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ふじよしゆのもと
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1 平成 27 年度第 3 回食品と放射性物質に関する講座ウェルネスさがみはら 2016 年 1 月 28 日放射性物質の基礎知識と食品に含まれる放射性物質の安全性について東海大学原子力工学科大江俊昭 1

2 2/45 お話しする内容 1. 放射能と放射線 2. 食品への放射能の汚染 3. 食品による被ばく 4. どうやって放射能を測るか簡単な測定デモンストレーション 2

3 東京電力福島第一原子力発電所事故 3/ 年 3 月 14 日 11 時 1 分放射性セシウム航空機モニタリングによる地表に沈着した放射性セシウム濃度 Cs134+Cs137 合計 (Bq/m 2 ) H23 年 7 月 16 日の値に換算文部科学省ホームページより 3

4 放射能の比 4/45 今問題なのは主に Cs 年 3 月 14 日 2013 年 1 月 1 日 2014 年 1 月 1 日 2015 年 1 月 1 日 2016 年 1 月 28 日 Cs137 半減期 30 年約 86% Cs134 半減期 2 年約 1/ 放出からの日数

5 内部被曝知っている 45% 放射能への理解度が低下 5/45 消費者庁の調査 (8 月 ) 朝日新聞 2015 年 10 月 8 日人体の外にある放射性物質からの放射線を受けることを外部被曝空気水食物などを摂取して体内に取り込まれた放射性物質から放射線を受けることを内部被曝知っている人の割合は 45% 13 年 2 月の第 1 回調査では 68 4% 同庁は東京電力福島第一原発事故から 4 年以上が経過し人々の関心が薄れ頭から離れているのではないかと分析

6 皆さんはどうですか? 6/45 事故後約約 5 年経過してまだ放射能があるのか! 今更気にならないよくわからない 6

7 7/45 1. 放射能と放射線 2. 食品への放射能の汚染 3. 食品による被ばく 4. どうやって放射能を測るか簡単な測定 7

8 放射線と放射能の違い 8/45 放射性物質ヨウ素セシウム 131 I, 137 Cs などは放射能をもった物質放射能の強さ放射性物質の量単位 : ベクレル Bq 放射能とは放射線を出す能力放射線の強さ単位 : シーベルト Sv 8

9 放射線音でお聞かせします 9/45 種類 (3 つの代表的なもの ) アルファ線ベータ線ガンマ線小貫通力大 GM 管式放射線検出器 CsI(Tl) シンチレーション式環境放射線モニタベータ線有無強弱の検出ガンマ線空間線量率測定可のものもあるガンマ線空間線量率の測定 9

10 放射能の特徴 ~ 半減期 ~ 10/45 不安定放射能放射線元々不安定な物質放射性物質は放射線を放出して安定になろうとします安定放射能放射線放射能放射線時間明るさ自然に壊れる放射能の強さは徐々に小さくなってゆきます自然に壊れる速さを示すのが半減期電圧 10

11 ベクレル Bq とシーベルト Sv 11/45 放射線数を測定カウント放射能の強さ Bq 線量換算係数 Sv Bq 放射性物質被ばくによる影響の程度数だけでは決まりません放射線のエネルギー人体の場所 ( 臓器 ) 放射線の種類 Sv 放射線の強さ線量換算係数の工夫全ての放射線の種類に対して使える 11

12 1 シーベルト 12/45 放射線影響を測る ( 尺度 ) Cs137 1Bq 1 秒間に 0.662MeV ガンマ線を 0.85 本放出エネルギー吸収吸収したエネルギーが生体に何らかの変化 ( 影響 ) を与える 1Gy : 物質 ( 生体 )1kg が 1J( ジュール ) のエネルギーを吸収グレイ 1Gy 1Sv ( ベータ線ガンマ線 ) 12

13 13/45 放射能放射線による影響 13

14 被ばく線量と人体影響 14/45 日常生活で重要な線量の値自然放射線による被ばく (1 年間 ):1~2mSv 胸部 X 線撮影 (1 回 ):0.05mSv 胃の X 線検診 (1 回 ):0.5mSv 腹部の CT 検査 (1 回 ):5~15mSv 国際線搭乗 (12 時間程度 1 回 ): 約 0.05mSv 14

