平 成 21 年 6 月 8 日 古 内 栄 行 方 不 明 者 の 傾 向 と 動 機 から 社 会 と 人 々が 抱 える 様 々な 問 題 を 浮 き 彫 りにさせるため 行 方 不 明 者 の 傾 向 および 動 機 その 後 の 解 決 の 有 無 安 否 の 有 無 などを 団 体 への 依 頼 から 分 類 調 査 を 実 施 した (1) 団 体 への 問 い 合 わせ 件 数 (2) 全 総 数 の 男 女 比 年 齢 構 成 動 機 その 後 の 解 決 の 有 無 および 安 否 (3) 団 体 へ 寄 せられる 最 近 の 相 談 傾 向 (4) 家 出 後 の 家 出 人 の 状 況 (5) 今 後 の 予 想 される 傾 向 (6)ひきこもりなどとの 関 連 性 (7) 今 後 の 課 題
(1) 団 体 への 問 い 合 わせ 件 数 平 成 20 年 8 月 から 平 成 20 年 11 月 までの 間 に 団 体 への 所 謂 家 出 行 方 不 明 者 に 関 する 捜 索 支 援 への 問 い 合 わせ 総 数 は 26 件 であり 月 平 均 :6.5 人 である 8 月 は 警 察 の 家 出 人 捜 索 強 化 月 間 であり また 一 般 的 に 夏 休 みの 子 供 の 家 出 が 多 発 する 月 でもあるが 同 月 団 体 に 寄 せられた 所 謂 10 代 のプチ 家 出 の 相 談 は 1 件 だけであっ た 警 察 発 表 などでは 夏 休 み 期 間 中 の 子 供 の 家 出 人 の 総 数 は 減 少 していない 同 期 間 における 所 謂 プチ 家 出 の 相 談 が 団 体 へ 1 件 しかなかった 理 由 については 次 のこと が 考 えられる 1 団 体 の 広 告 告 知 の 不 備 2 親 子 関 係 の 希 薄 化 と 携 帯 電 話 の 普 及 により 親 が 子 供 のプチ 家 出 ( 無 断 の 長 期 外 泊 )を 家 出 と 認 識 しない 3 親 子 関 係 の 変 化 および 携 帯 電 話 の 普 及 に 伴 う 親 子 関 係 の 希 薄 化 などについても 今 後 考 察 が 必 要 である (2) 全 総 数 の 男 女 比 年 齢 構 成 動 機 その 後 の 解 決 の 有 無 安 否 の 状 況 は 以 下 の 通 りである 1 男 女 比 男 性 21 人 (81%) 女 性 5 人 (19%) 2 年 齢 構 成 10 代 2 人 20 代 5 人 30 代 15 人 40 代 3 人 50 代 0 人 60 代 以 上 1 人
3 行 方 不 明 の 動 機 家 庭 関 係 夫 婦 関 係 1 人 (DVの 懸 念 あり) 異 性 関 係 3 人 非 行 素 行 不 良 1 人 ( 未 成 年 ) 事 件 事 故 の 被 害 者 当 事 者 0 人 借 金 問 題 関 係 4 人 疾 病 関 係 3 人 事 業 職 業 関 係 2 人 当 事 者 が 認 知 症 1 人 厭 世 観 人 間 関 係 社 会 不 適 応 11 人 (うつ 病 含 む) 4 その 後 の 解 決 の 有 無 警 察 による 発 見 ( 死 亡 含 む) 自 主 帰 宅 家 族 などの 捜 索 による 発 見 不 明 ( 捜 索 継 続 を 含 む) 3 人 2 人 8 人 13 人 5 発 見 時 の 安 否 の 有 無 死 亡 1 人 生 存 10 人 (3) 団 体 へ 寄 せられる 最 近 の 相 談 傾 向 団 体 に 寄 せられる 最 近 の 相 談 内 容 の 傾 向 では 20 代 ~40 代 の 男 性 の 家 出 人 に 関 する 相 談 が 増 えている これらの 家 出 人 に 共 通 する 事 項 は 次 のとおりである 1 動 機 厭 世 観 人 間 関 係 社 会 不 適 応 2 性 格 内 向 的 で 非 社 交 的 真 面 目 3 友 人 異 性 関 係 極 端 に 少 ない 4 同 居 者 の 有 無 親 と 同 居 しているケースが 多 い 5 職 業 就 職 はしているが 職 場 での 人 間 関 係 に 悩 んでいる 6 結 婚 の 有 無 独 身 である などが 上 げられる
