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2. 先行研究先行研究によると, 英語力には主に今回取り扱う 8 つの要因が影響を与えている この 8 つの要因は, 第一 ~ 第三の, 実際の英語使用の期間や頻度に関する要因と第四 ~ 第八の, 人口学的要因の 2 つに大別できる 第一に, 英語使用に関する要因としては, 実際に英語で読み書きをし

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3 調査項目一覧 分類問調査項目 属性 1 男女平等意識 F 基本属性 ( 性別 年齢 雇用形態 未既婚 配偶者の雇用形態 家族構成 居住地 ) 12 年調査 比較分析 17 年調査 22 年調査 (1) 男女の平等感 (2) 男女平等になるために重要なこと (3) 男女の役割分担意

回答者のうち 68% がこの一年間にクラウドソーシングを利用したと回答しており クラウドソーシングがかなり普及していることがわかる ( 表 2) また 利用したと回答した人(34 人 ) のうち 59%(20 人 ) が前年に比べて発注件数を増やすとともに 利用したことのない人 (11 人 ) のう

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東アジアにおける情緒的サポート -EASS 2010 による比較分析 - 伊達平和 京都大学大学院教育学研究科博士後期課程 Emotional Social Support in East Asia: A Comparative Study Using EASS 2010 Heiwa DATE Graduate School of Education, Kyoto University In this paper, I analyzed the types of emotional social support mainly focusing on the effect of sex, age, higher education and community type in East Asian society experiencing compressed modernity. I divided emotional social support into 3 types; No needs type is applied to people who don t have to receive social support, Isolation type is applied to people who have needs of support but cannot receive and Resource type is applied to people who have both needs and actual receipt of social support. Analysis method is multi-regression analysis and reference category is Resource. Consequently, following points are discussed. 1) In Korea, which experience compressed modernity, sex, age, higher education, community type have strong effect to Isolation on the other hand, in Japan, household income has strong effect and city have negative effect on Isolation. 2) There are a lot of No needs in Japanese elderly people. 3) Male is inclined to Isolation in Japan and Korea which have strong gender role. 4) In Taiwan and China, there are less Isolation and No Needs than Japan and Korea. Key Words: EASS, social support, compressed modernity 本稿では東アジアにおける 圧縮された近代 を背景とし 主に性 年齢 学歴 都市度に焦点をあて 情緒的サポートを受けた経験について分析した 従属変数は 情緒的サポートの必要がなかった人を 不必要型 に 必要はあったが情緒的サポートを受けられなかった人を 孤立型 に 必要があり情緒的サポートを受けた人を 資源型 に分類し 資源型を基準にした多項ロジスティック回帰分析を行った 主な分析の結果として 1 点目に 圧縮された近代 を経験している韓国において 孤立型 は性 年齢 学歴 都市度に強く規定され 日本では経済的要因に強く規定され その中でも都市は韓国において有意に負の関連を示す 2 点目に 不必要型 は日本に多く高齢者に多い 3 点目に性別役割分業を比較的維持する日韓では男性の方が孤立しやすい 4 点目に台中ではそもそも 孤立型 や 不必要型 が日韓に比べて少ない という点を指摘した キーワード :EASS ソーシャルサポート 圧縮された近代 67

1. はじめに 1.1 問題の所在東アジアの諸地域は 急激な高学歴化 都市化 産業構造の変化を伴いながら激しい社会変動にさらされている 社会のマクロな変化は人々のミクロな意識や行動に変化をもたらし 離婚率や未婚率の上昇 それに続く少子化 高齢化など 家族や伝統的な紐帯の解体をこれまでにないスピードで推し進めている 日本においても 近年 無縁社会 孤独死 が社会問題として指摘され 日本以外の東アジアにとっても社会的な孤立や人間関係の希薄化が今後の課題であることは間違いないだろう 伝統的に家族や親族は ケアやサポートの担い手とされてきた 乳幼児や高齢者は育児や介護 また経済的なケアやサポートを必要し 成人してもなお情緒的なケアやサポートはこの現代社会にとって欠かすことの出来ないものとなっている 現代社会において ケアの担い手は家族にとどまらず 友人 知人や専門家にも拡大しているが そのケアやサポートが豊富にある環境の一方の極には ケアやサポートの 不在 つまり望んでいるのに手に入れることのできない 孤立 が存在している また 社会保障制度が整い 豊かな高齢者が増加する中で そもそもケアやサポートが 必要ない という人々も存在している ソーシャルサポートやネットワークの規定要因には都市度や年齢 性別や学歴など様々なものがあるが この 孤立 やケアの 不必要性 に関する 社会的 構造的要因に関する研究はまだ始まったばかりであり ましてや 同じ問題を共有するアジアにおいて比較されたものは乏しい 共通したモジュールをもつ国際データの蓄積が進む中で 東アジアにおける計量的な比較も可能になってきている現在 比較分析によって日本の特徴を明らかにすることが求められているといえるだろう 以上をふまえて本稿では ソーシャルサポートの 不在 と 不必要性 に着目し 特に近代化のスピードの差異を考慮しつつ その規定要因を東アジアの 4 地域において比較し 特徴を明らかにする その際本稿では 心理的な側面である情緒的サポートに着目し分析を行う 次節ではまず 本比較研究において重要な背景である近代化のスピードの差異について概観し 続いて次章ではソーシャルサポートに関する先行研究をレビューし 分析視角を得る 1.2 東アジアにおける 圧縮された近代 の諸相アジア諸国は 1980 年代以降の急速的な経済的発展とともに 社会のあらゆる面における変化が加速しており それに伴う家族やジェンダーの変化が最近になって注目されてきた ( 落合 山根 宮坂編 2007) その端的な表現が 圧縮された近代 であり その代表的な論者に Chang Kyong-Sup がいる Chang(2010) によると 圧縮された近代 とは 欧米社会が近代化の過程で経験してきた様々な現象 つまり経済成長だけでなく 高学歴化 少子化 晩婚化 離婚率 未婚率の上昇 核家族化などの現象が非常に短時間で起こる近代化のプロセスのことである このような近代化を経験した場合 その地域にいる人は 異なった経済構造 社会関係 時代背景など 多くの社会的な文化環境にさらされる (Chang 2010: 14) ため 人々の意識や行動の多様性が偶発的に生じる(accidental plurarism) という すなわち 圧縮された近代 を経験している人々の意識や行動の在り方は 性 年齢 学歴 都市度といったその人自身の属性によって規定されやすくなると Chang は述べる 例えば Chang は 家系を維持するためには息子が必要である といったような韓国の伝統的な家族意識を例にとり その変化が性 年齢 学歴 都市度といった変数で大きく変化することを示している さらに Chang(2010) によると 韓国の近代化は都市に偏って (Urban-biased) 急速に進行したため 都市 農村格差をより激しいものにしたことを指摘している 一般的に 後発的に発展してきた第三世界では都市に資源が偏ることが指摘されているが (Lipton 1977) 韓国でも例外ではない 韓国の農村は 様々な経済的な不利益に加えて 多くの社会的 文化的資源が 社会システムによって地理的に偏って配分 (Chang 2010, 89) されてきたのである その結果農村では 急激に高学歴者や若い人々が都市へと流出し 特に農村地域において 残された高齢者の孤立が問題となっているという この 圧縮された近代 の諸相は 様々なマクロ統計によっても確認することができる 例えば図 68

