植物野外観察研修会資料 期日 2012.08.03 ( 金 ) 会場新潟市金津 八幡山 花と遺跡のふるさと公園 新潟市立総合教育センター
新津丘陵の植物 新潟市秋葉区は新潟県のほぼ中央部に位置し 標高は 2 ~ 248 メートルあります この丘陵は秋葉山から金津白玉の滝まで標高 60 ~ 130 メートルあり 古くは日本で屈指の石油産出地でありました 里山として人との関わりが深い地域でした 植生は南方系の種や暖温帯林の構成種が多く分布しています コナラ スギ アカマツ を主とする林に覆われて 一部は畑 果樹園 公園 ゴルフ場 集落となっています 里山の植物 ( 石沢進 監修 ) によると ここに生育する植物は種子植物が約 760 種羊歯植物は 84 種とされています 特色ある主な植物 主な暖温帯の植物 常緑樹 ヒサカキ ソヨゴ シロダモ ウラジロカシ アカガシ 落葉樹 ネムノキ アカメガシワ カラスザンショウ アワブキ アオハダ クサギ 草 本 ジャノヒゲ 日本海要素の植物 ( 日本海側に分布の偏るもの ) 常緑樹 ユキツバキ チャボガヤ エゾユズリハ ハイイヌツゲ ヒメモチ チマキザサ 落葉樹 ヒメヤシャブシ ナラガシワ ケキブシ マルバゴマギ キタコブシ 草 本 ケイタドリ ミヤマイラクサ オオイタドリ コシノカンアオイ ミチノクヨロイグサ オオウバユリ タイリンヤマハッカ 分布上注目すべき植物 ( 八幡山で見られる 見られた植物 ) カラコギカエデ キツネノマゴ ; 県内では佐渡の平野部と県内中央部に限られる稀産種であり減少している ; 野原や道端の一年草であるが 稀産種である - 1 -
花のつくり ( 双子葉植物 ) * 普通は 1 つの花を上から見ると外側からがく片 花弁 雄しべ 雌しべの順に並びます やく葯 ちゅうとう柱頭 雄しべ 花糸 雌しべ かちゅう花柱 しぼう子房花弁 ( 中に胚珠 ) かしょう花床 ( 花托 ) がく片 かへい花柄 ( 花軸 ) 花弁が4 枚のものは そのほとんどがあぶらな科に属し 桜に代表される5 枚の花弁の花を咲かせる植物はバラ科に属します きく科の植物は舌状花の集まった花と管状花の集まった頭花から成るもの 両方を一緒にした頭花のものなど多様な花を咲かせるものがあります - 2 -
あぶらな科の植物 あぶらな科の花 花弁は4 枚 めしべ 1 おしべ 6 (4 本は長い ) が基本 アブラナ ( あぶらな属 ) ナノハナ ( 菜の花 ) ナタネ ( 菜種は作物名 ) などと呼ばれ同属 ( あぶらな属 ) の花はどれも黄色である また古くから世界中で野菜として栽培されたりしてきた あぶらな属の花はどれも黄色 十字架状の花弁と細長い角果が特徴 タネツケバナ ( たねつけばな属 ) この花が咲く頃 イネの種を水に浸けるのでタネツケバナという ミチタネツケバナ ( たねつけばな属 ) タネツケバナより一足早く ロゼット状の根生葉から花茎を伸ばし 同じような花を咲かせる 帰化植物 茎にあまり葉がつかず ロゼット葉が残っているのが特徴 - 3 -
ナズナ ( なずな属 ) 春の七草 実の形が三味線のバチに似て ぺンペングサの別名がある 秋に芽を出しロゼット葉で冬を過ごす 花 ( 色は白 ) マメグンバイナズナ ( まめぐんばいなずな属 ) グンバイナズナより全体に小さいことからの和名 お椀形のガク片 4 枚の間からしゃもじ状の花弁がのびる 実は 3 mm前後 シロイヌナズナ ( しろいぬなずな属 ) 実験生物として研究に使われてきた 2000 年に全ゲノム ( 遺伝情報 ) が明らかになった 突然変異などの研究に活用 実は長角果 - 4 -
