65 東 京 海 上 日 動 リスクコンサルティング( 株 ) 所 属 リスクコンサルティング 室 情 報 グループ グループリーダー 指 田 朝 久 主 任 研 究 員 本 多 尚 登 企 業 のホームページにおける 新 潟 県 中 越 地 震 の 情 報 開 示 分 析 1. 要 旨 近 年 地 震 や 台 風 集 中 豪 雨 などの 自 然 災 害 に 遭 遇 した 場 合 に 企 業 がどのような 対 応 を 行 っているかについて 企 業 のステークホルダーである 株 主 取 引 先 従 業 員 市 民 自 治 体 に 情 報 を 発 信 し 情 報 を 共 有 するというリスクコミュニケーションの 必 要 性 が 高 まっ ている 本 論 分 では 2004 年 10 月 23 日 に 発 生 した 新 潟 県 中 越 地 震 の 際 に 企 業 がホーム ページ 上 でどのような 情 報 を 発 信 開 示 したのかについて 分 析 を 行 った 新 潟 県 に 本 店 ま たは 主 要 工 場 や 支 店 がある 上 場 企 業 45 社 を 対 象 に 調 査 を 実 施 した 結 果 2005 年 3 月 末 時 点 で 物 理 的 な 被 害 を 受 けた 企 業 のほぼすべてが 自 社 のホームページに 被 害 状 況 の 開 示 お よび 財 務 への 影 響 を 開 示 していたことが 明 らかになった 一 方 被 害 が 無 いことを 積 極 的 に 開 示 した 企 業 は 少 なく 特 需 による 決 算 の 上 方 修 正 や 義 捐 金 など 地 域 貢 献 についての 情 報 開 示 が 中 心 であった ステークホルダーへの 被 害 状 況 の 開 示 の 観 点 では 一 定 の 対 応 が なされていると 評 価 できる 2. 新 潟 県 中 越 地 震 の 概 要 (1) 地 震 の 概 要 2004 年 10 月 23 日 17 時 56 分 頃 新 潟 県 中 越 地 方 においてマグニチュード 6.8 最 大 震 度 7を 観 測 する 地 震 が 発 生 した この 地 震 の 特 徴 は 激 しい 余 震 活 動 で 2 時 間 足 らずの 間 に 震 度 6 弱 以 上 の 余 震 が3 回 発 生 した 10 月 23 日 以 降 も 震 度 6 弱 が1 度 震 度 5 弱 以 上 が 12 回 観 測 されている これらの 地 震 による 被 害 は 死 者 46 人 (3 月 18 日 現 在 消 防 庁 調 べ) 重 傷 者 627 人 軽 症 者 4,174 人 を 数 え 全 壊 家 屋 2,827 棟 半 壊 12,746 棟 一 部 損 壊 101,509 棟 建 物 火 災 9 棟 となった 今 回 の 地 震 では 地 すべり 131 箇 所 ガケ 崩 れ 115 箇 所 土 石 流 21 箇 所 など 地 盤 災 害 が 数 多 く 発 生 した 高 速 道 路 は 関 越 道 が 11 月 5 日 北 陸 道 が 10 月 26 日 まで 閉 鎖 され 国 道 県 道 224 箇 所 市 町 村 道 2,200 箇 所 が 一 時 通 行 止 めとなった 鉄 道 について は 新 幹 線 の 脱 線 をはじめ8ヶ 所 で 被 害 が 発 生 し 運 転 再 開 には 最 長 で 12 月 28 日 まで を 要 した また ライフラインでは 延 べ 308,860 戸 で 停 電 が 発 生 し 56,000 戸 でガスの 供 給 停 止 129,750 戸 で 断 水 が 生 じた 1
