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サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

平成 21 年 9 月 5 日 角山智 投資環境レポート (2009 年 9 月 ) 1. 主な株価指数 8 月は 中国株が大幅に値下がりしました 反面 出遅れていた英国株が好調です 市場 日本株 日本新興市場 J-REIT 米国株 英国株 中国株 ( 指数 ) (TOPIX) (JASDAQ) (

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Economic Indicators_  定例経済指標レポート

株式市場 米国株 上値が重く神経質な展開 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました FOMC( 米国連邦公開市場委員会 ) における利上げの有無 大統領選挙の動向 ドイツの大手銀行の資本不足懸念などに一喜一憂する展開となりました 月半ばにかけて 利上げ観測や原油

○ユーロ

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経済金融・情勢資料  15年7月 

米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

Invesco Premia Plus Fund

株式市場 米国株 国内外の政治動向に注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 好調な企業決算発表を受けて上昇米国株式市場は上昇しました 月前半までは2017 年 1-3 月期の決算発表内容が総じて好調であったことが株価を支えました 月半ばには コミー前 FBI( 連邦捜査局 )

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1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

米国株 投資家心理が落ち着けば 上昇基調に回帰と想定 株式市場 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 長期金利の上昇を契機に急落米国株式市場は下落しました 月初に発表された1 月の雇用統計において 時間当たり賃金が市場予想を上回る伸び率となったことを受けて 長期金利が約 4 年ぶ

< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

株式市場 米国株 先行き不透明感強いがファンダメンタルズは良好 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました 堅調な経済指標の発表を受けて米国の年内利上げ観測が高まったことで 金利動向の影響を受けやすいディフェンシブセクターの一部が軟調に推移しました また 米

マネーマーケットマンスリー 2018年3月

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株式市場 米国株 トランプ氏の政策への期待感後退で調整も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました 11 月 8 日 ( 現地 ) に行われた大統領選挙でトランプ氏が当選し 減税やインフラ投資の拡大などの同氏の政策に注目が集まりました 債券市場では金利が上

株式市場 米国株 国内の政策動向や海外の政治動向などに注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場はほぼ変わらずとなりました 月初には 2 月末のトランプ大統領の議会演説を好感して 株価は大幅上昇となりました しかし その後は 新政権の経済政策に対する期待が徐々に後退

目次 株式会社 SMBC 信託銀行投資調査部山口真弘二宮圭子白鳥朋子佐溝将司合澤史登祖父江康宏池田崇明 米国市場の見通し P 2 マクロ経済 株式市場 債券市場 景気減速と物価上昇圧力の鈍化が示された イベント通過で短期的にはリスク選好が強まる見込み 米 10 年国債利回りは 3% 近辺での推移を想

FOMC 2018年のドットはわずかに上方修正

株式市場 米国株 高値警戒感の高まりなどから上昇一服も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました トランプ政権で閣僚などの人事において一部で混乱が見られましたが トランプ大統領の発言などにより減税 金融規制緩和などへの期待が高まったことや 発表された米国企

マネーマーケットマンスリー

ファンダの鬼・柳澤 浩と小杉 篤諭の「ファンダメンタルズの学び方、活かし方セミナー!」

今月の経済・金融情勢


日経平均株価 22,27.3 NY ダウ工業株 3 種 25,9.32 米ドル 2, 2, 22, 円 2, 1, 1, 1, 12, 1,,, 2, 22, 1, 1, 1, 21 年 月 2 日発行休場の場合は直前の営業日までのデータ 長期 ( 週次ベース ) (27 年 1 月第 1 週末 ~

株式市場 米国株 新政権の政策期待による上昇も一服 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました ISM( 全米供給管理協会 ) 指数など月初に発表された経済統計がおおむね良好であったことを受け 月前半の株式市場は堅調に推移しました 月半ば以降は 高値警戒感な

今月の経済金融情勢2018年11月30日号

日経平均株価 22,97. 2, 2, 22, 円 2, 1, 1, 1,, 1,,, 21 年 7 月 23 日発行休場の場合は直前の営業日までのデータ 長期 ( 週次ベース ) (27 年 1 月第 1 週末 ~21 年 7 月第 3 週末 ) 短期 ( 日次ベース ) (217 年 1 月初

今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

Outlook201901

株式市場 米国株 景気 企業業績は依然として堅調 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 貿易摩擦への懸念から下落米国株式市場は下落しました トランプ米大統領が鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限する方針を表明したことから 世界的な貿易摩擦への懸念が高まり下落して始まりました その後 貿

参考資料いちよし証券投資情報部 2019 年 10 月 7 日 極端な悲観相場の修正へ 業績の下方修正リスクも織り込み 日米経済指標に注目 最終ページに お客様にご確認いただきたい重要な注意事項を記載しております 必ずご確認ください

Outlook201609

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

(2) 資産構成割合の推移 ( 給付確保事業 ) 1 資産配分実績の基本ポートフォリオからの乖離の推移 2 実践ポートフォリオと資産配分実績の推移 3. 運用受託機関 平成 29 年 3 月末現在 2

TFX_フィスコ通貨ウォッチャー

オーバルネクスト ETF 情報 2010 年 2 月 15 日号 ( 株 ) オーバルネクスト 東京都中央区日本橋兜町 13-2 TEL 03(5641)5777

