第 7 章緊急時の対応 7-1 緊急時の対応 学内での事件 事故や学外での調査中の事故に遭遇した場合等において 被災者の救助や応急措置 保健センター 学生サービス課 指導教員への連絡を必ず行ってください 7-2 応急手当の基本事故の大小にかかわらず 被害者に対して病院や救急車に運ばれる前に適切な応急手当を行うことで 被害者の傷害程度を軽減し さらには一命をとりとめることができます 交通事故 災害時 実験室あるいは野外調査等で起こりうる事故に対する応急手当の基本と方法について述べます 応急手当をまとめてみると次のようになる 応急手当 救急処置 心肺蘇生法 ( 胸骨圧迫と人工呼吸など ) AED 使用 喉にものが詰まったとき 気道異物の除去 ( 背部叩打法 上部腹部圧迫法 ) 止血法その他の応急手当楽な姿勢をとらせる方法 ( 保温 回復体位など ) 傷病者の運び方 ( 搬送法 ) 出血に対する応急手当 ( 止血法 ) けがに対する応急手当熱傷 ( やけど ) に対する応急手当溺水に対する応急手当 1 救命処置 (1) 心肺蘇生法とAEDの使用 ( 救命処置の流れ ) 1 反応を確認する片手を額に当て 傷病者の耳もとで 大丈夫ですか 又は もしもし と大声で呼びかけながら 肩を軽くたたき 反応があるかないかをみる 2 助けを呼ぶ大声で助けを求めます 協力者が来たら あなたは 119 番へ通報してください あなたは AE D( 自動体外式除細動器 ) を持ってきてください と要請する 協力者がいない場合 まず 119 番通報する - 39 -
3 呼吸の確認 正常な呼吸 ( 普段どおりの息をしているか ) 傷病者のそばに座り 10 秒以内で傷病者の胸や腹部の上がり下がりを見て 普段どおりの呼吸をしているか判断する 普段どおりの呼吸がないと判断される時 胸や腹部の動きがない場合 約 10 秒間確認しても呼吸の状態がよくわからない場合 しゃくりあげるような 途切れ途切れに起きる呼吸が見られる場合 死戦期呼吸 ( あえぎ呼吸 ) が見られる場合 4 胸骨圧迫正常な呼吸がないと判断したら直ちに胸骨圧迫を開始する 圧迫は 胸の真ん中を 重ねた両手で 強く 速く 絶え間なく 1 分間に 100 回のスピードで30 回連続して 傷病者の胸が 4~5 cm沈むほど圧迫する 5 人工呼吸 ( 口対口の人工呼吸 )( 省略可能 ) 30 回の胸骨圧迫終了後 人工呼吸を 2 回行う (ⅰ) 気道の確保 ( 頭部後屈あご先挙上法 ) 片手を額に当て もう一方の手の人差指と中指の 2 本をあご先 ( 骨のある硬い部分 ) に当てて 頭を後ろにのけぞらせ あご先を真上に引き上げる (ⅱ) 人工呼吸気道の確保をしたまま額に当てた手の親指と人差指で傷病者の鼻をつまみ 口を大きく開け傷病者の口を覆い 空気が漏れないように約 1 秒かけて息を吹き込みます いったん口を離し 同じ要領でもう 1 回息を吹き込む 簡易型の感染防護具等 ( 一方弁付き感染防止用シート又は人工呼吸用マスク ) を持っていると役に立つ 傷病者に出血がある場合や感染防護具を持っていないなどにより人工呼吸がためらわれる場合には 人工呼吸を省略し すぐに胸骨圧迫に進む 6 心肺蘇生 ( 胸骨圧迫と人口呼吸 ) の継続 胸骨圧迫 30 回と 人工呼吸 2 回繰り返す AED が届き装着するまで または救急隊に引き継ぐまで絶え間なく続ける 圧迫部位は 乳頭と乳頭を結ぶ線の真ん中に片方の手の付け根を置く 圧迫と圧迫の間 ( 圧迫をゆるめるとき ) は 胸がしっかり戻るまで圧迫を解除する 圧迫するときは肘を伸ばし垂直に圧迫する AED が到着したら (AED の操作を優先する 準備中は心肺蘇生法を継続 ) 1AED