日本版総合的社会調査共同研究拠点 研究論文集[13] JGSS Research Series No.10 1に東アジアの 4 地域と近代化を先んじて達成した先進国の代表ともいえる アメリカの高等教育粗 就学率(1)の推移について示した この図によれば アメリカは東アジアの 4 地域に先駆けて高学歴化 を達成し 日本がそれに続き 韓国や台湾はそれに比べて高学歴化の期間が短く さながら 圧縮さ れた高学歴化 を達成していることが把握できる 図1 東アジア 4 地域とアメリカの高等教育粗就学率の推移 図2 東アジア 4 地域とアメリカの第 1 次産業率の推移 図3 東アジア 4 地域とアメリカの都市人口比率 69

近代化は工業化や都市化を伴うが 圧縮された近代を経験した国々も同様の結果を示している 図 2 に東アジア 4 地域とアメリカの第 1 次産業に従事する労働力人口の全労働力人口に占める割合の推移を示し 図 3 に都市人口比率を示した 欠損値やデータの作成法にばらつきがあるなど 単純に比較することは慎重になる必要はあるが 大まかな近代化の趨勢は確認できるだろう (2) 図によれば アメリカや日本は他の東アジアの国よりも先んじて産業化や都市化を達成していることが分かる 一方で韓国をみると 産業構造の転換や都市人口比率は 戦後になって先進国よりも遅れて始まり 現在ではほとんど同程度に第 1 次産業人口が少なく 都市人口も日米水準である 台湾の場合 データの制約もあり他の国と比べて短い期間しかマクロデータからは知ることができないが 第 1 次産業人口は日米水準になっているが 都市人口比率はそこまで急激な変化を見せていない 台湾は韓国に比べて国土も小さく 都市と農村の距離も比較的近いために 農村に留まる人も多い可能性がある また中国に関しては都市人口も増加しており 北京や上海などの国際的な大都市の近代化はよく知られているものの 中国全体でみた場合は 韓国や台湾ほどの都市化を達成していないことが分かる このように 韓国や台湾は日本やアメリカなどの先に近代化を達成した国と比較して 戦後の短いスパンで 圧縮された近代 を経験していることがマクロデータからも分かる Chang も指摘しているように 圧縮された近代 は 同時代を生きる人々の経験に大きな差を生み出す この近代化のスピードの差異を考慮した比較研究は 日中韓台の世代間援助に関して分析した溝口 (2012) や家父長制意識に関する伊達 (2013) がある しかし 孤立 やサポートの 不必要性 といった現象にもこの議論が適用できるかという問題がなお残されているだろう 次節では ソーシャルネットワークやソーシャルサポートに関する議論をレビューし この 圧縮された近代 の議論との接続を試みる 2. 先行研究日本のソーシャルネットワークやソーシャルサポートの研究において 地域的なサンプルを用いたネットワーク研究は散見されるものの ネットワークやサポートがない状態である 孤立 や 不必要性 に焦点をあて かつ全国サンプルを用いた研究は意外にも乏しい 本章では その中でも全国的な調査を用いた先行研究についてレビューを行う 年齢段階は高齢者に限定されるものの 日本の高齢者の 相談 ネットワークの規定要因の包括的な分析を行ったものに宍戸邦章の研究がある ( 宍戸 2006) 宍戸は JGSS-2003 データとアメリカの GSS-1985 を用いた比較分析により 日本における高齢者のネットワークの 多様性 を規定する要因を明らかにしている 彼は ネットワーク研究を参考に 主に年齢 性別 社会階層 都市度の 4 つの観点から分析を行った 本稿の関心である 孤立型 の規定要因に関しては 小家族型 のサポートネットワークを有している人を参照カテゴリーにした場合 男性であること そして無配偶であることが強く影響していると指摘している しかし 宍戸 (2006) では 60 歳 ~89 歳に限定されているため この議論を全ての世代に一般化することは出来ないという限定がある 次に 全国サンプルを用い かつ 20 歳 ~89 歳までの全ての年齢段階の分析をしている研究に石田 (2011) がある 石田は 日本全体のサンプルから 情緒的サポート (3) を望める相手がいない 孤立 がどのような要因によって規定されるのか 同じく JGSS-2003 データを用いて分析している 孤立 を規定する要因には 石田によれば1 機会 ( 家族 家族外活動 居住地域など ) 2 資源 ( 経済的資源 学歴 健康など ) 3 属性 ( 性別 年齢 ) に規定されている これらの独立変数を投入した多変量解析の結果からは 1 点目に配偶関係の喪失は孤立に結びつきやすい 2 点目に経済的資源や学歴の効果は見られないが 属性の効果 つまり男性そして高齢者において孤立しやすい 3 点目に居住地域に関しては町村居住が孤立に結びつきやすいという点が指摘されている これらの研究は孤立が高齢者の問題としている点 そして男性と孤立が結び付けられているという点で共通しているが 石田のように孤立という問題を全世代に敷衍してみると より多様な社会的状況によって孤立が規定されていることが分かる また これらの先行研究に共通する課題もある 1 つ目に従属変数の問題である これらの先行研 70

