スギ花粉の捕捉Ys ver7.00

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抗菌薬の殺菌作用抗菌薬の殺菌作用には濃度依存性と時間依存性の 2 種類があり 抗菌薬の効果および用法 用量の設定に大きな影響を与えます 濃度依存性タイプでは 濃度を高めると濃度依存的に殺菌作用を示します 濃度依存性タイプの抗菌薬としては キノロン系薬やアミノ配糖体系薬が挙げられます 一方 時間依存性

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スギ花芽 (11 月下旬の様子 )

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ごく少量のアレルゲンによるアレルギー性気道炎症の発症機序を解明

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花粉症について

実践!輸血ポケットマニュアル

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

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VACCINE PART.2 VACCINE PART.2 VACCINE PART.2 VACCINE PART.2 VACCINE 第 1 章 その魔力は薬か毒か ワクチンの効果を高める目的で添加されている補助剤がです しかし よいことだけではありません とはいったいどのようなもので ワクチンの

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針刺し切創発生時の対応

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日本内科学会雑誌第98巻第12号

600人の耳鼻咽喉科医師とその家族対象 アレルギー疾患に関する全国調査

はじめに 花粉症は スギなどの花粉が抗原 ( アレルギーの原因物質 ) となって起こるアレルギー疾患の一種です 厚生労働省の調査によると わが国のスギ花粉症の患者数は人口の約 16% に上ると推定され この20 年間急増しています 花粉症が急増した背景には 戦後の積極的な植林による花粉飛散数の増加と

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今後の展開現在でも 自己免疫疾患の発症機構については不明な点が多くあります 今回の発見により 今後自己免疫疾患の発症機構の理解が大きく前進すると共に 今まで見過ごされてきたイントロン残存の重要性が 生体反応の様々な局面で明らかにされることが期待されます 図 1 Jmjd6 欠損型の胸腺をヌードマウス

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Microsoft Word - 【要旨】_かぜ症候群の原因ウイルス

ROCKY NOTE 食物アレルギー ( ) 症例目を追加記載 食物アレルギー関連の 2 例をもとに考察 1 例目 30 代男性 アレルギーについて調べてほしいというこ

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花粉の飛散シーズンに外出する場合は マスクやメガネを着用し 花粉が目や鼻などに付かないよう注意しましょう 帽子をかぶることも効果があります 帰宅したときには 洋服や髪の毛に付いた花粉をよく払い落としてから家の中に入り うがい 手洗い 洗顔をしましょう なるべく室内に花粉を入れないように注意しましょう

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今回の調査では 主に次のような結果が得られました 花粉症の現状と生活に及ぼす影響の実態 スギ花粉症を初めて発症してから 10 年以上経つ人が 66.8% と 長年花粉症に悩まされている人が多いという結果に 10 年以上経つ人の割合が多い地域としては静岡県 栃木県 群馬県 山梨県等が上位に 今までにス

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消化性潰瘍(扉ページ)

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花粉症患者実態調査(平成28年度) 概要版

本日の内容 HbA1c 測定方法別原理と特徴 HPLC 法 免疫法 酵素法 原理差による測定値の乖離要因

海藻の機能性あれこれ

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

Research 2 Vol.81, No.12013

した つまり 従来から研究されてきた IgE/Fc RI を介した活性化経路は 肥満細胞活性化の一面に過ぎず むしろ生体防御の見地からすると 感染に対する防御こそ肥満細胞の機能の中心的な役割である可能性も出てきたのです この一連の研究は 肥満細胞は何もアレルギーを起こすために存在しているのではなく

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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

様式 F-19 科学研究費助成事業 ( 学術研究助成基金助成金 ) 研究成果報告書 平成 25 年 5 月 31 日現在 機関番号 :17701 研究種目 : 若手研究 (B) 研究期間 :2011 ~ 2012 課題番号 : 研究課題名 ( 和文 ) スギ花粉症初期療法が鼻粘膜ヒス

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3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

るが AML 細胞における Notch シグナルの正確な役割はまだわかっていない mtor シグナル伝達系も白血病細胞の増殖に関与しており Palomero らのグループが Notch と mtor のクロストークについて報告している その報告によると 活性型 Notch が HES1 の発現を誘導

2018.3月号

抗ヒスタミン薬の比較では 抗ヒスタミン薬は どれが優れているのでしょう? あるいはどの薬が良く効くのでしょうか? 我が国で市販されている主たる第二世代の抗ヒスタミン薬の臨床治験成績に基づき 慢性蕁麻疹に対する投与 2 週間後の効果を比較検討すると いずれの薬剤も高い効果を示し 中でもエピナスチンなら

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八村敏志 TCR が発現しない. 抗原の経口投与 DO11.1 TCR トランスジェニックマウスに経口免疫寛容を誘導するために 粗精製 OVA を mg/ml の濃度で溶解した水溶液を作製し 7 日間自由摂取させた また Foxp3 の発現を検討する実験では RAG / OVA3 3 マウスおよび

