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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

3 避 難 状 況 避 難 指 示 避 難 勧 告 都 道 府 県 名 市 区 町 村 名 指 示 日 時 勧 告 日 時 青 森 県 岩 手 県 山 形 県 埼 玉 県 千 葉 県 東 京 都 鰺 ヶ 沢 町 月 16 日 12 時 55 分 10 月 22 日 10 時 00 分

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(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 (H20.4.1) 96.7 (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.4.1), (H25.4.1) 参 考 値 98.3 (H25.7.1) (H20.4.1) (H25.4

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

別紙3

( の 復 旧 ) 3. 南 相 馬 市 エリアの 避 難 指 示 解 除 準 備 区 域 及 び 居 住 制 限 区 域 内 の 路 線 数 ( ) 10 路 線 うち 被 災 した 路 線 ( 工 区 ) 数 10 路 線 52 箇 所 うち 応 急 対 策 を 実 施 した 路 線 ( 工 区

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

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別紙3

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 135,6 2 級 185,8 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものである 3 級

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定款  変更

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

特 集 東 日 本 大 震 災 からの 復 興 と 防 災 対 策 それぞれ 一 人 としてカウントされ) (3) 調 査 結 果 1 累 積 人 数 累 積 人 数 平 成 23 年 7 月 1 日 まで 10 月 1 日 まで 1 月 4 日 まで 3 月 31 日 まで 岩 手 県 14,99

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65 発 送 管 理 2 賦 課 期 日 情 報 66 発 送 管 理 3 賦 課 期 日 情 報 67 発 送 管 理 4 賦 課 期 日 情 報 68 発 送 管 理 5 賦 課 期 日 情 報 69 発 送 管 理 6 賦 課 期 日 情 報 70 発 送 管 理 7 賦 課 期 日 情 報

2. 建 築 基 準 法 に 基 づく 限 着 色 項 目 の 地 区 が 尾 張 旭 市 内 にはあります 関 係 課 で 確 認 してください 項 目 所 管 課 窓 口 市 役 所 内 電 話 備 考 がけに 関 する 限 (がけ 条 例 ) 都 市 計 画 課 建 築 住 宅 係 南 庁 舎

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異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

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第 節 ○○計画

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 135,600 円 185,800 円 222,900 円 261,900 円

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入札公告 機動装備センター

Transcription:

特 集 東 日 本 大 震 災 と 内 航 海 運 藤 井 英 男 ( 日 本 内 航 海 運 組 合 総 連 合 会 調 査 企 画 部 長 ) 目 次 はじめに 1 内 航 海 運 の 震 災 対 応 2. 内 航 海 運 の 被 害 3. 震 災 が 内 航 海 運 に 及 ぼす 影 響 4. 震 災 とカボタージュ 問 題 5. 終 わりに はじめに 今 年 3 月 11 日 に 起 きた 東 日 本 大 震 災 は 発 生 から8か 月 余 りを 経 た 現 在 においても 被 災 地 の 復 旧 復 興 はまだ 道 半 ばである 加 えて 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 重 大 事 故 に 代 表 さ れるように 震 災 から 派 生 した 多 くの 問 題 が 今 も 進 行 形 で 続 いている こうした 事 態 が 収 束 し 解 決 を 見 るまでには まだかなりの 時 間 を 要 するであろう その 意 味 で 震 災 はまだ 終 わっていないと 言 える 今 なお 続 く 被 災 者 の 物 心 両 面 での 苦 難 を 思 うにつけても 浅 薄 な 知 見 で 安 易 に 総 括 めいた 言 辞 を 弄 することには 些 か 違 和 感 がないわけではない しかしながら 直 接 あるいは 間 接 的 に 何 らかの 形 で 震 災 に 関 わった 者 が 記 憶 が 生 々しいうちに その 実 態 を 書 き 留 めることもまた 必 要 であろう 震 災 で 何 が 起 こり 吾 々はそこから 何 を 学 んだのか その 教 訓 を 後 世 につないで 行 くことが 図 ら ずも 震 災 に 立 ち 会 うことになった 同 時 代 人 としての 責 務 と 考 えるからである 本 稿 はその ような 考 えに 立 ち 主 として 内 航 海 運 の 立 場 から 震 災 の 状 況 や 対 応 を 記 すとともに そ こで 浮 き 彫 りになった 問 題 への 考 察 を 試 みるものである 1. 内 航 海 運 の 震 災 対 応 3 月 11 日 の 震 災 発 生 当 日 内 航 海 運 の 業 界 団 体 たる 日 本 内 航 海 運 組 合 総 連 合 会 ( 以 下 内 航 総 連 という)は 上 野 孝 会 長 を 本 部 長 として 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 災 害 対 策 本 部 (4 月 1 日 に 東 日 本 大 震 災 対 策 本 部 と 名 称 を 変 更 )を 設 置 した 対 策 本 部 が 最 初 に 行 ったことは 国 土 交 通 省 の 要 請 により 緊 急 物 資 輸 送 対 応 船 舶 とし て RORO 船 コンテナ 船 ガット 船 計 19 隻 をリストアップして 提 出 したことである 3

