キャリブレーション手順 NI 6601/6602 目次 このドキュメントでは NI 6601/6602 データ集録デバイスのキャリブレーションについて説明します 概要... 2 キャリブレーションとは... 2 検証が必要である理由は... 2 検証の頻度は... 2 ソフトウェアとドキュメント... 2 ソフトウェア... 2 ドキュメント... 3 テスト装置... 3 テスト条件... 3 キャリブレーションの手順... 4 安定したクロックをセットアップする... 5 PXI-6608 クロックソースをセットアップする... 5 他のクロックソースをセットアップする... 7 クロックソースを NI 6601/6602 デバイスに接続する... 8 PXI-6608 を NI 6601/6602 デバイスに接続する... 8 他のクロックソースを NI 6601/6602 デバイスに接続する... 8 NI 6601/6602 デバイスの周波数を測定する... 9 周波数測定値を NI 6601/6602 デバイスの仕様と比較する...16
概要 キャリブレーションとは 検証が必要である理由は キャリブレーションでは デバイスの測定確度を確認し すべての測定誤差の調整を行います NI 6601/6602 では 水晶発振器がユーザによる調整が可能でないため キャリブレーションは単に水晶発振器の測定確度を検証するのみです 検証を行うには デバイスのパフォーマンスを測定し その測定値を工場出荷仕様と比較します デバイスがキャリブレーションに失敗した場合は 修理または交換のためにデバイスを NI までご返送ください 修理または交換のために NI へご連絡いただく方法についての詳細は 技術サポート情報のドキュメントを参照してください タイミングコンポーネントの確度は時間の経過や温度とともに変動し このような変動は測定確度に影響を与えます 検証とは そのような変動下でもデバイスが NI 標準を満たしているかを確認する作業です 検証の頻度は NI 6601/6602 は 使用するアプリケーションの測定確度要件で定義されている頻度でキャリブレーションを行います NI では 完全なキャリブレーション手順を 1 年に 1 度の頻度で実行することをお勧めします アプリケーションの確度要件に応じて このキャリブレーション間隔を短くすることもできます ソフトウェアとドキュメント NI 6601/6602 の検証には以下のソフトウェアとドキュメントが必要になります これらのリソースは NI ウェブサイト (ni.com/jp) で参照できます 従来型 NI-DAQ ( レガシー ) 7.4.4 Traditional NI-DAQ (Legacy) C Function Reference Help ファイル Traditional NI-DAQ User Manual ドキュメント ソフトウェア このキャリブレーション手順は 従来型 NI-DAQ( レガシー )7.4.4 の使用が必要です 従来型 NI-DAQ は LabVIEW LabWindows TM /CVI TM Microsoft Visual C++ Microsoft Visual Basic Borland C++ など多くのアプリケーション開発環境 (ADE) やプログラミング言語をサポートしています ドライバをインストールする場合 使用する ADE またはプログラミング言語のサポートをインストールするだけでかまいません NI 6601/6602 キャリブレーション手順 2 ni.com/jp
ドキュメント Traditional NI-DAQ (Legacy) C Function Reference Help ファイルおよび Traditional NI-DAQ User Manual ドキュメントには 従来型 NI-DAQ ドライバを使用する際の詳細が説明されています ヘルプファイルには ドライバ機能の詳細が記載されています スタート すべてのプログラム National Instruments NI-DAQ を選択してヘルプファイルを参照できます Traditional NI-DAQ User Manual ドキュメントは 従来型 NI-DAQ のインストール方法を説明しています また このマニュアルには従来型 NI-DAQ ドライバを使用するアプリケーションを作成する際の詳細も記載されています これらは キャリブレーションユーティリティを作成する場合の主な参考資料です さらに 使用しているプログラミング言語のドキュメントも参照できます キャリブレーションしようとする製品の詳細については NI 660x ユーザマニュアル を参照してください テスト装置 NI 6601/6602 デバイスを検証するには以下の装置が必要です 確度 1 ppm 以内の高安定性 10 MHz 5 MHz または 1 MHz クロックソース NI では安定したクロックの供給源として PXI-6608 の使用を推奨します PXI-6608 は 1 年間にわたって確度 0.075 ppm を維持する 10 MHz クロックを供給します SH68-68-D1 ケーブルまたは標準 68 ピンケーブルコネクタ 68ピン端子ボックス (PXI-6608 以外のクロックソースを使用する場合 ) テスト条件 機器とキャリブレーション実行環境を最適化するため 以下のガイドラインに従ってください デバイスへの接続ケーブルをできるだけ短くしてください 長いケーブル / ワイヤはアンテナのような働きをするため 余分なノイズが取り込まれ測定結果に影響します 周囲温度を約 25 に維持してください 相対湿度を 80% 未満に維持してください デバイスへの接続ケーブルには 被覆された銅線を使用してください ノイズとサーマルオフセットを除去するためには ツイストペアワイヤを使用してください 測定回路の動作温度が安定するまで 15 分間のウォームアップ時間を確保してください National Instruments Corporation 3 NI 6601/6602 キャリブレーション手順