(2) 企 業 への 影 響 度 この 地 震 で 企 業 も 多 くの 被 害 を 受 けたが 平 成 17 年 (2005 年 )3 月 8 日 新 潟 県 産 業 労 働 部 発 表 の 操 業 再 開 状 況 などの 情 報 では 地 震 発 生 約 10 日 後 の 11 月 4 日 には 製 造 業 の 89%が 操 業 を 再 開 し 大 規 模 小 売 店 舗 の 97%が 営 業 を 再 開 している また 操 業 率 100%の 製 造 業 は 11 月 4 日 時 点 では 48%にとどまっていたが 1 月 13 日 には 97%に まで 回 復 した 商 店 街 では 最 大 震 度 7を 記 録 した 川 口 町 が 壊 滅 的 な 被 害 を 受 け 11 月 4 日 時 点 で 100% 約 3ヶ 月 経 過 した1 月 14 日 時 点 でもなお 18%が 営 業 を 再 開 できない 状 況 であっ た 3. 企 業 の 災 害 後 のリスクコミュニケーションの 必 要 性 (1) 事 業 継 続 の 要 求 事 項 企 業 は 従 来 から 主 に 人 命 の 安 全 確 保 火 災 発 生 の 防 止 などの 災 害 対 策 を 進 めてきた ところがここにきて 災 害 対 策 を 経 営 の 視 点 から 捉 える 事 業 継 続 の 考 え 方 が 求 められるよ うになってきている 事 業 継 続 (BC; Business Continuity)とは 特 定 された 重 要 業 務 が 災 害 時 においても 中 断 しないこと また 万 一 事 業 活 動 が 中 断 した 場 合 には 目 標 復 旧 時 間 内 に 重 要 な 機 能 を 再 開 させ 製 品 サービスの 供 給 責 任 を 果 たすとともに 業 務 中 断 に 伴 う 顧 客 取 引 の 競 合 他 社 への 流 出 マーケットシェアの 低 下 企 業 評 価 の 低 下 な どから 企 業 を 守 る 総 合 的 な 経 営 戦 略 である 一 般 に 事 業 継 続 計 画 (BCP;Business Continuity Plan)と 呼 ばれることが 多 いが ここでいう 計 画 とは 単 なる 計 画 書 のこと ではなく マネジメント 全 般 を 指 す 意 味 で 用 いられている 特 に マネジメントや 管 理 態 勢 を 強 調 する 場 合 は 事 業 継 続 管 理 (BCM; Business Continuity Management)とする 場 合 がある この 事 業 継 続 の 考 え 方 は 従 来 の 人 命 の 安 全 確 保 や 火 災 などの 二 次 災 害 発 生 の 防 止 な どを 踏 まえた 上 で 企 業 全 体 が 災 害 に 対 して 災 害 後 の 経 営 の 対 応 力 をもつための 総 合 的 な 概 念 である 内 閣 府 防 災 担 当 では 平 成 17 年 (2005 年 )8 月 1 日 に 事 業 継 続 ガイドラ イン( 第 一 版 ) 1) を 発 表 したが この 事 業 継 続 ガイドラインでは 事 業 継 続 に 必 要 な5つ のポイントを 次 のとおり 定 めている 1 指 揮 命 令 系 統 の 明 確 化 2 本 社 等 重 要 拠 点 の 機 能 の 確 保 3 対 外 的 な 情 報 発 信 および 情 報 共 有 4 情 報 システムのバックアップ 5 製 品 サービスの 供 給 関 係 この 中 で 上 記 3の 対 外 的 な 情 報 発 信 および 情 報 共 有 がリスクコミュニケーションであ る 企 業 は 災 害 後 の 状 況 について 株 主 投 資 家 取 引 先 従 業 員 市 民 自 治 体 とい ったステークホルダーと 素 早 く 情 報 を 共 有 することを 求 められている 4. 新 潟 県 中 越 地 震 と 企 業 のホームページによる 情 報 開 示 (1) 調 査 の 目 的 事 業 継 続 の 考 え 方 で 求 められる 災 害 対 策 や 災 害 直 後 の 企 業 の 情 報 開 示 につき 新 潟 県 中 越 地 震 を 例 に 企 業 の 対 応 状 況 の 実 態 について 調 査 した 2