を傷病者の横に置き 電源を入れる ( ふたを開けると自動的に電源が入るものもあります ) ( 電源入力後の音声メッセージに従う ) 2 傷病者の衣服を取り除き パッドに書かれている絵のとおり 身体とパッドとの間に隙間を作らないように しっかりとパッドを貼ること 胸が濡れている場合は よく拭くこと ペースメーカーがあれば数センチ離す ネックレスなどアクセサリーは外すようにすること 3パッドが貼れたら 周囲の人に 身体に触れないでください と声をかけ 傷病者に触れていない - 40 -
かを確認し 解析ボタンを押す 4AEDから ショックが必要です などのメッセージが流れたら 自動で充電 ( 数秒かかる ) される 5 充電が完了したら ショックボタンを押してください などのメッセージが流れる そのときに ショックします みんな離れて と注意を促しショックボタンを押す 6ショックが終わったら 2 分間心肺蘇生法を繰り返す 以後は救急隊に引き継ぐまで AED と心肺蘇生法の繰り返し行うこと (2) 回復体位応急手当をするとき 救急隊を呼ぶ間などには 傷病者に適した体位 ( 姿勢 ) を保つことが呼吸や血液の循環を維持し 苦痛を和らげ 症状の悪化を防ぐのに有効です 傷病者の希望するもっとも楽な姿勢にして安静を保ってください 体位を強制してはいけません (3) 保温悪寒 体温の低下 顔面蒼白 ショック症状などが見られる場合は 傷病者の体温が逃げないように毛布や衣服などで保温してください 地面やコンクリートの床などに寝かせるときは身体の上にかける物より 下に敷く物を厚くすること 何もなければ 新聞紙なども有効 (4) 止血法一般に体内の血液の20% が急速に失われると出血性ショックという重篤な状態になり 30% を失えば生命に危険を及ぼすといわれています 止血は直接圧迫止血が基本で 止血帯法は直接圧迫で止血できないときに行う 1 直接圧迫止血法 ( 出血個所を直接圧迫する方法 ) きれいなガーゼやハンカチ タオルを重ねて傷口に当て その上を手で圧迫する方法である 一度当てたガーゼやハンカチは 絶対はがさないように重ねる 血液により感染する恐れがあるので できるだけビニール袋 ビニール手袋を使用すること 2 止血帯法主に腕や下肢の太い血管からの出血に行う方法で 心臓に近い部分を 3~5 cmの幅の布など帯状の物で強く縛って止血する 30 分に 1 回ゆるめる 時間は必ず記録する 傷口は心臓より高い位置にする 2 特殊なけが (1) 熱傷 ( やけど ) 1 高温による熱傷熱湯 高温蒸気 炎などの高熱のものが触れて起こる皮膚や粘膜の損傷です 熱傷の程度は 1 度 ( 皮膚が赤くなり痛む ) 2 度 ( 皮膚は腫れて赤くなり水ぶくれができる ) 3 度 ( 皮膚は乾いて堅く蒼白になり 場所によっては焦げ感覚がない ) に分けられます 体の表面積の 20~30% 以上に渡る広い範囲の熱傷の場合は 重症の熱傷 です 直ちに医療機関に救急車で搬送してください 応急処置は 患部を 1 秒でも早く 水で冷やすこと 比較的軽い 1 度または 2 度の場合は 冷たい - 41 -
水や水道水で 15 分以上痛みがなくなるまで冷やします 水ぶくれは破らないように注意し 自己判断で民間療法や軟膏等の薬を塗ってはいけません 大学の保健センターや医療機関を受診してください 2 化学薬品による熱傷のとき 衣服や靴などを早く取り除く ( 薬品のかかった部位の着衣を切り取る ) 体についた薬品を水道水等で 20 分以上洗い流す 薬品を洗い流す場合は ブラシ等でこすってはいけません 目に化学薬品や有毒なものが入ったときは 薬品がかかった側の目を下にし 一方の目をよく覆って 水道水等で 20 