CONTENTS 筑 豊 小 児 科 医 会 のご 案 内 1 小 児 科 医 会 の 報 告 1 飯 塚 病 院 月 間 診 療 のまとめ 3 地 域 連 携 ささえあい 小 児 診 療 4 今 月 の TOPICS 4 異 動 のお 知 らせ 6 筑 豊 小 児 科 医 会 のご 案 内 第 252 回 ( 飯 塚 病 院 総 合 周 産 期 母 子 医 療 センター 開 設 記 念 講 演 会 ) 日 時 :2014 年 4 月 23 日 ( 水 )(18:25~) 場 所 :のがみプレジデントホテル 一 般 講 演 演 題 1 新 生 児 部 門 の 現 状 と 今 後 の 展 望 ~ 極 低 出 生 体 重 児 新 生 児 仮 死 を 中 心 に~ 飯 塚 病 院 総 合 周 産 期 母 子 医 療 センター 新 生 児 部 門 管 理 部 長 原 田 英 明 演 題 2 産 科 部 門 の 現 状 と 今 後 の 展 望 ~ 切 迫 早 産 合 併 症 妊 婦 に 対 して~ 飯 塚 病 院 総 合 周 産 期 母 子 医 療 センター 産 科 部 門 管 理 部 長 後 藤 麻 木 演 題 3 小 児 外 科 部 門 の 現 状 と 今 後 の 展 望 ~ 先 天 性 腹 壁 異 常 を 含 めて~ 飯 塚 病 院 小 児 外 科 部 長 中 村 晶 俊 特 別 講 演 福 岡 大 学 病 院 総 合 周 産 期 母 子 医 療 センターと 小 児 センターのご 紹 介 福 岡 大 学 医 学 部 小 児 科 主 任 教 授 兼 総 合 周 産 期 母 子 医 療 センター 部 長 廣 瀬 伸 一 先 生 * 講 演 会 終 了 後 に 情 報 交 換 会 を 予 定 しています 小 児 科 医 会 報 告 ~ 第 251 回 筑 豊 小 児 科 医 会 のまとめ~ 第 251 回 報 告 大 学 病 院 救 命 救 急 センターでの 重 篤 小 児 診 療 の 取 り 組 みと 現 状 ~ 重 症 感 染 症 急 性 脳 炎 重 症 外 傷 の 診 療 を 通 して~ 九 州 大 学 病 院 救 命 救 急 センター 賀 来 典 之 先 生 賀 来 典 之 先 生 ( 平 成 14 年 九 大 卒 同 大 小 児 科 入 局 )は 日 本 で 最 大 級 の PICU を 所 有 する 国 立 成 育 医 療 センター(PICU20 床 年 間 総 入 室 数 1000 名 )で 研 鑽 を 積 み 母 校 の 九 大 に 戻 り 小 児 PICU を 立 ち 上 げ た 新 進 気 鋭 の 小 児 集 中 治 療 のスペシャリストです 成 育 の PICU で ECMO や HFO などの 特 殊 治 療 とリス ク 予 測 と 安 全 性 の 重 視 病 態 生 理 に 基 づく 評 価 介 入 などの PICU 的 な 考 え 方 そしてリスクマネジメン 1
トを 学 ばれました 重 篤 小 児 の 救 命 率 の 向 上 のためには いかに 小 児 の 集 中 治 療 に 長 けた 施 設 である PICU に 集 約 化 する 必 要 があるかを 講 演 されました はじめに 小 児 救 急 には 2 つの 側 面 がある 圧 倒 的 多 数 の 軽 症 小 児 患 者 の 時 間 外 診 療 を 行 う 夜 間 時 間 外 診 療 と 圧 倒 的 少 数 の 高 次 医 療 を 必 要 とする 患 者 を 受 け 入 れる 救 命 救 急 がある 夜 間 時 間 外 診 療 を 含 む 一 般 小 児 科 診 療 では 病 態 聴 取 身 体 診 察 鑑 別 診 断 検 査 治 療 とい った 流 れになるが 3 次 救 急 および PICU では トリアージ( 緊 急 度 の 決 定 ) 患 者 の 安 定 化 (Stabilization) 鑑 別 診 断 情 報 収 集 治 療 が 大 事 で 救 命 という 視 点 から 一 般 診 療 の 要 領 とは 大 き く 異 なる Plan Do See の 繰 り 返 し 急 変 時 や ICU マネジメントではリーダーシップが 大 切 となって くる 日 本 の 小 児 集 中 治 療 の 現 状 日 本 では 様 々な 