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1 平成 28 年度 質の高いインフラシステム海外展開促進事業 海外進出拠点整備事業 フィリピン共和国ミンダナオ島における インフラ整備に係る調査事業 報告書 平成 29 年 3 月 経済産業省 委託先 : 新日本有限責任監査法人

2 目次はじめに... 1 第 1 章ミンダナオに関する基礎情報 ミンダナオにおける近年の歴史と今後の見通し フィリピンの基礎情報とミンダナオの位置づけ ミンダナオにおける近年の歴史 日 フィリピン首脳会談の内容 貿易 投資動向および産業別セクター動向 ポテンシャルのある産業 ミンダナオの特徴と比較優位性 ミンダナオの貿易 投資動向 各地域別の貿易 投資動向 各地域別の現在の主要産業 今後ポテンシャルのある産業 ポテンシャルのある産業分野の関連企業および想定されるインフラニーズ ポテンシャルのある産業分野の企業群 ( 進出可能性のある企業セクター ) 上記進出可能性のある分野の企業に必要とされるインフラニーズ 日系企業の進出動向と今後の進出可能性の高い地域 都市 日系企業の進出動向 日系企業の進出可能性の高い地域 都市 日系企業進出のための課題 第 2 章ミンダナオにおけるインフラ整備状況および今後の計画 ミンダナオのインフラ整備計画およびその整備状況 関連する計画の全体像および計画一覧 ミンダナオ 2020 の概要 政府関係組織 人員体制 予算 中央政府 地方政府 各自治体の関係図 主要な関係組織の人員体制および予算 関連法規 規程 政策 制度 インフラ整備に関する制度 規程等 ( 全般 ) インフラ整備に関する制度 規程等 ( セクター別 ) PPP 制度 ( 含む法律 政令 組織 ) およびその運用状況 PPP 制度の概要 PPP 適用可能セクター PPP 事業の実施状況とパイプライン フィリピンにおける PPP の課題 本邦インフラ関連企業のパートナー候補企業 各国の事業展開状況 第 3 章インフラ整備の現状 課題および優先プロジェクト... 53

3 3.1 各都市別の状況 ダバオ カガヤンデオロ ジェネラルサントス ブトゥアン スリガオ ( カラガ地域 ) ミンダナオ全体でのプロジェクトの実施 計画状況 優先プロジェクト 基本的考え方 開発戦略 優先プロジェクトリスト 第 4 章フィリピンおよびミンダナオにおける電力セクターの基礎情報 現状 課題 電力セクターの現状と課題 フィリピン全体 ミンダナオ 今後の計画 フィリピン全体 ミンダナオ フィリピンおよびミンダナオの電力セクターにおけるインフラニーズ フィリピンおよびミンダナオにおける電力セクターのニーズ フィリピン電力セクターロードマップ 優先プロジェクトリスト 第 5 章フィリピンおよびミンダナオのインフラの課題に関する本邦技術の活用 運輸 交通 現地ニーズに適合しうる本邦技術およびその適合性検証 ミンダナオにおける有望案件リスト ( ショートリスト ) 電力 現地ニーズに適合しうる本邦技術およびその適合性検証 フィリピンにおける有望案件リスト ( ショートリスト ) 課題解決に向けたアクションプラン 第 6 章セミナー開催概要 セミナー開催の趣旨および概要 当日のアジェンダ セミナーにおける議論の概要

4 図表リスト図表 1-1 フィリピンの 3 つの地方... 2 図表 1-2 フィリピンの 3 地方 18 行政管区 81 州の構成... 3 図表 1-3 ミンダナオ地方の地理... 4 図表 1-4 ミンダナオの行政区分... 4 図表 1-5 フィリピンの気候区分... 5 図表 1-6 地域別の人口と構成比 (2015 年 )... 6 図表 1-7 各地域の一人当たり GDP(2015 年 )... 7 図表 1-8 ミンダナオ域内総生産 (GRDP)( 2015 年 )... 9 図表 1-9 ミンダナオの域内総生産 (GRDP) の内訳 (2015 年 ) 図表 1-10 ミンダナオの域内総生産 (GRDP) の内訳 (2015 年 ) 図表 1-11 農産物の生産においてフィリピン全体に占めるミンダナオの割合 (2013 年 ) 図表 1-12 フィリピンにおける生産中の鉱山 図表 1-13 ミンダナオで採掘できる鉱石の生産量 (2015 年実績 ) 図表 1-14 主な探鉱プロジェクト一覧 (2016 年 ) 図表 1-15 石炭埋蔵量概要 (2016 年 ) 図表 1-16 BIMP-EAGA の経済回廊 図表 1-17 ミンダナオの輸出入動向 ( 品目別 ) 図表 1-18 ミンダナオの投資動向 ( 産業別 )(2011 年 ~2014 年 ) 図表 1-19 累積海外直接投資額の割合 ( 産業別 ) 図表 1-20 ミンダナオの輸出入動向 ( 地域別 )(2012 年 ~2013 年 ) 図表 1-21 輸出入上位 10 カ国 (2013 年 ) 図表 1-22 ミンダナオの投資動向 ( 地域別 )(2011 年 ~2014 年 ) 図表 1-23 各地域の主要産業 図表 1-24 ポテンシャルのある産業分野に関連する既進出外資系企業 ( 例 ) 図表 1-25 業種別に必要とされるインフラニーズ 図表 1-26 主な日系企業の進出状況 (2016 年時点 ) 図表 1-27 日系企業の進出可能性の高い都市 図表 1-28 電気料金の国際比較 ( 指数 )(2015 年 ) 図表 1-29 原材料 部品の現地調達率の比較 (2016 年 ) 図表 2-1 ミンダナオのインフラ整備に関連する計画の関係図 図表 2-2 フィリピンにおける地方自治体の関係図 図表 2-3 フィリピン中央政府機関の関係図 図表 2-4 NEDA 組織図 図表 2-5 MinDA 組織図 図表 2-6 フィリピンにおけるインフラ関連の予算 (2011 年 ~2017 年 ) 図表 2-7 地域別の予算配分 (2017 年 )... 39

