い結合組織性の瞼板がある 瞼板中には 30~40 個の瞼板腺 ( マイボーム Meibome 腺 ) が一列に存在し 導管は眼瞼後縁に開口する 前縁には 睫毛 ( まつ毛 ) が 2~3 列あり その根部に睫毛腺 ( モル Moll 腺 ) また脂腺 ( ツァイス Zeiss 腺 ) が開く 涙腺は

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5. 病 期 分 類 と 進 展 度 TNM 分 類 (UICC 第 7 版 2009 年 ) T- 原 発 腫 瘍 TX T0 Tis T1 T2 T3 T4 原 発 腫 瘍 の 評 価 が 不 可 能 原 発 腫 瘍 を 認 めない 上 皮 内 癌 ボーエン 病 高 度 扁 平 上 皮 内 病

眼部腫瘍 はじめに 眼部 すなわち眼球と結膜 眼瞼 眼窩 涙道には 多くの種類のがんが発生し その治療も多種多様です ここでは代表的ないくつかの 眼部のがん の治療について解説します 診断 網膜芽細胞腫眼底検査で乳幼児の眼内に白色腫瘤があり CTで石灰化があること 造影 CTまたは造影 MRIで腫瘤

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32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

性黒色腫は本邦に比べてかなり高く たとえばオーストラリアでは悪性黒色腫の発生率は日本の 100 倍といわれており 親戚に一人は悪性黒色腫がいるくらい身近な癌といわれています このあと皮膚癌の中でも比較的発生頻度の高い基底細胞癌 有棘細胞癌 ボーエン病 悪性黒色腫について本邦の統計データを詳しく紹介し

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日産婦誌61巻5号研修コーナー

7. 脊髄腫瘍 : 専門とするがん : グループ指定により対応しているがん : 診療を実施していないがん 別紙 に入力したが反映されています 治療の実施 ( : 実施可 / : 実施不可 ) / 昨年の ( / ) 集学的治療 標準的治療の提供体制 : : グループ指定により対応 ( 地域がん診療病

1)表紙14年v0

9章 その他のまれな腫瘍

院内がん登録集計報告

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43048腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約第1版 追加資料

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し

IARC/IACRにおける多重がんの判定規則改訂版のお知らせ

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

公益ざい

表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

記入方法


70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

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< 高知県立幡多けんみん病院 年院内がん登録 ( 詳細 )> 性 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 9~ 総計件数比率 口腔 咽頭食道胃結腸直腸肝臓胆嚢 胆管膵臓喉頭肺骨 軟部皮膚乳房子宮頸部子宮体部卵巣前立腺膀胱腎 他の尿路 女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

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糖尿病網膜症診療の現状

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

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しうる 3. 亜部位と局在コード ICD-O 局在取扱い規約表記 部位 C44.0 口唇口唇の皮膚, NOS 下唇の皮膚 上唇の皮膚 C44.1 眼瞼 C44.2 耳 C44.3 顔面 鼻 頬 C44.4 頭部 項頚部 C44.5 腋窩 胸部 上腹 ( 臍上 ) 下 腹 背部 ( 第 12 胸椎下縁

          

小児がん中央機関からの報告 1 情報提供 ( 院内がん登録 ) 国立がん研究センターがん対策情報センター センター長若尾文彦 1

限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

ける発展が必要です 子宮癌肉腫の診断は主に手術進行期を決定するための子宮摘出によって得られた組織切片の病理評価に基づいて行い 組織学的にはいわゆる癌腫と肉腫の2 成分で構成されています (2 近年 子宮癌肉腫は癌腫成分が肉腫成分へ分化した結果 組織学的に2 面性をみる とみなす報告があります (1,

眼球から脳への情報伝達を行う視神経の機能不全は視力低下を引き起こします 幸運にも この視神経の機能不全は甲状腺眼症の約 5% にしか起こらず 圧迫が解除されれば可逆的に 戻ることもあります 病態 : 免疫系が外眼筋をどのように そしてなぜ攻撃するのか よくわかっていません 免疫による刺激の結果 外眼

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日本の糖尿病患者数約 890 万人糖尿病の可能性が否定できない人約 1320 万人合わせて約 2210 万人 (2007 年厚生労働省による糖尿病実態調査 ) 糖尿病の患者様の約 40% に網膜症発生 毎年 3000 人以上が糖尿病網膜症で失明 2

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実地医家のための 甲状腺エコー検査マスター講座

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

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が 6 例 頸部後発転移を認めたものが 1 例であった (Table 2) 60 分値の DUR 値から同様に治療後の経過をみると 腫瘍消失と判定した症例の再発 転移ともに認めないものの DUR 値は 2.86 原発巣再発を認めたものは 3.00 頸部後発転移を認めたものは 3.48 であった 腫瘍