15 確率的な影響と確定的な影響 15/45 がんなど白内障奇形発生など安全領域がないようにみえる安全領域 ( 小須田茂放射線生物学ノート ) 15

16 確定的な影響 16/45 組織影響急性被ばくのしきい線量 (Gy) msv *) 精巣一時不妊永久不妊 3500~ ~6 卵巣一時不妊 0.65~ ~1500 永久不妊 2500~ ~6 水晶体水晶体混濁 500~ ~2 白内障 2000~ ~10 骨髄機能低下 0.5( 500 全身骨髄被ばく ) 皮膚紅斑乾燥皮 ( 広範囲被ばく ) 膚炎胎児奇形 * *) 正しくは X 線, 線の場合 mgy であるがガンマ線では, 放射線荷重係数はmGy msv 1 なので,Gy=Sv とみなせるである. 100mSv 以上になると明確に現れている ( 窪田宜夫, 2008) 16

17 放射線によりがんになる確率確率的な影響 17/45 明確に放射線による影響かどうか判別が困難 10 万人当たり 5.5 人と考えて対策を講ずるこれまでの調査で放射線による影響が判っている直線モデル 100 人当たり 5.5 人 1000 人当たり 5.5 人 1mSv (0.001Sv) 100mSv (0.1Sv) 1Sv ICRP (2007 年勧告 ) 低線量での確率を求めるものではなく対策を講ずる際の目安 17

18 18/45 身の回りの放射線放射能原因 msv/ 年備考宇宙線 K, 食物 0.99 食品にはK40,Po210 等が含まれる呼吸吸 ( 主に Rn222 ガス ) 大地合計 1.45 合計 2.1 外部被ばくと内部被ばくを合わせて放射線医学総合研究所 2013 年 ( 平成 25 年 )5 月 28 日改訂 18

19 食品中の自然放射能 (Bq/kg) K40 半減期 12.8 億年 19/45 ビールこめ牛肉ほうれん草ポテトチップ干し椎茸干し昆布注 )Bq 数だけでは人体影響は判断できない ( 電気の広場情報より ) 19

20 20/45 1. 放射能と放射線 2. 食品への放射能の汚染 3. 食品による被ばく 4. どうやって放射能を測るか簡単な測定 20

21 放射性セシウムの飛散 21/45 Cs137 は 1 京 3 千兆ベクレル地表面への放射性セシウムの沈着量上空からの測定で精度は期待しない土壌の測定結果 (2200 地点 ) と一致重量にすると約 4 kg 文部科学省公表データより 21

22 水農作物の汚染 22/45 大気中に浮遊している放射性物質微粒子で目には見えません雨に溶け込む降下ばいじん ( やや大きい浮遊じんが沈降 ) 一か所に集中葉物野菜に付着放射能濃度がいったん上昇土に沈着牛肉を汚染したワラへの沈着土に吸着したセシウムはなかなか離れない根菜類のように根からの吸収 22

23 23/45 神奈川県への降下物神奈川県衛生研究所 Cs-137 月間降下物 Bq/m 年 2012 年 2013 年 2014 年 2015 年 2010 年月

24 24/45 基準値はどう決まったか 24

25 暫定規制値 ( 旧 ) 25/45 汚染は一過性汚染物質が出続けるという前提ではない 1 年間同じ量をとり続けて同じ放射能量を摂り続けてではない仮定のもとで野菜約 0.6kg ( 毎日 ) 摂取水約 1 リットル ( 毎日 ) 飲用穀類平常時の一般公衆の被ばく限度とは異なることに注意! 1mSv/ 年放射性 Cs: 全身の線量が 5mSv/ 年となる放射性物質濃度肉卵魚牛乳乳製品 25

26 放射線によりがんになる確率 26/45 食品の規制 5mSv の意味放射性セシウムは筋肉蓄積 ( 全身 ) 明確に放射線による影響かどうか判別が困難 10 万人当たり5.5 人と考えて対策を講ずるこれまでの調査で放射線による影響が判っている摂取制限で 5mSv 以下に直線モデル 1000 人当たり 5.5 人 100 人当たり 5.5 人 1 年間の摂取があると 1mSv では 10 万人あたり 5.5 人のがんがんのリスクは 5 倍の 1 万人あたり 2.75 人 1mSv (0.001Sv) 5mSv では 10 万人あたり 27.5 人 100mSv (0.1Sv) 1Sv 不慮の事故のリスクがんのリスク 1 万人あたり3.2 人 / 年 1 万人あたり2.75 人 1 桁違っていても 1000 人あたり 2.75 人放射線以外のがんのリスク 10 人あたり 3 人 / 年よりも十分低い 26

