1. はじめにインターネット等の情報通信需要の高まりを受け データセンターの需要が拡大している 最近のデータセンターは サーバの高密度化に伴い サーバからの発熱は 1 ラック当たり 5kW ~10kW 程度と増大している その為 冷房密度は オフィスビルの 10 倍以上となり この膨大な冷房消費エネ

Similar documents
Microsoft PowerPoint - 資料7-5.ppt

PowerPoint プレゼンテーション

三建設備工業つくばみらい技術センター汎用機器を用いた潜熱処理システムの運転実績

01_03_特集.indd

JTB データセンター革新 クラウド時代に対応できる自社 DC - 東京都省エネセミナー ( 事例紹介 : データセンター編 ) 年 7 月 2 日 5 日株式会社 JTB 情報システム基盤システム部マネージャー程田悦由 2013 JTB System Solution, INC. 感

NHK環境報告書2008

Heading title

32 エアフローについて り 室内空気を誘引します 図5 誘引比は一 夏期の除湿モードでは 外気はと全熱交換 次空気100 /hに対し350 /hの室内空気を誘引 器で熱交換し プレクーラーで予冷し相対湿度を し 450 /hの風量として室内に吹出されます 高めます 次にデシカントローターで除湿した

工場など天井が高く、中・大規模な空間の効率的な空調を実現する置換換気空調用パッケージエアコンを製品化

1. 背景 目的 -1- CO2 排出量 の削減 地球温暖化防止 電力消費の削減と平準化 電力不足への対応 グローバルな要求事項 今後の電力供給体制への影響が大きい 地球温暖化が叫ばれる中 グローバルな要求事項として CO2 排出量の削減が求められている 加えて震災後の電力供給体制に対し 電力消費そ

補足資料 1-2 運用実施 温水ボイラの空気比低減による燃料消費量の削減 (13A ガス ) 現状 問題点都市ガスボイラを使用 燃料を完全燃焼させるための空気比が大きい ( 排ガス温度 200 空気比 1.5) そのため 排ガス量が増加し 排ガス熱損失が増加している 空気比 21/{21-( 排ガス

図 - 1 設備関連改修工事の取組み 2. 自然エネルギーと高効率機器を利用した熱源システム 2.1 熱源システム概要熱源システムは, 自然エネルギーの有効利用 高効率 トップランナーシステムの採用 をポイントとして計画し, 電気とガス, および氷蓄熱システム ( 既設再利用 ) による夜間電力を利

AISIN GROUP REPORT 2011

国土技術政策総合研究所 研究資料

見直し後11 基準相当1.64GJ/ m2年hh11 基準相当見直しH11 基準と見直し後の省エネ基準の比較について 住宅 建築物判断基準小委員会及び省エネルギー判断基準等小委員会平成 24 年 8 月 31 日第 2 回合同会議資料 1-1 より抜粋 設備機器の性能向上により 15~25% 程度省

業績の概要とカーボンニュートラル化に係わる取り組みの要旨 自然の恵みを活かした低カーボンエネルギーによる室内環境の形成 株式会社電算は 長野県を基盤としてインフォメーションテクノロジーの研究開発に取り組み サービスとして提供する総合情報サービス企業である 旧本社の老朽化のため 長野市内にて新本社を建

外気カット制御 有 外気冷房制御 無 全熱交換器制御 有 ( 全熱交換効率 0.) 2 換気設備 室用途毎に基準設定換気風量 ( 換気回数 ) 基準設定全圧損失 標準的な送風機の送風機効 率 伝達効率 余裕率 モータ効率を定め これらを標準設備仕様とする 基準設定換気風量 : 設計者へのヒアリング調

3. 測定結果 床吹出し空調は 7 階会議室と 17 階幹部室で実施したが 計測結果は室用途や使用状況から若干の違いはあるものの ほぼ同様な傾向を示すことから本報告はその内容を特徴的に表す 17 階幹部室の計測データを報告する 夏期 (1) 室内温度分布 冬期 図.4 17 階幹部室温度 ( 床吹出

untitled

省エネと快適性を向上させた環境配慮型フロアシステム 床吹出空調用 OA フロアシステム 美風 のメリット 1 省エネ ( 従来型空調に対して空調消費エネルギーを 10 15% 程度削減可能です ) 居住空間のみ有効な空調を実現します 冷房時 吹出温度を一般空調より高めに設定できます ダクトを省略でき

