2018年夏のボーナス見通し

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関西経済レポート (2019 年 9 月 ) 令和元年 (2019 年 )9 月 30 日 ~ 輸出減少が継続 インバウンド消費はプラスの伸びを維持 ~ 足元の経済情勢と当面の見通し 関西経済は輸出 生産が斑模様であるが 内需が下支えとなり底堅く推移している 企業部門では 輸出は中国経済の減速等によ

資料2

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( 平成 31 年 1 月判断 ) 平成 31 年 1 月 財務省北陸財務局 富山財務事務所 富山市丸の内 1 丁目 5 番 13 号 ( 富山丸の内合同庁舎 5 階 ) TEL(076) ( 財務課直通 )

資料1

2019年度はマクロ経済スライド実施見込み

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2014~2016年度 東海経済見通し

1. 総論 総括判断 都内経済は 回復している 項目前回 ( 1 月判断 ) 今回 (3 年 1 月判断 ) 前回比較 総括判断回復している 回復している ( 注 )3 年 1 月判断は 前回 1 月判断以降 1 月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判断している ( 判断の要点 ) 個人消費

ニュースリリース 中小企業の雇用 賃金に関する調査結果 ( 全国中小企業動向調査 2013 年 月期特別調査 ) 年 4 月 8 日株式会社日本政策金融公庫総合研究所 3 割の企業で正社員は増加 3 社に 1 社で給与水準は上昇 従業員数 2013 年 12 月において

関西の景気動向 2013 年 5 月株式会社日本総合研究所調査部関西経済研究センター 1. 景気の現状関西の景気は 持ち直している 輸出は 円安が進み 米国経済も回復基調をたどるなど 環境が

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

みずほインサイト 日本経済 2017 年 1 月 17 日 中小企業における賃金上昇の背景労働需給のひっ迫で上昇するも持続性には課題 経済調査部エコノミスト 上里啓 大企業の賃金上昇率が伸び悩む一方 2016 年入

製造業の雇用削減が本格化し 失業率は5.4% に上昇 雇用情勢の悪化が足元で鮮明になっている 急激な減産局面に突入した昨年 11 月あたりから 派遣切り と言われるような非正規労働者を中心とした解雇に注目が集まったが 実際には今年 2 月まで雇用者数はほぼ横ばいで推移しており (2008 年平均は前

個人消費の回復を後押しする政策以外の要因~所得の減少に歯止め、節約志向も一段落

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1. 総論 総括判断 県内経済は 緩やかに回復しつつある 項目前回 (3 年 4 月判断 ) 今回 (3 年 7 月判断 ) 前回比較 総括判断緩やかに回復しつつある 緩やかに回復しつつある ( 注 )3 年 7 月判断は 前回 4 月判断以降 足下 (7 月末 ) の状況までを含めた期間で判断して

社団法人日本生産技能労務協会

第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

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別紙2

拡大する企業収益景気回復に伴い 企業の経常利益は大幅に改善している 経常利益の増加を受け 当期純利益も増加が続き その分配先である内部留保 ( フロー ) が大きく増 双方の税 社会保険料の負担が増加傾向にあることを踏まえた上で 継続的な賃金上昇によって 可処分所得の増加を実現させて消費を喚起し 成

事業所規模 5 人以上 (1 表 ) 月間現金給与額 産 業 ( 単位 : 円 %) 現金給与総額 きまって支給する給与 所定内給与 特別に支払われた給与 対前月増減差 対前年同月増減差 全国 ( 調査産業計 確報値 ) 262, , ,075

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毎月勤労統計調査 地方調査結果速報 平成30年11月分

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2. 利益剰余金 ( 内部留保 ) 中部の 1 企業当たりの利益剰余金を見ると 製造業 非製造業ともに平成 24 年度以降増加傾向となっており 平成 27 年度は 過去 10 年間で最高額となっている 全国と比較すると 全産業及び製造業は 過去 10 年間全国を上回った状況が続いているものの 非製造