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

したがって 発見次第ただちに治療を開始する必要がありますが 腫瘍の大きさや片眼だけか両眼にあるかによっても 方針がかなり異なりますので 十分に病気の状態を知らなくてはなりません 1. 原因 13 番常染色体の長腕にあるがん抑制遺伝子の異常によって起こります われわれの 13 番染色体は 1 対 2

130724放射線治療説明書.pptx

1. 部位別登録数年次推移 表は 部位別に登録数の推移を示しました 2015 年の登録数は 1294 件であり 2014 年と比較して 96 件増加しました 部位別の登録数は 多い順に大腸 前立腺 胃 膀胱 肺となりました また 増加件数が多い順に 皮膚で 24 件の増加 次いで膀胱 23 件の増加

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2)N 分類 Nの入力に際し 画像診断 (CT MRIなど ) より腫大リンパ節の有無を加味した以下の分類細目に従って報告する N0 所属リンパ節腫大 (-) N1 所属リンパ節腫大 (+) NX 画像診断をしなかった 3)M 分類 M0 遠隔転移なし MA 傍大動脈リンパ節の腫大 M1 その他の遠

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房

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診断群分類医療資源を最も投入した傷病名年齢 出生時体重手術手術 処置等 1 MDC コード分類名 ICD 名称 ラ手術分岐ラ点数表名称ラコード時体重コー等コードグググト ト 対応 等等ググト 網膜芽細胞腫 網膜の悪性新生物 C692 手術なし 手術なし 1 1 リンパ節摘

院内がん登録について 院内がん登録とは がん ( 悪性腫瘍 ) の診断 治療 予後に関する情報を収集 整理 蓄積し 集計 解析をすることです 登録により収集された情報は 以下の目的に使用されます 診療支援 研修のための資料 がんに関する統計資料 予後調査 生存率の計測このほかにも 島根県地域がん登録

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

子宮頸がん 1. 子宮頸がんについて 子宮頸がんは子宮頸部に発生するがんです ( 図 1) 約 80% は扁平上皮がんであり 残りは腺がんですが 腺がんは扁平上皮がんよりも予後が悪いといわれています 図 1 子宮頸がんの発生部位 ヒトパピローマウイルス (HPV) 感染は子宮頸がんのリスク因子です

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2010 年 12 月 2 日放送第 109 回日本皮膚科学会総会 9 教育講演 19 メラノーマのすべて より メラノーマの早期診断と治療方針 岡田整形外科 皮膚科 眼科髙田実はじめに悪性黒色腫は転移しやすく 悪性度の高いがんとして恐れられていますが 他のがんと同じく早期発見 早期治療が適切に行わ

眼科学 責任者 コーディネーター 眼科学講座黒坂大次郎教授 担当講座 学科 ( 分野 ) 担当教員 眼科学講座 黒坂大次郎教授 町田繁樹准教授 木村桂講師 後藤恭孝助教 菅原剛助教 橋爪公平助教 対象学年 4 期間前期 区分 時間数 講義 17 時間 学習方針 ( 講義概要等 ) 視機能の回復 改善

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「             」  説明および同意書

スライド タイトルなし

口腔がん登録 Q&A Ver /11/21 用語 定義に関する Q&A Q1.本調査に関する各用語の定義を教えてください 下記の図表を参照してください 各用語の定義等について 口腔内 口唇 口腔 顎骨中心性 UICCの Lip & Oral cavity 顎骨中心性) 舌 可動部 上顎

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

各医療機関が専門とするがんに対する診療機能 1. 肺がん 治療の実施 (: 実施可 / : 実施不可 ) / 昨年の ( / ) 当該疾患を専門としている 開胸 胸腔鏡下 定位 小線源治療 1 呼吸器内科 8 2 呼吸器外科 3 3 腫瘍内科 放射線治療科 1 グループ指定を受ける施設との連携 昨年

094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

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5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

を優先する場合もあります レントゲン検査や細胞診は 麻酔をかけずに実施でき 検査結果も当日わかりますので 初診時に実施しますが 組織生検は麻酔が必要なことと 検査結果が出るまで数日を要すること 骨腫瘍の場合には正確性に欠けることなどから 治療方針の決定に必要がない場合には省略されることも多い検査です

リンパ球は 体内に侵入してきた異物を除去する (= 免疫 ) 役割を担う細胞です リンパ球は 骨の中にある 骨髄 という組織でつくられます 骨髄中には すべての血液細胞の基になる 造血幹細胞 があります 造血幹細胞から分化 成熟したリンパ球は免疫力を獲得し からだを異物から守ります 骨髄 リンパ球の

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付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房 全体

Transcription:

