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3 エアロゾルの飛散の抑制 第二 入浴設備における衛生上の措置 一入浴設備における衛生上の措置に関する基本的考え方近年 入浴設備は 湯水を再利用し これを節約するため ろ過器を中心とする設備 湯水を一時的に貯留する槽及びこれらの設備をつなぐ配管を含め 複雑な循環構造を形成することが多くなっている こ

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31608 要旨 ルミノール発光 3513 後藤唯花 3612 熊﨑なつみ 3617 新野彩乃 3619 鈴木梨那 私たちは ルミノール反応で起こる化学発光が強い光で長時間続く条件について興味をもち 研究を行った まず触媒の濃度に着目し 1~9% の値で実験を行ったところ触媒濃度が低いほど強い光で長

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腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 地下水 RO( 逆浸透 ) 膜処理水と腐食 鹿島建設 ( 株 ) エンジニアリング本部中島博志 (0) はじめに 地下水 RO( 逆浸透 ) 膜処理水が日本中で用いられ 銅管 ステンレス鋼管を用いた配管に局部腐食を発生させる事例が発生している 何故地下水 RO( 逆浸透 ) 膜処理水で 銅管 ステンレス鋼管を用いた配管に局部腐食が発生するかについて基本的事項を含め解説する 又この腐食を発生させない方法について述べる (1) 背景 歴史戦後の復興期には水道等インフラが未整備であったため 地下水を井水として大量に使用した この結果地盤の沈下等が発生した為に都市部の地下水の使用が規制された しかし戦後 60 年を経過して地下水水位は元に戻り 再び地下水が使用されるようになった 逆に地下水位の上昇により地下構造物の浮力が問題となるケースも発生している そこで最近国土交通省も一部地下水の使用を奨励する方向に転じた 更に気候変動が大きくなり渇水による水不足から 地下水を水道水として使用することに大きなメリットが発生する ( しかし日本の水不足は大部分が本当に水がないわけではなく 水利権問題である ) 位置大きな都市は沿海部に多く存在するため 出てきた井戸水に多量の塩化物イオンを含む場合があると 水道法の塩化物イオン 200mg/l 以下 TDS( 全溶解固形物 )500mg/l(WHO では 1000mg/l) 以下等が守れなくなるので水処理が必要になる イオンを取り除く処理には イオン交換樹脂法 RO( 逆浸透 ) 膜処理があるが イオン交換樹脂法はイオン交換樹脂再生の為の多量の塩酸 苛性ソーダが必要になる為 RO( 逆浸透 ) 膜処理が用いられる 建物種別ホテルでは入浴等に多量に水が用いられ 飲食店 アスレチックを持つ複合ビル スーパー銭湯等の大型入浴施設ではプール 入浴 調理 洗浄等に多量の水が必要となる これらが都市部に建設される場合には水使用量に応じた累進料金が適用される為水道単価がかなりの高額になり 500 円 /m 3 に達する これに対して地下水は電気代を考慮しても数十円 /m 3 であり 膜処理設備を設置しても水道水の半額以下の水代になる この為年間の水道代を数千万円節約可能となる場合もある 但し RO 膜処理の場合流入原水の 30% 程度の濃縮水の排水が発生するので条例でこの排水に下水代が課金されると節約金額は減ずる レジオネラ症対策従来 給水中に残留塩素が検出されるビルにおいて 中央循環式給湯設備における残留塩素は通常時間帯は検出出来ないレベル迄低下していることが知られている ところが平成 15 年 4 月のビル管法改正で給湯設備におけるレジオネラ症防止の為 残留塩素の検出が義務づけられた 又同年 7 月告示第 264 号により貯湯槽で 60 末端水栓で 55 が義務づけられた この為ステンレス鋼管 銅配管等耐食性配管に局部腐食を発生させる方向に 環境条件が変化している 1

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 (2) 水に含まれている物質 水道法は飲料水基準に適合した水であることを求めている 従って飲料水として自治体から供給されるいわゆる市水 (City Water) 以外の 井水 河川水 工業用水を飲料水として使用する場合には 使用者が飲料水基準に適合した水を供給することが必要となる 市水が水源を河川とする場合で 敷地内井水よりも水質として劣る場合はよくあることである 又工業用水という名前の水では井水を水源とする場合から湖沼水を水源とする場合までその水質は大きく異なる ここで水質が劣るという非科学的なよく使われる言葉を使用した そもそも水のはじめは熱帯地方の海面で太陽の熱を受け取って蒸発した水蒸気が 高緯度地方で潜熱を放出して液体の雨となって山に降り 1 降った雨の半分は地表を流れて川に入り 2 残りの半分は地中に浸透して地下水源に入る 一般的には地下水源に入った量だけ 過去に地下水源に蓄えられた水 3 が河川の底に出てくるという大循環をして平衡を保っている ここで 1 の水は純水 ( 蒸留水 ) に近く それに大気中のガス (CO2,NOX,SOX) を吸収した水質となる 2 の水は 1 の水質に地表面からの浸出物を加えたものとなる 3 の水は長期間地底にあって種種のイオンを溶解させた水質でありイオン種とその濃度は 地層を構成する物質と山からの距離に依存している 即ち大雑把に言って名古屋の水道水は山からの距離が短く導電率が 100μ S/cm を下回るのに対して 東京の江戸川 ( 利根川 荒川の下流 ) では 300μS/cm を超える導電率となる 一般的に日本と欧州 ( ドイツ フランス ) 米国を比べれば河川の長さは 10 倍位異なるので 溶解しているイオン量も大きく異なる 但しシリカ (SiO2) 等は日本に火山があるのに対し 欧州 米国に無い為 5 倍以上日本の水のシリカ濃度が高い 日本の中でも大きな地域差があり 東京では利根川の水が含まれる場合約 30mg/l 前後であり 大阪の水道水のシリカは 5mg/l と外国なみに低い 東京の水道水を例にとると 図 -1 に示すように水道水 1m 3 の中に H2O は約 999.7kg でその他の物質が約 300g 含まれている その他の物質の内電荷を持った陽イオンと陰イオンとで 240g シリカが 30g 溶存ガス ( 酸素 8g 窒素 14g 二酸化炭素 3g 以上 )25g その他が 3g 程度である その他 300g H 2 O 999.7 kg 陽イオン陰イオン Ca 2+ Na + 25 Mg 2+ 5 SO4 2-20 K + SiO2 CO2 その他 30 HCO3-65 Cl - 50 溶解物質 3 NO3-4 30 3 (O2 8,N2) 溶存ガス 3 微量金属 有機物質 図 -1 東京の水道 1m 3 に含まれる H2O 以外の物質の重量 g ではその他の約 3g の微量物質の中身は何であろうか? これを図 -2 に示す この図でわかるように微量金属と有機物には数多くの物質が含まれており 実際にはこの図に記載されていない極微量の物質の数はここに記載されている種類の数十倍はあると考えられるが有意な特性を示さないので除外してある 2

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 水 1m 3 中電気伝導度 (μs/cm) 0.7=TDS200~300 g/m 3 陽イオン 陰イオン Ca HCO3 Na Cl Mg SO4 K NO3 SiO2 CO2 Fe Cu Cu NH4 H + (O2,N2) Mn Al Zn Pb OH - HClO - フミン酸ジオスミン ジメチルインボルネオールトリハロメタントリクロルエチレン細菌 ウィルスパイロジェン ( エンドトキシン ) 重量の99% 微量金属アンモニウム ph 残留塩素着色物質臭い発ガン性 TOC 有機溶剤 図 -2 東京の水道水に含まれる物質 ( 詳細 ) 水道水に含まれる物質 (mg/l=g/m 3 ) 1 イオン類図 1 2 に示すとうり濃度の大きい主な陽イオン 4 種 ( カルシウム Ca ナトリウム Na マグネシウム Mg カリウム K) と陰イオン 4 種 ( 重炭酸 HCO3 塩化物 Cl 硫酸 SO4 硝酸 NO3) である 2 イオン又はコロイド状態の濃度の大きな物質シリカはイオン状とコロイドの両方の形で水中に溶解している 火山性の地層に由来するため 地域によって濃度の差が大きな物質である 3 溶存ガス類炭酸ガス (CO2) 酸素 (O2) 窒素 (N2) がある 大気由来であるが炭酸ガス (CO2) には地層に由来する場合 ( 地下水を原水とする場合 河川水原水であるが伏流水として地下水が河川に入っている場合 ) 浄水場における凝集剤に由来する場合もある 地下水の炭酸ガスは地中に有機物の分解による高圧の炭酸ガス層がある場合のほか微生物の様々な活動により ph 変化により水中の重炭酸イオンからガスが生成する場合も考えられる 炭酸ガスは正常な水道水に含まれる濃度の大きな唯一の弱酸であり 図 -7 に示したように 2 段の解離平衡に従い水の ph を支配している 純水ではその導電率も炭酸ガスの平衡に支配されている 4 微量金属イオンとアンモニア微量金属イオンには図 -2 に示した種類以外に微量濃度の数多くの元素が含まれている 5 残留塩素日本の水道水には 水栓末端において 0.1mg/l の遊離残留塩素が検出されることが義務付けられている 残留塩素は塩素ガス 次亜塩素酸ナトリウム等の物質として添加されている イオンの形は HOCl OCl - であり ph によりその存在割合が変化し結果として酸化力 ( 殺菌能力 ) が変化する 水道水の場合水道局の判断で添加され 水道原水の有機物汚染程度が大きい程多量に添加される傾向がある この為河川の最下流域の河川水を原水とする浄水場では残留塩素の添加量が大きい 江戸川や淀川がこれに当たる 又供給先に工場等の建設が予定されている敷地で 建設されていないため水 3

