遺 伝 の は な し 1



Similar documents
Microsoft PowerPoint _GP向けGL_final

図 表 1 1,000 万 円 以 上 高 額 レセプト ( 平 成 25 年 度 ) 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷 病 名 順 位 月 額 医 療 費 主 傷

5 月 25 日 2 口 腔 咽 頭 唾 液 腺 の 疾 患 2 GIO: 口 腔 咽 頭 唾 液 腺 の 疾 患 を 理 解 する SBO: 1. 急 性 慢 性 炎 症 性 疾 患 を 説 明 できる 2. 扁 桃 の 疾 患 を 説 明 できる 3. 病 巣 感 染 症 を 説 明 できる 4

<96DA8E9F81698D8791CC A2E786C73>

Microsoft Word - 3大疾病保障特約付団体信用生命保険の概要_村上.docx

5 月 19 日 5 新 生 児 の 呼 吸 障 害 GIO: 新 生 児 期 に 生 じる 呼 吸 障 害 の 病 態 の 特 徴 を 説 明 でき 胸 部 XPから 診 断 できる SBO: 1. 新 生 児 呼 吸 障 害 の 病 態 に 基 づく 症 状 の 特 徴 を 説 明 できる 2.

診療行為コード

平成24年度 福島県患者調査の概況(厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健社会統計課 保健統計室:H )

5 月 27 日 4 子 宮 頸 癌 1 GIO: 子 宮 頸 癌 の 病 態 診 断 治 療 について 理 解 する SBO: 1. 子 宮 頸 癌 の 発 癌 のメカニズムや 発 癌 過 程 について 説 明 できる 2. 子 宮 頸 癌 および 前 癌 病 変 の 分 類 ついて 説 明 でき

10w.xdw


3 保 険 料 ( 掛 金 )を 納 めていること 原 則 として 初 診 日 月 前 々 月 まで 国 民 年 金 加 入 期 間 全 体 うち 3 分 2 以 上 きち んと 納 めている( 保 険 料 免 除 期 間 も 含 む)ことが 必 要 です 現 在 は 特 例 として 初 診 日 が

目次

tokutei2-7.xls

Microsoft Word - 2章.doc

(Microsoft Word _10\214\216\222\262\215\270\203\212\203\212\201[\203X_\215\305\217I\215e.doc)

1.H26年エイズ発生動向年報ー概要

Microsoft Word 住宅ローン保障拡充.doc

Microsoft Word - 通知 _2_.doc

監 修 北 辰 会 有 澤 総 合 病 院 内 科 大 八 木 秀 和 1 時 間 目 子 宮 内 膜 症 名 古 屋 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 産 婦 人 科 中 原 辰 夫 NAKAHARA Tatsuo 月 経 困 腎 難 不 を 全 訴 とはどのような えて 来 院 される

<4D F736F F D20836E E819592E88C5E B F944E82548C8E89FC90B3816A5F6A D28F57>

< F2D874491E682528FCD2091E DF C A2E>

<4D F736F F F696E74202D208D4C94A C BB38EBA814089FC95CF2E B8CDD8AB B83685D>

神 経 系 統 の 機 能 神 経 系 統 の 機 能 の 著 しい 障 害 とは 脳 の 器 質 障 害 四 肢 その 他 の 神 経 の 損 傷 によって 生 じる 灼 熱 痛 脳 神 経 及 び 脊 髄 神 経 の 外 傷 その 他 の 原 因 による 神 経 痛 等 により 特 に 軽 易

○00表紙

アフターケア.indd

( 別 添 )インフルエンザに 伴 う 異 常 な 行 動 に 関 する 報 告 基 準 ( 報 告 基 準 ) ( 重 度 調 査 )インフルエンザ 様 疾 患 と 診 断 され かつ 重 度 の 異 常 な 行 動 を 示 した 患 者 につき ご 報 告 ください ( 軽 度 調 査 )インフ