マネーマーケットマンスリー 2018年12月

外為マンスリービュー 1月号 【ドル/円・ユーロ/円】

Outlook201806

日経平均株価 21,1. NY ダウ工業株 3 種 2,.31 米ドル 2, 2, 22, 円 2, 1, 1, 1, 12, 1,,, 22, 1, 1, 1,, 21 年 1 月 29 日発行休場の場合は直前の営業日までのデータ 長期 ( 週次ベース ) (27 年 1 月第 1 週末 ~21

今月の経済金融情勢2018年12月25日号

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株式市場 米国株 年末商戦や金利動向に注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米中首脳会談への期待から上昇米国株式市場は上昇しました 前半は中間選挙の結果が市場の事前想定通りとなったことなどから安心感が広がり株価は上昇しました 中旬では一部のハイテク企業が需要見通しを引き下げたこと

当ページは 各種の信頼できると考えられる情報源から取得した情報に基づき アクサ生命保険株式会社が作成し提供するものです 情報の内容に関しては万全を期しておりますが その正確性 完全性については これを保証するものではありません 日本株式市場 運用環境 [ 2015 年 4 月 ~2016 年 3 月

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[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

Currency201207

変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

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グローバル株式市場を俯瞰する~2015年8月末データで見る市場動向~

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Economic Indicators_  定例経済指標レポート

今月の経済・金融情勢2010年2月号

Outlook201608

米失業率と非農業部門雇用者数変化 ( 月次 25 年 1 月 ~214 年 11 月 ) 非農業部門雇用者数変化 ( 千人 前月比 左軸 ) 失業率 (% 右軸) /1 6/9 8/5 1/1 11/

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国内短期金利

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米労働市場は直近の回復基調に変化なし ~FRB出口政策への影響は限定的~

チャート編 1 日経平均株価 ( 日経 225) TOPIX( 東証株価指数 ) 2,0 NY ダウ工業株 30 種平均株価 ( 米ドル ) ダウセレクト配当込み指数 3,000 28,000 26,000 24, ,000 26,000 2,0 20,000 1,0 24,000 1

外為マンスリービュー 5月号 【ドル/円・ユーロ/円】

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Invesco Australian Bond Fund (Monthly)

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外為マンスリービューⅠ北米編 5月号

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グローバル・マクロ・ウォッチ

平成30年度第1四半期における運用状況等

外為マンスリービュー11月1日号

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変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

Outlook201812

スライド 1

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低インフレ 乏しい利上げ観測労働市場に目を向けると 8 月の失業率は約 年ぶりの低水準となる5.3% に低下した 雇用者数も伸びており 一部では技術者不足の声も聞かれる RBAは今後数年 失業率は自然失業率とされる5.% を目指して低下が続くとの見方を示している ただ 賃金の上昇率は ~ 月期が前年

Weekly

為替相場展望2018年10月号

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第 1 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +1.54% 収益率 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1.02% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +3,222 億円 総合収益額 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1,862 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 1 四半期末 )

Outlook201805

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

外為ウィークリービュー 11月30日号

Ⅰ.ファンダメンタルズ

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目次 号 SMBC 信託銀行株式会社投資調査部山口真弘二宮圭子白鳥朋子佐溝将司齊藤聡 SMBC 信託銀行投資調査部レポート 本レポート記載のマクロ経済見通しは 当行がライセンス契約を結んでいる Citi Research の予測を参照しています 0

目次 SMBC 信託銀行株式会社投資調査部山口真弘二宮圭子白鳥朋子佐溝将司齊藤聡 米国市場の見通し マクロ経済 9 月雇用統計の堅調を予想 株式市場 方向感は定まりにくいだろう 債券市場 売り圧力は限定されよう 欧州市場の見通し マクロ経済 ユーロ圏消費者物価の上昇率加速 P2 P3 株式市場 下値不安は和らいだものの 上値は重い 債券市場 ドル LIBOR の動向に注目 日本市場の見通し マクロ経済 鉱工業生産は2 期連続の前期比増か 株式市場 週明けは買いが先行しようが 債券市場 日銀は金利低下をけん制 中国 インド市場の見通し マクロ経済 中国 : 製造業利益は増加傾向を維持 中国株式市場 今週は国慶節のため休場 P4 P5 インド株式市場 目先は株価下落リスクを警戒 為替見通し 米ドル ドル円の地合いはやや好転しよう 加ドル 加ドルはまちまちの展開に ユーロ 上値の重さが残る 英ポンド ポンドは下値余地を模索する展開に 豪ドル 政策金利は据え置かれる公算 NZドル 追加緩和観測の行方に注目 マーケットデータ カレンダー P6~P8 P9 1

