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( 補 助 金 等 交 付 決 定 通 知 に 加 える 条 件 ) 第 7 条 市 長 は 交 付 規 則 第 11 条 に 規 定 するところにより 補 助 金 の 交 付 決 定 に 際 し 次 に 掲 げる 条 件 を 付 するものとする (1) 事 業 完 了 後 に 消 費 税 及 び

平 成 24 年 4 月 1 日 から 平 成 25 年 3 月 31 日 まで 公 益 目 的 事 業 科 目 公 1 公 2 公 3 公 4 法 人 会 計 合 計 共 通 小 計 苦 情 相 談 解 決 研 修 情 報 提 供 保 証 宅 建 取 引 健 全 育 成 Ⅰ. 一 般 正 味 財


Q7 従 業 員 に 対 する 現 物 給 付 は 報 酬 給 与 額 に 含 まれます A7 法 人 が 役 員 又 は 使 用 人 のために 給 付 する 金 銭 以 外 の 物 又 は 権 利 その 他 経 済 的 利 益 (いわ ゆる 現 物 給 与 )については 所 得 税 において 給


根 本 確 根 本 確 民 主 率 運 民 主 率 運 確 施 保 障 確 施 保 障 自 治 本 旨 現 資 自 治 本 旨 現 資 挙 管 挙 管 代 表 監 査 教 育 代 表 監 査 教 育 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部 市 町 村 警 視 総 監 道 府 県 警 察 本 部

定款  変更

スライド 1

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

弁護士報酬規定(抜粋)

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

<4D F736F F D C8E9688D993AE82C994BA82A492F18F6F8F9197DE81698DC58F49816A2E646F6378>

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 135,6 243,7 185,8 222,9 261,9

別紙3

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 現 況 ( 平 成 22 1 号 給 の 給 料 月 額 137,9 188,9 226,7 266,4 294,3 最 高 号 給 の 給 料 月 額 247,9 314,9 362,8 399,9 415,1 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

目 次 高 山 市 連 結 財 務 諸 表 について 1 連 結 貸 借 対 照 表 2 連 結 行 政 コスト 計 算 書 4 連 結 純 資 産 変 動 計 算 書 6 連 結 資 金 収 支 計 算 書 7

定款

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(1) 率 等 一 覧 ( 平 成 26 年 度 ) 目 課 客 体 及 び 納 義 務 者 課 標 準 及 び 率 法 内 に 住 所 を 有 する ( 均 等 割 所 得 割 ) 内 に 事 務 所 事 業 所 又 は 家 屋 敷 を 有 する で 内 に 住 所 を 有 し ないもの( 均 等

(2) 就 業 規 則 の 状 況 就 業 規 則 は 90.0%の 事 業 所 が 整 備 している このうち 就 業 規 則 を 周 知 している 事 業 所 は 84.0%で 周 知 の 方 法 ( 複 数 回 答 )については 常 時 掲 示 または 備 え 付 け が 最 も 多 く 64

 

Microsoft Word - H24様式(那珂市版).doc

類 ( 番 号 を 記 載 ) 施 設 名 事 所 名 所 在 事 開 始 年 月 日 事 規 模 ( 定 員 ) 公 益 事 必 要 な 者 に 対 し 相 談 情 報 提 供 助 言 行 政 や 福 祉 保 健 医 療 サービス 事 者 等 との 連 絡 調 整 を 行 う 等 の 事 必 要



為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

【労働保険事務組合事務処理規約】

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財団法人山梨社会保険協会寄付行為

平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

土 購 入 土 借 用 土 所 有 権 移 転 登 記 確 約 書 農 転 用 許 可 書 ( 写 ) 農 転 用 届 出 受 理 書 ( 写 ) 土 不 動 産 価 格 評 価 書 土 見 積 書 ( 写 ) 又 は 売 買 確 約 書 ( 写 ) 土 売 主 印 鑑 登 録 証 明 書 売 主

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 2 年 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 ( 注 ) 給 料 月 額 は 給 与 抑 制 措 置 を 行 う 前 のものです ( 単 位 : ) 3 職 員 の 平 均 給 与 月

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

第 3 章 会 員 ( 会 員 の 資 格 ) 第 5 条 協 会 の 会 員 は 協 会 の 目 的 に 賛 同 して 入 会 した 次 の 各 号 に 掲 げる 者 とする (1) 軽 種 馬 を 生 産 する 者 (2) 軽 種 馬 を 育 成 する 者 (3) 馬 主 (4) 調 教 師 (

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

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Taro-08国立大学法人宮崎大学授業

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育休代替任期付職員制度について

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

(5) 給 与 改 定 の 状 況 事 委 員 会 の 設 置 なし 1 月 例 給 事 委 員 会 の 勧 告 民 間 給 与 公 務 員 給 与 較 差 勧 告 A B A-B ( 改 定 率 ) 給 与 改 定 率 ( 参 考 ) 国 の 改 定 率 24 年 度 円 円 円 円 ( ) 改

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 級 の 給 料 月 額 最 高 号 級 の 給 料 月 額 1 級 ( 単 位 : ) 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 9 級 1 級 135,6 185,8 222,9 261,


130117_『高齢社会をむかえた東京23区の将来 人口と建物の関係から見て

(3) 職 員 の 初 任 給 の 状 況 ( 平 成 5 年 月 日 現 在 ) 決 定 初 任 給 採 用 年 経 過 後 給 料 月 額 大 学 卒 7, 8, 一 般 行 政 職 短 大 卒 9,8 6, 高 校 卒, 8,5 () 職 員 の 経 験 年 数 別 学 歴 別 平 均 給 料

科 目 予 算 額 決 算 額 差 異 Ⅱ 投 資 活 動 収 支 の 部 1. 投 資 活 動 収 入 特 定 資 産 取 崩 収 入 13,811,848 62,532,864 48,721,016 退 職 給 付 引 当 資 産 取 崩 収 入 2,811,848 54,237,864 51,

類 ( 番 号 を 記 載 ) 施 設 名 事 所 名 所 在 事 開 始 年 月 日 事 規 模 ( 定 員 ) 公 益 事 1 必 要 な 者 に 対 し 相 談 情 報 提 供 助 言 行 政 や 福 祉 保 健 医 療 サービス 事 者 等 との 連 絡 調 整 を 行 う 等 の 事 必

(5 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業 所 の 新 規 に 採 用 し た 全 て の 居 宅 介 護 従 業 者 に 対 し 熟 練 し た 居 宅 介 護 従 業 者 の 同 行 に よ る 研 修 を 実 施 し て い る こ と (6 ) 当 該 指 定 居 宅 介 護 事 業

2 前 項 前 段 の 規 定 にかかわらず 年 俸 制 教 職 員 から 申 し 出 があった 場 合 においては 労 使 協 定 に 基 づき その 者 に 対 する 給 与 の 全 額 又 は 一 部 を 年 俸 制 教 職 員 が 希 望 する 金 融 機 関 等 の 本 人 名 義 の 口


所 得 の 種 類 と 所 得 金 額 の 計 算 方 法 所 得 の 種 類 要 件 計 算 方 法 事 業 雑 営 業 等 農 業 小 売 業 製 造 業 飲 食 業 理 容 業 保 険 外 交 員 大 工 集 金 人 ピアノ 講 師 など 農 産 物 の 生 産 果 樹 の 栽 培 家 畜 の

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3 職 員 の 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 ( ベース) 43.7 歳 32, , ,321

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

省 九 州 地 方 整 備 局 長 若 しくは 宮 崎 県 知 事 に 意 見 を 提 出 することができる ( 役 員 の 任 命 ) 第 8 条 理 事 長 及 び 監 事 は 宮 崎 県 知 事 が 任 命 する 2 理 事 は 理 事 長 が 任 命 する 3 副 理 事 長 は 理 事 長

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

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情 報 通 信 機 器 等 に 係 る 繰 越 税 額 控 除 限 度 超 過 額 の 計 算 上 控 除 される 金 額 に 関 する 明 細 書 ( 付 表 ) 政 党 等 寄 附 金 特 別 控 除 額 の 計 算 明 細 書 国 庫 補 助 金 等 の 総 収 入 金 額 不 算 入 に 関

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別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

