 の 予 定 運 用 利 回 りの 見 直 しにより 変 化 するが 給 付 債 務 が 増 大 した 場 合 将 来 期 間 分 については 免 除 保 険 料 率 に 反 映 される 一 方 過 去 期 間 分 については 反 映 さ れない このため が 基 金 が 保 有 すべき の 一 定 割 合 を 超 えた 場 合 には 一 定 のルールに 基 づき 厚 年 本 体 から 給 付 現 価 負 担 金 を 交 付 する 給 付 現 価 負 担 金 は と という 負 債 の 差 額 を 調 整 する ものであり と 保 有 資 産 の 差 額 (= 積 立 不 足 )の 方 は 基 金 において 掛 金 の 引 上 げ 等 により 対 応 する 必 要 がある が の1/2 を 下 回 った 場 合 下 回 った 額 (A)の1/5を 厚 生 年 金 保 険 本 体 が 交 付 する 2 最 低 責 任 準 備 金 が の1/4を 下 回 った 場 合 は 上 記 (A)の 全 額 を 厚 生 年 金 保 険 本 体 が 交 付 する( 図 4 参 照 ) 図 4 給 付 現 価 負 担 金 1 が の1/4 以 上 で1/2 以 下 の1/2と の 差 額 のうち1/5が 給 付 現 価 負 担 金 として 基 金 に 交 付 される 1/2 給 付 現 価 負 担 金 過 去 期 間 代 行 給 付 現 価 の1/2との 差 額 2 が の1/4を 下 回 った 場 合 の1/2と との 差 額 を 全 額 一 括 して 給 付 現 価 負 担 金 として 基 金 に 交 付 される 1/2 1/4 給 付 現 価 負 担 金 具 体 的 には 死 亡 率 の 他 に 厚 年 本 体 の 予 定 運 用 利 回 りが 5.5%から 3.2%さらに 4.1%と 変 遷 しており 過 去 期 間 部 分 については 5.5%の 現 価 よりも 少 ない 額 であり 不 足 している 状 態 にある( 図 5 参 照 ) 給 付 現 価 負 担 金 が 交 付 されない 場 合 は 資 産 が 枯 渇 する なぜなら 将 来 部 分 は 免 除 保 険 料 率 が 予 定 利 率 3.2%ベースで 計 算 されているので 収 支 バランスするが 過 去 部 分 すなわち 基 金 設 立 時 から 計 算 時 点 まで 営 々と 積 み 立 てられてきた 資 産 については ほとんどが 5.5%ベースの 低 い 保 険 料 率 に 基 づく 水 準 以 下 であり 低 い 予 定 利 率 に 基 づく 本 来 の 高 い 水 準 に 達 していないからである 過 去 分 の 積 立 不 足 があるにもかかわらず 給 付 現 価 負 担 金 が 交 付 されないと 例 え 資 産 が 予 定 利 率 である 3.2%または 4.1%で 運 用 できたとし 7
ても いずれ 年 金 資 産 も 枯 渇 するのである そこで 上 記 の 給 付 現 価 負 担 金 による 調 整 が 行 われるのである 図 5 と 厚 生 年 金 保 険 の 運 用 利 回 りで 付 利 かつての 最 低 責 任 準 備 金 ( 予 定 利 率 5. 5%の 現 価 ) 未 償 却 予 定 利 率 3.2%の 過 去 期 間 代 行 給 付 現 価 予 定 利 率 4.1%の 過 去 期 間 代 行 給 付 現 価 2.4 免 除 保 険 料 による 調 整 事 業 年 度 末 の が の 1.5 倍 を 上 回 った 場 合 その 事 業 年 度 末 日 において 代 行 保 険 料 率 の 算 定 を 行 う その 際 に 代 行 給 付 費 の 予 想 額 の 現 価 から この 上 回 っている 額 を 差 し 引 いて 代 行 保 険 料 率 を 算 定 し この 代 行 保 険 料 率 に 基 づいて 免 除 保 険 料 率 を 決 定 する この 場 合 の 免 除 保 険 料 率 の 下 限 は 2.4%ではなくゼロである 3. 決 定 論 的 シミレーション 厚 生 年 金 基 金 代 行 部 分 の 財 政 の 推 移 を 簡 単 なモデルで 解 説 した 後 に 代 替 策 を 提 案 し シミュレーションを 使 用 して 比 較 する この 節 では 運 用 利 率 に 確 率 的 要 素 を 含 まないこ ととする その 意 味 で 決 定 論 的 シミュレーション である 運 用 利 率 に 確 率 的 要 素 を 含 む 考 察 は 次 節 で 行 う 3.1 給 付 現 価 負 担 金 の 必 要 性 国 の 予 定 利 率 は 5.5%から 3.2%に 下 がった 後 は 4.1%に 上 昇 しているが 経 過 措 置 により 免 除 保 険 料 率 計 算 は 3.2%ベースであり 以 下 では 単 純 化 して 予 定 利 率 は 3.2%として 議 論 を 進 める 代 行 給 付 が 毎 年 20 資 産 が 100 100 であるとすると 以 下 のよう に 免 除 保 険 料 は 16.85 となる 100 0.032 20 = 16.85 1.032 1 2 シミュレーションを 実 施 すると 均 衡 していることがわかる( 図 6) 実 際 には 厚 生 年 金 基 金 は 事 前 積 立 に 必 要 な 額 ( )を 保 持 していない これをモデル 化 して 例 えば 100 に 対 して 資 産 70 70 の 状 態 である 8
とする 本 来 は 100 と 70 の 差 を 償 却 すべきであるが それを 放 棄 すると 国 も 基 金 も 予 定 利 率 3.2%で 運 用 できたとしても 39 年 目 に も 資 産 も 0 を 割 り 込 む( 図 7) 実 務 には 給 付 現 価 負 担 金 制 度 があり が の 半 分 を 割 り 込 んだ 場 合 に 割 り 込 んだ 部 分 の 5 分 の 1 が 給 付 現 価 負 担 金 として 交 付 される これを 実 施 すると の 半 分 をやや 下 回 る 水 準 まで 純 資 産 額 と が 減 少 していき 均 衡 する( 図 8-1 なお 本 論 文 末 尾 付 表 1 左 側 に 各 年 度 の 数 値 を 示 した) 及 び のグラフはぴったりくっついている 図 6 過 去 期 間 代 行 給 付 分 だけ があった 場 合 100 50 0 10 20 30 40 50 9
