4. 形態コ - ド - 腎盂 尿管 膀胱癌取扱い規約第 1 版より抜粋 (WHO 分類 2004) 病理組織英語表記形態コ - ド 尿路上皮系腫瘍 非浸潤性平坦状尿路上皮内癌 urothelial carcinoma in situ 8120/2 非浸潤性乳頭状尿路上皮癌 non-invasive

Similar documents
Microsoft Word - C65腎盂・尿管 docx

43048腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約第1版 追加資料

がん登録実務について

<303491E592B BC92B08AE02E786C73>

Microsoft PowerPoint 病期分類概論 ppt[読み取り専用]

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

院内がん登録について 院内がん登録とは がん ( 悪性腫瘍 ) の診断 治療 予後に関する情報を収集 整理 蓄積し 集計 解析をすることです 登録により収集された情報は 以下の目的に使用されます 診療支援 研修のための資料 がんに関する統計資料 予後調査 生存率の計測このほかにも 島根県地域がん登録

IARC/IACRにおける多重がんの判定規則改訂版のお知らせ

目次 全部位の概要 - 部位別登録数 - 年齢階級 部位別登録数 - 来院経路 部位別登録数 - 患者住所 部位別登録数 - 症例区分 部位別登録数 - 発見経緯 部位別登録数 部位別詳細

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

Microsoft Word - 眼部腫瘍.doc

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し

外来在宅化学療法の実際

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

1)表紙14年v0

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢

第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

206 年実施卒後教育プログラム ( 日泌総会 ) 領域等タイトル日時単位 日泌総会卒後 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 8 日泌総会卒後 9 日泌総会卒後 0 日泌総会卒後 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 5 日泌総会卒後 6

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

2 ている人に膀胱がん膀胱がんが好発することがあります 好発することがあります 一方 ワラビ ゼンマイなどの食べ物や抗がん剤など一部の医薬品も膀胱がんと関係があるといわれています 中東や北アフリカなどの中東や北アフリカなどの発展途上国で発展途上国では住血吸虫症が膀胱がんを引きおこす膀胱がんを引きおこ

9章 その他のまれな腫瘍

日産婦誌61巻5号研修コーナー

院内がん登録について 院内がん登録とは がん ( 悪性腫瘍 ) の診断 治療 予後に関する情報を収集 整理 蓄積し 集計 解析をすることです 登録により収集された情報は 以下の目的に使用されます 診療支援 研修のための資料 がんに関する統計資料 予後調査 生存率の計測このほかにも 島根県地域がん登録

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73>

記入方法

松江市立病院 院内がん登録 2017 年 診断症例報告書

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

00467TNM悪性腫瘍の分類日本語版第7版

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま ほうっておかないでください

背部痛などがあげられる 詳細な問診が大切で 臨床症状を確認し 高い確率で病気を診断できる 一方 全く症状を伴わない無症候性血尿では 無症候性顕微鏡的血尿は 放置しても問題のないことが多いが 無症候性肉眼的血尿では 重大な病気である可能性がある 特に 50 歳以上の方の場合は 膀胱がんの可能性があり

5. 病 期 分 類 と 進 展 度 TNM 分 類 (UICC 第 7 版 2009 年 ) T- 原 発 腫 瘍 TX T0 Tis T1 T2 T3 T4 原 発 腫 瘍 の 評 価 が 不 可 能 原 発 腫 瘍 を 認 めない 上 皮 内 癌 ボーエン 病 高 度 扁 平 上 皮 内 病

70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

H27栃木県のがんH27.indd

高知赤十字病院医学雑誌第 2 2 巻第 1 号 年 5 原著 尿細胞診 Class Ⅲ(AUC) の臨床細胞学的検討 ~ 新報告様式パリシステムの適用 ~ 1 黒田直人 1 水野圭子 1 吾妻美子 1 賴田顕辞 2 奈路田拓史 1 和田有加里 2 宇都宮聖也 2 田村雅人

