社団法人戸本クレーン協会規格

Size: px

Start display at page:

Download "社団法人戸本クレーン協会規格"

たつやまつかた
5 years ago
Views:

1 日本クレーン協会規格 ( 案 ) JCAS XX 平成 28 年 X 月制定クレーン等に使用されるワイヤロープの点検管理要領 ( 案 ) Wire rope inspection and maintenance Procedures for cranes and mobile cranes 1 序文この規格は, クレーン等に使用されるワイヤロープを安全かつ効率的に保守管理することを目的として, ワイヤロープが使用される機械要素及び使用環境ごとに, 検査の要点を分類したクレーン協会規格であるこの規格は, ワイヤロープの点検管理だけでなく, ワイヤロープの経年劣化に影響する機械要素の点検管理方法を含んでいるまた, 点検管理者が, 点検するクレーンに該当する部分だけを参照することも考慮し, 点検項目が重複する場合も省略せず, あえて全文記載することとする 2 適用範囲この規格は, クレーン等に使用されるワイヤロープのうち, 動索及び静索に適用する玉掛ワイヤロープや控えのガイロープ等, クレーンを構成しないワイヤロープには適用しない 3 引用規格次に掲げる規格は, この規格に引用されることによって, この規格の規程の一部を構成するこの引用規格は, その最新版 ( 追補を含む ) を適用する a) 日本クレーン協会 (JCA) 規格クレーン等に使用されるワイヤロープの保守, 点検及び廃棄基準 b) JIS B 8836:2007 クレーン -ワイヤロープ- 取扱い, 保守, 取付け, 検査及び廃棄 4 ワイヤロープの用途別点検管理要領 4.1 動索ドラムドラムの表面に摩耗や条痕など不具合があるとワイヤロープが損傷するため, ワイヤロープの点検管理には, ドラムの適切な点検管理が不可欠であるそこで, この規格では, ドラムの点検管理方法を規定する単層巻き 1

a) ドラムとワイヤロープの接触部の点検地切り時にワイヤロープがドラムとドラム近傍のシーブに接触する箇所は, 急激な荷重変動や摩擦, 曲げによりワイヤロープが損傷しやすいため,

亀裂, 変形が存在するとワイヤロープが損傷するため, ドラムの外観目視点検を行う目視点検の際は, ワイヤロープの巻取り状況を確認し, 乱巻き, ゆるみ等によって,

ドラム目視点検図 4-2 ロープピッチ間の山摩耗の点検 c) ドラム条痕の点検ドラムに条痕がある場合, ワイヤロープの素線切れの要因となるので, ワイヤロープを繰り出した後,

d) ドラムの溝の摩耗計測ドラムの異常摩耗, 条痕を発見した場合には, ドラムに付着しているグリース全体を除去し, 異常範囲を確認するまた, ノギス等にて溝深さの計測を行い,

2 a) ドラムとワイヤロープの接触部の点検地切り時にワイヤロープがドラムとドラム近傍のシーブに接触する箇所は, 急激な荷重変動や摩擦, 曲げによりワイヤロープが損傷しやすいため, 入念に目視点検を行う特に同じ荷役作業を繰り返し行う場合は, ワイヤロープの同一箇所が損傷を受ける可能性が高いため, 特に注意する b) ドラムの外観目視点検ドラムに摩耗, 欠損, 亀裂, 変形が存在するとワイヤロープが損傷するため, ドラムの外観目視点検を行う目視点検の際は, ワイヤロープの巻取り状況を確認し, 乱巻き, ゆるみ等によって, ドラム及びドラム周囲にワイヤロープの痕が付着していないか確認するドラムのツバ部のき裂の有無を確認する溝表面におけるロープピッチ間の山がとがっていないか確認する図 4-1 ドラム目視点検図 4-2 ロープピッチ間の山摩耗の点検 c) ドラム条痕の点検ドラムに条痕がある場合, ワイヤロープの素線切れの要因となるので, ワイヤロープを繰り出した後, ドラムに付着したグリースをウエス及び洗浄液にて除去し, 溝表面を露出させた上で, 目視, 触診にて条痕の有無を確認する図 4-3 ドラムのグリース除去図 4-4 ドラム条痕目視点検 d) ドラムの溝の摩耗計測ドラムの異常摩耗, 条痕を発見した場合には, ドラムに付着しているグリース全体を除去し, 異常範囲を確認するまた, ノギス等にて溝深さの計測を行い, 管理値との比較を行う条痕の場合は, 一般部と条痕部との溝深さの差異を求め, 管理値との比較を行うなお, 溝深さの計測において, ロープピッチ間の山の摩耗により, 正確な溝摩耗の数値が求められない場合は, ドラムの直径を計測し, 溝深さを算出する 2

