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第 2 問問題のねらい青年期と自己の形成の課題について, アイデンティティや防衛機制に関する概念や理論等を活用して, 進路決定や日常生活の葛藤について考察する力を問うとともに, 日本及び世界の宗教や文化をとらえる上で大切な知識や考え方についての理解を問う ( 夏休みの課題として複数のテーマについて調

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2. 開催内容開催期間 : 平成 29 年 8 月 21 日 ( 月曜日 )~9 月 15 日 ( 金曜日 ) 開催場所 :( 出張面接審査 ) 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 ( イベント開催場所 ) 仙台市 盛岡市主催 : 特許庁 東北経済産業局共催 :( 独 ) 工業所有権情報

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賞 最優秀賞 1 件 賞金 15 万円 副賞 : ハノイ貿易大学での交流のための渡航費用 ( 上限 3 名 ) 優秀賞 2 件 賞金 5 万円 スケジュール スケジュール内容 日程 応募申請書と企画書の提出 5 月 1 日 ~ 6 月 30 日 一次審査結果通知 7 月 23 日 一次審査通過プラン

3-2 学びの機会 グループワークやプレゼンテーション ディスカッションを取り入れた授業が 8 年間で大きく増加 この8 年間で グループワークなどの協同作業をする授業 ( よく+ある程度あった ) と回答した比率は18.1ポイント プレゼンテーションの機会を取り入れた授業 ( 同 ) は 16.0

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平成16年度第1回○○区地域協議会次第

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宗像 沖ノ島と関連遺産群 世界遺産推進会議ニュース 沖ノ島だより 平成 24 年 3 月発行第 5 号 第 3 回 宗像宗像 沖ノ島と関連遺産群関連遺産群 国際専門家会議国際専門家会議と現地視察現地視察を開催 宗像 沖ノ島と関連遺産群 の世界文化遺産への登録をめざし 海外から世界遺産に精通する専門家を招いて 現状や課題について検討を行う第 3 回 宗像 沖ノ島と関連遺産群 国際専門家会議が 11 月 1 日から 4 日まで宗像市のホテルで開催されました 会議の参加者は 海外の専門家委員として スリランカのガミニ ウィジェスリヤさん ( 文化財保存修復研究国際センター / プロジェクトマネージャー ) 韓国の任孝宰さん ( ソウル大学 / 名誉教授 ) 中国の王巍さん ( 中国社会科学院考古学研究所 / 所長 ) イギリスのクリストファー ヤングさん ( イングリッシュ ヘリテージ / 世界遺産 国際政策担当責任者 ) の 4 名 また 国内専門家として 西谷正さん ( 九州歴史資料館 / 館長 ) 佐藤信さん ( 東京大学大学院 / 教授 ) 稲葉信子さん ( 筑波大学大学院 / 教授 ) 岡田保良さん ( 国士舘大学 / 教授 ) 金田章裕さん ( 人間文化研究機構 / 機構長 ) の 5 名 さらに 本遺産群の価値を検証するために研究を委託している イギリスのサイモン ケーナーさん ( セインズベリー日本藝術研究所 / 副所長 ) 韓国の禹在柄さん ( 忠南大学校人文大学考古学科 / 教授 ) アメリカのノルマン ヘイヴンズさん ( 國學院大學 / 教授 ) ドイツのウェルナー シュタインハウスさん ( 広島大学 / 講師 ) 秋道智彌さん ( 総合地球環境学研究所 / 教授 ) 新谷尚紀さん ( 國學院大學 / 教授 ) 西宮秀紀さん ( 愛知教育大学 / 教授 ) 山野善郎さん ( 建築史塾 Archist 代表取締役 ) 及び研究論文の翻訳ワーキンググループの溝口孝司さん ( 九州大学大学院 / 准教授 ) の 9 名にも参加していただきました < 現地視察 > 11 月 1 日には船をチャーターして沖ノ島へ渡り 沖ノ島祭祀遺跡を視察しました まずは神湊から大島に渡って中津宮を参拝し 神職から沖ノ島に渡るためのおはらいを受けました 荒海といわれる玄界灘を船で渡るため 全員で航海安全を熱心に祈りました その後 中津宮からちょうど島の反対側にある沖津宮遥拝所へ向かいました ここは 通常渡ることのできない沖ノ島を拝むために設けられた場所で 晴れて空気が澄んだ日には 水平線のかなたに島影をのぞむことができます あいにくこの日は霞がかかり 沖ノ島を拝むことはできませんでした その後 大島で最高所 ( 標高 214m) に位置する大島御嶽山遺跡を視察しました 平成 22 年度に行われた発掘調査により 沖ノ島祭祀遺跡で一番新しい時期にあたる (8~9 世紀 ) 露天祭祀と同時期の遺跡であることが分かりました 遺跡は発掘調査後に埋め戻されていますが 担当者が写真や図面を使って説明をすると 専門家から出土遺物等について質問