目次 第 1 章序論 1-1 研究背景 既往の研究 研究目的 論文構成 9 第 2 章建物と空調システムの概要及び実測方法 2-1 建物と空調システム概要 実測方法 14 第 3 章 213 年 12 月 ~214 年 3 月実測結果 3-1 温度 1

Microsoft Word - testing_method_desiccant_ docx

公開用_ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の定義と評価方法(150629)

57-62⑥新技術.eca

<4D F736F F D208E9197BF315F B838D C8C768E5A977697CC5F FC C8AEE8F808F808B925F E646F63>

Microsoft Word - モデル建物法H28_解説書_ALL_v2.1_ docx

(Microsoft PowerPoint - \216R\223c\221\262\230_2011 [\214\335\212\267\203\202\201[\203h])

業務用空調から産業用まで 圧倒的な効率で省エネやCO2排出量削減に 貢献するKOBELCOのヒートポンプ ラインナップ一覧 業界最高効率の高い省エネ性 シリーズ 全機種インバータを搭載し 全負荷から部分 機 種 総合COP 冷房 供給温度 暖房 熱回収 冷温同時 製氷 冷媒 ページ HEMⅡ -10

<4D F736F F F696E74202D F8EC08DDD8C9A95A B29835A B8BF392B22E >

,745 3,000 JK

はじめに 平素は格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます 平素は格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます この度は 屋根改修に際し 弊社 イソタンシステム ご提案の機会を賜りまこの度は 屋根改修に際し 弊社 イソタンシステム ご提案の機会を賜りました事を重ねて御礼申し上げます した事を重ねて御礼申し

1/4 環境との共生を図る建築の実現 所在地 山梨県北杜市 主な用途 事務所 敷地面積 43, 延床面積 6,470 駐車場棟 エネルギー棟除く 構 造 木造 一部鉄骨造 階 数 2階建て 工 期 ゼロエネルギービルの実現 敷地は八ヶ岳南麓のなだらかな斜面

各家庭の 1 年間の出費のうち約 7% は電気 ガス 灯油といったエネルギーへの支出です 詳しくは 各制度のパンフレット W EB で 市民向け 太陽光発電 燃料電池 ( エネファーム ) HEMS ( ホームエネルギーマネジメントシステム ) 定置用蓄電 太陽熱利用 ガスエンジン木質コージェネバイ

発売の狙い 昨今の電力事情から節電に対する関心は高く 業務用エアコンにおいてもより一層の省エネ 節電を強く求められています また エネルギー効率が高い製品の使用を促進するために 省エネルギー法で 2015 年度に具体的に達成すべき基準値が定められています 当社は今回 機器本体の省エネ性の向上を図り

店舗・オフィス用パッケージエアコン 室内ユニット「てんかせ2方向」シリーズを発売

ヒートホ ンフ 式テ シカント外気処理機 デシカントの低温再生が可能になり ヒートポンプ化が実現! 蒸発器( 室内機 ) 凝縮機 ( 室外機 ) 圧縮機がワンパッケージング! 4,000~12,000CMHの大風量外気処理! 従来のデシカント外気処理機は 冷温水が同時に必要 コージェネ等排熱の加熱源

ICT と気候変動 2 ICT 機器 システムの使用により CO2 を排出 一方 ICT を利活用することにより エネルギー利用効率の改善 人 物の移動の削減 物の生産 消費の効率化 削減 を通じ 様々な分野の CO2 排出削減に貢献することが可能 さらに ICT を用いて環境計測 環境予測が可能

夏期節電手法のご紹介 に関する資料の見方 節電メニューの説明 節電メニューの概要について説明しています 計算例 節電効果をお客さま自身にて理解し試算できるよう, 試算条件や計算式等を記載しております ( 注 : ある条件下による試算事例であり, 各々の建物の運用状況等によって節電効果は異なります )

PowerPoint プレゼンテーション

事例8_ホール素子

<4D F736F F F696E74202D F8EC08DDD8C9A95A B29835A B8BF392B22E >

一次エネルギー消費量比率 (%) 1 東京ガス株式会社 大阪ガス株式会社 東邦ガス株式会社 パナソニック株式会社 ヤンマーエネルギーシステム株式会社 アイシン精機株式会社との共同受賞 2 低炭素社会に向けた住まいと住まい方 の推進方策についての中間とりまとめ ( 平成 24 年 7 月経済産業省国土

