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資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-01 インバータの制御原理 直流を交流に変換するにはスイッチング可能な素子が必要です 三相インバータの原理は図 2のように示され, 6 個のスイッチによって三相ブリッジに形成されます 一相分のスイッチは上下同時にONしないように交互に ONさせ, 他の相とは 120 ( 電気角 ) の位相差を持っています このようにすると, 矩形波ですが三相交流が得られ, その周波数はスイッチのON-OFFの周波数, 線間電圧の波高値は直流回路電圧値になります 機械的開閉機構のスイッチでは周波数や寿命に制約があるため, 実際には半導体電力素子が使用され, その素子に応じてサイリスタインバータ, トランジスタインバータなどと呼ばれています また, 実際のインバータでは出力電圧を制御するための回路や無効電力を負荷へ供給する回路など電動機ドライブとしての付属回路が必要となります 図 1 インバータ装置の構成 (a) 原理回路 (b) 出力波形 (c) 出力電圧ベクトル 図 2 三相インバータの原理 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 1/1

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-02 半導体電力素子 インバータに使用される主な半導体電力素子を表 1 に示します これらの素子は機能や特性がそれぞれ異なり, その特徴に応じた使用方法があるためインバータの設計法や構造が違ってきます 一般的に半導体素子は寿命は長いが, 過電圧や過電流の耐量が小さいため, 素子を安全定格内で動作させなければ動作不良や破壊につながることになります 素子の開発は日進月歩の状態であり, 高耐圧化, 大電流化, 高速化へと進むとともに, 小形化, 複合化へと生産技術も発達しています また, ドライブパワーの省電力化や絶縁技術も発達し, インバータ装置のコンパクト化へ大きく寄与しています 図 1に6 素子入りのトランジスタモジュールの回路と外観を示します 表 1 インバータに使用される主な半導体電力素子 図 1 100A 6 素子入りトランジスタモジュール 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 1/1

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-03 インバータ制御方式の分類 インバータの制御方式を大別すると表 1の 3 種となります これらはそれぞれ特徴があり, その概要を簡単に述べます 表 1 インバータの変換制御方式の分類 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 1/5

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-03 インバータ制御方式の分類 1. 電流制御形インバータコンバータ部で直流電流を制御し, 直流電流は中間回路の直流リアクトルによって平滑されます この直流電流はインバータ部で各出力相に分配され, 交流電流として電動機に供給されます 電動機の端子電圧の制御は電圧検出を行い, 電流を制御することによって行われます ( 図 1) インバータ部のサイリスタは 120 通電で, 出力電流は矩形波となり, 出力電圧は電動機の誘起起電力が現われて正弦波状となるが転流時のスパイク電圧がこれに重畳されます 負荷からの回生エネルギーは直流母線電圧が反転して, コンバータ部がインバータ動作 ( 位相制御遅れ角 αが 90 以上 ) となって電源へ返還されます この状態を図 2に示します このように回生エネルギーが電源に返還できること及び電流制御をしているため負荷短絡などに強いことから大容量インバータに適用されています 図 1 (a) 電動機モード (b) 発電機 ( 回生 ) モード 図 2 電流制御形インバータの電力フロー 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 2/5

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-03 インバータ制御方式の分類 2. 電圧制御形インバータコンバータ部で直流電圧を制御し, 中間回路のコンデンサで直流電圧を平滑します 出力電圧は矩形波となり, 回生エネルギーや無効電力を処理するためインバータ部には帰還ダイオードが必要となります ( 図 3) 回生エネルギーは中間回路のコンデンサに蓄えられ, 直流電圧が上昇します この過電圧による素子破壊を防止する放電回路が必要となります ( 図 4) コンバータ部にチョッパを使って電圧制御を行うこともあり, この例を図 5に示します 電圧制御形インバータは高周波インバータなどに適用され PWM 制御形インバータに対し,PAM(Pulse Amplitude Modulation) 形と呼ばれることもあります 図 3 電圧制御形サイリスタインバータ 図 4 電圧制御形インバータの電力フロー 図 5 チョッパを用いた電圧制御形トランジスタインバータ 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 3/5