震 災 2 日 後 の3 月 13 日 であった しかしながら これらの 船 舶 が 直 ちに 被 災 地 の 港 湾 に 向 けて 緊 急 支 援 物 資 の 輸 送 に 従 事 するということにはならなかった 青 森 県 の 八 戸 港 から 茨 城 県 の 鹿 島 港 にかけての 太 平 洋 沿 岸 の 諸 港 は 地 震 とその 後 の 津 波 で 軒 並 み 甚 大 な 被 害 を 受 け 小 型 の 内 航 船 といえども 入 港 できるような 状 態 ではなかったのである 岸 壁 やクレーンの 損 壊 だけでなく 津 波 に よる 瓦 礫 が 港 内 の 水 面 を 埋 めて 船 舶 の 行 く 手 を 阻 み あるいはワイヤーや 漁 網 などの 水 中 浮 遊 物 が 船 体 やプロペラを 損 傷 させる 恐 れがあった 灯 台 の 損 傷 航 路 標 識 の 流 失 停 電 による 夜 間 照 明 の 喪 失 が 困 難 に 拍 車 をかけた 港 内 だけでなく 被 災 地 沖 の 広 範 な 海 域 に おいても 津 波 で 流 された 家 屋 コンテナ 流 木 など 大 量 の 漂 流 物 が 安 全 な 航 行 を 阻 害 した こうした 状 況 下 で 重 大 な 被 害 を 免 れた 青 森 港 秋 田 港 新 潟 港 などへの 救 援 物 資 の 輸 送 は 震 災 直 後 から 始 まったが 被 災 港 湾 への 輸 送 は 関 係 者 の 多 大 な 努 力 で 当 該 港 の 応 急 使 用 が 可 能 となるのを 待 たなければならなかった 震 災 発 生 10 日 後 の3 月 21 日 に ガソリ ン 軽 油 灯 油 合 計 2,010キロリットルを 積 んだ 内 航 タンカー 鶴 宏 丸 699GTが 塩 釜 港 に 入 港 したのが その 嚆 矢 である 被 災 地 では 緊 急 車 輌 用 のガソリン 軽 油 暖 房 用 の 灯 油 が 欠 乏 しており その 補 給 が 急 務 であった 塩 釜 に 続 いて23 日 に 八 戸 港 25 日 に 鹿 島 港 29 日 に 日 立 港 と 小 名 浜 港 へ それぞれ 震 災 後 はじめて 内 航 タンカーが 燃 料 を 輸 送 した RORO 船 やフェリーも 震 災 後 早 い 段 階 で 緊 急 輸 送 に 貢 献 した これらの 船 種 では ラ ンプウェーを 岸 壁 に 下 ろすことができれば クレーンなど 陸 上 の 荷 役 機 器 が 無 くても 積 載 した 車 輌 を 自 走 で 陸 揚 げできる 点 が 強 みになった 被 災 港 湾 向 けでは 3 月 23 日 に 仙 台 港 へRORO 船 神 泉 丸 13,089GT 同 日 八 戸 港 へ 自 動 車 専 用 船 蓉 翔 丸 14,790GTが 震 災 後 はじめての 輸 送 を 行 った 被 災 地 救 援 が 焦 眉 の 急 であった4 月 末 までに 内 航 貨 物 船 が 行 った 緊 急 輸 送 量 は タ ンカーによる 燃 料 油 LPGなど 約 205 万 キロリットル 一 般 貨 物 船 による 家 畜 用 飼 料 約 62,000トン RORO 船 自 動 車 船 による 緊 急 車 輌 建 設 機 械 など 約 230 台 であった また 同 じ 時 期 に 長 距 離 フェリーは 自 衛 隊 警 察 官 消 防 隊 員 など 約 31,000 人 車 輌 8,500 台 を 輸 送 した フェリーは 車 輌 以 外 に 多 数 の 旅 客 を 収 容 する 設 備 を 有 しているため 車 輌 と 要 員 を 擁 する 緊 急 部 隊 の 輸 送 には 適 していると 言 える 2. 内 航 海 運 の 被 害 今 回 の 震 災 では 内 航 海 運 事 業 者 で 被 災 した 者 も 少 なくなかった 内 航 貨 物 船 関 係 の 被 害 状 況 は< 被 害 表 >の 通 りである 船 員 本 人 の 死 亡 行 方 不 明 は52 名 陸 上 職 員 のそれは 4 名 で それぞれの 家 族 の 死 亡 行 方 不 明 179 名 を 加 えると235 名 の 多 数 に 上 る 内 航 貨 物 船 の 船 員 数 が2 万 人 余 りであることを 考 えると 犠 牲 者 の 多 さに 慄 然 とせざるを 得 ない 一 方 内 航 船 関 係 の 船 舶 の 被 害 は 全 損 4 隻 部 分 損 壊 11 隻 であった ( 注 1) 被 災 地 の 惨 状 を 考 えると 船 舶 の 損 害 は 比 較 的 軽 かったと 言 えるが 被 災 港 に 停 泊 していて 地 震 直 ( 注 1) 日 本 船 主 協 会 によれば,この 他 に 外 航 船 の 被 害 が 全 損 3 隻, 部 分 損 壊 8 隻 あった. 4

