放 射 線 学 入 門 ー 福 島 第 一 原 発 事 故 を 受 けてー 一 般 向 け 緊 急 被 曝 ガイド 平 成 25 年 7 月 26 日 版 追 加 P31, 32の 値 放 医 研 が 修 正 がんのリスク( 含 甲 状 腺 )のデータ 追 加 産 業 医 科 大 学 医 学 部 放 射 線 衛 生 学 講 座 お 問 い 合 わせ 先 :j-hsyesg@mbox.med.uoeh-u.ac.jp
放 射 線 とは 電 離 や 励 起 を 引 き 起 こ す 粒 子 線 あるいは 電 磁 波 放 射 線 電 子 :e- 電 離 軌 道 にあった 電 子 が 原 子 の 外 へ 弾 き 飛 ばされ 離 れていくこと 原 子 核 10-13 cm 原 子 10-8 cm 放 射 線 電 子 :e- 原 子 核 励 起 L 殻 K 殻 電 子 が 一 つ 以 上 上 の 軌 道 へ 移 動 すること 図 では K 殻 からL 殻 へ 移 動
放 射 線 の 正 体 小 さな 粒 ( 粒 子 線 ) 放 射 線 は 電 離 や 励 起 を 引 き 起 こす 粒 子 線 あるいは 電 磁 波 アルファ(α ) 線 : 陽 子 2 個 中 性 子 2 個 からなるヘリウム 原 子 核 中 性 子 陽 子 ベータ(β ) 線 : 電 子 9.1 x 10-31 kg 中 性 子 線 : 陽 子 線 : 1.6 x 10-27 kg 1.6 x 10-27 kg 重 粒 子 線 見 えない 光 ( 光 子 電 磁 波 ) ガンマ(γ ) 線 X 線 : 超 高 周 波 数 ( 波 長 は 短 い) 電 磁 波 放 射 性 物 質 放 射 線 をだす 物 質
核 種 と 壊 変 形 式 3 H 弱 いβ 線 54 Mn β 線, γ 線 137 Cs β 線, γ 線 14 C β 線 57 Co β 線, γ 線 152 Eu β 線, γ 線 22 Na β 線, γ 線 60 Co β 線, γ 線 192 Ir β 線, γ 線 24 Na β 線, γ 線 63 Ni β 線 204 Tl β 線, γ 線 32 P 強 いβ 線 85 Kr β 線, γ 線 210 Pb β 線, γ 線 35 S β 線 86 Rb β 線, γ 線 210 Po α 線, γ 線 41 Ar β 線, γ 線 90 Sr β 線 235 U α 線, γ 線 40 K β 線, γ 線 99 Mo β 線, γ 線 238 U α 線, γ 線 45 Ca β 線 125 I β 線, γ 線 239 Pu α 線, γ 線 51 Cr β 線, γ 線 131 I β 線, γ 線 241 Am α 線, γ 線
放 射 能 とは 放 射 性 物 質 が 放 射 線 を 出 す 能 力 のこと 放 射 能 漏 れ という 言 葉 はありません! この 点 に 関 して マスコミはいつもデタラメ 放 射 性 物 質 漏 れ が 正 しい
放 射 線 と 放 射 性 物 質 の 遠 距 離 到 達 の 違 い 放 射 線 は 離 れる 程 線 量 は 弱 くなりますが この 時 の 放 射 線 はガンマ 線 やX 線 のこと せいぜい 数 十 mしか 飛 びません エネルギーの 強 いγ 線 では 数 百 m 飛 びます が 一 般 市 民 の 方 がそのような 強 いエネル ギーのγ 線 に 遭 遇 することはないでしょう 放 射 線 量 は 距 離 の 二 乗 に 反 比 例 します 何 もない 放 射 性 物 質 とは 放 射 性 同 位 元 素 を 含 んでいるので そのものから 放 射 線 が 出 ます この 時 に 問 題 になるのはアルファ 線 やベータ 線 数 mmから 数 cmしか 飛 ばないので 花 粉 を 払 う 如 く 除 去 すれば 良 いのです アルファ 線 は 紙 1 枚 で ベータ 線 はアクリル やプラスチックで 遮 へいされます