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 の相対生存率は 1998 年以降やや向上した 日本で

Microsoft Word - 14外陰2012_

094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

α

Microsoft PowerPoint - 平成28年届出についてフィードバック_ pptx

1. 部位別登録数年次推移 表は 部位別に登録数の推移を示しました 2015 年の登録数は 1294 件であり 2014 年と比較して 96 件増加しました 部位別の登録数は 多い順に大腸 前立腺 胃 膀胱 肺となりました また 増加件数が多い順に 皮膚で 24 件の増加 次いで膀胱 23 件の増加

ける発展が必要です 子宮癌肉腫の診断は主に手術進行期を決定するための子宮摘出によって得られた組織切片の病理評価に基づいて行い 組織学的にはいわゆる癌腫と肉腫の2 成分で構成されています (2 近年 子宮癌肉腫は癌腫成分が肉腫成分へ分化した結果 組織学的に2 面性をみる とみなす報告があります (1,

A 2010 年山梨県がん罹患数 ( 全体 )( 件 ) ( 上皮内がんを除く ) 罹患数 ( 全部位 ) 5,6 6 男性 :3,339 女性 :2,327 * 祖父江班モニタリング集計表から作成 * 集計による主ながんを表示

          

日産婦誌61巻4号研修コーナー

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

院内がん登録集計報告

Microsoft PowerPoint - 【資料3】届出マニュアル改訂について

7. 脊髄腫瘍 : 専門とするがん : グループ指定により対応しているがん : 診療を実施していないがん 別紙 に入力したが反映されています 治療の実施 ( : 実施可 / : 実施不可 ) / 昨年の ( / ) 集学的治療 標準的治療の提供体制 : : グループ指定により対応 ( 地域がん診療病

検討結果は 参考資料 3-3 Ⅱ 本検討会での検討事項等 MOCA の特殊健康診断に関し 下記の事項について検討等を行う 特殊健康診断の項目について 1 業務従事者健診の項目 2 配転後健診の項目 1 現行の特化則で規定されている MOCA の健診項目には 膀胱がんに関する項 目が含まれておらず ま

腎がん はじめに 腎臓は 背部の肋骨下端の高さにある臓器で 尿を作ったり 血圧を調節するホルモンや造血に関係するホルモンを産生したりしています 腎がんは主に腎臓の近位尿細管上皮を由来とするがんで 50 歳代から70 歳代で発生することが多く 女性よりも男性に多く見られます その危険因子としては肥満や

NCCN2010.xls

<4D F736F F D CB48D655F87562D31926E88E695DB8C928A E947882AA82F F4390B38CE32E646F6378>

がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

<4D F736F F D208A6582AA82F182CC82DC82C682DF81698AAE90AC816A815188F38DFC97702E646F63>

Microsoft Word - 14外陰2012_

泌尿器科領域講習 2015 年実施卒後教育プログラム 日泌総会卒後 1 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 5 日泌総会卒後 6 日泌総会卒後 7 日泌総会卒後 8 日泌総会卒後 9 日泌総会卒後 10 日泌総会卒後 11 日泌総会卒後 12 日泌総会卒後 13 日泌

頭頚部がん1部[ ].indd

Microsoft Word - 頭頸部.docx

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

< 高知県立幡多けんみん病院 年院内がん登録 ( 詳細 )> 性 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 9~ 総計件数比率 口腔 咽頭食道胃結腸直腸肝臓胆嚢 胆管膵臓喉頭肺骨 軟部皮膚乳房子宮頸部子宮体部卵巣前立腺膀胱腎 他の尿路 女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男

スライド 1

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

性黒色腫は本邦に比べてかなり高く たとえばオーストラリアでは悪性黒色腫の発生率は日本の 100 倍といわれており 親戚に一人は悪性黒色腫がいるくらい身近な癌といわれています このあと皮膚癌の中でも比較的発生頻度の高い基底細胞癌 有棘細胞癌 ボーエン病 悪性黒色腫について本邦の統計データを詳しく紹介し