表 1. 内 航 海 運 震 災 発 生 後 の 主 な 対 応 等 3 月 11 日 内 航 総 連 内 に 東 北 地 方 太 平 洋 沖 地 震 災 害 対 策 本 部 (4 月 1 日 より 東 日 本 大 震 災 対 策 本 部 に 名 称 変 更 )を 設 置 12 日 内 航 タンカーが 震 災 後 初 めて 日 本 海 側 の 秋 田 港 へガソリンと 軽 油 ( 計 4,980kl)を 輸 送 13 日 国 交 省 の 要 請 により 緊 急 物 資 輸 送 対 応 船 舶 として RORO 船 コンテ ナ 船 ガット 船 10 社 19 隻 をリストアップして 提 出 14 日 内 航 タンカーが 震 災 後 初 めて 新 潟 港 へガソリン 軽 油 灯 油 ( 計 3,900kl) を 輸 送 15 日 農 水 省 の 要 請 により 東 北 向 け 家 畜 飼 料 の 緊 急 輸 送 のための 内 航 船 舶 の 手 配 を 実 施 20 日 RORO 船 が 震 災 後 初 めて 青 森 港 へタンクローリー トレーラー トラッ ク 建 設 機 械 を 輸 送 21 日 内 航 タンカーが 震 災 後 初 めて 太 平 洋 側 の 塩 釜 港 へガソリン 灯 油 軽 油 ( 計 2,010kl)を 輸 送 23 日 RORO 船 が 震 災 後 初 めて 仙 台 港 へ 緊 急 物 資 機 器 等 を 輸 送 震 災 後 初 め て 八 戸 港 へ 自 動 車 専 用 船 が 緊 急 支 援 物 資 を ケミカルタンカーがプロパ ンガスを 輸 送 震 災 による 内 航 海 運 の 被 害 状 況 を 取 り 纏 めて 初 めてプレスに 公 表 すると ともに 内 航 総 連 会 長 の 哀 悼 の 意 とお 見 舞 いメッセージを 発 表 25 日 内 航 タンカーが 震 災 後 初 めて 鹿 島 港 へガソリンを 輸 送 29 日 内 航 タンカーが 震 災 後 初 めて 日 立 港 へガソリン 灯 油 軽 油 を 輸 送 内 航 タンカーが 震 災 後 初 めて 小 名 浜 港 へガソリンを 輸 送 4 月 5 日 震 災 地 域 の 港 に 入 るRORO 船 航 路 が 震 災 後 初 めて 運 航 再 開 ( 常 陸 那 珂 ~ 苫 小 牧 6 日 常 陸 那 珂 入 港 ) 震 災 発 生 後 1ヶ 月 半 (4 月 末 まで)の 内 航 海 運 による 緊 急 輸 送 量 タンカー 燃 料 油 LPG 等 約 205 万 キロリットル 一 般 貨 物 船 家 畜 飼 料 約 6 万 2 千 トン RORO 船, 自 動 車 専 用 船 貨 物 車 輌 建 設 機 械 消 防 車 など 約 230 台 後 に 咄 嗟 の 判 断 で 急 遽 離 岸 し 辛 くも 津 波 を 逃 れたケースも 少 なくなかったようである 比 較 的 小 型 の 内 航 船 は 小 回 りが 効 いて 機 敏 な 対 応 が 取 り 易 いということもあるが 現 場 の 臨 機 応 変 の 対 応 が 明 暗 を 分 けたと 言 えよう ( 注 2) ( 注 2) 震 災 直 後, 被 災 港 における 内 航 船 の 緊 迫 した 状 況 については, 日 本 海 難 防 止 協 会 海 と 安 全 NO.549 所 収 の 東 日 本 大 震 災 と 巨 大 津 波 に 立 ち 向 かった 船 員 たち と 題 するリポートで 詳 し く 報 じられている. 5