(2) 調 査 対 象 および 調 査 方 法 新 潟 県 内 に 本 社 または 主 力 拠 点 がある 上 場 公 開 企 業 ( 東 証 1 部 2 部 大 証 1 部 2 部 ジャスダック マザーズ) 合 計 45 社 2) を 選 定 し ホームページ 上 でどのように 災 害 後 の 自 社 の 活 動 を 開 示 したかについて 調 査 した また 新 聞 および 専 門 誌 の 記 事 を 参 考 に 被 害 の 有 無 を 判 断 した (3) 調 査 項 目 調 査 項 目 は 以 下 のとおりとした 1 会 社 情 報 ;URL, 本 社 所 在 地 売 上 高 (2004 年 3 月 期 ; 単 独 連 結 ) 上 場 公 開 市 場 名 従 業 員 数 ( 単 独 連 結 ) 業 種 分 類 2 新 潟 県 中 越 地 震 での 被 害 状 況 ;ホームページの 情 報 から 人 的 被 害 物 的 被 害 の 情 報 3 新 潟 県 中 越 地 震 に 関 する 情 報 発 信 ; 専 用 ページをホームページ 上 で 開 示 しているか プレスへのリリースなどマスコミに 対 し 情 報 を 開 示 しているか 財 務 情 報 ( 株 主 投 資 家 向 けに 決 算 への 影 響 )を 開 示 しているか 被 災 企 業 や 被 災 者 を 対 象 としたサービス キャンペーン 情 報 等 を 提 供 している か( 顧 客 向 け 情 報 発 信 ) 物 的 支 援 ( 救 援 物 資 義 捐 金 ) 人 的 支 援 ( 救 助 活 動 )の 情 報 を 提 供 している か( 地 域 向 け 情 報 発 信 ) 3) 4 その 他 新 聞 専 門 誌 の 被 災 情 報 5. 調 査 対 象 企 業 のプロフィル (1) 本 社 所 在 地 の 分 布 新 潟 市 16 社 長 岡 市 8 社 東 京 都 5 社 三 条 市 3 社 柏 崎 市 上 越 市 西 蒲 原 郡 2 社 仙 台 市 妙 高 市 金 沢 市 佐 渡 市 新 発 田 市 燕 市 南 魚 沼 郡 1 社 ; 合 計 45 社 (2) 売 上 高 ( 単 独 )の 分 布 10 億 円 以 上 30 億 円 未 満 3 社 30 億 円 以 上 100 億 円 未 満 10 社 100 億 円 以 上 300 億 円 未 満 15 社 300 億 円 以 上 1000 億 円 未 満 13 社 1000 億 円 以 上 4 社 合 計 45 社 (3) 上 場 公 開 市 場 東 証 1 部 14 社 東 証 2 部 20 社 大 証 1 部 2 社 * 大 証 2 部 2 社 * ジャスダ ック 10 社 マザーズ 1 社 延 べ 49 社 (*いずれも 東 証 との 重 複 上 場 ) (4) 業 種 小 売 業 7 社 食 料 品 6 社 建 設 4 社 電 気 機 器 銀 行 サービス 各 3 社 電 気 ガス 鉄 鋼 機 械 各 2 社 パルプ 金 属 水 産 農 林 化 学 金 属 製 品 陸 運 海 運 倉 庫 運 輸 情 報 通 信 各 1 社 その 他 3 社 合 計 45 社 3
6. 調 査 結 果 情 報 開 示 状 況 は 以 下 のとおり 調 査 項 目 有 無 不 明 その 他 人 的 被 害 情 報 0 9 社 35 社 少 ない:1 社 物 的 被 害 情 報 12 社 7 社 21 社 軽 微 一 部 被 害 : 5 社 専 用 ページの 設 置 7 社 38 社 プレスリリース 等 の 情 報 発 信 24 社 31 社 財 務 情 報 の 開 示 ( 含 決 算 短 信 等 ) * 27 社 28 社 顧 客 向 け 情 報 開 示 ( 顧 客 向 案 内 等 ) 4 社 41 社 地 域 向 け 情 報 発 信 ( 義 捐 金 関 連 等 ) 6 社 39 社 *3 月 末 までを 対 象 7. 