がなされました 再び船に乗って沖ノ島を目指します 大島を離れると波は荒くなり 荒海玄界灘の洗礼を受けます 大島が船の後ろに見えなくなると 行く手にうっすらと 神宿る島 沖ノ島 が見え始め 新たな目印となります このような理由で この島が航海安全の信仰対象となったのではないかという事を実感することができました 島に上陸すると 全員で社務所横 沖ノ島視察 の浜辺で禊 ( みそぎ ) を行います その後 急峻な 400 段の階段を上って沖津宮を参拝します 沖津宮は天然記念物に指定された原始林に囲まれて 昼もなお薄暗い中にひっそりとたたずんでいます 参拝後に 専門家は沖津宮の背後に鎮座する巨岩群の間に点在する祭祀遺跡を視察しました 特に 沖ノ島で一番古い 17 号祭祀遺跡では 専門家は事務局職員の説明を熱心に聴いていました 専門家からは 聖なるものを前にした畏怖感が現地に行って理解できたとか 岩の存在感に圧倒されたという意見をいただきました 翌日は 本土の資産を視察しました 田島に鎮座する宗像大社辺津宮では 神職の案内で 安土桃山時代に再建され国の重要文化財に指定されている本殿と拝殿を視察後 露天祭祀を復元した高宮祭場を視察しました その後 沖ノ島からの出土品が収蔵されている神宝館を見学しました 畿内の第一級の古墳の副葬品にも匹敵する銅鏡 玉類 武器 朝鮮半島製の金製指輪や馬具 唐三彩 遠くペルシャからシルクロードを通って伝来したガラス碗など 国宝指定を受けた品々を見学し 遺跡からだけでなく遺物からも沖ノ島祭祀の価値を認識することができました 午後からは 福津市の玄界灘沿いの台地上に分布する津屋崎古墳群を視察しました 津屋崎古墳群は 沖ノ島祭祀を担った豪族 胸形君の墳墓群として構成資産に含まれています 専門家は 津屋崎古墳群の中でも初期に造られた勝浦峯ノ畑古墳で 国内唯一の石室の天井を支える石柱を視察し 新原 奴山古墳群では 大小 41 基の古墳が田園地帯に溶け込んでいる景観が良いと 勝浦峯ノ畑古墳視察

いう感想を述べられていました 宮地嶽古墳では 国内第 2 位の長さの石室を視察し 使われている巨石に驚かれていました 住宅地の中にある手光波切不動古墳では 保存管理計画について充分に検討するように意見をいただきました その後 宗像市へ戻って 田熊石畑遺跡の環濠内で行なわれている確認調査を視察しました < 国際専門家会議 > 11 月 3 日と 4 日には 国際専門家会議委員による議論を行いました 会議では 遺産群の価値とコンセプトについて 具体的にどの資産を構成資産として登録するかという点について活発な議論が繰り広げられました 沖ノ島を本遺産群の中心に位置付けるという点においては専門家の一致した意見でしたが 広範囲に分布して数も多い古墳群については 構成資産とする古墳の選定が必要であると指摘されました また 沖ノ島祭祀についても 大陸との交流からの価値付けや日本固有の信仰からの価値付けに多くの意見が出されました 国際専門家会議 写真と映像映像で学ぶ世界遺産 11 月 19 日から 23 日まで アクロス福岡 ( 福岡市 ) で 第 2 回めざせ世界遺産! 宗像 沖ノ島と関連遺産群 展 が行われました 世界遺産暫定リストに掲載されていますが まだまだ知名度が低い本遺産群について 沖ノ島祭祀遺跡 津屋崎古墳群 出土遺物などの写真パネルのほか DVD の上映などを通して その価値を広く知っていただく機会となりました 初日には 本遺産群の応援大使を務められている歌手の森口博子さんも参加してオープニングセレモニーが行われ 多くの来場者が見学されました 応援大使森口博子さんも来場

