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はじめに 近年 温室効果ガス排出量の削減が全世界的な課題となっており 学校施設においても環境負荷低減のための取り組みが求められています 学校施設は 次世代を担う子どもたちが一日の大半を過ごす学習や生活の場であることから 環境対策の推進に当たっては 適切な教室内環境の確保と省エネルギー 省資源対策の両面から取り組む必要があります このような状況の中 国立教育政策研究所文教施設研究センターでは 学校施設の環境に関する基礎的調査研究 ( 主査 : 小峯裕己千葉工業大学工学部建築都市環境学科教授 ) を実施し 平成 21 年 8 月と同 22 年 11 月には 校舎のエコ改修の推進のために ~モデルプランにおける環境対策シミュレーション結果 ~ において 既存校舎を対象に 耐震対策 老朽 質的改善に環境対策を加えた エコ改修 のモデルプランを公表しました さらに 上記の調査研究の成果をもとに 学校設置者の皆様が既存校舎の エコ改修 を検討する際に 改修後のCO2 削減効果をできる限り簡易に算出するための 学校施設のCO2 削減設計検討ツール (FAST: Facilities Simulation Tool for ECO SCHOOL) を開発し Ver.1として平成 23 年 1 月に公表しました このたび バージョンアップをして Ver.2 では シミュレーションできる学校校舎の形状の種類を増やし 多くの便利な機能を付加しました 今後の既存校舎の改修事業に FAST が活用され 適切な教室内環境が確保されるとともに 学校の省エネルギー 省資源対策がより一層進展していくことを期待しています 平成 24 年 6 月 本ツールを利用する際の注意事項 1. FAST は 学校によって利用実態が異なる要素を除いた校舎における主要なエネルギー用途 ( 暖房 冷房 換気 照明 水道 ) のみを対象として エコ改修前後のCO2 排出量及び削減率を試算するものです このため 学校全体の排出量とは異なることに留意してください 以下の場所 時間帯におけるエネルギー消費に伴うCO2 排出量等は含まれていません 体育館 プール 給食室 校庭照明 凍結防止用ヒーター ( 寒冷地 ) 地域開放 土日祝日出勤 一般コンセント類 (PC 等 ) 等 2. 本ツールの適用建物と建物形状は以下のとおりです 小中学校の一文字型校舎 L 字型校舎 コの字型校舎 並行配置型校舎 ( 片廊下型 中廊下型の両形状とも算出可能 ) 3. 学校単位の基本情報で算出を行うツールのため 学校で保有する校舎全体を評価します 4. 本ツールで得られる結果は以下のとおりです ( 改修の場合 ) 改修前後の CO2 排出量及び削減率 ( 新築 改築の場合 ) 環境対策を取り入れる場合と取り入れない場合の CO2 排出量及び削減率

FAST(Ver.1) からの主な変更点 建物形状は一文字型に加え L 字型 コの字型 並行配置型を追加し 棟毎に環境対策メニューの入力が可能 なお 一文字型校舎であっても増築などによって部分的に建物の仕様が異なる場合のシミュレーションも可能 授業時間の入力による教室稼働時間の調整機能を追加 廊下形状は片廊下型に加え 中廊下型を追加 多目的スペースの計算を追加 屋根形状は陸屋根と勾配屋根から選択可能 環境対策メニューについて 簡易入力 ( 校舎全体を同一改修条件で入力 ) と詳細入力 ( 棟ごとに改修条件を入力 ) の選択が可能 ( 増築等で棟ごとに改修仕様が異なる場合や 教室の窓面方位ごとに窓 日射遮へいの仕様を変えたい場合には 詳細入力を利用する ) 注意点 1. 適用範囲外の建物形状 L 字型 コの字型の校舎にあっても建物の棟同士が離れている場合 コの字型校舎において端の棟の長さが異なる場合 2. 入力データ について Ver.1との互換性はありません 目 次 FAST(Ver.2) 使用許諾条件 1 1 2 2 4 3 5 4 6 5 10 6 13 7 24 8 27 9 31 参考資料 1 34 参考資料 2 35 参考資料 3 36 参考資料 4 37 参考資料 5 37 参考資料 6 38 参考資料 7 41

FAST(Ver.2) 使用許諾条件 この使用条件は 国立教育政策研究所 ( 以下 NIER といいます ) が頒布する FAST(Ver.2)( 学校施 設の CO2 削減設計検討ツール ) ( 以下 FAST(Ver.2) といいます ) の使用許諾条件を定めるものです FAST(Ver.2) のご使用には この使用許諾条件にご同意いただく必要があります 1.FAST(Ver.2) (1) FAST(Ver.2) は NIERに設置された 学校施設の環境に関する基礎的調査研究 において開発し NIERが頒布する学校施設のCO2 削減設計検討ツールです (2)FAST(Ver.2) に関する著作権や著作者人格権は NIERに帰属します 2. 使用許諾 (1) NIER は この使用許諾条件の定めるところにより 頒布用 CD-R または NIERホームページからダウンロードされた方 ( 以下 ユーザー といいます ) に対し 本操作マニュアルに記載されている用途にFAST(Ver.2) を使用するライセンスを許諾します (2) NIER は 通知または公表することにより FAST(Ver.2) の内容 操作マニュアルその他の関連文書 この使用条件を変更することがあります (3) ユーザーは FAST(Ver.2) に関して修正 改変 その他 FAST(Ver.2) に関する NIER の著作権や著作者人格権その他の権利を侵害する行為を行わないものとします 3. 責任制限 FAST(Ver.2) は 既存校舎の改修計画段階で CO2 削減効果をシミュレーションするもので 改修計画の参考に供するものです そのため 実際の改修後の実績を保証するものではありません NIER は FAST(Ver.2) の結果と改修後の実績値が異なることによって生じうる損害について一切の責任を負いません 4. 保守 NIER は FAST(Ver.2) については NIER のホームページ等によりユーザーに対するバグ情報そ の他 NIER が任意で定める情報の提供のみを行い 他の保守は行いません 1

エコスクール推進のための FAST 1 FAST使用に関して(1) マニュアルの構成 本書は FAST[ 学校施設の CO2 削減設計検討ツール ] の操作方法を理解することを目的とし 以下の項目 立てで構成しています 2 3 ツールの適用範囲および留意事項 4 5 ツールのセットアップから使い方まで 6 7 計算条件の入力から計算結果の出力まで 8 ツール算出事例 (2)FAST の活用 FAST を活用した CO2 排出量削減効果の把握は 基本設計において改修工事の具体的な仕様を決める場合などに行うことが有効です 一般的なエコ改修事業を行う場合の例 使用時期改修工事の仕様を具体的に決める基本設計の初期段階 (3)FAST の概要 FAST は 学校の学級数など概要の入力と以下に示す12 種類の環境対策メニュー事項を選択するという非常に簡易な入力 操作により 学校施設から排出されるCO2 排出量及び削減効果を算出するプログラムです 1 躯体 1) の断熱仕様 2 屋外に面する窓の種類 3 窓の形状 4 日射の遮へい 5 暖房方式 6 冷房方式 7 換気方式 8 照明方式 9 節水型器具 10 太陽光発電 11 屋根形状 12 屋上緑化 1) 建築物の建具 造作 仕上 設備などを除いた部分 主として強度を受け持つ部分 2

