Technical news Vol.29 特集 1 特集 2 ユース年代日本代表の戦い クロード デュソー JFA テクニカルアドバイザーインタビュー JFA アカデミー福島での 3 年間と育成への提言 (vol.1) 2008 ナショナルトレーニングキャンプ U-16 2008 ナショナルトレセン U-14 財団法人日本サッカー協会
特集 1 ユース年代日本代表の戦い 特集 2 クロード デュソー JFA テクニカルアドバイザーインタビュー JFA アカデミー福島での 3 年間と育成への提言 (vol.1) 2008 ナショナルトレーニングキャンプ U-16 2008 ナショナルトレセン U-14 連載キッズドリル紹介 第 24 回連載一語一会 GK プロジェクト活動報告 2008 U-18/U-15 GK キャンプ JFA U-17 地域対抗戦 JFA アカデミー福島活動報告モデル地区トレセン訪問記各地のユース育成の取り組み指導者養成事業報告海外で活躍する指導者 9 連載指導者と審判員 ともに手を取り合って JFA エリートプログラムキャンプ報告 47FA ユースダイレクター研修会報告技術委員会刊行物 販売案内 A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA 1 2 3 4 2 49 13 53 16 17 18 22 26 28 30 32 35 46 48 56 58 60 63 Technical news vol.29 1 U-17 日本女子代表 (FIFA U-17 女子ワールドカップニュージーランド 2008 より ) 2 2008 ナショナルトレセン U-14 より c AGC/JFAnews 3 U-19 日本代表 (AFC U-19 選手権サウジアラビア 2008 より )c JUN MATSUO 4 47FA ユースダイレクター研修会より 制作協力 : エルグランツ 印刷 : 製本 : サンメッセ 本誌掲載の記事 図版 写真の無断転用を禁止します 本誌は JFA 指導者登録制度において 所定の手続きを行った JFA 公認指導者の方に無償で配布されています 1 1
NORIKO HAYAKUSA JUN MATSUO Youth 特集 1 ユース年代日本代表の戦い U-20 日本女子代表 FIFA U-20 女子ワールドカップチリ 2008 報告者 佐々木則夫 (U-20 日本女子代表監督 ) 切な施設を確保した 1. 日時 場所トレーニングの初期段階では 時差と現 2008 年 11 月 10 日 14 日 : 国内事前キャ地の気候への順応 ( 日本は初冬 チリは初夏 : ンプ ( 鹿島ハイツ ) 高原性気候で最高気温は 30 度以上 ) に留 2008 年 11 月 15 日 19 日 : チリ直前キャ意した 中期以降は チーム戦術と対戦相ンプ ( サンチアゴ ) 手を想定したゲーム戦術の確認を中心に 2008 年 11 月 20 日 12 月 1 日 : 本大会 ( サ試合への準備を行った ンチアゴ チジャン ) 宿泊施設は 基本的に選手は 2 人部屋として メディカル リラックス キットの各部屋を別に用意した 食事は 3 食ともに 2. 目的バイキング形式であり チームの要望に柔 (1) なでしこジャパンにつなげる選手の軟に対応してメニューの変更などが行われ育成た チームごとに食事スペースが異なって (2)FIFA U-20 女子ワールドカップでいたため品数自体は豊富ではなかったが の上位進出 ( ベスト 4) 質 量ともに必要十分なものであった 3. 現地直前キャンプ 4. 本大会サンチアゴのホテルを宿舎として La (1) グループステージ Florida( 試合会場 ) 地域のサッカー協会や日本は グループステージを 3 戦全勝で民間クラブの施設を利用してトレーニング突破した 各試合の概略を下記に示す を行った 現地組織委員会から事前に用意された施設はピッチが正規の大きさより小第 1 戦 vs カナダ 2-0( 前半 2-0) さく 現地で調整の上 トレーニングに適 ( サンチアゴ :La Florida stadium) 体格を生かした相手のロングフィード攻撃をさせないため 前線からの素早いプレッシングと守備の連動により 高い位置でボールを奪うことを徹底した 立ち上がり 守備面ではチーム戦術が機能しボールを奪うことができた しかし攻撃時には 消極的なプレー選択が多く効果的な攻撃を行えなかったが 個人でのしかけなど 積極的なプレーの選択が増えるにつれてボールを動かし 積極的なアクションから効果的な攻撃が行えるようになった 28 分に先取点 40 分に追加点を奪い その後もゲームを支配した 後半は 時折相手のロングフィードで押し込まれる場面も散見されたが チャレンジとカバーを繰り返す連動した守備でボールを奪い 無失点でゲームを終えた 第 2 戦 vs ドイツ 2-1( 前半 1-0) ( サンチアゴ :La Florida stadium) 身体資質とスピード 基本技術など優れた個のタレントを擁するドイツに対して 日本は前線からの連動したプレッシングでボールを奪い ボールと人が動きながら積 2
極的にアクションすることでゴールを目指した 前半中盤までは 相手の攻撃は制限するものの 相手にコンタクトプレーで競り負け主導権を握られる 前半終盤からは 連動した守備が機能し 有効な攻撃ができるようになった 前半 41 分に先取点を奪い 後半もやや優勢に試合を進めるが 61 分に同点に追いつかれ その後は拮抗した展開が続いた しかし 81 分に積極的な突破から追加点を挙げゲームを終えた 第 3 戦 vs コンゴ 3-1( 前半 2-1) ( チジャン :Estadio Nelson Oyarzun) 個人とチームの戦術的完成度は低いものの 優れた身体能力 ( 先天的資質 ) に裏づけられた個の力を持つコンゴに対して 日本は 1 2 戦で出場機会の少なかった選手を中心に試合に臨んだ 試合序盤は ボールを動かしながら積極的なアクションでシュート場面を多くつくるものの ミスから相手にボールを奪われ 前半 10 分で 2 得点に 1 失点と落ち着きのない展開となった その後も 単純なミスやコミュニケーション不足からボールを奪われ 攻守ともにちぐはぐな展開が続いた 後半に入り 78 分に 3 点目を奪いゲームを終えた (2) 決勝トーナメント準々決勝 vs 朝鮮民主主義人民共和国 1-2( 前半 1-1) ( サンチアゴ :La Florida stadium) 優れた身体能力 ( 鍛えられたパワー ) と基本技術 徹底したチーム戦術で戦う朝鮮民主主義人民共和国 ( 以下 DPR.K) に対して 日本は前線からの連動したプレッシングでボールを奪い ボールと人が動きながら積極的にアクションするサッカーで試合に臨んだ 試合序盤は 相手のロングフィード攻撃にも競り勝ち ボールを支配しながらも 決定的なシュート場面をつくれなかった 22 分 ペナルティーエリア内での相手の強引な突破から失点を喫する NORIKO HAYAKUSA 39 分に FK から同点に追いつき 前半を終了 後半も ボールを動かしながら優勢に試合を進めるが 60 分に再びペナルティーエリア内で相手の強引な突破から失点を喫する その後も優勢に試合を進め 得点機を数度つくるも 結局得点を奪えずにゲームを終えた 日本はアジア予選時に比べて 試合内容 ゲーム展開ともに格段の成長を体現したが DPR.K の壁を超えることができずに大会を終えた 5. 成果と課題 (1) 成果 1チームコンセプトの習得攻守にアクションするための判断 連動 連携 規律の質の向上において攻守に主導権を獲得する内容であった これは 北京オリンピックでのなでしこ同様の狙いでもあり また導入は U-20 が先駆けて行った 欧米対策 (2007 年 AFC 女子アジアカップ予選 初戦オーストラリア ) の狙いとして実施し 結果を 2007 年のスウェーデン遠征 アジアカップ予選 ( オーストラリア ) 2008 年 9 月のフランス遠征等で実証した また 今回カナダ ドイツ等にも勝利し 欧米チームには 9 勝 1 分けと結果においても表されていた 2 選手個々の大舞台でのベスト 8 の経験は 今後の成長の兆しを強く感じた また なでしこジャパンへの強化として 強く手応えも感じた なでしこ同様 技術 個人戦術 チームコンセプトでの連携等の質から 諸外国 FIFA 等からも高い評価を得た 3 GK のボトムアップも挙げられる 上を見ればきりがないが GK3 人は三様 それぞれタイプの違う選手ではあるが対人に強くなり 競り合い ディフェンスラインの裏の対応等 今回の経験を踏まえ 質の向上が見られたのは 今後の見通しが明るい (2) 課題 1 ボールを奪い ゴールを奪う ゴールを守る ベースの質 戦うメンタリティーが常にキャンプ時全般の課題となっていた 選手には習慣化できるようにアプローチしてきたが なでしこジャパンと比較すると ひいき目で見ても満足に至らない質であった また 相手のリズムのとき また殺気だった相手のプレッシャーにおいて 技術 判断 コミュニケーション等がぶれてしまう時間帯等を打開できない状況が 大会を通じて見られた 特にドイツの立ち上がり DPR. K コンゴ戦全般に見られた NORIKO HAYAKUSA 2ゴール前の攻防 大会を通じたボール支配率 シュート数は どの相手にも勝りつつも ゴール数とベスト 8 の結果は満足のいくものではなかった その要因としては 攻撃面でシュートの質 特にキックの強さと質 プレッシャー下でのシュート 判断等が挙げられる 判断においては シュートで終わる意識が強すぎて 工夫が見られず崩しきれていなかった 中盤でつくる局面からゴール前のしかけの工夫 一瞬の隙を突く 観る質 意外性アイデア ( 失敗を恐れない突破など ) 等が不足していた この点を達成したゴールは 8 ゴール中 4 ゴールで 支配率から考えると物足りない 守備としては 1 相手を数的優位で追い込みながら奪いきれずに 逆に不利に追い込まれた局面 この要因として 縦と横のチャレンジとカバー 局面の変化に対するチャレンジとカバーができなかった 1 対 1 の対応 第 1 守備者決定の判断の質が挙げられる また特にプレスバックの状況に応じた技術の質が低かった 2 攻撃から守備の切り替えの速さは 他のチームに比べれば速い方ではあったが 日本としてはそこが勝負どころだと考えると 前線での 2 次攻撃につなげる切り替え 遅らせる対応 後方での予測 バランス GK と DF との連携の素早い対応が勝つための生命線と言える 3さらに優勝したアメリカと比較すると明らかであるが ともに対戦した DPR.K 戦を検証してみると 日本はミス ロスが重なる局面が多くあり アメリカは重なるミスがなかった また DPR.K の徹底した速い展開と個の質を 守備の個人戦術と冷静なチャレンジとカバーで危なげなく対応できていた フィジカル面の成果として スタミナは 3
世界でも上位クラスで 小刻みに動きアップダウンを繰り返し行う意志とコンセプトのもと 献身的に表現されていた 初戦のカナダ戦の両サイドの 4 人は 特にすばらしい動きでアップダウンできた 課題はゴール前の攻防で パワーを要するプレーの連続 試合終盤でのパワーを要するプレーにブレが生じてチャンスを逃し ピンチを招く要因となっていた 特に下腿 の強化は急務であり 怪我の予防とプレーの幅を広げるために取り組む必要がある 6. まとめ 3 大会ぶりの大会としては 総合的には今後につながる戦いと評価できる 目標であるベスト 4 は達成できず DPR.K のリアクションサッカーに予選から 3 連敗とアジ アの壁にしてやられた反省と 欧米対策の手応えのある傾向を今後のなでしこジャパンや 2009 年 AFC U-19 女子選手権 (FIFA U-20 女子ワールドカップ予選 ) へとつなげる最高の場であった この FIFA U-20 女子ワールドカップチリ大会終了までの過程において 多くの方々にご支援 ご協力いただき 深く感謝いたします U-17 日本女子代表 FIFA U-17 女子ワールドカップニュージーランド 2008 報告者 上田栄治 (JFA 女子委員会委員長 ) 1. はじめにこの大会に参加したチームは 2006 年 9 月に立ち上げた 発足当時は佐々木則夫監督 ( なでしこジャパン監督 ) が指揮していたが FIFA 女子ワールドカップのプレーオフと AFC U-16 女子選手権の日程が重なったため 2007 年からは吉田弘監督にバトンタッチした 約 2 年前に招集された当時から比べると このニュージーランドでのパフォーマンスは成長著しいものがあった FIFA U-17 女子ワールドカップは 朝鮮民主主義人民共和国 ( 以下 DPR.K) がしぶとく戦って優勝した 日本は DPR.K に 2 年前の AFC U-16 選手権ではすべての部分でかなりの差を感じて敗れたが 今回対戦できればその差が測れたと悔いが残る この大会を目標にした約 2 年間の強化を振り返って 今後に役立てたい 2. 大会に向けた強化 2007 年 3 月に AFC U-16 女子選手権が開催された 選手たちは中学 3 年生がほとんどで 受験のため強化合宿に招集できない選手がいたり 所属チームでのトレーニ ング不足があったり また時期的にインフルエンザの流行などもあり 強化が難しかった AFC の大会を含めてトレーニングキャンプは 5 回 約 40 日間活動し うち 1 回はオーストラリアのユースオリンピック大会に参加した AFC の大会前にこの大会に参加できたのは良かった 海外遠征が初めてという選手が多く 3 月に行われる AFC U-16 選手権 ( マレーシア ) のシミュレーションとして 1 月のシドニーの暑さと大会を経験できた AFC U-16 選手権はクアラルンプール ( マレーシア ) で行われ 準決勝で中国を破り FIFA U-17 女子ワールドカップの出場を決め 決勝では DPR.K に敗れ 2 位となった 出場を決めてから本大会までは約 1 年半の期間があり 定期的に強化合宿を行い また 2007 年夏にアメリカ 2008 年にオーストラリアへの海外遠征を実施 選手たちはワールドカップを目標に 所属チームでも自分たちの課題に取り組んだ 選手それぞれがテクニックや体力的な課題を明確にして常に意識し 代表チームと所属チームが連携をとって進めたことは有効だった L リーグに出場している選手 岩渕真奈 ( 日テレ ベレーザ / 日テレ メニーナ ) 井上由惟子 (JEF レディース ) 亀岡夏美( 大原 特別指定選手 /JFAアカデミー福島) は その伸びも顕著であった また 大分国体で優勝した埼玉選抜で左 SB として出場した竹山裕子 ( 浦和 ) は 本来は SH であるが国体での経験がワールドカップにつながった 3. 日本の戦い (1) グループステージ (10 月 30 日 / ハミルトン ) vs アメリカ (3-2) 第 1 戦は優勝候補のアメリカと対戦した 女子は今まですべてのカテゴリーで 公式戦でアメリカに勝利がなく 強豪アメリカにどの程度戦えるか興味深かった 試合開始早々に相手のロングスローから GK と相手選手が交錯した中で失点した 嫌な流れとなったが 徐々に日本らしいパスワークを駆使し ゴールチャンスを多くつくった 同点弾は MF 嶋田千秋 ( 日テレ メニーナ ) の思い切りの良いミドルシュートがバーに跳ね返り その直前からリバウンドを予測して素早く反応した岩渕がしっ 4
特集 1 ユース年代日本代表の戦い Youth かり決めた 後半も 1 点先行されるが 亀岡のロングシュートが決まって同点にし 交代出場した吉岡圭 (FC VICTORIES) が逆転ゴールを決めた 日本はチャンスを多くつくりシュート数は 20 対 9 と上回って内容的にもゲームを支配できたが パスが弱かったりファーストタッチが悪かったりとボールを失う場面も多く GK と DF の連携が悪く危ない場面もあった 1 対 1 の守備 リスタートの守備も改善したい 良いプレーやチャンスも数多くつくり 試合に勝ちながらも課題も出た試合だった (2) グループステージ (11 月 2 日 / ハミルトン ) vs フランス (7-1) 相手のシステムは 1-4-2-3-1 で 日本とほぼマッチアップする形で GK をはじめセンターラインに好選手をそろえていた 前半から攻勢をしかける日本は 相手を翻弄 ( ほんろう ) してゴールラッシュした 攻撃陣がタイミング良く縦横に動いて パスワークも弾けるようにゴールチャンスを創造し フィニッシュの質も良く吉良知夏 ( 神村学園高等部 ) がハットトリックを達成した ヨーロッパ 2 位でワールドカップに出場したフランスに 7-1 で大勝した 攻撃面では非常に良かったものの 守備面で基本が徹底されていないことや攻守において GK と DF の連携がまずいという課題も残った (3) グループステージ (11 月 5 日 / クライストチャーチ ) vs パラグアイ (7-2) 2 連勝で準々決勝進出を決めて 第 3 戦のパラグアイ戦はサブメンバー主体でグループ 1 位を狙った サブにも経験させることとレギュラーメンバーを休ませる狙いだったが 試合はいつもと違いギクシャクした CB が退場処分を受け しかも PK を決められ 1 点を追う形となったが 10 人になった方が緊張も解け 動きが良くなった 結局 7-2 の大差でパラグアイを退けた この結果 狙い通り C グループ 1 位となり D グループ 2 位のイングランドと対戦することになった 日本は 3 連勝し 17 得点 5 失点で 参加チーム中 得点が一番多かった (4) 準々決勝 (11 月 9 日 / ハミルトン ) vs イングランド (2-2 PK4-5) イングランドはグループステージ 2 連勝後の第 3 戦 韓国に 0-3 で敗れて 2 位となった 韓国に負けたイングランドを軽視したことはないが どこかに隙があったのではないだろうか 逆にイングランドはグルー プステージ 1 位で評価の高かった日本に 闘志を燃やして挑むという心構えがあったと思われる 日本は前半に先制したがロスタイムで同点にされ 後半 37 分に勝ち越したもののまたもロスタイムに追いつかれ 延長戦後 PK で敗れた この試合で目についたのは イングランドの選手たちのスピード パワー リーチを生かした 日本を自由にさせない厳しいディフェンスだった 決して負けたくないというメンタリティーを発揮していた それに比べると日本はボールを奪い合う場面で 身体を張らず軽かった 大事な試合で軽いプレーをしては ボールを失うし 奪うこともできない また正しいポジショニング アプローチ / カバーリングの速さなど 守備の基本の大切さを学ばなくてはならない 残念ながらベスト 4 進出はならなかった しかし世界を相手に 日本の特長を発揮して評価できる部分と スピード パワー リーチの差をどのように対抗するかという課題が残った この差は 日本の女子サッカーが世界を相手にするときの永遠の課題である 4. 日本の成果 (1) テクニックこの年代でテクニックは 世界のトップクラスにある ボールコントロール パスなど 正確に早くプレーすることができる 吉田監督は 観て 感じて プレーする ことを強調して 状況によりボールとともにターンする技術は 今大会では世界一だったと言える 前を向いてしかける 一瞬の隙を逃さずシュートやパスにつながる技術は 今後も磨いてほしい DF でもしかけることができないと上の世代で成功しないという考えから DF が判断なしに蹴ってしまうことも矯正しようとした 勝つことばかりにこだわるとこのような指導はできないが 選手の今後 日本の将来を考えると手本となる指導である 日本では 12 歳以下の少女が男子と一緒にプレーする傾向が年々高くなっており 男子とトレーニングすることもテクニックや判断力のレベルアップにつながっていると思われる (2) 攻撃のアイデアとフィニッシュ攻撃力のある嶋田とバランスの取れる亀岡をボランチに起用し 岩渕 吉良の 2 トップ SH 左に斉藤あかね ( 常盤木学園高校 ) 右に井上 左 SB は本来攻撃的な左利きの竹山を配置し お互いにタイミングを計れる選手たちが 意外性のあるアイデアあふ れるコンビネーションで躍動した また CB のポジションでラストパスやためをつくったのが岸川奈津希 ( 浦和 ) で リスタートから 4 得点し 攻撃力のあるところを示した 4 試合で 19 得点はすばらしい出来だった まだまだ フィニッシュの正確さは磨かなくてはならないが チャンスを多くつくり 積極的にフィニッシュする姿勢は 今までにないものだった (3) 個々の課題改善のためのアプローチ監督が中心になって選手個々の課題の改善についてそれぞれの選手が意識しながら所属クラブと連携して取り組んだ 選手によっては トレーニングが週に 3 回しかなく体力的な問題が浮き彫りになった 吉田監督は所属クラブの監督と相談して 高校の男子と一緒のトレーニング または自宅周辺での持久走などを実践させた 選手の体力的な面の向上は トレーニングキャンプごとのフィジカルテストによって確認された (4) メディカル面のアプローチ女子選手は膝の深刻な怪我が多いため 予防のトレーニングを日常的に取り入れた ウォーミングアップの前は必ず選手それぞれが実践した またこの年代は貧血の選手が多く 分からないままでいるとそのパフォーマンスに影響して選手を正当に評価できない そのため貧血の検査を実施 その結果により必要な選手は適切な処方により改善させ パフォーマンスを向上させた 今回活躍した選手の中には 貧血を克服した選手がいた 貧血が隠れていると 能力の高い選手がやる気がないとみなされるケースが多い 今後もこの年代は気をつけたいものである 5. 日本の課題 (1) スピード パワー リーチの差にどのように対抗するか日本が世界と戦うときに スピード パワー リーチの差 ( 体格 体力の差 ) は永遠の課題である この差に対抗するために 観ながら 頭を働かせ 動きながらプレーすること が重要である 例えば ヨーイ ドン で競走したらかなわないが 少しでも良いポジションから動きながら走ったら相手よりも早く目標に到達できる 観ながら 頭を働かせ 動きながらプレーすること と正確で早いテクニックで スピード パワー リーチの差に対抗できる そして重要なのは体格 体力の差を恐れず挑んでいくメンタリティーで ボールを 5
奪い合う場面では身体を張る勇気が必要である (2) 守備の基本すばらしい攻撃面に比較して 守備のポジションに関してはタレントが少なく 守備の基本が習得できていないというのが正直な感想である 守備の基本を重視してこの年代でもやっていかなくてはならない またリーチの差を補うスライディングタックルの技術は 身につけておきたい (3) ゴール前の攻守ゴール前の攻守は常に課題として取り組まなくてはならない 得点は多かったがフィニッシュの技術は改善の余地がある 守備においても 観ながら 頭を働かせ 動きながらプレーすること を意識して 常に正しいポジション 速いアプローチ / カバーリングを徹底させたい ゴール前の攻防を もっとトレーニングに取り入れる必要がある ストライカーはシュートばかりでなく ディフェンスラインを突破する工夫やオフサイドにかからないようにラインを観ながらタイミングを計るなど習慣化したい また 育成年代 特に 12 歳以下は 8 対 8 の試合で ボールを扱う機会やゴール前のプレーを多くして改善したい (4) コミュニケーションサッカーはグループで勝敗を競うのに 自分の意思を伝えない選手が多い 監督の話や指示に反応しない ミスを謝らない 要求しない 直前の合宿でさえ意思を伝えない選手が多いのには驚いた ミスがどうして起きたのか分からずじまいでは進歩はない 選手が考えないでプレーするのは 選手たちが指導者に依存して自立していないのか 指導者の一方的な指導になっていないか 気をつける必要がある 自立して コミュニケーションのとれる選手の育成を目指したい われわれは なでしこ Vision で 強化ばかりでなく サッカーでなでしこらしい選手の育成を目指している なでしこらしさとは ひたむき 芯が強い 明るい 礼儀正しいという日本女性の内面的な良さにつながるものである 6. まとめ今回 日本らしい戦いができ 良いパフォーマンスが発揮できた 次回はベスト 4 を目指したい この年代からベスト 4 の常連となれば U-20 なでしこジャパンも世界大会でベスト 4 とメダル獲得が現実的になる 現状の育成にさらに力を入れて 10 歳から 15 歳の育成の充実こそ 世界のトップクラスの扉を開ける鍵となる TSG 報告 報告者 今泉守正 ( ナショナルトレセンコーチ女子担当チーフ ) 1. 大会全般 (1) 大会概観初めて実施された FIFA U-17 女子ワールドカップは 各大陸予選を勝ち抜いた 15 チームと開催国のニュージーランドの 16 チームが参加して 10 月 26 日から 11 月 16 日までの期間で合計 32 試合が オークランド ウェリントン ハミルトン クライストチャーチの 4 都市で行われた 初夏を迎えるニュージーランドは 寒暖の差が大きかったが すばらしいスタジアムと絨毯のような芝生で 技術と戦術を発揮できるコンディションであった 大会は 16 チームを 4 グループに分けてリーグ戦を行い 上位 2 チームが決勝トーナメントに進出した 決勝トーナメントには グループ A: デンマーク カナダ グループ B: ドイツ 朝鮮民主主義人民共和国 ( 以下 DPR.K) グループ C: 日本 アメリカ グループ D: 韓国 イングランド ( グループ順位順 ) が進出した 記念すべき第 1 回大会のファイナルは AFC チャンピオンの DPR.K と CONCACAF チャンピオンのアメリカの対戦となった 結果は 1 点を争う好ゲームが展開され 延長後半にクリーンシュートを決めた DPR. Kが2-1で勝利 第 1 回チャンピオンとなり 大会の幕を閉じた (2) 大会結果大会のベスト 8 に進出したのは UEFA3 ( ドイツ イングランド デンマーク ) AFC3 (DPR.K 韓国 日本) CONCACAF2( アメリカ カナダ ) という内訳であった 準々決勝は ドイツ イングランド アメリカ DPR.K がそれぞれカナダ 日本 韓国 デンマークを下した 準決勝は DPR.K が 2-1 でイングランドに アメリカが同じく 2-1 でドイツに勝利し ファイナルへと進んだ 3 位決定戦はドイツが 3-0 でイングランドを破り 決勝は DPR.K が延長戦の末にアメリカを下して初代チャンピオンに輝いた 2. 技術 戦術的分析参加したチームを大陸ごとに述べる (1)AFC( アジア ) AFC の 3 チームは いずれも 攻守ともにオーガナイズされており 世界のトップと戦う力を有していた 優勝した DPR.K は 1-4-4-2 のシステムで 4DF はフラット 4MF はダイヤモンド 2 トップは横並びの伝統的なシステム 11 YUN Hyon Hi がトップに張り 10 JON Myong Hwa はフレキシブルに動く 6 KIM UJ の展開力と9 HO Un Byol のドリブルでのしかけから 2 トップにボールを入れて得点を狙う 守備は 前線からチェイシングを行い 全員がハードワークする さらに アプローチスピードが速い GK は守備範囲が広く その上 平均身長が 170cm 弱と大柄な選手をそろえていた 大会を通しての走力に優れており その運動量のもと 90 分間 ( 延長は 120 分間 ) 攻守ともに切り替えの速い ダイナミックなフットボールを展開した 韓国は 1-4-2-3-1 のシステム 攻撃はスキルフルな10 JI So Yun を中心に スピードとテクニックを有する11PARK Hee Young ターゲットプレーヤーの18 LEE Min Sun が軸となり 守備的 MF の6 LEE Young Ju 17 LEE Mi Na が DF の背後にスルーパスやサイドのスペースへ展開する 守備は センター DF の8 SHIN Mi Na 20 KOH Kyung Yeon が全体をコントロールする 切り替えが速く アプローチも速い 4DF はラインコントロールを行う 日本は 1-4-4-2 のシステム 2 トップの 9 吉良 10 岩渕はテクニック スピードに優れる ボランチ6 亀岡 7 島田は プレーメークに優れ まさしく 人とボールが動く フットボールを展開した 守備は ファースト DF を徹底し その間に守備ブロックを形成する 切り替えは速い 3 ラインをコンパクトにし ボール保持者にプレスをかけて選択肢を狭めてボールを奪うチャンスをつくり出していた ( 詳細は後述 ) (2)UEFA( ヨーロッパ ) UEFA の 4 チームは それぞれがその国のフットボールを展開しようと試みていた 3 チームが決勝トーナメントに進出したが グループステージで敗退したフランスも有力なチームであった 3 位のドイツは 1-4-4-2 のシステム チームのシェイプが整っており 全員がハード 6
