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Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

6 謝金(給与等)

Transcription:

福 島 県 男 女 共 生 センター 公 募 研 究 レポート 福 島 県 男 女 共 生 センターでは 男 女 共 同 参 画 社 会 を 実 現 するうえで 取 り 組 まなければならない さまざまな 課 題 を 把 握 し 解 決 の 方 法 を 探 るため 学 術 的 専 門 研 究 を 行 い 全 国 世 界 に 発 信 する ための 公 募 研 究 を 実 施 しました 平 成 15 16 年 度 公 募 研 究 親 密 な 関 係 に 潜 む 女 性 への 暴 力 韓 国 との 政 策 比 較 からみえてくる 日 本 の 課 題 概 要 研 究 代 表 者 渡 辺 秀 樹 ( 慶 應 義 塾 大 学 文 学 部 教 授 ) 研 究 分 担 者 金 鉉 哲 ( 韓 国 青 少 年 開 発 院 副 研 究 委 員 ) 松 田 茂 樹 ( 第 一 生 命 経 済 研 究 所 ライフデザイン 研 究 本 部 副 主 任 研 究 員 ) 水 野 宏 美 ( 日 本 橋 学 館 大 学 人 文 経 営 学 部 非 常 勤 講 師 ) 研 究 協 力 者 大 貫 挙 学 ( 東 洋 大 学 社 会 学 部 非 常 勤 講 師 ) 裵 智 恵 ( 慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 社 会 学 研 究 科 社 会 学 専 攻 博 士 課 程 ) 長 野 慎 一 ( 慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 社 会 学 研 究 科 社 会 学 専 攻 博 士 課 程 ) 横 井 彩 ( 慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 社 会 学 研 究 科 社 会 学 専 攻 博 士 課 程 ) 山 下 孝 子 ( 慶 應 義 塾 大 学 大 学 院 法 学 研 究 科 政 治 学 専 攻 博 士 課 程 ) Ⅰ 本 研 究 の 基 本 的 視 点 1. 本 研 究 の 意 義 と 目 的 ( 渡 辺 秀 樹 ) 女 性 に 対 する 暴 力 は 公 的 領 域 で 起 こるか 私 的 領 域 で 起 こるかにかかわらず これを 防 止 し 被 害 者 を 保 護 する 必 要 性 があるという 認 識 が 国 際 的 な 共 通 理 解 となりつつある とくに 私 的 領 域 で 発 生 するドメスティック バイオレンス(DV)は その 不 可 視 性 が 問 題 にされてきた 本 研 究 の 目 的 は 韓 国 社 会 との 比 較 から 日 本 のDV 政 策 の 課 題 を 考 察 することにある 韓 国 は 1999 年 に 国 連 女 性 の 地 位 委 員 会 によって 女 性 の 地 位 向 上 におけるアジアのモデル 国 家 として 選 出 されている 女 性 への 暴 力 についての 韓 国 の 取 り 組 みは 先 駆 的 で 1994 年 の 性 暴 力

の 処 罰 及 び 被 害 者 保 護 等 に 関 する 法 律 に 続 き 1997 年 には 北 京 行 動 綱 領 を 受 けて 家 庭 暴 力 犯 罪 の 処 罰 等 に 関 する 特 例 法 と 家 庭 暴 力 防 止 及 び 被 害 者 保 護 等 に 関 する 法 律 が 成 立 している 一 方 日 本 でも 2001 年 に 配 偶 者 からの 暴 力 の 防 止 及 び 被 害 者 の 保 護 に 関 する 法 律 が 成 立 し 2004 年 にはその 改 正 法 が 施 行 された しかし いずれの 国 においても 当 事 者 やその 周 辺 からは 政 策 の 不 備 や 運 営 上 の 問 題 点 など について 不 満 の 声 があがっている また これらの 政 策 の 導 入 による 新 たな 問 題 の 浮 上 も 考 えられる そこで 本 研 究 では 日 韓 の 関 係 者 へのインタビュー 調 査 や 政 策 文 書 の 検 討 を 行 った また 東 京 福 島 の 地 域 比 較 によって 日 本 における 家 庭 生 活 や 社 会 規 範 の 立 体 的 な 把 握 を 試 みている 2.