成 年 後 見 人 ハンドブック 早 わかり 成 年 後 見 人 京 都 家 庭 裁 判 所 ( 平 成 24 年 WEB 版 )
は じ め に この 冊 子 は, 成 年 後 見 人 に 選 任 された 方 や 成 年 後 見 人 に 選 任 される 予 定 の 方 を 対 象 に, 成 年 後 見 人 の 職 務 と 責 任 に 関 する 基 本 的 な 事 項 を,Q&A 方 式 で 説 明 するものです 加 えて, 後 見 人 が 職 務 で 使 用 する 各 種 の 書 式 も 添 付 しています 後 見 人 は, 被 後 見 人 ( 後 見 を 受 ける 人 )の 財 産 に 関 する 様 々な 契 約 や 手 続 を 代 理 する 権 限 を 与 えられており,その 職 務 の 重 大 性 から, 重 い 責 任 も 課 せられています 親 族 であっても, 不 適 切 な 事 務 処 理 を 行 うと,その 責 任 を 免 れることはなく, 後 見 人 には, 他 人 の 財 産 を 預 かって 管 理 している という 意 識 を 持 って 職 務 にあたることが 求 められます そのためにも,まずこの 冊 子 をよく 読 んで, 成 年 後 見 人 の 職 務 について 理 解 を 深 めていただき, 適 切 な 後 見 事 務 の 遂 行 に 努 めてください なお, 保 佐 人 や 補 助 人 に 選 任 された 方 や 選 任 予 定 の 方 も, 特 に 財 産 管 理 に 関 する 事 項 について 代 理 権 が 付 与 されている 場 合 には,その 事 項 については 成 年 後 見 人 と 同 様 の 責 務 を 担 いますので, 後 見 人 を 保 佐 人 や 補 助 人 と 読 みかえて 理 解 してくださ い 成 年 後 見 人 の 方 でも, 複 数 の 後 見 人 が 選 ばれて 権 限 の 定 めがなされた 場 合 には, 財 産 管 理 権 の 内 容 に 制 限 がある 場 合 もありますので, 審 判 書 謄 本 の 内 容 を 改 めてご 確 認 くだ さい 本 文 中 で, 裁 判 所 とあるときは, 特 にことわりのない 限 り, 家 庭 裁 判 所 のこ とを 指 します 法 律 の 改 正 や 運 用 の 変 更 等 により, 今 後, 書 式 や 取 り 扱 いで 変 更 が 行 われることがあ りますので,ご 留 意 ください
目 次 後 見 人 の 職 務 Q&A Q1 後 見 人 とは 1 Q2 後 見 人 の 責 任 2 Q3 後 見 人 の 選 任 と 職 務 の 開 始 時 期 3 Q4 財 産 目 録 と 収 支 報 告 書 の 作 成 提 出 4 Q5 後 見 監 督 とは 5 Q6 被 後 見 人 の 収 入 支 出 の 管 理 6 Q7 被 後 見 人 の 財 産 から 支 出 できるもの 7 Q8 問 題 となる 支 出 の 具 体 例 8 Q9 預 貯 金 の 管 理 の 仕 方 9 Q10 被 後 見 人 の 財 産 の 処 分 10 Q11 被 後 見 人 の 居 住 用 不 動 産 の 処 分 11 Q12 遺 産 分 割 に 当 たっての 留 意 点 12 Q13 被 後 見 人 と 利 益 が 相 反 する 場 合 13 Q14 被 後 見 人 の 財 産 がなくなったとき 14 Q15 後 見 人 の 報 酬 15 Q16 後 見 監 督 人 が 選 任 されたとき 16 Q17 後 見 人 の 辞 任 17 Q18 後 見 人 の 任 務 終 了 時 になすべきこと 18
Q19 後 見 人 であることの 証 明 19 Q20 転 居 等 で 登 記 事 項 に 変 更 が 生 じた 場 合 20 家 庭 裁 判 所 関 係 書 類 金 銭 出 納 帳 22 金 銭 出 納 帳 の 記 載 例 23 成 年 後 見 事 務 照 会 書 の 作 成 例 24 提 出 資 料 一 覧 表 30 提 出 資 料 のコピーの 取 り 方 31 財 産 目 録 33 収 支 報 告 書 35 確 定 証 明 審 判 書 謄 本 申 請 書 37 後 見 等 事 務 終 了 報 告 書 38 連 絡 書 39 法 務 局 関 係 申 請 書 登 記 事 項 証 明 申 請 書 ( 成 年 後 見 登 記 用 )の 記 載 例, 申 請 書 41 登 記 申 請 書 ( 変 更 の 登 記 )の 記 載 例, 申 請 書 43 登 記 申 請 書 ( 終 了 の 登 記 )の 記 載 例, 申 請 書 46
Q1 後 見 人 とは このたび, 後 見 人 に 選 任 されましたが, 後 見 人 の 仕 事 について 教 えてください A 後 見 人 は, 被 後 見 人 ( 後 見 を 受 ける 人 )に 代 わって, 社 会 生 活 上 の 様 々な 手 続 や 契 約 等 の 行 為 を 行 います 具 体 的 には,1 身 上 監 護 に 関 する 行 為 と2 財 産 管 理 に 関 する 行 為 の2つのものがあり 2つのものがあります ます そして, 裁 判 所 との 関 係 では, 行 った 職 務 の 内 容 を 報 告 するということが 重 要 な 仕 事 になります 1 後 見 人 の 役 割 後 見 人 とは, 被 後 見 人 に 代 わって, 社 会 生 活 上 の 様 々な 手 続 や 契 約 などを 適 切 に 処 理 し, 被 後 見 人 の 支 援 保 護 のために 役 割 を 果 たす 人 をいいます 裁 判 所 では, 被 後 見 人 の 生 活 や 財 産 状 況, 親 族 関 係 など, 様 々な 事 情 を 考 慮 して, 適 切 に 職 務 を 果 たすことができる 方 を 後 見 人 に 選 任 します 職 務 に 専 門 知 識 が 必 要 で ある, 資 産 が 多 額 である, 適 格 性 のある 親 族 候 補 者 がいない 等 の 場 合 には, 親 族 の 意 向 にかかわらず, 親 族 以 外 の 第 三 者 ( 弁 護 士, 司 法 書 士 又 は 社 会 福 祉 士 等 の 専 門 職 ) を 後 見 人 に 選 任 することがあります 2 身 上 監 護 とは 被 後 見 人 の 生 活 や 健 康, 療 養 等 の 手 続 に 関 する 職 務 をいいます( 療 養 看 護 と 呼 ぶこともあります ) 例 えば, 被 後 見 人 の 住 居 の 確 保, 生 活 環 境 の 整 備, 施 設 の 入 退 所 の 契 約, 被 後 見 人 の 治 療 や 入 院 の 手 続 などを 行 うことをいいます なお, 被 後 見 人 を 直 接 に 介 護 する 行 為 や, 親 族 として 被 後 見 人 を 見 舞 うために 日 々 施 設 を 訪 問 するような 行 為 は, 必 ずしも 後 見 人 の 職 務 ではありません 3 財 産 管 理 とは 被 後 見 人 の 財 産 と 収 支 の 状 況 を 正 確 に 把 握 して, 計 画 的 かつ 適 正 にその 管 理 を 行 う ことをいいます 例 えば, 日 常 的 には, 年 金 の 受 領, 社 会 保 険 料 や 税 金 の 支 払, 預 金 口 座 や 保 険 証 書 の 管 理 などを 行 い, 保 険 金 の 請 求 や 遺 産 分 割 協 議 などがあれば,その 手 続 を 行 います また, 高 額 商 品 の 購 入 など, 被 後 見 人 が 行 った 財 産 上 の 行 為 を 取 り 消 すこと( 取 消 権 の 行 使 )も 職 務 になります 4 職 務 内 容 の 記 録 と 報 告 行 った 職 務 については, 裁 判 所 からの 照 会 に 応 じて 報 告 する 機 会 がありますので, 資 料 や 記 録 ( 出 納 帳 など)を 残 しておくことが 必 要 です 裏 付 け 資 料 がなく, 説 明 が できない 支 出 ( 使 途 不 明 金 )が 判 明 すると, 損 害 賠 償 責 任 や 刑 事 上 の 責 任 を 追 及 され る 場 合 があります( 次 頁 に 詳 細 ) 1