27 旧基準への不満 27/45 国際食品規格国際動向との不整合 100 Bq/kg ( コーデックス委員会 ) 一過性の前提? チルノブイリ事故での汚染物輸入への対処のまま小児への特別な配慮放射性セシウムの濃度 ( 新旧規制値の比較 ) 暫定規制値新基準値備考食品群野菜類穀類肉卵魚その他規制値ベクレル /kg 500 牛乳乳製品 200 飲料水 200 Sr89, Sr90 を考慮食品群規制値ベクレル /kg 一般食品 100 食品の区分を変更乳児用食品 50 年間線量の上限を引き下げ牛乳 50 飲料水 10 Sr90 Ru106, Pu238, Pu239, Pu240, Pu241を考慮一般食品の 50% が汚染と仮定 27

食品の基準値の設定 28/45 基準値のもととなる 1 人当たりの年間線量の上限値 1 ミリシーベルト

Pu239,241 など Ru106 セシウム以外の放射性物質による影響を考慮 ( 例 :19

28 食品の基準値の設定 28/45 基準値のもととなる 1 人当たりの年間線量の上限値 1 ミリシーベルト水約 0.1 ミリシーベルト食品約 0.9 ミリシーベルト飲料水の基準値 (10 ベクレル /L) の水を 1 年飲んだ場合に相当する線量を割当て放射性セシウム Cs134 Cs137 放射性セシウム以外 Sr90 Pu239,241 など Ru106 セシウム以外の放射性物質による影響を考慮 ( 例 :19 才以上では多めに見積もって食品からの線量の約 12%) 厚生労働省のホームページを参考にした 28

29 29/45 1. 放射能と放射線 2. 食品への放射能の汚染 3. 食品による被ばく 4. どうやって放射能を測るか簡単な測定 29

30 農産物中の放射性能調査 30/45 農林水産省 H27 年 12 月 1 日現在分類品目検査点数 50 Bq/kg 以下 ( 検出せず含 ) 50 Bq/kg~ 100 Bq/kg 基準超米米以外全袋検査分 ( 福島県 ) 9,842,113 9,842, 抽出検査分 ( 福島県を除く 16 都県 ) 麦野菜 9,189 9, 果実 2,406 2, 大豆その他の豆類その他地域特産物きのこ山菜類茶注 6,785 6, Bq/kg 以下 5 Bq/kg~ 検査点数基準超 ( 検出せず含 ) 10 Bq/kg 茶の規制値は 10Bq/kg それ以外は 100Bq/kg 30

水産物中の放射能調査 31/45 水産庁 H27 年 1 月 15 日更新 http://www.jfa.maff.go.

31 水産物中の放射能調査 31/45 水産庁 H27 年 1 月 15 日更新福島県における調査結果基準値を超過した水産物については出荷制限や採捕自粛等の措置が執られています 31

32 32/45 市場の調査食品検査 1. 測定をすり抜けたものはないのか? 2. 放射性セシウムだけの測定で良いのか? 32

33 福島県 ( 浜通り ) 福島県 ( 中通り ) 福島県 ( 会津 ) 北海道岩手県宮城県茨城県栃木県埼玉県東京都神奈川県新潟県大阪府高知県長崎県実効線量 msv/ 年マーケットバスケット試料による推定平成 25 年 9-10 月に試料調製のための食品を購入生鮮食品は可能な限り地元産品あるいは近隣産品通常の食生活における放射性物質の摂取量を算出食品中の放射性セシウムから受ける被ばく線量 33/ 基準値 1mSv/ 年の 1 パーセント以下検出限界以下の時はその 1/2 が含まれていると仮定厚生労働省ホームページの数値より 33

34 実効線量 msv/ 年 /45 マーケットバスケット試料経時変化厚生労働省ホームページの数値より H H H H 検出限界以下の時はその 1/2 が含まれていると仮定計算上はいつまでたっても線量はゼロにはならない 34

