はじめに 日本の平和と安全を維持し その存立を全うすることは 政府 の最も重要な責務です また 日本の安全保障政策を高い透明性をもって示すことも政府が果たすべき役割です 日本は 戦後 70 年以上にわたり 平和国家として歩んできました 自由 民主主義 人権 法の支配を擁護し 地域そして世界の平和と繁

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平和安全法制などの整備法整備の経緯 図表 Ⅱ 閣議決定 の概要と法制整備 閣議決定 の項目 概要 法制整備 警察や海上保安庁などの関係機関が それぞれの任務と権限に応じて緊密に協力して対応す 治安出動 海上 1 武力攻撃に 至らない るとの基本方針の下 対応能力を向上させ連携を強化するな

第 4 回日豪外務 防衛閣僚協議 日本とオーストラリア : 平和と安定のための協力 共通のビジョンと目標 1. 玄葉光一郎日本国外務大臣, 森本敏日本国防衛大臣, ボブ カー オーストラリア外務大臣, スティーブン スミス オーストラリア国防大臣は,9 月 14 日にシドニーにおいて会談し, 地域的

Security declaration

あなたやあなたの子どもが 国外の戦争で殺し・殺される!? 安倍政権の戦争法案

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あなたやあなたの子どもが 国外の戦争で殺し・殺される!? 安倍政権の戦争法案

新 日米防衛協力のための指針 ( ガイドライン )

NSS-summary

大綱コンセプトの変遷 初めて策定した 51 大綱 (1976 年策定 ) においては 自らが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないよう 必要最小限度の防衛力を保有するという考え方 すなわち 基盤的防衛力構想 を採用 その後 東西冷戦の終結といった国際情勢の変化 より安定した安全保

安全保障会議 ( 現行 ) の概要 ( 構成 ) 委員長 : 内閣官房長官 委 安全保障会議 ( 構成 ) 議長 : 内閣総理大臣 事態対処専門委員会 内閣総理大臣の諮問に基づき 以下の事項を審議 国防の基本方針 防衛計画の大綱 対処基本方針 武力攻撃事態 / 周辺事態等への対処 / 自衛隊法第 3

自衛隊の補給支援活動に関する特別世論調査 の要旨 平成 21 年 3 月内閣府政府広報室 調査時期 : 平成 21 年 1 月 22 日 ~2 月 1 日調査対象 : 全国 20 歳以上の者 3,000 人有効回収数 ( 率 ):1,684 人 (56.1%) 1 補給支援活動の認知度 平成 21

の自由 妨げられない通商活動 自制と 1982 年の国連海洋法条約 (UNCLOS) を含む国際法の普遍的な原則に従った紛争の平和的手段による解決を推進することの重要性を強調した 我々は ARF や ASEAN 海洋フォーラム拡大会合等を通じた情報共有や能力構築を含む 海洋安全保障及び海上の安全に関

インド洋におけるテロ対策海上阻止活動及び海賊行為等対処活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案要綱

奮戦

縦軸)我が国 国民に関する事項ための活動を実施可能に(国際社会に関する事項 平和安全法制 の主要事項の関係 在外邦人等輸送 ( 現行 ) 自衛隊法 在外邦人等の保護措置 ( 新設 ) 自衛隊の武器等防護 ( 現行 ) 自衛隊法 米軍等の部隊の武器等防護 ( 新設 ) 平時における米軍に対する物品役

1 自衛隊に対する関心 問 1 あなたは自衛隊について関心がありますか この中から 1 つだけお答えください 平成 30 年 1 月 関心がある ( 小計 ) 67.8% 非常に関心がある 14.9% ある程度関心がある 52.9% 関心がない ( 小計 ) 31.4% あまり関心がない 25.9%

前提 新任務付与に関する基本的な考え方 平成 28 年 11 月 15 日 内 閣 官 房 内 閣 府 外 務 省 防 衛 省 1 南スーダンにおける治安の維持については 原則として南スー ダン警察と南スーダン政府軍が責任を有しており これを UNMISS( 国連南スーダン共和国ミッション ) の部

目次 1. 調査概要 Page 2 2. 回答者属性 Page 3 3. 問 1. 地球儀を俯瞰する外交 Page 4 4. 問 2. 日本の国連安保理非常任理事国としての取組 Page 5 5. 問 3. 東アジアの安全保障政策 Page 6 6. 問 4. 女性参画推進における国際的取組 WAW

Taro-文書1

テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案要綱

れにMINUSTAH 軍事部門司令部において行われる企画及び調整の分野並びに我が国のMINUSTAHに対する協力を円滑かつ効果的に行うための連絡調整の分野における国際平和協力業務を行わしめるとともに 自衛隊の部隊等により ハイチ地震の被災者の支援等の分野における国際平和協力業務を実施することとする

PowerPoint プレゼンテーション

( 別紙 ) 国家安全保障戦略 Ⅰ 策定の趣旨政府の最も重要な責務は 我が国の平和と安全を維持し その存立を全うすることである 我が国の安全保障 ( 以下 国家安全保障 という ) をめぐる環境が一層厳しさを増している中 豊かで平和な社会を引き続き発展させていくためには 我が国の国益を長期的視点から

I. 集団的自衛権 A. 集団的自衛権とは集団的自衛権は 国際連合の成立の際に 初めて国際法上で創設され 国連憲章第 51 条に明文化された権利である 具体的には 自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を 自国が直接攻撃されていないにもかかわらず 実力をもって阻止する権利 であり 日本政府もこの

三衆議院議員稲葉誠一君提出自衛隊の海外派兵 日米安保条約等の問題に関する質問に対する答弁書一について1 我が国が安全保障理事会の常任理事国となるためには 国連憲章の改正が必要であるが 安全保障理事会の常任理事国は 国連憲章の改正についても いわゆる拒否権を有しており 一般的にいつて 国連憲章の改正に