東日本大震災と内航海運 被害という点では 福島第一原子力発電所の重大事故も看過できない 津波で被災した 同原発が深刻な放射能汚染を起こしたことについては ここで改めて触れるまでもない が 同原発の沖を航行する船舶にも大きな影響が及んだのである 内航船の多くは沿海資格を有しており それらの船は海岸から20海里 約36Km 以内 を航行することが義務付けられている 今回の事故では同原発から30Km圏内が警戒区域 となり 立入が禁止されたため 内航船は海上保安庁の指示により 本来の20海里の制限 に拘わらず 沖合いを迂回して航行することを余儀なくされた 20海里内ぎりぎりであ れば 理論上は30Km圈をかわすことができるが 様々な情報が乱れ飛び 信頼できる放 射能測定データも公表されていない状況で 現場は混乱し 30Kmを越えて大きく迂回航 行した船舶も多かったと見られる 注3 4月22日以降は 警戒区域は福島第一原発から 20Km圏内に縮小され 20Km 30Kmは緊急時避難準備区域となったが 依然として制 限が続いている 内航事業者は迂回航海のために 航海距離が伸びて燃料消費量が増大したほか 航海時 間が増大するという経済的な被害を被った また 一部では積荷に対して放射能測定を行 わざるを得なかったケースもあったと言われ その費用も発生している こうした被害に 対して 8月5日に政府の原子力損害賠償紛争審査会が中間指針を公表し 福島第一原発 から30Kmの範囲内で 船舶の迂回航海に伴うコスト増加を賠償の対象とすることを明ら かにした 8月30日には東京電力から本補償の方針が発表されて 該当する内航事業者は それに基づいて各自 請求の手続きを取る途が開かれた 表2 東日本大震災による内航海運の被害状況 3 震災が内航海運に及ぼす影響 今回の震災が内航海運に及ぼす影響については 複雑な要因が絡み合っており 単純明 快に論じることはできないが 荷動きへの影響としては おおよそ以下のようなことにな るであろう 注3 文部科学省は3月24日から 福島第一原発周辺の海域における放射能モニタリング結果を公表 するようになった 6