Q2 後 見 人 の 責 任 後 見 人 としての 責 任 を 問 われる 場 合 として,どんな 場 合 がありますか A 後 見 人 に 後 見 の 任 務 に 適 さない 事 由 があるときは, 裁 判 所 が 後 見 人 を 解 任 す る 審 判 を 行 います また,これとは 別 に, 後 見 人 が 不 適 切 な 職 務 を 行 って 被 後 見 人 に 損 害 を 与 え た 場 合 には, 損 害 賠 償 の 責 任 を 負 いますし, 不 正 な 行 為 を 行 った 場 合 には, 刑 事 告 発 を 受 けて, 業 務 上 横 領 罪 などの 刑 事 責 任 を 問 われます ます 後 見 人 が 被 後 見 人 の 親 族 だというだけで, 責 任 が 免 責 されるものではありま せん 後 見 人 には, 他 人 の 財 産 を 預 かって 管 理 している という 意 識 が 求 め られます 1 後 見 人 の 解 任 後 見 人 に 次 の 事 由 があったときには, 裁 判 所 が 後 見 人 解 任 の 審 判 を 行 います 一 度 後 見 人 を 解 任 されますと, 以 後, 他 の 人 の 後 見 人 にも 就 任 できなくなります 不 正 な 行 為 ( 被 後 見 人 の 財 産 を 私 的 に 流 用 する 行 為 など) 著 しい 不 行 跡 ( 品 行 が 悪 く, 犯 罪 を 犯 した 場 合 など) その 他 後 見 の 任 務 に 適 さない 事 由 ( 不 適 切 な 財 産 管 理 を 行 った 場 合 や, 裁 判 所 への 事 務 報 告 を 怠 った 場 合 など) 2 民 事 刑 事 上 の 責 任 後 見 人 は, 被 後 見 人 のため, 十 分 な 注 意 を 払 って, 誠 実 にその 役 目 を 果 たす 義 務 を 負 っていますので, 後 見 人 の 不 注 意 などによって 被 後 見 人 に 損 害 を 与 えた 場 合 に はその 損 害 を 賠 償 しなければなりません( 民 事 上 の 責 任 ) また, 後 見 人 が 被 後 見 人 の 財 産 を 横 領 した 場 合 には, 業 務 上 横 領 罪 等 の 刑 事 責 任 を 問 われることになります( 刑 事 上 の 責 任 ) 裁 判 所 では, 横 領 等 の 行 為 を 発 見 し た 場 合 には, 刑 事 告 発 することとしています 2
Q3 後 見 人 の 選 任 と 職 務 の 開 始 時 期 後 見 人 としての 職 務 は,いつから 開 始 するのですか A 後 見 の 開 始 及 び 後 見 人 選 任 に 関 する 結 果 ( 審 判 )は, 審 判 書 謄 本 という 文 書 を 郵 送 して, 後 見 人 にお 知 らせします 後 見 人 の 職 務 が 開 始 するのは, 原 則 と して, 審 判 書 謄 本 を 受 け 取 って2 週 間 を 経 過 した 日 ( 審 判 が 確 定 した 日 )とな ります 1 審 判 書 謄 本 の 送 付 審 判 後, 後 見 人 や 申 立 人 に 対 して, 審 判 書 謄 本 が 郵 送 されます 審 判 書 謄 本 には, 通 常, 次 のような 主 文 が 記 載 されています 1 本 人 について 後 見 を 開 始 する 2 本 人 の 成 年 後 見 人 として, を 選 任 する 2 職 務 の 開 始 時 期 後 見 人 が 審 判 書 謄 本 の 送 達 を 受 けた 日 ( 受 領 した 日 )から 起 算 して,2 週 間 を 経 過 すると 審 判 が 確 定 し,その 確 定 した 日 から 後 見 人 としての 職 務 が 開 始 します この2 週 間 は, 後 見 を 開 始 した という 開 始 の 審 判 に 対 する 不 服 申 立 期 間 であり, 期 間 内 に 申 立 権 のある 親 族 などから 即 時 抗 告 がなされると, 抗 告 審 ( 高 等 裁 判 所 )で 改 めて 申 立 てについて 審 理 が 行 われます なお, を 選 任 する という 選 任 の 審 判 については, 即 時 抗 告 をすること ができません また, 辞 任 などで 後 見 人 が 交 替 して 選 任 されたような 場 合 には,2 週 間 の 経 過 を 待 たず, 後 見 人 が 審 判 書 謄 本 の 送 達 を 受 けた 日 から 直 ちに 職 務 が 開 始 します 3 金 融 機 関 等 へ 提 出 する 後 見 人 であることの 証 明 書 について 金 融 機 関 等 へ 提 出 する 後 見 人 の 証 明 書 類 としては, 次 の2つのものがあります 証 明 書 として 通 常 使 用 されるのは2になりますが, 選 任 当 初 は,1で 足 りるとする 金 融 機 関 等 もありますので, 個 別 に 金 融 機 関 等 にお 問 い 合 わせください 1 審 判 書 謄 本 及 び 審 判 確 定 証 明 書 ( 裁 判 所 が 発 行 するもの) 審 判 の 確 定 後, 後 見 人 は, 裁 判 所 窓 口 で 確 定 証 明 書 の 交 付 申 請 を 行 い, 確 定 証 明 書 の 交 付 を 受 けることができます( 19 頁 に 詳 細 ) 2 登 記 事 項 証 明 書 ( 法 務 局 が 発 行 するもの) 審 判 の 確 定 後, 裁 判 所 の 依 頼 に 基 づいて 東 京 法 務 局 が 成 年 後 見 の 登 記 を 行 いま す 確 定 後,2 週 間 程 度 で 登 記 が 完 了 しますので, 完 了 後 に 法 務 局 に 申 請 して 登 記 事 項 証 明 書 の 交 付 を 受 けることができます( 19 頁 に 詳 細 ) 3
Q4 財 産 目 録 と 収 支 報 告 書 の 作 成 提 出 先 日, 審 判 書 謄 本 とともに 照 会 書 という 書 類 が 送 られてきました 同 封 の 財 産 目 録 と 収 支 報 告 書 を 作 成 して 提 出 するようにとの 指 示 が 書 かれていましたが,これら はどのようなものですか A 財 産 目 録 とは, 不 動 産 や 預 貯 金 などの 財 産 の 詳 細 を 記 載 した 一 覧 表 です 後 見 人 は, 財 産 目 録 とあわせて, 収 支 の 状 況 を 記 載 した 収 支 報 告 書 を 作 成 して 添 付 資 料 とともに 裁 判 所 へ 提 出 し,その 監 督 ( 審 査 )を 受 けます 最 初 の 財 産 目 録 等 の 提 出 期 限 は, 原 則 として, 審 判 の 確 定 後,1か 月 以 内 と されています 裁 判 所 からは, 提 出 期 限 を 定 めて 照 会 書 を 後 見 人 に 郵 送 します ので,その 期 限 までに 回 答 してください なお, 後 見 監 督 人 が 選 任 されている 場 合 には, 監 督 人 に 対 して 財 産 目 録 等 を 提 出 し てその 監 督 を 受 ける 必 要 があります 1 財 産 の 調 査 財 産 目 録 の 作 成 に 先 立 って, 後 見 人 の 職 務 が 開 始 したら, 速 やかに 被 後 見 人 の 財 産 を 調 査 してください 財 産 の 調 査 は, 預 貯 金 口 座 の 出 入 金 の 履 歴 や 金 融 機 関 からの 郵 便 物 を 確 認 する 方 法, 法 務 局 で 不 動 産 登 記 事 項 を 確 認 するなどの 方 法 があります また, 日 々の 定 期 的 な 収 入 と 支 出 の 内 容 を 確 認 し, 滞 納 している 