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Transcription:

ISO/FDIS 14001 ~ 認証審査における考え方 ~ 2015 年 7 月 13 日 17 日 JAB 認定センター 1

説明項目 1. 審査で注目すべき要求事項の変化点 2. 変化点に対応した審査はどうあるべきか 文書化した情報 外部 内部の課題の特定 リスク 機会 関連する利害関係者の特定 プロセスの計画 実施 3. ISO 14001:2015への移行 EMS 適用範囲 リーダーシップ パフォーマンス その他 ( 考慮する 必要に応じて ) 2

認証審査で見かけた不適切な例 文書があることを確認するだけの審査 文書だけを見て現場を見ない審査 組織の事業と乖離した形だけの EMS の審査 適切でない適用範囲の決定の容認 環境パフォーマンスの出ていない EMS の認証 3

2015 年改訂 審査で注目すべき要求事項の変化点 1. 柔軟な文書化要求 2. 組織の状況に基づく EMS の計画 運用 3. リスクに基づく考え方 リスク 機会に対する取組み 4. 関連する利害関係者の特定 5. EMS におけるプロセスの要求 その有効性の評価 6. EMS の境界 適用可能性の決定の適切さ 7. トップマネジメントのリーダーシップによる EMS と事業の統合 EMS の有効性の説明責任 8. 環境パフォーマンスの評価と改善 4

変化点 1 文書化した情報の審査は変わるか EMS の有効性のために必要であると組織が決定した 文書化した情報 (7.5.1 b) とあるが 特に必要性の判断と関連して 審査はどのように進める必要があるか? 次を特定する 組織は何に対し文書化が必要と判断したか その理由は何か 運用を確認して 要求事項への適合性が実証されていると確信できない場合は 必要な文書が作成されていないことになる 次の場合 不適合となる 必要と判断された文書化した情報が存在しない又は管理されていない 文書化した情報が運用に使用されているが それが必要なものと判断されていない 5

変化点 1 文書化した情報の程度に応じた審査 文書化した情報の程度に応じて どのような点に留意して審査する必要があるか? 文書化した情報を確認するのは 適合を実証するための基本的な方法 文書化の方法が多様化 ( 例 : 情報の電子化 ) していることへの対応も必要 審査での実証は 文書化した情報の確認以外にも 要員へのインタビュー 現地での観察などでも行える 現場で費やす時間 全体の審査工数に考慮が必要かもしれない 審査証拠の収集 記録のとり方 6

変化点 2 外部 内部の課題の特定 組織が特定した外部 内部の課題の妥当性をどのように審査するのか? 特定された課題が妥当かどうかを判断するのは認証機関の責務ではない 組織が特定した課題に対し 何を審査すればいいか? 課題 (4.1) と利害関係者のニーズ (4.2) を考慮し 具体的なリスク 機会を明確にし (6.1.1) EMS の計画に展開しているか マネジメントレビューで課題の見直しが行われているか 7

変化点 3 リスク 機会に関する審査 (1) リスク及び機会については 何を審査すればいいのか? リスク 機会そのものを審査するのではない リスク 機会を特定するプロセスを確認し 組織の課題 ( 4.1) 及び利害関係者のニーズ (4.2) が考慮されているかを確認する 特定されたリスク 機会に対する取組みを計画し EMS の計画に組み込まれているかを確認する 8

変化点 3 リスク 機会に関する審査 (2) リスク及び機会については 何を審査すればいいのか? 取組みの有効性を評価する方法を決定していることを確認する 決定した評価方法に基づき 実施しているかどうかを確認する 評価結果がよくない場合には 次を確認する 取組み内容の見直し 改善 リスク 機会を特定するプロセスの見直し 改善 9

変化点 4 利害関係者の特定 組織が特定した利害関係者の妥当性はどのように判断するか? 利害関係者の候補を聞き 特定された利害関係者のニーズに対して 組織が及ぼし得る範囲 影響との関係性が的確に考慮されているかを確認する > 顧客 取引先 株主 行政 地域住民ーー > 製品のライフサイクルからの視点もひとつ 10