平成29年度沖縄県がん登録事業報告 背表紙印字

スライド 1

領域等タイトル日時単位 卒後 卒後 2 卒後 3 卒後 4 卒後 8 卒後 9 卒後 0 卒後 卒後 2 卒後 3 卒後 4 卒後 5 卒後 6 卒後 7 卒後 8 卒後 9 尿路感染症 性感染症ガイドライン 4 月 23 日 ( 土 )8:20-9:50.5 VUR の診断と治療 4 月 23 日

pbl(renal) LI

EBウイルス関連胃癌の分子生物学的・病理学的検討

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

Microsoft Word - 口腔の悪性腫瘍2018.docx

PowerPoint プレゼンテーション

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房 全体

Microsoft PowerPoint - 印刷用 DR.松浦寛 K-net配布資料.ppt [互換モード]

が 6 例 頸部後発転移を認めたものが 1 例であった (Table 2) 60 分値の DUR 値から同様に治療後の経過をみると 腫瘍消失と判定した症例の再発 転移ともに認めないものの DUR 値は 2.86 原発巣再発を認めたものは 3.00 頸部後発転移を認めたものは 3.48 であった 腫瘍

PDF

乳癌かな?!と思ったら

<4D F736F F D2093CD8F6F8D8096DA82CC8B4C93FC82CC82BD82DF82CC91818CA9955C E646F6378>

HGB01訂N.mcd

目次 1 部位別登録件数 2 部位別 性別登録件数( 上位 10 部位 ) 3 部位別 年齢階層別登録件数( 上位 10 部位 ) 4 部位別 組織型別登録件数 5 部位別診断時ステージ分布( 主要 5 部位 ) 6 部位別 治療行為別登録件数( 上位 10 部位 行為別件数上位 5 項目 ) 7

「             」  説明および同意書

泌尿紀要 58 : ,2012 年 447 筋層非浸潤性膀胱癌から Micropapillary variant へ進展し再発 転移した 1 例 三條博之 1, 伊藤悠亮 2, 逢坂公人 2 2, 小宮敦 小林一樹 2, 酒井直樹 2, 野口純男 2, 岸洋一 1 横浜市立大学附属市民

目 次 統計の説明 部位( 中分類 ) 別男女別腫瘍数 1 部位別腫瘍数 < 総数グラフ> 2 部位別腫瘍数 < 男性グラフ> 3 部位別腫瘍数 < 女性グラフ> 4 部位( 中分類 ) 別年齢階層別腫瘍数 5 部位( 中分類 ) 別来院経路別腫瘍数 6 来院経路別腫瘍数 <グラフ> 7 部位( 中

地域公開講演会 2007.3.24

<4D F736F F D AA82F182CC8A6782AA82E882C690698D AA97DE89FC92E82E646F63>

PowerPoint プレゼンテーション

参考文献 1. Hampe, J.F. and Misdorp, W. (1974) Tumours and dysplasias of the mammary gland. Bull WHO 50: Moulton, JE, (1990) Tumors of the Mamma

2)N 分類 Nの入力に際し 画像診断 (CT MRIなど ) より腫大リンパ節の有無を加味した以下の分類細目に従って報告する N0 所属リンパ節腫大 (-) N1 所属リンパ節腫大 (+) NX 画像診断をしなかった 3)M 分類 M0 遠隔転移なし MA 傍大動脈リンパ節の腫大 M1 その他の遠

小児がん中央機関からの報告 1 情報提供 ( 院内がん登録 ) 国立がん研究センターがん対策情報センター センター長若尾文彦 1

<原著>IASLC/ATS/ERS分類に基づいた肺腺癌組織亜型の分子生物学的特徴--既知の予後予測マーカーとの関連

モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の特性と

泌尿紀要 59 : ,2013 年 523 馬蹄腎に合併した腎盂尿路上皮癌の 1 例 松下 慎, 岡田 宜之, 川村 憲彦 氏家 剛, 任 幹夫, 辻畑 正雄 大阪労災病院泌尿器科 A CASE REPORT OF RENAL PELVIC TUMOR IN HORSESHOE KID