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月が未使用の工業団地などがある場合には長時間の滞留による消耗を見込んで高濃度の塩素が添加される 井水等のユースポイントにおける残留塩素の添加が必要となる場合には 受水槽における滞留や 末端の水栓までの消耗を見込んで基準濃度より高濃度の添加が行われる 実際にどれだけ減少するかは 水中の残留塩素消耗物質 (6 微量有機物質等 ) の濃度と受水槽の滞留時間等に影響を受ける 6 微量有機物平成 16 年の水道水の水質基準からこの部分の濃度が TOC(Total Organic Carbon 全有機体炭素 ) 5mg/l 以下と規定された きれいな水道水では 1mg/l 程度と考えられる少量の部分に水の評価を左右する微量有機物質が数多く含まれている 浄水場の処理では溶解性の有機物質は塩素によって分解される 昔の緩速ろ過を採用していない通常の浄水場における処理では塩素による分解以外の溶解性有機物の減少は無い しかし UF( 限外ろ過 ) や RO( 逆浸透 ) 膜を用いると殆ど除去することが可能となる ( 表 1 参照 ) 着色物質代表的なものに微黄色を呈する 地層の腐食した植物由来のフミン質がある フミン質は浄水場で塩素により分解してトリハロメタンが生成するためトリハロメタン前駆物質として知られている 水道水中のフミン質は分解されなかったフミン質の残りである トリハロメタンメタン CH4 の H の代わりにハロゲン元素 (Cl.Br 等 ) が炭素と結合した物質 ( クロロホルム ブロモジクロロメタン ジブロモクロロメタン ブロモホルム ) の総称で発がん性がある事で着目された物質である 前述したフミン質等から生成される 分子量が小さいため高温で蒸発する 臭気原因物質臭気原因物質には数多くの有機物質があり 数 ppb(μg/l) 存在するだけでも臭気が感じられる事が特徴である 図 -2 には臭気として問題になった典型的な物質を記した この水道水を原水として純水を製造する場合に 水分子以外の 300g の内 299g を取り除くとおおよその導電率が 1μS/cm となる 精製水の純度試験の限界 TDS(Total Dissolved Solids 全溶解固形物 ) は 1mg/100ml なので 最低 290g を取り除けばよいことになる 先に 水質が劣る と表現した一つの内容が H2O 以外の溶解物質の量が多いということである 又重さは 0.1g 以下であるが 生菌や臭気の原因物質があれば同じく 水質が劣る 事になる 更に Ca や SiO2 等の特定の物質は濃縮するとスケール化し RO( 逆浸透 ) 膜を使用する水処理では採水量の割合が減る為 水質が劣る 事になる さて代表的な水道水として東京の利根川を水源とするものの構成を示したが 世の中には様々な水がある これを H2O 以外の物質の量を軸として見ると図 -3 のようになる H2O 以外の物質量は最も少ないのは 超純水と呼ばれるもので 1m 3 の水中に 0.1g 以下であり 純水と呼ばれるもので 1g 程度である 降雨水 蒸気のドレン水等で 40g 以下であり 水道水 井水で日本であれば 500g 以下である 上記の水を水源として冷却水 洗浄水 ボイラー水等の用途に使用され物質が付加された後に廃水となる 付加されるものに有機物が主体の場合と無機物が主体の場合がある プロセスに使用された水にはプロセスで使用された物質がロス分だけ廃水に加わる そしてこれらの廃水が有機物については法規に従って処理され ( 減少して ) 河川に放出される 河川は自然のメカニズムにより有機物と一部の無機物を処理して海に水を流す ちなみに 1m 3 の海水には無機物主体で 30kg が含まれている その内大部分が Na と Cl とのイオンである 無機物はイオンとして溶解している場合とコロイドや SS(Suspended Solids) として水中に含まれる場合がある 低分子量の有機物質は溶解し 分子量が大きな有機物質はコロイドや SS (Suspended Solids) として水中に含まれる場合がある この為沿海部の地下水には塩化物イオンが数千 g 含まれ 他の陰イオンが数十 g しか含まれない イオンプロファイルを持つ場合がある 4

無機 有機腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 無機有機純水 電気伝導度 TDS ( 全溶解固形物 ) 全硬度 TOC ( 全有機体炭素 ) COD MN 色素 有機塩素化合物 トリクロルエチレン トリハロメタン 臭気 パイロジェン エンドトキシン 濁度 SS 純水処理 無機冷却水 洗浄水 用水 一過性 冷却水 廃水 固形物 カチオンアニオンCa Na Mg K NH4 Fe Zn Cu Al Mn HCO3 Cl SO4 NO3 シリカ SiO2 溶存ガス 微量有機物質 コロイド SS ( 無機 有機 ) INPUT 吸収 ユーティリティ ( 再生 ブロー ) 再生処理 循環水 カスケード利用 沈殿蒸発放散 カチオン プロセス排出無機有機物アニオンNa Ca Mg K NH4 Fe Zn Cu Cl SO4 NO3 HCO3 シリカ SiO2 溶存ガス デンプン糖タンパク油脂 コロイド SS ( 無機 有機 ) 微生物 図 -3 超純水から固形物までの水質 電気伝導度 TDS エバポレータ脱水機 ドラムドライヤー TOC COD BOD TN N - NH3 N - NO3 N - ケルダール ノルマルヘキサン抽出物 SS (3)RO(Reverse Osmosis: 逆浸透 ) 膜処理による水質変化 浸透現象とは図 -4 に示すように 半透膜で仕切られた希薄溶液と濃厚溶液がある場合 希薄溶液から水が濃厚溶液に浸透する現象である このとき両者の圧力差が水位の差として現れ この差圧を浸透圧 Po と呼ぶ 逆浸透現象は図 -5 に示すように 濃厚液に先の浸透圧 Po より大きな圧力を与えると 濃厚液から水が希薄溶液側に移行する現象である 半透膜 半透膜 ( 逆浸透膜 ) Po 浸透圧 圧力 P P>Po 水 水 濃厚溶液 稀薄溶液 濃厚溶液 稀薄溶液 図 -4 浸透現象 図 -5 逆浸透現象 1RO 膜の歴史この原理が実用的に脱イオン処理として水処理に用いられたのは 1960 年代半ばに米国において かん水 ( 塩水 ) 処理装置としてであった この時の膜は酢酸セルロース (CA) 膜チューブラー型であった その後 1970 年米国デュポンが ポリアミド膜を開発した 日本では 1971 年に 3000m 3 / 日のかん水脱塩装置が実用に供された 1980 年代には日本で数社が RO 膜を生産するようになっている 現在では膜材質はポリスルホン系が主流になっている 半導体加工の微細化に伴い 半導体製造用に微粒子の少ない水が要求されるようになり 現在では必ず RO 膜が使用されるようになっている イオン交換装置に対しての優位性は再生に使用される塩酸や苛性のタンク又中和装置が不要となるといった基本性能以外の特性にもある 5

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 2RO 膜と使用圧力 温度 RO 膜には高圧 中圧 低圧等の呼び名があるが これは原水の浸透圧に依存しており 浸透圧は溶解物質の濃度に比例する 海水中のイオンが 35g/kg であるのに対し 水道水では 0.3g/kg であり 約 100 倍の物質濃度を持っている この為海水淡水化や食品の濃縮に用いられる RO 膜は 40kg/cm 2 以上の高圧膜が用いられ 中程度の濃度の原水 ( かん水 水道水 ) には 20-40 kg/cm 2 の中圧膜が用いられ 低濃度の原水 ( 上水 純水処理 ) には 20 kg/cm 2 以下の低圧膜が用いられる RO 膜を使用するときに重要となるのが水温である RO 膜の透過水量は水の粘度に大きく影響され 水量の変化率は約 2.3%/ である これはかなり大きな値で供給水温に 40 の差があると RO 膜の必要面積が 2 倍異なると言うことである 従って水量の大きな RO 膜装置には供給水を 25 に加温する装置が設けられることが一般的である 加熱源である蒸気や温水を手軽に得られない場合も多い 現在では RO 膜の価格がかなり低下したため 少量の装置では設置場所における最低供給水温で機器仕様を満たす大きな膜面積を持った装置が使用される 3RO 膜のマテリアルバランス図 -6にRO 膜を使用した場合のリアルタイムのマテリアルバランスを示す 原水の水量 100に対して 濃縮ブラインとして捨てられる水量を35として示してある この比率は日本の平均的な水道水の場合で 実際には原水水質により計算された比率を用いる必要がある と言うのは水量の35に原水中の溶解物質の95% が溶解しているので 濃縮ブラインの溶解物質濃度は原水の100に対して248と2.48 倍に濃縮されている この濃縮で溶解物質の内のカルシウムやシリカが飽和溶解度を超えると膜表面にスケールが生成して膜が使用できなくなる 先に 硬度成分やシリカの濃度の高い原水に対しては水収支が極端に悪く現実的に採用できない場合もある と述べた様に 原水の水質によっては濃縮ブラインの水量が 50を超える場合もあり得るからである このような場合には原水の半分以下しか水として利用できないことになる 多量の水が必要な場合には不合理な処理法となる 原水の硬度やシリカの濃度が高い場合には軟水処理をして使用することも可能である また RO 処理業者のなかには 酸やスケール分散剤としてポリマー ( 高分子重合体 ) を使用してこの比率を改善している業者もある 原水 水量 100 濃度 [100] 溶解物質 10,000 RO 装置 水量 65 濃度 [ 5 ] 溶解物質 325 水量 35 濃度 [248] 溶解物質排水 9,675 図 -6 RO 膜を使用した装置のマテリアルバランス例 原水として流入した溶解物質を 10000 とすれば 濃縮ブラインとして排出されるのは 9675 である 4 水処理における RO 膜と物質の阻止能力水処理によく用いられるその他の膜としては精密ろ過膜 (MF:Micro Filtration), 限外ろ過膜 (UF:Ultra Filtration) があり それぞれの分離サイズは 10-0.01μm 100-10nm であり RO 膜の分離サイズは 1nm 以下である ( 表 1) ここで分離サイズと言う表現を用いたが RO 膜の分離現象は 分離対象物質のイオン性によって大きく影響されることが知られており イオン性を持っているものは良く阻止できるが イオン性を持っていない物質 ( 例えば水和の炭酸ガス ) は良く透過し 結果として RO 膜出口の ph を低下させる 又イオンでもイオンの種類によってその阻止率が異なる ( 表 2) 表 2 の阻止率は膜が新品に近い場合のデータである 通常の設計では 95% の阻止率で計算をし 阻止率がこれを下回るとき膜の寿命とする 6

