保健センターの婦人科校医相談 相談日 : 毎月第 1 3 水曜日 ( 予約不要 ) ~ 詳細は大学ニュース 大学 HP で ~ 例えばこんな時 生理痛がひどくて 市販薬では効きにくい または効かない 月経が不順 3 か月以上月経がない 月経以外の出血がある 月経前に気分が憂うつになる デリケート部分のかゆみがある 胸にしこりがある ひとりで悩まないで 相談に来てみてください 獨協大学保健センター 2010.3 月改訂
生理痛がひどいけど 薬は抵抗があるし 生理不順で 生理がいつくるかわからない 保健センターに相談にくる内容はさまざまです 日頃 相談を受けていると 自分の体のことをもっときちんと知ってほしいと思うことがいろいろあります その内容を 改訂版としてノートにしました 多少専門的なことも含まれますが ぜひ目をとおしてみてください!! 目 次 婦人科校医からのメッセージ ~ 母と娘の会話から ~ 女性のからだのしくみ 1. 月経周期と女性ホルモン 2. 基礎体温からわかること 3. こんな時には放置しないで 生理がつらいという方へ 1. 生理痛はなぜおこる 2. 痛みを和らげるために 3. 月経前緊 月経時を快適に過ごそう 月経に影響をあたえるもの 1. ダイエット 2. ストレス 3. たば 性感染症 ( S T D ) 女性のがんと検診 1. 子宮頸がん 2. 乳がん 自分のからだを知るために 基礎体温をつけてみよう! 基礎体温表
婦人科校医からのメッセージ 生活様式の変化に伴い 子宮内膜症や子宮筋腫の若年化 月経前緊張症候群など婦人科の病気も変化しています 検査や治療法もお母さんの時代とは変わってきています ぜひ お嬢さんと一緒に情報を入手して下さい ~ 母と娘の会話から~ その1 生理不順って 放っておいていいの? 娘 : また生理がこなかった 3 ヶ月も 母 : えっ に ん し ん!? 娘 : 違うわよ 生理不順なの 母 : あら生理不順 まだ若いから大丈夫よ お母さんも若い時 そうだったわよ 娘 : じゃあ もう少し様子をみるわ Dr.: 3 ヶ月生理が来なかったら 相談して下さい P4 5 その2 生理痛は 我慢するもの? 娘 : 生理痛がつらくって 今日 学校休みたい 母 : 何言ってるの 生理痛は病気じゃないわよ 娘 : じゃあ 痛み止め飲んでから行く 母 : 我慢して行きなさい! 娘 : えっ 我慢しなきゃいけないの!? Dr.: 我慢しなくてよいのです 日常生活に支障がある場合は 相談して下さい P5 その3 乳がん検診 受けようかな? 娘 : ねぇお母さん 乳がん検診受けている? 母 : 受けてないわ 娘 : 乳がんって すごく増えているんだって 母 : えっ そうなの? 娘 : お母さん 一緒に検診受けようよ 乳がんって セルフチェックの方法もあるみたいだから 教えてもらおうよ! 母 : そうねえ 一緒に受けに行ってみようかしら Dr.: 検診は ぜひ受けてください P10 3
女性のからだのしくみ 1. 月経周期と女性ホルモン女性のからだは 二つの女性ホルモン エストロゲン ( 卵胞ホルモン ) とプロゲステロン ( 黄体ホルモン ) の影響を受けながら 毎月 一定のリズムで変化し 月経がくり返されます 月経から排卵まではからだもこころも安定し 排卵後から月経までは不安定になります また 女性ホルモンは月経にかかわること以外にも 新陳代謝を促進し健康的な体や肌をつくったり コレステロールの増加を抑えたり 骨の老化を防いだり 様々な働きをしています 卵巣 ホルモン 子宮内膜 基礎体温の変化 P&G ハッピー クリニックより引用 2. 基礎体温からわかること女性ホルモンが正常に働いていると 基礎体温は低温相と高温相の二相性を示します また それぞれの時期 体の中では次のようなことがおこっています 1 卵胞期 ( 約 2 週間 : 低温期脳下垂体から分泌される FSH( 卵胞刺激ホルモン ) により 卵胞が成熟 卵胞が エストロゲン ( 卵胞ホルモン ) を分泌し 子宮内膜を増殖 2 排卵期 (1 日 ) 脳下垂体から LH( 黄体化ホルモン ) が分泌され その刺激で卵胞が破裂し 卵子が飛び出る 3 黄体期 ( 約 2 週間 ): 高温期卵胞が黄体に変化し エストロゲン ( 卵胞ホルモン ) とプロゲステロン ( 黄体ホルモン ) を分泌し 子宮内膜を柔らかくさせ 受精着床の準備 4 月経期 (3~7 日 ) 3. 受精が行われないと 両方のホルモンが減少し 子宮内膜がはがれ体外へ排出 こんな時には放置しないで 4
