新 潟 県 中 越 沖 地 震 における 災 害 廃 棄 物 対 策 の 評 価 EVALUATION OF DISPOSED DISASTER WASTE IN CASE OF THE NIIGATAKEN CHUETSU-OKI EARTHQUAKE IN 2007 1 2 3 4 坂 井 優 美 木 村 智 博 福 田 誠 橋 本 治 5 6 7 8 岡 田 勝 也 伊 藤 真 理 川 原 潮 子 岩 波 基 1 元 新 潟 大 学 工 学 部 学 部 生 2 博 士 ( 環 境 学 ) 元 東 京 大 学 大 学 院 生 (E-mail:mucunzhibo@yahoo.co.jp) 3 工 博 長 岡 工 業 高 等 専 門 学 校 名 誉 教 授 (E-mail:fukudam@clock.ocn.ne.jp) 4 ( 財 ) 東 京 都 環 境 整 備 公 社 京 浜 島 処 理 センター 所 長 5 工 博 国 士 舘 大 学 理 工 学 部 教 授 6 朝 日 新 聞 記 者 7 朝 日 新 聞 記 者 8 工 博 長 岡 工 業 高 等 専 門 学 校 准 教 授 (E-mail:miwanami@nagaoka-ct.ac.jp) 兵 庫 県 南 部 地 震 以 降, 廃 棄 物 学 会 を 中 心 に, 地 盤 工 学 領 域 では 応 用 地 質 学 会 や 日 本 粘 土 学 会 等 が 災 害 廃 棄 物 の 調 査 を 行 うようになった. 本 研 究 では 2007 年 新 潟 県 中 越 沖 地 震 を 例 に, 廃 棄 物 行 政 の 実 態 を 俯 瞰 し, 住 民 に 求 められる 危 機 管 理 の 方 向 性 を 現 地 調 査 やアンケート 等 で 明 らかにした.また, 東 京 都 等 の 震 災 廃 棄 物 対 策 を 参 照 しつつ, 地 盤 材 としての 有 効 性 を 検 討 した.この 一 連 の 流 れで, 徹 底 した 分 別 回 収 がなさ れたこと, 家 族 や 住 民 間 の 協 力 で 非 常 時 の 自 主 防 災 の 成 否 につながったこと, 膨 大 な 廃 棄 物 でも 適 正 処 理 により 環 境 影 響 を 低 減 出 来 る 可 能 性 が 筆 者 らの 調 査 で 示 唆 された.さらに 廃 棄 物 に 内 在 する 重 金 属 にも 言 及 し, 新 潟 県 内 海 岸 部 での 調 査 結 果 や 処 理 技 術 の 現 状 も 参 考 のために 概 観 した. キーワード:2007 年 新 潟 県 中 越 沖 地 震, 災 害 廃 棄 物 問 題,アンケート 調 査, 環 境 影 響, 廃 棄 物 管 理 1. はじめに TIME 誌 では 早 くから,アジア 諸 国 等 で 深 刻 化 する 有 害 廃 棄 物 問 題 を 特 集 してきた 1). 福 林 らはパプアニュー ギニアで 住 民 による 土 嚢 利 用 の 道 路 整 備 手 法 を 扱 い 2), 技 術 者 の 責 務 を 論 述 している.こうした 廃 棄 物 の 有 効 利 用 や 分 別 回 収 に 係 る 啓 発 を 踏 まえ, 筆 者 らは 2007 年 新 潟 県 中 越 沖 地 震 を 例 に, 災 害 廃 棄 物 の 実 態 に 基 づいた 軽 減 策 を, 主 に 現 地 調 査 とアンケートから 検 討 した. 我 々は 新 潟 県 内 で 発 生 した 地 震 に 際 し 廃 棄 物 集 積 所 を 調 査 し,2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 後 の 屋 外 の 廃 棄 物 仮 置 場 での 異 臭 (NH 3 H 2 S 等 )を 重 視 し,2007 年 新 潟 県 中 越 沖 地 震 後 の 環 境 影 響 が 一 層, 危 惧 されると 判 断 した. 本 稿 では 地 震 直 後 から 2008 年 2 月 にかけ, 行 政 対 応 と 集 積 所 管 理 業 務 の 把 握 に 努 め, 廃 棄 物 対 策 を 考 察 する. なお, 一 般 廃 棄 物 は 自 治 体, 産 業 廃 棄 物 は 排 出 した 事 業 者 が 責 任 を 持 って 処 理 することになっているが, 災 害 時 には, 解 体 廃 棄 物 を 含 む 建 築 廃 材 と 家 財 道 具 が 大 量 に 発 生 し,これ 等 の 廃 棄 物 は 災 害 廃 棄 物 と 定 義 されている. 1995 年 1 月 17 日 の 兵 庫 県 南 部 地 震 では 約 2,000 万 トン, 平 年 の 一 般 廃 棄 物 排 出 量 の 8 倍 相 当 に 達 し, 中 には 野 焼 き 等 の 不 適 切 な 処 理 が 見 られたことから,1998 年 10 月 に 震 災 廃 棄 物 対 策 指 針 や 2005 年 6 月 の 水 害 廃 棄 物 対 策 指 針 が 施 行 され, 国 と 自 治 体 は 防 災 計 画 の 中 で, 災 害 廃 棄 物 処 理 処 分 計 画 とそれ 等 の 実 施 体 制 を 準 備 する ことに 至 った 3). 災 害 廃 棄 物 対 応 は 被 災 自 治 体 の 責 任 で 行 われることとなり, 費 用 面 では 災 害 廃 棄 物 の 処 理 処 分 事 業, 及 び 損 傷 した 廃 棄 物 処 理 処 分 施 設 の 復 旧 に 要 す る 費 用 の 2 分 の 1 が 国 庫 から 補 助 される. 2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 では 旧 山 古 志 村 が 河 道 閉 塞 と なり, 積 雪 期 に 入 っても 復 旧 に 追 われた. 積 雪 期 の 作 業 は 屋 根 雪 処 理 中 の 人 身 事 故 等 4),2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 では 除 雪 を 含 む 片 付 け 作 業 に 起 因 する 地 震 関 連 死 が 顕 在 化 した.また, 復 興 に 向 け, 堆 積 土 砂 の 放 射 線 遮 蔽 材 へ の 転 用 の 検 討 が 行 われた 5) が, 撤 去 作 業 において 高 齢 者 層 ではボランティアへの 期 待 が 高 まった 6~9). 国 土 交 通 省 北 陸 地 方 整 備 局 湯 沢 砂 防 事 務 所 は 2007 年 12 月 24 日, 新 潟 県 長 岡 市 山 古 志 地 区 に 東 竹 沢 砂 防 堰 堤 31
を 完 成, 芋 川 を 転 流 させた. 同 箇 所 は 2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 で 幅 295m, 奥 行 き 350m にわたり 約 130 万 m 3 の 土 砂 が 崩 壊 し, 処 理 が 困 難 となった. 一 方,2007 年 新 潟 県 中 越 沖 地 震 では 瓦 礫 処 理 が 優 先 さ れ,これは 建 物 被 害 で 住 家 被 害 が 約 6 割,そのうち 一 部 損 壊 が 約 8 割 である 等, 衛 生 面 と 道 路 網 の 確 保 が 至 上 命 題 となったことによる.7.13 水 害 では 発 災 後 1 ヶ 月 の 段 階 で, 三 条 市 の 年 間 廃 棄 物 量 4 万 トンを 超 える 4 万 8 千 トンが 市 中 心 部 に 位 置 する 競 馬 場 近 隣 に 集 積 され, 蚊 や 蝿, 蚋, 虻 の 飛 翔 等, 廃 棄 物 減 量 化 が 課 題 となった 10). 2000 年 10 月 6 日 の 鳥 取 県 西 部 地 震 (M7.3)で 塩 ビ 業 界 が 米 子 市 境 港 市 に 協 力 し, 廃 プラスチックを 再 生 管 の 原 材 料 に, 一 部 はセメント 原 燃 料 として 利 用 した 11). Figure 1 クリーンセンターかしわざきの 位 置 2. 災 害 廃 棄 物 に 係 る 現 地 調 査 2.1. クリーンセンターかしわざきの 被 害 と 影 響 Figure 1 の 柏 崎 市 橋 場 地 区 に 1992 年 に 稼 動 した 1 日 処 理 能 100トン, 粗 大 ごみ40トンの 可 燃 ごみ 処 理 施 設 ク リーンセンターかしわざき は, 高 さ 59m の RC 製 煙 突 が 地 上 18m 付 近 で 折 損 し,6m 沈 降 傾 斜 した. 同 市 と 刈 羽 村 のごみ 焼 却 処 理 が 不 能 となり, 新 潟 県 内 自 治 体 に 協 力 を 要 請 ( 地 震 当 日 から 10 月 末 まで 市 内 で 1 万 1 千 トン 回 収 )し, 処 理 が 急 がれる 粗 大 ごみ 等 は JR 貨 物 のクリ ーンかわさき 号 ( 川 崎 市 の 生 活 廃 棄 物 輸 送 コンテナ)を 使 用,トラックと 比 較 し CO 2 NO X が 90% 以 上 もの 削 減 が 可 能 となった. 柏 崎 市 で 処 理 困 難 な 廃 棄 物 を 2007 年 9 月 ~10 月 上 旬 に 1 日 当 たり 1~2 トンを 川 崎 市 で 受 け 入 れ, 輸 送 経 路 は 南 長 岡 駅 から 川 崎 貨 物 駅 経 由 で 浮 島, 数 十 トンが 処 理 された.なお,Table 1 は 復 興 期 までの 各 自 治 体 の 取 り 扱 いを 示 したが, 川 崎 市 の 対 応 は 緊 急 的 で あるため, 本 文 中 での 言 及 にとどめた. 煙 突 の 復 旧 は, 破 損 した 外 筒 及 び 煙 突 の 倒 壊 防 止 工 事 に 着 手 し,9 月 5 日 からの 解 体 作 業 による 煙 突 撤 去 後, 高 さ 35m の 仮 設 煙 突 を 設 置 した(Photograph 1~ Photograph 3). 処 理 工 場 棟 内 の 被 害 では,1 給 塵 機 の ロッドの 湾 曲,2 焼 却 炉 内 の 耐 火 物 の 滑 落,3 各 送 風 機 の 芯 のずれ,4ダクトのずれ,5 各 設 備 の 架 台 のずれ, 6 約 15 トンの 河 川 水 路 過 塔 のずれ, 等 が 確 認 され, 仮 設 煙 突 設 置 までの 期 間 と 並 行 し, 施 設 内 を 修 繕 した. 同 センターは 2007 年 11 月 15 日 に 再 開 し, 仮 煙 突 の 高 さ 35m, 市 担 当 者 によれば,2008 年 度 以 降 に 3 億 5 千 万 円 をかけ 修 繕 される.この 他 に, エコグリーン 柏 崎 夏 渡, 柏 崎 市 宝 町 のコマツ 跡 地 ( 仮 置 場 )でも 影 響 が 生 じ 12), 現 在 も 下 水 道 工 事 に 係 る 副 産 物 処 理 が 懸 案 となっている. Photograph 1 クリーンセンターかしわざきの 被 災 状 況 (2007 年 7 月 19 日 撮 影 ) Photograph 2 RC 製 煙 突 破 損 (2007 年 7 月 19 日 撮 影 ) 32