<4D F736F F D208EAD93874B B205A454289BB89FC8F438EC08FD88E8E8CB12E646F63>

<4D F736F F F696E74202D208D488FEA C E815B B92F188C48F C838B834D815B A976C E B8CDD8AB B83685D>

Agenda 1. 東京都環境配慮型データセンター認定制度の概要 2. 認定データセンターの環境性能等 ( ティア PUE) の分析 3. データセンターにおける省エネ対策 2

DCの省電力化施策検討 ppt

4 推進体制別途添付いたします 5 公表の方法等 ホームページアドレス 閲覧場所 窓口で閲覧 所在地 冊 子 閲覧可能時間 冊子名 入手方法 その他

自然熱エネルギー 未利用エネルギーを活用し 環境配慮に貢献する 配管システムのご提案 クリーンな エネルギーを 有効利用 で 様々なシーン ギー 利 用 自 然 熱 エネ ル 未利用熱回収タンクユニット ホット Reco FRP製貯湯槽 ホットレージ 熱交換槽 貯湯槽 架橋ポリエチレン管 温泉引湯

大成建設技術センター報第 4 号 (28) 3. 操作 制御システムの概要 3. パーソナル空調に要求される操作 制御機構パーソナル空調の個人単位の操作 制御の特徴を活かし 個人にとっては好みの操作を可能とし 2 管理側にとっては在席状況に応じて個々の吹出しユニットを ON/OFF して細やかに省エ

地球温暖化対策計画書

【HP公表 最終版の公表前確認修正有り】 北陸取組み(個票)

スライド 1

アジェンダ 1. 市場動向 2. ハイブリッド給湯機とは 3. 省エネ性 4. 経済性 5. 環境性 6. 快適性 7. 当社製品の特 2

(2) ベースラインエネルギー使用量 それぞれの排出起源のベースラインエネルギー使用量の算定方法は以下のとおり 1) 発電電力起源 EL BL = EL ( 式 1) 記号定義単位 ELBL ベースライン電力使用量 kwh/ 年 EL 事業実施後のコージェネレーションによる発電量 kwh/ 年 2)

Microsoft PowerPoint _BELCA新技術説明会_ACE-Vids_新日本空調_02

環境・設備からみたLCCM住宅へのアプローチ

土壌熱容量を用いる外気負荷低減システムに関する研究

発売の狙い 地球温暖化抑制に向け 店舗 事務所用エアコンには省エネ性向上が求められており 冷暖房ムラの解消や立ち上がり時間の短縮 風あたり感の解消など さらなる気流制御の改善が求められています 当社は今回 店舗 事務所用パッケージエアコン 4 方向天井カセット形において業界初 1 となる左右風向調整

世界の CO2 排出量と東京都 2013 年度は 東京 63.8 百万トン シンガポールフィンランドポルトガルスウェーデンデンマーク < 東京 < マレーシアベルギーオーストリア 2

業界初大風量の換気装置との接続により 大空間の温度 湿度 換気量を一元管理できるマルチエアコン VRV X VRV A シリーズを新発売 2018 年 2 月 1 日 ダイキン工業株式会社は マルチエアコンの最高級モデル VRV X シリーズ (22.4kW~118.0kW 全 18 機種 ) と

< F18D908F DC58F4994C5817A>

A 計算に使用したモデル ( 平面図 立面図 面積表 ) 自立循環型住宅設計ガイドライン設定モデル住宅 ( 一般モデル ) 木造 2 階建延床面積 m2 1~3 地域 4~7 地域 寒冷地モデル 温暖地モデル 部位 面積 [ m2 ] 長さ [m] 部位 面積 [ m2 ] 長さ [m

PA10-02-標準マルチ(UX).xls

低炭素都市づくりガイドライン(案)について

1. 目的 実施計画 高度なエネルギーマネジメント技術により 需要家側のエネルギーリソースを統合的に制御することで バーチャルパワープラントの構築を図る < 高度なエネルギーマネジメント技術 > 蓄熱槽を活用した DR 複数建物 DR 多彩なエネルギーリソースのアグリゲーション < 便益 > 系統安

カーボンニュートラル賞受賞名称第 4 回カーボンニュートラル賞北信越支部カーボンニュートラル賞選考支部名称カーボンニュートラル賞選考委員会北信越支部業績名称佐久総合病院佐久医療センター所在地長野県佐久市中込 3400 番地 28 応募者又は応募機関代表応募者 機関建築主設計者施工者 株式会社日建設計