荷 動 きを 左 右 する 主 要 な 要 因 としては 輸 送 手 段 の 供 給 としての 船 舶 の 就 航 状 況 と 需 要 としての 貨 物 の 出 荷 量 が 考 えられる まず 船 舶 の 就 航 状 況 について 見 ると 既 に 述 べた 通 り 被 災 地 の 港 湾 が 甚 大 な 被 害 を 受 けて 機 能 がマヒしたことから 震 災 発 生 後 これらの 諸 港 への 配 船 が 不 能 となった 八 戸 釜 石 仙 台 小 名 浜 常 陸 那 珂 大 洗 などに 寄 港 していたRORO 船 コンテナ 船 フェリー の 定 期 便 は サービスを 休 止 するか 寄 港 地 を 変 更 せざるを 得 なかった その 後 港 湾 の 復 旧 が 徐 々に 進 み 定 期 航 路 も 順 次 再 開 されているが 10 月 17 日 現 在 で ( 注 4) 青 森 県 から 茨 城 県 にかけての 諸 港 の 公 共 岸 壁 の 暫 定 利 用 可 能 率 は 漸 く6 割 という 水 準 で 内 航 輸 送 の 本 格 的 な 復 活 を 阻 害 する 要 因 となっている 一 方 貨 物 の 出 荷 量 については 短 期 的 な 影 響 と 中 長 期 的 な 影 響 に 分 けて 考 える 必 要 が あろう まず 短 期 的 な 動 きを 見 てみたい 東 北 地 方 は 農 業 水 産 業 畜 産 業 の 一 大 生 産 地 である 他 自 動 車 やエレクトロニクス 関 係 のメーカーが 多 数 展 開 する 産 業 集 積 地 域 としての 面 を 持 つ これらの 産 業 が 震 災 で 甚 大 な 被 害 を 受 けて 東 北 地 方 からの 出 荷 が 大 きく 減 少 した 更 に 震 災 の 影 響 は 被 災 地 だけにとどまらなかった 全 国 規 模 で 構 築 された 製 造 業 のサ プライ チェーン 構 造 にあって 地 震 や 津 波 の 被 害 が 全 くなかった 遠 隔 地 でも 被 災 地 か ら 原 材 料 や 部 品 の 供 給 が 停 止 したことにより 工 場 の 操 業 が 止 まったり 大 幅 に 低 下 する という 事 態 を 生 じたのである その 代 表 例 は 自 動 車 産 業 である 内 航 総 連 が 毎 月 調 査 して いる 貨 物 輸 送 量 の 速 報 値 によれば 自 動 車 の 内 航 輸 送 量 は 震 災 直 前 の2011 年 2 月 に 前 年 同 月 比 で 同 水 準 (100%)であったものが 震 災 のあった3 月 には60%へ 急 落 し 4 月 には 更 に44%まで 下 落 した 震 災 後 に 全 国 規 模 で 自 動 車 生 産 が 減 少 したことを 反 映 している 生 産 の 効 率 性 を 追 求 したサプライ チェーン 構 造 の 脆 弱 さが 露 呈 したと 言 えるが このよ うな 生 産 の 落 ち 込 みは 幸 いにしてその 後 当 初 の 予 想 以 上 に 早 く 回 復 しつつある 自 動 車 について 言 えば 秋 以 降 はほぼ 震 災 前 の 生 産 水 準 に 戻 ったといわれており 鉄 鋼 など 他 の 素 材 部 門 への 波 及 効 果 も 期 待 される 製 造 業 以 外 では 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 重 大 事 故 の 影 響 で 全 国 各 地 の 原 子 力 発 電 所 が 定 期 検 査 終 了 後 に 運 転 を 再 開 できないという 異 常 な 事 態 となって 代 替 電 源 としての 火 力 発 電 所 向 けの 石 炭 や 重 油 の 国 内 二 次 輸 送 量 が 増 加 するという 現 象 も 起 きている ま た 岩 手 宮 城 福 島 の3 県 で 発 生 した2,260 万 トン ( 注 5) とも 言 われる 震 災 の 瓦 礫 も 全 量 を 当 該 県 内 で 最 終 処 理 するのは 物 理 的 に 不 可 能 であることから 他 の 都 道 府 県 への 瓦 礫 輸 送 が 行 われることになれば 内 航 荷 動 きの 増 加 要 因 となろう しかし 長 期 的 な 視 点 に 立 てば 事 態 は 別 の 様 相 を 呈 する 全 国 各 地 で 原 発 が 停 止 したこ とにより 電 力 供 給 が 逼 迫 し 製 造 業 が 深 刻 な 影 響 を 受 けている 今 年 の 夏 は 全 国 規 模 の 節 電 が 奏 功 して 何 とか 乗 り 越 えたが 冬 場 はどうか 折 から 欧 米 の 財 政 危 機 に 端 を 発 した 急 速 な 米 ドルとユーロの 安 値 円 高 も 合 俟 って わが 国 製 造 業 の 海 外 移 転 が 一 層 加 速 するよ ( 注 4) 国 土 交 通 省 によれば, 平 成 23 年 10 月 17 日 現 在, 八 戸 から 鹿 島 までの21 港 湾 の 水 深 4.5メートル 以 上 の 公 共 岸 壁 373バースのうち, 暫 定 利 用 可 能 なものは61%に 当 たる228バース. ( 注 5) 国 土 交 通 省 による. 7

