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能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

市街化調整区域における地区計画の

2. 建 築 基 準 法 に 基 づく 限 着 色 項 目 の 地 区 が 尾 張 旭 市 内 にはあります 関 係 課 で 確 認 してください 項 目 所 管 課 窓 口 市 役 所 内 電 話 備 考 がけに 関 する 限 (がけ 条 例 ) 都 市 計 画 課 建 築 住 宅 係 南 庁 舎

対 象 外 区 域 以 下 の 区 域 は 原 則 として 策 定 区 域 に 含 めないこと (1) 農 業 振 興 地 域 の 整 備 に 関 する 法 律 に 規 定 する 農 用 地 区 域 (2) 優 良 農 地 ( 一 団 のまとまりのある 農 地 や 農 業 水 利 施 設 の 整 備

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表紙

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目 次 本 編. 地 価 公 示 価 格 一 覧 表 ページ. 地 価 公 示 価 格 選 定 替 廃 止 等 一 覧 7ページ 3. 地 価 公 示 地 価 調 査 共 通 地 点 の 価 格 一 覧 表 8ページ 資 料 編 4. 宇 都 宮 市 ( 用 途 地 域 別 ) 均 価 格 変 動

容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

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佐渡市都市計画区域の見直し

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(5) 農 地 法 ( 昭 和 27 年 法 律 第 229 号 )による 農 地 転 用 が 許 可 されないと 見 込 ま れる 農 用 地 (6) 森 林 法 ( 昭 和 26 年 法 律 第 249 号 ) 第 25 条 第 1 項 第 25 条 の2 第 1 項 及 び 第 41 条 第

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主要生活道路について

平 成 27 年 地 価 公 示 結 果 ( 山 形 県 ) 1 地 価 公 示 とは 地 価 公 示 とは 地 価 公 示 法 に 基 づいて 国 土 交 通 省 土 地 鑑 定 委 員 会 が 毎 年 1 月 1 日 時 点 における 標 準 地 の1 平 方 メートル 当 たりの 正 常 な

(2) 都 市 計 画 区 域 市 街 化 区 域 市 街 化 調 整 区 域 の 変 遷 1 都 市 計 画 区 域 の 変 遷 2 市 街 化 区 域 及 び 市 街 化 調 整 区 域 の 変 遷 旧 石 巻 市 ( 単 位 :ha) ( 単 位 :ha) 変 更 都 市 計 画 区 域 行

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Microsoft Word - H27概要版

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実 施 概 要 実 施 日 : 平 成 20 年 9 月 1 日 ( 木 )~9 月 16 日 ( 火 ) 対 象 者 : 内 高 校 6 校 それぞれ 120 人 を 対 象 に 配 布 新 発 田 高 校 新 発 田 南 高 校 新 発 田 西 高 校 新 発 田 商 業 高 校 新 発 田 農

1

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黄 檗 宇 治 大 久 保 線 宇 治 大 久 保 淀 線 103 ー 21 ー 京 阪 淀 駅 ー 240 ー 240A 立 命 館 宇 治 経 由 250 ー 250A ー 立 命 館 宇 治 経 由 平 野 町 黄 檗 公 園 ニ

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男 子 敗 者 復 活 戦 5 北 日 体 袋 4 北 掛 川 東 掛 川 工 新 居 5 北 立 7 城 4 6 北 市 工 立 南 開 誠 館 掛 川 北 城 北 工 市 立 市 袋 湖 南 北 商 代 北 商 湖 東 4 8 商

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表紙(第1巻)

( の 復 旧 ) 3. 南 相 馬 市 エリアの 避 難 指 示 解 除 準 備 区 域 及 び 居 住 制 限 区 域 内 の 路 線 数 ( ) 10 路 線 うち 被 災 した 路 線 ( 工 区 ) 数 10 路 線 52 箇 所 うち 応 急 対 策 を 実 施 した 路 線 ( 工 区

42 祐 天 寺 一 丁 目 ふれあい 公 園 祐 天 寺 平 成 区 街 かど 公 園 43 中 央 緑 地 公 園 中 央 町 , 昭 和 区 都 市 緑 地 44 こなべ 野 公 園 目 黒 本 町


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和 光 市 駅 南 口 地 区 地 区 計 画 整 備 計 画 の 内 容 地 区 計 画 の 方 針 名 称 和 光 市 駅 南 口 地 区 地 区 計 画 位 置 和 光 市 本 町 の 一 部 和 光 市 丸 山 台 一 丁 目 面 積 約 8.6ha 区 域 の 整 備 開 発 及 び 保

内 の 遺 体 は 朽 ちていたが 10 余 枚 の 歯 が 残 っていたので 死 者 の 年 齢 を 30~60 歳 と 鑑 定 で

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2 次 に 掲 げ 区 域 を 含 もうとす 場 合 は 各 々の 区 域 が 指 定 された 主 旨 を 尊 重 し その 意 義 が 失 われないよう 留 意 すものとす (1) 農 村 地 域 工 業 等 導 入 促 進 法 に 規 定 す 工 業 等 導 入 地 区 (2) 鳥 獣 の 保

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3 避 難 状 況 避 難 指 示 避 難 勧 告 都 道 府 県 名 市 区 町 村 名 指 示 日 時 勧 告 日 時 青 森 県 岩 手 県 山 形 県 埼 玉 県 千 葉 県 東 京 都 鰺 ヶ 沢 町 月 16 日 12 時 55 分 10 月 22 日 10 時 00 分

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別添

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Microsoft Word - 【最新】都市マス docx

Microsoft Word - 概要版.doc

学 校 対 抗 男 子 学 校 対 抗 6 月 3 日 ( 金 ) 9:00~ 開 始 式 ~ 学 校 対 抗 決 勝 リーグ2 回 戦 まで 6 月 4 日 ( 土 ) 9:00~ 学 校 対 抗 決 勝 リーグ3 回 戦, 個 人 戦 ( 複 ) 決 勝 まで, 個 人 戦 ( 単 )1 回 戦

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調 査 区 域 概 略 図 - 2 -

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4. 策 定 の 手 順 基 本 構 想 においては 五 合 目 周 辺 にあり 富 士 信 仰 と 深 く 結 びついた 御 中 道 及 び 小 富 士 散 策 路 ( 以 下 御 中 道 等 とする)の 現 状 ( 利 用 状 況 自 然 文 化 資 源 危 険 箇 所 既 存 施 設 等 )を

市 の 人 口 密 度 は 5,000 人 を 超 え 図 4 人 口 密 度 ( 単 位 : 人 /k m2) に 次 いで 高 くなっている 0 5,000 10,000 15,000 首 都 圏 に 立 地 する 政 令 指 定 都 市 では 都 内 に 通 勤 通 学 する 人 口 が 多