5

Excelによる非住宅建築物の一次エネルギー計算手順(空調)_

店舗・オフィス用パッケージエアコン「省エネの達人プレミアム」新シリーズを発売

基礎から学べる設備設計シリーズ / 空調設備編 1 空調設備の概要と種類 1 空調設備の概要と種類 1 講義のねらい 今や空調設備は 建物の機能を維持していくためには 不可欠な装備 要素となってい 5 10 る 適正な室内温熱環境及び空気環境を如何に 少ないエネルギーで実現させるかが大きな課題といえ

B.2 モニタリング実績 (1) 活動量 ( 燃料消費量 生成熱量 生産量等 ) 記号 モニタリング項目 定義 単位 分類 1 モニタリング方法 概要 頻度 実績値 モニタリング実績 計測対象期間 ( 年月日 ~ 年月日 ) 備考 F PJ,biosolid プロジェクト実施後のバイオマス固形燃料使

Microsoft PowerPoint - H25:⑤理系施設の省エネ診断結果からみた利用の詳細と省エネ手法.pptx

2

Microsoft Word - 防露試験ガイドライン doc

1 排出削減事業者の情報排出削減事業者会社名株式会社シンセラ排出削減事業を実施する事業所事業所名株式会社シンセラ排出削減事業共同実施者 ( 国内クレジット保有予定者 ) 排出削減事業共同実施者名一般社団法人低炭素投資促進機構 1

azbil Technical Review 2011年1月号

粒子画像流速測定法を用いた室内流速測定法に関する研究

住宅部分の外壁 窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準 ( 平成 28 年国土交通省告示第 266 号 ) における 同等以上の評価となるもの の確認方法について 住宅部分の外壁 窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準 (

<93CD8F6F976C8EAE81698B4C8DDA97E1816A2E786C7378>

結露の発生を防止する対策に関する試験ガイドライン

indd

平成 27 年度補正予算中小企業等の省エネ 生産性革命投資促進事業費補助金 設備別省エネルギー効果計算の手引き 省エネルギー効果計算について 平成 28 年 7 月 2.0 版

CONTENTS

1 外皮断熱性能の強化 1.1 断熱強化の必要性 昭和 40 年代以降 大量に供給された公営住宅ストックを建て替えのみで更新していくことは困難であり 既存ストックの有効活用は重要性を増しています 既存の道営住宅の年代別ストックを見ると 北海道環境共生型公共賃貸住宅整備指針 が策定され断熱水準が強化さ

資料2 排出量取引の国内統合市場の試行的実施及び国内クレジット制度について

資料1 :住宅(家庭部門)の中期の対策・施策検討

「節電対策パンフレット」(家庭向け)

EcoZeas2C_IN.xls

第二面 1. 建築物の位置 延べ面積 構造 設備及び用途並びに敷地面積に関する事項 建築物に関する事項 1. 地名地番 2. 敷地面積 m2 3. 建築面積 m2 4. 延べ面積 m2 5. 建築物の階数 地上 階 地下 階 6. 建築物の用途 一戸建ての住宅 共同住宅等 非住宅建築物 複合建築物


(2) ベースラインエネルギー使用量 それぞれの排出起源のベースラインエネルギー使用量の算定方法は以下のとおり 1) 発電電力起源 EL BL = EL ( 式 1) 記号定義単位 ELBL ベースライン電力使用量 kwh/ 年 EL 事業実施後のコージェネレーションによる発電量 kwh/ 年 2)

<3190DD8C76905C90BF8F E94C5816A2E786C7378>

パッシブ設計実測比較_薪ストーブ編

<4D F736F F D F B5A8F7095F18D908F F955C8E CD82B682DF82C BC95EB2D >

< D32392D8AF990DD947A8AC791CE899ECFD9C E786C73>

Preface Proposal Framework of the Action Plan Background I

第一三共札幌支店ビルの空調設備

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

<4D F736F F D2089C692EB BF B C838C815B CC AF834B E2895BD90AC E368C8E29>

申請者等の概要 ( 第二面 ) 1. 申請者 氏名又は名称のフリガナ 氏名又は名称 郵便番号 住所 電話番号 2. 代理者 氏名又は名称のフリガナ 氏名又は名称 建築士事務所名 郵便番号 住所 電話番号 3. 建築主 氏名又は名称のフリガナ 氏名又は名称 郵便番号 住所 電話番号 4. 設計者 資格