FAST使用に関してFAST は 既存校舎の エコ改修 2) を行う場合を想定して作成しており 本バージョンにおいては 一文字型 L 字型 コの字型 並行配置型 ( それぞれ 片廊下型 中廊下型及び片廊下型と中廊下型が複合している場合も算出可能 ) の校舎を対象としています エコ改修 で採用する改修メニューを比較検討するため 一度に最大 3 種類の改修案を作成することができます 新築や改築を行う場合においても 環境対策を全く施さない場合を対照建物とすることにより CO2 排出量の削減効果を確認することができます なお 改築等を行う場合 解体前の校舎におけるCO2 排出量との比較 相対比の計算は 建物の形状 間取り等が異なるためできません ただし 解体前の建物と改築後の建物を別々のシートに入力し それぞれ CO2 排出量を算出することで 参考値として比較することは可能です (4) 資料の準備 FASTの入力に際しては 以下の資料を事前に準備しておくことにより スムーズに実施することができます 1 学校要覧 ( 学校の概要が記述されている資料 ) 2 学校基本台帳 ( 学校の施設規模などのわかる資料 ) 3 既存校舎事前調査シート ( 既存校舎の現地調査を行った場合 結果を取りまとめた資料 (P36の既存校舎事前調査シートを参照)) 4 既存校舎の設計図面 (3で把握できない部分を補足する資料) (5) 使用環境 FASTは マイクロソフトエクセルのVBA 3 ) (Visual Basic for Applications) を使用しています FASTの利用者は マイクロソフトウィンドウズをOSとするパソコンに加え 指定するバージョンのマイクロソフトエクセルを用意することが必要です (6)FAST で使用したデータ FASTは 暖冷房負荷及び照明の調光制御に関するデータベースを作成する際に 拡張アメダス気象データ 1981-2000 (( 株 ) 気象データシステム ) を使用しています 2 ) 耐震補強 老朽 質的改善といった従来の改修とあわせて環境対策を行うこと 校舎のエコ改修の推進のために モデルプランにおける環境対策のシミュレーション結果 ( 平成 21 年 8 月国立教育政策研究所文教施設研究センター ) より引用 3 ) Microsoft 社の製品に独自の機能拡張を施すためのマクロ言語として開発されたプログラミング言語 同社のプログラミング言語 Visual Basicをベースにマクロ言語用に改造されている 3

エコスクール推進のための FAST 2 適 用 範 囲2 FAST の基本的な適用範囲は 表 1のとおりで 普通教室 特別支援学級教室 特別教室などの校舎を計算対象としています 体育館 プール 給食室等の学校施設は計算対象外であり 校庭照明 凍結防止用ヒーター ( 寒冷地 ) 地域開放や土日祝日出勤に伴うもの 教室等における一般コンセント類 (PC 等 ) のエネルギー消費は計算対象外です 本バージョンでは 建物形状について 一文字型 L 字型 コの字型 並行配置型の形状について算出することができ 一文字型以外 複数棟の校舎が配置されている場合には 南側にある校舎が北側への校舎に及ぼす日影の影響を考慮しています また 教室方位については 最も近い方位を選択することで全ての方位で使用することができます ただし 方位のずれが大きいほど計算結果に誤差が生じます 表 1 適用範囲 項目内容 建物形状 校舎の廊下設置タイプ 教室方位 一文字型 L 字型 コの字型 並行配置型片廊下タイプ 中廊下タイプ南 西 東 北の4 方位 ( 実際の校舎の最も近い方位を選ぶことでツールは使用できます ) 算出する対象計算対象空間普通教室 1 特別支援学級教室 特別教室 2 管理諸室 トイレ 主な非計算対象空間 算出対象 算出できる環境対策メニュー 体育館 給食室 武道場 動力 ( 暖房 冷房 換気 ) 照明 上水 躯体の断熱仕様 開口部の窓の種類 窓の形状 日射の遮へい 暖房方式 冷房方式 換気方式 照明方式( 調光制御 4) ) 節水型器具 太陽光発電 屋根形状 屋上緑化 1 普通教室と隣接し 同一空間として多目的スペースがある場合は計算対象空間として算入することが可能です 2 特別教室は 公立学校施設の補助制度における 運用細目補助要項等 の公立学校建物の校舎等基準表に定めている部屋を基本とし 種類は理科教室 生活教室 音楽教室 図画工作教室 ( 美術教室 技術教室 ) 家庭教室 視聴覚教室 コンピュータ教室 図書室 特別活動室 教育相談室 ( 進路資料 指導室 ) としています 中学校の場合は 外国語教室も含みます 4 ) 明るさに応じて制御され 照明器具のランプの明るさを自動的に調節する機能のこと 4

件3 長期休み 管理諸室のみ 8:00 17:00 FAST は 簡易な入力 操作により 既存校舎の エコ改修 前後の CO2 排出量及びCO2 排出量の相対比を 導き出すことを目的としているため 計算の過程で利用する諸条件を一律に設定しています 設定している 条件は表 2のとおりです 留意事項 各学校の施設の運用実態が異なり 表 2に掲げている設定条件とは必ずしも一致しないため 各学校が実際 に排出しているCO2 排出量と FAST の CO2 排出量は一致しないことに留意してください FASTは CO2 排 出量の削減率 ( 相対比 ) を把握するツールであることをご理解ください 表 2 主な設定条件 用途 項 目 設定条件 全般 平日の使用時間 小学校 : 普通教室 8:00 15:30 管理諸室 8:00 20:00 中学校 : 普通教室 8:00 16:30 管理諸室 8:00 20:00 普通教室は小学校 :40 分 / 時限 中学校 :45 分 / 時限で 6 時限相当を想定 授業時間の入力により調整可能 (1 時限減るごとに 40 分または 45 分短縮 ) 休日 土日祝日は校舎を未使用 冬休み 12/24 1/8 夏休み 7/20 8/31 Ⅰ 地域 ( 主に北海道 ) のみ冬休み 12/24 1/19 夏休み 7/20 8/15 に設定 暖冷房暖冷房機器機器ごとに代表的な成績係数を設定 設定温度普通教室 特別教室 暖房 :18 湿度成り行き 冷房 :28 60% 多目的スペース 暖房 :17 湿度は成り行き 冷房 :29 60% 管理諸室 暖房 :23 湿度成り行き 冷房 :28 60% エコスクール推進のための FAST 暖冷房期間暖房期間 :(Ⅰ 地域 )10/15 5/15 (Ⅱ Ⅳ 地域 )11/1 3/31 (Ⅴ 地域 ) 12/1 2/28 冷房期間 :(Ⅲ Ⅴ 地域 )6/1 9/30 (Ⅵ 地域 )5/15 10/15 ただし 冷房については 外気温度が 28 を超えない限り冷房は稼働しない設定 出条留意事項および算換気量 すきま風量 換気量は換気方式によって変化するように設定すきま風量はサッシによって変化するように設定 換気 換気動力 全て床面積当たり 自然換気 :0W/m 2 換気扇:1W/m 2 全熱交換換気扇:2W/m 2 照明高効率照明 32W/ 本 ( 従来型は 40W/ 本 ) 調光制御 全地点において時々刻々の昼光照度を算出している 500lx の光環境が得られない場合に点灯する 直射日光が入り過ぎる場合はカーテンを閉鎖し 照明が点灯するように設定 水道 節水効果 便所 : 従来型 節水型の1 回当たりの使用水量をカタログ値より採用 一般水栓 : 節水率を 50% とした 太陽光発電 年間発電量 NEDO の地域別傾斜面日射量より月ごとの太陽電池アレイ温度による発電効率 低下を考慮して算出 太陽電池アレイ温度は地域ごとに考慮 なお 太陽電池 は架台設置方式を想定 注 ) 上記教室の使用時間以外の地域開放や部活動については 計算の対象外としています FAST では余裕教室などは児童生徒等が活用しないものと仮定し エネルギーを消費していないものとしています 5

