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我が国の CCS 政策について 平成 28 年 11 月 24 日

1. 経済産業省の CCS 政策について 1

CCS (Carbon dioxide Capture and Storage) について CCS( 二酸化炭素回収貯留 ) とは 工場や発電所等から排出される二酸化炭素 (Carbon dioxide) を大気放散する前に回収し (Capture) 地下へ貯留 (Storage) する技術 IEA( 国際エネルギー機関 ) や IPCC( 気候変動に関する政府間パネル ) 等において CCSは地球温暖化対策に効果的な技術として評価 2050 年時点までに求められる温室効果ガス削減量の13%(2050 年時点で年間約 60 億トン ) を CCSにより達成することが必要 (IEA) CCS の導入がなければ 2100 年に温度上昇を 2 以内に抑えることは困難であることを示唆 (IPCC) CCS の流れ 圧入方式 CO 2 排出源 CO 2 回収 CO 2 貯留 1 陸上からの圧入 二酸化炭素削減技術実証試験事業 CO 2 圧入 製油所発電所化学プラントなど 回収設備 CO 2 遮へい層 CO 2 を通さない泥岩などの層 2 海上抗口からの圧入 3 海底抗口からの圧入 貯留層 すき間の多い砂岩などの層 岩石のすき間に CO 2 を貯留 2

気候変動対策と CCS 全世界の CCS の技術ポテンシャルは約 2 兆トン ( 現在の排出量の 63 年分相当 ) (IPCC CCS に関する特別報告書 ) 2050 年における排出削減量の 13% は CCS により達成すると評価 (IEA エネルギー技術展望 2015 ) 再生可能エネ :30% CCS:13% 燃料転換 :10% エネ効率向上 :38% 単位の Gt は 10 億トンの意 原子力 :8% 2012 年 :340 億 t 2050 年 :560 億 t 140 億 t 420 億 t 削減 再生可能エネ (Renewables):30% CCS:13% 発電改善 (Power generation efficiency and fuel switching):1% 燃料転換 (End-use fuel switching):10% エネ効率向上 (End-use fuel and electricity):38% 原子力 (Nuclear):8% 出典 :IEA ( エネルギー技術展望 2015 ) 3

気候変動対策と CCS 2014 年に公表された IPCC 第 5 次評価報告書では CCS 技術は 化石燃料発電プラントの温室効果ガス排出を削減できる可能性がある と評価 IPCC 報告書のシミュレーション結果によれば 2100 年に温度上昇を 2 に抑えると仮定した場合 CCS 有り ( 下中図 ) では発電部門からの大規模削減が見込めるが CCS 無しの場合 ( 下右図 ) に大規模植林などの 土地利用 (AFOLU) 部門にて相当量の削減を行わなければならないことが示唆 特段の温暖化対策無し CCS 有りで 2 を目指す CCS 無しで 2 を目指す 44

世界の CCS プロジェクト 7 大規模 : 年間 80 万 t 以上 ( 石炭火力 ) 年間 40 万 t 以上 ( その他の排出源 ) 大規模プロジェクト 45 件 (2015 年 11 月 ) 運転中 : 15 件建設中 : 7 件精査中 : 11 件評価中 : 9 件構想 : 3 件 北米 : 19 件 欧州 : 8 件 中東 : 2 件 アフリカ : 1 件 南米 : 1 件 オセアニア : 3 件 アジア : 11 件 出典 :Global CCS Institute, The Global Status of CCS 2015 に基づいて作成 5

世界の CCS プロジェクト 7 操業 (Operate) 建設(Execute) 精査(Define) 段階にある業種別および貯留形態別の大規模 CCSプロジェクトの実際の操業時期および予想操業時期運転中 15 件建設中 7 件 = 100 万トン / 年の CO 2 ( 円の面積は貯留量に比例 ) 出典 :Global CCS Institute, The Global Status of CCS 2015 6

日本の政策的位置付け 攻めの温暖化外交戦略 (ACE)( 平成 25 年 11 月 15 日 ) ( イノベーション 項にて 2050 年世界半減に必要な技術として位置づけ ) CCS(CO2 回収 貯留技術 ): 火力発電等から排出される CO2 を回収し地下に貯留 日本は CCS 普及の鍵となる分離回収技術の高効率化で世界に貢献 エネルギー基本計画 ( 平成 26 年 4 月 11 日閣議決定 ) 2020 年頃の二酸化炭素回収貯留 (CCS) 技術の実用化を目指した研究開発や CCS の商用化の目処等も考慮しつつできるだけ早期の CCS Ready 導入に向けた検討を行うなど 環境負荷の一層の低減に配慮した石炭火力発電の導入を進める 7