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月表 1 膜の種類と用途 膜の種類孔径膜上阻止物質膜透過物質 精密ろ過膜 (MF) 0.01~10μ m バクテリア粒子ラテックス細胞 水溶性高分子ウイルスたんぱく質エンドトキシン ( パイロジェン ) 限外ろ過膜 (UF) 高分子 0.001~0.01 μ m たんぱく質 ( 分子分画量 : 1000~100 万 ) エンドトキシン ( パイロジェン ) ウイルス多糖類 アミノ酸抗生物質糖類ペプタイド塩類 逆浸透膜 (RO) 0.001 μ m 以下 ( 分子分画量 : 500 以下 ) アミノ酸抗生物質糖類ペプタイド塩類 水アルコール酸 表 2 RO 膜のイオン種別除去率 ( 原水が水道水の場合の例 ) 分析項目透過水 (mg/l) 供給原水 (mg/l) 除去率 (%) 別の測定例の除去率 (%) ph 5.5 6.6 - - Cl 0.03 13 99.8 99.7 SO 4 <0.03 44 >99.9 99.9 NO 3 0.10 11 99.2 95.9 Na 1.3 11 89.4 81.0 K 0.4 2.7 86.7 83.3 Ca <0.05 28 >99.8 99.2 Mg <0.02 1 >98.2 99.7 SiO 2 0.12 12 99.1 98.3 5RO 膜処理による ph の低下 RO 膜処理による水質変化は 2で述べた単に イオン類の変化だけでなく ph にも大きく影響を与える 水中の炭酸物質は 遊離炭酸 (CO2aq= H2CO3) 重炭酸イオン(HCO3 - ) 炭酸イオン(CO3 2- ) である 炭酸物質は水中で炭酸平衡を保って存在している この平衡式から水の ph は水中の全炭酸物質 ( 遊離炭酸 (CO2aq) 重炭酸イオン(HCO3 - ) 炭酸イオン(CO3 2- ) の合計 ) に対する各炭酸物質 ( 遊離炭酸 (CO2aq) 重炭酸イオン(HCO3 - ) 炭酸イオン(CO3 2- ) の内の1つ ) で決定される イ ) 水と接する清浄な気相に含まれる気体は 水蒸気 窒素 酸素 炭酸ガスである このうち液相の水と反応して化合物を形成する気体は 炭酸ガスのみである ロ ) 炭酸ガスはヘンリーの法則に従った濃度の炭酸 H2CO3 を生成する ヘンリーの法則に従った濃度の炭酸とは その温度のヘンリー定数に気相の炭酸ガス分圧を乗じた濃度の炭酸である ハ ) 水中の炭酸 H2CO3 は水素イオン H+ と重炭酸イオン HCO3 - と平衡状態を保つ これを炭酸の第一解離平衡という ニ ) 水中の重炭酸イオン HCO3 - は水素イオン H+ と炭酸イオン CO3 2- と平衡状態を保つ これを炭酸の第二解離平衡という ホ ) この平衡が成立している水中の ph は 3つの炭酸物質 ( 炭酸 重炭酸イオン 炭酸イオン ) の合計のモル濃度で 各炭酸物質 ( 炭酸 重炭酸イオン 炭酸イオン ) のモル濃度を割った α1 α2 α3 によって決定される 以上を図 -7 図 -8 図 -9 に示す 7

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 大気水中 水と化合物を作らない N2 O2 CO2 1 CO2 + H2O H2CO3 * (CO2aq) 炭酸 ( 水和炭酸ガス ) 2 H2CO3 * H + + HCO3 - 重炭酸イオン 3 HCO3 - H + + CO3 2- 炭酸イオン 図 -7 水と反応する炭酸ガス 全炭酸物質 TCO2 = [H2CO3] + [HCO3 - ] + [CO3 2- ] α1 = [H2CO3] TCO2 = α2 = [HCO3 - ] TCO2 = [CO3 2- ] α3 = = TCO2 K1 K1 K2 = KH PCO2 + (KH PCO2 ) [H + + ] (KH PCO2 ) [H + ] 2 K1 K1 K2 = 1 + [H + + ] [H + (KH ] 2 PCO2 ) =CT 1 1 + K1 K1 K2 [H + + ] [H + ] 2 K1 [H + ] K1 K1 K2 1 + [H + + ] [H + ] 2 K1 K2 [H + ] 2 1 + K1 K1 K2 [H + + ] [H + ] 2 CT = [H2CO3] + [HCO3 - ] + [CO3 2- ] αi = f i ( [H + ] ) ここで ph = -log [H + ] より αi = f i (ph) ph = f -1 (αi) ph は αi で決定される KH K1 K2 KW = f j(tc) 図 -8 水中の炭酸物質の存在比率と ph 全炭酸物質 TCO2 = [H2CO3] + [HCO3 - ] + [CO3 2- ] 存在比率 1 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0 ph と各炭酸物質の存在比率 [H2CO3] [HCO3 - ] [CO3 2- ] 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 11.0 12.0 13.0 14.0 ph α1 = α2 = α3 = [H2CO3] TCO2 [HCO3 - ] TCO2 [CO3 2- ] TCO2 図 -9 水中の炭酸物質の存在比率 αi と ph 8

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 RO 膜はその特性として 電荷を持った物質は阻止できるが 電荷を持っていない分子 (H2O, CO2aq) は阻止できない 結果として RO 膜を透過した水中の炭酸物質の割合では 図 -9 で見られるようにα1 が 1 に近づき ph が低下する ここで水道法では水道水の ph は 5.8-8.6 と定められている このためイオン阻止率の高い RO 膜を使用するとこの基準を満たせなくなる場合がある この透過水をばっきなどで大気と平衡させれば ph を上昇させることも可能であるが 市水と混合するかアルカリ剤を添加する場合がある (4)RO 処理地下水の腐食事例 この種の腐食事例は公表されているものは少ないが いくつかの例を挙げて RO 処理地下水の腐食の特徴と 使用上の注意事項を述べる (a) ステンレス鋼管を給湯に使用した腐食事例ステンレス鋼管を給湯管に使用した 2 つの腐食事例を記す 2 事例共に直管部に孔食を発生した珍しい事例である 又その孔食断面も一般に起こるステンレスの孔食と異なるものであった 又 2 事例共に外面応力腐食割れを多数発生させていた 両事例共に市水を使用していて 数年後から RO 処理地下水に変更された事例である a-1) 事例 1: ステンレス管 ( ラップジョイント + ルーズフランジ 65A 以下メカニカル継ぎ手 ) 宿泊施設の中央循環式給湯設備において竣工 6 年目に市水から井水 RO 処理水に切り替えた 7 年目から直管部に孔食による漏水が発生した ピット断面 ( 図 -10) は複雑で孔食内壁面から成長 停止を繰り返したと考えられた この孔食断面は事例 2 とも共通しており 高い塩化物イオンが孔食ピット内に閉じ込められていたと考えられる この理由はいったん停止した孔食の内壁から孔食が成長する場合に成長している孔食の内液と その外側の液との間に塩化物イオンの濃度差が小さいと考えられるからである そしてこのような状況が一度形成されると 僅かの電位上昇で孔食が成長すると考えられる 給湯水から検出された遊離残留塩素は 0.1mg/l で 水源変更の前後では塩化物イオンが 15 から max83mg/l へと大きく変化していたことが確認された 図 -10 直管部孔食の断面 ( 事例 1) 28) a-2) 事例 2: ステンレス管 ( ラップジョイント + ルーズフランジ 65A 以下メカニカル継ぎ手 ) 宿泊施設の中央循環式給湯設備において竣工 4 年目に市水から井水 RO 処理水に切り替えた 4 年目から直管部に孔食による漏水が発生した ピット断面 ( 図 -11) は事例 1 と同じく複雑で孔食内壁面から 9