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政府開発援助大綱 平成 15 年 8 月 29 日 外務省経済協力局

ANNUAL REPORT

第 9 部 宇宙空間における制度的枠組 第 1 章 総 論 国際社会は 宇宙空間における軍事利用を禁止又は制限する幾つかの国際的な枠組みを既に作成してきている 例えば 1967 年に発効した宇宙条約は 宇宙を宇宙空間と月その他の天体とに分け 宇宙空間については 核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ

設問 6: あなたは普段どの程度国際的なニュースや情報に接しているか ( 注 ) この設問は2015 年より実施 (1) 毎日 (2) 週に2~3 回程度 (3) 週 1 回程度 (4) 月 1 回程度 8 8 (5)2~3ヶ月に1 回程度 2 3 (6)6ヶ月に

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防衛交流の基本方針について(通達)

間を検討する 締約国が提出した 貢献 は 公的な登録簿に記録される 締約国は 貢献 ( による排出 吸収量 ) を計算する また 計算においては 環境の保全 透明性 正確性 完全性 比較可能性及び整合性を促進し 並びに二重計上の回避を確保する 締約国は 各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有して

HP掲載後微修正】日本側共同声明案和文

11

グループ発表 PKO 賛成派平和のための PKO 2015/06/16 山上咲子 1.PKO( 国連平和維持活動 ) とは何か PKO は一般的に 国連の安全保障理事会の決議に基づいて 加盟国による特別な部隊を作り 紛争の起った地域に派遣して紛争の拡大 再発防止 停戦後の平和維持のために行う活動 と

エチオピア 2017 年 2 月 エチオピアは FATF 及び ESAAMLG( 東南部アフリカ FATF 型地域体 ) と協働し 有効性強化及び技術的な欠陥に対処するため ハイレベルの政治的コミットメントを示し 同国は 国家的なアクションプランや FATF のアクションプラン履行を目的とした委員会

実であれば このように人命を盾にとって脅迫をするということは誠に許しがたく 強い怒りを覚えているという旨を発言をし そして防衛省としましても 防衛駐在官等を通じまして 情報収集に万全を期す所存である旨を伝えたところでございます そして わが国としてもテロに屈することなく 日英で協力をして 国際社会に

A: 最近の韓国での出来事だとか 日本での出来事などについて率直に意見交換をしたわけでございますが 私が感じたのは長官の話を通じて 韓国のこの平和と朝鮮半島の平和と安定 これは日本にとっても安全保障上 大変重要なことでございまして 韓国の防衛政策も伺えましたけど 非常にしっかりとしたものであります

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

撃のリスクが 全ての地域と加盟国に影響する可能性があることに懸念を表明し 民間航空に対するテロ攻撃について深刻な懸念を表明しそしてそのような攻撃を強く非難し 民間航空が 外国人テロ戦闘員による輸送手段として用いられる可能性があることにまた懸念を表明し そして 1944 年 12 月 7 日にシカゴで

安倍戦争法の危険 1 安倍戦争法の実際の危険 2 さらに危険な段階に入った日本の軍国主義 3 戦争法阻止のために全力を

個人情報保護法の3年ごと見直しに向けて

⑴ 政策目的本件は, 我が国において開発資金のための国際連帯税 ( 国際貢献税 ) を導入し, 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ 等, 国際的な開発目標の達成に対応 貢献するために, 世界の開発需要に対応し得る幅広い開発資金を調達するもの これは, 外務省政策評価, 基本目標 Ⅵ 経済協

総 論

条第一項に規定する国際平和協力業務の実施等に関する重要事項九自衛隊法 ( 昭和二十九年法律第百六十五号 ) 第六章に規定する自衛隊の行動に関する重要事項 ( 第四号から前号までに掲げるものを除く ) 十国防に関する重要事項 ( 前各号に掲げるものを除く ) 十一国家安全保障に関する外交政策及び防衛政

300

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

Microsoft Word - 【外務省】インフラ長寿命化(行動計画)

この長期にわたる紛争に対する政治的解決を達成することとマグレブ アラブ連合の加盟国間の協 力の強化は 安定および安全 同様にサヘル地域の全ての人々のための仕事 成長および機会を導き出 すことに貢献するであろうことを認識し 国際連合西サハラ住民投票監視団 (MINURSO) を含む 全ての平和維持活動

2 各国の動向 米国 : 世界最大の総合的な国力 中露等との 戦略的競争 同盟国等に対し 防衛のコミットメントを維持するとともに 責任分担の増加を要求 NATO: ハイブリッド戦 への対応 国防費を増加 中国 : 透明性を欠いた軍事力の強化 新領域の優勢確保を重視 一方的な現状変更の試み 東シナ海で

参考資料 1-1 本年次報告の位置付け サイバーセキュリティ戦略 (2015 年 9 月 4 日閣議決定 ) に基づく二期目の年次報告 2016 年度のサイバーセキュリティに関する情勢及び年次計画に掲げられた施策の実施状況を取りまとめたもの ウェブアプリケーション (Apache Struts 等

平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

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よる 誓約 への留意 ( パラ 139) 核兵器使用の影響は瞬時又は長期的な結末をもたらし, それが以前理解されていたよりもずっと深刻であることを確認 ( パラ 140) あらゆる核兵器の使用による壊滅的で非人道的な結末に関する深い懸念は, 核軍縮分野における努力を下支えし続けるべき鍵となる要因であ

