適正処理上の種々の問題を生じさせている根本的な原因ではないか 元請業者は 法に抵触しない程度に安く工事してくれればそれで良い という意識が強すぎる 3 解体業者について ( 解体工事の実態 ) いまだに旧態依然のミンチ解体が行われているのを目にすることがある 解体工事では工事実施時に業者が近隣に案内

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中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

福井県建設リサイクルガイドライン 第 1. 目的資源の有効な利用の確保および建設副産物の適正な処理を図るためには 建設資材の開発 製造から土木構造物や建築物等の設計 建設資材の選択 分別解体等を含む建設工事の施工 建設廃棄物の廃棄等に至る各段階において 建設副産物の排出の抑制 建設資材の再使用および

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1 調査目的 建設副産物対策を総合的に推進することを目的に 諸施策の策定やその評価に必要な排出量や再資源化等の動向に関する実態を把握する 建設副産物とは 建設工事 ( 土木 建築 ) に伴い副次的に得られた物品例 : コンクリート塊 木材 汚泥 建設発生土など 建設副産物 廃棄物 ( 廃棄物処理法

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平成19年  月  日

一般社団法人送電線建設技術研究会関西支部社会保険等の加入促進計画 1. はじめに 平成 27 年 4 月 24 日制定 建設産業においては 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ( 以下 社会保険等 という ) の 1 法定福利費を適正に負担しない企業が存在し 技能労働者の医療 年金など いざというと

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24 ごみ減量分野様式 2 ごみゼロをめざすまち 分野目標 1 ごみゼロ都市 なかの を実現するために 区民 事業者 区が連携して3Rの取組みを進め ごみの排出量が減少するまちをめざす 2 循環型社会を実現するために 資源の再使用 再生利用などの資源の有効利用が広がっているまちをめざす 成果指標 区

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Ⅱ 取組み強化のためのアンケート調査等の実施 (1) 建設技能労働者の賃金水準の実態調査国土交通省から依頼を受けて都道府県建設業協会 ( 被災 3 県及びその周辺の7 県を除く ) に対し調査を四半期ごとに実施 (2) 適切な賃金水準の確保等の取組み状況のアンケート調査国は 平成 25 年度公共工事

Microsoft Word - 特記例

法定福利費の明示について 1 社会保険等未加入対策 建設業者の社会保険等未加入対策として 社会保険等への加入を一層推進していくためには 必要な法定福利費が契約段階でも確保されていることが重要です 建設工事における元請 下請間では 各専門工事業団体が法定福利費を内訳明示した 標準見積書 を作成しており

工事費構成内訳書の提出について ~ 法定福利費の明示が必要になります ~ 平成 29 年 12 月 6 日 中日本高速道路株式会社

目次 建設副産物適正処理推進要綱...3 第 1 章 総則... 3 第 1 目的... 3 第 2 適用範囲... 3 第 3 用語の定義... 3 第 4 基本方針... 4 第 5 関係者の基本的責務... 4 第 2 章 計画の作成等... 4 第 6 発注者による計画の作成 条件明示等..

平成23年度第1回人材確保・育成部会

懸念事項

第3回投資促進等WG 資料1-2

資料 4 平成 26 年報告書に提言された取組のうち 回収率目標達成アクションプラン以外の取組状況について 平成 29 年 12 月 4 日 経 済 産 業 省 環 境 省

廃棄物処理法の基礎知識(第1回)

目 次 1 計画策定の意義 1 2 基本的方向 2 3 計画期間 2 4 対象品目 各年度における容器包装廃棄物の排出量の見込み 4 6 容器包装廃棄物の排出の抑制の促進するための方策に 関する事項 5 7 分別収集をするものとした容器包装廃棄物の種類及び当該容器 包装廃棄物の収集に係る