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月成長 停止を繰り返したと考えられた 給水から検出された遊離残留塩素は 0.7mg/l で 水源変更の前後では塩化物イオンが 15 から max130mg/l へと大きく変化していたことが確認された 図 -11 直管部孔食断面 ( 事例 2) 28) 給湯補給水の塩化物イオン 残留塩素 漏水発生の竣工からの経時変化を図 -12 に示す 140 市水使用期 処理井水使用 1.2 120 塩化物イオン漏水 1 塩化物イオン (mg/l) 100 80 60 40 残留塩素 0.8 0.6 0.4 残留塩素 (mg/l) 20 0.2 0 0 0 365 730 1095 1460 1825 2190 2555 竣工からの日数図 -12 給湯補給水の塩化物イオン 残留塩素 漏水発生の経時変化 ( 事例 2) 28) 漏水の竣工からの日数をワイブルチャートにプロットしてみると明らかに傾きの異なる 3 つのモード ( 期間 ) が見られ 漏水頻発期間と孔食成長速度の遅い期間に対応する ( 図 -13) ステンレスの孔食成長速度が環境 ( 水質 ) によって大きな影響を受けることを伺わせる 10

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 累積不良率 F(t)(%) 99.9 99 95 90 80 70 60 50 40 30 20 15 10 7 5 4 3 2 1.5 第 3 モード 第 2 モード Y-PLOT 1 0.7 0.5-5 0.4 0.3 第 1モード 0.2-6 0.15 0.1-7 100 1000 10000 竣工からの日数 ( 日 ) 2 1 0-1 -2-3 -4 累積不良率 lnln(1/(1-f(t))) 図 -13 漏水時期のワイブルプロット ( 事例 2) 28) a-3) 事例 1 2 共通 1 外面応力腐食割れこれらのステンレス給湯配管の事例ではどちらも内面からの孔食に加え外面からの応力腐食割れが発生していた ( 図 -14) これは孔食により漏水した水が GW 保温材中の塩化物イオンを溶かし出し これが配管表面に到達すると高温 (60 程度 ) により塩化物イオンが濃縮し 割れが発生すると考えられている 特に縦管が 65A 以下の場合メカニカル継ぎ手で接続されるため 保温に止水となる区切りが無く 1 箇所で発生した腐食による漏水が連鎖的に外面応力腐食割れを生じる事が知られている ( 図 -15 16) 実際の事例では百箇所を超える外面応力腐食割れが経験されている 配管内部の温度は 表面に到着した水の塩化物イオン濃度の濃縮と SCC 感受性の両方に影響する 宿泊施設の給湯設備は客の入浴が重なる時間帯に使用量のピークを迎える為 設計時に想定した必要給湯量よりも大きくなった場合 給湯温度の設定を高くする等の運用が行われると SCC は更に発生しやすくなるので注意が必要である 保温材への水の浸入は 腐食でなくても 雨水 結露水 メンテ時等に起こりうるので 保温材の水の止水区画を行うことが設計 施工上重要である 腐食により漏水した水が塩化物イオンを多量に含んでいれば 保温材中の塩化物イオンの多少に関わらず外面応力腐食割れは発生しやすくなることが推定される 11

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 図 -14 外面応力腐食割れ ( 事例 2) 28) 外面 断熱材 CL SUS 高温 (50 以上 ) 内面水侵入 断面材中 CL 溶出 断熱材高 CL 濃度 SUS 高温 (50 以上 ) 蒸発によCL 高濃縮 SUS 高温 (50 以上 ) 腐食成長 漏水 断熱材 孔食起点 応力あり SCC 応力なし 孔食断熱材 SUS 高温 (50 以上 ) 孔食 SCC 起点の発生 図 -15 給湯配管の外面応力腐食割れの連鎖 14) 最上階 フランジ継手 SCC メカニカル継手 漏 水 SCC 貯湯槽 最下階 フランジ継手 返湯ポンプ メカニカル継手保温止水構造なし 図 -16 給湯配管の外面応力腐食割れの連鎖 28) フランジ継手保温止水構造あり 12

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 2 ステンレス鋼管内面の変色図 -17 は事例 1 の貯湯槽の蒸気コイルに使用されたステンレス管の外面である 薄い茶色に変色していた 高温による変色かと考え内面を観察するとステンレスの元の色であった 図 -18 は事例 1 2 のステンレス鋼管の水洗浄後の内面である どちらも茶色に変色している この変色が高い残留塩素によるものかどうかについて分析はされていない 図 -17 事例 1 の貯湯槽蒸気コイル外面 ( 左 ) と内面 ( 右 ) 図 -18 ステンレス給湯管の内面事例 1( 左 ) 事例 2( 右 ) (b) 銅管を給湯に使用した腐食事例井水処理水を使用した宿泊施設の中央循環式給湯設備において 竣工 4 年目に直管に孔食による漏水が発生した ピット断面 ( 図 -19) は典型的な Ⅱ 型孔食であった 給湯から検出された遊離残留塩素は 0.1mg/l ph6.5 で 塩化物イオンは 28 mg/l と高く M アルカリ度 2.5 mg/lascaco3 と硫酸イオンが 0.4 mg/l という極めて低い水質に特徴があった このため給湯銅 Ⅱ 型孔食発生水質の特徴であるマトソン比 (HCO3/SO4) は 7.7 と発生水質と適合しない 配管内面には黒色の厚い CuO と考えられる皮膜が成長し 残留塩素濃度が高く高温であったと考えられる 13

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 図 -19 給湯銅管孔食の平面と断面 ( 事例 3) 28) (5) 事例水質の腐食性の検討 事例 1 2 3 とステンレスの腐食を発生させた下水再生水 (RO 処理はされていない ) の水質を表 -3 に示す 事例においては酸消費量 4.8 塩化物イオン 硫酸イオンに特徴 ( 市水との差 ) があることが判る 即ち (3)RO 処理による水質変化において示したように RO 処理をするとイオンのプロファィルが自然水と大きく異なる事がわかる 硫酸イオンの塩化物イオンの比率が示されているが ステンレスが腐食した事例 1 2 と下水再生水のこの比率は市水に比べて相当低い事がわかる MWPI は給水 給湯に用いられる銅の孔食指数であるが 事例の全てで高い数値を示している 市水は事例 1 を除いて非腐食性である SUSPI は後述するステンレスの孔食指数であるが ステンレスが腐食した事例 1 2 と下水再生水では大きな数値を示している 事例 1 2 は市水から RO 処理水に変更した事例であるが 市水はいずれも非腐食性である 表 3 各事例の水質分析値 28) 水質項目 (mg/l) 全国水道平均 事例 1(SUS) 事例 2(SUS) 事例 3(Cu) 下水再生水 (SUS) 処理井水市水処理井水市水処理井水市水平均 サンプリング時期 *2 7 3 6 3 4 4 水温 ( ) 50 50 60 *5 25 63 25 残留塩素 0.38 0.15 0.7 *4 1.0 0.4 0.4 0.6 ph 7.3 7.5 *7 7 7.5 7.5 6.5 7.8 7.6 導電率 (μs/cm) 170 460 98 *3 94 169 1010 酸消費量 4.8 *1 43.2 8.5 26.9 5 75 *6 2.5 36 62 重炭酸イオン 6.1 3.07 43.7 75.6 全硬度 *1 53.1 1.6 46.1 59 3.8 55.6 Ca 硬度 *1 34 45 1.8 35 85 Na 12.2 66 16 12 Ca 18 0.7 14 Mg 3.3 0.5 5 SiO2 26.8 0.3 2.5 6.9 25 塩化物イオン 12.9 83 *7 14.7 130 17 28 21 199 硫酸イオン 18 1.2 21.3 4.1 1.1 0.4 23 78 硝酸イオン 3.8 0.1 0.87 3.1 遊離炭酸 6.6 - - 0.3-1.7 1.2 1.2 ランゲリア指数 -1.5 - - -0.0 - -4.7-0.6-0.6 マトソン比 (HCO3/SO4) 2.6 8.6 1.5 1.5 83.2 7.7 1.9 1.9 硫酸塩化物比 (SO 4 /Cl) 1.4 0.01 1.4 0.03 0.1 0.01 1.1 0.4 MWPI(PI for Cu) 6 45 35 49-24 90-2 32 SUSPI -14 43-14 47-25 -6 25 40 *1:(mg/lasCaCO3),*2:( 竣工からの年数 ),*3:TDSx0.7,*4: 給湯補給水,*5: 竣工後 5 年までは55 *6: 当該浄水場平均値,*7.pH6.5-7.6,Cl 56-83 14