家 賃 などがないか どうかにもご 注 意 ください 通 帳 などの 資 料 が 紛 失 していれば, 再 発 行 を 受 けて 内 容 を 確 認 してください また, 多 額 の 現 金 が 保 管 されている 場 合 には, 預 貯 金 口 座 に 入 金 して 管 理 してください( 手 元 に 多 額 の 現 金 を 保 管 しないようにしてください ) 2 財 産 目 録 について 財 産 目 録 の 作 成 例 が,26 頁 以 下 にありますので,ご 覧 ください なお, 選 任 当 初 に 郵 送 する 照 会 書 では, 申 立 時 と 変 化 がない 事 項 については, 記 載 や 資 料 の 添 付 を 省 略 することができるものとしています 3 収 支 報 告 書 について 定 期 的 な 収 支 の 欄 と 臨 時 的 な 収 支 の 欄 に 分 かれており, 作 成 例 について,28 頁 以 下 をご 覧 ください 定 期 的 な 収 支 欄 には, 対 象 期 間 中 の 平 均 的 な1か 月 当 たりの 収 支 状 況 を 記 載 し, 臨 時 収 支 欄 には, 対 象 期 間 中 の10 万 円 を 超 える 臨 時 的 な 収 入 及 び 支 出 の 内 容 を 記 載 します 裁 判 所 では, 報 告 された 収 支 の 状 況 に 照 らして, 期 間 中 の 財 産 の 変 動 が 適 正 なものかどうかについて 審 査 を 行 っています 4 その 後 について 今 後 の 収 支 予 定 を 把 握 して, 被 後 見 人 の 長 期 的 な 生 活 設 計 を 考 えて, 計 画 的 に 財 産 管 理 を 行 ってください 裁 判 所 は, 後 見 監 督 ( 次 頁 に 詳 細 )の 手 続 で 定 期 的 に 後 見 人 の 職 務 内 容 を 点 検 し, 後 見 が 終 了 するまでその 職 務 に 関 わっていきます 4
Q5 後 見 監 督 とは 後 見 監 督 とは,どういうことをするのですか A 後 見 監 督 とは, 後 見 人 の 職 務 が 適 正 に 行 われているかどうかを 点 検 する ため, 裁 判 所 が, 後 見 人 に 対 して, 定 期 的 に 又 は 随 時 に 報 告 を 求 めるなど るなどして その 職 務 内 容 を 審 査 し, 問 題 があれば, 必 要 な 指 示 や 是 正 などの 処 分 を 行 う 手 続 です そのため, 後 見 人 は, 普 段 から 関 係 する 資 料 ( 領 収 書 や 契 約 書 など)を 適 切 に 保 管 し, 必 要 な 範 囲 で 職 務 内 容 を 記 録 して, 説 明 や 回 答 を 求 められたときに 対 応 できるよう 準 備 をしておく 必 要 があります なお, 後 見 監 督 人 が 選 任 されている 場 合 には, 後 見 事 務 を 後 見 監 督 人 に 報 告 しなければなりません 1 後 見 監 督 の 方 法 通 常, 後 見 監 督 は,1か 月 程 度 の 回 答 期 限 を 定 めて 照 会 書 を 後 見 人 に 郵 送 し, 後 見 人 から 回 答 された 報 告 内 容 ( 財 産 目 録 等 )を 裁 判 所 が 審 査 するという 手 順 で 行 います 照 会 書 の 作 成 例 が24 頁 以 下 にありますので,ご 覧 ください この 照 会 は, 事 案 に 応 じて, 数 か 月 から 数 年 単 位 の 間 隔 で 行 いますが,このような 照 会 以 外 の 監 督 の 方 法 として, 期 日 を 指 定 して 裁 判 所 に 来 庁 していただいて, 直 接 説 明 を 聴 く 手 続 ( 裁 判 官 による 審 問, 家 裁 調 査 官 による 調 査 など)や, 後 見 人 以 外 の 親 族 から 事 情 を 聴 いたり, 金 融 機 関 に 対 して 調 査 照 会 を 行 うなどの 手 続 もあります 2 報 告 内 容 に 問 題 がある 場 合 や 回 答 期 限 を 経 過 して 督 促 にも 応 じない 場 合 審 査 の 結 果, 不 明 朗 な 収 支 管 理 が 判 明 したり, 多 額 の 支 出 の 裏 付 け 資 料 がない, 説 明 が 不 十 分 であるなどの 事 情 があれば, 裁 判 所 として,その 是 正 や 調 査 のための 措 置 を 実 施 します 具 体 的 には, 専 門 職 ( 弁 護 士 や 司 法 書 士 等 )の 後 見 人 を 追 加 選 任 する 措 置 などを 行 います また,そもそも 照 会 書 の 回 答 期 限 までに 回 答 がなく, 督 促 や 期 日 の 呼 び 出 しにも 応 答 がない 場 合 には,それのみで 解 任 に 相 当 する 事 情 となりますので,くれぐれもご 注 意 ください 5
Q6 被 後 見 人 の 収 入 支 出 の 管 理 被 後 見 人 の 収 入 と 支 出 はどのように 管 理 すればよいのでしょうか 注 意 しなければ ならない 点 を 教 えてください A 被 後 見 人 の 収 入 支 出 を 後 見 人 や 他 の 親 族 のものと 区 別 して, 事 後 に 説 明 で きるように 記 録 をとって 管 理 してください そのためには, 日 常 的 に 金 銭 出 納 帳 を 記 入 し, 領 収 書 やレシート 類 を 保 管 する 習 慣 をつけていただくことが 重 要 です 1 収 支 の 記 録 収 支 の 管 理 については, 金 銭 出 納 帳 に 記 録 して 管 理 するのが 原 則 です 数 万 円 以 上 の 現 金 を 口 座 からまとめて 出 金 して, 様 々な 支 払 いに 充 てていく 場 合 には, 出 納 帳 に その 記 録 をとる 必 要 があります 記 載 の 仕 方 について,23 頁 の 金 銭 出 納 帳 の 記 載 例 をご 覧 ください また, 口 座 で 大 口 の 出 入 金 がある 場 合 には, 預 金 通 帳 の 取 引 履 歴 の 余 白 部 分 に 使 途 等 をメモ 書 きするなどしてこまめに 記 録 をしておくと, 裁 判 所 への 報 告 の 際 に 利 用 で き, 事 務 の 省 力 化 にもなります なお, 記 載 が 終 了 した 古 い 預 金 通 帳 については, 収 支 の 記 録 として, 直 ちに 廃 棄 せ ずに 保 管 しておいてください 2 収 支 の 明 確 化 収 支 については, 後 見 人 や 第 三 者 のものと 明 確 に 区 別 し, どんぶり 勘 定 となら ないよう,その 混 同 に 注 意 してください 特 に, 以 下 のような 事 例 に 留 意 してくださ い 1 他 の 同 居 者 と 共 通 する 生 計 費 がある 場 合 被 後 見 人 が 他 の 家 族 と 同 居 して, 食 費 や 水 道 光 熱 費 などの 生 計 費 が 共 通 する 場 合 には, 被 後 見 人 の 分 担 額 ( 割 合 )を 明 確 にするよう 努 めてください 分 担 額 ( 割 合 ) については, 以 前 からの 経 緯 のみならず, 資 産 状 況 や 家 族 の 収 入 状 況 も 踏 まえて 判 断 してください 例 えば, 各 人 に 相 応 の 収 入 があれば, 人 数 で 頭 割 りする 方 法 など を 検 討 してください 2 共 有 不 動 産 の 賃 料 収 入 がある 場 合 収 益 不 動 産 が 他 の 親 族 と 共 有 名 義 であれば,その 賃 料 収 入 について, 共 有 持 分 の 割 合 に 応 じた 取 り 分 の 確 保 が 必 要 になります 6