米国市場の見通し マクロ経済 9 月雇用統計の堅調を予想 9 月 30 日発表の米 8 月コア個人消費支出 (PCE) デフレーターは 市場予想通り 前年比 1.7% 上昇 (7 月 : 同 1.6% 上昇 ) 米連邦準備制度理事会 (FRB) の目標である物価上昇率 2% に徐々に近づいていることが確認されたといえよう フィッシャー FRB 副議長など複数の米連邦公開市場委員会 (FOMC) メンバーが 足元でインフレ上昇圧力が増しているとの認識を示しており 今回の結果もこうした認識を支持する内容であった 7 日に 9 月米雇用統計が発表される 当行は非農業部門雇用者数を前月比 18.5 万人増 ( 市場予想 17 万人増 8 月 15.1 万人増 ) 失業率は 8 月と変わらずの 4.9% と予想する 米労働市場の堅調さが示され 12 月 FOMC における利上げ可能性は高まるとみられる *¹ *¹ モーニング経済メモ, 2016.10.3, Citi Research 株式市場 方向感は定まりにくいだろう 米雇用統計 ( 前月比 万人 ) (%) 50 10 非農業部門雇用者数 ( 左軸 ) 40 失業率 ( 右軸 ) 9 30 20 10 0-10 10/8 11/8 12/8 13/8 14/8 15/8 16/8 出所 : 米労働省 8 7 6 5 4 週間騰落率 (9/26~9/30) ダウ平均 : +0.26% S&P500: +0.17% 3 週続伸 独大手行の経営不安を巡る報道や米大統領候補によるテレビ討論会 イエレン FRB 議長の講演 石油輸出国機構 (OPEC) 非公式会合など様々な材料を手掛かりに高下したものの 買い優勢で週末の取引を終えた 今週は多くの米経済指標が発表される 発表直後は経済指標の良し悪しによって相場が振幅しよう ただ なかでも注目度が高い 9 月の雇用統計が 7 日に控えているうえ 9 日には民主 共和両大統領候補による第 2 回のテレビ討論会も予定されており 週を通してみれば方向感は定まりにくいとみている また 翌週からは主要企業の 7-9 月期決算発表が始まることもあって様子見ムードが広がる公算が大きく NY ダウは 18000 ドル台前半での推移が続こう 債券市場 売り圧力は限定されよう 利回り (9/30) 10 年国債 : 1.59%( 前週末比 : -0.02%) S&P500 株価指数 米国国債利回り 週間ベースで小幅続伸 リスク回避ムードのなか安全資産としての需要が強まり 週初から買いが先行 ただ 週半ば以降は上値が重くなり 週末には独大手行が米司法省から求められている和解金が想定を下回りそうとの報道を受けて上げ幅を縮小した フェデラル ファンド (FF) 金利先物から算出される市場の年内米利上げ織り込み度は約 6 割まで上昇している 今週は多くの米経済指標が発表されるものの さらに利上げ観測が強まるためには 10 11 月分のデータを見極める必要があろう また 独大手行の財務に対する懸念もくすぶる したがって 売り圧力は限定的で 10 年国債利回りは 1.60% 付近で伸び悩む公算が大きい 2

欧州市場の見通し マクロ経済 ユーロ圏消費者物価の上昇率加速 9 月のユーロ圏消費者物価指数 (HICP) 速報値は 市場予想通り前年比 0.4% 上昇 (8 月 0.2% 上昇 ) 欧州中央銀行 (ECB) の目標である約 2% は遠いものの 上昇率 0.4% は今年 1 月以来 エネルギー価格の下落スピードが落ちてきたうえ サービス価格の上昇が加速してきた HICP の上昇率が若干加速したものの 当行は 12 月 ECB 理事会にて 現在 2017 年 3 月までとなっている資産買入期間の延長など追加緩和が実施されるとの予想を維持する *¹ 5 日に 8 月のユーロ圏小売売上高が発表される 市場予想は前月比 0.3% 減 (7 月 : 同 1.1% 増 ) 7 月は市場予想を上回る大幅増となったが 8 月は反動減が予想されている *¹ European Economic Forecast Monthly, 2016.9.30, Citi Research ユーロ圏小売売上高 ( 前月比 %) 2.0 株式市場 下値不安は和らいだものの 上値は重い 1.5 1.0 0.5 0.0-0.5-1.0-1.5-2.0-2.5 10/7 11/7 12/7 13/7 14/7 15/7 16/7 出所 : ユーロスタット 週間騰落率 (9/26~9/30) ストックス欧州 600 指数 : -0.70% 独 DAX 指数 : -1.09% ストックス欧州 600 指数は小幅下落 財務状況に対する懸念が払しょくされず 銀行株が相場全体を圧迫する展開は変わらず 週末にこうした懸念が緩和したものの 同指数はこの日の下げを埋める程度の上昇にとどまった ストックス欧州 600 指数の銀行株セクターの戻りは鈍く 横ばい圏を脱していない 訴訟に伴う和解金が財務を圧迫するとの懸念が緩和したとしても マイナス金利に伴う収益環境の悪化や不良債権処理の遅れなど 欧州金融機関を取り巻く状況が顕著に改善したとは言い切れない 欧州株の下値不安は和らいだものの 上値を切り上げるほどの好材料も見当たらないことから 当面の株価は横ばい圏での推移が見込まれる 債券市場 ドル LIBOR の動向に注目 ストックス欧州 600 指数 ( ポイント ) 390 380 370 360 350 340 330 320 310 300 2015/10/5 2016/3/5 2016/8/5 利回り (9/30) 独 10 年国債 : -0.12%( 前週末比 : -0.04%) ドイツ ( 独 ) 国債は続伸 欧州金融機関の財務をめぐる懸念を背景に安全資産需要が高まり ドイツ国債に買いが入った しかしながら 週末に住宅ローン担保証券 (RMBS) 販売に関する独大手行と米司法省との和解が当初の想定を大きく下回る金額で合意に近づきつつあると報じられると 下げ幅を縮小して引けた ドルの 3 カ月物ロンドン銀行間取引金利 (LIBOR) は先週末時点で 0.8537% と高止まりしている 欧州金融機関がドル資金を調達する際に信用リスクが意識され 高めの金利が要求されている可能性がある 先週の報道で信用リスクに対する警戒が緩和し ドル LIBOR が低下に向かえば ドイツ国債には売り圧力が強まろう 3 ドイツ国債利回り -1.00 2015/10/5 2016/3/5 2016/8/5 (%) 1.00 0.75 0.50 0.25 0.00-0.25-0.50-0.75 2 年国債利回り 10 年国債利回り

