耐 震 診 断 改 修 の 手 引 き この 手 引 きは 建 築 物 の 耐 震 改 修 の 促 進 に 関 する 法 律 同 施 行 令 に 定 められている 指 針 基 準 ( 以 下 耐 震 診 断 基 準 * という) 等 に 基 づき その 具 体 的 な 取 り 扱 いを 示 していま す これらは 耐 震 診 断 基 準 等 の 中 で 診 断 者 の 判 断 に 委 ねられているもののうち 少 なくとも 検 討 しておくべき 事 項 や 基 準 等 では 明 確 になっていない 部 分 の 取 り 扱 いについて 耐 震 構 造 委 員 会 や 部 会 で 頻 繁 に 議 論 になる 事 項 を 掲 載 しています ただし 当 センターが 行 う 診 断 判 定 耐 震 改 修 評 定 については あくまで 耐 震 診 断 基 準 に 基 づき 耐 震 診 断 設 計 内 容 が 妥 当 かどうかを 審 査 するものです その 旨 ご 理 解 のうえ 申 請 の 参 考 としていただきますようお 願 い 致 します ( 一 財 ) 愛 知 県 建 築 住 宅 センター 調 査 評 定 課 * 耐 震 診 断 基 準 等 ( 参 考 文 献 ) 基 準 等 名 称 [ 発 行 者 ] 本 手 引 きでの 略 称 国 土 交 通 省 告 示 第 184 号 185 号 木 造 住 宅 の 耐 震 診 断 と 補 強 方 法 [( 財 ) 日 本 建 築 防 災 協 会 ] 耐 震 改 修 促 進 法 のための 既 存 鉄 骨 造 建 築 物 の 耐 震 診 断 および 耐 震 改 修 指 針 同 S 造 耐 震 診 断 指 針 解 説 (2011) [( 財 ) 日 本 建 築 防 災 協 会 ] 2001 年 改 訂 版 既 存 鉄 筋 コンクリート 造 建 築 物 の 耐 震 診 断 基 準 同 解 説 2001 年 改 訂 版 既 存 鉄 筋 コンクリート 造 建 築 物 の 耐 震 改 修 設 計 指 針 同 解 説 2001 年 改 訂 版 既 存 鉄 筋 コンクリート 造 建 築 物 の 耐 震 診 断 基 準 改 修 設 計 RC 造 耐 震 診 断 基 準 RC 造 耐 震 改 修 指 針 RC 造 耐 震 診 断 改 修 手 引 き 指 針 適 用 の 手 引 き [( 財 ) 日 本 建 築 防 災 協 会 ] 既 存 鉄 骨 鉄 筋 コンクリート 造 建 築 物 の 耐 震 診 断 基 準 [( 財 ) 日 本 建 築 防 災 協 会 ] 官 庁 施 設 の 総 合 耐 震 診 断 改 修 基 準 及 び 同 解 説 [( 財 ) 建 築 保 全 センター] 官 庁 施 設 の 総 合 耐 震 計 画 基 準 及 び 同 解 説 [( 社 ) 公 共 建 築 協 会 ] 屋 内 運 動 場 等 の 耐 震 性 能 診 断 基 準 ( 平 成 18 年 版 ) 屋 体 基 準 [ 文 部 科 学 省 大 臣 官 房 文 教 施 設 企 画 部 ] 既 存 プレキャスト 鉄 筋 コンクリート 造 建 築 物 の 耐 震 診 断 指 針 既 存 壁 式 鉄 筋 コンクリート 造 等 の 建 築 物 の 簡 易 耐 震 診 断 法 [( 財 ) 日 本 建 築 防 災 協 会 ] 既 存 鉄 筋 コンクリート 造 建 築 物 の 外 側 耐 震 改 修 マニュアル 外 付 マニュアル [( 財 ) 日 本 建 築 防 災 協 会 ] 実 務 者 のための 既 存 鉄 骨 造 体 育 館 等 の 耐 震 改 修 の 手 引 きと 事 例 [( 財 ) 日 本 建 築 防 災 協 会 ( 社 ) 建 築 研 究 振 興 協 会 ] 学 校 施 設 の 耐 震 補 強 マニュアル(RC 造 校 舎 編 )(S 造 屋 内 運 動 場 編 ) 既 存 鉄 骨 造 建 築 物 の 耐 震 改 修 施 工 マニュアル( 改 訂 版 )[( 財 ) 日 本 建 築 防 災 協 会 ]
目 次 頁 1. 現 地 調 査 (1-1) 違 反 建 築 物 について 3 (1-2) 検 査 済 書 未 交 付 建 物 について 3 (1-3) 構 造 図 面 のない 建 物 について 3 (1-4) 特 定 天 井 について 3 2. 鉄 骨 造 など (2-1) 屋 体 基 準 における 水 平 震 度 0.55の 取 り 扱 いについて 3 (2-2) 鉄 骨 造 のはり 間 ラーメン 構 造 の 耐 震 診 断 について 3 3.RC 造 (3-1) 境 界 梁 の 検 討 について 4 (3-2) コンクリート 強 度 の 採 用 値 について 5 (3-3) 低 強 度 のコンクリート 圧 縮 強 度 が 出 た 場 合 の 処 置 6 (3-4) 袖 壁 付 柱 と 片 側 柱 付 壁 の 判 定 について 6 (3-5) 下 階 壁 抜 け 柱 や 第 2 種 構 造 要 素 の 柱 が 存 在 する 際 の 診 断 結 果 の 表 記 6 (3-6) 偏 心 率 le が 0.15 を 超 える 場 合 の S D 指 標 の 算 出 方 法 について 7 (3-7) 鉄 筋 の 降 伏 点 強 度 について 7 (3-8) 鉄 骨 ブレースを 取 り 付 けた 極 脆 性 柱 のせん 断 耐 力 の 取 り 扱 いついて 8 (3-9) 補 強 計 画 における 増 設 耐 震 壁 鉄 骨 ブレースの 耐 力 の 算 定 方 法 について 8 (3-10) 既 設 柱 と 増 し 打 ち 梁 によりブレース 補 強 を 行 う 場 合 について 8 (3-11) 連 層 耐 震 壁 の 検 討 について 9 (3-12) 薄 い 壁 厚 の 耐 震 壁 の 取 扱 いについて 9 (3-13) 柱 帯 筋 の 90 度 フックの 影 響 について 9 (3-14) スリットによる 補 強 計 画 について 9 (3-15) 耐 震 スリットについて( 施 工 法 事 例 の 紹 介 ) 10 4. 木 造 など (4-1) 木 造 校 舎 等 の 耐 震 診 断 について 11 5.その 他 (5-1) 非 構 造 部 材 の 取 り 扱 いについて 11-2-
1. 現 地 調 査 ver.150601 (1-1) 違 反 建 築 物 について 違 反 建 築 物 については 耐 震 構 造 委 員 会 の 審 査 による 評 定 は 行 わない ただし 違 反 部 分 を 撤 去 する 等 の 処 置 があるものは 評 定 する (1-2) 検 査 済 書 未 交 付 建 物 について 検 査 済 書 未 交 付 建 物 は 設 計 図 書 を 用 いて 現 地 建 物 に 相 違 がないか 部 材 寸 法 形 状 配 置 等 を 充 分 調 査 したうえで 判 断 した 根 拠 を 添 付 の 上 申 請 する (1-3) 構 造 図 面 のない 建 物 について 構 造 図 のない 建 物 は 第 2 次 診 断 を 行 う 場 合 は 工 学 的 判 断 に 基 づき 柱 壁 等 の 配 筋 を 想 定 し 必 要 な 柱 壁 の 計 測 はつり 調 査 や 超 音 波 探 査 による 調 査 を 行 う (1-4) 特 定 天 井 について 特 定 天 井 ( 脱 落 によって 重 大 な 危 害 を 生 ずるおそれのある 天 井 建 築 基 準 法 施 行 令 第 39 条 3 項 の 天 井 をいう )を 有 する 建 物 は 地 震 時 における 特 定 天 井 の 安 全 性 を 確 認 する 2. 鉄 骨 造 など (2-1) 屋 体 基 準 における 水 平 震 度 0.55の 取 り 扱 いについて 屋 体 基 準 において 略 算 法 による 屋 根 面 ブレースの 検 討 時 の 地 震 力 は ( 屋 根 面 の 重 量 + 壁 面 重 量 の 一 部 ) 水 平 震 度 0.55とする また 屋 根 面 ブレースの 部 材 は 有 効 断 面 積 破 断 強 度 であり 軸 ブレースの 保 有 耐 力 接 合 と 同 じ 方 法 により 検 討 するものとする ( 屋 体 基 準 P54~57) 参 考 : 屋 体 基 準 講 習 会 より 水 平 震 度 0.55 で 検 討 するのは 平 家 建 扱 いの 場 合 のみである 2 層 以 上 の 場 合 は 地 震 動 の 増 幅 を 考 慮 して 検 討 すること (Ai と Fesi により 割 り 増 し 等 ) (2-2) 鉄 骨 造 のはり 間 ラーメン 構 造 の 耐 震 診 断 について 鉄 骨 ラーメン 構 造 の 耐 震 診 断 を 実 施 する 場 合 長 期 荷 重 の 影 響 も 考 慮 した 計 算 を 行 うと している 大 スパンの 建 物 に 対 して 地 震 時 における 上 下 動 検 討 撓 みの 検 討 等 を 行 う ( 屋 体 基 準 P8 P22~24) -3-