日本の政策的位置付け 東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ ( 平成 25 年 4 月 25 日 ) (2) 2050 年目標との関係 ( ア ) 国は 当面は 火力発電設備の一層の高効率化 2020 年頃のCCS 商用化を目指したCCS 等の技術開発の加速化を図るとともに CCS 導入の前提となる貯留適地調査等についても早期に結果が得られるよう取り組む 地球温暖化対策計画 ( 平成 28 年 5 月 13 日閣議決定 ) 2030 年以降を見据えて CCS については 東京電力の火力電源入札に関する関係局長会議取りまとめ や エネルギー基本計画 等を踏まえて取り組む 8

我が国の CCS 政策 A A A A 我が国初となる大規模実証試験や要素技術の開発等を推進するとともに 潜在的な CO 2 貯留適地の選定を実施 事業名 \ 年度 2015 2016 2017 2018 2019 2020~ 実証試験 ( 苫小牧 ) 設備建設 CO 2 圧入 10~20 万トン / 年 モニタリング 操業能力の獲得 二酸化炭素削減技術実証試験事業 安全性評価技術の検証 安全性の確立 研究開発 1 安全性評価技術 2 CO 2 分離回収技術 コスト低減 CCS 技術の実用化 貯留ポテンシャル調査 地質調査 調査井掘削 ( 複数地点 ) 貯留適地の選定 二酸化炭素貯留ポテンシャル調査事業 国際協力 多国間の取組 : 炭素隔離リーダーシップフォーラム (CSLF) 2015 年 ( 平成 27 年 )11 月 CSLF 閣僚級会合がサウジアラビアのリヤドにて開催 クリーンエネルギー技術の 1 つに CCS を位置づけるべき等 CCS の重要性に言及した共同声明を発出 二国間での取組 : 経済産業省と米国エネルギー省との研究協力 2015 年 ( 平成 27 年 ) 4 月に 経済産業省と米国エネルギー省との間で 二酸化炭素回収 貯留分野に係る協力文書(MOC) を署名し 日米 9 間の研究協力を推進 国際的な取組 ()

苫小牧に決定した経緯 3 平成 23 年 10 月 実施調査結果のとりまとめ 苫小牧における貯留層総合評価 苫小牧地点における実証試験計画 ( 案 ) 平成 23 年 10 月 ~12 月 専門検討会の実施 CCS 実証試験実施に向けた専門検討会 の開催 実施調査結果について 専門的知見を有する第三者により 技術的な観点から確認及び評価を実施 平成 24 年 2 月 北海道苫小牧市での実施を決定 10

二酸化炭素削減技術実証試験事業 産業技術環境局環境調和産業 技術室 03-3501-9271 経済性 実現可能性の観点から 沿岸の海底下に圧入できる地点 ( 北海道苫小牧市 ) を試験地に選定し 我が国で初となる大規模 CCS の実証試験を実施 具体的には 製油所の排出ガスから分離回収した CO 2 を年間約 10 万トン規模で地中へ貯留するとともに 貯留した CO 2 のモニタリング技術等の実証を行う 事業実施体制 経済産業省 委託 日本 CCS 調査株式会社 事業イメージ < 実証試験設備の位置関係 > < 実証事業スケジュール > ~2011fy 2012fy 2015fy 2016fy 2020fy~ 調査建設圧入 モニタリング 実地調査終了 苫小牧実施決定 技設備の設計 建設 CO 2 圧入術の坑井の掘削 (10 万トン規模 / 年 ) 実操業の準備等貯留モニタリング等用 2016 年度 ( 平成 28 年度 )4 月より圧入開始化へ 11