エコスクール推進のための FAST 4 FASTを使用するための準備 プラットフォームはマイクロソフトウィンドウズとし 以下のエクセルが動作する環境とします 1 Microsoft Excel 2000 sp3 以降 2 Microsoft Excel XP sp2 以降 3 Microsoft Excel 2003 4 Microsoft Excel 2007 5 Microsoft Excel 2010(Excel 2010 64bitは未対応 ) 本ツールのファイル構成を図 1に示します FAST(Ver.2).xls ( 計算エンジン ) と データベース.xls ( データベース ) デフォルト.xls ( セットアップ時のデフォルト条件 ) の3つのファイルで構成されます これら3 つのファイルは 同一フォルダに収納しなければ起動することができません 図 1 ファイル構成 6

FASTを使用するための準備 FAST は CD-R からご使用のパソコンにセットアップして実行します CD-R から実行することはできません CD-R に収録の FAST(Ver.2) フォルダを任意の場所にコピーしてご使用ください ( ただし コピー先の書き込み権限がある場所をご指定ください ) ホームページからダウンロードする場合においても 任意の場所を指定し ダウンロードしてください FAST はマイクロソフトエクセルのマクロ機能を用いて開発しています マイクロソフトエクセルでは セキュリティの観点から マクロを実行しないよう設定することができますが その場合には FAST は動作しません 以下のとおり マイクロソフトエクセルのバージョンに応じ セキュリティレベルの設定等を行うことで動作するようになります なお マクロのセキュリティレベルの変更等は ご自身の責任において行ってください (1) マイクロソフトエクセル2003 以前のバージョンの場合マイクロソフトエクセルを起動し 図 2に示すように ツール マクロ セキュリティ の順でセキュリティ設定画面を呼び出し 図 3に示すようにセキュリティレベル 中 を選択します (2) マイクロソフトエクセル2007,2010の場合マイクロソフトエクセルを起動し 図 4に示すように Officeボタン Excelのオプション セキュリティセンター セキュリティセンターの設定 の順でセキュリティ設定画面を呼び出し 図 5に示すように マクロの設定 警告を表示してすべてのマクロを無効にする を選択します 7

FASTを使用するための準備図 3 セキュリティレベルの変更画面 ( マイクロソフトエクセル2003 以前 ) マイクロソフトエクセル 2003 以前のバージョンの場合 図 2 セキュリティ設定の変更箇所 ( マイクロソフトエクセル 2003 以前 ) 8

マイクロソフトエクセル 2007,2010 の場合 FASTを使用するための準備図 4 セキュリティ設定の変更箇所 ( マイクロソフトエクセル2007) 図 5 セキュリティレベルの変更画面 ( マイクロソフトエクセル2007) 9

エコスクール推進のための FAST 5 FASTの使い方 FAST の起動は 4-3 セットアップ方法 にてハードディスクにコピーした FAST(Ver.2) フォルダにある FAST(Ver.2).xls を 図 6に示すようにダブルクリックしてください 図 6 FAST 起動方法 4-4 マクロの設定 の操作を実行した場合 マクロのセキュリティに関する確認画面が表示されますので マイクロソフトエクセル2003 以前のバージョンの場合は 図 7に示すように マクロを有効にする を選択してください マイクロソフトエクセル2007,2010の場合は 図 8に示すように オプション このコンテンツを有効にする を選択してください 図 7 マクロ有効化の許諾画面 ( マイクロソフトエクセル 2003 以前 ) 10

FASTの使い方図 8 マクロ有効化の許諾画面 ( マイクロソフトエクセル 2007) FAST を起動すると 図 9に示すような画面となります 左側が計算条件を入力するなどユーザーが操作する 計算条件入力画面 で 右側が計算結果や入力条件が一覧表示されている 計算結果表示画面 です 図 9 起動画面 ( マイクロソフトエクセル 2007) 11

ASTの使い方図 10 コントロールボタンF FAST では入力画面の上段の各コントロールボタン ( 図 10) をクリックすることで基本操作ができます 各コントロールボタンの操作内容は 以下のとおりです 1 新規作成 デフォルトの状態から始めます 2 開く 過去に入力して 3 上書き保存 または 4 別名保存 を行ない 保存しておいた入力条件 計算結果のファイルを読み込みます 3 上書き保存 現在入力している条件を現在のファイル名のまま 上書きします デフォルト.xls には上書きできません 一度別名保存されたファイルに上書きするためのボタンになります 現在の条件をデフォルトとする場合は 5 デフォルトとして保存 の操作となります 4 別名保存 現在入力している条件を他のファイル名に変更して保存します 5 デフォルトとして保存 現在の入力条件をデフォルトとして保存します 次回以降 ツールを起動すると保存された条件が画面上に表示されます 6 計算実行 入力画面の概要シート 環境対策メニューの条件を全て入力した後 最終的に計算を実行します 7 計算過程を出力する 年間 CO 2 排出量の計算で使用した途中経過を出力します 通常は出力する必要はありません 8 結果印刷 計算結果を印刷出力します 9 セットアップ時の状態に初期化 ユーザーが 5デフォルトとして保存 にて設定したデフォルト状態を破棄し セットアップ時の状態のデフォルト値に戻します 12

エコスクール推進のための FAST の入力6 エコスクール推進のための FAST 建物形状と棟の考え方仕様 ( 断熱性能や設備 ) の異なる棟や 教室の窓の向いている方位が異なる棟は 異なる棟として扱います 棟の入力方法は 以下のとおりです 計算条件 棟の仕様による入力方法の違い 1 棟 ~3 棟で棟の仕様が同じ場合は 簡易入力 棟の仕様が異なる場合は 詳細入力 で入力します 13

計算条件の入力14

計算条件の入力 計算条件を入力する画面を図 11に示します 5-3 コントロールボタンの操作方法 で説明した コントロールボタン と学校施設の基本情報を入力する 概要シート 各種省エネルギー手法を選択する 環境対策メニュー で構成されています クリックすると 環境対策メニュー と 概要シート が切り替わります 学校施設の基本情報を入力します 該当する項目を選択することにより シミュレーションの入力条件が設定できます 図 11 入力画面の構成 15