15 氏 名 し志 だ田 よう陽 すけ介 学位の種類学位記番号学位授与の日付学位授与の要件 博士 ( 医学 ) 甲第 632 号平成 26 年 3 月 5 日学位規則第 4 条第 1 項 ( 腫瘍外科学 ) 学位論文題目 Clinicopathological features of serrate

Transcription:

腎盂 尿管 Renal Pelvis and Ureter (C65.9, C66.9) 腎盂 尿管に原発する悪性腫瘍は ICD-O 分類の場合 それぞれ局在コード C65.9, C66.9 に分類される UICC 第 7 版においては 癌腫の場合 腎盂および尿管 の項で病期分類を行う 癌腫以外の悪性腫瘍が原発した場合 リンパ腫は Ann Arbor 分類に従った病期分類を行い 肉腫については病期分類が存在しないので TNM 分類の適用外となる 1. 概要わが国の腎 尿管 尿路がんの罹患率 (2006 年 ) 死亡率 (2010 年 ) ともに男性は女性の約 2 倍である 罹 患率は 40 歳代から増加し始め 男性は 80~84 歳がもっとも罹患率が高く 女性は高齢になるにつれて罹患率が高い 死亡率は 50 歳代後半から男女とも高齢になるにつれて高い 罹患率の年次推移を年齢階級別にみると 男性の 40 歳未満は変化なく 40~69 歳までは 1990 年前後までの漸増傾向以降は横ばいで 70 歳以上で は 2000 年あたりにおいても増加傾向を示している 女性では 50 歳以上のすべての年齢階級で増加傾向を示しており 増加の程度は高齢ほど大きい 死亡率の年齢階級別の年次推移は 男女とも 50 歳未満は変化なく 50~74 歳では 1980 年代後半以降は横ばいで 75 歳以上は増加傾向を示している 年齢調整罹患率 死亡率ともに 男女ともに増加傾向である 国際比較では年齢調整罹患率 死亡率ともに欧米先進国で高く 日本を含む中国 インド等アジアでは低い 腎盂尿管がんの罹患は男性が女性の約 2 倍であり 年齢階級別罹患率は 50~70 歳代で高い 発生頻度は膀胱がんの 1/7~1/10 とされている 膀胱がんと同様 喫煙が重要な危険因子であり その他フェナセチン含有鎮痛剤が危険因子として確立されている なお 尿路系のがんは以下の点に注意する 注 1: 尿路 ( 腎盂および尿管 膀胱 ) のがんは同時性および異時性に多発しやすい 腎盂がん治療後に異時性に膀胱がんが発生した場合など 臨床医は 再発 と表現することがあるので 真の意味の再発なのか 異時性多発 ( 多重 ) がんなのかどうかの確認が必要である 注 2:SEER の多重がんの定義では 腎盂および尿管は 1 臓器とみなすので 腎盂および尿管にがんが多発しても 1 腫瘍として登録する 2. 解剖原発部位腎臓で産生する尿は腎錐体の先端にある多数の乳頭孔から排出され 乳頭をとり囲む杯状の嚢 すなわち腎杯 renal calix に受けいれられる 乳頭を囲む腎杯を小腎杯 lesser renal calices といい小腎杯がさらに合わして 2~3 個の大腎杯 greater renal calices になる 大腎杯は内下方に集まって三角形状の嚢すなわち腎盂 renal pelvis になる 腎盂は下方に向かって漏斗状となり 尿管に移行する 尿管 ureter は腎盂につづき 腎臓 kidney から膀胱 urinary bladder に至る管 腎門 renal hilus の内下側からでて 大腰筋の前面を斜めに内下方に向かい 精巣 ( 卵巣 ) 動脈の後ろで これと交叉して下行する 第 4 腰椎の高さで総腸骨動 静脈の前を横切って骨盤内に入る ついで 骨盤の側壁に沿って走り 最後に前内方にまがって 骨盤底の上面を走り膀胱に開く 尿管は全長 25~27 cmで 上半部は腹腔内を走り 腹部 abdominal part といわれ 下半部は骨盤内にあり 骨盤部 pelvic part といわれる 腎臓は尿が作られる腎実質 ( 皮質 髄質 ) と尿管 膀胱へ尿を送り出す腎盂に分けられるが 各々の上皮の由来が異なっているので ICD-O の部位コードも腎実質 C64.9 と腎盂 C65.9 に分けられている 3. 亜部位と局在コード ICD-O 局在 診療情報所見 C65.9 腎盂 C66.9 尿管