3 図 4-5 ドラム条痕図 4-6 ドラム溝摩耗計測 e) ワイヤロープの点検低速動作停止を繰り返しながら, 目視にて素線の断線, キンク, 形崩れ, うねり, 腐食, 摩耗, 乱巻きの有無を確認する更に, ウエス等でワイヤロープを拭きながら, 触診にて素線切れの有無を確認する図 4-7 ワイヤロープの目視点検図 4-8 ワイヤロープの触診点検 f) ワイヤロープの直径計測ワイヤロープの直径を計測し, 交換基準に達していないか確認する図 4-9 ワイヤロープ直径計測図 4-10 ワイヤロープ直径計測 g) ワイヤロープ使用期間 ( 前回交換時期 ) の確認ワイヤロープの使用期間に指定がある場合は, 前回の交換時期を確認し, 所定の使用期間を超過していないか確認する所定の使用期間を超過している場合は, 速やかに交換するまた, ワイヤロープの適切な使用期間は使用環境により異なるので, 交換したワイヤロープを製造者に送付し, 破断強度, 素線切れ及び素線の摩耗状態, 錆及び油脂の状態等を検査することで使用者が次の交換時期を決定する方法がある 3

図 4-11 ワイヤロープ使用期間 ( 前回の交換時期の表示 ) h) 給脂間隔及び油脂の適正化目視にてワイヤロープ表面の油切れ発生の有無を確認するまた, ドラム溝表面にグリースが付着しているか確認する給脂実施記録等により,

定期的に給脂するとともに, 交換時期については製造者に相談すること図 4-12 グリース塗布不足図 4-13 グリース塗布状況 i) ロープシフター及びガイドローラの状況停止状態時に目視にてロープシフター及びガイドローラの摩耗, 劣化状況を確認するとともに,

ジブを下限まで伏せ, 余巻が2 巻以上残っている事を確認するまた, エンドレスウインチの場合はトロリの先端, 後端において片側の余巻が2 巻以上残っている事を確認する k)

4 図 4-11 ワイヤロープ使用期間 ( 前回の交換時期の表示 ) h) 給脂間隔及び油脂の適正化目視にてワイヤロープ表面の油切れ発生の有無を確認するまた, ドラム溝表面にグリースが付着しているか確認する給脂実施記録等により, 給脂間隔が製造者の取扱説明書に記載されている場合は, その間隔で実施されているか, 油脂の種類が製造者の取扱説明書に記載されたものと同等かどうか確認するまた, 使用頻度が非常に尐ない場合や長期間使用されていない場合, 内部油脂が枯渇して内部断線が起こることがある定期的に給脂するとともに, 交換時期については製造者に相談すること図 4-12 グリース塗布不足図 4-13 グリース塗布状況 i) ロープシフター及びガイドローラの状況停止状態時に目視にてロープシフター及びガイドローラの摩耗, 劣化状況を確認するとともに, 触診にて回転不良, ガタツキ等がないか確認するまた, 低速及び高速動作時にロープ外れ止めの動きに異常がないか確認する j) 余巻の管理巻上ワイヤロープはジブを上限まで起こした後, フックを下限まで巻下げ, 余巻が2 巻以上残っている事を確認する起伏ワイヤロープの場合は, ジブを下限まで伏せ, 余巻が2 巻以上残っている事を確認するまた, エンドレスウインチの場合はトロリの先端, 後端において片側の余巻が2 巻以上残っている事を確認する k) ワイヤロープ押えボルト部の緩み止め施工の状況確認及び増締めクランプ止めは固定ボルトのゆるみが無いことを確認し, 必要に応じて増し締めを行うボルトの緩みやワイヤロープのずれは, ボルトへのマーキング, ワイヤロープ押えプレートからワイヤロープ突出長を計測するなどして管理するなお, 製造者の取扱説明書に固定ボルトの締付トルクが指定されている場合は, 指定のトルクで締付け, 点検の際は締付トルクを確認するコッタ止めは, 緩みやずれが無いことを確認する 4