( 株 ) 荒 井 建 設 興 業 市 内 南 房 総 市 和 田 町 布 野 205 番 地 水 道 施 設 工 事 特 定 B ( 株 ) 安 房 環 境 衛 生 市 内 南 房 総 市 千 倉 町 瀬 戸 2344 番 地 76 管 工 事 一 般 B 安 房 住 宅 設 備 機 器 ( 有

第2章 施設の実態(用途別)

Ⅰ 平成14年度の状況

官 庁 営 繕 事 業 の 事 後 評 価 表 事 業 名 かいじょうほあんだいがっこう(そうごうじっしゅうとう) 海 上 保 安 大 学 校 ( 総 合 実 習 棟 ) 実 施 箇 所 呉 市 若 葉 町 5-1 該 当 基 準 事 業 完 了 後 3 年 間 が 経 過 した 事 業 事 業 諸

2012

瀬戸大橋開通とその影響

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2. 住 宅 の 建 て 方 構 造 中 野 区 と 23 区 の 住 宅 の 建 て 方 構 造 階 級 別 の 住 宅 割 合 ( 平 成 15 年 住 宅 土 地 統 計 調 査 ) 中 野 区 中 野 区 23 区 平 均 23 区 平 均 木 造 防 火 木 造 非 木 造 木 造 防 火


03 公立学校建物の実態 P8~p10、P18~P41

津 市 新 最 終 処 分 場 建 設 候 補 地 申 請 概 要 調 書 1( 申 請 書 の 内 容 ) M-1 申 請 者 自 治 会 名 等 代 表 者 住 所 代 表 者 氏 名 下 之 川 自 治 会 連 合 会 津 市 美 杉 町 下 之 川 1883 下 之 川 区 長 脇 谷 茂


Transcription:

( 別 紙 ) 自 然 風 景 の 区 分 (6 地 域 34 地 区 ) 1 東 山 地 域 比 叡 山 地 区 (1) 修 学 院 地 区 (2) 大 文 字 山 地 区 (3) 東 山 地 区 (4) 稲 荷 山 地 区 (5) 2 山 科 地 域 山 科 地 区 (6) 音 羽 山 地 区 (7) 醍 醐 地 区 (8) 3 北 山 南 部 地 域 八 瀬 地 区 (9) 岩 倉 地 区 (10) 松 ケ 崎 地 区 (11) 上 賀 茂 地 区 (12) 静 市 地 区 (13) 西 賀 茂 地 区 (14) 衣 笠 地 区 (15) 4 北 山 地 域 大 原 地 区 (16) 古 知 谷 地 区 (17) 静 原 地 区 (18) 鞍 馬 地 区 (19) 花 背 峠 地 区 (20) 雲 ケ 畑 地 区 (21) 氷 室 地 区 (22) 沢 山 地 区 (23) 杉 坂 中 川 地 区 (24) 大 森 地 区 (25) 5 西 山 地 域 高 雄 地 区 (26) 清 滝 地 区 (27) 愛 宕 山 地 区 (28) 嵯 峨 地 区 (29) 嵐 山 地 区 (30) 松 尾 地 区 (31) 6 大 枝 大 原 野 地 域 大 枝 地 区 (32) 小 塩 山 地 区 (33) 善 峰 寺 地 区 (34) 1

地 域 ご と の 特 質 1 東 山 地 域 (1) 概 況 東 山 地 域 は, 比 叡 山 から 稲 荷 山 に 至 る 地 域 で,いわゆる 旧 市 街 地 に 極 めて 近 接 して おり, 更 に 社 寺 仏 閣 と 一 体 となった 山 並 みを 構 成 要 素 として, 歴 史 的 な 意 義 を 有 する 地 域 で, 古 くから 東 山 三 十 六 峰 として 知 られている 地 域 である ア 地 形 南 部 がなだらかな 連 峰 を 形 成 しているのに 対 し, 北 部 では 細 かな 山 はだを 有 し, 急 傾 斜 面 も 多 く 存 在 する 地 形 となっている イ 地 質 地 層 こう この 地 域 は 主 に 中 古 生 層 からなり, 比 叡 山 から 大 文 字 にかけては 花 崗 岩 を 基 本 と し,そこから 産 する 山 砂 は 白 川 砂 として 知 られてきた それより 南 では 粘 板 岩 類 が 多 く 見 られ, 稲 荷 山 に 至 って 堆 積 岩 が 主 体 となる 大 阪 層 群 を 基 盤 とする ウ 植 生 地 域 全 体 は, 旧 来 アカマツ 林 であったが, 現 況 では 放 置 された 落 葉 広 葉 樹 林 に 拡 大 しつつある 常 緑 広 葉 樹 林 及 びスギ 植 栽 林 などが 主 となり,これらの 植 生 がモザイ ク 状 に 混 在 した 景 観 を 作 り 出 している エ その 他 この 地 域 は, 歴 史 的 に 重 要 な 旧 跡 が 多 く,それらの 社 寺 借 景 となっていることに より 観 光 的 意 義 も 大 きい また, 全 域 で 眺 望, 散 策 などの 市 民 利 用 がなされ, 特 に 比 叡 山, 大 文 字 山, 将 軍 塚, 稲 荷 山 には 多 数 の 来 訪 者 がある なお,この 地 域 南 部 東 側 は, 山 科 盆 地 からの 自 然 風 景 として 位 置 付 けられる (2) 自 然 風 景 の 特 徴 比 叡 山 地 区 (1) しゅん 比 叡 山 の 山 容 は, 優 峻 にして 古 歌 には 都 の 富 士 とたたえられ, 平 安 京 と 共 に 長 く 歴 史 の 舞 台 に 知 られる 名 山 である 市 街 地 の 多 くの 箇 所 から 眺 望 され, 東 山 地 域 の 自 然 風 景 の 重 要 な 要 素 となっている 特 に 円 通 寺 の 借 景 としての 比 叡 山 の 眺 望 はよく 知 られている 安 定 した 落 葉 広 葉 樹 林 にモミ 等 の 針 葉 樹 を 交 え,その 林 床 に 多 様 な 山 野 草 が 多 く 見 られる 修 学 院 地 区 (2) 比 叡 山 の 山 麓 部 に 位 置 する 地 区 であり, 曼 殊 院 などの 社 寺 や 修 学 院 離 宮 がある 歴 史 的 景 観 としてツツジ 類 が 多 く, 風 通 しの 良 いアカマツ 林 の 景 観 が 特 徴 であったが, アカマツは 減 少 傾 向 にあり, 落 葉 広 葉 樹 が 発 達 しつつあるところが 多 い 山 すそには 発 達 したアベマキ コナラ 等 の 落 葉 広 葉 樹 林 がある 2