ドメスティック バイオレンスとジェンダーの 視 点 ( 山 下 孝 子 / 長 野 慎 一 / 大 貫 挙 学 ) まず 最 初 に 本 研 究 の 理 論 的 視 点 について 先 行 研 究 の 検 討 を 行 った とくに 本 研 究 の 考 察 課 題 が 親 密 な 関 係 に 潜 む 女 性 への 暴 力 であることに 鑑 み 第 一 に 被 害 を 受 けているのが 女 性 であること 第 二 にかかる 暴 力 が 親 密 とされる 関 係 において 生 じていることを いわば 座 標 軸 として ジェン ダー 理 論 の 視 点 からの 整 理 を 試 みた 私 的 領 域 たる 家 族 内 部 の 支 配 や 暴 力 を 問 題 化 した 点 に フェミニズム 理 論 の 意 義 を 見 出 すこと ができる 配 偶 者 からの 暴 力 が 暴 力 と 認 定 されるまでに 時 間 がかかったのも 私 的 領 域 を 法 の 目 の 届 かない 領 域 と 同 義 とみなしていたからであった だが このことは 既 存 の 公 権 力 を 無 批 判 に 拡 張 させればよいということを 意 味 しない DVを 防 止 すべきなのは それが 被 害 者 の 自 由 を 侵 害 するからである 自 由 は 社 会 の なかで 平 等 に 尊 重 / 保 護 されなければならない そのためには 社 会 構 造 全 体 の 改 変 が 必 要 にな る それを 怠 り 既 存 の 公 権 力 を 拡 大 するだけでは 自 由 の 保 障 は 形 骸 化 し 親 密 な 関 係 の 監 獄 化 をもたらしかねない また 社 会 制 度 一 般 の 問 題 として いわゆる マイノリティ の 人 びとに 目 を 向 けた 政 策 も 重 要 である 他 の 差 別 を 温 存 したり 強 化 したりする 形 式 ではなく そうした 差 別 の 解 消 をも 含 む 限 りにおいてこそ 変 革 は 根 源 的 なものとなるだろう Ⅱ アンケート 調 査 ( 松 田 茂 樹 / 裵 智 恵 / 横 井 彩 / 水 野 宏 美 / 金 鉉 哲 ) 本 研 究 では 配 偶 者 パートナー 間 における 暴 力 の 加 害 / 被 害 経 験 の 実 態 暴 力 加 害 / 被 害 発 生 の 規 定 要 因 被 害 者 の 対 処 方 法 を 計 量 的 に 把 握 することを 目 的 としてアンケート 調 査 を 実 施 した サ ンプルは 無 作 為 に 抽 出 した 福 島 県 福 島 市 と 東 京 都 目 黒 区 に 居 住 する25~55 才 の 男 女 2,500 人 である 各 地 域 のサンプル 数 は 人 口 に 比 例 して 配 分 している 両 地 域 を 調 査 対 象 としたのは 首 都 圏 の 大 都 市 と 地 方 都 市 で 異 なる 家 庭 生 活 や 暴 力 経 験 等 の 実 態 を 明 らかにするためである 調 査 は 郵 送 配 布 郵 送 回 収 法 で 行 い 有 効 回 収 数 は500 人 ( 有 効 回 収 率 20%)である

調 査 結 果 から 得 られた 主 な 知 見 は 以 下 のとおりである 第 一 には DV 被 害 経 験 が 男 女 とも 広 範 に 及 んでいることがあげられる 過 去 1 年 間 に 夫 婦 あるいはパートナー 間 において 何 かしらのDV 行 為 を 受 けた 経 験 がある 人 の 割 合 は 女 性 では 精 神 的 DVが43.8% 身 体 的 DVが11.2% 性 的 DVが7.6%に 上 る それらの 内 訳 には 比 較 的 軽 度 のものが 多 く 含 まれてはいるものの 重 度 の 被 害 も 少 なくない また 精 神 的 DVと 身 体 的 DVについては 