曲げによりワイヤロープが損傷しやすいため, 入念に目視点検を行う特に同じ荷役作業を繰り返し行う場合は, ワイヤロープの同一箇所が損傷を受ける可能性が高いため, 特に注意する b)

列飛び等によって, ドラム及びドラム周囲へのワイヤロープ痕が付着していないか確認するドラムのツバ部にき裂がないか確認するドラムのツバ部とワイヤロープの接触部に摩耗,

5 図 4-14 ワイヤロープ押えボルトの増締め図 4-15 ボルトのクランプ止め状況多層巻き a) ドラムとワイヤロープの接触部の点検地切り時にワイヤロープがドラムとドラム近傍のシーブに接触する箇所は, 急激な荷重変動や摩擦, 曲げによりワイヤロープが損傷しやすいため, 入念に目視点検を行う特に同じ荷役作業を繰り返し行う場合は, ワイヤロープの同一箇所が損傷を受ける可能性が高いため, 特に注意する b) ドラムの外観目視点検ドラムに摩耗, 欠損, 亀裂, 変形が存在するとワイヤロープが損傷するため, ドラムの外観目視点検を行うその際, ワイヤロープの巻取り状況を確認し, 乱巻き, 列飛び等によって, ドラム及びドラム周囲へのワイヤロープ痕が付着していないか確認するドラムのツバ部にき裂がないか確認するドラムのツバ部とワイヤロープの接触部に摩耗, 損傷がないか確認する多層巻きドラムの場合は, 特に, ワイヤロープを繰り出した時に下層のワイヤロープに損傷がないか確認する図 4-16 多層巻きドラムの外観目視点検図 4-17 ドラム溝摩耗計測 c) ワイヤロープの目視点検低速動作停止を繰り返しながら, 目視にて素線の断線, キング, 形崩れ, うねり, 腐食, 摩耗, 乱巻きの有無を確認する更に, ウエス等でワイヤロープを拭きながら, 触診にて素線切れの有無を確認するリーバスドラムのクロスオーバ部では, ワイヤロープの食い込みつぶれ形崩れ等で素線切れが発生しやすいため, 特に注意して素線切れを確認するワイヤロープの列変わり段変わり部の摩耗も発生しやすいので, 摩耗, 形崩れ, 素線切れの有無を確認する 5

高揚程の場合は, フックの回転や絡みつきの有無を確認する絡みつきが発生した場合はワイヤロープを完全に緩めて, ワイヤロープ端末で回転を与え, 撚りの矯正が順次ドラム側へ移動するようにフックの巻上げ巻下げを繰り返し, ワイヤロープをなじませる

ワイヤロープ使用期間 ( 前回交換時期 ) の確認ワイヤロープの使用期間に指定がある場合は, 前回の交換時期を確認し, 所定の使用期間を超過していないか確認する所定の使用期間を超過している場合は, 速やかに交換するなお,

給脂間隔及び油脂の適正化目視にてワイヤロープ表面の油切れ発生の有無を確認するまた, ドラム溝表面にグリースが付着しているか確認する給脂実施記録等により, 給脂間隔が製造者の取扱説明書に記載されている場合は, その間隔で実施されているか,