うなことになれば 重 厚 長 大 産 業 への 依 存 度 が 高 い 内 航 海 運 ( 注 6) にとって 荷 動 きの 減 少 が 更 に 進 むことも 懸 念 される 21 5236 3.9% 32.0% 1,673 63.9% 41.4 14.3 85.7 7.6 58.6 13.3 92.4 86.7 グラフ1. 日 本 の 国 内 輸 送 機 関 別 シェア( 平 成 21 年 度 総 量 5236 億 トンキロ) 4. 震 災 とカボタージュ 問 題 従 来 から 一 部 の 識 者 の 中 に カボタージュ 規 制 の 廃 止 を 主 張 する 意 見 があったが 議 論 に 妥 当 性 を 欠 く 部 分 も 多 く 内 航 業 界 として 強 く 反 論 してきたところである 今 回 の 大 震 災 により 図 らずもカボタージュ 規 制 の 必 要 性 が 再 認 識 されつつあり その 点 について 触 れてみたい カボタージュ 規 制 とは 国 内 の 貨 物 旅 客 の 海 上 輸 送 を 自 国 船 に 限 るというルールで 現 在 内 航 海 運 を 有 する 多 数 の 国 でこの 制 度 が 取 られ グローバルスタンダードとも 言 え る 状 況 になっている わが 国 では 明 治 32 年 に 制 定 された 船 舶 法 の 第 3 条 で 日 本 船 舶 ニ 非 サレハ( 中 略 ) 日 本 各 港 ノ 間 ニ 於 テ 物 品 又 ハ 旅 客 ノ 運 送 ヲ 為 スコトヲ 得 ス( 後 略 ) と 定 められている カボタージュ 規 制 に 反 対 する 意 見 を 要 約 すれば 市 場 における 競 争 の 促 進 を 至 上 の 命 題 として コストの 安 い 外 国 船 が 内 航 海 運 へ 参 入 することにより 内 航 運 賃 を 引 き 下 げるこ とが 可 能 になる というものである しかしながら このようにコスト 問 題 を 論 拠 とするカボタージュ 解 禁 論 には 欠 陥 がある と 考 える まず 内 航 船 のコストが 外 国 船 に 比 べて 高 いという 主 張 であるが 両 者 を 単 純 に 比 較 することには 無 理 がある 例 えば 燃 料 費 一 つとっても 外 航 たる 外 国 船 は 燃 料 油 ( 注 6) 日 本 の 国 内 物 流 に 占 める 内 航 海 運 の 割 合 は, 平 成 21 年 度 にトンキロ ベースで32%であったが, 鉄 鋼, 石 油,セメントなどの 産 業 基 礎 物 資 に 関 しては 約 8 割 に 達 する. 8