図 7 が の 7 割 であれば 免 除 保 険 料 率 算 定 の 予 定 利 率 で 運 用 できたとしても 給 付 現 価 負 担 金 がなければ 資 産 は 枯 渇 する 100.00 50.00 0.00 10 20 30 図 8-1 給 付 現 価 負 担 金 で 何 とか 資 産 規 模 を 維 持 する 10
3.2 新 免 除 保 険 料 方 式 ここで 提 示 する 代 替 案 は 債 務 の 増 加 を 永 久 償 却 する すなわち 債 務 から 発 生 する 利 息 だ けを 償 却 することである こうすることにより 代 行 部 分 の 資 産 の 落 ち 込 みは 抑 制 され 給 付 現 価 負 担 金 は 発 生 しない( 図 8-2 なお 本 論 文 末 尾 付 表 1 右 側 に 各 年 度 の 数 値 を 示 した) 以 下 従 来 の 免 除 保 険 料 に 代 行 債 務 に 係 る 後 発 債 務 の 利 息 相 当 を 加 えたものを 新 免 除 保 険 料 と 称 する 現 在 の 場 合 定 常 状 態 にあり 現 行 の 免 除 保 険 料 と 給 付 が 一 定 であるので 以 下 のとおりとなる 新 免 除 保 険 料 = 単 年 度 給 付 額 前 年 度 末 予 定 利 率 /(1+ 予 定 利 率 ) 1/2 =20 70 0.032/1.032 1/2 =17.795 であり 従 来 の 免 除 保 険 料 率 16.85 よりも 0.945 高 くなる この 0.945 は 後 発 債 務 30 を 永 久 償 却 した 場 合 の 掛 金 である 図 8-2 新 免 除 保 険 料 の 場 合 さらに 新 免 除 保 険 料 と 従 来 の 免 除 保 険 料 の 差 は 100 年 間 で 96 となるが これは 現 行 制 度 における 100 年 間 の 給 付 現 価 負 担 金 の 額 148.24 よりも 少 ないので 厚 生 年 金 保 険 本 体 からの キャッシュフローも 少 なく 済 ませることができる キャッシュフローの 差 が 生 じる 要 因 を 概 念 的 に 表 したのが 図 9である 新 免 除 保 険 料 のもとでは 後 発 債 務 から 発 生 する 利 息 この 場 合 は と の 差 額 の 利 息 を 償 却 するために 償 却 対 象 の 債 務 額 は 一 定 である ところが 現 行 の 方 式 は 当 初 は 後 発 債 務 から 発 生 する 利 息 を 償 却 しないために 利 息 分 だけ 債 務 が 膨 らんでいく そして が 過 去 期 間 11
代 行 給 付 現 価 の 1/2 の 水 準 になって 初 めて 給 付 現 価 負 担 金 の 交 付 で 後 発 債 務 の 増 加 が 止 ま るのである あとは 後 発 債 務 の 増 加 を 抑 制 すべく 給 付 現 価 負 担 金 が 交 付 されるのだが これは 償 却 の 先 送 りによって 増 大 した 後 発 債 務 に 対 して 利 息 分 を 償 却 することと 同 等 にな る この 結 果 長 期 的 にみると 新 免 除 保 険 料 で 運 営 する 方 が 現 行 の 方 式 よりも 厚 生 年 金 保 険 本 体 からのキャッシュフローが 少 なくて 済 むのである 図 9 現 行 方 式 と 新 免 除 保 険 料 方 式 の 償 却 対 象 の 違 い 債 務 額 過 去 期 間 代 行 給 付 現 価 後 発 債 務 最 低 責 任 準 備 金 本 稿 の 提 言 する 償 却 対 象 後 発 債 務 からの 利 息 分 債 務 が 増 大 給 付 現 価 負 担 金 によって の 減 少 が 止 まる 現 行 制 度 の 償 却 対 象 時 間 なお 厚 生 年 金 保 険 本 体 からのキャッシュフローであるが 実 額 ベースでは 新 免 除 保 険 料 方 式 の 方 が 少 ないが 現 価 計 算 すると 必 ずしもそうとはならない( 表 1) 特 に 3.2%の 現 価 の 場 合 は 同 じになっても 良 いはずであるが 給 付 現 価 負 担 金 の 現 価 の 方 が 少 ない これは 給 付 現 価 負 担 金 による 方 法 の 場 合 は 給 付 を 賄 うために の 減 少 も 充 ててい るからと 考 えられる いわば 元 本 を 削 って 給 付 に 充 当 しているのである 表 1 給 付 現 価 負 担 金 と 免 除 保 険 料 の 改 定 の 比 較 100 年 間 の 集 計 給 付 現 価 負 担 金 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 の 差 実 額 148.24 94.500 現 価 (2%) 49.07 41.13 現 価 (3.2%) 27.88 28.71 現 価 (5.5%) 11.08 17.56 3.3 様 々な 利 率 前 提 での 新 免 除 保 険 料 の 効 果 の 検 証 国 も 基 金 も 常 に 3.2%で 運 用 できるとは 限 らないので 仮 に 国 も 基 金 も 2%の 利 回 りが 続 くとしたのが 図 10-1 10-2 である 国 の 利 回 りが 予 定 利 率 3.2%よりも 少 ないために 新 免 除 保 険 料 を 採 用 した 場 合 でも が 減 少 する 国 の 利 回 りが 2%でずっと 推 移 し た 場 合 には 予 定 利 率 が 3.2%から 変 更 されるはずであるが 何 かの 理 由 で 変 更 されないと 12
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 このようなことになる 念 のために 給 付 現 価 負 担 金 も 併 用 するということも 考 えられる( 図 10-3) この 場 合 でも 現 行 方 式 よりは 厚 生 年 金 保 険 本 体 からのキャッシュフローは 実 額 ベ ースでは 軽 くなる( 表 2 参 照 ) 図 10-1 国 も 基 金 も 2%の 利 回 り( 現 行 の 給 付 現 価 負 担 金 方 式 ) 100.00 50.00 0.00 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 図 10-2 国 も 基 金 も 2%の 利 回 り( 新 免 除 保 険 料 方 式 ) 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 0.00 13