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 a) ステンレス鋼管と銅管の水質依存性の違い事例 1 と 2 はステンレス鋼管であり 事例 3 は銅管である どちらも淡水中では耐食性配管とされているが 腐食の水質依存性には大きな違いがある 表 4 に耐食皮膜の形成についてのステンレス鋼管と銅管の違いを示す 最も大きな違いは ステンレス鋼管は大気中で瞬時に形成される皮膜が水中でも充分な耐食性を持っており 銅管は水中に浸漬されてからその表面に水中における耐食性皮膜を形成するという事である 耐食性皮膜の厚さもステンレスが数 nm であるのに対し 銅はμm のオーダーの厚みまで成長する 表 4 ステンレスと銅の耐食性皮膜 16) 材料 使用前空気中で形成される耐食性皮膜 水中で形成される耐食性皮膜初期腐食速度影響する因子備考 常温で形成される結晶性の亜酸化銅 (Cu2O) の厚い皮膜 5mdd 以下 ph 給水銅管 冷温水銅管 銅 常温で形成されるアモルファスな下部亜酸化銅 (Cu 2 O) 上部酸化銅 (CuO) の薄い ( ナノメートル ) 皮膜 高温で形成される結晶性の下部亜酸化銅 (Cu 2 O) 上部酸化銅 (CuO) の厚い皮膜 2mdd 以下 ph 給湯銅管 水中のシリカと形成するアモルファスのオルソ珪酸銅 耐食性皮膜上に形成 SiO 2 給湯銅管 温水銅コイル ステンレス 大気中で薄いクロム酸化皮膜 ( 数オングストローム ) を瞬間的に形成 水中で表面のクロム濃度が少しづつ上昇 0.1mdd 以下 ph,cl - a-1) 銅 : 銅は空気中において薄い非晶質の酸化銅 (CuO) と亜酸化銅 (Cu2O) の皮膜が形成され 大気中ではよい耐食性を示す この皮膜は水中での耐食性は持たず 中性より高い ph の水中では 結晶性を持つ亜酸化銅の皮膜が厚く形成されることにより 全面腐食速度が低下し水中でのよい耐食性を得る その結果として水質によっては孔食等の局部腐食が発生する その他の耐食性皮膜としては高温で酸化剤の供給が多い水中で結晶性の酸化銅が形成される シリカの濃度が 15mg/l を超える水が供給される場合には非晶質のオルソ珪酸銅が形成され耐食性が向上する シリカ濃度が 40mg/l を超える水が連続的に供給される環境ではガラス状のシリカの皮膜が形成される場合がある これはシリカの飽和溶解度が低温で小さいことによる (10 で 40mg/l) 絶縁性のシリカの皮膜は同時に孔食の発生を促進していると考えられる 銅の腐食が高い水質依存性を持つ理由は水中に浸漬後に 水中で耐食的な皮膜が形成される事による a-2) ステンレス鋼 : 大気中にできた皮膜が水中で耐食的であるために腐食の水質依存性が他の金属に比して低く むしろ溶接などによる金属側の表面酸化物 ( 熱影響部 ) 組織等の変化 ( 鋭敏化 ) や皮膜の維持に必要な酸素の濃淡ができるすきま構造等に依存性が高い 水中では時間をかけてわずかずつ最表面のクロム濃度が上昇していると考えられる このことが局部腐食発生の可能性を高める場合がある しかし水中におけるステンレス鋼の腐食の局部腐食は非常に頻度高く溶接部に発生する事から 銅に比して腐食の水質依存性は低い材料であるといえる 但し保温材の下等で高濃度塩化物環境が形成された場合は非溶接部分でも応力腐食割れを容易に生じる b)nakajima Diagram による水質検討ステンレスの局部腐食発生水質は発表されているが複雑で判り難い そこで発表されている腐食事例水質を Nakajima Diagram で検討して SUSPI( ステンレス孔食指数 ) を算出した この指数については今後のデータ蓄積が待たれる 銅の孔食指数 MWPI については統計的に有意であることが検証されている 表 5 に SUSPI( ステンレス孔食指数 ) と銅の孔食指数 MWPI の計算式を示す 15

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月孔食指数 MWPI が示している意味は ph が低くかつ HCO3 - が少なく, SO4 2-,C1-が多い水質 において銅の局部腐食が発生するということである 全アニオンにおける SO4 2-,C1 - の全アニオンに対する等量比率は 局部腐食が発生した場合の 局部腐食内部に腐食電流によって運ばれる ph 低下に寄与するアニオンの比率を表しているものと考えられる 孔食指数 SUSPI が公表された表 7 の腐食事例水質に対してどのようになっているかを図 20 に示す 又 RO 処理地下水による事例 1 2 3 の RO 処理地下水とその建物に供給されていた市水を対応させて Nakajima Diagram にプロットして図 -21 に示す これから 3 事例とも市水は使用材料に対して孔食領域になく RO 処理水は孔食領域にあることが判定される 即ち市水から RO 処理井水に変更されたことで局部腐食の発生可能性が高まったという推定が可能である 表 5 MWPI( 給水 給湯銅管孔食指数 ) と SUSPI( ステンレス孔食指数 ) 29) Index name Calculating formula MWPI(Cu):Make-up Water Pitting Index =100/((0.02*A)/(B/48 +C/35.5)+1)-(44.9*pH-288) SUSPI:SUS Pitting Index =100/((0.02*A)/(B/48 +C/35.5)+1)-(-50*pH+425) A=Acid consumption(ph4.8) mgcaco 3 /l B=SO 4 2- mg/l C=Cl - mg/l Nakajima Diagram の縦軸と横軸を表 6 に示す 表 6 Nakajima Diagram の縦軸と横軸 9) Name of figure Vertical axis Horizontal axis Nakajima Diagram ((SO 4+Cl)/Anion)eq% = (100 x (SO 4 2- Eq + Cl - Eq) / (HCO 3 -* Eq + SO4 2- Eq + Cl - Eq) ph Remarks SO 4 2- Eq= (SO 4 2- mg/l)/48, Cl - Eq= (Cl - mg/l)/35.5 HCO 3 -* Eq=(Acid consumption(ph4.8)mgcaco 3 /l)/50 腐食種別 文献サンプル名 ph ((SO4+Cl) /Anion)eq % 表 7 公表された腐食事例水質 27) MWPI SUSPI 電気伝導率 μs/cm 総硬度 Ca 硬度 M アルカリ度 mg/l SO42- C1- 孔食割れ 新潟井水 6.9 100 78 20 150 53 2.88 50.7 孔食 熊本井水 7 66 40-9 536 259 79 68 61 孔食 東京井水 7 86 60 11 620 110 110 200 330 孔食割れ 静岡地水 7.1 87 56 17 606 86 39 22 165 18 浦安 7.2 67 32 2 309 79 21.8 42 32.1 38 1.7 孔食割れ 浦安上水 7.3 62 22 2 250 70 21 29 19 19 5 孔食 筑波上水 7.4 71 27 16 364 79 53 39.9 64 沖縄上井 7.8 63 0 28 428 144 44.6 47 17 43.1 14 孔食割れ 沖縄井水 7.8 54-8 19 574 203 122 33 78 沖縄上水 7.8 61-2 26 778 188 138 26 131 孔食割れ 墨田井水 7.9 78 11 48 909 33 7.6 96 40 212 33 沖縄上水 7.9 42-24 12 578 170 132 18 55.4 四国井水 8 27-44 2 355 85 14.4 139 11 28 22 徳島井水 8.2 27-53 12 338 70 13.9 125 6 28.3 8 Average 7.5 63.6 13.9 14.7 485.4 116.4 20.6 88.5 38.2 93.1 14.5 St Dev 0.4 21.3 38.8 13.9 209.9 66.0 12.9 41.9 49.5 88.4 10.9 Min 6.9 26.8-53.2-8.5 150.0 33.0 7.6 29.0 2.9 19.0 1.7 Max 8.2 100.0 78.2 48.0 909.0 259.0 44.6 139.0 200.0 330.0 33.0 全シリカ (mg/a) 16

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 100 90 80 SUSPI MWPI ((SO 4 +Cl)/Anion)eq% 70 60 50 40 30 20 10 0 Nakajima Diagram SUSPI=0 SUSPitting MWPI 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 ph 図 -20 ステンレスの局部腐食事例水質と SUSPI 29) 100 90 Cu 孔食 RO 処理地下水事例 3 80 SUS 孔食 RO 処理地下水事例 1,2 ((SO 4 +Cl)/Anion)eq% 70 60 50 40 30 20 10 0 Nakajima Diagram SUS 事例 1 市水 MWPI SUS 事例 2 市水 Cu 事例 3 市水 SUSPI SUSPI=0 MWPI=0 事例 2 RO 事例 1 RO Cu 事例 3 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 ph 図 -21 事例 ( 表 3) の処理水質と対応する市水水質のプロット c)ro 処理による水質変化のシミュレーション地下井水原水から RO 処理をされて供給されるにいたるまでに 腐食性がどのように変化するかシミュレーションで検討する 銅に対する腐食性を MWPI でステンレスに対する腐食性を SUSPI で評価する 表 8 は地下水の原水から RO 膜処理をされた原水が ph 調整を受けた場合を 阻止率を仮定して計算したものである この表によると原水はいずれも TDS が水道法を大きく外れている為に RO 膜処理をせざるを得ない原水である これらの原水はいずれも銅 ステンレスに対して腐食性である RO 膜処 17