Table 1 柏 崎 市 の 処 理 依 頼 に 基 づく 各 自 治 体 の 搬 入 総 量 ( 家 庭 ごみ 収 集 記 録 を 計 算 ) 自 治 体 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 合 計 (kg) 新 潟 市 578,570 1,009,790 1,121,260 1,303,230 426,320 4,439,170 長 岡 市 139,600 34,920 228,090 256,120 107,010 765,740 三 条 市 33,000 138,490 133,360 151,320 15,560 471,730 見 附 市 24,300 94,850 60,420 34,050 0 213,620 糸 魚 川 市 42,235 7,780 0 0 0 50,015 魚 沼 市 60,370 80,210 35,970 0 53,330 229,880 県 内 南 魚 沼 市 79,270 203,220 33,910 103,610 0 420,010 上 越 市 30,390 356,170 8,890 0 0 395,450 十 日 町 市 54,760 131,760 202,250 33,620 0 422,390 小 千 谷 市 0 795,305 886,030 299,485 0 1,980,820 燕 弥 彦 54,590 86,170 89,820 0 0 230,580 五 泉 地 域 17,470 63,260 30,370 8,010 0 119,110 加 茂 田 上 0 79,090 72,560 81,410 2,700 235,760 新 井 頸 南 0 0 0 85,520 0 85,520 福 島 県 3,180 7,850 0 0 0 11,030 県 外 富 山 市 55,800 12,600 0 0 0 68,400 宇 都 宮 市 0 73,740 0 0 0 73,740 福 井 市 0 11,470 0 9,010 0 20,480 合 計 (kg) 1,173,535 3,186,675 2,902,930 2,365,385 604,920 10,233,445 (2) 焼 却 施 設 被 災 後 の 刈 羽 村 での 影 響 刈 羽 村 の 家 庭 ごみは 1 日 約 4 トン 発 生 し, 可 燃 ごみは 全 て クリーンセンターかしわざき で 処 理 されるが, 道 路 被 害 から 搬 出 不 能 に 陥 り, 震 災 後 2 週 間 でごみ 量 が ピークに 達 した. 増 大 する 住 民 の 苦 情 を 受 け,7 月 18 日 ~11 月 24 日 に 長 岡 市 へ 全 ての 可 燃 ごみ 処 理 を 依 頼 した. 同 市 への 搬 出 総 量 は, 平 成 16 年 度 刈 羽 村 の 可 燃 ごみ 処 理 量 の 半 分 相 当 の 603 トンであった(Figure 2). Photograph 3 仮 設 煙 突 敷 設 (2007 年 11 月 28 日 撮 影 ) (1) 焼 却 施 設 被 災 後 の 柏 崎 市 での 影 響 柏 崎 市 の 家 庭 ごみは, 通 常 1 日 80~120トン 発 生 する. 7 月 17 日 から 通 常 収 集 ( 週 3 回 )を 行 ったものの, 同 月 19 日 に クリーンセンターかしわざき のピット 内 が 満 杯 状 態 の 約 1,000 トンに 達 した.そのため, 柏 崎 市 夏 渡 にある 最 終 処 分 場 に 仮 置 きしつつ,7 月 19 日 ~11 月 12 日 にわたり 県 内 県 外 の 他 自 治 体 に 可 燃 ごみの 処 理 を 依 頼 した. 他 自 治 体 へ 搬 出 した 総 量 は, 平 成 16 年 度 の 柏 崎 市 可 燃 ごみ 処 理 量 の 約 4 倍 に 相 当 する 10,233 トンとなり, 中 でも 約 4 割 の 可 燃 ごみが 新 潟 市 へ 搬 出 された.また, 小 千 谷 市, 長 岡 市 が 可 燃 ごみを 受 け 入 れ, 近 隣 市 町 村 の 応 援 が 目 立 った.その 後, 同 施 設 が 仮 復 旧 し,2007 年 11 月 15 日 以 降 は 通 常 の 受 け 入 れ 態 勢 に 移 行 出 来 た. Figure 2 刈 羽 村 から 長 岡 市 へのごみ 搬 出 量 の 推 移 2.2. 柏 崎 市 での 現 地 調 査 結 果 (1) 柏 崎 市 内 の 家 財 廃 棄 物 収 集 処 理 柏 崎 市 が 対 応 する 家 庭 ごみ 焼 却 とは 別 に, 資 源 ごみは 市 内 12 地 区 に 分 け 9 月 10 日 ~28 日 の 1 回 のみの 特 別 収 集 日 を 設 定 した.また,ごみ 撤 去 の 緊 急 性 が 高 い 箇 所 に 33
限 り, 月 水 金 に 柏 崎 市 と 委 託 業 者 によって 収 集 が 行 われた. 収 集 された 資 源 ごみは 不 燃 ごみ 粗 大 ごみと 同 様, 柏 崎 市 宝 町 の 市 有 地 の 工 場 跡 地 に 集 積, 一 時 仮 置 き された 後, 業 者 へ 搬 出 された(Photograph 4). 不 燃 ごみ( 主 にペットボトル)は 地 区 別 に, 月 2 回 の 収 集 を, 粗 大 ごみは 有 料 で 個 別 収 集 を 行 っている. 地 震 後, 不 燃 ごみ 粗 大 ごみの 対 応 として,1 つの 地 区 を 2 日 連 続 で 収 集 した.1 日 目 は 不 燃 ごみ 家 電 布 団 絨 緞 類,2 日 目 は 布 団 絨 緞 以 外 の 粗 大 ごみ という 分 別 で, 午 前 6 時 ~8 時 に 収 集 を 行 った. 排 出 場 所 は 緊 急 措 置 的 に, 各 町 内 の 可 燃 ごみの 集 積 場 所 (ゴミステー ション)である. 収 集 車 両 は 新 潟 県 内 の 民 間 2 団 体 を 中 軸 として,73 業 者, 延 べ 803 台 と, 柏 崎 市 と 柏 崎 市 の 委 託 業 者 の 十 数 台 が 充 当 された. Photograph 5 宝 町 で 不 燃 ごみ( 自 転 車,マットレス) 所 に 搬 入 され,1 不 燃 性 粗 大 ごみは 金 属 回 収 後 に 破 砕 処 理, 残 渣 は 埋 立 処 分 となり,2 可 燃 性 粗 大 ごみは 破 砕 処 理 後, 燃 料 として 資 源 化 される.なお, 埋 立 処 分 される 廃 棄 物 は 県 内 1 ヶ 所 の 第 3 セクター 処 分 場 ( 出 雲 崎 町 ) と 県 外 2 ヶ 所 の 民 間 処 分 場 ( 長 野 県 山 形 県 )で 埋 め 立 てられた. Photograph 4 空 き 缶 をバックホウで 運 搬 処 理 後 に 資 源 化 ( 柏 崎 市 宝 町 で 地 震 直 後 から 稼 動 ) 収 集 したごみは, 柏 崎 市 宝 町 の 6ha の 市 有 地 に, 大 き く 5 種 類 に 分 別 集 積 された. 分 別 集 積 された 不 燃 粗 大 ごみは, 全 て 民 間 廃 棄 物 処 理 業 者 に 委 託 した. 1 不 燃 ごみ( 食 器 ガラスの 破 片 ) 2 不 燃 性 粗 大 ごみ( 自 転 車 マットレス) 3 可 燃 性 粗 大 ごみ( 箪 笥 テーブル 椅 子 ) 4 家 電 4 品 目 (テレビ 冷 蔵 冷 凍 庫 エアコン 洗 濯 機 ) 5その 他 家 電 (パソコン その 他 家 電 製 品 ) ただ, 住 民 は 集 積 所 の 悪 臭 に 対 する 不 満 は 大 きかった が,Photograph 5 に 示 したのとは 裏 腹 に,マットレスや ウレタン 放 置 には 無 関 心 であった.しかしながら, 発 火 によるシアン 化 水 素 ( 青 酸 ガス)の 発 生 が 懸 念 される. また, 柏 崎 市 の 家 財 廃 棄 物 処 理 処 分 計 画 では, 不 燃 ご み, 不 燃 性 粗 大 ごみ, 可 燃 性 粗 大 ごみ, 廃 家 電 4 品 目 に 分 けられた.これ 等 は 全 て, 収 集 後 に 集 積 (2) 柏 崎 市 内 の 解 体 廃 棄 物 ( 建 築 廃 材 ) 収 集 処 理 2007 年 8 月 5 日 から 被 災 住 宅 を 解 体 する 業 者 の 指 定 登 録 受 付 を 開 始 し, 同 6 日 から 指 定 登 録 解 体 業 者 による 被 災 住 宅 等 の 解 体 処 理 に 着 手 した. 原 則, 解 体 家 屋 は 同 現 場 で 分 別 され 集 積 所, 若 しくは 処 理 施 設 に 搬 入 された. ただ, 管 理 票 がある 場 合 のみ 混 載 を 認 めた. 柏 崎 市 鯨 波 のクレー 射 撃 場 の 集 積 所 で 8 月 6 日 ~10 月 6 日 に,2007 年 10 月 15 日 ~2008 年 1 月 30 日 に 家 財 廃 棄 物 とともに, 柏 崎 市 宝 町 の 工 場 跡 地 に 搬 入 された. 同 2 月 4 日 からは, 安 政 町 にある 柏 崎 市 下 水 処 理 施 設 の 空 き 地 に 解 体 残 渣 を 仮 置 きし, 現 在 に 至 っている. 鯨 波 の 集 積 所 が 閉 鎖 され た 理 由 は, 宝 町 の 6ha を 有 する 集 積 所 と 比 較 して 手 狭 と なったこと, 各 種 廃 棄 物 の 一 元 管 理 の 必 要 性 が 高 まった ことによる. 損 傷 家 屋 等 の 処 分 で 解 体 修 繕 費 は 自 己 負 担 ながら, 収 集 運 搬 処 分 費 は 全 額 市 が 負 担 した. 但 し, 後 述 する 住 民 アンケートの 結 果 や,2007 年 8 月 に 実 施 した 柏 崎 市 住 民 へのヒアリングから, 自 主 的 に 処 分 場 まで 運 搬 した 例 も 散 見 され, 着 の 身 着 のままで 片 付 けに 追 われた 人 もいた. 柏 崎 市 の 建 物 廃 棄 物 処 理 処 分 計 画 で 廃 棄 物 は, 解 体 現 場 で 11 分 別 (Figure 3 を 参 照 ) 後, 集 積 場, 若 しくは 民 間 の 産 廃 処 理 施 設 へ 運 搬 されることになっている. 地 震 後, 集 積 所 に 搬 入 された 品 目 は 瓦 や 畳, 破 損 した 木 造 軸 組 等 で,その 後, 残 渣 は 埋 め 立 てられた. 埋 立 処 分 は 県 内 の 民 間 処 分 場 ( 柏 崎 市 )と 第 3 セクター( 出 雲 崎 町 ), 県 外 の 民 間 処 分 場 ( 長 野 県 )で 処 理 された. 処 理 実 績 に 関 連 し, 地 震 発 生 から 2007 年 12 月 までの 34