4. 形態コ - ド - 腎盂 尿管 膀胱癌取扱い規約第 1 版より抜粋 (WHO 分類 2004) 病理組織英語表記形態コ - ド 尿路上皮系腫瘍 非浸潤性平坦状尿路上皮内癌 urothelial carcinoma in situ 8120/2 非浸潤性乳頭状尿路上皮癌 non-invasive papillary urothelial carcinoma 8130/2 浸潤性尿路上皮癌 Invasive urothelial carcinoma 8120/3 扁平上皮への分化を伴う Invasive urothelial carcinoma with 浸潤性尿路上皮癌腺上皮への分化を伴う浸潤性尿路上皮癌 栄養膜細胞への分化を伴う浸潤性尿路上皮癌 squamous differentiation Invasive urothelial carcinoma with glandular differentiation Invasive urothelial carcinoma with trophoblastic differentiation 微小乳頭型 Micropapillary varint 8131/3 リンパ上皮腫様型 Lymphoepithelioma-like variant 8082/3 肉腫様型 Sarcomatoid variant 8122/3 巨細胞型 Giant cell variant 8031/3 扁平上皮系腫瘍 扁平上皮癌 Squamous cell carcinoma 8070/3 腺系腫瘍 腺癌 Adenocarcinoma 8140/3 粘液亜型 Mucinous type 8480/3 印環細胞亜型 signet-ring cell type 8490/3 明細胞亜型 clear cell type 8310/3 尿管膜に関する腫瘍 尿膜管癌 Urachal carcinoma 8010/3 神経内分泌腫瘍 カルチノイド carcinoid 8240/3 小細胞癌 small cell carcinoma 8041/3 未分化癌 undifferentiated carcinoma 8020/3 色素性腫瘍 悪性黒色腫 Malignant melanoma 8720/3 間葉系腫瘍 横紋筋肉腫 Rhabdomyosarcoma 8900/3 平滑筋肉腫 Leiomyosarcoma 8890/3 血管肉腫 Angiosarcoma 9120/3 骨肉腫 Osteosarcoma 9180/3 悪性線維性組織球腫 Malignant fibrous histiocytoma 8830/3 リンパ造血器系腫瘍 形質細胞腫 Plasmacytooma 9731/3

5. 病期分類と進展度 TNM 分類 (UICC 第 7 版 2009 年 ) T- 原発腫瘍 TX T0 T1 T2 T3 T4 原発腫瘍の評価が不可能 原発腫瘍を認めない 乳頭状非浸潤癌 上皮内癌 上皮下結合組織に浸潤する腫瘍 筋層に浸潤する腫瘍 ( 腎盂 ) 筋層をこえて腎盂周囲脂肪組織または腎実質に浸潤する腫瘍 ( 尿管 ) 筋層をこえて尿管周囲脂肪組織に浸潤する腫瘍 隣接臓器または腎をこえて腎周囲脂肪組織に浸潤する腫瘍 N- 所属リンパ節 NX N0 N1 N2 N3 所属リンパ節転移の評価が不可能 所属リンパ節転移なし 最大径が 2cm 以下の 1 個のリンパ節転移 最大径が 2cm をこえ 5cm 以下の 1 個のリンパ節転移 または最大径が 5cm 以下の多発性リンパ節転移 最大径が 5cm をこえるリンパ節転移 所属リンパ節は 腎盂 : 腎門リンパ節 腹部傍大動脈リンパ節 傍大静脈リンパ節 尿管 : 腎門リンパ節 腹部傍大動脈リンパ節 傍大静脈リンパ節 骨盤内リンパ節 * 腎盂 尿管ともに同側か対側かは N 分類に影響しない M- 遠隔転移 MX 遠隔転移の評価が不可能 M0 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり pt- 原発腫瘍 pt 分類は T 分類に準ずる pn- 所属リンパ節 pn 分類は N 分類に準ずる pm- 遠隔転移 pm 分類は M 分類に準ずる G- 病理組織学的分化度 GX 分化度の評価が不可能 G1 高分化 G2 中分化 G3-G4 低分化または未分化

