シス関連遺伝子などを誘導し, それらの一部は細胞死を促進することが知られている.Xc を介するグルタミン酸の興奮毒性による神経細胞死の機序は, 以下のように考えられている 2).Xc は, シスチンとグルタミン酸のみを輸送基質とし,Na + 非依存性の交換輸送系であり, 細胞内のグルタミン酸を放出し

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1 毒 性 の メカ ニ ズ ム と 症 候 グルタミン酸 田中光一 生理的濃度のグルタミン酸 はじめに グルタミン酸は哺乳類の中枢神経系において 約 7 の神経細胞が神経伝達物質として利用し 認知 記憶 学 習などの脳高次機能に関与しているしかし 細胞外の過 剰なグルタミン酸は 興奮毒性という概念で表されるよう に 神経毒性を持つことが知られている興奮毒性による 神経細胞死は 脳虚血 脳外傷 てんかん 肝性脳症など の急性神経疾患のみならず アルツハ イ マ ー 病 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 過剰なグルタミン酸 神経伝達物質 正常な脳高次機能 認知 記憶 学習 社会性など 神経毒 急性 慢性神経疾患 アルツハイマー病 脳虚血 ハンチントン病など 図 1 主要な興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の 二面性 LS ハンチントン病などの慢性 神経疾患における細胞死に共通するメ カニズムと考えられている 図 1 1 興奮毒性による神経細胞死の機序と して グルタミン酸受容体の過剰活性 化によるものと シスチン/グルタミ ン酸交換輸送体 Xc の抑制を介する ものが知られている 図 2 グルタミ ン酸受容体の過剰活性化は イオン チャネル型グルタミン酸受容体である NMD 型 MP 型受容体を介す る細胞外からの a2 の流入と 代謝 型グルタミン酸受容体から細胞内情報 伝達系を介し IP3産生をもたらすこ とにより滑面小胞体から a2 を放出 させる 2 つの経路により細胞内 a2 濃 度 を 上 昇 さ せ る 図 2 細胞内 a2 濃度の上昇は様々な分解酵素を 活性化し 構造蛋白質 遺伝子 細胞 膜が破壊され 細胞死につながると考 えられている 図 2 また 細胞内 a2 濃度の上昇は転写因子を活性化 図2 グルタミン酸の興奮毒性による神経細胞死の機序 して プロトオンコジーン アポトー たなか こういち 1412 東京医科歯科大学難治疾患研究所教授 LINIL NEUROSIENE vol.3 no /2/ 9/頁/JOPY

2 シス関連遺伝子などを誘導し, それらの一部は細胞死を促進することが知られている.Xc を介するグルタミン酸の興奮毒性による神経細胞死の機序は, 以下のように考えられている 2).Xc は, シスチンとグルタミン酸のみを輸送基質とし,Na + 非依存性の交換輸送系であり, 細胞内のグルタミン酸を放出し代わりに細胞内にシスチンを取り込む. 細胞内に取り込まれたシスチンは還元されてシステインとなり, グルタチオン合成に利用される. 過剰な細胞外グルタミン酸は,Xc を介する細胞内へのシスチンの取り込みを阻害し, 細胞内システインが減少し, グルタチオンの枯渇をもたらす ( 図 2). グルタチオンは中枢神経系における主要なラジカルスカベンジャーであり, その枯渇によって細胞内レドックス状態のバランスが崩れ, 酸化ストレスにより神経細胞死が生じる ( 図 2). 興奮毒性による神経細胞死は, 多くの場合, 細胞外グルタミン酸濃度の上昇を伴う. 細胞外グルタミン酸濃度の上昇の機序として, 以下の 3 つが考えられている.1 シナプス前終末神経からの過剰なグルタミン酸の放出,2 グルタミン酸輸送体の取り込み能低下,3 グルタミン酸輸送体の逆作動によるアストロサイトからのグルタミン酸の放出. シナプス前終末神経からの過剰なグルタミン酸の放出は, 脳虚血, てんかんの重積発作などの時に起こるが, グルタミン酸輸送体の機能が正常ならば, 細胞外グルタミン酸濃度が神経毒性を生ずるような高濃度にまで上昇しない. したがって, グルタミン酸輸送体が, グルタミン酸神経毒性の発生機序を考える上で最も重要な機能分子である. 現在, 脳内には4 種類のグルタミン酸輸送体 (GLST,GLT1,E1,ET4) が存在することが知られている 3~).GLST,GLT1 は主にアストロサイトに,E1,ET4 は神経細胞に存在する. この中で, 脳における細胞外グルタミン酸濃度の制御にとって重要なものは, アストロサイトに存在する GLST と GLT1 である. 以下に, グルタミン酸の興奮毒性が関与する様々な神経疾患について, グルタミン酸輸送体との関連を中心に概説する. 脳虚血 / 脳梗塞 脳虚血 / 脳梗塞による脳損傷の主要な原因の一つは, 一過性の細胞外グルタミン酸濃度の上昇 ( グルタミン酸サージ ) である. グルタミン酸サージの機序としては,TP 枯渇による神経細胞の脱分極によるグルタミン酸放出の増加とグルタミン酸輸送体の機能異常が知られている. グルタミン酸輸送体は, 細胞内外の Na + と K + のイオン勾配を駆 動力にしてグルタミン酸を細胞内に取り込む. 