特集 1 ユース年代日本代表の戦い Youth ワークする 攻撃の軸である10 Dzsenifer MAROZSAN はテクニックに優れ 運動量も豊富 さらにキックの質が高く 決定力を有している 守備的 MF 6 Marie-Louise BAGEHORN 8 Lynn MESTER は展開力に優れている スルーパスを中央 サイドに出し キックの質は高い 両サイドは MF DF 共に突破力を有している 動き出しのタイミングが良い 幅と深さを使い ダイナミックなフットボールを展開する 守備はファースト DF を徹底 2 トップは縦を押さえ サイドに出させてボールを奪う 各ラインから縦にボールが入ったら プレスバックして W チームを組みボールを奪う ディフェンスラインは 基本は受け渡しだが センターは 3Inka WESELYがマンマーク 4 Valeria KLEINER がカバー スペースを抑える 共に人に強く 高さも強い グループでのチャレンジ & カバーが徹底している GKは守備範囲が広く クロスに強い 4 位のイングランドは 1-4-4-2 のシステム 攻撃では守備的 MFの10Isobel CHRISTIANSEN 8 Jordan NOBBS がプレーメークする スピードと得点力のある9 Danielle CARTER を生かした中央突破や サイド MF の11 Lucy STANIFORTH 7 Rebecca JANE 16 Lauren BRUTON は突破力がありチャンスメークする 守備は センター DF 5 Jodie JACOBS 6 Gemma BONNER が全体をコントロールする 3 ラインを保ち サイドが縦にスライドし 相手に対して素早くアプローチしてチーム全体がよくオーガナイズされており ボールを奪っていた デンマークは 1-4-2-3-1 のシステム 攻撃は基本的なテクニックを有し ショートパスを主体にポゼッションプレーを展開する プレーメーカーは12Pernille HARDER 動きながらのテクニックを持ち ボールを失わない 周りをよく観てプレーする チャンスメークは 左ワイド MF 8 Katrine VEJE アグレッシブでスピードを生かした突破力がある 4DF は幅を取り ビルドアップする 守備的 MF はボールに関わり 組み立てる 1 トップ13 Linette ANDREASEN は基本スキルを有する ターンがうまくシュートを狙う 守備は 全員が規律を持ってハードワークする 4-5 の守備ブロックを形成し 相手のプレーを遅らせた後 中央へのパスを牽制しながらサイドへパスを出させてボールを奪う フランスは 1-4-2-3-1 のシステム 3 ラインをコンパクトにプレーし 全員が関わりをもってプレーする 攻守の切り替えが速く トランジションモメントを理解している 攻撃は GK を含めたゲームコントロールでポゼッションプレーを展開する 10 Solene BARBANCE を中心に中盤が組み立てを行い 複数のプレーヤーが関わり スピードアップのタイミングを共有している ディフェンスラインのビルドアップ 守備的 MF のポゼッション能力がある GK のキックが良く 攻撃の起点となる 全体的に選択肢を持ったプレーを行う 守備は 4-5 の守備ブロックを形成し ファースト DF のアプローチからボールを奪うチャンスをつくり出す GK の守備範囲が広く 基本テクニックが良い 日本戦は立ち上がり お互いがコンパクトな攻守の切り替えの速い好ゲームであったが 前半半ば過ぎから 日本の攻撃力に守備が崩壊し 大量失点したためアメリカと得失点差で決勝トーナメント進出を逃したが 力のあるチームであった (3)CONCACAF( 北中米 カリブ海 ) CONCACAF の 3 チームは 北米のアメリカ カナダはスピードとパワー系の能力をチームの中心戦略に据えた個でしかけていくフットボール 中米のコスタリカは 個人のテクニックをチームのベースにおいたフットボールを展開した 準優勝のアメリカは 1-3-2-3-2 のシステム グループステージでは 個のスピードとパワーを生かしたフットボールに固執 グループやチームでのまとまりに欠けていたが 決勝トーナメントに入ってからはチームとしてのまとまりが生まれ 全員がハードワークし 個人のスピードとパワー そして豊富な運動量でファイナルに進出した 攻撃は 10 Kristie MEWIS を中心に サイドのスペースを利用してオーソドックスに展開した 2 トップの 8 Vicki DiMARTINO は 突破力と 5 試合連続得点と決定力があり 7Courtney VERLOOは高さとスピード テクニックを有していた 守備は ディフェンスリーダーの 6 Cloee COLOHAN を中心に 前線からアプローチを素早く行い 相手の選択肢を少なくしてボールを奪う意識が高い 守備的 MF 2 Lexi HARRIS は身体能力が高く アジリティーも良い カナダは 1-4-2-1-3 の伝統的なシステム 3 トップとトップ下の 4 人は 身体能力の高いプレーヤーをそろえていた 攻撃は 3 トップに対してダイレクトプレー トップの12 Nkem EZURIKE をターゲットに くさび 両ウイングのスピードを生かしたスペースへの展開となる 攻撃はシンプル 変化はほとんどない 守備はボールを失うとすぐに奪い返すアクションを起こす アプローチの意識が 高い 1 トップを残し 4-5 の守備ブロックを形成する センター DF11Karli HEDLUND 20 Lauren GRANBERG は 互いにチャレンジ & カバーを理解し 動き出しが早い 高さへの対応も良い 中盤の13 Danica WU はハードワークする 小さいが予測力に優れ セカンドボールを拾う 全員がタイトにプレーする コスタリカは 1-4-4-2 のシステム 身体能力は高くないが 個人のテクニックをベースにチームで戦う DPR.K 戦は 好ゲームを展開していたが 残念ながら 終盤 運動量が見るからに落ちてしまった この年代でのトレーニングの量が不足しているように感じられた 攻撃は 個人のテクニックをベースに チームでボールを失わない ドリブル or パスの選択肢を常に持ってプレーしている 相手を見てプレーし 逆を取りながら駆け引きしてプレーし 相手 DF に的を絞らせない また アイデアが豊富である 守備は ゾーンの意識を持ちながら マークの受け渡しを行い ディフェンスラインは常に 1 人余らせる形をつくっていた ボールに対しては 必ずファースト DF がアプローチをかけ 自由にプレーさせない カバーリングプレーヤーがいないときは 間合いを取り スピードアップさせない このように意図的にボールを奪うチャンスをつくり出していた (4)CONMEBOL( 南米 ) CONMEBOL からは 3 チームが参加していたが いずれのチームも決勝トーナメントに進出できなかった ブラジル パラグアイともに 個人のテクニックは高かったが チームとして攻守に機能せず グループステージで敗れた ( コロンビアは視察なし ) ブラジルは 1-4-4-2 のシステム 個人テクニックがベースで ポゼッションプレー主体 攻撃は幅を取り ボランチの5 BRUNA 15 JULIANA CARDOZO がプレーメークし 2 トップ9 RAQUEL 20 ANA CAROLINE と攻撃的 MF の7 THAIS 18 7
JULIANA が流動的に動く 初戦のイングランド戦前半 18 分にエース10 BEATRIZ が肩を怪我してしまい 攻撃の起点を失ってしまったのが残念である 守備は SW システムをとり タイトなマンマークでプレーする パラグアイは 1-3-4-3 のシステム 個のテクニックを生かしながらポゼッションプレーを展開する 攻撃では 3DF の3 Cris Mabel FLORES 5 Paola GENES は ビルドアップ能力を有しており キックの質が高い ボランチ 8 Paola ZALAZAR がプレーメーク 3 トップはテクニックに優れ フレキシブルに動く 守備では 3DF は 2 人がマンマーク 1 人がカバーリング 4MF はフラット 3-4 の守備ブロックを形成し ボールを奪うチャンスをつくり出す (5)CAF( アフリカ ) CAF は ナイジェリアとガーナが出場した 共に優れた身体能力を持ち 個人のスピード テクニックを有する いずれも決勝トーナメントに進出できなかったが 今後の大会において急成長する可能性が高い ナイジェリアは 1-4-1-4-1 のシステム 個人テクニックがベースでスピードがあり 身体能力が高い ボールが来る前によく観ている サッカーを感じている 攻守共にグループ チームでプレーしようとする 攻撃は 個人スキルが高く ボールが動いている間の動き出しのタイミング スピードアップが良い ゴールへのしかけが速く 常にゴールを意識してプレーする 守備は 1 対 1 の対応力 カバーリング能力が高い ガーナは 1-3-4-3 のシステム 個々の能力を生かしたプレーを展開する 攻撃はしなやかな身体とスピードを有してドリブル主体で攻撃する シュートポイントに入るスピードは速い 守備は 1 対 1 の対応が粘り強くできる (6)OFC( オセアニア ) OFC は 開催国のニュージーランドが出場した ( 視察なし ) 3. まとめ FIFA U-17 女子ワールドカップニュージーランド 2008 は ニュージーランドのすばらしい環境下で充実した大会となった FIFA U-17 女子ワールドカップは 今大会が初めてであり 世界の動向を確認する また 日本の現在地を確認する上で 重要な大会となった 各チームともにイメージは代表と同様のフットボールを展開した 大人のフットボールの入り口として 世界の動向を確認できた 攻守において切り替えの速い コンパクトなフットボールを目指すものの うまくいくときもあるし まだまだ改善しなければならないプレーも多かった 今大会に出場した選手たちが母国に戻り 所属チームでトレーニングを積むことにより 次のカテゴリーである FIFA U-20 女子ワールドカップでは 大きな成長を遂げるであろう ただし その成長度合いは 各大陸で異なってくるであろう というのは 置かれている環境で差が出てくる つまり UEFA で実施されているようなリーグ戦文化がその差を生み出すのである 今大会に出場したドイツは ブンデスリーガとしてすでにリーグ戦が存在し 毎週のように公式戦が行われている また 出場していないスペインでも リーグ戦が実施されている エスパニョールでは 女子が 6 チームあり ( トップからジュニアまで ) それぞれがリーグ戦を行っている このように 毎週のように実施される公式戦を通して サッカーをどう戦うか ということについて 選手も指導者も育成 養成されていくのであろう 今大会 日本は準々決勝において 2-2 PK 戦の末イングランドに敗れた 2 失点はいずれもロスタイムによる失点であった ゲーム中にいつ だれが どこで 何を どのようにプレーするのか ゲームを読んでプレーしていくためには 日々のコーチングとともに前述した試合環境の整備が必要であろう 日本において 女子のリーグ戦環境を即座に整備することは難しいが 男子のリーグ戦に参加させてもらうなど方法を生み出していくことは可能ではないか 大会の MVP として 岩渕が受賞した これは 日本の育成力を証明することができたのではないだろうか FIFA のテクニカルスタディグループは 岩渕のオフ ザ ボールの動き ゲームを読む力 運動量と質 予測は 他のプレーヤーの模範となるであろう と述べている これからも 指導者が情報を共有し 互いに学び 現在の育成をより向上していくことが大切であろう U-19 日本代表 AFC U-19 選手権サウジアラビア 2008 報告者 牧内辰也 (U-19 日本代表監督 ) 1. 日時 場所 2008 年 10 月 23 日 11 月 12 日 / サウジアラビア ダンマン 2. 大会結果 次ページ下表参照 4. 成果と課題 (1) 成果 攻守のハードワーク 前線の守備に反応した連動する守備( ボールを中心とした守備 ) 守備から攻撃への切り替え 中盤を経由した中央とサイド攻撃の崩し リスタート( 攻守 ) かける 運ぶ 失わない 奪う ) ボランチ 最終ラインを使った組み立て 個人での局面打開 個人でボールを奪える力 フィジカル 1 身体の大きさ厚み コンタクト スピード 2プレーの連続性 持久力 敗戦後の回復力 3. 目的 ベスト 4 以上入賞 2009 年 FIFA U-20 ワールドカップ ( エジプト ) 出場権獲得 アジア予選を通じた選手強化 育成 (2) 課題 個人技術 戦術 グループ戦術の理解実践力 プレッシャー下での技術の発揮( 前にし 5. 大会を終えて 2007 年 1 月 U-18 日本代表として立ち上げから約 1 年 10 カ月 その間約 20 8
特集 1 ユース年代日本代表の戦い Youth 回の国内キャンプ 海外遠征 国内外の大会参加 そして AFC U-19 選手権予選とさまざまな経験を踏まえて臨んだ今回の AFC U-19 選手権 われわれの目標は今年エジプトで開催される FIFA U-20 ワールドカップ出場権を獲得すること 残念ながらその目標は脆くも崩れ去ってしまった こんなに動きが悪く 身体が重そうで受け身のサッカーをする姿を見るのはいつ以来だろう? 決して韓国が良いわけではなく われわれが悪すぎるのだ 準々決勝のベンチ前で繰り広げられる試合展開を前にこの局面をどう打開するか思いをめぐらしていた グループステージのイエメン戦 イラン戦 サウジアラビア戦とすべて順調にとは言えないが 皆が一つになり 厳しい局面を乗り越え 一戦ごとに結束力は高まっていっていた 戦前の予想ではグループステージ敗退もあり得る厳しいグループとされたが 選手たちには逆にそれが幸いしたのか 気を抜いたらいつでもやられてしまう という思いが良い意味の緊張感をつくり出していた 幸いにも先に 2 勝することで 3 戦目のサウジアラビア戦では GK を除きフィールド選手全員をピッチに立たせることができた 2 戦の中で受けた累積警告や怪我 状態の悪い選手は回復に時間を使い 準々決勝は万全の状態で臨める準備は整ったかに見えた プレッシャーなのか連戦による回復力低下なのか 動きが悪く 思うように走れない 韓国も決して良い状態ではなかった それ以上にこの日のチームはグループステージで見せたようなアグレッシブさが見られなかった ボールへの寄せ 連動した守備 数的優位をつくり奪い取り 素早く展開し攻撃に移る動きを出し 前半の 20 分を過ぎると動きが軽くなり 本来の状態に戻るだろうと考えたが 先に失点してしまったことで余計に浮き足立ってしまった 韓国も仙台カップでの敗戦と日本のグループステージの戦いを視野に入れ ブロックをやや後方につくり 奪って 2 トップにくさびを入れカウンターから得点を狙う攻撃に集中していた 先に得点したことでその傾向はさらに強まっていた 後半メンバーを入れ替え 起点をつくり攻撃に転じようと試みたが ミスから失点を重ね 結局自分たちのリズムをつかめないまま試合終了のホイッスルを聞くこととなった 試合に敗れ 世界への出場権を失ったショックもあるが なぜここまで動けなかったのか? 走れなかったのか? 闘えなかったのか? 悲しみというよりも不思議な気持ちが頭の中を一杯にした 今大会アジアのサッカーは大きく東西 2 つのグループに分けられた 東アジアを中心とする組織的に試合を組み立てるグループと 西アジア ( 中東 ) を中心とする個人を前面に出すサッカーと言えた 日本 韓国 朝鮮民主主義人民共和国 ( 以下 DPR.K) 中国 オーストラリア ウズベキスタンなどが組織と個人を融合させたチームであり 結果的にすべてのチームが決勝トーナメントに進出することができた サウジアラビア UAE などは個性を前面に闘うチームだった 決勝トーナメントに進出した 8 カ国中 6 カ国が組織と個人を融合したサッカーであったことは世界のサッカーの進むべき方向性と合致しており アジアでもこの傾向は続いていくと思われる しかし 組織の中の個人を見るとまだレベルアップが必要に思えた 技術力を高めプレッシャーの中でも失わずにボールを進めることができなければ世界の舞台では活躍できないことも想像させられた チームの役割を理解し 自分を生かすプレーが個性で 個人のやりたいことを優先しチームを生かすことができないプレーを わがまま であることと理解していない精神的に幼い選手もこれから淘汰されていくことだ JUN MATSUO ろう 今回 出場権を得られなかったことで 日本サッカー界の活性化 選手自身が世界の舞台で活躍する場をなくしたこと それに伴い世界から見た日本の現状の把握 課題抽出などの機会を失ってしまったことの損失は計り知れない 今回 現場を預かった監督として悔やんでも悔やみきれない大きな代償となった 今回参加してくれた選手たちは アジアでの自分たちの力量や今後目指していかなければならない課題 強みにしていくべきものなどが体感できたと思う 何より出場権のかかった試合がどんな雰囲気の中で行われ その中で何ができ またできなかったのかを身体に刻み込み 今後の糧として前に進んで行ってほしいと思う 出場時間の短かった選手や直接プレーする機会のなかった選手たちも同じように感じ取ってくれていることだろう また 難しい心理状態の中で最後まで集中を切らさずチームとして行動を取ってくれた控えの選手たちの立ち居振る舞いがあったからこそチームの一体感が維持できた 選手個人の成長と同時にチームとしての成長が見られたことは勝敗とは別にうれしい出来事の一つだった グループステージでは選手全員が個々の役割を理解し ハードワークすることでチームとしての戦う意識を共有し徹底していた 誰が出場してもそのことが戦いの中で実践でき 試合を重ねるごとにチームの結束力が高まっている印象を受けた 実際 GK 以 9
外のフィールドプレーヤーはアジアユースの厳しい戦いの場で全員がピッチに立ちプレーする経験ができたことは 今後につながる貴重な経験として生かされることだろう そして次の世代での代表選手を目指し 次回こそ この悔しさを糧に世界大会への 出場権を勝ち取ってほしいと切に願う 最後になりましたが アジア最終予選に際し 大会期間中の難しく厳しい時期にもかかわらず招集にご協力いただいたチーム関係者の皆さま 以前に招集にご協力いただいたすべての関係者の皆さま ご協力い ただいたにもかかわらず 世界大会への出場権を得ることができず心からお詫び申し上げます これまでチームの立ち上げから われわれの活動にご尽力いただいた皆さまの配慮に心から感謝いたします TSG 報告 報告者 小野剛 (JFA 技術委員長 ) 布啓一郎 (JFA 技術副委員長 ) 1. 大会全般 (1) 環境大会が始まるまでの 10 月中は 日中の気温が 30 度を超える日が続いていた しかし大会が進むにつれて過ごしやすくなり 決勝トーナメントに入るころには 30 度を下回る日が多くなった 第 1 試合が始まる 16:15( 第 2 試合は 18:45 キックオフ ) には 25 度前後となり その後 日没でさらに気温は下がり 涼しい中でのゲーム環境で行われた 会場はダンマンとアルコバルの 2 会場で すべてのゲームが行われた ピッチはやや長い夏芝 ( 冬枯れる ) で毎日 2 試合が繰り返されたが 芝は良い状態が保たれ パススピードの意識は必要であったが 技術と戦術を発揮できるコンディションであった (2) 上位進出チームの条件大会 16 チームを 4 チーム 4 ブロックに分けてリーグ戦を行い 上位 2 チームが決勝トーナメントに進む その中で 2009 年に開催される FIFA U-20 ワールドカップ ( エジプト ) の 4 枚の切符がかかっている大会であった 決勝トーナメントへは A グループ : 日本 サウジアラビア B グループ : UAE 韓国 C グループ : 中国 DPR.K D グループ : オーストラリア ウズベキスタン ( グループ順位順 ) が進出した そして切符を手にしたのは韓国 UAE ウズベキスタン オーストラリアであった チームでの戦い方には違いがあるが この 4 チームに共通しているのは ボールを前に進める意識が高いこと コンタク JUN MATSUO トスキルが強いこと 攻守にハードワークができる持久力があること が挙げられる それはボールを前に進めるために前を向く そして前に運ぶ技術があり 個人でしかける力がある また球際で体を投げ出してでもマイボールにする意思があり 攻守の切り替えでさぼる選手がいない 自チームがゴールを奪い 相手チームからゴールを守るために 当たり前のことを普通にできるチームが勝利に近かった 決勝は 準決勝でオーストラリアを 3-0 で破った UAE と 韓国を 1-0 で破ったウズベキスタンの対戦となった 今大会の UAE は前線に 個に秀でたタレントを有し 守備から攻撃の切り替えの速さから前線の選手が個での打開力を発揮してグループステージから全勝で勝ち進んだ 一方 ウズベキスタンは組織と個をミックスした真面目で粘り強いサッカーで決勝に進んだ そして UAE がウズベキスタンを 2-1 で破り初優勝した (3) 拮抗したアジア各国の実力グループステージで敗退したが イラン タイ シリア タジキスタンは勇敢なチームであり ボールを奪い合うメンタリティーやゴールに向かう姿勢 相手に対して逃げない守備など すばらしいものを感じた また 技術的にも決勝トーナメントに進んだチームと見劣りするところはなかった 他のチームも含めて 16 チームに大きな差はなく 大会への入り方や小さなことの積み重ねが勝敗を分けていた 裏返すと日本はアジアを簡単に勝てる実力を備えているとは言えない アジアのサッカーは確実に 進歩しており 日本のレベルアップよりも他国が日本に追いついてきている危機感を感じた大会と言えた 2. 技術 戦術 ( アジアのサッカー ) 今大会のアジアのサッカーは東西に 2 グループに分けられた それは東アジアを中心とする組織的にゲームを組み立てるグループと 西アジア ( 中東 ) を中心とする個人を前面に出すサッカーと言える (1) 組織と個人を組み合わせる東アジア日本 韓国 DPR.K 中国 オーストラリア ウズベキスタンが組織と個人を融合させたチームであり 結果的にすべてのチームが決勝トーナメントに進出することができた 開催地がサウジアラビアであり中東勢にアドバンテージがあると考えられたが 気温が予想より低く 東アジア勢は組織的な攻守を90 分間続けられたことは大きかったと思われた 守備では FW がプレスに入る位置はゲームの状況によって変化するが DF がラインコントロールを行いコンパクトなブロック形成からボール中心の守備でボールを奪い 切り替えの速さから攻撃につなげるサッカーを志向していた また攻撃でもボランチを起点とした組み立てから意図的な攻撃を目指していた 韓国 DPR.K 中国は 1-4-4-2 のシステムであったが 韓国 DPR.K はダブルボランチに左右の MF 中国は中盤がワンボランチ ワントップ下の菱形をとっていた この 3 カ国の特長は 止める 蹴る の精度が高いことが挙げられる 日本選手が逆足を苦手としている選手が多いが 左右差異なくキックのできる選手がほとんどであり フリーな状態では広い展開力を有していた また サイド DF の攻撃参加も多く 攻守に一体感のあるチームと言えた しかしプレッシャーのある中では技術の精度が低くなることはまだあり 組織でも個人でボールを前に運ぶことができなくなるときや ボールは動かしているが活動性に乏しく 結局ロングフィードのセカンドボールを狙うアバウトな攻撃もあった 10
特集 1 ユース年代日本代表の戦い Youth オーストラリアは 1-4-2-3-1 のワントップシステムであった 恵まれた体格を前面に出して攻守にチームとして機能し ワイドアタッカーの打開力と FW を起点としてインサイドの中盤の攻撃参加からバイタルエリアを攻略しようとしていた サイド DF も同サイドはサポートに高い位置をとっていたが ボールを追い越して行く場面は少なく バックパスを逆サイドに展開することが多くなっていた しかし活動性に乏しく単調な組み立てが多くなっていた また組織の中で個を際立たせることができる選手も少なかった 守備ではブロックを形成していたがインターセプトを狙うよりもゾーンを埋めて守備をする場面が多く 上のレベルではゾーンの隙間で起点をつくられると守りきれなくなると思われる ウズベキスタンは 1-4-1-4-1 のワントップ ワンボランチのシステムであり 今大会の中で予想を上回るチームと言えた 攻守にボールから遠い選手が的確なポジションをとり 切り替えが速く攻守にハードワークをいとわない またコンタクトプレーに強く 球際で体を張りひたむきにボールに行く姿勢 闘いは見るものに感動を与えた 決勝トーナメントに出場した 8 カ国中 6 カ国が組織と個人を融合したサッカーであったことは世界のサッカーの方向性に合っており アジアでもこの傾向は続いていくと思われる しかし組織の中の個人を見るとまだレベルアップが必要に思えた 技術力を高め プレッシャーの中でも失わずにボールを前に進めることができないと世界の中で勝ちきることは容易ではないと感じられた (2) 個を前面に闘う西 ( 中東 ) アジア決勝トーナメントには開催国のサウジアラビアと UAE の 2 カ国が進出した 西アジアのチームは 一言に間延びしたサッカーを行っていた 1 年間の半分が暑さに見舞われる西アジアの国々は 90 分間組織的に闘うことは難しく 攻撃と守備が間延びした攻守分離型のサッカーにならざるを得ないこともあるのであろう しかし個人で闘う姿勢や前にしかける力は鋭く 前方へのフィードに対して鋭い出足でゴールに向かう姿勢があり 個人の打開力は日本を上回る部分があった 決勝トーナメントには進めなかったが日本がグループステージで対戦したイラン ( 日本 4-2 イラン ) は コンタクトに強く 個人で常にゴールに向かう姿勢があり 前方にフィードしたボールを強引に前に持って行く攻撃に 日本は対応できずに多くのピンチを招いていた またサウジアラビア ( 日本 1-1サウジアラビア ) も同じように 前に 対して迫力ある攻撃を繰り返し行い 個人技術の高い個の力を感じるチームであった 守備に関しては 3DF と 4DF の両方を採用しているチームがあったが どちらも基本的には 1 人後方に余らせる守備が多かった 3DF のチームは両サイドの MF も下がり 5 バックでスペースを埋める守備が多く 奪ってシンプルにカウンターを狙うことが多い また 4DF のチームはセンター DF が 1 人余るのでサイド DF を絞らせていた しかし MF の守備意識が低いチームもあり 中央にボールが入るとサイドにスペースを空けていた しかしサイドにはリスクを負うがボールを奪ったら攻撃に早く切り替える要素を持っていた またチーム全体がコンパクトではないため ボールに対して数的優位をつくって奪うことは少ない そしてマンマークが中心でありボールウォッチャーになることと FW が背後に走るとラインが下がりバイタルエリアに大きなスペースができることが多かった コンビネーションから起点をバイタルエリア内でつくられること また中央に寄せられてからサイドを突かれたクロスに対しては守備の弱さを現わしていた 3. 日本の闘い (1) マイナス要素をプラスにしたチーム今回のチームは U-19 日本代表としてすべての選手を招集できたわけではなかった 金崎夢生 ( 大分 ) は J リーグヤマザキナビスコカップ決勝のため招集が見送りとなった 香川真司 (C 大阪 ) は A 代表の招集も含め グループステージでの帰国となった また直前キャンプで高橋峻希 ( 浦和ユース ) が故障しての選手変更 サウジアラビアに入って体調不良で初戦に出場できない選手もいた そして第 1 戦のイエメン戦で柿谷曜一朗 (C 大阪 ) が前半早々に 尾骨を強打して負傷退場するなどのアクシデントが多くチームを襲った しかしベンチも含めチーム全体が冷静に対応し 不安を感じさせずに闘ったのはさすがであった 第 1 戦の柿谷と交代で出場した永井謙佑 ( 福岡大学 ) は交代早々に得点を挙げ グループステージで 4 得点の大活躍をした 危機感を共有して闘ったチームは 2 連勝して 3 戦目でフィールド選手は全員ピッチに立つことができた チーム全体に一体感があり アクシデントをプラスにしてグループを 1 位で通過できたことは スタッフのここまでのチームづくりと 今回招集された 23 人だけでなく 日本サッカー全体がレベルアップし 選手層が厚くなっている証だと思われる もう一歩の所で世界へは届かなかったが 日本らしい堂々とした闘い方は多く の人に支持されていた (2) 日本の成果 1 攻守にハードワーク日本チームの攻守のハードワークは大会の中でトップクラスであった 宮澤裕樹 ( 札幌 ) 永井の FW2 人はタイミングの良いスペースランニングでゴールに迫っていた 守備でも前線からのプレスを常に行い 相手チームのビルドアップを混乱させていた また水沼宏太 ( 横浜 FM) 山本康裕( 磐田 ) を中心とした中盤の選手も プレーの連続性があり 活動性のある攻撃を展開していた そしてディフェンスラインもボールを追い越して積極的な攻撃参加を頻繁に行い 多くのチャンスをつくっていた 守備では高い位置からボールを奪うために 攻撃から守備への切り替え時はポジションに関係なくブロックを形成し DF も積極的にラインコントロールを行っていた また守備から攻撃の切り替えの速さもチームで浸透していた 2 戦目のイラン戦では GK 権田修一 (F 東京 ) からの切り替えで 2 点を奪い 相手に大きなダメージを与えることができた また多くのチームが後半の中盤以降にチーム全体で運動量が落ちて 足に痙攣 ( けいれん ) を起こす選手も多く出ていた しかし日本は足に痙攣を起こす選手は 1 人も出ず 運動量が落ちることはなかった 日本の持久力は高いものがあり 90 分間プレーをやり続ける隙を与えないサッカーが展開できたのはすばらしかった 2チームの統率 ( 組織力 ) チーム全体が闘い方を共通理解して役割を果たすことができていた グループステージ 3 戦でフィールドプレーヤーは全員プレーしたが 誰が出ても闘い方は変わらずチームとして機能していた 日本が 90 分間変わらない闘い方ができるのは 日本人の理解力 協調性および持久力等がストロングポイントとして挙げることができる またリスタートに関しても隙を突く姿勢を常に持ち クイックリスタートや多くのパターンを状況に応じて繰り出し 相手チームに脅威を与えていた (3) 日本の課題 1シビアな闘いの中での技術 ( 前を向く ) 今大会の日本はボールを前に運ぶ力は個人でもグループでも低かった ボールを失わないことは重要であり 無理に同サイドでしかけていくことが有効ではない しかし第一にゴールに向かう ( 前を向く ) ことなしに ボールを失わないことを優先していたら それはサッカーではない 昨今ポ 11
特集 1 ユース年代日本代表の戦い Youth ゼッション型チームとダイレクトプレー型チームの 2 つの闘い方があるように思われているが サッカーにそのような型はない 状況に応じて常にダイレクトプレーがあり その中で有効に組み立てる ( ポゼッション ) ことが必要である しかし日本選手はプレッシャーが掛かると前を向けずにボールを下げてしまうことが多い 技術レベルの問題ではプレッシャーの中 また動きながらの技術の精度を上げることが重要であり 左右差異なくキックやターンの技術を上げていかなければならない 日本選手は使う足が決まっていて 向ける方向が限定されてしまうことが多い また戦術的にボールを受ける前に 観ておく ことがしっかりできていない面も多く 下げなくてよい所でボールが下がってしまう 2 前にしかける シュートを狙う上位に進出したチームには個人で打開できる選手が必ずいる それはスピードを持った選手であり 相手を抜き去る技術がある選手と言える スピードは先天的なものがあるが 技術はジュニア年代からフェイントを含めしっかりと習得していくことや 常にゴールに向かう姿勢を養わなければならない 子どもは自分がボールを触りたい そしてゴールに向かいシュートを狙う この素養をジュニア (U-12) ジュニアユース (U-15) 年代で失わせてはならない 失敗をしない小さくまとまった選手よりも 失敗を恐れずにチャレンジする選手を認めていくことが重要となる しかし勝つために組織をつくることに時間を費やしていたら 個人のレベルアップは望めない 今大会を含め中東勢は少々無理でも思い切りシュートをうってくる 韓国 中国 DPR. K の東アジア勢もキックは日本よりも精度が高いと言える まだ世界的に見ればシュートの精度には問題もあり アジア病 は治ってはいないが やり続けていく中でいずれ怖い存在になるような感じがする 3ボランチを使った組み立て日本のサッカーは状況に応じて人とボールが動くサッカーである そのためにはボランチがいかに組み立てに参加するか また豊富な運動量で相手守備陣を混乱させるかが重要になる 運動量に関しては活動性を保ち十分なプレーをしていたが 起点としては今大会 十分な機能は果たしていなかった 日本は 1-4-4-2 のダブルボランチを採用していたが ボランチでボールを持ち出し前線に進入していったのは 香川が入ったときは機能していたが他の選手では難しかった また展開に関しても 判断が遅く ボランチでボールを持つ時間が長く なり 相手にパスを予測され パスの受け手に時間を与えることができていなかった 日本のサッカーはこのポジションが生命線と言える 守備ブロックの中でボールを受けて起点になれる そしてボールを失わずに前にプレーできる精度を高めていく そのために動きながらまたプレッシャーの中での技術の精度を高めること また左右差異なくプレーし ボールを受ける前に 観ておく ことができて 選択肢の多い組み立てができなくてはならない そして攻守に運動量を欠かさない選手を育成していかなければならない 4 個でボールを奪う力グループステージ第 2 戦のイラン戦と準々決勝の韓国戦は 球際の闘い 1 対 1 の対応 DF の背後への走り込みにおいて厳しい闘いを強いられた 守備に関して個の守備力はすべてのカテゴリーから課題として挙がってきている これは日常のゲーム環境が厳しい環境にないことが大きな問題であると考える 国際大会だから アプローチを早くして体を当てていけ と言われても 日ごろ行っていないことは急にはできない スペインで 10 数年 育成のコーチを経験をした方と 高円宮杯 (U-18) の決勝トーナメントを視察したが その方が こんなにコンタクトプレーのないゲームは サッカーではないみたいですね と言った言葉が印象に残っている 実際に 1 対 1 の対応はコーディネーション能力であり ジュニア ジュニアユース年代までに高めておく必要がある しかしこの年代までにブロックはつくっているがボールに対して奪いに行かないでいたら ユース年代以上で厳しい球際の守備ができるようにはならない アジア予選でも 球際での甘いプレーは相手に一気に前へボールを運ばれる また寄せなければミドルシュートをうたれる 日本人は守備をネガティブにとらえ受け身になりがちだが 海外チームの守備はボールを奪うための狩猟であり 常に先手を取りに来る そのための正しいポジションをチーム全体でとり続けて アラートにボールにアプローチする日常を創出しないと この問題は解決しないと考える 4. 個を育てる日本のサッカーの方向性 (1) ゲーム環境の整備今後の日本サッカーは 個の弱さを組織でカバーするサッカーからいかに脱却するかに掛かっている 各年代で目先の勝利のために組織をつくりゲームを行うのではなく 個の弱さがさらけ出されるゲームになっていかなくてはならない 個を育てるため には 特に低年齢で技術を習得するためには ボールタッチを増やしていくこと またゴール前の攻守に責任のあるプレーができるようになるために ボックス内の攻防が多くなる少人数のゲームを多く経験していくことが重要になる そのためには 8 人制のサッカーを定着させていき 前を選択することによりシュートを狙うことができる だから前を向かせない厳しい守備が日常であり 良い習慣を身につけていくことが必要になる また 8 人制サッカーは低年齢だけでなく 多くの年代で推奨していくことが必要と考える 特にプロ 1 2 年目の選手はゲーム経験が不足している プロチームは人数や怪我人等 サテライトチームで 11 対 11 を行うことが難しいときも多いが 8 人制なら簡易に行うことができボックス内の攻防が多く ヤングプレーヤーを鍛える良いゲーム環境だと考えられる また 11 人制のゲームでも拮抗したゲームを増やすためには 能力に応じたリーグ戦を基軸とした年間カレンダーを作成することが必要になる ゲームこそが選手を育て 毎週のゲームのレベルによって選手育成は決まってくる ミスが隠れてしまうような ぬるま湯サッカー では 今後日本は世界どころかアジアの中でも埋没しかねない 常に全力で攻守にしのぎを削る厳しいサッカーを日常で行うことがレベルアップにつながっていくこととなる 少人数ゲームを含め日常のゲーム環境を整えていくことは早急な課題として必要と思われる (2) 指導者の資質向上最も重要なのは指導者の質と言える 選手を優秀なフットボーラーに育てていくには 指導者のサッカー理解度が重要になる 日本人は針がどちらかに大きく振れる傾向が強い ポゼッション か ダイレクトプレー が良い例だと言える ボールを大切にすることが前に進まずにバックパスが多くなってしまうことにつながる またゴールを目指すことがやみくもにロングフィードを繰り返すことにつながる 本来はポゼッションもダイレクトプレーも同じである 状況に応じたフットボールとは ボールを失わずに前へ進める ことであり そのための個の技術と戦術を年齢に応じて習得させることが指導者の役割である われわれ指導者はサッカーを理解しなくてはならない そして身体の成長の仕方と年齢に応じて何がどのように必要かを具体的に示唆できなくてはならない 指導者自身が研鑽して質の高いコーチングをできることが 世界に通用するテクニカルでタフな選手の育成につながると思われる 12