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スライド 1

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 28 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 28 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 29 年 1~3 月期 来期平成

ヒューマンタッチ総研 Monthly Report 平成 27 年 11 月 ヒューマンタッチ総研 Monthly Report 平成 27 年 11 月 ヒューマンタッチ総研レポートでは 建設業に特化して人材関連の様々な情報 最新の雇用関連データを月に 1 回のペー スで発信していきます ご愛読い

マーケット フォーカス経済 : 中国 2019/ 5/9 投資情報部シニアエコノミスト呂福明 4 月製造業 PMI は 2 ヵ月連続 50 を超えたが やや低下 4 月 30 日 中国政府が発表した4 月製造業購買担当者指数 (PMI) は前月比 0.4ポイントの 50.1となり 伸び率がやや鈍化し

平成22年7月30日

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ヒューマンタッチ総研 Monthly Report 平成 28 年 12 月 ヒューマンタッチ総研 Monthly Report 平成 28 年 12 月 ヒューマンタッチ総研レポートでは 建設業に特化して人材関連の様々な情報 最新の雇用関連データを月に 1 回のペー スで発信していきます ご愛読い

月例経済報告

伸びにマイナスに寄与しており 現下の人手不足下にあ っても なかなか賃金上昇に結び付いていない 図表Ⅰ 図表Ⅱ 1 6 雇用形態別 年収階級別雇用者数の 変化 2 25 そのため 実質賃金については 2016年は 改善の動きがみられるものの 名目賃金とは異なり 2010年前後より

1. 成長率 可処分所得 社会の満足度 一人当たり成長は先進国でトップクラス 一人当たり可処分所得は着実に増加 社会の満足度は過去最高 生産年齢人口一人当たり実質 GDP 成長率 ( 年平均 ) (%)

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

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ECONOMY TOPICS

1 概 況

1. 総論 総括判断 県内経済は 回復しつつある 項目前回 (29 年 1 月判断 ) 今回 (3 年 1 月判断 ) 前回比較 総括判断緩やかに回復しつつある 回復しつつある ( 注 )3 年 1 月判断は 前回 29 年 1 月判断以降 3 年 1 月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判

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平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

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4月CPI~物価は横ばいの推移 耐久財の特殊要因を背景に、市場予想を上回る3 ヶ月連続の上昇

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

2018年度の雇用動向に関する道内企業の意識調査

目次 調査結果の概要 1 小企業編 中小企業編 概況 3 概況 15 調査の実施要領 4 調査の実施要領 16 業況判断 5 業況判断 17 売上 1 売上 2 採算 11 利益 21 資金繰り 借入 12 価格 金融関連 22 経営上の問題点 13 雇用 設備 23 設備投資 価格動向 14 経営

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

Economic Indicators   定例経済指標レポート

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一企業当たりの事業所数は 14. 事業所 ( 前年度差.6 事業所減 ) 常時従業者数 499 人 ( 前年度比.8% 減 ) 売上高は 23.4 億円 ( 同 2.9% 減 ) 製造企業の一企業当たりの売上高は 億円 ( 前年度比 3.9% 減 ) 営業利益は 1 億円 ( 同.6%

<4D F736F F D F28955C8E86298AD690BC926E88E690DD94F5938A8E918C7689E692B28DB E646F6378>

平成10年7月8日

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県内の雇用・所得動向

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経済・物価情勢の展望(2017年10月)

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< 業種別 > D.I. 2 製造業主要判断 D.I. の推移 製造業 30/ /9 見込 /12 予想 < 製造業 > 当期 は 24.5( 前期比 +0.8) と景況感は横ばいであった

1. 自社の業況判断 DI 6 四半期ぶりに大幅下落 1 全体の動向 ( 図 1-1) 現在 (14 年 4-6 月期 ) の業況判断 DI( かなり良い やや良い と回答した企業の割合から かなり悪い やや悪い と回答した企業の割合を引いた値 ) は前回 ( 月期 ) の +19 から 28 ポイ

