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Drupa 出張報告 日本印刷産業連合会 技術推進部牧野文男 国際業務部石橋邦夫 1

drupa 2012 概要 入場者数 : 314,500 人 ( 前回より 75,500 人減 ) 海外からの来客数は 19 万人 ( ドイツ国内 12.3 万人 ) Japan Federation of Printing Industries 海外ではインドが 1.5 万人でトップ 次いでベルギー フランス オランダ 英国 米国 スイス イタリーがそれに続く 報道関係者は 75 カ国から 2,400 人 出展社数 : 1850 社 展示場面積 : 16.6 万 m2 参考 : IGAS2011 入場者 73,554 人 出展社 327 社 展示場面積 4.1 万 m2 世界の 4 大印刷展 drupa2012 Print2013( 米 ) Ipex2014( 英 ) IGAS2015 2

drupa の位置づけ Frank Romano 教授による drupa のテーマ 2000 - The press and workflow automation drupa 2004 - The JDF drupa 2008 - The inkjet drupa 2012 - The inkjet on steroids and inline finishing drupa 強化されたインクジェットとインライン加工 Japan Federation of Printing Industries PrintWeek のアンケート調査 : 今回の drupa のテーマ 名称 % Hybrid printing drupa 29 Inkjet drupa (again) 23 B2 in digital drupa 19 Automation and integration drupa 18 Cloud computing drupa 7 Inline finishing drupa 5 3

Drupa2012 主要なポイント Japan Federation of Printing Industries 1. デジタル印刷技術の多様化 今までの主要デジタルプレス技術 電子写真方式 ( ドライトナー ): プロダクションプリンタ (Xerox igen4 DocuColor Kodak NexPress KonicaMinolta bizhub など ) 電子写真方式 ( 液体トナー ): (HP Indigo) インクジェット : (DS TruePress JetSX Fuji JetPress720 HP T300 Kodak Prosper など ) Drupa2012 で発表された新技術 ナノグラフィー (Landa): Memjet: Delphax Xante 東芝 富士ゼッロックス Oce その他 高速な電子写真方式 ( 液体トナー ): ミヤコシ / リョービ Oce Xeikon 選択肢が増えるという面では好ましいが 設備導入においての判断はより複雑となる 4

Landa nanography 液体トナー Memjet Xante Xiekon HP 5

Drupa2012 主要なポイント Japan Federation of Printing Industries 2.B2 枚葉デジタル印刷機の増加 drupa2008 では大日本スクリーンの TruePress JetSX と富士フイルムの JetPress720 しかなかった B2 枚葉デジタル印刷機が drupa2012 では多くのベンダーから発表される 今までの A3+ から B2 サイズになることにより より多くの種類の仕事に対応できるようになり かつ後加工との親和性が向上 主なB2 枚葉デジタル印刷機 メーカ 機種 方式 大日本スクリーン True Press JetSX インクジェット 富士フィルム JetPress720 インクジェット コニカ ミノルタ KM-1 インクジェット 小森 Impremial S29 インクジェット MGI Alphajet インクジェット Jedason Qpress ドライトナー Landa S7 ナノグラフィー Delphax Elan500 Memjet HP Indigo 10000 液体トナー ミヤコシ 30NX-8000 液体トナー 6

インクジェット ( コニカ ミノルタ 富士フイルム ) ナノグラフィー (Landa) 電子写真 ( 液体トナー ) ( ミヤコシ Indigo) Memjet (Delphax) 7

Drupa2012 主要なポイント Japan Federation of Printing Industries 3. インクジェットデジタルプレスが多数出展される Landa に話題が集中したが インクジェットは数多くの製品が発表されており デジタルプレスの中心的な技術となっている 4. 電子写真方式 ドライトナー方式は技術的に成熟段階にあり 実用レベルの高い製品がそろっている ゴールドやメタリックなどのトナーを用意して利用範囲を広げる努力をしているベンダーもある 輪転 枚葉 メーカ 機種 HP T410 Color Inkjet Web Kodak Prosper 6000XL ミヤコシ リョービ MJP20MX Oce Color Stream 3500 富士フイルム Jet Press W 大日本スクリーン TruePress Jet520ZZ 小森 Impremial W20 東京機械 JetLeader KBA RotaJet Impika iprint extreme Xerox CiPress500 大日本スクリーン True Press JetSX 富士フイルム JetPress720 コニカ ミノルタ KM-1 小森 Impremial S29 MGI Alphajet 8