究はサポートを提供してくれると 期待 される人々をあげる形で質問紙が構成されており 実際に受けたサポートの経験を聞かれているわけではない ソーシャルサポート研究を整理した野口裕二によると ソーシャルサポートは 予期 ( サポートしてくれそうか ) 実績( 実際にしてもらったのか ) 評価 ( それをどう思っているのか ) という 3 つの次元を区別することが 測定や結果の解釈をする上では重要であると指摘している ( 野口 1992) しかし この野口の指摘にも関わらず これらの先行研究をはじめ 多くのソーシャルサポート あるいはネットワークの研究は 期待 という側面に焦点をあてており 実績 に焦点をあててこなかった 欧米の研究のレビューにおいても指摘されている通り これらの研究のほとんどは 利用可能であると認知されたソーシャルサポート (perceived availability of support) つまり野口の整理でいうと 予期 の効果に焦点があてられている一方で 実際のソーシャルサポート経験 (actual receipt of social support: 以下では 被サポート経験 と表記 ) つまり 実績 の効果に焦点があてられることは少ない (Nurullah 2012) 被サポート経験を問う場合 ニーズの有無 に関する選択肢を設けることが多い 例えば 東京都健康長寿医療センター研究所とミシガン大学が共同で行っている 全国高齢者パネル調査 では 被サポート経験に対して 必要なかった という項目を選択した人が非常に多いという特徴がみられる しかし 従来のネットワーク サポート研究では この ニーズ という変数を組み入れていないことが多い この ニーズの有無 という変数を考慮しなければ 孤立という状況が ニーズがそもそもないので孤立しているのか ニーズがあるにもかかわらず孤立しているのか 区別がつかない 後者は問題にするべき状況であるかもしれないが 前者のニーズがない状況は むしろ自律した生活ができていることの表れであるとも解釈できる すなわち より実践的な問題関心に即した形で 孤立 を捉えようとした場合 ニーズがない人々を区別した上で ニーズがある人々の中における ケアの不在 = 孤立こそが問われなければならないと考える 2 点目に 比較という方法の有効性である 多くのネットワークやソーシャルサポートの研究においては 性 年齢 学歴 都市度などの要因でネットワークが分析されているものの その多くは 1 地域に限定されたものである もちろん 問題関心から 1 地域に限られてしまうのはもっともなことであるが ISSP や EASS などの国際比較可能なモジュールが蓄積されてきた現在において 国際比較という手法を用いることによって より明確に地域の特性が明らかになると期待できる その際 先述した近代化のスピードの差異によって 地域ごとに孤立を規定する要因も異なるという可能性を示唆する Chang の議論は 比較分析をする上で重要な論点であると考えられる Chang の圧縮された近代の論点をふまえるならば 近代化のスピードが圧縮された地域ほど 先行研究が焦点をあててきた性 年齢 学歴 都市度といった個人の属性や資源によって規定されやすくなる また特に韓国の 都市に偏った 発展の議論をふまえるならば 韓国においては都市よりも郡部において孤立が顕著に表れるとも考えられるだろう (4) 以上をふまえて 本稿では 被サポート経験 を従属変数として分析する さらに 従来分析枠組みとして使用されてきた 性 年齢 学歴 都市度の 4 点の要因が どのように近代化のスピードによって異なるのか明らかにする この比較という方法により 日本だけでなく 比較する全ての地域の特性がより明確になると考える 3. 分析 3.1 使用するデータと変数本稿では EASS 2010 のデータを用い 対象者の年齢を日本のデータに合わせて 20 歳 ~89 歳に限定して分析を行う (5) 類似の調査がなされた EASS 2006 の家族調査では 経済サポートと家事サポートに関する項目について 親子関係について綿密に調査がなされていたが EASS 2010 は 家事や経済的な援助だけでなく 個人的な相談をしてくれた人の頻度が質問文に含まれている また サポートを行う行為者に関しても 親族だけでなく 親族以外の人々や専門職の人など より幅広くソーシャルサポートが把握できるようになっているのが特徴である 71