大 文 字 山 地 区 (3) 大 文 字 山 は, 五 山 の 送 り 火 の 一 つとして 知 られており, 山 麓 部 には 慈 照 寺 ( 銀 閣 寺 ), 法 然 寺, 永 観 堂, 南 禅 寺 等 の 社 寺 がある 落 葉 樹, 常 緑 樹, 針 葉 樹 がモザイク 状 にある 京 都 の 特 徴 的 な 自 然 風 景 であり,アカ マツ 林 が 中 心 であるが, 衰 退 しつつある 林 分 が 多 い 大 文 字 山 には 他 の 地 域 ではあま り 見 られない 発 達 したイヌシデ( 落 葉 広 葉 樹 ) 林 があり, 山 すそにはシイ 等 の 常 緑 広 葉 樹 林 が 広 がっている 東 山 地 区 (4) 東 山 の 山 並 みの 中 心 となる 地 区 で, 京 都 を 代 表 とする 景 勝 地 の 一 つである 山 すそ に 知 恩 院, 八 坂 神 社, 清 水 寺 等 の 社 寺 や 桜 の 名 所 として 知 られる 円 山 公 園 がある 尾 根 筋 近 くにはアカマツがまだ 多 いが,シイ 林 の 大 きな 塊 がアカマツ 林 に 入 り 込 み, 更 に 拡 大 傾 向 にある 山 すそには,ムクノキ,エノキなど 大 木 になる 種 が 数 多 く 見 ら れる 稲 荷 山 地 区 (5) 東 山 地 域 の 南 部 に 位 置 する 地 区 で, 伏 見 稲 荷 大 社 を 中 心 に 山 全 体 が 信 仰 の 対 象 にな っている 稲 荷 山 を 初 めとする 山 並 みは, 京 都 一 周 トレイル 東 山 コースの 一 部 であり, ハイキングコースとしても 市 民 に 親 しまれている 全 体 に 成 熟 したコナラ 等 の 落 葉 広 葉 樹 林 や 植 林 地 が 見 られ, 自 然 の 森 の 美 しさが 特 徴 である なお, 山 すその 緩 傾 斜 地 にはモウソウチクの 林 が 見 られる (3) 自 然 風 景 の 保 全 の 重 点 この 地 域 は, 京 都 の 町 の 中 心 地 から 特 に 良 く 眺 望 される 地 域 である 中 でも, 鴨 川 りょう から 見 る 東 山 は, 京 都 を 代 表 する 自 然 風 景 の 一 つであり, 軟 らかな 稜 線 が 醸 し 出 す 雰 りょう 囲 気 は, 京 都 に 特 有 の 景 観 を 形 作 っていることから, 特 に 稜 線 に 配 慮 した 細 部 にわた る 保 全 に 重 点 を 置 く 2 山 科 地 域 (1) 概 況 山 科 地 域 は, 山 科 の 市 街 地 を 取 り 囲 むことで 小 盆 地 を 形 成 している 東 山 に 連 なる 安 祥 寺 山, 音 羽 山, 行 者 ヶ 森, 醍 醐 山 を 主 要 な 構 成 要 素 として, 山 科 盆 地 及 び 醍 醐 石 田 などからよく 眺 望 される 地 域 である ア 地 形 北 部 は, 標 高 は 低 いが 入 り 組 んだ 谷 を 持 ち, 平 坦 地 の 少 ない 傾 斜 地 形 である 南 こう 部 は, 急 勾 配 の 山 はだを 有 していることから, 大 きな 谷 筋 地 形 は 少 なく, 小 規 模 な 侵 蝕 谷 が 多 い イ 地 質 地 層 中 古 生 層 の 堆 積 岩 類 を 主 とした 地 質 基 盤 を 持 つが, 風 化 の 程 度 の 差 によって 地 形 3

土 壌 環 境 は 多 様 である なお, 山 すその 一 部 には 大 阪 層 群 や 沖 積 層 など 比 較 的 新 し い 堆 積 層 が 分 布 する ウ 植 生 アカマツを 主 とした 針 葉 樹 林 が 多 く 見 られる 北 部 にはスギ 植 栽 林, 一 部 の 山 腹 下 半 部 では, 落 葉 広 葉 樹 林 や 常 緑 広 葉 樹 林 も 見 られる エ その 他 醍 醐 山, 行 者 ヶ 森, 音 羽 山 は,ハイキングコースとして 市 民 に 多 く 利 用 されてい る また, 醍 醐 の 桜 に 特 に 名 が 高 く, 上 醍 醐 の 醍 醐 水 は 銘 水 として 知 られ 観 光 客 も 多 い (2) 自 然 風 景 の 特 徴 山 科 地 区 (6) 東 山 に 連 なる 安 祥 寺 山 などの 山 々と 毘 沙 門 堂 などの 社 寺 と 一 体 となった 山 並 みを 成 している 疏 水 沿 いのソメイヨシノの 並 木 は 大 きな 樹 冠 が 水 辺 に 掛 かり, 背 後 の 山 並 みの 緑 を 背 景 として, 優 れた 自 然 風 景 として 親 しまれている 四 宮 藤 尾 付 近 には, 比 較 的 まとまったクヌギ,コナラ 等 の 落 葉 広 葉 樹 林 が 谷 あい 部 を 中 心 に 見 られる 安 祥 寺 山 一 帯 は 南 斜 面 にアカマツ 林, 北 斜 面 にスギ 植 栽 林 がある このスギ 林 は, 比 較 的 手 入 れされており, 樹 林 景 観 としてのまとまりがある 毘 沙 門 堂 から 谷 を 入 った 後 山 階 陵 への 道 は 森 の 中 の 小 渓 谷 に 沿 って,イロハモミジ などの 紅 葉 樹 種 が 多 い 音 羽 山 地 区 (7) しゅん 鉄 道 や 幹 線 道 路 から, 急 峻 な 音 羽 山 の 山 並 みが 良 く 眺 望 され, 牛 尾 観 音 に 至 る 音 羽 川 の 谷 筋 に 沿 ってハイキングコースがある 山 腹 中 上 部 から 尾 根 筋 にかけてアカマツ 林 が 見 られ, 山 腹 下 部 にはコナラなどの 落 葉 広 葉 樹 林 という 景 観 が 歴 史 的 なものと 考 えられるが, 山 腹 下 部, 谷 筋 には, 昭 和 30 年 代 に 植 栽 されたスギ 林 が 混 じり, 一 方 では, 広 範 囲 にわたりアカマツ 林 が 減 少 しつつあるのが 現 況 である 水 分 環 境 が 良 好 な 急 峻 な 斜 面 の 一 部 では,クズなどのツル 性 の 植 物 によって 荒 廃 し た 植 生 景 観 を 呈 するところが 目 立 つ 醍 醐 地 区 (8) 醍 醐 山 を 中 心 とする 山 並 みが, 山 麓 部 の 一 言 寺, 三 宝 院, 醍 醐 寺 等 と 一 体 となり 自 然 風 景 を 成 している 緩 傾 斜 の 丘 陵 地 帯 は, 人 為 的 に 維 持 管 理 されてきたまとまった 竹 林 又 はアカマツ 林 であったが, 現 在 は 常 緑 広 葉 樹 やクズなどが 入 り 込 んで 雑 然 とした 植 生 環 境 となって いるところが 多 く,これらの 地 域 では, 宅 地 化 が 進 みつつある よく 醍 醐 山 一 帯 の 山 腹 斜 面 は, 本 来,モミを 多 く 含 む 発 達 した 針 広 混 交 林 を 形 成 する 肥 沃 な 山 地 であるが, 近 年 はアカマツ 林 が 主 となり,これにスギ 植 栽 林 が 加 わる 植 生 景 観 4