放 射 線 の 単 位 単 位 意 味 簡 単 に 説 明 すると 放 射 能 Bq ベクレル 放 射 性 物 質 が1 秒 間 に 崩 壊 ( 壊 変 )した 数 放 射 性 物 質 から1 秒 間 に 1つ 放 射 線 が 出 ると1ベクレル (1 崩 壊 でα 線 とγ 線 またはβ 線 と γ 線 が 同 時 に 出 ることもあるので 厳 密 には 違 います ) 吸 収 線 量 Gy グレイ ある 任 意 の 物 質 中 の 単 位 質 量 あたりに 放 射 線 により 付 与 されたエネルギーの 平 均 値 J(ジュール)/kgで 表 される 放 射 線 が 物 質 に 与 える エネルギーの 単 位 等 価 線 量 Sv シーベルト 組 織 臓 器 における 放 射 線 の 影 響 を 放 射 線 の 種 類 やエネ ルギーによる 違 いを 補 正 し 共 通 の 尺 度 で 表 現 する 量 放 射 線 の 人 に 対 する 実 効 線 量 Sv シーベルト 等 価 線 量 を 組 織 荷 重 係 数 に よって 補 正 し 全 身 の 放 射 線 影 響 の 指 標 となる 量 影 響 に 用 いる 単 位
壊 変 あるいは 崩 壊 放 射 性 物 質 放 射 性 物 質 安 定 核 種
放 射 線 を 火 に 例 えると 影 響 は モノ によって 違 う 放 射 性 物 質 物 質 への 影 響 :グレイ(Gy = J/kg) J(ジュール)は 仕 事 熱 量 電 力 量 に 用 いられる 単 位 溶 ける 少 し 溶 ける 放 射 能 1 秒 間 に 出 る 放 射 線 の 数 (Bq) 人 体 への 影 響 :シーベルト(Sv) X 線 やγ 線 β 線 ( 電 子 線 )は 1Gy = 1Sv α 線 は 1Gy = 20Sv 溶 けない ( 公 財 ) 原 子 力 安 全 研 究 協 会 緊 急 被 ばく 医 療 初 級 講 座 改 編
放 射 線 をうんちに 例 えると UOEH Dept. of Radiat. Biol. & Health 放 射 性 物 質 吸 った 臭 いの 量 : グレイ(Gy) どれくらい 臭 いを 出 すか ベクレル(Bq) 臭 いが 人 体 に 及 ぼす 影 響 シーベルト(Sv) 外 部 被 曝 : 臭 いを 嗅 ぐ 内 部 被 曝 : うんちを 摂 取 する 表 面 汚 染 : うんちが 付 着 する 創 傷 汚 染 : 傷 口 に 付 着 する 嗅 がないように 離 れる 覆 う 短 時 間 で 口 皮 膚 気 道 から 入 らないように 付 いたうんちは 洗 えば 良 い 付 いたうんちを 体 内 に 入 れないように 放 射 性 物 質 から 身 体 を 守 るため
放 射 線 をお 酒 に 例 えると Sv msv μsv 少 ない 時 間 当 たりの 放 射 線 量 ( 線 量 率 )が 小 さい 程 放 射 線 の 影 響 は 小 さい DDREF( 線 量 線 量 率 効 果 係 数 )=2(ICRP UNSCEARは2 10としている)
cpm (count per minute) とは 放 射 線 測 定 器 で1 分 間 に 測 った 放 射 線 数 ガイガーカウンター 全 ての 放 射 線 測 定 器 で 得 られた 測 定 値 は 全 放 射 能 の 値 (Bq)では ない 計 数 効 率 ( 測 定 機 器 の 放 射 線 数 を 測 ることの 出 来 る 割 合 )に よって 測 定 値 を 補 正 し 放 射 能 (Bq)を 求 める 例 標 準 線 源 ( 酸 化 ウランU 3 O 8 ): 500 Bq(1 秒 間 の 値 ) 標 準 線 源 の 測 定 値 :6000 cpm 計 数 効 率 :6000 cpm 60 秒 500 X 100% = 20% 仮 に 137 Cs を 測 ったとして 1200cpmという 値 を 得 たとすると 1200 cpm 60 秒 20% = 100 Bq 成 人 で 経 口 摂 取 したとすると 100 Bq X 0.013 μ Sv/Bq= 1.3μ Sv の 被 曝 をしたことになります 窓 枠 の 面 積 20 cm 2 とすると 100 Bq 20 cm 2 = 5 Bq/cm 2
患 者 受 け 入 れ 緊 急 時 10 万 cpm 収 束 時 1 万 3 千 cpm = 40 Bq/cm 2 法 令 に 基 づく 表 面 汚 染 密 度 限 度 管 理 区 域 内 : 40 Bq/cm 2 管 理 区 域 持 ち 出 し 基 準 : 4 Bq/cm 2