本調査では 手段的サポートとして家事 育児 介護サポートや経済的サポートも質問されている が 本稿では もっとも心理的なサポートの側面をとらえる 被情緒的サポート経験に関する質問を 用いる 本調査では情緒的サポートとして 過去 1 年間 必要な時に心配事を聞いてくれた人はいま すか という質問がなされている しかし 日本と韓 中 台の 3 地域では質問形式が異なるため まず従属変数の操作化について説明する 日本の質問紙では まず はい いいえ 心配事はなかった の 3 択で尋ねられ はい と答 えた人に対して 同居家族 その他の親族 職場の人 近所の人 友人 専門職の人 その他のカテゴリーに対して複数回答形式で選択するようになっている 本稿では 心配事はなかった と回答し そもそもニーズがない人に関しては 不必要型 に ニーズがある人の中で いいえ と答えた人を 孤立型 に それ以外のなんらかのサポートがあった人を 資源型 にカテゴリー分けした 韓中台の質問紙では 情緒的サポートの質問文は同じであるが 親族 非親族 ( 友達 職場の人 近所の人を含む ) 専門職の人という 3 カテゴリーにおけるそれぞれの行為者がどの程度サポートをしてくれたのか その頻度に関して質問している 選択肢は Very Often/Often/Sometimes/Seldom/Not at all/no,do not have such needs/no such persons available の 7 カテゴリーである まず日本と同じく 3 カテゴリーすべての行為者において No, do not have such needs と回答した人を 不必要型 に Not at all あるいは No such persons available と回答した人を 孤立型 に それ以外の何らかのサポートがあった人を 資源型 にカテゴリー分けした (6) 独立変数に用いた変数は以下の変数である まず基本属性として年齢と性別を 階層指標として 圧縮された近代 では学歴による差が強く出ることをふまえて高学歴ダミー変数を用いる また都市度として主観的なコミュニティ規模を用いる その他のコントロール変数として 現在の職業の有無 世帯収入 (7) 配偶者の有無 子どもの有無 同居家族人数を投入する 宍戸(2006) では このほかにも社会参加の程度が投入されているが EASS 2010 ではこの変数が存在しない 類似した質問に信じている宗教に関する質問があるが 宗教的なコミュニティへのつながりも 社会参加の程度に関係すると考えられるため 代理的に無宗教ダミーを使用した また分析には欠損値があるものは全て除いてある 表 1 に 本分析で使用する独立変数の記述統計量について また表 2 に独立変数の操作化について示す 表 1 独立変数の記述統計量 中国 (n =3,791) 日本 (n =2,475) 韓国 (n =1,502) 台湾 (n =2,093) 度数 % 度数 % 度数 % 度数 % 性別 男性 (ref.) 1832 48.3 1147 46.3 710 47.3 1032 49.3 女性 1959 51.7 1328 53.7 792 52.7 1061 50.7 年齢 20-39 歳 1229 32.4 613 24.8 616 41.0 768 36.7 40-59 歳 1694 44.7 826 33.4 574 38.2 773 36.9 60-89 歳 (ref.) 868 22.9 1036 41.9 312 20.8 552 26.4 学歴 高卒以下 (ref.) 3206 84.6 1551 62.7 802 53.4 1233 58.9 短大 大卒 585 15.4 924 37.3 700 46.6 860 41.1 都市度 郡部 (ref.) 2811 74.1 1950 78.8 667 44.4 945 45.2 都市 980 25.9 525 21.2 835 55.6 1148 54.8 職業 無職 1313 34.6 978 39.5 580 38.6 766 36.6 有職 (ref.) 2478 65.4 1497 60.5 922 61.4 1327 63.4 配偶状況 有配偶 3053 80.5 1793 72.4 981 65.3 1275 60.9 無配偶 (ref.) 738 19.5 682 27.6 521 34.7 818 39.1 子ども 有子 3419 90.2 1931 78.0 1099 73.2 1461 69.8 無子 (ref.) 372 9.8 544 22.0 403 26.8 632 30.2 無宗教 無宗教 3294 86.9 1583 64.0 651 43.3 453 21.6 有宗教 (ref.) 497 13.1 892 36.0 851 56.7 1640 78.4 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 世帯収入 ( 連続量 ) 2.6 0.774 2.6 0.892 2.6 0.994 2.7 0.707 同居家族人数 ( 連続量 ) 2.5 1.1 3.4 1.5 2.9 1.3 4.1 2.0 72

日本版総合的社会調査共同研究拠点 研究論文集[13] JGSS Research Series No.10 表2 変数名 性別 年齢 学歴 独立変数の操作化 変数の操作化 男性 女性の2つにカテゴライズ 20-39歳 40-59歳 60-89歳の3つにカテゴライズ 最終学歴について 短大 大学以上と高卒以下の2つにカテゴライズ 主観的なコミュニティタイプより a big city と the suburbs or outskirts of a big cityを合わせたものを都市とし a town or a small city, A country village, A farm or home in the countryを 郡部にカテゴライズ 1 Far below average, 2:Below average, 3:Average, 4:Above average, 5:Far above averageとなっている5段階の主観的世帯収入 何らかの仕事についている場合を有職 何の仕事もしていない人を無 職にカテゴライズ 都市度 世帯収入 職業 有配偶と無配偶 死別 離別含む にカテゴライズ 一人でも子供がいる場合有子 一人もいない場合無子にカテゴライズ 何らかの宗教に入っていれば有宗教 それ以外を無宗教にカテゴライズ 同居している家族の人数 配偶状況 子ども 無宗教 同居家族人数 3.2 従属変数の基礎的な分析 まず 使用する従属変数についてその基本的な性格を把握する 表 3 は 東アジアにおける被情緒 的サポート経験の不必要型 孤立型 資源型それぞれの分布を示している この表によると 不必要 型が日本で非常に多いことが分かる これは本稿が 被サポート経験 を従属変数に設定しているこ とと関係がある これまでのソーシャルサポートやネットワークの変数では この ニーズの不在 を析出することができていなかったが この被サポート経験では サポートが不必要な人々を孤立か ら除くことで より純粋に孤立が問題となる層を把握することができる さらに日本においては 不 必要型だけでなく孤立型の多さでも突出しており ついで韓国において不必要型と孤立型が多く存在 する 中台では資源型が多くみられることから 日韓に比べて情緒的サポートを必要とする社会であ り かつ資源が整っているという特徴がある 表3 被情緒的サポート経験の基礎的な分布 中国 度数 不必要型 111 2.9 孤立型 110 2.9 資源型 3570 94.2 合計 3791 100 日本 度数 529 21.4 241 9.7 1705 68.9 2475 100 韓国 度数 120 8.0 100 6.7 1282 85.4 1502 100 台湾 度数 63 3.0 102 4.9 1928 92.1 2093 100 次に 主に性 年齢 学歴 都市度について基礎的な分析を行う それぞれのクロス表について表 4 から表 7 に示す 先ず性別の効果であるが 台湾以外の地域においては男性の方が女性より孤立し やすい しかし その効果は突出して日本で著しい また日韓では不必要型だと答える人々は男性に 多い 次に年齢段階の効果であるが どの地域においても年齢段階が高いほど つまり高齢者ほど孤 立しやすいことが分かる そしてその効果は 圧縮された近代 を経験している韓国と台湾で最も強 く出ている 中国ではそもそも孤立型自体が少ないためか それほど差が強くない また不必要型に 関しては 日本では高齢者ほど割合が多く 韓国では中年に多い 特に日本においては 年齢段階ご とに不必要型 孤立型 資源型の三極化が進んでいるようである 次に学歴の効果であるが この変 数はどの地域においても強い効果を示している 高学歴化のスピードが早い韓国 台湾では学歴差が 強くみられる この 3 地域に比べて高学歴化が進んでいない中国や 緩やかに高学歴化を達成した日 本では学歴による差がそれほどみられない 最後に都市度の効果であるが この変数は韓国において 顕著な効果を示している すなわち 都市に住んでいる人よりも 郡部に住んでいる人の方がより孤 立しやすい 韓国は都市に偏った発展をしてきたことが Chang によって指摘されているが 郡部から 都市に人が急速に流出していった結果 孤立は都市の問題というよりも郡部の問題になっている可能 性が高い 中国においても差がみられるが 韓国ほど一見して明らかな差があるわけではない 73