を 呈 してきた しかし, 現 在 では,アカマツの 枯 損 木 が 目 立 ち, 山 麓 の 谷 筋 を 中 心 に シイを 主 とする 常 緑 広 葉 樹 林 が 発 達 しつつある (3) 自 然 風 景 の 保 全 の 重 点 この 地 域 は, 山 麓 部 の 住 宅 地 と 背 後 の 山 並 みが 一 体 的 な 遠 景 として, 鉄 道 や 幹 線 道 路 から 眺 望 されることが 多 く, 住 宅 地 に 近 接 した 部 分 の 緑 地 と 自 然 地 形 の 保 全 に 重 点 を 置 く 3 北 山 南 部 地 域 (1) 概 況 この 地 域 は, 京 都 盆 地 の 北 に 位 置 する 山 並 みのうち, 市 街 地 に 接 している 地 域 であ る 衣 笠 山, 松 ヶ 崎 などの 丘 陵 部, 低 山 地 で 構 成 されわゆる 曲 線 美 地 形 により, 社 寺 の 借 景 とされている 山 並 みも 多 く, 岩 倉 では 変 化 に 富 んだ 山 々が 小 盆 地 を 取 り 囲 み, 更 に, 八 瀬, 静 市 では, 狭 い 谷 あいが 際 立 つなど, 異 なった 特 質 の 自 然 風 景 が 市 街 地 の 景 観 と 一 体 となって, 京 都 の 北 の 風 景 を 形 成 している ア 地 形 松 ヶ 崎 の 妙 法 に 代 表 されるような 曲 線 構 造 を 持 つ 丘 陵 部, 低 山 地 を 前 面 に しゅん 持 ち,その 背 後 には 比 較 的 急 峻 な 斜 面, 狭 い 谷 あいを 有 する 壮 年 期 地 形 の 北 山 連 峰 が 続 いている この 二 つの 異 なった 地 形 の 山 並 みに 挟 まれた 形 で, 岩 倉, 静 市 の 小 盆 地 がある イ 地 質 地 層 主 に 中 古 生 層 の 堆 積 岩 類 からなるが, 構 成 する 基 盤 岩 のうち, 比 較 的 堅 いチャー トが 浸 食 を 受 けずに 残 っているところでは, 松 ヶ 崎 などに 見 られる 曲 線 美 を 持 つ 丘 陵 地 を 生 み 出 している その 他 の 山 地 は 砂 岩 などからなり, 風 化 を 受 けて 好 適 な 森 林 土 壌 を 形 成 している ところが 多 い ウ 植 生 柴 山 として 経 営 されてきた 落 葉 低 木 の 多 いアカマツ 林 を 主 とし, 山 すそ 部 には 落 葉 広 葉 樹 林 やスギ 植 栽 林 がみられる エ その 他 市 街 地 に 面 した 山 すそでは 散 策 利 用 が 多 く, 丘 陵 地 帯 には 眺 望 型, 運 動 型 のハイ キングコースが 多 くある 大 原 街 道, 鞍 馬 街 道, 周 山 街 道 などは 主 要 道 として 昔 からよく 知 られており, 現 在 も 交 通 量 が 多 く, 八 瀬, 上 賀 茂 神 社, 金 閣 寺, 鷹 ヶ 峰, 円 通 寺 などには 観 光 客 が 集 まる (2) 自 然 風 景 の 特 徴 八 瀬 地 区 (9) 5

八 瀬 川 の 渓 流 と 渓 谷 沿 いのイロハモミジの 紅 葉 からなる 自 然 風 景 はよく 知 られてお り, 紅 葉 の 名 所 と 荒 廃 森 林 が 隣 合 わせとなっている 植 生 の 中 心 は,アベマキ,クヌギ,コナラなどの 落 葉 広 葉 樹 林 であり,かっては 炭 焼 きも 行 われていた 薪 炭 林 の 自 然 風 景 である 部 分 的 にクズ 草 地,ネザサ 群 落 など 荒 廃 した 印 象 を 与 える 植 生 がある 岩 倉 地 区 (10) 岩 倉 盆 地 を 取 り 囲 む 山 並 みであり, 山 麓 部 には 岩 倉 実 相 院, 三 宅 八 幡 宮 等 がある 以 前 は 全 体 的 に 里 山 としてのアカマツ 林 が 主 体 の 自 然 風 景 であったが, 現 在 は 山 すそ にアベマキ 等 の 落 葉 広 葉 樹 林 がある 実 相 院 裏 のシイ 林 は, 谷 筋 を 山 腹 に 向 かって 伸 びており, 岩 倉 では 際 立 った 自 然 の 豊 かさを 感 じさせる 松 ヶ 崎 地 区 (11) 五 山 送 り 火 の 一 つである 妙 法 や 京 都 の 自 然 資 源 の 中 でも 極 めて 重 要 な 深 泥 池 があり, 宝 ケ 池 公 園 と 共 に 良 好 な 自 然 環 境 を 形 成 している 全 域 にアカマツ 林 が 広 がるが, 松 ヶ 崎 大 黒 天 一 帯 に 見 られるシイ 等 の 常 緑 広 葉 樹 林 は, 徐 々に 範 囲 を 広 げつつある 上 賀 茂 地 区 (12) こうやま 上 賀 茂 神 社 の 御 神 体 として 古 くから 信 仰 の 山 となっている 神 山 に 見 られるようなな だらかな 山 並 みを 特 徴 とする 地 区 である 山 腹 にまとまった 規 模 のアベマキ 林 が 散 在 し, 山 すそのところどころには, 規 模 の こうやま 小 さな 竹 林 がある かっての 柴 山 のアカマツは 枯 れているところも 多 いが, 神 山 頂 上 付 近 などでは,まとまったアカマツ 林 がある 静 市 地 区 (13) 古 くは 谷 あいに 散 在 する 小 集 落 と 一 体 となった 風 景 であったが, 山 すその 竹 林 やな だらかな 斜 面 では 宅 地 化 が 進 み, 住 宅 地 の 周 囲 をなす 山 並 みの 風 景 に 変 化 しつつある スギの 植 栽 林 に 尾 根 筋 のアカマツ 林 等, 北 山 地 域 へと 続 く 林 業 地 帯 の 南 端 に 位 置 する 自 然 風 景 となっている 西 賀 茂 地 区 (14) 山 麓 に 正 伝 寺, 西 方 寺 があり, 五 山 送 り 火 の 一 つとして 知 られる 船 山 は, 柴 山 とし て 利 用 されていたアカマツ 林 が 中 心 である 市 街 地 側 から 一 山 越 すと,よく 手 入 れさ れたスギ 林 が 広 がる 林 業 地 帯 となる また, 船 山 への 登 山 や 東 海 自 然 歩 道 のハイキン グ 等 によく 利 用 されている 衣 笠 地 区 (15) 五 山 送 り 火 の 一 つ 左 大 文 字, 衣 笠 山, 竜 安 寺 山, 白 砂 山 等 の 山 並 みの 山 麓 部 に は 金 閣 寺 を 初 め 多 くの 社 寺 がある 山 の 曲 線 と 平 安 時 代 からの 歴 史 を 持 つ 山 のは ( 端 ) の 松 林 が 特 徴 である 尾 根 筋 には 安 定 したアカマツ 林, 山 腹 や 谷 あいには 植 6