変化点 5 プロセスの計画 実施 (1) 改訂された ISO 14001:2015 でも要求事項にプロセスの概念が随所に導入されている プロセスを計画し 実施することなど プロセスの審査を有効に行うための審査技術 ( アプローチ ) としては従来と異なるのか また 考慮すべき点は? 手順 の要求が プロセス に変わったことに着目が必要 >EMS 審査においても審査手法としてプロセスの適合 有効性の 効果的な検証が必要 タートル図等による審査手法が有効 ( 次頁 ) 参照 要求事項上のプロセス表現に捕らわれず 組織の事業活動上のプロセスで表現 実際の運用状況に着目することが必要 11

変化点 5 プロセスの計画 実施 (2) 審査ツールとしてのタートル図の事例 施設 設備 資源など インプット 活動 人材 力量など アウトプット 法規制 要求事項 手順 方法など 監視 指標など > 従来の手順に留まらず 運営管理のための当該プロセスに関連する管理要素として インプット アウトプット 力量 資源 / 設備 手順 / 方法 監視 / 指標 のような側面を評価し プロセスの確立 実施 維持 管理状況などが適切かの検証が必要 > 上記側面からの検証に加えて 単に机上での面談 記録類はもとより プロセスの現場での活動実態の裏付けとして観察 インタビューなどによる多面的な情報収集が有効 12

変化点 5 プロセスの計画 実施 (3) 複数のプロセスの相互関係を意識して審査トレールを計画すること 各プロセスを個別に評価するのではなく 各プロセスの流れとそれに関連する要求事項への展開 相互関係も考慮のうえ システムとしての有効性を評価することが重要 要求事項の意図に繋がらない結果 実態が単にあるのみでは要求事項を満たしたプロセス等が計画 実施されていることにはならないことに注意 > 例えば (A) の確信を持つために ----(B) を維持しなければならな い の事例において (A) 要求事項の狙い 意図を前提に ----(B) 狭義の要求事項 (shall) の実施が要求されており この関連をしっかり 抑え評価 判断することがプロセスの有効性の観点から必要である 13

変化点 6 EMS 適用範囲 ~ 境界 ~ EMS 適用範囲に関して境界と適用可能性の決定の適切性について判断が求められる ISO 14001:2015 に基づき 特に どのような点に留意する必要があるか? 改訂版で 考慮事項として 4.3 項 a)~e) が明確にされたことに留意が必要 a) 外部 内部の課題が考慮されているか? b) 順守義務 利害関係者ニース 期待が考慮されているか? 外部委託したプロセスも環境マネジメントシステムの管理する対象となる範囲の中にあること 14

変化点 6 EMS 適用範囲 ~ 認証範囲 ~ EMS の適用範囲は事実に基づいた物理的及び組織上の境界を明確にするもの であり 環境負荷の大きなもの 管理しにくいものなどを意図的に範囲外にする いわゆる いいとこどり は規格の意図するところではない 適用範囲の境界や除外の妥当性は 第三者 利害関係者の視点から組織の活動実態 ( 前記の考慮事項 ) を反映した 客観性があり 誤解を与えない観点から判断することが必要である 文書化した情報として EMS 適用範囲は維持することが要求されているが その内容は 少なくとも従来の考え方と同じく 組織の活動, 製品及びサービス 及び組織の単位, 機能及び物理的境界 が明確になっていれば適切であると判断される 15

変化点 6 EMS の適用可能性 EMS 規格の適用に関しては 規格の全体を又は部分的に用いることができるが 規格への適合を主張する場合 適用除外はできない (1. 適用範囲 ) 著しい環境側面がない 特定された緊急事態が存在しない などの誤った議論があったが 今回の改訂では規格の適用除外はできないことが明確にされた 16

変化点 7 リーダーシップ 今回の改訂では リーダーシップに対する要求が強化された 強化されたポイントは EMS と事業プロセスの統合 EMS の有効性への説明責任であるとの説明があったが これらはどのように審査すればいいのか? トップが次のことを説明できるかを確認する EMS を事業にどのように役立てようとしているか EMS が有効かどうか その内容が実際に EMS に活かされているかどうかの確認を 組織のあらゆる階層へのインタビュー 適用範囲のプロセスの観察及び関連文書など 多面的な審査証拠の収集 確認で行う 17