男 性 も 同 程 度 の 被 害 経 験 を 有 している 夫 婦 やパートナー 間 において DV 的 な 行 為 が 広 範 になされている 点 は 注 目 される 夫 婦 やパートナー 間 の 葛 藤 等 を 暴 力 で 解 決 しようと する 傾 向 がうかがえる 第 二 の 知 見 は DV 被 害 の 潜 在 化 の 問 題 である DV 被 害 は 広 範 に 及 んでいるが DV 被 害 女 性 のうち 誰 かに 相 談 した 人 は 約 1 割 にすぎない 相 談 したかったができなかった 人 が 約 1 割 残 りは 相 談 し ようとは 思 わなかった 人 である DV 被 害 は 配 偶 者 暴 力 相 談 支 援 センター 警 察 弁 護 士 等 の 専 門 機 関 に 相 談 したり 助 けを 求 めたりすることで はじめて 社 会 に 顕 在 化 する DV 被 害 のうち 顕 在 化 してい る 部 分 は 氷 山 の 一 角 である また 被 害 女 性 の 相 談 先 の 多 くは 家 族 知 人 である 調 査 対 象 者 のな かには 重 度 の DV 被 害 経 験 者 も 含 まれているにもかかわらず その 相 談 先 として 配 偶 者 暴 力 相 談 支 援 セン ター 等 の 専 門 機 関 をあげたものは 皆 無 であった すなわち DV 被 害 女 性 のうち それら 専 門 機 関 へ 相 談 する 者 は 数 字 に 現 れない 程 度 の 少 数 である 男 性 の DV 被 害 についても 同 じことがいえる 精 神 的 DVと 身 体 的 DVの 場 合 は 男 性 も 女 性 と 同 程 度 の 被 害 経 験 がある 女 性 のDV 被 害 にくらべて 男 性 の DV 被 害 は 軽 度 のものが 多 く 含 まれてはいるもの の なかには 重 度 の 被 害 もみられる また 一 方 的 に DVの 加 害 をしている 男 性 の 数 と 同 程 度 に 被 害 の みを 受 けている 男 性 が 存 在 する DV 加 害 者 = 男 性 DV 被 害 者 = 女 性 という 図 式 のみでは 社 会 におけ る DV 問 題 の 全 体 を 捉 えられない さらに DV 被 害 経 験 のある 男 性 全 員 が そのことを 誰 にも 相 談 して いないことも 注 目 される これらの 結 果 から ジェンダーによるDVの 二 重 基 準 があることが 示 唆 さ れる 男 性 のなかにはDV 加 害 者 もいれば 被 害 者 もおり その 実 態 は 多 様 であるが 社 会 的 に 男 性 被 害 者 のことを 問 題 視 しないということは 男 性 は 強 くないといけない という 規 範 の 再 生 産 や 男 性 から 女 性 への 暴 力 の 温 床 にもなっていることが 懸 念 される 本 研 究 では こうした 状 況 を たけのこに 喩 えて DV 被 害 の たけのこ 説 を 提 示 する DV 被 害 者 のうち 専 門 機 関 に 相 談 するなどして 社 会 のなかで 日 があたっているのは たけのこの 地 上 に 顔 を 出 した 部 分 のように 全 体 のごく 一 部 に 過 ぎない DV 被 害 の 大 半 は 地 中 に 隠 れており その 存 在 は 他 人 からは 見 えていない この 観 点 からは DV 被 害 の 顕 在 層 しかも 配 偶 者 暴 力 相 談 支 援 センター 等 の 専 門 機 関 が 把 握 している 状 況 を 見 るだけでは 全 容 が 捉 えられないといえる DV 被 害 の 顕 在 層 と 潜 在 層 は 図 表 1の ようにイメージされる 第 三 に DVの 発 生 を 規 定 する 具 体 的 な 要 因 として 次 のことがらが 明 らかになった まず 伝 統 的 な 性 別 役 割 分 業 意 識 は DVの 発 生 と 関 係 している 男 性 についてみると 性 別 役 割 分 業 意 識 が 強 い 者 で 身 体 的 DVを 行 う 確 率 が 高 い また 家 庭 生 活 におけるストレーンが 高 いと 男 性 の 精 神 的 DV 女 性 の 精 神 的 身 体 的 DVの 加 害 が 多 くなる すなわち 家 族 のストレーンが 高 く 冷 静 に 話 し 合 う 関 係 でない ときには DVが 発 生 する 確 率 は 高 くなる 第 四 に DV 被 害 時 の 対 処 状 況 について 次 のことがらが 見 出 された 前 述 したように DV 被 害 女 性