分以上洗い流す 化学薬品に限らず目の熱傷は 絶対に目をこすってはいけません 熱傷した患部を きれいなガーゼやタオル等で覆って 医療機関に搬送してください 薬品による中和を試みてはいけない (2) 低温による傷害体の一部または全部が低温に晒された場合におこるが 風と湿気が加わると低温の身体への影響は大きくなる 実験室レベルで起こりうる低温による傷害は局所的なものが多いが その際には 凍傷の部分を 37 程度で暖めること (3) 感電感電した場合は 救助者は電源を切った後で 傷病者に近づくこと 必要に応じ 心肺蘇生法を試みることが必要である 感電による傷は見かけよりも深く 特別な治療を要する場合が多いので 救急車を要請してください (4) 落蕾野外で雷が身近に発生した場合には くぼ地があればそこに入り また高い木があれば 根本から離れて姿勢を低くすること 落蕾による感電は 高電圧による感電と良く似ている 感電を受けた場合は 救急車を要請してください (5) 咬創動物に咬まれた時にできる傷のことです 動物の口の中には 細菌がたくさん常在しています 動物に咬まれた傷は 特殊な病気 ( 狂犬病 猫ひっかき病など ) ばかりでなく 化膿や感染することがあり 咬み傷が 小さくても深いことがあるので 見た目以上に注意が必要です 咬まれたら 軽いと思っても すぐに水道水で傷口をよく洗う 清潔なガーゼをあてて医療機関を受診してください (6) 毒虫 毒草 危険な水中生物危険な生物としては ハチ ( スズメバチ アシナガバチ ) アブ カ ノミ ウルシ イラクサ 毒クラゲ ウミヘビ エイ カサゴなどが挙げられますが それぞれの生物によって対処法が異なります 野外での作業に向かう前には 必ず対処法を確認しておくこと 3 熱中症熱中症とは 高温環境下で 体内の水分や塩分 ( ナトリウム ) のバランスが崩れたり 体内の調節機能が破綻するなどして発症する障害の総称です - 42 -
熱失神 熱疲労 熱射病 熱けいれんに分けられます 死に至る可能性のある病態です 予防法を知っていれば防ぐことができます 応急処置を知っていれば救命できます OSAKA KYOIKU UNIVERSITY 熱中症を疑った時 現場での応急措置 1 涼しい環境へ避難させる - 風通しの良い日陰 クーラーが効いている部屋 2 脱衣と冷却 衣服を脱がせて 体から熱を放散させる うちわや扇風機で扇ぐ 氷嚢などを 首 脇の下 太ももの付け根などにあて 早く体温を下げる 3 水分 塩分を補給する 少量の塩を加えた水かスポーツドリンクを飲ませる 4 水を自力で飲めない または 症状が改善しない場合は ただちに救急車を要請してください 4 骨折骨折にはその状態により治療法が大きく異なることから 様々な分類がなされている 1 外傷骨折は 健康な骨に対して外力が加わったことによる骨折をいう 事故による骨折などである 2 疲労骨折は 健康な骨に対してくり返し外力が加わったことにより 疲労が発生して起きる骨折をいう 疲労により起きるため不全骨折 ( 亀裂骨折 ) となりやすい 骨折を疑い手当を行う場合 全身の状態を観察して 骨折を疑わせる症状 ( 激しい痛みや腫れ 動かすことができない 骨折した部位の変形など ) がある時に行う 手当は 全身及び骨折部を安静にし 応急的に固定し 腫れを防ぐために患部を高くする傷病者が最も楽な体位で保温し 直ちに医療機関に搬送する 5 脱臼 捻挫 打撲 肉離れ アキレス腱断裂 突き指 (1) 脱臼脱臼は 関節が外れたもので 関節周囲の靱帯や腱 血管 筋の損傷を伴うことがある 患部をできるだけ楽にし できるだけ早く医師の診療を受けるようにし 決して脱臼をはめようとしたりしてはいけない (2) 