施 設 病 床 で 小 児 の 集 中 治 療 が 行 われているが PICU( 小 児 ICU)を 有 する 施 設 は 全 国 的 にも 20 施 設 以 下 と 少 なく 重 篤 小 児 の 25%が 一 般 病 棟 などの ICU 外 で 診 療 されているのが 現 状 で ある 特 に 1~4 歳 の 病 院 内 死 亡 の 56%は 小 児 死 亡 が 少 ない 病 院 ( 死 亡 数 が 年 に 5 人 以 下 )で 発 生 し ているという また 小 児 の 不 慮 の 事 故 死 は PICU のある 都 府 県 ではそれ 以 外 の 地 域 より 有 意 に 低 い というデータもある 重 篤 小 児 の 死 亡 率 は 複 数 ICU に 分 散 した 地 域 より PICU に 集 約 化 した 地 域 で 有 意 に 低 い ただし PICU が ICU よりも 優 れているというよりも 重 篤 小 児 管 理 に 習 熟 した 環 境 への 集 約 化 が 重 要 で 小 児 重 症 患 者 の 救 命 には 小 児 集 中 治 療 施 設 への 患 者 集 約 が 必 要 である 九 州 大 学 病 院 救 命 救 急 センター 九 州 大 学 病 院 ( 病 床 数 1275 床 )の 救 命 救 急 センターの 歴 史 としては 昭 和 52 年 救 急 部 が 設 置 され 平 成 18 年 救 命 救 急 センターを 開 設 そして 平 成 25 年 に 厚 労 省 指 定 の 小 児 救 命 救 急 センター が 救 命 救 急 センター 内 に 設 置 された 同 センターの 集 中 治 療 部 には 院 内 ICU が 10 床 ( 主 に 術 後 院 内 急 変 患 者 ) 救 命 ICU が 10 床 ( 救 急 外 来 からの 入 室 ) HCU10 床 CCU10 床 という 割 合 で 全 部 で 40 床 を 有 していたが 平 成 25 年 5 月 に 小 児 救 命 救 急 センター 運 営 事 業 の 施 設 に 認 定 されてから 院 内 ICU と 救 命 ICU の 一 部 の 病 床 を 譲 り 受 け 小 児 集 中 治 療 室 (PICU)6 床 が 稼 働 した 救 命 救 急 センターのスタッフは 常 勤 医 が 21 名 でうち 小 児 担 当 が 5 名 麻 酔 科 や 外 科 整 形 外 科 医 など 多 くの 関 連 診 療 科 の 医 師 が 関 わるが 小 児 担 当 医 は 小 児 専 従 ではなく 成 人 小 児 両 方 にも 対 応 し 重 篤 小 児 は 小 児 担 当 オンコールが 中 心 に 対 応 する そして 地 域 メディカルコントロール 事 後 検 証 会 議 にも 参 加 する とくに 小 児 の 交 通 外 傷 による 多 発 外 傷 は 多 くの 診 療 科 の 迅 速 な 対 応 が 必 要 となるが 小 児 担 当 医 は 初 期 診 療 のリーダー コーディネーターとしての 役 割 を 担 っている 成 人 ICU と 同 じセンター 内 に PICU がある 利 点 としては 小 児 担 当 医 は 稀 な 重 症 外 傷 や CPA 症 例 への 対 応 を 成 人 例 で 多 く 経 験 できるのが 利 点 である また 小 児 で PCPS や IABP を 装 着 管 理 す る 場 合 看 護 師 や 臨 床 工 学 技 士 は 成 人 例 での 経 験 が 多 く 稀 な 小 児 例 にも 対 応 は 可 能 である 小 児 救 命 救 急 センター としての 九 大 病 院 PICU 平 成 22 年 厚 労 省 は 小 児 の 超 急 性 期 の 救 命 救 急 医 療 を 担 う 施 設 を 小 児 救 命 救 急 センター とし て 必 要 な 支 援 を 行 う 事 業 を 開 始 した 平 成 26 年 現 在 全 国 では 8 施 設 九 州 では 熊 本 日 赤 病 院 に 続 き 九 大 病 院 が 認 定 され 共 に 年 間 300 例 程 度 が PICU での 症 例 数 である 事 業 として 指 定 された 年 の 平 成 25 年 の 年 間 PICU 入 室 数 は 全 296 例 で およそ 半 数 が 九 大 病 院 内 の 術 後 院 内 急 変 例 で 発 生 場 所 から 九 大 病 院 直 送 例 が 85 例 他 医 療 機 関 からの 転 院 搬 送 が 60 例 であった 2