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-03 インバータ制御方式の分類 3.PWM 制御形インバータインバータ部で周波数制御と出力電圧制御を同時に行うため, 出力電圧波形はパルス幅変調 (PWM Pulse Width Modulation) されます 変調を正弦波状とすることにより, 低次高調波を除去できるので電動機のトルクリプルを低減させることができ, 低速運転が可能となります ( 図 6) また, 直流電圧は可変する必要はないから, 共通電流電源に複数個の PWM 形インバータを接続したシステムを横成することができます ( 図 7) このように主回路がシンプルであることから小中容量インバータに広く用いられています 図 6 図 7 複数個の PWM インバータのシステム構成例 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 4/5

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-03 インバータ制御方式の分類 PWM の発生法の一例を図 8に示します 三角波のキャリア信号 (er) と電圧指令 (eou) を比較し, 電圧指令が高い場合は P 側のトランジスタを ON させ, 低い場合は N 側のトランジスタを ON させます これにより, 三相の正弦波状の相電圧が得られ線間電圧はこれらの差電圧となります 電圧指令には出力電圧と出力周波数, 相回転の情報が含まれており, 運転状態によって変化します また, キャリア信号は一定のものと出力周波数に比例して変わる方式とがあり, 非同期式, 同期式などと呼ばれます PWM 制御はベクトル制御など電流制御を行うインバータにも用いられ, インバータ制御の重要な役割を果たしています ディジタルインバータでは, ソフトウェアによる PWM の波形処理演算が行われ,PWM 制御回路は簡単なものになっています 図 8 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 5/5

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-04 正転と逆転 誘導電動機は回転磁界の回転方向を変えると回転子の回転方向が変わります 商用電源での駆動では, 電動機を逆転させるためには電動機端子の 2 線を入れ替えますが, インバータではインバータ部の素子の点弧順序を逆にすることによって, 逆転させることができます ( 図 1) このように, インバータでは制御回路のロジックで簡単に正転 逆転運転ができるため, 無接触可逆運転が可能です 図 1 正転と逆転 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 1/1

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-05 制動 誘導電動機はすべりが負になると誘導発電機として動作します したがって, 負荷の慣性が大きい場合, インバータの周波数を下げるとそれに対する同期速度が下がり, 電動機速度の方が高い状態となってすべりは負となります このとき, 電動機や負荷が保有している慣性エネルギーは, 誘導発電機動作となった電動機によって電気的エネルギーに変換されインバータに戻されます すなわち電動機に制動がかかり速度が低下します このように周波数を下げて電動機を発電機として制動をかける方法を回生制動といい, 効率の良い制動方法です また, 低速領域では電動機に直流電流 ( 周波数 OHz) を流す事により静止磁界を作り, 回転子がこの磁束を切ることにより回転子内に渦電流を発生させて制動を行う直流制動 (DB:Dynamic Brake) をかけることができます この場合, 慣性エネルギーは回転子内で熱として消費されます インバータのように周波数を制御する装置では, 加速, 減速を容易に行うことができます 周波数加減速での電動機のトルクの特性を図 1 に示します 図 1 周波数制御における加減速 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 1/1

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-06 電力回生形コンバータ 電圧制御形インバータや PWM 制御形インバータでは電動機の回生エネルギーは中間回路のコンデンサに返還されるため, 直流母線電圧が上昇し, トランジスタの過電圧破壊をまねくおそれがあります このため, 通常は放電抵抗でコンデンサ電荷を放電させる方法をとっていますが, 効率の面からこのエネルギーを電源に返還する方法が要求され, 電力回生形コンバータとして実用化されています 図 1はトランジスタを用いた電力回生形コンバータの回路例です 制御方式は定められた通電角だけトランジスタを ON し, トランジスタとダイオードで双方向性を持たせ, 直流母線の電圧が高くなると自動的にコンデンサの電流が電源側に流れて行くものです また PWM 制御によって電流制御を行い, 電流を正弦波化したものも実用化されています 図 1 トランジスタを用いた電力回生形コンバータ 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 1/1

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-07 低騒音化 PWM 制御形インバータでは電動機から磁気音が発生することがあります これは PWM キャリアによる出力電圧の高調波成分によって, 電動機鉄心が磁気的に歪むことによるものです この対策として, 電動機では低磁束密度化や磁気歪を小さくするコアの設計がなされ, インバータの使用法では交流リアクトルを電動機との間に挿入し高調波成分の電動機への印加を抑制させる方法があります また, インバータ自体の対策としては, 高速スイッチング素子 ( 例えば,IGBT, パワー MOS FET) によって,PWM キャリア周波数を人間の可聴周波数以上に上げる方法がとられ, 低騒音インバータとして発売されています 図 1は通常の PWM インバータと IGBT を用いた低騒音形インバータの電動機騒音の比較です 回転数 (min -1 ) 図 1 騒音特性例 発行日 :2000.03.22 変更履歴 :<1>2006.01.30 1/1