インクジェット Impika HP インクジェット Kodak 電子写真方式 ( ドライトナー ) Xerox igen4 9

Drupa2012 主要なポイント Japan Federation of Printing Industries 5. オフセット印刷機メーカのデジタル対応デジタルプレスメーカとのアライアンスなどが進む ハイデル : 小森 : マン ローランド : KBA: リョービ : Timson: Landa との技術提携 リコーとの協業 Landa との技術提携 コニカミノルタとの協業 Landa との技術提携 キャノンとの協業 ダネリーとの技術提携 ミヤコシと B2 デジタル枚葉機共同開発 リョービ 750 シリーズに Kodak Prosper S5 を搭載 Kodak のインクジェットヘッドの採用 10

KBA+Donnelly Timson+Kodak Komori + KonicaMinolta 11

Drupa2012 主要なポイント Japan Federation of Printing Industries 6. 製本のインライン化 デジタルプレスと製本のインライン化を各社が展示 完全なインライン化でなくても 面付け情報が製本工程に送られ セットアップの効率化を図っているものもある Print On-Demand W2P などによる小ロット化の流れの中で デジタルプレスやオフセット印刷機の小ロット対応とともに製本機のインライン化による効率化のニーズが高まってきている 自社内で印刷 製本を一貫で処理する場合では JDF によるワークフローを活用しているケースが増えている ただし製本業界にとっては JDF の正確な情報が前工程 ( 印刷 ) から入ってくる事が期待できないためにまだ普及は進んでいない デジタルプレスと製本のインライン化により書籍のオンデマンドが容易に実現できるようになり 出版社の内製化が進む可能性もある (EX. 講談社 ) 12

Drupa2012 主要なポイント Japan Federation of Printing Industries 7. パッケージ ラベル分野に対する関心の高まり 各社がパッケージ ラベル対応のデジタルプレスを発表 厚紙対応 B2 デジタルプレス大日本スクリーン Truepress Jet SX に続き 富士フイルム JetPress F HP Indigo30000 Landa S7 コニカミノルタ KM-1 小森 Impremia IS29 などの発表が行われた ラベル分野には先行している HP Indigo EFI Jetrion Xeikon のほかに Durst 大日本スクリーンなども参入 デジタルプレスメーカは各社ともパッケージの事例を多数出展している オフセット印刷機もパッケージ用の新製品が各社から出されている パッケージ分野は ネットなどの電子化の影響を受けない分野として注目を浴びているが 逆に多くの会社が参入しようとして過当競争に陥る危険もある 13

Drupa2012 主要なポイント Japan Federation of Printing Industries 7. パッケージ ラベル分野に対する関心の高まり (2) Kurz からデジタルプレス用の箔 (Digital Metal) が出展される トナーで箔を転写したい部分にイメージを作り そこに Digital Metal をラミネート ( 転写 ) しメタリックイメージを作る ホットスタンプの型も不要で バリアブルも可能 Highcon 社から小ロット対応の抜き 罫押システムが発表される 罫押の型を感光性硬化樹脂で作成し 抜きはレーザで対応 罫押のためのダイ ( 金型 ) が不要のために短納期 小ロット対応が可能 デジタルプレス及び関連技術の進展により 小ロットのパッケージやラベルへの対応がより容易となってきた Kruzのdigital metalでシリアル番号作成 ( 左 ) デジタルプレスで転写イメージを作成 そこにdigital metalを転写 14( 右 )

Highcon Eucrid 感光性硬化樹脂による罫線押し型の作成樹脂のコストは 1m あたり 30 ドル程度 15

Drupa2012 主要なポイント Japan Federation of Printing Industries 8. デジタルプレスにおける特殊効果 機能 SCODIX DIGITAL EMBOSSING PRESS : デジタルの表面後加工機 透明ポリマーをインクジェットで吹き付け UV 硬化させる エンボス加工や 表面コート テキスチャーがバリアブルに加工が可能 厚味は 70 ミクロンまで 型を作る時間 コスト 保管のコストを削減できる パッケージのほか カタログ 名刺 書籍 グリーティングカード フォルダーなど幅広い用途がある Kodak Nexpress: 3D インクにより表面に鱗のような加工をしたり グロスコートにより光沢や UV 印字 磁性インキによる MICR 印刷 ( 米国の小切手で使われている ) 等が可能 この他 特色としての金やパールカラーのトナー等もリリース 各種の特殊効果がデジタルで実現できるようになってきており 小ロットの印刷でも各種の特殊効果を持たせることができるようになってきた 付加価値印刷として触感を表現したサンプルが多く展示されていた 16