2008 ナショナルトレーニングキャンプ U-16 報告者 吉田靖 ( ナショナルトレセンコーチ ) 2008 ナショナルトレーニングキャンプ U-16 は スポーツ振興基金の助成事業です 1. 日程 場所 11 月 20 日 24 日東日本 :J ヴィレッジ ( 福島県 ) 西日本 : アスコ ザ パーク TANBA ( 兵庫県 ) 2. 概要 ナショナルトレーニングキャンプ U-16 は 11 月 20 日から 24 日までの 4 泊 5 日で 地域を東西に分けて ( 東日本 : 北海道 東北 関東 北信越 / 西日本 : 東海 関西 中国 四国 九州 ) J ヴィレッジとアスコ ザ パーク TANBA で実施しました 今年度は U-15 の選手を招集し 来年度を含めて 4 回継続 し 実施する予定です ( 来年度は U-16) 最初のミーティングでは 世界を意識してほしい と選手に話しました 2009 年は FIFA U-17 ワールドカップがあります 2011 年にはこの年代を中心に U-18 日本代表を結成し FIFA U-20 ワールドカップを目指してアジア予選を戦うということを意識してほしい旨を伝えました もちろん その先にオリンピック FIFA ワールドカップと続くわけで 高い目標を持って切磋琢磨してほしいということです 3. テーマ トレーニング 今回のキャンプのテーマは 意図のある選択肢を持ってプレーする ことです 意図のある選択肢とは 例えば ボールを保持した場合 ゴールを目指しながら ボールを運ぶわけですが チーム全員がしっかりした共通のセオリーを持ちながら ゴールを目指しボールを運ぶようにできるようにすることです また そのセオリーも 1 つの道だけでなく 複数の道を持っていて 相手の状況により使い分ることができるようにすることです 実際のビルドアップをテーマにしたトレーニングでは ( 図 1) ボールを動かしながら 前方に効果的にボールを運ぶことを意識させました 例えばディフェンスラインから縦パスを MF FW に入れていく ただ ディフェンスラインでボールを止めて 探してパスをしていたら 相手に読ま 図 1 ビルドアップ Tr.1 7 対 7+ GK のゲーム Tr.2 5 対 5+1 フリーマン 1 ターゲット KEY FACTOR 1. 観る 観ておく 2. ポジショニング ( 拡がりと厚み ) 3. パスの質 ( 特にパススピード ) 4. 優先順位 ( トップ ボランチ ) 5. ボールを動かしながら縦パスを狙う ( ボールを止めて探さない ) (1) 大きさ 72m 50m (2) 用具マーカー ボール ビブス (3) 方法 1 後方のゾーンでボールを動かしながら 前方のゾーン ゴールを決める 2 ボランチ 2 人は 2 つのゾーンを移動できる それ以外は決められたエリアでプレー ( ただし相手陣内に入ったら 1 人攻撃参加 OK) まずトップ ( ターゲット ) を狙う ( 優先順位 )~ 高い位置に起点をつくる トップはタイミングよく動き出し 裏を足元に選択肢をつくる ( ゴールに近い選手からアクションを起こす ) ボランチを効果的に使いながら 意図的にボールを動かして 前へ運ぶ お互いを観てプレーすることを徹底する ( 意図的なビルドアップの前提となる ) 逆サイドの選手も関わりを要求する 守備に働きかけなければ攻撃の質は改善できない (1) 大きさ 47m 46m (2) 用具マーカー ボール ビブス コーン (3) 方法 1 コーチから配球してパスをつなぎながらターゲットを目指す ( ターゲットに当てリターンをラインゴール ) 2 後方のフリーマンを使ってよい 3 ゴールしたらコーチから後方のフリーマンに配球 ( 攻撃方向は一定 ) 4 フリーマンとターゲットは兼務 ( 攻撃方向により ターゲットまたはフリーマンとなる ) KEY FACTOR 1. 観る 観ておく 2. ポジショニング ( 拡がりと厚み ) 3. パスの質 ( 特にパススピード ) 4. 優先順位 ( トップ ボランチ ) 5. ボールを動かしながら縦パスを狙う ( ボールを止めて探さない ) まずトップ ( ターゲット ) を狙う ( 優先順位 )~ 高い位置に起点をつくる 幅 厚みを意識しながら意図的にボールを動かして 前へ運ぶ お互いを見てプレーすることを徹底する ( 意図的なビルドアップの前提となる ) 守備に働きかけなければ 攻撃の質は改善できない 13
方を観る 狭いスペースで前を向く等の基本の質が大切になります そして しかけながら パス or ドリブルの判断ができるようにしなくてはなりません パスだけでなく スペースが空いたらドリブルで突破する また ドリブルでしかけ 相手が集中してきたら 空いている味方を使う つまり状況に応じてドリブル パス両方を使いこなせるようにならなくては この厳しい守備のエリアは簡単には崩せないでしょう AGC/JFAnews れボールを奪われてしまいます 相手に狙いを絞らせないためにも ボールを動かしながら縦パスを入れていくことを要求しました そのためには パスの質 オフ ザ ボールの動きの質等の基本の質が問われます また 相手の状況により パスコースを選択することも要求しました 例えば相手のボランチが味方のボランチにマークしてきたら トップのスペースが空くことが多いので そこを狙っていく 相手のボランチがトップのコースを消してきたら ボランチを経由して前にボールを供給していく このように 相手の陣形を観ながら 優先順位を持ってボールを動かしていくよう選手に求めました また FW MF にも お互いがよく味方の動きを観て 幅 厚みをとり 自分たちの周りに使えるスペースができるように工夫し その中でうまくコンビネーションをとりながら ギャップにタイミングよく顔を出すことを求めました 崩しのトレーニング ( 図 2) では アタッキングエリアをどう崩すかにテーマを絞って取り組みました その中でこのエリアでは 積極的にしかけることを選手に要求しました そのためには ゴール 相手 味 また このエリアでは 相手は厳しい守備の組織をつくってきます その強固な組織を崩すには ドリブル パス等のオン ザ ボールだけでなく ボールのない動きで相手の守備組織のバランスを崩すことも大切になってきます できた隙を素早く突く動きとしては 2 列目のダイアゴナルラン等の強く長い動き オーバーラップ等の人を越える動きが必要になってきます 全員が積極的に関わりながら このエリアをチー 図 2 崩し Tr.1 Tr.2 5 対 5+ F のポゼッション 6 対 6(5 対 5~7 対 7) のアタック & ディフェンス (1) 大きさ 35m 25m (2) 用具マーカー ボール ビブス (3) 方法 1 パス 10 本で得点 2 中央のグリッドの中でパスを受けて味方にパスが通ったら得点 ( 待ち伏せはなし ) 3 ドリブルで侵入して味方にパスが通っても得点 KEY FACTOR 1. 観る 観ておく 2. ポジショニング 3. ギャップの共有 4. パスの質 & コントロールの質 (1) 大きさ 68m 52.5m (2) 用具ボール ビブス コーン (3) 方法 16 対 6の攻防 ( 選手のレベルにより 5 対 5~7 対 7に変化 ) 2 DF 側はボールを奪ったらコーンゴールにパスオプション : フリーマンを後方につける KEY FACTOR 1. 観る 観ておく 2. ポジショニング ( 拡がりと厚み ) 3. ギャップの共有 4. 優先順位 5. パス & コントロールの質 この TR で選択肢を持つことを徹底することで TR 2 につなげる TR の進め方 :DF にプレスに行かせる 観ておかないとパスを回せない パスを回していくと中央のゾーンが開いてくる タイミングよく中央のゾーンをつかって展開する 外に広がりパスを回しながら中央のゾーンが開くのを狙う ( 意図のある選択肢 ) 中央のゾーンを使ったときに逆に展開すると崩しにつながっていく ボールの移動中にアクションを起こし ポジションをとりながら観ておくことを徹底する DF へのアプローチ ボールと人が動きながら 相手の状況を見て DF の裏 バイタルエリアを狙うことで 意図のある選択肢ができる トップを起点 相手がしぼる サイドが開く 右を狙えば左が開くことを理解させる ボール保持者とトップがお互いに観ることを徹底する だからタイミングをとって動き出すことができる ワンタッチにつながる だめだったらコントロールになる 味方 相手 スペース ボールの状況を考えて より有利なポジションをとっていく ( 優先順位 ) トップへボールが入ったら 3 人目の動き出しを早くして サポートに行く ( ボランチの 1 人 サイドハーフの 1 人 ) 14
ムとして崩すよう指導しました そして攻撃のテーマだけでなく 守備にも働きかけました 守備をテーマにしたトレーニングでは ( 図 3) ボールを積極的に奪うことを選手に求めました 攻撃から守備の切り替えを速くして できるだけ高い位置でボールを奪うこと また 中盤 自陣でもゴールを守るだけでなく できるだけ相手に近づいて チャンスがあったらボールを奪うことを要求しました そのためには良いポジションをとり続ける アプローチの速さ チャレンジ & カバー等 守備の基本が大切になってきます このように狙いを持ったトレーニングを続けて ゲームでは トレーニングで行ったことをトライすることを求め またその反省をトレーニングに落としていくことを繰り返すと 徐々にではありますが 変化の兆しは見えてきました 最初は味方 相手の動きを見ながらポジションをとったり ボールを動かせなかった選手が 徐々に意識しながらプレーするようになってきました 崩しでは パス ドリブルの判断を両方持ってアタッキングエリアでプレーすることができなかった選手が 何人かは 最後のゲームではしかけながらパスしたり パスするふりをしてドリブル突破を試みる等のプレーをするようになりました もちろん 何日かのトレーニングで劇的に選手のプレーが変わることはありません しかし 今後に向けての良い刺激になったのではないかと思います ただ まだまだ状況に応じたビルドアップ 崩しができないのは 基本の質の徹底ができていないからです U-15 以前の育成段階で パスの質 コントロールの質 観ること オフ ザ ボールの動き等の基本の質のレベルアップを図らないといけないと思います この年代では もっと相手 味方を観ながら なおかつ動きながら 意図のある選択肢を持ってプレーしてもらいたいと思います 守備のところは甘さが目立ちました まだ守備に対して意識が低い選手が多いと思います もっと攻守の切り替えを速くするとともに ボールを奪うために相手に近づいて守備ができるようにならないといけません 相手のミスを待つのではなく 自らボールを奪う意識を高める必要があります 現代サッカーはポジションに関係なく 全員が守備の仕事を積極的にこなさないとい AGC/JFAnews けなくなってきています より一層の意識改革が必要です ただ 攻撃 守備とも現代サッカーで必要とされている実践的なトレーニングを集中して取り組んでいけば 徐々に変化していく兆しは見えたようであり 世界基準を意識したより実践的なトレーニングとハイレベルのゲームを続けていく必要性を感じました 図 3 守備 Tr.1 3 対 3 アタック & ディフェンス (1 ボランチ +2CB) 4 対 4 アタック & ディフェンス (2 ボランチ +2CB) Tr.2 6 対 6 のノーマルゴールと 3 ミニゴール (1) 大きさ 44m 34m (2) 用具マーカー ボール ビブス (3) 方法 1 パサーからパスを引き出し 3 対 3 の攻防 23 対 3 4 対 4 の攻防 2 DF 側はボールを奪ったらコーンにパス 32~3 回連続して行う KEY FACTOR 1. ポジショニング 2. アプローチ 3. チャレンジ & カバー 4. ボールを奪うチャンスを逃さない 3 対 3 の TR で 正しいポジショニングからチャレンジ & カバーを繰り返し ボールを奪いに行くことを徹底する 4 対 4 の TR では 2 ボランチと 2CB の 2 ラインを意識して 協働して守る ( コースを切る カバーする ) 相手のミスを待つだけでなく ボールを奪いに行く やられない守備だけでなく チャンスがあったらボールを奪いに行く 2CB のカバーのポジションは ラインを意識させる CB がカバーに出たら ボランチがカバーする ( 一番危ないところから守る ) 攻撃は何が有効なのか考えてプレーする ( 幅と厚み ) 寄せが甘かったら 積極的にしかける KEY FACTOR (1) 大きさ 68m 52.5m (2) 用具ボール ビブス コーン (3) 方法 16 対 6 の攻防 2 DF 側はボールを奪ったらコーンゴールにパス 3 オプションとして 奪ったボールをコーンゴールだけでなく 1 対 1 や 2 対 2 を前のゾーンにつくっておき そこにパスしてゴールを狙う ( ゴールあり ) 1. ポジショニング 2. アプローチ 3. チャレンジ & カバー 4. ボールを奪うチャンスを逃さない 5. 連続性と連動性 マンツーマンだけでなく スペースの意識をもってポジションをとらせる ( 両方の選択肢 ) どこで固まりをつくって意図的にボールを奪うか コミュニケーションをとって守備する DF ラインのラインコントロールまでおさえる ( コーチがサーバー役になり 状況を引き出すこともできる ) 縦パスが入った時のポジショニングを理解させる 15
連載第 24 回 キッズドリル紹介 1 透明爆弾ゲーム ころがしドッヂ ( 動きづくり ) < 方法 > ころがしドッヂのオーガナイズでコーチがさまざまな大きさをイメージして爆弾を転がしたり 投げたりする 子どもたちは避けたり 受け止めたりするイメージで動く 発展して ころがしドッヂ へつなげていく < ポイント > コーチが爆弾の大きさをイメージできるようなジェスチャーで子どもたちに接する 子どもたちが動きをイメージできないようであれば コーチが中に入ってデモンストレーションすることでサポートする 2 < 2008 J リーグアカデミーキッズ研修会より勝部雅規 ( 湘南ベルマーレ ) フープトンネルを突破せよ!( 動きづくり ) 方法 > コーチがフラフープを転がし そのフラフープが倒れるまでに 子どもたちはタイミングを計り それをくぐる < ポイント > フラフープをノーマルで転がす フラフープにバックスピンをかけて転がす フラフープトンネルを数列 もしくは数カ所で設定する 右側からくぐる 左側からくぐるなどの条件を設定するのも OK 渡辺康則 ( サンフレッチェ広島 ) 16
一語一会 勝利への道の探索が そのまま人間性の追求につながっていることをいつまでも信じていたいと思う 人間がスポーツを裏切ることはあっても 正しい意味でのスポーツは けっして人間を裏切るものではないことを 固く信じたいと思う ( 11 人のなかの 1 人 生産性出版 ) 長沼健 c J リーグフォト 長沼健 ( 第 8 代日本サッカー協会会長 / 前日本サッカー協会最高顧問 ) 17
活動報告 JFA GK プロジェクト JFA Goalkeeper Project since 1998 2008 ナショナルトレーニングキャンプ U-16 東日本より c AGC/JFAnews 今号では AFC U-19 選手権サウジアラビア 2008 に出場した U-19 日本代表 JFA U-17 地域対抗戦などの報告をお送りします U-19 日本代表 AFC U-19 選手権サウジアラビア 2008 報告者 慶越雄二 (U-19 日本代表 GK コーチ ) 1. 概要 2008 年 10 月 31 日よりサウジアラビアで開催されたAFC U-19 選手権に向けて 10 月 23 日から大阪 舞洲で3 日間トレーニングを行い 25 日深夜に関西空港からダンマンに向けて出発 26 日に現地入りし 調整を重ねて31 日の初戦に備えた 大会は16カ国が4グループでリーグ戦を行い 上位 2チームが決勝トーナメント進出 上位 4チームのFIFA U-20ワールドカップの出場権をかけて戦った 日本はグループAでイエメン イラン サウジアラビアの強豪国と闘い 2 勝 1 分けの1 位で抜け出し グループB2 位の韓国と出場権をかけて戦ったが 0-3で敗戦し 大会を終えた 2. 大会参加選手 権田修一 (FC 東京 ) 1989 年 3 月 3 日生 187cm/80kg 松本拓也 ( 順天堂大学 ) 1989 年 2 月 20 日生 182cm/67kg 大谷幸輝 ( 浦和レッズ ) 1989 年 4 月 8 日生 185cm/80kg 3.GK テーマ (1) 積極的かつ堅実的なゴールキーピング ( 大胆さと繊細さ ) (2) 良い準備 ( 位置と姿勢 観る 状況把握 予測 判断 / 決断 実行 ) (3)DFとの連携( コミュニケーション コンビネーション ) (4) 攻撃への参加 ( 効果的な配球 ) (5) つかむか弾くかの判断 (6) クロスの守備 ( 守備範囲の拡大 ) (7) セットプレーの守備 (8) リスクマネージメント (9) リーダーシップ (10) フォアザチーム トレーニングでは主に 1 5 までを重点的に行い 6 9 のテーマ はゲームの中で修正を加えながら行った 4. 結果 グループステージ (2 勝 1 分け 1 位通過 ) vs イエメン 5-0 vs イラン 4-2 vs サウジアラビア 1-1 決勝トーナメント ( 準々決勝敗退 ) vs 韓国 0-3 5. 成果 グループステージの厳しい闘いの中で2 人のGKに経験を積ませることができ グループ1 位突破に貢献してくれた これは2 連勝したことが大きかったが 控えの選手であっても遜色ない力を発揮し 選手層の厚さを示すことができた 大会を通じてシュートストップの面で安定した守備を見せてくれた つかむのか 弾くのかの判断もできており 相手にチャンスを与えなかった 単純なクロスやCK FKとある程度予測された中でのクロスボールに対しては広い範囲を守ることができた 配球の面で GKのキックでのパスで2アシストと 攻撃の起点が GKのキックでのパスで始まりそこから得点が生まれ チャンスをつくり出すことができた 6. 課題 DFとの連携の部分で特にブレイクアウェイの状況下で 自分がプレーするのか 味方にプレーさせるのか の判断ができずに交錯する場面や 出られないときの自身のポジション修正とそれに対しての具体的な指示がタイミング良く出せていなかったので 相手のロングボールでピンチを招き安定感を欠いてしまった クロスの状況下で 密集化の中で つかむのか 弾くのか の判断とその技術の発揮に課題を残した 混戦の中でパワーを持ってプレーできずピンチを招いてしまった 配球の面で得点を演出することができたが どうしてもロングボールを多用しなくてはいけないときに質の高いボールを供給するまでには至っていない 自分たちの意図した攻撃をしかけて優位に進めるためにも どこに どのようなボールを パスするのか もっと意図した配球と ゴールキックになったときに自身とDF MF 両ワイドの選手の切り替えを速くさせれば素早く味方に渡せて効果的な攻撃をしかけることができた 18
リズムが悪いときにミスでいらいらしてしまい 冷静さ 安定感を欠いてしまい リーダーシップを発揮できなかった リズムが悪いときに 味方にいかに具体的なコーチングと 冷静沈着な判断でプレーするかが課題として残った 7. まとめ FIFA U-20ワールドカップに進むことができなかったが この大会で得た経験と成果 課題をしっかりと受け止めて所属チームで日々取り組み 2012 年のオリンピックに向けて切磋琢磨し もう一回り成長した大人の選手として この年代で成し遂げられなかった世界大会への切符を手に入れ 大いに飛躍することを期待する 最後にこのチームを立ち上げてから約 2 年間 所属チームの関係者を含め 現場の指導者の方々 日々 選手の成長に全力を注ぎ 協力していただき 厚くお礼を申し上げます このチームのコーチとして選手に次のステージでの経験をさせてあげることができなかったことをお詫び申し上げます JFA U-17 地域対抗戦 報告者 慶越雄二 (GK プロジェクト ) 1. 概要 期間 2007 年 12 月 18 20 日 場所時之栖スポーツセンター 裾野グランド 参加人数各地域選手 20 人 ( うち GK2 人 ) 地域スタッフ 3 名 トレセン地域チーフ 形式 12 月 18 日 19 日は8 対 8(72m 60m) 20 分ハーフ A B2チーム編成の対抗戦最終日は11 対 11( フルピッチ ) 30 分ハーフ 8 対 8 11 対 11 共にサッカーの競技規則 2008/2009 に則る 地域対抗戦の期間中 2 日目の午前中に各地域練習日が組み込まれており そこで前日のゲームで出た課題を修正し 午後から同様に8 対 8のゲームを行った 最終日は8 対 8での戦績で順位を決め グループ分けを行って11 対 11のゲームを行った 2. 8 対 8 のゲーム 8 対 8のゲーム形式に慣れていない部分と縦が短いためか 初日はあらゆる面での準備の部分ができず 失点を招いているシーンが目立った パス & サポートの部分で関わってはいるが狭いエリアでプ レーしてしまい 効果的に展開できないシーンが目についた しかし ゲームを重ねるごとにその点は解消され GKを使ったビルドアップや 奪ってからの配球面 特にオーバーアームスローからのパスでカウンターアタックが多く見られて得点につながったシーンが目立った ペナルティーエリア内でのブレイクアウェイのシーンも多く 積極的なプレーは見られたが しっかりした準備のもと DFと連携して守るシーンは少なく 勢いだけで行い PKを招くシーンやDFと重なってしまうシーンが出てしまっていた 3. 11 対 11 のゲーム 8 対 8で良くなった関わりの部分は継続し GKからのビルドアップが行えていたが 少し時間とスペースができて余裕ができた分 判断が遅くなり 効果的な展開にならなくなってしまった 優先順位がなくなって前方の動き出しを見落とし 目の前の選手にパスしてしまいスムーズな展開にならない点や 良いところに出そうとして探すシーン 良いところを狙いすぎて技術的なミスを犯し ボールを失ってしまって効果的にゲームを進められない部分も目についた ブレイクアウェイの状況下で単純に出てくるボールに対しては問題なく処理できていたが そこにDFが入ると判断があいまいになる選手が多かった 4. 総評 全体的にシュートストップの面ではすばらしい反応でシュートを防ぐシーンが多く見られた 安定した守備につなげるためにも基本的な部分での質をさらに上げる必要がある シューターとの距離が近くなったときに構えが後傾したり プレジャンプが激しくなり動作 タイミングが乱れる つかむ 弾く の技術の部分で 最後までボールをしっかり注視する選手が少なく キャッチングのつかむポイントが一定でなく安定しておらず 弾き出しを拳で行っている選手が目についた ブレイクアウェイ クロスの状況下では単純なボールであるとチャレンジできていたのだが 密集の状況になると判断できずに躊躇してしまい イニシアチブがとれず フィールドプレーヤーが キーパー と声を出してGKが遅れて反応してしまうシーンも見受けられた クロスの面ではスタートポジションがどこなのか理解されていない選手がほとんどで 状況に応じて小まめにポジションを修正する選手は少なかった DFとの連携の部分で最後まで粘り強く対応させて守れる選手と守れない選手の差があり 性格的なものを含めてリーダーシップを発揮できない選手が見受けられた その点に関してセットプレーでも同様なことが言え チームによって選手の配置等は異なるとは思うが ストーンの選手をどこに配置するのか また最終ラインをどこに設定するのか 最低限行わないと即失点につながる場面でも何も行えていない選手がほとんどで GKが知識と 19
して持っていないのかどうなのか疑問が残った ブレイクアウェイ クロスの状況下でGKが飛び出したときにDFが プロテクト なのか ゴールカバー なのかの基本的な戦術が習慣になっている選手は少なく GKを含めたチャレンジ & カバーの守備意識を高める必要性を感じた 5. まとめ 8 対 8を行ったことでGKが サッカーを理解した選手 であることの重要性を選手は強く理解したのではなかろうか 常に関わり続けながらGKから攻撃をしかけていく ゴールを守って ゴールを奪いに行く という点で 今まであいまいな部分であった配球面でのキックなのか スローイングなのかの判断 キックであるとどこへ どのようなボールを スローイングだとオーバーアームスローなのか アンダーアームースローなのかといった部分が整理され 単純に 投げる 蹴る の重要性と状況に応じた技術の発揮が理解されて良かった しかし 11 対 11になったときに効果的な配球につながっていかなかった点は改善の余地がある いずれにせよ 8 対 8をやり込むことで目指す方向性が見えてくるのではないか 最後に 今回 180cm 後半の選手が4 名選出されており 中には初めてトレセンに選ばれて参加した選手がいた まだまだ素材の部分で発掘されていない選手がいるのではなかろうか 視点 観る角度を変えてアプローチをかければ刺激を受けて成長する選手が出てくる可能性を感じた 2008 ナショナルトレーニングキャンプ U-16 報告者 柳楽雅幸 (U-16 日本代表 GK コーチ ) 育成年代としてだけでなく 大人のサッカーとしての入り口であることを理解させ われわれもトップレベルの選手としてアプローチを行い 代表活動と同様の位置づけと考えトレーニングを実施した 寺沢優太 (FC.CEDAC/ 長野県 ) 1993 年 7 月 31 日生 181cm/79kg 渡辺周平 ( 札幌市立星置中学校 / 北海道 ) 1994 年 2 月 9 日生 185cm/69kg 山田啓太 ( 鹿島アントラーズユース / 茨城県 ) 1993 年 1 月 11 日生 187cm/76kg 大洞信幾 ( 遠野市立遠野中学校 / 岩手県 ) 1993 年 8 月 9 日生 184cm/80kg 西日本 ( 東海 関西 中国 四国 九州 ) 担当コーチ : 柳楽雅幸 小林忍 田尻健 ( ガンバ大阪ジュニアユース / 大阪府 ) 1993 年 6 月 11 日生 181cm/70kg 池田隼 ( さぬき市立津田中学校 / 香川県 ) 1993 年 9 月 22 日生 178cm/75kg 大谷友之祐 ( 広島県瀬戸内高校 / 広島県 ) 1993 年 2 月 2 日生 179cm/65kg 吉満大介 ( 神村学園高等部 / 鹿児島県 ) 1993 年 2 月 21 日生 185cm/83kg 石井綾 ( 名古屋グランパスU15/ 愛知県 ) 1993 年 6 月 24 日生 178cm/68kg 3. トレーニング 代表キャンプと同様にトレーニングにおいてもテーマ性を持たせ追求していく 1. 期間 場所 4. トレーニング全般を通して 2008 年 11 月 20 日 24 日東日本 :Jヴィレッジ/ 西日本 : アスコ ザ パーク TANBA 2. 選出 GK 担当コーチ 東日本 ( 北海道 東北 関東 北信越 ) 担当コーチ : 川俣則幸 井上祐 各選手も非常に高いモチベーションを持ってこのキャンプを行うことができた しかし トレーニングにおいての地域差があるように感じた GKとしてのトレーニングの頻度差があり 基本的なことは理解しているが イレギュラーな問題が発生すると対処できないこともある また 頭では理解しているものの 実際にプレーしている姿 20