栽 林 が 見 られる 山 すその 落 葉 広 葉 樹 林 はかつての 薪 炭 林 で, 現 在 は 常 緑 樹 が 入 り 込 んでいる (3) 自 然 風 景 の 保 全 の 重 点 この 地 域 は, 曲 線 美 をもつ 丘 陵 地 が 特 徴 であり, 社 寺 借 景 となっているところも 多 いことから,その 曲 線 美 に 影 響 を 与 えないことに 重 点 を 置 く 4 北 山 地 域 (1) 概 況 周 山 街 道, 鞍 馬 街 道, 大 原 街 道 の3 本 の 街 道 筋 を 持 ち, 古 い 伝 統 を 持 つ 山 間 集 落 が いくつも 残 るこの 地 域 は, 市 街 地 から 広 く 遠 望 される 山 地 を 構 成 し, 旧 来, 林 業 によ り 保 全 されてきた 地 域 である この 地 域 は 民 有 地 が 多 く,スギを 主 とした 植 栽 林 が 多 い 植 林 地 は 一 般 によく 手 入 れされ, 高 い 経 済 的 価 値 を 持 つ 気 候 的 には, 日 本 の 太 平 洋 側 と 日 本 海 側 の 境 界 領 域 に 位 置 し, 潜 在 的 に 生 物 相 の 多 様 性 が 高 い 地 域 である ア 地 形 平 坦 部 が 狭 小 で, 山 と 谷 あい,および 山 中 の 集 落 地 からなる 典 型 的 な 山 間 地 域 と こう しゅん こう なっている 勾 配 が 急 峻 なところが 多 いが,なだらかな 勾 配 の 山 が 集 落 地 を 取 り 囲 んでいるところもある イ 地 質 地 層 中 古 生 層 の 堆 積 岩 類 が 基 盤 となってなるが, 風 化 の 進 み 具 合 や 岩 の 種 類, 組 成 の 変 化 によって 自 然 立 地 条 件 の 多 様 性 が 見 られる ウ 植 生 山 腹 にはスギ,ヒノキの 植 栽 林 が 大 部 分 で, 尾 根 筋 にアカマツ 林 をもつところが 多 い 一 部 には, 落 葉 広 葉 樹 林, 針 葉 樹 林 が 一 定 のまとまりを 形 成 している 箇 所 も ある エ その 他 この 地 域 では,わが 国 を 代 表 する 景 勝 地 である 大 原, 夏 の 風 物 詩 として 有 名 な 貴 船 川 べりの 料 理 旅 館 が 出 す 川 床 は,よく 知 られている また, 花 背 峠, 鞍 馬, 氷 室 などには 市 民 がよく 利 用 する 水 くみ 場 があり ハイキ ングのルートも 数 多 く 存 在 し, 雲 ヶ 畑, 静 原 のキャンプ 場 の 利 用 者 も 年 々 増 加 して いる (2) 自 然 風 景 の 特 徴 大 原 地 区 (16) 田 園 地 帯 の 古 い 集 落 と 社 寺 等 を 取 り 巻 く 山 並 みは, 歴 史 的 な 景 観 を 感 じさせる ス ギ,ヒノキ 植 栽 林 はよく 手 入 れされているところが 多 く, 美 林 という 印 象 を 与 える 7