眼部腫瘍 (C69) 眼部に原発する悪性腫瘍は ICD-O 分類の場合 局在コード C69 に分類される UICC 第 7 版においては 結膜の粘表皮癌 扁平上皮癌などは 結膜癌 の項 結膜の悪性黒色腫は 結膜悪性黒色 腫 の項 ぶどう膜 ( 虹彩 脈絡膜 毛様体 ) の悪性黒色腫は ぶどう膜悪性黒色腫 の項 網膜の網膜芽細胞腫は 網膜芽細胞腫 の項 眼窩の軟部組織 骨の肉腫は 眼窩肉腫 の項 涙腺の癌腫は 涙腺癌 の項で病期分類を 行うこととなった 上記以外の悪性腫瘍が原発した場合 リンパ腫は Ann Arbor 分類に従った病期分類を行い その他については病期分類が存在しないので TNM 分類の適用外となる 1. 概要 いずれも非常にまれな疾患群である 網膜芽細胞腫は網膜に発生する頻度の低い小児腫瘍であり 米国における 15 歳未満 100 万人に対する罹患率は約 4 であり 全 15 歳未満の悪性腫瘍の約 3% を占めている 網膜芽細胞腫は年少児で最も高頻度で発生し 100 万人 あたりの罹患率は 0-4 歳で 10-14 である 5 歳未満での罹患例が 95% を占める 2. 解剖原発部位 視覚器は眼球とその付属器 ( 眼瞼 涙器 眼筋 眼窩 ) からなる 眼球 eyeball は直径 24 mmぐらいの球状体である 後極より少し下内側に寄った所に視神経が付着している 眼球の内部には水晶体と硝子体および眼房水があり それを取り巻く壁の大部分が 3 重の構造 ( 外膜 中膜 内膜 ) になって いる 外膜 ( 眼球線維膜 ) は強膜 sclera と角膜 cornea からなる 強膜は眼球外層の約 5/6 を占める強靱な線維膜である 強膜角膜移行部で内面に近い部分に 強膜静脈洞 ( シュレム Schlemm 管 ) という輪走する管がある この管は眼房水の流出にあずかり 毛様体静脈に連絡している 角膜は眼球の前 1/6 を占めて前方に凸彎する直径約 10~12 mm 厚さ約 1 mmの時計皿状の透明体である 中膜 ( 眼球血管膜 ) はブドウ膜 uvea ともいう 脈絡膜 choroid 毛様体 ciliary body 虹彩 iris とからなる 脈絡膜は強膜の内面にある薄膜で 血管と色素細胞に富み赤黒い これは眼球内部を暗室とし また眼球壁の栄 養をつかさどる 毛様体は脈絡膜の前方に続く肥厚した部分である 毛様体の内部には平滑筋性の毛様体筋がある 毛様体はその 内面に 中心に向かう約 70 の隆起 ( 毛様体突起 ) を出し これと水晶体の間を 無数のかなり太い線維 ( 毛様体小帯 チン Tinn 小帯 ) が連結する 虹彩は瞳孔 pupil を取り囲む前後に平たい環状の膜で 毛様体の前方に続き 水晶体を前方からおおう 虹彩の後 面をおおう 2 層の上皮は 網膜の続きで 色素顆粒を多量にもつ なお虹彩内部には互いに拮抗する平滑筋 ( 瞳孔括約筋と瞳孔散大筋 ) がある 虹彩と角膜との隅角部を虹彩角膜角といい ここには櫛状のすきま ( フォンタナ Fontana 腔 ) があって 眼房水をシュレム管へ排出させる 眼球内膜は網膜 retina からなる 網膜 ( 内膜 ) は眼球壁の最内層部の膜である 網膜のなかには多くの層が区別されるが 最外層 ( すなわち脈絡膜 側 ) を網膜色素上皮といい その内方に杆状体および錐状体という 2 種類の感覚上皮細胞が混在して並んでいる 水晶体 lens は前後両面が凸のレンズであって レンズの直径は約 9 mm 前後軸は約 4 mmである 水晶体の全表面を かなり丈夫な膜がおおっている ( 水晶体被膜 ) これに毛様体内面からのチン小帯が付着する 水晶体と虹彩との間には後眼房 虹彩の前方には前眼房があり 眼房水で満たされる 硝子体 viteous body は水晶体の後ろにあるゼリー状の物質で 眼球の後ろ約 3/5 を占める 硝子体は 水晶体ほどではないが 眼球の屈折系として意味をもつ 眼球付属器 ( 眼瞼 涙器 眼筋 ) 眼瞼 ( まぶた )eyelids 結膜 conjunctiva 上 下の眼瞼があり 眼球を保護し 光刺激を遮断する 外面は皮膚 内面には血管と神経に富む眼瞼結膜がある 眼球前面の一部をおおう結膜を眼球結膜といい 両者の移行部を結膜円蓋という 眼瞼の内部には 眼輪筋やかた