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

δ

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章


北海道医療大学歯学部シラバス

 


一 方 でも 自 分 から 医 師 に 症 状 の 変 化 について 伝 えている 割 合 は シーズン 前 では 満 足 な と 同 じ %でしたが シーズン 開 始 直 後 から 高 くなり シーズン 後 半 では の 31%を 上 回 り 42%となっています (グラフ 3) ギャップ 3:

地域支援心理研究センター 紀要 第10号

伊勢崎市職員職場復帰支援制度

2-1膠原病.doc

toukyuhyo

(2) 特 別 障 害 給 付 金 国 民 年 金 に 任 意 加 入 していなかったことにより 障 害 基 礎 年 金 等 を 受 給 していない 障 がい 者 の 方 に 対 し 福 祉 的 措 置 として 給 付 金 の 支 給 を 行 う 制 度 です 支 給 対 象 者 平 成 3 年 3

障害福祉制度あらまし目次

目 次 福 島 県 県 北 医 療 圏 県 中 医 療 圏 県 南 医 療 圏 会 津 医 療 圏 南 会 津 医 療 圏 相 双 医 療 圏 いわき

仙台市のエイズ・性感染症の現状       資料4

研修計画

第 1 章 実 は, 鼻 炎 は 様 々 5 ハンノキとその 花 粉 図 6 6 アレルギー 性 鼻 炎 患 者 の 右 鼻 腔 内 の 写 真 11

各論_1章〜7章.indd

11 切 断 又 は 離 断 変 形 麻 痺 11 切 離 断 部 位 手 関 節 前 腕 肘 関 節 上 腕 肩 関 節 左 リスフラン 関 節 部 位 左 ショパール 関 節 足 関 節 下 腿 膝 関 節 大 腿 股 関 節 左 左 手 ( 足 ) 関 節 手 ( 足 ) 指 の 切 離 断

第 9 条 の 前 の 見 出 しを 削 り 同 条 に 見 出 しとして ( 部 分 休 業 の 承 認 ) を 付 し 同 条 中 1 日 を 通 じて2 時 間 ( 規 則 で 定 める 育 児 休 暇 を 承 認 されている 職 員 については 2 時 間 から 当 該 育 児 休 暇 の

<4D F736F F D B8FE68ED28F9D8A E CE388E28FE18A51816A93C196F E646F63>

する 婦 人 相 談 所 その 他 適 切 な 施 設 による 支 援 の 明 記 禁 止 命 令 等 をすることが できる 公 安 委 員 会 等 の 拡 大 等 の 措 置 が 講 じられたものである 第 2 改 正 法 の 概 要 1 電 子 メールを 送 信 する 行 為 の 規 制 ( 法

カラーP1.indd

いう )は 警 告 をしたときは 速 やかに その 内 容 及 び 日 時 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申 出 をした 者 に 通 知 しなければならないこととされ また 警 告 をし なかったときは 速 やかに その 旨 及 び 理 由 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申

日産婦誌60巻10号研修コーナー

母 子 医 療 対 策 費 462 (313,289) 国 4,479 1 不 妊 治 療 助 成 事 業 8,600 不 妊 治 療 費 用 の 一 部 を 助 成 し 経 済 的 負 担 の 軽 減 を 図 る 230, ,608 不 妊 治 療 費 の 増 加 による 増 額 分

<4D F736F F D F303088A4926D8CA78E8497A EF68BC697BF93998C798CB895E28F958BE08CF D6A2E646F63>

5

3 薬 局 サービス 等 (1) 健 康 サポート 薬 局 である 旨 の 表 示 健 康 サポート 薬 局 である 旨 を 表 示 している 場 合 健 康 サポート 薬 局 とは かかりつけ 薬 剤 師 薬 局 としての 基 本 的 な 機 能 に 加 えて 積 極 的 な 健 康 サポート 機