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月理をすると 銅に対しては腐食性が高まるが ステンレスに対しては非腐食性迄改善されている 遊離炭酸の値を見ると 原水と大差なく (3)RO 処理による水質変化 5RO 膜処理による ph の低下 で述べたように電荷を持たない遊離炭酸がほぼ全量 RO 膜をパスしていることがわかる このままで水道法適であるが 水道法の ph は 5.8-8.6 なので ph の値がぎりぎりである そこでアルカリ剤や水道水とのブレンドを行い ph が 1 上がった場合 ( 事例 2 の処理水では既に ph を上げる処理が施されているので 1 下がった場合 ) をシミュレートしてみた すると ph を上げると銅に対する腐食性は改善されるが 逆にステンレスに対する腐食性が増加する結果となった 表 8-1 地下水原水から RO 膜処理の水質シミュレーション 飲用不適水飲用適水 1 号井戸原 2 号井戸原 3 号井戸原阻止率 1 号井戸処 1 号井戸処 2 号井戸処 2 号井戸処 3 号井戸処 3 号井戸処 水 水 水 理水 理水 理水 理水 理水 理水 Na 413 213 1060 93 28.9 28.9 14.9 14.9 74.2 74.2 塩化物イオン 1480 584 3220 98 29.6 29.6 11.7 11.7 64.4 64.4 ph 7.16 7.27 7.01 6.0 7.0 6.0 7.0 5.9 6.9 電気伝導率 4580 2070 10700 98 91.6 91.6 41.4 41.4 214.0 214.0 NO3 9.6 15.9 2.2 93 0.7 0.7 1.1 1.1 0.2 0.2 SO4 176 98 532 99.5 0.9 0.9 0.5 0.5 2.7 2.7 HCO3 110 94 98 94 6.6 6.6 5.6 5.6 5.9 5.9 全硬度 1270 457 3960 99.9 1.3 1.3 0.5 0.5 4.0 4.0 Ca 硬度 640 229 2040 99.9 0.6 0.6 0.2 0.2 2.0 2.0 Ca 256 92 816 99.5 1.3 1.3 0.5 0.5 4.1 4.1 Mg 154 55 468 98.2 2.8 2.8 1.0 1.0 8.4 8.4 ランゲリア指数 -0.356-0.648-0.248 SiO2 66 66 67 97 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 酸消費量 (ph4.8) 87 72 74 96 3.5 3.5 2.9 2.9 3.0 3.0 遊離炭酸 7 5 8 6.9 0.7 5.7 0.6 7.4 0.7 TDS 3840 1820 9280 64.1 64.1 29 29 150 150 TDS/ 電気 TDS/ 電気伝導率 0.84 0.88 0.87 伝導率 0.70 0.70 0.70 0.70 0.70 0.70 MWPI 63 54 72 MWPI 111 66 104 59 120 75 SUSPI 29 31 24 SUSPI -33 17-40 10-33 17 表 8-2 地下水原水から RO 膜処理の水質シミュレーション 飲用不適水飲用適水 4 号井戸原阻止率 4 号井戸処 4 号井戸処事例 2 処理事例 2 処理事例 2 原水水理水理水水水 Na 551 93 38.6 38.6 塩化物イオン 1800 2050 98 36.0 36.0 41.0 41.0 ph 7.1 7.42 6.0 7.0 6.8 5.8 電気伝導率 6320 9230 98 126.4 126.4 184.6 184.6 NO3 9.3 93 0.7 0.7 0.0 0.0 SO4 270 300 99.5 1.4 1.4 1.5 1.5 HCO3 100 100 94 6.0 6.0 6.0 6.0 全硬度 1880 1770 99.9 1.9 1.9 1.8 1.8 Ca 硬度 950 99.9 0.9 0.9 Ca 381 99.5 1.9 1.9 Mg 226 98.2 4.1 4.1 ランゲリア指数 -0.37 SiO2 63 13.8 97 1.9 1.9 0.4 0.4 酸消費量 (ph4.8) 74 83 96 3.0 3.0 3.3 3.3 遊離炭酸 6 5.9 0.6 1.1 10.5 TDS 5280 6700 88 88 129 129 TDS/ 電気 TDS/ 電気伝導率 0.84 0.73 伝導率 0.70 0.70 0.70 0.70 MWPI 67 52 MWPI 113 68 77 122 SUSPI 27 43 SUSPI -30 20 10-40 18

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 d)sus 孔食事例 1 と 2 の水質シミュレーション地下水原水水質データから出発した表 8-1 2 のシミュレーションで 原水は SUSPI が正で孔食性が高く RO 透過水は SUSPI が負で孔食性が低く ph 調整をした最終処理水は SUSPI が正で孔食性が高いという結果が得られたが 実際の SUS 孔食事例ではどうであろうか 表 9 に実際に孔食が発生した給湯水質から出発したシミュレーションを行った結果を示す 表 9 と表 8-1 2 の結果が2つの事例の結果と一致することは興味深い 即ち RO 透過水の ph 調整により孔食性が高まるという結果が得られた 更に事例を積み重ねる必要があろう 表 9 SUS 孔食事例 1 と 2 の水質シミュレーション 事例 1(SUS) 事例 2(SUS) 水質項目 (mg/l) 処理井水 RO 透過水地下原水処理井水 RO 透過水地下原水地下原水推定 or 実測実測推定推定実測推定推定実測 RO 膜除去率 水温 ( ) 50 25 25 60 *2 25 25 25 残留塩素 0.15 0 0 0.7 0.0 0.0 0.0 % ph 7.5 6.2 7.42 7.5 6.18 7.4 7.42 導電率 (μs/cm) 460 460 9200 9230 95 酸消費量 4.8 *1 8.5 6 100.0 5 5 83 83 94 重炭酸イオン 10.4 7.3 122.0 6.1 6.1 102 100 94 全硬度 *1 1.6 1.6 1600 59 59 1788 1770 96-99.9 Ca 硬度 *1 1.12 1.12 1120 45 45 1364 1239 96-99.9 Na 66 66 1320 95 Ca 18 18 545 96-99.9 Mg 3.3 3.3 100 96-99.9 SiO2 0.3 0.3 13.6 13.8 97-98 塩化物イオン 83 83 4150 130 130 2167 2050 94-98 硫酸イオン 1.2 1.2 240 4.1 4.1 315 300 98-99.5 硝酸イオン 0.1 0.1 遊離炭酸 0.5 7.6 7.6 0.3 6.6 6.6 6.3 ランゲリア指数 -2.7-4.1 1.3-1.4-2.7 1.1 1.1 マトソン比 (HCO3/SO4) 8.6 6.1 0.5 1.5 1.5 0.3 0.3 硫酸塩化物比 (SO4/Cl) 0.01 0.01 0.06 0.03 0.03 0.15 0.15 MWPI(PI for Cu) 45 105 53 49 108 53 52 SUSPI 43-20 44 47-19 43 43 *1:(mg/lasCaCO3)*2: 竣工後 5 年までは55 100 2RO 透過水事例 2 3 処理井水事例 1 3 処理井水事例 2 1 地下原水事例 2 ((SO 4 +Cl)/Anion)eq% 90 2RO 透過水事例 1 銅のみ腐食する領域 SUSPI 1 地下原水事例 1 SUS 銅共に腐食する領域 MWPI SUS のみ腐食する領域 SUSPI=0 MWPI=0 事例 NO1SIM 80 Nakajima Diagram 事例 NO2SIM 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 ph 図 -22 SUS 腐食事例 1 2 の Nakajima Diagram 上の軌跡 19

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 (6) まとめ 地下水を RO 膜で処理して 水道水として使用する背景 処理の特性 腐食事例について解説 分析を行った その結果として以下の事が確認された 水質と金属の腐食については不明な事もあるが 今後の事例データの蓄積が必須である 1 沿海部の地下水には アニオンとして塩化物イオンを突出して多く ( 他のアニオンの 5 倍以上 ) 含む場合がある この様な地下水を RO( 逆浸透 ) 膜で処理すると アニオンが地下水と同じイオン比率を持った水道水が製造される 2 地下水には雑菌が含まれる為に 残留塩素が投入される RO( 逆浸透 ) 膜で処理した水は 残留塩素を消費する物質が少ない為末端のユースポイントまで高濃度の残留塩素が届けられる 3 このような水は ステンレスの非溶接部や銅管に局部腐食を発生させやすい水になる 4 ステンレス協会が公表した腐食事例水質データ (1998) から作成した孔食指数 SUSPI を 過去に公表した直管部 ( 非溶接部 ) 孔食発生水質データ適用すると良く当てはまることが判った 5 地下原水から使用水質までの 水処理の過程における水質変化を Nakajima Diagram により検討した結果 ステンレスに対する腐食性は ph を調整する事によって高くなる このような腐食を防止する為には 地下水を RO( 逆浸透 ) 膜した処理水と 塩化物イオンがアニオン中で突出しない水 ( 別の深度の地下水 市水として供給される水道水等 ) を Nakajima Diagram 上で 使用する材料に併せた孔食性の低い水に混合して使用する 又別の方法としては地下水を 2 段 RO 処理した水を 消石灰処理等によって水質を変える等がある 本稿を作成するにあたり御指導 御協力を頂いた 辻川茂男東大名誉教授 三建設備の細谷清氏に深甚の謝意を表するものである (7) 参考文献 1. ( 社 ) 空気調和衛生工学会 : 給湯水の水質に関する報告書 平成 6 年 3 月 (1994) 2. 笠原晃明, 小向茂 : 防食技術, 36, 492-499(1987). 3. 辻川茂男 ; 腐食 防食ハンドブック p60, 腐食防食協会編 丸善 (2000) 4. 明石正恒 : 材料と環境 2005 講演集, 腐食防食協会, A113 (2005) 5. 細谷清, 中島博志 : 材料と環境 2002 講演集, 腐食防食協会, B313, (2002). 6. 細谷清, 高田康治, 中村慎二 : 材料と環境講演集 d307,(2008) 7. 中島博志 ; 日本材料学会, 腐食防食部門委員会第 278 回例会 (2011) 8. 中島博志 ; 銅の腐食事例と水質 材料と環境 2009 講演集 c112 (2009) 9. 中島博志 ; 腐食センターニュース No54, 腐食センター JSCE, (2010) http://www.corrosion-center.jp/news/news.html 10. 中島博志 : Nakajima Diagram と水質変化, 材料と環境,Vol.59,pp.382-384,(2010) 11. 中島博志 細谷清 ; 金属材料の淡水中の腐食 空衛, 日本空調衛生工事業協会, (12/2006) 12. 中島博志 ; 建築設備の腐食と防食, 建築設備技術者協会,pp27-34, (06/2009) 13. 腐食防食協会編 :[ 腐食 防食ハンドブック CDROM 版 第 Ⅱ 編第 1 章 1.3], 丸善, (2003) 14. 中島博志 : 建築設備の腐食 防食 寿命予測に関する研究 九州大学学位論文 (2004) 15. 中島博志 ; 材料と環境 2006 梗概集 b110 (2006) 16. 中島博志 : 材料と環境, 腐食防協会,Vol50,No3,pp81-87,(2001) 17. 久松敬弘 : Fe-Ni-Cr 合金の局部腐食について- 孔食 すきま腐食 応力腐食割れ- 日本金属学会会報, 第 20 巻 第 1 号 1981 18. 鹿島建設 栗田工業共編 :[ 配管防食マニュアル ( 第 3 版 )], 日本工業出版 (1994) 19. 村田和也 ; 材料と環境 2010 予稿集 (2010) 20. 中島博志 :[ 腐食 防食ハンドブック CDROM 版 第 Ⅶ 編第 5 章建築 建築設備 ], 腐食防食協会編, 丸善,pp.807-840,2003 21. 中島博志 ; 空調用銅コイルの孔食 第 44 回材料と環境討論会,C-305,(1997) 22. 梅村文夫額賀考訓熊谷克彦 : 第 51 回材料と環境討論会 B-310,(2004) 20