い結合組織性の瞼板がある 瞼板中には 30~40 個の瞼板腺 ( マイボーム Meibome 腺 ) が一列に存在し 導管は眼瞼後縁に開口する 前縁には 睫毛 ( まつ毛 ) が 2~3 列あり その根部に睫毛腺 ( モル Moll 腺 ) また脂腺 ( ツァイス Zeiss 腺 ) が開く 涙腺は眼球の上外方にある小指頭大の漿液腺である これから分泌される涙は眼球前面をうるおして角膜が乾燥 するのを防ぎ ついで内眼角に集まり 上下の涙点から次のような経路を流れる 涙点 涙小管 涙嚢 鼻涙管 下鼻道 眼窩 orbit は四角錐体状の腔で 錐体の底面に当たる眼窩口 orbital opening は前方に向き頭蓋 skull 前面に開き 錐体の頂は後端となっている 眼窩の壁をつくる骨を被う骨膜は眼窩骨膜 periorbita といわれ 骨との結合はゆるく 頭蓋外面の骨膜につづく 3. 亜部位と局在コード ICD-O 局在 C69.0 結膜 C69.1 診療情報所見 角膜, NOS 角膜縁 C69.2 網膜 C69.3 脈絡膜 C69.4 C69.5 毛様体 水晶体 虹彩 強膜 ぶどう膜 眼内器官 眼球 涙腺 涙管, NOS 鼻涙管 涙のう 眼窩, NOS C69.6 眼窩の自律神経系 眼窩の自律神経系結合組織 外眼筋 眼窩の末梢神経 眼球後部組織 眼窩の軟部組織 C69.8 眼及び付属器の境界部病巣 C69.9 眼, NOS 4. 形態コ - ド - UICC TNM 分類第 7 版 病理組織名 ( 日本語 ) 英語表記 形態コ-ド 基底細胞癌 Basal cell carcinoma 8090/3 扁平上皮癌,NOS Squamous cell carcinoma, NOS 8070/3 粘表皮癌 Mucoepidermoid carcinoma 8430/3 脂腺癌 Sebaceous carcinoma 8410/3 悪性黒色腫,NOS Malignant melanoma, NOS 8720/3 網膜芽細胞腫 Retinoblastoma 9510/3

5. 病期分類 結膜癌 TNM 分類 (UICC 第 7 版 2009 年 ) T- 原発腫瘍 TX T0 Tis T1 T2 T3 T4 上皮内癌 最大径が 5mm 以下の腫瘍 最大径が 5mm をこえ 隣接組織に浸潤のない腫瘍 隣接組織に浸潤する腫瘍 眼窩および眼窩以遠に浸潤する腫瘍 T4a 眼窩の軟部組織 骨浸潤なし T4b T4c T4d 骨 副鼻腔 脳 N- 所属リンパ節 NX 所属リンパ節転移の評価が不可能 所属リンパ節転移なし 所属リンパ節転移あり 所属リンパ節は 耳前リンパ節 顎下リンパ節 頸部リンパ節 M- 遠隔転移 MX 遠隔転移の評価が不可能 M0 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり pt- 原発腫瘍 pt 分類は T 分類に準ずる pn- 所属リンパ節 pn 分類は N 分類に準ずる pm- 遠隔転移 pm 分類は M 分類に準ずる G- 病理組織学的分化度 GX 分化度の評価が不可能 G1 高分化 G2 中分化 G3 低分化 G4 未分化 病期分類 ( 現在病期分類なし )

進展度 ( 臨床進行度 ) 分類 Tis 上皮内 T1 限局 所属リンパ節転移 T2 限局 所属リンパ節転移 T3 限局 所属リンパ節転移 T4 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 M1 遠隔転移 遠隔転移 結膜悪性黒色腫 TNM 分類 (UICC 第 7 版 2009 年 ) T- 原発腫瘍 TX T0 Tis T1 T2 T3 T1a T1b T1c T1d T2a T2b T2c T2d T3a T3b T3c T3d 1 結膜上皮に限局する黒色腫 球結膜にある腫瘍 2 球結膜の 1/4 象限以下に広がる腫瘍 球結膜の 1/4 象限をこえ 2/4 以下に広がる腫瘍 球結膜の 2/4 象限をこえ 3/4 以下に広がる腫瘍 球結膜の 3/4 象限をこえて広がる腫瘍 眼瞼結膜 円蓋部 涙丘部結膜に波及する球結膜以外の悪性黒色腫 1/4 象限以下で 涙丘以外の腫瘍 1/4 象限をこえる 涙丘以外の腫瘍 結膜の 1/4 象限以下の涙丘腫瘍 結膜の 1/4 象限をこえる涙丘腫瘍 以下の部位に限局浸潤する腫瘍 眼球 眼瞼 眼窩 副鼻腔 T4 中枢神経系に浸潤する腫瘍注 1: 上皮内黒色腫 ( 原発性後天性メラノーシス PAM を含む ) は健常な上皮厚の 75% をこえて異型細胞が置換し 豊富な細胞質 胞核 または大きな核小体を含む上皮細胞の細胞学的特徴を有し および / または 異型細胞の上皮内巣が存在する 注 2: 象限は時計の時刻で定義する 6 時 9 時 12 時 3 時など角膜中央から眼瞼縁とその先まで延長する 涙丘は二等分する N- 所属リンパ節 NX 所属リンパ節転移の評価が不可能 所属リンパ節転移なし 所属リンパ節転移あり 所属リンパ節は 耳前リンパ節 顎下リンパ節 頸部リンパ節