5 図表 2-8 NEDA 2017 年度地域配分予算 図表 2-9 フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規 制度等 ( 全般 ) 図表 2-10 フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規 制度等 ( 投資 ) 図表 2-11 フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規 制度等 ( 環境 ) 図表 2-12 フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規 制度等 ( 土地関連 ).. 43 図表 2-13 フィリピンにおけるインフラ整備に関する主な法規 制度等 ( セクター別 ) 図表 2-14 フィリピンにおける PPP 制度の概要 図表 2-15 民間が参入可能なインフラプロジェクトの分野 図表 2-16 既に建設が完了して運営を開始した案件 図表 2-17 建設中の案件 図表 2-18 これから実施されるパイプライン案件 (NEDA Board 承認済の案件 ). 49 図表 2-19 本邦インフラ関連企業のパートナー候補企業 図表 2-20 ミンダナオにおけるインフラ関連分野での他国の事業展開状況 図表 3-1 ダバオ地域 (Region XI) の産業の状況 (2013 年 ~2015 年 ) 図表 3-2 ダバオで計画されているプロジェクト (2016 年現在 ) 図表 3-3 カガヤンデオロの交通 道路整備状況 図表 3-4 北ミンダナオ地域 (Region X) の産業の状況 (2013 年 ~2015 年 ) 図表 3-5 カガヤンデオロで計画されているプロジェクト (2016 年現在 ) 図表 3-6 ジェネラルサントスの交通 インフラ施設の整備状況 図表 3-7 ジェネラルサントスで計画されているプロジェクト (2016 年現在 ) 図表 3-8 ミンダナオ島における物流インフラの整備状況 図表 3-9 有償資金協力によるカラガ地域のインフラ整備支援 (1995 年 ~2007 年 ) 図表 3-10 ミンダナオ島の地域別の域内総生産 (2014 年 ) 図表 3-11 ミンダナオ島の地域別の一人あたり GRDP(2014 年 ) 図表 3-12 カラガ地域の域内総生産 (GRDP) の内訳 (2014 年 ) 図表 3-13 フィリピンの地域別丸太生産量 (2014 年 ) 図表 3-14 カラガ地域の種類別農産物生産量と生産地 (2014 年 ) 図表 3-15 カラガ地域の州別農産物生産量 (2014 年 ) 図表 3-16 カラガ地域の種類別養殖生産額 (2014 年 ) 図表 3-17 カラガ地域の州別養殖生産額 (2014 年 ) 図表 3-18 カラガ地域の鉱業 (2012 年 ~2013 年 ) 図表 3-19 フィリピンの地域別木材加工品生産量 (2014 年 ) 図表 3-20 ブトゥアン市開発計画 (2017 年 ~2022 年 ) 図表 3-21 マサオ港の拡張計画 図表 3-22 マサオ港の拡張予定エリアの現状 図表 3-23 ナシピット港の開発マスタープラン... 79

6 図表 3-24 ナシピット港の現状 図表 3-25 各支援機関がミンダナオで実施した主なプロジェクト (2016 年時点 ). 80 図表 3-26 ミンダナオにおける主な優先プロジェクト (2016 年時点 ) 図表 3-27 ミンダナオにおいて計画中の PPP プロジェクト (2016 年時点 ) 図表 3-28 優先プロジェクトリスト ( 案 )( 都市 セクター別 ) 図表 3-29 優先プロジェクトリスト ( 案 )( 都市 セクター別 ) マップ 図表 4-1 フィリピンにおけるセクター別電力消費量の推移 (2003 年 ~2015 年 ). 89 図表 4-2 フィリピンの総発電量 (2002 年 ~2014 年 ) 図表 4-3 フィリピン国全体の電源別比率 (2014 年 ) 図表 4-4 フィリピンの電化率 (2014 年 ) 図表 4-5 電気料金の国際比較 ( インデックス )(2015 年 ) 図表 4-6 Meralco 平均料金 ( ペソ /kwh) 図表 4-7 日 比の石炭火力発電所の発電効率の差 図表 4-8 世界リスク報告 (2016 年 ) 図表 4-9 ミンダナオにおけるセクター別電力消費量の推移 (2003 年 ~2015 年 ). 94 図表 4-10 フィリピンの地方別の発電量の推移 (2003 年 ~2015 年 ) 図表 4-11 ミンダナオの総発電量 (2002 年 ~2014 年 ) 図表 4-12 ミンダナオの電源別発電量比率 (2015 年および 2017 年 ) 図表 4-13 既存の水力発電所の位置 (2016 年現在 ) 図表 4-14 既存および今後稼働予定の石炭火力発電所の位置 (2016 年現在 ) 図表 4-15 既存の地熱発電所 開発段階 開発前の段階にある地熱発電所の位置 100 図表 4-16 今後稼働予定のプロジェクト一覧 図表 4-17 ミンダナオの電化率 (2014 年 ) 図表 4-18 フィリピンの経済成長 (2016 年 ~2030 年 ) 図表 4-19 経済成長と電力消費量 (2016 年 ~2030 年 ) 図表 4-20 フィリピンの電力需給見通し (2016 年 ~2030 年 ) 図表 4-21 フィリピンの必要電力供給力 図表 4-22 ミンダナオの電力需給の見通し (2016 年 ~2030 年 ) 図表 4-23 グリッド別の必要電力供給力 (2016 年現在 ) 図表 4-24 エネルギーセクターにおける戦略的方向性 図表 4-25 電力 エネルギーセクターにおける優先プロジェクト ( 案 ) 図表 5-1 運輸交通分野の現地ニーズに適合しうる本邦技術 図表 5-2 電力エネルギー分野の現地ニーズに適合しうる本邦技術 図表 5-3 電力エネルギー分野の現地ニーズに適合しうる本邦技術 図表 6-1 セミナー光景 図表 6-2 経済産業省挨拶 MinDA 挨拶光景

7 略語集 略語 正式名称 日本語訳 ADB Asian Development Bank アジア開発銀行 AFTA ASEAN Free Trade Area アセアン自由貿易地域協定 ARMM Autonomous Region in Muslim Mindanao ムスリム ミンダナオ自治区 ASEAN Association of South East Asian Nations 東南アジア諸国連合 BIMP- Brunei-Indonesia-Malaysia-Philippines East 東アセアン成長地域 EAGA ASEAN Growth Area BOT Build, Operate and Transfer 建設 運営 移転 (PPP 事業方式の一種 ) BPO Business Process Outsourcing ビジネス プロセス アウトソーシング BRT Bus Rapid Transit バス高速輸送システム CCGT Combined Cycle Gas Turbine コンバインドサイクル発電 CEPT Common Effective Preferential Tariff 共通効果特恵関税 CIAP Construction Industry Authority of the フィリピン建設産業庁 Philippines DBM Department of Budget and Management フィリピン予算管理省 DepEd Department of Education フィリピン教育省 DOE Department of Energy フィリピンエネルギー省 DOTr Department of Transportation フィリピン運輸省 DPWH Department of Public Works and Highways フィリピン公共事業道路省 DTI Department of Trade and Industry フィリピン貿易産業省 EPIRA Electric Power Industry Restructuring Act, 電力産業改革法 2001 ERC Energy Regulatory Commission エネルギー規制委員会 FIT Feed-in Tariff 固定価格買取制度 FMB Forest Management Bureau 森林管理局 F/S Feasibility Study 実現可能性調査 FSRU Floating Storage and Re-gasification Unit 洋上気化設備 GDP Gross Domestic Product 国内総生産 GRDP Gross Regional Domestic Product 域内総生産 ICT Information and Communication Technology 情報通信技術 IEC Information,Education and Communication 普及啓発活動 IOT Internet of Things モノのインターネット IPP Independent Power Producer 独立系発電事業者