1 法の目的

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1. 休日 適正工期の確保について 働き方改革関連法がいよいよ今年 4 月に施行します そんな中で建設業界でも 大手ゼネコンで組織する日本建設業連合会 ( 日建連 ) が 2019 年度末までに 4 週 6 閉所以上を実現することを中間目標とし 2021 年度末までにすべての事業所で週休二日 ( 土

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適正処理の実現に向けた社内の取組内容 従業員の教育訓練の実施状況 社内研修を実施している ( 研修の内容 ) 廃棄物処理法について安全性の確保について ( 研修の頻度 ) 年 1 回半年に1 回 3ヶ月に1 回月 1 回 ( ) 外部研修を受講させている ( 研修の内容 ) 安全運転教育 事故時の対

警備員指導教育責任者の選任の基準 ( 警備員規模別 ) 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0% 9 人以下 (n=65) 26.2% 9.2% 6.2% 6.2% 49.2% 3.1% 2.6% 10~29 人 (n=116) 30.2% 13.8% 5.2% 8.6

新システム概念図 変更点及び今後の課題 新システムの検討にあたっては 当初 シールを用いた徴収方法を検討していたが 関係者との調整の結果 以下のような変更及び課題が生じている 1 変更点 : 製品価格に内部化する費用の性質発炎筒の流通は 主として 新車搭載用として自動車製造業者等 交換用として自動車

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本日のご説明 廃棄物処理法の取扱い主に産業廃棄物の取扱いに関して 一般廃棄物と産業廃棄物の取扱いの違い 相談事例主に 一般廃棄物に関して 建設業の皆様にご注意頂きたいこと ( 不適正処理の現場から )

計画の策定にあたって 本計画は 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第 6 条第 1 項の規定される網走市における一般廃棄物処理に関する基本計画です 網走市では 平成 4 年に策定した基本計画に基づき ごみの減量化の推進 リサイクルセンターや最終処分場を整備するとともに 平成 16 年度にはごみ処理の

い さ だ く の残 銀 ご確認 水 科用 歯 に 棚 など せん ま り りは あ か 歯科用水銀 歯科用アマルガムの 使わなく なった 早期処理にご協力ください 2013年10月 採択されました 水銀含有廃棄物の適正処理を お願いいたします 適 正 な 処 理 は どうしたら い い の 歯科用

工事の定義 1. 工事 建設業法等に定義なし 建設業法における用例 : この法律において 建設工事 とは 土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう ( 建設業法第 2 条第 1 項 ) 出典 意味 広辞苑 明鏡国語辞典 デジタル大辞泉 振動規制法 ( 昭和 51 年法律第 64 号 )

山梨県産業廃棄物処理業者等不利益処分要領 ( 目的 ) 第 1 条この要領は 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 ( 昭和 45 年法律第 137 号 以下 法 という ) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 ( 昭和 46 年政令第 300 号 ) 及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則

「住宅リフォーム実例調査」および「住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する調査」について(案)

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国土入企第 5 4 号 平成 31 年 2 月 22 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局長 技能労働者への適切な賃金水準の確保について 技能労働者の確保 育成のためには 適切な賃金水準の確保等による処遇改善が極めて重要です 国土交通省においては これまでの 6 度にわたる公共工事設計労

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第1 機構・組織・人員及び予算

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スライド 1

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Q&A 集 Q1 社会保険等とは何か A1 社会保険等とは 健康保険 ( 協会けんぽ 健康保険組合等 ) 厚生年金保険 及び雇用保険をいいます Q2 国民健康保険組合に加入しているが 社会保険等未加入建設業者となるのか A2 法人や常時 5 人以上の従業員を使用する国民健康保険組合に加入している建設

12年~16年

A4 経営事項審査の受審状況により確認方法が異なります なお 適用除外は 労働者の就業形態等によって適用除外とならない場合もあることから 元請負人は 年金事務所等に適用除外となる要件を確認した上で判断してください 経営事項審査を受審している場合 有効期間にある経営規模等評価結果通知書総合評定値通知書