病期分類 N0 N1 N2 N3 0a 0is T1 I IV IV IV T2 II IV IV IV T3 III IV IV IV T4 IV IV IV IV M1 IV IV IV IV 進展度 ( 臨床進行度 ) 分類 N0 N1 N2 N3 上皮内 上皮内 T1 限局 所属リンパ節転移 所属リンパ節転移 所属リンパ節転移 T2 限局 所属リンパ節転移 所属リンパ節転移 所属リンパ節転移 T3 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 T4 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 M1 遠隔転移 遠隔転移 遠隔転移 遠隔転移 6. 取扱い規約 ( 腎盂 尿管 膀胱癌取扱い規約 2011 年 4 月 第 1 版 ) TNM 分類 UICCTNM 第 7 版による T- 原発腫瘍 TX T0 T1 T2 T3 T4 原発腫瘍の評価が不可能 原発腫瘍を認めない 乳頭状非浸潤癌 上皮内癌 上皮下結合組織に浸潤する腫瘍 筋層に浸潤する腫瘍 ( 腎盂 ) 筋層をこえて腎盂周囲脂肪組織または腎実質に浸潤する腫瘍 ( 尿管 ) 筋層をこえて尿管周囲脂肪組織に浸潤する腫瘍 隣接臓器または腎をこえて腎周囲脂肪組織に浸潤する腫瘍

N- 所属リンパ節 NX N0 N1 N2 N3 所属リンパ節は 所属リンパ節転移の評価が不可能 所属リンパ節転移なし 最大径が 2cm 以下の 1 個のリンパ節転移 最大径が 2cm をこえ 5cm 以下の 1 個のリンパ節転移または最大径が 5cm 以下の多発性リンパ節転移 最大径が 5cm をこえるリンパ節転移 腎盂 : 腎門リンパ節 腹部傍大動脈リンパ節 傍大静脈リンパ節尿管 : 腎門リンパ節 腹部傍大動脈リンパ節 傍大静脈リンパ節 骨盤内リンパ節 * 腎盂 尿管ともに同側か対側かは N 分類に影響しない M- 遠隔転移 MX 遠隔転移の評価が不可能 M0 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり 病期分類 N0 N1 N2 N3 0a 0is T1 I IV IV IV T2 II IV IV IV T3 III IV IV IV T4 IV IV IV IV M1 IV IV IV IV 治療結果の評価 (1) 左右尿管断端 (rt. 右 lt. 左 ) u-rt0 または u-lt0: 尿管断端に癌を認めない u-rt1 または u-lt1: 尿管断端に浸潤癌を認める u-rtis または u-ltis: 尿管断端に非浸潤癌 ( 上皮内癌を含む ) のみを認める u-rtx または u-ltx: 尿管断端における癌の有無を決定できない (2) 尿道断端 ur0: 尿道断端に癌を認めない ur1: 尿道断端に浸潤癌を認める uris: 尿道断端に非浸潤癌 ( 上皮内癌を含む ) のみを認める urx: 尿道断端における癌の有無を決定できないもの (3) 剥離面断端 RM0: 剥離面断端に癌を認めない RM1: 剥離面断端に癌を認める RmX: 剥離面断端における癌の有無を決定できないもの