建 物 廃 棄 物 発 生 量 は,178,216 トンで,コンクリート 塊 が 最 も 多 く, 次 いで 廃 木 材 ( 角 材 柱 板 類 ), 土 壁 解 体 残 渣, 瓦 の 順 であった(Figure 3). 資 源 化 では, 破 砕 コンクリートは 再 生 砕 石 として 舗 装 材 路 盤 材 裏 込 め 材 に, 廃 木 材 のチップは 燃 料 化 され(Photograph 6~ Photograph 7), 瓦 や 解 体 残 渣 は 直 接 埋 立 処 分 となった. 瓦 くず 12% その 他 木 くず9% 土 壁 解 体 残 渣 14% 廃 石 膏 ボード3% 廃 木 材 19% コンク リートく ず40% Figure 3 柏 崎 市 の 建 物 廃 棄 物 内 訳 (2007 年 12 月 まで, 廃 棄 物 の 取 扱 量 は 178,216 トン) Photograph 6 宝 町 での 瓦 類 (2007 年 11 月 10 日 撮 影 ) Photograph 7 宝 町 での 畳 類 (2007 年 8 月 23 日 撮 影 ) (3) 柏 崎 市 での 住 民 への 周 知 法 柏 崎 市 では 各 家 庭 に 防 災 行 政 無 線 が 配 備 され,これを 利 用 し, 災 害 廃 棄 物 の 特 別 収 集 の 日 程 や 排 出 時 の 注 意 点 等 を 市 民 に 提 供 した. 筆 者 らの 7 月,8 月 調 査 でも 市 内 で 聴 取 され, 午 前 中 は 炊 き 出 しや 柏 崎 元 気 館 での 催 事 の 案 内 を, 午 後 3 時 頃 にはごみ 出 しや 仮 設 風 呂 に 関 す る 情 報 が 放 送 されていた.また,7 月 30 日 付 の 臨 時 回 覧 として, 広 報 かしわざき 号 外 を 1 世 帯 1 部 配 布 し, 罹 災 証 明 や 健 康 管 理 に 関 わる 各 種 相 談 窓 口, 廃 棄 物 処 理 に 際 する 留 意 事 項 の 周 知 徹 底 を 図 った. (4) 地 震 後 の 柏 崎 市 での 廃 棄 物 集 積 処 理 状 況 柏 崎 市 は 当 初, 家 財 廃 棄 物 と 建 物 廃 棄 物 は 別 々の 集 積 所 を 開 設 し 搬 入 した. 家 財 廃 棄 物 は 7 月 18 日 から 柏 崎 市 宝 町 の 工 場 跡 地 を 集 積 所 として 利 用 した. 約 6ha の 当 該 跡 地 は 市 有 地 で, 国 道 6 号 線 と JR 柏 崎 駅 に 挟 まれ, 周 辺 には 住 家 がある 1 等 地 である. 当 該 場 所 は 2008 年 1 月 30 日 まで 開 設 された. 建 物 廃 棄 物 は,8 月 6 日 ~10 月 6 日 に 柏 崎 市 鯨 波 のク レー 射 撃 場 ( 約 3.5ha)を 集 積 所 として 利 用 し,その 後, 10 月 15 日 以 降 は 家 財 廃 棄 物 と 同 じ 宝 町 の 集 積 所 内 に 2008 年 1 月 30 日 まで 搬 入 された. 2008 年 2 月 4 日 以 降 の 状 況 は, 柏 崎 市 安 政 町 の 下 水 処 理 施 設 の 空 き 地 に 解 体 残 渣 のみを 仮 置 きする 状 況 まで 復 旧 させ,テレビ 等 の 廃 家 電 や 家 財 廃 棄 物 は, クリーンセ ンターかしわざき の 空 き 地 に 置 かれ,1 ヶ 月 単 位 で 1 割 のペースで 処 理 されている. 以 上, 宝 町 集 積 所 の 計 画 運 営 は 柏 崎 市 が 担 い, 現 場 の 廃 棄 物 保 管 業 務 は 産 業 廃 棄 物 協 会 柏 崎 支 部 に 委 託 してい るが,こうした 時 間 経 過 に 伴 う 廃 棄 物 の 種 類 の 推 移 を 整 理 することは, 廃 棄 物 処 理 効 率 化 と 処 理 計 画 の 円 滑 化 に つながる.そこで, 柏 崎 市 宝 町 の 集 積 所 の 廃 棄 物 の 配 置, 敷 地 測 定 を 8 月 18 日,9 月 21 日,10 月 11 日 に 実 施 した. 8 月 18 日 の 調 査 ( 敷 地 は 200m 320m)では, 第 1 回 目 の 不 燃 粗 大 ごみ 特 別 収 集 が 8 月 12 日 に 終 了 した 直 後 で, 大 量 の 廃 棄 物 が 渾 然 と 搬 入 されていた. 処 理 場 搬 出 は, 廃 家 電 を 除 く 不 燃 粗 大 ごみは 8 月 15 日 から, 廃 家 電 の 8 月 20 日 から 業 者 への 搬 出 開 始 時 期 を 考 慮 すると, 全 体 に 占 める 不 燃 ごみや 廃 家 電 の 割 合 が 8 割 以 上 に 達 し ていた.9 月 に 筆 者 らが 携 わった 廃 家 電 の 計 数 調 査 では テレビ( 大 半 がブラウン 管 タイプ)11,450 台, 冷 蔵 庫 冷 凍 庫 2,121 台, 洗 濯 機 753 台,エアコン 956 台 であっ た.その 後,9 月 下 旬 に 可 燃 性 ごみが 焼 却 処 分 された. 10 月 11 日 の 調 査 結 果 より, 第 1 回 第 2 回 の 特 別 回 収 が 終 了 し, 処 理 施 設 への 搬 出 作 業 の 開 始 に 伴 い,8 月 18 日 と 比 較 して, 不 燃 物 や 可 燃 性 粗 大 ごみ, 廃 家 電 等 の 廃 棄 物 が 約 3 割 減 少 していた. 建 物 廃 棄 物 の 集 積 所 ( 宝 町 )への 搬 入 は 10 月 15 日 からの 開 始 となっていたが, 35
実 際 には 廃 什 器, 廃 石 膏 ボードや 土 壁, 瓦 が 搬 入 された. 整 頓 が 進 んだ9 月 21 日 と 比 べ 廃 棄 物 の 配 置 にばらつきが 見 られたが,これは 不 燃 性 粗 大 ごみの 中 で 再 分 別 が 途 上 段 階 だったことによる.2008 年 1 月 末 の 閉 鎖 時 には, 一 部 の 家 具 やベッド 等 を 除 き 家 財 廃 棄 物 は 集 積 所 から 搬 出 され, 建 物 廃 棄 物 の 仮 置 きに 供 された. (5) 柏 崎 市 での 集 積 所 の 環 境 対 策 環 境 問 題 への 配 慮 から, 地 震 直 後 から 集 積 所 では 騒 音 測 定 が 実 施 され( 結 果 は 環 境 基 準 内 ),ごみ 飛 散 防 止 ネッ トが 敷 設 された(Photograph 8).ただ, 搬 入 車 両 の 通 路 には 鉄 板 が 使 用 され(Photograph 9), 斜 面 災 害 抑 止 のため, 廃 棄 物 管 理 に 供 されるブルーシートが 不 足 し (Photograph 10), 各 廃 棄 物 は 土 の 上 に 直 に 配 置 された (Photograph 11).その 後, 直 ちに 県 から 指 導 を 受 け, 鉄 板 上 に 廃 家 電 が 配 置 されることになった. 2007 年 10 月 11 日 の 現 地 調 査 では, 一 部 の 廃 家 電 のみ が 鉄 板 の 上 に 配 置 され, 同 年 11 月 10 日 の 調 査 から,ほ ぼ 全 ての 廃 家 電 が 鉄 板 の 上 に 移 動 されていた.その 他, 鉛 直 遮 水 工 の 止 水 コア 工 法 と 鋼 矢 板 工 法 がなされていな い 箇 所 で, 調 査 を 重 ねるごとに 水 溜 まりが 確 認 された. 実 際, 搬 入 車 両 のタイヤ 跡 に 生 じた 水 溜 まりや 廃 棄 物 の 荷 重 によって 凹 みにできた 水 溜 まり, 仮 置 きされている 廃 棄 物 から 染 み 出 した 油 が 浮 いている 水 溜 まり,さらに 藻 類 が 繁 茂 する 例 (Photograph 12)も 散 見 された. 環 境 工 学 的 には, 気 生 藻 であるスミレモ(Trentepohlia aurea)が 確 認 された. 緑 藻 に 分 類 され, 高 含 水 の 土 壌 と ブロック 塀 に 付 着 する. 栄 養 塩 で 繁 茂 する 習 性 に 着 目 し, 国 立 環 境 研 究 所 は 平 成 13~15 年 度 に, 最 終 処 分 場 管 理 における 化 学 物 質 リスクの 早 期 警 戒 システムの 構 築 プ ロジェクトに 着 手 し, 両 生 類 初 期 胚, 魚 類, 藻 類, 甲 殻 類 の 各 個 体, 細 菌 を 用 いた 急 性 毒 性 試 験 である. 数 種 の 浸 出 水 で 検 出 された 毒 性 特 性 より 分 散 生 物 フロックの 効 率 的 な 固 液 分 離 処 理 で 個 体 数 が 低 減 ( 生 長 阻 害 試 験 ), 生 物 指 標 による 環 境 変 動 把 握 の 可 能 性 が 示 唆 された. 即 ち, 低 温 環 境 に 耐 えられる Trentepohlia aurea の 繁 茂 は 寒 冷 環 境 下 の 当 該 被 災 地 では 妥 当 であり,CN 基 等 の 未 検 出 を 規 定 した 廃 棄 物 処 分 場 浸 出 水 処 理 で, 藻 類 が 繁 茂 する 13). Photograph 12 の 藻 類 から, 栄 養 塩 は 認 められるものの, 有 害 物 質 に 敏 感 なこの 藻 類 の 存 在 は 環 境 影 響 が 少 ない 点 の 証 左 と 言 える. Photograph 8 宝 町 集 積 所 に 敷 設 のごみ 飛 散 防 止 ネット Photograph 9 宝 町 集 積 所 の 鉄 板 敷 設 後 の 搬 入 車 両 通 路 Photograph 10 JR 青 海 川 駅 裏 斜 面 の 家 屋, 亀 裂 箇 所 に ブルーシート(2007 年 7 月 19 日 撮 影 ) 36