M- 遠隔転移 MX 遠隔転移の評価が不可能 M0 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり pt- 原発腫瘍 ptx pt0 ptis pt1 pt2 pt3 pt4 pt1a pt1b pt1c pt2a pt2b pt2c 結膜上皮に限局する黒色腫 ( 上皮内 ) * 球結膜にある腫瘍 粘膜固有層に浸潤する厚さ 0.5 mm以下の腫瘍 粘膜固有層に浸潤する厚さ 0.5 mmをこえるが 1.5 mm以下の腫瘍 粘膜固有層に浸潤する厚さ 1.5 mmをこえる腫瘍 眼瞼結膜 円蓋部結膜 または涙丘結膜の黒色腫 粘膜固有層に浸潤する厚さ 0.5 mm以下の腫瘍 粘膜固有層に浸潤する厚さ 0.5 mmをこえるが 1.5 mm以下の腫瘍 粘膜固有層に浸潤する厚さ 1.5 mmをこえる腫瘍 眼球 眼瞼 鼻涙系 副鼻腔 または眼窩に浸潤する黒色腫 中枢神経系に浸潤する腫瘍 注 *:ptis 上皮内黒色腫 ( 原発性後天性メラノーシス PAM を含む ) は健常な上皮厚の 75% をこえて異型細胞が置換し 豊富な細胞質 胞核 または大きな核小体を含む上皮細胞の細胞学的特徴を有し および / または 異型細胞の上皮内巣が存在する pn- 所属リンパ節 pn 分類は N 分類に準ずる pm- 遠隔転移 pm 分類は M 分類に準ずる G- 病理組織学的分化度 GX 分化度の評価が不可能 G0 原発性後天性メラノーシス G1 母斑より発生した悪性黒色腫 G2 原発性後天性メラノーシスより発生した悪性黒色腫 G3 前駆病変なし (de novo) に発生した悪性黒色腫 病期分類 ( 現在病期分類なし )

進展度 ( 臨床進行度 ) 分類 Tis 上皮内 T1a, T1b, T1c, T1d 限局 所属リンパ節転移 T2a, T2b, T2c, T2d 限局 所属リンパ節転移 T3a, T3b, T3c, T3d 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 T4 遠隔転移 遠隔転移 M1 遠隔転移 遠隔転移 ぶどう膜悪性黒色腫 - 虹彩 TNM 分類 (UICC 第 7 版 2009 年 ) T- 原発腫瘍 TX T0 T1 T2 T3 T4 虹彩に局在する腫瘍 T1a 大きさが 1/4 象限以下 T1b 大きさが 1/4 象限をこえる T1c 二次性緑内障を伴う 毛様体 脈絡膜 またはその両方に融合または進展する腫瘍 T2a 二次性緑内障を伴う 毛様体 脈絡膜 またはその両方に融合または進展し 胸膜への進展を伴う腫瘍 T3a 二次性緑内障を伴う T4a T4b 胸膜外への浸潤を伴う腫瘍 最大径が 5 mm以下 最大径が 5 mmをこえる 注 : 虹彩黒色腫は ぶどう膜のこの部位で発生し 大部分がこの部位に局在する 腫瘍体積の 1/2 未満が虹彩にある場合 原発部位は毛様体である可能性があるため それに応じて分類するよう考慮する必要がある N- 所属リンパ節 NX 所属リンパ節転移の評価が不可能 所属リンパ節転移なし 所属リンパ節転移あり 所属リンパ節は 耳前リンパ節 顎下リンパ節 頸部リンパ節 M- 遠隔転移 MX 遠隔転移の評価が不可能 M0 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり pt- 原発腫瘍 pt 分類は T 分類に準ずる