貸 借 対 照 表 内 訳 表 212 年 3 月 31 日 現 在 公 益 財 団 法 人 神 奈 川 県 公 園 協 会 科 目 公 益 目 的 事 業 会 計 収 益 事 業 等 会 計 法 人 会 計 内 部 取 引 消 去 合 計 Ⅰ 資 産 の 部 1. 流 動 資 産 現 金 預 金

1 ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 の 事 業 税 の 課 税 について ガス 供 給 業 を 行 う 法 人 は 収 入 金 額 を 課 税 標 準 として 収 入 割 の 申 告 となります ( 法 72 条 の2 72 条 の 12 第 2 号 ) ガス 供 給 業 とその 他 の 事

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) (H25.4.1) (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.7.1) (H25.4.1) (H25.7.1)

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 161,7 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

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国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

ニュースリリース

財団法人○○会における最初の評議員の選任方法(案)

2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

Microsoft Word - 【溶け込み】【修正】第2章~第4章

目 次 1 報 酬 給 与 額 事 例 1 報 酬 給 与 額 に 含 める 賞 与 の 金 額 が 誤 っていた 事 例 1 事 例 2 役 員 退 職 金 ( 役 員 退 職 慰 労 金 )を 報 酬 給 与 額 として 申 告 して いなかった 事 例 1 事 例 3 持 株 奨 励 金 を

スライド 1

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

税金読本(8-5)特定口座と確定申告

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兵庫県公立学校教職員等財産形成貯蓄事務取扱細則

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敷 金 保 証 金 投 資 有 価 証 券 子 会 社 株 式 関 連 会 社 株 式 ( 負 債 の 部 ) 科 目 大 科 目 中 科 目 流 動 負 債 固 定 負 債 ( 正 味 財 産 の 部 ) 基 金 科 支 払 手 形 未 払 金 前 受 金 預 り 金 短 期 借 入 金 1 年

Taro-29職員退職手当支給規程

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注 記 事 項 (1) 当 四 半 期 連 結 累 計 期 間 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 : 無 (2) 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 : 有 ( 注 ) 詳 細 は 添 付 資 料 4ページ 2.サマリー 情 報 (

4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の 作 成 に 特 有 の 会 計 処 理 の 適 用 有

32 農事組合法人法人用パンフ_24.2一部改正)

信用調査報告書(見本)

月 収 額 算 出 のながれ 給 与 所 得 者 の 場 合 年 金 所 得 者 の 場 合 その 他 の 所 得 者 の 場 合 前 年 中 の 年 間 総 収 入 を 確 かめてください 前 年 中 の 年 間 総 収 入 を 確 かめてください 前 年 中 の 年 間 総 所 得 を 確 かめ

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

Taro-別紙1 パブコメ質問意見とその回答

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 概 要 国 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている 総 合 的

Transcription:

地 域 政 策 研 究 ( 高 崎 経 済 大 学 地 域 政 策 学 会 ) 第 14 巻 第 4 号 2012 年 3 月 17 頁 32 頁 近 代 と 伝 統 が 混 在 するメラネシアの 金 融 事 情 ソロモン 諸 島 とパプアニューギニア 上 西 英 治 河 辺 俊 雄 The monetary situation of Melanesia Where modernization and tradition coexist The case of Solomon Islands and Papua New Guinea Eiji JONISHI, Toshio KAWABE 要 旨 ワントークとは メラネシア 特 有 の 伝 統 的 社 会 規 範 であり 同 一 言 語 集 団 の 成 員 を 意 味 する ワントークと 金 融 についてソロモン 諸 島 の 首 都 ホニアラで 聞 き 取 り 調 査 を 行 い 住 民 が 置 かれて いる 金 融 情 勢 と 住 民 の 金 銭 感 覚 について 詳 述 し 考 察 をおこなった その 結 果 ソロモン 諸 島 で は 個 人 部 門 の 貸 し 倒 れが 多 いため 商 業 銀 行 の 貸 出 姿 勢 が 慎 重 であり 資 金 の 循 環 が 充 分 では ない その 理 由 として ワントークが 相 互 扶 助 の 社 会 規 範 であるため 日 本 人 とは 異 なるルーズ な 金 銭 感 覚 があることを 明 らかにした キーワード:ワントーク ソロモン 諸 島 金 銭 感 覚 Summary Wantok is the Melanesian-specific traditional social norm and means the members in the same language family. We conducted the interview survey at Honiara, the capital city of the Solomon Islands to describe and discuss the monetary situation and the money sense of the local people. Consequently, the results show that commercial banks are discreet in lending to individuals due to much dead loan in the personal sector and that the money flow is not enough. The results also demonstrate that Wantok or their social norms based on the mutual support is behind the situation and that the people s money sense is not scrupulous unlike Japanese people. Key words:wantok, Solomon Islands, money sense 17

上 西 英 治 河 辺 俊 雄 Ⅰ はじめに メラネシア 1 は 赤 道 以 南 東 経 180 度 以 西 にある 島 々の 総 称 であり オーストラリアの 北 北 東 に 位 置 する パプアニューギニア ソロモン 諸 島 フィジー 諸 島 などがあり 近 代 と 伝 統 が 混 在 する 世 界 である 豊 かな 自 然 環 境 のなかで 根 栽 農 耕 文 化 が 発 展 した 広 範 囲 に 人 口 が 拡 散 し ていて 多 様 な 民 族 が 存 在 する 一 方 経 済 の 発 展 は 遅 れている この 地 域 には 伝 統 的 な 文 化 が 今 も 残 され ワントークという 相 互 扶 助 の 社 会 規 範 が 存 在 する しかし この 規 範 が 経 済 発 展 を 遅 らせているとも 考 えられる 文 化 人 類 学 や 人 類 生 態 学 見 地 からメラネシアの 研 究 は 数 多 くなされているが 金 融 に 関 する 研 究 は 少 ない 本 論 文 では メラネシア 特 有 のワントークという 社 会 規 範 を 概 観 したあと ソロモ ン 諸 島 の 首 都 ホニアラでの 聞 き 取 り 調 査 をもとに 住 民 が 置 かれている 金 融 情 勢 と 住 民 の 金 銭 感 覚 について 詳 述 し ワントークと 金 融 について 考 察 を 行 う Ⅱ ワントークとは 1 ワントーク ワントーク(wantok)とは 英 語 のone talkから 派 生 したビジン 語 2 であり 文 字 通 りひとつ の 言 語 を 共 有 する 人 びと すなわち 同 一 言 語 集 団 の 成 員 を 意 味 する ワントークは 相 互 扶 助 の 関 係 でむすばれ その 連 帯 や 仲 間 意 識 は 現 在 でも 村 落 部 ではもちろん 都 市 部 でもきわめて 強 い 3 ワントーク 間 での 相 互 扶 助 は 当 然 のこととして 受 け 入 れられている たとえば 村 落 から 公 務 員 として 都 市 部 へ 生 活 するようになった 人 が1 人 いると その 人 の 一 族 郎 党 だけでなく ワントー クであれば まるで 自 分 の 家 かのように 都 市 部 での 居 候 をすることができる 4 このように メ ラネシア 社 会 の 根 底 には 困 ったときには 互 いに 助 け 合 う という 相 互 扶 助 の 精 神 が 強 く 根 づい ていて 同 一 の 言 葉 を 話 す 人 びと(ワントーク)が 重 要 視 されている ワントークにはブラスの 側 面 とマイナスの 側 面 がある プラスの 側 面 としてワントークがセー フティネットの 役 割 を 果 たしていることが 挙 げられる 熊 谷 (2010)は パプアニューギニア の 街 では 物 乞 いやホームレスを 見 かけることがほとんどないことを 指 摘 し ワントークが 政 府 に 変 わるセーフティネットの 役 割 を 果 たしていると 結 論 付 けている 5 ソロモン 諸 島 も 同 様 であ る 首 都 のホニアラ 市 内 を 歩 くと 多 くの 失 業 者 を 見 かけるが ホームレスや 物 乞 いはいない 食 べ 物 がなくても 家 がなくでも ワントークのところに 行 けば 助 けてもらえるからである 一 方 ワントークにはマイナスの 側 面 がある 公 共 性 の 意 識 が 希 薄 であること ワントーク 間 や 内 部 に 存 在 する 対 抗 意 識 とジェラシーである 熊 谷 (2010)は ワントーク 内 部 では 助 け 合 いを 行 うが それ 以 外 のメンバーを よそ 者 としてみなすため 公 共 性 の 意 識 が 薄 いこと 18