日 常 でみられる 放 射 線 被 曝 線 量 Gy(グレイ): 放 射 線 が 物 質 に 与 えるエネルギーの 単 位 100Gy 20-30Gy:がん 治 療 (がんに 対 して) 6.7-10mSv CT/1 回 0.3-0.65mSv 胸 部 X 線 /1 回 10Gy 1Gy 0.1Gy 1000mSv 100mSv 10mSv 1mSv 0.1mSv 0.01mSv 放 射 線 医 学 総 合 研 究 所 のホームページより 改 変 :http://www.nirs.go.jp/data/pdf/hayamizu-hi.pdf 1000mSv: 致 死 がん 発 生 率 5% 100mSv: 人 体 に 影 響 ない 線 量 10mSv 年 間 高 自 然 放 射 線 :イラン ラムサール 5.5mSv ブラジル ガラパリ 3.8mSv インド ケララ 2.4mSv: 年 間 自 然 放 射 線 ( 世 界 平 均 ) 2.1mSv: 日 本 約 0.2mSv: 東 京 ニューヨーク 間 往 復 Sv(シーベルト): 500mSv: 重 篤 な 症 状 なし 250mSv: 臨 床 症 状 無 し 放 射 線 の 人 に 対 する 影 響 に 用 いる 単 位
放 射 線 業 務 従 事 者 の 線 量 限 度 法 令 で 定 められている 線 量 限 度 Ⅰ. 実 効 線 量 限 度 ( 全 身 被 曝 として) 100mSv/5 年 (ただし 年 あたり50mSvを 超 えないこと) Ⅱ. 等 価 線 量 限 度 ( 組 織 や 部 位 に 対 して) 目 の 水 晶 体 150mSv/ 年 皮 膚 500mSv/ 年 妊 娠 可 能 な 女 子 の 腹 部 5mSv/3 月 妊 娠 中 の 女 子 の 腹 部 表 面 2mSv 内 部 被 ばく( 妊 娠 を 申 告 してから 出 産 まで) 1mSv
実 効 線 量 ( 全 身 被 曝 として): 100mSv 緊 急 時 被 曝 線 量 限 度 ICRP( 国 際 放 射 線 防 護 委 員 会 )の 勧 告 による 緊 急 時 の 線 量 限 度 福 島 では 最 高 250mSv 電 離 則 の 特 例 に 関 する 省 令 ( 厚 生 労 働 省 令 23 号 )による 平 成 23 年 11 月 1 日 より100mSvに 変 更 目 の 水 晶 体 : 300mSv 皮 膚 : 1000mSv
放 射 線 の 人 体 影 響 急 性 障 害 身 体 的 影 響 晩 発 障 害 遺 伝 的 影 響 500mSv 火 傷 脱 毛 胎 児 影 響 白 内 障 がん 白 血 病 遺 伝 性 変 異 染 色 体 異 常 100mSv 発 生 率 発 生 率 確 定 的 影 響 組 織 反 応 し き い 値 線 量 確 率 的 影 響 自 然 発 生 率 線 量
しきい 値 (しきい 線 量 について) 例 えば 白 内 障 の 場 合 上 半 分 の 線 量 では 被 曝 しても 白 内 障 にはなりません 下 半 分 の 線 量 で は 白 内 障 になります 下 半 分 の 一 番 最 小 の 線 量 がしきい 線 量 といことです 視 力 障 害 を 伴 う 白 内 障 は5Gyがしきい 線 量 です 放 射 線 の 強 さ 線 量 が 高 いと 重 篤 度 が 増 す
急 性 放 射 線 被 曝 の 局 所 及 び 全 身 症 状 局 所 被 曝 水 晶 体 : 白 内 障 皮 膚 : 紅 斑 精 巣 : 不 妊 皮 膚 : 一 時 的 脱 毛 卵 巣 : 不 妊 皮 膚 : 初 期 紅 斑 7000 5000 4000 (msv) 全 身 被 曝 致 死 下 痢 3500 3000 2500 2000 頭 痛 発 熱 LD 50/30 水 晶 体 : 混 濁 精 巣 : 一 時 的 精 子 数 減 少 1000 500 250 150 悪 心, 嘔 吐 リンパ 球 減 少
確 率 的 影 響 がん 白 血 病 遺 伝 的 影 響 あくまでも 計 算 上 です 0.005% 20000 人 に1 人 発 生 率 容 認 できるレベル 自 然 発 生 率 1mSv 直 線 しきい 値 なし 仮 説 0.1% 1000 人 に1 人 20mSv 0.5% 200 人 に1 人 100mSv 線 量 日 常 死 亡 リスク 交 通 事 故 1-2 万 に1 人 ワクチン 50-300 万 人 に1 人 重 篤 度 線 量