医 療 機 関 からの 紹 介 で 転 送 されたケースの 疾 患 分 類 としては 脳 神 経 系 > 呼 吸 器 系 > 循 環 器 系 > 外 傷 > 内 因 系 その 他 であった 紹 介 のタイミングとしては 循 環 器 系 は 早 く 脳 神 経 系 が 遅 いというデータを 得 た 転 院 搬 送 の 搬 送 元 は 福 岡 地 域 が 全 体 の 85%と 圧 倒 的 に 多 く 特 に 筑 豊 や 筑 後 地 区 は 紹 介 搬 送 が 少 ない 傾 向 にあった 小 児 の 救 命 率 向 上 のために 救 命 の 連 鎖 として 病 院 前 救 護 (メディカルコントロールによる 搬 送 基 準 の 整 備 ) 搬 送 と 集 約 化 ( 患 者 ヒト モノの 集 約 初 期 診 療 の 向 上 と 安 全 な 搬 送 ) 集 中 治 療 ( 小 児 担 当 医 と 救 急 医 の 協 働 )とい った 一 連 の 流 れをシステム 化 し かつ 中 身 を 充 実 したものに 作 り 上 げていかねばならない しかしなが ら 集 中 治 療 後 の 出 口 問 題 も 同 時 に 考 えていく 必 要 がある PICU に 転 送 されたものの 搬 送 元 へ 転 院 が できていない 実 態 もあぶり 出 された 集 中 治 療 を 終 えた 子 どもたちはどこへ 行 けばいいのかという 後 方 病 床 の 問 題 さらに 救 命 はできても 障 害 を 残 した 子 どもたちが 退 院 した 後 誰 がみていくのかという 在 宅 医 療 やスパイト 等 の 問 題 も 急 性 期 と 同 様 に 慢 性 期 を 見 定 めた 視 点 を 持 ちながら 誰 もが 安 心 できる 小 児 救 急 医 療 体 制 を 構 築 する 必 要 がある おわりに:キーワードは 集 約 化 重 篤 小 児 の 救 命 に 関 しては PICU のある 施 設 への 集 約 化 が 大 事 であるが 患 者 だけでなく ヒト ( 医 療 従 事 者 ) モノ( 医 療 資 機 材 )も 集 約 化 し 集 約 のための 患 者 搬 送 体 制 を 確 立 する 必 要 がある またこの 集 約 化 を 阻 害 する 因 子 として 壁 が 存 在 する 特 に 福 岡 県 においては 4 つの 大 学 があ り 大 学 医 局 の 壁 病 院 間 の 壁 を 超 えること また 地 理 的 な 県 境 の 壁 を 超 えることが 重 要 であることを 強 調 された 重 篤 小 児 の 救 命 の 最 後 の 砦 であることを 認 識 しつつ 2 次 医 療 機 関 からの 転 院 搬 送 を 今 後 重 点 的 に 伸 ばして 九 大 病 院 PICU への 集 約 化 を 啓 発 していきたいとの 強 い 思 いを 語 られた 飯 塚 病 院 月 間 診 療 のまとめ 2014 年 2 月 入 院 患 者 数 116 人 外 来 患 者 数 1,949 人 救 命 救 急 センター 受 診 者 数 1,231 人 新 生 児 センター 入 院 患 者 数 20 人 分 娩 件 数 52 件 主 要 疾 患 数 ( 退 院 患 者 数 ;97 人 ) 低 出 生 体 重 児 11 肺 炎 気 管 支 炎 10 痙 攣 及 びてんかん 8 喘 息 8 新 生 児 呼 吸 障 害 心 血 管 障 害 6 腸 重 積 腸 閉 塞 3 急 性 胃 腸 炎 2 高 ビリルビン 血 症 及 び 黄 疸 1 急 性 上 気 道 感 染 症 1 その 他 47 紹 介 件 数 75 件 ( 件 ) 1 飯 塚 市 保 健 センター 8 2 こどもクリニックもりた 5 3 田 川 市 立 病 院 4 4 ささきこどもクリニック 3 すどうクリニック 3 千 手 医 院 3 平 野 医 院 3 まつなり 医 院 3 3
