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科目当年度前年度増減 [ 負債の部 ] 流動負債未払金 3,44,15,654 3,486,316,11-46,3,357 給付金未払金 3,137,757,265 3,192,611,196-54,853,931 年金未払金 287,13, ,91,778 7,228,646 その他未

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2018 年度 (2019 年 3 月 31 日現在 ) 貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 科 目 金額 科 目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 現金及び預貯金 1,197,998 保険契約準備金 908,017 預貯金 1,197,998 支払備金 2,473 有価証券 447,49

財務の概要 (2012 年度決算の状況 ) 1. 資金収支計算書の概要 資金収支計算書は 当該会計年度の教育研究活動に対応するすべての資金の収入 支出の内容を明らかにし かつ 当該会計年度における支払資金の収入 支出の顛末を明らかにするものです 資金収支計算書 2012 年 4 月 1 日 ~201

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日本基準基礎講座 退職給付

計算書類等

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貸借対照表内訳表 第三号第二様式 ( 第二十七条第四項関係 ) 平成 30 年 3 月 31 日現在 勘定科目 社会福祉事業 公益事業 収益事業 合計 内部取引消去 法人合計 資産の部流動資産 178,500,670 7,595, ,095, ,095,778 現金預

第4期電子公告(東京)

Microsoft Word _【再々修正】公表資料<厚生年金・国民年金の平成28年度収支決算の概要>

会社情報業績データ153 (3) 責任準備金残高の内訳 区 分 保険料積立金 未経過保険料 払戻積立金 危険準備金 合 計 平成 26 年度末 60,938,274 11,675,615 2,498,711 75,112,601 平成 27 年度末 58,405,526 11,582,129 2,3

会計森林保険特別会計勘定 - 担当府省農林水産省担当部局 課室林野庁計画課作成責任者猪島康浩 設置の経緯 ( 沿革及びその後の変遷 ) 昭和 12 年森林火災国営保険法の制定に伴い森林火災保険特別会計を設置昭和 36 年気象災の追加 ( 森林火災国営保険法を森林国営保険法に改正 ) に伴い森林保険特

医療法人における事業報告書等の様式について ( 平成 19 年 3 月 30 日医政指発第 号 ) の一部改正 改正後様式 3-1 様式 3-1 改正前 別添 1 ( 下線の部分は改正部分 ) 法人名所在地 医療法人整理番号 法人名所在地 医療法人整理番号 貸 借 対 照 表 貸 借

平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

労災年金のスライド

02_公表資料<厚生年金・国民年金の平成27年度収支決算の概要>

最上町バランスシートを読むにあたって

( 参考 ) と直近四半期末の資産構成割合について 乖離許容幅 資産構成割合 ( 平成 27(2015) 年 12 月末 ) 国内債券 35% ±10% 37.76% 国内株式 25% ±9% 23.35% 外国債券 15% ±4% 13.50% 外国株式 25% ±8% 22.82% 短期資産 -

『学校法人会計の目的と企業会計との違い』

新しい地方公会計制度 これまで南阿蘇村では 総務省方式改訂モデル ( 以後 改訂モデルと言います ) の財務書類を作成してきました 南阿蘇村がこれまで積み上げてきた資産と この先返済する必要がある負債 すでに支払いが終わっている純資産などの情報を表示した貸借対照表など 今までの決算書では把握できなか

Microsoft Word 【公表】HP_T-BS・PL-H30年度

科目 期別 損益計算書 平成 29 年 3 月期自平成 28 年 4 月 1 日至平成 29 年 3 月 31 日 平成 30 年 3 月期自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 ( 単位 : 百万円 ) 営業収益 35,918 39,599 収入保証料 35,765 3

国家公務員共済組合連合会 民間企業仮定貸借対照表 旧令長期経理 平成 26 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 円 ) 科目 金額 ( 資産の部 ) Ⅰ 流動資産 現金 預金 311,585,825 未収金 8,790,209 貸倒引当金 7,091,757 1,698,452 流動資産合計 3