8 略語 正式名称 日本語訳 IT-BPO Information Technology Business Process Outsourcing 情報技術におけるビジネスアウトソーシング JCPC Joint Congressional Power Commission 両院合同電力委員会 JETRO Japan External Trade Organization 独立行政法人日本貿易振興機構 JICA Japan International Cooperation Agency 独立行政法人国際協力機構 JOGMEC Japan Oil, Gas and Metals National Corporation 独立行政法人石油天然ガス 金属鉱物資源機構 LCC Life Cycle Cost ライフサイクルコスト LGU Local Government Unit 地方政府 LNG Liquefied Natural Gas 液化天然ガス MBTP Mindanao Backbone Transmission Project ミンダナオ バックボーン送電系統開発プロジェクト MCT Mindanao Container Terminal ミンダナオ コンテナ ターミナル METI Ministry of Economy, Trade and Industry 経済産業省 MILF Moro Islamic Liberation Front モロ イスラム解放戦線 MinDA Mindanao Development Authority ミンダナオ開発庁 MNLF Moro National Liberation Front モロ民族解放戦線 M/P Master Plan マスタープラン MRS Mindanao Railway System ミンダナオ鉄道システム MRT Mass Rapid Transit 大量高速輸送 MW Megawatt メガワット NAIA Ninoy Aquino International Airport ニノイ アキノ国際空港 NEA National Electrification Administration 国家電化庁 NEDA National Economic And Development 国家経済開発庁 Authority NGCP National Grid Corporation of the Philippines フィリピン送電会社 NPC National Power Corporation 国営電力公社 NPC- SPUG National Power Corporation - Small Power Utilities Group 国営電力公社の地方電化向け発電会社 OD Origin-Destination 起点 終点間 ( 交通量調査 ) ODA Official Development Assistance 政府開発援助 OLA- MCTAP Operation of Laguindingan Airport-Mindanao Container Terminal Allied Projects ラギンディガン国際空港と MCT の連携プロジェクト O&M Operation and Maintenance 運営維持管理

9 略語 正式名称 日本語訳 PCAB Philippine Contractors Accreditation Board フィリピン建設業許可委員会 PAGASA Philippine Atmospheric, Geophysical and Astronomical Services Administration フィリピン大気地球物理天文局 PEZA Philippine Economic Zone Authority フィリピン経済区庁 PNOC Philippine National Oil Company フィリピン国営石油会社 PPA Power Purchase Agreement 電力購買契約 PPA Phillipine Port Authority フィリピン港湾庁 PPP Public Private Partnership 官民連携 PSA Philippine Statistics Authority フィリピン統計庁 PSALM Power Sector Assets and Liability 電力部門資産債務管理会社 Management Corporation RCOA Retail Competition and Open Access 電力小売競争とオープンアクセス SDG Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標 SEZ Special Economic Zone 経済特区 SPC Special Purpose Company 特別目的会社 STEP Special Terms for Economic Partnership 本邦技術活用条件 TEU Twenty foot Equivalent Unit 貨物容量を示す単位で 1TEU は 20 フィートコンテナ 1 個分の容量 TLA Timber License Agreement 森林伐採協定 USAID United States Agency for International 米国国際開発庁 Development VAT Value Added Tax 付加価値税 VGF Viability Gap Funding 財政補助金 WESM Wholesale Electricity Spot Market 卸売電力スポット市場

10 はじめに フィリピン共和国 ( 以下 フィリピン とする ) は 海上交通路の要衝に位置し 地政学上および地域安全保障上重要な国であり 同国の持続的発展は 今後の東アジア地域の安定と発展に資する 同国の 2015 年の国内総生産 (Gross Domestic Products: GDP) 成長率は 5.9% と経済面では好調が続くが 先行きについても高成長が期待される この期待の背景には 人口の 8 割以上が 50 歳未満と若年人口比率が高く 今後 30 年以上にわたり人口ボーナスが続くことが挙げられる このような状況下 2016 年 7 月に経済政策としてインフラ整備推進を掲げるロドリゴ ドゥテルテ (Rodrigo Roa Duterte) 大統領による政権が発足した 同大統領は 大統領就任以前 長期にわたってダバオ市長を務めており 今般の大統領就任を機に ダバオ市をはじめとしたミンダナオのインフラ開発促進が期待されている ミンダナオについては これまで長年にわたる紛争の影響で 他地域に比して経済開発が進んでいなかったが 2014 年にフィリピン政府と モロ イスラム解放戦線 (Moro Islamic Liberation Front: MILF) が包括和平に合意し 自治政府発足に向けた和平プロセスに向かいつつあり インフラ開発の高いポテンシャルを有している 本事業では こうしたポテンシャルを有するミンダナオについて調査を実施し 開発を進める上での具体的な課題を明確化した さらに これらの課題に対して 日本企業の持つ技術 ノウハウが有効であり 我が国の質の高いインフラがフィリピン経済および社会の発展に貢献し得ることを フィリピン政府との対話を通じて示した 1

11 第 1 章ミンダナオに関する基礎情報 1.1 ミンダナオにおける近年の歴史と今後の見通し フィリピンの基礎情報とミンダナオの位置づけ フィリピンおよびミンダナオの地域分類フィリピンの国土面積は日本の約 80% である約 30 万km2であり 7100 余りの島々から構成される島国である フィリピン国土は 大きく分けて マニラ首都圏を含むルソン地方 セブを含むビサヤ地方 ミンダナオ地方の3つの地方に分けられる 各地方の下には 18 の行政管区 1 があり これら行政管区の下には 81 の州 (Province) がある 図表 1-1 フィリピンの 3 つの地方 ( 出所 ) フィリピン共和国在外公館資料より引用 1 その内訳は 15 の 地域 (Region) と呼ばれる行政区に マニラ首都圏 ムスリム ミンダナオ自治区 コルティリエラ行政地域を加えた 18 管区である 2

