自分を まもるリュック 防災アプリ 201503 版 厚生労働省科研費 前川あさ美 ( 東京女子大学 ) 小笠原たけし 坪沼まり 川口吾妻 ( 女子美術大学 )
防災アプリとは 家庭や学校で使える ipad を利用した防災用のアプリを開発しました これは 自分をまもるカード ( 前川 2011) をもとに 女子美術大学の小笠原 坪沼 川口によって作成されたものです 防災教育というと これまで 大人から子どもに 一方的に提供されることが多かったので 子どもはどうしても受動的になりがちでした また 防災の内容も こういうものを準備すればいい という一般的なものとなっていることが多かったと思います また 災害はこんなである という過去の事実を伝えることが中心となる防災教育は 時には恐怖や不安を高めてしまうこともありました 私たちは 防災教育とは 災害を知る と同時に 時にはそれ以上に 自分を知る ということから始まるものだと思っています また同時に 自分を知ってもらう ということも防災教育の中で必要な体験となります この防災アプリは 防災教育を自分の発見や気づきといった個別的主体低な体験とむすびつけ そうした体験を他者と共有するという機会を提供し 多様なニーズをもったひとりひとりに即した防災意識を高める場とするのを助けます なぜか? それはこのアプリがもっている特徴によります 震災に関する資料 ( 心に 3 つの支援安全 安心 安定 等 ) がついている 興味や関心がもてるイラストがある 自分で好きなように色や内容を修正できる 書き込んだり写真をとりながら自分について気付くことができる 重要な他者とその情報を共有できる 災害を予想して具体的な心構えができる 自分についての成長記録となる
自分を まもるリュック とは このリュックは 発達障がいの子どもたちを特に対象として 防災に関心をもってもらったり 防災や震災時に必要な知識を身につけたりできるような工夫がなされています 防災や震災時に必要な情報の種類や物資の特性が タッチやスクロールをすることで具体的にでてきます 種類や特性はひとりひとり異なるため それぞれがカードのタイトルを見ながら子ども ( 自分 ) について考えてみたり 家族や教員らと一緒に 防災や震災時に何が必要かを考えたりすることができます まもるリュック にはリュックの入り口の他に5つのポケットがついています 4つのポケットは 防災や震災時に重要な物や情報が入るようになっています 5つめのポケットは各自が自由につかっていいものです 自分のすきな名前をつけらて たとえば 重要な情報や家族との約束事 忘れないでおきたいことなどをファイルしておくこともできます リュックの背景をふくめ リュックの色 ポケットの色は すべて好きなように変えられます また リュックに名前を書くことができます リュックの上ふたや5つのポケットをタッチすると5つのカードができてきます カードをタッチすると 一枚ずつ自分の情報をかきこめます 修正もできます 変更内容を保存できて 履歴を残せます ポケットから出てくるカードの枚数は増やすこともでき それらカードに自分にとって必要な名前をつけることができます カードのアイコンイメージは 好きな写真や文字 ネットからとってきたイラストをいれることもできます
操作の基本 1 タッチ カードを出す 1ポケットをタッチ カードをしまう 1もとのポケットや もどる をタッチ カードを増やす 1 最後のカードの右下の 新規 をタッチ アイコンに写真やイラストを入れる 1 きにゅう へんこう の鉛筆マークをタッチ 2アイコンをタッチ 3 写真やカメラのマークをタッチ 4 撮影後やiPad 内の写真選択後 ほぞん の をタッチ 5 保存する をもう一度タッチ 写真やイラストを拡大する 1 写真のところをタッチ 記入をして保存する 1 きにゅう へんこう の鉛筆マークをタッチ 2 記入後 ほぞん の をタッチ 3 保存する をもう一度タッチ チェックをいれる 1 きにゅう へんこう の鉛筆マークをタッチ 2チェック後 ほぞん の をタッチ 3 保存する をもう一度タッチ 履歴をみる 1 りれき の 古い をタッチ タッチ 3 保存する をもう一度タッチ ロングタッチ リュックの背景の色を選ぶ ポケットやリュックの色を選ぶ リュックに名前を書く 1 リュックの名前をタッチ 2 出てきたキーボードで入力ひらがなもローマ字入力も OK
操作の基本 2 スクロール カードをみる 1まもるリュックの画面で出てきたカードをタッチ 2カードが拡大する 3 他のカードをみるにはスクロール タッチ 3 保存する をもう一度タッチ タイプ 名前をつける 1 リュックの名前をタッチ 2 出てきたキーボードで入力ひらがなもローマ字入力も OK カードに記入する 1 きにゅう へんこう の鉛筆マークをタッチ 2 白い画面をタッチ 3 下からでてきたキーボードでひらがなやローマ字で入力 4 記入後はキーボードの右下のキーボードマークをタッチ 5 ほぞん の をタッチ 6 保存する をもう一度タッチ テイク ア ピクチャー ipadで写真をとってアイコンに入れる 1 きにゅう へんこう をタッチ 2 アイコンをタッチ 3カメラマークをタッチして写真をとる 4 ほぞん の をタッチ 5 保存する をもう一度タッチ タッチ 3 保存する をもう一度タッチ