また 動 機 が 厭 世 観 人 間 関 係 社 会 不 適 応 などのケースには うつ 状 態 が 酷 い 場 合 も 認 めら れ その 場 合 には 自 殺 に 至 ったケースも 認 められる 自 殺 の 場 合 には 家 出 当 日 ( 家 出 直 後 )に 自 殺 する 場 合 が 多 く 預 金 口 座 クレジットカードなど を 利 用 している 場 合 には 自 殺 の 懸 念 が 少 なくなる 傾 向 が 見 られる 警 察 庁 生 活 安 全 局 地 域 課 の 統 計 から 家 出 後 1 週 間 以 内 の 自 殺 者 は 自 殺 者 全 体 の 約 7 割 で あり 自 殺 する 行 方 不 明 者 は 当 初 から 自 殺 を 念 頭 に 家 出 すると 思 料 される 過 去 の 相 談 事 案 の 例 で 自 殺 の 場 合 には ガン などの 重 い 病 気 を 苦 にしての 自 殺 事 案 もあ る (4) 家 出 後 の 家 出 人 の 状 況 上 記 (3)-1 ( 動 機 厭 世 観 人 間 関 係 社 会 不 適 応 )に 該 当 する 家 出 人 の 発 見 場 所 および 自 主 帰 宅 後 の 聞 き 取 り 調 査 による 家 出 時 の 居 所 については 次 のとおりである 1 漫 画 喫 茶 ネットカフェ 2 サウナ カプセルホテル 3 繁 華 街 などの 路 上 など 全 体 の 9 割 以 上 が 上 記 に 該 当 する これは これらの 家 出 人 に 頼 れる 友 人 知 人 異 性 などが 居 ないのと 同 時 に 一 人 になりたかっ た 何 も 考 えたくなかった いつかは 帰 るつもりだった などの 理 由 を 挙 げる 者 が 多 い このような 無 目 的 な 家 出 人 ( 他 所 で 新 たな 職 に 就 いて 新 たな 居 所 を 探 し 人 生 をやり 直 すなど の 理 由 がない 家 出 人 )が 増 えている 現 状 は 所 謂 ひきこもり ニート ネットカフェ 難 民 ワーキ ングプア に 共 通 する 社 会 からの 孤 立 と 家 庭 での 孤 立 および 人 生 の 目 的 意 識 の 喪 失 などが 考 え られ 同 時 にストレスが 多 い 社 会 からの 現 実 逃 避 的 な 家 出 であると 思 料 され 現 代 的 な 家 出 人 像 であると 思 われる ネットカフェ 難 民 も 所 謂 家 出 人 に 近 い 状 態 であると 思 料 され 家 出 人 とネットカフェ 難 民 の 差 は 家 族 と 連 絡 を 取 っているか 友 人 を 通 して 連 絡 が 取 れるか 家 族 が 警 察 へ 捜 索 願 を 提 出 しているか の 違 いであると 考 えられる
(5)ひきこもり ニートなどとの 関 連 性 所 謂 ひきこもり ニートと 呼 ばれる 15 歳 ~34 歳 までの 人 口 が 増 えている ひきこもりの 定 義 およびニートの 定 義 には 様 々な 定 義 があり 何 を 指 して ひきこもり ニート と 呼 ぶかは 様 々な 意 見 があると 思 われるが ここでは 一 般 的 な 定 義 での ひきこもり と 家 出 人 行 方 不 明 者 との 関 連 について 考 察 したい まず ひきこもり の 定 義 傾 向 などに 関 して 国 立 精 神 神 経 センター 精 神 保 健 研 究 所 社 会 復 帰 部 が 平 成 15 年 7 月 28 日 に 発 表 した ひきこもり 対 応 ガイドライン( 最 終 版 )の 作 成 通 知 は 次 のように 述 べている 1 ひきこもり の 概 念 は 単 一 の 疾 患 や 障 害 の 概 念 ではない 2なにも 特 別 な 現 象 ではなく 何 らかの 理 由 で 周 囲 の 環 境 に 適 応 できにくくなった 時 に ひきこ もる ということがある 3 ひきこもり とは 病 名 ではなく ましてや 単 一 の 疾 患 でもない また いじめのせい 家 族 関 係 のせい 病 気 のせい と 一 つの 原 因 で ひきこもり が 生 じるわけでもなく 生 物 学 的 要 因 心 理 的 要 因 社 会 的 要 因 などが さまざまに 絡 み 合 って ひきこもり という 現 象 が 生 まれる 上 記 の 3 つの 原 因 ( 生 物 学 的 要 因 心 理 的 要 因 社 会 的 要 因 )の 中 で 特 に ひきこもり の 心 理 的 側 面 が 動 機 が 曖 昧 で 不 明 な 20 歳 ~40 歳 代 の 男 性 家 出 人 に 類 似 していると 考 える また 同 ガイドラインで ひきこもり は 精 神 保 健 福 祉 の 対 象 だと 断 定 するのと 同 様 に 動 機 が 曖 昧 で 不 明 な 20 歳 ~40 歳 代 の 男 性 