Drupa2012 主要なポイント Japan Federation of Printing Industries 8. ワイドフォーマット分野 既にデジタル ( インクジェット ) が広く普及しており 幅広い用途や材質に使われている この分野では 多くのベンダーが存在し それぞれ独自のニッチ市場を開拓し 共存している ワイドフォーマットの仕事は必ずしも印刷会社の仕事になっておらず 設備を導入した顧客が独自にその作業を自社に取り込んでいるケースが多く見受けられる 17

Drupa2012 主要なポイント Japan Federation of Printing Industries 9.W2P ワークフロー MIS の普及 数多くのベンダーが出展 デジタルプレスによって小ロットを数多くこなしていくには これらの活用が必要不可欠 米国の VistaPrint では平均受注単価 35 ドルを年間 2000 万件こなす より規模の小さい 48Hours.com でも平均 350 ドルの案件を 300-350 件 / 日こなしている このような数の案件をこなすためには W2P, Workflow, MIS が重要 W2P は必ずしも一般消費者向けでなく 自分の重要顧客向けの専用サービスとして展開しているケースもある ( 例 : 多店舗展開している会社の販促物などを 個々の店舗が W2P で発注 カスタマイズし それを印刷会社が印刷して納入する ) 18

Drupa2012 主要なポイント Japan Federation of Printing Industries 10. クラウドの活用 W2P ワークフロー MIS などにクラウドを活用するサービスが増えてきた デザイン クロスメディアの編集 (Chili Publishing) カラーマネージメント (Pantone Live 富士フイルム XMF) などにもクラウドが使われるようになってきた クラウドにより 規模の小さい会社でも自社でサーバーを運用する負担なしに W2P を始めとする各種の IT システムの導入が可能となり 今後は印刷業界における導入が進むと思われる 19

11. 中国企業の進出 中国企業の出展は幅広い分野にわたり 特に後工程などでは出展企業数が多い ( 総数では 200 社程度が出展 ) 印刷機などでは中国が世界最大の市場となってきており そこでの競争は今後 一層し烈なものとなる 2009 年度の中国印刷産業 企業数 : 102 千社 従業員数 : 3,780 千人 出荷額 : 5,150 億元 (6.44 兆円前年度比 8.5% 増 ) 1) パッケージ 1,715 億元 (2.1 兆円 ) 33.3%( 全体におけるシェア ) 2) 書籍 雑誌 955 億元 (1.19 兆円 ) 18.5% 3) 新聞 550 億元 (6,875 億円 ) 10.7% 4) 輸出 500 億元 (6,250 億円 ) 9.7% 5) 商印 286 億元 (3,575 億円 ) 6.9% VDMA の調査によると 2011 年のドイツ印刷 製紙機器メーカの市場としては中国が 11 億ユーロで第 1 位 それに米国 4 億ユーロ フランス 2.5 億 ブラジル 2.3 億が続く 大手としては上海電気 (Goss 及び秋山を買収した中国大手重電メーカ ) Hans Gronhi( シノハラを買収した印刷機メーカ ) 方正 ( デジタルプレスを出展 ) など 20

方正のデジタルプレス Hans Gronhi とシノハラ 各種の印刷機 後加工機の出展が見られた 21

Drupa2012 の方向性 ( 考察 ) Nanography 技術の出現や Memjet の商用化 さらには液体トナーの速度向上などデジタルプレスの技術はまだ進化し続けており インクジェット以外の選択肢も増えてきている このように技術変化の激しい環境では 設備投資を短期間で償却できないと数年後には性能 品質面で最新機器と大きく見劣りする事になるリスクが高い 短期での償却を実現するために 何社かでグループ化して 設備の稼働率を高める工夫などが必要になる 印刷工程だけでなく 後加工 特殊効果でもデジタル化が進み小ロットでも現実的な価格で生産できる製品がますます増えてきている デジタルプレスとインラインの製本機により 小ロットの書籍の製造が容易となる 大手出版社による内製化の懸念もたかまる 数多くの小ロット案件を効率的に処理できる W2P ワークフロー MIS の確立が必要不可欠 これが出来ていないために 日本のデジタルプレスの採算性が向上しないのではないか? 新興国が装置メーカーにとっての最重要市場となっていく これによって開発テーマのプライオリティーが 新興国市場優先にならないか? 22