苫小牧実証試験設備の全体概要 商業運転中の製油所の水素製造装置を排出源として CO 2 を分離 回収 圧入に必要な圧力まで昇圧 ( 最大 23MPa) し 10 万トン / 年以上の CO 2 を苫小牧沖の 2 つの貯留層に圧入する 2012~2015 年度は これら地上設備の設計 建設 圧入井掘削 およびモニタリングシステムの構築とベースライン観測等の CO 2 圧入に向けた準備を行い 2016 年 4 月より 海底下の地層への CO 2 圧入を開始した ( 設備仕様 : 最大 20 万トン / 年の CO 2 に対応 ) ガス供給基地 CO 2 分離 回収 / 圧入基地 新設 排出装置 送出 PSA 下流カ ス送出 新設 送出配管 新設 分離 回収 昇圧 分離 圧縮 圧入 貯留 圧入井 (2 坑 ) CO 2 含有ガス 10 万トン / 年以上 排出源の操業状況等による PSA(Pressure Swing Adsorption 圧力スイング吸着 ): 水素製造装置の生成ガスから高純度水素ガスを得る装置 PSA 装置 ( 排出装置 ) からの下流ガスには高濃度 CO 2 が含まれる 貯留層 萌別層砂岩層海底下 深度 1,100~1,200m 貯留層 滝ノ上層 T1 部層海底下 深度 2,400~3,000m 12

苫小牧実証試験設備の位置関係 高感度陸上地震計 萌別層観測井 OB-2 ( 鉛直 ) 滝ノ上層観測井 OB-1 調査井を改修 ( 坑口 ) 圧入井 2 坑 ( 坑口 ) ガス供給設備 出光興産製油所内 CO 2 分離 回収 / 圧入設備 製油所に隣接 滝ノ上層観測井 OB-3 ( 鉛直 ) OBS 三次元弾性波探査作業範囲 OBS OBC (Ocean Bottom Cable: 海底受振ケーブル ) 微小振動 自然地震観測 二次元弾性波探査に使用 OBS OBS OBS (Ocean Bottom Seismometer: 海底地震計 ) 微小振動 自然地震観測に使用 Google Image 2013 DigitalGlobe Data SIO, NOAA, U.S. Navy, NGA, GEBCO Image 2013 TerraMetrics 13

CO2 分離 回収 / 圧入設備の鳥瞰写真図 地上設備完成イメージ図 2 フレア ベントスタック CO2 吸収塔 圧入井 CO2 放散塔 低圧フラッシュ塔 アミンタンク PSA オフガス圧縮機 窒素設備 低圧ボイラー 純水製造設備 高圧ボイラー 冷却塔 燃料油タンク 計装空気設備 純水タンク 管理棟 第 1 低圧 CO2 圧縮機 蒸気タービン発電機 第 2 低圧 CO2 圧縮機 高圧 CO2 圧縮機 排水処理水槽 PSAオフガスの流れ高純度 CO2の流れ 工業用水受水槽 14

CO2 分離 回収設備及び圧縮設備 地上設備完成イメージ図 2 CO 2 分離 回収設備 :PSA オフガス中の CO 2 を分離回収 PSA オフガス圧縮設備 :PSA オフガス (CO 2 含有ガス ) を CO 2 吸収塔の運転圧力 (0.81MPaG) まで昇圧 分離 回収法におけるエネルギー消費量 ( 溶液再生熱量 + 溶液循環動力 ) は 2011 年経済産業省 CCS 実証試験実施に向けた専門検討会 において 2.5GJ/ トン -CO2 以下を目標とされており 本実証試験では 1.5 GJ/ トン -CO 2 以下にすることが期待される CO 2 圧縮設備 : 分離回収した CO 2 を圧入圧力まで昇圧 15

抗井掘削イメージ図 m 萌別層観測井 遮蔽層 貯留層 第四系 鵡川層 ( 礫岩 砂岩 泥岩 ) 萌別層 ( 泥岩 ) 萌別層 ( 砂岩 ) 荷菜層 ( 泥岩 ) 遮蔽層 平取 + 軽舞層 ( 泥岩 ) 振老層 ( 泥岩 ) 滝ノ上層 T1 部層 ( 火山岩類 ) 貯留層 m 滝ノ上層泥岩層 m m この断面図は 滝ノ上層圧入井坑跡における断面図 16

モニタリングシステムの概要 陸上設置地震観測点 観測データ 観測データ 滝ノ上層観測井 OB-1 ( 調査井 CCS-1を改修 ) 滝ノ上層圧入井 CO 2 圧入 CO 2 圧入 圧入基地管理棟 萌別層圧入井 観測データ 観測データ 観測データ 観測データ 観測データ 観測データ 萌別層観測井 OB-2 観測データ Hi-net データ ( 自然地震 ) 滝ノ上層観測井 OB-3 二 / 三次元弾性波探査による CO 2 の拡がりの定期的確認 モニタリング結果に基づき事前の CO 2 挙動予測シミュレーションの再現性を評価 評価結果に応じて地質モデルの改善と予測シミュレーションの高精度化 OBS OBS OBS OBS 常設型 OBC 萌別層砂岩層 :CO 2 流量センサー : 温度 圧力センサー :3 成分地震計 滝ノ上層 T1 部層 17