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Microsoft Word - <局長レク後>都道府県・政令市宛て(総括指摘部分修正)

社会保険加入促進計画 平成 24 年 4 月 19 日 社団法人日本建設業連合会 1. 基本的な方針社会保険等の加入促進の実効性を確保するためには 行政 元請企業 下請企業等が一体となって推進していくことが必要である 日建連は 元請企業としての責務を果たすべく 団体が取り組むべき対策 正会員 ( 以

社会保険等加入及び法定福利費を内訳明示した見積書に関する実態調査について 1. 調査の目的 これまでに実施してきた各施策に関する各建設企業における取組状況および施策の現場への浸透状況等を総合的に把握し 社会保険等未加入対策の目標達成を見据えた加入徹底方策を検討することを目的とする 2. 調査の概要

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土木工事書類スリム化ガイドの発行にあたり 関東地方整備局では 平成 20 年度の 土木工事書類作成マニュアル 策定を契機に 工事書類の簡素化に努めています また 平成 27 年度より 工事書類の提出方法を事前協議で明確にすることで 紙媒体の提出に加えて電子データを提出する二重提出の防止に向けて取り組

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9. システムの利用規約 Q&A Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism 44

業界で躍進する 工事現場 の 要 登録基幹 技能者 登録基幹技能者制度推進協議会 一財 建設業振興基金

スライド 1

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参加申込書は 中部地方整備局のホームページからダウンロードできます 事前参加申込期限 : 岐阜県建設業社会保険加入推進地域会議 :10 月 19 日 ( 金 )17 時 静岡県建設業社会保険加入推

届出義務者の変更 何が変更になるの? 特定粉じん排出等作業 (*) の実施の届出義務者が 工事の施工者から工事の発注者又は自主施工者に変更になります * 吹付け石綿等が使用されている建築物等の解体 改造 補修作業注 ) 労働安全衛生法及び石綿障害予防規則に基づく届出義務者は変更になりません 解体等工

1 これまでの社会保険加入状況 2 社会保険の加入及び賃金の状況等に 関する調査結果 3 入札契約適正化法に基づく実施状況 調査結果 4 建設業許可業者の加入率 ( 推計値 ) 1

財営第   号

貴社についてご記入下さい 貴社の概要について 会社名会社の形態 ( は一つ ) 1 法 2 個 本社所在地 [ ] 都道府県 建設業許可 ( は一つ ) 複数の許可をお持ちの場合 年間完成工事高が一番多いものを一つ回答して下さい 主な許可業種 ( はいくつでも ) 従業者数 ( は一つ ) 期間の定

全建事発第 号 平成 30 年 12 月 27 日 各都道府県建設業協会会長殿 一般社団法人全国建設業協会会長近藤晴貞 公印省略 高力ボルトの需給安定化に向けた対応について ( 協力要請 ) 平素は本会の活動に対しまして 格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます さて 標記につきまして 国

技術者等及び現場代理人の適正配置について

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様式第二号の九 ( 第八条の四の六関係 ) ( 第 1 面 ) 産業廃棄物処理計画実施状況報告書 平成 30 年 6 月 14 日 広島県知事 様 提出者 住所 氏名 広島県府中市本山町 佐々田土建株式会社 代表取締役三島俊美 電話番号 廃棄物の処理及び清掃

1 事業場における事業の概要 産業廃棄物適正処理報告書 産業廃棄物の減量及び適正な処理を図るために山口支店で講じている取組について 次のとおり報告します ホームページ URL 資本金又は資本金 記入者 全社員数 山口支店社員数 山口支店完工高 山口支店事業内容 山口支店事業展望

参考資料 2 下請等中小企業の取引条件改善への取組について 平成 30 年 12 月中小企業庁

プレゼンテーションタイトル

宅建156 表4-表1

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システム情報フロー システムの利用対象者と活用によるメリット建設リサイクル法等の提出書類の作成機能 システムの適用範囲工事発注者排出事業者処理業者情報登録発注前発注後施工計画時施工完了時 区分適用範囲 対象建設副産物対象地域 工事発注者排出事業者処理業者利用対象者システム活用によるメリット工事概要画

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Microsoft Word - 01社会保険等加入対策に係る事務処理要領

202000歩掛関係(151001) END.xls

宅建153 表4-表1

407-1 No.