考 察 (1) 被 害 状 況 と 企 業 の 情 報 発 信 本 調 査 対 象 45 社 のうちホームページ 上 に 被 害 の 有 無 や 影 響 について 何 も 記 述 してい ない 企 業 は 14 社 であった この 14 社 が 本 当 に 被 害 がないのかどうかを 確 認 することは 困 難 であるが このうち2 社 は 新 聞 などの 取 材 が 入 っており うち1 社 は 被 害 なし 1 社 は 店 舗 の 一 時 閉 鎖 があったとの 報 道 がなされている この 被 害 報 道 がなされている1 社 は 2005 年 1 月 に 発 表 した 四 半 期 短 信 で 地 震 や 水 害 などについて 触 れているが 被 害 の 有 無 および 財 務 への 影 響 には 言 及 していない 次 に 人 的 被 害 および 物 的 被 害 が 無 かった 企 業 で 被 害 なし とホームページ 上 で 公 開 した 企 業 は8 社 ある このうち3 社 は 交 通 量 の 減 少 などの 間 接 被 害 で 業 績 に 影 響 があ ると 財 務 状 況 の 説 明 を 行 った 別 の3 社 は 被 害 なし に 加 えて 義 捐 金 の 金 額 や 商 品 の 提 供 物 資 支 援 などの 地 域 貢 献 情 報 を 提 供 した 残 りの2 社 は 被 害 なし のみの 積 極 的 情 報 開 示 である 被 害 があった 企 業 はニュースリリースや 決 算 短 信 による 財 務 状 況 の 発 表 などで 被 害 の 状 況 や 特 別 損 失 金 額 などの 発 表 を 行 っている なお 人 的 被 害 に 関 しては1 社 が 少 ない と 発 表 したのみでほとんどが なし あるいは 不 明 である (2) 専 用 ページの 有 無 専 用 ページでワンストップの 情 報 発 信 を 実 施 した 企 業 は7 社 であった この7 社 は 銀 行 2 社 電 気 ガス2 社 通 信 情 報 ( 放 送 )1 社 というライフライン 系 の 企 業 がほとん どであり その 他 では 金 属 農 林 水 産 の2 社 が 作 成 している 発 信 している 情 報 は 自 社 の 被 害 状 況 や 顧 客 向 けの 案 内 のほか 新 潟 県 主 催 のポータルサイト 元 気 だしていこー! 新 潟 3) へリンクを 張 っているものが 多 い 専 用 ページを 設 置 した 企 業 7 社 のうち5 社 は 顧 客 向 け 情 報 発 信 や 地 域 向 け 情 報 発 信 も 合 わせて 実 施 している 顧 客 や 地 域 を 意 識 した 点 でユーザーからみた 使 い 勝 手 は 専 用 ページのほうがよいと 言 える (3) プレスリリース 被 害 があった 企 業 は ほぼ 全 ての 企 業 がホームページ 上 で 情 報 開 示 を 行 っている ま た 被 害 なし を 積 極 的 に 情 報 発 信 している 一 部 の 企 業 がある 発 信 内 容 は 被 害 の 状 況 4
と 復 旧 及 び 企 業 財 務 への 影 響 の2つに 大 きく 分 かれる 被 害 の 状 況 については 地 震 の 発 生 が 10 月 23 日 土 曜 日 であったため 24 日 の 日 曜 日 に2 社 翌 25 日 月 曜 日 に7 社 が 情 報 発 信 している ( 翌 3 月 末 時 点 の 調 査 のため 掲 載 日 不 明 のものもいくつか 存 在 する )ただし 余 震 の 影 響 が 大 きかったため 当 初 は 物 理 的 被 害 がなかったものの 11 月 中 旬 の 余 震 で 建 物 