イヌガラシ ( いぬなずな属 ) 多年草 花は黄色 実は細長い長角果 田などのやや湿ったあぜみちや道端などにみられる スカシタゴボウ ( いぬがらし属 ) 一年草 花の色は黄色 実はずんぐりとして太く丸みがある イヌガラシより全体に小型 ロゼット葉の切れ込みも浅い - 5 -
きく科の植物 きく科の花 花は花の集団 ( 舌状花や筒状花の集まりで頭花が出来ている ) 舌状花 筒状花 ちゅうとうめしべ ( 柱頭 ) ちゅうとうめしべの先 ( 柱頭 ) おしべかべん 花弁 おしべ かべん花弁 かんもう冠毛 ( がく ) 冠 かんもう毛 しぼう子房 しぼう 子房 舌状花だけの花 外側に舌状花 なかに筒状花 筒状花だけの花 タンポポ ブタナ アザミ ヨモギ 等々等々 ヒマワリ コスモス ヒメジョオン ノコンギク等々 - 6 -
ハルジオン ( むかしよもぎ属 ) ヒメジョオン 4 月終わり頃から 普通 6 月に 咲き始める 入ってから咲く 上の葉が茎を抱く. 葉は茎を抱かない 管状花 舌状花 舌状花と 茎は管状花中空 茎にずいがある ノゲシ ( のげし属 ) オニノゲシ ( ハルノノゲシ ) 舌状花が集まった頭花 舌状花の集まり 葉の基部が三角形に尖る 羽状になった葉の先が硬い刺状 さわると痛い 葉の基部は円形 - 7 -
( にがな属 ) オオジシバリ ( 別名ツルニガナ ) ニガナとハナニガナとジシバリ ( 別名イワニガナ ) 花は舌状花の集まり ニガナ 舌状花の数でわけられる 花が 5~6 枚 ニガナ 花が 7 枚以上ハナニガナ オオジシバリ ジシバリ の根生葉 の根生葉 ハナニガナ エゾタンポポ ( たんぽぽ属 ) セイヨウタンポポ 在来種のタンポポ ( カントウタンポポや シロバナタンポポ ) 総包の萼片が反り返らない 舌状花の数 140 ~ 180 春に 1 回花を咲かせ後は眠る 外来種のタンポポ 総包片の反り返りが見られる 舌状花の数 150 ~ 200 年に数回花をつける オニタビラコ ( おにたびらこ属 ) ブタナ ( えぞこうぞりな属 ) 花期 5 月 ~10 月 舌状花のみ 舌状花に冠毛がある 同属のタビラコ( 春の七草仏の座 ) より大型ということで和名がある タンポポに似た舌状花のみの頭花をつける 根生葉から数本の葉のない花茎を伸ばし花をつける 荒れ地などを好み 一面に咲く - 8 -
ノアザミ ( あざみ属 ) 初夏に同属の中では 1 番最初に花が咲き始める 花弁が 5 枚の筒状花だけの花 集粉毛 花粉 花弁 5 の長細い筒状花 雄しべの葯は雄しべが合わさり 雌しべを包んで筒状に成る 先に雄しべが成熟し 後から雌しべが筒状の雄しべの中か伸びてくる セイヨウノコギリソウ ノボロギク ( きおん属 ) ( のこぎりそう属 ) 帰化植物 花期は夏から初秋まで 花弁は5 枚の舌状花が多い ( 白 ~ 赤 ) 葉に毛があり 良い匂いがする ヨーロッパではハーブとして使われた ノコギリソウは漢方で風邪薬などに使われた 一年中 花が見られる 黄色の頭状花だけの花 冠毛を持ち 風にのって飛散し 繁殖する 茎は中空である - 9 -