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 23. 中島博志 : 銅の腐食と新しい水質管理手法 九州機械工業振興会腐食防食セミナー (2010/10) 24. 中島博志 : Nakajima Diagram と水質変化 材料と環境 2010 c201,(2010). 25. 中島博志 細谷清 縣邦雄 松川安樹 : 建築設備の腐食と水質 ( その1 建築設備の腐食と水質 ) 材料と環境 2001, 腐食防食協会,C-101,pp.195-198,(2001) 27. 腐食対策委員会 設備配管システム分科会合同会議 ;[ 屋内配管におけるステンレス鋼の耐食性と水質の関係について平成 10 年 3 月 31 日 ( 改訂 )], ステンレス協会,(1998) 28. 中島博志 ; 給湯配管の局部腐食事例 材料と環境 2005 講演集 a115 (2005) 29. 中島博志 : Nakajima Diagram について 材料と環境 2011 d308,(2011) 最近の問合わせから 水道水系 にも微生物腐食 304 ステンレス鋼 (18Cr 9Ni) におこった微生物腐食事例についてセンターニュース No.028(2003 年 12 月 ) に紹介した 当センターに調査委員会を設け 1997 年 12 月 10 日に通水を一時停止して現地での電位 水質 堆積物 鋼材などの測定 採取を実施したが これらの調査は工業用水 ( 工水という ) 系に限っていた しかし併行して走る 水道水 ( 上水 ) 系 にも漏水がおこっていた 漏水に至る時経緯を表 1 にまとめた 工水系では通水後 1.5 年で漏水が発見されたが上水系では 3.0 年とやや永くかかっている 表 2 にまとめた漏水状況によると 工水系では 79Ring( 周溶接による接合部 ) 中の 47Ring,95 箇所, で漏水した これに対して上水系では 76Ring 中の 7Ring,7 箇所, と少ない 上水系では漏水までの時間, 漏水箇所数, が工水系に比べて少ないが漏水がおこっていること自体は同じである この上水系では下流での使用者 使用量が少なかったために定常的な通水状態が与えられなかったことが原因と考えられた 微生物腐食という腐食形態は同じと仮定している 上水に通常添加されている塩素系消毒剤 (Cl,HClO またはClO ) は管壁上で還元されCl になってしまうので微生物の活動を抑制する効果を失ってしまう 極端な場合流速がゼロになれば 遅かれ早かれ上水中の消毒剤濃度はゼロになり工水と同じになってしまう 上記の工水の場合のように鉄酸化菌 (IOB) などの原因微生物の生息の事前調査も望ましいが 上水系ではこれなしでも発現に至らないことも多いと想われる そこでは定常的な通水状態が失なわれると発現に至りうることに要注意である 21

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 表 1 漏水の時経緯 表 2 工水 上水での漏水状況 22

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 海水中におけるステンレス鋼の腐食 高谷泰之, 戸越健一郎 海水中で使用する魚群探知機器を船底に取付けるために, ポリウレタン樹脂製匡体が使用されていた. その匡体を固定していたステンレス鋼製ボルト ナットが約 4 年間で腐食を起こし, 機能しなくなった. ボルト ナットの腐食状況を調査したので, その状況を説明する. 1. 腐食損傷の状況ポリウレタン樹脂に埋め込まれたナットの腐食状況を図 1 に示す. 海水に接触していたナットの断面 ( 端面 ) が虫に食われたように腐食し, ボルトは脱落していた. 2. 匡体の概要 FRP 樹脂製船底に取付けられた魚群探知器を覆うようにポリウレタン樹脂匡体が取り付けられる. その取付け状況を図 2 に示す. その匡体に SUS304 鋼製ナットを埋め込む形で SUS304 鋼製皿ボルトが固定されていた. 使用していたものと同じ形のボルト ナットの取付けを再現し, その断面状況を図 3 に示す. ボルトの頭部が海水に浸されていた. SUS304 鋼製ナット 4 をポリウレタン樹脂に埋め込み,SUS304 鋼製ボルト 1 とナットはエポキシ樹脂系のプレコートメック加工がなされ, ねじのゆるみ防止と海水からの気密性を保つ構造になっていた. 図 1 ポリウレタン樹脂に埋め込まれた SUS304 製ナットの腐食状況 図 2 ボルト ナットの取り付け状況 1 SUS304 鋼製皿ボルト,2 船底ケース,3パテ,4ポリウレタン樹脂埋込 SUS304 製ナット 23

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 図 3 皿ボルト / ナットの取付け方 図 4 皿ボルトの腐食状況 3. 腐食部材の調査 3.1 皿ボルト表面埋め込まれたナットの腐食状況は, 前述したように海水に接したナット端面において木材断面が虫に食われたように腐食していた. 一方, 皿ボルトの表面は図 4 に見られるようにわずかに錆が付着するものの, ねじ山も残り比較的健全であった. 3.2 ナットの表面状況とその断面形状ポリウレタン樹脂匡体からナットを取りだし, ナット内面にカメラの焦点を合わせて撮影した. その内面の腐食状況 ( 図 5) と内面に堆積した腐食生成物の EDS 分析結果 ( 図 6) を示す. その内面はねじ山も含め全面にわたって茶褐色の腐食生成物が堆積し, 全面にわたって腐食が進行していた. 腐食生成物には Cl の他に S,Si,Al, Ca が含まれていた. 次に, ナット断面に焦点を合わせた断面形状を図 7 に示す. 海水に接していたと予想されるナット部は内面および外面 ( 写真中右側 ) ともに減肉が大きく, ボルトおよびポリウレタン樹脂製匡体との間でナット側にすき間腐食が起こっていた. ナット端面は素材の長手方向の金属 図 5 ナット内面の腐食状況 図 6 堆積していた腐食生成物の EDS 分析 24 図 7 ナット断面の腐食状況

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 (a) (b) (d) 10mm (c) 500μm 300μm 500μm 図7 腐食したナットの金属組織 (図 6 の上部断面) 組織に沿った溶解跡が見られた いわゆる端面 腐食 1)が生じていた ナットのねじ部は形状が 保たれているが その山部の腐食も生じていた 3.3 ナットの断面金属組織 ナット断面における各部の金属組織を図 7 に 示す それは図 6 の上断面であり ポリウレタ ン樹脂と接触したナットの側面が激しく減肉 していた 表面には灰色をした腐食生成物が厚 く堆積していることが解かる 端面腐食が生じていたナットの端面(d)は 選 択腐食が生じていた その拡大図を図 8 に示す 鋼材の長手方向に白色部分と灰色部分が層状 に積み重なり 引き伸ばされた黒色の線が見ら れ それに沿って選択的に溶解していた 図 8 ナット端面の金属組織 (c) (b) (d) 500μm (a) 10mm 500μm 図9 腐食したナットの金属組織 25 (図 6 の下部断面) 500μm