I. 2 II III IV

平和安全法制整備法案と国際平和支援法案

PowerPoint プレゼンテーション

008 しかし 自衛隊が最初から広く国民に受け入れられる存在だったかというと 決してそうではなかった 創設時から憲法違反という批判も受けながら 戦後の平和主義の中で苦しみつつ成長してきたというのが実態である かつては自衛官という存在自体を否定的に考える風潮もあったのである たとえば ノーベル文学賞を

また 前提となる衝突や紛争といった脅威が不明確であり 在日米軍 海兵隊の出動が見込まれる事例をはじめ 具体的な説明がなく 抽象的である このような内容では 県外移設 ができない理由が説明されているとは言えず 県民の納得のいくものではない 鳩山前総理は 昨年 5 月の記者会見において 何とか県外に見つ

★EU集計表タイプ公表資料

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JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

平和維持活動業績資料を含む 平和維持活動の有効性に関する資料が 明快で十分に特定された達成条件に基づいて 派遣団の活動の分析と評価を改善するために用いられることを確保するという事務総長への安保理の要請を想起し 派遣団が その職務権限を効果的に実行するために必要とされる技能と柔軟性を保持するような M

政策目標 5-2: 多角的自由貿易体制の維持 強化及び経済連携の推進並びに税関分野における貿易円滑化の推進 1. 政策目標の内容自由貿易の推進は我が国の対外経済政策の柱であり 力強い経済成長を実現するためには 自由貿易体制を強化し 諸外国の活力を我が国の成長に取り込む必要があるというのが 政府全体と

Rodrigo Domingues UNDP Borja Santos Porras/UNDP Ecuador UNDP Kazakhstan 2

朝日 TV 2015/4/18-19 原発政策安倍内閣は 今後の電力供給のあり方について検討しているなかで 2030 年時点で 電力の 2 割程度を 原子力発電で賄う方針を示しています あなたは これを支持しますか 支持しませんか? 支持する 29% 支持しない 53% わからない 答えない 18%

掃海を挙げているが これを実質的に見れば (1) の 今まさにそこにある危機 というよりもむしろ (2) の日米同盟の強化の意味合いが大きい そのため 政権が武力行使の要件として示す 存立危機事態 には 実質上 日米同盟存立危機事態 の要素が入り込み それが 武力行使の限界の外縁を曖昧にしている 以

の理解と参加を促進し, 開発協力を支える社会的基盤をより一層広げ, 強化するために, NGO/ 市民社会 (CSO) との連携が推進されるべきことが謳われたところである 以上の経緯と背景の下に NGO と ODA の連携に関する中期計画 ~ 協働のための 5 年間の方向性 ~ が策定されることとなっ

2 加わって海外で武力を行使したりしないこと)を大きく逸脱するものです 今年3月20 日に その法案化に向けての与党協議会での合意文書がまとめられ 4月17 日には全体像が提示されました これについて自民 公明両党からの強い異存は出なかったとされています 4月下旬での与党合意や日米防衛協力のための指

一防災 減災等に資する国土強靱化基本法案目次第一章総則 第一条 第七条 第二章基本方針等 第八条 第九条 第三章国土強靱化基本計画等 第十条 第十四条 第四章国土強靱化推進本部 第十五条 第二十五条 第五章雑則 第二十六条 第二十八条 附則第一章総則 目的 第一条この法律は 国民生活及び国民経済に甚

制度見直しに関する主な方向性については 次の通り考えるものとする 1. ビッグデータ時代におけるパーソナルデータ利活用に向けた見直し 個人情報及びプライバシーの保護に配慮したパーソナルデータの利用 流通を促進するため 個人データを加工して個人が特定される可能性を低減したデータに関し 個人情報及びプラ

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

地球規模の地理空間情報管理に関する国連専門家委員会 (UNCE-GGIM) 報告 2012 年 8 月ニューヨークで第 2 回の地球規模の地理空間情報管理に関する国連専門家委員会 (UN Committee of Experts on Global Geospatial Information Ma

仮訳 日本と ASEAN 各国との二国間金融協力について 2013 年 5 月 3 日 ( 於 : インド デリー ) 日本は ASEAN+3 財務大臣 中央銀行総裁プロセスの下 チェンマイ イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブ等の地域金融協力を推進してきました また 日本は中国や韓国を

これまでの G7 コミットメント及び持続可能な開発のための世界的な枠組み を定める 2030 アジェンダに沿って行動する必要性を認識しつつ, 我々 G7 首 脳は, 以下にコミットする 強靱な沿岸及び沿岸部コミュニティ 1. より良い適応計画, 緊急事態への備え及び回復の支援 我々は, 政策ギャップ

3 議事概要 (1) 安倍総理から 冒頭挨拶の中で 1 政府は 日本国民の生存と日本国の存立を守る責任を有している 2 憲法前文にあるとおり 日本は一国平和主義ではなく 国連の集団安全保障体制の下で自国及び国際の平和と安全を維持することを安全保障の課題としてきた 3 我が国を取り巻く厳しい国際環境を

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3 議事概要 (1) 安倍総理から 冒頭挨拶の中で 1 我が国を取り巻く安全保障環境は 我が国が独立を果たして以来激変した 2とりわけ近年顕著なのは グローバルなパワーバランスの急激な変化であり 東アジアの安全保障環境は第一次報告書が提出された6 年前に比べても一層厳しさを増している 3 大量破壊兵

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の方が違憲の問題を指摘しています ポイントは 我が国が 武力の行使をする際の要件として 相手国からの我が国に対する武力攻撃が必要条件か という点にあります この点について政府は 我が国に対する武力攻撃が無くても 我が国の存立が脅かされ他に方法が無いような場合 すなわち新三要件が満たされる場合には 限

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周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