政策課題分析シリーズ16(付注)

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218 年夏のボーナス見通し ~ 企業業績が拡大する中 3 年連続の増加が見込まれる ~ 218 年 4 月 9 日三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング株式会社 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング株式会社 ( 本社 : 東京都港区 代表取締役社長 : 村林聡 ) は 218 年夏のボー ナス見通し ~ 企業業績が拡大する中 3 年連続の増加が見込まれる ~ を発表いたします 詳細は本文をご覧ください 本件に関するお問い合わせ 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティング株式会社調査部土志田るり子 1-81 東京都港区虎ノ門 -11-2 オランダヒルズ森タワー TEL:3-6733-17 E-mail:chosa-report@murc.jp 配布先経済研究会

218 年 4 月 9 日 経済レポート 218 年夏のボーナス見通し ~ 企業業績が拡大する中 3 年連続の増加が見込まれる ~ 調査部土志田るり子 218 年夏の民間企業 ( 調査産業計 事業所規模 人以上 ) のボーナスは 前年比 + 1.2% と 3 年連続で増加すると予測する 内外景気の回復を背景に企業業績の拡大が続いていることに加え 人手不足感が一段と強まっていることが押し上げ要因となる 雇用者数の増加が続いており ボーナスが支給される事業所で働く労働者の数も増加が見込まれる 夏のボーナスの支給労働者数は 4,172 万人 ( 前年比 + 3.2% ) に増加し 支給労働者割合も 82.2%( 前年差 +.% ポイント ) に上昇しよう また ボーナスの支給総額は 1. 兆円 ( 前年比 + 4.% ) に増加する見通しである 支給総額が増加することは個人消費にとって追い風となるだろう 218 年夏の国家公務員 ( 管理職および非常勤を除く一般行政職 ) のボーナス ( 期末 勤勉手当 ) の平均支給額は 6 万,73 円 ( 前年比 + 2.1% ) に増加すると予測する 人事院勧告による基本給の増加や ボーナス支給月数の増加などが引き続き支給額を押し上げる要因となる 2 18 年夏のボーナス見通し 一人平均支給額支給労働者数支給総額 ( 円 ) 前年比 (%) ( 万人 ) 前年比 (%) ( 兆円 ) 前年比 (%) 民間企業 371,1 1.2 4,172 3.2 1. 4. 製造業 9,931 2.3 712 1.2 3.6 3. 非製造業 342,442 1.1 3,46 3.6 11.8 4.8 国家公務員 6,73 2.1 ( 注 1) 民間企業 ( 調査産業計 事業所規模 人以上 ) は 賞与を支給する事業所で働く全常用労働者 ( 当該事業所で賞与の ( 注 1) 支給を受けていない労働者も含む ) の平均 ( 注 2) 国家公務員は 管理職および非常勤を除く一般行政職の平均 ( 注 3) 支給労働者数は 賞与を支給する事業所で働く全常用労働者 ( 当該事業所で賞与の支給を受けていない労働者 ( 注 3) も含む ) の数 ( 注 4) 支給総額は一人平均支給額に支給労働者数を掛け合わせた値 内閣人事局資料などをもとに当社予測 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17 E-mail:chosa-report@murc.jp 1 / 87