が 被 害 を 受 け 店 舗 の 移 転 を 発 表 した 企 業 もあった 開 示 内 容 は 建 物 や 倉 庫 の 物 理 的 な 被 害 の 有 無 製 品 や 機 械 などの 被 害 の 有 無 などであ る 人 的 被 害 については 1 社 のみが 少 ない と 発 表 しているほかは 被 害 あり の 情 報 発 信 はない 実 際 に 被 害 が 無 かったのか 人 的 被 害 があると 発 表 することがタブー 視 されているのかは 不 明 である 復 旧 および 財 務 状 況 への 影 響 については 一 部 は 復 旧 情 報 と 合 わせてプレスリリース を 実 施 している 公 表 情 報 は 平 常 に 復 帰 生 産 を 他 工 場 に 移 管 した 閉 鎖 店 舗 の 営 業 再 開 などの 情 報 開 示 となっており 一 部 業 績 への 影 響 を 合 わせて 開 示 している (4) 財 務 状 況 上 場 公 開 企 業 では 決 算 短 信 なども 含 めた 業 績 に 関 する 情 報 発 信 は 極 めて 重 要 であ る 物 的 被 害 につき あり 軽 微 一 部 被 害 あり と 発 表 した 17 社 のうち 16 社 が 3 月 末 までに 財 務 情 報 について 開 示 している 開 示 内 容 は 決 算 の 下 方 修 正 億 円 の 特 別 損 失 利 益 の % 減 少 影 響 軽 微 などである また 合 わせて その 理 由 として 生 産 移 管 店 舗 の 閉 鎖 イベントの 中 止 などを 開 示 している 中 には 自 社 には 被 害 が なかったものの 子 会 社 の 被 害 が 連 結 決 算 に 影 響 を 与 えるとして 開 示 した 企 業 もある 物 的 被 害 は 無 かったものの 財 務 に 悪 影 響 があると 情 報 開 示 した 企 業 が3 社 あり いず れも 交 通 量 の 減 少 など 間 接 損 害 の 発 生 を 挙 げている 一 方 建 設 業 を 中 心 に 3 社 が 復 興 需 要 の 関 係 で 決 算 の 上 方 修 正 の 発 表 を 行 っている (5) 顧 客 向 け 情 報 発 信 顧 客 向 けへの 情 報 発 信 は 4 社 と 少 ない 銀 行 2 社 電 気 ガス1 社 情 報 通 信 ( 放 送 ) 1 社 である 復 興 応 援 定 期 預 金 の 発 売 電 力 料 金 支 払 いの 特 別 措 置 などの 情 報 発 信 に 加 えて 新 潟 県 のパンフレットを 活 用 した 県 外 への 情 報 発 信 観 光 イベント がんばって います!! 新 潟 innicoプラザ#2 などの 案 内 にいがたキッズプロジェクト として 避 難 所 で 子 供 の 心 のケアのための 文 具 絵 本 を 用 意 したイベントの 案 内 などを 実 施 した 例 がある (6) 地 域 向 け 情 報 発 信 6 社 が 地 域 向 けに 情 報 発 信 を 行 っている このうち 義 捐 金 の 提 供 実 施 を 開 示 した 企 業 は5 社 救 援 物 資 を 提 供 した 企 業 が2 社 自 社 の 製 品 の 提 供 を 行 った 企 業 が1 社 老 人 福 祉 施 設 訪 問 コンサートや 学 校 訪 問 コンサートなどを 開 催 した 企 業 が1 社 であった 義 捐 金 の 提 供 などはもっと 多 くの 企 業 で 実 施 していると 思 われることから 今 後 企 業 は 地 域 貢 献 活 動 を 積 極 的 に 開 示 していくことが 期 待 される 5