活動報告 JFA Goalkeeper Project JFA GK プロジェクト であることから 構えの基本姿勢やキャッチング ステッピング ポジショニングなどを確実に身につけられるように GKトレーニングだけではなく チームトレーニングやゲームの中でも取り組んだ また その中で GKも1/11のサッカー選手としての技術習得や 戦術理解の必要性も促した トレーニングの流れとしては フィールドプレーヤー (FP) と同様にパス & コントロール ポゼッションを行い そこから分かれて GKトレーニングをし 再び合流する形になった U-13/14とも前期に比べてGKトレーニングの時間が十分に確保され じっくり行うことができた を観ると正確にできていない選手もいる しかしこのキャンプ期間中に修正 改善できた選手もいた 育成年代 ( 代表ラージグループキャンプ ) の目指す方向性として 選手を世界で闘えるように指導し 育成していくことは 非常に重要である しかし このようなキャンプは非日常的な活動であるため やはり今後も日常でのトレーニングが大切であるかが問題になってくるであろう そのためにも 日常でのトレーニングを整備していく必要があるのではないだろうか 2008 ナショナルトレセン U-14 報告者 望月数馬 ( ナショナルトレセンコーチ ) 1. 日時 場所 日時 :2008 年 11 月 20 日 24 日場所 : 東日本 Jヴィレッジ中日本 滋賀ビックレイク西日本 大津町運動公園 AGC/JFAnews 2008 ナショナルトレーニングキャンプ U-16 西日本より 4. 成果と課題 GKトレーニングにおいて 個人それぞれ基本姿勢の癖や構えるタイミングが遅れること 踏み込み足の方向が悪いためにプレーの方向が後方になってしまう傾向にあったが トレーニングを重ねるごとに改善が見られた ポジショニングなどの戦術面についても トレーニングすることで改善は見られた 全体的に足の技術は高くなってきているが スローイングの技術は低く 配球場所の選択は足も手も全体的に判断ミスが多かった また GKトレーニングではできていることが FPと合流してより実践的なトレーニングでスキルが発揮できていない傾向にあった しかしながら選手たちのモチベーションは高く その中でトレーニングしたことをやろうとしていた プレーが成功するごとに より積極的になって成長していく姿を見て 地域スタッフも指導の楽しさを実感していたようであった 5. 地域 GK スタッフについて 前日にシミュレーションを行い 共通理解を持った上でトレーニングに入ることができた GKライセンスを保持している方がほとんどで GKトレーニングに積極的に関わり スムーズにトレーニングを運ぶことができた 地域スタッフの協力があったからこそ選手一人ひとりに目が行き届き 非常に有意義なナショナルトレセンとなった 2. ゴールキーパーテーマ 6. 今後に向けて 積極的なゴールキーピング 良い準備 ( ポジショニング 構えなど ) DFとのコミュニケーションと連携 効果的な攻撃への参加 ( パス & サポート ディストリビューション ) 3. トレーニングについて U-13/14 年代はゴールキーパー (GK) としての基本要素徹底期 選手選考の基準について もう一度確認する必要があると感じた これまでも選手の基準について発信すると 偏ったとらえ方をされてしまうことはあった しかし 例えば韓国の同世代 (U-13/14) のGKを見ると 明らかに日本の選手よりも身長でも運動能力でも勝る選手がいることは否定できない 今一度明確な基準を発信し 身長が大きくなるアスリートを育成し 選考していくことが必要であると感じた 21
2008 U -18/U-15 GKキャンプ トレーニング紹介 報告者 川俣則幸 GKプロジェクト 本誌前号で 2008 U -18/U -15 GKキャンプの概要について説明しましたが 今回はそれぞれのカテゴリーでテーマに 沿って行ったトレーニングをいくつか紹介します 全体的な流れに関しては JFA のホームページ内にある JFA コミュニティ http://community.jfa.jp/modules/ top/ に動画が掲載されているので そちらをご覧ください また 参加選手のカテゴリーを便宜的に U -15 U -18 グルー プと分けていますが 実際には U -18 グループは U -16 17 の選手で U -18 年代の選手はチーム事情等により参加して いないことを補足させていただきます この U-18/15 GK キャンプは スポーツ振興くじ助成金を受けて実施しています U -15 トレーニング テーマ U -15 基本の徹底 サッカーの原点 ゴールを奪う ゴールを守る にかえる 実際 ゲーム で力を発揮できるようにする 基本技術の習得 U-15 では上記のテーマにしたがい 基本の徹底にこだわった キーファクター 特に基本姿勢と構えのタイミングは すべてのプレーのスタートと スターティングポジション 開始姿勢 とらえ さまざまな状況下で自分が一番動き出しやすい構えの追求 アプローチ 相手との距離を狭めるタイミング を目指した 守備での基本の徹底に合わせて 攻撃参加における基 チャレンジ 飛び込むか ステイするかの判断 本にもこだわった ここでは ブレイクアウェイと攻撃参加のトレー 声 DF とのコミュニケーション ニングについて紹介する 基本的な技術をしっかり身につけること ジョッキー 角度のない方への追い込み とともに 状況に応じて判断を伴うことを意識した ブレイクアウェイでは 十分なウォーミングアップを行い フロ ントダイビングの技術練習を行ってからトレーニングに入った 図 1 判断を伴うトレーニングをしながら基本の技術を押さえて より ブレイクアウェイの起きやすいゲームの中でトライした 図 2 攻撃参加では パスの出し手と受け手の関係を常に意識しながら 基本的なトレーニングを行い 図 3 攻撃側が有利な状況で始ま るゲーム状況に近づけていった 図 4 最後はゲームの中で しっかり攻撃参加することにトライした 図 5 ゲーム 方法 19m 10m のグリッドで 4 対 2 を行う 攻撃 はいつでもグリッドから出て行って良い パス ドリブルのどちらでも良い 守備 1 人は入れる C はコーチが行い コントロールする GK がボールを取ったら はボールを受ける動きをする はボールを受けたら C も含めて攻撃 図2 ブレイクアウェイ GK 方法 からスルーパス はボールに対応する はコーチが行う DF を 1 人入れる の横 or 後ろ 図1 C GK 22 GK
キーファクター 適切なポジショニング 開始姿勢 指示 ( コミュニケーション ) シュート ドリブル突破 スルーパスへの対応 パス & サポート 方法 2 人組でパス 3 人組でパス & サポート a と b でパス交換 タイミングを計って c へパス そしてサポート はじめは足で 次にスローイングでパスをする 距離を変えてアンダーアームスロー オーバーアームスローを行う キーファクター 周りを観る パスの質 コミュニケーション ボールに寄る ファーストタッチ サポート ( 角度 距離 タイミング ) ゲーム 5 対 3 でボールポゼッション (2GK + 3 対 3) (2GK + 3 対 4) 方法 DF は奪ったらどちらかのゴールへシュート ボール保持チームは 奪われたらすぐに守備をし 奪い返したら再びポゼッション 再開はゴールをしたチームから GK キャッチ すべてのラインアウトは 相手ボールから再開 ( 守備側はシュートで終われば 攻守が交替できる ) ディストリビューション / パス & サポート 3 対 2 方法 は守備 ゴールキックからスタート パスしたらサポート シュートまで 逆からも行う コーチからのシュートをキャッチして スローイングでスタート キーファクター 幅と深さをとる サポートとそのタイミング ボディシェイプと視野の確保 コミュニケーション パスの質とコントロールの質 攻守の切り替え ゴールを守る ゴールを奪う ( ボールを失わない ) U -18 トレーニング テーマ U-18: より実戦的な場面での 判断の精度とプレーの質を追求する 強い GK できないことを分からせる できないことをできるようにする チャレンジ リーダーシップの発揮 複雑なことも可能にしよう 23
2008 U-18/U-15 GK キャンプ U-18 では トレーニングの質の追求に取り組み より早いボール 強いボールなど 状況の難易度を上げた状況下で 選手がミスを恐れずトライすることに取り組んだ 結果的にミスになり うまくプレーできなかったとしても そこから次にそのプレーを成功させるにはどうしたら良いのか選手に考えさせ 再度振り返り プレーのディテールにこだわらせた ともに ゲーム場面の中で 的確な判断と技術の発揮にトライさせた 今回特に それぞれの GK がブレイクアウェイやクロスでの守備範囲がどこまでなのかチャレンジした また 攻撃参加では 攻撃の優先順位を考えながらもパスの受け手の状況に応じたパスの選択に取り組んだ (2) 同様にドリブルを入れる (3)FW を 2 人入れる ( スタート位置を少し下げる ) (4)3 人で回しながらさまざまな形から攻撃 ( コーチがコントロール ) (5)3 人の位置をサイドにずらす シュートストップでは 十分なウォーミングアップ 静止球やパスからのシュートに対応した後で DF が 2 人入る形での守備を行った ( 図 6) ブレイクアウェイでは より試合に近いゴール前の状況を設定した守備や DF ライン裏のスペースを守ることにトライした ( 図 7 8 9 ) クロスの守備では それぞれの GK の守備範囲の限界にトライした ( 図 10) 攻撃参加では スローイングでのディストリビューションを動きの中で行うためのトレーニングを行った ( 図 11) パス & サポートとディストリビューションでよりゲームに近い状況下で 攻撃の優先順位を考えるトレーニングを行った ( 図 12) アングルプレーの発展 (4 対 2 + GK) 方法 味方と相手がいる中で GK はシュートストップを行う グリッドからシュート サーバーの配球の変化 キーファクター 開始姿勢 スターティングポジション アプローチ : 相手との距離を狭めるタイミング チャレンジ : 飛び込むのかステイするのかの判断 ( 相手との間合い ) 声 キーパー! 観てプレーの予測 1 対 1+GK(DF ライン背後へのボールへの対応 ) ボールの位置 ボール保持者の状況で DF ラインの高さが決まり GK の守るエリアが決まる その上で自分が出るのか DF に任せるのか? ペナルティーエリア内または外でプレーするのか? の判断が求められる キャッチングまたはフィールドプレーの技術 FW DF に最後までプレーさせる キーファクター スターティングポジション GK の姿勢 構えのタイミング 移動 ( 方法 スピード ) ポジショニング DF との連携 安全確実な技術発揮 ( キャッチ ディフレクティング ダイビング ) キーファクター 開始姿勢 スターティングポジション 判断 (GK がプレーするのか DF にプレーさせるのか ) DF とのコミュニケーション コンビネーション 1 対 1(GK 対 3) 方法 GK からコーチにパスを出してスタート (1) シュートまたは大きく持ち出す 3 対 1+3 対 1+GK 15m のゾーンからはドリブルで飛び出すか パスで突破するか 攻撃にはどんどん背後を意識させる ( 攻撃の優先順位 ) 進入できるのは FW のみ DF も入れるなどの制限を変えていく 24
トレーニング紹介 ディストリビューション スローイング 方法 GK からのパスはスロー イング (1) アンダーアームスロー (2) オーバーアームスロー キーファクター スターティングポジション 開始姿勢 指示 ( コミュニケーション ) シュート ドリブル突破 スルーパスなどへの対応 サイドへのパスばかりで GK の守備範囲にボールが来ないときは幅を制限する クロスゴール前を平行に横切るクロスのイメージ 方法 (1) ファーサイドのゴールに通されると 1 点 まずインターセプトを狙う (2) 中へ折り返す浮き球のパスからのヘディングシュートに対して素早く移動してシュートストップ キーファクター パスの出し手と受け手のコミュニケーション パスの質 味方の動きを止めないように スペースへパス パスの受け手の位置を考え 投げ方の選択を引き出す 攻撃参加テーマ : 状況に応じた攻撃参加 方法 GK2 人 FP7 人 フリーマン 2 人 < 発展 > DF を 1 人加える キーファクター ポジショニング ( シュートにも対応できて クロスをできるだけ広く守れる ) クロスに出る 出ないの判断 スタートのタイミング 素早い移動からのジャンプ キャッチング パンチングの判断と技術 シュートへの対応 折り返しからのシュートへの対応 キーファクター 観る 判断 技術 ( 止める 蹴る )( 投げる ) パスの出し手と受け手のコミュニケーション コンビネーション 以上 今回の GK キャンプでは 今まで行ってきた基本を重視したトレーニングをしっかり行った上で さらに選手がトライしてそれぞれのカテゴリーのテーマに向かってトレーニングを行った できなかったことができるようになり それが試合の中で発揮される ようになると選手は自信を持つものである そうした自信を積み上げていけるように 失敗を恐れずに常にトライする GK を肯定する姿勢を指導者は持ち続けたいとあらためて実感したキャンプであった 25
JFA U-17 地域対抗戦 2008 2008 年 12 月 15 日 17 日 / 静岡県 御殿場市 報告者 西村昭宏 ( ナショナルトレセンコーチ ) 2007 年度より 国体少年の部 U-16 化後の継続強化および遅咲きの選手発掘 育成の場の確保として U-17 地域キャンプから対抗戦という流れを実施している 2 年目となる今年度 (2008 年度 ) は 3 日間の日程のうち 1 2 日目を 8 人制 3 日目を 11 人制で行うという形式を試行した 8 人制は U-12 年代で推奨している形式であるが より上の育成年代であっても 攻守への関わりを中心とした個を鍛える点 そしてゴール前の攻防を増やす点で 有用であるという予想を立てたためである 1.8 人制ゲーム オーガナイズ縦ペナルティーエリア ペナルティーエリア横 60m( マーカーで配置 ) 時間 20 分 -5 分 -20 分ペナルティーエリア コーナーキックは通常のピッチの位置で行う マッチアップが基本 (1-2-3-2) ベンチワーク : 小手先の戦術ではなく基本で闘わせる 選手 20 名 スタッフ 3 名 ( 監督 コーチ GK コーチ ) チーム編成に際し J クラブ所属選手と全国高校サッカー選手権大会出場チームの選手は対象から除く また 対抗戦の監督 コーチは地域の指導者が就くこととする 2. 特徴 ゲームを行った結果 以下の特徴が明らかに見られた (1) ゴール前の攻防ゴールを奪う ゴールを守る ペナルティーエリア内の攻防がより多く実践できる 常にゴールを意識して攻撃 守備に関わることが要求される 1 人でもサボるとすぐにゴール前での勝負に影響が出る現象になる 攻撃側はボール保持者以外のプレーヤーがどのように関わりゴールを奪えるか また守備側は自分のマークを持ちながらもゴール前 エリア内で自分のマークを捨ててでもゴールをいかにして守るか さらに全体として ゴール前の攻防時のバランスを把握するマネジメントが要求される チが厳しくなっていった 日本の育成年代の世界大会からのフィードバックの中で シュートレンジに差がある という点が指摘されている 日本では うたれても入らないからうたせても OK というような状況をよく見るが これは ぬるま湯の環境 である 実戦の中でより多くのシュート場面が ( ミドルシュートを含め ) 出現するのは 攻撃側 守備側 両者にとってプラス面が多い (3) ゴールキーパー (GK) 攻守において (GK だけではないが ) 常に良い準備をしていないとゲームに効果的に関わることができない 攻撃面で GK が ( キックも場合によっては良いが ) つなぐこと ビルドアップに関わることがどれだけ有効であるかを ピッチ上の選手たちが確認できたことは大きな成果であった だからこそ今後は 技術面 ( 足元の技術 スローイン等 ) や判断のクオリティーが要求される そして何よりも GK の守備機会 ( シュートストップ ブレイクアウェイ等 ) が多く見られた (4) 攻守の切り替えとポジショニング ( トランジション ) ボールを奪ったとき 失ったとき ボールに近い選手はもちろん ボールから遠い選手がどれだけチャンス ピンチを感じ取りアクションするかが観察でき 勝負どころを意識させられた いかにオフ ザ ボール時のポジショニングが重要で先手を取ることができるかが よりあらわに要求された 3. トピックス (1) ミドルパワーの要素常に全員がゲームで攻守において関わることが要求されるため 20 分ハーフであったが選手の心拍数は高いものであった また 1 日目は動き慣れていないこともあってか 1 本目と 2 本目で活動量が落ちたが 2 日目は 1 日目ほどは落ちなかった (2) ミドルシュート非常に多くのミドルシュートが見られた ピッチの大きさの関係が自然に選手のシュート意識を刺激した また 守備側もうたせてはいけない意識が高まり シュートレンジでのボールへのアプロー 26
(2) 他関係者近郊以外からも視察に訪れた方が多かった 地域スタッフと共有し それぞれの地域でディスカッションして結びつけていただきたい (3) ピッチ外での習慣与えられた環境の中で選手自らたくましく変化する姿を見ることは少なかった 常に指導者の指示待ちの姿勢は JFA と地域スタッフがイメージを共有しながら キッズ U-12 U-14 と積み重ねていくことが必要であると感じた また アジアを勝ち抜いて世界に出るためには 日本より劣悪な環境や状況は当たり前である あらゆる環境の中で力が安定して発揮できることが要求される 今回の 8 人制の試合で あらためて多くの要素が習得できることが確認された もちろんすべてが 11 人制の要素とまったく同じというわけではない 特に 1 日目は攻守の切り替えだけでゴールまで迫るカウンターの応酬になったり 攻撃が中央に偏ってサイド攻撃が少なくなることにより サイドからの守備場面が少なくなったりした あるいはスペースがない中での問題等 通常のゲームと異なる現象も出たことは確かであるが その差を意識した上で 8 人制をどこかの年代ではやり込むことが有用であると感じた 今後はこれを日本全体で若手を鍛えるための Japan's Way として考える方向性はあると感じた 27 4. キャンプを終えて
JFA アカデミー福島 報告者 島田信幸 JFA アカデミー福島男子ヘッドコーチ JFA 公認指導者研修 アカデミーリフレッシュ研修 2008 年 11月27日 29日 JFA アカデミー福島が開校して早いものでまもなく 3 年が過ぎよ うとしています そして 2009 年 4 月には 熊本県宇城市に JFA アカデミーの 2 校目が開校します いずれも プルアップ効果によ るユース育成のさらなるレベルアップを図ること そのモデルを全 国に提示すること また JFA の育成フィロソフィー トレーニン グコンセプトをより効果的に発信し 共有を進める役割を担ってい ます このフィロソフィー コンセプトをどのように発信すればよ いかを試行錯誤してきた 3 年間でもありました JFA 公認指導者の 機関誌である本誌 また JFA 機関誌 JFAnews を通しての発信 47FA チーフインストラクター研修会 ナショナルトレセン指導者 講習会などでのレクチャーを通しての発信を行ってきました しか し どれもなかなかアカデミーの本質まで伝えられないもどかしさ を感じていました これを解消するには 実際にアカデミーの活動 を観ていただくことがひとつの解決策であると考え 今回の アカ デミー研修会 を企画しました 内容 日程は以下の通りです 集合 受付 14:30 15:30 講義 16:00 17:30 トレーニング見学 17:30 19:00 実技 20:30 21:00 トレーニング振り返り GKトレーニングの考え方 須永 11月28日 9:00 12:00 指導実践 14:00 14:30 男子寮見学 14:30 15:45 講義 16:00 17:30 トレーニング見学 19:30 20:00 トレーニング振り返り 20:00 21:00 講義 育成年代の指導について デュソー JFAアカデミー福島の取り組み 島田 11月29日 9:30 11:00 試合見学 11:15 12:00 講義 1 回目の見学では ジュニア指導者は 1 年生 ジュニアユース指 導者は 2 年生 ユース以上の指導者は 3 年生というように 日ごろ 受講生の皆さんが指導しているカテゴリーに近いところを見学して いただきました そして トレーニングに支障のない場所であれば ピッチ内のどこからでも見学 OK コーチングメモも取っていただ き トレーニング後の振り返りの参考にしていただきました 2 回 目の見学は カテゴリー分けは行わず 希望される方にはアカデミー 女子のトレーニング見学もしていただきました さらに 選手に混 じってトレーニングをしていただくことも OK です 実技 計画では アカデミーのトレーニングを体験していただく予定で した しかし デュソー氏の指示により 急遽受講生による指導実 践が実施されました 指導実践 11月27日 14:00 トレ ニング見学 今回の指導実践は 従来のようにテーマ 監督 コーチ 実践順 を決めて 指導案を作成して実践を行うという形式では行わず 指 導案やあらかじめのテーマは準備せず まずフリーテーマでどなた かがトレーニングを行い そのトレーニングについてディスカッ ションをし 同じトレーニングでフォーカスするポイント オーガ ナイズをアレンジして次の方が行う また さらに発展したトレー ニングを行っていく あるいは 日ごろやっているトレーニングで 悩んでいるもの 新しく考えているトレーニングなどにトライして みて参加者とのディスカッションで改善していくという指導実践を 行いました まとめ 試合振り返り 原田 島田 解散 講義 講義は 3 つの講義 GK トレーニングの考え方 育成年代の指 導について JFA アカデミー福島の取り組み とトレーニング 試 合についての振り返り 質疑応答です 講義ではいずれも受講生か らの活発な発言 質問があり 時間調整が大変なくらいでした 3 日間の研修会は 受講生の皆さんの積極的な姿勢から本当に活 気のある研修会になりました そして 実際に JFA アカデミー福島 の取り組みを観ていただくことができたことで われわれのフィロ ソフィー コンセプトの本質の部分を感じていただけたのではない かと思います 今後もこのような研修会を継続的に行っていくこと はもちろんですが さらに効果的な発信方法を模索していき より 多くの方と JFA ユース育成フィロソフィー コンセプトの共有を 図っていけるようにしていきたいと思います アセスメントより 北海道 M さん 初めての企画だったと思いますが アカデミーへの理解 トレーニングへの理解が深まり参考になりました 指導実践の進め方 が今回のような形でやった方が勉強になり 楽しかったです 神奈川県 O さん アカデミーの取り組みをよく理解できて参考になった これまでの文章の情報では知りえなかったことが分かった 山梨県 T さん アカデミーの練習 試合 寮の見学 それを踏まえた練習の振り返り 指導実践も今までと違った形で勉強になった 北海道 S さん 指導実践でのオーガナイズに対する改善の指摘がとても参考になりました デュソーさんの講義を受けることができ 世界トッ プクラスの話に大きな刺激をもらいました 28
埼玉県 M さん 京都府 O さん 受講生主体で中身が進行していく ( 特に指導実践 ) 流れが新鮮で 考える機会をたくさん設けていただいた デュソーさんの話が直接聞けたこと また直接コーチングしていただけたことが良かった アカデミーで行っていることがよく分かりました サッカー指導に関しても なぜこのトレーニングが必要なのか 世界と日本の差 などを知ることができました また 講師が一方的に進めるのではなく 受講生の意見を聞きながら研修を進めてくださったので理解することができました 女子 報告者 中堀千香子(JFA アカデミー福島女子アスレティックトレーナー ) メディカルチェック結果から 貧血について はじめに スポーツ選手は高い強度のトレーニングを持続的に行うことにより 鉄欠乏性貧血の出現頻度が高くなります これがいわゆるスポーツ貧血と言われるもので その発生機序は1 筋内での鉄需要の増加 2 発汗や月経による喪失 3 機械的な衝撃 4 鉄摂取不足などが挙げられます この貧血がコンディションや運動パフォーマンスに及ぼす影響はすでに広く知られており サッカー選手においても 有酸素的運動能力やスピード持久力の面においてパフォーマンスに重要な関わりをもっています アカデミーでは メディカルチェックの一環として血液検査を行っています 今回 その結果から女子選手における貧血に関する項目 ( 鉄代謝 ) について報告します アカデミー生のライフスタイル 鉄欠乏性貧血の誘因には成長や偏食 減量 疲労 月経異常などが挙げられます アカデミーのトレーニングは 1 日 2 時間程度で その生活は寄宿制のため規則正しく 疲労をためない もしくは速やかな疲労回復を考慮したスケジュールとなっています また食事は専任の管理栄養士が管理しています 1 日に摂取する総エネルギー量は 日本人の食事栄養摂取基準 2005 ( 厚労省 ) 女子 12-17 歳 ( 生活強度 Ⅲ) を参考に スポーツでの消費分を加味した 2,800kcal/ 日にて設定し 鉄も同基準を参考にスポーツでの消費分を加味した 1 日 12mg を付加しています アカデミーでは食べ残しは禁止ですので バランスのとれた食事を毎日しっかり食べていることになります また アカデミー入校前にすでに 貧血 の診断を受けている選手はいませんでした 結果 血液検査の結果を示します ( 図 1) 鉄代謝の指標として ヘモグロビン (Hb) 血清鉄(sFe) 血清フェリチン(sFer) を評価しました 通常 医療機関では血中ヘモグロビン濃度が男性で 12mg/dl 女性で 11mg/dl 以下を 貧血 として診断することが多いのですが 女子アカデミー生にはこの基準で 貧血 と診断される選手はいませんでした 一方 貯蔵鉄の減少を反映する血清フェリチンは アカデミー生 全体的に低値でしたが そのうち運動選手に最低限あってほしいとされる期待値 (15ng/d l) を下回っている 潜在性鉄欠乏 の選手は 全体の 30.6% に認められました 中でも U-18 カテゴリー (16 歳 18 歳 ) の選手では 70% にわたって鉄欠乏が認められました 貧血予防のための今後の取り組み 基準以上の鉄を含んだバランスの良い食事や 規則正しい生活を送っているアカデミーの選手たちの中でもこれほどの鉄欠乏状態となっている選手が多くいたという事実は トップアスリートに限らず 一般の成長期の選手たち全般にも 潜在的な鉄欠乏状態にある危険性が非常に多く潜んでいる可能性を示唆しています 成長期の選手はそうでなくても発育に鉄が使われるため 鉄欠乏状態になりやすい上に 運動によって鉄喪失が助長されています 鉄は体内で生成することができないため食べ物から摂取せねばなりません しかも摂取量に対する吸収率が低いため 思っているよりも意識して摂取しないとあっという間に体内が鉄不足となるでしょう タンパク質やビタミン C との同時摂取が鉄吸収効率を上げるので 鉄単体の摂取ではなくバランスのとれた食事が必須となります めまいや息切れ 易疲労感といった貧血の病的な症状が出てからでは それは病気の治療となります そこまで放置するのではなく 運動選手の鉄欠乏状態は トレーニング効果を阻害し コンディションを崩す要因となることを認識し パフォーマンスが上がらない選手に関しては貧血を疑い 血清鉄や血清フェリチンといった貯蔵鉄までしっかりと検査することが重要だと考えます この結果を受けてアカデミーでは 1 日の鉄負荷量をこれまでの 12mg から約 1.5 倍の 20mg に増量しました サプリメントを選択せず まずは以下の要領で食事での鉄摂取改善を図ってみます 牛乳は毎日コップ 1 杯 (200mg) 飲む 麦飯 青菜は 1 日 1 回 乾燥野菜( ひじき 切干大根 ) 青背魚等の頻度多く 鉄付加製品の使用( 強化米 鉄付加チーズ デザートなど ) 果物や 100% ジュースでのビタミン C 補給 おやつは小魚 & ナッツ鉄代謝の数値が少しでも改善されているよう期待しつつ これら食事での影響が予想される 6 カ月後を目安に再度血液検査を行う予定です 29
モデル地区トレセン訪問記 2 宮城県中央地区トレセン ( モデルコーチ : 亀山博之コーチ ) 報告者 眞藤邦彦 ( 指導者養成ダイレクター ) 亀山博之氏 ( 右から 3 人目 ) とサポートコーチ 宮城県仙台市の泉中央駅から車で 10 分ほどのところにある泉総合運動場人工芝グラウンドに 亀山博之モデルコーチが指導する宮城県中央地区トレセンを訪問しました 開始 30 分前に到着したのですが すでにカラーコーンやマーカーが並べられており 子どもたちも少しずつ集まって来ていました その中の何人かに 亀山コーチが JFA チャレンジゲームのステージ 7 のバッジを手渡していました 中央地区トレセンは小学校 4 年生 (U-10) を対象にモデル地区トレセンを開始していますが その取り組みの一つとして JFA チャレンジゲームを行っています 子どもたちは大変うれしそうにバッジを受け取っていました さて この中央地区トレセンは 14 チームの中からチームの人数によって推薦人数の割合が決められており 現在 39 名で実施しています この 39 名を 1 年間入れ替えなしで指導していきます 6 年生ではなく 4 年生でスタートする狙いを亀山コーチにうかがったところ 宮城では U-12 の地区トレセンは盛んである そこでモデルとして発信するために U-10 から 3 カ年計画で実施しようと考えた ということです 子どもたちにとって望ましく 効率の良い形でテクニックやサッカーへの理解を深めていく過程を発信する狙いがあるのです そのために サポートスタッフの方々の理解力と指導力を上げていく工夫がなされていました その工夫とは 事前に十分な打ち合わせをした上で 実際に指導を任せ 研修を深めてもらうことです それは今後 サポートコーチがそれぞれの地区や今後の展開に主体的に取り組めるようにしていくために必要なことなのです 今回も サポートコーチがトレーニングを発展させる指導をされました 2 人 1 グループ 3 カ所で的確なフリーズでデモンストレーションを見せ 理解させてからプレーをさせていました また ゲーム化して コーチがディフェンス役になり よりリアリティーのあ るものへと発展させていました 良いプレーはしっかりと褒め 子どもたちがさらに質の高いものを追求できるようにモチベーションを高めていました その後 子どもたちの飲水タイムの合間に亀山コーチがモデルコーチに対して 集中してフレッシュな状況で取り組ませたいなら 1 分以上は長いよ 等 それぞれにアドバイスをしていました サポートコーチはしっかりと耳を傾け 中にはメモを取る方もいました この指導研修を見ていて 非常に効果的なものであると感じました その後は亀山コーチ主導で指導を進め サポートコーチは 亀山コーチのコーチングデモを身近に観ながら 一緒になって子どもたちの指導に加わっていました 亀山コーチは 対象が 4 年生ということもあってか デモがアクションたっぷりで しかも長めに子どもたちに見せていました そのお陰で 子どもたちはしっかりとしたイメージを持つことができ 難しいターンやフェイントも難なく習得していました コーチは子どもたちにすぐにプレーさせながら 個人個人にあった適切なアドバイスをされていました 特にターンの際に 遠くのボールをギュッ! ギュッ! っと といった 擬音を使ったアドバイスは 子どもたちがイメージを感覚的につかみやすかったようで さまざまなターンやフェイントにどんどん挑戦し 習得することができました その年代に合った方法でさまざまな声かけをし デモンストレーションをするなどして指導されていることに 私自身がとても勉強になりました 最後のゲームでは 子どもたちは積極的にボールを奪いに行きました どこからでも常にゴールを狙っている姿に大変驚かされました 小学校 4 年生のゲームの中に しっかりとサッカーの本質がありました これがうまく次のカテゴリーへ積み上がっていけば 日本の課題であるボックス付近の攻防が 世界に引けをとらないものになるのではないかと感じました 30