月経が一定の周期で繰り返されていればよいのですが 次のような場合は一度 相談に来てください 月経がない月経が止まった長い (36 日以上 ) 月経周期がおかしい短い (25 日未満 ) 長い (8 日以上 ) 月経期間がおかしい短い (2 3 日で終わる ) 多い月経血量がおかしい少ない月経時以外に出血がある不正出血 月経に伴う不快な症状がある 月経痛がひどい 気分の落ち込みがひどく 生活に支障がある等 生理がつらいという方へ 1. 生理痛はなぜおこる月経に伴う痛みや吐き気 下痢 頭痛 だるさ 発熱などの症状が強く 日常生活に支障をきたすものを 月経困難症 といいます < 原因 > 子宮内膜で作られるプロスタグランディン ( 子宮を収縮させるホルモン ) の分泌過剰や反応性の亢進により 過度の子宮収縮による子宮筋の血流減少 虚血 低酸素をもたらし 痛みなどの症状が起こると考えられています < 種類 > この痛みには 成長段階でみられる機能性のものと 病気がもとで起こる器質性のものとがあります 器質性の中で多いのは 子宮内膜症 です 子宮内膜が子宮以外の場所 ( 卵巣 腹膜など ) にでき 月経時にその場所で出血を繰り返し 血液が留まり 炎症や痛みがおこります また 性交痛や不妊の原因にもなります * あまりにも痛みが強く感じる場合は 一度婦人科での診察をうけた方が良 いかもしれません * 婦人科校医に 受診の必要があるかどうか等の相談を することをお勧めします 5
2. 痛みを和らげるために 一番手軽に使えるのは 薬局で売られている鎮痛剤です これで痛みが軽快し 日常生活に支障がなければ その方法で大丈夫です ( いろんな種類の鎮痛剤がありますので 購入する時は薬剤師に相談しましょう!) 市販の鎮痛剤では効かないという方には 医師の処方する鎮痛剤が有効な場 合が多々あります また ピル 漢方薬など鎮痛剤以外の薬も有効な場合が あります ピルと漢方薬についても簡単にお話しておきましょう * 両方とも 病気の治療にも使われます ピル : 経口避妊薬のことですが いわゆるホルモン剤です 月経をコントロールする女性ホルモンが含まれており 次のような効果があります 1 排卵を抑え妊娠を防ぐ 2 月経周期が規則正しくなる 3 月経痛が軽くなる 4 月経量が減る 5 婦人科疾患の治療 ( 子宮内膜症 月経前緊張症候群 ) 漢方薬 : 体質改善により症状を軽減させる目的で使用します ホルモン剤と併用も 可能です * 市販でもありますが 医師に相談し 適切なものを 選ぶことが大切です! 3. 月経前緊張症候群月経開始の3~7 日くらい前になると 乳房が張る 顔や手足がむくむ 頭痛がする わけもなくイライラする 体がだるい 眠くなるなどといった症状が現われます これは女性ホルモンの働きによるもので 月経前緊張症候群といいます 症状が軽い場合は特に問題にはなりませんが 日常生活に支障をきたすくらい症状が強い場合は治療の対象になります * 思い当たる方は 婦人科相談をおすすめします 6
月経時を快適にすごそう 毎月のことですが ちょっとした気持ちの切り替えや生活上の工夫で ブルーデーを快適に過ごせるとよいですね 気分転換 リラックス生理であることに憂うつになり 痛みが増すことがある 好きなことに集中したり 気持ちを切り替えてみよう! 適度な運動 マッサージ 普段から または月経痛が軽い時にストレッチ 体操 ヨガなどをしたり ツボを押すなど 血行不良や骨盤内のうっ血を和らげる効果があるそう からだを温める からだが冷えると血液循環が悪くなり 月経痛や月経不順をはじめとする月経 のトラブルにもつながる 食事は楽しく おいしく ~ 順調な月経は 食生活から ~ 生活のリズムを整え 栄養のバランスのよい食事をとろう! 月経痛に悩んでいる人の食事 動物性脂肪を控える 根菜類を積極的にとる 布ナプキンを試してみませんか? メリット 薄くてすごい吸収力 布なので肌触り優しい 洗って 繰り返し使え 経済的 ベルメゾンより引用 7
月経に影響をあたえるもの 1. ダイエット過激なダイエットで急に体重が減ると 女性ホルモンのバランスが崩れ 無排卵や無月経を起こします 一度このような状況に陥ると回復にはかなりの時間を要します また 月経のみならず からだにさまざまな弊害を起こします ( 貧血 肌荒れ 便秘 骨粗鬆症 イライラ 拒食 過食 動脈硬化など ) あなたには本当にダイエットが必要ですか? あなたは 本当に太っていますか? 標準体重の求め方 (BMI) 体重 (Kg) 身長 (m) 身長 (m) 標準は 22.0 です 2. ストレス環境の変化 さまざまな悩み 過食 拒食 過度のダイエットなど こころやからだにストレスがかかると 月経のトラブルにつながることがあります さまざまなストレスにより 月経に関連するホルモンを調整する働きに影響を与えるのです 3. たばこたばこによる健康被害については さまざまなところで耳にします ( 保健センター発行の健康サポート本も参考にしてみてください!) 月経に関してもホルモンバランスを崩して月経不順になったり 血流を悪くすることで月経痛がひどくなったり さまざまな悪影響があります 妊娠中の喫煙は 赤ちゃんの発育不全につながり 出産後も発育の妨げになります 4. 過度のスポーツ過度の運動によるストレスや体脂肪が低いことにより ホルモンを作るための原料が不足し その結果女性ホルモンの合成が低下し無排卵になると考えられています また 運動負荷によりプロラクチン ( 乳汁分泌ホルモン ) を増加させて 卵巣機能を抑制することにより無月経がおこります 8
