■

Transcription

1 知って得する 賢い離婚

2 知って得する 賢い離婚 目次 1. 離婚届け 2. 離婚の種類協議離婚調停離婚審判離婚認諾離婚和解離婚裁判離婚 ( 判決離婚 ) 3. 金銭問題慰謝料財産分与婚姻費用養育費 4. 離婚時の年金分割制度

3 知って得する 賢い離婚 < 離婚届 > * 離婚届けは市区町村役場の戸籍係に置いてあります 書き損じた場合を考慮して 複数枚用意した方が安心です * 離婚届けの提出先 夫婦の本籍地か 離婚届を出す時点での 夫婦いずれかの所在地の市区町村役場の戸籍係に提出します

4 知って得する 賢い離婚 * 離婚届けを出す時に必要な書類 本籍地以外に提出の場合は戸籍謄本の添付が必要です ** 但し 上記は協議離婚の場合です ** それでは 協議離婚の他にはどんなものがあるのでしょうか? また 結婚したときに購入した車は? 家は? 子供がいるのだけど 養育費は? 私は専業主婦だから 預金通帳も 家の名義も全部夫の名義なのだけど これは 一体どうなるの? いろんな疑問が湧いてくるのではないでしょうか? そんな疑問を誰に聞いたらいいの? 弁護士さんに相談するには 費用がかかってしまうし まだ 夫に離婚したい事は話していないし また 頭が痛くなってきますね

5 知って得する 賢い離婚 自己紹介が遅くなりました 私は高橋恵美子と申します 今から 8 年ほど前に離婚を致しました 離婚した当時 私には中学生を筆頭に 3 人の子供がいました 離婚後から今まで 受け取るべき金銭はざっと 計算して 1000 万円をくだりません これに 財産分与を入れたら もっとですね 実はこの金額 受け取っていないのです あの頃の私は とにかく離婚がしたい ただそれだけで頭がいっぱいで いろんな事が分からないでいたのでした 日本の離婚事情をご存知ですか? 日本では 9 割の離婚が 協議離婚 です つまり 夫婦間で話し合いがつけば 離婚できてしまうのです

6 知って得する 賢い離婚 夫婦間の知識の中だけで お互いが納得すれば離婚が成立してしまうのです 本来 請求出来る金銭を知識がないが為に請求しなくても 夫婦の話し合いがつけば 離婚が成立なのです 勿論 離婚後であっても 請求は出来るのですが それにすら 時効がある事をご存知でしょうか? 実際 私は離婚後に請求が出来る事すら知りませんでした 離婚に関わる知識が あの頃の私にあったならと 思います しかし 今となっては後の祭りです そんな あの頃の私のような人達が多い事も現実です そんな人達が少しでも救われれば また 少しでも参考になればと思い 本書を書きました 貴女の今後の人生のお役にたてれば幸いです

7 知って得する 賢い離婚 < 離婚の種類 > これは 離婚届けの右上部を拡大したものです 離婚届にも記載されている通り 離婚には協議離婚を含めて 6 種類の離婚があるのです 協議離婚 調停離婚 審判離婚 裁判離婚 ( 判決離婚 ) 認諾離婚 和解離婚 これらについて まずはご案内したいと思います

8 知って得する 賢い離婚 協議離婚 夫婦間の話し合いで決まる離婚 役場に離婚届を出すだけで もっとも手続きが簡単 * まさに離婚全体の 9 割を占めるのがこの 協議離婚 です < 離婚までの流れ > 話し合い 同意する 離婚届に署名捺印 役場に提出 受理 離婚成立 注意 協議内容は文書で残しましょう 支払いの取り決めは文書で残すようにします 統計では 文書がないと 文書がある場合の人より 一時金で半分以下 定期金でも 8 割以下しかもらっていないという現実があるのです

9 知って得する 賢い離婚 万が一協議内容通りの支払いがなされないときでも 公正証書 を作成しておくと裁判所の判決と同じ効力を持つため ただちに相手の財産に対して強制執行ができます 公証人役場に夫婦で出頭する必要はありますが 裁判に比べて手間も費用も少なくて済みます * 念書の場合は裁判を起こさないと不払いに対する強制執行は出来ないのです 一時金 短期間にまとめて支払われる財産分与 慰謝料など 定期金 定期期的に支払われる養育費など