Q7 被 後 見 人 の 財 産 から 支 出 できるもの 被 後 見 人 の 財 産 から 支 出 できるのものとして, 被 後 見 人 の 生 活 費 などのほか,どの ようなものがありますか A 例 えば, 1 被 後 見 人 が 扶 養 義 務 を 負 っている 配 偶 者 や 未 成 年 の 子 などの 生 活 費 2 被 後 見 人 が 負 担 する 債 務 の 返 済 3 後 見 人 が 職 務 を 遂 行 するために 必 要 な 経 費 などがあります 1 扶 養 のための 家 族 への 生 活 費 従 前 からの 扶 養 状 況 などを 考 慮 して, 被 後 見 人 の 配 偶 者 や 子 の 生 活 費 を 被 後 見 人 の 負 担 とすることは 可 能 ですが,その 金 額 については, 被 後 見 人 の 長 期 的 な 生 活 設 計 を 考 慮 して, 収 支 や 財 産 状 況 を 踏 まえて 相 当 な 範 囲 としなければなりません 資 産 が 少 なく 収 支 が 赤 字 である 場 合 には, 必 要 額 を 慎 重 に 判 断 して 負 担 額 を 抑 える 必 要 があり, 扶 養 を 受 ける 配 偶 者 等 に 資 産 や 年 金 収 入 があれば, 不 足 を 補 う 範 囲 での 負 担 となるように 考 慮 するのが 原 則 です 2 債 務 の 弁 済 被 後 見 人 が 借 金 を 負 っている 場 合 には, 後 見 人 としては 被 後 見 人 の 財 産 から 弁 済 し なければなりません ただし, 親 族 から 借 用 書 も 作 らず 受 け 取 った 金 員 など, 贈 与 か 貸 金 か 区 別 が 困 難 な 場 合 には, 経 緯 や 証 拠 となる 資 料 を 確 認 して, 慎 重 に 対 応 してく ださい 必 要 ならば, 法 律 の 専 門 家 や 裁 判 所 に 相 談 してください 3 後 見 事 務 遂 行 のための 経 費 後 見 人 がその 事 務 を 遂 行 するために 必 要 な 経 費 は, 被 後 見 人 の 財 産 からその 都 度 支 出 することができます 例 えば, 被 後 見 人 の 入 院 先 を 訪 問 するための 交 通 費 (ただし, 支 出 が 認 められない 場 合 がありますので, 詳 しくは, 次 頁 の2をご 覧 ください ), 報 告 等 を 行 うための コピー 代 や 文 具 購 入 費 用, 証 明 書 申 請 等 の 手 数 料, 遺 産 分 割 協 議 や 不 動 産 処 分, 債 権 回 収 のために 弁 護 士 や 司 法 書 士 に 事 務 処 理 を 依 頼 した 費 用 などがあります 7
Q8 問 題 となる 支 出 の 具 体 例 被 後 見 人 のために 行 う 支 出 として, 問 題 となるものを 教 えてください A 以 下 のような 事 例 については,いずれも 不 適 切 な 支 出 として, 後 見 人 が 返 還 を 求 められることがあり, 内 容 によっては, 解 任 措 置 や 刑 事 告 発 を 受 ける 場 合 があります ますので, ので,くれぐれも 注 意 してください 1 慶 弔 費 後 見 人 の 子 ( 被 後 見 人 の 孫 )に 対 する100 万 円 の 成 人 祝 い 金 慶 弔 の 支 出 は, 被 後 見 人 の 社 会 生 活 上 の 地 位 や 関 係 を 良 好 に 保 ち,その 増 進 を 図 っていくために 必 要 性 が 認 められますが, 被 後 見 人 の 財 産 状 況 や 社 会 通 念 に 照 らし て, 常 識 的 な 金 額 でなければなりません 1 度 の 金 額 が 少 額 でも, 繰 り 返 し 行 われ るような 行 為 ( 歳 暮 やお 年 玉 など)や, 儀 礼 を 超 えるような 親 族 への 贈 与 ( 多 額 の 新 築 祝 いなど)については, 被 後 見 人 の 資 産 状 況 に 照 らして 不 適 切 と 判 断 されるこ とがあります 法 事 の 費 用 についても, 被 後 見 人 が 長 く 施 設 に 入 所 していて, 実 質 的 な 主 催 者 が 子 になっている 場 合 など, 他 の 親 族 が 負 担 するか, 分 担 するのが 相 当 なケースもあるので, 考 慮 してください 2 交 通 費 入 所 施 設 を 毎 日 訪 問 している 後 見 人 の 全 期 間 分 の 交 通 費 後 見 人 の 交 通 費 は, 医 療 費 の 支 払 いのために 交 通 機 関 を 利 用 して 施 設 を 訪 問 する といった 職 務 上 の 必 要 があって 認 められるものですので, 単 にお 見 舞 いとして 訪 問 する 行 為 を 全 て 後 見 人 の 事 務 として 費 用 負 担 が 認 められるものではありません 交 通 手 段 も, 経 済 性 の 観 点 から, 公 共 交 通 機 関 を 優 先 して 利 用 するのが 基 本 とな ります 施 設 訪 問 を 目 的 とした 自 動 車 の 購 入 は,ほとんどの 場 合 不 適 切 と 考 えられ ます また, 後 見 人 の 自 宅 と 施 設 が 遠 距 離 で,ガソリン 代 や 高 速 道 路 料 金, 特 急 料 金, 宿 泊 等 で 高 額 の 交 通 費 宿 泊 費 を 要 する 場 合 には, 後 見 事 務 として 行 う 訪 問 の 回 数 を 最 小 限 に 抑 える 必 要 性 も 高 くなるといえます 3 身 内 への 介 護 報 酬 ヘルパー 不 在 の 日 に 介 護 を 行 っている 親 族 への 報 酬 適 切 な 支 出 管 理 の 観 点 からは, 例 えば,ヘルパーに 代 わって 親 族 が 介 護 事 務 を 負 担 しているということで,その 報 酬 の 支 払 いを 認 めることはできません 親 族 が 介 護 に 関 わる 場 合 の 費 用 負 担 について, 特 に 考 慮 が 必 要 な 事 情 があれば, 裁 判 所 に 相 談 して 対 応 してください 4 その 他 の 不 適 正 な 支 出 被 後 見 人 が 長 期 にわたって 施 設 入 所 中 であるのに, 居 宅 が 被 後 見 人 名 義 であると いう 理 由 だけで,そこに 住 む 後 見 人 家 族 の 水 道 光 熱 費 を 支 出 していたケース, 将 来 の 相 続 税 軽 減 目 的 で 親 族 へ 多 額 の 贈 与 をしたケース, 在 宅 介 護 目 的 で 自 宅 をリフォ ームしたが, 介 護 に 無 関 係 な 造 作 費 用 をあわせて 支 出 したケース, 後 見 事 務 のため に 後 見 人 が 減 収 となったことを 理 由 に,その 減 収 分 を 被 後 見 人 に 負 担 させたケース などがあります 8