ハハコグサ ( ははこぐさ属 ) チチコグサ 茎葉共に白い綿毛をかぶる 頭花の中心部に両性の筒状花 周りに雌性の筒状花がつく 茎の先に灰かっ色の頭花が多数かたまって付く 春の七草の一つ ( オキ ョウとかコ キ ョウと言う ) * きく科のほとんどは虫媒花である ただヨモギ ブタクサ オナモミなどのなかまが風媒花であることが知られている オオアレチノギク ( むかしよもぎ属 ) 茎に 開出した軟毛が多い 茎や葉の色が灰色がかった緑色に見える 舌状花の舌状部がほとんど目立たない ヒメムカシヨモギ ( むかしよもぎ属 ) 北アメリカ原産の 2 年草 葉の下方のものには まばらなきょ歯があり上方のものほどまばらになる 筒状花まわりに白い舌状花が多数並ぶ 葉や茎の色は深い緑色に見える - 10 -
たで科の植物 エゾノギシギシ 外花被 ( ぎしぎし属 ) たで科のギシギシ3 種について どれも帰化植物である 雌花の花被片のへりの形がそれぞれ違う 葉の巾が広く長い 中央脈が赤くなる事が多い 内花被 両性花と雌花 ナガバギシギシ がある アレチギシギシ葉の巾が狭くナガバギシギシ細い感じがする 全体がやせて細い感じがする 果実を包む外花被花被 内果皮 ( すいば属 ) スイバ 雌雄異株 雌雄異株 柱頭 雄花 雌花 ヒメスイバ 雌株 雄株 シュウ酸を含み 酸い葉 でスイバ 雄花 葉の形がいろいろである 矢じり状になりギシギシと区別つく 果実 外花被 内花被 長い根茎で 地下でつながる - 11 -
( いぬたで属 ) イヌタデ オオイヌタデ 別名 アカマンマ 荒れ地や河川敷等にえる1 年草 道ばた 畑 荒れ地によく見られる さや状托葉はふちに毛 ( 緑毛 ) が無い ミゾソバ 高さ 20 ~ 50 cmの イヌタデに似て 1 年草 大型 葉の形からウシノヒタイとも呼ばれる 高さ 0.3 ~1m になる水辺に生える 1 年草 花は枝先に集まって咲き萼からなる花被裂片は 5 裂する 上部は紅色 下部は白色 茎に下向きのトゲがある ママコノシリヌグイ 茎にびっしりと下向きのトゲを持つ 1 年草 花はソバの花と似て 綺麗 茎にトゲが多く 他のものに巻き付く 葉は互生 葉柄の基部に葉状の小さな鞘状托葉があり 茎を抱く 花被片は 5 雄しべ 8, 雌しべ 1 花期は 7~8 月 ヤナギタデ 湿ったところに生える 1 年草 葉の縁と中央脈上に毛がある 葉面の上下とも無毛で 日に透かすと半透明の腺点がある わずかに紅色を帯びた白から淡緑色の花をまばらにつける 葉鞘の縁に毛がある - 12 -
イシミカワ 川原 田の畦など水湿地などに生えるとげを持つつる性の一年草 葉鞘はごく短く 上の縁は円く広がって茎をかこむ 茎に下向きのトゲがある 葉は三角形 無毛で白緑色 葉柄は葉身の下に楯状 ( 丁字形 ) につく 花は枝先に 10 ~ 20 個かたまってつく 花皮は 5 枚で果期には白 紫 青と変化し実を包む アキノウナギツカミ 水湿地などに生える 1 年草 茎に下向きの刺があり 他に絡んで伸びる 葉の下面脈上にも刺がある 葉鞘は膜状で先が斜めに切った形をする 枝先に淡紅色の花がかたまってつく シロバナサクラタデ 湿地などで生え 地中に伸ばす根茎を枝分かれしながらふえる多年草 茎の高さ 50 ~ 100 cmで 紅色を帯びる節がある 花被は長さ 3 ~ 4 mmで 色は白 腺点がある 花には長花柱花と短花柱花の 2 型がある 互いの花粉の受粉で実がなる よく似たサクラタデは花被の長さ 5 ~ 6 mmで全体が大きめ - 13 -