公 営 企 業 職 員 の 状 況 1 水 道 事 業 1 職 員 給 与 費 の 状 況 ア 決 算 区 分 総 費 用 純 利 益 職 員 給 与 費 総 費 用 に 占 める ( 参 考 ) 職 員 給 与 費 比 率 22 年 度 の 総 費 用 に 占 A B B/A める 職 員 給 与

ミニ統計平成27年(HP用 訂正版)

17 外 国 人 看 護 師 候 補 者 就 労 研 修 支 援 18 看 護 職 員 の 就 労 環 境 改 善 運 動 推 進 特 別 20 歯 科 医 療 安 全 管 理 体 制 推 進 特 別 21 在 宅 歯 科 医 療 連 携 室 整 備 22 地 域 災 害 拠 点 病

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

科 目 名 生 理 学 Ⅱ 講 師 名 山 美 喜 子 開 講 期 前 期 後 期 通 身 体 の 正 常 な 機 能 を 国 家 試 験 の 出 題 内 容 と 関 連 付 けて 理 解 する 成 績 評 価 方 法 試 験 :00 点 受 講 態 度 :0 点 ( 減 点 方 式 ) 生 理 学

1章A_責了.indd

- 糖 結 合 質 変 性 劣 化 糖 - 炭 水 化 物 糖 + 食 物 繊 維 理 解 助 糖 取 上 酸 化 - 酸 化 合 病 気 酸 化 酸 化 活 性 酸 素 言 葉 目 機 会 多 思 比 言 葉 聞 思 体 内 酸 化 直 接 的 病 気 老 化 惹 起 遠 巻 病 気 老 化 要

平 成 34 年 4 月 1 日 から 平 成 37 年 3 月 31 日 まで 64 歳 第 2 章 労 働 契 約 ( 再 雇 用 希 望 の 申 出 ) 第 3 条 再 雇 用 職 員 として 継 続 して 雇 用 されることを 希 望 する 者 は 定 年 退 職 日 の3か 月 前 まで

HIV感染防止マニュアル(出力用).indd

( 前 ページから 続 く) 次 のいずれかに 該 するかたは 受 給 できません 施 設 に 入 所 しているかた 病 院 に3か 月 を 超 えて 続 けて 入 院 しているかた 受 給 者 本 人 または 扶 養 義 務 者 等 の 所 得 が 制 限 額 ( 別 表 1P.135)の 限 度

別紙3

Microsoft Word - 腰痛.doc

EST_  H.8.6.

毎 月 の 給 与 等 ( )を 一 定 の 等 級 区 分 にあてはめた 標 準 月 額 の 上 限 が 現 行 の47 等 級 から50 等 級 に 改 正 されます ( 別 紙 健 康 保 険 料 額 表 参 照 ) なお 法 改 正 に 伴 い 標 準 月 額 が 改 定 される 方 につい

総 合 科 学 研 究 科 ( 留 学 生 担 当 ) 文 学 部 文 学 研 究 科 哲 学 思 想 文 化 学 コース 歴 史 学 コース 地 理 学 考 古 学 文 化 財 学 コース 日 本 中 国 文 学 語 学 コース 翀 欧 米 文 学 語 学 言 語 学 コース 比 較 日 本 文

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

< F2D F97CC8EFB8F BE8DD78F9192CA926D>

個人住民税徴収対策会議

Ⅶ 東 海 地 震 に 関 して 注 意 情 報 発 表 時 及 び 警 戒 宣 言 発 令 時 の 対 応 大 規 模 地 震 対 策 特 別 措 置 法 第 6 条 の 規 定 に 基 づき 本 県 の 東 海 地 震 に 係 る 地 震 防 災 対 策 強 化 地 域 において 東 海 地 震