えることが可能です 計算条件の入力 概要シート ( 図 12) は 学校の基本情報を入力するシートです FAST はこの概要シートに基づき 校舎全体に占める普通教室 特別教室 管理諸室 廊下等の共有部分の割合や配置を想定します 各入力項目の内容は以下のとおりです P17 に掲載の丸数字に対応します 棟を回転させ 向きを変 中廊下型の場合には もう片方の教室側にも青い が表示されます 環境対策メニューの 窓の形状 日射遮へい の の色と対応しています ( チェックボックス ) は一文字型の場合にのみ表示されます 2 棟 3 棟が不要の場合にはチェックを外します 棟ごとに入力します 図 12 概要シート 16

算条件の入力 1 学校名称 学校名称を直接入力します 2 建築区分 校舎の工事種別を新築 / 改築 改修から選択します 3 建物種別 小学校校舎 中学校校舎から選択します 4 児童生徒数 児童生徒数を直接入力します 5 教職員数 教職員数を直接入力します 常勤教職員全てを数えます 6 授業時間 授業時間を直接入力します 7 延床面積 延床面積を直接入力します 8 9 地域 建物形状 学校の所在する都道府県と最寄りの都市を選択します また 地域で主たる電力会社を選定します ( 該当の電力会社がない場合は デフォルト を選択します ) 建物形状を一文字型 L 字型 コの字型 並行配置型から選択します 回転ボタンにより建物を回転することができます 10 廊下形状廊下形状を片廊下型 中廊下型から棟ごとに選択します 11 教室 窓の方位 普通教室の窓の向いている方位を東西南北から棟ごとに選択します 北東 南東は東 南東 南西を南と考えます 12 校舎の寸法 校舎のA B C Dの各寸法を直接入力します ( 一文字型の場合はA B C) 13 階数 建物の階数を棟ごとに直接入力します 14 学級数 学級数を棟ごとに直接入力します 15 特別支援学級数 特別支援学級数を棟ごとに直接入力します 14 学級数 とは別々に数えます 16 特別教室数 公立学校施設の補助制度における 運用細目補助要項等 の公立学校建物の校舎等基準表に定められている特別教室数を棟ごとに直接入力します 17 管理諸室の有無 校長室 職員室 事務室 保健室 用務員室がどの棟にあるかを選択します 18 多目的スペース 多目的スペースの有無を棟ごとに選択します 普通教室と隣接し 同一空間として多目的スペースがある場合は 計算対象空間として算入することが可能です 廊下形状で中廊下型を選択した場合は あり を選択することはできません 概要シートを入力終了後 をクリックして 環境対策メニューを入力します 詳細入力が必要な場合 (P13 参照 ) は 詳細入力 ( 上級者用 ) を選択してから をクリックします 図 13 画面切り替えボタン 17

算条件の入力す 計 環境対策メニュー ( 図 14) の各項目について 対照建物と改修案それぞれの仕様を選択することにより エコ改修 に各々の環境対策メニューを取り入れた場合のCO2 排出量の削減効果を算出します 環境対策メニューの選択肢は 次頁または P36の 既存校舎事前調査シート を参照ください P19 に掲載の丸数字に対応します ( チェックボックス ) にチェックを付けることで最大 3 ケースの改修案のシミュレーションができます 中廊下型の場合には もう片方の教室側 ( ) も 窓の形状 日射遮へい を入力します 記号の欄は プルダウン方式で 予め設定している項目の中から選定します 図 1 3 の 1 詳細入力 を行う際 2 棟 3 棟には 節水型器具 及び 太陽光発電 の入力項目がありませんので 1 棟に校舎全体分として入力する必要がありま 図 14 環境対策メニュー 18

算条件の入力1 躯体の断熱性能 新省エネ 次世代( 内 ) 次世代( 壁内 ) 次世代( 外 ) 5) から選択します 選択メニューと地域から部位ごとの断熱材厚さが決定します ( 内 ) とは 屋根 壁ともに内断熱 ( 壁内 ) とは 屋根が外断熱 壁が内断熱 ( 外 ) とは 屋根 壁ともに外断熱を意味しています 改修前 ( 対照 ) も断熱している場合は 最も類似している断熱手法及び厚さの断熱基準を選択します 2 開口部種類 単板ガラス 複層ガラス Low-e ガラス 二重サッシ ( 単板 + 単板 ) 二重 サッシ ( 複層 + 単板 ) 二重サッシ(Low-e + 単板 ) から選択します 3 窓の形状 1 階と 2 階以上のそれぞれの窓の形状を 腰窓 腰窓 + 掃き出し窓 掃き出し窓 から選択します 詳細入力では窓の方位 ( 建物形状の の色と対応 ) ごとに選択 します 4 日射遮へい 屋外に設置されている遮へい物を なし 庇 バルコニー ルーバー から選 択します 詳細入力では窓の方位 ( 建物形状の の色と対応 ) ごとに選択します 5 暖房方式 暖房方式を 暖房なし ペレットストーブ 煙突つき石油ストーブ F F 型石油ストーブ 石油温水セントラル EHP エアコン ( 旧型 ) EHP エアコン ( 標準 ) EHP エアコン ( 高効率 6) ) 蓄熱式 E H P エアコン 電気パネルヒータ F F 型ガスストーブ ( 都市ガス ) GHP エアコン ( 都市ガス ) GHP エアコン ( 都市ガス 高効率 ) FF 型ガスストーブ (LP ガス ) GHP エアコン (LP ガス ) GHP エアコン (LP ガス 高効率 ) から選択します 普通教室 特別教室 管理諸室ごとに選択します 6 冷房方式 冷房方式を 冷房なし 氷蓄熱 EHP エアコン EHP エアコン ( 旧型 ) EHP エアコン ( 標準 ) EHP エアコン ( 高効率 ) GHP エアコン ( 都市ガス ) GHP エアコン ( 都市ガス 高効率 ) GHP エアコン (LP ガス ) GHP エアコン (LP ガス 高効率 ) から選択します 普通教室 特別教室 管理諸室ごとに選択します 7 換気方式 換気方式を 自然換気 換気扇 ( 第 3 種機械換気設備 ) 全熱交換換気扇 ( 第 1 種機械換気設備 ) から選択します 8 照明方式 普通教室 特別教室 管理諸室 : 照明方式を 一般型蛍光灯 Hf 蛍光灯 Hf 蛍光灯 + 照度センサー 1 から選択します 初期設定では 1 普通教室あたり蛍光灯を 16 本と想定しており 16 本 /64m2 2 =0.25 本 / m2が入力されています 直接入力することも可能で 教室等の蛍光灯本数を数え 床面積で除した数値を入力します 廊下 便所 : 照明方式を 一般型蛍光灯 Hf 蛍光灯 Hf 蛍光灯 + 人感センサー LED 照明 LED 照明 + 人感センサー から選択します 1 照度センサー は部屋の照明の3 系統に区分し どの系統を制御するかを選択することができます 窓側のみ 窓側 中央 室全体 から選択します 2 教室の面積を実績から 64m2としています 9 節水型器具節水型器具を採用するかどうかと採用率を便所と水栓に分けて選択します 1 棟に2 3 棟も含めて校舎全体分の条件を入力します 10 太陽光発電 3 太陽光発電を採用するかどうかを選択します 設置する場合は 容量 方位角 傾斜角を直接入力します 1 棟に2 3 棟も含めて校舎全体分の条件を入力します 11 屋根形状 屋根形状を 陸屋根 勾配屋根 から選択します 3 FAST で算出した太陽光発電の CO2 削減率は FAST の設定条件下で運用した校舎だけを対象に算出しています このため 体育館や給食室を含む学校全体に対する削減率や FAST の設定条件以外の運用 ( 土日祝日出勤など ) を含んだ条件下における削減率は FAST で算出した CO2 削減率より小さな値となります 5 ) 新省エネ とは 住宅に係る省エネルギー判断基準 において平成 5 年告示改正された基準 次世代 とは 同基準において平成 11 年に告示改正された基準のこと 6) 高効率機器の明確な定義はありませんが 一つの指標として 建築物に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準 の場合 すべての空気調和設備の冷暖房平均 COP( 成績係数 ) が 1.25 以上 ( 一次エネルギー換算値 ) の場合 高い評価を与えていることから COP 1.25 の機器であれば高効率機器と考えて良いと思われます 19