日本市場の見通し マクロ経済 鉱工業生産は 2 期連続の前期比増か 8 月主要統計によると 消費者物価指数 (CPI) はエネルギー価格下落に伴い 総合および生鮮食品を除くコアとも前年比 0.5% 下落 コアは市場予想 ( 同 0.4% 下落 ) 以上の落ち込みだった 実質消費支出は前年比 4.6% 減と 3 月 ( 同 5.3% 減 ) 以来のマイナス 自動車 ガソリンなど自動車等関係費減少が主因 一方 実質 GDP との相関が高い 鉱工業生産は電子部品等が増加し 前月比 1.5% 増 9-10 月も増加が予測されており 7-9 月期は 2 期連続の前期比増か 3 日発表の 9 月日銀短観によると 大企業製造業 DI がプラス 6 と 6 月から横ばいの一方 非製造業 DI はプラス 18 と 6 月 ( プラス 19) から小幅悪化 *¹ 先行き判断は製造業がプラス 6 非製造業がプラス 16 非製造業の景況感が緩やかに悪化していることが示された 2016 年度大企業製造業の想定為替レートは 1 ドル 107.92 円と足元より円安となっている 4 日には短観の 企業の物価見通し が発表される * ¹ モーニング経済メモ, 2016.10.3, Citi Research 株式市場 週明けは買いが先行しようが 週間騰落率 (9/26~9/30) 日経平均株価 : -1.82% TOPIX: -1.98% 鉱工業生産と実質 GDP 成長率 ( 四半期ベース ) ( 前期比 %) 5 4 3 2 1 0-1 -2-3 -4-5 13/9 14/3 14/9 15/3 15/9 16/3 16/9 注 : 鉱工業生産は 9 月のみ経産省予測出所 : 内閣府 経産省 日経平均株価 鉱工業生産 ( 前期比 ) 実質 GDP 成長率 ( 前期比 ) 週間ベースで反落 米大統領候補による討論会でヒラリー氏が優勢だったことや石油輸出国機構 (OPEC) 非公式会合で減産合意がなされたことが好感される場面もあった ただ 円高や独大手行の財務不安が重しとなり 日経平均株価は 16500 円を割り込んで越週 先週末 独大手行が米司法省から求められている和解金が想定よりも大幅に少ない金額で決着する見込みであると一部メディアが報じ 米国株が大幅高となった この流れを受けて今週は買いが先行しよう ただ このところ海外勢の売り越し基調が続いているうえ 東証一部売買代金も 2 兆円を割り込む日が目立つ 7 日に 9 月の米雇用統計の発表 9 日に米大統領候補者の第 2 回討論会を控えていることもあり 徐々に売り圧力が強まる可能性があろう 債券市場 日銀は金利低下をけん制 利回り (9/30) 10 年国債 : -0.09% ( 前週末比 : -0.04%) 日本国債利回り 10 年国債は 3 週続伸 独大手行の経営不安が警戒され 安全資産としての需要から買いが先行 同利回りは一時 0.09% 台まで低下した ただ 政策金利のマイナス 0.10% が意識されるなか 週半ばから週後半にかけては方向感に欠ける展開となった 日銀は 9 月 30 日 残存 5 年超 10 年以下 を対象にした国債買い入れで オファー額を 4100 億円と前回から 200 億円減額した 日銀は 10 年国債利回りの誘導水準をゼロ % 程度としているが 下方へのかい離が大きくなりつつあったことから 政策金利のマイナス 0.10% を前にけん制する姿勢を示したとみられる こうしたなか 当面は同利回りはゼロからマイナス 0.10% のレンジで推移する公算が大きい 4