6 高揚程の場合は, フックの回転や絡みつきの有無を確認する絡みつきが発生した場合はワイヤロープを完全に緩めて, ワイヤロープ端末で回転を与え, 撚りの矯正が順次ドラム側へ移動するようにフックの巻上げ巻下げを繰り返し, ワイヤロープをなじませるクライミング式ジブクレーンでは, ジブを上限まで起こした後, フックを下限まで巻下げた状態で点検を行う図 4-18 クロスオーバ部の目視点検 d) ワイヤロープの直径計測ワイヤロープの直径を計測し, 交換基準に達していないか確認する e) ワイヤロープ使用期間 ( 前回交換時期 ) の確認ワイヤロープの使用期間に指定がある場合は, 前回の交換時期を確認し, 所定の使用期間を超過していないか確認する所定の使用期間を超過している場合は, 速やかに交換するなお, ワイヤロープの適切な使用期間は使用環境により異なるので, 交換したワイヤロープを製造者に送付し, 破断強度, 素線切れ及び素線の摩耗状態, 錆及び油脂の状態等の検査することで, 使用者が次の交換時期を決定する方法がある f) 給脂間隔及び油脂の適正化目視にてワイヤロープ表面の油切れ発生の有無を確認するまた, ドラム溝表面にグリースが付着しているか確認する給脂実施記録等により, 給脂間隔が製造者の取扱説明書に記載されている場合は, その間隔で実施されているか, 油脂の種類が製造者の取扱説明書に記載されたものと同等かどうか確認するまた, 使用頻度が非常に尐ない場合や長期間使用されていない場合, 内部油脂が枯渇して内部断線が起こることがある定期的に給脂するとともに, ワイヤロープの交換時期については製造者に相談すること図 4-19 給脂状況 6

g) ロープシフター及びガイドローラとの状況停止状態時に目視にてロープシフター及びガイドローラの摩耗, 劣化状況を確認するとともに, 触診にて回転不良,

ガイドローラの例 h) 余巻の管理巻上ワイヤロープはジブを上限まで起こした後, フックを下限まで巻下げ, 余巻が2 巻以上残っている事を確認する

ワイヤロープ交換時の地巻きの適正化ワイヤロープの寿命に影響を与えるため, 適正な荷重 ( 通常, ワイヤロープ破断荷重の2% 程度 ) にて地巻きを行う

ワイヤロープ押えボルト部の緩み止め施工の状況確認及び増締めクランプ止めは固定ボルトのゆるみが無いことを確認し, 必要に応じて増し締めを行う

7 g) ロープシフター及びガイドローラとの状況停止状態時に目視にてロープシフター及びガイドローラの摩耗, 劣化状況を確認するとともに, 触診にて回転不良, ガタツキ等がないか確認するまた, 低速及び高速動作時にロープ外れ止めの動きに異常がないか確認する図 4-20 ロープシフターの例図 4-21 ガイドローラの例 h) 余巻の管理巻上ワイヤロープはジブを上限まで起こした後, フックを下限まで巻下げ, 余巻が2 巻以上残っている事を確認する起伏ワイヤロープの場合は, ジブを下限まで伏せ, 余巻が2 巻以上残っている事を確認する i) ワイヤロープ交換時の地巻きの適正化ワイヤロープの寿命に影響を与えるため, 適正な荷重 ( 通常, ワイヤロープ破断荷重の2% 程度 ) にて地巻きを行う地巻きの実施方法は, 製造者の取扱説明書を参照するか, クレーン製造者に確認する j) ワイヤロープ押えボルト部の緩み止め施工の状況確認及び増締めクランプ止めは固定ボルトのゆるみが無いことを確認し, 必要に応じて増し締めを行うボルトの緩みやワイヤロープのずれは, ボルトへのマーキング, ワイヤロープ押えプレートからワイヤロープ突出長を計測するなどして管理するなお, 製造者の取扱説明書に固定ボルトの締付トルクが指定されている場合は, 指定のトルクで締付け, 点検の際は締付トルクを確認するコッタ止めは, 緩みやずれが無いことを確認する図 4-22 ワイヤロープ押え部例 7