図 表 1 DV 被 害 の 顕 在 層 と 潜 在 層 DV 被 害 経 験 者 専 門 機 関 へ 相 談 家 族 知 人 相 談 せず 女 性 男 性 のうち 配 偶 者 暴 力 相 談 支 援 センター 等 の 専 門 機 関 に 相 談 に 行 く 人 はごく 少 数 であり 大 半 は 家 族 知 人 に 相 談 している この 点 をふまえると DV 被 害 者 の 相 談 ルートについて 図 表 2の ように 二 段 階 の 流 れがあることが 想 定 された DV 被 害 者 の 大 半 は まず 家 族 や 知 人 といった 身 近 な 人 に 相 談 に 行 く 専 門 機 関 へ 相 談 に 行 くのは 家 族 知 人 を 経 由 してから 行 くか 直 接 相 談 へ 行 くかの2つのルートがある ただし DV 被 害 者 の 大 半 がまず 家 族 知 人 に 相 談 に 行 ってい る 状 況 をふまえると 潜 在 的 には 家 族 知 人 の 相 談 を 経 由 してから 専 門 機 関 へ 行 く 可 能 性 が 高 い ことが 示 唆 される このような 観 点 からは まずは 自 分 の 近 くにいる 人 に 相 談 しやすい 環 境 や 雰 囲 気 づくりが 求 められると 考 えられる そして DV 被 害 者 がまず 家 族 知 人 に 相 談 に 行 った 段 階 で 家 族 知 人 がDVを 許 容 しない 意 識 や DV 法 等 の 知 識 を 持 っていることが 被 害 者 に 適 切 な 知 識 や 助 言 を 与 えるためには 必 要 になると 考 えられる したがって DV 被 害 者 の 潜 在 層 を 救 済 するためには 配 偶 者 暴 力 相 談 支 援 センター 等 の 専 門 機 関 の 機 能 充 実 も 大 切 であるが それに も 増 して DV 被 害 者 からの 相 談 をまず 受 ける 可 能 性 が 高 い 一 般 の 人 びとのDVに 対 する 啓 発 活 動 が 重 要 になるといえる 相 談 したかったができなかった という 女 性 は 東 京 よりも 福 島 で 多 い こうした 結 果 から 福 島 は 東 京 よりも DVを 相 談 できる 社 会 環 境 づくりが 大 切 なこと がうかがえる 図 表 2 DV 相 談 の 二 段 階 の 流 れ DV 被 害 者 被 害 者 の 大 半 は ま ず 家 族 友 人 に 相 談 家 族 知 人 そ の う ち の 一 部 が さ ら に 専 門 機 関 へ 相 談 配 偶 者 暴 力 相 談 支 援 センター 等 の 専 門 機 関 一 部 は 直 接 専 門 機 関 へ 相 談

Ⅲ 日 韓 社 会 におけるDV 政 策 1. 日 本 と 韓 国 のドメスティック バイオレンスに 関 する 制 度 と 意 識 ( 横 井 彩 ) ここでは 日 本 と 韓 国 での DV 関 連 法 の 立 法 過 程 と 法 律 の 内 容 を 概 観 した まず DVへの 視 座 は フェミニズムに 影 響 を 受 けた 女 性 中 心 的 なアプローチと ドメスティック バイオレンスを 家 族 の 機 能 不 全 とみなす 家 族 中 心 的 なアプローチの2つに 大 別 されるが それぞれについて 戦 略 的 ジェン ダー ニーズstrategic gender needs と 実 際 的 ジェンダー ニーズ practical gender needs という 概 念 を 援 用 して 政 策 の 論 点 整 理 を 行 った 前 者 は 現 在 の 男 女 の 役 割 分 担 を 改 め 女 性 がおか れている 従 属 的 地 位 を 覆 すもので 後 者 