様式第二号の九 ( 第八条の四の六関係 ) ( 第 1 面 ) 産業廃棄物処理計画実施状況報告書 平成 30 年 5 月 18 日 広島県知事 様 提出者 住所 氏名 広島県三原市須波 1 丁目 23-8 藤井建設 代表取締役藤井啓文 ( 法人にあっては, 名称及び代表者の氏名 ) 電話番号 (08

医療関係機関の皆様へ

Microsoft Word - 様式2-8 産廃処理計画

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売買 売買仲介アンケート調査結果とりまとめ Ⅰ 各社の企業概要 (1) 本社所在都道府県 2


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(Microsoft Word - \216\221\227\2773)

Transcription:

適正処理上の種々の問題を生じさせている根本的な原因ではないか 元請業者は 法に抵触しない程度に安く工事してくれればそれで良い という意識が強すぎる 3 解体業者について ( 解体工事の実態 ) いまだに旧態依然のミンチ解体が行われているのを目にすることがある 解体工事では工事実施時に業者が近隣に案内を出さないケースがある 行政による解体現場への立入指導の結果で 解体現場でマニフェスト不携帯事例が多数あることが報告がされている 中小零細業者等からは解体工事の届出 ( 建設リサイクル法第 10 条 ) が適切になされていないケースがあると言われている ( 対応策に関する意見等 ) 解体工事業の登録 ( 建設リサイクル法第 21 条 ) の要件がゆるすぎるのではないか 登録時にリサイクル 適正処理に関する講習会の受講を課すなどのことが必要なのではないか 廃棄物処理法に則って排除される処理業者に比べ 不適切な解体業者を排除する仕組みが不足しているのではないか リサイクルや適正処理に積極的に取り組んでいる良い解体業者を評価 公表するなど 解体業者を育成するしくみが不足しているのではないか リサイクルが進めば適正処理も進むため 分別解体の徹底など リサイクルを一層強力に進めるべきではないか 4 不法投棄等の実行者について ( 近年の不法投棄等の実態 ) 行政指導の強化や建設 廃棄物処理業界の一体的な取り組みにより 不法投棄量は近年激減しているが 解体廃棄物等の自社用地等での不適正保管やダンプ1 台による人目に付かない場所等での投棄事例は依然生じている 工事現場で廉価に廃棄物処理ができるという業者が営業に来て 委託後 当該業者による不法投棄が発覚したケースがあった 一人親方等による町場の小規模建築工事では従前からの繋がり等により廃棄物を安価に処理できる業者へ委託等するケースが多いが このような廃棄物処理を請け負った業者が不法投棄して排出者も含めて処罰された事例がある 解体業者や運搬 処理業者がマニフェストを書くことも少なくなく こういった場合には 数量を記載していないマニフェストが流れることになり 排出事業者が意図した排出場所へは廃棄物の一部しか持ち込まれず 残りは不法投棄に回ったということがあった 収集運搬業者と中間処理業者が結託したり 解体業者と中間処理業者が結託するなどしてマニフェストを不適切に運用していることがあるのではないか 解体業者には 元請から適正処理を強く求められる場合は適切な処理を行うが そうではない場合には不適正な処理を行う業者がいると言われている 今後も 経営難で不法投棄に手を染める解体業者や処理業者が生じる可能性はある (2) 不法投棄等の発生構造図 1に上述のヒアリング結果等をもとにして作成した不法投棄等の発生構造を示します 従前の処理業者等によって組織的に行われるような大規模不法投棄は激減し 近年は小規模な不適正保管事案やダンプ1 台による投棄事案が目立っています このような小規模事案には 中小零細の工務店 一人親方や解体業者が関与するケースも多く こういった部分への対策が重要となっています また 図 1に示すとおり 建設リサイクル法と廃棄物処理法の所管範囲の境界部に不法投棄が発生しうる要因がいくつかあり 関係者の連携による適正処理推進も重要となっています (3) 工事種類 規模別の施工者と関係法令の周知及び理解度工事種類 規模別の主な発注 受注者と 排出事業者へ関係法令を周知することができる組織を整理したのが表 1です また ヒアリング結果をもとにした戸建住宅の新築 解体工事等における廃棄物の適正処理に関する発注者 施工者の理解度を整理したのが表 2 です 一人親方や小規模な工務店 解体業者には業界団体等に属していないケースも多く こういった方々へは関係法令について周知されることはなく 法制度の理解も進んでいないとみられます 3 不法投棄削減のために ( より効果的な広報活動に向けて ) 建設副産物リサイクル広報推進会議としての効果的な広報の方法として 勉強会では次のとおりの 22