中国 インド市場の見通し マクロ経済 中国 : 製造業利益は増加傾向を維持 中国 :8 月の工業部門企業利益は 前年比 19.5% 増加の 5348 億元 前年比での伸び率は 2013 年 8 月以来の高いものとなった 低調だった 2015 年 8 月との対比のため 単月の伸びは強めになっている可能性は残るが 1-8 月累計でも前年比 8.4% 増の 4 兆 584 億元と 加速していることがみてとれる 業種別では 鉱業が石油 天然ガスを中心に 1-8 月累計で同 70.9% 減の一方 製造業は全ての業種で利益が増加しており 全体で同 14.1% の増加となった 中国株式市場 今週は国慶節のため休場 インド株式市場 目先は株価下落リスクを警戒 5 中国 : 工業部門企業利益 ( 年間累計 前年比 ) 中国は1-7 日まで国慶節の休暇となり 主要指標の発表予定はな 10 い 国慶節の期間は中国最大の商戦時期といわれ 8 日以降に出て 0 くるだろう国慶節期間中の個人消費や旅行者数などに関する報道に -10 注目したい 当行は 中国当局が再び不動産市場に引き締め策を導 -20 入すると予想しており 民間投資と比べて個人消費が底堅いとみている *¹ *¹ Viewpac 世界経済見通しと投資戦略, 2016.9.30, Citi Research 出所 : 中国国家統計局 週間騰落率 (9/26~9/30) MSCI CHINA: -2.41% 上海深セン CSI300 指数 : -0.68% CSI300 指数は週間ベースで反落 中国株式市場は国慶節の祝日にともない 10 月 3-7 日に休場となることから 手仕舞い売りが優勢 積極的に売買を行う意欲に乏しく 上海株式市場の売買代金は低迷が続いている 10 月 24-27 日に開催される共産党中央委員会第 6 回全体会議 (6 中全会 ) を皮切りに 来年の経済政策を決定するサイクルに突入する また 来年には向こう 5 年間の指導部人事を決定する共産党大会が開催される この先は経済の安定が重要視される局面になると思われることから 経済対策に対する期待が株価を下支えする公算が高い 当面は薄商いのなか 安定した値動きが想定される 週間上昇率 (9/26~9/30) センセックス指数 : -2.80% 週間ベースで下落 利益見通しに照らすと株価水準は割高で 最近の相場上昇は行き過ぎとの見方が広がった また インド軍がパキスタン領にあるテロリストの拠点を攻撃したと伝わると 地政学リスクの高まりが嫌気され 売り材料とされた 地政学リスクが高まると投資家はリスク回避姿勢を強め 株価は短期間で下げ足を速める傾向がある 今回の事案はかつての印パ紛争と比較すると小規模ながら インド株式市場には海外投資家の資金流入が増えていることから手仕舞い売りが出やすく 短期的な株価下落リスクを警戒すべき 一方で 経済見通しに変化を及ぼすものではないとの認識が広がれば 株価は急速に値を戻すであろう (% 前年比) 60 MSCI CHINA 上海シンセン CSI300 指数 46 2015/10/02 2016/03/02 2016/08/02 センセックス指数 ( ポイント ) 4000 50 40 30 20 10/8 11/8 12/8 13/8 14/8 15/8 16/8 ( ポイント ) 67 64 61 58 55 52 49 ( ポイント ) 30000 29000 28000 27000 26000 25000 24000 23000 MSCI China( 左軸 ) CSI300 指数 ( 右軸 ) 22000 2015/10/05 2016/01/05 2016/04/05 2016/07/05 3750 3500 3250 3000 2750 2500

為替見通し ( 米ドル 加ドル ) ドル円 ドル円 ( 出所 :SMBC 信託銀行 ) 100.00-103.00 円 米 :9 月 ISM 製造業景況感指数 (10/3) 米 :9 月雇用統計 (10/7) 米 : フィッシャー FRB 副議長講演 (10/7) ( 円 ) 126 124 122 120 118 116 114 112 110 108 106 104 102 100 98 *¹ モーニング経済メモ, 2016.10.03, Citi Research 米ドル ドル円の地合いはやや好転しよう 米大統領選候補者による第 1 回 TV 討論会が行われ 民主党のクリントン候補の優勢が伝えられた また 欧州の金融セクターの健全性に対する懸念が広がり ドルは底堅く推移した 一方 米国で先週発表された経済指標は 19 月の消費者信頼感指数が 104.1 と 2007 年 8 月以来の高水準をつけた 24-6 月期の実質 GDP は前期比年率 1.4% 増と改定値から 0.3% ポイント上方修正された など概ね堅調となった さらに 石油輸出国機構 (OPEC) が 28 日の非公式会合で原油減産に暫定合意したことも市場のリスクオンムードを強め 先週のドル円は 100 円台前半から 101 円台後半へ上昇した 米連邦公開市場委員会 (FOMC) のメンバーで 米連邦準備理事会 (FRB) のフィッシャー副議長は 9 月 27 日の講演で 3% の賃金上昇率が適切なインフレ率と整合的であると考えている との見解を示したが 早期利上げに慎重姿勢を示した こうしたなかで 今週は米国で重要な経済指標の発表が目白押し 3 日発表の 9 月の ISM 製造業景況感指数は 50.2 と 2 カ月ぶりに景況感の分かれ目となる 50.0 を上回る見通し 7 日発表の 9 月の非農業部門雇用者数は前月比 18.5 万人増 平均時給は前年比 2.6% 上昇といずれも前月 ( 同 15.1 万人増 同 2.4% 上昇 ) から伸びが高まる見込み *¹ ただ 11 月の FOMC 会合で利上げを決定するには力不足で 12 月 13 14 日の会合になると従前予想を維持する 今週のドル円は 9 月 27 日安値 100 円 09 銭を下値メド 同 21 日高値 102 円 79 銭を上値メドに 地合いがやや好転しよう 93 91 89 87 85 83 81 79 77 加ドル円 米ドル加ドル 加 :8 月貿易収支 (10/5) 加 :9 月雇用統計 (10/7) 加ドル円 米ドル加ドル ( 出所 :SMBC 信託銀行 ) ( 円 ) 95 76.00-79.00 円 1.2950-1.3250 加ドル CADJPY( 左軸 ) USDCAD( 右軸 ) ( 加ドル ) 1.50 1.47 1.44 1.41 1.38 1.35 1.32 1.29 1.26 1.23 75 1.20 加ドル 加ドルはまちまちの展開に 石油輸出国機構 (OPEC) は 9 月 28 日の非公式会合で 加盟国の生産量の上限を日量 3250 万 -3300 万バレルとする減産で合意した なお 詳細は 11 月 30 日にウィーンで開催される総会で決定される見通し 7 年 9 カ月ぶりの減産合意に 原油先物価格 (WTI) は 1 バレル =48 ドル台前半へ急騰した 一方 7 月のカナダ実質 GDP は前月比 0.5% 増と前月 ( 同 0.6% 増 ) からわずかに伸びが鈍化したが 市場予想 ( 同 0.3%) を上回った また 前年比では 1.3% 増と前月 ( 同 1.2% 増 ) から伸びが高まった こうしたなか 先週のカナダ ( 加 ) ドルは 1.32 加ドル台後半から 1.30 加ドル台半ばへ米ドル安 加ドル高が進行したが 米経済指標が堅調で 1.31 加ドル台後半まで値を戻し 1.31 加ドル台前半で週の取引を終えた 加ドル円は 75 円台前半から 77 円台後半まで上伸した後 76 円台前半へ軟化する場面もみられたが 主要通貨に対する円売り地合いを受けて 77 円台前半で越週した 市場予想によればカナダで今週発表される経済指標は 18 月の貿易赤字が 245 億加ドルと前月 (249 億加ドル ) から赤字幅が縮小する 29 月の雇用統計では失業率が 7.0% で前月から横ばい 雇用者数は前月比 7500 万人増と前月 ( 同 2 万 6200 人増 ) から伸びが鈍化する などまだら模様となる見通し なお カナダ中銀 (BOC) のポロズ総裁は 27 日の講演で 原油ショックからの再構築には 3-5 年程度を要するだろう との見解を示した また 米大統領選共和党のトランプ候補が公約で 北米自由協定 (NAFTA) の再交渉と見直し を挙げており 加経済の先行きに不安を残す形となった 今週の加ドルも対米ドルでは上値の戻りが鈍いものの 対円は底堅い推移を想定 6