変化点 8 パフォーマンスの評価 改善が強調 今回の改訂で パフォーマンスの評価 改善が強調されている 9 章では何をどのように監視 測定していかなければならないかを明確にすることが求められる 10 章では EMS そのものの改善に加え パフォーマンスが十分に出ない場合の調査にも配慮が求められている DIS 14001 にて記されていたもので FDIS では削除されている なお FDIS/10.3 では 環境パフォーマンスを向上させるための継続的改善について触れられている 18

変化点 8 パフォーマンスが改善されない場合の審査アプローチ (1) EMS の審査にあたり パフォーマンスが改善されていない場合 不適合になるのか? パフォーマンスがあがっていないことは システムが効果的に機能していないことを意味する これは不適合につながる可能性が高い 全体的な審査から どこに問題があるかを探り パフォーマンスがあがらない要因となっている部分に対して 指摘をすべき 19

変化点 8 パフォーマンスが改善されない場合の審査アプローチ (2) パフォーマンスがあがっていない要因として 例えば 改善の取組みが行われていない 不適合 改善活動をしているが その効果があがっていない さらなる調査が必要 例えば 以下の視点で調査する 組織の知識が不足 ( これに対する改善ができていない ) リスクへの取組みが不足 ( これに対する改善ができていない ) パフォーマンス指標又は目標の設定が組織にとって適切でない ( 例えば 顧客のニーズ 期待に沿ったものではない ) 外的な要因や想定外による ( リスクへの取組みの不足 ) 20

その他 Consider( 考慮する ) (1) を考慮 (consider) しなければならない と要求されている場合 どのような点に留意して検証すればよいか? 要求条件を満たしていること (B), 目的 狙いに沿ったことが結果に反映されていること (A) の検証 など ---(A) のために (B) を考慮すること 考慮に入れ と 考慮する の違いに注意 (ANNEX(A.3)) ( 例 ) 著しい環境側面及び関連する順守義務を考慮に入れ, かつ, リスク及び機会を考慮し, 関連する機能及び階層において, 環境目標を確立しなければならない (6.2.1 環境目標 ) 21

その他 Consider( 考慮する ) (2) を考慮 (consider) しなければならない と要求されている場合 どのような点に留意して検証すればよいか? 考慮 した結果 何らかの行為が行われ それが確認できればよい 不必要な文書を増やすことは本意ではない 発生事象をトレースバックし 関係事項が考慮された事実を規格と照らして特定する 例えば プロセスのタートル図の要素を確認することで 考慮不足が特定できるだろう 22

その他 必要に応じて as appropriate, as necessary 規格全体を通して 必要に応じて と記されている要求事項について 審査でどのような点に留意が必要か? 適している (suitable) といった意味合い 組織に一定の自由度がある > 法規制等を満たすためには EMS の意図した結果に照らしてプロセス等が有効に機能するためには 必要であると判断できる場合に適用する cf: 適用される, 適用できる (applicable) は 該当する場合には, 必ず の意味 (ANNEX(A.3) 参照 ) 23

まとめ 2015 年版で重要視されているもの 事業との統合 パフォーマンスベース プロセスの概念 PDCA サイクル + リスクに基づく考え方 審査技法を見直してみましょう 24

ISO 14001:2015 への移行 IAF ID10:2015 移行計画の指針 (1) 変更の程度は 組織の現在の EMS 成熟度 組織構造 慣行により異なる 影響評価 / ギャップ分析を強く推奨 CB が実施する場合 : 審査 (audit) でもコンサルティングでもない 公平性の担保要 移行審査では CB の一貫した解釈 力量 報告書 審査技法が焦点となり 組織との移行の取決めを確認 25

ISO 14001:2015 への移行 IAF ID10:2015 移行計画の指針 (2) 移行プロセスでの注意点 顧客に移行の取決めについて連絡 (DIS 後期 or FDIS 段階で ) 1 回の審査か段階的方法か 移行プロセスの間 ISO 14001:2004 への継続的適合をどのように確実にするか FDIS で行われた審査結果の利用 26