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 図 10-3 国 も 基 金 も 2%の 利 回 り( 新 免 除 保 険 料 方 式 でさらに 給 付 現 価 負 担 金 制 度 も 併 用 ) 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 0.00 表 2 給 付 現 価 負 担 金 と 免 除 保 険 料 の 改 定 の 比 較 100 年 間 の 集 計 図 10-1のケース 図 10-2のケース 図 10-3のケース 給 付 現 価 負 担 金 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 との 差 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 との 差 および 給 付 現 価 実 額 204.11 185.223 191.994 現 価 (2%) 73.06 70.05 73.73 現 価 (3.2%) 44.04 45.26 47.63 現 価 (5.5%) 19.84 24.70 25.69 次 に 国 も 基 金 も 4%で 運 用 できて 予 定 利 率 3.2%を 上 回 った 場 合 を 図 11-1,11-2に 示 す 後 発 債 務 30 から 発 生 する 利 息 は 年 間 30 3.2%=0.96 であるのに 対 して 国 や 基 金 の 運 用 が 予 定 利 率 3.2%を 上 回 る 額 は 70 (4% - 3.2%)=0.56(<0.96)であるから 現 行 方 式 では 図 11-1 に 掲 げるように 資 産 は 減 少 していく 後 発 債 務 の 償 却 を 免 除 保 険 料 率 に 反 映 させれ ば 0.56 ずつ 図 11-2 のように 毎 年 と 資 産 は 増 加 していく が の 1.5 倍 になると 免 除 保 険 料 率 が 削 減 されるので 及 び 年 金 資 産 の 伸 びは の 1.5 倍 で 頭 打 ちとなる 新 免 除 保 険 料 方 式 の 場 合 に が の 1.5 倍 になるのを 待 たず 過 去 期 間 代 行 給 付 現 価 を 上 まわれば すぐに 免 除 保 険 料 率 の 削 減 を 開 始 するという 考 え 方 もあろう そ うすると 図 11-3 のように は とほとんど 同 じ 水 準 で 推 移 する 14
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 図 11-1 国 も 基 金 も 4%の 利 回 り( 現 行 の 給 付 現 価 負 担 金 方 式 ) 100.00 50.00 0.00 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 図 11-2 国 も 基 金 も 4%の 利 回 り( 新 免 除 保 険 料 方 式 ) 200.00 150.00 100.00 50.00 0.00 15
図 11-3 国 も 基 金 も 4%の 利 回 りの 場 合 ( 新 免 除 保 険 料 方 式 かつ が 過 去 期 間 代 行 給 付 現 価 を 上 回 った 場 合 に 上 回 った 分 を 翌 々 事 業 年 度 の 免 除 保 険 料 から 削 減 す る) 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 0.00 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 利 回 りがもっと 高 い 場 合 は 図 11-1 のような 落 ち 込 みは 現 行 制 度 でも 発 生 しない 例 えば 利 回 りが 5%とすると 後 発 債 務 30 から 発 生 する 利 息 は 年 間 30 3.2%=0.96 で あ る の に 対 し て 国 や 基 金 の 運 用 が 予 定 利 率 3.2% を 上 回 る 額 は 70 (5% - 3.2%)=1.26(>0.96)であるから 現 行 方 式 でも 図 12-1 に 掲 げるように 資 産 は 増 加 して 過 去 期 間 代 行 給 付 現 価 の 1.5 倍 水 準 で 頭 打 ちとなる 図 12-1 国 も 基 金 も 5%の 利 回 り( 現 行 の 給 付 現 価 負 担 金 方 式 ) 200.00 150.00 100.00 50.00 0.00 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 16
1.5 倍 水 準 で 頭 打 ちとなるのは この 水 準 で 免 除 保 険 料 率 の 削 減 が 発 生 するからである グラフが 波 打 っているのは 免 除 保 険 料 率 の 削 減 が 基 準 となる 時 点 からタイミングが 遅 れ ることによって 振 動 が 発 生 するからである 後 発 債 務 の 償 却 を 免 除 保 険 料 率 に 反 映 させれ ば 図 12-2 のように 毎 年 と 資 産 は 増 加 していく が 過 去 期 間 代 行 給 付 現 価 の 1.5 倍 になると 免 除 保 険 料 率 が 削 減 されるので 及 び 年 金 資 産 の 伸 びは の 1.5 倍 で 頭 打 ちとなる が 過 去 期 間 代 行 給 付 現 価 の 1.5 倍 になるのを 待 たず を 上 回 れば すぐに 免 除 保 険 料 率 の 削 減 を 開 始 すると 図 12-3 のようになり は と ほとんど 同 じ 水 準 で 推 移 することになる 図 12-2 国 も 基 金 の 5%の 利 回 り( 新 免 除 保 険 料 方 式 ) 200.00 150.00 100.00 50.00 0.00 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 図 12-3 国 も 基 金 も 5%の 利 回 り( 新 免 除 保 険 料 方 式 が 過 去 期 間 代 行 給 付 現 価 を 上 回 れば すぐに 免 除 保 険 料 率 の 削 減 を 開 始 する 場 合 ) 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 0.00 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 17