性感染症 (STD) 性交 (SEX) によって感染します 異性間でも同性間でも感染します ピンポン感染という言葉が表すように 一方だけが治療しても相手が未治療のままではまた感染を繰り返してしまいます 今付き合っている人が 過去に性行為の経験がありその相手が性感染症にかかっていたとしたら あなた自身にも感染の危険性は潜んでいます 症状と考えられる病気 1 不正出血 白いカッテージチーズのようなポロポロしたおりもの あるいは水っぽいおりもの カンジタ症 2 おりものの異常 黄色っぽい膿のようなおりものトリコモナス症 淋菌感染症 茶褐色のおりもの おりものの臭いが変 性器内出血 ( いろいろな病気がある ) タンポンの出し忘れ 膣炎 子宮頚管炎 子宮頸がんタンポンの出し忘れ かゆみの他 おりものの量が増えたカンジタ症 トリコモナス症 3 外陰部の異常 外陰部が赤く腫れて かゆい 外陰部が痛い 毛じらみ 膣炎 外陰炎 左右の外陰部に水疱ができて痛い性器ヘルペス ベーチェット病 4 排尿の異常 膣の入り口が腫れて 熱感 痛み 排尿時痛 頻尿 残尿感 バルトリン腺炎 淋菌感染症 膀胱炎 ( 女 ) 尿道炎 ( 男 ) エイズについて 人の体の免疫機構一部が HIV というウイルスによって 壊される病気です 感染経路は 無防備なセックス 血液感染 母子感染 注射針の共有と限られています 予防することが可能です < 感染予防 > コンドームが有効ですが 100% ではありません ( 正しく使用すれば予防効果は高いです ) 予防について正しい知識を持ち お互いに十分なコミュニケーションをとることが大切です 万が一 気になる症状がある場合は パートナーも一緒に治療することが肝心です 9
女性のがんと検診 若い世代では 子宮がん 乳がんの発生率が増加しています 婦人科領域にがん発生率推移 (20~39 歳の日本人女性 ) 国立がんセンターがん対策情報センター人口動態統計 ( 厚生労働省大臣官房統計情報部編 ) 1. 子宮頸がん子宮頸がんの原因は ヒトパピローマウイルス (HPV) というとてもありふれたウイルスの感染で 20 代 30 代の若い世代に増えています HPV は SEX で感染するので SEX の経験があれば約 80% の人が 感染していると言われています また 子宮頸がんは かなり進行しないと自覚症状が現れません こうしたことから 若い人でも 定期的にがん検診を受けることが必須です 海外では 既に子宮頸がんの予防ワクチンが公費で接種されたりしていますが 2009 年 12 月から日本でもワクチン接種が受けられるようになりました 個人負担になり 決して安くはありませんが 詳細は医療機関でご相談ください 2. 乳がん今や 20 人に 1 人が乳がんになるといわれており 決して他人ごとではありません しかし残念ながら予防方法はありません 35 歳未満におこる 若年性乳がん は進行が早いため早期発見が重要です 乳がん発見のためには 毎月の自己検診やマンモグラフィ-( 乳房 X 線撮影 ) 乳房超音波検査などがあります * 検査方法を知りたい方 乳房にしこりがあって心配な方は 一度相談をおすすめします 10
自分のからだを知るために 基礎体温をつけてみよう! あなたの月経周期はどうなっていますか? きちんと二相性になっているのか 排卵はあるのか 次の月経はいつ頃から始まるだろうか など基礎体温をつけるといろいろなことが見えてきます 基礎体温の測り方 用意するもの : 基礎体温計 ( 婦人体温計 ) と基礎体温表 1 朝目覚めた時に 横になったままで 2 舌の下で検温 3 体温表に記入 正常な基礎体温のグラフ 高温期 ( 日数は一定 約 2 週間 ) 低温期 ( 日数は不定 ) 上昇期 下降期 ( 月経 3~7 日間 ) ( 月経 3~7 日間 ) 月経 1 日目 ~ 月経周期 25~35 日目 ( 月経初日 ) ( 次の月経前日 ) 排卵日 * 体温記録表はこのノートにあるものを利用してください * 記録してみて疑問に思うこと わからないことなどあったら 婦人科相談を利用してください 11
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