ISM 周波数帯での RF 干渉のトラブルシュート 入門書
入門書 IoT (Internet of Things モノのインターネット ) が IoT (Interference of Things モノの干渉 ) に 世界にある無線送信機の数は ここ十年間で劇的に増えました IoTの普及により 無線接続のためのローコストで実装が容易なチップセットの要求が高まりました 今日 エンジニアは Bluetooth ZigBee さまざまなWi-Fi(802.11) など さまざまな無線ソリューションを選択することができます これらのチップセットは免許不要の無線スペクトラムを利用し リファレンス設計を利用した認証済みのソリューションが数多くあるため 非常に魅力的です 低コストで免許不要のアプリケーションでは 間違いなく 2.4GHz 周波数帯が人気のある動作エリアであり この周波数帯では数百万の無線が動作しています これらの機器はスペクトラムを共有するため 無線規格は以下のような最新のハードウェア ソフトウェアを使用する必要があります > 時間領域多重アクセス (TDMA) ( 一つのチャンネルの時間共有など ) > クリア チャンネル アセスメント (CCA:Clear Channel Assessment) ( 送信前のリスンなど ) > 適用型周波数制御 ( 周波数ホッピングなど ) 認証 ソリューションを使用しても 無線リンクを確立し 通信を維持するにはまだ問題が残っています それは どうやって無線リンクをトラブルシュートするのか という問題です 2 jp.tektronix.com/iot
図 1. 従来の掃引型スペクトラム アナライザの簡易ブロック図 掃引型 SA 掃引型 アナライザ (SA) 入力 スイープ ジェネレータ アッテネータ Y I G プリセレクタ ローパス RF ダウン コンバータ 掃引同調ローカル オシレータ 分解能帯域幅 (RBW) フィルタ スペクトラム エンベロープ ディテクタビデオ (SLVA) フィルタ 表示 周波数 無線リンクの特性評価 無線接続をトラブルシュートするには 使用する無 線の種類に関する基礎知識が必要になります 無線リンクの表示 RF 環境の特性評価には スペク トラム アナライザを使用します 動作周波数またはチャンネル無線の種類 (Bluetooth Wi-Fi ZigBee NFC) 送信パワー レベル最小受信感度 スペクトラムのどこを観測すべきかどのような種類のスペクトラム形状か TDMA ホッピング FDMA などの特殊モード送信機からどの程度のパワーが出ているか干渉信号に対してどの程度耐性があるか スペクトラム アナライザは 無線スペクトラムの測 定に欠かせないツールです 図 1 に 従来からある掃 引型スペクトラム アナライザの簡易ブロック図を示 します 時間jp.tektronix.com/IoT 3
時間jp.tektronix.com/IoT 入門書 お使いの IoT デバイスは 何十億という他のデバイスと 共有している同じチャンネルで接続されます スーパーヘテロダイン タイプのスペクトラム アナライザ (SA) は 長い間使用されてきました このタイプの計測器の使用には 掃引という動作に起因する問題があります スペクトラム表示で測定されるものは時間的にバラバラであり スペクトラム情報 ( 特にTDMA 信号 ) を正確に再現したものではありません 掃引が最も速いSAであっても 周波数ホッピングを採用したトランスミッタのごく一部しか観測できません 基本的な周波数対振幅の表示の他に 計測器メーカによってはスペクトログラ ムを表示するものもあります 掃引型の SAでは この情報は複数回の掃引から得られたものであるため パルスまたは周波数が激しく変化するトランスミッタではおおよその動作を推定することしかできません リアルタイム スペクトラム アナライザ (RTSA) は 従来のSAと同じ基本機能を持ちながら 数多くの利点も備えています 図 2に リアルタイム スペクトラム アナライザの基本的なブロック図を示します RTSA 入力 アッテネータ リアルタイム スペクトラム アナライザ (RTSA) ローパス フィルタ RF ダウン コンバータ 局部発振器 IF フィルタ ADC バンドパス フィルタ リアルタイムデジタル IQ 出力フィルタ DSP リアルタイム FFT メモリ トリガ マイクロプロセッサ 表示 リアルタイム帯域幅 表示処理 周波数 図 2. リアルタイム スペクトラム アナライザの基本的なブロック図 4
図 3. デジタル フォスファによるスペクトラム表示は レシーバが実際に受信する信号を再現する RTSAと基本的なシグナル アナライザの大きな違いの一つが RTSAの帯域幅の仕様にあります RTSAは 最高リアルタイム スパンまで掃引することはなく スペクトラム情報を連続的に取込みます また RTSAは一度に表示できる数に制限がありません スペクトラム スペクトログラム 変調情報は同時に解析でき このデータは連続的な取込みから得られるため この情報は時間的に相関がとれています RTSAは TDMAプロトコル (Wi-Fi Bluetooth ASK/ FSKなど ) を採用しているシステムの解析に特に優れています 免許不要の周波数帯を利用するデバイス で最も問題になるのが 同じスペクトラムを共有する複数のトランシーバによる影響の管理です 規制要件では 免許不要の周波数帯で動作するデバイスは 他の通信への干渉を抑えるとともに 存在する干渉を受け入れることが求められます リアルタイム スペクトラム アナライザはスペクトラム情報を連続的に取込めるため 干渉による影響を定量化できる 理想的なツールです 図 3は リアルタイム スペクトラム アナライザによるデジタル フォスファ スペクトラム表示の例を示しています RTSA には 以下のような特長があります > 高速なスペクトラム処理レート : 10,000 回 ~3,000,000 回 / 秒 > スペクトラム データの連続記録 > 時間に伴う RF 環境のシームレスな記録 > 時間 周波数 振幅によるトリガ > 時間 周波数 変調測定の相関性 jp.tektronix.com/iot 5