宮城中央地区トレセン 9 月 27 日 ( 土 )18:30 20:00 ウォームアップ ( ターン フェイント 30 分 ) トレーニング 1 ボールキープ鬼ごっこ ( ターン フェイント 3 0 分 ) チャレンジゲームの練習 ( リフティング 25 分 ) トレーニング 2 ハンドパス ( アプローチ 10 分 ) ゲーム (5 対 5 30 分 ) 31
各地のユース育成の取り組み 関東 北信越地域の活動から 日本サッカーの強化 発展を目的とし 個を高めていくことを目標とする トレセン活動 とリーグ戦の創出 ナショナルトレセンをはじめ 全国各地でさまざまな形のトレセン活動やリーグ戦の取り組みが行われています 今号では 関東と北信越地域の取り組みをご紹介します 各地のユース育成の取り組み関東図南サッカークラブ サッカー ( スポーツ ) 文化でつくる街づくり 報告者 菅原宏 ( 図南グループ代表 ) 地域に根ざした チームを目指して 私たちの図南サッカークラブは 地域に認められる 愛されるクラブを目指し 子どもから大人まで たくさんの手で支えられる振興 ( クラブ ) でありたいと考えます 図南グループは ホームグラウンドが図南サッカーパーク野中 ( ロングパイル人工芝ピッチ ) 図南 NTT スーパーグランド ( 天然芝ピッチ ) 図南五代フィールド( 天然芝ピッチ クレーピッチ ) 図南フットサルクラブ高崎 ( ロングパイル人工芝ピッチ 2 面 ) 図南フットサルクラブ大胡 ( ロングパイル人工芝ピッチ 4 面 ) 図南フットサルクラブ前橋 ( ロングパイル人工芝ピッチ 4 面 ) の施設があります また 公式戦では前橋総合運動公園 ( 天然芝ピッチ ) 前橋大胡総合運動公園 ( ロングパイル人工芝ピッチ ) などでリーグ戦などを戦います チームはトップ :tonan 前橋 ( 関東リーグ 2 部 ) サテライト : 自分たちの住む街を自分たちの手で ジュニアユース 120 名とトップ サテライト 30 名 総勢 150 名で檜の木の苗を植樹した tonan 前橋サテライト ( 群馬県リーグ 2 部 ) ユース: 図南 SC 群馬ユース ( 関東クラブユース 3 部 ) ジュニアユース: 図南 SC 群馬ジュニアユース ( 関東リーグ U-15) 図南 SC 前橋ジュニアユース 図南 SC 大胡ジュニアユース 図南 SC 高崎ジュニアユース ( 群馬県クラブユース連盟 ) ジュニア: 図南 SC 前橋 クラウド図南 ビエント図南 ( 群馬県 4 種登録 ) スクール活動: 図南野中スクール 図南前橋スクール 図南大胡スクール 図南高崎スクール 図南新町スクール クラウドスクール ビエントスクールと 7 つのスクール活動を実施 女子 : 図南 SC フィオーレ ( 群馬リーグ 1 部 ) 図南 SC フィオーレプーラ U-18( 群馬リーグ 1 部 ) 図南 SC フィオーレプーラ U-15( 群馬リーグ 2 部 ) 図南 SC フィオーレプーラ U-12 があります フットサルチームは クラウド図南 ( 群馬リーグ 1 部 ) があります これだけのチームが活動するには グラウンド 指導者 帯同審判とたくさんのチームスタッフがいないと成り立ちません 40 人弱のコーチングスタッフに 日々サッカーの指導をしていただいています 図南サッカーパーク敷地内には トレーニングルームや柔道場 また体操ルームなども備えており さまざまな活動をしています また トレーナーとして げんき堂 ( 接骨院 ) さんや朝倉診療所 ( スポーツ治療院 ) さんなどにもご協力いただき 試合にも帯同していただき 選手 子どもたちの怪我のケアなども万全の体制を施しています クラブ ( グループ ) として 一番重く考えていることは 人づくり ということです サッカー選手も一人の人間として 身に豊かな心を築くことだと思います 人として しっかりとした考えを持ち 人として 心豊かな思いやりを持ち 日々元気にあいさつができることを目指して サッカーを通じての 人づくり 街づくり を目指しています 去る 10 月 26 日 群馬県奈良俣ダム周辺の国有林において ジュニアユース 120 名とトップ サテライト 30 名 総勢 150 名で 2 時間にわたり 1,500 本の檜の木の苗を植樹してきました 自分たち 32
の住む街を自分たちの手で 住み良い所にする勉強をしてきました 植樹の後に 2 時間ほど 空気や水ができる仕組みを学び 大切さを実感しました 2009 年度には小学生 4 年生 中学生と 女子チームによる年間 6 回の植樹をしていきたいと考えています また 図南クラブ主催や共催の大会やフェスティバルを春休み 夏休み 冬休み 3 連休を使い開催していきたいと考えます ようこそ前橋へ という気持ちで サッカー仲間を受け入れ 少しでも地域の経済の活性化につながればと考えています 図南クラブ ( グループ ) は 前橋行政 地域 サッカー協会と三位一体の架け橋となり 地域に愛されるクラブを目指し サッカーを通じて大きなサッカー文化を礎として これからも子どもたちと一緒にグラウンドを走り回り 成長していきたいと考えます 一度サッカーをしに 前橋 に足を運んでください 北信越33 石川県セントラルトレセン U-12 報告者 三井弘光(( 社 ) 石川県サッカー協会技術委員会育成部 / U-12 トレセン統括責任者 ) 石川県トレセン U-12 の開設 石川県トレセンにおいて U-12 カテゴリーが開設されたのは 1995 年であり決して早いとは言えない 開設のきっかけとなったのは 91 年に検見川 ( 東京大学グラウンド ) で開催された全国少年選抜研修会 ( ナショナルトレセンの前身 ) に 北信越地域選抜のコーチとして参加したことに始まる これに参加した北信越の選手は 11 対 11 のサッカーではごまかしがきくが 4 対 4 8 対 8 のゲームでは 東海 関西の小さな選手にボールを触らせてもらえない状態であった これを目の当たりにしたことで 自分のこれまでの指導について考えさせられる機会となり 今後の石川県のサッカーについても危機感を覚えた このことを当時の素谷富雄理事長 ( 現会長 ) に報告し 県内で勝った負けたと一喜一憂している現状から脱却するためにも チームの枠を取り払ったスクール形式の環境を作らなければならないと提案したところ JFA トレセン構想 ( 案 ) の資料を手渡され 研究するようにと伝えられたのである これを基にして 石川県に合った要項と将来を見通したビジョンの作成に取り掛かり 技術委員会 理事会などの承認を得た後 95 年に金沢市を主会場とした 石川県ジュニアトレセン ( 当時 ) を開設することができた 運営 指導マニュアルの作成 チーフコーチに就任した北村達氏を中心に テーマを持ったスクールが通年で開催された 同時に 2 年以内の完成を目指し 運営マニュアル と 指導マニュアル に分けた 石川県ジュニアトレセンマニュアル の作成に取り掛かった 本トレセンの将来ビジョンは 石川県下を網羅する地区トレセンの開設である それには先に形 組織をつくり進める方法もあるのだが 当時の久下恭功技術委員長の方針は質を落とさず拡大することであり ビジョンの達成にはマニュアルが必要不可欠であった マニュアルも完成しつつあるころ 当時の JFA 技術委員 田嶋幸三氏 ( 現 JFA 専務理事 ) に添削をお願いした 返ってきた原稿には 石川県を代表し全国に通用する選手の 発掘 と 育成 としていた目的について 全国 を 世界 に修正されていた 修正された箇所はこの一点であったが 自分の目標の低さを反省させられ 見るべき所を知らしめる大きな修正であった 地区トレセンの開設 拡大 地区トレセン開設のため 各地区 ( 市町村 ) の 4 種の責任者やチーム指導者へ説明する機会をつくり 最初に賛同し開設されたのが 98 年に活動をスタートした石川県南部の小松 加賀地区である この地区では 全登録チームからスタッフが出され 指導 運営にあたった この効果であろうか 県大会においても上位の成績を収めるチームが目につき 地区全体のレベルアップが図られたように感じた 2002 年には 白山 ( 当時松任 ) 石川郡地区 河北 能登地区 が金沢地区から独立し 現在の 4 地区トレセンと県セントラルトレセンの組織が確立した 地区トレセンの活動は 年 13 15 回程度開催される 会場 ( 芝ピッチ 冬期は体育館 ) は 各地区で確保するが 開催日時は土曜日の午前 9 時から 12 時であり その基本スケジュール構成が定められている他 トレーニングメニューは 県トレセンの 9 つの学習テーマを習得させる内容とするなど いくつかの運営 指導の基本ルールにのっとって行われている これは 各地区でのばらつきを防ぎ 質を維持するためであり これらが実施されていることを前提に県トレセン活動が進められる また 地区トレセン選考会では 他地区のスタッフが選考委員として加わり実施されている このことにより 相互の選手レベル ( アベレージ ) を知る機会にもなっている 石川県セントラルトレセン U-12 の活動 開校式本トレセンは 5 月第 3 週に開催される全地区合同の開校式から始まる この開校式には 4 月中に実施された各地区トレセンの選考会で合格した 5 年生と 6 年生の追加選手 前年度に合格し一年間活動をした 6 年生選手に加え 地区 県トレセンの全スタッフが集合する 新たに合格した選手は 地区ごとに色が異なるユニフォームに着 石川県セントラルトレセン U-12 開校式の様子 ( 於北陸大学 )
替えて開校式に臨むことや 会場が大学の講堂であること 保護者の方を含めると総勢 250 人を超えるなど この環境に緊張した様子が見られ トレセン選手であることの自覚を持たせるためには 良い演出になっている 開校式では ナショナルトレセンコーチをはじめとする来賓のあいさつや講演 選手代表のあいさつ トレセンのシステムや 県 地区トレセン活動のレクチャーおよび栄養 ( 食事 ) 学の講習会が定番となっている また 昨年よりナショナルトレセン U-14(U-13) の北信越選考会が 3 月に行われるようになり その候補となる県セントラルトレセン 6 年生の活動が 10 月に終了することは問題である 5 年生 8 月の合同練習会に始まり 6 年生 7 月の強化遠征までの 1 年間が 1 サイクルの状態から 6 年生の 3 月まで延長することも検討しなければならない そのためには 県トレセンスタッフの体制 ( 統括とその代行 事務局および各地区代表 1 名のコーチングスタッフ ) を 学年単位制とすることから着手しなければならないと考えている 5 年生地区トレセンのトレーニングで良い評価を受けた各地区 10 名 (FP8 名 GK2 名 ) の選手を集めて行う合同練習会を 8 月の下旬に開催している ここではトレーニングとゲームで次回に参加できるか否かを見極める予備選考にもなっている 次回からは上位評価の参加確定選手に各地区 2 3 名をプラスして開催される これを繰り返して 2 月第 4 週にその年の第 1 次石川県セントラルトレセン U-12 選手を決定する このメンバーで3 月第 3 週に春季強化遠征 ( 静岡県磐田市 ) を行い 技術面の他 生活面 精神面を総合的に評価している 5 年生の段階では地区トレセンでの活動評価を重視しており 県トレセン選手を確定せず 候補選手として参加する予備選考を繰り返すことによって 選考誤差を少なくする狙いがある また 技術面で未熟さが見られても 身体能力や取り組む姿勢 ( 真面目さ ) 学習能力を評価し 各地区代表スタッフの協議において継続させることもある 6 年生前述の通り 4 月に各地区トレセンの選考会が行われ 6 年生については 5 10 名程度が追加選抜される 開校式後の午後に地区トレセン選考会での追加選手 前年度からの継続選手を含めて 各地区 2 3 名の推薦選手の中から 前年度 3 月に編成された第 1 次セントラルトレセン選手との比較により 良い評価を受けた選手が追加され 第 2 次セントラルトレセンが編成される また この選考会で 16 名 (FP14 名 GK2 名 ) が選抜され 強化練習を経て 6 月第 4 週に開催される北信越トレセン ( 前期 ) に参加する 北信越トレセン ( 前期 ) でのナショナルトレセンコーチや他県指導者の評価を参考に 7 月末の夏季強化遠征 ( 兵庫県姫路市 ) で 9 月第 1 週に開催される北信越トレセン ( 後期 ) に参加する選手 12 名 (FP10 名 GK2 名 ) が選抜される この北信越トレセン ( 後期 ) で 10 月第 1 週に開催されるナショナルトレセン U-12 北信越への参加選手が決定することから この時点で 県セントラルトレセンとしての活動は終了する 技術委員会育成部 ( 石川県トレーニングセンター ) の連携 年度末には 全地区選手の入学予定中学校名 次所属予定チーム 県 北信越トレセン参加実績および特記すべき選手の特徴等を記入した選手評価表が U-12 から U-14(U-15) へ送られる U-12 地区トレセンに所属していた選手は U-14 地区トレセンの前期 (4 月 10 月 ) の活動については 無条件に受け入れられる また 7 月末には U-13 地区対抗戦を行い ファーストトレセン (U-12 のセントラルトレセンにあたる ) 選手 を選出し 強化練習会が開催されている 所属する地区トレセンは 所属チームの所在地によって決定するものであり 中学入学時に変動があっても受け入れ可能な体制となっている これらは U-12 U-14 共に県トレセンが地区トレセンを包括するシステムであること 県技術委員会育成部の中で協働 連携できる組織となっていることなどの良い面と言える しかし U-12 トレセンの活動に参加していない選手は 後期 (10 月以降 ) になるまでは U-14 トレセンの活動に参加するチャンスがないことは課題とも言える また 地区トレセンごとに U-12 U-14 が連携する活動が実施されることが望まれ そのようになれば より密でスクランブル的連携が構築されることだろう 石川県の 4 種に属する選手の登録人数は 2,864 名 (2008 年 11 月現在 ) と少なく 12 月には公共の屋外施設は閉鎖され 風土も含めた環境はサッカーにとっては決して良いとは言えない よって 少ない人材を焦らず積み残しのないように段階を踏んで育成する必要があり 県技術委員会育成部において 石川県の選手は 奥手で良いから ゆっくり育てる という共通理解のもと 全カテゴリーのトレセンが連携を図りつつ 石川県独自の工夫とこだわりを持って進んでいく 石川県セントラルトレセン U-12 の課題 現在の 4 地区トレセンと県セントラルトレセンの組織となってから 7 年が経過し 活動の充実を図る時期に来ている 現状では 北信越トレセンへ参加する選手を選抜するために事業が行われている感がある 年によっては強化練習会を増やすことができ サッカーの質と意識の変化など成果が見られることもあった スケジュールの調整など困難もあるが 県セントラルトレセンとしてのトレーニング機会を増やすことを検討しなければならない 34
指導者養成事業報告 公認 S 級コーチ養成講習会 報告者 塚田雄二 ( 指導者養成サブダイレクター ) はじめに 公認 S 級コーチ養成講習会は Jクラブをはじめとするプロチームでの指導およびプロ選手を指導するコーチを養成する講習会です 日本サッカー指導者のリーダー的存在となる人材育成を目指していると同時に JFAが認定するさまざまな職域の課題への準備を行います S 級は JFA2005 年宣言 の世界のトップ10を目指すために 長期的に国際競争力を上げるための一役を担うものです 2008 年度は 8 月 23 日から一週間のミニキャンプを皮切りに 9 月から11 月までの3カ月間で行いました 3カ月間の内容は 東京での本コースの他 Jヴィレッジでのキャンプ形式で 8 月の事前キャンプ 10 月の中間試験 11 月の最終試験と3 回行いました 事前キャンプ 事前キャンプの目的は3 点です 1 点目は コーチングサーキュラーの確認 ゲームを分析し 課題を抽出してトレーニングに落とし込み確認するといった一連の流れを整理すること 2 点目は 現在の指導実践力の立ち位置を知ること 3 点目は ここからスタートする長丁場に向けて連帯感を持つこと 2008 年 8 月 23 日にJFAハウスに集合してガイダンスを行い 国立競技場でのFC 東京 vs 東京ヴェルディのゲーム分析から開始しました 事前に分析するチームの役割を決め グループごとの分析に入りました 翌朝グループごとに分析をまとめ 受講者を選手に見立てて各グループのプレゼンテーションを行いました プレゼンを行うに当たり各グループでビデオ パソコンを駆使し深夜まで作業する様子はとても大変そうでしたが 実際の現場では 限られた時間の中で準備し 選手に伝えることも日常茶飯事で 当たり前の苦労なのかもしれません 発表では 緊張した面持ちで話す人 堂々と話す人 普段は慣れているのに勝手が違った様子でした 発表後は 分析から抽出した課題をテーマにトレーニングプランを作成し グラウンドでの指導実践です 今回から 指導実践力を高めるために このキャンプ中に各グループが同じテーマで監督 コーチ GKコーチの役割をそれぞれの立場を変えて3 回行いました 3 回やることの狙いは とにかく指導実践力の質を高めるという観点からで 今回からさまざまな立場で実践に関わる回数を増やしました 選手役は 筑波大学蹴球部の協力を受け 学生と受講生で行いました 指導実践では トレーニングの構築 どのように積み上げていくかということに整理がつかず 思い通りに事が運ばなかった人が大 半でした この辺りから選手に伝えることの難しさ 効率良く 効果的に働きかけ 個人を変え チームを変えゲームに持っていくということとの戦いが始まりました 終了後は全員で実践を振り返るディスカッションを行いました 観察もさまざまでしたが そんな見方をしているという現在の自分の立ち位置を知る要素のひとつでもあったと思います キャンプ最終日は 筑波大学 野性の森 へ移動して 坂本先生の指導のもと野外体験実習を行いました さまざまな障害に直面し みんなで知恵を出し合い 協力して難所をクリアしていくというものでした 実習を通してお互いの考え方や 人間性を垣間見ることができたのは ここから3カ月のスタートを切るのには とても良い機会だったと思います 本コース 本コースでは 月曜がフィジカルフィットネスの講義と実技 火曜から木曜の午前中は三菱養和会巣鴨グラウンドでの指導実践を行いました 午後は JISS( 国立スポーツ科学センター ) でさまざまな分野の講師をお招きし 座学を行いました 指導実践では 16のテーマに沿って 監督 コーチ GKコーチの役割分担で全員が一度ずつ行いました ここでの選手役は 三菱養和サッカークラブのコーチの皆さんのご協力をいただき進めていきました ここでは テーマに沿ってコンセプトが明確であったか 効果的な働きかけだったか トレーニングがプロ的であったか また 3 人のリレーションシップはどうかなどについて確認しました 実践終了後に受講生がファシリテーターとなりディスカッションを進めました 最初のうちは不慣れなため まとめ方が整理できず 話がいろいろな方向にいき長時間になることもありました 発言も当たり障りのない中身の薄いものや 現象面での意見が多く 核心を突く発言がなかなか出ませんでした 受講生の中でも解決の糸口がなかなか見えない時期だったと思います しかし時間の経過とともに進行もスムーズになり また 発言も核心を突いたものも増えてきました 例えば トレーニングとゲームの積み上げが乖離 ( かいり ) している その伝え方では 選手は納得してトレーニングできない などといったものが出てきました このように本音でお互いの価値観をぶつけ合うことによって 新たなサッカー観が生まれていったように思います それによりトレーニング内容も整理され パフォーマンスの向上も見てとることができ 達成感の多いセッションも増えてきました それを生み出したのは 受講生の前向きな姿勢とオープンマインドで素直に聞く耳を持ち 35
自分の中で咀嚼 ( そしゃく ) する姿勢があったからだと思います その変化にはただ驚くばかりでした 指導実践には 布啓一郎技術副委員長 眞藤邦彦指導者養成ダイレクター 大橋浩司ナショナルトレセンコーチ 塚田の4 人で担当しました 今回複数の目で見て関わったことは 受講生もさまざまな視点からの意見が得られ有益だったと考えています 他の講義および実践については 以下の通りです 月曜日のフィジカルフィットネスでは JFAフィジカルフィットネスプロジェクトメンバーが講義 実技を担当しました 矢野由治氏を中心に安松幹展氏 ( コンディショニング概論 ) 広瀬統一氏 ( コーディネーショントレーニング ) 松田直樹氏( 筋力トレーニング ) 沼澤秀雄氏( スピードトレーニング ) 山崎亨氏( 環境ストレスマネージメント ) 等 それぞれの分野の第一人者によって実施されました サッカー専門の講義では 田嶋幸三 JFA 専務理事と小野剛技術委員長による 高度競技マネージメント論をはじめ 布氏 ( ユース育成 ) 眞藤氏( 指導者養成 ) JFAテクニカルアドバイザーのクロード デュソー氏 ( 日本の課題 ) 前日本代表監督でJFAアドバイザーのイビチャ オシム氏 ( 世界サッカーの分析 ) 等の講義が行われました そして 日本代表の岡田武史監督 U-23 日本代表の反町康治監督 牧内辰也 U-19 日本代表監督 池内豊 U-17 日本代表監督 佐々木則夫なでしこジャパン監督といった 各カテゴリーの監督から講義していただきました また 上川徹氏 審判との連携 JFAアカデミー福島ヘッドコーチ島田信幸氏 アカデミーコンセプト 日本代表テクニカルスタッフ和田一郎氏 情報戦略 中山雅雄氏 キッズプロジェクト といった方々にも担当していただきました さらにプロの運営 指導現場の内容として 岐阜 FCゼネラルマネージャーの今西和男氏 セレッソ大阪でGM 監督をされた西村昭宏氏 ( ナショナルトレセンコーチ ) からは 現場でのさまざまな事例を挙げてお話しいただきました Jクラブ視察では FC 東京 柏レイソルを訪問しました FC 東京の城福浩監督には ゲーム分析で観た東京ヴェルディ戦を振り返り チームの立ち上げから現状についてのお話をいただきました 柏レイソル石崎信弘監督には 年間を通した目標から 現在のチームの立ち位置 また当日の練習を振り返りトレーニング内容の狙い等細かく説明をいただきました 両監督とも練習後の慌ただしい時間にもかかわらず 受講生との質疑応答に丁寧に対応していただきました 生の声が聞けたことで受講生も現場の生の声を聞き 感ずる部分があったようでした その他 監督として押さえ 身につけておくべき内容としては ロジカルコミュニケーションスキル 三森ゆりかさん( つくば言語技術研究所 ) ディベート 北岡俊明氏( 日本ディベート研究協会会長 ) の講義 実習を通しては 問答ゲームでのやり取りの中で 発問の仕方 それに対しての明確な答え方 話し方を学び ディベートの実践では 物事を論理的に話す技術を学びました スポーツ社会学 佐伯年詩雄氏( 平成国際大学教授 ) メディアとの対応 大住良之氏 ( フリーランス ) 規約契約論 小竹伸之氏 ( 博報堂 ) トレーディングゲーム 船橋中氏( ウィルシード ) 等のレクチャーにおいても 現場でのさまざまな状況での対応力を学習しました スポーツ心理学では スラムダンク勝利学 執筆者である辻秀一氏より 選手のライフスキルを伸ばすコーチング をテーマに講義を受けました 特にライフスキル ( 習慣化されたスキル ) フロー状態を作り出すコーチング力は 受講期間中でもさまざまな場面に用いられ大変勉強になりました 受講生が行う実習では プレゼン実習 マナー実習を行いました プレゼン実習では抽選で決定したテーマにのっとり 一人 20 分の制限時間の中で発表を行いました 発表者は視聴者の対象を決め いかに自分の考えを理解してもらうか 資料集め アンケート調査 ビデオ編集等さまざまな準備に相当な時間を費やしました ここからいかに整理してコンパクトに時間内で効果的なプレゼンに仕上げていくわけです このそぎ落としていくという作業こそが一番難しかったのではないでしょうか 発表後は受講生が評価し 発表者にフィードバックします ポイントはプレゼン内容は論理的であるか 十分な知識があるか 資料やビデオが効果的に使われているか 言語の明瞭性 外見 態度はどのようであったかなどでした 終了後のディスカッションでは テーマの内容について熱い議論があったのも印象的でした マナー実習では 模擬立食パーティーを行い 招待されたときの服装 スピーチ 立食形式でのテーブルマナーについても学びました 特に突然の指名で数名がスピーチを行う場面では それぞれをビデオに収め振り返りを行いました 見直すと自身の話し方の癖に気づいたり みんなの涙を誘うような感動的なスピーチもあり 有意義な時間を過ごしました 本コースが終了すると 国内の一週間以上のJクラブでの研修 2 週間以上の海外クラブでのインターンシップを行います これは 自分で計画し クラブと交渉するところから始まり この3カ月で 36
指導者養成事業報告 積み上げたものをそれぞれのクラブに出向き 現場でどのように行われているかを検証し 研修を深めるものです まとめ 8 月末にスタートした講習会も終了しました お互いのサッカー観をぶつけ合い 新たなサッカー観を創り出そう といってス タートした講習会 常に本音で価値観をぶつけ合った受講生 そのひたむきに取り組む姿勢にはインストラクターのわれわれも共に学びました 皆さんの成長を見届け ホッとしているところですが すでに次年度受講希望者の面接が始まり 2009 年のS 級養成講習会の準備もスタートしています JFA2005 年宣言 の実現に向けて 技術委員会の総力を挙げ 2008 年度以上に質の高い より充実した講習会となるよう 取り組んでいきたいと思います 公認 A 級コーチジェネラル養成講習会 報告者 足達勇輔 (JFA ナショナルトレセンコーチ東北担当 ) 公認 A 級コーチジェネラル養成講習会は すべてのアマチュアチームを対象に指導するコーチを養成するコースです 講義の内容はチーム戦術指導が中心になります 現代サッカーは 常にヨーロッパを中心に進化し続けています その進化に後れを取らないように われわれ指導者もアンテナを高く張り 学び続けなければなりません 2008 年度も受講者とともに参加型の講習会 ( 前期 6 泊 7 日 後期 5 泊 6 日 ) を3コース開催しました 学ぶことをやめたら 教えることをやめなければならない ロジェ ルメール ( 元フランス代表監督 ) この言葉を肝に銘じながら下記のカリキュラムに取り組みました 前期 コミュニケーションスキル プランニング 共通科目 ( フィジカルコンディショニング ) GK 講義および実践 指導実践 指導実践アセスメント 後期 ナショナルコーチングスタッフレクチャー (U-23 日本代表の取り組みについて ) チーム戦術とゲームプラン 共通科目( 栄養学 心理学 メディカル 社会学 ) 指導実践 指導実践アセスメント 口頭試験 共通科目 前期に行われたコミュニケーションスキルの講義 ( 三森ゆりかさん / つくば言語技術研修所 ) では われわれ日本人の苦手とする論理的思考能力の重要性を気づかせていただいたと同時にその必要性と選手との接し方について研修しました 共通科目であるフィジカルコンディショニングでは JFAフィジカルフィットネスプロジェクトから 前期 後期の2 度にわたって行われ 期分けのプランニングとエネルギー供給系 心拍数コントロールについて講義と実技で学びました キヤノンの協力によりハートレートモニターを付けて実際にトレーニングを行い 強度の検証を行いました その他の共通科目は その分野の専門家より講義を受けました サッカー専門 後期に行われたナショナルコーチングスタッフ ( 江尻篤彦 U-23 日本代表コーチ ) による北京オリンピックまでのチームづくりについて生の声を聞くことができました GKのレクチャーは GKプロジェクトよりGK 指導の基本について 指導者として知っておかなければならないことを講義と実技で整理していただきました 講習会の柱である指導実践を行うにあたり 選手役を受講生自らが行うために 受講前からのコンディショニングが非常に重要で 特に後期は補助プレーヤー ( 前期のみJAPANサッカーカレッジ参加 ) がいないために受講生のプレーの質が指導に大きく影響する状況でしたが 各自 体の準備をしっかりして臨んでいた姿には感心しました 特に後期講習会への身体の準備は そのコースへの思いを感じさせてもらったと同時に 往年のプレーを観られたのも楽しみの一つでした 指導実践では 2 人組で構築したトレーニングテーマに合わせたトレーニングを行い より良いトレーニングを構築するには? について 受講生同士のオープンマインドなディスカッション 時にはインストラクターも参加して トレーニングの逆算 トレーニング場面の切り取り コーチング法を整理していきました 指導実 37
オープンマインド 講習会開催にあたり オープンマインド をキーワードに 全員が各自の価値観をぶつけ合い 新たな価値観を見つけていくことを約束に取り組みました 最初は 遠慮がちであった受講生も次第に殻を破って自身の価値観をぶつけ始めました 新たな価値観を見つけた受講生は 新たなトレーニングプラン構築に向け 深夜まで取り組んで充実した時間を過ごしていました お互いから学び お互いを高め合う姿勢は この講習会でしかできない環境でした 仲間の意見に心を傾け お互いを高めたり 深めたりできる仲間に出会えた方は 新たな自分に出会えたことと思います われわれインストラクターも受講生の向上心ある取り組みの姿に感銘を受けると同時に指導者としての強いエネルギーをもらっています そんな受講生の方々に感謝します 践アセスメントでは 日々の指導実践について映像を交えてさらに具体的に整理をしていきました それをもとに再び次のテーマについて受講生がより完璧を目指してトレーニングをプランニングするというサイクルを繰り返しました 具体的には オーガナイズの切り取り プランニング コーチングストーリー オフの局面に対しての働きかけについてディスカッションを深めました 選手は 勝手に育たない タレントが育つのを待っていたら永遠に待ち続けなくてはならないかもしれない アンディ ロクスブルグ (UEFAテクニカルダイレクター) 日本の 夢 であるFIFAワールドカップ優勝は 私たち指導者にかかっています 公認 A 級コーチ U-12 養成講習会 ( 後期 ) 報告者 眞藤邦彦 ( 指導者養成ダイレクター ) JFA2005 年宣言 における約束を果たすための牽引車 5 年後 10 年後 30 年後を見据えての育成の鍵 Jヴィレッジにも紅葉が始まり 海の碧さと木々の彩りのコントラストが美しい季節となりました そのような季節に 熱い情熱を持った指導者が集まって 公認 A 級コーチU-12 養成講習会 ( 後期 ) が開催されました まずガイダンスで JFAの理念である サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し 人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する ことを再確認しました JFAのビジョンにしたがって JFA2005 年宣言 の約束を果たすために われわれに何ができるかを念頭に それぞれが抱えている課題を話し合いました ディスカッションでは 第 4 種大会レポートを通して さらに望ましい姿に近づけていくにはどのような解決策があるのか また 地域の実情を考えながら進めていく方策はあるのかなど 情報交換を含めて話し合いました 地域の現状 リーグ戦への取り組みや たくましい選手を育成する観点から レフェリーとの連携や現状についても話し合い 全国の好事例を挙げて 大変実りのあるディス カッションとなりました 受講生は15 分という限られた時間の中でテーマを絞り発表しました 事前にきちんと準備し リハーサルを重ねて臨んだこともあり 理解しやすいプレゼンテーションでした 話し方に抑揚があり ジェスチャーを交えたり ビデオやパワーポイントを駆使したりするなど 見てよく分かり 聞いてさらに理解を深める工夫が随所にありました 連日ディスカッションを重ねる中 第 4 種年代で8 対 8を中心としたリーグ戦の創出が大切であることと 生活圏で子どもたちに負担がかからないよう そしてできるだけ2 桁の得点差がつかないゲームにしていく工夫が大切であることが確認されました また リーグ戦を通して 指導者も選手もサッカー理解を深め スピーディーかつフェアで タフな選手を育てるため 技術と審判の協調が必要であること そしてその取り組みに地域で着手していくことを確認しました すでにチビリンピックや全日本少年サッカー大会 キリンカップサッカーで実施しているフェアプレーコンテストの導入を できるところから気軽に始めること そしてその意義を普及 浸透させていく過程で リーグ戦の定着とともにサッカー文化の醸成が図れることが認識されました 38