反 応 低 線 量 域 における 様 々な 組 織 反 応 考 え 方 非 直 線 仮 説 直 線 仮 説 しきい 線 量 あり ホルミシス 効 果 線 量
人 の 細 胞 の 数 は 重 さ1kgに1 兆 個 核 染 色 体 細 胞 DNA
塩 基 損 傷 DNA 1 本 鎖 切 断 二 重 らせん 構 造 (2 本 鎖 構 造 ) 2 本 鎖 切 断 塩 基 :A, T C, G
塩 基 損 傷 修 復 酵 素 放 射 線 修 復 1 本 鎖 切 断 2 本 鎖 DNA 2 本 鎖 切 断 修 復 不 可 能 不 完 全 修 復 生 物 影 響 損 傷 自 然 発 生 (/ 細 胞 / 日 ) 放 射 線 誘 発 (/ 細 胞 /Gy) 塩 基 損 傷 20,000 300 1 本 鎖 切 断 50,000 1,000 細 胞 が1Gy 被 曝 すると 2 本 鎖 切 断 が 自 然 発 生 よりも20 個 増 える
外 部 被 曝 内 部 被 曝
遮 へい 材 鉛 半 価 層 1/10 価 層 131 I 0.7 137 2.4 Cs 0.7 2.2 [cm]
内 部 被 ばく も 外 部 被 ばく も 人 への 影 響 はすべて シーベルト(Sv)の 大 きさで 判 断 する シーベルト(Sv) 単 位 に 正 しく 変 換 する ことで 人 への 影 響 を 一 つの 物 差 し にあてはめることができる
預 託 実 効 線 量 人 体 に 取 り 込 まれた 放 射 性 物 質 は 体 外 に 排 泄 されることと 物 理 的 に 放 射 能 が 少 なくなることで 時 間 とともに 減 っていきます
放 射 性 セシウムの 生 物 学 的 半 減 期 物 理 学 的 半 減 期 は30 年 年 齢 生 物 学 的 半 減 期 3ヶ 月 16 日 1 歳 13 日 5 歳 30 日 10 歳 50 日 15 歳 93 日 成 人 110 日
福 島 市 における 空 間 線 量 率 と 個 人 線 量 率 の 相 関 原 発 事 故 後 H23 年 3 月 7 月 の 測 定 データ 個 人 線 量 率 ( μ Sv/h) 空 間 線 量 率 (μ Sv/h) 空 間 線 量 率 0.86 12.3μ Sv/hに 対 し 個 人 線 量 率 0.08 1.63μ Sv/h Yoshida K et al. Radiat Prot Dosimetry 2012;151:144-146
アメリカ 州 ごとの 自 然 放 射 線 とがん 死 亡 率 の 対 比 アメリカ50 州 のうち 年 間 2.7mSvから3.7mSvとなる 州 が8 州 がん 死 亡 率 はアメリカ 平 均 より 低 い 2013 年 1 月 11 日 Forbes Like We've Been Saying - Radiation Is Not A Big Deal
東 電 社 員 の 外 部 と 内 部 被 曝 線 量 の 合 算 値 ( 平 成 23 年 3 月 から 平 成 25 年 4 月 30 日 まで) 区 分 (msv) 人 数 250 超 え 6 200 超 え 250 以 下 3 150 超 え 200 以 下 26 100 超 え 150 以 下 138 75 超 え 100 以 下 318 50 超 え 75 以 下 866 20 超 え 50 以 下 4,233 10 超 え 20 以 下 3,996 5 超 え 10 以 下 3,649 1 超 え 5 以 下 6,678 1 以 下 7,438 計 27,351 急 性 障 害 は500mSv 100mSvで0.5%の 致 死 がん 1 年 間 で50mSv 5 年 間 で100mSv ( 年 平 均 20mSv) 生 物 学 的 に 影 響 の 出 る 線 量 法 令 による 被 曝 線 量 限 度
外 表 奇 形 を 中 心 にした 先 天 異 常 発 症 の 割 合 は 何 人 に 一 人 でしょう? 5 万 人 5 千 人 500 人 50 人 5 人 自 閉 症 注 意 欠 陥 多 動 障 害 等 の 発 達 障 害 の 割 合 は 何 人 に 一 人 でしょう? 16000 人 1600 人 160 人 16 人 6 人 厚 生 労 働 省 発 表