が 免 税 となるのに 対 して 内 航 船 ではキロリットル 当 たり2,040 円 の 石 油 石 炭 税 が 課 税 さ れるのである こうした 税 制 や 制 度 面 での 制 約 を 考 えることなく 内 航 船 はコストが 高 い から 外 国 船 をという 主 張 は 甚 だ 公 平 を 欠 くものである また 内 航 海 運 のコストが 割 高 という 見 方 自 体 が 誤 謬 を 含 んでいる いま 日 本 の 海 上 貨 物 がどんどん 釜 山 経 由 で 運 ばれているのは 外 航 コンテナの 国 内 フィーダー 料 金 が 韓 国 フィーダー 料 金 に 比 べて 高 いためで その 原 因 は 内 航 運 賃 が 割 高 であるとの 指 摘 があり その 正 確 なコスト 比 較 を 内 航 総 連 が 内 航 コンテナ フィーダー 船 のコスト 分 析 国 内 コ ンテナ フィーダーに 関 する 研 究 ( 平 成 23 年 10 月 )で 行 った それによると 国 内 の 主 なフィーダー 航 路 において 海 上 部 分 のコスト( 内 航 コンテナ 船 の 運 賃 部 分 )は 全 体 の3 分 の1 程 度 であり 残 りの3 分 の2は 陸 上 ターミナルで 外 航 母 船 に 積 込 むための 費 用 であ る ( 注 7) つまり 陸 上 ターミナルで 発 生 する 費 用 を 引 き 下 げなければ 国 内 フィーダー 全 体 のコストを 下 げ 釜 山 経 由 の 貨 物 を 取 り 戻 すことは 出 来 ない その 意 味 でカボタージュさえ 解 禁 すれば 問 題 は 解 決 するという 発 想 は 短 絡 的 で 的 外 れと 言 わざるを 得 ない 更 に 従 来 から 内 航 業 界 が 指 摘 してきたのは 大 規 模 災 害 や 有 事 の 場 合 の 日 本 船 日 本 人 船 員 による 内 航 海 運 の 重 要 性 である この 問 題 が 今 回 の 大 震 災 で 注 目 されることになっ た 震 災 後 一 部 の 外 国 船 が 福 島 原 発 事 故 による 放 射 能 汚 染 を 恐 れて 京 浜 港 への 入 港 を 忌 避 するという 事 態 が 発 生 した 外 航 コンテナ 船 が 京 浜 港 を 抜 港 し 京 浜 港 で 陸 揚 する 予 定 だった 多 数 のコンテナを 阪 神 港 で 揚 げたのである 国 交 省 によれば 震 災 後 6 月 26 日 まで に44 隻 の 外 航 コンテナ 船 が 京 浜 寄 港 を 取 り 止 めたことが 確 認 されている ( 注 8) 内 航 総 連 そ の 他 の 調 べでは 京 浜 抜 港 により 阪 神 港 で 揚 げられたコンテナは 約 3 千 TEUに 上 ると 推 計 される 震 災 直 後 に 日 本 に 居 住 あるいは 滞 在 していた 外 国 人 が 同 じような 事 情 で 大 挙 して 日 本 から 出 国 した 現 象 は 記 憶 に 新 しい それを 考 えれば 外 国 船 が 京 浜 港 を 抜 港 しても 驚 くには 当 たらないのかも 知 れない しかし この 事 実 は 大 規 模 な 災 害 や 有 事 の 際 に 外 国 船 や 外 国 人 船 員 が 果 たしてどこまで 頼 りになるのか という 重 たい 疑 問 を 吾 々に 突 き 付 ける 形 になった 震 災 からまだ 日 が 浅 い 頃 福 島 第 一 原 発 の 沖 合 いを 迂 回 航 行 しつつ 応 急 復 旧 も 不 十 分 な 被 災 地 の 港 に 燃 料 や 緊 急 物 資 を 輸 送 した 内 航 船 の 乗 組 員 は 非 常 な 緊 張 感 をもって 航 海 に 臨 んだという それが 現 実 であった カボタージュが 解 禁 されて 外 国 船 が 内 航 に 参 入 したとして 外 航 船 が 日 本 寄 港 を 忌 避 するような 非 常 事 態 が 起 きても 内 航 に 従 事 する 外 国 船 だけは 別 と 言 えるのだろうか カボタージュ 問 題 を 安 易 にナショナリズム 的 な 感 傷 論 で 論 じることは 本 意 ではない ( 注 7) 本 調 査 は, 日 本 の 外 航 コンテナの 内 航 フィーダーと 日 韓 フィーダーとのコスト 差 の 分 析 を 目 的 として, 国 内 28 港 に 寄 港 する 内 航 日 韓 フィーダー 船 を 対 象 に 行 ったものである.それによれ ば, 内 航 コンテナ フィーダーの 平 均 費 用 ( 地 方 港 でフィーダー 船 に 積 込 み,ハブ 港 にて 外 航 母 船 に 積 込 むまでの 費 用 )は20 コンテナ1 本 当 たり71,050 円 で,このうち 海 上 部 分 は24,200 円 (34%), 陸 上 部 分 は46,850 円 (66%). ( 注 8) 京 浜 港 を 抜 港 した44 隻 の 抜 港 の 理 由 は, 本 社 指 示 18 隻, 船 主 の 意 向 2 隻,バース 混 雑 スケ ジュール 調 整 12 隻,その 他 不 明 12 隻 であった. 9