指導者養成事業報告 メディカルの講義においては 一般的な基礎知識を押さえつつ 心 技 体 の話がありました ドクターがメンタリティーの強い選手を育てるために日々苦悩し その選手が将来大きくたくましく羽ばたいていく中でコーチングスタッフと連携を図り 活動しているという内容は 受講生に大きな感銘を与えました 指導実践においては 世界と肩を並べるために U-12 年代で取り組んでいくことを前期 後期を通して確認していきました これは いわばJFAのコンセプトであり 同時に世界でも取り組んでいる内容です 簡単にいうと テクニック 判断力 持久力を高めること そして目の前の子ども一人ひとりに合った要求をし 自分の力で伸びていくようにしていくことです そのために指導者としての哲学をしっかり持ち トレーニングの心を理解した上で それぞれのスタイルで子どもたちに指導していくことが大切なのです 集まってきた子どもたちは 少しでもサッカーを楽しみたい うまくなりたいと考えているので 非常に指導実践がやりやすかったように思います 指導者もそれぞれの熱い思いを子どもたちにぶつけたため お互いにとって非常に有意義な時間を過ごせたと思います 指導者にとっては指導実践という限られた時間内でしたが 子どもたちのレベルに応じて要求レベルを変えながら 少しでもうまくしていこうという意気込みが感じられました 指導者として一番大切なものを見たような気がします 地域の子どもたちの協力を得てこのような指導実践が行えたことに 深く感謝したいと思います 閉講式では 世界をスタンダードとした強化策 グラスルーツなくして代表強化はないことの意味を十分理解した上で 指導者が目先の勝利に目を奪われることなく 勝利と内容の両方を追求していく必要があること そしてそのために第 4 種で育てた選手が送り出されていく先の第 3 種にも目を向けていく必要があるという話がありました 同様に 送り出してくれるキッズの年代との連携も重要なのです いものをつくり上げていくためのアイデアや情報が共有できたのではないでしょうか もちろん もっと深く掘り下げ 確信を持って地域へ持ち帰っていくには 時間の制約もあって難しかったと思います 今後は時間を十分に確保する必要があると反省しています しかし その限られた時間の中でも活発に意見交換をし 建設的なアドバイスをされる中で 参加者の表情が少しずつ明るくなっていく様子がうかがえました 積極的かつ前向きに取り組んでいる仲間の集まりに参加すると 体の中から自然に希望と勇気が湧き上がり 明日への活力がみなぎってくるものです 常に学ぶことを忘れず 向上しようとする姿は 凛として美しいとさえ感じました 報告会の最後には JFAからディスカッションのまとめやお願いなどを話しました これで良いと満足することなく これからもますます発展させていくことを決意し 解散しました 現場で悩んだとき お互いが相談役になったり 励まし合ったりする良き仲間として ますます絆が深まった報告会でした モデルコーチが子どもたちに対して JFAのコンセプトを直接指導することにより 子どもたちに良い刺激が加わり より一層レベルアップしています そして 地域の指導者の方々へも好影響を及ぼしていることがこの報告会で再確認できました JFAは 2009 年にはモデル地区トレセンを20 地区に拡大しようと考えています 今後もさらに加速して モデル地区トレセンを増やしていく方策を練っていきたいと思います アカデミーリフレッシュ研修会 モデル地区トレセン報告会後 引き続き午後からA 級コーチU-12 対象のリフレッシュ研修会を実施し クロード デュソー氏をはじめとするJFAアカデミー福島スタッフで指導に当たりました はじめに島田信幸 JFAアカデミー福島ヘッドコーチから 全日本少年 モデル地区トレセン報告会 公認 A 級コーチU-12 養成講習会が無事終了しました 今回は 各サッカー協会 (FA) からの推薦を受けて受講されているためか 純粋にU-12 年代の指導者のスペシャリストを目指しているだけでなく モデル地区トレセンの開設にも強く関心を持たれていて 大変うれしく思いました この講習会終了後に モデル地区トレセン開設を目指しているA 級コーチU-12 講習会 ( 前期 ) のS 級向けコースを受講された6 名の指導実践がありました そして翌日は 全国 6カ所で開設しているモデル地区トレセンの報告会を実施しました それぞれの活動を JFAが巡回視察し 現場の取り組みで生まれたさまざまな悩みや要望等の意見交換をしました 今回はモデルコーチが日々の活動の報告をしました そこでもっと良くしていく方策や 展開を広げていくための具体的なプランについて意見交換をしました 地域の実情も合わせて 解決策は一様ではないことを確認しつつも さらに良 39
サッカー大会を題材とした講義がありました 次にグラウンドで参加者がJFAコンセプトを踏まえたトレーニングを紹介する中で そのトレーニングを参加者全員のディスカッションで より良いものに発展させていくような研修型指導実践の取り組みをしました 実際にグラウンドレベルでさまざまな考えを出し合ってトレーニングを試すことにより トレーニングオーガナイズの意味合いや JFAのコンセプトの理解がさらに深められた との受講者の声がありました 最後にデュソー氏による講義がありました その中でデュソー氏は 選手の育成とは時間のかかることであり 子どもを開花させ 自立させるためにユース年代の指導者のポストは重要である ユース育成の指導者は 選手を18 歳から20 歳でトップに持っていくことが目的である そのための10 年間は 各年代で伸ばすべきクオリティーがあることを忘れず 段階を踏んで進んでいかなくてはならない それを急ぎすぎてしまうと 向上を制限してしまうことがよくあることに気づいてほしい スーパースターたちは早期に7 8 歳でスタートしている と話されました ユース育成の指導者の役割と責任は 大変大きなものであ ることを 今さらながら痛感させられた講義でした 参加者の皆さんにとっては ユース育成に携わる指導者としての誇りと JFAのコンセプトに対して確信を持って活動していく決意を新たにした研修会であったと思います U-12 年代の課題を共有すること トレーニングコンセプトを確認し 深めることを目的として開催したリフレッシュ研修会ですが 2009 年度以降も継続的に計画していきたいと思います 日本サッカーの将来を担うユース育成に携わる指導者が多く集まり 皆で日本サッカーの土台を築き 支えていきたいと考えています 最後に 次の言葉を紹介して まとめとしたいと思います ユース育成はフィロソフィーを深く刻み込むこと 良い習慣を追求すること そしてサッカーの発展と個人の成長を追求することだ ユースの仕事をすることはすばらしいことである なぜなら彼らのアドベンチャーや希望とともに歩むことができるのだから 私にとって人生で最高の選択は ナショナルユースコーチになることだ アンディ ロクスブルグ (UEFAテクニカルダイレクター) 公認 B 級コーチ養成講習会 (J クラブ FC 東京コース ) 報告者 眞藤邦彦 ( 指導者養成ダイレクター ) 本誌 vol.26で 公認 B 級コーチ養成講習会 ( 前期 ) の内容の紹介に併せて 2008 年度から開設された2つのJクラブコースのうち アルビレックス新潟コースを紹介しました 今回は もうひとつのJ クラブコースであるFC 東京コースを紹介します 指導はFC 東京所属の福井哲 山口隆文 JFAインストラクター ( 前指導者養成チーフ ) の2 人が担当しました FC 東京コースは新潟コースとは違って すべてが初めての取り組みでした まずは宿舎の手配 そしてトップチームのグラウンドと隣接するためグラウンドの調整 施設の施錠 食事 (3 食ともデリバリー給食 ) 洗濯の手配等 受講者の身の回りの配慮も含めて 事務局を担当されたFC 東京の秋山さんは大変だったと思います 日々運営しながらさまざまな事柄を改善されていったのは FC 東京の全面的な協力と東京学芸大学の補助学生 インストラクターの方々のすばらしい連携があったからこそと思います お陰で受講者の方々も満足され 前期を無事終了することができました 誌面を借りてお礼申し上げます 宿舎について 通える範囲の方々もいましたが 全員が寝食を共にしました そうすることで 講習時間以外にも自由にディスカッションができ 講習内容がより深まり サッカーに対する考え方等に実りが多いと考えたからです さまざまな選手経験 指導経験や視点をお互いにぶつけ合うことで 普段悩んでいることの解決につながったのでは 40
指導者養成事業報告 ないでしょうか また インターネット環境も良く 充実した生活ができた反面 洗濯機が少なかったため 深夜まで洗濯に時間を費やしたことが課題として挙げられました より多くの方々と交流できるフリースペースが宿舎になかったことも併せて 後期に向けて改善していきたいと考えています 施設について トップチームの練習場と隣接する人工芝で実技を実施したため ユースやトップチームの練習を見学できて良かった という声が受講者からありました 講義室は空調完備で 快適に受講できたと思います 私自身は中日の山口氏の講義と福井氏の実技を見学しました 受講者とユーモアを交えたキャッチボールをしながら なおかつ的確なアドバイスが2 人のインストラクターによって展開されていました 受講者は一生懸命に耳を傾け 実技においても積極的に活動していました 3 人の女性受講者も活発に参加していました その1 人に感想をうかがいました サッカーがよく整理され 現場指導にすぐにでも生かせそうです また 講演やテレビ解説にも 日本の進むべき方向性を共有した話ができるので すばらしい経験をさせてもらっています と大変喜んでいました 課題として 一日中 FC 東京施設内にとどまっての活動であったため 昼の休養スペースがあればよかった という要望がありました J クラブコース開設について アルビレックス新潟 FC 東京コースの開設で多くの受講者の受け入れができるようになりました また ホームタウンから受講生を受け入れることで Jクラブの地域貢献にもつながっていると考えます 例えばFC 東京の場合 受講者が従来の東京都枠に加えて FC 東京地域枠で増えました 東京都サッカー協会と連携を図り トライアウトで受講者を決定されたそうですが そのうちFC 東京のコーチ3 名も受講することができ お互いが有益な取り組みになったと確信しています これからもサッカーに対する考え方や JFAコンセプト 日本の進むべき方向性を共有できる理解者を増やしていくために 本講習会を増やしていきたいと考えます また 2クラブ以外のクラブへの協力にも これから取り組んでいきたいと思います トピック 受講者のアセスメントに 施設内には野外バーベキュー会場があり そこでゆとりのある日を利用して受講者とインストラクターの懇親が深められたことは 大変有意義だった とありました また FC 東京トップチームの城福浩監督も実技を見学されました FC 東京の手作りコースならではの取り組みであったと思います GK コーチリフレッシュ研修会 報告者 川俣則幸 (GK プロジェクト ) コース概要 関東コース開催日時 :11 月 27 日 28 日開催場所 : 鹿島ハイツ講師 : 川俣則幸 (JFAナショナルコーチングスタッフ ) 柳楽雅幸 (JFAナショナルコーチングスタッフ ) 関西コース開催日時 :11 月 29 日 30 日開催場所 : アスコ ザ パークTANBA 講師 : 慶越雄二 (JFAナショナルコーチングスタッフ) 井上祐 (JFAナショナルトレセンコーチ/ 山形県立鶴岡中央高校 ) GKコーチリフレッシュ研修は今回からリフレッシュポイントが 20ポイントつくコースとなりました これに伴い 参加資格も GKコーチライセンス保持者だけでなく 一般のライセンス保持者にも拡大されたことが大きな変更点です リフレッシュ講習の目的 1GKの指導に関するレクチャーやディスカッション 指導実践などを通じて 指導者としてのレベルアップを図る 2UEFA EURO 北京オリンピックにおけるGKの分析 その傾向に関する情報の共有を図る参加者内訳 関東 23 名 GK-A 級 :1 名 GK-B 級 :2 名 GK-C 級 :9 名 A 級 :1 名 B 級 : 1 名 C 級 :9 名 41
関西 26 名 GK-B 級 :2 名 GK-C 級 :14 名 A 級 :1 名 B 級 :2 名 C 級 :7 名 内容 (1) 講義 UEFA EURO 2008 北京オリンピックJFAテクニカルレポート AFC U-16 選手権 AFC U-19 選手権の報告 3 GKC 級 (C 級保持者を含む ) 4 対 4+2GKで 基本姿勢 キャッチング ステップ( 移動 ) ローリングダウン ダイビング アングルプレー ディストリビューション( スローイング ) (2) 指導実践 ゲームの中でGKを指導する それぞれ以下のテーマで10 分間の指導実践を行いました テーマならびにオーガナイズは基本的にGKラインセンスコースでも行っているものを用いました (GK-A 級は受講生と相談の上決定 ) 1 GK-A 級保持者 8 対 8+2GKゲーム シュートストップ ブレイクアウェイ クロス パス& サポート ディストリビューション 2 GK-B 級 (A B 級保持者を含む ) シュートストップ 4 対 4+2GK クロス 2 対 2 2 対 2 2フリーマン+2GK パス& サポート 4 対 4+2GK ブレイクアウェイ 4 対 4+2GK ディストリビューション 4 対 4+2GK 1 日目に これらの指導実践について講師によるデモンストレーションが行われ 夜に講義ならびに指導実践の説明がなされました 2 日目に受講生による指導実践ならびにそのディスカッションを行いました まとめ 今回初めて GKコーチライセンスの保持者とそれを持たない指導者が合同でリフレッシュ研修会を行いました すべての受講生が GKを経験し GKの立場になってプレーし指導実践を行ったことにより 双方が良い刺激を受け有意義な講習となったのではないでしょうか 日ごろ指導するカテゴリー 種別の異なる指導者が一緒にゲームの中でのGKを指導することによって GKに対する理解を深め GK 指導におけるベクトル合わせを行ったことにより 今後さらにGK 指導の質が高まることを期待します さまざまな種類のライセンスを持った受講生すべてのニーズに合ったコースを運営する難しさはありますが それ以上にわれわれ講師陣もさまざまなことを学ぶ機会として GKコーチリフレッシュ研修を継続していきます また 参加された皆さんの熱意に感謝を申し上げます 新たな取り組みとしてのリフレッシュ研修会 報告者 眞藤邦彦 ( 指導者養成ダイレクター ) 学ぶことをやめたら教えることをやめなければならない ロジェ ルメール ( 元フランス代表監督 ) この言葉は まさにわれわれJFA 指導者養成のシンボルとなっています 指導者にとって ライセンスの取得はゴールではなく むしろスタートであると言えます 日々選手を指導していく上で ここまでやれば良い とか ここまで分かれば十分である ということがないのは 多くの方が実感していることだと思います それは 世界のサッカーが日進月歩で進化しているからです 子どもた ちが大きな夢を抱き続けるなら 指導者はそれ以上のことを学んでいく必要があるのです 指導者は日々学び続けなければならない この重大な責任を帯びている重要な仕事に臨む上で自分自身を常に準備させておかなくてはならない フットボールカンファレンス等でも 多くのトップレベルの指導者がそう言っています たとえプロのトップチームの監督であっても同じことだと思います JFAは世界大会をスタンダードに分析し リフレッシュ研修会や 42
指導者養成事業報告 本誌 JFAコミュニティ等の情報提供ツールと組み合わせることによって 日本の進むべき方向性を示す最新情報を提供しています それが 指導者のベクトルや質の認識に関するレベル合わせをしていく中で JFA2005 年宣言 を果たす原動力になると確信しているからです リフレッシュ研修会は 指導者のさらなるレベルアップを図る研修としてだけではなく 全国の指導者のベクトル合わせとしての意味も持っています なぜなら ライセンス取得講習の機会のみでなく リフレッシュ研修の機会にも日々発展していく世界のサッカーの動向に対応した さまざまな施策の根拠等を発信し 折々にベクトルを合わせることが重要なことと考えているからです 研修会は 画一化されたものではなく 各指導者の指導現場や関心のニーズに応えるものを提供できるように さまざまな種類を用意しています 内容や形式により 2 日コース 1 日コース 半日コースがあり それぞれ相応のポイントが割り当てられています その他 2 年に一度のフットボールカンファレンス また JFA 公認指導者海外研修 ナショナルトレセンU-12 14 ナショナルトレーニングキャンプ U-16の指導者講習会も設定されています 何度もお伝えしていることですが 更新に必要な最低限のポイントを取得するというよりも 本来の目的を見失うことなく ぜひさまざまな講習に積極的に参加し 研修を積んでいただければと思います このたび上記のリフレッシュ研修会以外で企画したことをご紹介します 1 S 級リフレッシュ研修会 2008 年度 S 級リフレッシュ研修会の1 回目は JFAアドバイザーであるイビチャ オシム氏に講師を務めていただきました オシム氏はS 級リフレッシュ研修会に参加された方々に元気な姿を見せてくれました サッカーに対する情熱が少しも薄れていない 深みのある内容に 参加者は安心し 同時に勇気づけられたことと思います 研修会は UEFA EURO 2008 JFAテクニカルスタディを題材に 日本の進むべき方向性について参加者とディスカッションする形で進められました はじめに UEFA EURO 2008の大会全般や技術 戦術的な部分での解説 そして日本の目指す方向性としての育成年代への示唆を 映像を交えて私がTSG( テクニカルスタディグループ ) メンバーを代表して説明しました その後 オシム氏にはご自身のサッカー観や世界のトレンドについてお話しいただき 参加者とのディスカッションで研修を深めていきました オシム氏は EUROで活躍している姿のみを分析するのではなく 選手がそれぞれの国のリーグ戦でいかに闘っているのか どのような過酷な状況から国を代表して集まってきているのかの背景も探りながら分析していくことが大事である またあらゆる観点から EUROで起こっていることの現実を目の当たりにし 将来のサッカーを予測していくこと そして将来の準備として 今を大事に取 フィジカルフィットネスリフレッシュ研修会より り組まなければならないことを洗い出していくことが重要である と述べられました 最後にオシム氏が述べられた含蓄のある言葉は 参加者にとって大いに参考になったことと思います 2 フィジカルフィットネスリフレッシュ研修会サッカーにおけるフィジカルトレーニングは サッカーのパフォーマンスを向上させるためのもので サッカーの特性に応じたものであるべきことは これまでも各指導者養成講習会や本誌 各種指針等で周知されているところです サッカーのパフォーマンスを向上させるためにフィジカルトレーニングが重要であることは理解されてきましたが それを より現場に生かせる工夫として あるいは最新情報を確実に伝えていく手段として 2008 年度からフィジカルフィットネスリフレッシュ研修会を開催することになりました 今回は体幹トレーニングをメインテーマとして実施しました はじめはどれくらいの参加希望があるのか不安がありましたが 多くの方々に興味 関心を示していただき 関係者として安堵しました むしろ 多くのニーズがあることに気づかされたというのが本音です 今後はさらに内容を充実させて 継続的に取り組んでいこうと思います 受講者は 難しい内容 言葉だと思っていたことが 大変分かりやすく整理され 伝わってきました 現場に応用していける自信がわいた と言われていました 3 アカデミーリフレッシュ研修会世界のサッカーの傾向から導き出される日本の育成の方向性の1 つのモデルであるJFAアカデミーでの育成に関してさまざまな発信はしていますが 実際に接してより深く理解していただく機会をつくるためにこの研修会が企画されました ( 詳細は28ページ参照 ) ユース育成の重要性は言うまでもありません 2006 FIFAワールドカップドイツでのイタリア代表マルチェロ リッピ監督は UEFAのカンファレンスで ユースコーチングは基本的に異質の仕事であることを認めています これは応急処置的な仕事ではない 自分たちがやっていることに深い確信を持っている人のための 43
指導者養成事業報告 仕事である シニアチームをコーチングしたいなどという考えを頭から追い払った人たちのための仕事である 若いタレントを向上させることに 完全に打ち込まなくてはならない 私はユースコーチングを3 年で離れたが その理由は 私自身はリスクや緊張 結果を求めるということの方を好むということに気づいたからである だから私は自分のアドベンチャーを開始したのである 4 キッズリーダーリフレッシュ研修会キッズリーダー研修会が47FAで多く開催されていることは大変うれしく思います 受講対象となる方々は キッズに関わる年代の指導者がほとんどです 日本の進むべき方向性の中で JFA2005 年宣言 を果たしていくためには 日本の10 年後 30 年後を見据えた中長期的な取り組みが重要です そう考えると U-12 年代の指導は非常に重要であり 2007 年に公認 A 級コーチU-12 養成講習会を開始しました しかし U-12 年代を充実させていくためには さらにその下の土台の準備が重要です 戸外で動くことが好きになり サッカーが好きになり もっとサッカーがうまくなりたいと感じるキッズ年代の重要性をあらためて痛感しています そこで 2009 年度は そのキッズの中でも才能のある子に対して 将来開花させられるような質の高い刺激を与えていけるためのノウハウを研修できるキッズエリートコーチ ( 仮称 ) 研修会の開催を検討しています それに加えて キッズ年代の取り組みや考え方を より多くの方々に理解していただくために C 級リフレッシュ研修会の教材にキッズリーダー研修会を組み込むことができるようにしました 狙いは 種別を超えた年代の指導者にもキッズの取り組みを理解していただき その積み重ねに自分たちの年代があり そして上の年代にどのように送り出していくのかを考えていただくことです キッズから大人までを考えた一貫指導の具現化を目的としています 47FAチーフインストラクターが開催するリフレッシュ研修会は C 級保持者が対象です そこで C 級保持者の方々にキッズリーダーリフレッシュ研修会に参加していただくためには 47FAチーフインストラクターが企画運営に携わり 講師にキッズリーダーインストラクターを招いて実施することで 各 FAの技術委員会とキッズ委員会の連携がとれるようになればと考えています さらに言うならば キッズからU-12 年代へのスムーズな連携と深まりが この取り組みによって さらに確固たる組織になっていくことを期待しているわけです こういった主旨を踏まえ 多くの方々にキッズの理解が深まればと思いますので 各 FAで積極的な取り組みをお願いしたいと思います 今回は GKの指導に関するレクチャーやディスカッション 指導実践などを通じて 指導者としてのレベルアップを図ることを目的に UEFA EURO 2008 北京オリンピックにおけるGKの分析 その傾向に関する情報の共有を図ることを主題にしました ( 詳細は前項参照 ) まとめ 最後にまとめとして 特に育成年代の指導者に最も求められていることについて考えてみたいと思います 指導者には サッカーにおける技術 戦術的な能力よりも重視されている部分があります それは人間的 教育的なクオリティーです 具体的に言うと それは人として重要なクオリティーであり あるときは父親的な存在となり またあるときは友人になれる資質です そのためには 誠実かつ謙虚で 忍耐力と理解力があること そして向学心を持ち 常に自信に満ち溢れていることが大事であると思います 子どもたちに サッカーを好きにさせ 自らの力で今よりもうまくなろうとする気持ちを育むことができ さらにその成長に目を細めて見守ることのできる姿勢があることが 大変重要だと思います こうした姿勢のある方は 子どもたちや選手と 今よりもさらに上のレベルまで一緒になって向上しようと努力するため サッカーを突き詰めていこうとする努力を惜しみません 各指導者養成講習会で ライセンスを取得したから終わりなのではない ということを伝えています 常に向上心を持って子どもたちに接していくと 終わりがないということに気づいてほしいからです ましてや世界のサッカーが常に進歩していることを考え合わせると際限がなく 気が遠くなりますが だからこそ楽しいのかもしれません サッカーのより専門的な面では サッカーにおける知識やスキル指導の方法論 プレーヤーの評価について深く学んでいく必要があります そのために われわれ指導者には 自立しつつ 常に再教育を受けようとする態度が必要です つまり オープンマインドであることが重要な鍵を握っているのです JFA2005 年宣言 を達成するために 指導者は 地道にゆっくりと一歩ずつかつ確実に そして着実に前に進んで行きましょう 5 ゴールキーパーリフレッシュ研修会 GKコーチリフレッシュ研修は今回からリフレッシュポイントが 20ポイントつくコースとなりました これに伴い 参加資格も GKコーチライセンス保持者だけでなく 一般のライセンス保持者にも拡大されたことが大きな変更点です 47FA チーフインストラクター研修会より 44
海外で活躍する指導者 9 海外で活躍する指導者 連載 9 人目の今回はスーダンで活躍している企画三田智輝氏からの報告です プロフィール三田智輝 ( みた みちてる ) 千葉県我孫子市出身 1975 年 5 月 16 日生まれ 日本体育大学サッカー部 静岡スバルサッカー部 神奈川教員でプレー 指導者としては 湘南工科大学付属高校サッカー部を 2 年間指導した後 青年海外協力隊に参加 バングラデシュサッカー協会に配属され 2 年間 バングラデシュ国内各地においてユース選手への巡回指導にあたる 2007 年 1 月よりアフリカのスーダン共和国に在住 現在は日本 NGO ロシナンテスのスポーツ事業部長として スーダンサッカー協会のユース育成機関であるテクニカルフットボールアカデミーに出向中 派遣国 地域の紹介スーダン共和国 人口約 3,600 万人 首都はハルツーム スーダンはアフリカ大陸最大で 日本の約 7 倍もの国土面積があり エジプトやケニアなど 9 つの国に面している 2005 年に南部と北部の間で 20 年以上続いた内戦が終結するも 西部ダルフール地方では 政府 アラブ系民兵と反政府勢力との間で紛争が現在も続いている ハルツームのある北部地方は乾燥気候で夏場は気温が 40 度を超える FIFA 世界ランキング 93 位 (2008 年 12 月現在 ) 2005 年の南北包括和平合意締結後 スーダンも少しずつ発展している兆しが見え 首都のハルツームの景観も急速に変わりつつあります サッカーもその影響を受けてか スーダン代表チームは 2006 2007 年ともに CECAFA( 東 中央アフリカサッカー協会 ) 地区大会で優勝 また 2008 年 1 月にガーナで行われたアフリカコンフェデレーションズカップに 32 年ぶりの出場を果たしました 2010 FIFA ワールドカップ南アフリカのアフリカ大陸予選においても 現在 20 チームの最終予選まで残る実績を挙げています 活動について スーダンサッカー協会に配属されてから 6 カ月間にわたり U-20 スーダン代表チームのコーチに就任し アフリカユースチャンピオンシップに向けた代表チームの指導を行いました 監督は国際経験もあり 長年指導に携わってきた大御所ともいえるスーダン人で 彼の組んだ練習メニューをもとに 私は片言のアラビア語とボディランゲージを駆使してトレーニングを行いました 20 歳以下の代表選手のほとんどはローカルクラブに所属していますが サッカー選手としての体づくりやコンディション調整などの知識 時間通りに練習に来るといった基本的な姿勢 国を代表するという意識など 基礎的な部分から育成していかなければならないのが実情です また 海外に出るのも国際大会に参加するのも初めてという選 46
手ばかりで まだまだ世界というよりは 将来 アフリカの他の強豪国と対峙していくために 国内で若いうちからいかに国際舞台で通用する技術や経験を積むかという取り組みを行う必要もあると痛感しました スーダン人選手は 手足が長く アフリカ選手特有のリズム感があり 身体能力に優れています また スーダンもアフリカの例にもれずサッカー人気は高く 夕方になり暑さが和らぐと街のあちこちで子どもから大人までサッカーを楽しんでいる光景が見られます そのように潜在的な力はあるので ユースアカデミーのように小さいころから継続した育成が行える受け皿があれば 今後この国のサッカーは目覚しく発展できるのではないかと期待しています また 指導方法においても ただコピーしただけの練習が多く 創造性の少ない指導が 選手のクリエイティビティを奪う原因につながっているのではないかと考えます または 長い間国際社会から隔絶されていた影響からくる 指導者の情報の遅れもサッカー発展の妨げの要因のひとつに挙げられると認識しています 今後の可能性 現在の代表チームの活躍を一過性のものにしないために スーダンサッカー協会の技術部などと話し合いを重ね 低年齢層から の継続した育成の重要性を理解してもらい これまで代表チームの練習でしか使われていなかったテクニカルアカデミーを利用して 12 歳以下の選手を対象にサッカースクールを開くことになりました ( 注記 :JFA からご支援いただき このスクールで使用する 4 号ボールを寄贈していただく予定です ) 適齢期での基本技術の獲得や選手のすそ野を増やすことも狙いですが それだけでなく オフ ザ ピッチの教育 例えば 練習に対するまじめな姿勢や道具を大切に使う気持ちも養っていきたいと考えています 将来的には年齢カテゴリーを増やして継続した育成の場をつくり U-17 のユース代表チームまでつなげていければと考えています こうして受け皿を確立すると同時に 指導技術向上も図っていきます JFA アジア貢献プロジェクトでシリアに派遣されている方が作成されたアラビア語の指導指針をスーダン版に改訂しており それをもとに来年には指導者研修を開催する予定です ゆくゆくはこれらの指導者が JFA インターナショナルコーチングコースなどへ参加し 世界のサッカーを学んでいくことも期待しています 日本人である私がスーダンで指導するにあたっては 文化や習慣の違いもあるのですべてを押しつけることはできませんが スーダンの良い部分と日本の得意分野を生かし スーダンのサッカー発展に貢献したいと考えています またとない機会にやりがいを感じるとともに 勉強させてもらいながら日々活動しています 47