各府省からの第 1 次回答 1. 災害対策は 災害対策基本法に規定されているとおり 基礎的な地方公共団体である市町村による第一義的な応急対応と 市町村を包括する広域的な地方公共団体である都道府県による関係機関間の総合調整を前提としている を活用してもなお対応できず 人命又は財産の保護のため必要がある

規制の事前評価の実施に関するガイドライン(素案)

2015 年は 日本の安全保障政策の歴史に残る年となった 4 月 27 日には 1997 年以来 18 年ぶりに新たな 日米防衛協力のための指針 ( 以下ガイドライン ) が策定された この新ガイドラインによって 日本の平和 安全の確保をガイドラインの中核的な役割として維持した上での協力の維持強化

いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年



検査若しくは修理又は補給 ( 武器の提供を行う補給を除く ) エ自然災害によって被害を受けた施設又は設備であってその被災者の生活上必要なものの復旧又は整備のための措置オ宿泊又は作業のための施設の維持管理 3 国際平和協力業務の実施の方法 (1) 実施計画及び実施要領の範囲内において 事務総長等による

の権利 包摂的な貿易 持続可能な開発並びに伝統的な知識を促進することの重要性並びに公共の利益のために締約国が規制を行う権利を有することの重要性を再確認すること並びに他の国又は独立の関税地域のこの協定への加入を歓迎することを決意して 次のとおり協定した 第一条環太平洋パートナーシップ協定の組込み1締約

新たな防衛計画の大綱に向けた提言

(Microsoft Word - \202\335\202\307\202\350\202\314\203}\203j\203t\203F\203X\203g11.doc)

安全保障法制改定法案に対する意見書

資料1 第3回災害救助に関する実務検討会における意見に対する回答

[グループⅠ]公募仕様書案

預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投

【】中学社会公民:国際連合

なぜ社会的責任が重要なのか

Transcription:

日本の安全保障政策積極的平和主義外務省 MOFA Ministry of Foreign Affairs

はじめに 日本の平和と安全を維持し その存立を全うすることは 政府 の最も重要な責務です また 日本の安全保障政策を高い透明性をもって示すことも政府が果たすべき役割です 日本は 戦後 70 年以上にわたり 平和国家として歩んできました 自由 民主主義 人権 法の支配を擁護し 地域そして世界の平和と繁栄に貢献してきました 日本の安全保障政策は この歩みの延長上にあり 平和国家としての根幹は不変です 一方 日本を取り巻く安全保障環境は 北朝鮮による核 ミサイル開発の継続等にみられるように 一層厳しさを増しています さらに サイバー攻撃や国際テロのように 脅威は容易に国境を越えてくるようになっています 今や どの国も 一国のみで自らの平和と安全を確保することはできません 国際社会もまた 日本が国際社会の平和と安定のために一層積極的な役割を果たすことを期待しています 国際協調主義に基づく 積極的平和主義 は このような現実を背景に 日本政府が掲げる日本の国家安全保障の基本理念です 日本は 日本の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ 国際社会の平和と安定及び繁栄にこれまで以上に積極的に寄与していく考えです 2

日本の平和国家としての歩み 日本は 戦後一貫して平和国家としての道を歩み アジア太平洋地域や国際社会の平和と安定を実現してきてい ます 日本の安全保障政策は この歩みの延長上にあります 人間の安全保障の理念に立脚した途上国への開発協力 日本は 人間の安全保障の理念に基づき 持続可能な開発目標 (SDGs) を含む持続可能な開発のための2030 アジェンダの実施に向けた努力を始め 日本らしい開発協力を実施しています 多くのアジア諸国は こうした日本の協力も支えとなり 安定と経済成長を達成し 民主主義を実現してきました 写真提供 : 今村健志朗 /JICA 地球規模課題への取組 日本は 貧困 気候変動 地球環境問題 女性 保健 教育 防災 水 衛生 農業といった様々な地球規模課題に積極的に取り組んでいます 日本は 国際的なルールづくりを主導するとともに 途上国の能力構築支援などを通じ 地域及び国際社会の平和と繁栄に貢献しています 2015 年 9 月持続可能な開発のための 2030 アジェンダを採択する国連サミットで演説する安倍総理 内閣広報室 軍縮 不拡散の取組 日本は 核兵器のない世界 の実現に向け 軍縮 不拡散イニシアティブ (NPDI) の主導 国連総会への核兵器廃絶決議の提出 包括的核実験禁止条約 (CTBT) の早期発効 核兵器用核分裂性物質生産禁止条約 (FMCT) の早期交渉開始等に向けた働きかけなど 国際社会による核軍縮 不拡散の議論を主導しています また核セキュリティ 小型武器を含む通常兵器の分野でも中心的な役割を果たしています 第 8 回軍縮 不拡散イニシアティブ (NPDI) 外相会合 ( 於 : 広島 ) 自衛隊による貢献 日本の自衛隊は 1991 年にペルシャ湾で機雷の掃海を行って以降 国際社会の平和を確保するために様々な貢献を行っています 国連 PKO 国際緊急援助活動 インド洋上での補給支援活動 イラクでの人道復興支援活動はその一例です 近年では アデン湾における海賊対処活動や2015 年のネパール地震の際の自衛隊部隊による医療活動などを行い 国際社会の信頼を得ています ネパールに派遣された国際緊急援助隊 ( 医療援助隊 ) の活動 防衛省 3