まめ科の植物 マメ科花の作り 旗弁 柱頭 やく 中に2 枚くっついて いる 中に子房 翼弁 ( 側弁 ) 豆のさやの形をしている 舟弁 カラスノエンドウ カスマグサ ( そらまめ属 ) ( そらまめ属 ) 小葉の先が矢筈状にへこむ 種が 5 ~ 10 粒 カラスノエント ウとスス メノエント ウの中間と言う事でこの名がある 種は 4 粒 別名ヤハズエンドウ 花には柄ほとんど無い 実の鞘が熟すと黒くなる 人里の草地に普通に見られる 実の鞘が熟し黒い スズメノエンドウ ヒナカラスノエンドウ ( そらまめ属 ) ( そらまめ属 ) 県内で帰化しているのが見つかった 種子は 2 粒 カラスノエンドウより全体に小型なのでこの名がある - 14 - 花に柄がなく萼に毛が多い 小葉が 5 枚前後 カラスノエンドウをごく小さくしたよう
シロツメクサ コメツブツメクサ ( しゃじくそう属 ) ( しゃじくそう属 ) マメ科の花の集まり 一年草 帰化植物 オランダからのガラス器具の間に詰めてあった 草の種からの帰化 稔るほどに花が下をむく 葉は3つの小葉からなる複葉 小葉の先がへこむ 花は葉の根もとから出る長い柄に 5 ~ 20 個の小さな蝶形花を下向きにつける ナヨクサフジ ヤハズソウ ( そらまめ属 ) ( はぎ属 ) 花と小葉 托葉 葉 花 実 クサフジの花と托葉 複葉 小葉に斜めに並ぶ側脈が目立つ クサフジの花クサフジの托葉 淡紅色の花が葉えきに 1 ~ 2 個つく 種子は 1 個で熟しても裂けない ネムノキ ( ねむのき属 ) クズ ( くず属 ) めしべ 山野に生える大型のつる性 多年草 おしべ 濃い紅紫色をした おしべ 1 本 花冠 翼弁の花を総状に付ける 花冠( 緑色 ) とがく がく は目だたない 雄しべ 10 本が合体している 実はマメの様だが花が異なるので ネムノキ科とする分類もある 太い根からデンプンがとれ くず粉として使われてきた 枝先に 10 ~ 20 個の花が頭状に集まる 秋の七草の一つ 葉が出てから睡眠運動をする - 15 -
きんぽうげ科の植物 キツネノボタン ( きんぽうげ属 ) ケキツネノボタン 萼が反りかえる 先端がくるりとまく 先端はまかない 小葉やきょ歯の先が尖らない 葉の形がボタンに似る 茎 葉に立った毛が多く生え 葉はやや幅が狭く先が尖り きょ歯も鋭い * この仲間の植物の若いものはよくセリと間違えられ 中毒事件をおこす この属のものはみな有毒と考えられる ( いちりんそう属 ) キクザキイチリンソウ アズマイチゲ ニリンソウ ひるがお科の植物 ヒルガオ ( ひるがお属 ) コヒルガオ ( ひるがお属 ) 葉の基部は耳とな り 下方に張り出す 萼片の外に 2 枚の包 があり 包の先が尖ら ない おしべ 5 めしべ 1 の柱頭はふくらんで 2 裂する - 16 - ヒルガオより花や葉が 小さい 葉の先は尖り耳の部分 は左右にほぼ直角には りだす 包のさきが尖る
トキワハゼ ( ごまのはぐさ科さぎごけ属 ) 畑 道端で見られる 1 年草 トキワハゼの花 ムラサキサギゴケにそっくりだが下のような違いがある トキワハゼ ランナーを出さない ムラサキサギゴケ ランナーをのばして広がる 春から秋まではなをつけ 花は春だけ 湿ったところ る を好む 花の色は上唇は紫 花の色は淡紫 ~ 紅紫色で濃 下唇は少し紫 い 下唇に黄褐色の斑紋があ がかった白色 る セリ科の植物 ( ちどめ属 ) 子房 チドメグサの花 チドメグサ 花 ( 実 ) が葉より上につきでる オオチドメ 花 ( 実 ) が葉柄より短い ノチドメ チドメグサの葉 茎は糸のように細い 葉につや 葉の裏に長い毛まばらにある ヒメチドメ ノチドメ 葉面は無毛 花序は葉より上に出る オオチドメ ヒメチドメ 葉の切れ込み浅い 葉の切れ込み深い - 17 -