キャリブレーションの手順 このセクションでは 安定したクロックソースを使用して NI 6601/6602 の水晶発振器の動作を検証する方法を説明しています NI 6601/6602 デバイスの発振器の性能を検証するには NI 6601/6602 デバイスのカウンタ 0 とカウンタ 1 という 2 つのカウンタが必要です カウンタ 1 はソースとして安定したクロックを使用して 50 ms の単一パルスを生成し このパルスがカウンタ 0 の GATE に適用されます NI 6601/6602 の 20 MHz タイムベースは 水晶発振器から取得される カウンタ 0 の SOURCE です 50 ms の単一パルス中に発生する 20 MHz タイムベースのクロックエッジ数をカウントし 発振器の周波数を計算してデバイスが仕様内にあるかどうかを判断します 図 1 に このプロセスの簡単なダイアグラムを示します 20 MHz CTR 1 50 ms CTR 0 図 1 NI 6601/6602 の検証プロセス 周波数測定には 安定したクロックの誤差と カウンタにより発生する量子化誤差の和に等しい不確定要素があります クロックの誤差は このドキュメントの テスト装置 のセクションに指定されているとおり 1 ppm 以下であることが必要です 量子化誤差は アナログ値をデジタル化する場合の固有の不確定要素で 常に最大 50 ns です 測定時間 50 ms とすると 量子化誤差は以下のようになります -------------- 50 ns = 1 ppm 50 ms 安定したクロックの誤差 (1 ppm) と量子化誤差 (1 ppm) の和で 測定不確定性の合計は 2 ppm となります より安定したクロックを使用するか 測定時間を長くするか またはその両方を行うと 測定不確定性を減少できます このドキュメントの最後にある計算により 2 ppm の測定不確定性が許容されます 従来型 NI-DAQ と LabVIEW プログラミングの両方による方法が以下のセクションに示されています 使用するプログラミング環境に合わせて適切な方法を選択してください NI 6601/6602 キャリブレーション手順 4 ni.com/jp
安定したクロックをセットアップする このセクションではクロックのセットアップ方法を説明します NI では安定したクロックの供給源として PXI-6608 の使用を推奨します このドキュメントの テスト装置 のセクションに記載されている仕様を満たす場合は 他の安定したクロックを使用できます 使用方法は PXI-6608 については PXI-6608 クロックソースをセットアップする のセクションを その他のクロックについては 他のクロックソースをセットアップする のセクションに説明されています PXI-6608 クロックソースをセットアップする以下の手順に従って PXI-6608 を安定したクロックソースとしてセットアップします 1. 6608 デバイスの電源を投入します 2. デバイスの測定回路がウォームアップするまで 15 分間待機します 3. PXI-6608 の安定した 10 MHz クロックを PFI_35 に経路設定します a. PXI-6608 のカウンタ 1 を 簡易なイベントカウントを実行する よう構成します 以下のパラメータを使用して GPCTR_Set_Application を呼び出します devicenumber: Measurement & Automation Explorer(MAX) で設定された値 application: ND_SIMPLE_EVENT_CNT National Instruments Corporation 5 NI 6601/6602 キャリブレーション手順
b. カウンタ 1 の source を RTSI ライン 0 として構成します 以下のパラメータを使用して GPCTR_Change_Parameter を呼び出します paramid: ND_SOURCE paramvalue: ND_RTSI_0 c. PXI-6608 の安定した 10 MHz クロックを RTSI ライン 0 に経路設定します 以下のパラメータを使用して Select_Signal を呼び出します signal: ND_RTSI_0 source: ND_STABLE_10_MHZ sourcespec: ND_DONT_CARE NI 6601/6602 キャリブレーション手順 6 ni.com/jp
d. カウンタ 1 の source を PFI ライン 35 で使用可能となるよう構成します 以下のパラメータを使用して Select_Signal を呼び出します signal: ND_PFI_35 source: ND_GPCTR1_SOURCE sourcespec: ND_DONT_CARE e. カウンタ 1 を アームするようプログラムします 以下のパラメータを使用して GPCTR_Control を呼び出します action: ND_PROGRAM タスク ID 出力は NI 6601/6602 デバイスの周波数を測定する のセクションの手順 14 の タスク ID 入力に接続します 他のクロックソースをセットアップする 以下の手順に従って PXI-6608 以外のクロックソースをセットアップします 1. クロックソースが テスト装置 のセクションに記載されている仕様を満たすことを確認します 2. クロックデバイスの電源を投入します メモ クロックセットアップ手順の完了後 クロックは実行され パルスを生成するようになります National Instruments Corporation 7 NI 6601/6602 キャリブレーション手順