日本版総合的社会調査共同研究拠点 研究論文集[13] JGSS Research Series No.10 以上のように 被サポート経験の分化が進み かつ圧縮された近代を経験している韓国において 特に性 年齢 学歴 都市度によって強い差がみられた しかし これらの効果は他の多くの変数と 交絡しており 擬似的な相関や無相関が考えられる よって次節では これらの独立変数の効果が他 の変数を統制しても維持されるか多変量解析によって検討する 表4 不必要型 資源型 孤立型の割合 性別 地域 性別 不必要型 孤立型 資源型 男性 3.9 3.5 92.6 中国 女性 2.0 2.3 95.6 男性 28.6 14.5 56.9 日本 女性 15.1 5.6 79.2 男性 11.3 8.2 80.6 韓国 女性 5.1 5.3 89.6 男性 3.5 5.3 91.2 台湾 女性 2.5 4.4 93.0 ***p<.001 表6 表 5 n df χ2値 1832 2 16.1 *** 1959 1147 2 145.8 *** 1328 710 2 26.4 *** 792 1032 2 2.6 ns 1061 **p<.01 *p<.05 +p<.10 別 地域 年齢段階 不必要型 孤立型 資源型 20-39歳 2.0 2.1 95.9 中国 40-59歳 3.1 3.1 93.7 60-89歳 3.9 3.6 92.5 20-39歳 12.4 7.8 79.8 日本 40-59歳 17.1 9.1 73.8 60-89歳 30.1 11.4 58.5 20-39歳 6.0 2.1 91.9 韓国 40-59歳 10.5 6.4 83.1 60-89歳 7.4 16.0 76.6 20-39歳 0.7 1.8 97.5 台湾 40-59歳 3.2 5.2 91.6 60-89歳 6.0 8.7 85.3 ***p<.001 不必要型 資源型 孤立型の割合 学歴別 表 7 地域 学歴 不必要型 孤立型 資源型 高卒以下 3.0 3.3 93.7 短大 大卒 2.6 0.9 96.6 高卒以下 22.9 10.6 66.5 日本 短大 大卒 18.8 8.2 72.9 高卒以下 7.4 10.2 82.4 韓国 短大 大卒 8.7 2.6 88.7 高卒以下 4.1 6.8 89.1 台湾 短大 大卒 1.5 2.1 96.4 ***p<.001 中国 不必要型 資源型 孤立型の割合 年齢段階 不必要型 資源型 孤立型の割合 都市度別 地域 都市度 不必要型 孤立型 資源型 郡部 2.3 3.2 94.5 中国 都市 4.7 2.1 93.2 郡部 21.5 9.2 69.2 日本 都市 20.8 11.6 67.6 郡部 8.5 9.4 82.0 韓国 都市 7.5 4.4 88.0 郡部 3.6 4.9 91.5 台湾 都市 2.5 4.9 92.6 ***p<.001 n df χ2値 3206 2 10.7 ** 585 1551 2 11.4 ** 924 802 2 35.5 *** 700 1233 2 36.9 *** 860 **p<.01 *p<.05 +p<.10 n df χ2値 1229 * 1694 4 12.1 868 613 826 4 102.6 *** 1036 616 574 4 74.1 *** 312 768 773 4 67.1 *** 552 **p<.01 *p<.05 +p<.10 n df χ2値 2811 2 16.8 *** 980 1950 2 2.7 ns 525 667 2 16.0 *** 835 945 2 2.0 ns 1148 **p<.01 *p<.05 +p<.10 3.3 多項ロジスティック回帰分析 本節では 資源型を参照カテゴリーとした多項ロジスティック回帰分析によって 前節で現れた効 果をより詳細に検討していく(8) まず モデル1には 性 年齢 学歴 都市度のみ投入し前節の効 果を確認する その後 モデル 2 において その他の統制変数を入れてもその効果が維持されるか検 討する 表 8 に 資源型を参照カテゴリーにした多項ロジスティック回帰分析の結果について示す 先ず中国の結果について確認すると 不必要型に関しては女性 20-39 歳が負の関連を 都市が正 の関連を示す 孤立型に関しては女性 短大 大卒 世帯収入 有配偶が負の関連を示している そ の中でも学歴の効果が大きい さらに モデル 1 においてみられた効果はモデル 2 においても維持さ れている 次に日本の結果について確認すると 不必要型に関しては 資源型に比べて女性 20-39 歳 40-59 歳が負の関連を示し 世帯収入と無宗教ダミーが正の関連を示した 孤立型に関しては モデルによ って差がみられる すなわち モデル1についてみると 性 年齢 学歴 都市度の全ての変数にお いて関連がみられ 都市度についてはクロス表の段階では強い関連は示されなかったが 他の変数を コントロールすると正の関連を示している このことは 他の独立変数が一定であることを仮定した 場合 都市は孤立に親和性が高いことを示している また他の変数をコントロールしたモデル 2 につ いてみると 世帯収入が孤立型に関して強い負の関連を示している 一方で モデル 1 でみられた学 歴 40-59 歳ダミー変数 都市の効果が消えている すなわち 日本においては 年齢 学歴や都市 度は経済的な指標の代理変数となっており 経済階層の方が孤立をより説明する さらに 他の地域 と比較したときに特徴的なのは 全ての国において女性より男性の方が孤立しやすい傾向にあるが 日本ではその効果が非常に強く出る点もあげられる 次に韓国の結果について確認する 不必要型に関しては 女性が負の関連をし 無宗教ダミーが日 74