3.RC 造 ver.150601 (3-1) 境 界 梁 の 検 討 について 診 断 学 校 のはり 間 方 向 等 において 教 室 境 に 耐 力 壁 がある 架 構 については 壁 のせん 断 力 が 廊 下 部 の 梁 を 介 してC 通 りへ 伝 達 できるかどうか 壁 と 梁 のせん 断 力 を 比 較 するこ とにより 確 認 する 耐 力 壁 の 廊 下 側 (B 通 りの 下 )に 基 礎 がない 場 合 に 検 討 する 第 2 次 診 断 であっても 確 認 の 結 果 梁 耐 力 の 不 足 が 判 明 した 場 合 には 総 合 所 見 にそ の 旨 を 記 述 する 補 強 計 画 のコメントには 補 強 を 実 施 する 際 の 要 検 討 項 目 としてしっ かり 明 示 する (なお 確 認 は 代 表 的 な 架 構 について 行 えばよい ) 改 修 計 画 評 定 上 記 の 要 検 討 項 目 を 受 け 設 計 者 が 補 強 の 要 否 を 総 合 的 に 判 断 する その 際 判 断 した 理 由 を 明 確 にする 判 断 例 1) 検 討 を 行 った 結 果 計 算 結 果 としては Is 値 が Iso を 下 回 るが であることを 考 慮 すれば 所 要 の 耐 震 性 能 を 満 足 すると 判 断 できるので 補 強 を 行 わない 2) 検 討 を 行 った 結 果 Is 値 が Iso を 下 回 るので 部 を 補 強 する 補 強 の 要 否 の 判 断 について( 申 請 者 が 要 求 する 診 断 次 数 が 第 2 次 診 断 である 場 合 ) 境 界 梁 の 検 討 を 行 った 結 果 Is 値 が Iso を 下 回 る 場 合 でも 鉛 直 部 材 としての 強 度 及 び 耐 力 が 十 分 であるならば 境 界 梁 の 補 強 を 必 ずしも 行 う 必 要 は 無 い 設 計 者 は 申 請 者 の 要 求 の 基 補 強 の 要 否 を 総 合 的 に 判 断 すること -4-
(3-2)コンクリート 強 度 の 採 用 値 について 耐 震 診 断 及 び 耐 震 改 修 計 画 に 用 いるコンクリート 圧 縮 強 度 の 採 用 値 は 一 般 的 に 以 下 の 方 法 がある (RC 造 耐 震 診 断 基 準 P.56~62) 方 法 1. 設 計 図 書 に 記 載 された 設 計 基 準 強 度 を 採 用 値 とする 方 法 2. 設 計 図 書 が 無 い 場 合 など 設 計 基 準 強 度 が 不 明 な 場 合 は RC 造 耐 震 診 断 基 準 によ る 年 代 推 定 での 圧 縮 強 度 を 採 用 値 とする 方 法 3.コンクリート 強 度 の 採 用 値 は RC 造 耐 震 診 断 基 準 より 各 階 各 施 工 時 期 ごとに 3 本 コアを 抜 き 各 階 各 施 工 時 期 ごとの 推 定 強 度 を 算 出 し 採 用 値 とする 方 法 4. 各 階 各 施 工 時 期 ごとに3 本 抜 かない 場 合 は 最 低 限 各 階 各 施 工 時 期 ごと 1 本 はコアを 抜 き 設 計 基 準 強 度 * を 上 回 っている 事 を 確 認 し 設 計 基 準 強 度 を 採 用 値 とする 抜 いたコアの 中 で 設 計 基 準 強 度 を 下 回 った 階 又 は 施 工 時 期 がある 場 合 は 追 加 でコアを 抜 き 推 定 強 度 を 算 出 し 採 用 値 とする ( 推 定 強 度 を 算 出 するた めには 最 低 3 本 のコア 抜 き 試 験 が 必 要 ) * 設 計 図 