審判員と指導者 ともに手を取り合って COORDINATION BETWEEN THE FIELDS OF REFEREEING AND TECHNICAL 海外での審判インストラクターを担当して石山昇 (FIFA 審判インストラクター ) 2008 年 5 月より FIFA のRefereeing Assistance Programme(RAP) の審判インストラクターとして 東アジアを中心に各国で講習会を担当してきました ここでは審判員 審判インストラクターの研修において 技術の指導者との連携についてこれまでに経験したことを報告したいと思います RAP の活動としては大きく分けて次の 2 つがあります 1 FIFA ワールドカップレフェリー候補の強化 2 各国協会の審判育成プログラムの構築および強化 私の役割は主に後者で FUTURO Ⅲ Refereeing Instructor Course でのインストラクター育成 強化と 各国協会での審判コースで地元インストラクターを補助しながらトップレフェリーの強化を図るためのプログラム構築を手伝うことです FIFA はこれまでのように 各大陸協会から推薦されたレフェリーを FIFA ワールドカップで採用するだけでなく その候補となるレフェリーを自ら育て強化することに乗り出した いわゆる底上げの事業を始めたわけです FUTURO Ⅲコースでは技術の指導者向け講習会と並行して開催されるケースが多いため 交流する時間を必ず設けるようにしています 審判インストラクターの講義に 技術の指導者を招いて ビデオクリップを見ながら意見交換を行うこともありました 戦術的な観点からアドバンテージを適用すべきかどうか意見をいただいたり ファウルやシミュレーションの場面を見て 競技者の感覚や意図を解説してもらうことは 審判員が状況を判断したりマネジメントする上で大変良い勉強になりました とかく競技規則に記述されていることを文章で覚えようとしがちな審判員にとって 現場での感覚を研ぎ澄ますことの大切さを再認識させられました 研修会の中では フィールド上で実際の場面を想定して判断と対処方法を訓練するトレーニング (Practical Training) がありますが ここでは質の高い競技者役が欠かせません 実際に試合で起きるような状況をつくり出せる競技者がいてくれることで 審判員のトレーニング効果は格段に上がります 各国協会はこの点に大変協力的で GK2 名を含めた 20 名のユースチームを快く派遣してくれました これも指導者の方々との良い協力関係があってのことです 各国の講習会では驚かされたことがありました それは ハンドの反則に対する理解と適用です 多くの審判インストラクターが ボールが手に当たっただけの場面 を見てファウルだと言い切ります 意図的にボールを手で扱った場合に反則になるという競技規則の解釈を伝えても 自分の国ではハンドという判断をしているし もしこの判断を変えると リーグでは多くのコーチが文句を言うはずだと真剣に訴えてきます つまり 試合の現場で受け入れられない判定を審判員が下すのは難しいという感覚です これは困った 国内と国際舞台での判定基準が異なれば 競技者自身が混乱するはずです ましてや共通の判断基準を浸透させるための FIFA の活動がこれではうまくいかない これはもう審判員や審判インストラクターだけの問題ではありません 各国協会にお願いしてトップチームのコーチにも参加してもらって簡単な講習会を行いました 約 1 時間のディスカッションで反則の判定基準について納得してもらうことができましたし 話し合う時間がとれたことをコーチの方々が大変喜んでくれたのが収穫でした このように審判員の育成 強化には 技術の指導者との連携が大変重要になっています 日本ではさまざまな場面で協力できる機会が増えてきましたが 競技者のために働く審判員と指導者が連携して よりすばらしいサッカーを目指して共に歩んでいきたいと思います 48
特集 2 クロード デュソー JFA テクニカルアドバイザーインタビュー JFA アカデミー福島での 3 年間と育成への提言 (vol.1) JFA テクニカルアドバイザーとして 2003 年のエリートプログラム開始当初より U-13/14 年代の育成に携わってこられたクロード デュソー氏 日本の育成に関わってきて また 2006 年 4 月に開校した JFA アカデミー福島での 3 年間を振り返っての感想と 日本の育成に対する提言をうかがった 聞き手 : 布啓一郎 (JFA 技術委員会副委員長 /JFA ユースダイレクター ) 布啓一郎 ( 以下 布 ):JFA アカデミー福島がスタートして 3 年がたち 初年度の男子選手は現在 中学 3 年生です アカデミーの 3 年間 またその前のエリートプログラムから日本サッカーに関わってもらっている中で 日本の選手の様子や今後のことについて お話を聞きたいと思います 当初 日本の選手の印象はどのようなものでしたか クロード デュソー ( 以下 デュソー ): JFA エリートプログラム開始の前に 1 回来日し 2 年目にエリートプログラムを始めました エリートプログラムはおもしろい試みだったと思いますし これからもそうなるでしょう U-16 日本代表にこのプログラム経験者が 6 7 人入っています この年代にある程度ベースのある選手に良い働きかけをすれば良い選手になるということだと思います エリートプログラムはかなり良いものだと思っています 当初 日本には良い選手がいると感じました ただ問題は 良い選手がさらにより良い選手にならなくてはいけないと感じました しかし 良い選手がまだ少ないのも現状です なぜそこまでいかないかというと 良い指導者が十分にいないからだと思います ただしそれは しっかり仕事をしていないという意味ではありません エリートプログラムが 2003 年に開始されてから 4 5 年たって思うことですが まだ良い選手が十分ではありません まだより良いトレーニングがされていないので はないかと感じています 良いトレーニングをしているクラブももちろんあります 良いトレーニングをするクラブが増えてほしいと思います クラブもそうですが 協会 (JFA) もそうだと思います 布 : 良い選手がいるな と感じたとのことでしたが 具体的に何が良いと感じたのでしょうか? デュソー : ダイナミックさ 今私が日本人のポジティブな面だと考えていることと同じです ダイナミックさ 俊敏性 柔軟性 長い時間走ることができるということ 日本の選手のストロングポイントであるクオリティーがありました さらに良いトレーニングを積めばもっとうまくなるのではないかと思いました 布 : フランスでデュソーさんがずっと見てきたフランスの同年代の選手と比べてどうなのでしょうか? デュソー : 布さんもヨーロッパに行ったので分かっていると思いますが ヨーロッパのチームは日本よりもオーガナイズされています 有効なテクニックはヨーロッパの方が高いです フィジカル面では 日本の選手はスピードはそれほどではありませんが 俊敏性があります フットボールは 50m が速い必要はなく 最大でも 30m 日本人にはそのスピードはあります 爆発的な 10m のスピードとか 要求されるスピードは ほとんどが 5 10m です そこの俊敏性は高いです 持久力もあります 最初はヨーロッパよりクオリティーが低かったと思います それは 15 歳までにテクニック 持久力を十分に伸ばしているかという面で そこまで良いトレーニングがされていなかったからです アカデミーと INF( フランス国立サッカー学院 ) で持久力の比較をしましたが 日本のアカデミーの選手たちの入学時では INF の選手の入学時よりも低いです ただ 2 年後にはほぼ同じ数値になっています つまり 入る前にもっとしっかり伸ばしておけば 卒業時に日本の方が上になっているはずなのです 11 歳 12 歳のときにヨーロッパの人たちと同じだけ高めてあれば もっと高くなるのではないかと思います オリンピック代表や 20 歳の選手たちと INF の 15 歳を比べると持久力はそれほど差はありません つまり 15 歳を過ぎると持久力はそれほど向上はせず 維持になるということです イビチャ オシム氏 ( 前日本代表監督 ) も言っていますが 日本人はまだ走る量が足りません それは真実です そして トレーニングがより正確にならなくてはいけません それはボールを使いながらテクニックと持久力を同時に高めていくということです 育成に関わる指導者はそのことを十分に理解しなければなりません 今までやってきたことから方法を変えなくてはなりません 10 年前にやっていたトレーニングは今はもうできません フットボールが変わったのですから 指導者が昔やっていたトレーニングをそのままやろうとしてしまいがちです 10 年前はフットボールは今とはまったく違ったというのに 49
ドリブルはドリブルのためのものではなく 突破するため シュートするため パスするためのもの 布 : 日本とフランスの差について 持久力 有効なテクニックという話しがありましたが 有効なテクニックというのをもう少し具体的に説明してください デュソー : ドリブルのためのドリブルにならないこと パスためのパスにならないこと 私にとってはドリブルはドリブルのためのものではなく 突破するため シュートするため パスするためのものです 日本の子どもたちを見ていると ドリブルをして満足をしていてボールを失っているかなと思います そういう子は 年代が上がるにつれ 結局ボールを失い続けるでしょう なぜなら年齢が高まれば守備がよりオーガナイズされてくるからです 今までやられているエクササイズで ボールを持った瞬間に 選択肢がドリブルだけ 前にしかけるだけというのが多いのではないでしょうか 布 : 現在トレセン等でも発信していますが 選択肢がなくてそれしかできないというプレーがだめということでしょうか デュソー : ある程度のレベルまで行けば 相手は組織立った守備をしてきます さらに 試合の中で全員がドリブルをするわけではありません するしかないという状況はよくありません ドリブラーはいてもいいのです 何回かボールを失っても それは仕方がないことです 布 : 日本の指導者からこの点に関しては 意見がよく出てくるところです もちろん組織立った守備に対してはドリブルのためのドリブルはだめ それは多くの指導者が納得しています そうではなく そこまで行く前 年代が低いとき 11 12 13 歳あたりで 例えばボールフィーリングの一環としてやるのはどうなのでしょうか? デュソー : 私の意見では ドリブラーにはドリブルをさせてもいいですが ドリブルをしない選手にそこまで教える必要はないと考えます 日本人は足首が柔らかいし もちろんボールフィーリングは教えなくてはなりませんが 子どもたちにドリブルをトレーニングをさせることはもちろん問題ありませんが どんなエクササイズの中でやらせるかが問題です 例えばドリブルするときに相手をつけて ドリブルをして最後にシュートまで行く等 ドリブルだけで完結してしまうトレーニングでは効果的ではありません スピードダウンして 3 回も 4 回もターンしなくてはならないようなのも NG 違うエクササイズで選択肢を持たせるような方法でやらせることが大事でしょう 1 対 1 ももちろんやってもいいのですが 左右に選択肢があるようなオーガナイズが良いでしょう ドリブルしたかったらドリ ブルさせる ただし全員がジダンではないし 全員がメッシではありません フランスでは 子どもたちが何を話しているかというとスーパースターの話や まねばかりです 布 : 子どもはやはりそこから入ってしまうのではないでしょうか ドリブルで相手を抜くのは楽しいし スターのまねをしたいのはどこも同じでは? デュソー : 小さい子はやらせていいでしょう 8 歳から 10 歳くらいであればいいでしょう しかし徐々にそれをすぎれば分からせなくてはいけません ドリブルは何かをするためにするものであると これは指導者の仕事です 布 : 同じように パスのためのパスではいけないという点とつながる観点で 日本の選手は ボールを失うな とコーチが言うと 前に運んで失うのを恐れて 前に進まなくなってしまいがちです デュソー : フットボールで組み立てというと前に行くこと 確かに組み立て ポゼッションしろと言うと 子どもたちは組み立てをしたがりますが 難しいことはしたがりません だから自陣内のゴールに近いところで回そうとします なぜならそれが相手も少ないし簡単だから でもそれは組み立てとは言えません 例えば 2 回ディフェンスでつないだら次には前に向かわないと なぜこうなるかというと 理由がいくつかあります 一つは今言ったように 簡単なことを探すから しかし自陣内のゴール近くは危険です もう一つは前を見ることをしないということ 遠くを探せていない 3 つめは 日本の育成のゲームでよく見かけるのですが 中盤が FW に早くくっつきすぎるということ だからボールを奪ったときに 前に 6 人が 1 列に並んでいます 中盤を使って組み立てをしなくてはなりませんが そこに日本の場合は選手がバランス良くポジションをとっておらず スペースがありすぎます 4 つめは ディフェンスがパスをした後 何もしていないということ パスのためのパスになっています パスをしたら上がるとかスピードアップするとかは ディフェンスであっても必要です 50
クロード デュソー JFA テクニカルアドバイザーインタビュー トレーニングとゲームの繰り返しで戦術が磨かれていく 布 : 中が空くことについては 確かに MF が 1 列目に入っている傾向と もう一つはボランチがディフェンスの方に出てきてしまうという傾向があると感じています その背景として 360 度から来るプレッシャーの中で起点となることのできるテクニックの不足 個人戦術の不足 つまりどこに動くべきかの理解の不足があると感じています デュソー : その通りです ただ どのように個人戦術を磨くかというとゲームででしょう 闘いの場 ゲーム環境の問題です トレーニングとゲームの交互の繰り返しで 戦術が磨かれていくのではないでしょうか 強豪国と日本の差はそこに出てくるだけだと思います 布さんは INF のセレクションも見たと思いますが 彼らはテクニックが日本よりも優れているわけではないのですが フットボールをしていたと思います そこの差です 布 : フットボールをしている フットボールを理解する 非常に難しいことです 日本の指導者にもう少し噛み砕いてメッセージを出せますか 日本人はボールを扱えるが フットボールはしていないということについて デュソー : この差は 日本では DF は DF MF は MF FW は FW になっている 攻撃と守備が分業されているのではないでしょうか コンセプトを少し変えなくてはいけないと思います まずはチーム全体で 全員が攻撃し 守備をしなくてはなりません FW はアタックを終わって守備をしなくてはなりませんが 必ずボールを奪うというよりも相手の妨害をします また 日本で言うボランチのポジションを表す言葉は フランスでは ボールを奪う人 という意味になります 日本ではボランチはボールを奪えていません 布 : 私もまさに同じ意見で ヨーロッパのボランチはボールを奪う力があると思います 日本では 舵取り 考え方から違います 攻撃に寄ったとらえ方です デュソー : フットボールは 50% 攻撃し 50% は守備をしなくてはなりません ボールを奪うというところでは 守備における基礎戦術を使わなくてはなりません 指導 者が何を感じるかによりますが 子どもたちの年代においては どんどん高い位置から奪いに行かせていいと思います 発想としては 15 歳までは子どもたちは守備があまり好きではありません だから自分たちのゴールを守ることをあまり考えていません 16 歳からは育成ということで 本当に組織立った守備を教えなくてはなりません ただ日本だと ボランチ といって どちらかというと攻撃の方にニュアンスが偏っていると感じます アカデミーでは 3 人の中盤が FW にくっついてしまい 真ん中が空く傾向にあります 布 : ゲーム環境 トレーニング環境は大事ですね 攻める人と守る人が分かれてしまっているという話がありましたが これは同感です その考え方を変えるために 日本人にどういう提言がありますか デュソー : 子どもたちにフットボールをさせる ということです 布 : 全員が攻撃し 全員が守備をする 常に関わり続けるということでしょうか デュソー : 全員がプレーに参加する ただ 半分は守備をしなくてはいけない ということを教えなくてはなりません アカデミーの 2 年生が J クラブの下部組織のチームと試合をして 5-6 で負けました どちらも攻め合ってフットボールをした結果です 16 歳以上の育成の段階になれば 中盤 FW 守備それぞれのトレーニングをしていきます 徐々にそうしていけばいいと思います ただし 何が良いプレーかを知らなくては AGC/JFAnews なりません まず ボールを奪いたい 攻撃できるときはする 攻撃を準備する 早く行けるときは早く行く それがフットボールです プライオリティーは 子どもたちが楽しくフットボールをするということです 例えばディフェンダーでドリブルする人に 禁止と言わない方がよいでしょう ドリブルをして点をとられても この年代は問題ありません 将来に向けた育成に関わる人であればもちろん分かることだと思います 良いプレーとは 勝ちたい と思うこと 簡単にスローインにしない 簡単に意図のないロングキックをしない 私にとってはそれが良いプレーです 16 歳をすぎればハードに当たりに行かせる年代になります オフェンス面を重視したフットボールをすると 指導者が これではだめだ と言うかもしれません 勝ちたいと思っていないのではないか と言うかもしれません 攻守両面で組織の中で個を生かせるようにする年代になっていきます しかし 15 歳までは 相手よりも得点をたくさんとればよいのです テクニックがより身について 戦術面がより高まって持久力がより高まれば勝つと思います 布 : ボールを使いながら持久力に働きかけられるということを常々強調されていますね デュソー : アカデミーでやっていることは ボールを使って持久力を上げることです 持久力を上げるだけなら ボールなしで走らせればもっと上がるかもしれません し 51
クロード デュソー JFA テクニカルアドバイザーインタビュー AGC/JFAnews ている ということでしょうか デュソー : 私自身 疑問に感じています 日本では多くのチームが長い時間をかけて仕事をしています でも 下部組織から何人がプロに入っているのかというと あまり多くはありません 大都市であれば 選手を集めることも容易です しかし そこで勝つことではなく 何人プロになるかが大事なのです 良い指導者もいるのに 疑問です 各年代で勝つことが目的になっているのではないかと感じます 大都市でしっかりセレクションをすれば 本当に良い選手が見つかるはずです かしボールを使ったエクササイズの中で スピードも持久力も高めることができます 世界のトップは本当にすばらしいテクニックを持っています テクニックを軽視した国は厳しい状況です ドイツもイングランドも以前はフィジカルを前面に押し出していた時代がありましたが 今は変わりました 布 : ゲーム環境 トレーニング環境の両方が選手を育てるということですね アカデミーは今年 実際に中学生年代のトップレベルの大会に出場しましたが そのときの印象はどのようなものでしがか? デュソー : 全国大会に出てきたクラブはよりリアリストです 結果を求め さらにセレクションの時点で一つのチームをつくることを考えて組み立てているように思われます 大きい選手 体格のよい選手がディフェンスをやっている等の状況がありました アカデミーの場合 1 2 3 年生に聞いてもディフェンスしたい選手は 1 人もいない 1 つのチームをつくるために選考をしていないからです 皆ボランチをやりたい選手ばかりです もう一点としては アカデミーでは骨年齢が若い子を選んでいます これは まだテクニックが伸びるということ そして身長が後で高くなるということです クラブユースを見てもほとんどが 16 歳のプレーをしていますが アカデミーは 13 14 歳のプレーをしています 布 :16 歳のプレーとは? デュソー :16 歳のプレーとは 体ができ上がっている選手のプレーです アカデミーの選手は背が低い選手が多いです 5 年後 6 年後に今の大きい子よりももっと身長が伸びているはずです プロクラブは現時点でうまい選手を獲得している傾向にあると思います もうここからあまり伸びない選手もいるかもしれない 逆にアカデミーの選手たちは伸びしろがあり まだまだやさしそうなプレーをしています まだテクニックがフィジカルに追いついていません これは経験上 クレールフォンテーヌ (INF 所在地 ) でたくさん見てきたことです INF では中学 3 年でプロクラブと試合をします 最初は負けます しかし 5 年後を見ると その時点で INF を倒したクラブから何人プロが出ているのかというと だいたい 1 人 INF からは 5 人 ただし 一時的な結果を出すためであれば 今のプロクラブのやり方の方がいいかもしれません 布 : 身体ができ上がっているというだけなのでしょうか サッカーの内容はどうでしょうか デュソー : 身体に任せたサッカーになっている傾向があります もちろんそればかりでなく つなぐチームもありましたが 良いプレー 良い準備をするということを教えれば プロクラブの選手たちはもっとうまくなるはずだと思います 布 : 将来につながるような指導を受けているチームがまだ少ないとデュソーさんは見 布 : アカデミーでは骨年齢を見ますが 低年齢での選手の見極めは難しいのではないでしょうか デュソー : 本当に難しいことです だから本当にたくさんの選手に良い育成をしなくてはならないということです だからアカデミーが 1 つや 2 つでは不十分であり 30 は必要なのです アカデミーというのは建物を指すのではありません 週 5 回 良いトレーニングができる そういうことでいいのです 15 歳までにフットボーラーとしての多くの要素がつくり上げられていきます これは低年齢からの積み上げで アカデミーでアプローチしている 13 歳から 15 歳までだけでなく 11 歳 12 歳のところで特にそのような場が必要です 可能性を高めるということです スペインはそこに本当に力を費やしています 11 歳 12 歳のところですばらしいトレーニングをしています 布 : 低年齢で良いトレーニングをして可能性のある選手のパイを広げることが大事ということ そのために日本のコーチがレベルアップしなくてはならない フットボールを教えることができなくてはならない ということですね デュソー : 日本は 小学校は 15 時に終わるところが多いのだから 例えば 15 時半から地区トレセンをぜひ全国でやってほしいです できるはずだと思います ( 次号へ続く ) 52
報告者 吉武博文 ( ナショナルトレセンコーチ ) AGC/JFAnews 2008 ナショナルトレセン U-14 2008 ナショナルトレセン U-14 後期を終えて 従来の年 1 回のナショナルトレセン U -14 は 2007 年度より 3 地区での年 2 回の開催となった 本年はその 2 年目を迎え 前期 (5 月 ) に続き 後期が東日本 (J ヴィレッジ ) 中日本 ( 野洲川公園ビックレイク ) 西日本 ( 大津の森スポーツパーク ) の 3 カ所で行われた 1. テーマについて FP サッカーをしよう 質の高い選択肢 パス & コントロール ポゼッション ゴール前の攻防 崩し 2006FIFA ワールドカップドイツ大会より日本は特別なことで負けたのではなくシンプルな技術と動きの習慣が不足していた FIFA U-17/U-20 ワールドカップ 2007 より攻守にハードワークする 甘えの許されないサッカー ができるチームが上位進出 GK } FIFA クラブワールドカップジャパン 2007 より基本 + 個人の特長を持った個がチームのために献身的なプレーをする 積極的なゴールキーピング 良い準備 ( ポジショニング 構えなど ) DF とのコミュニケーションと連携 効果的な攻撃への参加 ( パス & サポート ディストリビューション ) めざす姿 育成年代だからこそ身につけられる! 11 人全員がフットボーラー! 日本のストロングポイントで闘う! ボックス付近での攻守の質を上げる or ( または ) ではなく and ( も も ) しながら できる選手の育成 この年代は まだ 個の育成 にフォーカスしていく年代です 個の育成 とは 攻守にわたり原則の理解を通してサッカーの 秩序 を学ぶことです そして そのスキルをゲームの中でより効果的に発揮して 関わる ことが重要となります 攻守にわたりイニシアティブ ( 主導権 ) を持ってプレーするためにボールを保持し続けることが大切になります ボールを保持し続けるために ボールを持っている選手も持っていない選手もダイナミックにゴールを目指しながらもボールを失わないという質の高い選択肢を持つことを目標とします 具体的には プレーの原則 ( 幅と厚み ) と攻撃の優先順位をしっかりと意識してボール保持者は パスとドリブルの選択肢を持ってプレーすることが大切で ボールを持っていない選手は 攻撃の優先順位を意識しつつ状況に応じたプレーを 選択することが必要になってきます また GK を含めた局面でも ボールを相手ゴールへ近づけることを一番に考えながらも 後方からボールを大切に相手ゴールへ近づけるという意図のあるビルドアップにトライさせたいと考えています 守備に関しては 原則のポジションを理解すると同時に ゴールを守るだけではなくボールを奪いに行く意識を前面に押し出して そこから獲得するフィーリングを大切にしていきます 53
2. 前期の反省からの発展 東中西地区ともに約半数の選手を入れ替えてキャンプに臨んだが 前期からの流れを新しく招集された選手も共有し 選手の反応も良く 全体的にトレーニングの流れはスムーズであった ここでは前期の反省に対しての後期の取り組みとその後の発展について報告する 前期の反省 1 1. それぞれのプレーにおいて 常に精度と質にこだわりながら 選手個々のパフォーマンスを上げること 2. プレーの原則 ( 幅と厚み ) と攻撃の優先順位をしっかりと意識して ボール保持者はパスとドリブルの選択肢を持ってプレーすること 3. ボールを持っていない選手は 攻撃の優先順位を意識すること 4. 状況に応じたポジションをとること これらについて前期は プレーの反復回数を多くとることにより 精度と質は当然のことながら上がっていった しかし ボール保持者もボールを持っていない選手も優先順位を意識した中での選択肢を持つことは 目標値の半分ほどの達成であった この反省を受け 後期はボールが来る前に 観ておくこと ボールが来てからも 観ること を重点的に指導した 前期からの積み上げもあり オフの準備で ボール保持者の状況を把握すること 中間ポジションをとること 味方とのバランスを感じること ギャップを共有すること など 手応えを感じた しかし 崩しのイメージを共有し 判断の良いプレーを選択できても ゴール前のラストパスや数的不利なプレッシャー下では 思いを実行できない場面も多かった やはり日々の活動の中でさらなる技術力を高める努力が必要である 前期の反省 2 GK を含めた局面では ボールを相手ゴールへ近づけることを一番に考えながらも ボールを失わずに意図あるビルドアップにトライすること について かなりの時間を費やしたにもかかわらず ゲームでは縦への展開が速すぎるためにボールを失う場面が多く見られた この反省を受け 後期は GK を含めたトレーニング時間を多くし ゲームの中でしっかりとビルドアップする場面を増やした 切り替えを速くし オフの準備が良くなり ミスもあるが GK をうまく使いながらビルドアップを試みていた しかし 逆に GK を使わなければならないという意識が強く 必要以上に GK へのバックパスが増えたり 自陣ゴール前での横パスが多くなった やはり やらされている という感からは抜け切れない 優先順位のある中でのサッカーを目指し でも場面場面においては確率の高いプレー選択もできる日常を目指したい 前期の反省 3 守備に関して マークの原則のポジションを理解すると同時に ゴールを守るだけではなくボールを奪いに行くこと について ボールを奪いに行くという守備の意識はコーチの働きかけにより徐々に変わったし パフォーマンスも短時間で向上した しかし いつでもどこでも実行できるかというと継続できない この反省を受け ボールを奪いに行く持続力を課題として取り組んだ しかし 自分の間合いや体の入れ方 そして予測することなど奪いに行けば行くほど 1 対 1 の守備能力の低さが浮き彫りになった これは奪いに行ってはじめてスタートする進化であり 今後も当たり前に 普通にボールを奪うことを継続的に行える選手の育成に取り組む持続力を持ちたい 3. トピック AGC/JFAnews (1) 東日本 選手へのフィードバックは 全体ミーティングよりグループミーティングの時間を厚くして行った 選手同士の深いディスカッションやコーチが個々の選手へ適宜アドバイスができるなど非常に有意義であった 地域スタッフとの役割分担やトレーニングへの関わり チーム東日本的な雰囲気でスタッフ 選手全員でキャンプに没頭する場面が多く 前期に引き続き充実感を感じた 3 日目の午後は木戸川散策と原子力発電所見学へ出かけ 自由な選手同士のコミュニケーションを図った 冷却水で魚が飛び跳ねる姿を見て喜ぶ選手の顔はあどけなさを感じられ ピッチ上とは違った選手の顔が見られ有意義であった (2) 中日本 クロード デュソー氏(JFA アカデミー福島アドバイザー ) に U-13 と U-14 に各 1 回のトレーニングと指導者へのレクチャーを実施していただいた 世界基準に基づいた真の反復の実践は 選手 指導者ともに理解を深めることができた 5 日間 天候に恵まれ すべてが計画通りに進んだことは近年にないものであった その中で初日に怪我で 2 選手がキャンプから帰宅しなければならなかったのは残念であった AGC/JFAnews 3 日目午後の活動はフリースペースを自由に使ってのフリータイムとした 完全に休養する者 定期試験に備えて勉強す 54