自 然 流 産 率 平 均 15% 35 歳 :20% 40 歳 :40% 42 歳 :50%
着 床 前 期 器 官 形 成 期 胎 児 期 受 精 後 の 日 数 妊 娠 マウスの 各 時 期 に2GyのX 線 を 照 射 した 時 にみられる 胎 児 への 影 響 Russell et al, J. Cell. Comp. Physiol. 43 (supple. 1), 103-149, 1954
70 胎 内 被 曝 児 の 重 度 精 神 遅 滞 子 宮 吸 収 線 量 60 8から15 週 齢 8から15 週 齢 重 度 精 神 遅 滞 の 割 合 50 40 30 20 10 0 ICRP しきい 値 :100mSv しきい 値 :200mSv 全 週 齢 16から25 週 齢 しきい 値 :700mSv 0.1 0.2 0.3 0.5 0.7 1.0 1.5 子 宮 吸 収 線 量 (Gy) 1988 年 UNSCEAR 報 告 原 爆 被 爆 時 に 母 親 の 胎 内 で 被 曝 した 胎 内 被 爆 者 の 研 究
ヒトの 疫 学 的 研 究 およびマウスの 実 験 的 研 究 に 基 づいて 得 られたヒトの 放 射 線 障 害 推 定 線 量 胎 児 週 齢 ( 日 ) 最 低 致 死 線 量 (mgy) LD50 近 似 値 (mgy) 永 久 発 育 遅 滞 最 低 線 量 (mgy) 精 神 遅 滞 重 度 奇 形 1-5 100 <1000 生 存 者 は 影 響 なし 18-36 250-500 1400 200-500 - 200 36-50 500 2000 250-500 - 500 50-150 >500 >1000 250-500 500 - 出 産 まで >1000 母 体 と 同 じ 500 1000 - 放 射 線 医 学 総 合 研 究 所 資 料 より
2011/4/15 福 島 出 身 を 理 由 に 結 婚 破 談?のニュース 放 射 能 の 影 響 で 元 気 な 子 供 が 生 まれなかったらどうするの? と 婚 約 者 男 性 の 母 親 からこう 言 われ 福 島 出 身 の 女 性 が 結 婚 破 談? もしこれが 事 実 なら 明 らかに 放 射 線 影 響 の 知 識 不 足 放 射 線 被 曝 による 遺 伝 的 影 響 はありません! 原 爆 被 爆 者 における 胎 児 の 死 産 率 及 び 奇 形 率 父 母 の 原 爆 被 爆 状 況 死 産 奇 形 率 被 爆 無 し 1.3% 0.92% 高 線 量 被 爆 者 1.4% 0.7% 差 無 し
放 射 線 タバコ 変 異 原 汚 染 物 質 活 性 酸 素 除 去 (SOD, カタラー ゼ グルタチオン) DNA 切 断 ( 障 害 ) がん 化 のプロセスと 多 段 階 の 抑 制 機 構 がん 関 連 遺 伝 子 の 変 異 低 線 量 放 射 線 を 超 えて 宇 賀 賀 津 子 著 小 学 館 新 書 より 改 編 炎 症 DNA 修 復 がん 遺 伝 子 活 性 化 がん 化 阻 止 アポトーシス 免 疫 細 胞 による 排 除 プロモーション ( 促 進 ) 免 疫 監 視 機 構 の 突 破
原 爆 被 爆 者 の 放 射 線 被 曝 と 固 形 がんの 過 剰 リスク 0.2 重 みを 付 けた 大 腸 の 線 量 (Gy) Radiat. Res. 177, 229 243 (2012)
固 形 がん( 胃 肺 など) 白 血 病 2 年 から 過 剰 発 病 6から8 年 でピーク チェルノブイリ 甲 状 腺 がん 4 5 年 目 で 増 加 10 年 目 でピーク 原 爆 放 射 線 誘 発 がん 発 生 の 時 間 的 経 過 ( 模 式 図 )
原 爆 被 爆 者 における 甲 状 腺 癌 甲 状 腺 線 量 (msv) 平 均 線 量 (msv) 対 象 患 者 Odds Ratio <5 msv 755 33 1 5-100 msv 32 936 36 0.85 100-500 msv 241 445 22 1.12 500< msv 1237 236 15 1.44 Y. Hayashi et.al. Cancer 116 (7): 1646 1655, 2010.