8.まとめ (1) 被 害 状 況 の 情 報 開 示 事 業 継 続 の 一 環 として 企 業 が 災 害 発 生 後 に 自 社 のステークホルダーである 株 主 投 資 家 顧 客 取 引 先 従 業 員 市 民 自 治 体 などに 災 害 への 取 り 組 み 状 況 を 発 信 するリ スクコミュニケーションは 取 引 の 迅 速 化 取 引 範 囲 の 広 域 化 などからますます 重 要 に なってきている 新 潟 県 中 越 地 震 における 上 場 企 業 のホームページ 上 の 情 報 開 示 状 況 を 評 価 すると 何 らかの 被 害 が 発 生 した 企 業 は ほぼすべての 企 業 がその 被 害 状 況 の 開 示 を 実 施 し 財 務 諸 表 への 影 響 についてもプレスリリースまたは 決 算 短 信 で 情 報 を 開 示 し ており 情 報 発 信 はひとまず 出 来 ていると 評 価 できる ただし 新 聞 取 材 などで 被 害 が あることが 判 明 しているにもかかわらず 被 害 情 報 について 開 示 していなかったり 言 及 はしているものの 具 体 的 な 店 舗 の 閉 鎖 復 旧 状 況 などに 触 れていなかったりする 企 業 も あった (2) 被 害 が 無 い 企 業 の 情 報 開 示 本 調 査 での 対 象 企 業 の 絞 込 み 方 法 の 問 題 もあろうかと 思 われるが ホームページに 被 害 情 報 がまったく 載 っていない 企 業 が 14 社 あった 便 りの 無 いのは 良 い 便 り という ことわざがあるが 関 係 者 との 情 報 共 有 を 考 えると 被 災 地 域 外 のステークホルダーから みて 本 店 工 場 などの 主 要 拠 点 が 災 害 発 生 地 域 にあると 判 断 される 場 合 は 被 害 なし の 情 報 を 積 極 的 に 開 示 することが 望 ましい (3) 顧 客 向 け 地 域 向 けの 情 報 発 信 地 域 貢 献 について 今 後 は 積 極 的 に 開 示 することが 望 ましい 企 業 同 士 の 取 引 が 中 心 のビジネスモデルの 企 業 では 何 もそこまでという 考 えもあろうが 防 災 に 積 極 的 な 企 業 が 市 場 から 評 価 されるためには ある 程 度 事 実 を 開 示 することが 必 要 である 阪 神 淡 路 大 震 災 でも 見 られたとおり 地 域 の 復 興 のためには 資 金 が 地 域 に 還 流 され ることがどうしても 必 要 である 企 業 の 地 域 貢 献 としては 義 捐 金 等 の 提 供 のみならず ホームページなどで 地 域 復 興 に 関 するキャンペーンを 呼 びかけるなど 地 域 復 興 の 一 翼 を 担 うことも 必 要 である ( 本 論 文 は 内 閣 府 防 災 担 当 の 新 潟 県 中 越 地 震 企 業 防 災 調 査 受 託 業 務 の 一 環 として 実 施 した 業 務 にもとづくものである) 1) 事 業 継 続 ガイドライン( 第 一 版 ); 内 閣 府 防 災 担 当 ;http://www.bousai.go.jp/index.html 2) 45 社 の 選 定 はホームページの 検 索 ののち 著 者 の 選 択 によるため 主 要 工 場 営 業 所 の 判 定 につき 漏 れが 発 生 している 可 能 性 もあることをあらかじめお 断 りする 3) 全 国 紙 ( 首 都 圏 版 ) 専 門 誌 ( 日 経 ビジネス 日 経 情 報 ストラテジ 日 経 コンピュータ CIO Magazine IT Pro ニュース) 4) 元 気 だしていこー! 新 潟 ;http://bosai.pref.niigata.jp/content/jishin/jisin_1.html 2005 年 10 月 28 日 に 開 催 された 日 本 災 害 情 報 学 会 にて 発 表 しました ( 第 65 号 2005 年 10 月 発 行 ) 6