クロックソースを NI 6601/6602 デバイスに接続する このセクションでは PXI-6608 または他のクロックソースのいずれを使用しているかに関わらず クロックソースを NI 6601/6602 デバイスに接続する方法を説明しています PXI-6608 を NI 6601/6602 デバイスに接続する SH68-68-D1 ケーブルを使用して PXI-6608 クロックソースを NI 6601/6602 デバイスに接続します このケーブルは各デバイスの I/O コネクタに接続します 他のクロックソースを NI 6601/6602 デバイスに接続する 以下の手順に従って 他のクロックソースを NI 6601/6602 デバイスに接続します 1. SH68-68-D1 ケーブルを使用して NI 6601/6602 デバイスを 68 ピン端子ボックスに接続します 2. ツイストペアワイヤを使用して クロックソースを 68 ピン端子ボックスのピン 7 とピン 41 に接続します クロックをピン 7 に接続します ピン 7 は PFI_35 に相当し これはすべての NI 6601/6602 デバイスでカウンタ 1 の SOURCE です クロックのグランドをピン 41 に接続します これはデジタルグランドです NI 6601/6602 キャリブレーション手順 8 ni.com/jp
NI 6601/6602 デバイスの周波数を測定する メモ PXI シャーシ上の PXI-6602 を検証する場合 周波数測定値はオンボード発振器ではなく PXI バックプレーンクロックの周波数です オンボード発振器を検証するには CompactPCI-PCI アダプタを使用して PCI シャーシ上で PXI-6602 のキャリブレーションを行う必要があります 以下の手順に従って 検証の目的で NI 6601/6602 デバイスの周波数を測定します 1. カウンタ 0 を 簡易なイベントカウントを実行するよう構成します 以下のパラメータを使用して GPCTR_Set_Application を呼び出します gpctrnum: ND_COUNTER_0 application: ND_SIMPLE_EVENT_CNT 2. カウンタ 0 の source を 20 MHz タイムベースに設定します 以下のパラメータを使用して GPCTR_Change_Parameter を呼び出します gpctrnum: ND_COUNTER_0 paramid: ND_SOURCE paramvalue: ND_INTERNAL_20_MHZ National Instruments Corporation 9 NI 6601/6602 キャリブレーション手順
3. カウンタ 0 の gate をカウンタ 1 の output に構成します 以下のパラメータを使用して GPCTR_Change_Parameter を呼び出します gpctrnum: ND_COUNTER_0 paramid: ND_GATE paramvalue: ND_OTHER_GPCTR_OUTPUT 4. カウンタ 0 を 簡易なイベントカウントを実行するようアームします 以下のパラメータを使用して GPCTR_Control を呼び出します gpctrnum: ND_COUNTER_0 action: ND_PROGRAM タスク ID 出力は手順 11 の タスク ID 入力に接続します 5. カウンタ 1 を 単一パルスを生成するよう構成します 以下のパラメータを使用して GPCTR_Set_Application を呼び出します application: ND_SINGLE_PULSE_GNR NI 6601/6602 キャリブレーション手順 10 ni.com/jp
6. カウンタ 1 の source を PFI ライン 35 に構成します 以下のパラメータを使用して GPCTR_Change_Parameter を呼び出します paramid: ND_SOURCE paramvalue: ND_PFI_35 7. 単一パルス生成のパルス遅延を設定します 以下のパラメータを使用して GPCTR_Change_Parameter を呼び出します paramid: ND_COUNT_1 paramvalue: 2 National Instruments Corporation 11 NI 6601/6602 キャリブレーション手順
8. 単一パルス生成のパルス幅を設定します 以下の例ではカウンタ 1 に 10 MHz ソース ( 周期 = 100 ns) を想定しています したがって パルス幅は 100 ns 500000 = 50 ms です 10 MHz 以外の周波数を使用している場合は その周波数に従って数値を調整します 周波数 F に対して 1/F ND_COUNT_2 が 50 ms と等しくなる必要があります 以下のパラメータを使用して GPCTR_Change_Parameter を呼び出します paramid: ND_COUNT_2 paramvalue: 500000 9. カウンタ 1 を 単一パルスを生成するようプログラムします 以下のパラメータを使用して GPCTR_Control を呼び出します action: ND_PROGRAM NI 6601/6602 キャリブレーション手順 12 ni.com/jp