(2) 具体的な事業の内容 本特別会計は 労災勘定 雇用勘定 徴収勘定に区分され それぞれ以下の事業等に関する経 理を行います 1 労災勘定労働保険特別会計労災勘定は 労働者災害補償保険法 ( 昭 22 法 50) による労災保険事 業に関する政府の経理を明確にすることを目的とし 業務上の事由等によ

(3) 責任準備金残高の内訳 区 分 保険料積立金 未経過保険料 払戻積立金 危険準備金 合 計 平成 19 年度末 87,296,571 14,362,545-3,076, ,735,362 平成 20 年度末 82,713,018 13,201,957-2,886,245 98,80

(2) 具体的な事業の内容 本特別会計は 労災勘定 雇用勘定及び徴収勘定に区分され それぞれ以下の事業等に関する 経理を行います 1 労災勘定労災勘定は 労働者災害補償保険法 ( 昭 22 法 50) による労災保険事業に関する政府の 経理を明確にすることを目的とし 業務上の事由等による労働者の負傷

野村アセットマネジメント株式会社 平成30年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

法人単位貸借対照表 平成 29 年 3 月 31 日現在 第三号第一様式 ( 第二十七条第四項関係 ) 法人名 : 社会福祉法人水巻みなみ保育所 資産の部当年度末前年度末 増減 負債の部当年度末前年度末 流動資産 23,113,482 23,430, ,370 流動負債 5,252,27

野村アセットマネジメント株式会社 2019年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

計算書類 貸 損 借益 対計 照算 表書 株主資本等変動計算書 個 別 注 記 表 自 : 年 4 月 1 日 至 : 年 3 月 3 1 日 株式会社ウイン インターナショナル

精算表 精算表とは 決算日に 総勘定元帳から各勘定の残高を集計した上で それらに修正すべき処理 ( 決算整理仕訳 ) の内 容を記入し 確定した各勘定の金額を貸借対照表と損益計算書の欄に移していく一覧表です 期末商品棚卸高 20 円 現金 繰越商品 資本金 2

財務諸表に対する注記

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政策課題分析シリーズ16(付注)

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新しい地方公会計制度 これまで錦町では 総務省方式改訂モデル ( 以後 改訂モデルと言います ) の財務書類を作成してきました 錦町がこれまで積み上げてきた資産と この先返済する必要がある負債 すでに支払いが終わっている純資産などの情報を表示した貸借対照表など 今までの決算書では把握できなかった情報

営 業 報 告 書

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Taro-中期計画(別紙)

7. 貸借対照表平成 29 年 3 月 31 日 資産の部 科目本年度末前年度末増減 ( 単位円 ) 固定資産 193,510,269, ,879,922,182 1,630,347,244 有形固定資産 149,448,403, ,593,555,535 3,145,151

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社会福祉法人心愛会 貸借対照表平成 26 年 3 月 31 日現在 第 5 号様式 社会福祉法人心愛会 ( 単位 : 円 ) 資 産 の 部 負 債 の 部 勘 定 科 目 当年度末 前年度末 増 減 勘 定 科 目 当年度末 前年度末 増 減 流動資産 915,233, ,793,73

新旧対照表(計算書類及び連結計算書類)

(2) 具体的な事業の内容 本特別会計は 労災勘定 雇用勘定及び徴収勘定に区分され それぞれ以下の事業等に関する 経理を行います 1 労災勘定労災勘定は 労働者災害補償保険法 ( 昭 22 法 50) による労災保険事業に関する政府の 経理を明確にすることを目的とし 業務上の事由等による労働者の負傷

第 13 章 財務諸表入力マニュアル 平成 30 年 4 月 2 日公開版

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平成13年度大阪府水道事業会計決算概要

第4期 決算報告書

財務諸表に対する注記 1. 継続事業の前提に関する注記 継続事業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況はない 2. 重要な会計方針 (1) 有価証券の評価基準及び評価方法 満期保有目的の債券 償却原価法 ( 定額法 ) によっている なお 取得差額が少額であり重要性が乏しい銘柄については 償却原価