特集 S p e c i a l i s s u e 図 1 建設 解体工事に係わる関係者や不法投棄等の発生構造 建設リサイクル Vol.60 23

表 1 工事種類 規模別の主な発注 受注者と関係法制度の情報源 工事の種類 規模発注者受注者 ( 排出事業者 ) 排出事業者の関係法制度の情報源 公共工事 民間建築工事 ( 比較的大規模 ) 戸建住宅の新築 戸建住宅の解体 戸建住宅の修繕 リフォーム 国 都道府県 市町村等 企業デベロッパー デベロッパー個人家主 個人家主 デベロッパー個人家主 個人家主 ゼネコン 日本建設業連合会等 発注者 ( 行政 ) 地元建設会社 各県建設業協会 ゼネコン日本建設業連合会等地元建設会社各県建設業協会 大手ハウスメーカー 住宅生産団体連合会等 全国中小建築工事業団体連合会工務店労災保険等手続き団体 なし なし 一人親方 労災保険等手続き団体なしなし 各県解体業協会 ( 産業廃棄物収集運搬業 解体業者許可を有する場合は関係労災保険等手続き団体講習受講による ) なし なし ( 同上 ) リフォーム関係団体修繕 リフォーム業者 労災保険等手続き団体工務店 一人親方なしなし 注 ) のうちゴシック体は 建設副産物リサイクル広報推進会議メンバーまたはその傘下団体 提案を行いました 1とりわけ 中小の建設会社や工務店 解体業者 さらには不動産業者などに対して 建設リサイクル法や廃棄物処理法などの関係法令や制度について 重点的に広報活動を行っていく必要がある 2 実証的な調査に基づいて 解体工事の適正価格を算出し それを戸建住宅の施主に対して普及させていくことが極めて重要である すでに適正価格算出のための簡易積算ソフト等が開発されており 広報推進会議においても それらの情報をホームページやニュースメールなどの媒体を活用して 普及することが求められる 3 戸建住宅の施主 ( 個人 ) は 解体 工事にはお金をかけようとしない傾向がある また解体を優良な業者に委託しないと 結果としてどのような処理がなされ どのようなリスクを負担することになるのかということを知識として習得していない このような施主に対する啓発活動については 例えば住宅展示場などと連携して効果的に行う手立てを検討する必要がある 4 例えば東京都が公開している優良事業者リストや全解工連の講習を受けている優良な解体 処理業者リストなどの情報 また公益社団法人全国産業廃棄物連合会が作成した 産業廃棄物処理業者チェックリスト 等を活用した良い処理業者の選び方等を 発注者及び受注者のどちらにも 提供できるような仕組みを検討していく必要がある 5 地方公共団体が発行している公報誌などを通じて 例えば 解体工事の看板の掲示のない現場は違法である 相場よりも異常に安い解体工事を行うと国土の環境破壊を招く などといった啓発情報を 戸建住宅の施主となりうる一般市民向けに広報する 4 おわりに 本稿のベースとなった 建設副産物の不適正処理の実態と改善方策について より効果的な広報活動に向けて の報告書とりまとめにあたってご意見を頂いた勉強会委員の方々 勉強会のアドバイザー 24