下の入力欄にコピーします 計算条件の入力 環境対策メニュー入力情報の コピー 環境対策メニューは 対照 改修案 A~Cの内 コピーしたい条件入力済みの元データを選択して個別にコピーが行えます 1 2 計画案の変更箇所強調 コピー 対照に対し各改修案の環境対策メニューでの変更箇所が強調表示されます 現在入力されている対照 改修案の入力条件をコピーボタンの 環境対策メニューの入力を詳細入力 ( 上級者用 ) で行う場合 図 15 コントロールボタン ( コピー ) 詳細入力では 1~3 棟において 異なる仕様の環境対策メニューを入力することが可能です 棟切り替えボタンの入力したい棟を選択し 環境対策メニューを入力します また 棟の仕様が同じ場合は 棟切り 替えボタンを使用して棟をコピーすることが可能です Bのコピー先となる棟を選択 ( 1: 選択した棟は 現在入力中の棟位置 の小画面において赤色で示されます ) し Aの棟単位コピーをクリックすると 入力情報を棟単位でコピー の小画面 ( 2) が表示されるので コピーする条件入力済みの元データを選択します A 棟単位コピー 環境対策メニューの入力条件について棟単位ごとでコピーが可能 ただし 窓の形状 及び 日射遮へい はコピー不可 B 1 棟 /2 棟 /3 棟 コピー先となる棟を 1 棟 /2 棟 /3 棟から選択 C 概要シート入力画面へ 概要シート入力画面へ切り替わります A B C 図 16 棟切り替えボタン コピーする条件入力済みの元データを選択します ただし 対照 改修案 A~Cの全ての情報がコピーされることに注意 現在入力している棟が 赤色になります 2 1 20

算条件の入力環境対策メニューの各事項の解説 以下に各事項における専門的内容に関して解説します 1 躯体の断熱性能個々の学校の事情により 実際の断熱厚さは異なります 省エネ関係の基準では 住宅以外の建築物に関する地域ごとの断熱基準は細かく規定されていませんが FASTでは簡易な操作を目的としているため 各基準に対する断熱材の厚さを以下のように設定しています 断熱材はポリスチレンフォーム ( 内断熱ウレタンフォーム吹き付けも同等 ) を想定しています 2 開口部種類複層ガラスとは図 17に示した構造のものです 7) Low-eガラスは 板ガラスの表面に特殊金属膜をコーティングしたもので このLow-e 膜が教室内から室外へ放射される遠赤外線の放射率を低くし 教室内へ反射させるので 断熱性能が高くなります Low-e とは Low Emissivity の略で低放射を意味します 二重サッシとは 1つの窓に二重にサッシを取り付けた窓のこ とで 防音性と断熱性がより高まります 図 17 複層ガラスの構造計21

算条件の入力夜間に氷を作り蓄熱槽に蓄えておくシステムです 計3 窓の形状腰窓は 壁面の中ほどから上 ほぼ腰の高さから上の部分にある窓のことです 掃き出し窓は 外部に人が出入りできる大型の窓で 窓の下枠は室内の床の高さとほぼ同じ窓のことをいいます 4 日射遮へい庇は図 18に示すように窓の上部に水平に設置されたものをいいます バルコニーは庇同様に水平に設置されるもので 室内から人が出ることができるため 壁からの出寸法が一般的に庇より大きくなります また ルーバーを図 19に示します ルーバーには形状 取り付け方法の違いなど多種類ありますが 庇やバルコニー同様 日射遮へい機能があります 7) 図 18 庇図 19 ルーバー 5 暖房方式ストーブは燃焼による熱で暖房する設備で 燃料の違いにより ペレットストーブ 石油ストーブ ガスストーブがあります ペレットストーブは 丸太 樹皮 枝葉などを圧縮して棒状に固めて成形したもの ( ペレット ) を燃料とするストーブです FF 型 とは強制的に給排気を行うシステムのことをいい 煙突つき とは排気ガスを煙突から外部へ自然排気するストーブのことをいいます エアコンは EHP( 電気モーター ヒートポンプの略 ) が電気によって作動する機器であり GHP( ガスエンジン ヒートポンプの略 ) がガスによって作動する機器を表しています 蓄熱式 とは 割安な夜間の電気を利用して温水を蓄熱槽に蓄え 蓄えた熱エネルギーを昼間に使うシステムです 6 冷房方式エアコンについては 5 暖房方式 と同様です 氷蓄熱 とは 5 暖房方式 の 蓄熱式 と同じ仕組みで 22

7 換気方式換気扇 ( 第 3 種機械換気設備 ) は 室内の排気を機械により行い 給気を自然給気とする仕組みをいいます 全熱交換換気扇 ( 第 1 種機械換気設備 ) は 室内の給 排気ともに機械で行い さらに給気と排気間で熱交換を行い 冬期は室内へ取り入れる外気を暖め 夏期は逆に冷やす換気装置です 冷暖房負荷を低減することができます 8 照明方式 Hf 蛍光灯とは 高周波点灯専用形蛍光ランプのことで 蛍光灯安定器 ( インバータ式 ) と組み合わせた Hf 専用器具で使用され 高効率 高出力を実現しています 照度センサーは自然光による室内の明るさに応じて蛍光灯の明るさを自動的に調整するもので 人感センサーは在室者の有無を感知して自動的に照明の点灯 消灯を行うものです 7) 計算条件の入力Hf 蛍光灯 LED 照明とは 発光ダイオード (LED) を使用した照明器具のことであり 長寿命 省電力 高輝度といった特徴があります 9 節水型器具便所については 小便器の使用頻度や使用時間をセンサーにより感知し 洗浄水を自動調節する自動洗浄小便器などがあります また 水栓については 節水コマや泡沫水栓があります 図 20に示すように節水コマはコマ内蔵タイプの水栓に取り付けることで水量を絞り節水することができます 泡沫水栓は泡沫キャップを取り付けた水栓で 水に泡を含ませることにより 同じ水量で通常の水栓の水よりも約 2 倍の手洗い感が得られ 節水につながるものです 7) 図 20 節水コマの仕組 ( 出典 ) 東京都水道局 HP 7 ) 環境に配慮した学校施設の整備推進のために 学校施設の環境配慮方策等に関する調査研究報告書 ( 平成 20 年 2 月国立教育政策研究所文教施設研究センター ) より引用 23