2 事業活動収支計算書 ( 旧消費収支計算書 ) 関係 (1) 従前の 消費収支計算書 の名称が 事業活動収支計算書 に変更され 収支を経常的収支及び臨時的収支に区分して それぞれの収支状況を把握できるようになりました 第 15 条関係 別添資料 p2 9 41~46 82 参照 消費収入 消費支出

財務諸表に対する注記 1. 継続事業の前提に関する注記 継続事業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況はない 2. 重要な会計方針 (1) 有価証券の評価基準及び評価方法 満期保有目的の債券 償却原価法 ( 定額法 ) によっている なお 取得差額が少額であり重要性が乏しい銘柄については 償却原価

第1回 オリエンテーション

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(1) 連結貸借対照表 ( 添付資料 16 ページ ) (3) 連結株主資本等変動計算書 ( 添付資料 28 ページ ) 6. 個別財務諸表 (1) 貸借対照表 ( 添付資料 31 ページ ) (3) 株主資本等変動計算書 以上 2

Ⅰ 平成 24 年度高鍋町財務書類の公表について 平成 18 年 6 月に成立した 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律 を契機に 地方の資産 債務改革の一環として 新地方公会計制度の整備 が位置づけられました これにより 新地方公会計制度研究会報告書 で示された 基準モデル

第6期決算公告


資料 1-1 資料 1-1 平成 29 年度財政融資資金運用報告について 平成 30 年度財政融資資金運用報告について 平成令和元年 30 年 7 月 26 日財務省理財局財務省理財局

あいおいニッセイ同和損保の現状2013

旭情報サービス (9799) 平成 28 年 3 月期第 1 四半期決算短信 ( 非連結 ) 添付資料の目次 1. 当四半期決算に関する定性的情報 2 (1) 経営成績に関する説明 2 (2) 財政状態に関する説明 2 (3) 業績予想などの将来予測情報に関する説明 2 2. サマリー情報 ( 注記

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平成29年度 財産勘定 重要な会計方針等

2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

国民年金 ( 基礎年金 ) 平成 26 年度財政状況等の概要 1. 収支状況 (1) 基礎年金勘定の収支状況 前年度との比較 平成 22 年度 平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度 平成 26 年度 ( 伸 び 率 %) 億円 億円 億円 億円 億円 億円 収入総額 230,026

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株 主 各 位                          平成19年6月1日

西日本電気工事企業年金基金_No3_2017_9_FIX.indd

特別会計の改革について

資金収支計算書 平成 30 年度の収支状況を資金収支計算書の流れでみると 収入額は平成 31 年度新入生の入学時納付金の前受金等を含め 195 億 5,975 万 4 千円となり 前年度より繰越された 40 億 5,576 万 3 千円を加えると 収入合計は 236 億 1,551 万 7 千円とな

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国家公務員共済組合連合会 宿泊経理 民間企業仮定損益計算書 自 平成 28 年 4 月 1 日 至 平成 29 年 3 月 31 日 ( 単位 : 円 ) 科 目 金 額 経常収益 施設収入 15,670,478,941 商品売上 826,713,607 保健経理より受入 2,854,582,090

(2) 具体的な事業の内容 地震再保険事業は 民間損害保険会社が引き受けた地震保険の責任の一部を政府が再保険するものです すなわち 地震被害が大きく 損害額が巨額に上る場合 民間損害保険会社だけでは支払いが困難になるので 損害額が一定の額を超過した場合 その超過した部分について 国が再保険金を支払う

連結貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 ( 平成 29 年 3 月 31 日 ) 資産の部 流動資産 現金及び預金 7,156 受取手形及び売掛金 11,478 商品及び製品 49,208 仕掛品 590 原材料及び貯蔵品 1,329 繰延税金資産 4,270 その他 8,476