先行研究のサマリー

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

深く靭帯の伸長と短縮を考えたい

プレス発表に関する手引き

<4D F736F F D B8FE68ED28F9D8A FC92CA E88EA8E9E8BE0816A93C196F E646F63>

路 症 状 の 副 作 用 は 少 ないと 言 われている 一 方 Ray らが 報 告 した 大 規 模 調 査 では 突 然 死 の 発 生 率 はわずかながら 第 一 世 代 1.99 に 比 し 第 二 世 代 の 薬 剤 で 2.26 と 増 加 したことが わかっている(Ray et a

b11 全 般 的 精 神 機 能 b71 関 節 と 骨 の 機 能 A75 伝 染 性 単 核 球 症 b43 血 液 系 と 免 疫 系 の 機 能 b45 心 血 管 系 と 呼 吸 器 系 の 付 加 的 機 能 と 感 覚 A76 その 他 のウィルス 性 発 疹 b43 血 液 系 と

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

(平成13年9月25日現在)

Microsoft Word - H25普通会計決算状況 .docx

人 間 ドックコース( 脳 検 査 がん 検 査 含 む) 298,000 円 / 税 込 その 他 肥 満 症 やせ 症 高 / 低 血 圧 近 視 乱 視 白 内 障 緑 内 障 網 膜 疾 患 外 部 の 音 を 遮 断 したブースで 音 を 聞 き 取 って 調 難 聴 腹 部 超 音 波

目  次

①表紙

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 135,600 円 185,800 円 222,900 円 261,900 円

想 像 思 行 ず 消 毒 擦 む 薄 血 混 じ 滲 み ぶ 痂 ぶ 取 下 薄 来 経 験 沢 山 お 思 健 常 人 間 元 々 備 能 力 中 具 的 何 起 ょ 簡 単 説 明 ず 人 間 負 部 リ ン パ 球 血 小 板 マ ク ロ フ ァ ジ 悪 食 べ 集 死 溶 食 べ 清 浄

3 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 43.7 歳 32, , ,321

検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

Microsoft Word - H24様式(那珂市版).doc

○医療用医薬品の使用上の注意記載要領について

主 要 な が ん 治 療 に つ い て 入 院 に か か る 医 療 費 の 支 払 い か ら 計 算 し た も の で す 例 え ば 胃 が ん に つ い て は 平 均 入 院 費 は 総 額 約 万 円 で 自 己 負 担 額 は 約 3 3 万 円 程 度 必 要

の 提 供 状 況 等 を 総 合 的 に 勘 案 し 土 地 及 び 家 屋 に 係 る 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 減 額 せずに 平 成 24 年 度 分 の 固 定 資 産 税 及 び 都 市 計 画 税 を 課 税 することが 適 当 と 市 町 村 長 が 認 め

Transcription:

Ⅰ.てんかん てんかん はいろいろな 原 因 で 繰 り 返 しておこる 痙 攣 発 作 を 伴 う 慢 性 の 脳 疾 患 です 極 端 に 言 えば 症 状 であり 複 数 の 疾 患 が 含 まれているといえます 一 般 人 口 の 1~1.5%にあり 痙 攣 発 作 を 伴 わない 脳 波 異 常 だけもふくめると 約 5%といわれます 1. 痙 攣 発 作 の 分 類 2. 原 因 : 1) 部 分 ( 焦 点 局 所 ) 発 作 ( 局 所 関 連 性 てんかん) 2) 全 般 発 作 ( 痙 攣 性 非 痙 攣 性 全 般 てんかん) 3) 未 分 類 発 作 1) 脳 の 形 成 異 常 2) 胎 児 期 頭 蓋 内 感 染 3) 周 産 期 障 害 4) 脳 腫 瘍 5) 出 生 後 の 外 傷 感 染 等 6) 遺 伝 性 疾 患 3. 遺 伝 特 発 性 てんかんの 中 に 家 族 性 出 現 があること 一 致 率 が 一 卵 性 双 生 児 では 50~ 60% 二 卵 性 双 生 児 では 3~6%であることから 遺 伝 の 関 与 が 推 定 されます た だし 一 卵 性 双 生 児 の 一 致 率 が 100%でないことは 環 境 因 子 の 関 与 を 意 味 します また てんかんをもつ 女 性 の 多 数 が 健 康 なこどもを 出 産 しています しかし 先 天 異 常 児 が 生 まれる 可 能 性 は 4~6%と 対 象 の 2~3 倍 になるともいいます 単 一 遺 伝 性 で 遺 伝 子 の 分 かっているてんかんもあります 遺 伝 性 遺 伝 子 良 性 家 族 性 新 生 児 けいれん AD 8q24, 20q13.3 熱 性 けいれんプラス AD 19q13, 2q24-q33 家 族 性 夜 間 前 頭 葉 けいれん AD 20q13.3 1