10 知って得する 賢い離婚 調停離婚 夫婦だけでの話し合いがまとまらなければ 家庭裁判所に調停を申し出 調停委員をまじえた話し合いが家庭裁判所でおこなわれます ここで夫婦の意見がまとまれば調停離婚となります * 調停を飛ばして裁判の開始は出来ません * 必要な書類 夫婦関係調停申立書 ( 家庭裁判所に置いてある HP より プリントアウトでも可 ) 戸籍謄本 * 必要な費用 収入印紙代 1, 200 円 切手代 800 円 ( 裁判所によって若干異なる ) ** 個人で依頼した 弁護士費用や 探偵調査費用は別途

11 知って得する 賢い離婚 夫婦関係調停申立書

12 知って得する 賢い離婚

13 知って得する 賢い離婚 < 離婚までの流れ > 協議不成立 家庭裁判所に 申立書 を提出 申立書 の受理 * 受理後おおよそ 2 週間 夫婦両者に呼出状が届く * 呼出状到着後おおよそ一ヶ月 調停開始 ( 日時は裁判所が指定 ) * 調停は通常 6 ヶ月の間に 5 ~ 6 回行われます 調停成立 調停証書の作成 調停証書の謄本 離婚届の提出 * 調停成立後 10 日以内に申立人が行う 離婚成立 * 呼出状が届くまでの期間 調停開始までの期間は いずれも 裁判所の混み具合によって若干変わってきます

14 知って得する 賢い離婚 < 調停が不成立に終わる場合 > いつまでも 合意にいたらない場合 申し立てられた相手が期日に出頭しない場合 離婚には合意でも 慰謝料等について合意出来ない場合 ** 合意 互いの意思が一致すること 法律上は 当事者の意思表示が合致すること 離婚の多くは 協議離婚 調停離婚 までに決着がつくケースが多いようです これは ここまではプライバシーを尊重して 密室にて行われるのですが 裁判になると 公に晒されてしまう事と 費用がかかってしまう事が大きな理由のようです 残りの 4 つの離婚は 実情としては 非常に少ないケースです

15 知って得する 賢い離婚 審判離婚 調停がうまくいかなくても家庭裁判所が離婚すべきだと判断する場合があります それは 当事者間にわずかな意見の相違があった場合などに行われます そして これに異議がなければ審判離婚となります しかし審判がくだされる数はとても少ないのが現状です 審判が下されてから 2 週間の異議申立期間があります その間にどちらか一方から異議があれば 審判の効果は失われ 調停不成立となります 異議申し立てがなかった場合は 離婚成立となります 成立後 10 日以内に離婚届を提出する必要があります

16 知って得する 賢い離婚 認諾離婚 平成 16 年 4 月から新設された離婚方法です 離婚起訴を起こしている最中 起訴をおこされた側が起こした側の言い分を全面的に受け入れた場合 離婚が成立となります 家庭裁判所が認諾調書に 起訴を起こされた側が認諾した旨を記載する事によって 起訴を終わらせると離婚が成立します 和解離婚 平成 16 年 4 月から新設された離婚方法です 起訴の途中でも離婚の合意がなされた場合には 判決と同じ効力を持つ和解調書が作成され 離婚が成立します 和解調書に記載された慰謝料 財産分与などの支払いが滞った時には 強制執行を行う事が出来るようになります 申立人は和解離婚確定日を含め 10 日以内に和解調書謄本を添付して 離婚届けを提出する必要があります

17 知って得する 賢い離婚 裁判離婚 協議も調停もうまくいかない時は 家庭裁判所で離婚裁判を起こすことができます ここで離婚を認める判決が出れば裁判離婚になります その割合は離婚全体の 1% 程度です 但し どのような場合でも起訴を起こせるというわけではありません 下記 法定離婚事由に ひとつ以上該当しなければなりません 法廷離婚事由 配偶者の不貞行為があったとき セックスを伴う 俗にいう 不倫や浮気 一時的なものか 継続的なものか 愛情があるか ないかという事は関係ありません 配偶者に悪意で遺棄されたとき 夫婦間には 協力 扶助 同居というような義務があります それを ギャンブル等をして働かなかったり 生活費を渡さない 勝手に家を出てしまうなど 故意に義務を果たさない行為の事です