エコスクール推進のための FAST 7 計算結果の表示 計算結果の出力画面は CO2 排出量計算条件表 ( 概要シート ) CO2 排出量計算条件表 ( 環境対策メニュー ) CO2 排出量計算結果表 CO2 排出量計算結果グラフ で構成されています ( 図 21) 6-3 概要シートの入力 6-5 環境対策メニューの入力 で選択した条件も計算結果出力画面に出るので 出力画面を印刷することで 入力条件と計算結果の両方を確認することができます 図 21 計算結果の出力画面 24

計算結果の表示 計算結果の出力画面のうち CO2 排出量計算条件表 ( 概要シート ) CO2 排出量計算条件表 ( 環境対策メニュー ) は 入力した条件を再度出力するものです 図 22に示すように CO2 排出量計算結果表 CO2 排出量計算結果グラフ により 改修案ごと及び用途ごとのCO2 排出量の内訳を把握することができます 図 22 CO2 排出量計算結果の表とグラフ 25

26

エコスクール推進のための FAST 8 検 証 事 例8 FAST を使用して エコ改修 を既に実施した学校を対象とした計算結果を次頁以降に示します 結果から以下のことが検証されました ( 実績値の算出にあたっては 改修前後とも平成 22 年度電力事業者報告の実排出係数を使用しました ) (1) 実施設計時に設計事務所が算定した CO2 排出量の削減率とFASTで算出した削減率がほぼ同じような値であり 計画段階で CO2 削減率を推計するツールとして有効性が高いと言えます (2) それぞれの学校における詳細な運用状況が異なるため 基本的な運用状況だけを考慮した FAST で算出した CO2 排出量の絶対値と学校全体の CO2 排出量の実績は異なります その理由として FAST では 体育館 プール 給食室等の学校施設におけるエネルギー消費 校庭照明 凍結防止用ヒーター ( 寒冷地 ) 地域開放や土日祝日出勤に伴うエネルギー消費 教室等における一般コンセント類 (PC 等 ) のエネルギー消費は計算対象外ですので これらによる CO2 排出量は計算に含まれていません ただし これらの学校の場合 上記に示した用途に対する CO2 排出量が判っている場合には 学校全体の実績値から これらの値を引いたり 既往の研究で明らかとなっている推定値を引いたりすれば FAST の算出結果と近似することを確認しています 検証事例の学校において 実績値から引いたもののうち 主立った用途とその CO2 排出量を参考に以下に示します 27

(18 ) (3,500 ) (3,000 3,500 ) (2,500 3,000 ) (1,500 2,500 ) (500 1,500 ) (500 ) ( ) 3,940 1,120 30 t-co2/ 25 20 15 10 5 0-5 2.6 2.2 13.8 0.7 0.7 7.8 1.4 2.6 11.2 0.6 0.6 4.3-3.6 30 25 2.6 30 25 t-co2/ 20 15 10 5 0 t-co2/ 検 証 事 例16.7 3.8 4.0 1.4 10.8 2.6 1.6 20 15 10 5 0 3.6 7.1 2.0 10.0 3.1 6.7 1.4 3.2-5 -5 28

(18 ) (3,500 ) (3,000 3,500 ) (2,500 3,000 ) (1,500 2,500 ) (500 1,500 ) (500 ) ( ) t-co2/ 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 5.1 23.5 53.3 3.3 21.6 46.6 検証事例t-CO2/ t-co2/ 100 90 80 70 60 50 40 6.2 36.4 4.3 26.1 30 20 45.3 33.1 10 0 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 5.1 2.4 21.0 53.3 3.3 2.4 19.2 46.6 29

(18 ) (3,500 ) (3,000 3,500 ) (2,500 3,000 ) (1,500 2,500 ) (500 1,500 ) (500 ) ( ) 30 t-co2/ 25 20 15 10 5 4.7 1.6 3.3 1.6 10.9 6.8 1.0 0.9 7.2 6.7 0 30 30 t-co2/ 25 20 15 10 t-co2/ 検 証 事 例4.7 14.9 3.3 10.7 25 20 15 10 1.8 20.3 1.8 15.7 5 0 5.8 5.4 5 0 4.2 2.8 30

9 9 例 エコスクール推進のための FAST FAST では 改修前の校舎と3タイプの改修案を比較することができます 本研究会が平成 22 年 11 月に公表した 校舎のエコ改修のために モデルプランにおける環境対策のシミュレーション結果 ( 全国版 ) で作成したⅣ 地域 8) の エコ改修 モデルプラン ( 図 24) を参考として 改修案 A ~ Cの活用方法を説明します Ⅳ 地域のモデルプラン エコ改修のポイント 1 屋根 外壁 窓の断熱化 2 照明機器の高効率化 3 冷暖房機の高効率化 ( プラン A) ( プラン B) 管理諸室 特別教室のみ HP エアコン 管理諸室等に加え 普通教室にもHPエアコン 法のFASTの活用方図 24 Ⅳ 地域のモデルプラン 8 ) 住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準 に基づく地域区分を示す 31

ASTの活用方法の例図 25 エコ改修メニューの入力事例F 入力事例 図 25では 改修案 A はプラン A 相当 改修案 B はプランB 相当の仕様を入力しています 改修案 A B ともに全体的なエコ改修を実施しています 改修案 Aでは普通教室に冷房を導入しないため 普通教室の夏期の温熱環境の向上はあまり期待できません 一方 改修案 Bは 普通教室に冷房を導入していますが 老朽化した暖房設備や照明器具の更新を合わせて行うことで 夏期の温熱環境の向上とCO2 排出量の削減を同時に可能にしています 全体的なエコ改修を行う改修案 Bをベースにして 部分的に改修仕様のレベルを変えることで 改修を部分的に行った場合のCO2 削減効果を確認できます 例えば 改修案 Cでは1 4をそれぞれ実施することで次のことが確認できます 1 断熱仕様のレベルを変えることで 断熱基準に対する効果を確認できます 2 冷暖房を改修前と同じにすることで 断熱することによる効果を確認できます 3 照度センサーを外すことで照度センサーを導入した場合の効果を確認できます 4 太陽光発電を導入することで 太陽光発電における効果を確認することができます 32