近 代 と 伝 統 が 混 在 するメラネシアの 金 融 事 情 ワントークの 関 係 は 持 たざる 者 にとっては 利 点 になるが 持 っている 人 にとっては 負 担 となり 働 く 意 欲 を 削 ぐこと を 指 摘 している 6 また 石 森 (2004)は ワントーク 間 には 対 立 意 識 やジェラシーが 内 在 し それが 経 済 発 展 を 阻 害 していると 指 摘 している 7 ソロモン 諸 島 で 仕 事 に 従 事 している 日 本 人 から 以 下 のような 話 を 聞 いた あるワントークの 娘 と 他 のワントークの 大 学 教 授 との 結 婚 話 が 持 ち 上 がった ソロモン 諸 島 では 大 学 教 授 は 超 エリー トであり 高 給 である ワントーク 内 部 では 助 け 合 うことが 当 たり 前 であり 義 務 でもある 二 人 が 結 婚 することは 大 学 教 授 が 娘 のワントークになることを 意 味 し 娘 のワントークは 大 学 教 授 から 金 銭 面 の 援 助 を 受 け 取 ることができる しかし この 縁 談 を 娘 のほうから 断 ってしまった 娘 のワントークは 金 銭 面 の 援 助 を 受 けることが 出 来 なくなった 日 本 でいう 村 八 分 の 状 態 になり 娘 は 村 に 居 られなくなり ホニアラに 行 った ワントークは 理 性 的 な 相 互 扶 助 組 織 ではなく 内 部 にはジェラシーが 存 在 するのである このように ワントークは 富 の 再 分 配 による 社 会 的 な 格 差 をつくらないシステムであり 社 会 的 不 平 等 を 解 消 するシステムである 福 祉 が 行 き 渡 らないオセアニア 社 会 のセーフティネットの 役 割 を 果 たしている しかし ワントーク 内 の 論 理 を 優 先 するために 公 共 の 概 念 が 希 薄 であり 富 の 再 配 分 のため 働 く 意 欲 を 削 ぎ 経 済 発 展 を 妨 げるマイナスの 側 面 もある ワントークは 資 本 主 義 のようにお 互 いに 競 争 しあうことによって 発 展 するようなシステムとは 異 なる 仕 組 みを 内 包 している 自 由 競 争 が 前 提 の 資 本 主 義 と 相 互 扶 助 が 原 則 であるワントークとは 相 容 れない 部 分 がある また 一 人 当 たり 名 目 GDP(2010 年 世 界 銀 行 )で 見 ると パプアニューギニアは1,465 米 ドル で130 位 ソロモン 諸 島 は1,357 米 ドルで135 位 と 所 得 が 低 い 国 の1つに 挙 げられる 経 済 発 展 を 妨 げている 理 由 のひとつとしてワントークの 存 在 がある 2 ワントーク 成 立 の 自 然 的 要 因 ワントークは 相 互 扶 助 システムであり この 成 立 には 自 然 的 要 因 が 大 きく 関 わっている メラ ネシア 地 域 は 根 栽 農 耕 文 化 であり ヤムイモ タロイモ バナナ サトウキビが 主 要 作 物 である 水 分 含 有 量 が 多 いヤムイモ タロイモなどの 根 茎 類 は 貯 蔵 性 が 低 く 頻 繁 に 収 穫 を 繰 り 返 さなけ ればならない したがって 余 剰 生 産 性 や 人 びとの 行 動 パターンからは 農 耕 に 移 行 しても 野 生 動 物 の 採 集 との 違 いが 相 対 的 に 少 ない その 結 果 根 栽 農 耕 文 化 圏 では 古 代 文 明 は 全 く 興 ってい ない また この 地 域 で 家 畜 飼 育 されたブタは 肉 の 供 給 が 主 なる 用 途 であり 住 民 の 生 存 パター ンに 与 えた 影 響 は 相 対 的 に 低 かった 8 根 茎 類 を 主 たる 作 物 とする 場 合 は 貯 蔵 性 が 低 いので 大 規 模 な 集 落 を 形 成 することは 困 難 であ る さらに 根 茎 類 は 焼 畑 で 工 作 されることが 多 く 焼 畑 農 耕 の 場 合 は 休 耕 期 間 が 必 要 なので 広 い 面 積 を 必 要 とし 大 規 模 な 集 団 を 形 成 することはむずかしい 9 そのため 富 の 蓄 積 が 進 まず 商 品 経 済 が 発 展 せず 社 会 組 織 も 部 族 社 会 のレベルで 停 滞 し 近 代 国 家 のような 大 きな 社 会 組 織 19

上 西 英 治 河 辺 俊 雄 は出来なかった このような状況の中でワントークが成立した ワントークは貧富の差を生まないシステムであ り 食物の貯蔵が困難である根栽農耕文化であるメラネシア地域では 有効なシステムである また この地域の多くは 人口が少なく 豊かな自然環境に恵まれ 一年中イモやマンゴー バ ナナが採れ 食料には事欠かない そのため この地域では 商品経済はあまり発展せず 18 世紀の末まで自給自足経済が主流であった この意味で ワントークはオセアニアの自然環境が 生んだ社会規範である 3 一般的互酬性としてのワントーク 出展 M サーリンズ 1984 石器時代の経済学 山内 昶 訳 法政大学出版会 図1 血縁および居住のセクターと互酬性 サーリンズによると 互酬性は①一般的互酬性 ②均衡的互酬性 ③否定的互酬性に3分類さ れる 一般的互酬性は 利他的な行為であり 近親者のあいだでの食物のわかちあい 無料援助 歓待の行為などにみられる 返済の期待はあるが いつ 何を返済するかは定かではない 均衡 的互酬性とは直接交換のことであり 直接に買ったものと等価なものを遅滞なく返済することが 条件である 否定的互酬性とは 何も与えずに何かを獲得することである 非人格的交換であり 他人を犠牲にして利潤を最大限に挙げる試みでもある10 ワントークをこれらの分類にあてはめると 一般的互酬性のシステムである お金の貸し借り で見ると 親族間の貸し借りがこれに当たる つまり 親族間であるので利息は取らず 返済は ある時払いの催促なしである 一方 金融は お互いに利害関係のない借り手と貸し手の間の資 20

近代と伝統が混在するメラネシアの金融事情 金の融通であり 均衡的互酬性のシステムである 借りた資金の等価として利息を支払い 期日 になれば資金の返済をしなければならない このようにワントークと金融は相容れないものであ る Ⅲ ソロモン諸島の概要 1 ソロモン諸島の概要 ソロモン諸島 Solomon Islands はパプアニューギニアの東に位置し 990余りの多数の島々 から成る多様な言語 文化 民族を内容する島嶼国家であり 1978年よりイギリスから独立した 面積は2万9,785平方 人口51万5,870人 2009年 国勢調査より 首都はホニアラである 民族はメラネシア系が約94 を占める 80以上の固有の言語が存在し 共通語はビジン英語で あり 人口の97 がキリスト教徒となっている11 図2 ソロモン諸島の位置 2 ソロモン諸島の経済12 ソロモン諸島の主要産業はコプラ 木材 魚などの第一次産業が中心であり 2010年のGDP は54億990万ソロモンドル13 以下SBD であり 経済成長率は7.1 である14 1人当たりの名 目GDPは 10,251SBDである15 総人口の約80 は 直接経済の恩恵を受けない村落に住み 自 給自足の生活を行っている 国家の歳入は22億5,730万SBDであり そのうち5億1,810万は近 隣国からの経済援助である 歳出は 18億7,190万SBDである 21