4. 経 験 的 再 発 率 1~14% 1~13% 2~10% 50~60% 3~5% 熱 性 けいれん 11% 22% 18% 4% Ⅱ.パーキンソン 病 振 戦 固 縮 運 動 減 少 を 三 主 徴 とする 慢 性 疾 患 ですが 表 現 度 ( 病 気 の 状 態 )が 異 なります. 大 多 数 が 孤 発 例 ですが 中 に 家 族 例 があり 常 染 色 体 優 性 遺 伝 あるい は 常 染 色 体 劣 性 遺 伝 が 知 られています 1. 発 生 頻 度 :150~200/10 万 人 若 年 発 症 も 稀 にありますが 大 多 数 が 孤 発 例 で 50 歳 代 に 発 症 します 家 族 例 は 5% 程 度 です 2. 原 因 : 中 脳 の 黒 質 にあるドーパミン 含 有 細 胞 が 変 性 消 失 することによりま す 2

3. 症 状 : 1) 振 戦 : 安 静 時 におこり 規 則 正 しい 精 神 的 緊 張 の 影 響 を 受 け 手 下 顎 口 唇 舌 頭 と 広 がる 広 がりや 進 行 程 度 は 様 々です 2) 固 縮 : 他 人 の 力 で 関 節 を 動 かそうとすると 歯 車 様 と 表 現 される 抵 抗 を 感 じます 膝 肘 手 首 を 屈 曲 させる 特 有 な 姿 勢 と 小 さい 歩 幅 で ひきずって 歩 く 歩 行 が 特 徴 的 です. 3) 運 動 減 少 :すべての 動 作 が 緩 緩 になり 表 情 も 乏 しくなります 4. 遺 伝 : 遺 伝 的 異 質 性 が 認 められます. 1) 常 染 色 体 優 性 遺 伝 PARK1(4q21-q22),PARK5(4p14),PARK3(2p13), PARK4(4p15), 2) 常 染 色 体 劣 性 遺 伝 PARK2(6q25.2-q27),PARK7(1p36),PARK6(1p36-p35) 5. 遺 伝 相 談 : 常 染 色 体 優 性 遺 伝 常 染 色 体 常 劣 性 遺 伝 があります (1) 大 多 数 が 孤 発 例 であること (2) 発 症 年 齢 が 50 歳 代 と 遅 い( 日 本 では 40 歳 以 前 発 症 の 若 年 型 が 比 較 的 多 い( 約 10%とされています) (3) 表 現 度 に 差 がある こと(4) 浸 透 度 (5) 遺 伝 的 異 質 性 などに 注 意 をする 必 要 があります 3