0 歳 から95 歳 の408 名 の 検 死 解 剖 における 甲 状 腺 微 小 乳 頭 癌 (OPC) と 線 維 性 硬 化 性 結 節 (FSN)の 割 合 Age group (yr) Cancer 65 : 1173-1179, 1990 All cases Cases with OPC Cases with FSN M F Total M F Total M F Total <10 2 1 3 0 0 0 0 0 0 11-20 4 3 7 1 0 1 (14.3%) 0 0 0 21-30 5 7 12 1* 0 1 (8.3%) 0 0 0 31-40 11 12 23 0 2* 2 (8.7%) 1 0 1 (4.3%) 41-50 31 13 44 1 2 3 (6.8%) 1 1 2 (4.5%) 51-60 57 25 82 7* 4* 11 (13.4%) 0 4 4 (4.9%) 61-70 68 44 112 10* 5* 15 (13.4%) 2 5* 7 (6.3%) 71-80 55 44 99 4* 6* 10 (10.1%) 5 5 10 (10.1%) 81-90 14 11 25 2* 1 3 (12.0%) 0 2 2 (8.0%) 91< 0 1 1 0 0 0 0 0 0 Total 247 161 408 26 20 46 (11.3%) 9 17 26 (6.4%) 徳 島 大 学 1981 年 から1987 年 *Fifteen cases had multiple foci of OPC or FSN.
福 島 周 辺 の100km 圏 内 において 予 測 させる 増 加 数 福 島 の 破 局 的 事 故 の 健 康 影 響 :ECRRのリスクモデルに 基 づいた 解 析 第 1 報 (バスビー) モデル がん 発 生 件 数 ICRP 2,838 備 考 と 予 測 2μ Sv/hの 被 曝 が1 年 間 続 くと 仮 定 して 集 団 線 量 を 算 定 50 年 間 の 生 涯 超 過 発 がん 数 ECRR トンデル 氏 法 ECRR 無 条 件 モデル 103,32 9 191,98 6 地 表 汚 染 だけを 考 慮 した 推 計 原 発 事 故 10 年 後 の 超 過 がん 発 症 数 50 年 間 の 生 涯 超 発 がん 数 2μ Sv/hの 被 曝 が1 年 続 くと 仮 定 このうち 半 数 は 最 初 の10 年 で 発 病
原 爆 被 曝 の 年 代 とガン 死 亡 の 相 対 リスク 表 被 曝 時 男 性 女 性 5-500mSv 0.5-1Sv 1-4Sv 5-500mSv 0.5-1Sv 1-4Sv 0 9 歳 0.96 1.10 3.80 1.12 2.87 4.46 10 19 歳 1.14 1.48 2.07 1.01 1.61 2.91 20 29 歳 0.91 1.57 1.37 1.15 1.32 2.30 30 39 歳 1.00 1.14 1.31 1.14 1.21 1.84 40 49 歳 0.99 1.21 1.20 1.05 1.35 1.56 50 歳 以 上 1.08 1.17 1.33 1.18 1.68 2.03 Preston et al, Radiat Res 168:1 64,2007
リスクイメージを 影 響 する 要 素 受 け 手 側 受 け 入 れにくいリスク 押 しつけられたもの 他 人 が 制 御 管 理 利 益 がない 人 為 的 人 工 的 不 公 平 に 及 ぶ 破 壊 的 リスク 源 が 信 用 できない 経 験 がない 外 来 子 供 への 影 響 受 け 入 れやすいリスク 自 発 的 なもの 自 分 で 制 御 管 理 可 能 利 益 がある 自 然 由 来 公 平 に 及 ぶ 統 計 に 基 づいている リスク 源 が 信 用 できる 熟 知 している 大 人 への 影 響 日 本 財 団 緊 急 シンポジウム 福 島 原 発 事 故 ー 誰 にでも 分 かる 現 状 と 今 後 ー 平 成 23 年 4 月 5 日 放 射 線 医 学 総 合 研 究 所 神 田 玲 子 先 生 スライドより
放 射 線 のリスクの 程 度 健 康 阻 害 のリスク 余 命 損 失 日 数 の 評 価 値 アメリカの 平 均 ( 日 ) 喫 煙 20 本 / 日 2,370 (6.5 年 ) 体 重 過 多 (20% 超 過 ) 985 (2.7 年 ) 全 事 故 の 合 計 435 (1.2 年 ) 自 動 車 事 故 200 飲 酒 130 家 庭 内 事 故 95 溺 死 41 自 然 放 射 線 ( 計 算 値 ) 8 医 療 診 断 X 線 ( 計 算 値 ) 6 全 天 災 ( 地 震 等 ) 3.5 日 常 の 放 射 線 よりも タバコや 肥 満 の 方 がもっとリスクが 高 い!