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-08 マイクロプロセッサの応用 最近, マイクロプロセッサを応用したインバータが広く普及し, その効果は基本機能の実現から, 高性能, 多機能, 高信頼性とますます高度化しています 以下その基本機能, 構成, 特長について説明します 1. 基本機能 図 1 に V/f 一定制御 PWM インバータの制御ブロック図を示します 各ブロックの機能はマイクロプロセッサにより, 一定の周期ごとに演算されます 従来のアナログ制御に対し, オフセットやドリフトの問題がなくなった反面, 分解能や演算時間が新たな問題として発生していますが, マイクロプロセッサの演算時間の高速化や制御アルゴリズムと演算方法の工夫により, この問題も改善されてきています 図 1 PWM インバータの制御ブロック図 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 1/3

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-08 マイクロプロセッサの応用 2. ハードウェアの構成図 2に,A/D 変換器内蔵のマイクロプロセッサを応用したインバータのハードウェアのブロック図を示します マイクロプロセッサを動作させるための PROM,RAM などの周辺回路のほかに, インバータ特有のハードウェアとして, 以下の回路があります 1 トランジスタを動作させるためのベースドライブ回路 2 運転, 停止などのシーケンス指令を入力するシーケンス指令入力回路 3 周波数指令を入力する周波数指令入力回路 1 出力周波数や異常などの信号を出力するシーケンス信号出力回路 5 V/f や加減速時間などの定数を記憶する NV-RAM ゲートアレイは 2000~10000 ゲートの回路からなり, 部品点数の削減と小形化に大きく寄与しています 図 2 ハードウェアのブロック図 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 2/3

資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-08 マイクロプロセッサの応用 3. 特長マイクロプロセッサを応用したディジタル制御インバータの場合, アナログ制御のインバータに対し, 以下の特長があります (1) 高性能アナログ制御に対し, オフセットやドリフトの問題がなくなり, 複雑かつ高精度の演算や高度の判断が可能になった結果, 制御精度が大幅に向上しています また, 制御アルゴリズムや演算方法の工夫により, 速度検出器無しのベクトル制御, トルクや磁束を推定するオブザーバ, 自動的に内部の定数の調整を行うオートチューニングなどの高級な制御も可能になってきています (2) 多機能化電動機や用途に応じて, インバータ内部の定数を, オぺレータや上位のコントローラから, きめ細かく設定する任意定数設定や, システムの運転に応じて, 人出力端子の機能を選択する多機能入出力信号により, 用途にあった最適のシステムが組めるようになってきています また, 伝送機能により, 上位のコントローラから,4~50 台のインバータの制御や監視が可能になり, 複雑なシステムにも柔軟に対応できるようになっています (3) 高信頼性部品点数の削減による信頼性の向上のほかに, インバータ内部の状態の表示, 自己診断機能, 異常内容の詳細表示, 異常発生前後の内部状態を表示するトレースバックなどの RAS(Reliability Availability Serviceability) 機能の充実により, トラブルシューテイングや保守点検の時間が大幅に短縮されています (4) 低価格化, 小形化専用のハイブリット IC やゲートアレイにより, 部品点数が削減され, 低価格な小形化したインバータが広く普及しています 発行日 :2000.03.22 変更履歴 : 3/3