Q9 預 貯 金 の 管 理 の 仕 方 預 貯 金 の 預 け 方, 管 理 の 仕 方 について,どのような 点 に 注 意 すべきでしょうか A 安 全 確 実 を 旨 として, 次 の 点 に 留 意 してください 1 被 後 見 人 名 義 の 口 座 がある 金 融 機 関 に 対 して, 後 見 人 が 選 任 された 旨 の 届 出 を 行 う 2 預 貯 金 口 座 の 名 義 については, 被 後 見 人 名 義 又 は 後 見 人 という 肩 書 付 きの 後 見 人 名 義 ( 例 : 甲 山 花 子 成 年 後 見 人 乙 山 太 郎 )で 管 理 する 3 不 必 要 に 口 座 を 分 散 せず, 小 口 の 預 貯 金 口 座 は, 支 障 がない 限 りまとめて 管 理 する 1 金 融 機 関 への 届 出 届 出 の 必 要 書 類 については, 各 金 融 機 関 にお 問 い 合 わせください 窓 口 案 内 では 時 間 がかかることがありますので, 事 前 に 電 話 で 相 談 いただくのがよい 場 合 もあります 成 年 後 見 人 の 証 明 書 の 交 付 については,19 頁 をご 覧 ください 2 預 貯 金 口 座 の 名 義 後 見 人 個 人 や 第 三 者 名 義 の 口 座 で 被 後 見 人 の 預 貯 金 を 管 理 することは 禁 止 されてい ます なお, 金 融 機 関 では, 被 後 見 人 名 義 の 口 座 を, 後 見 人 の 肩 書 付 きの 口 座 名 義 ( 以 下 の 例 )に 変 更 することや, 同 名 義 の 口 座 を 新 たに 開 設 することができますので, 特 に 頻 繁 に 利 用 する 口 座 については, 利 便 性 の 観 点 からも 活 用 を 検 討 してください ( 例 ) 甲 山 花 子 成 年 後 見 人 乙 山 太 郎 ( 被 後 見 人 氏 名 ) ( 後 見 人 氏 名 ) 3 効 率 的 な 預 貯 金 口 座 の 管 理 口 座 が 多 数 になると 管 理 が 大 変 で, 過 誤 の 原 因 にもなります 特 に 必 要 がない 限 り, 口 座 は 分 散 させず, 預 金 保 険 制 度 (ペイオフ)の 保 護 範 囲 も 考 慮 しつつ, 口 座 をまと めて 管 理 するように 心 掛 けてください 9
Q10 被 後 見 人 の 財 産 の 処 分 被 後 見 人 が 自 宅 とは 別 に 所 有 している 土 地 を 売 却 したいのですが,どうしたらよい でしょうか A 後 見 人 の 職 務 は, 本 来, 財 産 を 管 理 することであり, 不 動 産 のような 重 要 な 資 産 を 処 分 する 場 合 には, 相 応 の 必 要 性 がなければなりません また, 後 見 人 の 責 任 において 行 う 以 上, 生 じた 損 害 につき 責 任 を 負 うことにもなりま す 売 却 の 金 額 が 適 切 かどうかなど, 方 法 についても 慎 重 に 判 断 して, 事 前 に 裁 判 所 に 相 談 することも 検 討 してください 1 財 産 の 処 分 について 土 地 を 売 却 すれば 費 消 されやすいお 金 になりますし, 抵 当 権 を 設 定 すれば 財 産 的 価 値 が 減 少 したりするので,むやみに 処 分 することは 許 されません この 点, 不 動 産 売 却 の 必 要 性 が 認 められる 事 情 としては, 施 設 入 居 費 用 を 工 面 する 必 要 がある 場 合 や, 空 き 家 で 防 犯 や 維 持 管 理 に 支 障 がある 場 合, 固 定 資 産 税 やマンシ ョンの 修 繕 管 理 費 等 の 負 担 が 大 きい 場 合 などが 考 えられます ただ, 処 分 にはリスク が 伴 いますので, 他 の 親 族 にも 相 談 してその 了 解 を 得 ておくことや, 他 により 安 全 な 方 法 がないかどうかも 検 討 して, 慎 重 に 判 断 してください なお, 財 産 を 処 分 して 得 た 代 金 については, 必 ず 被 後 見 人 名 義 の 口 座 に 入 金 してく ださい また, 裁 判 所 による 後 見 監 督 を 見 込 んで, 売 買 契 約 書 や 経 費 の 明 細 書 類 のほ か, 価 格 の 相 当 性 を 示 す 資 料 ( 不 動 産 会 社 作 成 の 価 格 査 定 書 や 固 定 資 産 評 価 証 明 書 等 ) も 保 管 しておいてください また,いわゆる 居 住 用 不 動 産 の 処 分 では, 事 前 に 裁 判 所 の 許 可 が 必 要 ですので, 許 可 申 立 ての 詳 細 につき, 次 頁 をご 覧 ください 2 有 価 証 券 の 処 分 について 被 後 見 人 の 株 式 や 投 資 信 託 等 の 売 却 解 約 等 については, 被 後 見 人 が 行 っていた 財 産 管 理 の 経 緯 等 から 推 定 される 被 後 見 人 の 意 思 に 反 することがなく,その 必 要 性 も 認 められる 場 合 には, 可 能 であると 考 えられます 例 えば,もっぱら 資 産 運 用 目 的 で 購 入 され, 管 理 されてきた 有 価 証 券 であれば, 必 要 に 応 じて 処 分 する 余 地 があるものと 考 えられます なお, 必 要 性 については, 生 活 費 等 を 工 面 する 場 合 のほか,リスクの 高 い 金 融 商 品 について, 安 全 管 理 のために 解 約 して 定 期 預 金 に 変 える 場 合 にも 認 められると 考 えら れます 他 方,リスクの 大 小 にかかわらず, 運 用 目 的 で 元 本 保 証 のない 金 融 商 品 を 新 たに 購 入 することは 認 められませんので, 償 還 金 等 を 元 手 に 別 の 信 託 商 品 を 購 入 するような 行 為 は 行 わないように 注 意 してください 10
Q11 被 後 見 人 の 居 住 用 不 動 産 の 処 分 被 後 見 人 の 居 住 用 不 動 産 を 処 分 ( 売 却, 賃 貸, 賃 貸 借 の 解 除, 抵 当 権 の 設 定 等 )し たいのですが,どうしたらよいでしょうか A 被 後 見 人 の 居 住 用 不 動 産 を 処 分 する 必 要 がある 場 合 は, 事 前 に, 家 庭 裁 判 所 に 居 住 用 不 動 産 処 分 許 可 の 申 立 てを 行 い,その 許 可 を 得 る 必 要 があります 1 居 住 用 不 動 産 について 被 後 見 人 の 居 住 用 不 動 産 とは, 被 後 見 人 が 居 住 するための 建 物 やその 敷 地 をいいま す これには, 現 時 点 で 住 居 として 使 用 しているものに 限 らず, 病 院 や 施 設 に 入 って いる 被 後 見 人 が, 過 去 に 居 住 していたか, 退 院 等 により 将 来 居 住 ( 帰 住 )する 可 能 性 があるものも 含 みます 被 後 見 人 にとって, 住 居 というものは, 精 神 的 なよりどころであると 考 えられ, 居 住 環 境 が 変 われば,その 心 身 や 生 活 に 重 大 な 影 響 が 生 じると 考 えられることから, 裁 判 所 の 許 可 を 要 することとして, 手 続 が 慎 重 に 行 われるように 法 律 で 定 められていま す 裁 判 所 の 許 可 を 得 ずに 居 住 用 不 動 産 が 処 分 された 場 合 には,その 処 分 行 為 は 無 効 となります 2 対 象 となる 処 分 について 許 可 の 対 象 となる 処 分 には, 売 却 だけでなく, 賃 貸, 賃 貸 借 の 解 除, 抵 当 権 の 設 定, 建 物 の 取 壊 しも 含 まれます なお, 入 所 中 の 介 護 福 祉 施 設 等 から 別 の 施 設 に 転 所 する 手 続 については, 本 件 の 許 可 は 不 要 です ( 参 考 ) 被 後 見 人 の 居 住 用 不 動 産 を 売 却 する 場 合 に 必 要 な 書 類 は 次 のとおりです ( 場 合 によっては 他 の 書 類 の 提 出 を 求 めることもあります ) 居 住 用 不 動 産 処 分 許 可 の 申 立 書 ( 売 却 の 必 要 性 を 具 体 的 に 記 入 してください ) 申 立 手 数 料 としての 収 入 印 紙 800 円, 予 納 切 手 174 円 分 ( 内 訳 50 円 :1 枚,30 円 :1 枚, 20 円 :3 枚,10 円 :3 枚,2 円 :2 枚 ) 住 所 等 に 変 更 があれば 被 後 見 人 後 見 人 の 住 民 票 売 却 する 不 動 産 の 登 記 事 項 証 明 書 ( 不 動 産 登 記 簿 謄 本 ), 固 定 資 産 評 価 証 明 書 売 買 契 約 書 案 ( 売 却 価 格 の 記 入 があるもの) 売 却 価 格 の 算 定 根 拠 の 書 類 ( 不 動 産 会 社 作 成 の 価 格 査 定 書 等 ) 賃 貸 借 契 約 の 締 結 解 除, 抵 当 権 設 定 等 の 場 合 には, 裁 判 所 に 相 談 してください - 11 -