Transcription:

カーボンニュートラル賞 業績の名称 所在地 さくらインターネット石狩データセンター冷房型データセンターの構築 北海道石狩市 受賞名称カーボンニュートラル賞 ( 北海道支部 ) カーボンニュートラル賞選考支部名称 建物概要 応応募又募機は者関 延床面積 階数地下 - 階地上 2 階塔屋 - 階 主用途 竣工年月日 代表応募者 機関 建築主 設計者 施工者 建物管理者 建物利用者 定性的な実績 北海道支部 11,391.75 電算 情報センター 2011 年 10 月 大成建設株式会社 m2 大成建設株式会社一級建築士事務所 大成建設株式会社札幌支店 1) 省エネルギーへの取組み 工夫 建設地域特性の活用 ( 冷房 ) 排熱利用の多用 ( 二重床とピット内の予熱 排熱利用 ( ロードヒーティング 底冷え防止の OA フロアとピット内送風 )) 2) 低カーボンエネルギーへの転換 冬季 ( 冷房 + 排熱 ) 夏季 ( 冷房 + 冷凍機 ) による温湿度コントロール 3) 再生可能エネルギー利用 工夫 該当無し 4) カーボンクレジット等ならびにその他 該当無し 業績の概要 支部選考委員長講評 定量的な実績 一次エネルギー消費量の省エネ率を算定するための参照値( ベースライン ) の根拠 出典名熱源冷房の従来型データセンターのPUE 値 =2.0をベースラインとして試算を行った PUE 値 : データセンターの消費エネルギー効率指標 PUE=( 建屋全体消費電力 /IT 負荷消費電力 ) 石狩データセンターの年間 PUE 実績値 =1.24との比較で試算を行った 8,123(MJ/ 年 m2 ) 一次エネルギー消費量の業績の実績値 1,946(MJ/ 年 m2 ) 一次エネルギー換算係数根拠省エネ法 9.760(GJ/ 年 kwh) CO 2 排出係数 出典名 / 電力 (t-co 2 /kwh) 地球温暖化対策の推進に関する法律 ( 平成 25 年 12 月 19 日公表テ ータ )/0.688(t-CO2/ 千 kwh) CO 2 排出量の合計 137(kg-CO2/ 年 m2 ) CO 2 削減率 76.0% 国内初の冷房型データセンターとして 従来の冷熱源で空調を運用しているデータセンターと比較して 年間 CO2 排出量を 76% 削減している 竣工後の検証ではサーバー室で 1.19 施設全体でも 1.24 の PUE 値を達成し 世界的な冷房型データセンターに匹敵する省エネルギーを実現している 本件により実証された建設地の気候特性を有効に利用した省エネルギー CO2 排出量の削減手法は今後のカーボンニュートラル化への貢献が大きく期待できる 関与した建築設備士の言葉 国内初となる 100% 風量での冷房を実現するデータセンター を実現する設計施工 PJ でした 建設地の石狩市は 冬期の寒冷な温や豪雪 年間を通しての風雨や塩害等の厳しい自然条件を克服する必要がありました そのため設計段階において 冷房制御実験 外装材モックアップ実験 除塩フィルター検証実験 サーバラック排熱実験 等を行った上で 施工を行いました また サーバ排熱を 居室の暖房効率向上 や ロードヒーティング への活用にも取り組みました 竣工後は熱源型データセンターの約 80% 減の省エネルギー性能を検証しました 今後 ますます冷房型データセンターの普及に弾みがつくことを期待します 一般社団法人建築設備技術者協会カーボンニュートラ賞運営委員会