短時間の脳虚血ではTP 枯渇によるNa + /K + のイオン勾配の消失による GLT1 の取り込み能低下が, 長時間の脳虚血ではアストロサイトの脱分極による GLT1 の逆作動がグルタミン酸サージに関与していることが知られている 6). さらに, GLT1 の発現量を規定する 1 塩基多型と脳梗塞後の障害程度に相関があることが報告されている 7). また, 脳出血後の脳損傷を悪化させる大脳皮質拡延性抑制の発生は, GLT1 の機能異常により増加する. てんかん てんかんは, 神経細胞の過剰な発射による反復性の発作なので, てんかんによる脳障害にはグルタミン酸の興奮毒性が関与している. 脳への大きな障害を伴うてんかん性脳症の患者に,slc1a2(GLT1) の機能障害を伴う点変異が報告されている 8). また, 失語症を伴うてんかん患者に, NMD 受容体のサブタイプ NR2,NR2 の過剰活性化を伴う点変異が報告されている 9). 最近筆者らは, 大脳皮質特異的 GLT1 欠損マウスが, 生後 12~14 日に限局したてんかん発作を起こし, それにより大脳皮質 2/3 層および海馬の錐体細胞が選択的に脱落することを見出している ( 図 3). 2/3 層の錐体細胞は, 大脳皮質間の連絡を担う神経細胞なので, その障害は脳高次機能に大きな影響を与えると考えられる. アルツハイマー病 アルツハイマー病 (D) の病態にグルタミン酸の興奮毒性が関与することは, 中等度および高度 D の症状の進行を抑制する薬として NMD 受容体の阻害剤であるメマンチンが使われていることからも明らかである.D の死後脳解析では, グルタミン酸輸送体 GLT1 の発現減少が報告されている. さらに, アミロイドβにより GLT1 の機能が障害されることも報告されている. 最近, グルタミン酸の興奮毒性は D の初期病変としても, 注目されている. アミロイドβが早期から蓄積しやすい脳部位は健康時から神経活動の高い部位であり,D の初期段階ではてんかん性脳波が頻繁に観察されることが報告されている. さらに, 神経活動の亢進は, アミロイドβの放出, 蓄積やタウの放出, リン酸化を促進することが知られており, 興奮毒性は変性タンパク質の脳内伝播にも関与する可能性がある 1). また,D モデルマウスの GLT1 の発現量を増減させると,D 様症状が改善 悪化することが報告されている. LINIL NEUROSIENE vol.3 no.12 (217 12) 1413

3 GLT1免疫染色 tr number of mice showing epilepsy 1 NeuN 8 tr postnatal days 図3 大脳皮質特異的 GLT1 欠損マウス は一過性のてんかん発作を示す GLT1 の免疫染色 てんかん発作を起こす マウスの割合 NeuN 染色矢頭 神経細胞の脱落 tr 対照マウススケールバー 2 mm 1 μm 7 6 Latency to fall s ge weeks D control ge week 9 E flox/flox of ht cells/section Survival rate % 1 p control 図4 脊髄特異的グリア型グルタミン酸輸送体欠損マウス は LS 様症状を示す 生存率 Hanging wire test での落下するまでの時間 マウスは下肢麻痺 矢印 を示す D 脊髄前角の運動ニューロン E マウスでは脊髄前角の運動ニューロン数が減少する白丸 対照 赤丸 脊髄特異的グリア型グルタミン酸輸送体欠損マウス p.1 マウス control ハンチントン病 ハンチントン病において変性する線条体神経細胞は 多 も GLT1 の発現減少が報告され GLT1 の発現を増加さ せるセフトリアキソンはモデルマウスの運動障害を改善す ることが知られている11 また 原因遺伝子である変異ハ くのグルタミン酸作動性神経細胞から入力を受けており ンチンチンは 転写因子の GLT1 プロモーター領域への その変性にグルタミン酸興奮毒性が関与している可能性が 結合を阻害し GLT1 の発現を減少させる 示唆されている患者死後脳の解析では 線条体における GLT1 の mrn およびタンパク質の発現減少が報告さ れているさらに ハンチントン病モデルマウスにおいて 1414 LINIL NEUROSIENE vol.3 no 筋萎縮性側索硬化症 LS LS における運動ニューロンの変性にグルタミン酸興

4 奮毒性が関与することは LS の治 野生型 療薬として使われているリルゾールが 2 眼圧 mmhg グルタミン酸放出阻害 グルタミン酸 E GLST欠損 輸送体活性作用を持つことから明らか である孤発性 LS 患者および遺伝 性 LS モデル動物では グルタミン 酸取り込み能や GLT1 の発現減少が 報告されているさらに 遺伝性 LS D 1 1 野生型 GLST欠損 図 モデル動物の運動障害は GLT1 の発 GLST 欠損マウスは正常眼圧緑 内障と似た症状を示す上の黒矢 印 網膜神経節細胞 下の赤矢 印 視神経乳頭陥凹の拡大 現を増加させる薬物により改善す る12 最近筆者らは 脊髄特異的グリ ア型グルタミン酸輸送体欠損マウスを 作製し そのマウスが運動麻痺 脊髄 運動ニューロンの減少を示すことを見つけ GLT1 の機能 障害が LS の原因に成り得ることを明らかにした 図 4 多発性硬化症 多発性硬化症 MS 患者の血液 脳脊髄液 脳におけ さらに 孤発性 LS 患者では グルタミン酸受容体のサ るグルタミン酸濃度は上昇しているまた GLT1 の発現 ブタイプである MP 型受容体 Glu2 の正常な RN 量を規定する 1 塩基多型と MS の再発患者の血中グルタミ 2 透過性が亢進し ン酸濃度に相関があることが報告されているさらに グルタミン酸興奮毒性により運動ニューロンが変性するこ MS 患者の脱髄部位では GLT1 と GLST の発現が減少 しているMS モデルマウスの症状は グルタミン酸受容 体 MP 型受容体 NMD 型受容体 阻害剤や GLT1 編集が低下し MP 型受容体の a とも報告されている パーキンソン病 の活性化薬により改善することが示されている1 パーキンソン病で変性する黒質ドーパミン神経細胞は 多くのグルタミン酸作動性神経細胞から入力を受けてお り さらに 患者血小板におけるグルタミン酸取り込み能 エイズ脳症 が減少していることから グルタミン酸興奮毒性がパーキ エイズ脳症は HIV 1 human immunodeficiency virus 1 の脳への直接感染により引き起こされる認知障 ンソン病にも関与することが示唆されているGLT1 阻害 害 脳萎縮のことである死後脳解析から エイズ脳症の 剤の黒質注入や E1 の欠損により 黒質ドーパミン神 患者では GLT1 の発現が減少することが報告されてい 経細胞の変性と運動異常が観察されるまた パーキンソ るHIV 1 の感染によりアストロサイトで発現が亢進す ン病モデル動物の症状は グルタミン酸受容体 MP る遺伝子である EG 1 astrocyte elevated gene 1 型受容体 NMD 型受容体 阻害剤や GLT1 の活性化 は GLT1 の発現を抑制することが報告され エイズ脳症 薬により改善することが示されている 13 における神経細胞の変性にグルタミン酸の興奮毒性が関与 することが示唆されている16 脊髄小脳変性症 脊髄小脳変性症では 主に小脳のプルキンエ細胞が変性 緑内障 する小脳プルキンエ細胞は脳虚血に最も脆弱な神経細胞 緑内障は 4 歳以上では約 が潜在的に罹患している として知られ グルタミン酸興奮毒性に対する感受性が高 と考えられており 日本人の中途失明原因の第 1 位であ い脊髄小脳変性症で グルタミン酸の興奮毒性が関与す るわが国の緑内障の約 7 は正常眼圧緑内障であり そ る疾患として 1 型 型 7 型がある脊髄小脳変性症 1 の病態は不明である緑内障患者では GLST が減少し 型および 型モデルマウスでは ET4 GLST の発 ていることが報告されているさらに 高頻度で緑内障を 現が 脊髄小脳変性症 7 型モデルマウスでは GLST の 併発する D 患者でも GLST の減少が報告されており 発現が減少し グルタミン酸の興奮毒性がプルキンエ細胞 GLST の機能異常が緑内障の病態に関与している可能 性が高いグルタミン酸輸送体 GLST および E1 14 の変性に関与すると考えられている LINIL NEUROSIENE vol.3 no

5 欠損マウスは, 眼圧が正常であるにもかかわらず, 網膜神経節細胞が加齢に伴い選択的に変性し, 視機能の異常, 視神経乳頭陥凹の拡大など正常眼圧緑内障に似た症状を示す ( 図 ) 17). また,GLST の発現を増加させる arundic acid および NMD 型グルタミン酸受容体の阻害剤であるメマンチンは,GLST へテロマウスの緑内障様症状を改善する 18). むすび 以上のように, グルタミン酸の興奮毒性は, 様々な神経疾患の病態に関与することが明らかになりつつある. したがって, グルタミン酸興奮毒性の抑制は, これら神経疾患の新規治療法の開発につながる. これまでグルタミン酸興奮毒性に対する神経保護薬の開発は, グルタミン酸受容体阻害剤を中心に行われてきたが, シナプス伝達遮断による副作用の問題があり, 臨床で使われている薬剤は, メマンチン (NMD 型グルタミン酸受容体阻害剤 ) とペランパネル ( MP 型グルタミン酸受容体阻害剤 ) のみである. 筆者らの研究から, グリア型グルタミン酸輸送体を欠損させてもシナプス伝達そのものには大きな影響を与えないことがわかっている 19). したがって, グリア型グルタミン酸輸送体の転写 翻訳や取り込み活性を促進する薬物は, 副作用の少ない新しい神経保護薬として有用であると期待される 2). 文献 1. Lewerenz J, Maher P. hronic glutamate toxicity in neurodegenerative diseases What is the evidence? Front Neurosci. 21;9: Murphy TH, Miyamoto M, Sastre, et al. Glutamate toxicity in a neuronal cell line involves inhibition of cysteine transport leading to oxidative stress. Neuron. 1989;2: 田中光一. グルタミン酸トランスポーター. 脳科学辞典 ;216.doi: /bsd Danbolt N. Glutamate uptake. Prog Neurobiol. 