寺さんのもっと健康セミナー (その8) 花粉症

のと期待されます 本研究成果は 2011 年 4 月 5 日 ( 英国時間 ) に英国オンライン科学雑誌 Nature Communications で公開されます また 本研究成果は JST 戦略的創造研究推進事業チーム型研究 (CREST) の研究領域 アレルギー疾患 自己免疫疾患などの発症機構

共同研究チーム 個人情報につき 削除しております 1

も 医療関連施設という集団の中での免疫の度合いを高めることを基本的な目標として 書かれています 医療関係者に対するワクチン接種の考え方 この後は 医療関係者に対するワクチン接種の基本的な考え方について ワクチン毎 に分けて述べていこうと思います 1)B 型肝炎ワクチンまず B 型肝炎ワクチンについて

通常の単純化学物質による薬剤の約 2 倍の分子量をもちます. 当初, 移植時の拒絶反応抑制薬として認可され, 後にアトピー性皮膚炎, 重症筋無力症, 関節リウマチ, ループス腎炎へも適用が拡大しました. タクロリムスの効果機序は, 当初,T 細胞のサイトカイン産生を抑制するということで説明されました

1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ

ルノンホーム (アレルブロック®)

報告にも示されている. 本研究では,S1P がもつ細胞遊走作用に着目し, ヒト T 細胞のモデルである Jurkat 細胞を用いて血小板由来 S1P の関与を明らかにすることを目的とした. 動脈硬化などの病態を想定し, 血小板と T リンパ球の細胞間クロストークにおける血小板由来 S1P の関与につ

Transcription:

花粉症など外来性病原物質による 病態発現の防止製剤の開発

スギ花粉症の病因と発症メカニズム スギ花粉症は即時型アレルギー反応であり 多糖類鎖中ガラクチュロン酸結合部位を切り離す花粉上のCryj1と Cryj2という二種のペクチンを分解する酵素蛋白を主たるアレルゲン ( 抗原 ) としている 花粉は一般病原物質と比較して異常に大きなプラスに帯電した物質である 表面に抗原を持つ花粉の断片が粘膜にある肥満細胞上のIgE 抗体と結合 架橋することで 肥満細胞からヒスタミンが放出され 症状が発現する

スギ花粉症の特異性と問題点 大部分の花粉症患者は通常は健常人 日本人約 5 人に1 人以上が罹患している 適切で現実的な治療法に乏しい ( 対症療法のみ ) 幼小児にまで患者層が拡大 多様な症状でQOLが損なわれる 屋外での活動が阻害される 症状による生産性の低下が見られる

スギ花粉の捕捉におけるペクチンと DNA の協調効果 ペクチン 核酸の花粉囲い込み実験 Control( 蒸留水のみ ) : 花粉は分散 ペクチン存在下 : 花粉の連鎖形成 花粉の自由運動抑制 ペクチン+DNA 存在下 : 花粉粒子がさらに凝集 (Aggregation)

ペクチンと DNA によるスギ花粉の白血球凝集の協調抑制 花粉と白血球の反応 Control( 細胞培養液のみ ) : 花粉は白血球の周囲に集積ペクチン存在下 : 花粉に白血球は集積する傾向弱いペクチン+DNA 存在下 : 花粉はにDNAとペクチンで凝集し 白血球に集積しない

ヒスタミン放出におよぼすペクチン類と DNA の協調抑制 120 100 80 60 40 ヒスタミン遊離率 (%) 20 0 Control 0.03%pectin 0.3%DNA-Na 0.3%DNA-Na+0.03%pectin

花粉症の改善作用のまとめ 即効性 : 2-3 分以内に眼のかゆみ 鼻づまりが改善される 持続性 : 一日に 4-5 回の点鼻と点眼で十分な効果が得られる 快適な睡眠 : 就寝から翌朝まで 鼻づまりや鼻水から開放され 快適な睡眠が得られる 予防効果 : 外出前後の使用で 野外での活動が可能である 脱感作効果 : 数週間の使用で徐々に花粉に耐性ができる可能性

スギ花粉とインフルエンザウィルス 構造 ( 電子顕微鏡写真 ) スギ花粉 インフルエンザウィルス

インフルエンザウィルスの構造 ヘマグルチニン : 細胞膜表 のシアル酸に結合し 細胞への感染を うタンパク質ノイラミニダーゼ : 細胞内で増殖したウイルスが他の細胞に感染するために必要な酵素タンパク質 ( タミフル リレンザなどの抗ウイルス薬はノイラミニダーゼを阻害することで作用する )

ペクチンによるノイラミニダーゼ活性の阻害 Control 0.01% Pectin

手術後結膜炎に対する効果 Control Pectin (After 1 week)