喫 煙 による 年 間 死 亡 者 数 (2008 年 ) 男 性 女 性 受 動 喫 煙 2,221 人 (うち 職 場 1,814 人 ) 4,582 人 (うち 職 場 1,811 人 ) 能 動 喫 煙 肺 がん 48,610 人 肺 がん 18,239 人 虚 血 性 心 疾 患 42,156 人 虚 血 性 心 疾 患 34,426 人 年 間 死 亡 数 (2008 年 ) 受 動 喫 煙 で 合 計 6,803 人 能 動 喫 煙 者 は143,431 人 2010 年 国 立 がん 研 究 センター 片 野 田 耕 太 氏 報 告
がんの 相 対 リスク 放 射 線 とがんのリスクについ て 生 涯 被 曝 線 量 (msv) 項 目 ( 全 部 位 ) 1.50 2.49 1000 2000 喫 煙 者 (1.6) 大 量 飲 酒 (450g 以 上 / 週 )(1.6) 1.30 1.49 500 1000 大 量 飲 酒 (300 449g/ 週 )(1.4) ( 参 考 :ビール500mlで20g 焼 酎 1.8Lで360g 日 本 酒 1.8Lで216g) 1.10 1.29 200 500 肥 満 (BMI 30)(1.22) やせ(BMI<19)(1.29) 運 動 不 足 (1.15 1.19) 高 塩 分 食 品 (1.11 1.15) 1.01 1.09 100 200 野 菜 不 足 (1.06) 受 動 喫 煙 < 非 喫 煙 女 性 >(1.02 1.03) 検 出 不 可 100 未 満 出 典 : わかりやすい 放 射 線 とがんのリスク ( 国 立 がん 研 究 センター)
都 道 府 県 別 平 均 寿 命 (2005 年 ) 厚 生 労 働 省 都 道 府 県 別 生 命 表 女 性 の 平 均 寿 命 ( 歳 ) 男 性 の 平 均 寿 命 ( 歳 )
全 国 の 自 然 放 射 線 量 宇 宙 大 地 からの 放 射 線 と 食 物 摂 取 によって 受 ける 放 射 線 量 (ラドンなどの 吸 入 によるものを 除 く) 日 本 全 体 0.99 0.89 以 下 0.90 0.99 1.00 1.09 1.10 以 上 (msv/ 年 )
60 70 80 90 100 110 全 国 北 海 道 青 森 岩 手 宮 城 秋 田 山 形 福 島 茨 城 栃 木 群 馬 埼 玉 千 葉 東 京 神 奈 川 新 潟 富 山 石 川 福 井 山 梨 長 野 岐 阜 静 岡 愛 知 三 重 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 奈 良 和 歌 山 鳥 取 島 根 岡 山 広 島 山 口 徳 島 香 川 愛 媛 高 知 福 岡 佐 賀 長 崎 熊 本 大 分 宮 崎 鹿 児 島 沖 縄 2010 年 都 道 府 県 別 悪 性 新 生 物 75 歳 未 満 年 齢 調 整 死 亡 率 ( 男 女 計 ) 東 北 関 東 北 陸 中 部 関 西 中 国 四 国 九 州
都 道 府 県 の 平 均 寿 命 分 布 の 推 移 厚 生 労 働 省 都 道 府 県 別 生 命 表 女 性 の 平 均 寿 命 ( 歳 ) 1921 25 年 と1954 56 年 は 水 島 治 夫 府 県 別 生 命 表 による 男 性 の 平 均 寿 命 ( 歳 )
放 射 線 は 生 活 の 中 の 対 峙 している 多 くのリスクのひとつでしかない 放 射 線 影 響 だけを 低 減 しても 発 がん 率 は 低 下 しない 放 射 線 影 響 を 低 減 するために 他 の 発 がん 要 因 を 棚 上 げしては 発 がん 率 は 低 下 しない 発 がんは 多 くの 死 因 やリスクの 中 の 一 つ バランスよくリスクを 減 らすことで 全 体 として 発 がんリ スクを 低 下 させる 幸 福 な 生 活 を 送 ることが 目 的 目 的 と 手 段 を 混 同 しない
観 察 された 健 康 影 響 におそらく 影 響 を 与 えたと 思 われる 要 因 の 模 式 図 (08 UNSCEAR) チェルノブイリ 原 発 事 故 事 故 および 治 療 対 策 政 治 的 決 定 将 来 への 不 安 と 悩 み 社 会 的 経 済 的 変 化 健 康 管 理 と 介 護 システム 事 故 からの 線 量 自 然 放 射 線 からの 線 量 他 の 線 源 から の 線 量 ( 医 療 ) 放 射 線 被 曝 食 習 慣 喫 煙 飲 酒 その 他 の ライフスタイル 因 子 健 康 影 響 の 進 展 確 率 的 因 子 観 察 される 結 果 他 の 既 知 の 物 理 的 化 学 的 生 物 学 的 作 用 因 子 未 知 の 要 因 遺 伝 的 要 因 性 と 年 齢