上 西 英 治 河 辺 俊 雄 16 3 ソロモン 諸 島 の 金 融 情 勢 2010 年 のソロモン 中 央 銀 行 の 総 資 産 は24 億 SBD 総 負 債 は20 億 SBDであり 自 己 資 本 は3 億 7,100 万 SBDである 現 金 通 貨 と 預 金 通 貨 の 合 計 であるM1は4 億 1,180 万 SBD 広 義 の 通 貨 であ るM3は21 億 3,400 万 SBDである 政 策 金 利 (2011 年 9 月 )は 預 金 金 利 1.63% 貸 出 金 利 13.28%である 民 間 部 門 への 貸 出 残 高 は11 億 6,540 万 SBDである 17 4 ソロモン 諸 島 の 金 融 機 関 ソロモン 諸 島 には 3つの 外 資 系 商 業 銀 行 の 支 店 網 貯 蓄 金 融 機 関 17の 信 用 組 合 国 の 基 金 で 設 立 された 預 金 取 扱 機 関 開 発 銀 行 ( 清 算 のため 裁 判 所 の 管 理 下 ) 3つの 生 命 保 険 会 社 7つの 金 融 仲 介 会 社 がある (1) 商 業 銀 行 ソロモン 諸 島 国 内 には ANZ 銀 行 (Australia & New Zealand Banking Group Ltd.) SOUTH PACIFIC 銀 行 (Bank South Pacific) WESTPAC 銀 行 (Westpac)の 支 店 がある 2010 年 の 商 業 銀 行 3 行 の 総 資 産 は21 億 9,230 万 SBD 18 であり 総 貸 出 額 10 億 3,012 万 SBDであ る 営 業 利 益 は3 億 100 万 SBD 純 利 益 は1 億 820 万 と 好 業 績 である しかし このような 好 業 績 にもかかわらず これらの 銀 行 の 不 良 債 権 は8,550 万 SBDであり 全 貸 出 の8.3%を 占 めている 特 に 個 人 部 門 の 不 良 債 権 が 多 い 表 1 金 融 機 関 の 支 店 網 (2010) 銀 行 の 支 店 数 14 銀 行 代 理 店 9 ATM 35 EFTPOS 137 移 動 店 舗 3 写 真 1 銀 行 の 移 動 店 舗 EFTPOS: エフトポスとはElectronic Funds Transfer at Point of Salesの 略 で 支 払 代 金 を 自 分 の 銀 行 口 座 から 直 接 引 き 落 とすサービス 移 動 店 舗 : ATMに 加 えて スタッフが 同 行 ガダルカナル 島 内 の 銀 行 支 店 のない 村 落 に 金 融 サービスを 提 供 (2) 金 融 会 社 ク レ ジ ッ ト コ ー ポ レ ー シ ョ ン リ ミ テ ッ ド(Credit Corporation(Solomon Islands) 22

近 代 と 伝 統 が 混 在 するメラネシアの 金 融 事 情 Limited:CCSIL)は 定 期 預 金 や 動 産 抵 当 融 資 を 行 う 金 融 会 社 であり 2010 年 12 月 末 の 総 資 産 3,250 万 SBD 運 送 業 や 建 設 業 向 けに 融 資 を 行 っている (3) 信 用 組 合 9つの 信 用 組 合 があり 組 合 数 は4,183 名 総 資 産 は4,300 万 SBD 組 合 員 からの 出 資 金 )3,680 万 SBDにより 組 合 員 向 け 貸 付 3,100 万 SBDを 行 っている (4)ソロモン 諸 島 国 立 準 備 基 金 (SINPF) 2010 年 のソロモン 諸 島 国 立 準 備 基 金 の 資 産 は11 億 8,100 万 SBDであり 株 式 による 出 資 3 億 1,360 万 SBD 国 債 引 き 受 け1 億 2,830 万 SBD 貸 出 9,170 万 SBDを 行 っている Ⅳ ホニアラ 調 査 内 容 ソロモン 諸 島 は 近 代 と 伝 統 が 混 在 する 世 界 である 近 代 化 を 押 し 進 めるためには 経 済 発 展 が 必 要 である そのためには 経 済 の 潤 滑 油 である 金 融 の 進 展 が 不 可 欠 である しかし メラネ シアでは 金 融 に 関 する 調 査 は 極 めて 少 ない そこで ソロモン 諸 島 の 首 都 ホニアラで 2011 年 9 月 20 日 ( 火 )から9 月 23 日 ( 金 )にかけて 現 地 在 住 の 日 系 人 JAICAの 役 職 員 日 本 大 使 館 の 役 職 員 日 系 企 業 の 職 員 現 地 の 従 業 員 金 融 会 社 の 社 長 に 対 して ホニアラの 金 融 事 情 に ついて 聞 き 取 り 調 査 を 行 った その 結 果 ホニアラの 住 民 の 金 銭 感 覚 は 日 本 人 が 持 つ 金 銭 感 覚 とは 異 なっていることが 明 らかになった 1 ホニアラの 概 要 ホニアラ(Honiara)は ソロモン 諸 島 ガダルカ ナル 島 にある 人 口 6 万 4,602 人 (2009 年 国 政 調 査 より)の 首 都 であり 第 二 次 大 戦 後 に 旧 首 都 ツラギ に 替 わって 建 設 された 人 工 都 市 である さまざまな 事 業 や 商 売 がホニアラに 一 極 集 中 するようになり それを 目 指 してマライタ 島 を 中 心 に 多 くの 他 島 民 が 出 稼 ぎや 移 住 を 行 ってきたそのためホニアラの 人 口 は1970 年 の12,000 人 から5 倍 になり ソロモン 諸 写 真 2 ATM(WESTPAC 銀 行 )に 並 ぶ 人 たち 島 全 人 口 に 対 する 割 合 も7.5%から12.5%へ 増 加 し た 19 また 他 の 地 域 と 比 較 すると 所 得 が 高 く 家 計 資 産 を5 分 割 にして 表 すと ホニアラでは 85%が 高 所 得 であり 20 ソロモン 諸 島 の 全 資 金 の50%がホニアラに 集 中 している 21 ホニアラには ANZ 銀 行 SOUTH PACIFIC 銀 行 WESTPAC 銀 行 の 支 店 があり ATMも 完 備 さ れている ホニアラで 勤 務 する 公 務 員 や 従 業 員 の 給 与 は2 週 間 ごとに 支 払 われ その 多 くは 小 切 手 で 支 払 われる そのため 小 切 手 を 現 金 化 するためには 銀 行 に 口 座 を 開 く 必 要 がある また 23

上 西 英 治 河 辺 俊 雄 日 本 とは 違 い 銀 行 で 口 座 を 設 定 した 場 合 口 座 維 持 手 数 料 が 月 5SBD 程 度 徴 収 され 通 帳 は 発 行 されない 2 ホニアラの 金 融 状 況 2011 年 9 月 20 日 ( 火 )および9 月 22 日 ( 木 )に ソロモン 諸 島 ホニアラにあるY. Sato & CO LTDの 事 務 所 において Yukio Satoに 対 してソロモン 諸 島 の 金 融 情 勢 について 聞 き 取 り 調 査 を 行 っ た Yukio Sato:1938 年 北 鎌 倉 生 まれ74 歳 日 本 名 は 佐 藤 行 雄 マライタ 島 の 酋 長 の 娘 と 結 婚 ソロモン 諸 島 に 帰 化 ソロモン 諸 島 在 住 46 年 Y-Sato & Co Ltdなどの 会 社 経 営 を 行 っている 元 国 会 議 員 国 会 議 員 在 職 中 は 経 済 金 融 部 門 を 担 当 (1)ホニアラに 集 中 する 資 金 ソロモン 諸 島 では ホニアラに 資 金 が 集 中 している ソロモン 諸 島 全 体 の 資 金 量 を100とする とホニアラに50 その 他 の 地 域 に25 金 融 機 関 に25の 割 合 で 資 金 がある (2) 不 充 分 な 資 金 の 循 環 ソロモン 諸 島 では 資 金 の 循 環 が 充 分 ではない 預 金 金 利 が2%に 対 して 貸 出 金 利 は18%であ り 預 金 金 利 と 貸 出 金 利 の 差 が 大 きい 運 用 先 が 少 ないことが 原 因 だ また 貸 し 倒 れが 多 く 銀 行 の 貸 出 姿 勢 は 慎 重 である 特 に 村 落 部 では 融 資 そのものが 難 しい ソロモン 諸 島 では 都 市 部 は 貨 幣 経 済 が 浸 透 している が 村 落 部 は 伝 統 的 な 自 給 自 足 経 済 である 日 常 生 活 にお 金 があまりかからないし お 金 を 使 う 場 所 もないからだ 村 落 部 では 現 金 経 済 の 比 率 が12 13%ほどであり 88%はお 金 を 使 わな い 自 給 自 足 の 経 済 である その 理 由 として 自 然 が 豊 かで 食 べることには 困 らないことがある ソロモン 諸 島 の 一 人 当 たりGDPは USドル 換 算 で1,000 $と 少 なく 世 界 の 最 貧 民 国 の1つであ りながら ホームレスや 物 乞 いがいない つまり エンゲル 係 数 が 通 用 しない 世 界 である 例 え ば 衣 食 住 では ほとんどお 金 を 必 要 としない 衣 から 見 ると 半 ズボンと 丁 シャツ サンダル だけで 一 年 中 過 ごすことができる 食 から 見 ると 自 前 の 畑 での 自 給 自 足 が 可 能 である 住 では 屋 根 や 壁 などは 近 くにある 素 材 で 済 み 必 要 なものといえば 釘 とハンマーぐらいだ また 労 働 力 はタダだと 思 っている (3) 融 資 に 慎 重 な 商 業 銀 行 住 民 側 から 見 ると 商 業 銀 行 に 対 する 不 満 は 多 い 預 金 金 利 が 低 く 貸 出 金 利 が 高 いことがその 原 因 である 住 民 が 銀 行 からお 金 を 借 りたい 場 合 土 地 は 担 保 にはなりにくい ソロモン 諸 島 で は 土 地 法 により3 種 の 土 地 が 存 在 し その 多 くが 法 的 拘 束 力 のない 慣 習 地 (customary land)で ある そのため 家 のローンを 銀 行 で 組 もうとする 場 合 土 地 を 担 保 とすることは 困 難 である 住 民 側 すると 銀 行 は 担 保 を 保 有 していてもなかなかお 金 を 貸 してくれない 面 白 くない 存 在 であ る また 銀 行 からお 金 を 借 りる 場 合 には 連 帯 保 証 人 が 必 要 である 24

