News Release 平成 25 年 10 月 17 日 特定商取引法違反の訪問販売業者に対する指示処分について 消費者庁は 家庭用温熱治療器の訪問販売を行っていた株式会社天寿 ( 本店 : 鹿児島市 ) に対し 本日 特定商取引に関する法律第 7 条の規定に基づき 違反行為の是正を指示しました 指示の内容 (1) 訪問販売に係る売買契約の締結について 契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し 当該売買契約の締結について勧誘しないこと (2) 訪問販売に係る売買契約の解除について 迷惑を覚えさせるような仕方でこれを妨げないこと 認定した違反行為は 再勧誘及び迷惑解除妨害です 処分の詳細は 別紙のとおりです 1. 株式会社天寿 ( 以下 本件事業者 という ) は 事前にアポインターが主に高齢の消費者の住居に電話をかけ 商品の説明をするための訪問の了解を取り付けた後 営業員が消費者の住居を訪問し 温寿 ( おんじゅ ) と称する家庭用温熱治療器 ( 以下 本件商品 という ) を消費者に使用 体験させてから本件商品の売買契約の締結について勧誘する訪問販売を行っていました 2. 認定した違反行為は以下のとおりです (1) 本件事業者は 消費者が 年金で生活しているから高くて買えません 似たようなものを持っているからいらない と契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず 引き続き勧誘を行っていました ( 再勧誘 ) (2) 本件事業者は クーリング オフの申出を行った消費者に対し同情心
を煽るような引き留めを執拗に行い また 消費者が解約したい旨告げたにもかかわらず解約に応じないなど 売買契約の申込みの撤回又は解除について消費者に迷惑を覚えさせるような仕方でこれを妨げていました ( 迷惑解除妨害 ) 本件に関する御相談窓口 本件に関する御相談につきましては 消費者庁から権限委任を受けて消費者庁とともに特定商取引法を担当している経済産業局の消費者相談室で承ります お近くの経済産業局まで御相談ください 北海道経済産業局消費者相談室東北経済産業局消費者相談室関東経済産業局消費者相談室中部経済産業局消費者相談室近畿経済産業局消費者相談室中国経済産業局消費者相談室四国経済産業局消費者相談室九州経済産業局消費者相談室沖縄総合事務局経済産業部消費者相談室 電話 011-709-1785 022-261-3011 048-601-1239 052-951-2836 06-6966-6028 082-224-5673 087-811-8527 092-482-5458 098-862-4373
( 別紙 ) 株式会社天寿に対する行政処分の概要 1. 事業者の概要 (1) 名称 : 株式会社天寿 (2) 代表者 : 代表取締役畑野巧 (3) 所在地 : 鹿児島市船津町 4-20 天文館シティビルⅡ201 号室 (4) 資本金 :300 万円 (5) 設立 : 平成 22 年 12 月 1 日 (6) 取引類型 : 訪問販売 (7) 取扱商品 : 家庭用温熱治療器商品名 温寿 ( おんじゅ ) 2. 取引の概要株式会社天寿 ( 以下 同社 という ) は 事前にアポインターが主に高齢の消費者の住居に電話をかけ 商品の説明をするための訪問の了解を取り付けた後 営業員が消費者の住居を訪問し 温寿 ( おんじゅ ) と称する家庭用温熱治療器 ( 以下 本件商品 という ) を消費者に使用 体験させてから本件商品の売買契約の締結について勧誘する訪問販売を行っていた 3. 指示の内容特定商取引に関する法律 ( 以下 法 という ) 第 2 条第 1 項に規定する訪問販売に関する業務のうち 次の事項を遵守すること 1 訪問販売に係る売買契約の締結について 契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し 当該売買契約の締結について勧誘しないこと 2 訪問販売に係る売買契約の解除について 迷惑を覚えさせるような仕方でこれを妨げないこと 4. 指示の原因となる事実同社は 以下のとおり 法に違反する行為を行っており 訪問販売に係る取引の公正及び購入者等の利益が害されるおそれがあると認められた (1) 再勧誘 ( 法第 3 条の2 第 2 項 ) 同社は 消費者が 年金で生活しているから高くて買えません 似たようなものを持っているからいらない と契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず 引き続き勧誘を行っていた
(2) 迷惑解除妨害 ( 法第 7 条第 4 号 省令第 7 条第 1 号 ) 同社は クーリング オフの申出を行った消費者に対し同情心を煽るような引き留めを執拗に行い また 消費者が解約したい旨告げたにもかかわらず解約に応じないなど 売買契約の申込みの撤回又は解除について消費者に迷惑を覚えさせるような仕方でこれを妨げていた 5. 