12 ミンダナオ地方 ( 以下 ミンダナオ と記載 ) はフィリピンの南部に位置しており 6 つの地域により構成される また これら6 地域は 26 州に細分化され うち4 州は離島部に立地する なお ミンダナオ最大の島であるミンダナオ島は ルソン島に次いでフィリピンで 2 番目に大きい島である 図表 1-2 フィリピンの 3 地方 18 行政管区 81 州の構成 地方 地域 (Region) 州 (Province) 地方 地域 (Region) 州 (Province) NCR NCR アクラン アパヤオ アンティーケ カリンガ Ⅵ- 西ビサヤ カビス CAR-コルディリエラ アブラギマラスマウンテンプロビンスイロイロ イフガオ ボホール ベンゲット Ⅶ- 中部ビサヤ セブ 北イロコスシキホルビサヤ南イロコスビリラン I-イロコスラウニオン東サマル パンガシナンレイテ Ⅷ- 東ビサヤパタネス北サマル カガヤン サマル Ⅱ-カガヤンバレー イザベラ 南レイテ ヌエヴァ ヴィスカヤ東ネグロス XVIII-ネグロス島キリノ西ネグロス アウロラ 北サンボアンガ バタアン Ⅸ-サンボアンガ半島 南サンボアンガ ブラカン サンボアンガ シブガイ ルソン Ⅲ- 中部ルソン ヌエヴァ エシハ 東ミサミス パンパンガ 西ミサミス タルラック Ⅹ- 北部ミンダナオ カミギン サンバレス 北ラナオ リサール ブキドノン カビテ ダバオ Ⅳ-A カラバルソンラグナ南ダバオ XI-ダバオバタンガスコンポステラ バレー ケソン 東ダバオ 西ミンドロ南コタバトミンダナオ東ミンドロコタバト XII-ソクサージェン Ⅳ-B ミマロバマリンドゥケスルタン クダラット ロンブロン サランガニ パラワン 北アグサン 北カマリネス 南アグサン 南カマリネス XIII-カラガ 北スリガオ Ⅴ-ビコール アルバイ南スリガオカタンドゥアネスディナガット アイランズ マスバテ パシラン ソルソゴン南ラナオムスリム ミンダナオ自治区マギンダナオ (ARMM) スールー タウイタウイ ( 出所 ) フィリピン統計庁 (PSA) に基づき調査団作成 ミンダナオの中で最も人口が多い地域はダバオ地域である 続いて 北部ミンダナオ地域 ソクサージュン地域 ムスリム ミンダナオ自治区 (Autonomous Region in Muslim Mindanao: ARMM) サンボアンガ半島地域 カラガ地域の順に多くなっている ミンダナオの地理および行政区分は以下のとおりである 3

13 図表 1-3 ミンダナオ地方の地理 Region XIII Region X Region IX Region XI ARMM ( 出所 ) 調査団作成 Region XII 図表 1-4 ミンダナオの行政区分 地域州人口 (2015 年 ) 主要都市 ( 人口 ) Region IX サンボアンガ デル ノルテ州サンボアンガ市サンボアンガ半島 サンボアンガ デル スル州 3,629,783 人 (861,799 人 ) 地域 サンボアンガ シブガイ州 Region X 北部ミンダナオ地域 Region XI ダバオ地域 Region XII ソクサージュン地域 Region XIII カラガ地域 ミサミス オリエンタル州 ミサミス オクシデンタル州 カミギン州 ラナオ デル ノルテ州 ブキドノン州 コンポステラ バレー州 ダバオ州 ダバオ デル スル州 ダバオ オリエンタル州 南コタバト州 コタバト州 スルタン クダラット州 サランガニ州 アグサン デル ノルテ州 アグサン デル スル州 スリガオ デル ノルテ州 スリガオ デル スル州 ディナガット アイランズ州 バシラン州 ラナオ デル スル州 マギンダナオ州 スールー州 ARMM ムスリム ミンダナオ自治区 タウィタウィ州 ( 出所 ) フィリピン統計庁に基づき調査団作成 4,689,302 人 4,893,318 人 4,545,276 人 2,596,709 人 カガヤンデオロ市 (675,950 人 ) ダバオ市 (1,632,991 人 ) ジェネラルサントス市 (594,446 人 ) コタバト市 (299,438 人 ) ブトゥアン市 (337,063 人 ) スリガオ市 (154,137 人 ) 3,781,387 人 4

14 気候フィリピンは以下の 4 つの気候区分に分けられる Ⅰ 型 :2 つの明確な季節があり 11 月 ~4 月の乾季と 5 月 ~10 月の雨季に分けられる Ⅱ 型 : 乾季がなく 11 月 ~4 月まで非常に顕著な降雨が見られ 年間を通して湿潤である Ⅲ 型 : 季節は不明瞭で 11 月 ~4 月は比較的乾季 残りの期間は湿潤である Ⅳ 型 : 年間を通して平均的な降雨がある フィリピン大気地球物理天文局 (Philippine Atmospheric, Geophysical and Astronomical Services Administration: PAGASA) によると ミンダナオは地域により気候区分が異なる 具体的には サンボアンガ半島地域はⅡ 型 Ⅲ 型 Ⅳ 型 北部ミンダナオ地域はⅡ 型 Ⅲ 型 ダバオ地域はⅣ 型 ソクサージュン地域はⅣ 型 カラガ地域はⅡ 型 ARMM はⅢ 型に分類される 図表 1-5 フィリピンの気候区分 ( 出所 ) フィリピン大気地球物理天文局 (PAGASA) 5

15 例年 6 月 ~10 月にはフィリピン諸島北半部は頻繁に台風が上陸する これら北部地域 に比べると ミンダナオは従来 台風の上陸が少ない地域であったが 近年はダバオ地域 や北部ミンダナオ地域における台風被害が増加している 宗教外務省の基礎データによると フィリピン国民の 83% がカトリック 10% がその他のキリスト教徒であり イスラム教徒は 5% である このように フィリピンでは国民の大半がカトリックであるが ミンダナオでは人口の 2 割以上がイスラム教徒である 地域別の経済状況フィリピンの地域別人口構成をみると ルソンが 56.2% で最も大きく ミンダナオは全人口の約 4 分の 1 を占める 24.4% の人口を有している ミンダナオ内では 各地域 200 万人から 400 万人の人口から構成されており 地域ごとの差は他地方と比較して比較的小さい 図表 1-6 地域別の人口と構成比 (2015 年 ) 地方 地域 人口 2015 年 ( 千人 ) 人口構成比 2015 年 フィリピン全国 フィリピン全国 101, % 100.0% マニラ首都圏 12, % CAR-コルディリエラ 1, % I-イロコス 5, % ルソン地方 II-カガヤンバレー 3, % III- 中部ルソン 11, % 56.5% IV-A カラバルソン 14, % IV-B ミマロバ 3, % V-ビコール 6, % VI- 西ビサヤ 7, % ビサヤ地方 VII- 中部ビサヤ 7, % 19.4% VIII- 東ビサヤ 4, % IX-サンボアンガ半島 3, % X- 北部ミンダナオ 4, % ミンダナオ地方 XI-ダバオ 4, % XII-ソクサージェン 4, % 24.1% XIII-カラガ 2, % ARMM-ムスリム ミンダナオ自治区 3, % ( 出所 ) フィリピン統計局に基づき調査団作成 続いて 各地域の一人当たり GDP を見ると マニラ首都圏とその他地域との地域格差 が顕著である ミンダナオ内では ダバオ地域および北部ミンダナオ地域は比較的高いも 6