柴 山 として 利 用 されてきたアカマツ 林 は, 植 栽 林 に 切 り 替 えられたところが 多 いが, 植 林 地 に 向 かないところではアカマツ 林 が 残 っている このような 林 分 は, 薪 炭 林 としてあまり 利 用 されなくなったためにツツジ 類 等 の 低 木 種 の 大 量 枯 損 が 生 じている コナラ 等 の 落 葉 広 葉 樹 林 もかなりの 面 積 を 占 めており, 山 腹 斜 面 上 部 では,これに 天 然 スギを 交 える 針 広 混 交 林 となるところもある 古 知 谷 地 区 (17) 大 原 地 区 の 北 に 位 置 し, 大 原 街 道 を 通 じて 北 端 を 滋 賀 県 と 接 する 古 知 谷 地 区 の 山 並 みは,よく 手 入 れされているスギ,ヒノキ 植 栽 林 が 大 部 分 を 占 め, 尾 根 筋 近 くには 一 部 アカマツ 林 があるが, 大 径 木 は 少 なく,ツツジ 類 等 の 低 木 類 が 多 い 阿 弥 陀 寺 には カエデ 類 が 多 く,タカオカエデの 巨 樹 ( 京 都 市 指 定 天 然 記 念 物 )があり, 歴 史 を 感 じ させる 落 ち 着 いたたたずまいを 持 つ 森 厳 性 の 高 い 自 然 風 景 を 呈 する 静 原 地 区 (18) 天 ヶ 岳 を 頂 点 に 静 原 の 集 落 を 取 り 囲 む 地 区 である 静 原 は, 周 囲 を 山 並 みに 囲 まれ た 山 里 と 呼 ぶにふさわしい 雰 囲 気 がただよっている 周 辺 の 林 分 は,スギ,ヒノキ 植 栽 林 が 多 く, 比 較 的 よく 手 入 れされている また, 天 ヶ 岳 周 辺 の 落 葉 広 葉 樹 林 は 自 然 性 が 高 い 鞍 馬 地 区 (19) 鞍 馬 山 は 信 仰 修 行 の 山 であり,また 鞍 馬 山 霊 宝 殿 を 拠 点 とした 自 然 観 察 の 場 とし ても 知 られている 貴 船 山 は 貴 船 神 社 の 御 神 体 であり, 林 業 の 山 としても 重 要 である 鞍 馬 寺 の 境 内 林 にはスギ,ツガ,ウラジロガシなどの 巨 木 が 見 られるほか, 既 に 京 都 近 辺 では 見 られなくなったアカガシなどがあり, 京 都 の 自 然 の 原 生 的 な 環 境 を 残 した そう 貴 重 な 箇 所 である また, 由 岐 神 社 の 社 叢 はスギ,カゴノキの 巨 樹 ( 京 都 市 指 定 天 然 き え 記 念 物 )によって 森 厳 性 の 高 い 自 然 風 景 を 成 しており, 鞍 馬 山 中 には 竹 伐 り 会 の 用 い そう るモウソウチク 林 がある 社 叢, 境 内 林 以 外 はスギの 植 林 地 がほとんどで 尾 根 筋 には アカマツ 林 があり, 落 葉 広 葉 樹 林 は 少 ない 貴 船 には 渓 谷 に 沿 って 発 達 した 落 葉 広 葉 樹 林 があり, 樹 木 の 生 育 環 境 としても 好 適 である 貴 船 川 の 水 辺 植 生 の 中 にはキブネダイオウなど 地 域 性 の 豊 かな 草 本 類 が 生 育 している 花 背 峠 地 区 (20) 花 背 峠 に 連 なる 山 並 みは, 手 入 れされた 植 林 地 が 続 き, 市 街 地 からもよく 眺 望 され, 北 山 を 散 策 に 訪 れる 人 々の 多 くが,この 峠 を 越 えて 行 く 自 然 風 景 の 北 端 を 成 し 北 山 の 自 然 風 景 の 重 要 なポイントである 雲 ヶ 畑 地 区 (21) 雲 ヶ 畑 の 集 落 を 中 心 に 古 来 から 林 業 が 盛 んなところで, 周 囲 はよく 手 入 れされた 植 林 地 となっている 春 はシャクナゲが 咲 き, 夏 の 新 緑, 秋 の 紅 葉 等 美 しい 風 景 が 見 ら れる 8

集 落 から 離 れた 医 王 沢, 桟 敷 ヶ 岳 などに 入 ると, 多 種 多 様 な 植 生 があり, 落 葉 広 葉 樹 林 の 中 に 多 様 な 低 木 類 が 見 られる 氷 室 地 区 (22) 古 い 峠 道 を 越 え, 山 を 登 り 詰 めた 後 に 開 ける 小 さな 田 園 集 落 である 氷 室 を 中 心 とし た 地 区 である 西 賀 茂 や 雲 ヶ 畑 に 続 くハイキング 道 があり, 周 辺 は 手 入 れされた 植 林 地 となっている 沢 山 地 区 (23) 北 山 地 域 の 南 に 位 置 し, 東 海 自 然 歩 道 を 利 用 し, 散 策 に 訪 れる 人 々も 見 受 けられる 植 林 地 が 多 いが, 尾 根 筋 や 沢 ノ 池 周 辺 はまとまったアカマツ 林 で, 土 壌 条 件 から 見 て も 比 較 的 安 定 した 自 然 風 景 を 形 成 している 杉 坂 中 川 地 区 (24) 中 川 は 高 雄 の 北, 周 辺 街 道 に 沿 って 開 かれた 山 間 の 集 落 で 北 山 丸 太 の 産 地 として 非 常 に 有 名 である 周 囲 の 山 並 みのほとんどは 手 入 れの 行 き 届 いた 北 山 杉 の 美 林 ( 植 栽 りょう 林 )で, 尾 根 筋 にはアカマツ 林 が 作 られている 半 国 高 山 などの 稜 線 部 は 市 街 地 から もよく 眺 望 される 大 森 地 区 (25) 周 山 街 道 から 京 北 町 へと 通 じる 地 区 であり, 北 山 を 散 策 するハイカーや 周 山 街 道 を 通 行 する 人 々も 多 く, 特 に 大 森 キャンプ 場 の 市 民 利 用 が 高 い また, 北 山 杉 の 産 地 として 知 られており, 植 栽 林 が 多 く 見 られる (3) 自 然 風 景 の 保 全 の 重 点 この 地 域 は, 市 街 地 の 多 くの 箇 所 から 眺 望 されるため, 稜 線 部 分 の 保 全 が 特 に 重 要 であり, 自 然 風 景 の 連 続 性 を 保 全 することに 重 点 を 置 く 5 西 山 地 域 (1) 概 況 この 地 域 は, 個 性 的 で 非 常 に 優 れた 性 格 を 有 する 自 然 風 景 が 集 積 している 地 域 であ る 愛 宕 山 は, 周 囲 の 山 からひときわ 高 く 見 え,この 地 域 の 自 然 風 景 の 中 心 的 な 役 割 かえで を 果 たしている また, 高 雄 では,スギの 深 い 緑 の 中 に 高 雄 楓 (イロハモミジ)の 紅 葉 がよく 映 え, 神 護 寺, 高 山 寺 などを 中 心 とした 社 寺 境 内 林 の 自 然 景 観 と 周 囲 のよく 手 入 れされた 植 栽 林 景 観 が 自 然 風 景 の 骨 格 を 作 り 上 げている 更 に, 嵯 峨 では, 嵯 峨 野 周 辺 の 小 倉 山 を 初 めとしたなだらかな 山 並 みが, 鳥 居 本 の 集 落 や, 田 園 風 景 と 一 体 となった 自 然 風 景 を 形 成 し, 嵐 山 では, 保 津 川 と 一 体 となっ た 緑 の 山 の 曲 線 が 自 然 風 景 の 重 要 な 構 成 要 素 となっている ア 地 形 しゅん こう 清 滝 から 愛 宕 山 頂 までは 標 高 差 が 約 700メートルあり, 急 峻 な 勾 配 を 有 する 地 形 であるが, 大 部 分 は 海 抜 高 300~400メートルの 低 山 から 成 り, 市 街 地 に 面 9