ブドウ科の植物 ノブドウ ( ぶどう属 ) ヤブガラシ ( やぶがらし属 ) おしべが花弁と 花弁 対になる 花弁は緑色 花弁とおしべが午前中に落ちる めしべ花盤 青い実がなる 中には虫こぶになっているものもあり タマハ エの幼虫が入っている 花盤 花弁とおしべが落ちた後の花盤がオレンジ色になり美しい ヘクソカズラ ヤエムグラ ( あかね科へくそかずら属 ) ( あかね科やえむぐら属 ) 茎は左巻きにからむ 全体に悪臭がある 花の作りが面白い おしべのつきかた 茎や葉 花 果実 めしべの形 にとげがあり他の植 花冠の中の密生する毛 物に引っかかって伸びる 花は白 中が暗い赤色 に染まっている 本来の葉は2 枚で他の4~6 枚は葉と同じにな 対生についている葉間に托葉がある った托葉 ( 葉状托葉 ) である 花 子房 ウマノスズクサ アオツヅラフジ ( うまのすずくさ科うまのすずくさ属 ) ( つづらふじ科あおつづらふじ属 ) サキソホン形の花 雌雄異株 雌株に実が付く 花筒の中に逆毛があり 入っ 花弁は萼片より短い た虫は出られな先が 2 つに裂ける くなる 衣服を入れるかご つ 花粉が出来花がしおれた頃 花粉を付けづら をこのつるで作た虫が出られる った ジャコウアゲハの食草 - 18 -
イネ科の植物 ススキ ( すすき属 ) オギ 小穂に ノギ がある 小穂の基部についている白い毛は小穂と同じくらいの長さである 小穂に ノギ がない 小穂の基部の銀白色の毛は小穂のながさの3~4 倍ある 葉舌に毛がある 葉舌に毛がない 茎は根もとに多数集まって大きな株になる 地下茎が横に伸び 節や先の方から茎が1 本づつ直立して生える 花の頃には茎の下の方の葉が枯れて落ちる - 19 -
エノコログサ ( えのころぐさ属 ) アキノエノコログサ 花穂が犬の尾に似ていることから名が付いた 別名 ネコジャラシ エノコログサの穂はまっすぐ立ち アキノエノコログサの穂は垂れる 穂から出る毛は芒でなく 小穂の柄から生じる長い突起である エノコログサの穂の中の種子が 2 枚の小さな鱗状の包頴に完全に包まれ見えないが アキノエノコログサは中の種子が見える キンエノコロ ( えのころぐさ属 ) 高さ 50 ~ 90 で花期が 8 ~ 10 月の 1 年生草本 花穂はエノコログサより小さめの円柱状でまっすぐに立つ 小穂は 2.8 ~ 3 mmで付け根に多数の黄金色の芒がある メヒシバ ( めひしば属 ) オヒシバ ( おひしば属 ) 地表を這う茎から立ち上がった茎の先に細い穂を数本放射状に広げる ぶ 小穂は先のとがった被針形で緑色 小穂は果実が熟すと基部で折れ 脱落する 茎の先に花序の枝を出し枝の片側に緑色の扁平な小穂が2 列に並ぶ 花序の枝の片側に小穂がびっしり 2 列に並んでつく 葉は線形で縁に白い長い軟毛が散生する - 20 -
ばら科の さくら属 ソメイヨシノ 江戸時代の末頃 江戸の染井村の植木職人が育てていたエドヒガンとオオシマザクラの雑種が広まったもの 蜜腺 ( 葉柄に ) つぼ形 萼片の下部はふくらむがエドヒガンほどくびれない 花序に柄がない オオシマザクラ 伊豆諸島などに分布していた桜がオオシマザクラとして広まり 葉は香り ( クマリン ) が良いので塩づけにしてサクラ餅に用いられる 葉柄の上部に蜜腺 鋸歯の先が長い 葉の展開とほぼ同時に花が咲く 普通 花色は白っぽい 花糸 花柱 子房 萼は無毛 カスミザクラ 県内では角田 弥彦など海岸腺にそって良く見られる 蜜腺は葉柄上部にある 花柄や葉柄に毛のある ものが多い 鋸歯は重又は単鋸歯で 鋭くとがる 花 花糸 花柱 子房は無毛 萼のふちは全縁 苞の縁には鋸歯がある - 21 -