しかしながら 国 家 の 安 全 保 障 や 国 民 経 済 の 安 定 に 関 わる 問 題 を 平 時 のコスト 論 的 な 視 点 だけで 論 じることには 非 常 に 危 ういものを 感 じるのである 5. 終 わりに 今 回 の 震 災 を 評 して ある 人 は 千 年 に 一 度 のことと 言 い 別 の 人 は 想 定 外 だったと 弁 明 する さる 検 討 会 の 席 では このような 人 知 を 越 えた 未 曾 有 の 事 態 では マニュアルは 役 に 立 たないという 意 見 も 出 た いずれの 意 見 にも 一 理 あり 否 定 することはできない そうした 意 見 を 耳 にして 筆 者 が 感 じたのは 非 常 時 においては 社 会 のポテンシャリ ティーが 試 されているのではないかということである 社 会 を 構 成 する 個 々の 組 織 やシス テムが 有 する 潜 在 的 な 対 応 能 力 別 の 言 い 方 をすれば 危 機 に 際 してのバックアップの 余 力 とでも 言 えるであろうか 古 来 無 用 の 用 という 言 葉 がある 効 率 性 が 優 先 される 現 代 においては 顧 みられる ことが 少 ないが その 一 方 で 効 率 性 を 極 限 まで 追 求 した 社 会 が 想 定 外 の 事 態 に 対 し て 脆 いことが 今 回 の 震 災 で 明 らかになった 例 えば 製 造 業 で 部 品 調 達 のシステムを 極 力 まで 効 率 化 した 場 合 その 調 達 先 が 震 災 で 被 災 するようなことになれば 本 体 の 企 業 の 生 産 そのものがダウンする 部 品 調 達 先 を 複 数 に 分 散 すれば そのようなリスクは 軽 減 されるであろう 国 内 の 輸 送 や 物 流 についても 同 じことが 言 えよう 震 災 の 教 訓 として 非 常 時 の 物 流 の 確 保 のためには 内 航 貨 物 船 フェリー トラック 鉄 道 といった 複 数 の 輸 送 モードを バランスよく 併 存 させることの 重 要 性 が 改 めて 認 識 された 例 えば 大 震 災 前 に 高 速 道 路 の 料 金 を 引 き 下 げたり 無 料 化 して その 結 果 内 航 やフェリーの 事 業 者 が 廃 業 の 瀬 戸 際 ま で 追 い 込 まれるという 事 例 があった このようなことは モーダルシフトに 逆 行 して 環 境 や 省 エネにマイナスであるのみならず 災 害 や 有 事 に 対 しても 賢 明 な 施 策 とは 思 えない もう 一 つ 内 航 海 運 の 立 場 から 述 べれば 船 舶 の 被 害 が 比 較 的 軽 かったにも 拘 わらず 港 湾 が 甚 大 な 被 害 を 受 けたために 震 災 直 後 に 被 災 地 の 港 へ 直 接 緊 急 物 資 を 海 上 輸 送 す ることが 出 来 なかった 内 航 に 携 わる 者 として 港 が 機 能 していたらもっと 迅 速 に 救 援 出 来 たのに という 思 いが 強 い その 教 訓 として 全 ての 港 湾 に 高 度 の 耐 震 機 能 を 持 たせる ことは 現 実 的 ではないとしても 震 災 に 強 い 拠 点 港 湾 を 重 点 的 に 整 備 することは 検 討 の 余 地 があろう 震 災 の 犠 牲 者 の 無 念 の 思 いを 無 駄 にしないためにも いま 一 歩 の 英 知 の 結 集 と 創 意 工 夫 が 求 められている 10