ASTの活用方法の例 FAST(Ver.2) では 新エネルギー設備として 太陽光発電と暖房設備のペレットストーブが組み込まれています 温室効果ガス削減対策の一つとして期待されている他の新エネルギーも 導入時の削減効果を算定できることが望ましいと言えます しかしながら 種類が多岐に亘るため FAST(Ver.2) では 組み込んでいません これらの他の新エネルギー設備の導入を予定している場合は 当該設備を導入した場合の CO2 削減率を設計事務所等に依頼して計算してください 計算した値を FAST で算出した削減率に加算することで 改修後の CO2 削減率を推定することができます 風力発電や小水力発電については 設計事務所が算出した CO2 削減率を単純にFASTで算出した削減率に加算することによって推定できます ただし 当該設備を導入した CO2 削減率を算出する際には 学校全体のCO2 排出量ではなく 校舎における主要なエネルギー用途 ( 暖房 冷房 換気 照明 水道 ) に対するCO2 削減率とすべきことに留意ください また 太陽熱 地中熱 雪氷熱利用のような冷暖房に使用するシステムの場合 FAST に入力する冷暖房設備は そのシステムを導入する部屋だけ 改修前 ( 導入前 ) と同じものとする必要があります 以下に太陽熱利用空気式床暖房システムを導入した場合を示します F< 太陽熱利用空気式床暖房システムを暖房設備として活用する場合の例 > 設計事務所に以下の事項を提示し ファンの動力を含むCO2 削減率の算定を依頼します 日照のないときに補助熱源を設置する場合は その暖房設備 ( 補助熱源 ) の稼動率及び機器容量も考慮したCO2 削減率の算出が必要です 導入箇所概要 ( 導入する部屋 位置 床面積 ) 改修前後の断熱状況 ( 壁 屋根 ( 天井 )) 設計事務所が算出した 改修前後の開口部 ( 窓の種類 窓面積 日射遮へいの有無 ) CO2 削減率 A% FAST の条件入力時には 太陽熱暖房を行う部屋についてのみ既存校舎と同じ設備を選択し 他の選択箇所は改修後に設置する暖房機器や改修メニューを選択して算出します 以下は普通教室のみに太陽熱利用空気式床暖房システムを導入する場合を表しています FASTで算出した CO2 削減率 B% FAST で算出した CO2 削減率に設計事務所が算出したCO2 削減率を加算することで推定結果を得ることができます 上記の場合のCO2 削減率 (A+B)% 33

環境対策メニューの仕様と効果 1 下表は校舎のエコ改修メニューの一覧を本研究会で平成 22 年 11 月に公表した報告書 校舎のエコ改修のために モデルプランにおける環境対策のシミュレーション結果 ( 全国版 ) から抜粋したものです 当該報告書では コストパフォーマンス上 有効性の高い改修メニューや室内環境改善効果 省エネルギー効果 老朽対策に効果を発揮する改修メニューをわかりやすくまとめています FAST を使用する際に校舎に環境対策を取り入れる検討の参考にしてください 34

学校施設の環境に関する基礎的調査研究 2 平成 19 年 10 月 24 日平成 24 年 3 月 21 日 ( 最終改正 ) 国立教育政策研究所長決定 1 趣旨近年 地球規模の環境問題が世界共通の課題として提起されており 学校施設においても環境負荷の低減や自然との共生を考慮した施設を整備することが求められている また 平成 20 年に京都議定書の約束期間が開始することから 政府等においても 温室効果ガスの排出削減等の取り組みを強化している このような状況を踏まえ 学校施設のエネルギー消費の現状を把握するとともに 既存校舎における環境対策の推進方策等について調査研究を行い 今後の学校施設整備に係る文教施設施策に資する 2 調査研究事項 (1) 学校施設におけるエネルギー消費に関する実態把握 (2) 既存校舎を対象にした環境対策モデルプランの作成 (3) 学校施設における CO2 排出量算出ツールの開発 (4) その他 3 実施方法別紙の学識経験者等の協力を得て 2 に掲げる事項について調査研究を行う なお 必要に応じ その他の関係者の協力を求めることができる 4 実施期間平成 19 年 10 月 24 日から平成 25 年 3 月 31 日までとする 学校施設の環境に関する基礎的調査研究協力者 ( 委員 ) 小泉 治 ( 株 ) 日本設計第 2 建築設計群副群長チーフ アーキテクト 小峯 裕己 千葉工業大学工学部建築都市環境学科教授 坂口 淳 新潟県立大学国際地域学部国際地域学科教授 寺嶋 修康 ( 株 ) 長大まちづくり推進事業部副技師長 中野 淳太 東海大学工学部建築学科講師 望月 悦子 千葉工業大学工学部建築都市環境学科准教授 ( 別紙 ) ( 五十音順 印 : 主査 ) ( 専門調査委員 ) 小林裕平千葉工業大学大学院工学研究科建築都市環境学研究室 ( 平成 24 年 3 月 31 日まで ) ( オブザーバー : 文部科学省大臣官房文教施設企画部 ) 山本聖一郎 施設企画課専門官 ( 平成 23 年 3 月 31 日まで ) 小谷 善行 施設企画課専門官 ( 平成 24 年 3 月 31 日まで ) 真野 善雄 施設企画課専門官 ( 平成 24 年 4 月 1 日から ) 島田 智康 施設企画課指導第二係長 都外川一幸 施設助成課課長補佐 ( 平成 23 年 3 月 31 日まで ) 高見 英樹 施設助成課課長補佐 ( 平成 23 年 4 月 1 日から ) 森井 敦也 施設助成課技術係長 ( 平成 24 年 3 月 31 日まで ) 扇谷 圭一 施設助成課技術係長 ( 平成 24 年 4 月 1 日から ) ( ツール開発協力 ) 佐藤エネルギーリサーチ ( 株 ) なお 国立教育政策研究所においては 次の関係官が本ツールの開発にあたった 新保 幸一 文教施設研究センター長 ( 平成 24 年 1 月 5 日まで ) 齋藤 福栄 文教施設研究センター長 ( 平成 24 年 1 月 6 日から ) 小林 正浩 文教施設研究センター総括研究官 藤井 淳志 文教施設研究センター専門調査員 ( 平成 24 年 3 月 31 日まで ) 幅崎 美行 文教施設研究センター専門調査員 ( 平成 24 年 4 月 1 日から ) 35