近 代 と 伝 統 が 混 在 するメラネシアの 金 融 事 情 このような 状 態 なので 国 会 議 員 が 中 心 となって ソロモン 諸 島 開 発 銀 行 が 設 立 され 海 外 の ファンドから 資 金 を 調 達 し 商 業 銀 行 よりも 低 い 金 利 で 人 々に 貸 出 を 行 った しかし 借 りた 人 が 返 さず 多 額 の 不 良 債 権 が 発 生 し 破 綻 した 返 さなかった 人 のなかには 国 会 議 員 が 多 数 いた クレジットユニオン( 信 用 組 合 )があり 銀 行 が 相 手 にしない 人 々に 対 する 融 資 を 行 っている また 村 落 部 には 銀 行 の 支 店 はない 経 済 的 にペイしないからだ (4)ワントークが 支 配 的 な 社 会 ソロモン 諸 島 には ワントーク という 同 族 を 守 るシステムがある このシステムにはいい 面 と 悪 い 面 がある 都 市 部 での 犯 罪 の 発 生 率 が 低 いのは ワントークがあるからだ 村 落 部 から 都 市 部 にきた 人 々は ワントーク を 頼 る 都 市 部 で 仕 事 がなくても ワントーク のところに 行 けば 食 べるには 困 らない ワントーク がなければ 都 市 部 の 犯 罪 はもっとと 増 えているだろう このような ワントーク は 都 市 部 の 治 安 を 維 持 する 役 割 がある 一 方 ワントーク には 悪 い 面 がある ワントーク のルールは 日 本 の ヤクザ の 世 界 の 一 宿 一 飯 の 恩 義 と 同 じである 身 内 のルールを 守 るのであれば 同 じ 身 内 内 では 助 け 合 う しかし このルールは 社 会 のルールとは 違 っている ソロモン 諸 島 では 表 向 きには 宗 主 国 である 英 国 の 法 律 が 制 定 されているが 土 地 問 題 などはワントークのルールが 優 先 される ソロモン 諸 島 の 住 民 の 意 識 を 順 番 にすると 1ワントーク( 同 族 意 識 ) 2 宗 教 (キリスト 教 ) 3 国 家 意 識 の 順 である このワントークを 変 化 させ ワントークの 意 識 を 残 しつつも 3 番 目 の 国 家 意 識 を 一 番 に 持 っていきたい 牛 山 純 一 地 球 儀 の 旅 日 本 経 済 新 聞 1995 年 3 月 19 日 で Y-Satoは ソロモン 諸 島 では 長 年 のイギリス 植 民 地 支 配 の 後 遺 症 が 残 っている 国 家 意 識 よりも 同 族 意 識 が 強 く 宗 教 団 体 を 通 じての 結 束 が 次 で 国 家 意 識 は 最 後 である 植 民 地 の 常 として 独 立 自 尊 よりも 他 国 へ の 依 存 依 頼 の 気 持 ちが 捨 てきれない と 述 べたうえで その 解 決 のためには コロニアリ ズムの 後 遺 症 から 立 ち 直 り 自 分 たちでもやる 自 分 たちでもできるという 意 識 をもつこと が 必 要 であると 述 べている (5)ルーズな 金 銭 感 覚 都 市 部 の 人 々の 生 活 は 厳 しい 給 料 は2 週 間 に1 回 支 払 われるが 前 借 も 多 い 私 の 会 社 (スーパー)では 従 業 員 の 給 料 は2 週 間 に1 度 支 給 している 振 込 みではなく 現 金 を 手 渡 ししている 従 業 員 が 店 の 品 物 を 買 う 場 合 は すべて 現 金 で 購 入 することを 義 務 付 けて いる つけで 購 入 することは 禁 止 にしている もらった 給 料 を 計 画 的 に 使 うことは 難 しいらしく 従 業 員 の3 割 は 給 料 の 前 借 りをしている 前 借 りの 分 は 給 料 支 給 日 に 従 業 員 が 自 発 的 に 返 済 す るように 指 導 している ソロモン 諸 島 では 給 料 の 支 払 は2 週 間 に1 度 が 当 たり 前 であり 日 本 の ように 給 料 の 支 給 を1ヶ 月 に1 回 にしたら 従 業 員 の 生 活 が 成 り 立 たなくなる また 従 業 員 の 25

上 西 英 治 河 辺 俊 雄 給 料 は 会 社 の 査 定 を 元 にソロモン 諸 島 の 基 準 よりも 平 均 2 3% 高 い 水 準 でのベースアップを している 当 初 3ヶ 月 間 は 試 験 採 用 であり その 後 本 採 用 としている 5 年 以 上 勤 めている 従 業 員 の 子 供 に 対 して 学 費 の 援 助 をしている 年 末 に1 回 ボーナスを 支 給 している(ソロモン 諸 島 で はボーナス 支 給 の 習 慣 はない) 年 末 年 初 には 出 費 がかさむので 従 業 員 に 喜 ばれている 経 営 方 針 として 従 業 員 のリストラは 行 っていない 出 来 るだけ 従 業 員 と 同 じ 目 線 を 持 つようにして いる お 金 を 借 りた 場 合 借 りたお 金 は 必 ず 返 す という 社 会 規 範 はないに 等 しい あるとき 払 い の 催 促 なし のように 返 済 の 期 限 などなく お 金 の 余 裕 がある 時 に 支 払 えばよいいと 考 えてい る そのため 銀 行 から 見 ると 個 人 の 信 用 度 はとても 低 い 私 は 商 売 柄 小 切 手 を 使 用 しているが 銀 行 保 障 の 小 切 手 でも 不 渡 りになることがある 小 切 手 の 不 渡 りも 頻 繁 に 起 きるので 取 引 には 注 意 をしている 私 の 手 元 には ある 国 会 議 員 が 振 り 出 した 不 渡 りになった 小 切 手 がある 自 分 自 身 を 戒 めるために 手 元 に 置 いている (6) 使 われている 伝 統 的 な 貨 幣 イルカ 歯 や 貝 殻 を 使 った 貨 幣 は メンタリティの 価 値 がある これらは 婚 礼 の 引 き 出 物 に 近 い 今 でも 土 地 の 賠 償 などには 伝 統 的 な 貨 幣 を 用 いることが 多 い これからも 使 われていくだろ う (7)ソロモン 諸 島 の 住 民 の 気 質 の 変 化 この40 年 余 りで ソロモン 諸 島 の 人 々の 気 質 は 変 わり 犯 罪 も 増 加 した 1965 年 頃 ホニア ラ 市 内 で 棍 棒 や 槍 を 持 ったソロモン 諸 島 の 囚 人 約 50 人 が 彼 らの 前 後 に1 人 ずつ 配 置 された イギリス 人 統 治 者 に おとなしく 従 っていた そのことが 一 番 最 初 に 味 わったショックだった その 後 教 育 が 普 及 し 教 育 水 準 が 向 上 した しかし 犯 罪 は 増 えてしまった このことはとて も 残 念 だ ソロモンの 人 々は 植 民 地 にされていた 期 間 が 長 かったため 自 立 心 に 欠 けている ま た おんぶに 抱 っこのようなワントークのようなシステムもある 散 発 的 に 抑 圧 された 感 情 が 爆 発 する それが2000 年 代 初 めに 起 きた 民 族 紛 争 だ 警 察 組 織 も ワントーク の 組 織 のなかに あり 民 衆 を 抑 えることが 出 来 ないことが 問 題 点 である また 自 前 の 軍 隊 もない このような 紛 争 を 抑 えるところがない 人 々の 自 尊 心 を 高 めるためには 自 分 でできるんだ という 自 信 をつけてあげることだ ソ ロモンの 人 々は 理 解 するのに 時 間 はかかるかもしれないが 理 を 通 して 話 すと 必 ずわかってく れる 人 々の 意 識 も 発 展 途 上 なので 長 い 目 で 見 ていきたい ワントークがあるために 経 済 発 展 が 遅 れているという 主 張 も 多 く ワントークのシステムを 見 直 すべきであるという 意 見 もある しかし このことはソロモンの 人 々 自 身 が 決 めることだ (8) 素 晴 らしいソロモン 諸 島 46 年 間 私 がソロモン 諸 島 に 住 んでいること 自 体 が ソロモン 諸 島 の 素 晴 らさの 証 拠 である ここは 住 んでいる 価 値 がある 26