第 3 回 宗像 宗像 沖ノ島と関連遺産群 関連遺産群 世界遺産シンポジウム 世界遺産シンポジウムを シンポジウムを開催 2 月 12 日 日 JR 九州ホール 福岡市 にて 第 3 回 宗像 沖ノ島と関連遺産群 世界遺産シンポジウムを開催しました 基調講演では 本遺産群の価値を検証するために実施した調査研究の成果より 沖ノ島 祭祀及びヤマト王権との関係について発表が行われました また 最近の世界遺産の状況 についての報告も行われました パネルディスカッションでは 本遺産群の世界遺産とし ての価値について 新たな角度から検証が行われました 基調講演① 基調講演① 宗像 宗像 沖ノ島と関連遺産群 関連遺産群 の新たな研究成果 たな研究成果について 研究成果について について 沖ノ島祭祀遺跡の遺物組成と祭祀構造 國學院大學教授 笹生 衛さん 沖ノ島では 国宝に指定された約 8 万点の遺物が出土していますが その出土状況や組 み合わせを検証することによって 沖ノ島祭祀の分析を行います 出土遺物は以下の類型 に分類できますが それぞれの遺跡は単一の時期または類型だけに対応するのではなく 様々な時代の異なる供献品が持ち込まれた可能性があります Ⅰ類 銅鏡 刀剣類等の実用品 4 世紀後半 5 世紀前半 岩上祭祀 Ⅱ 1 類 鉄製武器や鉄鋌 てってい などの鉄製品 5 世紀前半 中頃 岩上祭祀 Ⅱ 2 類 Ⅱ 1類 馬具や飾り大刀など 5 世紀後半 6 世紀 岩陰祭祀 Ⅲ類 鉄や金銅製の模造品 7 世紀頃 9 世紀 岩陰 半岩陰 半露天 露天祭祀 各類型の性格を見ると Ⅱ 1 類において鉄製品が出土しており 朝鮮半島からの新たな 技術導入という画期的な背景があったことを示しています Ⅲ類については 類似した出 土品が国内の他の祭祀遺跡より出土していることから 5 世紀以来の祭具が模造品化され 令制祭具へ移行したと考えられます 804 年に伊勢神宮で記録された 皇太神宮儀式帳 こうたいじんぐうぎしきちょう に は 御神宝や祭祀の構成が記されており 共通の遺物が出土している沖ノ島の祭祀を考え る上で非常に参考となる資料です この資料から類推すると 岩上 岩陰 半岩陰 半露 天の祭祀遺跡は 正殿や寶殿 ほうでん と同様に 神霊の近くで神宝を納める場としての側面もある と考えられ 岩上 岩陰の遺跡で遺物がまとめて出 土する状況と対応していると思われます このように 沖ノ島の祭祀構造を見ると 全てが 祭祀跡ではなく 祭祀が終わった後に重要なものを 納めた場ということも考えられますし 神に直接御 神饌 ごしんせん を捧げた場であった可能性もあ ります 古代の祭式の内容及び祭具と比較すること で これまでの 4 段階の変遷とは違った祭祀像を想 定することもできるのではないでしょうか 笹生 衛さん