Photograph 11 土 に 直 に 仮 置 きされた 廃 TV 群 Photograph 12 富 栄 養 化 で 水 溜 まりに 藻 類 が 繁 茂 ( 土 嚢 と 土 壌 境 界 の 黒 色 斑 状 箇 所 に 密 生 ) 2.3. 刈 羽 村 での 現 地 調 査 結 果 (1) 刈 羽 村 内 の 家 財 廃 棄 物 収 集 処 理 刈 羽 村 では 平 時 の 可 燃 ごみ 処 理 は 1 日 おきに 回 収 し, 柏 崎 市 の 焼 却 施 設 クリーンセンターかしわざき で 処 理 を 行 っている. 震 災 により, 同 焼 却 施 設 が 稼 動 不 能 と なり,7 月 18 日 ~11 月 24 日 まで 長 岡 市 の 焼 却 施 設 に 搬 出 した. 柏 崎 市 の 同 焼 却 施 設 の 復 旧 に 伴 い,11 月 24 日 以 降 は 通 常 の 処 理 業 務 が 遂 行 出 来 るようになった.また, 同 村 は 平 時 の 収 集 運 搬 に 際 し, 民 間 1 業 者 に 委 託 してい るが, 以 前 から 関 係 を 有 するこの 処 理 業 者 とともに, 震 災 後, 新 たに 民 間 1 業 者 を 委 託 した.この 背 景 として, ライフライン 途 絶 で 紙 コップ, 紙 皿, 割 り 箸,ペットボ トル 等 の 家 庭 ごみが 排 出 され, 恒 常 的 に 各 ステーション が 山 積 みになっていた 点 が 挙 げられる. 民 間 2 業 者 体 制 の 収 集 で,7 月 18 日 ~7 月 31 日 は 毎 日 の 回 収,8 月 1 日 ~8 月 10 日 は 日 曜 祝 日 を 除 き 1 日 おきに 特 別 収 集 が 行 われ,8 月 10 日 以 降 は 各 ステーションから 通 常 通 りの 家 庭 ごみ 収 集 が 行 われた. 資 源 ごみとして 分 別 された 空 き 缶,ガラスとビン,ペ ットボトル,EPS,その 他 プラスチック, 新 聞 紙, 雑 誌, 段 ボール, 草 剪 定 枝 は 地 震 後 も 通 常 通 り( 週 1 回 収, 紙 類 は 月 1 回 の 回 収 )の 収 集 がなされた. 不 燃 ごみは 8 月 27 日 まで 原 則, 回 収 せず, 被 災 者 宅 で の 保 管 とし, 保 管 出 来 ない 場 合 は 指 定 された 1 ヶ 所 の 第 3 セクター 処 理 施 設 と1ヶ 所 の 民 間 処 理 業 者 の 委 託 業 者 に 搬 入 する 措 置 を 講 じた. 割 れたガラスや 瀬 戸 物 類 は 8 月 13 日 ~8 月 18 日 に 地 区 ごとに 収 集 され,それ 以 外 の 不 燃 ごみは8 月 30 日 以 降, 通 常 通 りの 収 集 で 対 応 された. テレビ 冷 蔵 冷 凍 庫 エアコン 洗 濯 機 の 家 電 4 品 目 を 除 く 粗 大 ごみは, 地 震 後 は 通 常 の 収 集 が 不 可 能 となり, 刈 羽 村 では 被 災 者 を 対 象 とした 廃 棄 物 別 の 個 数 を 把 握 し, 計 画 的 に 収 集 した.8 月 13 日 ~8 月 18 日 の 1 回 目,10 月 9 日 ~10 月 31 日 の 2 回 目 として 地 区 ごとに 収 集 が 行 われた.1 回 目 の 回 収 以 前 には 基 本 的 に 回 収 せず, 被 災 者 宅 で 粗 大 ごみを 保 管 することとなり, 保 管 出 来 ない 不 燃 ごみと 同 じ 措 置 が 講 じられた. 収 集 に 際 しては, 各 被 災 者 宅 の 庭 先 とした. 刈 羽 村 では 全 世 帯 の 4 割 超 が 半 壊 以 上 と 査 定 され,1 棟 につき 軽 トラック 1 台 分 の 粗 大 ご みが 発 生 した.ただ, 明 らかに 使 える 物 品 も 含 まれ, 役 所 側 は 被 災 者 のモラルを 信 じたい,と 話 していた. 一 方, 家 電 4 品 目 も 粗 大 ごみと 同 様, 被 災 者 に 発 生 個 数 の 調 査 を 実 施 し,10 月 9 日 ~10 月 31 日 に 地 区 ごとに 収 集 が 行 われた.10 月 の 回 収 まで 保 管 出 来 ない 被 災 者 は 個 人 で 電 気 店 に 処 分 を 依 頼 した.これ 等 に 要 した 運 搬 費 処 分 費 は 刈 羽 村 に 請 求 すれば 返 却 されるものであった. 刈 羽 村 の 家 財 廃 棄 物 処 理 処 分 計 画 では 木 屑,タイヤ, 廃 家 電 等 11 品 目 に 分 けられ, 集 積 所, 若 しくは 処 理 業 者 に 搬 入 されることになっている. 木 屑 は 破 砕 処 理 後 に 燃 料 化 (Photograph 13), 繊 維 屑 や 紙 屑 は 焼 却 処 理 によっ て 減 量 化, 焼 却 灰 は 埋 立 処 分 となる. 埋 立 処 分 される 廃 棄 物 は, 県 内 1 ヶ 所 の 第 3 セクター 処 分 場 ( 出 雲 崎 町 ) と 県 外 1 ヶ 所 の 民 間 処 分 場 ( 長 野 県 )で 埋 め 立 てられた. Photograph 13 2ha の 集 積 所 に 仮 置 きの 木 屑 ( 刈 羽 村 ) 木 37
(2) 刈 羽 村 内 の 解 体 廃 棄 物 ( 建 築 廃 材 ) 収 集 処 理 建 物 廃 棄 物 に 関 しては,7 月 23 日 から 指 定 登 録 業 者 の 受 付 解 体 作 業 が 開 始 された. 原 則, 混 載 は 認 めず 解 体 現 場 で 分 別 され,その 後, 刈 羽 村 油 田 地 区 に 開 設 された 集 積 所 に 搬 入 された.ただ, 解 体 家 屋 の 分 別 が 困 難 と 村 が 認 定 したケース( 混 合 搬 入 認 定 証 を 発 行 )や, 廃 棄 物 が 少 なく 荷 台 の 前 後 で 分 別 積 載 が 出 来 る 場 合 に 限 って 混 載 を 認 めた. 建 物 廃 棄 物 の 処 分 費 で 解 体 修 繕 費 全 般, 一 部 損 壊 の 修 理 修 繕 に 係 る 運 搬 費 は 自 己 負 担 ながら, その 他 の 収 集 運 搬 処 分 費 は 全 額 村 が 負 担 した. これに 関 連 し, 刈 羽 村 の 建 物 廃 棄 物 処 理 処 分 計 画 では, 解 体 現 場 で 18 分 別 ( 金 属 屑,コンクリート 塊, 長 尺, 廃 プラスチック, 金 属 サイディング, 畳, 木 屑, 紙 屑, 葦, 断 熱 材, 瓦,ガラス 陶 磁 器, 非 飛 散 性 アスベスト, 土 壁, 木 毛 板, 廃 石 膏 ボード, 解 体 残 渣,その 他 ) 後, 各 品 目 は 集 積 所 へ 運 搬 され, 一 時 的 に 仮 置 き 後 に 各 処 理 施 設,または 処 分 施 設 に 搬 出 されることになっている. 埋 立 処 分 の 廃 棄 物 は, 県 内 1 ヶ 所 の 処 分 場 ( 柏 崎 市 )と 1 ヶ 所 の 第 3 セクター 処 分 場 ( 出 雲 崎 町 )で 処 理 される. 地 震 発 生 から 2007 年 末 までの 建 物 廃 棄 物 発 生 量 は, 24,155 トンで, 平 成 16 年 度 の 刈 羽 村 の 一 般 廃 棄 物 量 の 約 12 倍 に 達 した. 同 村 が 集 計 した 結 果 で 品 目 別 には,コン クリート 塊 が 最 も 多 く, 次 いで 木 屑, 瓦, 解 体 残 渣 で 占 めた(Figure 4).なお,コンクリート 塊 や 木 屑 は 破 砕 処 理 後 に 資 源 化 され,コンクリートは 再 生 砕 石 として 舗 装 や 路 盤 材, 土 木 構 造 物 の 裏 込 め 材 に, 木 屑 はチップ 状 に 処 理 後, 燃 料 化 されたが(Photograph 13), 瓦 や 解 体 残 渣 は 直 接 埋 立 処 分 された(Photograph 14). 廃 石 膏 ボー 土 壁 ド2% 4% 木 くず( 長 尺 )5% 解 体 残 渣 8% 瓦 くず 12% 木 くず 18% 非 散 性 アス ベスト2% その 他 3% コンクリー トくず43% Figure 4 刈 羽 村 の 建 物 廃 棄 物 内 訳 (2007 年 12 月 まで, 廃 棄 物 の 取 扱 量 は 24,155 トン) Photograph 14 集 積 所 に 仮 置 き 後, 埋 立 処 分 される 屋 根 瓦 ( 刈 羽 村 ) (3) 刈 羽 村 での 住 民 への 周 知 法 刈 羽 村 は 原 子 力 発 電 所 の 関 係 上, 平 時 から 全 世 帯 に 防 災 無 線 が 設 置 され, 災 害 情 報 を 村 民 に 提 供 した. 筆 者 ら が 調 査 した2007 年 8 月 初 旬 には 大 雨 情 報 が 流 されていた. また, 全 世 帯 に 光 フィイバーが 導 入 されており,インタ ーネット 経 由 でも 情 報 入 手 が 可 能 であったが, 同 年 11 月 中 旬 に 仮 設 住 宅 の 住 民 に 聞 いたところでは, 高 齢 者 に とっては 使 い 方 が 分 からず 防 災 無 線 の 音 声 も 聞 き 取 りに くかったようである. 