参考資料 3 既存校舎事前調査シート 内は直接記入 それ以外は選択式 ( で囲む ) 概要シート入力事項 ( 共通事項 ) 学校名称児童生徒数校舎延床面積建物形状 人 m2 型 建物種別教職員数授業時間棟番号 ( 詳細入力の場合 ) 概要シート入力事項 ( 棟毎 ) 廊下形状階数特別支援学級数管理諸室有無多目的スペース 教室 窓の方位 階 学級数 教室 特別教室数 人 時限 棟 教室 教室 校長室 職員室 事務室保健室用務員室なし / あり便所数 箇所 建物形状のパターン / 校舎の寸法 ( 該当する校舎形状の にチェックする ) D 1 2 3 B 2 C A B C 1 一文字型 A L 字型 3 D C 2 B D 2 C B 1 1 A コの字型 A 並行配置型 A m B m C m D m 環境対策メニュー入力事項 注意 数種類の仕様が含まれる場合は 校舎内で大半を占める仕様を選択します 躯体の断熱仕様 屋上 ( 屋根 ) 壁開口部 なしなし 内断熱内断熱 外断熱外断熱 厚さ 厚さ mm mm 単板ガラス 複層ガラス Low-eガラス 窓種類 窓の形状日射遮へい暖房方式 普通教室 特別教室 管理諸室 冷房方式 普通教室 特別教室 管理諸室 二重サッシ ( 単板ガラス + 単板ガラス ) なし なし なし なし なし なし なし 二重サッシ ( 複層ガラス + 単板ガラス ) 庇 (600mm) ペレットストーブ EHPエアコン ( 旧型 ) 電気パネルヒータ FF 型ガスストーブ (LPガス) ペレットストーブ EHPエアコン ( 旧型 ) 電気パネルヒータ FF 型ガスストーブ (LPガス) ペレットストーブ EHPエアコン ( 旧型 ) 電気パネルヒータ FF 型ガスストーブ (LP ガス ) 氷蓄熱 EHPエアコン GHPエアコン ( 都市ガス ) 氷蓄熱 EHP エアコン GHP エアコン ( 都市ガス ) 氷蓄熱 EHP エアコン GHP エアコン ( 都市ガス ) 二重サッシ (Low-e ガラス + 単板ガラス ) 腰窓腰窓 + 掃き出し窓掃き出し窓 バルコニー (1,500mm) 煙突付石油ストーブ EHPエアコン ( 標準 ) FF 型ガスストーブ ( 都市ガス ) GHPエアコン (LPガス) 煙突付石油ストーブ EHPエアコン ( 標準 ) FF 型ガスストーブ ( 都市ガス ) GHPエアコン (LPガス) 煙突付石油ストーブ EHPエアコン ( 標準 ) FF 型ガスストーブ ( 都市ガス ) GHPエアコン (LPガス) EHPエアコン ( 旧型 ) GHPエアコン ( 都市ガス 高効率 ) EHPエアコン ( 旧型 ) GHPエアコン ( 都市ガス 高効率 ) EHPエアコン ( 旧型 ) GHPエアコン ( 都市ガス 高効率 ) ルーバー FF 型石油ストーブ EHPエアコン ( 高効率 ) GHPエアコン ( 都市ガス ) GHPエアコン (LPガス 高効率) FF 型石油ストーブ EHPエアコン ( 高効率 ) GHPエアコン ( 都市ガス ) GHPエアコン (LPガス 高効率) FF 型石油ストーブ EHPエアコン ( 高効率 ) GHPエアコン ( 都市ガス ) GHPエアコン (LPガス 高効率) EHPエアコン ( 標準 ) GHPエアコン (LPガス) EHPエアコン ( 標準 ) GHPエアコン (LPガス) EHPエアコン ( 標準 ) GHPエアコン (LPガス) 石油温水セントラル蓄熱式 EHPエアコン GHPエアコン ( 都市ガス 高効率 ) 石油温水セントラル蓄熱式 EHPエアコン GHPエアコン ( 都市ガス 高効率 ) 石油温水セントラル蓄熱式 EHPエアコン GHPエアコン ( 都市ガス 高効率 ) EHP エアコン ( 高効率 ) GHP エアコン (LP ガス 高効率 ) EHP エアコン ( 高効率 ) GHP エアコン (LP ガス 高効率 ) EHP エアコン ( 高効率 ) GHP エアコン (LP ガス 高効率 ) 換気方式 換気器具自然換気換気扇全熱交換換気扇 ( なし ) ( 第 3 種機械換気 ) ( 第 1 種機械換気 ) 照明方式 普通教室 一般蛍光灯 Hf 蛍光灯 Hf 蛍光灯 + 照度センサー 本 / 部屋 m2 / 部屋 特別教室 一般蛍光灯 Hf 蛍光灯 Hf 蛍光灯 + 照度センサー 本 / 部屋 m2 / 部屋 管理諸室 一般蛍光灯 Hf 蛍光灯 Hf 蛍光灯 + 照度センサー 本 / 部屋 m2 / 部屋 廊下 一般蛍光灯 Hf 蛍光灯 Hf 蛍光灯 LED 照明 LED 照明 + 人感センサー + 人感センサー 本 / 区間 m2 / 区間 便所 一般蛍光灯 Hf 蛍光灯 Hf 蛍光灯 LED 照明 LED 照明 + 人感センサー + 人感センサー 本 / 便所 m2 / 便所 節水型器具 便所 未使用 節水型 % 水栓 未使用 節水コマ % 太陽光発電 容量 kw 設置方位 傾斜角度屋根形状 度 屋根形状屋上緑化採用の有無 陸屋根なし 勾配屋根あり 照明については 蛍光灯の数え方に注意すること 蛍光灯器具には1 灯用と2 灯用があります FASTへの蛍光灯の入力は 1m2当りの蛍光灯本数が必要となります 最も代表的な部屋等を事前調査で記録します

換 算 係 数FAST(Ver.2) の計算に使用している換算係数を以下に示します 4 FAST 及び本マニュアルを活用する際に以下の文献が参考になります 校舎のエコ改修のために モデルプランにおける環境対策のシミュレーション結果 ( 全国版 ) ( 平成 22 年 11 月国立教育政策研究所文教施設研究センター ) (http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/allmodelplan.pdf) 環境に配慮した学校施設の整備推進のために 学校施設の環境配慮方策等に関する調査研究報告書 ( 平成 20 年 2 月国立教育政策研究所文教施設研究センター ) (http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/kanhoukoku.pdf) 太陽光の恵みを子どもたちが学び育むために 学校への太陽光発電導入ガイドブック ( 平成 21 年 7 月文部科学省大臣官房文教施設企画部 / 国立教育政策研究所文教施設研究センター ) (http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/taiyoukou.pdf) 地球にやさしいエネルギーを子どもたちが学び育むために 学校における新エネルギー活用ガイドブック ( 平成 22 年 3 月文部科学省大臣官房文教施設企画部 / 国立教育政策研究所文教施設研究センター ) (http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/newenergy.pdf) すべての学校でエコスクールづくりを目指して 既存学校施設のエコスクール化のための事例集 ( 平成 22 年 5 月文部科学省大臣官房文教施設企画部 ) (http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/ecoschool/detail/1294138.htm) 参 環境を考慮した学校施設 ( エコスクール ) の今後の推進方策について 低炭素社会における学校づくりの在り方 考( 平成 21 年 3 月学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議 ) 文(http://www.nier.go.jp/shisetsu/pdf/ecosaisyuu.pdf) 献 建築物の省エネルギー基準と計算の手引大規模修繕等 ( 平成 21 年 10 月財団法人建築環境 省エネルギー機構 ) 住宅の省エネルギー基準の解説 ( 平成 22 年 2 月財団法人建築環境 省エネルギー機構 ) 5 5 37

FAST(Ver 2)における実績データとの検証内容について 6 38

FAST(Ver 2)における実績データとの検証内容について39

FAST(Ver 2)における実績データとの検証内容について40

FAST(Ver 1)による計算結果とFAST(Ver 2)による計算結果との比較 7 41

FAST(Ver 1)による計算結果とFAST(Ver 2)による計算結果との比較42

FAST(Ver 1)による計算結果とFAST(Ver 2)による計算結果との比較43