10 20 30 40 50 60 10 20 30 40 50 60 70 次 に 国 と 基 金 の 間 で 利 回 りの 格 差 がある 場 合 を 考 える 国 は 予 定 通 り 3.2%で 運 用 でき るが 基 金 が 0.5% 少 ない 2.7%だったとする この 場 合 利 差 損 ( 予 定 運 用 利 率 3.2%と 実 績 運 用 利 率 2.7%の 差 により 生 じる 損 失 )を 償 却 しなければ 給 付 現 価 負 担 金 があっても( 図 13-1) 新 免 除 保 険 料 に 改 定 しても( 図 13-2) 年 金 資 産 が 枯 渇 する 新 免 除 保 険 料 がない 場 合 64 年 度 で 年 金 資 産 が0となり 新 免 除 保 険 料 方 式 では 71 年 度 で 年 金 資 産 が0となる 図 12 までは と は 同 額 であったのでグラフ 上 は 代 行 資 産 の 陰 に 隠 れていたが 図 13-1 図 13-2 からは 差 が 明 示 されている 図 13-1 国 の 運 用 利 回 り3.2% 基 金 の 運 用 利 回 り2.7%( 現 行 の 給 付 現 価 負 担 金 方 式 ) 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 0.00 図 13-2 国 の 運 用 利 回 り3.2% 基 金 の 運 用 利 回 り2.7%( 新 免 除 保 険 料 方 式 ) 100.00 80.00 60.00 40.00 20.00 0.00 18
実 際 には 資 産 が 負 債 よりも 少 ない 場 合 は 厚 生 年 金 基 金 の 財 政 運 営 基 準 により 遅 くとも 5 年 に 1 度 の 財 政 再 計 算 では 償 却 開 始 をする 必 要 があるので ここでは 簡 単 のため 例 えば 資 産 が 負 債 より 少 ない 場 合 特 例 掛 金 で 5 分 の 1 償 却 すると 仮 定 すると 純 資 産 額 は 最 低 責 任 準 備 金 水 準 近 くを 維 持 できる( 図 14-1) 償 却 の 開 始 が 不 足 額 を 認 識 してから 2 年 後 な ので タイミングのずれにより よりも 若 干 の 方 が 少 ない( 図 14-1 では 40.48 に 対 して 39.37 図 14-2 では 70 に 対 して 68.04 となっている) 国 の 負 担 については 国 の 利 回 りのみに 関 係 するので 図 8-1 8-2 と 変 わらない すなわち 図 14-1 のケースでは 給 付 現 価 負 担 金 の 100 年 間 の 合 計 は 148.24 であり 図 14-2 のケースにおける 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 の 差 額 の 100 年 間 の 合 計 は 94.50 である 特 例 掛 金 をみると 給 付 現 価 負 担 金 のみ( 図 14-1 100 年 間 の 特 例 掛 合 計 23.19)のほうが 新 免 除 保 険 料 があった 場 合 ( 図 14-2 100 年 間 の 特 例 掛 金 合 計 37.05)よりも 少 ない これは 恒 常 的 に 国 の 利 回 りが 基 金 の 利 回 りを 上 回 っている 場 合 資 産 規 模 が 大 きい 方 が 不 足 金 額 が 膨 らむからである 図 14-1 国 の 運 用 利 回 り 3.2% 基 金 の 運 用 利 回 り 2.7%( 現 行 の 給 付 現 価 負 担 金 方 式 ) 不 足 金 は 特 例 掛 金 で 償 却 19
図 14-2 国 の 運 用 利 回 り 3.2% 基 金 の 運 用 利 回 り 2.7%( 新 免 除 保 険 料 方 式 ) 不 足 金 は 特 例 掛 金 で 償 却 逆 に 今 度 は 国 の 運 用 利 回 りが 3.2%で 基 金 の 運 用 利 回 り 3.7%よりも 低 い 場 合 を 考 える この 場 合 は 利 差 益 が 発 生 するので 新 たに 発 生 する 後 発 債 務 はない 給 付 現 価 負 担 金 及 び 新 免 除 保 険 料 は あくまでも と の 関 係 によってのみ 実 施 されるため 基 金 の 利 回 りに 関 係 なく 給 付 現 価 負 担 金 及 び 新 免 除 保 険 料 が 行 われる すなわち 図 8-1 図 8-2 と 同 様 図 15-1 のケースでは 給 付 現 価 負 担 金 の 100 年 間 の 総 額 は 148.24 図 15-2 のケースにおける 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 の 100 年 間 にわたる 差 額 の 合 計 は 94.50 である 20
図 15-1 国 の 運 用 利 回 り 3.2% 基 金 の 運 用 利 回 り 3.7%(( 現 行 の 給 付 現 価 負 担 金 方 式 ) 図 15-2 国 の 運 用 利 回 り 3.2% 基 金 の 運 用 利 回 り 3.7%( 新 免 除 保 険 料 あり) 結 論 としては 新 免 除 保 険 料 を 併 用 するようにすると 長 期 的 な 国 の 負 担 は 減 るが 基 金 の 利 回 りが 恒 常 的 に 国 の 利 回 りを 下 回 る 場 合 は 母 体 企 業 が 拠 出 すべき 特 例 掛 金 額 は 増 え る 21