廃 棄 物 を 含 む 災 害 関 連 情 報 につい ては,7 月 20 日 ~8 月 24 日 の 期 間, 毎 週 金 曜 日 に 回 覧 板 情 報 を 全 世 帯 に 配 布 し, 周 知 徹 底 が 図 られた.こうした 情 報 はチラシとして 仮 設 住 宅 の 集 会 場 にも 置 かれ, 住 民 同 士 で 確 認 出 来 るシステムとなっていた. (4) 地 震 後 の 刈 羽 村 での 廃 棄 物 集 積 処 理 状 況 8 月 27 日 からの 一 時 受 け 入 れに 際 しても 分 別 が 原 則 と され, 仮 設 住 宅 入 居 に 伴 い, 引 越 し 作 業 で 親 戚 や 子 女 の 支 援 を 受 けながら 効 率 的 に 処 分 された( 後 述 アンケート の Figure 7 で 3 割 ).ただ, 集 積 場 所 は 刈 羽 村 大 字 油 田 Photograph 15 刈 羽 村 大 字 油 田 の 集 積 所 ( 主 にコンク リートが 搬 入.2008 年 1 月 23 日 撮 影 ) 地 内 にある 民 有 地 の 一 部 ( 約 2ha)が 使 用 されたが, 山 中 のため 運 搬 自 体 に 労 力 を 要 した(Photograph 15). Photograph 15 の 集 積 所 は 2 年 間, 利 用 することを 目 的 として 刈 羽 村 が 借 り 上 げ, 実 際 の 廃 棄 物 仮 置 き 面 積 16,305m 2 と 想 定 した 計 画 が 運 用 されている.なお,8 月 27 日 まで 災 害 廃 棄 物 の 搬 入 は 民 間 業 者 1 社 に 委 託 し, 並 行 して 集 積 所 の 計 画 整 備 を 進 めていた. 建 物 解 体, 若 しくは 修 繕 で 発 生 した 建 築 廃 材 のみがこ の 集 積 所 に 搬 入, 仮 置 きされた. 不 燃 粗 大 ごみは 直 接, 38
各 請 負 業 者 に 搬 入 し,テレビや 冷 蔵 庫 等 の 家 電 4 品 目 は 同 集 積 所 が 狭 いため, 長 岡 市 の 業 者 所 有 地 を 2 ヶ 月 間 借 用 して 対 応 した. 集 積 所 計 画 整 備 は 随 意 契 約 により,8 月 27 日 までの 災 害 廃 棄 物 の 搬 入 先 である 民 間 業 者 とは 別 の 民 間 業 者 1 社 によって 行 われた. 随 意 による 双 務 契 約 のこの 民 間 業 者 は,2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 時 に 被 害 を 受 けた 長 岡 市 での 集 積 処 理 業 務 の 経 験 を 有 し, 保 管 管 理 業 務 も 委 託, 解 体 計 画 書, 及 び 指 定 運 運 搬 業 者 確 認, 廃 棄 物 の 選 別 移 動, 安 全 管 理 を 行 った. 油 田 地 区 の 集 積 所 設 置 で, 事 前 に 役 場, 保 健 所 及 び 県 が 協 議 し, 周 辺 住 民 に 説 明 会 を 開 催 し 合 意 のうえで 決 定 した. 付 随 項 目 として, 災 害 廃 棄 物 処 理 業 務 は 平 成 22 年 3 月 までの 予 定 とし, 終 了 後 は 現 状 復 旧 する 旨 が 申 し 合 わされた. Photograph 17 同 地 区 集 積 所 に 敷 設 されたパイプ 溝 (5) 刈 羽 村 での 集 積 所 の 環 境 対 策 刈 羽 村 の 集 積 所 では,ごみ 飛 散 防 止 ネット 敷 設 (Photograph 16), 水 質 検 査, 騒 音 振 動 測 定,アスベ スト 調 査 が 月 1 回 実 施 され,この 取 り 組 みは 2008 年 2 月 時 点 でも 継 続 中 で, 特 段 の 問 題 は 発 生 していない. 油 田 地 区 の 集 積 所 は 民 有 地 のため, 土 地 返 却 時 に 現 状 復 帰 が 前 提 となり,ポリプロピレン 繊 維 の 遮 水 シートを 敷 き,その 上 に 土 を 被 覆 し 集 積 所 全 体 を 舗 装 した.この 造 成 敷 地 では 周 辺 対 策 が 求 められ,シートの 他, 油 分 浸 出 抑 制 のため 鉄 板 やアスファルトも 施 工 された. 雨 水 や 汚 濁 水 は 遮 水 シートで 防 ぎ,U 字 溝 やパイプ 溝 (Photograph 17)を 通 過 させ 集 水 槽 (Photograph 18) に 注 がれ, 沈 砂 後 に 油 水 分 離 槽 (Photograph 19)へ 送 られた. 油 水 分 離 槽 の 水 は 油 分 除 去 後, 大 腸 菌 群 が 滅 菌 処 理 され, 放 水 させる. 集 水 槽 は 月 1 回 の 水 質 検 査 が 実 施 され,2008 年 2 月 時 点 でも 継 続 されている. 筆 者 らが 2007 年 11 月 に 同 村 仮 設 住 宅 のリーダーへ 聞 き 取 りをしたところ, 行 政 の 環 境 配 慮 を 契 機 に, 住 民 間 でも 分 別 に 向 けた 話 し 合 いをしていることが 分 かった. Photograph 18 同 地 区 集 積 所 に 敷 設 された 集 水 槽 Photograph 19 同 地 区 集 積 所 に 敷 設 の 油 水 分 離 槽 3. 刈 羽 村 住 民 への 廃 棄 物 処 理 に 係 るアンケート 調 査 Photograph 16 油 田 地 区 集 積 所 に 敷 設 の 防 音 性 の 高 い 飛 散 防 止 ネット(2007 年 11 月 10 日 ) Table 2 に 示 した 行 政 の 緊 急 対 応 のフローを 鑑 み, 住 民 アンケートを 2007 年 12 月 に 行 った. 災 害 関 連 では 通 常, 避 難 に 係 る 項 目, 若 しくは 災 害 医 療 や 健 康 状 態 が 質 問 される 14) が,ここでは 災 害 廃 棄 物 に 焦 点 を 当 てた 防 災 科 技 研 の 先 見 事 例 を 踏 まえ 15), 実 施 した. 39
Table 2 現 地 調 査 に 基 づく 柏 崎 市 と 刈 羽 村 での 震 災 廃 棄 物 対 応 の 流 れ 地 震 後 の 収 集 処 理, 啓 発, 環 境 に 係 る 項 目 柏 崎 市 の 現 況 刈 羽 村 の 現 況 被 害 概 要 等 ( 人 口 総 数 は 2006 年 10 月 1 日 時 点 ) ( 建 物 被 害 状 況 は 2008 年 7 月 15 日 時 点 ) 家 財 廃 棄 物 収 集 処 理 解 体 廃 棄 物 建 築 廃 材 収 集 処 理 震 度 6 強,K-NET(NIG018) 最 大 化 速 度 812cm/s 2, 人 口 総 数 94,317 名 28,345 棟 ( 全 壊 1,120, 大 規 模 半 壊 676, 半 壊 3,888, 一 部 損 壊 22,661), 非 住 家 24,323 6ha を 有 する 宝 町 の 集 積 所 使 用 不 燃 や 可 燃, 粗 大 ごみ 別 に 分 別 処 理 の 緊 急 度 が 高 い 廃 棄 物 は 月 水 金 に 回 収 分 別 排 出 を 住 民 に 求 めた クリーンセンターかしわざき 稼 動 後 は 通 常 体 制 に ( 地 震 後 の 73 業 者 延 べ 803 台 は 刈 羽 村 等 でも 分 別 収 集 業 務 に 従 事 ) 3.5ha を 有 する 鯨 波 地 区 に 集 積 (2007.7~2008.1) 178,216 トン 排 出 処 理 ( 順 にコンクリート 塊, 木 屑, 土 壁 ) 被 害 に 関 わらず 解 体 修 繕 は 自 己 負 担 ながら, 廃 棄 物 の 運 搬 処 分 は 全 額 市 が 負 担 震 度 6 強, 人 口 総 数 4,798 名, 家 屋 1,333, 事 業 所 や 公 共 施 設 等 の 非 住 家 総 数 2,839 棟 1,261 棟 ( 全 壊 166, 大 規 模 半 壊 136, 半 壊 305, 一 部 損 壊 654), 非 住 家 2,228 地 震 後 1 ヶ 月 間 は 各 軒 先 で 保 管 クリーンセンターかしわざき 被 災 後 の 影 響 資 源 化 ごみの 回 収 は 頻 回 仮 設 住 宅 で 住 民 がごみの 出 し 方 を 指 導 ( 電 池 やタ イヤ 等 の 出 せない 品 目 の 周 知 徹 底 ) 2007 年 11 月 24 日 以 降, 通 常 体 制 2ha の 油 田 地 区 集 積 箇 所 を 考 慮 し,18 分 類 に 及 ぶ 資 源 化 策 24,155 トン 排 出 処 理 ( 順 にコンクリート 塊, 木 屑, 瓦 ) 半 壊 ~ 全 壊 は 同 左, 一 部 損 壊 は 廃 棄 物 の 運 搬 費 は 自 己 負 担, 処 分 費 のみ 全 額 村 が 負 担 住 民 への 周 知 法 広 報 かしわざき と 朝 夕 の 防 災 無 線 活 用 防 災 無 線 と 各 世 帯 の 光 ファイバー 活 用 7.20~8.24 は 各 世 帯 に 毎 週 金 曜 日 に 回 覧 板,11 月 の 調 査 で 仮 設 住 宅 集 会 所 にも 掲 示 地 震 後 の 廃 棄 物 集 積 処 理 状 況 ( 主 に 家 電 製 品,プラスチック 等 ) 集 積 所 における 環 境 対 策 地 盤 工 学 的 な 対 策 今 後 の 課 題 家 電 製 品 の 計 数 調 査 で 各 品 目 が 1 万 台 前 後, 集 積 所 内 で 順 次, 処 理 ベッドやマットレス, 自 転 車 が 野 ざらしに ごみ 飛 散 防 止 ネット 敷 設 集 積 所 内 車 両 通 行 箇 所 に 鉄 板 敷 設 斜 面 防 災 用 の 遮 水 用 ブルーシートが 不 足 集 積 所 内 水 溜 りに 藻 類 繁 茂 Trentepohlia aurea 等 で 環 境 把 握 ( 国 立 環 境 研 究 所 の 服 部 浩 之 グループ 平 成 8~10 年 度 研 究 は 個 体 Zn 含 有 量 から 土 壌 酸 性 化 評 価 ) 仮 置 場,ゴミステーションが 判 然 としないケース も 廃 アスファルト, 古 タイヤから 油 分 浸 出 大 量 のウレタン 放 置 油 田 地 区 の 集 積 所 は 山 中 で,アプローチ 困 難,8 月 の 調 査 で 被 災 住 宅 軒 先 に 散 乱 状 態 多 くの 家 電 製 品 は 長 岡 市 で 処 理 された 防 音 性 を 施 したごみ 飛 散 防 止 ネット 敷 設 油 水 分 離 槽 等, 水 処 理 に 力 点 遮 水 シート 上 に 土 を 被 覆 アスファルト 塊 由 来 油 分 のシート,ベントナイト 層 による 遮 断, 油 成 分 の 分 離 や 吸 着 8 月 初 旬 の 調 査 から, 集 積 所 で 処 理 追 い 付 かず 廃 棄 物 が 雨 ざらし, 水 溜 り 懸 濁 高 齢 者 宅 から 各 地 区 のゴミステーションへの 移 動 の 困 難 な 例 が 散 見 同 村 選 定 理 由 は, 地 震 後 に 柏 崎 市 等 への 一 時 的 な 避 難, 200 世 帯 を 凌 駕 する 仮 設 住 宅 入 居,2004 年 2007 年 の 地 震 で 2 回 の 被 災 にある. 