オクチョウジザクラ 角田 弥彦 新津丘陵では 3 月初めから花を咲かせる 低木 葉の形が特徴的で見分けやすい 鋸歯がとがらない重鋸歯 花を横から見ると 丁の字の形にみえる ウワミズザクラ 新潟では 花の蕾を塩漬けにして食べ 香りがアンズの種の仁に似た香りがあることから 杏仁子 アンニンコ と呼ぶ 花の付く枝に葉がある 材は硬く金剛桜と呼ぶ地方も 花期は 6 月上 中旬 新枝の先から伸びた総状花序に 径 6 mmほどの花をつける 葉の先は尾状にとがり 縁に鋭い鋸歯がある 樹皮や枝は紫褐色で 樺細工等に使われる イヌザクラ 樹皮や新枝は灰白色である 花期は 6 月上 中旬 花はまばらに付いているように見える 枝の節から出た 5 ~ 10 cmの花序に沢山の小さい花を咲かせる 花序の根もとに葉はつかない - 22 -
ドングリなどの実のなる木 ぶな科の植物に 日本の森林を構成する重要な樹木が多い 家具材や食用としてクリをはじめ ブナやシイ類はおなじみである 渋抜きの必要ないナラ類のドングリは 古代の人々の主要なたべものであったと言われている かくと 果実はクリのいがやドングリのお椀など 殻斗といわれる総包に包まれているのがぶな科の大きな特徴である ぶな科の植物 ブナ ( ぶな属 ) クヌギ ( こなら属 ) よく似たイヌブナ ( 県内ではあまり見られない ) がある 葉脈の数がイヌブナの方が多い ( イヌブナは 10 ~ 14 対 ) 種のよくなる年が数年間隔であり 翌年種から芽を出す幼生が見られる年とまったく見られない年とがある 幹を伝わる雨水を見ることができる ( 樹幹流 ) クヌギの実の幼生 クヌギの葉の鋸歯 葉の側脈が 16 対 ~ 20 対で 平行してへりに達する 下面は淡黄緑色で 脈のうえを除いて無毛 きょ歯の先端はのぎ状に長くつきでる 暖帯 温帯の山地に生える高木で 薪炭やシイタケの原木などに植林された クリ ( こなら属 ) 葉ののぎ状の突起はクヌギにくらべて短く 先端附近まで葉脈組織がついている クリの葉の鋸歯 - 23 - 葉の下面には微毛のほか 小さい腺点が散らばっている 暖帯 温帯の高木で日本には広く分布する
コナラ ( こなら属 ) ミズナラ ( こなら属 ) 葉柄が長い 葉柄が ごく短い 葉は上半分が幅が広く基部は丸い 葉の下面は長い軟毛が多く灰白色 を帯びる 枯れ葉が長く残り ついている 山麓などの雑木林に生える 葉のきょ歯は大ぶりでとがり やや浅裂状 葉の基部は細くなり ごく短い葉柄の左右に耳たぶ状につきだす 雑木林に生える ナラガシワ ( こなら属 ) カシワ ( こなら属 ) コナラを大きくした形で 葉柄が長い 葉のきょ歯は大きく 丸く 浅裂状 葉の下面は星状毛を密生して灰白色 葉の下面は星状毛や短毛が密生して, 雑木林に生える高木 灰白色 シラカシ ( こなら属 ) アカガシ ( こなら属 ) 葉は厚くつやがある 宮城 新潟以西 扁平で厚みののある葉 春 雄花は下垂し 上に雌花を数個付け 4 月下旬頃 雄る 花序を下垂し 上部 果実は堅果で 10 月頃結実する に雌花が付く 公園樹や庭木などで見かける 堅果は翌年の秋にト ンク リとなり食用になる - 24 -