4.1.2 シーブシーブに表面の摩耗や回転不良など不具合があるとワイヤロープが損傷するため, ワイヤロープの点検管理には,

1 スチールシーブ a) シーブの外観点検シーブに付着しているグリースをウエス及び洗浄液にて除去し, 溝表面を露出させた上で, 目視,

シーブの動きの異常の有無を確認するこのとき, 作動中回転している状況を目視にて確認できるように, シーブにスポーク状の塗装をしておくと良い

可能な限りシーブに付着しているグリースを除去し, 異常状況を確認するまた, ノギス等にて溝深さの計測を行い, 管理値との比較を行う

8 4.1.2 シーブシーブに表面の摩耗や回転不良など不具合があるとワイヤロープが損傷するため, ワイヤロープの点検管理には, シーブの適切な点検管理が不可欠であるそこで, この規格では, シーブの点検管理方法を規定するスチールシーブ a) シーブの外観点検シーブに付着しているグリースをウエス及び洗浄液にて除去し, 溝表面を露出させた上で, 目視, 触診にて条痕の有無を確認するまた, 停止時に触診にてシーブ部のガタツキを確認するとともに, 低速及び高速動作時に目視にて, 回転不良, シーブの動きの異常の有無を確認するこのとき, 作動中回転している状況を目視にて確認できるように, シーブにスポーク状の塗装をしておくと良い図 4-23 スチールシーブの条痕例 b) シーブの溝の摩耗計測シーブの異常摩耗, 偏摩耗, 条痕を発見した場合には, 可能な限りシーブに付着しているグリースを除去し, 異常状況を確認するまた, ノギス等にて溝深さの計測を行い, 管理値との比較を行う条痕の場合は, 一般部と条痕部との溝深さの差異を求め, 管理値との比較を行う継続的な経過観察する上で, シーブ溝上端にポンチ打撃や塗装等のマーキングを行い, 定位置測定が可能となるようにしておくとよい図 4-24 シーブの溝の摩耗計測 8

c) シーブ軸受の給脂間隔及び油脂の適正化給脂実施記録等により, 給脂間隔が製造者の取扱説明書に記載されている場合は, その間隔で実施されているか,

目視にて素線の断線, キング, 形崩れ, うねり, 腐食, 摩耗, 乱巻きの有無を確認するさらに, ウエス等でワイヤロープを拭きながら, 触診にて素線切れの有無を確認する

ワイヤロープの直径計測ワイヤロープの直径を計測し, 交換基準に達していないか確認する図 4-25

9 c) シーブ軸受の給脂間隔及び油脂の適正化給脂実施記録等により, 給脂間隔が製造者の取扱説明書に記載されている場合は, その間隔で実施されているか, 油脂の種類が製造者の取扱説明書に記載されたものと同等かどうか確認するなお, 給脂状況を確認する上で, 排出グリースの清掃が行われていると解りやすい d) ワイヤロープの点検低速動作停止を繰り返しながら, 目視にて素線の断線, キング, 形崩れ, うねり, 腐食, 摩耗, 乱巻きの有無を確認するさらに, ウエス等でワイヤロープを拭きながら, 触診にて素線切れの有無を確認するワイヤロープ緩み時にワイヤロープ外れ止め等の部材と過度な干渉が無いか確認する緩み, ワイヤロープ外れ等が頻繁にある場合には, 過度な横引き運転等が行われていないかを確認する e) ワイヤロープの直径計測ワイヤロープの直径を計測し, 交換基準に達していないか確認する図 4-25 ワイヤロープの直径計測ナイロンシーブ a) シーブの外観目視点検シーブに付着しているグリースをウエス及び洗浄液にて除去し, 溝表面を露出させた上で, 目視, 触診にて条痕の有無を確認するまた, 停止時に触診にてシーブ部のガタツキを確認するとともに, 低速及び高速動作時に目視にて, 回転不良, シーブの動きの異常の有無を確認するこのとき, 作動中回転している状況を目視にて確認できるように, シーブにスポーク状の塗装をしておくと良い図 4-26 スポーク状の塗装 9

b) シーブの溝の摩耗計測シーブの異常摩耗, 偏摩耗, 条痕を発見した場合には, 可能な限りシーブに付着しているグリースを除去し, 異常状況を確認するまた, ノギス等にて溝深さの計測を行い, 管理値との比較を行う条痕の場合は, 一般部と条痕部との溝深さの差異を求め, 管理値との比較を行う継続的な経過観察する上で, シーブ溝上端にポンチ打撃や塗装等のマーキングを行い,