為替見通し ( ユーロ 英ポンド ) ユーロ円 ユーロドル 独 :8 月製造業受注 (10/6) 独 :8 月鉱工業生産 (10/7) 112.50-115.50 円 1.1100-1.1400 ドル ユーロ円 ユーロドル ( 出所 :SMBC 信託銀行 ) ( 円 ) ( ドル ) 140 1.20 138 EURJPY( 左軸 ) 1.19 136 1.18 134 EURUSD( 右軸 ) 1.17 132 1.16 130 1.15 128 1.14 126 1.13 124 1.12 122 1.11 120 1.10 118 1.09 116 1.08 114 1.07 112 1.06 110 1.05 *¹ European Economics Weekly 2016.9.30, Citi Research ユーロ 上値の重さが残る ドイツで発表された 9 月の Ifo 企業景況感調査は現況指数が 114.7 期待指数は 104.5 といずれも 8 月 (112.9 100.1) から改善した これらを受けてユーロドルは週初に 1.12 ドル台後半へ上昇 その後 上値を追うには材料不足で 1.11 ドル台ドル台後半へ押し戻される場面もみられたが 9 月 30 日に発表された 9 月のユーロ圏消費者物価指数 (HICP) 上昇率が前年比 0.4% と今年 1 月以来の高い伸びとなったほか 独大手銀行の経営不安も和らぐなかユーロ買いが優勢となり 1.12 ドル台前半へ持ち直した ユーロ円は週初に付けた 113 円台後半から 112 円台前半へ下落後 114 円台前半へ反発した 欧州中銀 (ECB) のドラギ総裁は先週 26 日に開かれた欧州議会の経済金融委員会で 金利が非常に長い期間にわたり低水準にとどまれば副作用が出てくるのは明白 と発言した 域内では低インフレの長期化が懸念されるが 利下げ余地は乏しくなりつつあるようだ こうしたなか 10 月 6 日に ECB 理事会 (9 月 8 日開催分 ) 議事録が公表される 同理事会後の会見でドラギ ECB 総裁は資産買い入れプログラムの延長について討議されなかったことを既に明らかにしている さらなる緩和に向けた目新しい議論がなされていなかったことも確認されれば 追加緩和観測は一段と後退しよう ただ 今週発表される経済指標は 8 月の独製造業受注や鉱工業生産など弱めの内容が並びそうで *¹ ユーロの上値は重いだろう ユーロドルは 8 月 18 日高値 1.1366 ドル ユーロ円は日足一目均衡表雲上限 115 円 79 銭付近が上値メド ポンド円 ポンド米ドル 129.00-133.00 円 1.2750-1.3050 米ドル 英 : 保守党年次党大会 (10/2~10/5) 英 :9 月製造業 PMI(10/3) 英 :8 月鉱工業生産 (10/7) ポンド円 ポンドドル ( 出所 :SMBC 信託銀行 ) ( 円 ) ( ドル ) 195 1.60 190 GBPJPY( 左軸 ) 185 GBPUSD( 右軸 ) 1.55 180 175 1.50 170 165 1.45 160 155 1.40 150 145 1.35 140 135 1.30 130 125 1.25 英ポンド ポンドは下値余地を模索する展開に 先週発表された 4-6 月期の英実質 GDP( 確報値 ) は前期比 0.7% 増と改定値 ( 同 0.6% 増 ) からわずかに上方修正された しかし 4-6 月期の経常赤字が 287 億ポンドと前月 (270 億ポンド ) から赤字幅が拡大 対 GDP 比では 5.9% と依然として高水準にとどまり 同国の景気先行きに不安を残す形となった こうしたなか 先週のポンドドルは 1.29 ドル台前半から 1.30 ドル台後半で振幅したが 対ユーロでの上値の重さも相まって週明けには 1.29 ドル割れを伺う展開となっている 一方 ポンド円は 129 円台後半から 132 円台前半へ上昇したが ポンドドルの重さに上値を抑えられた 市場予想によれば 9 月の英製造業 PMI は 52.1 と前月 (53.3) から低下する一方 8 月の鉱工業生産は前月比 0.2% 増と前月 ( 同 0.1% 増 ) から伸びが高まりまだら模様となる見通し 景気減速懸念がくすぶるなか 気掛かりなのは英国の欧州連合 (EU) 離脱 (Brexit) の進捗状況である 同国のあいまいな対応に EU 各国が移民と貿易について選択余地を与えないと態度を硬化させており 英国との関係が悪化しつつある イングランド銀行 ( 英中銀 BOE) のシャフィク副総裁は 9 月 28 日の講演で 金融政策で下支えできることで 経済活動の減速が致命的な結果をもたらさないよういずれ追加緩和が必要になる と指摘 こうしたなかで メイ首相は 10 月 2 日に開催された保守党年次党大会で Brexit に向けた交渉を来年 3 月末までに始める との見解を示した Brexit が徐々に現実味を帯びるにつれ ポンドの下押し圧力は強まるとみている 今週のポンド相場も下値余地を模索する展開に 7