4. 確 率 的 シミュレーション 運 用 利 回 りは 実 際 には 一 定 でなくて 変 動 するので 確 率 的 シミュレーションを 行 う こ のために 厚 生 年 金 基 金 の 利 回 りと 国 の 利 回 りのモデルを 作 成 する 必 要 がある 国 の 利 回 りについては 過 去 は 財 投 運 用 財 投 債 があったが 今 後 はそのウエイトは 少 なくなると 考 えられるので 市 場 運 用 部 分 のヒストリーのみを 用 いる 平 成 24 年 8 月 厚 生 労 働 省 が 公 表 した 平 成 23 年 度 年 金 積 立 金 運 用 報 告 書 により 以 下 のとおりとなってい る これは 運 用 手 数 料 控 除 前 の 修 正 総 合 収 益 率 である 表 3 厚 生 年 金 本 体 市 場 運 用 修 正 総 合 収 益 率 推 移 平 成 年 度 修 正 総 合 利 回 り 13-2.48% 14-8.46% 15 12.48% 16 4.60% 17 14.37% 18 4.75% 19-6.41% 20-10.03% 21 9.55% 22-0.57% 23 2.47% 平 均 は 1.84% 標 準 偏 差 は 8.28%である 次 に 厚 生 年 金 基 金 の 利 回 りを 企 業 年 金 連 合 会 の 資 産 運 用 実 態 調 査 から 集 計 したものは 以 下 のとおりである 将 来 返 上 基 金 が 分 離 してある 年 度 は 将 来 返 上 以 外 の 基 金 の 平 均 を 掲 載 した 表 4 厚 生 年 金 基 金 修 正 総 合 収 益 率 平 成 年 度 修 正 総 合 利 回 り 13-4.16% 14-12.46% 15 17.61% 16 5.10% 17 21.08% 18 4.62% 19-12.03% 20-19.84% 21 15.48% 22-1.00% 23 1.33% 22
平 均 は 1.43% 標 準 偏 差 は 13.16%である 表 3 と 表 4 を 散 布 図 にすると 図 16 のようであり 強 い 相 関 がある 図 16 厚 生 年 金 基 金 と 厚 生 年 金 保 険 の 利 回 りの 相 関 厚 生 年 金 基 金 25.00% 20.00% 15.00% 10.00% 5.00% 0.00% -15.00% -10.00% -5.00% -5.00% 0.00% 5.00% 10.00% 15.00% 20.00% -10.00% -15.00% -20.00% -25.00% 回 帰 分 析 をすると 厚 生 年 金 基 金 の 利 回 り= 厚 生 年 金 保 険 本 体 の 利 回 り 1.57898-0.0148 が 成 り 立 つ 国 の 利 回 りが 正 規 分 布 に 従 うとして 正 規 乱 数 を 発 生 させモンテカルロシミュレーション をする 基 金 の 利 回 りは 上 の 式 により 算 出 し 報 酬 も 考 慮 する モンテカルロシミュレーションなので 数 多 くのシミュレーションを 実 施 するが 例 えばそ の 一 つは 図 17-1 図 17-2 図 17-3 のようである: 23
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 図 17-1 現 行 給 付 現 価 負 担 金 制 度 における 一 例 100 80 60 40 20 0 図 17-2 新 免 除 保 険 料 方 式 100 80 60 40 20 0 24
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 図 17-3 新 免 除 保 険 料 方 式 と 給 付 現 価 負 担 金 の 併 用 100 80 60 40 20 0 このような 確 率 的 シミュレーションを 1000 通 り 実 施 して 集 計 すると 表 5 のとおりとなる 表 5 確 率 的 シミュレーションの 集 計 (1000 ケースの 平 均 値 ) 厚 生 年 金 保 険 本 体 からの キャッシュ フロー 現 行 給 付 現 価 負 担 金 新 免 除 保 険 料 方 式 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 との 差 新 免 除 保 険 料 方 式 + 給 付 現 価 負 担 金 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 との 差 および 給 付 現 価 負 担 金 実 額 213 199 202 現 価 (2%) 78 75 81 現 価 (3..2%) 48 48 53 現 価 (5.5%) 23 26 30 厚 生 年 金 基 金 の 特 例 掛 金 33 29 43 これからは 以 下 のことが 言 える (1) と の 差 額 の 償 却 を 後 発 債 務 として 免 除 保 険 料 額 に 後 発 債 務 の 償 却 分 ( 後 発 債 務 額 に 予 定 利 率 を 乗 じて 得 た 額 )を 加 算 した 新 免 除 保 険 料 額 を 基 金 に 交 付 することによって 厚 生 年 金 保 険 本 体 からのキャッシュフローを 軽 減 で きる ただし この 軽 減 は 実 額 ベースであり 現 価 ベースだと 必 ずしも 軽 減 にならない また 平 均 は 表 のとおりであるが 個 々のケースを 見 てみると 現 行 の 方 式 の 方 が 新 免 除 保 険 料 と 給 付 現 価 負 担 金 の 併 用 よりも 厚 生 年 金 保 険 本 体 の 負 担 が 軽 いケースもある( 上 記 の 例 では 1000 ケース 中 244 ケース) これは 新 免 除 保 険 料 率 方 式 のほうが 当 初 の 最 低 責 任 25
準 備 金 の 水 準 が 高 いので 利 差 損 ( 予 定 利 率 3.2%と 実 際 の 運 用 利 回 り 1.8%との 差 )が 相 対 的 に 大 きくなるからと 考 えられる (2) 新 免 除 保 険 料 と 給 付 現 価 負 担 金 を 併 用 することで 資 産 規 模 は 拡 大 するが 基 金 の 利 回 りが 国 の 利 回 りを 下 回 ったことによる 不 足 額 は 大 きくなり 掛 金 負 担 の 上 昇 につながる なお モンテカルロシミュレーションの 安 定 性 であるが 上 記 と 独 立 に 1000 ケース 実 施 し た 結 果 は 以 下 のとおりであり 大 幅 な 差 は 見 られない この 場 合 の 現 行 の 方 式 の 方 が 新 免 除 保 険 料 と 給 付 現 価 負 担 金 の 併 用 よりも 厚 生 年 金 保 険 本 体 の 負 担 が 軽 いケースの 数 は 1000 ケース 中 236 ケースであった 表 6 確 率 的 シミュレーションの 集 計 ( 別 の 1000 ケース) 厚 生 年 金 保 険 本 体 からの キャッシュ フロー 現 行 給 付 現 価 負 担 金 新 免 除 保 険 料 方 式 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 との 差 新 免 除 保 険 料 方 式 + 給 付 現 価 負 担 金 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 