16 のの ムスリム ミンダナオ自治区の一人当たり GDP は著しく低くなっている 図表 1-7 各地域の一人当たり GDP(2015 年 ) 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 ( 単位 : ドル ) フィリピン全国マニラ首都圏 CAR-コルディリエラ I-イロコスルソン地方 Ⅱ-カガヤンバレー Ⅲ- 中部ルソン Ⅳ-A カラバルソン Ⅳ-B ミマロバ Ⅴ-ビコール Ⅵ- 西ビサヤビサヤ地方 Ⅶ- 中部ビサヤ Ⅷ- 東ビサヤ Ⅸ-サンボアンガ半島 Ⅹ- 北部ミンダナオミンダナオ地方 XI-ダバオ XII-ソクサージェン XIII-カラガ ARMM-ムスリム ミンダナオ自治区 2,880 2,881 1,742 1,481 2,343 3,205 1,453 1,025 1,560 2,558 1,307 1,610 2,411 2,498 1,701 1, ,768 ( 出所 ) フィリピン統計局に基づき調査団作成 ミンダナオにおける近年の歴史ミンダナオは 2014 年に 包括和平合意 にフィリピン政府とモロ民族解放戦線 (Moro National Liberation Front:MNLF) の間で署名されるまで長年の紛争状態にあり 民間企業の進出が思うように進まず またインフラなどの整備もルソンやビサヤに遅れをとってきた歴史がある 2003 年のハシム副議長死去後に最高指導者となったムラド イブラヒムは政府との和平路線をとり フィリピン政府からの完全な独立は要求しないと公言し フィリピン南部のイスラム教住民全体の利益のためとして 経済状況の改善 資源採掘 治安維持権限の移譲などを要求した しかし モロ イスラム解放戦線 (Moro Islamic Liberation Front: MILF) 強硬派の司令官アメリル ウンブラ カトは 2011 年に和平交渉に反対して脱退し 独自の武装組織バンサモロ イスラム自由戦士 (Bangsamoro Islamic Freedom Fighter:BIFF) を率いて武装闘争を継続している 2014 年 3 月 ベニグノ アキノ (Benigno Simeon Cojuangco Aquino III) 大統領 ( 当時 ) MILF のムラド議長および和平交渉の仲介役を務めたマレーシアのナジブ首相の立会いの下で フィリピン政府と MILF の和平交渉団長によりミンダナオ包括和平合意文書への署名が行われた これは 新たな自治政府であるバンサモロ自治政府が 2016 年に発足することおよびその基本的な枠組みを定めるものである そうした中 2016 年 7 月には 長期にわたってミンダナオのダバオ市長として活躍したドゥテルテ大統領政権が発足した 7

17 JETRO の 2016 年の報告書によると ドゥテルテ政権における政策の重点ポイントは以下の 10 点である 2 現行のマクロ経済政策の維持 インフラ関連支出の加速 : 官民連携 (Public Private Partnership: PPP) のボトルネックを解消し対 GDP 比 5% を目指す 外資誘致と競争力強化のための憲法と法律の見直し 小規模農家支援による農業開発 土地管理制度の見直し 基礎教育の強化 税制の見直し ( 効果的な徴税 ) 貧困世帯に対する条件付き現金支給プログラム (Conditional Cash Transfer: CCT) の拡充 科学技術 芸術の振興 リプロダクティブ ヘルス法の執行強化ミンダナオの今後の見通しとして 包括和平合意および経済政策としてインフラ整備推進を掲げるドゥテルテ政権により 社会経済開発およびインフラ開発は今後進展していく機運がある さらに ドゥテルテ大統領は 南部ミンダナオ島の出身であり 長年にわたってダバオ市長を務めた経験があることからも 今後ダバオ市をはじめとしたミンダナオのインフラ開発促進が期待される 日 フィリピン首脳会談の内容 2016 年のドゥテルテ政権発足以降 2016 年 10 月および 2017 年 1 月の 2 回にわたり日比首脳会談が実施された これら 2 回の首脳会談の中で 安倍晋三内閣総理大臣から ミンダナオ支援について多くのことが言及された まず 2016 年 10 月のドゥテルテ大統領初訪日にて開催された日比首脳会談では ミンダナオに関連する内容として以下の 5 点につき言及された ミンダナオ和平定着に向けて 人材育成 他地域との格差是正に貢献していく アグリビジネス促進事業 の交換公文の署名を歓迎する バンサモロ地域の電力分野の支援を早期に決定したい 長期開発計画に基づく国造りを協力したい マニラ首都圏だけでなく ダバオほか地方都市における 電力 運輸交通等のマスタープランを策定する 産業協力イニシアティブ の発出および ICT 分野の覚書の署名を歓迎する また 2017 年 1 月に安倍晋三内閣総理大臣がフィリピンを訪問した際に開催された日比 2 JETRO(2016) 日系企業の進出状況とフィリピンへの投資 ビジネスチャンス 8

18 首脳会談は ミンダナオに関連する内容として以下の 5 点につき言及された ODA および民間投資を含め 今後 5 年間でフィリピンに 1 兆円規模の支援を行う この支援のため 経済協力インフラ合同委員会 を設置し 国造りに対する官民を挙げた協力を実施していく さらに国家経済開発庁 (National Economic And Development Authority: NEDA) に専門家を派遣する 経済協力インフラ合同委員会の議論も通じて ミンダナオの平和と開発に引き続き貢献する 日本の技術と知見を活用してインフラ整備に貢献したい 具体的には 全国高速道路マスタープラン策定支援を決定した また 電力分野のアクションプランを 2017 年 3 月までにとりまとめたい ダバオ市の都市開発や洪水対策の支援調査の開始を決定した バンモサロの灌漑 道路整備調査 電力配電網整備や衛生 教育環境改善支援を近く決定する 1.2 貿易 投資動向および産業別セクター動向 ポテンシャルのある産業 ミンダナオの特徴と比較優位性 域内総生産 (Gross Regional Domestic Product: GRDP) 2015 年のミンダナオの地域別の域内総生産 (Gross Regional Domestic Product: GRDP) を示すと下表のとおりである ダバオ地域 北部ミンダナオ地域の構成比が高く これら 2 地域だけでミンダナオ地方の域内総生産の過半数を占める一方 ムスリム ミンダナオ自治区およびカラガ地域の域内総生産の構成比は低く留まっている 図表 1-8 ミンダナオ域内総生産 (GRDP)(2015 年 ) 地域 名目 GRDP ( 百万ペソ ) (2014) 名目 GRDP ( 百万ペソ ) (2015) GRDP Growth Rate(%) GRDP 構成比 (%) IX サンボアンガ半島地域 256, , % 14.0% X 北部ミンダナオ地域 485, , % 26.2% XI ダバオ地域 518, , % 28.6% XII ソクサージュン地域 351, , % 18.1% XIII カラガ地域 153, , % 8.0% ARMM ムスリム ミンダナオ自治区 104,773 99, % 5.0% 合計 1,871,029 1,969, % ( 出所 ) フィリピン統計庁に基づき調査団作成 産業 業種別構成 2015 年のミンダナオの GRDP の内訳 ( 業種別 ) を次頁の図に示す ミンダナオの域内総 9