地 震 後 の 現 地 調 査 で, 地 域 住 民 の 中 には 中 越 地 震 で 新 築 家 屋 が 被 災, 修 繕 後 に 再 び 被 害 を 受 け, 生 活 再 建 不 能 といった 話 が 聞 かれた.こうした 点 と 重 なり,2004 年 11 月 19 日 に 村 内 初 の 大 型 スーパー マーケット PLANT-5 ( 本 社 は 福 井 市, 福 井 石 川 富 山 新 潟 福 島 岐 阜 鳥 取 に 展 開 )が 開 店 するもの の,2007 年 8 月 3 日 の 取 締 役 会 の 議 で, 同 9 月 20 日 に 閉 店 する 等, 正 社 員 28 名 とパート 166 名 の 離 職 を 余 儀 な くされ, 柏 崎 公 共 職 業 安 定 所 で 雇 用 対 策 推 進 協 議 会 が 胎 動 したことを 重 く 受 け 止 めた. 他 方, 柏 崎 刈 羽 原 子 力 発 電 所 火 災 による 不 測 の 事 態 に 接 し, 住 民 行 動 を 探 ること も 危 機 管 理 上, 有 意 義 と 判 断 した. 調 査 は, 刈 羽 村 の 源 土 運 動 広 場 にある 200 棟 の 仮 設 住 宅 を 選 定 し, 親 戚 宅 や 自 宅 を 中 心 に 生 活 する 世 帯 を 除 い た 150 軒 に 質 問 紙 を 郵 送, 返 送 してもらった. 回 収 数 は 63, 多 肢 選 択 で 回 答. 質 問 内 容 は 廃 棄 物 処 理 を 中 心 に, 地 震 時 に 困 った 点 や 健 康 状 態 等 である.フェースシート は 無 回 答 が 見 られたが, 圧 倒 的 に 男 性 で,4 分 の 3 が 50 代 以 上 と 偏 った.ただ, 家 族 の 中 核 となる 層 の 生 活 再 建 の 軌 跡 が 感 じ 取 れることから, 分 析 した. 先 ず, 地 震 で 困 った 点 は 後 片 付 けと 断 水 が 最 も 多 く, 次 いでガス 停 止,3 割 強 が 瓦 やブロック 塀, 家 具, 家 電 の 処 理 に 追 われ,2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 でも 少 数 ながら, 什 器 被 害 で 廃 棄 物 が 発 生 した. 両 地 震 とも 約 4 割 の 回 答 者 が 家 族 で 集 積 所 に 運 搬 し,ヒアリングより 日 頃 から 協 力 体 制 の 確 認 を 重 ねていた.また, 前 回 の 地 震 で 1 割 が 行 政 に 処 分 を 依 頼 した(Figure 5~Figure 7). 度 重 なる 災 害 に 見 舞 われ,ボランティアへの 期 待 感 の 高 まりとともに, 半 数 がリサイクル 推 進 処 分 場 整 備 を 挙 げている.ただ, 不 法 投 棄 の 話 を 聞 いたり 野 焼 きを 見 た 人 が 少 ないながら 存 在 することは 注 目 された.また, 大 気 水 土 壌 環 境 への 影 響 に 危 機 感 を 募 らせる 人 も 多 く, 阿 賀 野 川 流 域 の 第 二 水 俣 病 の 伝 聞 が 小 学 校 から 行 わ れている 点 は 堅 持 させたい(Figure 8~Figure 10). 0 10 20 30 40 50 60 70 80 ガス 停 止 停 電 断 水 飲 料 食 料 不 足 後 片 付 け 大 量 の 震 災 廃 棄 物 体 調 不 良 避 難 所 でのプライバシー 特 になし Figure 5 2007 年 中 越 沖 地 震 で 困 った 点 ( 複 数 回 答,%) 40
2007 年 2004 年 0 10 20 30 40 50 0 20 40 60 80 100 大 気 への 影 響 瓦 やブロック 塀 家 具 家 電 製 品 車 水 への 影 響 土 壌 への 影 響 不 法 投 棄 増 加 手 付 かず 特 に 被 害 なし Figure 6 地 震 時 に 実 際 に 処 分 した 品 目 ( 複 数 回 答,%) 治 安 悪 化 Figure 10 地 震 後 の 環 境 問 題 の 懸 案 事 項 ( 複 数 回 答,%) 2007 年 2004 年 0 10 20 30 40 50 60 70 家 族 で 集 積 所 へ 運 搬 行 政 に 依 頼 遠 く の 子 ども の 支 援 ボラン ティアと 処 理 特 に 被 害 なし Figure 7 地 震 時 の 廃 棄 物 処 理 方 法 ( 複 数 回 答,%) 0 10 20 30 40 50 60 70 大 気 水 への 影 響 リサイクルや 処 分 場 行 政 の 迅 速 な 対 応 ボラン ティアへ 感 謝 不 法 投 棄 の 噂 よく 分 か らない Figure 8 大 量 の 廃 棄 物 に 感 じたこと( 複 数 回 答,%) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 手 付 かず ボラン ティアに 期 待 野 焼 き 見 た 不 法 投 棄 の 話 を 聞 く Figure 9 廃 棄 物 処 理 で 体 験 したこと( 複 数 回 答,%) 4. 災 害 時 の 廃 棄 物 対 策 の 課 題 4.1. 廃 棄 物 処 理 における 自 治 体 間 の 連 携 年 間 処 理 量 が 倍 増 する 激 甚 災 害 時 に, 復 興 の 円 滑 化 に 向 けて 神 戸 の 事 例 が 参 考 となる. 震 災 から 同 年 8 月 集 計 の 全 壊 半 壊, 全 焼 半 焼 家 屋 棟 数 の 合 計 約 9 万 4 千 棟 から, 撤 去 を 要 する 災 害 廃 棄 物 量 は 神 戸 市 全 域 で 約 1 千 4 百 万 m 3 (1995 年 4 月 推 計 )に 達 した. 平 成 7 年 度 中 の 解 体 撤 去, 及 び 平 成 8 年 度 中 の 処 理 処 分 完 了 のため, 仮 置 場 への 搬 入 と 分 別, 焼 却 施 設 整 備 を 進 めた 結 果, 平 成 10 年 度 には 通 常 の 廃 棄 物 処 理 業 務 に 戻 った 16).これはボ ランティアの 協 力 と 住 民 の 分 別 回 収 による. 平 成 15 年 に 徳 島 県 勝 浦 郡 上 勝 町 ( 県 庁 の 南 西 方 向 約 40km に 位 置 する 農 業 地 域 )で ゼロ ウェイスト 宣 言 を 打 ち 出 し, 家 庭 ごみを 含 む 廃 棄 物 分 別 収 集 で 34 分 類 に 細 分 化 し,リサイクル 率 は 80%( 環 境 省 まとめの 2004 年 度 リサイクル 率 で, 全 国 平 均 17.6%, 新 潟 県 18.4%, 長 野 県 23.6%, 富 山 県 18.9%, 石 川 県 15.2%)に 達 して いる.この 宣 言 では 災 害 時 にも 相 互 協 力 で 排 出 を 抑 え, 2020 年 までに 埋 立 処 分 ゼロを 目 標 に 掲 げている. 東 京 都 も 自 治 体 相 互 の 連 携 を 軸 として, 災 害 時 の 廃 棄 物 対 策 を 定 めるに 至 った. 都 が 平 成 17 年 2 月 25 日 の 首 都 直 下 地 震 対 策 に 係 る 被 害 想 定 結 果 について の 地 震 シ ナリオで,4,000 万 トン( 中 央 防 災 会 議, 首 都 直 下 地 震 の 第 13 回 会 議 資 料 では 8,300~9,600 万 トン)の 瓦 礫 発 生 を 見 込 んでいる. 危 機 管 理 面 から 2007 年 中 越 沖 地 震 後, 特 別 区 清 掃 リサイクル 主 管 課 長 会 を 中 心 に, 各 区 派 遣 の 清 掃 車 両 と 人 員 を 調 整 し, 粗 大 ごみや 可 燃 ごみ 処 理 を 8 月 27 日 ~9 月 8 日 に 支 援 した. 各 区 から 延 べ 清 掃 車 等 26 台 ( 小 型 プレス 車 15 台 新 大 型 特 殊 車 4 台 連 絡 車 7 台 )と 職 員 72 名 を,( 社 ) 東 京 環 境 保 全 協 会 から, 清 掃 車 ( 新 大 型 特 殊 車 )1 台 を 派 遣 している. 家 庭 排 出 の 可 燃 ごみを 集 積 所 から 収 集, 仮 置 場 まで 運 搬 し, 仮 置 場 か ら 県 内 の 他 自 治 体 の 清 掃 工 場 に 運 搬 する 作 業 に 従 事 した. 国 分 寺 市 と 多 摩 市 は 数 台 の 車 両 と 十 数 人 の 職 員 を, 東 京 廃 棄 物 事 業 協 同 組 合 も 延 べ 89 台 108 人 を 派 遣 した 17). 41