Q12 遺 産 分 割 に 当 たっての 留 意 点 近 々 遺 産 分 割 が 予 定 されていますが, 被 後 見 人 は 相 続 人 の1 人 です 遺 産 分 割 協 議 にあたり, 被 相 続 人 の 相 続 分 ( 取 り 分 )をどのように 決 めたらよいか, 思 案 してい ます A 遺 産 分 割 協 議 では, 後 見 人 は, 相 続 人 となった 被 後 見 人 の 代 理 人 として 協 議 に 関 わりますが, 基 本 的 には, 法 定 相 続 分 ( 民 法 第 900 条 参 照 )が 被 後 見 人 の 取 り 分 と 考 えて,その 相 当 額 の 財 産 を 被 後 見 人 が 取 得 できるように 協 議 に 臨 んでください 1 原 則 遺 産 分 割 協 議 においては, 被 後 見 人 の 相 続 分 について, 原 則 として 法 定 相 続 分 を 確 保 する 必 要 があり, 勝 手 に 相 続 分 を 放 棄 したり, 少 ない 取 り 分 で 協 議 に 応 じることが ないようにしてください 特 殊 な 事 情 があって, 法 定 相 続 分 での 協 議 が 困 難 な 場 合 に は, 事 前 に 裁 判 所 に 相 談 してください 遺 産 分 割 の 結 果 は, 後 見 監 督 の 際 の 報 告 事 項 ですので, 遺 産 分 割 協 議 書 の 写 しや, 遺 産 の 内 容 価 額 が 分 かる 一 覧 表 ( 遺 産 目 録 ), 裏 付 けとなる 資 料 ( 遺 産 である 預 金 口 座 の 残 高 証 明 書 や 相 続 税 申 告 書 の 写 し 等 )を 手 元 に 残 して 管 理 しておいてください 2 調 停 の 利 用 など 相 続 人 の 間 で 意 見 がまとまらず, 分 け 方 が 決 まらない 場 合 は, 家 庭 裁 判 所 の 調 停 を 利 用 することも 検 討 してください また, 遺 産 の 内 容 や 親 族 関 係 が 複 雑 であったり, 法 律 的 な 問 題 があって 解 決 が 困 難 な 場 合 には, 法 律 の 専 門 家 に 相 談 することも 検 討 し てください なお, 後 見 人 と 被 後 見 人 がともに 相 続 人 である 場 合, 遺 産 分 割 協 議 にあたり, 特 別 代 理 人 選 任 の 手 続 が 必 要 になりますので, 詳 しくは 次 頁 をご 覧 ください 12
Q13 被 後 見 人 と 利 益 が 相 反 する 場 合 後 見 人 は 被 後 見 人 と 兄 弟 ですが, 亡 くなった 父 の 遺 産 分 割 協 議 はどのようにすれば よいでしょうか また, 在 宅 介 護 のために 住 宅 を 建 築 するにあたり, 敷 地 となる 被 後 見 人 名 義 の 宅 地 に 抵 当 権 を 設 定 し, 後 見 人 名 義 で 住 宅 ローンを 組 みたいと 考 えていますが,どうす ればよいでしょうか A いずれの 場 合 も, 家 庭 裁 判 所 に 特 別 代 理 人 選 任 の 申 立 てをして, 被 後 見 人 の ために 特 別 代 理 人 を 選 任 して 手 続 をしなければなりません 1 特 別 代 理 人 の 制 度 後 見 人 と 被 後 見 人 との 間 で 利 益 が 相 反 するような 行 為 については, 後 見 人 が 公 正 に 被 後 見 人 の 利 益 を 考 えて 代 理 権 を 行 使 することが 期 待 できないと 考 えられることか ら, 法 律 上, 裁 判 所 が 選 任 する 特 別 代 理 人 に 一 時 的 に 被 後 見 人 を 代 理 する 権 限 を 与 え て, 特 別 代 理 人 と 後 見 人 の 間 で 契 約 等 を 行 う 仕 組 みとしています なお,2 人 の 被 後 見 人 に1 人 の 後 見 人 がついている 場 合 ( 例 えば, 両 親 2 人 に1 人 の 子 が 後 見 人 としてついている 場 合 )で, 被 後 見 人 同 士 で 契 約 を 締 結 する 場 合 にも, 利 益 相 反 として 特 別 代 理 人 が 必 要 です 2 具 体 例 後 見 人 と 被 後 見 人 がともに 相 続 人 となっている 遺 産 分 割 協 議 や, 後 見 人 が 被 後 見 人 と 同 居 するための 建 物 の 建 築 資 金 等 を 銀 行 から 借 り 入 れるために 被 後 見 人 の 不 動 産 に 抵 当 権 を 設 定 する 契 約, 後 見 人 が 被 後 見 人 の 不 動 産 を 購 入 する 場 合 などがあります 3 手 続 通 常, 分 割 協 議 や 契 約 等 の 内 容 がほぼ 確 定 した 段 階 で, 後 見 人 ( 又 は 利 害 関 係 人 ) が 裁 判 所 に 特 別 代 理 人 選 任 の 申 立 てを 行 います 申 立 ての 際 に, 特 別 代 理 人 の 候 補 者 として, 本 件 と 利 害 のない 知 人 や 親 族, 法 律 の 専 門 家 等 を 推 薦 してもらいます ただ し, 後 見 監 督 人 が 選 任 されている 場 合 は, 後 見 監 督 人 が 被 後 見 人 を 代 理 することにな りますので, 特 別 代 理 人 を 選 任 する 必 要 はありません ( 参 考 ) 遺 産 分 割 で 特 別 代 理 人 を 選 任 する 場 合 に 必 要 な 書 類 は 次 のとおりです ( 場 合 によっては 他 の 書 類 の 提 出 を 求 めることもあります ) 特 別 代 理 人 選 任 の 申 立 書 ( 経 緯 や 必 要 性 を 具 体 的 に 記 入 してください ) 申 立 手 数 料 としての 収 入 印 紙 800 円 予 納 切 手 (82 円 :3 ( 申 立 人 + 候 補 者 ) 枚,10 円 :( 申 立 人 + 候 補 者 ) 枚 ) 住 所 等 に 変 更 があれば 被 後 見 人 後 見 人 の 住 民 票, 特 別 代 理 人 候 補 者 の 住 民 票 遺 産 分 割 協 議 書 案, 遺 産 の 内 容 が 分 かる 資 料 - 13 -
Q14 被 後 見 人 の 財 産 がなくなったとき なったとき 被 後 見 人 の 財 産 はほとんどありません 入 院 費 などを 支 払 って 全 部 なくなってしま ったら, 後 見 人 が 被 後 見 人 の 生 活 費 を 負 担 しなければなりませんか A 後 見 人 ではなく, 被 後 見 人 の 扶 養 義 務 者 が 負 担 します もし, 後 見 人 自 身 が, 被 後 見 人 の 扶 養 義 務 者 であれば, 負 担 を 求 められることがあります 資 力 がない 等 の 理 由 で 扶 養 義 務 者 からの 援 助 が 受 けられない 場 合 は, 生 活 保 護 などの 公 的 扶 助 の 申 請 を 検 討 してください 被 後 見 人 の 生 活 に 要 する 費 用 は, 基 本 的 には 被 後 見 人 の 財 産 から 支 払 われるのが 相 当 です しかし, 仮 に 被 後 見 人 の 収 入 が 十 分 でなく,また, 財 産 も 底 をついた 場 合 は, 被 後 見 人 の 扶 養 義 務 者 ( 配 偶 者, 親, 祖 父 母, 子, 孫, 兄 弟 姉 妹 )が 負 担 することに なります 扶 養 義 務 者 が 複 数 いる 場 合 は, 誰 がどのように 負 担 するか, 分 担 して 負 担 するかな どを 話 合 いで 決 めることになります 決 まらない 場 合 は, 家 庭 裁 判 所 の 調 停 を 利 用 す ることもできます 後 見 人 自 身 も 扶 養 義 務 者 であれば, 被 後 見 人 の 生 活 費 を 負 担 しなければならない 場 合 があります ただし, 扶 養 義 務 者 であっても, 経 済 的 な 余 力 がないなど, 支 援 が 困 難 な 事 情 があ れば, 強 いて 支 援 を 求 めることはできないので, 別 途, 生 活 保 護 などの 公 的 扶 助 の 活 用 を 検 討 する 必 要 があります 14