18 知って得する 賢い離婚 配偶者の生死が 3 年以上に渡って不明なとき 3 年以上に渡り配偶者からの連絡が途絶えて 生死も不明な場合を言います 7 年以上の場合には 家庭裁判所に失踪宣告の申し立てをする事が出来ます 確定すると配偶者は死亡したものとみなされ離婚が成立します * 失踪宣告生死が不明の状態が続いている場合 利害関係人の請求により 家庭裁判所が死亡したとみなす宣告の事 不明の期間は 普通の場合は 7 年 戦争 遭難などの特別な場合に於いては 1 年です 配偶者が強度の精神病で 回復の見込みがないとき 精神病になったという理由だけでは 認められません 医師の診断 それまでの介護や看護の状況 離婚後の配偶者の治療や生活などを含んで裁判官が判断します

19 知って得する 賢い離婚 その他の婚姻を継続しがたい重大な理由があるとき 性格の不一致 配偶者の親族とのトラブル 多額の借金 暴力 (DV) 宗教活動にのめり込む ギャンブルや浪費癖 性交渉の拒否等があります D V ト メスティック ハ イオレンス (deomestic violence) 配偶者 内縁関係 家族 恋人を含む近親者から受ける暴力 以上のように 一概に離婚といっても その種類は 6 種類に分かれます 圧倒的に多いのが 9 割を占める 協議離婚 なのです

20 知って得する 賢い離婚 金銭問題 離婚に絡む金銭についてご案内致します 離婚には どうしても 金銭が絡んで来ます 知らないが故に損をする事がないように 知識だけは 得ておきましょう 慰謝料 離婚成立後 3 年で請求の時効となる 慰謝料とは損害を賠償する事です 損害が無い場合には 慰謝料は発生しないのです では どんな場合に慰謝料は発生するのでしょうか? 離婚原因慰謝料 離婚の原因が相手の不法行為によって起こる場合には慰謝料の請求が出来ます 暴力や浮気 不倫等の精神的苦痛を受けた時の損害賠償 離婚原因慰謝料と言われます

21 知って得する 賢い離婚 但し 相手が浮気をしていたとしても 夫婦間が破綻した状態の場合は 離婚原因には該当しなくなる為請求が出来ません 離婚自体慰謝料 離婚という行為によって 精神的苦痛を被った場合の損害賠償 離婚自体慰謝料と言われます 但し 離婚原因で一番多い 性格の不一致 により 精神的苦痛を伴ったと主張しても 性格の不一致は慰謝料請求の対象とはなりません * 慰謝料の請求額に決まりはありません 基本的には収入や資産を加味して 当人同士の話し合いで決定します 離婚後に慰謝料を請求する場合も上記に同じです 但し 慰謝料には 3 年という時効が設けらていますので 離婚後に請求する場合は注意が必要です

22 知って得する 賢い離婚 財産分与 離婚成立後 2 年間は請求が出来る 夫婦が結婚していた期間に築き上げた財産を分けあう事です 離婚の原因には左右されず 請求が出来ます 財産分与において 対象となるもの ならないものとは どんなものでしょうか? 財産分与の対象となるもの預貯金現金不動産美術品宝石 財産分与の対象とならないもの浪費した事による借金結婚する前からの借金結婚後でも親から相続した財産時計など日常個人的にしようするもの別居後に取得した財産 自動車有価証券保険退職金 あくまで 夫婦が結婚していた期間に築き上げた財産が対象となります

23 知って得する 賢い離婚 清算的財産分与 夫が働いて収入を得て 妻が家事労働を引き受けている いわゆる専業主婦と呼ばれる夫婦の形のばあい 預貯金の名義は夫の名義である場合が多いでしょう たとえ 名義は夫の名義であったとしても 財産を築き上げたのは夫の力のみではなく 家事労働など妻の協力があったからとされ 妻は財産分与の請求が出来ます 扶養的財産分与 離婚によって 生活が不安定となってしまう側へ生活援助を行う意味での財産分与の事をいいます これは 慰謝料や清算的財産分与とは別とされています * 財産分与する金額は 基本的に夫婦間での話合いにより決めます

24 知って得する 賢い離婚 財産といっても 例えば婚姻中に家を買った場合などのように 家 というプラスになるものばかりではなく 住宅ローン などの負債の残債も含まれます 財産の対象となるものをリストアップして夫婦間で話し合います