個別技術詳細 23

Landa 24

Landa 25

Landa 26

Landa ランダ ナノグラフィック プリンティング 技術 特徴 極微小の顔料粒子( 数 10ナノメートル ) を含む水性インキ ブランケットコンベヤー( ヒーター ) 上に射出され乾燥 極薄(500ナノ) のインキ膜状態で被印刷媒体に転写 エネルギー効率が良く 環境に優しい 顔料の光吸収が良く 均一で明瞭な発色 用紙を選ばず 事前処理も不要 27

Landa nanoink 28

Landa ( イメーシ ) Japan Federation of Printing Industries インキユニット & ブランケットコンベヤーベルト ナノインキ射出 ( イメーシ ) 29

Landa インキ ブランケットベルト 30

Landa インキ乾燥 インキ滴 ナノインキ層 31

Landa 32

Landa 33

Landa 34

Landa ブランケットコンベヤー Japan Federation of Printing Industries < オフセット > 印刷版とブランケット転写 + 熱風 or UV 乾燥 < インクジェット > ブランケットに直接描画 インキ定着時乾燥 印刷媒体に転写 35

Landa 枚葉タイプ 36

Landa 37

JetPress720 Fujifilm 38

JetPress720 2008 参考展示から 2012 は実用機 (2011.12 発表 ) として登場 インクヘッド1 列のシングルパス方式 ( 超小型ヘッド ) 2,700 枚 菊半 /H(180 枚 A4/ 分 ) 水性顔料インクジェットインク + プレコンデショナー RAPIC 技術により 顔料を高速凝集させ滲みを防ぐ 4 諧調変調 ( 印字なし 小 中 大 )2,400dpi 相当の画質 脱墨性能が高く 白色性の高いリサイクルが可能 CMYK RGBを直接表現 39

JetPress720 Japan Federation of Printing Industries 40

JetPress720 41

JetPress720 ヘッダー 42

Memjet 特徴 独特のインクヘッドと特殊なケミストリ生成の霧状インク 高速印刷 : ライン型ヘッド (8.77 インチ =22.27cm) にて実現 印刷用紙と同じ幅を持つ プリントヘッド モジュールで ページ全体を一回で印刷できる (11 個のヘッド ) 各ヘッドに 70,400 のノズル 70,400 のノズル / ヘッドからインク吐出 : 瞬間 (Millisecond) 乾燥 出力解像度 : 1,600x1,600dpi または 1,600x800dpi AstroJet M1: 毎時約 3,600 枚 /A4 の処理 (1 枚 / 秒 ) ( 余白なし印刷可能 ) ( 洋長 3 封筒 : 毎時約 7,500 通高速印刷 ) Kia Silverbrook 43

Memjet ヘッド 44

Memjet インキミスト 45

Memjet 46

Memjet 同社は OEM 提携企業と協力関係を構築しつつ 高性能のインクジェットプリンターを市場に投入するというビジネスモデルを採用 東芝テック株式会社と提携 (2012/5/3) Drupa(H5E28) メムジェット社のブース 両社が共同開発した周辺機器 (MFP) を展示 目標 : 高品質印刷が可能なコピー スキャナー機能付きの カラープリンター複合機 (60 ページ / 分 A4)1600dpi 1600dpi Delphax Technologies 社 ( 米国の高速プリンタメーカー ) drupa2012 のホール 8b において Memjet 技術を利用した高速プリンタ 2 機種 Elan250/Elan500 250/500/ 分 :A4 47

Memjet Xante Excelagraphix 4200 48

オフセット機メーカー 1. ハイデルベルグ社 1Drupa は商談 ( 契約 ) の場 drupa2012 において世界 80 ヵ国から枚葉オフセット印刷機 550 台を含む約 2,000 件の受注を達成 ( 新製品スピードマスター SX シリーズ 500 台近く ) 前年度の印刷ユニット生産量の約 1/2 に相当 2 デジタル印刷機 Linoprint ブランド インクジェット : Linoprint-C Ricoh-OEM 電子写真方式 : Linoprint-L 元 CSAT 社 ( 独 ) 3 landa と提携 its600 ヘ ース 49

2. 小森コーホ レーション 1 Lithrone 中心 2 デジタル印刷機はコニカミノルタと共同開発 電子写真デジタルプレス Impremia C80 (dizhub PRESS C8000 : コニカミノルタ ) 1200dpi 80ppm(A4ヨコ ) インクジェットデジタルプレス Impremia IS 29 29 枚葉 (B2 判 ) 1200dpi 3,300sph Impremia Iw20 20 巻取 1200dpi 3,300sph 3 ランダとの提携新デジタル印刷機の開発に注力 プロトタイプはKOMORI 製 50