2008 ナショナルトレセン U-14 る者等さまざまであった 中でもコーチたちと卓球で勝負する無邪気な選手の姿は好感が持てた (3) 西日本 3 日目午後のプログラムでは 一流のサッカー選手になるために必要な力は何だろう? というテーマで 選手全員で個人とグループの意見を持ちながらディスカッションした 意見をまとめる難しさや他の選手の意見に耳を傾けたり価値観をぶつけ合ったりと 一人部屋で宿舎でのコミュニケーションの場が少ない 5 日間には良い活動であった 選手の感想にも 意外と楽しかった とあったり その後のグループミーティングでは選手たちで自発的に話し合いをしたりし 効果 的でもあった 時間的に余裕があったこともあり シュートトレーニングの課題を実感し トレーニングの前後に各自で取り組む姿を見ることができたのは 選手の今後の飛躍に大いに期待できると感じた 4. おわりに 年 1 回のイベントから年 2 回 3 カ所それぞれ 40 人あまりのコンパクトなキャンプ的な活動として 2 年目が終わった その成果は 選手および地域スタッフともに継続的に取り組めることもあり 当然のことながら理解も深まり 目的意識や意図の共有もいたるところに見られ 選手 指導者 のレベルアップには確実につながっていると実感できる 反面 プログラムに掲載されている ストレッチ や 体幹保持 など トレーニングやこれからのサッカー生活に欠かせない内容に興味 関心や執着心がないことに落胆させられる また マーカーまで戻ってターンしよう ロッカールームには芝を持ち込まない など 耳を傾ければ誰でもできることに無頓着になりつつある時代背景にも危機感を感じる 今後も われわれ大人の使命として なにげない日常の中に選手自身が刺激を見つけ出せることを目指し また 刺激がなくとも やっておかなければならないこと やるべきこと をこつこつと取り組む心を育てる継続力を大切にしたい トレーニング紹介 ( 抜粋 ) パス & コントロール ポゼッション 4 対 4 +1 サーバー 1 ターゲット ゴール前の攻防 崩し 2 対 2+3 対 3+2 対 2+GK 55
JFA エリートプログラムキャンプ報告 報告者 足達勇輔 ( エリートプログラム U-13 監督 / ナショナルトレセンコーチ ) 2008 年度第 2 回 JFA エリートプログラム (U-13) トレーニングキャンプを 11 月 29 日 12 月 3 日 アスコ ザ パーク TANBA( 兵庫県丹波市 ) で行った 1. 試合結果 エリートプログラム U-13A 0-3( 前半 0-1)FC ライオス U-15(30 分 2 本 ) エリートプログラム U-13B 0-2( 前半 0-1)FC ライオス U-15(30 分 2 本 ) エリートプログラム U-13A 0-5( 前半 0-0) ヴィッセル神戸 U-15(25 分 2 本 ) エリートプログラム U-13B 0-6( 前半 0-1) ヴィッセル神戸 U-15(25 分 2 本 ) 2. キャンプのテーマ 今回のキャンプのテーマは ナショナルトレセン U-14 から引き続き 質の高い選択肢を創る 相手の選択肢を奪う 常に関わる! 動きながらのスキルの徹底 ポゼッション (Gap の意識向上 ) ボールを奪いに行く意識 自己分析( 自分を知る ) 3. ピッチ外カリキュラム (1) ロジカルコミュニケーションスキル前回に引き続き今回も行った 1 回目のキャンプで受講した選手は 前回よりも積極的に参加していた 数回の講義で身につくものではないので 何とか継続して学べる方策を今後探していきたい がすばらしかった 4. キャンプの成果と課題 1 食事面食事面では 質と量を確保するために選手の食事への意識改革に取り組んだ 食の細い選手が多く 量を取ることにストレスを感じる者が多くいたが たった 5 日間でも食べることの大切さを理解して積極的に取り組む姿が印象的であった しかし 箸を使えない 水を飲みながら噛まずに飲み込んでしまうなど 食事マナーにも課題が見受けられた 家庭を交えての早い年代での改善が今後も大切だと感じた 2トレーニング面 攻撃 すべてのトレーニングで動きながらの技術 動きながら観て判断することを重視して取り組んだが 5 日間のトレーニングでも ボールを動かしながら人も動き パスをした後も動きを続けることはかなり表現できるようになってきた また ボールに関わりながらの 組み立て も同時に質が向上した その中で最後の突破の場面でのスピードアップと精度も今後の課題である それと同時に動きながらプレーした後に崩れたバランスからの守備への切り替えが次の課題として挙げられる 1 回目のキャンプ同様に動きながら意図のあるコントロールから精度の高いパスという技術には当然のことであるが 全体的に課題が残った どうしてもボールを足元にコントロールしてから持ってプレーすることがテクニックという勘違いが多く ファーストタッチから意図のあるプレーを表現できない選手が多かった 彼らの将来を考えると今の時期に動きながら観る コントロールする パスをするといったスキルを磨いておかなければならないと強く感じた (2) グループワークグループワークでは以下の 4 テーマをグループごとに調査し 発表準備を行い 模造紙 写真などを用いて発表した 1 神戸の歴史 2 神戸の観光名所 3 神戸の食文化 4 阪神淡路大震災コミュニケーションスキルの延長上にあるこの発表では グループ全体が協力してより良い発表をしようと努力していた姿 守備 ボールを奪いに行く姿勢はまだ習慣になっていないが 促すと 1 回目のキャンプに比べて反応が早く すぐに連動して奪いに行くこともできるようになってきてトレーニングの質を高めてくれた 普段と異なるポジションでプレーすると特にカバーリングの習慣が身についていない印象を受けた ポジションが変わっても守備の基本であるチャレンジとカバーは習慣として 56
身についていないと攻撃のトレーニングの質も向上してこないため ぜひ重要な個人戦術として身につけておいてほしい 3その他日本における選抜チームの大きな課題が 集合初日から力を発揮できない ことを選手に伝え 取り組みを促したことと 2 回目のキャンプであるということから選手たちは最初のトレーニングより非常に積極的に取り組んでいた その反面 トレーニングをゲームのイメージを持って取り組める選手が少ないことも 気になることの一つであった 5. まとめ 1 回目のキャンプに参加した選手と初めて参加した選手の間では スキルへの意識の差が顕著であった ナショナルトレセン エリートプログラムと継続した取り組みが選手の成長を促していることをあらためて確認できたキャンプであった スポンジ が水を吸う ように吸収力の高いこの年代に触れるにつけ この年代での取り組みが彼らの将来を決定してしまう怖さもあらためて感じた 将来に向けて 良い習慣 を最優先してトレーニングしていってほしい 今回のキャンプは 選手の強化 育成が目的であると同時に 地域指導者へのプログラムの発信をもう一つの目的に 今回は関西地域で行ったが 選手のパフォーマンスやトレーニング ピッチ外カリキュラムを研修に訪れる関西圏の指導者がほとんどいなかったことは残念であった それぞれの地域から必ず 1 人は選手が選ばれていた今回は 地域内の選手の現在位置の確認に非常に有意義だったはずである 地域差がなくなってきたように見えるが それは選手のポテンシャルに関することであり 選手のプレーの質にはまだまだ差があることは認めざるを得ない この差は 特に U-12 までのゲーム環境と指導者の質を上げることによってのみ埋めていくことができるのではないだろうか GK 報告 報告者 望月数馬 ( ナショナルトレセンコーチ ) 1. 参加選手 阿波加俊太 ( コンサドーレ札幌 U-15) 1995 年 2 月 7 日生 179cm / 59kg 棟方博文 ( ガンバ大阪ジュニアユース ) 1995 年 4 月 18 日生 172cm / 52kg 2.GK テーマ 積極的なゴールキーピング 良い準備 ( ポジショニング 観る 予測 ) DF とのコミュニケーション & コンビネーション 攻撃への参加 ( パス & サポート ディストリビューション ) 3. スケジュール 4. 試合結果 vsfc ライオス 1 本目 0-3 2 本目 0-2 / 30 分 4 本 GK:1/2 本目阿波加俊太 3/4 本目棟方博文 vs ヴィッセル神戸 JY 1 本目 0-5 2 本目 0-6 / 25 分 4 本 GK:1/2 本目阿波加俊太 3/4 本目棟方博文 5. 総括 全体トレーニングのパス & コントロールに GK も参加し その後 GKトレーニングを行って再び全体トレーニングに合流する形をとった パス & コントロールでは 動きながらのコントロールやパスの質 ボールの移動中に観ることなどに課題が残った GKトレーニングでは基本技術の徹底を目的に シュートストップ ブレイクアウェイ クロスを行った 課題として シュートストップでは 1 回でボールをつかめない 構えるタイミングが遅れプレーの方向が後方する傾向にあった ブレイクアウェイではアプローチするタイミングがつかめず 先に倒れてしまうなどの現象があり クロスでは落下地点の判断 ボールをとらえる位置が不安定であった 全体トレーニングに合流してからの大きな課題としては ゲーム形式の中で技術を確実に発揮することができないことである すなわち基本技術が確実に身についていないのである 今後も徹底的に基本技術の習得を目的として行っていく必要がある 試合においては 主に 攻撃への参加 良い準備 を軸に働きかけた 攻撃への参加においては サポートに入る意識は試合 トレーニングを重ねるごとに高くなったが ボールを受ける前に周りの状況を観ていないため パスの選択肢が少なく効果的なパスをすることができていなかった 良い準備に関しては 観る意識が低かったため ゴール前の状況把握ができず 具体的な指示に欠けていた そのため DF とコミュニケーションがとれていないことも多々あった 特にサイドにボールが出たときにボールウォッチャーになり ゴール前の相手選手がフリーで 簡単にシュートをうたれて失点する場面も見られた いつ どこを どのタイミングで観るのかを習慣化させる必要性があると感じた 良かった点としては 常に試合に関わり続ける姿勢が見られた ボールやディフェンスラインの位置で適切なポジションをとり続けること 前述したがビルドアップに積極的に参加することができていた また どのプレーにおいても最後まであきらめずにプレーを続けること 積極的にボールを奪いに行くことができていた 57
47FA ユースダイレクター研修会 ( 後期 ) 報告 報告者 布啓一郎 (JFA ユースダイレクター / 技術委員会副委員長 ) 1. リーグ戦文化の醸成 ( 各 FA の現状 ) 日本サッカー協会 (JFA) 平成 20 年度第 3 回理事会 (2008 年 6 月 ) での承認を得て 冊子として発行された JFA2005 年宣言 実現に向けたロードマップ が夏を過ぎて少しずつ浸透してきた しかし 各都道府県サッカー協会 (FA) 全体で共通理解ができている所までは至っていない部分もある これからはユースダイレクターがまとめ役となり FA 内の種別委員会と技術委員会 また審判委員会等が同じベクトルを持ち 理想のリーグ戦の構築を推進していきたいと考える そのために JFA からの発信は FA 専務理事からユースダイレクターを通して各種別に連絡し FA からの申請は各種別からユースダイレクターを経て専務理事が JFA に行うようにしたいと考えている そこで種別や連盟の垣根を取り除いて方向性の共有をしていきたい 日本のサッカーを世界のトップ 10 に押し上げるためには 日常こそが重要であると考えている 今までは全国大会を中心に予選が組まれるゲーム環境であったが 日常のゲームから選手を育成するために 毎週の拮抗したゲームから良い習慣を身につ け すべての年代で全選手が同じ数のゲームを経験していくことが一貫指導の達成につながると考える リーグ戦で勝ち負けにかかわらず次のゲームの準備を行い 年間を通してリスクにチャレンジしていくこと また選手自身が考えてプレーを行うことが 真のフットボーラーを育てると考える しかしまだ課題が多くあり 理想のリーグ戦の創出は簡単ではない 今回の研修会では 各 FA の課題を洗い出して問題解決のために何が必要なのか 各地域からの好事例のプレゼンテーションを聞き 地域内のディスカッションから自地域や各 FA での今後の方向性を確認していった 1 高体連 中体連との日程問題多くの FA から内容の違いはあるが この問題点は出てきている 都道府県としての縛りがある場合 また サッカー専門部の中で共通理解が取れないために上位リーグのシード権を確立できないなどの問題がある 好事例 2009 年から日本クラブユース連盟 (JCY) が 全国中学校サッカー大会の日程に日本 クラブユース選手権の日程を合わせていただいた 全国大会を重複させることで クラブユース予選の締め切りが 7 月下旬になり FA 内の中学校大会とクラブユースの予選を重ねていくことが可能になってきている 富山県では高体連の新人戦を終了して富山県リーグを行っている 東京都 神奈川県等 複数県ではプリンスリーグだけでなく FA1 部リーグまで地区大会をシードしてリーグ戦日程を作っている 岐阜県では FA3 部リーグが高校選手権の 1 次予選と兼ねて行い 上位チームが高校選手権の決勝トーナメントに出場する また 1 2 部リーグはリーグ戦の成績でシード順位が決定される 3 種年代でも関東 U-15リーグ等 地域リーグでは クラブユース大会と高円宮杯 U-15 大会へ FA 予選をシードして地域大会から出場している 研修会 FA 内の大会は都道府県高校体育連盟 ( 高体連 ) 中学校体育連盟( 中体連 ) の判断で決定することができる 都道府県で決定できることが 全種目で学校得点を競うために日程は動かせない また部活動に入っていない生徒も応援に参加するために土日にクラブの予選を重ねられないなど 難しい問題を抱えている部分もある しかし校長会に出向き理解を得て U-15 リーグの開催に向かった茨城県の事例もある また 国体に対しての普及 強化を含め 教育委員会の体育課と協力して進めていくなど突破口はどこかにあると思われる たとえ壁が高くても 仲間を増やしてアクショ 58
ンを起こすことが重要ではないかと考える 2グラウンドの確保特に首都圏や関西圏などの都市部ではグラウンド不足の問題が出てきている 好事例 東京都では都立東久留米高校の人工芝で近隣のリーグ戦を実施 3 その他 好事例 山梨県 :2 3 種では 1 部から 4 部のリー グ戦が前後期制で開催されている 長野県 :4 種でまだ 3 地区であるが 8 人 制リーグがスタートした 埼玉県 : 西部地区で U-12 と並行して U-10 リーグをスタートした 東海地域 :U-13 東海リーグ 1 部は J クラ ブ 3 チームと 4FA の U-13 県トレセンによるリーグ戦を展開する その他も多くの FA がユースダイレクターを中心にリーグ戦の創出に努力をしており 各 FA や種別において スピードは違っても必ずハードルをクリアしていけると思えるディスカッションが行われた 2. FIFA クラブワールドカップ観戦 ( 世界のサッカー ) 研修会初日に横浜国際総合競技場で準決勝 ( マンチェスター ユナイテッド vs ガンバ大阪 ) を観戦した 結果は 5-3 という派手なスコアで終了したが 実力の差は否め ないゲームであった ゲーム序盤はガンバ大阪 ( 以下 G 大阪 ) がカウンターから決定機をつくって主導権を握ったが CK から 2 失点し前半を終了した セットプレーからの失点は惜しまれたが G 大阪の攻撃に対してのマンチェスター ユナイテッド ( 以下 マンチェスター ) の守備は予測が早く クロスが上がる前にコースに DF が入って行く またゴール前で FW の走るコースも屈強な DF に先につぶされているときも多かった それに対して G 大阪はブロックはつくっていても一人ひとりの守備範囲が狭いために ボールプレスが甘い状態でもコンパクトになり過ぎていて ワンキックでサイドを大きく変えられていた また組織的にボール中心の守備でプレッシャーを掛けるが 相手の技術が上回り ボールを追いかけることが多く 高い位置で意図的にボールを奪うことは思うようにできなかった 後半はマンチェスターがペースダウンしている隙を突いて G 大阪が 1 点を返したが その直後に交代で入ったウェイン ルーニーに 2 点を奪われ 一時は 5-1 と 4 点差をつけられてしまった 終盤にチームが一丸となって 2 点を返したのは 日本としての意地を見せて健闘したゲームであったのは事実と言える しかしゲーム後の G 大阪 西野朗監督のコメントでも 相手にシンプルにスピードアップされると太刀打ちできない また遠藤保仁 選手も 攻撃はある程度できたが 守備は問題が多い とあるように 世界とはまだ差があるのが事実であり この差は低年齢から積み上げていかないと埋めることは不可能な差と言えるであろう 3. 情熱を集めて方向性を共有 毎回 指導実践も繰り返し行っている プレーの確保 ( フリーズとシンクロコーチングのバランス ) 現象ではなく原因を観察する目 テーマに合ったオーガナイズ キーファクターを意識しながらも選手にサッカーをプレーさせるとはどのようなことなのか コーチとしての資質向上のために真剣な意見が交わされていた また 身体をコントロールして明らかに前期よりも動けるようになっている方も多く 1 年目以上にユースダイレクターの方々の真剣に取り組む姿勢が伝わってきていた 子どもはゲームとトレーニングで育っていく われわれコーチが選手にどのようなアプローチをするか そしてわれわれ大人がどのような環境を子どものためにつくっていくことができるか 今後の日本サッカーはこの改革によって将来が決定されるであろう これから 各 FA での具体的なカレンダー作りが始まり いろいろと困難な問題も予想されるが ユースダイレクターが各 FA 内での舵取り役として 問題をクリアしていくであろうと 多くの情熱を感じることができた研修であった 59
JFA 技術委員会監修関連発行物のご案内 価格変更のお知らせ 商品価格 + 送料 525( 税込み / 全国一律 ) をご入金ください JFA 公認指導者資格保有者 JFA 加盟登録チーム限定 FIFA U -20 ワールドカップカナダ 2007/ FIFA U -17ワールドカップ韓国 2007 JFA テクニカルレポート / DVD ( 1) 4,900 2006FIFA ワールドカップドイツ大会 JFA テクニカルレポート /DVD( 1 2) 5,145 1.FIFA の映像使用規定 ( ビデオ化権 ) により JFA 加盟登録チームおよび JFA 公認指導者資格保有者のみ販売が許可されており 一般の方への販売は許可されていません UEFA EURO 2004 JFA テクニカルレポート /DVD は販売を終了しましたが 一部の CD ショップまたは書店で購入可能です JFA ナショナルトレセンコーチを中心とした JFA テクニカルスタディグループが分析したレポートと DVD のセットです お一人様 1 セットのみの販売となります 下記 2 は CD ショップまたは一部書店での購入も可能ですが 専用の申込書 (JFA 公認指導者 JFA 加盟登録チーム ) で購入される場合は割引価格となります 購入希望者は 申込書の 1 か 2 をご記入ください FIFA U-17 世界選手権ペルー 2005 JFA テクニカルレポート /DVD( 1) 3,435 2002FIFAWorld Cup Korea/ Japan JFA テクニカルレポート ( 1) 5,325 FIFA コンフェデレーションズカップフランス 2003JFA テクニカルレポート / ビデオ ( 1) 3,435 FIFA ワールドユース選手権 UAE2003 JFA テクニカルレポート / ビデオ ( 1) 3,435 FIFA U-17 世界選手権フィンランド 2003 JFA テクニカルレポート / ビデオ ( 1) 3,435 第 3 回フットボールカンファレンス報告書 / CD-ROM+DVD ( 1) 7,875 どなたでも購入できます JFA キッズドリル 第 5 回フットボールカンファレンス報告書 NEW UEFA EURO2008 JFA テクニカルレポート 1,050 JFA ナショナルトレセンコーチを中心とした JFA テクニカルスタディグループが分析したレポートです 映像はありません 2008 ナショナルトレセン U-14 プログラム / DVD 1,890 1,800 JFA 公認指導者 キッズリーダー JFA 加盟登録チーム : 1,400 2007 ナショナルトレーニングキャンプ U-16 プログラム / DVD 2,205 2007 ナショナルトレセン U-12 プログラム / DVD 2,520 2,520 第 4 回フットボールカンファレンス報告書 2,520 アテネオリンピックサッカー競技総集編 JFA テクニカルレポート /DVD 4,410 一般販売価格 ( 定価 ) 4,910 2008 年 5 月ナショナルトレセン U-14( 前期 ) で行われたトレーニングを テーマ キーファクターに基づき編集した DVD とプログラムのセットです JFA 2007 U-12 指導指針 1,050 JFA キッズ (U-10) 指導ガイドライン 1,050 JFA チャレンジゲームめざせファンタジスタ! DVD ブック 1,575 JFA 2007 U-14 指導指針 1,050 JFA キッズ (U-8) 指導ガイドライン 1,050 JFA チャレンジゲームめざせクラッキ! JFA 2008 U-16 指導指針 1,050 JFA キッズ (U-6) 指導ガイドライン 1,050 冊子 300 DVD 700 JFA フィジカル測定ガイドライン 2006 年版 AFC アジアカップ - 中国 2004 JFA テクニカルレポート 1,050 630 NEW 日本代表公式記録集 2008 Japan National Football Team Official Data Book 2008 3,990 JFA 公認指導者資格保有者限定 サッカー指導教本 DVD 2007 年度版 7,350 購入希望者は 申込書の 1 をご記入ください サッカー指導教本 DVD 2007 年度版ゴールキーパー編 7,350 この教本は JFA 公認ゴールキーパー C 級 B 級 A 級養成講習会のテキストとして制作されたものです 制作物の内容 購入方法などの問い合わせ先は右記まで ( 財 ) 日本サッカー協会技術部 TEL 03-3830-1810 60
申込方法 61
リフレッシュポイントの確認について 2004 年 4 月より資格更新のために規定のリフレッシュポイントの獲得が義務付けられました リフレッシュ期間 (S 級は 2 年間 A B C 級は4 年間 ) に必要ポイントが獲得できていなければ資格が失効します リフレッシュポイント ( 指導ポイント ) の加算について JFA 加盟登録チームで 監督 コーチを務めている方は 指導ポイント (20 ポイント ) を加算することができます ポイントの加算は指導者の皆さまで行っていただくこととなっています 右記をご確認の上 必ず加算するようお願いします 2008 ナショナルトレーニングキャンプ U-16 開催期間後期 :2009 年 3 月 20 日 ( 金 ) 24 日 ( 火 )4 泊 5 日 開催場所後期 : 東日本 / 茨城県 鹿島ハイツ後期 : 西日本 / 熊本県 大津町運動公園 指導者講習会については 日本サッカー協会公式ホームページをご覧ください http://www.jfa.or.jp 世界のトップ10 を目指し 国際競争力をつけるため代表活動と連動したキャンプを実施し 選手の育成 強化を継 早寝早起き朝ごはん 国民運動の推進について 子どもたちが健やかに成長していくためには 適切な運動 調和のとれた食事 十分な休養 睡眠が大切です また 子どもがこうした生活習慣を身につけていくためには家庭の果たすべき役割は大きいところですが 最近の子どもたちを見ると よく体を動かし よく食べ よく眠る という成長期の子どもにとって当たり前で必要不可欠な基本的生活習慣が大きく乱れています こうした基本的生活習慣の乱れが 学習意欲や体力 気力の低下の要因の一つとして指摘されています このような状況を見ると 家庭における食事や睡眠などの 指導者登録サイト (Kick-Off) http://www.jfa.jp/jfatop/kickoff.html にてリフレッシュポイント獲得状況を必ずご確認ください Kick-Off( 指導者 ) へアクセス 指導者 をクリック ID パスワードを入力しログイン 基本情報 をクリック リフレッシュポイントの確認 申請 をクリック JFA 加盟登録チーム指導によるポイント化はこちら をクリック 加盟登録チーム番号 を入力 確認 完了 お問い合わせ先 ( 財 ) 日本サッカー協会指導者登録窓口 Tel:03-6713-8180 Fax:03-6713-9968 続的に行うため 昨年度より従来のナショナルトレセン U-16 を発展させ 年間 2 回 東西 2 地域でナショナルトレーニングキャンプとして開催しています 本キャンプの対象年代は隔年です これは FIFA U-17 ワールドカップを目指す年代はチームの監督を中心にチームスタッフに任せ FIFA U-20 ワールドカップを目指す年代は代表のラージグループとして位置づけ U-15 16 年代での強化活動の一環としているためです よって 今年の招集選手は U-15 年代で 2013 年の U-20 日本代表 (2013 年 FIFA U-20 ワールドカップ ) を目指す年代として 2008 年 2009 年の 2 年で 4 回の活動を実施します 文部科学省では 平成 18 年 4 月より 早寝早起き朝ごはん 運動を推進しています 日本サッカー協会 (JFA) はこの運動に賛同し さまざまな活動で協力していきます シンボルマーク 乱れは 個々の家庭や子どもの問題として見過ごすことなく 社会全体の問題として地域による 一丸となった取り組みが重要な課題となっています 子どもたちの問題は大人一人ひとりの意識の問題でもあります JFA では 子どもの基本的生活習慣の確立や生活リズムの向上につながる運動を積極的に展開してまいります 早寝早起き朝ごはんコミュニティサイト http://www.hayanehayaoki.jp/ 重要 重要 親しみやすさ に加え わかりやすさ と 覚えやすさ を考慮し 早寝 をお月様と星に 早起き を太陽にシンボライズし 元気とエネルギーの源 そして太陽をイメージしたヴィヴィッドなオレンジのシンボルマークです JFA では このシンボルマークを各イベントや発行物などに広く掲載していきます A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA 63
A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA 新刊紹介 UEFA EURO 2008 JFA テクニカルレポート 2008 年 6 月に開催された UEFA EURO 2008 を JFA テクニカルスタディグループが分析したレポートです 映像はありません 価格 :1,050 円 ( 税込 ) 2008 ナショナルトレセン U-14 プログラム /DVD 2008 年 5 月にナショナルトレセン U-14( 前期 ) で行われたトレーニングを テーマ キーファクターに基づき編集した DVD とプログラムのセットです 価格 :1,890 円 ( 税込 ) JFA チャレンジゲーム 好評発売中! めざせクラッキ! の上位版 ステージ 7 20 までの めざせファンタジスタ! が発売中です 全国の書店またはベースボールマガジン社商品販売サイト BBM@BOOKCART および本誌 P.60-61 申込用紙にてお求めいただけます 個人の技術向上やチームの練習ツールとしてぜひご利用ください また JFA では検定の開催団体を募集しています ステージ 7 19 までは 公認 D 級コーチ以上の資格保有者が検定員 ( チャレンジマスター ) となり どこでも実施可能です ( 別途 検定団体申請が必要となります ) 詳細は チャレンジゲームホームページ http://www.jfa-challengegame.com をご覧ください Best Regards, from JFA 書籍紹介 言語技術 が日本のサッカーを変える発行 : 光文社新書著者 : 田嶋幸三 (JFA 専務理事 ) 価格 :756 円 ( 税込 ) DVD ブック 1,575 円 ( 税込 ) お問い合わせ : JFA チャレンジゲーム事務局 Tel:03-3830-7104 ( 平日 10:00-17:30) e メール :info@jfa-challengegame.com 日本のサッカースタイルは? 個 の育成期の試合の様相は? 日本のサッカースタイル 新刊 自分が中学生や高校生だったころの試合の様相と現在の試合の置けなくなるという寸法である ボールの移動中にプレーする 様相は 当然変化してきている 30 年前は 相手選手と向き合っという抽象的な言葉を選手との間の キーワード にして ボーて さぁ 1 対 1 だ! の場面も多く トレーニングでもボールルの移動中に 観る 判断する ファーストタッチに判断をを受ける苦労をそれほど考えたことはなかった それが 20 年前乗せる ことを強調してゲームで通用するテクニックの習得にトのドイツ留学時に現地のチームでプレーする機会に恵まれたときライした 13 歳の選手が日本代表の中心選手として打って出るのには ボールを受けることに恐怖感があった それは 相手選手は 10 年先であろう この 10 年先の世界基準を今の 13 歳の 基のプレッシャーであった 当然未熟な私は ボールを受けられる準 に考えてトレーニングのオーガナイズや試合環境に反映させようになるまでに相当の時間を要した 立ち止まってボールを受ていかなければ 私が体験したドイツ留学時代の相手にすら驚いけようものなら 真っ先に標的にされ身体ごとインターセプトさてしまうのではないだろうか れたものである その後 ない技術と知恵を駆使して工夫したのは 日本の自動車産業の繁栄を見れば分かるように われわれ日本相手からスペースへ逃げながらのコントロールである これなら人は 協調性 器用さ 勤勉さ 正確さ で世界へ打って出あまりダメージがないと気づいた しかし これがまた難しい られるのではないだろうか サッカーでは 動きながらの技術のファーストタッチが足元に入ると その次の勢いで身体ごと寄せ習得こそが日本の世界への道を開くと信じている 若年層の環境られてしまい あぁ 技術があればなぁ と何度嘆いたことか を考える際にぜひ相手のプレッシャーを創り出し ゲーム中でも私は 2008 年度 JFA エリートプログラム U-13 を担当してこれらのスキルを反復できる試合の創出を 知恵を絞ってつくっいるが 動きながらのコントロール を大切にしている しかし ていく必要があるのではないだろうか 日本の標準的なプレッシャーでは 無理に動く必要も動かす必要結局 50 年前にデットマール クラマーさんが口にしていたもないことがよくある この理屈を日常のトレーニングから変え Meet the Ball Look around think before Pass & ていく必要があるのではないだろうか つまり トレーニング時 move をいまだにやっている からプレッシャーを世界基準にしていけば自ずと足元にボールを足達勇輔 ( ナショナルトレセンコーチ ) 64
テクニカル ニュース Vol.29 発行人 : 小野剛 編集人 : 財団法人日本サッカー協会技術委員会 テクニカルハウス 監修 : 財団法人日本サッカー協会技術委員会 発行所 : 財団法人日本サッカー協会 113-8311 東京都文京区サッカー通り ( 本郷 3-10-15)JFA ハウス電話 03-3830-2004( 代表 ) 発行日 :2009 年 1 月 22 日