勧誘事例 事例 1 平成 24 年 5 月頃 同社の営業員 Zは消費者 Aの住居を訪問し 同社の販売する本件商品の使用を体験させた Aは 身体が温かくなって気持ち良くなったものの 特に腰などに痛みがある訳ではないので 本件商品のような健康器具は必要ないと思った Zは 3つほどがセットになった商品をAに勧めた Aは お金もないし買えない こういった高額なものは病院なんかで買って使うようなものですよね と言って断った しかし Zは自宅用に購入した者の例を挙げて 家でも買って 良い 良い と使ってらっしゃる方がいるんですよ セットじゃなければ腰のがいいんじゃないですか 1つだけでもいいですから と言って セットではなく単品のものを勧めた Aは 特に欲しくもなかったので 年金で生活しているから高くて買えません と断った しかし Zは ローンもできますから と言って更に勧めた Aは面と向かって強く断ることができず あまりにZが勧めるので 本件商品を買うことにした 商品代金は約 20 万円だったが そのうち1 万円をその日に支払い 残りは後日 Zが取りに来ることになった 商品は契約した当日に渡された 契約後 残りの代金をZが集金に来た時に Aは 支払った1 万円はもういいから この商品は使いたくないから持って帰ってください と言った しかし Aがそのように頼んでも Zは Aさんに良くなってほしいから勧めるんですよ と言って聞かなかった Aは それでも 返したい と言ったが Zは商品を持ち帰るとは言わなかった そこで Aは仕方なく準備しておいた残りの代金を支払った 事例 2 同社の営業員 Yは 平成 24 年 12 月頃 消費者 Bの住居を訪問した Bは 息子と暮らしており Bの夫は病気のため普段は介護施設に入居していたが その日は施設から戻っていた Bが畑から戻ると 長椅子に腰
掛けた夫が 居間のこたつに入ったYと話していた Yは 御主人が寒そうだったので 上着を掛けました と言った Bは 住居に戻ると知らない男がいたので驚いたが Yは居間のこたつに入ったまま動こうとしないので そのまま話を聞いた Yが中にもぐさが入った本件商品を勧めてきたので Bは似たようなものを持っているから要らないとはっきりと断った そして 何年も前から使っている電気マットを持って来て見せた しかし Yは 自分が持って来たのは こんなのです と言って本件商品を見せながら 改良されて便利になっていますよ と言って勧めた Bは いくつもいらない と何度も断わったが Yはこたつに入ったまま 一人でずっと 本件商品の良いところを褒め続けた Bがいくら断ってもYは帰ろうとはしなかった そのうちに夕飯の準備をしなければならない時間になり Bは段々とイライラした 本当は帰ってくださいとはっきり言いたかったが Yは背が高く体格も良い若い男性なので 何かされるのではというおそれもあり 怖くて帰ってほしいとは言えなかった 早く帰ってほしいと思い 仕方なくYが勧める本件商品を買うことにした 事例 3 平成 25 年 2 月某日 午前 10 時頃 同社のアポインターは一人暮らしをしている消費者 Cの住居に電話をかけ 同社の販売する本件商品を紹介し住居を訪問する了解を取り付けた その後 同社の営業員 XがCの住居を訪問し まずは本件商品を体験するよう勧めた CがXを座敷に上げたところ Xは こうして使うんですよ と言って 持って来た箱から本件商品を出して包装のビニールを破り畳の上に広げた Cが本件商品の上に寝てみたところ 電気を入れるとポカポカと暖かくなり その日はとても寒い日だったため 気持ちが良くなった 本件商品のお試しが終わると Xは 早速ですけど 買いませんか と言い 勧誘を始めた Cは すぐに契約するつもりはなかったが Xが熱心に何度も勧めるので買うことにした 何かあってもクーリング オフをしたら良いという軽い気持ちもあった 購入した商品は35 万円ほどするものだったが Cは年金で生活しているので そのような大金は手元になかった そこで その当日は 内金として2 万円を支払い 残りの代金は後日 Xが来た時に支払うことになった 契約後 Cは商品の金額が高かったこともあり不安になってよく考え
た 本件商品はすぐに箱にしまって それ以降使わなかった 取りあえず契約してしまったが 契約した本件商品をずっと使い続けられる自信もなかった その頃 県に住んでいる親戚が危篤状態だったため 至急駆けつけなければならない事態になるかもしれず 年金生活をしているCが高額な契約をするゆとりはなかった Cは やはり契約をやめようと考え 昼食を食べないまま 同社に電話をかけて 今契約することにしたんですけど ちょっとほかにお金が必要になることが起こりそうにあるもんで クーリング オフしたい と言った Cが同社に電話をかけた1 時間くらい後に 真剣な顔のXが再度住居に来た Xは 事務所から電話がかかってきたんですけど なんとかなりませんか 社長はあなたには優しい応対だったかもしれませんが C さんがクーリング オフをすることになれば僕は社長からものすごく怒られるんですよ 僕は昔 ぐれていましたが この会社に入って真面目になりました 彼女もできて 近いうちに結婚する予定なんです 僕も一所懸命支えますから なんとかなりませんか と言って 畳に頭がつかんばかりに土下座をした Xのような背の高い体格のいい人が何度も何度も頭を下げるので 一人暮らしのCはかえって怖くなった 近々結婚する予定のところをCがクーリング オフをすることで破談になるかもしれないというのも嫌だった Cは 県に急遽駆けつけなければならなくなるかもしれないので旅費のお金が必要だから契約できないことも説明した それでも Xは一所懸命な感じで そこをなんとかできませんか と言った Xが何度もそのように言うので CはとりあえずXに帰ってもらうつもりで それなら私も頑張りますから と答えた 契約した翌日の朝 Xから電話があり 今度は に売りに来ているんです 機械は使ってみましたか と言った Cは いいえ と答えた Xは 良くなるから使ってくださいね 僕も一所懸命応援しますから 頑張ってください と言って電話を切った Cは再度よく考えたが やはり本件商品を使っていく自信がないと思い 改めて クーリング オフをすることにし 解除通知のはがきを同社宛てに送付した