1. はじめにインターネット等の情報通信需要の高まりを受け データセンターの需要が拡大している 最近のデータセンターは サーバの高密度化に伴い サーバからの発熱は 1 ラック当たり 5kW ~10kW 程度と増大している その為 冷房密度は オフィスビルの 10 倍以上となり この膨大な冷房消費エネルギーをいかに削減するかがデータセンターの課題となっている さくらインターネット石狩データセンターは 国内初の冷房型データセンターとして 北海道石狩市に 2011 年 10 月に竣工した建物である 石狩データセンターの最大の特徴は 年間の約 95% の時間において 冷房のみで空調運用を可能とする建築 構造 設備が一体となった建築計画であり 冷熱源で空調を運用している従来型データセンターと比較すると 年間空調消費電力と年間 CO2 排出量の約 80% 削減を可能とした超省エネルギー型データセンターである 2. 建物概要 2.1 建築概要建設地の北海道石狩市は 年間平均温が 7 と冷涼な気候であり 地震 落雷 台風等の災害リスクが少ない地域であるが 年間を通して安定した冷房を実現させる為 冬期の豪雪や 暴風雨 石狩湾からの塩害等の厳しい気象条件への対策について モックアップ実証実験を行いながら建築形態を計画を行った 建築外装材は 軽量で断熱性能の高いダブル折板で包み込む構成とした また 冷房を支えるチャンバーやダクトを建築化することで形成した壁面のオーバーハングは その角度や軒のアールが冬期の雪下ろしを不要にさせる機能性を備えており 過剰な雪庇 ( せっぴ ) の発生を抑えるディテールになっている 2.2 設備概要建屋は 500 ラック毎に分棟モジュール構成とし サーバ室も 100 ラック毎に区画され 設備システムは 100 ラックモジュールとすることで 建屋も設備も初期実装コストを抑え 実装時に最適な建築構成や 設備システムが選択可能なように計画されており 将来ニーズに応じた拡張性を有している 受電設備は 最終 8 号棟を前提とした 特高トランス容量を設置しており 発電機 高圧トランスは 100 ラック単位で構成されている また UPS は ラック型を採用しサーバ室内に設置している 空調設備は 年間を通して 温湿度制御機能を有した冷房を主体とした計画となっているが 夏期の温湿度条件が悪い際には 熱源冷房に自動制御により切替が可能な計画としている 熱源は 高効率ターボ冷凍機を採用している 表 2.1 建物概要 1/4 写真 2.1 建物外観 図 2.1 敷地全体図

2/4 3. 省エネルギーへの取組 工夫 3.1.100% 風量冷房システムの開発 採用データセンターにおいて 100% 風量の冷房を実現させる為には 年間 365 日 24 時間 動かし続けることを前提とした 信頼性の高いシステムを構築する必要があったが 建設地である石狩新港地区は 海岸より 1.5km に位置し 冬期は 温度は -15 風速 10m/s の暴風雪が吹付け 年間降雪量 6m の多雪地帯である その為 導入経路は 建築 構造 設備が一体となった断面計画を行った 建物全体をダブル折板屋根で覆い は 卓越風向と直交する方向の建屋軒下から低風速で取入れ 導入経路を迷路状とした スノートラップ により暴風雪害を防いでいる 更に 塩害対策として 除塩フィルター を設置し 過酷な自然条件下での 100% 風量導入を可能とした このように 建物全体を大きな空調機であるかの如く断面を計画することで 厳しい気象条件を克服し 安定した冷房を実現させた その結果 建物の断熱ラインも複雑化したが 詳細なシミュレーションを実施することにより ヒートブリッジ対策にも充分な配慮がなされている 竣工後 冬を 3 度過ごしているが スノートラップ 部には 雪の侵入は全く無く 年間を通して安定した導入が実現出来ている 尚 本計画における取入口部の断面形状は 特許出願を行っている ミキシングチャンバー室 スノートラップ 図 3.1.1 冷房エアフロー断面図 3.2. 冷房の温湿度コントロールサーバ室は 通年を通して安定した温湿度条件が求められるが 石狩データセンターにおける冷房時の温湿度条件は ASHRAE( 米国暖房冷凍空調学会 ) が規定している 推奨温湿度 ( 図 3.2.1 赤枠部 ) を目標値とし 一時的には 許容温湿度条件 ( 図 3.2.1 青 緑枠部 ) まで緩和する条件として 冷房の運用時間を設定した 冷房時に 推奨温湿度 を保つ為には サーバ室へのの供給設定温度を約 20 相対湿度 60% 程度にコントロールする必要があり 冬期 中間期の温度が低い際には とサーバからの排熱を混合させて適温に制御し 夏期は 冷熱源を稼働させて冷房することが可能なシステムとした また が低湿度の際は 気化式加湿器により加湿 高湿度の際は とサーバからの排熱を混合させ 相対湿度を下げる制御とし 年間を通して従来のデータセンターと変わらない温湿度環境を実現した サーバ排熱 給気 還気 プレ + 除塩フィルター 図 3.2.1 冷房時の空調温湿度 (11 月 ) 写真 3.2.1 スノートラップ部 写真 3.2.2 ミキシングチャンバー室