国際協調主義に基づく 積極的平和主義 の立場から 世界の平和と安定及び繁栄にこれまで以上に積極的に寄与します 日本を取り巻く安全保障環境と課題 パワーバランスの急激な変化 テロやサイバーなど新たな脅威の出現 厳しいアジア太平洋地域の安全保障環境など 日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しています また 脅威は容易に国境を越えていきます 核兵器国を含む大規模な軍事力を持つ国家等 が集中する一方 安全保障面の地域協力枠組みは十分に制度化されていない アジア太平洋地域 北朝鮮による核 ミサイル開発の継続や挑発行為 中国による透明性を欠いた軍事力の強化 海空域における活動の活発化 Imaginechina/ 時事通信フォト 朝鮮通信 = 時事 パワーバランスの変化及び技術革新の急速な進展 大量破壊兵器等の拡散 国際テロや海洋 宇宙 サイバー空間におけるリスクなど国境を越える脅威の出現 グローバル 貧困 開発課題などの 人間の安全保障 に関する問題やグローバル経済のリスクの拡大 日本の安全保障政策の基本方針 日本は 平和国家としての歩みを堅持しつつ 国際社会の主要プレーヤーとして 米国を始めとする関係国と緊密に連携しながら 積極的平和主義 を実践していきます 日本を取り巻く状況の変化 脅威の拡大 拡散 世界のパワーバランスの変化 国境を越える新たな脅威 厳しさを増すアジア太平洋地域の安全保障環境 日本の役割への期待 国連軍 戦後及び冷戦期 日本に対する安全保障における国際的役割は期待されず 国連軍の創設 という理想 現状 世界のどの地域で発生する事象も 日本の平和と安全に影響を及ぼし得る 現状 日本の役割に対し 高まる国際社会の期待 国連軍創設の見通しなし 現在の世界的な課題 現在の世界では どの国も一国で自らの平和と安全を維持することができない ( 同盟国 有志国との連携や国連の集団安全保障措置の重要性が増大 ) 国際協調主義に基づく 積極的平和主義 の立場から 日本の安全及び地域の平和と安定を実現しつつ 国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与する 平和国家としての歩みを堅持 日本の基本方針 国際政治経済の主要なプレーヤーであり続ける 米国を始めとする関係国と緊密に連携 4

I 日本の安全保障政策の新たな取組ための以下の新たな取組を実施 推進しています 国際協調主義に基づく 積極的平和主義 を基本理念として 外交 安全保障体制を強化する 国家安全保障会議 (NSC) の設置 (2013 年 12 月 4 日 ) 外交 安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議 (NSC:National Security Council) を設置しました 内閣総理大臣のリーダーシップの下 外交 安全保障に関する様々な課題について 平素から機動的に実質的 戦略的な議論を行っています 国家安全保障戦略 (NSS) の策定 (2013 年 12 月 17 日閣議決定 ) 外交 防衛政策を中心とする国家安全保障政策の基本方針として 日本として初めての 国家安全保障戦略 (NSS:National Security Strategy) を策定しました 国際協調主義に基づく 積極的平和主義 の内容を具体的に示すものです 防衛計画の大綱の策定 (2013 年 12 月 17 日閣議決定 ) 前回の大綱 (2010 年 12 月 ) を策定後 安全保障環境が一層厳しさを増したことを受けて 国家安全保障戦略を踏まえて新たな防衛大綱を策定しました 防衛装備移転三原則の策定 (2014 年 4 月 1 日閣議決定 ) 防衛装備の海外移転について 新たな安全保障環境に適合する明確な原則として 防衛装備移転三原則を策定しました 平和安全法制の整備 (2015 年 9 月 19 日成立 ) いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くとともに 国際協調主義に基 づく 積極的平和主義 の下 国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献するための 平和 安全法制 が成立しました 5

I 国家安全保障戦略 ( NSS) 日本の安全保障の基本理念 国益 目標を示し 日本を取り巻く安全保障環境と国家安全保障上の課題を明らかに した上で それらに対して日本がとるべき戦略的アプローチを明らかにしています 国家安全保障戦略の概要 日本の国益と国家安全保障の目標 国益 目標 日本の平和と安全を維持し その存立を全うすること 日本と国民の更なる繁栄を実現し 我が国の平和と安全をより強固なものとすること 普遍的価値やルールに基づく国際秩序を維持 擁護すること 抑止力を強化し 我が国に脅威が及ぶことを防止する 日米同盟の強化 パートナーとの信頼 協力関係の強化等により地域の安全保障環境を改善し 脅威発生を予防 削減する グローバルな安全保障環境を改善し 平和で安定し 繁栄する国際社会を構築する 日本がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ 1 日本の能力 役割の強化 拡大 外交の強化 防衛体制の構築 領域保全 海洋安全保障 サイバーセキュリティ 国際テロ対策 情報機能 宇宙空間の安定的利用 技術力の強化 2 日米同盟の強化 日米安全保障体制の実効性を一層高め より多面的な日米同盟を実現 幅広い分野における日米間の安全保障 防衛協力の更なる強化 安定的な米軍プレゼンスの確保 3 国際社会の平和と安定のためのパートナーとの外交 安全保障協力の強化 韓国 豪 ASEAN インド : 普遍的価値 戦略的利益を共有 協力関係を強化 中国 : 戦略的互恵関係 の構築 北朝鮮 : 諸懸案の包括的解決に向け 具体的な行動を求めていく 多国間枠組み (G7 APEC EAS ARF ADMM+ 日米韓 日米豪 日米印 日豪印 日中韓 ) の積極的活用 4 国際社会の平和と安定のための国際的努力への積極的寄与 国連外交の強化 海洋 宇宙 サイバー空間を含め 国際社会における法の支配の強化 軍縮 不拡散 国連 PKO 等 ODAや能力構築支援 国際テロ対策における国際協力の推進 5 地球規模課題解決のための普遍的価値を通じた協力の強化 ODA の積極的 戦略的活用による民主化支援 開発課題 地球規模課題へ の対応 人間の安全保障の主流化 自由貿易体制の強化 人的交流等 6 国家安全保障を支える国内基盤の強化と内外における理解促進 防衛生産 技術基盤の維持 強化 情報発信の強化 社会的基盤 知的基盤 の強化 6