本と同じく正の関連を示した また孤立型に関しては モデル 1 で投入した属性的な要因が非常に強く関連を示している すなわち 男性 60 歳以上の高齢者 高卒以下 郡部に住んでいれば 非常に孤立の可能性が高まる これらの効果はその他の変数をコントロールしたモデル 2 においても維持され 韓国の属性要因による説明力の高さを示している また都市度の効果は 前節のクロス表による分析によっても示されたとおり 日本とは対照的で都市は孤立と負の関連性を示す すなわち 日本では孤立は都市の課題であるのに対し 韓国ではむしろ郡部において問題になる可能性があることが示唆されている 最後に台湾の結果について確認する 不必要型に関しては 日本と同じく 20-39 歳 40-59 歳が負の関連を示し 世帯収入が正の関連を示した 孤立型に関しては 台湾の場合もモデルによる差が若干みられる モデル1では 学歴と年齢段階の効果が比較的強くみられたが モデル 2 に着目すると 世帯収入と同居家族人数が効果を持っており 学歴の効果は強く残る一方で年齢段階の効果は 20-39 歳では維持されるが 40-59 歳では消えている 台湾は 中国と韓国のように孤立型に対して短大 大卒以上が負の関連を持ち さらに日本のように世帯収入が正の関連を持つなど 他の地域の特徴を様々に備えている点が特徴である 表 8 被情緒的サポート経験の多項ロジスティック回帰分析 従属変数 中国 日本 韓国 台湾 ( 不必要型, ref.: 資源型 ) モデル1 モデル2 モデル1 モデル2 モデル1 モデル2 モデル1 モデル2 B B B B B B B B 定数 -3.117 *** -3.961 *** -0.155 + -0.536 * -1.848 *** -2.750 *** -2.289 *** -4.095 *** 性別 (ref.: 男性 ) 女性 -0.663 ** -0.618 ** -0.985 *** -1.013 *** -0.900 *** -0.716 ** -0.435 + -0.370 ns 年齢段階 (ref.:60-89 歳 ) 20-39 歳 -0.657 * -0.758 * -1.177 *** -1.259 *** -0.494 ns -0.385 ns -2.175 *** -1.713 ** 40-59 歳 -0.216 ns -0.343 ns -0.765 *** -0.768 *** 0.227 ns -0.027 ns -0.637 * -0.784 * 学歴 (ref.: 高卒以下 ) 短大 大卒 -0.302 ns -0.253 ns -0.132 ns -0.204 + 0.208 ns 0.190 ns -0.334 ns -0.473 ns 都市度 (ref.: 郡部 ) 都市 0.787 *** 0.855 *** 0.064 ns 0.023 ns -0.255 ns -0.293 ns -0.237 ns -0.244 ns 世帯収入 0.020 ns 0.206 ** 0.097 ns 0.482 * 職業 (ref.: 有職 ) 無職 -0.262 ns 0.031 ns -0.368 ns -0.154 ns 配偶者 (ref.: 無配偶 ) 有配偶 -0.070 ns -0.118 ns 0.638 + 0.430 ns 子ども (ref.: 無子 ) 有子 0.513 ns -0.046 ns 0.312 ns 0.685 ns 宗教 (ref. 有宗教 ) 無宗教 0.249 ns 0.242 * 0.564 ** -0.379 ns 同居家族人数 0.112 ns -0.044 ns -0.070 ns -0.085 ns 従属変数 中国 日本 韓国 台湾 ( 孤立型, ref.: 資源型 ) モデル1 モデル2 モデル1 モデル2 モデル1 モデル2 モデル1 モデル2 B B B B B B B B 定数 -2.966 *** -0.820 ns -1.018 *** 0.287 ns -0.910 *** -0.619 ns -2.124 *** -0.747 ns 性別 (ref.: 男性 ) 女性 -0.438 * -0.415 * -1.310 *** -1.318 *** -0.742 ** -0.709 ** -0.316 ns -0.365 + 年齢段階 (ref.:60-89 歳 ) 20-39 歳 -0.360 ns -0.272 ns -0.623 ** -0.688 ** -1.712 *** -1.511 *** -1.287 *** -0.883 * 40-59 歳 -0.110 ns 0.066 ns -0.376 * -0.250 ns -0.736 ** -0.745 ** -0.476 * -0.196 ns 学歴 (ref.: 高卒以下 ) 短大 大卒 -1.229 ** -1.405 ** -0.401 * -0.224 ns -0.880 ** -0.714 * -0.839 ** -0.629 * 都市度 (ref.: 郡部 ) 都市 -0.197 ns -0.192 ns 0.366 * 0.327 ns -0.537 * -0.469 * 0.162 ns 0.179 ns 世帯収入 -0.361 ** -0.409 *** -0.245 * -0.576 *** 職業 (ref.: 有職 ) 無職 -0.261 ns 0.109 ns -0.418 + 0.300 ns 配偶者 (ref.: 無配偶 ) 有配偶 -0.828 ** -0.345 + -0.246 ns 0.016 ns 子ども (ref.: 無子 ) 有子 -0.229 ns -0.116 ns 0.634 ns 0.195 ns 宗教 (ref. 有宗教 ) 無宗教 0.105 ns 0.163 ns 0.176 ns -0.002 ns 同居家族人数 -0.234 + -0.064 ns -0.049 ns -0.119 * n 3791 3791 2475 2475 1502 1502 2093 2093 NagelkerkeR2 0.035 0.063 0.122 0.153 0.117 0.148 0.084 0.124 ***p<.001 **p<.01 *p<.05 +p<.10 75