入門書 従来のスペクトラム アナライザ同様 ディスプレイには周波数対振幅の情報が表示されます また 表示されるピクセルには色情報が追加され そのピクセルでどの程度の頻度でRFエネルギーが測定されているかがわかります ( ピクセル占有度 ) デジタル フォスファによるスペクトラム測定では 濃淡表示によりCRT 表示のオシロスコープのような表示が可能になります また 表示の繰返し性もわかるため 特定のスパンで測定される信号の実際の頻度もわかります スペクトラム アナライザは 無線スペクトラムで発生していることを観測するための窓を提供します このリアルタイム スペクトラム表示により レシーバが受け取っている信号がそのまま観測でき 特定のスパンで発生している様子を詳細に観測できます しかし 干渉信号の存在的な影響まで知るには十分ではありません 本来 スペクトラム表示は時分割で多重している信号を表示することはできません ゼロスパン測定はパルスの振幅 期間の詳細を知ることはできますが 周波数情報が得られません この問題を解決するために考えられたのがスペクトログラム測定です スペクトラム表示のように 低い周波数は左側に 高い周波数は右側に表示されます 通常のスペクトラム アナライザと違い 色情報によって振幅が表わされ この情報は縦軸上の時間とともにプロットされます スペクトログラムは チャート レコーダのように 時間変化に伴ったスペクトラムの動きを表示します 掃引同調タイプのスペクトラム アナライザは掃引するため このスペクトログラムは時間的にバラバラになります SAは周波数を掃引します つまり スパンの左側の波形ポイントは 右側の波形ポイントよりも時間的に早く発生します 掃引タイプのアナライザで取込まれたスペクトログラムには 時間的な関係性がありません RTSAで生成されるスペクトログラムは 掃引なしに連続的に記録されたスペクトラム データです RTSAにはドメイン相関性という利点があるため スペクトログラムの情報は他の測定 ( 変調 パワー CCDFなど ) と直接相関をとることができます 6 jp.tektronix.com/iot
認可されていないスペクトラムは保護されていません 干渉がないと思っているのは 見えていないだけなのです 優れた表示能力図 4には デジタル フォスファによる表示とスペクトログラムの例を示しています デジタル フォスファ表示は 現在の信号の詳細を表示しています 画面中央には クレスト ファクタの大きな 低レベルのワイドバンド信号が表示されています 明るく 赤みがかった信号は 高いチャンネル占有度 ( ほぼ連続 ) であることを示しています Wi-Fi 信号も表示されており 2.437GHz(Wi-Fi Ch6) で動作しています さらに10 以上の信号も確認でき 周波数 図 4. RTSA にはドメイン相関性があるため 左側に表示されるスペクトログラムの情報は 他の測定と直接相関をとることができる パワー レベルが変化しています スペクトラム形状と使用されてい る周波数から この信号は Bluetooth デバイスのものであると思われ ます jp.tektronix.com/iot 7
入門書 日々のスペクトラム解析に貢献する RTSA 技術 数多くの異なったサービスが 先に示した測定スペクトラムのようにアクティブな帯域共有技術によって時分割で多重されているため リンク品質が保たれています このような信号の解析のために 日々のスペクトラム解析において ますますリアルタイム スペクトラム アナライザの技術が必要になっています 従来 RTSAはニッチなアプリケーションであると認識されてきましたが 最新の無線設定ではシステム レベルの問題のトラブルシュートや 動作モードの特性評価など リアルタイム スペクトラム アナライザの解析能力と柔軟性が欠かせなくなってきています 著者のプロフィールロビン ジャックマン (Robin Jackman) は カナダのトロントを拠点にするフィールド アプリケーション エンジニアリング チームのシニア メンバーです テクトロニクスに15 年以上勤務しており 北米地域で顧客対応にあたっています RFアプリケーションにフォーカスしたアナログ設計 デジタル設計の両方に対応しています テクトロニクス以前は カナダ政府でスペクトラム マネージメント オフィサとして 電磁適合性 無線の規制と干渉に関する経験を積んできました 8 jp.tektronix.com/iot
参考資料 > eguide to Signals info.tek.com/am-rsa306-e-guide-to-rf-signals.html jp.tektronix.com/iot 9
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