する 小 倉 山 などは 特 に 美 しい 曲 線 形 状 を 有 している また, 松 尾 地 区 は 更 に 低 い 山 地 が 西 に 向 かって 徐 々に 標 高 を 加 える 地 形 的 特 徴 を 持 っている 嵯 峨 地 区 では, 風 化 帯 の 浸 食 過 程 で 生 じた 複 雑 な 谷 地 形 がみられる イ 地 質 地 層 けつ 高 雄 や 北 嵯 峨 は, 全 国 的 に 知 られた 鳴 滝 砥 石 を 生 み 出 す 頁 岩 が 分 布 している こ けつ の 頁 岩 は 中 古 生 層 の 堆 積 岩 類 の 一 部 で,この 他 に 砂 岩, 粘 板 岩 などが 見 られ, 北 山 地 域 などと 共 通 した 地 質 環 境 を 構 成 している ウ 植 生 市 街 地 に 面 してアカマツ 林,その 背 後 ではスギ 植 栽 林 となっているが, 社 寺 境 内 林 には 常 緑 広 葉 樹 林 が 見 られる 嵯 峨 野 などの 一 部 の 沖 積 層 では 竹 林 となっている エ その 他 び 古 くから 風 光 明 媚 な 景 勝 地 として, 又 はその 後 背 地 として 知 られてきたところが 多 く,そのすべてが, 我 が 国 を 代 表 する 第 一 級 の 景 勝 地 である (2) 自 然 風 景 の 特 徴 高 雄 地 区 (26) かえで 地 形 的 に 変 化 に 富 んだ 高 雄 地 域 は,スギの 深 い 緑 の 中 に 高 雄 楓 (イロハモミジ) の 紅 葉 がよく 映 え, 神 護 寺, 高 山 寺 などを 中 心 とした 社 寺 境 内 林 の 自 然 景 観 と, 周 囲 のよく 手 入 れされた 植 栽 林 景 観 とが 調 和 した 風 景 となっている 道 に 面 した 西 明 寺 の 裏 山 には 新 しいイロハモミジの 造 林 地 があるが, 全 体 的 には 古 木 が 多 く 見 られる 鳴 滝 地 区 (27) 地 区 内 を 流 れる 清 滝 川 は, 清 流 でここでの 水 遊 びは 古 来, 京 都 の 夏 の 風 物 詩 の 一 つとなってきた 間 近 に 周 辺 の 山 々が 迫 り, 谷 筋 の 料 理 旅 館 街 周 辺 には 桜, 紅 葉 が 見 られ, 古 木 が 多 く 落 ち 着 いた 雰 囲 気 の 自 然 風 景 となっている 地 区 の 大 部 分 はス ギの 植 栽 林 が 占 めている 愛 宕 山 地 区 (28) 愛 宕 山 は 清 滝 の 背 後 にあり, 周 囲 の 山 からひときわ 高 く 見 える また, 火 伏 せの しんざん 神 を 祭 る 神 山 として 畏 敬 され,この 地 域 を 代 表 する 山 として 人 々に 親 しまれている この 地 区 は 水 尾 の 集 落 を 含 み, 大 部 分 がスギ 植 栽 林 となっているが, 紅 葉 木 とそれ を 取 り 囲 むスギの 大 木 が 特 徴 的 である また, 登 山 道 のある 尾 根 道 は 落 葉 低 木 の 多 いアカマツ 林 となっており, 季 節 感 のある 自 然 風 景 を 構 成 している 嵯 峨 地 区 (29) 嵯 峨 野 周 辺 の 小 倉 山 や 五 山 の 送 り 火 の 一 つである 鳥 居 形 等 のなだらかな 山 並 みが, 鳥 居 本 などの 集 落 や 田 園 風 景 と 一 体 になって 京 の 雅 を 代 表 する 野 の 風 景 を 成 し ている 山 麓 部 一 体 は, 古 くは 隠 棲 の 地 として 知 られ, 竹 林 の 中 に 物 さびた 風 情 の 中 の 寺 院 や 庵 居 跡 などが 点 在 している 10

嵯 峨 の 自 然 は 松 林 と 竹 林 との 対 比 にあるともいえる 鳥 居 本 の 背 後 のアカマツ 林 は 古 木 を 含 むが, 枯 損 木 の 少 ない 美 林 であり, 山 すその 一 部 はモウソウチクの 林 が 見 られる 谷 あいにはスギ 植 栽 林 もあるが, 他 の 地 区 と 比 べ, 規 模 が 小 さくあまり 目 立 たない 嵐 山 地 区 (30) りょう 嵐 山 は 落 葉 広 葉 樹 を 多 く 含 むアカマツ 林 で, 桜, 新 緑, 紅 葉, 稜 線 の 松 の 景 観 が 嵐 山 の 自 然 風 景 を 生 み 出 し, 保 津 川 と 一 体 となった 山 の 曲 線 が 自 然 風 景 の 中 心 をな しているなど, 我 が 国 を 代 表 する 景 勝 地 となっている 現 況 はアカマツ,ヤマザクラが 減 少 傾 向 にあり,サカキ,ヒサカキなど 常 緑 広 葉 樹 が 盛 んに 生 育 している 松 尾 地 区 (31) しゅん 桂 川 と 急 峻 な 西 山 の 山 並 みが 特 徴 的 な 風 景 であり, 山 麓 部 には, 松 尾 神 社, 西 芳 寺, 鈴 虫 寺 等 の 社 寺 が 数 多 く 見 られる そう 松 尾 大 社 社 叢 は 台 風 被 害 などによって 大 径 木 は 多 くはないが, 古 いシイ 林 となっ ておりカギカズラ( 京 都 市 指 定 天 然 記 念 物 )が 生 育 している 西 芳 寺 の 裏 はスギを 主 とした 植 栽 林 とアカマツ 林 から 成 る (3) 自 然 風 景 の 保 全 の 重 点 この 地 域 は, 我 が 国 の 第 一 級 の 景 勝 地 であり, 借 景 的 な 意 義 が 特 に 大 きいことから, それぞれの 観 光 ポイントのイメージを 構 成 する 特 徴 的 な 自 然 風 景 の 保 全 に 重 点 を 置 く 6 大 枝 大 原 野 地 域 (1) 概 況 この 地 域 は, 大 枝 地 区, 小 塩 山 地 区, 善 峰 寺 地 区 の3 地 区 に 分 けられ,それぞれ 次 のような 特 質 を 有 している 大 枝 地 区 は, 竹 林 地 帯 の 丘 陵 で,すそ 野 の 柿 畑 と 一 体 となって, 静 かで 落 ち 着 いた たたずまいの 自 然 風 景 を 形 成 している こう 小 塩 山 地 区 は, 小 塩 山 の 東 斜 面 及 び 山 頂 部 を 中 心 とした 一 帯 であり, 勾 配 の 急 な 斜 面 が 多 く, 山 麓 部 に 大 原 野 神 社, 勝 持 寺 があり,すそ 野 には 柿 畑 が 広 がっている 善 峰 寺 地 区 と 共 に, 京 都 の 西 南 部 の 緑 豊 かな 山 並 みとして, 市 街 地 から 特 によく 眺 望 さ れる こう 善 峰 寺 地 区 は, 小 塩 山 の 南 斜 面 を 中 心 とした 一 帯 であり, 勾 配 の 急 な 斜 面 が,それ につながる 大 原 野 の 田 園 地 帯 に 接 したなだらかな 斜 面 の 背 景 として 自 然 風 景 を 形 成 し ている ア 地 形 丘 陵 地 帯 の 大 枝 地 区 と 標 高 が 約 640メートルの 小 塩 山 を 中 心 とした 小 塩 山 地 区 善 峰 寺 地 区 の 二 つの 性 格 が 異 なった 地 形 に 別 れる 11