I 防衛装備移転三原則 平和貢献 国際協力の一層積極的な推進を図るとともに 各国との安全保障 防衛協力の強化等を通じて我が国の安全保障の充実を図っていきます 2014 年 4 月 1 日 政府は 国家安全保障戦略 に基づき 防衛装備の海外移転について こ れまでの武器輸出三原則等に代わる 新たな安全保障環境に適合する明確な原則として 防 衛装備移転三原則を策定しました 防衛装備移転三原則 第 1 原則移転を禁止する場合 ( 基準の明確化 ) 1 日本が締結した条約やその他の国際約束に基づく義務に違反する場合 化学兵器禁止条約 クラスター弾に関する条約 対人地雷禁止条約 武器貿易条約等移転の禁止 2 国連安保理の決議に基づく義務に違反する場合 3 紛争当事国 ( 武力攻撃が発生し 国際の平和及び安全を維持し又は回復するため 国際連合安全保障理事会がとっている措置の対象国 ) への移転となる場合 第 2 原則移転を認める場合の限定 ( 透明性を確保しつつ 厳格審査 ) 第 3 原則目的外使用及び第三国移転に係る適正管理が確保される場合に限定 1 平和貢献 国際協力の積極的な推進に資する場合 2 我が国の安全保障に資する場合原則として 目的外使用及び第三国移転について我が国の事前同意を相手国政府に義務付け 厳格な審査と適正な管理 防衛装備の適切な海外移転により 国際平和協力 国際緊急援助 人道支援及び国際テロ 海賊問題への対処や途上国の能力構築といった平和への貢献や国際的な協力の機動的かつ効果的な実施を通じた国際的な平和と安全の維持の一層積極的な推進を図ります また 同盟国である米国及びそれ以外の諸国との安全保障 防衛分野における協力の強化に努めていきます 7

I 平和安全法制の整備 2015 年 9 月 あらゆる事態に対し切れ目のない対応を可能とするとともに 国際社会の平和と安定に一層貢献するための 平和安全法制 が成立しました 政府は 平和安全法制 について 様々な機会を通じ 関係各国に対し透明性をもって丁寧に説明しており アジア諸国や欧米諸国を含む 世界中の多くの国から支持と理解を得ています 制定の経緯 2007 年 5 月 ~2009 年 6 月 2013 年 2 月 ~2014 年 3 月 2014 年 7 月 2015 年 5 月 2015 年 9 月 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中 安全保障の法的基盤を再構築する必要があるとの問題意識の下 集団的自衛権の問題を含めた憲法との関係につき研究を行うため 安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会 を開催 閣議決定 国の存立を全うし 国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について において 法案の作成に向けた基本方針を決定 平和安全法制 関連 2 法案を国会に提出 平和安全法制整備法及び国際平和支援法 衆議院 参議院あわせて200 時間を超える審議の上 野党 3 党の賛成も得て 平和安全法制 が成立 平和安全法制 の主な内容 1. 国連 PKO 等の国際的な平和協力活動 国際社会の平和と安定への一層の貢献 従来 国連が統括する PKO の枠組みで 伝統的な国家間紛争後の活動や 一国内の紛争後の国造り支援において 輸送 施設活動等を実施 題 国際社会が対処する紛争の性質が 国家間の紛争から一国内の衝突等やそれらの混合型へと変化するとともに 長期化する傾向にあり また 紛争終了後 その当事国の国造りに対する支援と これを実施するために必要な安全な環境の創出が一層重要な役割に また 国連が統括しない枠組みにおいても 人道復興支援活動や安 平和安全法制 施行後 従事可能な業務を拡充 いわゆる安全確保業務 いわゆる駆け付け警護 司令部業務等を追加 統治機構( 立法 行政 司法 ) への助言 指導の拡充 国防組織の設立 再建援助の拡充等 国連が統括しない国際的な平和協力活動 ( 非国連統括型 PKO) への参加が可能に 2. 国際社会の平和及び安全を脅かす事態への対応従来 テロ対策特措法などに基づき インド洋での海上阻止行動を行う諸外国の軍隊に 対する洋上補給活動等を行い 国際社会から高い評価を得てきた 全確保活動等の国際的な平和協力活動が幅広く実施されるように 課 一般法が存在しなかったため 平素からの情報収集 教育訓練や 題派遣を行う際の現地調査や各国との調整を迅速に行えない状況であった 平和安全法制 施行後 国際社会の平和及び安全を脅かす事態に際し 一定の要件を満たせば補給 輸送といった協力支援活動や 捜索救助活動 船舶検査活動が可能に 南スーダンPKO において活動する自衛隊施設部隊 防衛省 南スーダンにおいて自衛隊が設置した小学校の簡易歩道 防衛省 補給活動を行う補給艦平成 22 年度版防衛白書より課8