情報公開 苫小牧市役所及び日本 CCS 調査 ( 株 ) の Website にて 二酸化炭素の圧入量の実績を表示 http://www.jccs-tomakomaimonitoring.com/jccs/index.php/top/ 監視 ( モニタリング ) により 圧入地点周辺の自然地震や微小振動を観測し結果を表示 二酸化炭素圧入以前の観測により 圧入に関係なく 微小振動の発生が確認されています 18

PA(Public Acceptance) 活動 5 CCSの社会的認知度向上のためには PA 活動が重要 パネル展示 : 札幌市 苫小牧市など北海道内で開催 国内大学における講演会 : 東京大学 京都大学などで開催 現場見学会 : 大学 研究会 他県県議会などを対象に開催 イベント参加 : 札幌や首都圏で開催された環境関係の展示会などに参加 子供向け実験教室 : 苫小牧市科学センター 児童館などで開催 19

PA(Public Acceptance) 活動苫小牧講演会 ( 平成 24 年度 ) 森田正光氏講演 ( 平成 26 年度 ) 動物写真家伊藤健次氏講演 ( 平成 25 年度 ) パナソニック 山田由佳博士講演 ( 平成 25 年度 ) 北海道大学名誉教授池田隆司先生講演 ( 平成 27 年度 ) 海洋研究開発機構平朝彦氏講演 20

CCS 技術開発 二酸化炭素固体吸収材等研究開発 二酸化炭素分離膜モジュール研究開発 分子ゲート膜 (0.1~5 μm ) 膜エレメントの構造 CO 2 H 2 原カ ス原カ ススヘ ーサー原カ ス 高分子支持膜 (30 μm ) 非透過カ ス 透過カ ス 集カ ス管 透過カ ススヘ ーサー分子ケ ート膜 不織布 (100 μm ) 膜断面 CO 2 分子ゲート膜 坑井間弾性波トモグラフィから検出された CO2 分布図 IW-1 CO2 挙動シミュレーションの結果 OB-3 圧入井 IW-1 モニタリング技術研究開発 OB-2 実機型膜モジュール 光ファイ 高圧ガスより分子量の大きな CO 2 を選択的に回収 クランプで光ファイバーをケーシングに固定 バー 遮蔽層 光ファイバー シミュレーション範囲 CO2 長期挙動予測解析へ 坑井へ CO2 圧入 温度 圧力 地盤変形を光ファイバーにより計測 CO2 圧入圧力上昇 貯留層 1 ケーシング 21

次世代技術による CO2 回収コスト低減の見通し 実際の CO2 分離回収設備導入 拡大に至るには低コスト化が大きな課題 分離回収設備の設置 稼働はコストを大きく押し上げるとともに 設備稼働に伴う電力消費により 全体の発電効率が大幅に低下する この点 石炭火力の分野を中心に CO2 の分離回収に係る技術開発が進められており 今後 次世代技術が実用化していくことで 2020 年 ~2030 年頃にかけて大幅なコスト低減の可能性 約 4200 円 /t-co2 約 3000 円台 /t-co2 2000 円台 /t-co2 1000 円台 /t-co2 化学吸収法 酸素燃焼法 物理吸収法固体吸収材 膜分離法 現在 2020 年頃 2030 年頃 上図中の試算は様々な仮定を基に行われており 将来の分離回収コストを予断するものでは無い 出典 : 次世代火力発電に係る技術ロードマップ技術参考資料集 に基づいて作成 22