原 発 事 故 後 の 放 射 線 影 響 に 対 する 不 安 度 についてのアンケート 調 査 対 象 1. 福 島 県 一 般 市 民 2. 福 島 県 外 一 般 市 民 3. 福 島 県 医 師 4. 福 島 県 外 医 師 5. 産 業 医 科 大 学 医 学 部 学 生 J UOEH ( 産 業 医 科 大 学 雑 誌 ) 34(1):91 105(2012)
福 島 県 一 般 市 民 福 島 県 外 一 般 市 民 1% 2% 6% 8% 6% 28% 25% 34% 46% 44% 原 発 事 故 後 の 放 射 線 影 響 について 不 安 なし やや 不 安 不 安 とても 不 安 わからない 福 島 県 医 師 4% 2% 21% 福 島 県 外 医 師 4% 4% 28% 産 業 医 大 学 生 3% 9% 50% 26% 24% 9% 47% 40% 29%
2% 平 成 24 年 学 生 0% 2% 原 発 事 故 後 の 放 射 線 影 響 について 21% 不 安 なし やや 不 安 不 安 とても 不 安 わからない 75%
800 600 400 200 0 福 島 県 一 般 市 民 35 30 25 20 15 10 5 0 福 島 県 外 一 般 市 民 甲 状 腺 がん 皮 膚 の 影 響 眼 の 影 響 血 液 の 影 響 がん 胎 児 への 影 響 次 世 代 への 影 響 食 物 汚 染 土 壌 汚 染 漠 然 として 不 安 その 他 35 福 島 県 医 師 200 福 島 県 外 医 師 25 産 業 医 大 学 生 30 25 20 15 10 5 150 100 50 20 15 10 5 0 0 0
チェルノブイリ: 心 理 療 法 士 の 肩 書 きをもつモロゾフ 医 師 放 射 能 恐 怖 症 朝 日 新 聞 の 連 載 記 事 (1990 年 8 月 21 日 ) 無 知 だけでなく 未 知 の 体 験 が 生 んだ 恐 怖 精 神 的 ストレス 免 疫 システム 自 律 神 経 系 に 障 害 心 理 療 法 で 障 害 が 回 復 放 射 線 による 人 体 影 響 汚 染 状 態 を 実 際 以 上 に ふれまわる 議 員 や 新 聞 テレビのせいです
10 msv 100 msv 放 射 線 影 響 の 無 い 線 量 域 原 爆 被 爆 者 約 12 万 人 のデータより 100mSv 以 下 の 一 回 の 被 曝 では 人 に 対 する 放 射 線 影 響 は 認 められていない (%) 100mSvで0.5 0 msv 100 msv 1 msv 公 衆 被 曝 限 度 20 msv 現 在 緊 急 時 公 衆 被 曝 限 度 5 月 12 日 文 科 省 発 表 で 年 間 10mSv 以 下 と 試 算 不 確 定 不 確 実 な 線 量 域 250 msv 急 性 被 曝 の 臨 床 症 状 なし 500 msv 急 性 被 曝 で 重 篤 な 症 状 なし 1.25 2.5 5 1000 msv 致 死 が ん 発 生 率 急 性 放 射 線 障 害
低 線 量 放 射 線 の 影 響 とその 克 服 法 福 島 の 現 状 と 支 援 方 法 免 疫 力 を 上 げる 実 践 法 を 紹 介 します 小 学 館 新 書 遊 タイム 出 版
放 射 線 から 人 を 守 る 国 際 基 準 国 際 放 射 線 防 護 委 員 会 (ICRP)の 防 護 体 系 一 般 人 の 被 ばくは 年 間 1ミリシーベルト 以 下 になるようにしています( 公 衆 の 線 量 限 度 ) 緊 急 時 被 ばく 状 況 重 大 な 身 体 的 障 害 を 防 ぐ ことに 主 眼 年 間 20~100ミリシーベルトの 間 に 目 安 線 量 ( 参 考 レベル) 今 回 最 も 厳 しい( 安 全 寄 りの) 数 値 = 年 間 20mSv 東 日 本 大 震 災 への 対 応 首 相 官 邸 災 害 対 策 ページ http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g5.html
福 島 原 発 20-30km 圏 内 移 動 してきた 方 々から 放 射 性 物 質 がうつることはありません! くしゃみをすること で 放 射 性 物 質 が 人 に 空 気 感 染 や 飛 沫 感 染 を 起 こすこと はありません! 放 射 性 物 質 は 花 粉 やホコリと 同 じ 服 を 変 えたり お 風 呂 に 入 れば 放 射 性 物 質 はなくなり 他 の 人 に 健 康 被 害 を 及 ぼすことはありませ ん