課題I あらゆる事態に対する切れ目のない対応 3. 自衛の措置としての 武力の行使 新三要件 従来 自衛の措置としての武力の行使が可能なのは 我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られていた 我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し 変化し続題けている状況を踏まえれば 他国に対して発生する武力攻撃であったとしても その目的 規模 態様等によっては 我が国の存立を脅かすことも今後現実に起こり得る 平和安全法制 施行後 憲法第 9 条の解釈の基本的な論理を維持しつつ 解釈を見直し 新三要件 を満たす場合には 我が国に対する武力攻撃が発生していない場合でも 我が国の存立を全うし 国民を守るための自衛の措置として 武力の行使 が可能に 我が国の 専守防衛 との基本方針に変更はない 4. 日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態への対応従来 我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態に際し 米軍への後方支援活動が実施できた 我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対処する上で あくまで米軍への支援が中核であるが その他の外国軍隊等との連携も強化することが不可欠 平和安全法制 施行後 米軍及びその他の国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動を行う外国の軍隊等への後方支援活動が可能に また 実施可能な支援の範囲を拡充 ( 弾薬の提供 宿泊 保管 施設の利用 訓練に関する業務等 ) 5. 在外邦人の保護課課題従来 外国における緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人を当該外国から安全な地域に輸送することが可能 (1) 我が国に対する武力攻撃が発生したこと 又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し これにより我が国の存立が脅かされ 国民の生命 自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること (2) これを排除し 我が国の存立を全うし 国民を守るために他に適当な手段がないこと (3) 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと 後方支援活動 日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応する他国軍部隊 在外邦人の保護 補給輸送医療 etc 在外邦人等 多くの日本人が海外で広く活躍し テロなどの緊急事態に巻き込まれる可能性がある中で 領域国等の同意がある場合には 武器使用を伴う在外邦人の救出についても対応できるようにする必要がある ( 領域国の同意 ) 自衛隊 平和安全法制 施行後 領域国等の同意等の要件を満たす場合 輸送のみならず 警護 救出その他の当該邦人の生命又は身体の保護のための措置を行うことが可能に 武装ゲリラ テロリスト等 < グレーゾーン事態対応 > 閣議決定により 離島の周辺地域等において武力攻撃に至らない侵害が発生し 近傍に警察力が存在しない等の場合の治安出動や海上における警備行動等の発令手続を迅速化 9

II 日米同盟 ( 一層強固で より大きな責任を有する同盟へ ) 日米安全保障条約に基づく日米安保体制は 日本自身の防衛力の整備とあいまって 日本とアジア太平洋地域の平和と安定の確保のために欠かすことができない 基軸 です さらに 日米安保体制を基軸とする日米同盟はグローバルな安定と繁栄の 公共財 として機能しています 最近の日米同盟をめぐる動き 日米安全保障協議委員会 ( 2+2 )(2015 年 4 月 27 日 ) 日本は 従来から 同盟国たる米国との間で 外務 防衛の閣僚級の 2+2 を開催してきています 最近では 2015 年 4 月 27 日に米国ニューヨークにおいて 2+2 を開催しました 同会合では 近年の緊密な日米関係も踏まえつつ 中長期的な日米安保 防衛協力や在日米軍の再編等について協議されるとともに 1997 年以来 18 年振りに新たな日米防衛協力のための指針 ( ガイドライン ) (*) が発表されました * 日米防衛協力のための指針 ( ガイドライン ): 日米両国の役割及び任務並びに協力及び調整の在り方についての一般的な大枠及び政策的な方向性を示したものです 日米 2+2 共同記者会見 日米 2+2 閣僚会合 新ガイドラインのポイント 我が国の平和 安全の確保 平和安全法制との整合性を確保しつつ 様々な運用面での協力の進展 ( 弾道ミサイル攻撃への対処 大規模災害対処における協力等 ) も踏まえ 平時から緊急事態まで 切れ目のない ( シームレスな ) 形での日米協力を実現していくこととしています 日米同盟の下での米国の力強いコミットメントを改めて確認しています ( ) 平時からの協力の充実 連携の強化 日本に対する拡大抑止の維持 有事における米軍の打撃力使用に関し米軍のコミットメントを確認 地域 グローバルや宇宙 サイバーといった同盟の協力の 拡がり 地域 グローバルの平和と安全のための日米協力の在り方や第三国等との連携を明記しました 宇宙 サイバーといった新たな戦略的領域での協力の拡大を反映し その在り方を明記しました 日米協力の 実効性 を確保するための仕組み 自衛隊と米軍の運用に係る調整を円滑に行うための同盟調整メカニズム (ACM) 及び共同計画策定メカニズム (BPM) を設置することとしました ( いずれも 2015 年 11 月 3 日に設置を公表 ) 一層厳しさを増す安全保障環境も踏まえつつ 新ガイドラインの下で 日米同盟の抑止力 対処力を一層強化します 10