pn- 所属リンパ節 pn 分類は N 分類に準ずる pm- 遠隔転移 pm 分類は M 分類に準ずる 病期分類 T1a I IV T1b, T1c IIA IV T2, T2a IIA IV T3, T3a IIB IV T4a IIIA IV T4b IIIB IV M1 IV IV 進展度 ( 臨床進行度 ) 分類 T1a, T1b, T1c 限局 所属リンパ節転移 T2, T2a 限局 所属リンパ節転移 T3, T3a 限局 所属リンパ節転移 T4a, T4b 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 M1 遠隔転移 遠隔転移 - 毛様体および脈絡膜 TNM 分類 (UICC 第 7 版 2009 年 ) T- 原発腫瘍原発性の毛様体および脈絡膜黒色腫は 下記の 4 つの腫瘍サイズ区分に従い分類される TX T0 T1 腫瘍サイズ区分 1 T1a T1b T1c T1d 毛様体への浸潤と眼球外への進展を伴わない 毛様体への浸潤を伴う 毛様体への浸潤はないが 5 mm以下の眼球外への進展を伴う 毛様体への浸潤と 5 mm以下の眼球外への進展を伴う T2 腫瘍サイズ区分 2 T2a T2b T2c T2d 毛様体への浸潤と眼球外への進展を伴わない 毛様体への浸潤を伴う 毛様体への浸潤はないが 5 mm以下の眼球外への進展を伴う 毛様体への浸潤と 5 mm以下の眼球外への進展を伴う T3 腫瘍サイズ区分 3 T3a 毛様体への浸潤と眼球外への進展を伴わない

T3b T3c T3d 毛様体への浸潤を伴う 毛様体への浸潤はないが 5 mm以下の眼球外への進展を伴う 毛様体への浸潤と 5 mm以下の眼球外への進展を伴う T4 腫瘍サイズ区分 4 T4a T4b T4c T4d T4e 毛様体への浸潤と眼球外への進展を伴わない 毛様体への浸潤を伴う 毛様体への浸潤はないが 5 mm以下の眼球外への進展を伴う 毛様体への浸潤と 5 mm以下の眼球外への進展を伴う 腫瘍サイズ区分に関係なく 5 mmをこえる眼球外への進展を伴う 注 :1. 臨床的に 腫瘍の最大基底径は視神経乳頭経 (dd 平均 1dd=1.5mm) で推定できる 腫瘍の厚さはジオプトリー ( 平均 2.5 ジオプター =1mm) で測定できる しかし より正確な測定には 超音波検査や眼底写真などの技術を 使用する 毛様体への浸潤は 細隙灯 検眼鏡 隅角鏡 徹照で評価することができる より正確な評価には高周波超音波 ( 超音波生体顕微鏡 ) を使用する 強膜をこえる進展は手術の前後にエコー CT MRI の画像で 評価する 2. 固定後の組織病理学的検査では 組織縮小のため腫瘍径と厚さを過小評価する可能性がある < 厚さと経に基づく毛様体と脈絡膜のぶどう膜黒色腫の分類 > 厚さ ( mm ) >15 4 4 4 12.1-15.0 3 3 4 4 9.1-12.0 3 3 3 3 3 4 6.1-9.0 2 2 2 2 3 3 4 3.1-6.0 1 1 1 2 2 3 4 3.0 1 1 1 1 2 2 4 最大基底経 ( mm ) 3.0 3.1-6.0 6.1-9.0 9.1-12.0 12.1-15.0 15.1-18.0 >18 N- 所属リンパ節 NX 所属リンパ節転移の評価が不可能 所属リンパ節転移なし 所属リンパ節転移あり 所属リンパ節は 耳前リンパ節 顎下リンパ節 頸部リンパ節 M- 遠隔転移 MX 遠隔転移の評価が不可能 M0 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり pt- 原発腫瘍 pt 分類は T 分類に準ずる pn- 所属リンパ節 pn 分類は N 分類に準ずる pm- 遠隔転移 pm 分類は M 分類に準ずる

病期分類 T1a I IV T1b, T1c, T1d IIA IV T2a IIA IV T2b IIB IV T2c, T2d IIIA IV T3a IIB IV T3b, T3c IIIA IV T3d IIIB IV T4a IIIA IV T4b, T4c IIIB IV T4d, T4e IIIC IV M1 IV IV 進展度 ( 臨床進行度 ) 分類 T1a, T1b 限局 所属リンパ節転移 T1c, T1d 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 T2a, T2b 限局 所属リンパ節転移 T2c, T2d 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 T3a, T3b 限局 所属リンパ節転移 T3c, T3d 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 T4a, T4b 限局 所属リンパ節転移 T4c, T4d, T4e 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 M1 遠隔転移 遠隔転移