為替見通し ( 豪ドル NZ ドル ) 豪ドル円 豪ドル米ドル 豪 :RBA 理事会 (10/4) 76.00-79.00 円 0.7500-0.7800 ドル 豪ドル円 豪ドル米ドル ( 出所 :SMBC 信託銀行 ) ( 円 ) AUDJPY( 左軸 ) ( 米ドル ) 94 AUDUSD( 右軸 ) 0.79 92 0.78 90 0.77 88 0.76 86 0.75 84 0.74 82 0.73 80 0.72 78 0.71 76 0.70 74 0.69 72 0.68 *¹ Australia/NZ Economics Weekly 2016.9.30, Citi Research 豪ドル 政策金利は据え置かれる公算 米大統領選のテレビ討論会を受けて民主党クリントン候補が優勢との見方が広がったほか 28 日の石油輸出国機構 (OPEC) 非公式会合で暫定的ながら 8 年ぶりに原油の減産が決定された これらを受けて投資家のリスクテイクの動きが広がり 豪ドル米ドルは 0.77 米ドル台前半へ上昇する場面もみられた ただ OPEC の原油減産にかかる詳細は 11 月の定例総会で詰められることから原油価格の上昇ペースは鈍く 一段の豪ドル高にはつながらなかった また 週後半は独大手銀行の経営状態に関する報道に左右され 0.75 米ドル台後半へ値を崩した後 0.76 米ドル台後半へ下げ幅を縮小 豪ドル円は 76 円台前半から 78 円台前半へ上昇後 いったん上げ幅をほぼ失ったが 週末にかけては欧米株価が上昇するなど市場心理が上向くなか 77 円台後半へ持ち直した 今週は 4 日に開催される豪州準備銀行 (RBA) 理事会に注目が集まる 前回 9 月会合以降に発表された豪経済指標は 4-6 月期の実質 GDP 成長率が前年比 3.3% と 4 年ぶりの高い伸びとなったほか 8 月の豪失業率が 5.6% と 2013 年 9 月以来の低水準まで低下するなど概ね良好な結果が並んだ 今会合はロウ新総裁にとって初めての理事会となるため 声明文の変化には注意したいところだが 政策自体として現状維持の公算が大きい *¹ こうしたなか 豪ドル売り圧力がかかる場合でも短期的なものにとどまるとみている チャート上 豪ドル米ドルは週足一目均衡表雲上限の位置する 0.7495 米ドル付近が目先のサポート 豪ドル円は 9 月 15 日安値 75 円 97 銭付近が下値メド NZ ドル円 NZ ドル米ドル NZ:9 月 QV 住宅価格 (10/4) 72.00-75.50 円 0.7150-0.7450 米ドル NZ ドル円 NZ ドル米ドル ( 出所 :SMBC 信託銀行 ) ( 円 ) NZDJPY( 左軸 ) ( 米ドル ) 0.76 0.75 0.74 0.73 0.72 0.71 0.70 0.69 0.68 0.67 0.66 0.65 0.64 0.63 0.62 84 83 NZDUSD( 右軸 ) 82 81 80 79 78 77 76 75 74 73 72 71 70 NZ ドル 追加緩和観測の行方に注目 石油輸出国機構 (OPEC) の非公式会合で主要産油国が減産に合意し市場心理が上向いた また ニュージーランド (NZ) で発表された 9 月の ANZ 企業活動見通しが 42.4 と 2014 年 7 月以来の高水準となったほか 同景況感指数は 27.9 と 8 月 (15.5) から改善するなど NZ 経済の先行きに関して明るさを示唆する材料もあった ただ NZ 準備銀行 (RBNZ) による追加利下げへの警戒感がくすぶるなか NZ ドルは上値の重さが残った NZ ドル米ドルは 0.72 米ドル台前半で底堅さを示す一方 0.73 米ドル台前半で上値を抑えられる展開 NZ ドル円は 72 円台後半から 74 円台前半で方向感を探る展開が継続 週末にかけては独大手銀行の経営不安が和らぎ 欧米株価が上昇するなど市場心理が上向くなか 73 円台後半へ上昇して週の取引を終えた RBNZ は 29 日に公表した年次報告書で 住宅市場の不均衡から生じる 金融の安定に対するリスクを引き続き警戒している と指摘した こうしたなか今週は 4 日に 9 月の QV 住宅価格が発表される 前回 8 月には前年比 14.6% 上昇と 5 カ月連続で前月から伸びが高まり 昨年 11 月以来の高い伸びとなった NZ では既に住宅ローン規制が講じられているが 効果が表れなければ RBNZ が追加緩和に踏み切りにくくなるとの見方が広がる可能性も NZ ドル米ドルは 8 月 15 日安値 0.7165 米ドル付近で底堅く推移する一方 9 月 7 日高値 0.7486 米ドル辺りでは上値の抵抗を受けよう NZ ドル円は原油相場の堅調な推移や欧州金融セクターに関する懸念の後退を背景に円売りの動きが広がれば一段高となる可能性もあるが 9 月 12 日高値 75 円 46 銭前後はレジスタンスになるとみている 8