株式会社安川電機 資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-10 V/f 一定制御時のモータ特性と増速について 標準 ( 汎用 ) モータにインバータを適用して,V/f 一定制御を行う時のモータ特性の概要と増速についての考え方を以下に示します 基本的にはベクトル制御も同じです 実際の適用に当っては, 低速での電圧降下によるトルクの低下やモータ冷却能力低下による連続許容トルクの低下, あるいは機械側の保護についても考慮する必要があります なお, 過負荷でモータがストール ( 失速 ) した時やインバータの電流制限機能 ( 一般的に 120%~200%) が動作した時は, この様な特性が得られませんので, モータとインバータの容量選定にはご注意ください 1. モータの特性三相かご形モータの回転速度と電圧, 電流, 周波数, 磁束, トルク, すべり周波数などの関係は, 概略次のようになります 120f N = (1 S) (1) P V φ = K 1 (2) f I V K 2 φ f K f (3) = SL = 3 f SL 2 V 4 I = K 5 f SL T = K φ f (4) V 2 P0 = K 6 V I = K 7 f SL (5) f N: 回転速度 P 0 : 出力 f: 周波数 V: 端子電圧 S: すべり f SL : すべり周波数 P: 極数 I: モータ電流 K 1 K 7 : 定数 すなわち, モータの回転速度を変えるためには,(1) 式からも明らかなように周波数 f を変えるか, 極数 P を変えるか, すべり S を変えればよいわけですが, インバータは周波数 f を変える方法です 例えば,200V 級 3 定格の標準 ( 汎用 ) モータでは 200V 50Hz のとき, 最大の磁束となるように設計されています これ以上の磁束で運転すると励磁電流が増加し, モータが過熱して使用できない場合が多くなります モータの磁束は (2) 式から, 電圧に比例し, 周波数に反比例します 一方, モータのトルクは (4) 式から磁束と電流の積に比例します したがって, 例えばインバータで 200V 級 3 定格の標準 ( 汎用モータ ) を周波数制御する場合,V/f の値が 200V/50Hz の値より大きくならないように,V/f 一定制御をすることが必要です つまり V/f を一定に保つために, 周波数が大きくなれば電圧も大きくし, 逆に周波数が小さくなれば電圧も小さくしなければなりません また, 周波数が 50Hz, または 60Hz を越えた場合, インバータの特性から電源電圧以上の電圧を出すことができないため, 電圧 V が一定のままで周波数のみ変化させることになります したがって, この領域では, (4) 式からも明らかなようにトルクは周波数 f の 2 乗に反比例して減少し, 出力は (5) 式から明らかなように周波数に反比例します この関係の概略を図 1 に示します 発行日 :2004.4.22 変更履歴 : 1/3

株式会社安川電機 資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-10 V/f 一定制御時のモータ特性と増速について トルク (T) 出 力 (P) トルク (T) 出力 (P) f 0 : 定格周波数 周波数 (f) f 0 2f 0 図 1 出力, トルク, 回転数と周波数の関係 モータのトルク T は, すべり周波数 f SL を一定にすると (4) 式から (V/f) 2 に比例します V/f = 一定制御を行うと, トルク一定の特性, すなわち定トルク特性が得られることになります 実際にモータを運転すると, 定格周波数以上でスリップ周波数 f SL が大きくなります 最大トルクが定格トルクの 250% 以上あるモータでは, 最大トルク領域まで有効に利用することにより, 図 2 のような定出力特性が得られます トルク (T) 出 力 (P) トルク (T) 出力 (P) F 0 : 定格周波数 周波数 (f) f 0 2f 0 図 2 定出力特性 2. 商用周波数以上で使用する場合の V/f 特性標準 ( 汎用 ) モータを商用周波数以上 ( 定格回転数以上 ) で使用する場合は, 基本的に出力は周波数に反比例し, トルクは周波数の 2 乗に反比例して減少します この点を十分考慮してモータを選定する必要があります モータは,4 極の場合, 定格回転数の 1.2~2 倍 ( 枠による ) 程度までは使用できますが, この場合, 例えば, ベアリングなど機械的性能の面で高速運転が可能かどうかなど, モータの性能について十分調査する必要があります V/f 特性は図 3 に示すように定格回転数で定格電圧となるように, 設定する必要があります この設定を行わず, 例えば最大回転数 (1.5f 0 ) で定格電圧になるように間違って設定すると,(4) 式で示したようにトルクは電圧の 2 乗に比例するので, 定格周波数以下で定格トルクが得られないことになります 1 この例では, 調整を間違えると, 全周波数域に渡って, トルクは定格トルクの 1.5 2 しか得られないことに 発行日 :2004.4.22 変更履歴 : 2/3

株式会社安川電機 資料分類インバータの基礎機種 GN 資料番号 J-A-01-GN-10 V/f 一定制御時のモータ特性と増速について なります V/f パターン変更 定格 電圧 (V) トルク電圧 1 1.5 1 1.5 2 トルク (T) 周波数 (f) f 0 ( 定格 ) 1.5f 0 図 3 V/f 特性の変更 発行日 :2004.4.22 変更履歴 : 3/3