10. カウンタ 1 がパルス生成を完了するまでループを実行します 以下のパラメータを使用して GPCTR_WATCH を呼び出します entityid: ND_ARMED entityvalue: ユーザ宣言された変数次の項のサンプルコードを参照してください タスク ID 出力は手順 13 の タスク ID 入力に接続します GPCTR Watch のサンプルコード i16 istatus = 0; u32 ularmed = ND_YES; do { istatus = GPCTR_Watch (devicenumber, ND_COUNTER_1, ND_Armed, &ularmed);} while ((ularmed==nd_yes) && (istatus==0)); National Instruments Corporation 13 NI 6601/6602 キャリブレーション手順
11. デバイスの周波数を計算します a. カウンタ 0 からカウントを取得します このカウントは 20 MHz タイムベースの 50 ms 間のサイクル数を示します b. 上記で返されたカウントに 20 を乗算して (50 ms 20 = 1 秒 ) 1 秒間に発生すべきパルス数を計算します この計算結果が 20 MHz タイムベースの周波数測定値です 以下のパラメータを使用して GPCTR_Watch を呼び出します gpctrnum: ND_COUNTER_0 entityid: ND_COUNT entityvalue: ユーザ宣言された変数次の項のサンプルコードを参照してください タスク ID 入力は手順 4 の タスク ID 出力に接続します u32 ulcount = 0; GPCTR Watch のサンプルコード istatus = GPCTR_WATCH (devicenumber, ND_COUNTER_0, ND_COUNT, &ulcount); ulcount = ulcount * 20; 12. カウンタ 0 を元の状態にリセットします 以下のパラメータを使用して GPCTR_Control を呼び出します gpctrnum: ND_COUNTER_0 action: ND_RESET NI 6601/6602 キャリブレーション手順 14 ni.com/jp
13. カウンタ 1 を元の状態にリセットします 以下のパラメータを使用して GPCTR_Control を呼び出します action: ND_RESET タスク ID 入力は手順 10 の タスク ID 出力に接続します 14. 必要に応じて PXI-6608 のカウンタ 1 を元の状態にリセットします 以下のパラメータを使用して GPCTR_Control を呼び出します action: ND_RESET タスク ID 入力は 安定したクロックをセットアップする のセクションの手順 3e の ID 出力に接続します これで NI 6601/6602 デバイスの水晶発振器の周波数測定が完了しました National Instruments Corporation 15 NI 6601/6602 キャリブレーション手順
周波数測定値を NI 6601/6602 デバイスの仕様と比較する 前のセクションの手順 11 で計算された周波数を以下の値と比較します 測定した周波数が上限 20,001,500 Hz と下限 19,998,500 Hz との間に入る場合 デバイスは仕様以内で動作しています 測定した周波数が 20,001,500 Hz を超えている場合 デバイスは機能していません 修理または交換のためにデバイスを NI までご返送ください 測定した周波数が 19,998,500 Hz 未満の場合 デバイスは機能していません 修理または交換のためにデバイスを NI までご返送ください これで NI 6601/6602 デバイスの動作検証が完了しました CVI, National Instruments NI ni.com および LabVIEW は National Instruments Corporation ( 米国ナショナルインスツルメンツ社 ) の商標です National Instruments の商標の詳細については ni.com/legal の Terms of Use セクションを参照してください The mark LabWindows is used under a license from Microsoft Corporation. Windows is a registered trademark of Microsoft Corporation in the United States and other countries. 本文書中に記載されたその他の製品名および企業名は それぞれの企業の商標または商号です National Instruments の製品 / 技術を保護する特許については ソフトウェアで参照できる特許情報 ( ヘルプ 特許情報 ) メディアに含まれている patents.txt ファイル または National Instruments Patent Notice (ni.com/patents) のうち 該当するリソースから参照してください 2001 2010 National Instruments Corporation. All rights reserved. 370270C-0112 2010 年 02 月