Q15 後 見 人 の 報 酬 後 見 人 に 報 酬 はないのでしょうか A 報 酬 付 与 の 申 立 てにより, 裁 判 所 の 審 判 で 報 酬 額 の 決 定 を 受 けて, 被 後 見 人 の 財 産 から 報 酬 を 受 け 取 ることができます 1 報 酬 付 与 の 申 立 て 後 見 人 は,その 事 務 の 内 容 に 応 じて, 被 後 見 人 の 財 産 の 中 から 報 酬 を 受 け 取 ること ができます その 場 合 には, 裁 判 所 に 対 し, 報 酬 付 与 の 審 判 の 申 立 てが 必 要 です こ の 手 続 を 経 ずに 被 後 見 人 の 財 産 から 報 酬 を 受 け 取 ることはできません また, 報 酬 は, 被 後 見 人 の 財 産 の 中 から 支 払 うことになりますので, 被 後 見 人 に 財 産 がない 場 合 には, 支 払 うことができません 2 手 続 について 裁 判 所 は, 後 見 人 の 行 った 事 務 の 内 容 や 職 務 の 期 間, 被 後 見 人 の 財 産 の 額 や 内 容 な どを 考 慮 して, 後 見 人 に 報 酬 を 付 与 するのが 相 当 かどうか, 相 当 である 場 合 には 報 酬 の 額 をいくらとすべきかを 決 定 します 審 判 書 では, 例 えば, 就 職 時 から 平 成 年 月 日 までの 間 の 報 酬 として 申 立 人 に 金 万 円 を 与 える という 形 で 示 されます 後 見 人 は 報 酬 付 与 の 審 判 がなされた 後, 報 酬 額 として 認 められた 額 を 被 後 見 人 の 財 産 から 受 け 取 ることができます なお, 申 立 てに 際 しては, 報 酬 の 対 象 となる 職 務 の 期 間 に 応 じて, 職 務 内 容 に 関 す る 報 告 書 と 財 産 目 録, 収 支 報 告 書 及 び 裏 付 け 資 料 の 提 出 が 必 要 です したがって, 通 常 は, 後 見 監 督 に 際 して, 裁 判 所 に 対 して 財 産 目 録 等 の 提 出 を 行 った 段 階 で 申 し 立 て を 行 うと, 比 較 的 手 間 を 省 力 化 することができます 15
Q16 後 見 監 督 人 が 選 任 されたとき 私 は 後 見 人 に 選 任 されましたが, 第 三 者 の 方 が 後 見 監 督 人 に 選 任 されました 後 見 人 として,どのように 対 応 すればよいのでしょうか A 後 見 監 督 人 は, 親 族 間 に 紛 争 がある 場 合 や, 多 額 の 資 産 がある 場 合 等, 専 門 職 の 関 与 が 必 要 と 考 えられる 場 合 に 選 任 されます 後 見 開 始 時 のみならず, 開 始 後, 相 当 期 間 を 経 過 した 段 階 でも 選 任 される 場 合 があります 監 督 人 が 選 任 された 場 合 には, 次 の 点 に 留 意 してください 1 被 後 見 人 の 財 産 の 調 査 や 財 産 目 録 の 作 成 にあたっては, 後 見 監 督 人 の 立 会 いをもって 行 う 2 被 後 見 人 に 対 して, 債 権 を 有 し 又 は 債 務 を 負 う 場 合 には, 財 産 の 調 査 に 着 手 する 前 に, 後 見 監 督 人 に 申 し 出 る 3 後 見 事 務 の 報 告 については, 後 見 監 督 人 に 行 う 1 財 産 目 録 の 作 成 後 見 人 になったら, 後 見 監 督 人 の 立 会 いのもとに, 被 後 見 人 の 財 産 状 況 を 調 査 し, 財 産 目 録 を 作 成 しなければなりません 2 債 権 債 務 の 申 告 後 見 人 が, 被 後 見 人 に 対 し, 債 権 を 持 っている 場 合 は, 後 見 人 が 財 産 の 調 査 に 着 手 する 前 に, 後 見 監 督 人 に 申 し 出 なければなりません 後 見 人 が 被 後 見 人 に 対 して 債 権 が 存 在 することを 知 りながら,それを 申 告 しなかったときは,その 債 権 は 消 滅 します また, 後 見 人 が 被 後 見 人 に 対 し, 債 務 を 負 っている 場 合 も, 後 見 監 督 人 に 申 し 出 なけ ればなりません 3 事 務 の 報 告 後 見 監 督 人 から, 後 見 事 務 の 報 告 及 び 財 産 目 録 の 提 出 を 求 められたときは, 裁 判 所 にではなく 後 見 監 督 人 に 提 出 しなければなりません 4 その 他 重 要 な 財 産 上 の 行 為 ( 民 法 13 条 1 項 各 号 ただし1 号 の 元 本 の 領 収 を 除 く ) には 後 見 監 督 人 の 同 意 が 必 要 となり, 後 見 人 と 被 後 見 人 の 利 益 が 相 反 する 行 為 につい ては, 後 見 監 督 人 が 被 後 見 人 を 代 理 する 権 限 を 持 つことになります また, 後 見 監 督 人 は, 後 見 人 と 同 様, 被 後 見 人 の 資 産 から 事 務 経 費 の 支 払 いを 受 け, 報 酬 付 与 の 審 判 を 得 て 報 酬 を 受 領 することができます 16
Q17 後 見 人 の 辞 任 高 齢 や 病 気 のため, 後 見 人 の 仕 事 をすることが 困 難 になった 場 合 は,どうすれば よいのでしょうか A 正 当 な 事 由 がある 場 合 は, 裁 判 所 の 許 可 を 得 て 後 見 人 を 辞 任 することができ ます 1 正 当 な 事 由 後 見 人 については,その 意 思 で 自 由 に 辞 任 できることになると 被 後 見 人 の 保 護 を 害 するおそれがあることから, 後 見 人 が 辞 任 するには, 裁 判 所 への 申 立 て( 成 年 後 見 人 の 辞 任 許 可 申 立 て)を 要 し, 正 当 な 事 由 がある 場 合 にのみ 許 可 の 審 判 がされることに なっています 正 当 な 事 由 の 例 としては, 遠 隔 地 に 転 居 しなければならない 場 合 や, 高 齢 や 病 気 などの 理 由 により 後 見 人 としての 職 務 を 十 分 に 果 たせなくなった 場 合 などが 考 えら れます 2 後 任 者 について 後 見 人 が 辞 任 した 場 合 には, 複 数 の 後 見 人 がいた 場 合 を 除 いて, 新 たな 後 見 人 を 選 任 しなければなりません そこで, 辞 任 申 立 てをした 後 見 人 は, 速 やかに 後 任 の 後 見 人 選 任 の 申 立 てをしなければならないとされています できる 限 り, 辞 任 申 立 てと 同 時 に 後 任 の 後 見 人 候 補 者 を 立 てて, 選 任 申 立 てをしてください 辞 任 許 可 により, 後 見 人 の 任 務 は 終 了 し, 辞 任 した 後 見 人 は, 管 理 していた 財 産 を 計 算 して, 速 やかに 新 しい 後 見 人 に 引 き 継 ぐ 必 要 があります 17