家 出 人 も 精 神 保 健 福 祉 の 対 象 となると 考 えている (6) 今 後 の 予 想 される 傾 向 団 体 が 予 想 する 今 後 の 家 出 人 の 総 数 は 不 景 気 などの 経 済 悪 化 による 事 業 職 業 関 係 借 金 問 題 高 齢 化 社 会 に 伴 う 認 知 症 老 人 の 徘 徊 と 同 時 に 20 歳 代 ~40 歳 代 の 独 身 男 性 非 社 交 的 で 友 人 異 性 関 係 が 少 なく 不 景 気 からの 就 職 難 などを 抱 える 者 の 家 出 が 増 加 すると 予 想 する (7) 今 後 の 課 題 家 出 行 方 不 明 に 関 する 今 後 の 課 題 は 家 出 行 方 不 明 を 社 会 的 な 問 題 と 心 の 問 題 の 両 面 から 捉 え 1 家 出 人 行 方 不 明 者 の 数 を 減 らすため 家 出 人 行 方 不 明 者 自 身 の 動 機 を 個 人 的 な 問 題 ではなく 社 会 問 題 精 神 保 健 福 祉 として 捉 え 彼 等 の 逃 げ 場 などを 社 会 が 提 供 サポ ートして 行 くシステムの 構 築 2 家 出 人 行 方 不 明 者 の 家 族 が 抱 える 不 条 理 ( 特 に 生 死 不 明 な 状 態 で 長 期 間 解 決 しない 場 合 は 残 された 家 族 は 耐 え 難 い 不 条 理 を 感 じている)を 軽 減 するために 社 会 がサポートとするシステムを 作 ることが 課 題 になると 思 料 される 例 ) 犯 罪 被 害 者 の 会 拉 致 被 害 者 の 会 などと 同 様 の 活 動 を 含 む
団 体 では 現 在 行 方 不 明 者 家 族 会 を 立 ち 上 げる 予 定 である 皆 様 へ 同 会 への 協 力 並 びに 支 援 のお 願 いを 申 し 上 げます また 同 会 についての 詳 細 は 下 記 までご 連 絡 下 さい 本 件 の 問 い 合 わせ 先 ( 担 当 : 古 内 ) 電 話 042-426-9300 182-0025 東 京 都 調 布 市 多 摩 川 5-23-11-402 号 < 参 考 資 料 > 平 成 2 0 年 6 月 に 警 察 庁 生 活 安 全 局 地 域 課 から 発 表 された 平 成 1 9 年 中 における 家 出 の 概 要 資 料 によると 平 成 19 年 中 に 家 出 人 捜 索 願 を 受 理 した 家 出 人 は 88,489 人 で 前 年 に 比 べ 1,199 人 (1.3%) 減 少 した 性 別 では 男 性 が 55,611 人 で 全 体 の 62.8%を 占 め 成 人 少 年 別 では 成 人 が 68,290 人 で 全 体 の 77.2%を 占 めており 年 齢 別 では 19 歳 以 下 が 20,199 人 で 全 体 の 22.8%を 占 め 次 いで 60 歳 以 上 (16,717 人 18.9%) 20 歳 代 (16,670 人 18,8%) 30 歳 代 (14,604 人 16.5%)の 順 となっている 総 務 省 統 計 局 が 発 表 している 完 全 失 業 率 の 推 移 によれば 景 気 が 悪 化 した 平 成 13 年 から 完 全 失 業 率 が 5%を 越 え 同 時 期 警 察 庁 生 活 安 全 局 地 域 課 の 統 計 から 家 出 人 捜 索 願 受 理 件 数 が 10 万 人 を 突 破 していることが 分 かる 国 立 精 神 神 経 センター 精 神 保 健 研 究 所 社 会 復 帰 部 ひきこもり 対 応 ガイドライン( 最 終 版 ) の 作 成 通 知 平 成 2 0 年 6 月 の 警 察 庁 生 活 安 全 局 地 域 課 発 表 による 家 出 の 動 機 は 家 庭 関 係 が 18,543 人 で 全 体 の 21.0%を 占 め 次 いで 疾 病 関 係 (13,131 人 14.8%) 事 業 職 業 関 係 (10,764 人 12.2%) 異 性 関 係 (3,298 人 3.7%)の 順 となっており 所 在 確 認 総 数 は 平 成 18 年 中 に 所 在 が 確 認 された 家 出 人 は 87,931 人 で 前 年 に 比 べ 2,251 人 (2.6%) 増 加 した こ のうち 家 出 人 捜 索 願 が 提 出 されていた 者 は 82,387 人 で 所 在 確 認 総 数 の 93.7%を 占 めて いる 以 上