III 多層的な安全保障協力関係の維持 構築 地域の安定と平和を実現するために 基本的価値や戦略的利益を共有する国々を中心として 二 国間に加え多国間の安全保障協力を強化し 日米同盟を基軸とした平和と繁栄のためのネット ワークを構築することを目指しています 二国間及び多国間の多層的な安全保障協力関係の構築 日米韓 地域 グローバルな課題について幅広く協力 特に 北朝鮮問題の解決に向けた対応において 日米韓の連携は不可欠 首脳会談 外相会談及び防衛相会談を開催 日米韓首脳会談 (2014 年 3 月 25 日ハーグにて ) 内閣広報室 アジア太平洋地域の戦略環境の変化に伴い 幅広い分野で日米韓の協力を更に深めていくことはますます重要であるとの共通の認識を得ました また 日米同盟及び米韓同盟が 東アジア地域の平和と安定に大きく貢献しているとの認識で一致しました 日米豪 戦略的視点から議論を行い 協力を深化 首脳会談 閣僚級戦略対話 (TSD) 及び防衛相会談を開催 日米豪首脳会談 (2014 年 11 月 16 日 ブリスベンにて ) 民主主義 法の支配 紛争の平和的解決等の 内閣広報室共有された価値を基盤とし アジア太平洋地域に平和で 安定かつ繁栄した未来を確保するため 3カ国のパートナーシップをより深化させることを確認しました 日米印 地域情勢など共通の関心事項について率直に意見交換 三国間の戦略的なパートナーシップを深化 2015 年 9 月に初の外相会談 日米印外相会談 (2015 年 9 月 29 日ニューヨークにて ) 平和 民主主義及び法に基づ く国際秩序への共通の支持とと もに インド太平洋地域の安定と 繁栄のため 3 カ国が緊密に協力していくことを確認しました 日豪印 地域 国際社会における課題につき意見交換 次官協議を立ち上げ (2015 年 6 月 ) 定例化 日豪印次官協議 (2016 年 2 月 26 日東京にて ) 3カ国による対話として 地域情勢等につき幅広く意 在日オーストラリア大使館見交換を行いました 基本的価値観を共有しインド洋 太平洋をともに見渡す日豪印が地域と国際社会の平和と繁栄を支えるべく協力を進めることで一致しました 多国間の枠組み G7 世界の諸問題について首脳間で政策協調を議論するため 基本的価値観を共有する主要先進 7 カ国及びEUが集う会議 現在は 国際情勢をめぐる安全保障の主要な課題等についても扱っています 2016 年は日本が議長を務めます ADMM プラス ( 拡大 ASEAN 国防相会議 ) 各国の国防大臣が参加し 防衛 安全保障の課題を議論 する枠組み 人道支援 災害救援 海上安全保障 防衛医学 テロリ ズムへの対応 平和維持活動 地 雷処理の6 分野の専門家会合が設置されています G7 エルマウ サミット (2015 年 6 月 ) 内閣広報室 第 3 回拡大 ASEAN 国防相会議 (2015 年 11 月 ) 防衛省 ARF( アセアン地域フォーラム ) 政治 安全保障問題について議論 するアジア 太平洋地域の全域的な 対話のフォーラム 近年は 海上安全保障 災害救援 軍縮 不拡散 テロ 国境を越える犯罪対策等の個別の分野についても参加国の間で議論が行われています EAS( 東アジア首脳会議 ) 第 22 回 ARF 閣僚会合 (2015 年 8 月 ) 地域の政治 安全保障問題や共通の課題に対し 首脳主導で議論を行い具体的協力を進展させることを目的と 内閣広報室した会議 優先協力分野として エネルギー 金融 教育 環境及び防災 感染症を含む国際保健 ASEAN 連結性を設定しています 11

IV 平和で安定した国際社会を実現するための努力平和で安定した国際社会の実現に貢献するため 国際テロ防止のための国際協力や 国連平和維持活動への要員派遣 難民支援 紛争終了後の復興援助 大規模自然災害への対応などを 積極的に行っています 国連平和維持活動 (PKO) 海賊対処行動 国連 PKOは 紛争の停戦後 国連の安全保障理事会 ( 又は総ソマリア沖 アデン湾では 船舶の航行の安全確保会 ) の決議に基づき 紛争の再発防止のための停戦監視や平和のため 2009 年から船舶の護衛活動及び同海域の警の構築に向けたインフラ整備など 多様な任務を通じて 紛争戒監視活動を実施しています 2013 年からは第 151 の解決と復旧 復興が平和裡に実行されていくことを支援す連合任務部隊 (CTF151) に参加し ゾーンディフェンる活動です スを実施しています 2015 年 5 月末から8 月 27 日ま日本は これまで計 13の国連 PKO 等に延べ1 万人以上で CTF151の司令官を海上自衛官が務めました (2016 年 1 月現在 ) の要員を派遣してきました 現在 南スーダンPKOにおいて 約 350 名の自衛隊員がインフラ整備や国内避難民への支援 国連施設の整 備等を行っています 南スーダンで施設活動を行う日本の派遣要員とそれを見守る住民 防衛省ソマリア沖 アデン湾での海賊対処行動 防衛省 国際緊急援助活動 自然災害等を受けた被災国政府等の要請に基づき 自衛隊部隊を含む国際緊急援助隊を派遣しています これまで41の国 地域に対し 130 以上の援助隊を派遣しており そのうち自衛隊部隊は18の災害に対し派遣され 輸送活動や医療活動などの支援を実施しました 2015 年 4 月のネパール地震被害に対し 国際緊急援助隊として 救助チーム 医療チームの他 自衛隊部隊を派遣し のべ約 2,900 名に対し医療活動を行いました ネパールに派遣された国際緊急援助隊 ( 医療援助隊 ) の活動 防衛省 開発協力大綱 我が国を取り巻く環境が大きく変化するとともに 開発問題が多様化 複雑化 広範化している状況を踏まえ 2015 年 2 月 政府は 約 12 年ぶりにODA 大綱を改定し 開発協力大綱 ( 新大綱 ) を閣議決定しました 政府としては 新大綱に基づき 国際協調主義に基づく 積極的平和主義 の下 民間セクター等とも連携したオールジャパンの協力により国際社会の平和と安定及び繁栄により一層貢献していきます 具体的には 質の高い成長 とそれを通じた貧困撲滅 普遍的価値の共有 平和で安全な社会の実現 地球規模課題への取組を通じた持続可能で強靱な国際社会の構築等を目指し 開発協力を積極的 戦略的に推進していきます 開発協力大綱のポイント 日本の開発協力の理念を明確化 新しい時代の開発協力 触媒としての開発協力 多様な主体の開発への参画 平和国家として 国際社会の平和 安定 繁栄に積極的に貢献 人間の安全保障を推進 質の高い成長 普遍的価値の共有 持続可能な開発のための 2030 アジェンダを踏まえた地球規模課題への取組 市民社会 民間セクター 地方自治体等との連携を推進 包摂的で公正な開発を目指し 女性や社会的弱者等あらゆる主体の参画を促進 外務省 100-8919 東京都千代田区霞が関 2-2-1 TEL:03-3580-3311( 代 ) 編集 : 総合外交政策局安全保障政策課発行 : 国内広報室 2016.3 改訂