書 がない 場 合 は RC 造 耐 震 診 断 基 準 による 建 設 年 次 より 推 定 される 設 計 基 準 強 度 とする (RC 造 耐 震 診 断 基 準 P.61 解 表 2.6-2) 耐 震 構 造 委 員 会 の 方 針 診 断 改 修 にかかわらず 方 法 3を 基 本 とし 推 奨 する 診 断 においては 方 法 1 及 び 方 法 2とする 場 合 耐 震 診 断 報 告 書 の 所 見 に 2001 年 度 版 既 存 鉄 筋 コンクリート 造 建 築 物 の 耐 震 診 断 基 準 同 解 説 による 圧 縮 強 度 の 確 認 をす る 事 を 推 奨 する とコメントを 入 れる 診 断 においては 方 法 1~4のどの 方 法 でも 可 とするが 各 階 で 1 本 のコアを 抜 き 圧 縮 強 度 を 確 認 することを 推 奨 する 診 断 においては 方 法 4で 設 計 基 準 強 度 を 下 回 ってもその 値 を 採 用 して 良 い ただし 診 断 結 果 が Iso Is の 場 合 は 付 帯 条 件 ( 判 定 結 果 通 知 後 コア 抜 き 試 験 を 行 い 診 断 内 容 の 妥 当 性 を 確 認 する 等 )の 判 定 結 果 通 知 書 の 発 行 となる Iso>Is の 場 合 は 改 修 設 計 時 には 2001 年 度 版 既 存 鉄 筋 コンクリート 造 建 築 物 の 耐 震 診 断 基 準 同 解 説 による 圧 縮 強 度 の 確 認 をする 事 とコメントを 入 れる 改 修 においては 方 法 3もしくは4とする PCアウトフレーム 工 法 及 び 枠 付 き 鉄 骨 ブレース 直 付 け 工 法 ( 完 全 外 付 け 型 及 び 柱 内 付 け 梁 外 付 け 型 )を 採 用 する 場 合 は 推 定 強 度 が 18 N/mm 2 以 上 であることを 確 認 する 既 存 建 物 の 設 計 基 準 強 度 が 18 N/mm 2 未 満 の 場 合 は 方 法 3により 確 認 する 設 計 基 準 強 度 が 18 N/mm 2 以 上 の 場 合 は 原 則 方 法 3 により 確 認 することとするが コアサン プルの 採 取 が 難 しい 等 の 事 由 がある 場 合 には 方 法 4 によりコア 圧 縮 強 度 が 18 N/mm 2 以 上 であることを 確 認 することにしてもよい -5-
(3-3) 低 強 度 のコンクリート 圧 縮 強 度 が 出 た 場 合 の 処 置 平 均 強 度 が 13.5N/mm 2 以 上 で 推 定 強 度 が 13.5N/mm 2 未 満 の 場 合 推 定 強 度 を 採 用 し 補 強 時 には 層 間 変 形 が 大 きくならない 強 度 型 補 強 を 行 うとともに 安 全 率 を 大 きく 取 るなどの 相 当 慎 重 な 配 慮 が 求 められます 平 均 強 度 が 13.5N/mm 2 未 満 の 場 合 耐 震 診 断 基 準 の 適 用 範 囲 外 となります 耐 震 性 能 が 適 切 に 評 価 されない 場 合 があり 一 応 の 目 安 が 得 られたと 考 えるべきである (RC 造 耐 震 診 断 基 準 P.59) 耐 震 構 造 委 員 会 の 方 針 耐 震 診 断 報 告 書 には 事 実 のみを 書 くこととし 改 築 建 て 替 えを 視 野 に 入 れた 注 意 喚 起 をする 耐 震 改 修 計 画 評 定 で 評 定 通 知 書 を 交 付 するためには 最 低 平 均 強 度 が 13.5N/mm 2 以 上 が 必 要 必 要 な 結 果 が 得 られない 場 合 評 定 通 知 書 の 交 付 は 行 わない 申 請 者 の 同 意 ( 書 面 が 必 要 )があれば 評 定 通 知 書 に 替 え 改 築 建 て 替 えまでの 応 急 的 な 補 強 に 対 す る 技 術 審 査 報 告 書 を 交 付 する (3-4) 袖 壁 付 柱 と 片 側 柱 付 壁 の 判 定 について RC 造 耐 震 診 断 基 準 P104 及 び P229 付 則 3を 参 照 する (3-5) 下 階 壁 抜 け 柱 や 第 2 種 構 造 要 素 の 柱 が 存 在 する 際 の 診 断 結 果 の 表 記 1) 下 階 壁 抜 け 柱 の 検 討 を 行 い 構 造 耐 震 指 標 の 再 評 価 を 行 った 場 合 の 診 断 結 果 の 表 記 は 印 を 打 ち 表 記 する また 欄 外 に 下 階 壁 抜 け 再 評 価 とコメントする なお 下 階 壁 抜 け 柱 が 第 2 種 構 造 要 素 になる 場 合 は 補 強 案 を 作 成 する 2) 第 2 種 構 造 要 素 の 柱 が 存 在 する 事 により 最 大 I S 値 より 低 い F 値 のグループを 採 用 せざる 得 ない 場 合 印 を 付 ける 極 脆 性 柱 の 場 合 (F 値 =0.8 を 採 用 せざるを 得 ない 場 合 )は( ) せん 断 柱 の 場 合 は( )s を 付 ける 又 診 断 結 果 の 欄 外 に 次 の 様 なコメントをしておく ( ): 第 2 種 構 造 要 素 の 極 脆 性 柱 で 決 定 した 場 合 ( )s: 第 2 種 構 造 要 素 のせん 断 柱 で 決 定 した 場 合 3) ( )がある 場 合 第 2 種 構 造 要 素 を 解 消 する 補 強 を 行 えば Iso Is となるという 事 を 表 現 しており F 値 =0.8 の 時 Is 値 が 最 大 になる 場 合 は( )は 付 けない -6-
(3-6) 偏 心 率 le が 0.15 を 超 える 場 合 の S D 指 標 の 算 出 方 法 について RC 造 耐 震 診 断 基 準 より 壁 の 偏 在 などにより 偏 心 率 が 0.15 を 超 える 場 合 は 例 外 事 項 を 適 用 して 保 有 性 能 基 本 指 標 E 0 を 算 出 することとなっているが このときの 形 状 指 標 S D については S D =0.8 とするのではなく 偏 心 率 の Gl(グレード)を 0.8 としたうえ で 他 の 項 目 の Gi(グレード)も 評 価 したS D 指 標 とする (RC 造 耐 震 診 断 基 準 P.9 P.19 他 ) 建 物 の 実 態 に 合 わせ どちらで 算 出 した 値 がより 適 切 かを 診 断 者 が 判 断 することが 必 要 建 築 基 準 法 告 示 の Fe の 逆 数 を 使 用 した 時 は 例 外 事 項 は 適 用 しない ただし 偏 心 率 が 0.30 を 大 幅 に 超 える 場 合 は Fe=1.5 の 上 限 を 使 用 しない Is 値 を 並 記 するなどして 注 意 を 促 すことが 望 ましい しかし このような 建 物 をあえて 安 全 であると 判 断 するのは 診 断 基 準 の 本 意 ではなく バラ ンスのよい 補 強 によって 例 外 事 項 を 適 用 しなくてもすむように 改 善 することが 本 筋 である (RC 造 耐 震 診 断 基 準 講 習 会 質 問 回 答 集 より) (3-7) 鉄 筋 の 降 伏 点 強 度 について RC 造 耐 震 診 断 について 鉄 筋 の 降 伏 点 強 度 の 決 定 については 下 記 の 方 法 がある (RC 造 耐 震 診 断 基 準 P.58~) 方 法 1. 鉄 筋 を 抜 き 取 り 引 張 試 験 を 実 施 した 場 合 は その 結 果 に 基 づき 降 伏 点 強 度 を 設 定 する 方 法 2. 方 法 1. 以 外 の 場 合 は 設 計 図 書 に 記 載 された 鉄 筋 仕 様 に 基 づき 降 伏 点 強 度 を 以 下 のように 設 定 する 丸 鋼 の 場 合 (SR24) :294N/mm 2 異 形 鉄 筋 の 場 合 (SD30 SD35): 規 格 降 伏 点 強 度 +49 N/mm 2 方 法 3. 