は 結 果 としての 不 平 等 は 問 題 にするが 性 別 役 割 分 業 や 女 性 の 従 属 的 立 場 という 構 造 自 体 を 変 えようと 挑 戦 するものではない 次 に 日 韓 両 国 におけるDV 対 策 の 立 法 について 多 大 な 影 響 を 及 ぼした 国 連 での 議 論 について そ の 変 遷 を 追 い 国 連 での 議 論 が 女 性 中 心 的 アプローチに 移 行 していく 過 程 を 把 握 した そして 日 本 と 韓 国 のDV 関 連 法 を 取 り 上 げ それぞれの 立 法 過 程 について 整 理 した また 運 用 の 経 過 について 考 察 するために DV 関 連 法 成 立 以 後 の 両 国 における 被 害 者 の 求 援 助 行 動 について 考 察 し 日 本 と 韓 国 におけるDVへの 対 応 を 比 較 検 討 した 日 韓 両 国 で 導 入 された 法 律 については ともに 戦 略 的 ジェ ンダー ニーズ を 満 たそうとするものではなく 法 律 導 入 後 も 被 害 女 性 の 自 立 が 難 しい 状 況 が 続 い ているが とくに 韓 国 の 場 合 は 制 度 によって 家 族 を 重 視 する 規 範 が 強 化 されている 様 子 が 把 握 された 2. 韓 国 社 会 と DV 政 策 ( 長 野 慎 一 / 裵 智 恵 ) 韓 国 においては 1960 年 代 以 降 の 開 発 独 裁 下 の 高 度 経 済 成 長 が 政 治 経 済 という 公 的 領 域 におけ る 主 体 を 一 義 的 に 男 性 と 規 定 し 女 性 を 私 的 領 域 へと 排 除 した 儒 教 規 範 と 産 業 化 に 伴 う 近 代 家 族 イ デオロギー 旧 家 族 法 における 男 女 不 平 等 な 規 定 は 公 的 領 域 からの 女 性 の 排 除 と 私 的 領 域 における 女 性 の 男 性 への 従 属 を 促 した こうした 構 造 が DVを 許 容 し 隠 蔽 する 傾 向 を 生 み 出 したと 考 えられ る しかし 80 年 代 末 以 降 女 性 運 動 が 大 きな 役 割 を 果 たしたこともあって DVは 社 会 問 題 化 される その 結 果 加 害 者 に 対 する 刑 事 政 策 と 被 害 者 に 対 する 福 祉 政 策 の 根 拠 法 となるDV 関 連 の2つの 法 律 ( 家 庭 暴 力 犯 罪 の 処 罰 等 に 関 する 特 例 法 家 庭 暴 力 防 止 及 び 被 害 者 保 護 等 に 関 する 法 律 )が 成 立 した 刑 事 政 策 を 特 徴 づけるのは 刑 事 処 罰 と 保 護 処 分 の 二 元 的 システムである 後 者 は 軽 微 なDVの 加 害 者 を 矯 正 することで 家 庭 の 秩 序 被 害 者 家 族 構 成 員 の 人 権 を 保 護 することを 目 的 とする 実 施 状 況 については 司 法 関 係 者 の 家 父 長 的 家 族 観 ジェンダー 観 のため 保 護 処 分 が 多 用 され 二 元 的 シ ステムが 適 正 に 運 営 されていない 保 護 処 分 が 矯 正 効 果 をもたない 被 害 者 の 安 全 の 確 保 が 検 事 の 決 定 に 従 属 している 司 法 関 係 者 の 人 員 が 不 足 している などの 批 判 がある とりわけインタビュー 調 査 からは 政 治 家 や 制 度 運 用 に 関 わる 専 門 職 に 浸 透 している 家 族 主 義 的 理 念 によって 被 害 者 の 人 権 保 障 が 阻 害 される 場 合 があることが 明 らかとなった 福 祉 政 策 は 電 話 相 談 ( 女 性 1366と 呼 ばれる) 相 談 所 シェルター 医 療 機 関 警 察 検 察 法