Ⅲ. 多 発 性 硬 化 症 中 枢 神 経 系 の 脱 髄 疾 患 ( 神 経 をカバーしている 髄 鞘 が 壊 れておこる 疾 患 )の 一 つです この 脱 髄 があちこちにでき( 脱 髄 斑 ) 発 病 再 発 をします 1. 頻 度 : 人 口 10 万 人 あたり 8~9 人 程 度 です 20~40 代 に 多 く 発 病 し 男 女 比 は1:2~3 位 と 女 性 に 多 いです. 2. 原 因 : 自 己 免 疫 説 が 有 力 です 環 境 因 子 としてウイルス 感 染 が 考 えられてい ます 3. 遺 伝 : 体 質 が 遺 伝 すると 考 えられています 遺 伝 子 としてHLA とくに DR 2タイプはなりやすいと 言 います 多 因 子 遺 伝 を 考 えます 4. 症 状 : 視 神 経 障 害 : 視 力 が 低 下 視 野 欠 損 球 後 視 神 経 炎 脳 幹 障 害 : 複 視 ( 二 重 に 見 える) 眼 振 顔 の 感 覚 や 運 動 が 麻 痺 嚥 下 障 害 言 語 障 害 小 脳 障 害 : 酩 酊 歩 行 手 がふるえる 脊 髄 障 害 : 胸 や 腹 の 帯 状 のしびれ ぴりぴりした 痛 み 手 足 のしびれや 運 動 麻 痺 尿 失 禁 排 尿 障 害 5. 検 査 法 : 脳 脊 髄 液 検 査 MRI 検 査 脳 波 ( 誘 発 脳 波 ) 6. 経 過 : 多 くは 再 発 寛 解 を 繰 り 返 しながら 慢 性 に 経 過 します 一 部 に 進 行 性 や 予 後 不 良 の 場 合 があります 7. 遺 伝 相 談 : 15~45/10 万 人 25% 2.3% 4

Ⅳ. 脊 髄 小 脳 変 性 症 運 動 失 調 を 主 な 症 状 とする 神 経 変 性 疾 患 で. 多 くの 疾 患 が 含 まれています 頻 度 は 10 万 人 あたり 約 18 人 です その 30%が 遺 伝 性,70%が 孤 発 性 ( 非 遺 伝 性 )で す 遺 伝 性 の 脊 髄 小 脳 変 性 症 は, 常 染 色 体 優 性 遺 伝 が 多 いですが, 常 染 色 体 劣 性 遺 伝 もあります 1. 遺 伝 性 脊 髄 小 脳 変 性 症 の 分 類 病 型 遺 伝 様 式 遺 伝 子 座 リピート 配 列 SCA1 AD 6p23 CAG SCA2 AD 12q24 CAG SCA3(マシャド ジョセフ 病 ) AD 14q24.1-q31 CAG SCA4 AD 16q22.1 SCA5 AD 11p13 SCA6 AD 19p13 CAG 歯 状 核 赤 核 淡 蒼 球 ルイ 体 萎 縮 症 AD 12p13.3 CAG SCA7 AD 3p21.1-p12 CAG SCA8 AD 13q21 CAG CTG SCA10 AD 22q13 ATTCT SCA11 AD 15q14-q15.3 SCA12 AD 5q31-q33 SCA13 AD 9q13.3-q13.4 SCA17 AD 6q27 CAG Friedreich 失 調 症 AR 9q13-q21 GAA(CAG) ビタミン E 欠 乏 に 伴 う 失 調 症 AR 8q13.1-q13.3 毛 細 血 管 拡 張 性 務 失 調 症 AR 11q22.3 家 族 性 痙 性 対 麻 痺 AD,AR,XR オリーブ 橋 小 脳 萎 縮 症 多 系 統 萎 縮 症 (Multiple system atrophy:msa): オリーブ 橋 小 脳 萎 縮 症,シャイドレーガー 症 候 群, 線 条 体 黒 質 変 性 症 の3 疾 患 を 統 一 して 扱 ったものです 5