企業訪問 07Group 社 ( ノルウェー ) 51

企業訪問 07Group 社 ( ノルウェー ) 欧州における Socially Responsible Restructuring の動き 欧州では 2007 年に 1440 億ドルあった市場が 2009 年には 1220 億ドルへと減少 欧州印刷産業連合会である Intergraf と欧州印刷関連労働組合の UNI Europa Graphical が欧州印刷産業における過剰設備の状況を改善するために共同で取り組んだプログラム 社会 市場環境を見つめ直し 必要な業態変革や企業のスリム化を推進するためのガイドラインを作成 業態変革の成功事例として 07Group 社が取り上げられる 参照 : Smartrix2020 P93 http://extranet.intergraf.eu/am/template.cfm?section=social_responsibility 52

会社概要 : 07Group 訪問 年商 4.5 億クローネ (58.5 億円 ) 従業員 300 名の規模で 北欧では規模の大きい会社 ビジネスの 58% は印刷以外のビジネスで 人員的には印刷とそれ以外の部門が半々 本社工場にはオフセット (KBA Rapida 2 台 ハイデルとリョービが各 1 台 ) 及び後加工機別棟にデジタル印刷の部門 (Kodak) があり商印等の仕事をこなす 本社部門にはウェブ関連のスタッフ 営業 マーケティング デザイン部門などもいる 別拠点に書籍印刷部門 ( 小森 ハイデル KBA 各 1 台 三菱 3 台 ) さらに 70 名規模の代理店 ( エージェンシー部門 ) がある 同社の目指すものは顧客の問題解決ができるコミュニケーションプロバイダー (best partner for integrated communication) www.07.no 53

Mr. Havard Grjothim(CEO) との対話サマリー 07Group 訪問 Japan Federation of Printing Industries 10 年前までは 70% が印刷の仕事であったが業態変革で印刷以外が 58% になっている 印刷を提供する会社から 印刷も 提供する会社への変身 これを他の印刷会社やウェブ デザイン 広告代理店などを M&A することによって実現した 売上印刷の比率オフ台数デジタル台数 2002 年 1 億クローネ (13 億円 ) 70% 4 1 2011 年 4.5 億クローネ (58.5 億円 ) 42% 10 6 ウェブやデザインなどを内部で育てることをせずに あえて外部の企業を買収し それを別組織として独立に運営した 印刷部門とウェブやデザイン部門はそれぞれ文化が異なる 部門間でのシナジーの確立には注意を払っている 価格での勝負ではなく 顧客のコミュニケーション全体をサポートできる体制を構築し価格以外の面での強みを出している 顧客の要望を満たすために 自社で対応できないものはパートナーを選定し そこと組む digital first でものを考えており プリントはあくまでもその中の一つとなっている 54

07Group 訪問 自社を顧客に売り込む努力 セミナー等で顧客のコミュニケーション活動の何をサポート出来るかを紹介 成功事例の紹介パンフを四半期ごとに発行 セキュリティー体制の説明冊子の作成など 当初は印刷会社とみなされ 顧客とのコミュニケーション全体を任せるような仕事はなかなかとれなかったが 実績を積み重ねて 現在では政府機関なども重要な顧客となっている コーポレートカラーのピンクを納品用のカートンにまで使っている Havard 氏が手にするのは 自社のセキュリティーポリシーを纏めた冊子 55

07Group の業態変革 Japan Federation of Printing Industries 07Group の目指したもの Print Service Provider から Communication(Marketing) Service Provider へ 印刷を から 印刷も への変革 Disrupting the Future からの要点抜粋再び成長するために必要な要件 1. 印刷物ではなく印刷サービスに焦点を当てる コミュニケーションメディアは印刷だけではなく 全てのメディアをカバーする必要がある 2. 印刷物及び他媒体のバリュープロポジションを理解する 各媒体の価値を理解し 最適な提案を行う 3. 印刷物だけでなく様々な媒体を使ったマルチチャネルキャンペーンを顧客のために開発する 必要とされるスキル IT( 情報通信 ) データベース管理 ウェブおよび新しいメディアデザイン及び開発 マーケティングコミュニケーション グラフィックデザイン 07Group の対応 1.M&A でウェブ デザイン 広告代理店機能の取り込む 2. 各グループの独立性を持たせ 独自の文化を維持させつつ各グループ間のシナジーを確立した 3. 顧客に対する自社の情報発信 http://www.jfpi.or.jp/jbfa/publication/2012_06_moushikomi.pdf 56