4. 考察本稿では 情緒的サポートの不在 (= 孤立型 ) そしてそもそも情緒的サポートが必要でない状況 (= 不必要型 ) の規定要因について 主に性 年齢 学歴 都市度といった独立変数に焦点をあてて比較分析してきた これまでの分析結果より以下の 3 点を指摘する まず 1 点目に 本稿において注目してきた近代化のスピードによる規定要因の差異である Chang は 圧縮された近代を経験している韓国では性 年齢 学歴 都市度などで意識に差が生まれることを指摘しているが まず 孤立型 についてまとめると 特に韓国において強く性差 年齢差 学歴差 都市規模の差として現われた さらに 日本より後発して発展してきた中台についても学歴による差は強く出ている 日本の場合 学歴や年齢による差は経済的階層に関する擬似相関として現われていた このことは 学歴や年齢にかかわらず 経済的に貧しい層が情緒的な孤立のリスクにさらされていることを示し 高学歴取得の過程によって形成される人間関係は 経済的に低い場合は解消される可能性を示している 中韓台の場合 日本より急速に高学歴化が進んだために 学歴が職業 政治 文化などの様々な社会集団や階層と強く結びつきやすく さらに 学歴取得 することに本人も家族も強い意欲を持つため (Chang 2010) 学歴自体を取得する過程や高等教育に在籍することそのものが 家族のサポートや友人との強い紐帯を生み出すと考えられる (9) さらに 都市度の効果の差にも注目したい 日本においては擬似相関ではあったものの モデル1において都市居住の効果は孤立に対して正の関連を有意に示したが 韓国では強い負の関連を示している この結果は韓国が 都市に偏った 発展をしてきたこと そして農村がそのあおりを受けて疲弊してきたことを計量的に示している 不必要型 に関しては そもそも日本以外の国では割合が少なく 規定要因を比較すること自体が難しい 不必要型は 緩やかに近代化を進め さらに高齢期の社会保障制度を中韓台に先駆けて整えてきた日本において多く表れていた さらに不必要型が高齢者に集まるということから この結果は 日本が東アジアの中で先んじて高齢者福祉を進めてきたことを示しているのではないだろうか もちろんこの結果によって 不必要型を理想視することは留保する必要があるが 今後東アジアの高齢者福祉が整うにつれて この不必要型が増加していくと予想される 2 点目に 従属変数を被サポート経験にしたことによる結果の差異である 本分析では サポートがない状況を 不必要型 と 孤立型 に分割したため 特に 孤立型 に関しては 石田 (2011) の分析とは若干異なった結果となっている 特に都市度の効果が逆である点と経済的階層の効果がみられた点 また経済階層との結びつきがみられた点が興味深い 都市度に関しては他の変数を統制すると有意差が消失するために 都市の方が孤立しやすいと明確にいうことは出来ないが 少なくとも 孤立から ニーズの不在 を取り除いたことによって 必要としているのにサポートがない 孤立は 郡部の方が多いと積極的にいうことはできないだろう 3 点目に その他の結果について特筆するべき点をあげておく 性別の効果に着目すると 日本において非常に強いという結果がみられた 日本に次いで韓国も男性が孤立しやすいという結果であったが 日本と韓国は中国や台湾に比べて強い性別役割分業が残る社会であるとされている ( 瀬地山 1996) 女性が男性に比べてサポートを得ることのできる環境を作りやすいのか 男性に出世や競争などの圧力がかかりやすい社会の中で男性が孤立しやすいのかどちらの要因かは判断することは不可能であるが 少なくとも この結果は日韓が強い性別役割分業体制を残していることと関係している可能性があるだろう 次に中国は 韓国のようにはっきりと 圧縮された近代 の効果がみられず 台湾も韓国ほど強くはなかった その原因として第一に考えられるのは 表 3 において確認したように 台中におけるそもそもの 孤立 の少なさである つまり 日韓に比べて中台は紐帯が強い社会であるということを示唆している さらに両国に共通しているのは 同居家族人数が孤立に与える影響である この結果は中台においては 孤立を規定する要因として家族の影響が示されており 日韓よりもより伝統的な紐帯がより重要であると考えられる 76