2. 症 状 1) 体 幹 失 調 立 った 時, 不 安 定 でふらつく, 片 足 立 ちが 出 来 ない 2) 歩 行 失 調, 歩 行 時 にふらつく 3) 四 肢 の 失 調 手 の 動 作 時 の 震 え, 思 ったように 字 が 書 けない, 動 かせない 4) 言 語 障 害 呂 律 が 回 らない,あるいは 音 と 音 がつながってしまう 5) パーキンソ 様 徴 候 四 肢 の 関 節 が 固 くなり, 動 きが 遅 くなる 表 情 が 乏 しい 6) その 他 排 尿 障 害 眼 球 運 動 異 常 知 能 障 害 深 部 感 覚 障 害 症 状 は 徐 々に 出 現 し,ゆっくりと 進 行 します. 3. 診 断 家 族 歴 臨 床 症 状 画 像 所 見 さらに 遺 伝 子 診 断 をすることが 大 切 です 脳 血 管 障 害, 炎 症, 腫 瘍, 多 発 性 硬 化 症, 内 分 泌 異 常, 薬 物 中 毒 などによる 運 動 失 調 症 が 否 定 されることが 必 要 です 4. 経 過 各 病 型 によって 異 なり 一 概 にいえません. 遺 伝 性 では 臨 床 型, 遺 伝 型 を 考 える 必 要 があります 孤 発 性 では 皮 質 性 小 脳 萎 縮 症 は,その 進 行 は 非 常 に 遅 く 高 齢 まで 自 立 できるこ とが 多 いですが 多 系 統 萎 縮 症 (オリーブ 橋 小 脳 萎 縮 症 )は, 進 行 が 早 いです. DRPLA は 比 較 的 進 行 も 早 く 予 後 は 悪 いほうです 5. 遺 伝 常 染 色 体 優 性 遺 伝 性 の 中 には,グルタミンをつくる CAG という 3 塩 基 の 繰 り 返 しが 通 常 より 長 いことによって 起 こるものがあります この 繰 り 返 し 配 列 が 長 けれ ば 長 いほど, 発 症 年 齢 の 若 年 化 や 重 症 化 する 傾 向 にあります 遺 伝 性 の 病 型 では その 遺 伝 子 型 により 表 現 型 が 異 なることに 注 意 する 必 要 があ 6

ります 特 に 同 一 家 系 内 でも 表 現 型 が 異 なり, 世 代 を 経 る 毎 に 重 症 化, 発 症 年 齢 が 若 年 化 する 傾 向 が,SCA1,2,3,7 DRPLA には 強 いことがわかっています 6. 遺 伝 子 診 断 このうち 約 60~80 %は, 遺 伝 子 診 断 による 病 型 の 確 定 が 可 能 です.すでに 遺 伝 子 座 もしくは 原 因 遺 伝 子 が 判 明 している 遺 伝 性 のものでは, 遺 伝 子 診 断 が 病 型 決 定 の 上 で 有 用 です 7. 遺 伝 性 と 頻 度 遺 伝 性 頻 度 (%) 孤 発 性 頻 度 (%) MJD/SCA3 7.17 多 系 統 萎 縮 症 42.66 SCA6 5.85 皮 質 性 小 脳 萎 縮 症 23.03 DRPLA 2.04 その 他 2.36 SCA2 0.66 痙 性 対 麻 痺 0.65 SCA1 0.62 小 計 68.69 SCA7 0.04 その 他 (AD) 7.46 不 明 4.39 常 染 色 体 劣 性 0.95 痙 性 対 麻 痺 (AD) 0.94 痙 性 対 麻 痺 (AR) 0.47 小 計 31.31 総 計 100 Ⅵ. 副 腎 白 質 ジストロフィー(ALD) 中 枢 神 経 系 の 脱 髄 と 副 腎 の 機 能 不 全 がおこり 全 身 組 織 に 脂 肪 酸 を 認 めます 2. 頻 度 男 子 2~3 万 人 に 一 人 の 割 合 です 3. 原 因 X 連 鎖 劣 性 遺 伝 Xq28 にある ALD 遺 伝 子 の 異 常 によります 7