近 代 と 伝 統 が 混 在 するメラネシアの 金 融 事 情 3 融 資 の 状 況 ホニアラ 市 内 の 融 資 の 実 情 を 知 るために 2011 年 9 月 21 日 ( 水 ) ホニアラ 市 内 にあるクレジッ ト コーポレーションを 訪 問 し トニー ラングストン(Tony Langston) 社 長 と 面 談 し 聞 き 取 り 調 査 を 行 った (1)クレジット コーポレーションの 概 要 Credit Corporation(Solomon Islands)Limited(CCSIL)は 1978 年 にパプアニューにギニア に 設 立 されたCredit Corporation(PNG)Limitedのグループ 会 社 の1つであり 2006 年 にソロモ ン 諸 島 ホニアラに 設 立 された 業 務 内 容 は 自 動 車 重 機 設 備 などを 担 保 とした 動 産 抵 当 融 資 やリースと 預 金 業 務 である 社 長 のトニー ラングストンは ソロモン 諸 島 で26 年 間 業 務 に 従 事 後 2010 年 に 社 長 に 就 任 した スタッフは 社 長 を 含 めて4 名 である 2010 年 12 月 末 の 総 資 産 3,036 万 SBDであり 貸 出 算 高 は2,752SBDである 貸 出 債 権 のポートフォリオの 内 訳 は 輸 送 部 門 39% 建 設 部 門 22% 専 門 業 17% その 他 22%となっている 22 表 2 貸 借 対 照 表 (2010 年 12 月 末 ) 単 位 は 万 SBD 資 産 3,036 当 座 預 金 59 貸 出 残 高 2,752 設 備 等 215 負 債 1,505 預 金 1,467 表 3 損 益 計 算 書 (2010 年 12 月 ) 単 位 は 万 SBD 営 業 利 益 286 法 人 税 等 73 純 利 益 213 配 当 100 期 首 の 内 部 留 保 392 期 末 の 内 部 留 保 505 その 他 63 自 己 資 本 1,505 株 主 資 本 1,000 利 益 剰 余 金 508 出 所 : Credit Corporation annual report(2010) より 作 成 (2) 貸 出 業 務 の 内 容 貸 出 は1 件 3 万 SBDから450 万 SBDまでであり 貸 出 金 利 は12.5%であり リスクの 高 い 場 合 は18%である 23 個 人 やパートナーシップ 24 に 対 する 貸 付 が 多 い 貸 出 件 数 は40 件 程 度 貸 し 倒 れ 率 は2%である 動 産 抵 当 融 資 を 受 けるためには 以 下 の 書 類 が 必 要 である 27

上 西 英 治 河 辺 俊 雄 動 産 抵 当 を 受 けるための 必 要 書 類 ( 個 人 顧 客 向 け) 自 動 車 の 見 積 書 給 料 明 細 書 (2ヶ 月 分 4 回 ) 雇 用 契 約 書 又 は 雇 用 者 からの 書 類 のコピー パスポート 運 転 免 許 証 又 は 他 の 本 人 確 認 書 類 のコピー 貯 蓄 証 明 書 ( 過 去 1 年 間 の 銀 行 報 告 書 ) 個 人 の 財 務 状 況 の 明 細 書 ( 資 産 と 負 債 収 入 と 支 出 ) 事 業 目 的 での 借 入 れの 場 合 その 事 業 の12か 月 分 の 現 金 収 支 表 会 社 名 義 での 借 入 れの 場 合 登 記 簿 謄 本 の 写 し (3) 融 資 の 事 例 例 えば 個 人 が 中 古 車 を 購 入 しマイクロバス 25 事 業 を 始 めるために6 万 SBDの 融 資 を 受 ける 場 合 には 以 下 のように 与 信 手 続 きを 行 い 貸 出 を 行 う 1 融 資 を 受 ける 個 人 に 対 して 必 要 書 類 を 提 出 してもらう クレジット コーポでも 確 認 2ワントークのシステムを 事 業 に 持 ち 込 まない 旨 の 確 約 書 をもらう 3 融 資 が 決 まった 場 合 融 資 額 の6 万 SBDは 借 り 手 には 渡 さない 借 り 手 に 渡 した 場 合 自 動 車 購 入 以 外 に 使 われる 可 能 性 があるからである 中 古 車 の 受 け 渡 し 場 所 に 行 き 中 古 車 の 売 り 手 に 資 金 が 支 払 われるのを 確 認 し 写 真 をと る もちろん 中 古 車 はクレジット コーポの 抵 当 に 差 し 入 れられる 4 翌 月 から 返 済 が 始 まる 返 済 が7 日 遅 れると 書 面 で 本 人 に 対 して 催 促 を 行 い 21 日 遅 れると 抵 当 に 入 っている 中 古 車 の 差 し 押 さえを 行 う 4 ホニアラ 市 民 の 金 銭 感 覚 (1)お 金 を 借 りるのは 恥 ではない 写 真 3 マイクロバス 1ヶ 月 に1 度 給 料 が 支 払 われる 日 本 と 違 い ホニアラで 給 料 が2 週 間 に1 度 給 料 が 従 業 員 や 職 員 に 支 払 われる 彼 らは 貰 った 給 料 を1,2 週 間 で 使 ってしまうので 生 活 が 成 り 立 たないから である 給 料 の 前 借 りはとても 多 い 現 地 の 従 業 員 は 給 料 をもらうと 次 の 日 には 全 部 使 ってしまう 金 銭 感 覚 はないに 等 しい ( 日 系 企 業 ) 日 本 人 はお 金 を 借 りることは 恥 ずべきことと 考 えているが ここの 職 員 は 給 料 の 前 借 りをすることに 抵 抗 がない お 金 のある 人 にお 金 を 借 りることはここでは 当 たり 前 のことであ る 大 使 館 では 給 料 の 前 払 いは 出 来 ないので 従 業 員 に 対 して 個 人 的 に500 700SBDを 用 立 て たことがある ( 大 使 館 の 役 職 員 ) 給 料 の 前 借 りは 従 業 員 の3 割 近 くが 行 っている (Y-Sato 28