との 差 および 給 付 現 価 負 担 金 実 額 210 196 200 現 価 (2%) 77 73 79 現 価 (3..2%) 47 47 52 現 価 (5.5%) 22 25 29 厚 生 年 金 基 金 の 特 例 掛 金 32 29 43 新 免 除 保 険 料 方 式 でも 給 付 現 価 負 担 金 が 発 生 した 主 因 は 国 の 利 回 りの 平 均 値 を 1.84%と おいてシミュレーションを 実 施 しており 予 定 利 率 の 3.2%との 乖 離 が 大 きいからである 平 均 値 を 3.2%と 置 き 換 えてシミュレーション 1000 ケースを 2 回 実 施 すると 以 下 のとおり となる 表 7 確 率 的 シミュレーションの 集 計 ( 国 の 利 回 りの 平 均 3.2%) 厚 生 年 金 保 険 本 体 からの キャッシュ フロー 現 行 給 付 現 価 負 担 金 新 免 除 保 険 料 方 式 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 との 差 新 免 除 保 険 料 方 式 + 給 付 現 価 負 担 金 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 との 差 および 給 付 現 価 負 担 金 実 額 141 110 104 現 価 (2%) 50 45 46 現 価 (3..2%) 30 31 32 現 価 (5.5%) 14 18 19 厚 生 年 金 基 金 の 特 例 掛 金 13 16 18 現 行 の 方 式 の 方 が 新 免 除 保 険 料 と 給 付 現 価 負 担 金 の 併 用 よりも 厚 生 年 金 保 険 本 体 の 負 担 が 26
軽 いケースの 数 は 1000 ケース 中 33 ケースであった 表 8 確 率 的 シミュレーションの 集 計 ( 国 の 利 回 りの 平 均 3.2% 別 の 1000 ケース) 厚 生 年 金 保 険 本 体 からの キャッシュ フロー 現 行 給 付 現 価 負 担 金 新 免 除 保 険 料 方 式 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 との 差 新 免 除 保 険 料 方 式 + 給 付 現 価 負 担 金 新 免 除 保 険 料 と 現 行 免 除 保 険 料 との 差 および 給 付 現 価 負 担 金 実 額 143 113 106 現 価 (2%) 50 46 46 現 価 (3..2%) 30 31 32 現 価 (5.5%) 14 19 20 厚 生 年 金 基 金 の 特 例 掛 金 14 16 19 現 行 の 方 式 の 方 が 新 免 除 保 険 料 と 給 付 現 価 負 担 金 の 併 用 よりも 厚 生 年 金 保 険 本 体 の 負 担 が 軽 いケースの 数 は 1000 ケース 中 37 ケースであった 6. 結 論 本 稿 では 免 除 保 険 料 率 の 算 定 に 債 務 増 加 の 利 息 分 も 反 映 させる 手 法 を 提 案 し 厚 生 年 金 基 金 代 行 部 分 の 定 常 状 態 のモデルによる 理 論 的 考 察 およびシミュレーションで 検 証 した この 結 果 以 下 が 示 された (1) 現 行 の 給 付 現 価 負 担 金 方 式 では 一 定 期 間 負 債 額 の 減 少 と 同 時 に 資 産 額 の 減 少 を 招 く 可 能 性 がある (2) と の 差 額 の 償 却 を 後 発 債 務 として 免 除 保 険 料 額 に 後 発 債 務 の 償 却 分 ( 後 発 債 務 額 に 予 定 利 率 を 乗 じて 得 た 額 )を 加 算 した 新 免 除 保 険 料 額 を 基 金 に 交 付 することによって 国 の 負 担 は 増 えない (3)ただし 資 産 規 模 の 拡 大 に 伴 い 基 金 の 利 回 りが 国 の 利 回 りを 下 回 ったことによる 不 足 額 は 大 きくなり 掛 金 負 担 の 上 昇 につながる なお 今 回 は 債 務 増 加 の 永 久 償 却 分 を 加 算 する 新 免 除 保 険 料 のみを 研 究 対 象 としたが これ 以 上 の 額 を 交 付 するという 選 択 肢 もあり 研 究 対 象 となろう 例 えば 後 発 債 務 を 20 年 で 償 却 するという 選 択 肢 もあろう ただし 新 免 除 保 険 料 以 上 のものをもらうと 金 利 上 昇 期 では 厚 生 年 金 基 金 から 国 に 返 還 する 額 が 大 きくなるか 免 除 保 険 料 の 削 減 が 大 きくなる であろう なぜなら 後 発 債 務 の 償 却 を 20 年 とした 場 合 は 後 発 債 務 がプラスでもマイナス でも 20 年 にしないと 辻 褄 が 合 わないからである 例 えば 国 の 予 定 利 率 が7%になった 場 合 にはそのようなことが 発 生 するであろう したがって 本 稿 では 免 除 保 険 料 率 の 変 動 を 抑 制 する 観 点 から 後 発 債 務 の 償 却 を 永 久 償 却 (すなわち 後 発 債 務 から 発 生 する 利 息 だけを 償 却 する)としたのである 27
[ 文 献 ] 厚 生 労 働 省 [2012] 厚 生 年 金 基 金 等 の 現 状 について 第 1 回 厚 生 年 金 基 金 等 の 資 産 運 用 財 政 運 営 に 関 する 有 識 者 会 議 配 付 資 料 2 2012 年 4 月 13 日 Kocken,Theo[2011] Why the Design of Maturing Defined Benefit Plans Needs Rethinking Rotman International Journal of Pension Management Volume 4 Issue 1 Spring 以 上 28