マテバシイ ( まてばしい属 ) スダジイ ( しい属 ) 九州南部などの タブと共に 暖地性照葉樹林を代表する樹暖かい所に自生種の一つ する常緑の高木 花が咲いた翌年の秋 実は花が咲いたにドングリの実が成翌年に熟し 2 ~ る 3cmの大きなドングリになる 佐渡御島石部神社の 縄文の頃の主食と言われ 各地に植えらシイ樹叢は本種北限れ救荒植物とされてきた にあたり 県の天延記念物である くるみ科 オニグルミ ( くるみ属 ) サワグルミ ( くるみ属 ) 葉は互生 奇数羽状複葉 小葉は対生 星状毛が多数 雌雄同株 雌雄異花 枝先に雌花がつき 包のなかから赤い花柱がでる 雄花序は前年の葉えきからたれさがる 種子は子房に富みいろいろな食用に使われている 雌雄同株 雌雄異花 新枝の先に雌花序 枝の基部には雄花序が垂れ下がる 葉は奇数羽状複葉で互生する 主に谷筋にのみ分布する ゆずりは科 ユズリハ ( ゆずりは属 ) エゾユズリハ ( ゆずりは属 ) どちらも雌雄が異株である 花にはがく 花弁がない 雄花 雌花 退化した雄ずい ユズリハエゾユズリハ樹高高さ 10m 直径 30 cm高さ 3m 直径 10 cm位 公園で咲くユズリハ花 葉 長さ 20 cm 巾 6 cm 長さ 15 cm 巾 4 cm位 側脈 10 ~ 19 本 8 ~ 10 本 分布 北海道 東北北部を 北海道 中部以北の 除いて分布 日本海側 - 25 -
すぎ科 メタセコイア ラクウショウ ( めたせこいあ属 ) ( ぬますぎ属 ) 枝につく葉は2 列 枝には長短 2 種類有 対生する り 長枝の葉は鱗片 状でらせん状につく 枝の先端に冬芽が 短枝の葉は線形で基 出来るとその枝は 部がくびれる 落ちないが 冬芽 の出来ない枝は落 秋に葉は黄変し 小 ちる 葉 葉柄 小枝まで 落ちる 枝のうち先 端に冬芽の出来た物 この属は 三木茂により化石で発見さ は越冬し 出来ない れ発表された 5 年後に中国で生きたも 物は落ちる のも見つかった 化石の方が先見つか り 命名されたのは非常に珍しい アオキ ( みずき科あおき属 ) ヒメアオキ ( みずき科あおき属 ) どちらも雌雄別株花弁 4( 雄花に葯が 4 こ雌花は 1 こ ) 花粉化石の研究から アオキはヒメアオキが進化した との可能性が高まった アオキ ヒメアオキ 長さ 8 ~ 25 cm 巾 2 ~ 12 cm 長さ 7 ~ 16 cm 巾 2 ~ 4.5 cm 葉 葉上部に荒い鋸歯 葉は無毛 鋸歯は荒くて目立たない 公園で咲く雄花 ( 右 ) と雌花 ( 左 ) 葉柄上側に浅い溝 葉柄上側に V 字状の溝あり 樹高 2 ~3 m 太さ 6 cm 1 m 太さ 1.5 cm 果実 1.5 ~ 2 cm 1.2 ~ 2 cm 分布 北海道 本州日本海側 その他 かばのき科の植物 新潟にアオキとヒメアオキの中間種が発見されている イヌシデ ( くましで属 ) アカシデ ( くましで属 ) 果包鋸歯の切れ込みが浅い 果包鋸 歯の切れ 込みが深 い 新緑と同時に花も咲く 新緑の展 雌雄同株 雌雄異花 開と同時に花が開く 葉の側脈は 10 ~ 15 対 雌雄同株 雌雄異花 花穂の長さ 4 ~ 10 cm 葉の側脈は 12 ~ 15 対 若い枝や葉柄が赤い 葉に毛が多い - 26 -
サワシデ ( くましで属 ) ハンノキ ( はんのき属 ) 雌雄同株 雌雄異花 花期は 5 月 果包の鋸歯は 細かく浅い切れ 込み 雌雄同株 果包が蜜に付き 長さ 4 ~ 15 cmの果穂が下垂する 春早く枝先端に尾状の雄花序と 近くの葉えきに雌花序が付く ( ヤシャブシは雄花序に柄が無く枝から直接斜上する ) 水辺や水湿のある低地にはえる 古くから稲木とされてきた すいかずら科の植物 ムシカリ ( がまずみ属 ) ガマズミ ( がまずみ属 ) 花期は初夏 縮緬状の葉の形からオオカメノキの名もある 花期春 白い大きな花は 装飾花で無性花 実は渡り鳥などに食べられ 種子が南に運ばれる 葉の形は