4.2. 災 害 廃 棄 物 を 考 慮 した 環 境 関 連 技 術 の 動 向 今 回 の 地 震 後, 新 潟 県 は 柏 崎 市 内 で 2007 年 7 月 18 日 に 鯖 石 川 と 鵜 川 で 水 質 調 査 を 実 施 し, 環 境 影 響 は 見 られ なかったことを 確 認 している. 但 し, 各 種 廃 棄 物 の 半 年 にわたる 屋 外 保 管 が 予 見 され 18), 筆 者 らは 2000 年 以 降, 新 潟 県 の 海 岸 部 で 漂 着 物 とその 焼 却 物 の 多 さに 接 し, 土 壌 環 境 調 査 を 実 施 してきた( 環 境 庁 告 示 46 号 試 験 ).2007 年 中 越 沖 地 震 後 のプラスチック 類 の 仮 置 き 同 様, 屋 外 曝 露 ( 出 雲 崎 町 や 柏 崎 市 等 の 海 岸 で 毎 年 12 月 ~4 月 は 手 付 かず)に 着 目 し, 地 下 浸 出 の 可 能 性 を 視 野 にモニタリン グしている.2003 年 に 実 測 した 新 潟 県 内 の 海 岸 砂 は, 溶 出 試 験 法 による 重 金 属 濃 度 で,Pb0.03~0.1,Cr0.1~0.6, Cd0.04~0.1ppm,Cr を 除 き 環 境 基 準 値 以 下 だった.ただ, 焼 却 灰 は 有 害 物 質 が 濃 縮 するため, 適 正 処 理 の 一 つとし て 新 たな 試 みを 行 った. 具 体 的 には 漂 着 した 魚 縄 を 焼 却 せずに 細 かく 裁 断 し,それをセメント 混 合 するものであ る. 結 果 的 には 盛 土 材 としての 実 用 性 が 示 唆 された 19). その 意 味 では 筆 者 らが 取 り 組 む 研 究 を 契 機 に, 建 設 廃 材 の 有 効 利 用 へつながることが 期 待 される. 一 方, 地 震 後 には 柏 崎 市 宝 町 の 集 積 所 でブラウン 管 TV 群 20) が 目 立 ち,かつて 絶 縁 油 として 使 用 のポリ 塩 化 ビフ ェニールが 懸 念 された(Photograph 11).また, 廃 蛍 光 灯 も 見 られたことに 関 連 し,1999 年 に 東 京 や 青 森 の 文 教 施 設 で PCB 使 用 のコンデンサの 老 朽 化 で 爆 発 した 事 例 等 が 想 起 される 21).こうした 諸 問 題 が 浮 上 することで, 技 術 開 発 の 起 爆 剤 となる 側 面 もある.2007 年 8 月 には, 国 内 初 の PCB 汚 染 土 壌 浄 化 施 設 ( 年 間 処 理 能 1700 トン) が 稼 動 し, 処 理 の 流 れは 土 壌 破 砕 後 に 筒 内 で 800 前 後 に 加 熱 し, 固 体 燃 焼 で 生 成 された 気 化 ガスをさらに 加 熱 後, 酸 素 吹 き 込 み 燃 焼 により 1,000 以 上 に 熱 し,この 工 程 で 得 られた 残 渣 をフィルター 通 過 させることで PCB を 基 準 値 以 下 に 抑 制, 処 理 費 を 低 減 出 来 る 22). 但 し, 分 別 回 収 が 第 一 義 となり, 情 報 提 供 の 重 要 性 に 関 連 して, 排 出 総 量 原 単 位 (g/ 人 日 )の 20~40% 削 減 効 果 23) が 認 められ(2000 年 ~2001 年, 千 葉 市 250 人 モニター 調 査 ), 行 政 やマスコミを 通 じた 啓 発 の 重 要 性 が 示 された.また, 横 浜 市 でも 分 別 を 徹 底 させ( 食 物 残 渣 等 の 生 ごみや 可 燃 物, 蛍 光 灯 といった 不 燃 物, 缶 やペッ トボトル, 小 さな 金 属 類, 乾 電 池,スプレー 缶,プラス チック 製 品, 古 布 や 古 紙, 粗 大 ごみ), 年 間 ベースで 経 費 が 億 単 位,2001 年 と 2005 年 の 比 較 で 3 割 の 減 量 効 果 が 各 新 聞 の 県 版 で 報 道 され, 環 境 負 荷 低 減 に 向 けた 意 識 面 で 好 循 環 となっている. 本 研 究 の 目 的 の 一 つとして, 環 境 防 災 に 対 する 各 人 の 関 心 を 励 起 させることにある. 5. おわりに 中 越 沖 地 震 後, 柏 崎 市 と 刈 羽 村 では 2~3 ヶ 月 間 は 災 害 廃 棄 物 発 生 量 がピークを 推 移 し,2008 年 2 月 時 点 で 家 財 道 具 等 の 処 分 はほぼ 終 了 し, 建 物 解 体 に 伴 う 廃 棄 物 処 理 に 移 行 した.こうした 災 害 時 の 取 り 組 みを 詳 細 に 調 査 し た 結 果, 以 下 の 点 が 明 らかとなった. 1 廃 棄 物 処 理 量 が 倍 増 し,その 大 半 が 産 業 廃 棄 物 扱 い の 建 築 廃 材 であった. 地 震 後 の 片 付 けで, 統 括 指 揮 権 を 持 つ 各 被 災 自 治 体 は 処 理 に 追 われ, 解 体 運 搬 処 理 に 際 し, 他 の 自 治 体 や 民 間 業 者 への 要 請 で 乗 り 切 った. 2 中 越 沖 地 震 ではクリーンセンターかしわざきが 被 災 したため, 収 集 体 制 の 維 持 が 困 難 となり,2007 年 11 月 まで 可 燃 ごみを 他 自 治 体 へ 搬 出 した. 特 に 刈 羽 村 ではライフライン 途 絶 で, 紙 コップ, 紙 皿, 割 り 箸,ペットボトルが 急 増 した. 柏 崎 市 の 集 積 所 内 は 地 震 から 2 ヶ 月 間, 同 村 の 廃 棄 物 とともに, 建 物 廃 棄 物 も 搬 入 されたが, 長 岡 市 の 施 設 利 用 により, 急 場 を 凌 いだ. 3 刈 羽 村 住 民 アンケートで,2004 年 の 地 震 後 は 軽 微 な 建 物 被 害 で 済 んだが,2007 年 中 越 沖 地 震 ではコ ンクリート 塊 や 廃 木 材 処 理 が 膨 大 となった. 新 潟 県 柏 崎 市 同 刈 羽 村 とも, 災 害 廃 棄 物 対 策 計 画 が 胎 動 し, 飛 散 防 止 ネット 敷 設 等, 集 積 所 の 環 境 対 策 は 評 価 され, 質 問 にある 環 境 影 響 の 懸 念 に 配 慮 したもの であった.これは 自 治 体, 処 理 業 者 双 方 で 前 回 の 2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 での 経 験 が 反 映 され, 危 機 管 理 意 識 が 醸 成 されたことがヒアリングより 明 ら かとなった. 4 回 答 傾 向 として 廃 棄 物 問 題 に 関 心 があり, 処 理 で 行 政 やボランティアへ 期 待 する 一 方 で, 地 震 後 の 混 乱 期 に 不 法 投 棄 の 噂 や 野 焼 きに 気 付 く 例 もあった.さ らに,2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 時 に 廃 棄 物 処 分 に 奔 走 した 人 が 1 割 いることが 判 明 した. 自 らの 健 康 に 不 安 を 抱 えながら, 半 数 弱 の 回 答 者 が 土 壌 環 境 を 懸 念 していた. 5 被 災 自 治 体 と 支 援 する 側 も, 分 別 回 収 を 前 提 とした 迅 速 な 廃 棄 物 処 理 を 第 一 義 とする 一 方 で, 環 境 モニ タリングを 積 極 的 に 進 める 趨 勢 で, 企 業 も 環 境 安 全 性 にシフトした 技 術 開 発 を 活 発 化 させている. 現 状 ではリサイクルが 容 易 な 建 材 什 器 の 耐 震 化 が 期 待 される. 一 連 の 調 査 から, 住 民 協 力 の 分 別 でごみ 減 量 化 に 直 結 するものの, 仮 置 場 での 屋 外 暴 露 を 鑑 み, 筆 者 らは 海 岸 部 の 重 金 属 汚 染 を 例 に, 環 境 影 響 の 可 能 性 に 言 及 した. 42
参 考 文 献 1) John Langone(1989):A Stinking Mess,TIME.pp.32 34. 1989.1.2. 2) 福 林 良 典, 木 村 亮 (2007):パプアニューギニア 農 村 部 で の 土 のう による 住 民 参 加 型 未 舗 装 道 路 整 備 手 法 の 適 用, 地 盤 工 学 ジャーナル.Vol.2.No.3.pp.209 221. 3) ( 財 ) 阪 神 淡 路 大 震 災 記 念 協 会 編 (2005): 阪 神 淡 路 大 震 災 10 年 - 翔 べフェニックス 創 造 的 復 興 への 群 像, 兵 庫 ジャーナル 社. 全 780 頁. 4) 木 村 智 博, 神 田 順, 三 橋 博 巳, 青 山 清 道 (2003): 降 積 雪 量 の 変 動 に 基 づく 事 故 の 相 関 分 析 と 今 後 の 防 災 対 策, JCOSSAR 03 論 文 集. 日 本 学 術 会 議.pp.213 218. 5) H. MURAKAMI et al(2005):the Use of Microporous Siliceous Shale and Zeolite for High-Performance Radiation Shielding Materials,Proc. of ICMR-AKITA. 6) 木 村 智 博, 三 橋 博 巳, 青 山 清 道, 猪 爪 高 見 (2006): 避 難 等 の 状 況, 2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 被 害 調 査 報 告 書, 日 本 建 築 学 会.pp.184 198. 7) 村 上 正 浩 (2006): 被 災 者 支 援 とボランティア 活 動, 2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 被 害 調 査 報 告 書, 日 本 建 築 学 会.pp.199 203. 8) 木 村 智 博, 三 橋 博 巳, 川 原 潮 子, 猪 爪 高 見, 青 山 清 道, 福 田 誠, 坂 井 優 美, 酒 井 由 美 (2006):アンケート 調 査 に よる 2004 新 潟 県 中 越 地 震 後 の 寒 冷 下 での 健 康 問 題, 建 築 学 会 技 術 報 告 集. 第 24 号.pp.451 456. 9) 福 田 誠, 新 関 敦 生, 木 村 智 博, 青 山 清 道, 山 本 仁 志 ほか (2007): 雪 崩 予 防 柵 の 被 害, 地 盤 工 学 会 2004 年 新 潟 県 中 越 地 震 災 害 調 査 委 員 会 報 告 書,DVD-ROM 版 は pp.490 528. 