35 ミリシーベルト / 年全国各地の一般家庭で調理された食事 ( 陰膳試料 ) 35/45 厚生労働省ホームページ 35

36 Sr / Cs 濃度比 36/45 セシウム以外の放射性核種食品中の放射性ストロンチウム及びプルトニウムの測定 ( 平成 24 年春に採取した試料厚生労働省 HP より ) 82 の試料 20 マーケットバスケット方式 62 陰膳試料食品中にプルトニウムは全て未検出 38 試料中に Sr90 検出 1 検体以外 Sr/Cs< マーケットバスケット方式陰膳試料新潟県高齢最大 0.06Bq/ 日新潟県高知県でも? 北海道高齢北海道成人高知県成人高知県高齢食品の規制基準値 Csと同濃度のSrが存在すると仮定

37 37/45 日常食中の 90 Sr 濃度の推移大気中核実験のフォ - ルアウト降下物陰膳試料最大 0.06Bq/ 日 37

38 38/45 1. 放射能と放射線 2. 食品への放射能の汚染 3. 食品による被ばく 4. どうやって放射能を測るか簡単な測定デモ 38

39 内部被ばくと外部被ばく 39/45 外部被ばく汚染した地面等からの放射線内部被ばく線量計で判るのは外部被ばく体内に取り込んだ放射性物質からの放射線 39

40 40/45 内部被ばくと外部被ばく外部被ばく線量計で判るのは外部被ばく内部被ばく体内に取り込んだ放射性物質からの放射線水や食品を計測器で測る 1 年間の摂取量を計算人体影響を示すシーベルト Sv/ 年 ( 年間被ばく量 ) 放射性物質の量 Bq/kg ( 濃度 ) 統計データ kg/ 年 40

カウント数カウント数食品の非破壊測定 41/45 高性能タイプ検出限界値 1ベクレル /kg 程度

http://seikatsuclub.coop/coop/news/20111227h.

Cs 40 K 20 15 134 Cs 100 10 10 5 0 0 100 200 300 400

41 カウント数カウント数食品の非破壊測定 41/45 高性能タイプ検出限界値 1ベクレル /kg 程度汎用タイプ検出限界値 50ベクレル /kg 東海大学原子力工学科での測定例 Cs 137 Cs Cs 134 Cs 40 K Cs ガンマ線エネルギー kev チャンネル類似製品による測定例 41

42 カウント数 42/45 放射能測定のデモンストレーション NaI(Tl) シンチレーションスペクトロメータ何から放射線が出ているのか? が判るデモでは遮蔽なし Cs 134 Cs 40 K 試料は天然放射性物質右図は福島県の土壌を計測した例チャンネル 42

43 43/45 放射線は何に由来するのか 137 Cs 134 Cs 自然放射線空間線量率は 0.46 msv/ 時自然放射線放射性ヨウ素は検知されません 43

44 空間線量率が周囲よりも高い放射性セシウムの寄与とばかりは限らない 44/ I 364keV なし自然放射線 214 Bi 609keV 空間線量率は msv/ 時自然放射線 214 Pb 352keV 137 Cs 661keV なし 134 Cs 796keV なし 44

45 まとめ 45/45 東京電力福島第一原子力発電所の事故から約 5 年経過しその間食品の基準の見直し被ばく影響継続的な食品検査流通規制 ( 自粛 ) が行われてきた国際的な動きと合わせ 5mSv/ 年から 1 msv/ 年へ小児が放射線の影響を受けやすいことを考慮し区分見直し規制対象核種の追加 (Pu Ru Sr ただし Sr は旧規制でも考慮 ) 現状での食品中放射能の実態と食生活を考えると放射性セシウムによる被ばくの可能性は極めて小さいゴールは被ばくゼロ? 自然放射能との比較を参考に 45

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スライド 1 平成 26 年度第 3 回食品と放射性物質に関する講座秦野市保健福祉センター 2014 年 10 月 16 日放射性物質の基礎知識と食品に含まれる放射性物質の安全性について東海大学原子力工学科大江俊昭 1 概要 2/45 1. 放射能と放射線 2. 食品への放射能の汚染 3. 食品による被ばく 4. どうやって放射能を測るか簡単な測定デモ 2 東京電力福島第一原子力発電所事故 3/45 2011