防災リュック ( 上のふた ) をタッチすると 防災リュック をタッチすると 中に入れるといいものが以下のように 5 つのカードでてきます また 自分でカードを増やすこともできます 5 枚のカードの下のほうに 必要なものの例があがっています 参考にしながら実際に自分のリュックに入れてみましょう たくさん入れすぎると重くて運びにくくなるので注意してください 頭の中で 3 日間分 と考えて入れていきます 自分の命を守るためのもの例 : マスク ウェットティッシュ 普段使っている薬 医療器具 自分の好きなペットボトル 好きなお菓子など 気持ちが安心できるためのもの例 : 使ったことのあるイヤーマフやイヤホン 好きなおもちゃ 普段使っているのと同じ手ざわりのタオル 家族の写真など 一人で室内で時間を過ごすためのもの例 : よくやるパズル トランプやウノ その他電源なくても楽しめるもの 好きな本や辞書 ポケット図鑑 紙と色鉛筆 カメラなど 屋外で時間を過ごすためのもの例 : 帽子 手袋 ホッカイロ なわとび膨らませるタイプのボールなど 自分のことをわかってもらうもの例 : ヘルプカード 人とコミュニケーションするための絵や写真のカード メッセージカード ( 例えば いまは一人でいたい と書いた紙 ) など その他あるといいもの例 : 懐中電灯 ラジオ 電池の予備 ipad などの充電器ろうそくとライター 下着の替えなど 各アイコンは自分でかえられます もどる をタッチして 防災リュック をタッチするとすべてのカードがしまわれます
じぶんのことをタッチすると 自分のこと をタッチすると 自分について 家族について 通っている園 学校など 緊急時の連絡先 緊急避難場所 のカードがでてきます 連絡先は遠方に住む親せきの電番号も記入しておきましょう 避難場所や避難所は 家にいる時 外出しているとき 学校にいる時など複数の場合について考え 場所を記入していきましょう いりょうかんけい ( 医療関係 ) をタッチすると いりょうかんけい をタッチすると 自分の名前 保険証番号 手帳番号 アレルギー その他既往歴 常備薬 よく行く病院と主治医 のカードがでてきます ともだち をタッチすると ともだちだけでなく 知り合いなどの名前や連絡先などの情報をいれておきます アイコンには写真や 友だちの好きなイラストなどを入れておくことができます
できる できないをタッチすると できる できない をタッチすると パニックになったとき お願いしたいこと 得意なこと 苦手なこと 大好きなこと 特にわかっておいてほしいこと などのカードがでてきます 特にわかっておいてほしいこと のあとには すでに用意された項目があり それをチェックすることで自分について他者と情報を共有できるようになっています どうしても 障がいをもっていると できないこと を強調されがちですが できること に自分でも気づいておくこと そして それを他者と共有できることが 災害時に 大事な力となることがあります フリーポケットをタッチすると 自由に名称をつけて 自分だけのポケットにすることができます
防災アプリに添付された資料 1 心に 3 つの支援安全 安心 安定 まもるリュック をタッチするとでてきます
防災アプリに添付された資料 2 災害時の心構え まもるリュック をタッチするとでてきます 場所の問題 情報の問題 物資の問題 理解の問題
障がいのあるなしにかかわらず 私たちには 自分で自分を まもる力 があります 自分のことに気づき 自分について他者と共有することが そうした まもる力 の発現をより助けてくれます この まもるリュック が防災教育のツールとして 震災時のサポートと して 私たちの中の まもる力 をサポートしてくれるのを願っています 関連情報 自分をまもるカード ( 前川 2011) http://homepage3.nifty.com/mayekawa/asami/ ipad 版 自分を まもるリュック ( 前川ら 2015) http://www.wasa.or.jp この冊子の PDF など障害のある人のための防災教材と 研究成果 http://www.rehab.go.jp/ri/fukushi/ykitamura/kitamuray ayoi.htm 動作環境 : ipad 第 4 世代 ~ ipad mini 第 2 世代 ~ ipad AIR ios 7.0 8.0 横画面固定 ( 回転可能 )
平成 27 年 3 月 27 日第 1 版著者 : 前川あさ美 ( 東京女子大学 ) デザイン アプリケーション作成 : 小笠原たけし 坪沼まり 川口吾妻 ( 女子美術大学 ) 発行人 : 厚生労働科学研究費補助金 障害者の防災対策とまちづくりに関する研究 研究代表者 : 北村弥生 ( 国立障害者リハビリテーションセンター研究所 )