21;6:1 1.. Tanaka K. Functions of glutamate transporters in the brain. Neurosci Res. 2;37: Mitani, Tanaka K. Functional changes of glial glutamate transporter GLT 1 during ischemia:an in vivo study in the hippocampal 1 of normal mice and mutant mice lacking GLT 1. J Neurosci. 23;23: Mallolas J, Hurtado O, astellanos M, et al. polymorphism in the ET2 promoter is associated with higher glutamate concentrations and higher frequency of progressing stroke. J Neurosci. 26;23: Epi4K onsortium. De Novo mutations in SL12 and N1 are important causes of epileptic encephalopathies. m J Hum Genet. 216;99: urnashev N, Szepetowski P. NMD receptor subunit mutations in neurodevelopmental disorders. urr Opin Pharmacol. 21;2: costa, nderson HD, nderson M. strocyte dysfunction in lzheimer disease. J Neruosci Res doi:1.12/ jnr Khakh S, eaumont V, achope R, et al. Unrevelling and exploiting astrocyte dysfunction in Huntington s disease. Trends Neurosci. 217;4: King E, Woodhouse, Kirkcaldie MT, et al. Excitotoxicity in LS:Overstimulation, or overreaction? Exp Neurol. 216; 27: mbrosi G, erri S, landini F. further update on the role of excitotoxicity in the pathogenesis of Parkinson s disease. J Neural Transm(Vienna). 214;121: Perkins EM, Suminaite D, larkson YL, et al. Posterior cerebellar Purkinje cells in an S/SPR1 mouse model are especially vulnerable to the synergistic effect of loss of β Ⅲspectrin and GLST. Hum Mol Genet. 216;2: Rajda, Pukoll D, ende Z, et al. Excitotoxins, mitochondrial and redox disturbances in multiple sclerosis. Int J Mol Sci. 217;18: Ye X, Zhang Y, Xu Q, et al. HIV 1 tat inhibits ET 2 through EG 1 upregulation in models of HIV associated neurocognitive disorder. Oncotarget. 217;8: Harada T, Harada, Nakamura K, et al. The potential role of glutamate transporters in the pathogenesis of normal tension glaucoma. J lin Invest. 27;117: Yanagisawa M, ida T, Takeda T, et al. rundic acid attenuates retinal ganglion cell death by increasing glutamate/aspartate transporter expression in a model of normal tension glaucoma. ell Death Dis. 21;6:e Tanaka K, Watase K, Manabe T, et al. Epilepsy and exacerbation of brain injury in mice lacking the glutamate transporter GLT 1. Science. 1997;276: Fontana. urrent approaches to enhance glutamate transporter function and expression. J Neurochem. 21;134: LINIL NEUROSIENE vol.3 no.12 (217 12)

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