10 b) シーブの溝の摩耗計測シーブの異常摩耗, 偏摩耗, 条痕を発見した場合には, 可能な限りシーブに付着しているグリースを除去し, 異常状況を確認するまた, ノギス等にて溝深さの計測を行い, 管理値との比較を行う条痕の場合は, 一般部と条痕部との溝深さの差異を求め, 管理値との比較を行う継続的な経過観察する上で, シーブ溝上端にポンチ打撃や塗装等のマーキングを行い, 定位置測定が可能となるようにしておくとよい c) シーブ軸受の給脂間隔及び油脂の適正化給脂実施記録等により, 給脂間隔が製造者の取扱説明書に記載されている場合は, その間隔で実施されているか, 油脂の種類が製造者の取扱説明書に記載されたものと同等かどうか確認するなお, 給脂状況を確認する上で, 排出グリースの清掃が行われていると分かりやすい図 4-27 グリース給油口 d) ワイヤロープの点検低速動作停止を繰り返しながら, 目視にて素線の断線, キング, 形崩れ, うねり, 腐食, 摩耗, 乱巻きの有無を確認する更に, ウエス等でワイヤロープを拭きながら, 触診にて素線切れの有無を確認する鋼心ワイヤロープを使用している場合は, ストランドと鋼心の金属接触により, 摩耗粉が発生していないか確認する摩耗粉が生じていた場合, 内部断線が発生している可能性があるので, 製造者に相談することが必要であるスチールシーブと異なり, ナイロンシーブの場合, ワイヤロープの外側の素線の損傷が尐なくても, 内部の損傷が進行していることがあるため, この場合も製造者に相談し, 念入りの点検管理が必要である e) ワイヤロープの直径計測ワイヤロープの直径を計測し, 交換基準に達していないか確認するエコライザシーブ a) シーブの点検エコライザシーブは損傷や回転の状況が確認しづらいので, 定期的にシーブを通るワイヤロープを緩め, シーブを手で回し, 回転不良 ( ひっかかり ), 異音, ゴリゴリ感の有無, ガタツキの異常の有無を確認する異常がある場合は, シーブベアリングの交換等の補修を行うなお定期的にシーブを緩めることができない場合は, ワイヤロープ交換時に, シーブの作動点検を行う 10

図 4-28 エコライザシーブの点検及び条痕例 b) シーブ軸受の給脂間隔及び油脂の適正化給脂実施記録等により, 給脂間隔が製造者の取扱説明書に記載されている場合は, その間隔で実施されているか,

目視にて素線の断線, キング, 形崩れ, うねり, 腐食, 摩耗, 乱巻きの有無を確認する更に, ウエス等でワイヤロープを拭きながら, 触診にて素線切れの有無を確認する定期的にシーブを緩めることができない場合は,

交換したワイヤロープを製造者に送付し, 破断強度, 素線切れ及び素線の摩耗状態, 錆及び油脂の状態等を検査することで, 使用者が次の交換時期を決定する方法がある 4.1.3

11 図 4-28 エコライザシーブの点検及び条痕例 b) シーブ軸受の給脂間隔及び油脂の適正化給脂実施記録等により, 給脂間隔が製造者の取扱説明書に記載されている場合は, その間隔で実施されているか, 油脂の種類が製造者の取扱説明書に記載されたものと同等かどうか確認するなお, 給脂状況を確認する上で, 排出グリースの清掃が行われていると解りやすい c) ワイヤロープの点検定期的にシーブを通るワイヤロープを緩め, 目視にて素線の断線, キング, 形崩れ, うねり, 腐食, 摩耗, 乱巻きの有無を確認する更に, ウエス等でワイヤロープを拭きながら, 触診にて素線切れの有無を確認する定期的にシーブを緩めることができない場合は, 使用期間を指定し, 前回交換時期を確認し, 所定の使用期間を超過していないかどうか確認する所定の使用期間を超過している場合は, 速やかに交換するなお, ワイヤロープの適切な使用期間は使用環境により異なるので, 交換したワイヤロープを製造者に送付し, 破断強度, 素線切れ及び素線の摩耗状態, 錆及び油脂の状態等を検査することで, 使用者が次の交換時期を決定する方法がある端末部合金詰めソケット止めワイヤロープの端末加工部の点検目視により端末加工部の損傷, 割れの有無を確認するソケット加工 ( 合金止め加工 ) は, 曲げによる素線切れが発生しやすいので, 触診により素線切れの有無を確認するまた, 素線の腐食 ( 錆 ) が発生しやすいので, 目視により腐食 ( 錆 ) の有無を確認する図 4-29 合金詰めソケット止め 11