2018年12月期.xls


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会社法計算書類 .doc

付加退職金の概要 退職金の額は あらかじめ額の確定している 基本退職金 と 実際の運用収入等に応じて支給される 付加退職金 の合計額として算定 付加退職金は 運用収入等の状況に応じて基本退職金に上乗せされるものであり 金利の変動に弾力的に対応することを目的として 平成 3 年度に導入 基本退職金 付

資産の部 道路 小 中学校など公共施設の現在価値のほか 他団体に対する出資金や預金など これまで積み上げてきた金額 負債の部 借入金の残高 退職手当の引当金など 将来の世代が負担しなければならない金額 純資産の部 資産のうち税金などによって形成され これまでの世代が負担した金額 公共資産 自治体が所

平成18年度注記事項

貸借対照表 平成 28 年 3 月 31 日現在 ( 単位 : 円 ) 科目 当年度 前年度 増減 Ⅰ 資産の部 1. 流動資産現金 普通預金 34,426,784 48,558,060 14,131,276 定期預金 1,500,000 1,500,000 0 未収金 76,321,3

第 29 期決算公告 平成 26 年 4 月 1 日 平成 27 年 3 月 31 日 計算書類 1 貸借対照表 2 損益計算書 3 個別注記表 中部テレコミュニケーション株式会社

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貸借対照表 ( 平成 25 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目金額科目金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 14,146,891 流動負債 10,030,277 現金及び預金 2,491,769 買 掛 金 7,290,606 売 掛 金 9,256,869 リ

4 地方公営企業会計基準の見直しの影響 ( 概要 ) 地方公営企業会計基準の見直しのため 平成 23 年度に地方公営企業法施行令等を改正し その改正内容が平成 26 年度予算 決算から全面的に適用となっている (1) 見直しの趣旨 昭和 41 年以来大きな改正がなされていない地方公営企業会計制度と国

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( 資産の部 ) ( 負債の部 ) Ⅰ 特定資産の部 1. 流動負債 366,211,036 1 年内返済予定 1. 流動資産 580,621,275 特定社債 302,000,000 信託預金 580,621,275 事業未払金 2,363, 固定資産 6,029,788,716 未払

平成 28 年度 ( 平成 28 年 6 月 1 日 ~ 平成 29 年 5 月 31 日 )

国家公務員共済組合連合会 医療経理 民間企業仮定損益計算書 自 平成 28 年 4 月 1 日 至 平成 29 年 3 月 31 日 ( 単位 : 円 ) 科 目 金 額 経常収益 保険患者収入 162,803,182,889 内部患者収入 6,963,847,410 一般患者収入 4,418,74

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平成29事業年度(第10期)計算書類

Transcription:

労災保険制度における積立金について 1 労災年金の概要 労災保険には 労災事故に遭われた方やそのご遺族に対して 年金を支給する制度があります 平成 21 年度には 約 23 万 3 千の受給者の方々に 総額約 4,500 億円 1 当たり平均で年額約 200 万円の年金を支給しました 労災保険では 将来にわたって確実に年金を支給するため 事業主の方々に納めていただく保険料から必要額を積み立て 年金の原資として保有しています ( これを 責任準備金 といいます ) 2 労災保険の積立金の考え方 (1) 労災保険の年金は 労働災害により障害が残った方 亡くなった方等のご遺族の生活を支えるため 将来にわたって年金を確実に支給する必要があり その費用は 積立金 ( 責任準備金 ) で賄っています (2) 労働災害に伴う補償の責任は 事故が発生した業種の事業主集団が負うべきであるという考え方から 年金を支給するための費用は 事故が発生した時点において 将来の支給に必要な分も含めて全額徴収し これを積立金 ( 責任準備金 ) として積み立てています (3) 業種別の労災保険率については 年金の支給実績と (2) の考え方に基づき 過不足が生じないように設定しており 原則として 3 年ごとに改定しています ( 直近の改定は平成 21 年度 ) (4) 年金を支給するために積立金 ( 責任準備金 ) を保有するには 次の利点があります 災害と関係のない業種 世代の事業主集団に負担をしわ寄せせずに済むことにより 業種間及び世代間の保険料負担の公平が図られます 労働災害の減少が保険料負担の減少につながり 事業主の災害防止努力を促します 3 必要な積立金の算定方法 将来にわたって年金を支給するために必要な積立金の額は 次のように算定します 1 (1) 年度末の年金受給者数と残存表を基に 次年度以降の各年度について年金受給者数を推計 (2) 1 当たりの年間の年金支給額に賃金上昇率を掛けることにより 次年度以降の各年度について1 当たりの 年金額を推計 賃金上昇率 : 年 1% と仮定 (3) (1) の数と (2) の金額を掛けることにより 次年度以降の各年度について年金支給額を算定 (4) (3) で算定した各年度の支給額を運用利回りで割り引いて合計 運用利回り : 年 2% と仮定 (5) 7 つの区分 2 ごとに (1)~(4) の計算を行い 合計した金額が 必要な積立金 1 残存表年金の受給を開始した々が 経過年数ごとにどのように推移するかをモデル化した表 詳しくは 残存表の見方と年金受給者数の将来推計 (297KB) をご参照ください 2 算定上の年金の区分 [1] 傷病 ( 補償 ) 年金 じん肺 [2] 傷病 ( 補償 ) 年金 せき損 [3] 傷病 ( 補償 ) 年金 その他 [4] 障害 ( 補償 ) 年金 (1~3 級 ) [5] 障害 ( 補償 ) 年金 (4~7 級 ) [6] 遺族 ( 補償 ) 年金 [7] 特別遺族年金 この方法で平成 21 年度末における必要な積立金を算定すると 8 兆 1,249 億円になります 詳しくは 労災保険における必要な積立金の算定方法 (343KB) をご参照ください 責任準備金については 貸借対照表の責任準備金欄 (87KB) をご参照ください 照会先 : 厚生労働省労働基準局労災補償部労災管理課労災保険財政数理室電話 03-5253-1111( 内線 5454 5455)

労災保険における必要な積立金の算定方法 1 必要な積立金とは (1) 年金は 一般的に支給が長期間にわたるため 将来の支払いを保証する仕組みが必要です (2) 労災保険では 労働災害に伴う補償責任は 事故が発生した業種の事業主集団が負うべきであるとの考え方をとっています (3) この考え方に基づき それぞれの年度において その年度の新たな年金受給者に対して年金を支給するのに必要な原資を 将来分も含めて (2) の事業主集団から全額徴収して積み立てられるように労災保険率を設定しています (4) 労災保険では 現在の年金受給者全員が将来にわたり確実に受給できるよう 必要な原資を毎年度算定し ( これを 必要な積立金 ( 責任準備金 ) と呼んでいます ) 実際の積立金が 必要な積立金 ( 責任準備金 ) に過不足のない額であるように管理しています 2 おおまかな算定の流れ (1) 算定の前提必要な積立金は 表 1 のとおり 年金を 7 つに分けて算定しています なお 傷病 ( 補償 ) 年金や障害 ( 補償 ) 年金は 傷病の種類や障害の程度により細分して算定しています 表 1 必要な積立金の算定上の年金区分 年金の区分 1 労災保険 2 船員保険 1 傷病 ( 補償 ) 年金 じん肺 2 傷病 ( 補償 ) 年金 せき損 3 傷病 ( 補償 ) 年金 その他 4 障害 ( 補償 ) 年金 (1~3 級 ) 5 障害 ( 補償 ) 年金 (4~7 級 ) 6 遺族 ( 補償 ) 年金 7 特別遺族年金 3 1 労災保険では 業務災害に対して支給する年金と 通勤災害に対して支給する年金とを区別し 前者には 傷病補償年金 のように名称に 補償 を入れ 後者には 傷病年金 のように補償を入れていません 必要な積立金の算定時には この両者を区別せずに合わせているため 傷病 ( 補償 ) 年金 と表示しています 2 船員保険の職務上年金部門は 平成 22 年 1 月 1 日に労災保険に統合されましたが それ以前から船員保険の職務上年金を受給している方々の分については 区分して算定しています 3 船員保険の職務上年金部門には 7( 特別遺族年金 ) の欄の該当はありません 使用する数値は次のとおりです ア年金受給者数 ( 各年度末時点で集計 ) 1 イ残存表 ( 年金受給開始時からの経過年数ごとに年金受給者数の平均的な推移をまとめた表 ) 1,3 ウ 1 当たりの年金額 ( 年額 )( 毎年度集計 ) 1 エ賃金上昇率 ( 年率 1% と仮定 ) 2 オ運用利回り ( 年率 2% と仮定 ) 2 1 アイウは 必要な積立金の算定上の区分ごとに作成します 2 エオの数値は 経済状況などにより見直します 3 残存表の見方と利用法については 残存表の見方と年金受給者数の将来推計 をご参照ください 1