4. 分 類 と 主 な 症 状 頻 度 % 主 な 症 状 進 行 1. 小 児 型 35 行 動 異 常 知 能 低 下 視 力 障 害 急 速 2. 成 人 型 40~45 歩 行 障 害 知 覚 障 害 尿 失 禁 緩 徐 3.アジソン 病 10 副 腎 機 能 不 全 4.その 他 5~10 頭 痛 ふらつき 失 語 症 3 歳 までに 発 症 することはほとんどありません 女 性 保 因 者 は 通 常 発 症 しませんが 中 高 年 以 降 に 軽 度 の 歩 行 異 常 を 認 めることが あります 5. 遺 伝 X 連 鎖 劣 性 遺 伝 をしますが 新 生 突 然 変 異 があり 浸 透 率 は 100%でありません Ⅶ. フォンヒッペル リンドウ 病 1. 症 状 : 網 膜 辺 縁 : 血 管 腫 小 脳 : 血 管 芽 細 胞 腫 腎 膵 : 嚢 腫 多 血 症 褐 色 細 胞 腫 のあることもあります 2. 分 類 褐 色 細 胞 腫 腎 細 胞 癌 膵 嚢 胞 1 型 なし 2A 型 あり いずれか 一 方 あり 2B 型 あり あり あり 2C 型 あり なし なし 8

3. 遺 伝 : 常 染 色 体 優 性 遺 伝 原 因 遺 伝 子 は VHL で 3p25-p26 にあります VHL はがん 抑 制 遺 伝 子 です 原 因 遺 伝 子 は 子 に 50% 伝 わりますが 浸 透 度 は 年 齢 依 存 性 があるので 未 発 症 者 は 脳 MRI 腹 部 超 音 波 検 査 眼 科 的 検 査 など 定 期 的 検 査 を 必 要 とします 約 20%に 新 生 突 然 変 異 があり 性 腺 モザイクの 存 在 が 考 えられます Ⅷ.ナルコレプシーnarcolepsy 抵 抗 できない 眠 気 短 時 間 で 目 が 覚 めるが 2~3 時 間 でまた 眠 くなります 1. 頻 度 : 1/600 人 7~8 割 が 13~16 歳 で 発 症 します 性 差 はありません 2. 原 因 : 環 境 要 因 ともいわれますが 家 族 内 発 生 が 約 5%あります 3. 症 状 : 1) 日 中 反 復 する 居 眠 り(ほとんど 毎 日 何 年 間 にもわたって 続 く) 2) 睡 眠 発 作 ( 急 におこる 抵 抗 できない 強 い 眠 気 ) 3) 情 動 脱 力 発 作 ( 感 情 の 高 ぶったときに 突 然 脱 力 感 が 襲 う 意 識 は 清 明 ) 4) 入 眠 時 幻 覚 ( 半 分 目 が 覚 めているようなときに 鮮 明 な 夢 をみる) 5) 睡 眠 麻 痺 ( 入 眠 時 幻 覚 に 一 致 して 全 身 の 脱 力 状 態 が 起 こります) 4.メカニズム; 視 床 下 部 で 作 られるオレキシンの 欠 如 によるといわれます ナルコレプシー 患 者 の 90% 以 上 で 髄 液 にオレキシンが 検 出 されません オレキシンは 睡 眠 と 覚 醒 の メカニズムに 関 わる 物 質 で 覚 醒 時 に 筋 の 緊 張 を 高 めています 9

5. 検 査 : 脳 波 筋 電 図 髄 液 検 査 単 に 眠 気 だけではナルコレプシーとは 確 定 診 断 出 来 ません 6.HLAとの 関 連 ナルコレプシー 患 者 とくに 日 本 人 では HLA-DR2 との 関 連 が 指 摘 されています けれど HLA 遺 伝 子 は 素 因 ではあっても 十 分 条 件 とは 言 えません ナルコレプシーの 一 卵 性 双 生 児 13 組 のうち 11 組 が 相 手 は 発 症 していません また HLA 陽 性 者 がナルコレプシーを 発 症 するとは 限 りません 7. 遺 伝 遺 伝 的 には 浸 透 度 の 低 い 多 因 子 遺 伝 が 考 えられます 両 親 のどちらかが 罹 患 : 10% 同 胞 が 罹 患 :3.5%. 10