マーケット データ 株式 (2016 年 9 月 30 日時点 ) 騰落率 (%) 騰落率 (%) 国 地域 指標 9/30 週間 年初来 国 地域 指標 9/30 週間 年初来 米国 NYダウ工業株 30 種 18,308.15 0.26 5.07 日本 日経平均株価 16,449.84-1.82-13.58 米国 S&P500 種 2,168.27 0.17 6.08 日本 TOPIX 1,322.78-1.98-14.51 米国 ナスダック総合株価指数 5,312.00 0.12 6.08 日本 JASDAQ 指数 113.40 0.85-1.84 ブラジル ボベスパ指数 58,367.05-0.56 34.64 香港 ハンセン指数 23,297.15-1.64 6.31 ヨーロッパストックス欧州 600 指数 342.92-0.70-6.26 中国 MSCI CHINA 63.16-2.41 6.20 イギリス FT100 指数 6,899.33-0.15 10.53 中国 上海深センCSI300 指数 3,253.28-0.68-12.80 ドイツ DAX 指数 10,511.02-1.09-2.16 韓国 韓国総合指数 2,043.63-0.51 4.20 フランス CAC40 4,448.26-0.90-4.07 台湾 加権指数 9,166.85-1.27 9.94 ロシア RTS 指数 990.88-0.31 30.89 シンガポール ST 指数 2,869.47 0.44-0.46 トルコ イスタンフ ールナショナル100 種 76,488.38-4.10 6.64 インド センセックス指数 27,865.96-2.80 6.69 債券 騰落率 (%) 騰落率 (%) 国 地域 指標 9/30 週間 年初来 国 地域 指標 9/30 週間 年初来 米国 10 年国債利回り 1.59-0.02-0.68 米国 NAREIT 指数 682.10-1.97 9.35 ドイツ 10 年国債利回り -0.12-0.04-0.75 日本 東証 REIT 指数 1,825.53 0.97 4.46 日本 10 年国債利回り -0.09-0.04-0.35 米国 WTI 原油先物価格 48.24 8.45 30.24 豪州 10 年国債利回り 1.91-0.05-0.97 米国 NY 金価格 1,313.30-1.81 23.87 為替 債券利回りは変動幅 (%) 騰落幅 ( 円 ) オルタナティブ 騰落幅 ( 円 ) 通貨 9/30 週間 年初来 通貨 9/30 週間 年初来 ドル円 101.35 0.33-18.87 加ドル円 77.23 0.53-9.64 ユーロ円 113.92 0.55-16.72 豪ドル円 77.62 0.58-9.98 ポンド円 131.50 0.63-45.68 NZドル円 73.84 0.68-8.26 出所 :SMBC 信託銀行 マーケット カレンダー ( ~2016 年 10 月 10 日 ) 北米 欧州 アジア 10/3( 月 ) ( 米 ) ISM 製造業景況感指数 9 月 ( 英 ) 製造業 PMI 9 月 ( 日 ) 日銀短観 7-9 月期 10/4( 火 ) ( 欧 ) 生産者物価指数 8 月 ( 豪 ) RBA 理事会 (NZ) QV 住宅価格 9 月 10/5( 水 ) ( 米 ) ADP 雇用統計 9 月 ( 欧 ) 小売売上高 8 月 ( 豪 ) 小売売上高 8 月 ( 米 ) 貿易収支 8 月 ( 英 ) サービス業 PMI 9 月 ( 米 ) ISM 非製造業景況感指数 9 月 ( 米 ) 製造業受注 8 月 ( 加 ) 貿易収支 8 月 10/6( 木 ) ( 豪 ) 貿易収支 8 月 10/7( 金 ) ( 米 ) 雇用統計 9 月 ( 英 ) 鉱工業生産 8 月 ( 日 ) 景気動向指数 8 月 ( 加 ) 雇用統計 9 月 ( 英 ) 貿易収支 8 月 ( 加 ) Ivey 購買部協会指数 9 月 ( 独 ) 鉱工業生産 8 月 10/8( 土 ) 10/9( 日 ) 10/10( 月 ) 出所 :SMBC 信託銀行 9