(2) 算定の手順必要な積立金の算定上の区分ごとに 1~6 の計算を行い 合計額が必要な積立金となります 1 各年度の平均受給数の算定 1-1 年金受給者数 ( ア ) を 各が年金の受給を開始した年度ごとに分ける 1-2 年度ごとに分けた年金受給者数を基に残存表 ( イ ) を用いて 将来の各年度末の年金受給者数を推計する (0 になる年度まで推計する ) 1-3 将来の各年度について 当年度末と前年度末の年金受給者数を平均し その年度の平均受給数を算定する 2 1 当たりの年金額 ( ウ ) に賃金上昇率 ( 毎年度年率 1%) を掛け 将来の各年度について 1 当たり年金額を推計する 3 対応する年度ごとに 1-3 で算定した年度平均の年金受給者数に 2 で推計した各年度 1 当たりの年金額を掛け 将来の各年度に必要な支給合計額を算定する 4 3 で算定した各年度の支給合計額を 必要な積立金を算定する年度における現在価値にするため 運用利回り ( 年率 2%) で割り引きする 5 4 で算定した将来の各年度の支給額 ( 現在価値 ) を合計すると その区分の年金受給者への支給に必要な積立金 ( 支給合計額 ) となる 6 表 1 にある 7 つの年金の区分について 1 から 5 の計算を行い 算定した金額を合計したものが 必要な積立金である 2

3 具体的な算定例 平成 21 年度末時点の障害 ( 補償 ) 年金 4~7 級のデータを使って必要な積立金の算定を説明します なお 1~6 の番号は 2 の (2) で示した手順番号に対応しています 1 各年度の平均受給数の算定 1-1 年金受給者を年金の受給を開始した年度 ( 裁定を受けた年度 ) ごとに分ける 表 2 のように 77,795 の年金受給者を年金の受給を開始した年度ごとに分けます ( 平成 18 年度以前は省略しています ) 表 2 年金受給開始年度ごとの年金受給者数 ( 平成 21 年度末 ) 合計 ( 単位 : ) 受給開始年度 ( 裁定年度 ) 平成 21 年度平成 20 年度平成 19 年度 77,795 1,642 1,543 1,689 1-2 残存表を使い 平成 22 年度以降の年金受給者数を推計する 表 3 の残存表によると 経過年数 1 年に 99,487 いた年金受給者は 経過年数 2 年には 98,459 となるので 平成 21 年度末の年金受給者のうち 平成 21 年度に年金の受給を開始したが その 1 年後 ( 平成 22 年度末 ) に年金受給者として残存する確率は となります 残存表の見方と利用方法については 残存表の見方と年金受給者数の将来推計 をご参照ください 平成 21 年度末の年金受給者のうち 平成 21 年度に年金の受給を開始したは 1,642 なので この確率を使って 平成 22 年度末に引き続き年金を受給しているは となります 同様に 平成 20 年度に年金の受給を開始したは 1,543 なので 平成 22 年度末に引き続き年金を受給しているは となります 3