近 代 と 伝 統 が 混 在 するメラネシアの 金 融 事 情 談 ) 給 料 を 計 画 的 に 使 えないので 給 料 の 前 借 が 多 い (JAICA 職 員 ) 前 借 りが 多 い 理 由 の1つには ホニアラでは 物 価 が 高 く 生 活 が 厳 しいことも 挙 げられる しか し ホニアラで 働 いている 職 員 や 従 業 員 は 十 分 な 教 育 を 受 けたエリートであり 他 の 人 々と 比 較 すると 教 養 も 高 いであろう それでも 彼 らの 多 くは 前 借 りを 当 たり 前 に 思 い お 金 を 計 画 に 使 うことが 困 難 なのである (2) 借 りた 金 は 返 さない? 日 本 では 借 りた 金 は 返 すという 社 会 規 範 が 当 たり 前 だか ホニアラではその 様 な 社 会 規 範 が 薄 い ホニアラでは 借 りたお 金 は 必 ず 返 すという 社 会 規 範 はないに 等 しい あるとき 払 いの 催 促 なしのように 返 済 の 期 限 は 破 ることも 少 なくない お 金 の 余 裕 が 出 来 たときに 返 済 すればいい と 考 えているようだ そのため 個 人 への 信 用 度 はきわめて 低 い 国 会 議 員 にお 金 を 貸 して 返 して もらえなかったことがある(Y-Sato 談 ) (3) 厳 しいホニアラでの 生 活 ホニアラの 公 務 員 の 給 料 は 月 2,000SBD 程 度 外 資 系 企 業 は2,500SBD 企 業 では1,000SBDで ある ホニアラでは 住 宅 の 需 要 が 高 いので 家 賃 が 高 く 1 部 屋 1,500SBD 3,000SBDである 単 純 に 計 算 すると 給 料 は 家 賃 に 消 えてしまうように 感 じられる 1 部 屋 に 数 名 同 居 することによ り 家 賃 の 負 担 を 下 げる 工 夫 をしている ほとんどの 家 では 畑 があり 芋 などを 栽 培 するので 食 費 はほとんどかからない ホニアラの 政 府 機 関 に 勤 務 する2 人 から 話 を 聞 いた M 氏 は 独 身 の 男 性 26 歳 ガダルカナル 島 の 村 落 出 身 ホニアラで1 人 住 まい 給 料 は 月 2,000SBD 1ヶ 月 の 家 賃 は1,500SBD 借 家 の 近 くにある 畑 で 作 った 芋 や 野 菜 を 食 べるのでほ とんど 食 費 はかからない 勤 務 時 間 は 午 前 8 時 から 午 後 4 時 30 分 までであり 帰 宅 するとラ ジオを 聴 いて 過 ごしている ANZ 銀 行 に 口 座 を 保 有 カードは 保 有 していない 給 料 は 小 切 手 で 支 払 われるので 銀 行 に 行 き 現 金 化 をする 貯 金 はしていない 銀 行 に 口 座 を 作 ったのは 小 切 手 の 現 金 化 のためである また ホニアラでは 銀 行 口 座 を 設 定 するときに 手 数 料 がかかり 口 座 維 持 手 数 料 が 月 5SBDかかる Eさんは 既 婚 の 女 性 年 齢 は50 歳 前 後 11 年 前 に 夫 が42 歳 で 死 去 女 手 1 人 で1 女 と3 男 を 育 てている JICAの 関 係 から 大 阪 で 日 本 語 の 研 修 を1 年 間 受 けたことがある 数 年 前 ホニ アラ 市 内 でローンで 家 を 購 入 借 入 金 利 は10% 現 在 返 済 中 ローンの 返 済 のために 持 ち 家 の1 階 にはEさんの 家 族 が 住 み 2 階 はほかの 人 (5 人 )に1 月 3,000SBDで 賃 貸 している 取 引 銀 行 はBSP 銀 行 カードを 保 有 貯 金 はしている 29

上 西 英 治 河 辺 俊 雄 政 府 機 関 では 給 料 が 小 切 手 で 支 払 われるので 銀 行 の 口 座 を 作 ることが 必 要 である そのた め 銀 行 の 口 座 を 持 っている 二 人 ともホニアラのエリートであるが M 氏 の 金 銭 感 覚 はアバウト であり Eさんの 金 銭 感 覚 は 日 本 人 の 感 覚 から 見 ると 普 通 に 見 える 5 村 落 部 の 生 活 村 落 部 の 生 活 状 況 を 確 認 するために 2011 年 9 月 21 日 ( 水 )にホニアラから31kmにあるテテ レ 地 区 (tetere)を 視 察 した テテレ 地 区 には ソロモン 諸 島 の 基 幹 産 業 であるアブラヤシ 農 園 ガ ダルカナル 平 原 アブラヤシ 会 社 (Guadalcanal Plains Palm Oil Limited:GPPOL) の 製 油 所 がある この 地 区 の 住 民 は 現 金 収 入 と 雇 用 機 会 を 求 めて 他 の 島 から 移 住 してきた 住 民 が 多 く 元 から 住 んでいる 住 民 は 少 ない 多 くの 住 民 が アブラヤシのプランテーションで 働 いている 視 察 した 場 所 は 1 階 建 ての 集 合 住 宅 が30 軒 ほど 並 ぶ 中 心 部 であり 道 路 の 左 側 にはアブラ ヤシの 林 が 広 がり 右 側 には 大 きな 広 場 があり その 横 には 屋 根 付 の 露 天 市 場 がある プランテー ションの 従 業 員 の 給 料 日 に 合 わせて 月 に2 回 金 曜 日 に 青 空 市 が 開 かれる 残 念 ながら この 日 青 空 市 は 開 かれていなかった この 地 区 には 生 活 必 需 品 を 売 る 商 店 が1 軒 ある 営 業 時 間 は6 時 30 分 から21 時 00 分 までで あり 2 名 の 従 業 員 ( 夫 婦 )が 働 いている 朝 食 を 自 宅 で 済 ませた 後 出 勤 昼 食 と 夕 食 は 商 店 の 品 物 を 購 入 して 商 店 内 にて 食 べる この 商 店 のオーナーはホニアラに 在 住 していて 商 店 には いない 商 店 内 には ツナの 缶 詰 や 米 ビスケットなどの 日 糧 雑 貨 品 が 売 られている この 品 目 はホニアラ 市 内 の 商 店 と 同 じであり 値 段 はホニアラ 市 内 の 値 段 と 比 較 すると 1 割 から2 割 ほ ど 高 い ここで 暮 らしていると 現 金 を 使 う 場 所 はこの 商 店 しかない 写 真 5 村 落 部 の 商 店 写 真 6 商 店 の 内 部 30