ほぼ円形に近い物から菱形に近い物までいろいろある 葉柄に開出毛が多い 葉は表面に点在する程度 裏面の脈状にやや長い毛がめだつ 花は香りが良く よい蜜源になる ヤブデマリ ( がまずみ属 ) ノリウツギ ( ゆきのした科あじさい属 ) 花期 5 ~ 6 月 花期 7 ~ 8 月 花序の周辺には花冠が 5 つに分かれた装飾花があり その 1 つは不 装飾花は萼片が花弁状に変化したもの なかの両生花の 稔である 萼片と花弁共に 5 枚 東北から北陸に毛のないものが多く ケナシヤブデマリとよばれている 樹皮から和紙をすくのに のりをとる - 27 -
アズキナシ シナノキ ( ばら科ななかまど属 ) ( しなのき科しなのき属 ) 葉は互生し側 葉は互生 先 脈は 8 ~ 10 対 は尖る 基部 ( まれに 13 対 ) は通常 心形 葉に明瞭な側 花は両生花 脈があり 側 淡黄色の花を 脈が葉の裏に さかせる 突出している 5 ~ 6 月に白色の 5 弁花を開く 花序の柄に包が1つつく 秋に小豆大の赤い実をつける 樹皮の内皮は 靭皮繊維が強く シナ布を作る カラスザンショウ ( みかん科さんしょう属 ) イヌザンショウ 7 ~ 8 月に枝先に花序を出し 多くの花を密生させる 秋に枝ごと種子を落とし 中の黒い種子は独特の香りがする 3メートルくらいの大 サンショウに似ているが異なるの 木になりサンシ でイヌ ( 否 ) の言葉が付いた ョウと異なると 名が付いた サンショウとの違いは 芳香が 無く 刺が互生 ( サンショウは対 複葉の葉の中軸 生 ) で見分けられる に刺があり 茎 にも大きな刺が 果実は煎じて 咳止めなどの薬用 ある に使われてきた テイカカズラ ( きょうちくとう科ていかかづら属 ) 茎から気根を出し 他のものに固着する 成木になると樹皮から離れ 枝を空中に伸ばす 花期 6 月 ~ 実がなると又咲かせる 花は 5 裂した筒状花をつけ 白から淡黄色になりジャスミンに似た芳香がする 細長い袋果が縦に裂け 中から冠毛の付いた種子を風にのせて飛ばす 和名は謡曲の 定家蔓 による - 28 -
シダの用語 シダの仲間 裂片 小羽片 葉 身 ソーラス 胞子嚢群 包膜 胞子嚢 中軸 ( 葉軸 ) 羽片 小羽片 根茎 最下羽片 鱗片 葉柄 鱗片 ヒカゲノカズラ ( ひかげのかずら科 ) 小さな葉は放射状に開く 胞子嚢穂は直立し 長い柄を持つ アマノウズメノ尊が天の岩戸の前で このカズラを素肌に巻いて舞ったと言われている - 29 -
ベニシダ ( おしだ科 ) リョウメンシダ ( おしだ科 ) 小羽片 小羽片 包膜が赤い 葉の色や光沢が表も裏も同じ ナライシダ ( おしだ科 ) イヌワラビ ( おしだ科 ) 小羽片 ソーラスは最小羽片に 1 ~ 4 コ 中央から下の羽片には柄がある ゼンマイ ( ぜんまい科 ) ワラビ ( こばのいしかぐま科 ) 胞子葉 ( 実葉 ) 根茎は地中を長く這い 群落を作る 葉の裏面は多毛 栄養葉 ( 裸葉 ) - 30 -
クジャクシダ ( わらび科 ) ヤブソテツ ( おしだ科 ) クシ ャクシタ の小羽片 葉は鮮緑色 ヤブソテツの羽片耳状突起 葉 光沢は少ない紙状草質 淡い暗緑色 羽片は 15 ~ 25 対 胞膜は灰白色 シシガシラ ( ししがしら科 ) 丸み 先の方に鋸歯あり不規則な波状縁 胞子葉 栄養葉 よく似た仲間にオサシダがある シシガシラ オサシダ ( ししがしら科 ) 胞子葉 栄養葉 中肋が良く見える 中肋がはっきり見えない 胞子葉 栄養葉 鱗片は線形 鱗片は狭卵形 - 31 -