19 生産の内訳では 農業および林業が最も多い 次に 製造業 自動車 二輪車等販売および修理の順で多い ミンダナオの産業における特徴として特筆されるのが バナナ パイナップル カカオ コーヒー コーンなどの農産物の栽培に適した豊かな土壌に恵まれ農業が盛んなことである また パームオイルや天然ゴムなどの主要な工業作物の資源が豊富なことも特徴として挙げられる 図表 1-9 ミンダナオの域内総生産 (GRDP) の内訳 (2015 年 ) 農業および林業製造業自動車 二輪車等販売および修理建設その他サービス輸送 倉庫および通信不動産 賃貸金融仲介公務および防衛 必須社会保障漁業電気 ガスおよび水道鉱業および採石 ( 千ペソ ) 421,813, ,085, ,694, ,012, ,175, ,131, ,932, ,914,269 73,252,587 70,369,931 57,354,607 27,674,185 ( 出所 ) フィリピン統計庁に基づき調査団作成 なお 上出のミンダナオ島の域内総生産を一次産業 ( 農業 林業 漁業 ) 二次産業 ( 鉱 工業 ) 三次産業 ( サービス業 ) の別で整理したのが下図である 図表 1-10 ミンダナオの域内総生産 (GRDP) の内訳 (2015 年 ) ( 出所 ) フィリピン統計庁 (PSA) に基づき調査団作成 10

20 フィリピン全体の GDP に占める一次産業の割合は 11.3% であるが ミンダナオでは 25% となっており ミンダナオでは一次産業の占める割合がフィリピン平均の 2 倍以上となっ ていることがわかる (1) 農林水産業一次産業の中でも特に農林業の占める割合が高いのは前述のとおりであるが 実際に農産物の生産においてフィリピン全体に占めるミンダナオの割合を品目別に見ても 下図のとおり全般的に高い傾向がみられる 図表 1-11 農産物の生産においてフィリピン全体に占めるミンダナオの割合 (2013 年 ) ( 出所 )MinDA まず 天然ゴムの生産においてフィリピン全体に占めるミンダナオの割合は 99.97% と 非常に高い パーム油 (90%) カカオ (89%) パイナップル (89%) バナナ (82%) コーヒー (75%) 水産養殖 (74%) も 7 割以上と高い割合を占めている (2) 鉱業また GRDP に現在占める割合としては低いものの 農産物に次ぐ主要な輸出品目である鉱物の今後の成長も期待される 特にミンダナオには豊富な鉱物資源の埋蔵が見込まれており 今後は鉱業が大きな産業となる可能性を有している なお フィリピンにおける生産中の鉱山を示したのが次頁の図である ミンダナオには スリガオ近郊のニッケル鉱山を中心に多くの鉱山が立地していることがわかる 11

21 図表 1-12 フィリピンにおける生産中の鉱山 ( 出所 )Mines and Geosciences Bureau (2016) ミンダナオの鉱山から採掘できる鉱石の生産量を示したのが下表である ミンダナオ では ニッケル酸化鉱石であるサプロライトやリモナイトおよびニッケルの生産量が多 い一方 金 銀の生産量はそれほど多くないことがわかる 図表 1-13 ミンダナオで採掘できる鉱石の生産量 (2015 年実績 ) 鉱山名場所 州鉱種生産量金 1,450kg MACO コンポステラ バレー州銀 7,947kg Taganito スリガオ デル ノルテ州サプロライト 2,656,788t リモナイト 4,369,754t Cagdianao ディナガット アイランズ州 サプロライトリモナイト 1,212,3881t 880,126t Cagdianao ディナガット アイランズ州 ニッケル ( 鉱石中量 ) 54,483t Agata North スリガオ デル ノルテ州 ニッケル ( 鉱石中量 ) 14,833t Cantilan スリガオ デル スル州 ニッケル ( 鉱石中量 ) 19,426t Tubay アグサン デル ノルテ州 ニッケル ( 鉱石中量 ) 34,130t Dinagat ディナガット アイランズ州 クロム鉄鉱 3,033dmt ( 出所 )JOGMEC(2016) 加えて ミンダナオでは 米企業 比企業および豪州企業により 金 銅を中心に探鉱プ 12

22 ロジェクトが多数実施されている これらの鉱山の開発が進めば ミンダナオの鉱業は今後 いっそう発展する可能性がある なお 現在実施されている主な探鉱プロジェクトとしては 以下のようなものがある 図表 1-14 主な探鉱プロジェクト一覧 (2016 年 ) プロジェクト企業 ( 国 ) 鉱種場所 州 King King St Augustine Gold and Copper Ltd( 米 ) 銅 金コンポステラ バレー州 Tampakan Sagittarius Mines, Inc( 比 ) 銅 南コタバト州 Silangan Philex Mining Corp( 比 ) 銅 金 スリガオ デル ノルテ州 Sibutad Philex Mining Corp( 比 ) 銅 ザンボアンガ デル ノルテ州 Tambis Medusa Mining Ltd.( 豪 ) 金 スリガオ デル ノルテ州 Saugon Medusa Mining Ltd.( 豪 ) 金 スリガオ デル ノルテ州 Lingig Medusa Mining Ltd.( 豪 ) 銅 スリガオ デル ノルテ州 Kamarangan Medusa Mining Ltd.( 豪 ) 銅 スリガオ デル ノルテ州 ( 出所 )JOGMEC(2016) また ミンダナオには 南コタバトやスリガオ等で豊富な石炭埋蔵量が見込まれており 今後の発電事業等における国内炭活用に向けた石炭開発も期待されている 図表 1-15 石炭埋蔵量概要 (2016 年 ) ( 出所 )DOE(2016) 13

23 東アセアン成長地域 (BIMP-EAGA 3 ) このような産業面での比較優位性に加えて ミンダナオの比較優位性は マレーシアおよびインドネシアと地理的に近い立地にもあると言える これらの国は 東南アジア諸国連合 (ASEAN) に加盟しながら 東アセアン成長地域 (BIMP-EAGA) といったサブリージョナルな枠組みでも広域経済協力が進められている BIMP-EAGA の経済回廊を示すと下図のとおりである 図表 1-16 BIMP-EAGA の経済回廊 ( 出所 )MinDA(2016) 2016 年 11 月 27 日 ~29 日には BIMP-EAGA の高官 閣僚会合がフィリピンで開催された ミンダナオ開発庁 (Mindanao Development Authority: MinDA) のアロント (Datu Abul Khayr Dangcal Alonto) 長官によると 貿易拡大に向けた新メカニズムの構築などがテーマとされ 運輸分野の持続性強化 貿易 投資の円滑化サービスの強化などが協議された 今後これらの国の結束が強まることで 東アセアン成長地域内における貿易拡大が期待されている ミンダナオの貿易 投資動向ミンダナオの輸出品目は農産物が上位を占めている バナナ (911 百万ドル ) およびコプラやパーム核など (773 百万ドル ) の輸出額は ミンダナオの輸出品目全体に対して約 32% を占めている また ニッケル鉱石 (639 百万ドル ) の輸出額もミンダナオの輸出品目全体に対して約 12% を占めており 主要な輸出品目である 3 BIMP は 対象国であるブルネイ インドネシア マレーシア フィリピンの 4 か国の頭文字である EAGA は 東アセアン成長地域 (East ASEAN Growth Area) の略称である 14