7. 症状 診断検査 1) 検診 ( スクリ - ニング )- 腎盂 尿管腎癌の検診は制度としては存在しない 2) 臨床症状 顕微鏡的もしくは肉眼的血尿が最も多い 時に膀胱刺激症状を呈する また 遠隔転移に伴う症状で発見されることもある 3) 診断に用いる検査 尿検査 尿細胞診 : 腎盂 尿管癌の診断や術後の追跡にきわめて有効な手段 生検 : 臨床的に診断可能な腎盂 尿管癌でも 生検により癌であることを確認する 内視鏡検査 : 画像診断 腎尿管膀胱部単純 X 線撮影 (KUB): 排泄性尿路造影 (IVU) に先だって行うことにより造影所見の判定のための対照とする 排泄性尿路造影 (IVU, DIP): 造影剤を点滴し 腎盂 尿管を造影する検査 逆行性腎盂造影 (RP): 尿管カテーテルを腎盂内に入れ 造影剤を注入して撮影する方法 排泄性尿路造影 (IVU) より鮮明な画像を得ることができる 超音波断層法 (US): 腎盂 尿管癌の診断や深達度判定に用いられる リンパ節転移や他臓器転移の診断 にも補助的に用いられる CT 検査 MRI 検査 : 腎盂 尿管内の腫瘍を抽出するとともに 腫瘍や深達度判定やリンパ節転移や他臓器転移にも用いられる 腫瘍マーカー : 特異的な腫瘍マーカーはない 8. 治療治療方針 1 遠隔転移のない症例 腎尿管全摘術 + 膀胱部分切除が標準 症例によっては尿管部分切除術 T4 or N(+) 症例は全身化学療法や放射線照射との併用 2 遠隔転移のある症例 全身化学療法 局所制御のための放射線照射との併用が行われることがある 1) 観血的な治療 (1) 外科的治療 腎尿管全摘術(+ 膀胱部分切除 ): 腎と尿管および尿管口周囲の膀胱壁を一塊として切除する 標準的な治療 尿管部分切除術:low grade の表在性がん または反対側腎摘後などに行われることがある (2) 体腔鏡的治療 - 上記の手術が腹腔鏡で行われることもある (3) 内視鏡的治療 尿管鏡または腎盂鏡による内視鏡下切除: 片腎や対側腎機能が悪い場合で腫瘍の悪性度が低い場合などに行われることがある 2) 放射線療法手術不能例や転移巣に対する姑息的治療に用いられる

3) 薬物療法 (1) 化学療法 ( 単剤または併用で使用される薬剤名 略語 商品名 ) Cisplatin (CDDP, ランダ, ブリプラチン ), Doxorubicin (Adriamycin, ADM, アドリアシン ), Vinblastine (VBL, エクザール ), Methotrexate (MTX, メソトレキセート ), Gemcitabine (GEM, ジェムザール ), Paclitaxel (PTX, タキソール ), ifosphamide (IFX, イホマイド ), Mitomycin C (MMC, マイトマイシン S), Epirubicin (EPI, ファルモルビシン ), Cyclophosphamide (CPA, エンドキサン ) (2) 免疫療法 BRM( 単剤または併用で使用される薬剤名 略語 商品名 ) BCG( イムシスト ) 4) その他の治療 (1) 症状緩和的な特異的治療 腎瘻造設術 ( 手術 その他 ): 皮膚より腎実質を貫通させ 腎盂にカテーテルを留置する 尿管カテーテル法 ( 内視鏡的 ): 膀胱鏡下に尿管口から逆行性にカテーテルを腎盂と膀胱間に留置する 9. 略語 IVU intravenous urography 静脈性尿路造影 KUB kidney, ureter, and bladder 腎 尿管 膀胱部単純 X 線撮影 RP retrograde pyelography 逆行性腎盂造影 DIP drip infusion pyeloureterography 点滴静注腎盂尿管造影 CIS (urothelial) carcinoma in situ 非浸潤性 ( 尿路上皮 ) 癌 10. 参考文献 1) 日本泌尿器科学会 日本病理学会 日本医学放射線学会編 腎盂 尿管 膀胱癌取扱い規約 2011 年 4 月第 1 版 ( 金原出版 ) 2) 日本臨床腫瘍学会編新臨床腫瘍学 ( 南江堂 ) 3)UICCTNM 悪性腫瘍の分類第 7 版日本語版 ( 金原出版 ) 4)SEER Summary Staging Manual 2000 5)AJCC Cancer Staging Atlas (Springer) 6) 国立がんセンタ - 内科レジデント編がん診療レジデントマニュアル ( 医学書院 )