地 域 連 携 ささえあい 小 児 診 療 スケジュール 2014 年 4 月 5 月 4 月 5 月 4 月 1 日 火 宮 田 病 院 甲 斐 丈 士 5 月 8 日 木 飯 塚 市 立 病 院 牟 田 広 実 4 月 3 日 木 飯 塚 市 立 病 院 牟 田 広 実 5 月 13 日 火 飯 塚 病 院 漢 方 診 療 科 上 田 晃 三 4 月 8 日 火 飯 塚 病 院 漢 方 診 療 科 上 田 晃 三 5 月 15 日 木 あざかみこどもクリニック 阿 座 上 才 紀 4 月 10 日 木 津 川 診 療 所 津 川 信 5 月 20 日 火 ささきこどもクリニック 佐 々 木 宏 和 4 月 15 日 火 ひじい 小 児 科 アレルギー 科 こどもクリニックもりた 5 月 22 日 木 クリニック 肘 井 孝 之 森 田 潤 4 月 17 日 木 平 野 医 院 平 野 義 人 5 月 27 日 火 細 川 小 児 科 内 科 医 院 細 川 清 4 月 22 日 火 荒 木 小 児 科 医 院 荒 木 久 昭 5 月 29 日 木 たなかのぶお 小 児 科 医 院 田 中 信 夫 4 月 24 日 木 田 中 医 院 田 中 祥 視 2014 年 4 月 28 日 現 在 今 月 のTOPICS 3 月 14 日 に 西 日 本 AD/HD 講 演 会 が 開 催 され DSM-5 における 発 達 障 害 の 位 置 づけ というタイトルで 愛 育 病 院 小 児 精 神 保 健 科 の 齊 藤 万 比 古 先 生 が 講 演 されました その 一 部 を 紹 介 します DSM-Ⅳから DSM-5 へ 米 国 精 神 医 学 会 (APA)の 疾 患 概 念 診 断 基 準 集 である DSM-Ⅳは 1994 年 に 公 表 され 2000 年 の 改 正 版 (DSM-Ⅳ-TR)を 含 め 20 年 にわたり 世 界 基 準 として 使 用 されてきたが 2013 年 5 月 に DSM-5 が 登 場 し 特 に 発 達 障 害 の 概 念 に 大 きな 改 訂 が 加 えられた ICD-10 はWHO( 世 界 保 健 機 関 )による 疾 患 概 念 である 発 達 障 害 の 概 念 が 変 わる: 発 達 障 害 から 神 経 発 達 症 群 へ DSM-Ⅳでは 発 達 障 害 の 枠 組 みが 必 ずしも 明 確 ではなかったが DSM-5 では 神 経 発 達 症 群 (Neurodevelopmental Disorders)という 疾 患 群 にまとめた また 下 位 分 類 (subtype)はほとんど 消 え specifier( 特 定 すべき 属 性 ) で 特 徴 を 描 くことになった 点 も 重 要 な 変 化 である 神 経 発 達 症 群 の 定 義 として 神 経 発 達 症 群 は 発 育 期 に 始 まる 状 態 像 の 集 まりであり 典 型 的 には 発 達 段 階 の 早 期 しばしば 小 学 校 入 学 以 前 の 年 代 で 顕 在 化 する 個 人 的 社 会 的 学 業 的 あるいは 職 業 的 な 機 能 障 害 をもたらす 発 達 上 の 障 害 という 特 徴 を 持 つ 臨 床 症 状 は 発 達 里 程 標 (マイルストーン) 確 立 の 欠 如 あるいは 遅 延 とその 過 剰 を 症 状 に 併 せ 持 つ 神 経 発 達 症 群 のサブ 分 類 として 以 下 の 疾 患 概 念 がある 自 閉 症 スペクトラム 症 注 意 欠 如 多 動 症 限 局 性 学 習 症 コミュニケーション 症 群 運 動 症 群 がある 自 閉 症 スペクトラム 症 :ASD(Autism Spectrum Disorder) DSM-Ⅳにおける PDD( 広 汎 性 発 達 障 害 ) 概 念 から DSM-5 では ASD 概 念 に 変 更 となった PDD は Rett 障 害 小 児 崩 壊 性 障 害 自 閉 性 障 害 アスペルガー 障 害 特 定 不 能 の 広 汎 性 発 達 障 害 (PDD-NOS)の 5 種 類 の 疾 患 の 包 括 概 念 であったが ASD は Rett 障 害 を 除 いた 4 種 類 の 疾 患 を 一 