設 計 図 書 がない 場 合 または 設 計 図 書 に 鉄 筋 の 仕 様 が 記 載 されていない 場 合 RC 造 耐 震 診 断 基 準 に 基 づき 昭 和 30 年 以 降 の 建 物 については 丸 鋼 の 場 合 240 N/mm 2 異 形 鉄 筋 の 場 合 300 N/mm 2 と 設 定 してよい ただし 昭 和 30 年 以 前 の 建 物 については 鉄 筋 を 抜 き 取 り 試 験 を 行 って 設 定 す る 必 要 がある 耐 震 構 造 委 員 会 の 方 針 設 計 図 書 がない 場 合 または 設 計 図 書 に 鉄 筋 の 仕 様 の 記 載 がない 場 合 は RC 造 耐 震 診 断 基 準 に 基 づくと 方 法 1 もしくは 方 法 3となる ただし 方 法 3を 用 いる 場 合 昭 和 30 年 以 降 に 建 設 された 建 築 物 で 標 準 仕 様 に 基 づく 公 共 建 築 物 等 のように JIS 規 格 品 を 使 用 していると 考 えられる 建 築 物 であれば 所 有 者 ( 申 請 者 )の 了 承 のうえ 丸 鋼 については SR24(294 N/mm 2 ) 異 形 鉄 筋 につい ては SD30(343 N/mm 2 )としてよいこととする その 場 合 その 旨 を 方 針 に 記 載 すること -7-
(3-8) 鉄 骨 ブレースを 取 り 付 けた 極 脆 性 柱 のせん 断 耐 力 の 取 り 扱 いについて 鉄 骨 ブレースを 取 り 付 けた 極 脆 性 柱 のせん 断 耐 力 については 変 形 能 力 を 考 慮 した 強 度 寄 与 係 数 に 応 じて 耐 力 を 低 減 する (3-9) 補 強 計 画 における 増 設 耐 震 壁 鉄 骨 ブレースの 耐 力 の 算 定 方 法 について 耐 震 診 断 に 付 随 する 補 強 計 画 において 増 設 耐 震 壁 及 び 鉄 骨 ブレースの 耐 力 を 算 定 する 方 法 として 以 下 の 考 え 方 がある 1)RC 耐 震 壁 増 設 の 場 合 その 部 材 情 報 を 用 いて 計 算 した 結 果 を 採 用 する 鉄 骨 ブレースの 場 合 は 鉄 骨 ブレースとRCの 剛 性 の 違 いを 考 慮 し ブレース 耐 力 は 部 材 情 報 を 用 いて 計 算 した 結 果 を 強 度 寄 与 係 数 αj に 応 じて 採 用 する また ブレ ースを 建 物 の 終 局 変 形 まで 強 制 変 形 させたときに 採 用 値 以 上 の 耐 力 となっているかを 確 認 することが 望 ましい 剛 性 は 等 価 剛 性 RC 壁 置 換 による 等 価 RC 壁 を 採 用 する 2) 増 設 耐 震 壁 及 び 鉄 骨 ブレースの 耐 力 は 基 礎 の 浮 き 上 がり 等 を 考 慮 した 回 転 耐 力 (F=1.0 と 仮 定 )を 採 用 する ただし 既 設 の 耐 震 壁 は 回 転 を 考 慮 せず 曲 げ 壁 またはせん 断 壁 として 計 算 される ため 既 設 と 増 設 の 取 り 扱 いが 異 なり 増 設 部 材 の 耐 力 が 十 分 発 揮 できないという 問 題 点 がある よってある 程 度 の 強 度 と 十 分 な 靱 性 を 確 保 し できる 限 り 一 体 化 を 図 る 補 強 をすることに 注 意 する (3-10) 既 設 柱 と 増 し 打 ち 梁 によりブレース 補 強 を 行 う 場 合 について 鉄 骨 ブレース 補 強 において 梁 の 外 壁 面 からの 出 が 少 ないため 梁 の 増 打 ちを 行 うこ とによりブレースを 柱 梁 ( 増 打 ち 部 含 む)の 構 面 内 に 収 める 工 法 を 計 画 する 場 合 があ る その 場 合 梁 増 し 打 ち 部 は 既 設 梁 に 対 し 外 付 け( 構 面 外 )となる 為 外 付 け 的 な 考 慮 をする 参 考 例 1) 外 付 マニュアルの 一 部 を 準 用 し 梁 増 打 ちのあと 施 工 アンカーの 既 設 梁 への 埋 め 込 み 長 さについて 13da( 有 効 12da+1da) 以 上 を 確 保 する 2) 外 付 マニュアルの 一 部 を 準 用 し 梁 の 増 打 ち 部 のあと 施 工 アンカーの 耐 力 計 算 は 外 付 マニュアルを 準 用 する (φs を 考 慮 する ) 3) 梁 の 増 打 ち 幅 が 大 きい 場 合 は あと 施 工 アンカーの 定 着 長 さは 20da 以 上 を 確 保 す ることが 望 ましい ( 外 付 マニュアル P.71~) 3)の 場 合 20da 13da -8-