捻挫捻挫は 関節が不自然な外力により生理的な可動範囲を超えるような動きを矯正された時に発生し 関節周囲の靱帯損傷の状態をいう 受傷直後は腫脹や内出血をできるだけ抑えるために 局所の安静 冷却 圧迫 患部の高挙が基本です 痛みや腫脹 内出血が顕著な時は自己判断せず医療機関を受診して下さい (3) 打撲打撲は 転倒して打ったり 物に強くぶつけたりして皮下組織や皮膚などの軟部組織の損傷をいう 外傷が無くても頭部 胸部 腹部の打撲は 内部に損傷を伴うものもあるので 医療機関を受診して下さい 手当のポイントは 内出血 腫れを抑えるように 打撲部の安静 氷などで冷却することです - 43 -
(4) 肉離れ肉離れは 走行中やスポーツ活動中に急激に筋肉が収縮した結果 筋膜や筋繊維の一部が損傷して 痛みや腫れ 運動障害を起こした状態をいう 一般的には患部の安静 冷却 圧迫をすることです 肉離れの重傷度 Ⅰ 度 症状は軽微で歩行に障害がない Ⅱ 度 中等度 筋繊維の一部断裂と筋周囲膜の損傷状態で 皮下出血 歩行障害がでる Ⅲ 度 重度 筋に部分断裂が起こり 圧痛顕著で陥没がみられ 歩行が困難専門医を受診してください (5) アキレス腱断裂スポーツ活動中に足の関節後部を蹴られた感覚や ボールが当たったような強い衝撃を感じたのにボールもなく 蹴った人もいなかったら アキレス腱断裂を疑うことです 歩くことはできるので まさか断裂した とは思えなくても つま先立ちができなければ断裂の可能性が高くなります アキレス腱の断裂下部分の陥凹 ( 皮膚表面がへこんでいる ) があるかを触ってみることで確認できます ただし 腫れと痛みが強く 歩行できない状態の場合は 直ちに医療機関に搬送します (6) 突き指突き指は ボールを扱うスポーツでよく起こり 手指の関節の袋 ( 関節包 ) や両脇の靱帯を損傷した状態をいう 骨折や脱臼を伴っていることもあるので 軽く考えてはいけない 手当は 冷却 固定すること 引っ張って治そうとしてはいけない 腫れがひどい場合は医療機関を受診して下さい - 44 -
第 8 章避難場所マップ 柏原キャンパス避難場所 通行禁止区域 最終避難場所 一時避難場所 天王寺キャンパス避難場所 避難場所 - 45 -
第 9 章緊急時の連絡先など OSAKA KYOIKU UNIVERSITY 緊急時の大学連絡先等 平日等 柏原キャンパス月 ~ 金 8:30~18:30 ( 但し 授業のない期間 8:30~17:15). 072-978-3308 ( 学生サービス課 ). 072-978-3811( 保健センター ) 天王寺キャンパス月 ~ 金 13:00~21:30 授業のある期間の土曜日は次のとおり前期 11:30~20:00 後期 13:00~21:30. 06-6775-6677( 学務係 ) 休日 夜間等. 072-978-3261( 北西門衛所 ). 06-6775-6655( 正門守衛室 ) 災害時の大学 情報提供. 171-2-072-978-3308. 171-2-06-6775-6655 メールアドレス gakuseika@bur.osaka-kyoiku.ac.jp yakan@bur.osaka-kyoiku.ac.jp FAX( 災害時 ).072-978-3317 ( 学生サービス課 ). 06-6775-6633 ( 天王寺地区管理課 ) 大学に連絡する 内容 ( 災害時 ) ア. 氏名イ. 学籍番号ウ. 所属エ. 自身の安否情報オ. 連絡場所及び連絡先電話番号 感染症にかかった時の連絡先 ( 平日 ) 全学生 保健センター 072-978-3811 E-mail:chcc@cc.osaka-kyoiku.ac.jp - 46 -