特集 S p e c i a l i s s u e 表 2 戸建住宅の新築 解体工事等における廃棄物適正処理に関する発注者 受注者の理解度等 発注者 ( 個人家主等 ) ハウスメーカー 受注者 ( 排出事業者 ) 工務店 一人親方 解体業者 ( 産業廃棄物収集運搬業 ) 建設リサイクル法の理解 殆ど理解していない ( 発注者への PR がなされていない ) 理解している ( 業界団体等を通じた周知がなされている ) 各県の建設業協会加盟会社は理解していると思われるが その他の地場の工務店 一人親方へは周知がほとんどなされていない 各県解体業協会の加盟会社や産業廃棄物の収集 運搬の業許可を取得している解体業者等では一定の理解がなされていると考えられるが その他の解体業者については周知がなされていない ( 未だに都市部でもミンチ解体が散見される状況にある ) 届出等の実施 受注者から説明を受けなければ判らないのが一般的 コンプライアンスの面 不明 等から 大半が法遵守していると推測される 判っていても届け出しない場合があるとの意見がある 費用負担への意識 解体するものにコストをかけたくない ( 安価なら良い ) 相応の費用負担の理解はしているが 顧客を失いたくないため 安価な業者を発注者に紹介することもあるとの意見がある ( 紹介した場合は 解体は別契約となり排出事業者にはならない ) 法制度の理解が進んでいないなかで 安易に安価な処理業者に廃棄物処理を委託するケースがあるとみられる 適正処理可能な金額で受注する業者と 不適切な処理を前提として安価に受注する業者も存在する また 同一の業者でも元請との関係から 元請別に上記の 2 つの顔を有する場合があるとの意見もある 適正処理の実施 関心のある者は少ない 良い業者か否か ( 適正処理をする業者か否か ) を見分ける手だてがない 大方 適正な処理を実施する解体業者 収集 運搬 処理業者と委託契約を締結し 排出事業者として管理しているとみられる 各県の建設業協会加盟業者への適正処理に関する PR はなされているが その他の業者へは周知がほとんどなされていない ハウスメーカー等と永く下請関係にある場合には 適正に処理することが多いとの意見がある 未だ自社用地での不適正な保管等の事案が後を絶たず建設廃棄物の不法投棄等の温床ではないかとの指摘がある ハウスメーカー等と永く下請関係にある場合には 適正に処理することが多いとの意見がある 凡例 : 理解度が低い理解度は不明理解度は高い としてご参加して頂いた方々並びにヒアリングをさせて頂いた多くの関係の方々にお礼申し上げます 勉強会の検討結果を受けて 建設副産物リサイクル広報推進会議では ホームページやニュースメールなどの媒体を活用して必要な情報を逐次配信し 併せて地方公共団体が発行する広報誌などを 通じた一般市民向けの啓発活動を行っています また 公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団では これまで関係法制度についての周知がほとんどなされていない工務店等の小規模建設会社や一人親方 重層下請構造の末端業者向けに本年 3 月から関係法制度に関する講習会を毎月開催するととも に より効果的な周知方法に関する自主研究に着手しています 不法投棄の撲滅にはリサイクルの推進が極めて効果的であり 上述した各種広報活動について 建設リサイクルの推進 徹底と併せて実施していけるよう 今後ともご関係の方々のご協力をお願い致します 建設リサイクル Vol.60 25