24 なお ミンダナオの輸出入動向 ( 品目別 ) は 下表のとおりである ( 出所 )MinDA に基づき調査団作成 図表 1-17 ミンダナオの輸出入動向 ( 品目別 ) 輸出品目 輸出額 バナナ ( 調理用バナナ フレッシュ またはドライも含む ) ココナッツ ( コプラ ) パーム核 またはババス油 ニッケル鉱石とニッケル精鉱 調理魚類または瓶詰め魚 ; キャビアおよび魚卵から調製したキャビア代替物 フルーツ ナッツおよびその他の植物の食用部分 ナツメヤシ イチジク パイナップル アボカド グアバ マンゴー マンゴスチン ( フレッシュまたはドライも含む ) 非環式アルコールおよびそれらのハロゲン化誘導体 スルホン化誘導体 ニトロ化誘導体またはニトロソ化誘導体オイルケーキおよびその他の個体残留物 ( 粉砕してあるかを問わず または植物油脂の抽出に起因するペレットの形態も含む ) ( 百万ドル ) ココナッツ ブラジルナッツ カシューナッツ ( フレッシュまたはドライも含む ) 委託品ベースで輸入された材料から製造された完成品の輸出 続いて ミンダナオの投資動向 ( 産業別 ) を示すと以下のとおりである 図表 1-18 ミンダナオの投資動向 ( 産業別 )(2011 年 ~2014 年 ) ( 百万ペソ ) 産業 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 合計 電気 ガスおよび空調 , 鉱業および採石 , 農業 林業および漁業 不動産 製造業 宿泊 サービス業 運送および倉庫 ( 出所 )MinDA に基づき調査団作成 図表 1-19 累積海外直接投資額の割合 ( 産業別 ) 2% 1% 5% 15% 13% 34% 電気 ガスおよび水道鉱業および採石農業 林業および漁業不動産製造業宿泊 サービス業運送および倉庫 30% ( 出所 )MinDA に基づき調査団作成 15

25 ミンダナオの投資動向を産業別にみると 2011 年から 2014 年の累積海外直接投資額が多い産業は 電気 ガスおよび空調である 次に 鉱業および採石業 農林水産業 不動産業 製造業 宿泊 サービス業 運送 倉庫の順で累積海外直接投資額が多い 鉱業および採石業では 2013 年の投資額が 1,774 百万ペソと突出している なお 住友金属鉱山株式会社は 三井物産株式会社およびニッケル アジア コーポレーションと共同でスリガオ デル ノルテ州タガニート地区においてニッケル製錬プロジェクトを進めており 2016 年 6 月に HPAL ニッケル製錬プラントが完成した 一方で 製造業および宿泊 サービス業の累積海外直接投資額は それぞれ 百万ペソ (5%) 93 百万ペソ (1%) と少ない これらの産業は他の産業と比べると ミンダナオにおいてはあまり発展していない 各地域別の貿易 投資動向ミンダナオの輸出動向を地域別でみると ダバオ地域 北部ミンダナオ地域 ソクサージュン地域 カラガ地域の順で輸出額が多い また 輸入動向を地域別でみると 北部ミンダナオ地域 ダバオ地域 ソクサージュン地域の順で輸入額が多い 図表 1-20 ミンダナオの輸出入動向 ( 地域別 )(2012 年 ~2013 年 ) ( 百万ドル ) 地域 輸出額輸入額 2012 年 2013 年 2012 年 2013 年 サンボアンガ半島地域 北部ミンダナオ地域 1, , , , ダバオ地域 1, , , ソクサージュン地域 , カラガ地域 合計 ( 出所 )MinDA に基づき調査団作成 2013 年の輸出入上位 10 カ国は次表のとおりである 輸出金額が最も多い国は米国であ り 中国 日本が続く 他方 輸入額が最も多い国は台湾であり 中国 米国が続く 16

26 図表 1-21 輸出入上位 10 カ国 (2013 年 ) ( 百万ドル ) 順位 輸出国 輸出金額 輸入国 輸入金額 1 米国 1, 台湾 中国 中国 日本 米国 オランダ 韓国 韓国 インドネシア ドイツ ベトナム シンガポール 日本 マレーシア マレーシア 英国 ニュージーランド アラブ首長国連邦 (UAE) シンガポール ( 出所 )MinDA に基づき調査団作成 また ミンダナオの投資動向を地域別でみると 2011 年から 2014 年までの累積海外直接投資額が最も多い地域はブトゥアン市 スリガオ市があるカラガ地域である 続いて ソクサージュン地域 ダバオ地域 北部ミンダナオ地域 サンボアンガ半島地域の順で海外直接投資額が多い 図表 1-22 ミンダナオの投資動向 ( 地域別 )(2011 年 ~2014 年 ) ( 百万ドル ) 地域 ( 主要都市 ) 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 合計 サンボアンガ半島地域 ( サンボアンガ ) 北部ミンダナオ地域 ( カガヤンデオロ ) ダバオ地域 ( ダバオ ) ソクサージュン地域 ( ジェネラルサントス ) カラガ地域 ( ブトゥアン スリガオ ) , , , ( 出所 )MinDA に基づき調査団作成 各地域別の現在の主要産業 今後ポテンシャルのある産業 ミンダナオ各地域の現在の主要産業を次図に示す 17

27 図表 1-23 各地域の主要産業 サンボアンガ半島地域 宿泊 飲食 製造 その他のサービス 運輸 倉庫 通信 個人世帯における就労者 ムスリム ミンダナオ自治区 卸売業 小売業 教育 製造 建設 公務 防衛 北部ミンダナオ地域 健康 社会福祉事業 農業 狩猟 林業 建設 運輸 倉庫 通信 製造 カラガ地域 農業 狩猟 林業 漁業 宿泊 飲食 個人世帯における就労者 運輸 倉庫 通信 ソクサージュン地域 漁業 建設 宿泊 飲食 公務 防衛 教育 ダバオ地域 農業 狩猟 林業 漁業 公務 防衛 教育 宿泊 飲食 ( 出所 )MinDA に基づき調査団作成 ミンダナオ一の大都市であるダバオ市を中心としたダバオ地域では 農業 漁業に加えてコールセンターをはじめとする情報技術分野におけるビジネスプロセス アウトソーシング (Information Technology Business Process Outsourcing: IT-BPO) の進出も増加している ブトゥアン市 スリガオ市を中心とするカラガ地域は 土壌が農業や林業に適しており また降水量も多く農作物の成長が早いことから 農業 水産養殖 林業が主要な産業である また スリガオ市周辺には鉱山が多く立地しており 鉱業が盛んである ジェネラルサントス市を中心とするソクサージュン地域は 金や銅の鉱山があり 大きなポテンシャルを有しているが 現在のところは新しい鉱山の開発が難しい状況にある また ソクサージュン地方の主要都市であるジェネラルサントス市は 漁港を有し ツナ缶製造企業も進出するなど 漁業および水産加工業が主要な産業である カガヤンデオロ市を中心とする北部ミンダナオ地域は 教育に力を入れていることもあり ダバオ同様にコールセンターを始めとする IT-BPO が主要産業として育ちつつある サンボアンガ半島地域およびムスリム ミンダナオ自治区は 豊富な天然ゴムの産地であり 農業および天然ゴムに関連した製造業が主要な産業である このように ミンダナオでは農業が主要産業となっており 農産物に付加価値をつける農産物加工分野の産業を育成することは 当地域の輸出産業育成による経済発展の観点からも有望であると考えられる 18