(3-11) 連 層 耐 震 壁 の 検 討 について 診 断 設 計 者 が 回 転 浮 き 上 がりの 検 討 により 補 強 部 材 の 耐 力 がどの 程 度 低 減 されるのか 検 討 し 補 強 部 材 の 耐 力 が 不 足 することが 判 明 した 場 合 には 総 合 所 見 にその 旨 を 記 述 する 補 強 計 画 のコメントには 補 強 を 実 施 する 際 の 要 検 討 項 目 としてしっかり 明 示 する ( 回 転 又 は 浮 き 上 がりがおこり 得 ない 場 合 は 検 討 の 必 要 はない ただし その 理 由 を 明 示 する) 改 修 計 画 評 定 上 記 の 要 検 討 項 目 を 受 け 補 強 部 材 の 耐 力 の 低 減 により Is 値 が Iso を 下 回 る 場 合 に は 設 計 者 が 補 強 の 要 否 を 総 合 的 に 判 断 する その 際 判 断 した 理 由 を 明 確 にしてお く 補 強 部 材 の 耐 力 が 不 足 すると 判 断 した 場 合 の 対 策 としては 補 強 部 材 の 位 置 の 変 更 や 補 強 量 を 増 やすなどの 対 策 を 講 じること (3-12) 既 存 の 薄 い 壁 厚 の 耐 震 壁 の 取 扱 いについて 1) 耐 震 壁 として 評 価 する 場 合 は 原 則 として 120mm 以 上 の 厚 さを 対 象 とする 2) 壁 厚 / 壁 内 法 高 さ の 値 が 1/30 未 満 となる 場 合 は その 比 率 による 耐 力 低 減 な どを 適 宜 考 慮 する 3) 補 強 壁 の 厚 さについては 柱 幅 の 1/4 以 上 かつ 150 mm 以 上 梁 幅 以 下 (RC 造 耐 震 改 修 指 針 P5 参 照 )とする (3-13) 柱 帯 筋 の 90 度 フックの 影 響 について 柱 のせん 断 耐 力 靱 性 指 標 への 90 度 フックの 影 響 があると 判 断 される 場 合 は 安 全 側 になるような 診 断 を 行 うことが 望 ましい ( 例 )F=1.0 を 超 える 設 計 とする 場 合 は 考 慮 するなど ( 建 築 防 災 協 会 Q&A A33 参 照 ) (3-14)スリットによる 補 強 計 画 について スリットによる 補 強 は 基 本 的 には 採 用 しないこととするが 次 のようなことを 考 慮 し て 補 強 計 画 する 1) 強 度 指 向 型 を 原 則 とし バランス 良 く 靱 性 を 持 たせるのが 良 いと 考 える 計 算 上 のテクニックだけでなく 建 物 の 変 形 を 見 極 め 靱 性 のみに 頼 ることなく 補 強 する 2)スリットを 入 れた 時 の CTU SD(F 値 =1.0 の 時 )が 十 分 あること 3)スリットを 入 れることによる 雨 仕 舞 いに 対 する 検 討 をする -9-
(3-15) 耐 震 スリットについて 耐 震 スリットを 設 ける 場 合 計 算 で 得 られるような 補 強 効 果 が 発 揮 される 場 合 も 多 いが 形 式 的 な 補 強 と 判 断 される 場 合 もあるので 架 構 性 状 を 適 切 に 判 断 して 補 強 計 画 を 行 うこと が 重 要 である また RC 造 耐 震 改 修 指 針 においては 柱 の 補 強 に 本 工 法 を 適 用 する 場 合 には 完 全 スリッ ト( 下 図 (a))を 用 いることを 原 則 としている (a) 完 全 スリット (b) 部 分 スリット (RC 造 耐 震 改 修 指 針 P.170~) スリットの 施 工 法 の 事 例 改 修 設 計 の 中 でスリットを 設 ける 場 合 があるが その 施 工 をどの 様 に 行 うかよく 分 かって いない 状 況 がみられるので 施 工 法 事 例 を 紹 介 する 