表 3 障害 ( 補償 ) 年金 (4~7 級 ) の残存表の一部 経過年数定常残存数 0 1 99,487 2 98,459 3 97,455 4 96,499 : : 残存表の見方と利用方法については 残存表の見方と年金受給者数の将来推計 をご参照ください 他の年度についても同様に計算し 平成 22 年度末における年金受給者数を合計すると 75,482 となり これが平成 22 年度末の推計年金受給者数となります 平成 23 年度以降においても同様の計算を行います 表 4 は 平成 22 年度以降の推計年金受給者数をまとめたものです 表 4 平成 22 年度以降の推計年金受給者数 年金の受給開始年度 ( 裁定年度 ) 年金の受給開始年度 ( 裁定年度 ) 合計年度末平成 21 年度平成 20 年度平成 19 年度昭和 43 年度昭和 42 年度昭和 41 年度 ( 単位 : ) ( 推計 ) 22 年度 1,625 1,527 1,672 1,559 1,512 1,327 75,482 23 年度 1,608 1,512 1,656 1,469 1,422 1,246 73,171 24 年度 1,592 1,497 1,639 1,382 1,335 1,167 70,863 25 年度 1,577 1,482 1,622 1,297 1,251 1,092 68,561 26 年度 1,561 1,466 1,604 1,216 1,170 1,019 66,266 27 年度 1,544 1,450 1,585 1,137 1,092 949 63,981 28 年度 1,527 1,433 1,564 1,061 1,017 881 61,708 29 年度 1,509 1,414 1,542 988 945 817 59,449 51 年度 875 797 844 60 49 35 18,633 52 年度 839 763 807 47 38 27 17,369 53 年度 804 730 771 37 29 20 16,164 71 年度 283 249 255 0 0 0 3,219 72 年度 262 230 234 0 0 0 2,871 73 年度 242 212 215 0 0 0 2,551 1-3 年度平均年金受給者数を算定する 各年度について その年度と前年度の各年度末時点の年金受給者数を平均し その年度の平均受給者数を算定します ( 表 5 の A) 2 平成 22 年度以降の 1 当たりの年金額を推計する 平成 21 年度の障害 ( 補償 ) 年金 (4~7 級 ) 支給額 ( 支給実績 ) を平成 21 年度の年度平均年金受給者数で割って 平成 21 年度の 1 当たりの年金額を算定します (1,509,057 円 ) そして 平成 22 年度以降は毎年度 賃金上昇率 ( 年率 1%) だけ 1 当たりの年金額が増加するものとして 前年度の 1 当たりの年金額を 1.01 倍します ( 表 5 の B) 4

3 各年度に必要な支給合計額を算定する ( 表 5 の A B) 4 平成 21 年度末における 3 の現在価値を算定する ( 表 5 の A B C) 上記 1-3~5 の計算を表の形にすると表 5 のようになります この計算の結果 平成 21 年度末における障害 ( 補償 ) 年金 (4~7 級 ) の支給に必要な積立金は 2 兆 927 億 5,200 万円と算定されます ( 表 5 の右下 ) 年度 表 5 平成 21 年度末に必要な障害 ( 補償 ) 年金 (4~7 級 ) の積立金の算定 年度末年金受給者数 年度平均年金受給者数 年金単価 ( 平成 21 年度 ) 賃金上昇率の累積 1/ 運用利回りの累積 支給費用 (21 年度末の現在価値 ) A B C (A B C) ( 実績 ) 円百万円 平成 21 年度 77,795-1,509,057 - - - - ( 推計 ) 22 年度 75,482 76,638 1,509,057 1.010000 (1.0%) 1.000000 116,809 23 年度 73,171 74,327 1,509,057 1.020100 (1.0%) 0.980392 112,175 24 年度 70,863 72,017 1,509,057 1.030301 (1.0%) 0.961169 107,624 : : : : : : : 51 年度 18,633 19,296 1,509,057 1.347849 (1.0%) 0.563112 22,102 52 年度 17,369 18,001 1,509,057 1.361327 (1.0%) 0.552071 20,416 53 年度 16,164 16,766 1,509,057 1.374941 (1.0%) 0.541246 18,830 71 年度 3,219 3,407 1,509,057 1.644632 (1.0%) 0.378958 3,205 72 年度 2,871 3,045 1,509,057 1.661078 (1.0%) 0.371528 2,836 73 年度 2,551 2,711 1,509,057 1.677689 (1.0%) 0.364243 2,500 平成 21 年度末に必要な障害 ( 補償 ) 年金 (4~7 級 ) の積立金 計 2,092,752 支給費用欄は 百万円未満を四捨五入しています 5 4 で算定した各年度の支給合計額 ( 現在価値 ) を合計し 平成 21 年度末における障害 ( 補償 ) 年金 4~7 級に必要な積立金を算定する 6 7 つの年金区分のそれぞれについて 1 から 5 の手順で算定し 結果を合計する 表 1 で示した他の年金の区分についても 1 から 5 の計算を行い これら全ての合計が 労災保険における年金支給に必要な積立金となります 5