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 図 10 使用していた SUS304 鋼製皿ナット ( 図 4) の断面形状 (a) とその金属組織 (b) ねじ山部の金属組織 (c) は, やはり長手方向の海水に露出した端面が選択的に溶解していた. もう一方の端面 (b) は, 腐食が穏やかであるが選択腐食の形跡がみられた. 次に, 図 6 の下方の断面状況を図 9 に示す. 上部と同様に長手方向の端面の選択腐食が起こっている様子が見られた. 4. 皿ボルトの金属組織腐食がほとんど起こっていなかった皿ボルトの金属組織を図 10 に示す. ボルトのねじ山部など (a) の形状は保たれほとんど腐食されていない. その金属組織を (b) に示した. 結晶粒界が見られ, それらが潰されたようになっている. ボルトは鍛造加工されて製造されたと思われる. 5. おわりに丸棒や圧延材のように長手方向に連なっている金属組織が選択的に腐食した腐食損傷である. 鍛造材よりも圧延材が激しく腐食されていたことから, 鍛造品が海水中で耐食性が良いように思える. しかし, 両者を組み合わせて使用しているため, 圧延材が腐食を起こしたために鍛造品ボルトは防食されたともいえる. 海水中でオーステナイト系ステンレス鋼を使用する場合には防食対策を施すことが賢明であるといえる. 参考文献 1) 尾崎敏範, 石川雄一, 穐山雅男 : 海水機器の腐食 - 損傷とその対策 -,p55(2002) 技術評論社. 後記本稿で端面腐食とよんでいるのと同じ腐食形態が組織的に研究された報告をひきつづいて紹介する 26

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 核燃料再処理環境における加工フロー腐食 ピューレックス法と呼ばれる低濃縮ウラン燃料の再処理方法では ジルコニウム合金製の被覆管ごと細かく切断して中の燃料部分のみを硝酸中に溶かし出す これらは有機溶媒によりウラン溶液およびプルトニウム溶液に分離してそれぞれの純度を高めた後に 硝酸を蒸発させて粉末状の製品とする 上記の硝酸環境は高温 高濃度に加えて溶出した核分裂生成物が高い酸化性を与えるので ステンレス鋼はクロム成分が 6 価 (CrO またはCr O -Cr VI とかく) で溶ける過不動態とよばれる高電位域におかれる 圧延や鍛造などによる加工をうけた金属では変形にともなう金属材料の流れ ( メタルフロー ) は長く伸びた粒界をつくり これが環境にさらされると粒界腐食が奥深く進むおそれがある この現象は当初 tunneling corrosion, end grain corrosion などとよばれた 1),2) が ここでは加工 3) フロー腐食という 1)R. D. Shaw and D. Elliot:Stainless Steels 84, p.395 (1985). 2) 武田誠一郎, 林正太郎 : 動燃技報,67,64 (1988). 3) 木内清 : 日本原子力学会誌,31,230 (1989). 以下に紹介する文献 N と同 T で採用された粒界腐食試験の条件と一部の結果を表 1 にまとめた 文献 T による腐食電位は Huey 試験時 910mV vs. SCE,Coriou 試験時 1050mV(1 g/l Cr(VI) のとき ) 1100 mv(5g/l Cr(VI) のとき ) である ( 図 1) これらに対する最大侵食深さは Huey 試験では現れないが Coriou 試験には大きく反映される - この場合の供試 AOD 溶製まま材については後述する 表 1 粒界腐食試験の条件と一部の結果 Huey 試験 Coriou 試験文献 14.4kmol/m *1 HNO 5kmol/m HNO *1 +8g/L Cr(VI) 48h/c 15c 24h/c 8c 304L~100 m/30 日 304L~2400 m/8 日 N 304ULC 侵食なし 304ULC 1200 m/8 日加工フロー腐食は鋼中濃度の 6 倍に濃化した P 正偏析領域に発生 *1 65% HNO *1 8N HNO +1g/L Cr(VI),+5g/L Cr(VI), 48h/c 5c (20c) *2 24h/c 4c T AOD/ESR による差より C 量の影響の方が大きい 加工フロー腐食は AOD 精錬ままでは現れるが ESR 精錬を加えると著しく低減される 文献 N 金子道郎, 阿部征三郎 : 鉄と鋼,81,85 (1995). 文献 T 松岡聡, 牛田包久, 松本次郎 : 大平洋金属技報,No.1,13 (1997). *1 沸騰 *2 1 サイクル 48h 試験を 5 サイクル, 場合によっては 20 サイクル, 実施との意, 他も同様 27

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 910mV Huey 試験 1050 Coriou 試験 1g/L Cr(VI) 1100 同 5g/L Cr(VI) 図 1 AOD 溶製まま材に発生した最大侵食深さに及ぼす腐食電位の影響 ( 文献 T) 供試材供試材の化学組成を表 2 に示した 文献 N では実機製造した厚さ 10mm の 304L 鋼板および厚さ 29mm の 304ULC 鋼板を用いた いずれも連続鋳造 熱間圧延及び固溶化熱処理工程を経て製造し 機械加工により仕上げた試験片は湿式 600 番研磨 電解研磨ののち腐食試験にかけた 304ULC 鋼実機製造スラブ ( 板厚 :190mm) から上記厚さ 29mm まで圧延するまでの均熱処理とその後の固溶化熱処理の諸条件が加工フロー腐食へ及ぼす影響を詳しく検討した なお固溶化熱処理後の冷却を空冷による場合は実機での板厚中心部のそれを模擬するため約 30 / 秒とした 文献 T における製造工程を図 2 に示す フエロニッケルとフエロクロムとの溶湯は AOD(Argon Oxygen Decarburization) 炉で脱炭などの精錬後 ESR(Electro Slag Remelting) 精錬を経て 2 ~10 トンの鋼塊とし 鍛錬比 ** 5S から 20S の熱間鍛造を加えて φ200 200L(mm) の供試材をえた その後 1050 8 時間 水冷の固溶化熱処理を施した 表 2 中の NAG18/10L は英国の再処理施設で使用されている耐硝酸用ステンレス鋼の規格である ** JIS G 0701 文献 N 表 2 供試材の化学組成 (mass%) 文献 T ( 以下略 ) 28

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 FeNi FeCr AOD 炉 ESR 鍛造固溶化熱処理 図 2 ステンレス鍛造品製造工程 ( 文献 T) 実験結果と判明事項文献 N 304L 鋼板での腐食は鋼板の中心付近で粒界腐食として進んだ この形態は Huey/Coriou- 両試験で変らず 侵食速度は後者で著しく大きかった 加工フロー腐食を発生した板厚中心部に Cr の負偏析領域は存在せず それが検出された板厚の 1/4 付近でも負偏析の程度は鋼中 Cr 量 ( 約 18%) に対して約 1% の低下にとどまった また Coriou 試験液中において Cr 量の高い鋼の方が低いものより速い速度で溶解していたこと 腐食電位は低 Cr 鋼でより高かったこと から Cr の負偏析領域が選択溶解する機構は採れないとした 304ULC 鋼での加工フロー腐食は Huey 試験では観察されなかった Coriou 試験では板厚中心付近に同腐食が観察され この発生領域は P 量が鋼中 ( 平均 ) 濃度の約 6 倍に濃化した正偏析領域に対応していた しかし侵食深さは 304L の 1/2 程度にとどまりさらなる P 濃度の均一化が必要と考えた 結論的に固溶化熱処理後の冷却を水冷とするか 固溶化熱処理時間を 5 時間以上として空冷とする ( 図 3) あるいはスラブ加熱の熱処理条件を 1220 以上で 5 時間とする ( 図 4) これによって加工フロー腐食の侵食深さをさらに低減できることを見出した 図 3 侵食深さに及ぼす 1050 での溶体化処理時間 図 4 侵食深さに及ぼすスラブ加熱温度の影響冷却速度 ( 空冷, 水冷 ) の影響 ( 文献 N) ( 文献 N) 文献 T Coriou 試験後に SEM 下に観察した穴数を図 5 に示す AOD 精錬ままでは 800mm 2 の広さ範囲内に 40 ケを数えるが ESR 精錬を加えたものでは数ケにとどまり 0.01~0.025% の P 量に依存していない 上記の穴は Coriou 試験の 1 回 4 回の増加によって深さ方向に進行しており成長性であることがわかる ( 図 6) 29

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月文献 N と T とを通じて C P 量の低減に加えて 文献 N では固溶化熱処理時間を十分長くとり その後は水冷すること 文献 N では ESR 精錬仕上げを加えること が加工フロー腐食のさらなる低減に有効になることがわかった 図 5 加工フロー腐食発生頻度に及ぼす P 量および溶解方法の影響 (1g/L Cr(VI)) SEM 像 断面ミクロ像 24 時間 1 回 24 時間 2 回 (48 時間 ) 24 時間 3 回 (72 時間 ) 24 時間 4 回 (96 時間 ) 300μm 400μm 図 6 Coriou 試験 (1g/L Cr(VI)) における加工フロー腐食進行状況 30

腐食センターニュース No. 057 2011 年 8 月 目 次 腐食センターニュース No.057 (2011 年 8 月 ) 発行者 :( 社 ) 腐食防食協会腐食センター 地下水 RO( 逆浸透 ) 膜処理水と腐食 最近の問合わせから 水道水系 にも微生物腐食 海水中におけるステンレス鋼の腐食 核燃料再処理環境における加工フロー腐食 1 21 23 27 113-0033 東京都文京区本郷 2-13-10 湯淺ビル5 階 Tel:03-3815-1302,Fax:03-3815-1303 E-mail : jim@corrosion-center.jp URL : http://www.corrosion-center.jp/ 腐食センターニュース の創刊号以来のバックナンバーは腐食センターの上記ホームページで閲覧できます 本センターニュースに掲載されている記事は 著者の意見を表すものであり 必ずしも腐食センター及び腐食防食協会の意見を表すものとは限らない ここに掲載された文章および図表の無断使用, 転載を禁じます. 腐食防食協会