アイ部内側に素線切れがないか, 目視にて確認する図 4-30 圧縮止め ( アイ圧縮止め ) 3 コッタ止め a) 金具自体に傷, 割れ,

取り付け方向 ) の点検を行う図 4-31 コッタ止め 4 クリップを用いる方法 a) 取り付け方向, 個数が適切であるかを確認する b) ロープのすべり,

12 圧縮止めアイ部及び口元部の点検シンプルを使用している場合, シンプルの損傷, 割れ, 変形の有無を確認するまた, シンプルを使用していない場合は, アイ部内側に素線切れがないか, 目視にて確認する図 4-30 圧縮止め ( アイ圧縮止め ) コッタ止め a) 金具自体に傷, 割れ, 変形等がないか外観を点検する b) ロープのすべり, 抜けの有無を確認する c) 口元部分の素線切れを点検する d) クリップの取り付け状態 ( 緩み, 取り付け方向 ) の点検を行う図 4-31 コッタ止めクリップを用いる方法 a) 取り付け方向, 個数が適切であるかを確認する b) ロープのすべり, ボルトのゆるみについて点検するすべりやゆるみが認められる場合は規定通りのトルクで増し締めを行う c) 素線切れの点検する特にボルトの U 字側は応力集中により断線が発生しやすいため, 重点的に点検する図 4-32 クリップ止め圧縮止め ( スエージ加工 ) a) 金具自体のキズ, 割れ, 変形等がないか点検する 12

b) 口元部分の素線切れを点検する図 4-33 圧縮止め ( スエージ加工 ) 4.1.3.6 分割ソケット ( ボタンソケット ) a) 圧縮止めや合金加工の口元部に, 断線すべり抜けがないか確認する b) ソケット本体および加工部の損傷状況を確認する c) ソケット本体と加工部の嵌め合せに異常がないか点検する図 4-34 分割ソケット ( ボタンソケット ) 4.

ワイヤロープ端末部の断線や損傷の有無を念入りに行う c) 開索検査により内部断線の有無を検査する方法は, 太径のため, 健全な状態に戻すことが難しく, 推奨しない d) ワイヤロープ製造者によって交換時期が指定されている場合は, 前回交換時期を確認し, 所定の使用期間を超過していないかどうか確認する所定の使用期間を超過している場合は, 速やかに交換する交換時期が指定されている場合は,

13 b) 口元部分の素線切れを点検する図 4-33 圧縮止め ( スエージ加工 ) 分割ソケット ( ボタンソケット ) a) 圧縮止めや合金加工の口元部に, 断線すべり抜けがないか確認する b) ソケット本体および加工部の損傷状況を確認する c) ソケット本体と加工部の嵌め合せに異常がないか点検する図 4-34 分割ソケット ( ボタンソケット ) 4.2 静索 ( ジブクレーン, 移動式クレーン等のペンダントロープ ) a) ペンダントロープは, 一般的に太径のワイヤロープが使用されることが多く, 使用中の日常点検により不具合を見つけるのは難しいことから, クレーンの整備時や年次の定期点検時に入念な点検を行う b) 整備時や定期点検時に目視によって断線等の損傷の有無を確認する際は, 加工部や金具部, ワイヤロープ端末部の断線や損傷の有無を念入りに行う c) 開索検査により内部断線の有無を検査する方法は, 太径のため, 健全な状態に戻すことが難しく, 推奨しない d) ワイヤロープ製造者によって交換時期が指定されている場合は, 前回交換時期を確認し, 所定の使用期間を超過していないかどうか確認する所定の使用期間を超過している場合は, 速やかに交換する交換時期が指定されている場合は, ロープテスター等で内部断線の有無を確認するとよいしかし, ワイヤロープ端末部の断線を検出することは難しいことをよく認識しておくことが重要である組立解体を繰り返すものは整備時に点検するのがよい e) ペンダントロープの端部金物に製造年月の刻印を打っておくことが望ましいまた, クレーン製造者の定める交換時期と照合し, 定期的交換を行う管理方法もある f) 給脂実施記録等によりクレーン製造者の取扱説明書に記載されている場合は, その給脂間隔で実施 13