1. 217 年冬のボーナス ~ 一人あたり平均支給額は増加 4 月 6 日に発表された厚生労働省 毎月勤労統計調査 によると 民間企業 ( 調査産業計 事業所規模 人以上 ) における 217 年冬のボーナスの一人あたり平均支給額は 38 万 64 円 ( 前年比 + 2.8% ) と増加した ( 図表 1) 16 年度下期以降の企業業績の改善を反映したものとみられ 3 年ぶりの増加となった 業種別では 製造業 ( 前年比 + 3.8% ) 非製造業 1 ( 同 + 2.% ) とも増加した 非製造業の中では 飲食サービス業等 ( 前年比 + 11.% ) や 建設業 ( 同 + 4.9% ) などの業種で増加が目立った 17 年夏には 中小企業で一人あたり平均支給額が前年比プラスとなった一方 大企業ではマイナスとなったが 17 年冬についても中小企業に業績拡大の効果が波及している状況は変わらず 伸び幅は大企業よりも中小企業で大きかった ボーナス支給月数 ( 所定内給与に対する比率 ) は 1.12 ヶ月分 ( 前年差 +.3 ヶ月 ) と増加した 一方 ボーナスが支給された事業所で働く労働者の割合は 83.3% ( 前年差 - 1.% ) と低下した しかし 雇用者の増加が続く中で ボーナスが支給された事業所で働く労働者の数そのものは前年比 +.7% 2 と増加し 冬のボーナスの支給総額 3 ( 一人あたり平均支給額 支給労働者数 ) は 1.8 兆円 ( 前年比 + 3.% ) と前年を上回った 家計部門全体でみると冬のボーナスは堅調に増加しており 個人消費を取り巻く環境は改善していたと考えられる 図表 1. 冬のボーナス実績 : 平均支給額 ( 前年比 ) と支給月数 ( ヶ月 ) 2 1.3 1.2 1.17 1 1.1 1.2 1.1 1.9 1.1 1.81. 1.9 1 1.6 1.6 1. 1.1 1..1 - -3.4 2.8 1. 1.9.9 -.4 -.1 -.3-.1-1.9-1..8-1 -1-9.4 一人当たり支給額支給月数 ( 右目盛 ) 6 7 8 9 1 11 12 13 14 1 16 17.7.6 ( 注 1) 調査産業計 事業所規模 人以上 ( 注 2) 支給月数は所定内給与に対する支給割合 ( 年度 年末賞与 ) 1 2 3 調査産業計と製造業の結果をもとに当社で試算したもの 支給事業所に雇用される労働者の割合と常用労働者の 2 1 7 年 1 2 月の実績をもとに当社で試算したもの 一人あたり平均支給額と支給事業所に雇用される労働者の数を掛け合わせることで計算したもの ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17 E-mail:chosa-report@murc.jp 2 / 8

2. 218 年夏のボーナスを取り巻く環境 ~ 企業業績は堅調 労働需給は一段とひっ迫 217 年 1~ 12 月期の実質 G D P 成長率が前期比 +.4% ( 年率 + 1.2% ) と 8 四半期連続のプラスとなるなど 日本経済は回復が続いている 個人消費は 雇用者の増加によって家計部門全体での所得が増加していることなどを背景に持ち直している また 設備投資は 企業業績の拡大に加え 人手不足の深刻化を背景に省人化や情報化のための投資のニーズが高まっていることにより増加基調が維持されている さらに輸出も 海外景気の回復を背景に スマートフォン関連財 一般機械類 自動車などが伸び 堅調に増加している 内外景気の回復により 企業の経常利益は増加が続いている 財務省 法人企業統計 によると 17 年 1~ 12 月期の経常利益は前年比 +.9% と増加した ( 図表 2) 非製造業では前年比横ばいにとどまったものの 製造業では ( 同 + 2.% ) と 海外需要の強い 生産用機械 や 電気機械 などの業種を中心に増加した 雇用情勢に目を移すと 企業活動の活発化に加え 趨勢的な生産年齢人口 ( 1 歳 ~ 64 歳 ) の減少や残業時間の短縮などの要因により 労働需給は一段とタイトになっている 女性や高齢者の労働参加の進展で就業者数が大きく増加し 完全失業率は足元で 2.% 前後まで低下している 労働需給のひっ迫を反映し パートの時間当たり給与は前年比 + 2.% 前後の伸びとなっている 一方 賃上げに労使交渉が必要な一般労働者の所定内給与は 同 + 1.% に満たない水準が続いてきたが 18 年の春闘では 年連続のベースアップが実現したとみられ ボーナスの算定基準となる基本給の増加を通じてボーナス支給額は押し上げられるだろう また 正規 非正規雇用者の待遇格差縮小や人材確保のために一部でボーナスの支給対象が広がっており これも押し上げ要因となるだろう 図表 2. 経常利益の推移 ( 兆円 季節調整値 ) 3 製造業非製造業 2 2 図表 3. 一人あたり賃金の推移 1 1 1-1 -2-3 -4 現金給与総額 所定内給与 上下上下上下上下上下上下上下上下上下上下 8 9 1 11 12 13 14 1 16 17 - 上下上下上下上下上下上下上下上下上下上下 8 9 1 11 12 13 14 1 16 17 ( 注 1) 金融業 保険業を除く ( 年度 半期 ) ( 年度 半期 ) ( 注 2)217 年度下期は17 年 1~12 月期の換算値 ( 出所 ) 財務省 法人企業統計 ( 注 )217 年度下期は17 年 1 月 ~18 年 2 月の平均値の前年同期比 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17 E-mail:chosa-report@murc.jp 3 / 8