つのスペクトラムとしてと らえた 単 一 疾 患 概 念 である PDD は 三 つ 組 みの 障 害 を 主 症 状 として 位 置 付 けていたが ASD はこの 三 つ 組 みの 中 の 二 つを 一 まとめに し 二 つの 障 害 を 主 症 状 とした すなわち 社 会 的 コミュニケーションの 障 害 と 社 会 的 相 互 交 流 の 障 害 の 二 つを 一 つの 障 害 にまとめ 様 々な 意 味 合 いでの 社 会 的 コミュニケーションと 社 会 的 相 互 交 流 の 障 害 とし PDD の 三 つ 組 みの 中 のもう 一 つの 限 局 的 で 反 復 的 な 行 動 関 心 あるいは 活 動 のパター ン の 2 症 状 が ASD の 基 本 症 状 となった 後 者 にはいわゆる 感 覚 過 敏 とされる 症 状 が 含 まれるよう になった 4
このように DSM-5 による ASD は 様 々な 意 味 合 いでの 社 会 的 コミュニケーションと 社 会 的 相 互 交 流 の 障 害 と 限 局 的 で 反 復 的 な 行 動 関 心 あるいは 活 動 のパターン を 併 せ 持 つものとされ コミュニケ ーション 社 会 性 の 障 害 だけの 場 合 は 社 会 的 コミュニケーション 症 と 診 断 されるようになり これ により DSM-Ⅳの PDD-NOS の 多 くはこの 診 断 に 含 まれ ASD から 外 れることになる ASD 概 念 は 単 一 疾 患 とされ 社 会 性 あるいはコミュニケ-ションの 障 害 だけでは 診 断 されなくなるといった 疾 患 概 念 の 狭 小 化 が 図 られ 過 剰 診 断 になることを 防 ごうとしている ASD の 主 要 2 症 状 の 他 に 特 定 すべき 主 な 属 性 (specifier)として 知 的 障 害 言 語 障 害 を 伴 うか 否 か 既 知 の 医 学 的 要 因 遺 伝 的 要 因 あるいは 環 境 的 要 因 と 関 連 しているならそれを 記 載 する さらに 他 の 神 経 発 達 障 害 精 神 障 害 行 動 の 障 害 を 合 併 しているならそれを 記 載 するとしている 注 意 欠 如 多 動 症 (Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder:ADHD) ADHD 概 念 の DSM-5 での 修 正 点 は 基 本 的 には DSM-Ⅳからの 大 きな 修 正 はなされなかった DSM-Ⅳまで の 下 位 分 類 (subtype) という 考 え 方 をやめ 特 定 すべき current presentation に 修 正 した 症 状 が 発 現 する 時 期 を 7 歳 以 下 から 12 歳 未 満 と 修 正 した 症 候 規 定 において 各 領 域 とも 6 項 目 以 上 となっていた 規 定 を 18 歳 以 上 では 5 項 目 でもよい と 修 正 した 症 状 による 適 応 上 の 問 題 が 2 カ 所 以 上 ( 家 庭 学 校 職 場 など)でみられるかどうかのチェックは 変 わっていない ADHD の 診 断 に 関 しては DSM-5 では 特 に 成 人 で 診 断 がしやすいような 修 正 がなされたが 基 本 概 念 は 変 わっていない 学 習 障 害 から 限 局 性 学 習 症 へ DSM-Ⅳにおける 学 習 障 害 (LD) は 下 位 分 類 (subtype)として 読 字 障 害 算 数 障 害 書 字 表 出 障 害 の 3 つがあげられていたが DSM-5 では 限 局 性 学 習 症 (Specific Learning Disorder) という 概 念 に なり 下 位 分 類 を 放 棄 し 単 一 障 害 概 念 と 定 義 され 読 み 書 き 算 数 のどの 障 害 を 伴 うか そして 重 症 度 ( 軽 症 中 等 症 重 症 )は 何 かを specifier として 特 定 することとなった コミュニケーション 障 害 から コミュニケーション 症 群 へ DSM-Ⅳでは 表 出 性 言 語 障 害 受 容 - 