網膜芽細胞腫 両眼性症例では 両眼はそれぞれ別に分類される 本分類は腫瘍の完全な自然治癒には適用されない TNM 分類 (UICC 第 7 版 2009 年 ) T- 原発腫瘍 TX T0 T1 眼球体積の 2/3 以下で硝子体や網膜下への播種を認めない腫瘍 T1a T1b T1c T2 T2a T2b T3 T3a T3b T4 T4a T4b T4c T4d どちらの眼球についても 腫瘍の最大径が 3 mm以下であるが 視神経または中心窩から 1.5 mm以内に腫瘍を認めない 少なくとも 1 つの腫瘍の最大径が 3 mmをこえるか 視神経または中心窩 1.5 mm以内にあるが 腫瘍の基底から 5 mmをこえる網膜剥離や網膜下液を認めない 少なくとも 1 つの腫瘍の最大径が 3 mmをこえるか 視神経または中心窩 1.5 mm以内にあり 腫瘍の基底から 5 mmをこえる網膜剥離や網膜下液を認める 眼球体積の 2/3 以下で硝子体播種または網膜剥離を伴う網膜下播種を伴う腫瘍 腫瘍細胞の微細な凝塊の播種を硝子体および / または網膜下に限局的に認めるが 腫瘍細胞の大きな塊もしくは 雪玉様 播種は認めない 腫瘍細胞の広範性凝塊もしくは 雪玉様 と定義される巨大な凝塊の播種を硝子体および / または網膜下認める 重篤な眼球内腫瘍 眼球の 2/3 をこえる腫瘍 新生血管または隅角閉塞緑内障 前眼部に浸潤する腫瘍 前房出血 硝子体出血 眼窩蜂巣炎など腫瘍に関する 1 つ以上の合併症を認める 眼球外に浸潤する腫瘍視神経への浸潤眼窩への浸潤視交叉までの頭蓋内進展視交叉をこえる頭蓋内進展 N- 所属リンパ節 NX 所属リンパ節転移の評価が不可能 所属リンパ節転移なし 所属リンパ節転移あり所属リンパ節は 耳前リンパ節 顎下リンパ節 頸部リンパ節 M- 遠隔転移 MX 遠隔転移の評価が不可能 M0 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり

pt- 原発腫瘍 ptx pt0 pt1 pt2 pt3 pt4 pt2a pt2b pt3a pt3b 眼球に限局し 視神経または脈絡膜への浸潤を伴わない 視神経および / または脈絡膜への微小浸潤 視神経乳頭部の表面に浸潤するが 篩状板をこえて進展しない また限局する脈絡膜浸潤を示す 視神経乳頭部の表面に浸潤するが 篩状板をこえて進展せず かつ限局する脈絡膜浸潤を示す 視神経および / または脈絡膜への著しい浸潤 篩状板をこえるが視神経断端にまで浸潤していない または脈絡膜への著しい浸潤を示す 篩状板をこえるが視神経断端にまで浸潤せず かつ脈絡膜への著しい浸潤を示す 視神経断端に浸潤する またはそれ以外に眼球外への進展を示す pt4a 視神経断端に浸潤するが 眼球外への進展はない pt4b 視神経断端に浸潤し 眼球外への進展が認められる pn- 所属リンパ節 pnx 所属リンパ節転移の評価が不可能 p 所属リンパ節転移なし p 所属リンパ節転移あり pn2 遠隔リンパ節転移あり所属リンパ節は 耳前リンパ節 顎下リンパ節 頸部リンパ節 pm- 遠隔転移 pmx 遠隔転移の評価が不可能 pm0 遠隔転移なし pm1 遠隔転移あり pm1a 中枢神経系以外の部位への単一性転移 pm1b 中枢神経系以外の部位への多発性転移 pm1c 中枢神経系への転移 pm1d 軟髄膜および / または脳脊髄液への浸潤のない非連続性腫瘍塊 pm1e 軟髄膜および / または脳脊髄液への浸潤 病期分類 ( 現在病期分類なし )

進展度 ( 臨床進行度 ) 分類 T1a, T1b, T1c 限局 所属リンパ節転移 T2a, T2b 限局 所属リンパ節転移 T3a, T3b 限局 所属リンパ節転移 T4a, T4b 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 T4c, T4d 遠隔転移 遠隔転移 M1 遠隔転移 遠隔転移 眼窩肉腫 TNM 分類 (UICC 第 7 版 2009 年 ) T- 原発腫瘍 TX T0 T1 T2 T3 T4 最大径が 15mm 以下の腫瘍 最大径が 15mm をこえるが眼球 または骨壁への浸潤を伴わない腫瘍 腫瘍の大きさに関係なく 眼窩組織 または骨壁へ浸潤を伴う腫瘍 眼球 または眼窩周囲組織 ( 眼瞼 側頭窩 鼻腔 / 副鼻腔 または中枢神経系など ) に浸潤する腫瘍 N- 所属リンパ節 NX 所属リンパ節転移の評価が不可能 所属リンパ節転移なし 所属リンパ節転移あり 所属リンパ節は 耳前リンパ節 顎下リンパ節 頸部リンパ節 M- 遠隔転移 MX 遠隔転移の評価が不可能 M0 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり pt- 原発腫瘍 pt 分類は T 分類に準ずる pn- 所属リンパ節 pn 分類は N 分類に準ずる pm- 遠隔転移 pm 分類は M 分類に準ずる