図表 4. ボーナスを取り巻く環境 216 年 217 年 218 年 夏 冬 夏 冬 夏 (1 年度下期 ) (16 年度上期 ) (16 年度下期 ) (17 年度上期 ) ( 17 年 1~ 12 月期 ) 経常利益 ( 前年同期比 %) -.4 4.6 16.1-1..9 製造業 - 2.9.8 42.7 1.8 2. 非製造業 3.4 6.3. - 3.3 -. 企業収益 ( 金融業 保険業を除く ) 経常利益 ( 季調値年率 兆円 ) 6. 72.3 8.2 82.1 79.9 製造業 19.8 21.4 28.9 3.7 28.3 非製造業 4.7.9 1.3 1.4 1.7 売上高経常利益率 (% 季調値 ).6.8.97 6..7 製造業.17.69 7.4 7.81 7.1 非製造業.1.3.39.27.17 (1 年度下期 ) (16 年度上期 ) (16 年度下期 ) (17 年度上期 ) ( 17 年度下期 ) 雇用者数 ( 前年同期比 %) 1.3 1. 1.3 1.4 1.4 雇用 完全失業率 (%) 3.2 3.1 3. 2.8 2.6 有効求人倍率 ( 倍 ) 1.28 1.36 1.43 1. 1.7 賃金 物価 現金給与総額 ( 前年同期比 %).4.6.3.3.9 所定内給与 ( 前年同期比 %).4.1.3.4.6 消費者物価指数 ( 前年同期比 %).1 -.4.3..9 除く生鮮食品 -.1 -.4 -.1..9 (16 年 6 月 ) 実績 (16 年 12 月 ) 実績 (17 年 6 月 ) 実績 (17 年 12 月 ) 実績 ( 18 年 3 月 ) 6 月見通し 全規模 全産業 4 7 12 16 12 日銀短観業況判断 DI 製造業 4 11 19 1 ( 注 1) 日銀短観業況判断 DI は 良い - 悪い % ポイント 非製造業 8 9 13 14 11 ( 注 2) 雇用 賃金 物価の17 年度下期は217 年 1 月 ~18 年 2 月の平均値 ( 出所 ) 財務省 法人企業統計 総務省 労働力調査 消費者物価指数月報 厚生労働省 一般職業紹介状況 毎月勤労統計調査 ( 出所 ) 日本銀行 企業短期経済観測調査 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17 E-mail:chosa-report@murc.jp 4 / 8