丘 陵 地 帯 には, 起 伏 の 少 ない 谷 筋 に 小 渓 流 が 存 する 小 塩 山 を 中 心 とした 地 形 は, 緩 傾 斜 の 洛 西 の 台 地 を 徐 々にせり 上 がった 先 に 南 北 に 広 がる 山 地 が, 壁 のように 立 ちはだかった 状 態 となっている イ 地 質 地 層 大 枝 地 区 の 大 部 分 と 小 塩 山 地 区 の 山 すそ 緩 傾 斜 地 は 大 阪 層 群 を 基 盤 とする 比 較 的 軟 質 の 堆 積 物 からなる このうち, 粘 性 の 高 い 土 壌 条 件 下 では, 竹 林 が 経 営 され, 通 気 性 の 高 い 土 壌 条 件 下 では 柿 畑 が 経 営 されてきた 一 方, 小 塩 山 の 山 地 部 分 や 善 峰 寺 地 区 は 中 古 生 層 の 堅 い 岩 盤 を 持 つ 堆 積 物 を 基 盤 とし, 風 化 が 進 んだ 良 好 な 土 壌 条 件 となるところでは, 発 達 した 樹 林 を 形 成 している ウ 植 生 大 枝 地 区 のなだらかな 丘 陵 地 帯 ではモウソウチクの 林 を 基 本 とし, 部 分 的 に 落 葉 広 葉 樹 林,アカマツ 林 を 含 んでいる 小 塩 山 では, 山 麓 は 柿 畑 となるが, 山 地 に 入 ると,アカマツ 林 やスギ,ヒノキ 林 が 主 体 となり, 一 部 に 落 葉 広 葉 樹 林 を 交 える 樹 林 景 観 となる 善 峰 寺 地 区 では,さ らに 植 林 地 と 落 葉 広 葉 樹 林 面 積 が 増 え, 樹 林 もよく 発 達 している 特 に 自 然 性 の 高 いモミ 林 や 景 観 的 価 値 の 高 いカエデ 林 も 一 部 では 見 られる エ その 他 この 地 域 は, 間 伐, 伐 採 等 の 林 業 施 業 が 行 われているが, 一 方 では 勝 持 寺 ( 花 の 寺 ), 善 峰 寺 などへの 観 光 客 や,ハイキング 客 の 増 加 など, 洛 西 の 観 光 地, 自 然 散 策 地 としてのウェイトが 近 年 高 くなりつつある (2) 自 然 風 景 の 特 徴 大 枝 地 区 (32) 松 尾 に 連 なる 山 々の 山 麓 には, 竹 林 地 帯 の 丘 陵 が 広 がり, 所 々に 落 葉 広 葉 樹 林,ア たけのこ カマツ 林 があり, 起 伏 の 少 ない 谷 筋 は 小 渓 流 が 流 れている 筍 を 生 産 するために 手 入 れされた 美 しい 竹 林 が 多 いが, 一 部 には 竹 材 採 取 用 の 密 度 の 高 い 竹 林 や 放 置 された 竹 林 がある 小 塩 山 地 区 (33) 小 塩 山 の 山 麓 部 には 大 原 野 神 社, 勝 持 寺 ( 花 の 寺 ), 金 蔵 寺 等 があり, 更 に 山 すそ にはなだらかな 斜 面 に 田 園 風 景 が 広 がっている 小 塩 山 の 山 頂 は 常 緑 広 葉 樹 の 侵 入 が 比 較 的 少 なく, 安 定 した 落 葉 広 葉 樹 林 となって おり, 季 節 感 のある 自 然 風 景 を 構 成 している また, 山 頂 の 淳 和 天 皇 陵 付 近 ではヒノ キの 植 栽 林 が 広 がっている 山 頂 から 西 側 は 施 業 されたスギ,アカマツ 林 があり, 手 入 れされたスギ 林, 枯 損 木 の 少 ないアカマツ 林 など 林 業 地 としての 景 観 は, 美 林 という 自 然 風 景 の 印 象 を 与 える 中 腹 にカエデ 類 の 多 い 紅 葉 の 美 しい 林 分 があり, 山 麓 は 柿 畑 となるが 傾 斜 のやや 強 い 山 すそにはクヌギ,コナラなどの 落 葉 広 葉 樹 林 が 見 られる 金 蔵 寺 境 内 林 のイロハ 12

モミジは 大 径 木 が 多 くあって, 見 ごたえのある 自 然 風 景 を 構 成 している 善 峰 寺 地 区 (34) 小 塩 山 の 南 につづく 釈 迦 岳 の 中 腹 には 善 峰 寺 があり, 山 すそのなだらかな 斜 面 には 竹 林 が 広 がっている 善 峰 寺 は 紅 葉, 新 緑 の 季 節 には 数 多 くの 観 光 客 が 訪 れ, 境 内 か ら 大 原 野 周 辺 が 一 望 される 参 道 には 昔 に 植 栽 されて 大 きく 育 ったスギの 美 林 が 続 き, 更 に 門 前 に 近 づくとまとまりのあるイロハモミジ 林 がある 境 内 林 の 一 部 には, 落 葉 広 葉 樹 を 含 む 自 然 性 の 高 いモミ 林 があり, 谷 筋 ( 灰 谷 など), 山 麓 には 薪 炭 林 として 利 用 されてきた, 発 達 したクヌギ,アベマキを 主 とする 落 葉 広 葉 樹 林 がある 灰 谷 などの 谷 筋 の 大 規 模 で 発 達 した 落 葉 広 葉 樹 林 は, 多 様 な 種 を 含 み, 大 原 野 の 自 然 の 豊 かさを 代 表 しており, 尾 根 筋 や 山 腹 斜 面 ではモミを 多 く 含 む 針 広 混 交 林 が 本 来 の 大 原 野 の 自 然 風 景 といえる (3) 自 然 風 景 の 保 全 の 重 点 この 地 域 は, 山 麓 部 の 豊 かな 樹 林 と 田 園 とが 調 和 した 姿 が 特 徴 であることから, 田 園 地 帯 の 背 景 としての 自 然 風 景 の 保 全 に 重 点 を 置 く 13