G 病理組織学的分化度 GX 分化度の評価が不可能 G1 高分化 G2 中分化 G3 低分化 G4 未分化 病期分類 ( 現在病期分類なし ) 進展度 ( 臨床進行度 ) 分類 T1 限局 所属リンパ節転移 T2 限局 所属リンパ節転移 T3 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 T4 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 M1 遠隔転移 遠隔転移 涙腺癌 TNM 分類 (UICC 第 7 版 2009 年 ) T- 原発腫瘍 TX T0 T1 T2 T3 T4 T4a T4b T4c 最大径が 2cm 以下の腫瘍で 涙腺に限局する腫瘍 最大径が 2cm をこえるが 4cm 以下で 涙腺に限局する腫瘍 4cm をこえる腫瘍 または視神経や眼球を含む涙腺以外の眼窩軟部組織に進展する腫瘍 骨膜 眼窩骨 または隣接構造に浸潤する腫瘍 骨膜への浸潤 眼窩骨への浸潤 隣接構造 ( 脳 副鼻腔 翼突窩 側頭窩 ) に浸潤 N- 所属リンパ節 NX 所属リンパ節転移の評価が不可能 所属リンパ節転移なし 所属リンパ節転移あり 所属リンパ節は 耳前リンパ節 顎下リンパ節 頸部リンパ節 M- 遠隔転移 MX 遠隔転移の評価が不可能 M0 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり pt- 原発腫瘍 pt 分類は T 分類に準ずる

pn- 所属リンパ節 pn 分類は N 分類に準ずる pm- 遠隔転移 pm 分類は M 分類に準ずる G 病理組織学的分化度 GX 分化度の評価が不可能 G1 高分化 G2 中分化 ;basaloid (solid) pattern を示さない腺様嚢胞癌を含む G3 低分化 ;basaloid (solid) pattern を示す腺様嚢胞癌を含む G4 未分化 病期分類 ( 現在病期分類なし ) 進展度 ( 臨床進行度 ) 分類 T1 限局 所属リンパ節転移 T2 限局 所属リンパ節転移 T3 限局 所属リンパ節転移 T4a, T4b 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 T4c 遠隔転移 遠隔転移 M1 遠隔転移 遠隔転移 6. 取扱い規約 病期分類 眼部腫瘍の取扱い規約は存在しない 根治度の評価 取扱い規約が存在しない 7. 症状 診断検査視診 視力 視野 眼位 眼球運動 眼球突出度などの眼科検査を行い CT, MRI などで腫瘍の進行度を確認する 最終的には生検にて確定診断に至る 8. 治療 1 眼瞼癌 1) 観血的な治療 (1) 外科的治療 2) 放射線療法 3) その他の治療 (1) 症状緩和的な特異的治療なし 2 結膜癌 1) 観血的な治療 (1) 外科的治療 2) その他の治療 (1) 症状緩和的な特異的治療なし

3 結膜悪性黒色腫 1) 観血的な治療 (1) 外科的治療眼内や眼窩内に浸潤している場合は眼球を摘出する 2) その他の治療 (1) 症状緩和的な特異的治療なし 4 ぶどう膜悪性黒色腫 1) 観血的な治療 (1) 外科的治療眼球摘出術 2) 放射線療法有効性が高い 3) その他の治療 (1) 光凝固小型の腫瘍に対して行われる (2) 症状緩和的な特異的治療なし 5 網膜芽細胞腫 1) 観血的な治療外科的治療 2) 放射線治療 3) 薬物療法 (1) 化学療法眼動脈注入 硝子体注入 4) その他の治療 (1) レーザー治療 (2) 冷凍凝固 (3) 眼球温熱療法 (4) 症状緩和的な特異的治療なし 6 眼窩肉腫 1) 観血的な治療 (1) 外科的治療 2) 放射線治療 3) 薬物療法 (1) 化学療法 4) その他の治療 (1) 症状緩和的な特異的治療なし 7 涙腺癌 1) 観血的な治療 (1) 外科的治療 2) その他の治療 (1) 症状緩和的な特異的治療なし 9. 略語一覧 10. 参考文献 1)UICCTNM 悪性腫瘍の分類第 7 版日本語版 ( 金原出版 ) 2)SEER Summary Staging Manual 2000, NIH Publication 01-4969 3)American Joint of Committee. AJCC Cancer Staging Manual, Sixth eds. Greene F. L. et al eds Springer: Chicago. 2002. 4) 眼科診療プラクティス編集委員編眼科診療ガイド ( 文光堂 )