Q18 後 見 人 の 任 務 終 了 時 になすべきこと 後 見 人 を 辞 めたときや, 被 後 見 人 が 死 亡 したときは,どうしたらよいでしょうか A 2か 月 以 内 にその 管 理 の 計 算 をして, 新 しい 後 見 人 又 は 被 後 見 人 の 相 続 人 に 対 し, 管 理 していた 財 産 を 引 き 継 がなければなりません 1 後 見 人 を 辞 任 するか, 解 任 された 場 合 後 見 人 としての 任 務 は 終 了 することになります 最 後 の 仕 事 として,2か 月 以 内 に 管 理 していた 財 産 の 収 支 を 計 算 し, 管 理 していた 財 産 を 新 しい 後 見 人 に 引 き 継 がなけ ればなりません 2 被 後 見 人 が 死 亡 した 場 合 後 見 自 体 が 終 了 し, 後 見 人 の 任 務 終 了 に 伴 い, 以 下 の3つの 手 続 が 必 要 となります まずは 裁 判 所 に 対 し, 電 話 で 被 後 見 人 が 死 亡 した 旨 の 連 絡 をしてください その 後, 以 下 の 手 続 を 進 めてください(なお,1の 引 継 ぎが 完 了 する 前 でも,2 及 び3の 手 続 を 先 に 実 施 することができます ) 1 相 続 人 等 への 財 産 の 引 継 ぎ 2か 月 以 内 に 管 理 していた 財 産 の 収 支 を 計 算 し, 財 産 を 相 続 人 等 に 引 き 継 ぐ 必 要 があります 相 続 人 が 複 数 いる 場 合 で, 一 部 の 相 続 人 にのみ 引 き 継 いだときは, 他 の 相 続 人 に 対 して,その 旨 を 連 絡 してください 遺 言 書 があり, 遺 言 執 行 者 の 選 任 が 必 要 な 場 合 は, 申 立 てなどの 必 要 な 手 続 を 行 ってください 相 続 人 がいない 場 合 には, 家 庭 裁 判 所 で 相 続 財 産 管 理 人 選 任 の 手 続 を 行 った 上 で, そこで 選 任 された 相 続 財 産 管 理 人 に 財 産 を 引 き 継 いで, 財 産 を 清 算 してもらうこと になります 2 裁 判 所 に 対 する 終 了 報 告 後 見 等 事 務 終 了 報 告 書 (38 頁 の 書 式 )を 作 成 して, 提 出 してください 報 告 書 には, 被 後 見 人 の 死 亡 を 証 する 文 書 として, 死 亡 診 断 書 の 写 しか, 戸 籍 ( 除 籍 ) 謄 本 の 添 付 が 必 要 となります 3 東 京 法 務 局 に 対 する 終 了 登 記 申 請 後 見 終 了 の 登 記 申 請 書 (46 頁 の 書 式 )により, 東 京 法 務 局 に 対 して 申 請 を 行 ってください 手 続 の 詳 細 については, 東 京 法 務 局 民 事 行 政 部 後 見 登 録 課 ( 電 話 03-5213-1360) 又 はお 近 くの 法 務 局 にお 問 い 合 わせください 参 考 後 見 人 自 身 が 死 亡 した 場 合 ご 親 族 のどなたかが 裁 判 所 に 連 絡 してください 被 後 見 人 の 権 利 保 護 に 支 障 をきたさないよう, 速 やかに 後 任 の 後 見 人 を 選 ばなければならないからです また, 新 しい 後 見 人 への 財 産 の 引 継 ぎは, ご 親 族 にお 願 いすることになります 18
Q19 後 見 人 であることの 証 明 後 見 人 であることの 証 明 を 求 められたときは,どうすればよいでしょうか A 後 見 人 であることの 証 明 としては, 以 下 の2つがあります 1 登 記 事 項 証 明 書 ( 全 国 の 法 務 局 ( 支 局 出 張 所 を 除 く)で 発 行 ) 2 審 判 書 謄 本 及 び 審 判 確 定 証 明 書 ( 審 判 を 行 った 家 庭 裁 判 所 で 発 行 ) 1 登 記 事 項 証 明 書 について 後 見 が 開 始 されると, 法 定 後 見 の 種 類, 後 見 人 の 氏 名, 住 所, 被 後 見 人 の 氏 名, 本 籍, 住 所 などが 東 京 法 務 局 に 登 記 されます 登 記 された 内 容 を 証 明 するのが 登 記 事 項 証 明 書 で,これが, 後 見 人 であることの 証 明 書 になります 東 京 法 務 局 に 対 しては, 以 下 のとおり 郵 送 での 取 り 寄 せができます 窓 口 では, 全 国 の 法 務 局 ( 支 局 出 張 所 は 不 可 )において, 来 庁 者 に 限 り, 交 付 申 請 が 可 能 です( 印 鑑 身 分 証 明 書 ( 免 許 証 等 )が 必 要 です 後 見 人 本 人 以 外 の 方 が 窓 口 に 行 かれる 場 合 には, 持 参 書 類 を 法 務 局 にご 確 認 ください ) なお, 申 請 時 期 については, 審 判 確 定 後 に 登 記 依 頼 を 行 う 関 係 で, 後 見 人 が 審 判 書 謄 本 を 受 け 取 ってからおおむね4 週 間 後 にお 願 いします 東 京 法 務 局 に 対 する 郵 送 による 取 り 寄 せ 宛 先 東 京 法 務 局 民 事 行 政 部 後 見 登 録 課 ( 電 話 03-5213-1360) 102-8226 東 京 都 千 代 田 区 九 段 南 1-1-15 九 段 第 2 合 同 庁 舎 申 請 用 紙 最 寄 りの 法 務 局 で 配 布 のもの 又 は41 頁 の 書 式 を 使 用 手 数 料 等 証 明 書 1 通 につき 原 則 として 収 入 印 紙 550 円 ( 切 手 を 貼 った 返 信 用 封 筒 の 同 封 が 必 要 です ) 2 審 判 書 謄 本 及 び 審 判 確 定 証 明 書 について 審 判 書 謄 本 及 び 審 判 確 定 証 明 書 の 取 り 寄 せ 方 法 申 請 先 申 請 用 紙 の 交 付 場 所 手 数 料 等 の 費 用 審 判 をした 家 庭 裁 判 所 家 庭 裁 判 所 (37 頁 の 書 式 を 使 用 可 ) 37 頁 の 書 式 の 記 載 を 参 照 19
Q20 転 居 等 で 登 記 事 項 に 変 更 が 生 じた 場 合 後 見 人 に 選 ばれた 後, 転 居 したため 住 所 が 変 わりました 何 か 手 続 が 必 要 ですか A 裁 判 所 に 転 居 後 の 新 住 所 を 連 絡 していただき, 東 京 法 務 局 に 対 して, 登 記 事 項 の 変 更 の 申 請 書 を 郵 送 してください 後 見 人 や 被 後 見 人 について, 転 居 により 住 所 が 変 わったり, 婚 姻, 離 婚, 養 子 縁 組 などによって 姓 が 変 わったりすることがあります その 結 果, 登 記 されている 内 容 が, 戸 籍 や 住 民 票 の 記 載 と 異 なってしまい,そのままにしておくと, 後 見 人 の 仕 事 に 支 障 をきたすことがあります したがって,そのような 場 合 には, 東 京 法 務 局 に 対 して, 登 記 事 項 を 変 更 するための 登 記 申 請 書 を 提 出 する 必 要 があります 申 請 書 については, 法 務 局 窓 口 で 配 布 されてい るものか,43 頁 の 書 式 を 利 用 してください 手 続 の 詳 細 については, 東 京 法 務 局 民 事 行 政 部 後 見 登 録 課 ( 電 話 03-5213-1360) 又 はお 近 くの 法 務 局 にお 問 い 合 わ せください なお, 裁 判 所 に 対 しては, 転 居 等 があったことについて, 転 居 後 の 住 民 票 の 写 し 等 の 資 料 を 添 付 して 連 絡 してください( 後 見 監 督 の 手 続 中 であれば, 報 告 に 合 わせて 連 絡 し てください ) 20