3. 218 年夏のボーナス見通し ( 1 ) 民間企業 ~ 3 年連続で増加する厚生労働省 毎月勤労統計調査 ベースで見た民間企業 ( 調査産業計 事業所規模 人以上 ) の 218 年夏のボーナスは 一人あたり平均支給額が 37 万 1,1 円 ( 前年比 + 1.2% ) と 3 年連続で増加すると予測する ( 図表 ) ボーナスを算定する上で基準となる基本給 ( 所定内給与 ) は増加が続いており 夏のボーナスを押し上げる要因となる また 春季労使交渉において 年収ベース での賃上げを念頭に一時金の引き上げに応じた企業があったことも ボーナス支給額の増加につながると考えられる 業種別では 製造業の平均支給額は 万 9,931 円 ( 前年比 + 2.3% ) と堅調に増加するだろう ( 図表 6) 217 年に輸出企業を中心に業績が改善したことが ボーナス支給額を押し上げる要因となると考えられる また 中小企業にも内外需要の拡大や円安進展の効果が波及しており ボーナス支給額の伸びは大企業を上回るだろう 非製造業でも 平均支給額は 34 万 2,442 円 ( 同 + 1.1% ) と増加が続くと予測する 製造業よりは小幅な伸びとなるが 需要の底堅い業種のほか 人手不足が深刻な業種では 人材流出を防ぐためにボーナスが引き上げられる可能性がある 一方 ボーナスが支給される事業所で働く労働者の数も増加が続くと考えられる 夏のボーナスの支給労働者数 4 は 4,172 万人 ( 前年比 + 3.2% ) に増加し 支給労働者割合 も 82.2% ( 前年差 +.% ポイント ) に上昇しよう ( 図表 7) なお 雇用者に占める正規雇用者の比率は 16 年から 17 年にかけて高まっており これも支給総額の増加に寄与すると考えられる 結果的に 218 年夏のボーナスの支給総額 ( 一人あたり平均支給額 支給労働者数 ) は 一人あたり平均支給額の伸びは小さいものの 支給労働者数の増加に押し上げられて 1. 兆円 ( 前年比 + 4.% ) に増加する見通しである ( 図表 8) 17 年冬に続き 夏も支給総額が順調に増加することは 個人消費にとって追い風となるだろう 4 ボーナスが支給される事業所で働く労働者 ( 当該事業所でボーナスの支給を受けていない労働者も含む ) の数 労働者の総数に対して ボーナスが支給される事業所で働く労働者 ( 当該事業所でボーナスの支給を受けていない労働者も含む ) が占める割合 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17 E-mail:chosa-report@murc.jp / 8

図表. 夏のボーナス予測 : 平均支給額 ( 前年比 ) と支給月数 2 ( ヶ月 ) 1.2 予測 1 1.9 1.3 1. 1.3 1.2 1. 1.21.2 1.3 1.41.1.1 1 1. 1. 2.7 2.3.9.4 1.2 - -1. -.9 -.1-1. -2.8.8.7-1.6-9.8 一人当たり支給額支給月数 ( 右目盛 ) -1. 8 9 1 11 12 13 14 1 16 17 18 ( 注 1) 調査産業計 事業所規模 人以上 ( 年度 夏季賞与 ) ( 注 2) 支給月数は所定内給与に対する支給割合 図表 6. 夏のボーナス予測 : 平均支給額 ( 前年比 ) 業種別 1 全産業 製造業 非製造業 8 予測 6 4 2-2 -4-6 夏冬夏冬夏冬夏冬夏冬夏冬夏冬夏冬夏 1 11 12 13 14 1 16 17 18 ( 年度 ) ( 注 ) 調査産業計 事業所規模 人以上 非製造業は調査産業計から製造業を除いて計算 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17 E-mail:chosa-report@murc.jp 6 / 8