2030 年頃までに技術確立が見込まれる CO2 回収技術 CO 2 分離 回収コスト 4000 円台 化学吸収法 アミン等の溶剤を用いて化学的に CO2 を吸収液に吸収させ分離する方法分離回収コスト :4200 円台 /t-co2 CO2 利用 回収した CO 2 を利用し 石油代替燃料や化学原料などの有価物を生産する技術 微細藻由来バイオ燃料や人工光合成 環境配慮型コンクリート等の技術を開発中 3000 円台 酸素燃焼法 高濃度の酸素をボイラーで再循環させることで 排ガスの CO2 濃度を高くする方法分離回収コスト : 3000 円台 /t-co2 物理吸収法 高圧下で CO2 を物理吸収液に吸収させて分離する方法分離回収コスト : 2000 円台 /t-co2 2000 円台 1000 円台 CO2 貯留 分離回収した CO2 を地中に貯留する技術 2020 年頃の CCS 技術の実用化を目指し 研究開発 実証試験を実施中 2012 年より苫小牧において 年間約 10 万トン規模の CO2 を分離回収 貯留する実証事業を開始 現在プラント建設中 2016 年より貯留開始予定 膜分離法 固体吸収材 CO2 が選択的に透過する膜を用いて分離する方法分離回収コスト :1000 円台 /t-co2 アミン等を溶媒では無く固体と組み合わせることで 必要エネルギーを低減させ分離する方法分離回収コスト : 2000 円台 /t-co2 現在 2020 年頃 出典 : 次世代火力発電に係る技術ロードマップ技術参考資料集 に基づいて作成 2030 年頃 23

二酸化炭素回収 貯蔵安全性評価技術開発 CCS の実用化に向け CCS の安全な実施に必要な基盤技術として 地下深部に圧入された CO2 の挙動解析や CO2 貯留時の挙動モニタリング技術の開発 CO2 長期挙動予測シミュレーション技術 光ファイバーを使用したモニタリング技術など 現在主流の弾性波探査を補完する低コストで高精度のモニタリング技術を開発 本事業で確立した技術は 苫小牧で実施している実証事業で活用し その有用性を確認 事業イメージ 地中埋設型光ファイバーモニタリングシステムの開発等 光ファイ バー 光ファイバー 坑井へ CO2 圧入 温度 圧力 地盤変形を光ファイバーにより計測 遮蔽層 CO2 圧入圧力上昇 1 貯留層 24

二酸化炭素貯留ポテンシャル調査事業 2014 年度 ( 平成 26 年度 ) より 環境省との共同事業として二酸化炭素貯留ポテンシャル調査事業を開始 2021 年 ( 平成 33 年 ) 頃までに CO 2 を貯留可能な地点を 3 ヶ所程度選定することを目指す 東西断面位置 N 年度 2014 2015 0 2016 2017 2018 2019 2020 2021 第四系 0.5 鵡川層 遮蔽層 貯留対象層 2D 弾性波探査データ > 萌別層 1.0 2D 弾性波探査萌別層砂岩層及びデータ解析荷菜層 ( 貯留対象層 ) 15 地点程度 1.5 平取 + 軽舞層 振老層 滝ノ上層 萌別層泥岩層 滝ノ上層 T1 部層 ( 貯留対象層 ) 1 Km 2.0 2.5 3.0 3.5 Two-way Time (sec) 3D 弾性波探査及びデータ解析 9 地点程度 < 調査井掘削 > 貯留地の選定 (3 地点程度 ) <3D 弾性波探査データ > 調査井掘削 貯留層総合評価 5 地点程度 エアガン発振で生じた水泡 25

米国との CCS 協力 2 昨年 4 月の安倍総理訪米にあわせ 経済産業省 ( 石黒経済産業審議官 ) と米国エネルギー省 ( ランデル副長官 ) との間で 二酸化炭素回収 貯留分野に係る協力文書 (MOC) に署名 <MOC 概要 > CO2 の分離 回収 輸送 地下貯留 地下モニタリング等の技術分野に関する協力を実施 協力活動として 研究成果の共有 実験材料 装置等の交換 ワークショップの開催 両国専門家のプロジェクトへの相互派遣等を実施 < 具体的協力内容 > 安全性評価手法 に係る共同研究等を実施予定 詳細は今後 実務者間で協議 地下の CO2 挙動シミュレーション技術の高度化 リスク評価手法の改良等 26