冊 子 版 pp.485 518. 10) 福 田 誠, 木 村 智 博, 岡 田 勝 也, 田 口 洋 治 (2008): 新 潟 県 での 災 害 廃 棄 物 処 理 の 現 状 と 課 題 地 震 後 の 環 境 対 策 を 考 える, 土 木 学 会 誌.Vol.93.No.10.pp.34 37. 11) 嘉 門 雅 史, 乾 徹 (2002): 管 理 型 廃 棄 物 処 分 場 の 地 盤 工 学 的 問 題 と 対 策, 土 木 学 会 論 文 集.No.701/Ⅲ 58.pp.1 15. 12) 日 本 応 用 地 質 学 会 災 害 廃 棄 物 の 防 災 と 環 境 に 関 する 研 究 小 委 員 会 編 (2007):2007 年 新 潟 県 中 越 沖 地 震 におけ る 災 害 廃 棄 物 の 現 地 調 査 報 告, 全 12 頁.2007.12.7. 13) K. AOYAMA,K. KATOH,T. MURANO,T. PACES and T. TAGUCHI et al(1997):proc. of International Conference of Acid Snow and Rain,TACT. 14) 日 本 集 団 災 害 医 学 会 を 筆 頭 に, 日 本 救 急 医 学 会, 日 本 公 衆 衛 生 学 会, 日 本 旅 行 医 学 会, 宮 野 道 雄 大 阪 市 立 大 学 生 活 科 学 部 教 授 らが 関 係 する 日 本 生 理 人 類 学 会 等 の 年 次 大 会 や 学 術 誌 で 避 難 生 活 に 係 るアンケート 調 査 結 果 が 掲 載 され, 市 販 ではへるす 出 版 発 行 の 月 刊 誌 救 急 医 学,プ ライマリケア 医 が 購 読 する 南 山 堂 の 月 刊 誌 治 療,コメ ディカルを 含 む 幅 広 い 読 者 層 に 支 持 される 医 歯 薬 出 版 の 週 刊 医 学 のあゆみ において 随 時, 災 害 医 療 特 集 が 組 まれている. 15) 高 尾 堅 司 (2006): 災 害 廃 棄 物 の 実 態 調 査 新 潟 県 三 条 市 福 井 県 福 井 市 兵 庫 県 豊 岡 市 を 事 例 として, 防 災 科 学 技 術 研 究 所 主 要 災 害 調 査. 第 40 号.pp.129 134. 16) 藤 原 輝 夫 (1995): 神 戸 市 の 災 害 廃 棄 物 対 策, 廃 棄 物 学 会 誌.Vol.6.No.5.pp.380 393. 17) 東 京 都 環 境 局, 東 京 都 総 務 局 編 (2007): 新 潟 中 越 沖 地 震 に 伴 う 東 京 都 の 支 援 について 特 別 区 による 廃 棄 物 処 理 の 支 援 に つ い て ( 第 20 報 ), http://www.metro.tokyo.jp/inet/oshirase/2007/08/20h8o2 00.htm に 掲 載. 18) 八 村 智 明, 宮 原 哲 也, 大 野 博 之 (2007): 災 害 廃 棄 物 によ る 地 下 水 土 壌 汚 染 の 可 能 性, 応 用 地 質.Vol.47.No.6. pp.360 368. 19) 福 田 誠, 木 村 智 博 (2008): 海 岸 漂 着 ゴミの 地 盤 工 学 的 対 策, 地 盤 工 学 会 誌.Vol.56.No.8.pp.32 33. 20) 福 田 誠, 木 村 智 博 (2009): 震 災 廃 棄 物, 地 盤 工 学 会 2007 年 新 潟 県 中 越 沖 地 震 災 害 調 査 委 員 会 報 告 書, 全 9 頁. 21) 小 島 圭 二, 田 村 昌 三, 島 田 荘 平, 石 井 英 二, 田 中 勝, 登 坂 博 行, 中 杉 修 身, 山 川 稔 編 (2000): 廃 棄 物 処 分 環 境 安 全 用 語 辞 典, 丸 善.pp.329 330. 22) 中 島 募 (2007): 土 壌 汚 染 浄 化 の 最 新 技 術 水 蒸 気 の 力 で 汚 染 を 浄 化, 日 経 ビジネス.2007.9.17 号.pp.112 114. 23) 神 﨑 広 史, 立 木 英 機 (2004): 情 報 提 供 を 伴 う 働 き 掛 けが 家 庭 ごみの 排 出 に 及 ぼす 影 響 について, 廃 棄 物 学 会 論 文 誌.Vol.15.No.2.pp.77 85. 謝 辞 本 研 究 でヒアリング 等 の 協 力 を 賜 った 柏 崎 市 市 民 生 活 部 クリーン 推 進 課, 刈 羽 村 住 民 福 祉 課, 新 潟 県 県 民 生 活 環 境 部 廃 棄 物 対 策 課, 長 岡 市 環 境 部 環 境 施 設 課, 中 越 環 境 開 発 ( 株 )や 各 施 設 の 担 当 者 に 厚 くお 礼 を 申 し 上 げる とともに,アンケートに 回 答 された 方 を 含 む 被 災 された 方 達 の 一 日 も 早 い 復 興 を 祈 念 致 します. 最 後 に, 本 研 究 に 際 するアンケート 集 計 や 各 種 資 料 整 理, 画 像 トリミン グ 処 理 等 でお 世 話 になった JR グループに 所 属 する 西 塚 雅 幸 氏 ( 研 究 当 時 は 国 士 舘 大 学 理 工 学 部 学 部 生 )に,こ の 場 を 借 りて 謝 意 を 表 するものと 致 します. 43
EVALUATION OF DISPOSED DISASTER WASTE IN CASE OF THE NIIGATAKEN CHUETSU-OKI EARTHQUAKE IN 2007 Yumi SAKAI 1, Tomohiro KIMURA 2, Makoto FUKUDA 3, Osamu HASHIMOTO 4, Katsuya OKADA 5, Mari ITOH 6, Chouko KAWAHARA 7, and Motoi IWANAMI 8 1 Former Undergraduate Student, Niigata University 2 Dr. of Environmental Studies, Former Graduate Student, University of Tokyo (E-mail:mucunzhibo@yahoo.co.jp) 3 Dr. of Engineering, Emeritus Prof., Nagaoka National College of Technology (E-mail: fukudam@clock.ocn.ne.jp) 4 Chief Director, Tokyo Metropolitan Government 5 Dr. of Engineering, Prof., Kokushikan University 6 Reporter, The Asahi Shimbun 7 Reporter, The Asahi Shimbun 8 Dr. of Engineering, Associate Prof., Nagaoka National College of Technology (E-mail: miwanami@nagaoka-ct.ac.jp) Conducted study on disposed disaster wastes were scrutinized and achieved by The Japan Society of Waste Management Experts mainly, and geotechnical aspect of Japan Society of Engineering Geology or The Clay Science Society of Japan after 1995 South Hyogo Prefecture Earthquake from the environmental impacts as bloated garbage. In this paper, the authors indicated desirable risk management, as determined by the regional features considering with waste management in case of The Niigataken Chuetsu-oki Earthquake in 2007 based on reconnaissance investigation and questionnaire. Furthermore, we analyzed recyclable geotechnical material with our experiment, as reference to Tokyo Metropolitan Government. Sequential surveys resulted in reduction of waste amount due to the separated garbage collection system by residents in persistent, ultimately, ban for enormity dumping under cooperation between family or citizen, therefore environmental mitigation as to vulnerability from helm of wallow mixtured waste through field survey and enquête. In addtion to that, we mentioned heavy metals in huge wastes based on our monitoring results of coastal area in Niigata Prefecture, and overviewed geotechnical remedy. Key Words: The Niigataken Chuetsu-oki Earthquake in 2007, Disposed Disaster Waste, Questionnaire Survey, Environmental Impact Assessment, Waste Management 44