付 表 1 現 行 の 給 付 現 価 負 担 金 方 式 の 場 合 ( 左 表 )と 新 免 除 保 険 料 方 式 ( 右 表 )のシミュレーション(( 基 金 の 利 回 り3.2% 厚 年 本 体 の 利 回 り3.2%) 利 率 : 3.20% 3.20% 3.20% 3.20% 年 度 免 除 保 険 料 代 行 給 付 給 付 現 価 負 担 金 最 低 責 任 準 備 金 過 去 期 間 代 行 給 付 現 価 資 産 / 最 低 責 任 準 備 金 年 度 旧 免 除 保 険 料 新 免 除 保 険 代 行 給 料 と 旧 免 除 付 保 険 料 の 差 最 低 責 任 準 備 金 過 去 期 間 代 行 給 付 現 価 資 産 / 最 低 責 任 準 備 金 70.00 70.00 100.00 1.00 70.00 70.00 100.00 1.00 1 16.85 20 0.00 69.04 69.04 100.00 1.00 1 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 2 16.85 20 0.00 68.05 68.05 100.00 1.00 2 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 3 16.85 20 0.00 67.03 67.03 100.00 1.00 3 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 4 16.85 20 0.00 65.97 65.97 100.00 1.00 4 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 5 16.85 20 0.00 64.88 64.88 100.00 1.00 5 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 6 16.85 20 0.00 63.76 63.76 100.00 1.00 6 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 7 16.85 20 0.00 62.60 62.60 100.00 1.00 7 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 8 16.85 20 0.00 61.40 61.40 100.00 1.00 8 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 9 16.85 20 0.00 60.17 60.17 100.00 1.00 9 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 10 16.85 20 0.00 58.89 58.89 100.00 1.00 10 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 11 16.85 20 0.00 57.58 57.58 100.00 1.00 11 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 12 16.85 20 0.00 56.22 56.22 100.00 1.00 12 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 13 16.85 20 0.00 54.82 54.82 100.00 1.00 13 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 14 16.85 20 0.00 53.37 53.37 100.00 1.00 14 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 15 16.85 20 0.00 51.88 51.88 100.00 1.00 15 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 16 16.85 20 0.00 50.34 50.34 100.00 1.00 16 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 17 16.85 20 0.00 48.75 48.75 100.00 1.00 17 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 18 16.85 20 0.25 47.36 47.36 100.00 1.00 18 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 19 16.85 20 0.53 46.20 46.20 100.00 1.00 19 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 20 16.85 20 0.76 45.24 45.24 100.00 1.00 20 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 21 16.85 20 0.95 44.44 44.44 100.00 1.00 21 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 22 16.85 20 1.11 43.78 43.78 100.00 1.00 22 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 23 16.85 20 1.24 43.22 43.22 100.00 1.00 23 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 24 16.85 20 1.36 42.76 42.76 100.00 1.00 24 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 25 16.85 20 1.45 42.38 42.38 100.00 1.00 25 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 26 16.85 20 1.52 42.06 42.06 100.00 1.00 26 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 27 16.85 20 1.59 41.79 41.79 100.00 1.00 27 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 