14 されているか, 油脂の種類がクレーン製造者の取扱説明書に記載されたものと同等かどうか確認する 4.3 その他点検後の交換基準は, 日本クレーン協会 (JCA) 規格 0501 クレーン等に使用されるワイヤロープの保守, 点検及び廃棄基準に従う 5 使用環境別点検管理要領 5.1 屋内埃粉じん環境グリースの劣化外観の状況グリースに埃, 粉じんが大量に付着するとグリースの固化につながるとともに, 素線の状況が見えなくなるため, 定期的に埃粉じんをふき取り, 補給用グリースを塗布する多湿高温環境 ( 製紙工場, メッキ工場, 製鉄所等 ) a) 腐食グリースの劣化腐食の状況を注意して点検し, グリースが枯渇してきているものは, 表面の錆等を除去し, 補給用グリースを塗布する b) 錆の状況錆の状態で, ピッチング ( あばた状の錆 ) が発生しているものは交換する c) ワイヤロープ内部の状況 ( 鋼心ワイヤロープの点検 ) 高温環境下においては, 鋼心ワイヤロープを使用する場合が多いが, 谷部や鋼心の断線については, ワイヤロープ外観での判断は難しいため, つり荷の運搬回数, 巻上回数等の操業データから交換周期を決め, 交換後にワイヤロープ製造者等で内部の状況を確認し, 次回の交換時期の参考とする低温環境 ( 冷蔵倉庫等 ) 低温環境下 (-20 以下 ) では, 一般的なグリースは固化しやすくなるため, グリースについてはワイヤロープ製造時に低温用グリースを塗布する事が重要であるが, 供用中においても定期的にグリースの状況を点検し, 低温用グリースを塗布する腐食性気体液体下の環境 ( メッキ工場等 ) 酸やアルカリ性の強い環境下での使用においては, 外観の状況をよく確認し, 定期的なグリース等の補給が必要である 5.2 屋外塩害 ( 港湾荷役, 造船所等 ) 14

15 海岸や海上で使用されるワイヤロープや海水中に浸漬するワイヤロープについては, 腐食の進行が速くなるため, 十分に外観点検を行い, 定期的なグリース補給を行う強風ワイヤロープが台風や突風等の強風によってあおりを受ける場合は, 他の異物との接触によって変形圧痕していないか点検するまた, 落雷があった場合は, 変色状況を点検し, 変色が認められる場合は交換する豪雨豪雨にさらされた場合は, 外観を点検し, グリースの流失が著しい場合は粘度の高いグリースを塗布するまた, ワイヤロープ端末部への雨水の侵入に注意し, 錆腐食状況の点検を行う氷雪氷雪の環境下で使用される場合は, 低温用グリースを使用する 5.3 その他どのような環境下でワイヤロープが使用されるかを確認し, それに適したワイヤロープ構成やワイヤロープグリースを使用する事が重要である定期的に給油するグリースについても, 環境及びワイヤロープ構成に適したグリースを選定することが重要である 15

16 JCAS XX クレーン等に使用されるワイヤロープの点検管理要領原案作成委員会ワイヤロープ委員会委員長本田尚独立行政法人労働安全衛生総合研究所委員佐々木淳一 IHI 運搬機械株式会社委員五十嵐弘行株式会社テザック神鋼ワイヤロープ前委員細見正人株式会社テザック神鋼ワイヤロープ委員茂木忠住友重機械搬送システム株式会社委員塩澤紀博株式会社日本起重機製作所委員安積耕司東京製綱株式会社委員森野徹株式会社テザックワイヤロープ委員神谷忠利日立住友重機械建機クレーン株式会社委員小島啓二鹿島建設株式会社前委員松藤敏夫鹿島建設株式会社指導岩澤俊輔厚生労働省事務局坪田章一般社団法人日本クレーン協会事務局瓜茂雄一般社団法人日本クレーン協会 16

<4D F736F F D C B835E815B81758EE58DF CC89F090E0208F4390B C52E646F63>

<4D F736F F D C B835E815B81758EE58DF CC89F090E0208F4390B C52E646F63> 昇降機遊戯施設定期検査業務基準書 196 ページから 198 ページを差し替えてご利用下さい 2 共通 (3) 主索又は鎖主索又は鎖の検査では最も摩耗若しくは摩損した部分の写真又は錆びた摩耗粉により谷部が赤錆色に見える部分を別添 1 様式に添付する必要があります要是正又は要重点点検と判定した場合には当該箇所を撮影して添付してください指摘が無い状態で最も摩耗若しくは摩損した主索 ( 部分 )