4 必要な積立金の算定結果 3 により算定した結果が 表 6 の 必要な積立金額 ( 右端 ) です 必要な積立金算定上の区分 表 6 平成 21 年度末における年金受給者数と必要な積立金額 年金受給者数 ( ) 必要な積立金額 ( 億円 ) 1 労災保険船員保険労災保険船員保険 1 傷病 ( 補償 ) 年金 じん肺 5,426 0 2,139 0 2 傷病 ( 補償 ) 年金 せき損 2,176 1 1,382 1 3 傷病 ( 補償 ) 年金 その他 1,740 4 1,082 2 4 障害 ( 補償 ) 年金 (1~3 級 ) 18,144 225 8,821 80 5 障害 ( 補償 ) 年金 (4~7 級 ) 77,795 1,388 20,928 248 6 遺族 ( 補償 ) 年金 117,719 8,331 44,121 1,988 2 7 特別遺族年金 972 458 合計 223,972 9,949 78,930 2,319 1 必要な積立金額欄は億円未満を四捨五入しているため 端数は必ずしも一致しません 2 特別遺族年金は 石綿による健康被害の救済に関する法律 に基づくものであり その必要な積立金は 遺族 ( 補償 ) 年金の残存表を用いて算定しています 必要な積立金は 毎年度末に数理計算に基づき算定し 労働保険特別会計財務書類の責任準備金の科目に記載し 公表しています 現在の算定方法は 平成元年に学識経験者による 労災保険財政研究会 が示した基本方針に従い導入したものです 6

労災勘定 ( 単位 : 百万円 ) 前会計年度 本会計年度 前会計年度 本会計年度 ( 平成 21 年 ( 平成 22 年 ( 平成 21 年 ( 平成 22 年 3 月 31 日 ) 3 月 31 日 ) 3 月 31 日 ) 3 月 31 日 ) < 資産の部 > < 負債の部 > 現金 預金 8,305,321 8,352,993 未払金 29 27 未収金 49,148 50,367 支払備金 184,822 180,576 未収収益 33,408 33,134 未経過保険料 20,361 15,960 前払金 17,553 6,246 他会計繰入未済金 - 1,845 前払費用 10 8 賞与引当金 1,612 1,584 貸倒引当金 24,501 24,928 責任準備金 7,977,520 8,124,915 有形固定資産 89,916 85,374 退職給付引当金 41,374 40,759 国有財産 ( 公共用財産を除く ) 86,213 82,159 土地 28,967 28,642 立木竹 317 317 建物 41,608 39,756 工作物 15,116 13,254 建設仮勘定 203 188 物品 3,703 3,215 無形固定資産 6,084 8,155 出資金 169,447 170,209 貸借対照表 負債合計 8,225,721 8,365,669 < 資産 負債差額の部 > 資産 負債差額 420,668 315,893 資産合計 8,646,389 8,681,562 負債及び資産 負債差額合計 8,646,389 8,681,562