律 家 等 の 連 携 によって 行 われることになっている しかし これらの 連 携 の 脆 弱 さも 指 摘 されている その 原 因 には 医 療 機 関 や 警 察 の 認 識 不 足 また 全 ての 機 関 の 慢 性 的 な 予 算 不 足 などがあげられよう 現 在 韓 国 社 会 では 家 父 長 制 を 擁 護 する 社 会 的 勢 力 とジェンダー 不 均 衡 の 是 正 を 求 める 社 会 的 勢 力 が 拮 抗 しているかにみえる 3. 日 本 社 会 と DV 政 策 ( 大 貫 挙 学 / 長 野 慎 一 ) 本 研 究 では 日 本 における DV 対 策 の 課 題 を 考 察 するため 当 事 者 や 援 助 職 の 人 びとへのインタ ビュー 調 査 を 行 ってきた DV 防 止 法 の 成 立 は DVの 社 会 問 題 化 という 象 徴 的 機 能 の 点 で まず 評 価 できる だが 同 時 に いくつかの 問 題 点 も 明 らかになった 保 護 命 令 については 使 いにくさ 期 間 の 短 さ 保 護 の 範 囲 の 狭 さへの 不 満 が 多 く 聞 かれた 相 談 支 援 センターの 相 談 員 からは 加 害 男 性 の 侵 入 が 容 易 であるな どの 施 設 の 防 犯 上 の 問 題 シェルターの 不 足 が 指 摘 されている また 援 助 職 からの 二 次 被 害 も 報 告 されており 関 係 者 の 意 識 改 革 や 情 報 の 普 及 も 不 可 欠 である そのためには インフラの 整 備 が 重 要 であるが それは 予 算 の 問 題 に 収 斂 する たとえば 相 談 支 援 センターの 相 談 員 の 賃 金 被 害 者 への 法 律 扶 助 民 間 のシェルターへの 委 託 費 などには さらに 予 算 を 充 てるべきであろう もちろん DV 対 策 は DV 防 止 法 の 内 部 だけで 完 結 する 問 題 ではない (DVを 受 けて 離 婚 した) 女 性 が 家 族 の 外 で 生 活 することは 困 難 であるし いわゆるマイノリティの 人 びとは 社 会 的 資 源 にア クセスしにくい 状 況 にある たとえば 配 偶 者 からの 暴 力 という 前 提 で DVが 捉 えられているため 同 性 のパートナーからの 被 害 は 問 題 化 されにくい また 日 本 人 の 配 偶 者 の 資 格 で 在 留 許 可 を 得 ている 場 合 は 離 婚 によって 在 留 資 格 を 失 う 危 険 性 が 高 い 日 本 の DV 対 策 が 異 性 愛 の 婚 姻 関 係 を 基 準 に 保 護 の 範 囲 を 確 定 していることから 多 くの 問 題 が 生 じている Ⅳ 結 語 ( 渡 辺 秀 樹 / 長 野 慎 一 ) DV 対 策 の 問 題 点 の 検 討 を 通 してみえてきたのは 家 族 という 特 定 の 領 域 内 での 暴 力 のみでは なく 社 会 全 体 のあり 方 の 問 題 であった そして いわゆるマイノリティの 人 びとは DV 対 策 につ いての 社 会 的 な 支 援 を 受 けにくいことも 明 らかとなった 今 後 のDV 対 策 の 課 題 としては 1ジェンダーの 視 点 2 社 会 構 造 全 体 の 改 革 3いたずらな 厳 罰 化 ではなく さまざまな 制 度 的 手 段 の 充 実 4マイノリティへの 視 座 そして5 十 分 な 予 算 と 適 正 な 配 分 という 基 本 的 な 方 向 性 が 考 えられるだろう 謝 辞 本 研 究 においては 多 くの 方 々のお 力 添 えをいただきました インタビューおよび 調 査 にご 協 力 く ださった 方 々にお 礼 を 申 しあげます その 他 ご 支 援 いただいた 方 々に 感 謝 いたします 財 団 法 人 福 島 県 青 少 年 育 成 男 女 共 生 推 進 機 構 福 島 県 男 女 共 生 センター 女 と 男 の 未 来 館 964-0904 福 島 県 二 本 松 市 郭 内 1 丁 目 196-1 TEL 0243-23-8303 FAX 0243-23-8314 URL http://www.f-miraikan.or.jp この 印 刷 物 は 古 紙 配 合 率 100% 再 生 紙 を 使 用 し 環 境 にやさしい 大 豆 インキを 使 用 しています