沖ノ島祭祀とヤマト王権 大阪府立近つ飛鳥博物館長 国立歴史民俗博物館名誉教授白石太一郎さん宗像 沖ノ島における古代祭祀については 調査時に非常に豪華な奉献品が出土したことから ヤマト王権の対外交渉に関わる国家的な祭祀が行われたと評価されています しかし 調査から半世紀が経って考古学的研究も進んできたため 沖ノ島祭祀とヤマト王権との関わりについて 一度見直す必要があると思います 従来 ヤマト政権の成立時期は 4 世紀初めであり 沖ノ島祭祀の成立はその後のヤマト王権の朝鮮半島への進出に対応すると考えられていました しかし 最近ではヤマト政権の成立は 3 世紀中葉と考える研 白石太一郎さん 究者が多数を占めており 沖ノ島祭祀と朝鮮半島への進出を対応させて理解することは難しくなっています むしろ 4 世紀後半の百済との交渉に結び付けて考えるほうが妥当だと思います 朝鮮半島と倭国を結ぶ海上交通路については 弥生時代以降 壱岐 対馬ルートがメインであり 沖ノ島は少し東に外れています 沖ノ島の位置は 畿内から瀬戸内を進み 下関海峡から伽耶に至る最短ルート上にあり これはヤマト王権と朝鮮半島との新たな関係の成立を明確に物語っていると考えられます 日本書紀 によると 雄略天皇の新羅遠征を宗像神が戒めたという記載があり 宗像氏がヤマト王権の対朝鮮半島政策に大きな発言権を持っていたことが示されています これは 宗像氏の墳墓とされる津屋崎古墳群の評価とも関連があり 全国的に古墳の規模が小さくなる時期に 100m 以上の前方後円墳が 2 基 70m 以上が 7 基も築造されていることから この時期に沖ノ島祭祀を執り行った宗像氏が大きな勢力を得たと考えられます < 基調講演 2 世界遺産の現状現状について > 世界遺産をめぐる最近の状況について 国士舘大学イラク古代文化研究所教授岡田保良さん世界遺産とは 1972 年にできた世界遺産条約に基づいて 顕著な普遍的価値 (OUV) を持つ資産として登録されたものです 実際の登録審査は 21 ヶ国で構成される世界遺産委員会が行い 日本は今年から委員国に選出されています 現在 936 件の世界遺産があり 日本には 16 件の世界遺産があります 昨年 平泉と小笠原が新たに登録されたのは記憶に新しいところです 世界遺産の目的は資産の保護にあり その責任は登録国にあります このため 登録国及び地域には その価値を損なわないように保護する非常に重い責任が課されます 世界遺産登録のプロセスは ます各国が登録したい資産を 暫定リスト に記載します

その後 本登録に向けて推薦書を提出した後 ユネスコの諮問機関による現地調査及び審査があり それをもとに世界遺産委員会で 登録 情報照会 登録延期 不登録 のいずれかの決議が行われます なお 昨年までは年間 2 件の文化遺産を推薦することができましたが 今年からは 1 件しか推薦できなくなりました 世界遺産には 1 つの資産では OUV が認めら 岡田保良さん れない場合でも 複数の資産をまとめることによって価値を認める 連続性のある遺産群 という形態があります 宗像 沖ノ島と関連遺産群 についても 宗像大社 古墳群を含む場合はこの形態に該当するため OUV を示すためにどの資産を含むかということが重要になってきます 人と自然の世界遺産 人間文化研究機構長金田章裕さん 宗像 沖ノ島と関連遺産群 は 沖ノ島( 沖津宮 ) 大島 ( 中津宮 ) 田島 ( 辺津宮 ) の 3 つの信仰の拠点が一番の基本的なところですが そういう観点から幾つかの類似例を紹介してみたいと思います キジ島の木造建築 は ロシアのサンクトペテルブルクの北東約 350 kmのキジ島にあるロシア正教の聖堂を中心とした木造の建築物群です 島にある資産で もともと自然崇拝及び祭祀が行われていた場所にギリシア正教の施設ができた点が類似しています スケリッグ マイケル は アイルランドのボラス岬の沖合 12 kmにある資産です 7 世紀に石造の修道院ができ 11 世紀まで修道士たちが生活をしていましたが 16 世紀には閉鎖されています ケルトの離島における信仰の場という文化遺産でありながら 厳しい渡航制限により自然保護にも力を入れているため 多くの貴重な海鳥が生息しています ウルル-カタ ジュタ国立公園 は オーストラリアの先住民アボリジニが聖地としてあがめている巨大な岩山ウルルと その近くにあるカタ ジュタという奇岩群で構成されています 聖地に観光客が押し寄せてくることに対してアボリジニの強い批判があり 一時期は観光客の登山が禁止されましたが 今はアボリジニの意見を尊重しながら管理しているため 一定のルールに従って登ることができます カカドゥ国立公園 は 約 5 万年前のオーストラリア最古のロック ペインティングが見つかっており 人間生活または自然環境の非常に貴重な原点が残っている世界遺産です 現在 公園から先のアボリジニの保留地 金田章裕さん には許可がないと入れないようになっています