方 法 とその 特 徴 1 30φ 程 度 の 小 径 のコア 抜 きを 連 続 的 に 行 う 場 合 壁 筋 を 切 断 せず 施 工 できる 切 断 面 が 直 線 状 にならない その 後 はつり 調 整 を 行 う or 2 ウォールカッターを 使 用 する 場 合 アンカーによりレールを 壁 に 設 置 し そこに 機 器 を 走 行 させる 壁 のせいが 小 さい 場 合 垂 壁 で 上 部 にある 場 合 などは 施 工 が 大 変 である 厚 さ 200mm まで 施 工 可 能 相 当 量 の 水 が 必 要 となる 鉄 筋 も 切 断 する 柱 際 100~150mm 程 度 以 上 離 れた 部 位 に 施 工 する 始 端 終 端 はのこぎりの 関 係 でコア 抜 き またははつりを 行 う 壁 コア 抜 き はつりが 必 要 上 記 状 況 を 勘 案 して 設 計 図 を 作 成 することが 必 要 と 思 われる -10-
4. 木 造 など ver.150601 (4-1) 木 造 校 舎 等 の 耐 震 診 断 について 木 造 校 舎 等 の 耐 震 診 断 に 木 造 住 宅 の 耐 震 診 断 と 補 強 方 法 を 用 いる 場 合 の 注 意 点 木 造 校 舎 等 注 ) の 耐 震 診 断 については 木 造 住 宅 とは 異 なる 木 造 校 舎 等 に 特 有 な 耐 震 性 能 性 状 を 考 慮 すれば 木 造 住 宅 の 耐 震 診 断 と 補 強 方 法 ( 以 下 木 造 住 宅 の 耐 震 診 断 法 という)で 示 されている 精 密 診 断 法 を 用 いて 現 時 点 でも 診 断 は 可 能 である 以 下 に 木 造 住 宅 の 耐 震 診 断 法 で 木 造 校 舎 等 の 耐 震 診 断 を 行 う 場 合 に 考 慮 すべき 主 な 注 意 点 を 示 す 1) 地 震 時 荷 重 は 住 宅 とは 異 なるので 木 造 校 舎 等 として 地 震 時 荷 重 を 算 定 する 必 要 がある 2) 木 造 住 宅 と 比 較 して 木 造 校 舎 等 の 階 高 は 高 いので 耐 力 算 定 時 に 階 高 補 正 が 必 要 となる 併 せ て 接 合 部 による 低 減 係 数 についても ( 本 来 は) 階 高 を 考 慮 した 修 正 が 必 要 である 3) 校 舎 は 教 室 など 比 較 的 大 きな 空 間 を 構 成 しているため 水 平 構 面 剛 性 に 対 する 検 討 が 必 要 と なる なお 木 造 の 講 堂 体 育 館 については 木 造 住 宅 との 構 造 性 能 の 違 いがより 大 きくなるため 木 質 構 造 の 専 門 家 に 耐 震 診 断 を 依 頼 することが 望 ましい 注 ) 木 造 校 舎 等 とは 学 校 幼 稚 園 保 育 所 等 を 対 象 としている ( 財 ) 日 本 建 築 防 災 協 会 平 成 21 年 9 月 11 日 付 文 書 より http://www.kenchiku-bosai.or.jp/topics/090914.pdf 5.その 他 (5-1) 非 構 造 部 材 の 取 り 扱 いについて 申 請 者 と 設 計 事 務 所 との 契 約 の 状 況 にもよるが 耐 震 診 断 判 定 や 耐 震 改 修 評 定 の 際 付 随 する 非 構 造 部 材 についても 地 震 時 に 人 命 への 被 害 の 恐 れがあるため 安 全 性 を 検 証 すること を 推 奨 する また その 状 況 についても 方 針 説 明 書 へ 明 記 する なお 検 討 しない 場 合 でも 注 意 喚 起 を 行 うこと 検 討 対 象 例 屋 上 突 出 物 (PH 煙 突 立 ち 上 がり 壁 高 架 水 槽 など) 屋 外 階 段 庇 など( 片 持 ちで 危 険 と 判 断 される(2m 程 度 以 上 ) 場 合 は 上 下 動 震 度 1.0 以 上 として 短 期 許 容 応 力 度 以 下 であることを 確 認 する ) コンクリートブロック 壁 ( 面 外 アンカー 臥 梁 等 ) 特 定 天 井 -11-