5. 結び本稿では 近代化のスピードを視野に入れて比較分析し 東アジアの地域においてそれぞれ異なる孤立と不必要性の規定要因をより明確に示した しかし 本稿にはまだ多くの課題も残されている 1 点目に 本稿では孤立型と不必要型以外をすべて資源型としたため 資源型の中の多様性についての分析ができていない 友人や専門家といった サポートの行為者の違いも含めた上で より詳細な分析も必要であると考える 2 点目に ソーシャルサポートには手段的サポートである家事や育児のサポート 経済的サポートなどのバリエーションも考えられる 他のサポートを従属変数にとした サポートに対する多角的な分析も必要だろう このように課題は多く残されているものの 本稿で行った比較分析は お互いの地域の特徴をより明確に把握するために欠かすことのできない手法である 今後 さらに比較分析を進めていくことによって 東アジアの中における日本や各国の立ち位置をより詳細に知ることができるだろう [Acknowledgement] East Asian Social Survey (EASS) is based on Chinese General Social Survey (CGSS), Japanese General Social Surveys (JGSS), Korean General Social Survey (KGSS), and Taiwan Social Change Survey (TSCS), and distributed by the EASSDA. [ 注 ] (1)UNESCO における高等教育粗就学率は 高等教育就学者数 (ISCED5 と ISCED6 レベルに在学している人の人数 日本では短大以上かつ博士課程を含む ) を中等教育卒後の年齢から 5 年分の年齢集団の人口で割った値である この粗就学率は兵役や生涯学習 社会人入学の影響から 100% をしばしば超えることが知られており 韓国のように就学率が 100% を超える数値が出るのは間違いではない データについて 日韓は UNESCO 統計 (http://www.unesco.org/new/en/) 台湾は DGBAS サイト (http://eng.dgbas.gov.tw/mp.asp?mp=2) を参照した 日本の階層論では 大学進学者数を 3 年前の中学校卒業者数で割った 1 年ごとの進学率が計算されることが多いが 国際比較の場合 日本のように厳密な意味で比較するデータが入手不可能であるため 進学率より幅のある概念である就学率を提示した 定義の詳細はユネスコ HP を参照 (http://glossary.uis.unesco.org/glossary/en/home) (2) 第 1 次産業人口率は 15 歳以上 ( アメリカは 16 歳以上 ) の人口における農業 漁業 鉱業に従事する人々を全ての労働人口で割った値を示している 都市人口比率については 明確な都市という基準がないため 各地域それぞれの基準によって Urban と分けられた人口を全人口で割った値を示している それぞれのデータについては 台湾は DGBAS サイト (http://eng.dgbas.gov.tw/mp.asp?mp=2) を参照し その他の地域は国連統計 (http://data.un.org/) を参照した (3) ソーシャルネットワークやソーシャルサポート研究は厳密には区別されるべきである 本稿が焦点をあてる精神的なケアの場合 ネットワーク研究では 相談ネットワーク という術語が用いられ ( 大和 2000; 宍戸 2006) ソーシャルサポート研究では 情緒的サポート という術語が使用されている ソーシャルネットワークとソーシャルサポートの概念を整理した野口 (1991) によると ソーシャルネットワークは対人関係の構造的側面に着目するのに対し ソーシャルサポートはその機能的側面に着目する 点で異なり 援助という機能に焦点がある のがソーシャルサポートの特徴である 本稿は 援助という機能的側面に着目しているため 基本的にソーシャルサポート研究の術語にならって表記する (4) そもそも都市規模が人間関係に与える機能は両義的だとされている 都市社会学者の Fischer によれば 都市は人口量 人口密度の高さから関係性を作ることは容易であると主張する (Fischer, 1982) しかし 逆に都市は個人生活を基調とするために孤立しやすいという主張もある( 三本松 1999) 77

(5) 調査概要については補表 1 を参照 補表 1 調査概要 EASS 2010 日本 韓国 台湾 中国 調査タイトル JGSS KGSS TSCS CGSS 調査方法 面接法と留置法の併用 面接法 面接法 面接法 抽出方法 層化 2 段無作為抽出 層化 3 段無作為抽出 層化 3 段無作為抽出 層化 3 段無作為抽出 調査対象 20~89 歳の男女 18 歳以上の男女 18 歳以上の男女 18 歳以上の男女 計画標本 4500 2500 4424 5370 有効回収数 2496 1576 2199 3866 回収率 62.14% 63.24% 49.71% 71.99% (6) 厳密には No Persons available のみを取り出す方が 孤立 と考えられるが このカテゴリーに含まれる人はほとんどおらず ニーズがあるにもかかわらず頻度が Not at all と回答している人も ケアが不在である状態 = 孤立と解釈しても問題がないと思われる ただし 厳密には そのような人がいない 人と いるにもかかわらずケアがない人 は同じ 孤立 といっても微妙に意味合いが異なってくると考えられるため その微妙な差異がどのような意味を持つのか 今後の課題である (7) 世帯収入に関しては 宍戸 (2006) と同じく 無回答や回答拒否の割合が他の独立変数に比べて非常に多いために 平均した家庭と比べてどの程度の家計レベルにあるのかという質問で代替した (8) なお 独立変数として使用されることの多い 主観的健康意識 に関しては 台湾において約 1000 ケースの欠損値が発生するために 比較を断念した しかし 5 点尺度で 数字が大きい方が健康だと感じているように変換した 主観的健康意識 を投入した場合 日韓において 不必要型 に対して強い正の関連がみられ 中日において 孤立型 に対し 強い負の関連がみられた その他の変数に関しては 日本で都市ダミーが 5% 水準で有意となった以外 特筆するべき変化は見られなかった これは日韓で多い 不必要型 が 健康だと感じている人に多く 日中では健康だと感じていると 孤立 しにくいことを示している 常識に照らして考えるとごく当然な結果であるが 特に 不必要 であることが 健康 と感じる人に多いことを確認しておくことは重要だろう (9) 学歴そのものの効果は Fischer(1982) によると 高学歴を持つことが人間関係を維持する社交的なスキルを獲得させるのか 単に学校にいる期間が長いために友人関係が維持されるのか 2 通りの仮説を出しているが 圧縮された近代 を経験している国々は 学歴への強い執着 がネットワークを生み出し 孤立を防ぐという点において このどちらにも当てはまらない学歴とサポートの関連の可能性を示していると考えられる [ 参考文献 ] Chang, Kyung-Sup, 2010, South Korea under Compressed Modernity: Familial Political Economy in Transition, London: Routledge. 伊達平和, 2013, 家父長制意識の 4 類型に関する規定要因 日本 韓国 台湾の 3 ヶ国比較 教育 文化 社会 13:33-47. Fischer, Claude Serge, 1982, To Dwell among Friends, Chicago. University of Chicago Press.(=2002, 松本康 前田尚子訳 友人のあいだで暮らす 未来社.) 石田光規, 2011, 孤立の社会学 無縁社会の処方箋 勁草書房. Lipton, Michael, 1977, Why Poor People Stay Poor: Urban Bias in World Development, Cambridge: Havard University Press. 78

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