3/4 3.3 サーバ室の空調計画一般的なサーバ室の空調方式は 2 重床を用いたコールドアイル ホットアイル床吹出し方式 であるが 石狩データセンターでは 2 重床を設置せずに 天井吹出し方式 と 壁吹出し方式 の 2 つの空調方式とし 比較検証が行える計画とした 天井吹出し方式 は サーバ室天井内にダクトを設置し コールドアイル直上より 冷気を供給している 壁吹出し方式 は サーバ室壁面にファンを直付とし ファン動力を天井吹出し方式の 40% 削減を実現し PUE 値の更なる低減に寄与している また 排気方式にも工夫を凝らし サーバからの排熱を直接天井レタンチャンバー内へ送り込む 排熱排気筒方式 を採用した 排気筒 は ダンボールにアルミコーティングを施したダクトを採用し 排熱効率向上と 環境負荷の低減にも貢献している 写真 3.3.1 壁吹出空調写真 3.3.2 天井吹出空調写真 3.3.3 排熱排気筒 3.4 排熱利用設備寒冷地に立地するデータセンターとして サーバの排熱を積極的に活用する為 図 3.4.1 のように サーバ排熱を 3 種類の手法により活用する計画を行った 1 ロードヒーティングへの排熱利用によるエネルギー削減 2 ビルマルチ型空調機の吸込み空気温度上昇による暖房効率向上 30A フロア内 ピット内への排熱送風により 底冷えを緩和し居住環境向上 図 3.4.1 排熱利用設備概念図 写真

4. 省エネルギーの取組の効果検証 4.1 サーバ室の空調消費エネルギーとPUE 値評価竣工後の1 年間に渡り サーバ室の消費電力について収集 分析を行った 図 4.1.1の青色部分がサーバの消費電力を示しており 冬期 中間期は 冷房ファン ( 同図茶色部分 ) のみで空調され 熱源の稼働 ( 同図緑部 ) は 夏期の約 500H( 年間の6%) に過ぎず 年間の94% は 冷房のみで熱源レスの冷房のみで運用可能であることが検証された これを データセンターの空調効率を示す指標であるPUE 値 ( サーバ室の消費電力 /IT 負荷消費電力 ) で評価すると サーバ室での最小 PUE=1.07となり GoogleやFacebook 等の世界的な冷房型データセンターに匹敵する値を示した また 年間平均サーバ室 PUE=1.19 建屋全体でのPUE=1.24を達成し 従来の熱源型データセンターの一般的なPUE=2.0のデータセンターと比較すると 年間の空調エネルギー削減率は約 80% となり 超高効率なデータセンターが実現出来た 日積算消費電力量 [kwh/day] 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 1/1 2/1 3/1 4/1 5/1 6/1 7/1 8/1 9/1 10/1 11/1 12/1 4.2 排熱利用ロードヒーティング写真 4.2.1 にロードヒーティング時のサーモカメラ画像を示す 冷房時に未使用となる空調機コイルより採熱を行い 約 20 の熱源水を熱交換器を介して ロードヒーティングパイプへ伝えているが 24 時間の連続供給により 熱源レスでも十分な融雪効果があることが確認出来た 4.3 OA フロア ピット内への排熱送風による底冷え緩和写真 4.3.1 と 4.3.2 に排熱送風時の床表面のサーモカメラ画像を 図 4.3.1 と図 4.3.2~3 に 排熱利用設備無し 有りの場合の温度測定結果を示す OA フロア内にサーバ排熱を送風することにより 床面温度が 23~24 程度まで上昇し 底冷が緩和され快適感を向上させることが出来た また 非空調時の室温も 2 程度上昇し 空調の消費電力も約 7.5% 削減することが出来た 室内の温熱環境も 体感的に向上しており 省エネルギーと快適性に効果があることが確認出来た 照明熱源空調 ICT 図 4.1.1 サーバ室消費電力内訳 (2012 年 ) 図 4.1.2 サーバ室年間 PUE 値 (2012 年 ) 4/4 写真 4.2.1 ロードヒーティング排熱利用状況 写真 4.3.2 ピット内排熱利用有無比較 写真 4.3.1 OA フロア排熱利用有無比較 図 4.3.2 ピット内排熱利用温度比較 図 4.3.1 OA フロア排熱利用効果比較 図 4.3.3 ピット内排熱利用消費電力比較