近 代 と 伝 統 が 混 在 するメラネシアの 金 融 事 情 Ⅴ まとめ 首 都 のホニアラにはソロモン 諸 島 の 総 資 金 量 の 半 分 が 集 中 している 商 業 銀 行 の 貸 出 残 高 は 10 億 3,012 万 と 民 間 部 門 への 貸 出 残 高 の9 割 近 くを 占 め このうち 不 良 債 権 が8.3%である 商 業 銀 行 の 貸 出 姿 勢 は 慎 重 であり 資 金 の 循 環 がよくない その 理 由 として 1ホニアラの 商 業 銀 行 の 預 金 金 利 は2% 貸 出 金 利 は18%であり 預 金 金 利 と 貸 出 金 利 の 差 が 大 きいこと 2 特 に 個 人 部 門 の 不 良 債 権 が 多 く 貸 し 倒 れ 率 が 高 いこと 3ソロモン 諸 島 では 土 地 の 大 部 分 が 法 的 拘 束 力 のない 慣 習 地 であり 土 地 を 担 保 とすることは 困 難 あること が 挙 げられる 個 人 部 門 の 貸 し 倒 れが 多 い 理 由 として 日 本 人 とは 異 なるホニアラ 市 民 のルーズな 金 銭 感 覚 が ある ホニアラ 市 民 は 2 週 間 に1 回 支 払 われる 給 料 を 計 画 的 に 使 うことは 困 難 であり 前 借 り も 多 い お 金 を 借 りるのは 恥 ではないのである さらに 借 りたお 金 は 必 ず 返 すという 社 会 規 範 は 希 薄 である 返 済 の 期 限 などなく お 金 の 余 裕 がある 時 に 支 払 えばよいいと 考 えている 国 会 議 員 でもお 金 を 返 さないことがあり 銀 行 から 見 ると 個 人 に 対 する 信 用 度 はきわめて 低 い こ れらの 金 銭 感 覚 の 根 底 には ワントークというシステムが 根 本 にある 動 産 抵 当 融 資 を 行 っている 金 融 会 社 では 貸 し 倒 れ 率 を 低 くするために 必 要 書 類 の 提 出 に 加 えて ワントークのシステムを 事 業 に 持 ち 込 まない 旨 の 確 約 書 の 提 出 を 義 務 付 けている また 融 資 金 が 他 の 用 途 に 使 用 されないように 融 資 資 金 を 借 り 手 に 直 接 渡 さない 手 法 をとっている ワントークとはメラネシアの 自 然 環 境 が 生 んだ 社 会 規 範 であり 富 の 再 分 配 により 社 会 的 不 平 等 を 解 消 するシステムである 社 会 のセーフティネットの 役 割 を 果 たしている しかし ワントー ク 内 の 論 理 を 優 先 するために 公 共 の 概 念 が 希 薄 であり 富 の 再 配 分 のため 働 く 意 欲 を 削 ぎ 経 済 発 展 を 妨 げる 面 もある 金 融 の 面 から 見 るとワントークは 相 容 れないものである ワントークとい う 社 会 規 範 によりルーズな 金 銭 感 覚 が 醸 成 されている 可 能 性 は 強 い その 結 果 貸 し 倒 れが 増 加 し 銀 行 の 貸 出 姿 勢 が 慎 重 となり 資 金 が 循 環 しないとすれば ワントークは 経 済 発 展 を 阻 害 する 要 因 のひとつである ワントークは 一 般 的 互 酬 性 のシステムであるのに 対 して 金 融 は 均 衡 的 互 酬 性 のシステムであり 相 容 れないものである 金 融 のルールは 世 界 共 通 のものであり ソロモ ン 諸 島 は 世 界 経 済 の 一 つに 組 み 入 れられているのである 経 済 発 展 を 目 指 すのであれば ワントークの 相 互 扶 助 の 精 神 を 受 け 継 ぎながらも 包 括 するよ うな 社 会 制 度 を 住 民 自 ら 作 ることが 必 要 である そのためには 金 融 面 では 金 銭 教 育 の 普 及 に よる 社 会 規 範 の 向 上 を 図 ること ワントークの 相 互 扶 助 理 念 を 受 け 継 ぐ 信 用 組 合 の 拡 充 を 図 るこ とが 求 められる (じょうにし えいじ 高 崎 経 済 大 学 地 域 政 策 学 部 非 常 勤 講 師 かわべ としお 高 崎 経 済 大 学 地 域 政 策 学 部 教 授 ) 31

上 西 英 治 河 辺 俊 雄 謝 辞 この 調 査 は 2011 年 度 科 学 研 究 費 補 助 金 基 盤 研 究 (B) 海 外 学 術 調 査 )による 海 外 調 査 パプアニューギニアにおける 熱 帯 林 の 環 境 変 化 とギデラ 地 域 住 民 の 狩 猟 採 集 耕 作 生 活 ( 研 究 代 表 者 : 高 崎 経 済 大 学 地 域 政 策 学 部 教 授 河 辺 俊 雄 )に より 2011 年 9 月 17 日 9 月 24 日 に 行 った ソロモン 諸 島 ホニアラでは 本 調 査 を 実 施 するにあたり 多 くの 方 々のご 協 力 をいただきました Y-Sato 氏 JICAの 瀧 下 支 所 長 と 浅 野 さん ソロモン 日 本 大 使 館 の 岩 撫 大 使 竹 下 二 等 書 記 官 ソロモ ン 国 立 公 文 書 館 のマイク 氏 ソロモン 国 立 博 物 館 の 学 芸 員 であるエドナ ベロさん クレジット コーポのトニー ラン グストン 氏 北 野 建 設 の 湯 本 氏 ホニアラで 現 地 調 査 をしている 大 阪 大 学 大 学 院 生 で 藤 井 氏 に 対 して 心 より 感 謝 の 意 を 表 します 註 1 メラネシアは 南 太 平 洋 のうち ほぼ180 の 経 線 以 西 の 島 々の 総 称 であり ギリシャ 語 で 黒 い 島 々 の 意 味 である 人 々 の 皮 膚 の 色 により 区 分 された 民 族 領 域 でもある 西 端 のニューギニア 島 から ビスマーク 諸 島 ソロモン 諸 島 バヌアツ フィジー 諸 島 ニューカレドニア 島 などがある 2 ビジン 語 はメラネシアの 広 域 で 共 通 語 として 用 いられている 言 語 であり メラネシア 地 域 でヨーロッパ 人 が 頻 繁 に 活 動 するようになった19 世 紀 後 半 から 彼 らとの 接 触 の 過 程 で 徐 々に 形 成 された 現 在 ではメラネシアの 都 市 部 で 最 も 一 般 的 な 言 語 になっている 3 大 塚 柳 太 郎 編 (2004) ソロモン 諸 島 最 後 の 熱 帯 林 財 団 法 人 東 京 大 学 出 版 会 P221 4 中 澤 港 (2009) 社 会 不 安 と 健 康 遠 藤 央 中 澤 港 編 オセアニア 学 P247 5 熊 谷 圭 知 (2010) 変 わりゆく 人 々の 暮 らしと 国 家 都 市 と 村 の 間 田 中 辰 夫 編 パプアニューギニア P35 36 6 7 石 森 大 知 (2004) 森 林 伐 採 の 受 容 にみる 伝 統 と 近 代 の 葛 藤 大 塚 柳 太 郎 変 ソロモン 諸 島 最 後 の 熱 帯 林 P105 8 大 塚 柳 太 郎 河 辺 俊 雄 他 (2002) 人 類 生 態 学 東 京 大 学 出 版 会 P38 39 9 P58 59 10 石 川 栄 吉 編 (1993) 現 代 文 化 人 類 学 株 式 会 社 弘 文 堂 P90 91 11 JICA(2010) 国 別 ジェンダー 情 報 整 備 調 査 ソロモン 諸 島 最 終 報 告 書 JICA P5 12 Central Bank Of Solomon Islands(2010) Annual Repot Central Bank Of Solomon Islands 13 2011 年 11 月 11 日 現 在 1ソロモンドル(SBD)=10.519 円 であるので 約 578 億 円 14 過 去 3 年 間 の 経 済 成 長 率 2009 年 1.2% 2008 年 7.3% 2007 年 10.7% 15 USドル 換 算 1,272ドルであり 182カ 国 中 135 位 である また2011 年 の 物 価 上 昇 率 は8.9%である 16 Central Bank Of Solomon Islands(2010) Annual Repot Central Bank Of Solomon Islands 17 18 総 資 産 の 中 には 貯 蓄 機 関 からの9 億 6,000 万 SBDの 預 託 金 が 含 まれているので 実 質 総 資 産 は13 億 4,000 万 SBDである 19 宮 内 泰 介 (2011) 開 発 と 生 活 戦 略 の 民 俗 誌 ( 株 ) 新 曜 社 P218 20 Demographic and Health Survey 2006/07 Final Report 五 分 位 データとは 所 得 の 低 い 世 帯 から 順 に 全 世 帯 を5 等 分 して グループ 化 したデータを 指 す 21 後 述 Y-satoよりヒアリング 22 Credit Corporation annual report(2010) 23 ソロモン 諸 島 における 貸 出 金 利 は 商 業 銀 行 が17.5% 程 度 信 用 組 合 が12% 程 度 である 24 パートナーシップとは 欧 米 における 法 人 形 態 のひとつであり パートナーは 出 資 者 かつ 共 同 経 営 者 となり 無 限 責 任 を 負 う 日 本 の 合 名 会 社 組 合 と 似 た 形 態 である 25 ホニアラの 公 共 交 通 手 段 として タクシーとマイクロバスがある マイクロバスは 中 型 の 中 古 車 がほとんどであり 日 本 製 も 多 い 中 古 車 の 値 段 は 一 台 4 6 万 SBDであり ホニアラ 市 民 の 平 均 的 な 給 料 が2,000 3,000SBDと 比 較 すると かなり 高 額 である 市 内 の 運 賃 は4SBD( 均 一 料 金 )であり 市 民 の 日 常 的 な 交 通 手 段 となっていて 利 用 者 も 多 い 中 古 車 を 購 入 してマイクロバス 事 業 を 始 める 人 が 多 い 32