ポレノン (Pollenon) 製造開発のポイント 花粉捕捉を介する花粉症 ( ウイルス感染 ) 防止製剤の構成上のポイント 花粉 ( ウイルス ) の捕捉による発症の抑制 即効性かつ長時間作用 粘膜刺激作用がない 均一に粘膜上に展開 睡眠時から早朝の花粉症状を回避 外出時の症状発現を防止 アレルゲンから脱感作できる可能性

バイオミストのコンセプトおよび概要 Cationic Agent Trapping Theory (CAT 理論 ) DNA 類は 1 塩基毎に 1 アニオンを有する強力なカチオン捕捉物質である ペクチン類は水酸基かエステル基を有する脂質親和性かつカチオン捕捉物質である 花粉やウィルスはウロン酸類 ( ペクチンなど ) に対する高い親和性が明らかになった ペクチンと DNA は花粉 ウィルス その他のカチオニック病態起因物質の除去作用の可能性が示唆された

参考資料

病態起因物質の生体への接触防止製剤および防止方法 散している花粉はバラバラで 粘膜に吸着しやすい状態にあります このままだと不快なムズムズを引き起こす恐れがあります それらの症状に対してペクチンを投与することで 花粉の表 が覆われます つまり不快成分を無 化してしまうのです また花粉にはプラスイオンが多量に存在し ペクチンに加えマイナスイオンを併せれば 花粉をがっちり包み込み 付着できなくなります 強いマイナスイオンを帯びた安全な天然成分といえばDNA( 核酸 ) です 下図に示すように 花粉が近づくとD N A は花粉とペクチンの周りに集積し 塊を作って花粉を無 化することが検証されました 本発明はアレルゲンを無 化する画期的な発明です 花粉の顕微鏡写真 散している花粉はバラバラで 吸着しやすい状態にあります このままだと不快なムズムズを引き起こす可能性があります 花粉にペクチンを加えると ペクチンを加えることで 花粉の表 が覆われます つまり不快成分を無 化してしまうのです さらにDNAを加えるとペクチンでコーティングされた花粉がくっつきあいます つまり大きな塊になることで吸着しにくくなるのです アレルギー反応はアレルゲンが抗体に認識されて初めて起こります アレルゲン構造を修飾して抗体によるアレルゲン本体の認識を阻害した場合にはアレルギー反応は誘発されません ペクチン類が酵素基質としてアレルゲンに結合し花粉と患者の抗体 ( 免疫グロブリンE) との間に介在することでアレルギー反応の発生を妨ぐことができます さらには 花粉表 が陽荷電することとウロン酸類および核酸類によるカオトロピック効果をも応用すると 花粉には生体粘膜にアクセス不能となります このようにして 従来の生体に作用する薬剤とは異なる 法で花粉症を防 治療できる理想的な製剤を開発しました 花粉症患者の肥満細胞などからのヒスタミン放出を阻害し 副作用も られていません

ポレノンパンフレット ( 裏面 ) より

花粉症とは

スギの花序とスギ花粉および抗原 光学顕微鏡像 (600 倍 ) http://www.pref.ishikawa.jp/ringyo/pollen/fl/sugi.jpg スギ雄花序 花粉のサイズは 10-30μm 抗原 走査型電子顕微鏡写真像 (2000 倍 ) 最近の研究で抗原は花粉の表面に点在していることが明らかになった

花粉の抗原と花粉症発症の機序 スギ花粉上の抗原が免疫機能を活性化して ( 感作 ) 最終的に産生された IgE が肥満細胞上に配置される 再度抗原が体内に入ると肥満細胞上の IgE が抗原に架橋されて反応し ケミカルメディエーター ( ヒスタミン ) が放出される

抗原とペクチン DNA の反応 好塩基球 ペクチン + DNA 抗原とペクチン DNA による凝集 肥満細胞

CAT 理論とは

CAT 理論とは 種々の病気の原因となる花粉やウイルスなどの表 はプラス (+) に荷電している そのために これらの病体起因物質はマイナス (-) に荷電した物質に吸着する性質がある 細胞の表 はマイナスに荷電しているために 花粉やウイルスなどの病体起因物質に吸着しやすく アレルギー反応やウイルス感染を起こしやすい CAT 理論ではこれら病体起因物質を 生体に近づけなくするために 強 なマイナスの電荷 ( - ) を持つ物質で病原体を吸着することで 症状を引き起こさないようにする理論である 身体に影響の少ない天然の食材の中からこのような成分を検討した結果 核酸とペクチンの組合せが い効果を いだすことを いだした 特に 多糖類であるペクチンは花粉症の原因であるペクチン分解酵素と い親和性があり またインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに親和性があることから 核酸とペクチンの組合せが アレルギーやウイルス感染症に い効果を示すことが理論的にも 実験結果からも明らかにされている