25 知って得する 賢い離婚 婚姻費用 結婚生活に必要な費用の事です 衣食住の費用や子供の養育費 医療費など 民法において 夫婦は その資産 収入その他一切の事情を考慮して 婚姻から生ずる費用を分担する と定められています それでは どんな場合に婚姻費用の請求が出来るのでしょうか? 例えば 同居していても生活費を渡さなかったり 離婚を前提に別居した事により 生活費を渡さない場合などに婚姻費用の請求が可能となります ** 基本的に婚姻費用は夫婦間での話し合いによって決まります 金額や方法などの決まり事はありません

26 知って得する 賢い離婚 話し合いで解決しない場合 しかし 話し合いで解決しない場合は相手の住所を管轄している家庭裁判所へ 婚姻費用分担の調停申立を行う事になります 婚姻費用分担の調停申立は 離婚を決意していなくても可能です 資産や収入を考慮しての話し合いが裁判所で行われますが 調停が成立しない場合は 自動的に審判へと移行します しかし 生活に困ってしまい すぐにでもお金がどうしても必要だと言う場合 審判の申立てと一緒に審判前の保全処分を申立てる必要があります 裁判所が判断した結果により 毎月いくら支払え という 生活費の支払い命令が下されます

27 知って得する 賢い離婚 養育費 離れて暮らす親が 子供と一緒に暮らしている親に支払う 子供の為の生活費です 教育費 娯楽費などを含みます * 夫婦が離婚して他人になっても 親子の関係はなくなりません 離婚して未成年の子供がいる場合は 父親 母親ともに子供を養育する義務があります * 養育費について決める事 養育費の金額 子供が何歳の何月まで支払うのか 支払い方法 ( 毎月 日までに 銀行 へ振込む等 ) * 養育費には基準となる金額はありません 両方の親の収入や生活費 教育費等を考慮の上 話し合いで決定します また 一時金としてまとまった金額を支払う場合もあります

28 知って得する 賢い離婚 離婚時の厚生年金分割制度 厚生年金分割制度が 2007 年 4 月に施行になります 字の如く 対象は厚生年金加入者で 国民年金加入者は対象となりません 2007 年 4 月以降に離婚した夫婦で 離婚した後に支払いとなる厚生年金を 妻が最大で 1/2 まで受け取る事が可能となります 元夫が死亡した場合でも引き続き元妻は受け取りが可能です 夫婦双方が仕事をしていて 双方とも厚生年金に加入していた場合は 双方の厚生年金を合算して支給額が少ない方が最大 1/2 まで受け取れます この制度は 結婚期間に支払ってきた年金保険料が夫婦共有の財産であるという考えに基づいています

29 知って得する 賢い離婚 2008 年 4 月以降から離婚するまでの期間分の厚生年金が 専業主婦を対象として無条件に 1/2 が妻名義になります これは 2008 年 4 月以降からで それまでは 2007 年 4 月施行の制度が適応されます

30 知って得する 賢い離婚 ワンポイントアドバイス ところで 信じられないでしょうが 自分の知らない間に離婚届が提出され 離婚していたという事が起きる事があります 勿論 撤回する手段はありますが 一旦受理されてしまうと 家庭裁判所に離婚届無効の調停の申立をしないとならず 時間と手間がかかってしまいます 万が一 相手が勝手に出してしまいそうだと思うような場合は先に手立てを取りましょう それが 不受理申出書 です 不受理申出書とは 一方的に離婚届を提出されても 受理されないようにするための申出書です これを役所に届けておくと 勝手に離婚届が受理される事はありません 但し 効力は 6 ヶ月間と期間が定められていますので それ以上の場合は再提出が必要になります

31 知って得する 賢い離婚 << 最後に >> 離婚を決意したのであれば 今後の事を考えても自分に不利にならないように 相手のいいなりにならないように きちんと話し合いをしたいものです 離婚後に請求が出来るとしても 金銭に関しては時間がたてばたつほど こじれたり 話が進まない事が多いのです まして 離婚後はそれぞれの生活が始まり こじれたからといって 調停にかける時間もなかなか取れなくなっていく事も現実なのです 離婚時の話し合いで 全てクリア出来るのがベストですね その為にも 知識を得ておく事は自己防衛の為にも必要だと思います

32 知って得する 賢い離婚 離婚成立と共に 全ての問題がクリアになり 心置きなく 新しい生活を踏み出せる 是非ともそんな風にしたいものです 貴女の今後の人生が充実したものでありますように 心からお祈り致します 貴女が心から笑って生きて行く人生の 少しでもお役に立てたなら 嬉しく思います 最後までお読み頂きましてありがとうございました