28 16.85 20 1.64 41.57 41.57 100.00 1.00 28 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 29 16.85 20 1.69 41.39 41.39 100.00 1.00 29 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 30 16.85 20 1.72 41.23 41.23 100.00 1.00 30 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 31 16.85 20 1.75 41.11 41.11 100.00 1.00 31 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 32 16.85 20 1.78 41.00 41.00 100.00 1.00 32 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 33 16.85 20 1.80 40.91 40.91 100.00 1.00 33 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 34 16.85 20 1.82 40.84 40.84 100.00 1.00 34 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 35 16.85 20 1.83 40.78 40.78 100.00 1.00 35 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 36 16.85 20 1.84 40.73 40.73 100.00 1.00 36 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 37 16.85 20 1.85 40.69 40.69 100.00 1.00 37 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 38 16.85 20 1.86 40.65 40.65 100.00 1.00 38 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 39 16.85 20 1.87 40.62 40.62 100.00 1.00 39 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 40 16.85 20 1.88 40.60 40.60 100.00 1.00 40 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 41 16.85 20 1.88 40.58 40.58 100.00 1.00 41 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 42 16.85 20 1.88 40.56 40.56 100.00 1.00 42 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 43 16.85 20 1.89 40.55 40.55 100.00 1.00 43 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 44 16.85 20 1.89 40.53 40.53 100.00 1.00 44 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 45 16.85 20 1.89 40.52 40.52 100.00 1.00 45 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 46 16.85 20 1.90 40.52 40.52 100.00 1.00 46 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 47 16.85 20 1.90 40.51 40.51 100.00 1.00 47 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 48 16.85 20 1.90 40.50 40.50 100.00 1.00 48 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 49 16.85 20 1.90 40.50 40.50 100.00 1.00 49 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 50 16.85 20 1.90 40.50 40.50 100.00 1.00 50 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 51 16.85 20 1.90 40.49 40.49 100.00 1.00 51 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 52 16.85 20 1.90 40.49 40.49 100.00 1.00 52 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 53 16.85 20 1.90 40.49 40.49 100.00 1.00 53 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 54 16.85 20 1.90 40.49 40.49 100.00 1.00 54 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 55 16.85 20 1.90 40.48 40.48 100.00 1.00 55 16.85 0.945 20 70.00 70.00 100.00 1.00 56 16.85 20 1.90 40.48 40.48 100.00 1.00 56 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