表 出 混 合 性 言 語 障 害 音 韻 障 害 吃 音 症 の 4 疾 患 をあげていたが DSM-5 では 言 語 症 (Language Disorder) 語 音 症 (Speech Sound Disorder) 小 児 期 発 症 流 暢 症 ( 吃 音 ) (Child-onset Fluency Disorder,Stuttering)に 加 え 社 会 的 コミュニケーション 症 (Social Communication Disorder)が 加 わった これは 言 語 的 および 非 言 語 的 コミュニケーションの 社 会 的 目 的 にかなったコミュニケーションができないことを 指 し DSM-Ⅳにおける PDD のサブタイプであった PDD-NOS がこの 群 に 加 わることになった 知 的 能 力 障 害 群 (Intellectual Disabilities) DSM-5 による 知 的 障 害 群 概 念 の 特 性 として 知 能 検 査 の 数 値 (IQ) 障 害 を 規 定 することをやめ 概 念 社 会 性 および 実 践 に 関 する 各 領 域 における 発 育 期 に 顕 在 化 する 知 的 および 適 応 的 な 機 能 障 害 である と 規 定 した 特 定 すべき 属 性 (specifier)として 重 症 度 を 挙 げている 軽 度 中 等 度 重 度 最 重 度 といった 重 症 度 はあくまで 適 応 基 準 に 特 定 すべきであり IQ スコアによらないと 明 記 している 運 動 能 力 症 群 DSM-Ⅳにおける 運 動 能 力 障 害 として 発 達 性 協 調 運 動 障 害 が 挙 げられていたが DSM-5 では 発 達 性 協 調 運 動 症 常 同 運 動 症 に 運 動 または 音 声 チックやトゥレット 症 がチック 症 群 (Tic Disorders)として 加 わった まとめ:DSM-Ⅳから DSM-5 における 疾 患 概 念 と 日 本 語 表 記 の 変 化 これまでの 日 本 語 表 記 では 障 害 が 症 に 変 わったのが 大 きな 特 徴 である 発 達 障 害 神 経 発 達 症 群 (Neurodevelopmental Disorders) PDD( 広 汎 性 発 達 障 害 ) ASD( 自 閉 症 スペクトラム 症 ) 5
注 意 欠 如 多 動 性 障 害 (ADHD) 注 意 欠 如 多 動 症 (ADHD) 学 習 障 害 (LD) 限 局 性 学 習 症 :Specific Learning Disorder コミュニケーション 障 害 コミュニケーション 症 群 運 動 能 力 障 害 運 動 症 群 異 動 のお 知 らせ 先 月 号 でもお 知 らせしましたように 飯 塚 病 院 小 児 科 では この4 月 に 常 勤 医 10 名 中 6 名 が 入 れ 替 わり ました 4 月 1 日 より 大 矢 崇 志 ( 前 久 留 米 大 学 小 児 科 専 門 医 で 小 児 神 経 が 専 門 新 病 棟 医 長 ) 関 祥 孝 ( 前 久 留 米 大 学 小 児 科 専 門 医 で 小 児 消 化 器 が 専 門 新 副 病 棟 医 長 ) 松 石 登 志 哉 ( 前 久 留 米 大 医 療 セ ンター 専 攻 医 ) 古 賀 木 綿 子 ( 前 聖 マリア 病 院 専 攻 医 ) 4 月 16 日 より 石 原 潤 ( 前 聖 マリア 病 院 専 攻 医 ) 嶽 間 澤 昌 史 ( 前 聖 マリア 病 院 専 攻 医 )が 赴 任 致 します (なお 専 攻 医 という 名 称 は 2017 年 の 専 門 医 制 度 の 移 行 にあたり 小 児 科 専 門 医 を 目 指 す 後 期 研 修 医 のことを 指 します ) 来 月 号 で 顔 写 真 と 挨 拶 の 言 葉 を 掲 載 する 予 定 です 飯 塚 病 院 820-8505 飯 塚 市 芳 雄 町 3-83 TEL0948-22-3800( 代 ) http://aih-net.com/ Vol.88 発 行 日 /2014 年 4 月 10 日 発 行 / 飯 塚 病 院 小 児 科 6