図表 7. 夏のボーナス予測 : 支給労働者数と支給労働者割合 ( 万人 ) 4,6 支給労働者数支給労働者割合 ( 右目盛 ) 予測 (%) 9 4,483. 4,2 4, 3,8 371 3,6 8. 81. 3 8. 81. 2 81. 4 82.2 82.282. 81. 7 82.2 8 8 443417 3963 7 3886 384 7 3713729 363 3663 3646 6 3,4 6 8 9 1 11 12 13 14 1 16 17 18 ( 注 ) 調査産業計 事業所規模 人以上 ( 年度 夏季賞与 ) 支給労働者数 = 常用雇用労働者 (6 月 ) 支給事業所に雇用される労働者の割合 1 1 - 図表 8. 夏のボーナス予測 : 支給総額 ( 前年比 実額 ) 支給総額 ( 前年比 ) 支給総額 ( 金額 )( 右目盛 ) ( 兆円 ) 18 予測 1. 1. 16 14. 14. 13. 13. 14.13.9 4. 13.313.213. 14 2.4 1.1.7 4.8 4.3 1.8 12 -.1-1.4 -.7 1-1 8-11.7-1 6 8 9 1 11 12 13 14 1 16 17 18 ( 注 ) 調査産業計 事業所規模 人以上 ( 年度 夏季賞与 ) 支給総額 = 一人当たり平均支給額 支給労働者数 として計算 ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17 E-mail:chosa-report@murc.jp 7 / 8

( 2 ) 公務員 ~ 増加が続く見込み内閣人事局の発表によると 国家公務員 ( 管理職および非常勤を除く一般行政職 ) の 217 年冬のボーナス ( 期末 勤勉手当 ) は 68 万 1, 円 ( 前年比 - 3.3% ) と前年から減少した これは 職員の平均年齢の低下 ( 36.3 歳 3.9 歳 ) などによりボーナスの算定基準となる平均給与額が減少したことに加え ボーナス支給月数が 2.24 ヶ月分から 2.19 ヶ月分に引き下げられたためである ただし 支給月数の減少は 6 月期と 12 月期の配分が変わったことによるものであり 年間支給月数は 216 年と同じ 4.24 ヶ月分である また 17 年 12 月に改正給与法が公布され 人事院勧告通り 年間の特別給が 4.4 ヵ月分に引き上げられた これにより 後日 差額が支給される予定となっている こうした中 18 年夏のボーナスも前年から増加する見通しである 平均支給額は 6 万,73 円 ( 前年比 + 2.1% ) になると予想する ( 図表 9) 人事院勧告による月例給の引き上げ ( 平均 +.2% ) を背景とした基本給の増加や ボーナス支給月数の増加 ( +. ヶ月分 ) が引き続き支給額を押し上げる要因となるだろう 1 図表 9. 夏のボーナス予測 ( 国家公務員 ) ( ヶ月 ) 3 2.6 一人当たり平均支給額支給月数 ( 右目盛 ) 予測 3 2.4 2.12 2 1.92. 2.2.1 2.2 1.92 2 1.92 1.871.87187. 1.87 2. 1 - -1-1.7.7 1.9-8.9-2. -9.2 12.2.7 1.6 1.9 2.1 8 9 1 11 12 13 14 1 16 17 18 ( 注 )6 月期の期末 勤勉手当 管理職および非常勤を除く一般行政職 ( 出所 ) 人事院 総務省 内閣官房内閣人事局 ( 年度 夏 ) 1.8 1.6 1.4 1.2 1..8.6 - ご利用に際して - 本資料は 信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが 当社はその正確性 完全性を保証するものではありません また 本資料は 執筆者の見解に基づき作成されたものであり 当社の統一的な見解を示すものではありません 本資料に基づくお客様の決定 行為 及びその結果について 当社は一切の責任を負いません ご利用にあたっては お客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます 本資料は 著作物であり 著作権法に基づき保護されています 著作権法の定めに従い 引用する際は 必ず出所 : 三菱 UFJ リサーチ & コンサルティングと明記してください 本資料の全文または一部を転載 複製する際は著作権者の許諾が必要ですので 当社までご連絡ください ( お問い合わせ ) 調査部 TEL:3-6733-17 E-mail:chosa-report@murc.jp 8 / 8