< パネルディスカッション > 基調講演者 4 名に東京大学教授の佐藤信さんを加え 九州歴史資料館長の西谷正さんの進行でパネルディスカッションを実施しました 沖ノ島祭祀について 同じ場所で一度しか祭祀を行わない一祭場一祭祀というこれまでの解釈に対し 祭祀は同じ場所で繰返し行われ 供献品はまとめて収納されたと笹生先生から新しい見解が出されましたが 白石先生からも 実際に祭祀が行われた場所と奉献物が納められたのは別の場所ではないかと思っていたと同様のコメントがありました 次に 沖ノ島祭祀の始まりは 百済との交流が背景にあるという白石先生の意見について 笹生先生は 4 世紀後半から 5 世紀にかけて新しい技術が入ってきて その中で鉄製品 鉄鋋を中心としたⅡ-1 類ができてくると考えると非常に整合性があると述べました 本遺産群の世界遺産としての価値について 白石先生は 古代倭国における非常に特異な信仰形態で 自然を神の宿る所として信仰の対象とする典型的な遺跡として普遍的な価値を持っており 世界遺産に登録される要素は十分あると思うと述べました 次に 岡田先生より 資産の価値を守るため 資産周辺の必要な範囲に規制を設けるバッファーゾーン ( 緩衝地帯 ) についての追加説明がありました 本遺産群については 早期に構成資産を決定することと バッファゾーンの範囲を決定することが 今後の課題として示されました 佐藤先生からは 世界遺産とは将来の世代にとっても重要なものであり 政治 経済的利益で考えるのではなく 本来は純粋に学問的にあるべき理想像を求めるものであると提言がなされました また 岡田先生より 本遺産群の顕著な普遍的価値について 屋外祭祀という数世紀にわたる祭祀形態そのものに非常に貴重な価値があり 段階的変化は地域的な特徴にすぎない 屋外祭祀が社殿祭祀に移る過程は地中海世界でも同様の例があり 非常にユニバーサルな現象で 強調すべきとコメントがありました また 世界遺産と観光という観点について 金田先生は 世界遺産は固有の信仰 祭祀の対象に対する伝統的な規制や禁忌を尊重する立場をとっているので 沖ノ島における禁忌など 一定の制限については問題ないと述べました 最後に佐藤先生より 本遺産群について 宗像地域だけの問題ではなくて ヤマト王権や朝鮮半島などの広い範囲と関わりがある 世界の中でも普遍的な 歴史の動きという価値を持つ遺産であるというコメン パネルディスカッション トがありました

第 6 回 宗像宗像 沖ノ島と関連遺産群関連遺産群 専門家会議専門家会議を開催 2 月 22 日 ( 水 ) 福岡市内で専門家会議 ( 委員長 : 九州歴史資料館長西谷正氏 ) を行いました 今回の会議では 本遺産群のコンセプトとそれに合う構成資産について議論を進めました 沖ノ島と宗像大社を構成資産に含めることについては異論がありませんでしたが 古墳群については価値に関する記述が不足しており コンセプトをしっかり検討する必要があると指摘がありました また 三宮の軸線と視覚的な範囲から考え 大島の御嶽山から見える範囲の古墳を構成資産として選んではどうかというアイデアが出されました さらに 構成資産に含まれない資産も バッファゾーンに取り込んで保存することで共通認識ができました 今後は 構成資産の決定を行うとともに 専門家会議 保存管理計画策定に向けた議論を進めていきます 古墳とカカシカカシのコラボレーション 10 月 23 日 構成資産のひとつである新原 奴山古墳群を会場に 地元の福津市の勝浦地区郷づくり協議会による 古墳 de アート展 が開催されました ソバの白い花に囲まれた 1500 年前に造られた古墳と本物と見間違うほどの出来栄えのサッカー選手や野良仕事をする人のカカシのコラボレーションが見事で 古墳を身近に楽しめる取組みのひとつとして今後も注目されているイベントです 当日はあいにくの雨模様で冷え込みました が 来訪者にはぜんざいがふるまわれて暖まることができました 古墳 de アート展 発行元 宗像 沖ノ島と関連遺産群 世界遺産推進会議 福岡県総合政策課世界遺産登録推進室 Tel:092-643-3162 Fax:092-643-3163 Email:sekaiisan@pref.fukuoka.lg.jp 宗像市経営企画課世界遺産登録推進室 Tel:0940-62-2617 Fax:0940-62-2601 Email:sekaiisan@tw.city.munakata.fukuoka.jp 福津市行政経営企画課世界遺産登録推進係 Tel:0940-43-8121 Fax:0940-43-3168 Email:kikaku@city.fukutsu.lg.jp