2. 環境省の CCS 政策について 27

CCSによるカーボンマイナス社会推進事業 一部経済産業省連携事業 平成25年度予算 平成28年度予算 6,000百万円 2,500百万円 百万円 事業目的 概要等 背景 目的 期待される効果 2021年までに二酸化炭素貯留適地を3ヶ所程度選定する また 2020年までの技術の実用化を目指し 石炭火力発電における 二酸化炭素分離回収に伴うコスト 発電効率の低下 環境影響等に 関する知見を得る 二酸化炭素排出量を大幅に削減し 低炭素社会を実現するためには 石炭火力発電所等への二酸化炭素回収 貯留 CCS 導入が求めら れる CCSの円滑な導入のためには 環境の保全や地元理解等に配慮し つつ 調査 検討を進める必要がある 事業スキーム 事業概要 1 二酸化炭素貯留適地調査事業 2,400百万円) 経済産業省連携事業 我が国周辺水域で 海底下地質の広域調査に加えて 範囲を絞った詳 細調査を実施し 貯留性能 遮蔽性能 地質構造の安定性 海洋環境保 全等の観点から 二酸化炭素の海底下貯留に適した地点の抽出を進め る 2 環境配慮型CCS実証事業(3,600百万円) H27年度までの成果を活用して 環境配慮型の二酸化炭素分離回収 設備を建設し 石炭火力発電排ガスから二酸化炭素の大半を分離回収 する場合のコスト 発電効率の低下 環境影響等の評価を行う また 海底下でのハイドレート形成による二酸化炭素漏洩抑制 漏洩時 の海底下貯留サイトの修復等 海底下に二酸化炭素を安定的に貯留す るに当たって重要となる事項について 課題抽出 対策検討 整理を行う さらに 制度 施策検討等を通して 我が国に適したCCSの円滑な導入 手法を取りまとめる 1 委託対象 民間団体等 実施期間 8年間 H26 33 2 委託対象 民間団体等 実施期間 7年間 H26 32 年次計画 H26 28 広域調査 H27 30 詳細調査 H30 33 ボーリング調査 総合評価 H26 27 技術検討 H28 32 二酸化炭素分離回収 に係る技術実証 制度検討等 イメージ 遮蔽層 泥岩など 貯留層 砂岩など 二酸化炭素の貯留に 適した地層の調査 有害化学物質の放出を抑制可能な 二酸化炭素分離回収設備

低炭素社会の構築に向けた CCS 国際シンポジウム 日時 :2016 年 1 月 26 日 ( 火 ) 10:00~17:00 内容講演者開会挨拶梶原成元 ( 環境省地球環境局 ) 基調講演 1 日本の気候変動政策関谷毅史 ( 環境省地球環境局総務課低炭素社会推進室 ) ( 敬称略 ) 2 米国における化石燃料発電所からの炭素排出制限 Dr. Nick Hutson( 米国環境保護庁 ) 3 世界の CCS の動向と COP21 Ms. Clare Penrose ( グローバル CCS インスティテュート ) 講演 1 海域 CO2 輸送 貯留のための政策イノベーション Dr. Ward Goldthorpe (The Crown Estate) 2 海域 CCS の環境影響評価技術佐藤徹 ( 東京大学 ) 3 コミュニティとのコミュニケーション 世界の経験から学ぶことは何か Ms. Jessica Morton ( グローバル CCS インスティテュート ) 4 科学技術についてのリスクコミュニケーション土田昭司 ( 関西大学 ) パネルディスカッション CCS の導入に向けた障壁の解消 モデレータ : 平井秀一郎 ( 東京工業大学 ) パネラー : 関谷毅史 ( 環境省 ) 土田昭司 ( 関西大学 ) Dr. Nick Hutson ( 米国環境保護庁 ) Mr. Ian Havercroft ( グローバル CCS インスティテュート ) Ms. Jessica Morton ( グローバル CCS インスティテュート )

パネルディスカッション CCS の導入に向けた障壁の解消 GCCSI の Mr. Ian Havercroft より CCS 導入に関する法制度面の課題が共有された CCS 導入のための課題解決の方策について 以下の議論が行われた CCS 導入の障壁 現状では民間企業が CCS を実施するインセンティブがなく 政策面での支援が必要 太陽光や原子力と比較して CCS に対する理解が政策担当者の中でも十分ではない 日本の CO2 削減目標において CCS は具体的なオプションとして想定されていない 今後取るべき方策 気候変動対策は将来に対する投資であり 中でも CCS はコスト効率の高い CO2 削減技術であるという点を 政策担当者や国民に広く理解してもらうことが重要 CCS の推進を個々のプロジェクトに任せるのではなく 複数の国が連携 協力し 社会インフラとして CCS を実装するための取り組みを進めていくことが必要 CCS に日本企業が参画できるような政策 制度面の環境整備を行うことが求められる GCCSI Mr. Ian Havercroft パネルディスカッションの様子