28 1.3 ポテンシャルのある産業分野の関連企業および想定されるインフラニーズ ポテンシャルのある産業分野の企業群 ( 進出可能性のある企業セクター ) ミンダナオでポテンシャルのある産業分野としては 前節にて示したとおり 一次産業である農林業 漁業および農産加工産業が挙げられる 具体的な事業内容としては ドライフルーツ加工 水産加工などが考えられる 農産加工業以外には 前節に示したとおり 鉱業 製造業 IT-BPO 等がポテンシャルのある産業として今後成長が期待される これらのポテンシャルのある産業において ミンダナオで既に活動している外資企業の例を次表に示す 図表 1-24 ポテンシャルのある産業分野に関連する既進出外資系企業 ( 例 ) 産業 ( 業種 ) 企業名 Sumifru (Philippine) Corporation 農業 農産加工業 Dole Philippines, Inc. 水産加工業 Fresh Del Monte Produce Incorporated Nissey Delica Corporation 等 住友金属鉱山株式会社鉱業 St Augustine Gold and Copper Ltd( 金 銅 ) Medusa Mining Ltd.( 金 銅 ) 等 Davao Central Chemical Corporation( 活性炭 ) 製造業 Philippine-Japan Active Carbon Corporation( 活性炭 ) Nakayama Technology Corporation( 建材 ) 等 Teleperformance BPO Sutherland Global Services ( コールセンター ) Convergys 等 ( 出所 ) 各種情報に基づき調査団作成 上記進出可能性のある分野の企業に必要とされるインフラニーズ企業の進出にあたって必要とされるインフラニーズは業種により異なる傾向があるが 一般的には基礎インフラとしての電力 水が挙げられることが多い 他方で 製造業や鉱業の進出に際しては 物流網としての道路 港湾の整備が重要である 特に島国のフィリピンでは 輸出に加えて国内他地域との物流網として 道路に加えて港湾の役割が大きい このような一般的に必要とされるインフラニーズについて 企業ヒアリング等に基づき業種別に整理すると次表のとおりである 図表 1-25 業種別に必要とされるインフラニーズ 産業 必要インフラ 農林業 漁業 電力 水 道路 港湾 農産加工業 電力 水 道路 港湾 鉱業 電力 道路 港湾 IT-BPO( コールセンター ) 電力 通信 ( 出所 ) 企業ヒアリング等に基づき調査団作成 19

29 1.4 日系企業の進出動向と今後の進出可能性の高い地域 都市 日系企業の進出動向外務省の海外在留邦人数調査統計によると 2016 年時点でフィリピンに進出している日系企業の総数は 1,448 社である このうち ミンダナオに進出している日系企業総数は 33 社である 業種別にみると 農業 林業 2 社 漁業 5 社 鉱業 採石業 3 社 建設業 1 社 製造業 11 社 電気 ガス 熱供給 水道業 3 社 運輸業 郵便業 2 社 卸売業 小売業 2 社 その他 1 社である 進出地域別にみると 南ダバオ州 16 社 東ミサミス州 4 社 南コタバト州 4 社 北スリガオ州 2 社 北アグサン州 2 社 南サンボアンガ州 2 社 ブキドノン州 1 社 北ラナオ州 1 社 南スリガオ州 1 社である 主な日系企業の地域別の進出状況は下表のとおりである 図表 1-26 主な日系企業の進出状況 (2016 年時点 ) 地域主な進出企業名ダバオ地域 Dole Philippines, Inc.( バナナ ) Sumifru (Philippines) Corporation( バナナ ) Diamond Star Agro Products, Inc.( 青果 ) Nakashin Davao International Inc.( 冷凍果物加工 ) Davao Central Chemical Corporation( 活性炭 ) Nakayama Technology Corporation ( 建材 ) Creative Connections & Commons, Inc.(IT) Japan Philippine Volunteer Association Inc.( 教育 ) 北部ミンダナオ地域 Nissey Delica Corporation( 農業 ) Philippine Sinter Corporation( 鉄 ) Pilipinas Kao, Inc.( 化学品 ) カラガ地域 住友金属鉱山株式会社( 鉱業 ) ソクサージュン地域 Tenpoint Manufacturing Corporation( 水産 ) ( 出所 ) 企業ヒアリング等に基づき調査団作成 日系企業の進出可能性の高い地域 都市日系企業がミンダナオ島に進出を検討する際には安全情報の確認が重視されており 特に外務省の危険情報を判断材料としている旨 ヒアリングを実施したすべての企業より指摘された 具体的には 外務省の危険情報がレベル1 以下の都市は訪問 進出可能とする企業が多い一方 レベル 2 の都市での活動が可能である企業は少数であり レベル3の都市での活動が可能な企業は 本調査でヒアリングを実施した先においては確認できなかった また 実際に日系企業が進出することを考えると 市場へのアクセス 雇用確保 駐在環境等の面から ある程度の大都市が希望されることが多い 4 そこで 日系企業の進出可能性の高い地域を検討するにあたって 以上 2つの観点 すな 4 例えばダバオ市に進出している日系企業からは 同市に進出した理由として 外務省の危険情報がレベル 1 であること 土地が豊富で安いこと 港が近くにあること 英語を話せる人材が多いこと 働き手も比較的多いことが挙げられた 20

30 わち 外務省の危険情報がレベル 2 以下の都市であり かつ空港のある主要都市であるミンダナオ島の都市の確認を行った その結果 ダバオ市 カガヤンデオロ市 ジェネラルサントス市 ブトゥアン市 スリガオ市の 5 都市が抽出された なお これらの 5 都市は 輸出 投資額でも上位を占める地域に所属しており 経済活動も活発である 図表 1-27 日系企業の進出可能性の高い都市 カガヤンデオロ市 人口 :675,950 人 (2015) 面積 :488.86km 2 人口密度 : 人 /km 2 主な産業 : 教育平均世帯収入 :137,000PHP/ 年 イリガン市 人口 :342,618 人 (2015) 面積 :775.76km 2 人口密度 :441.6 人 /km 2 主な産業 : 工業平均世帯収入 :137,000PHP/ 年 ザンボアンガ市 人口 :861,799 人 (2015) 面積 :1,483.38km 2 人口密度 :580.9 人 /km 2 主な産業 : 農業 漁業平均世帯収入 :119,000PHP/ 年 コタバト市 人口 :299,438 人 (2015) 面積 :176.0km 2 人口密度 :1,701.3 人 /km 2 主な産業 : 稲作 農業平均世帯収入 :119,000PHP/ 年 ( 出所 ) 日本国外務省資料に基づき調査団作成 ジェネラルサントス市 人口 :594,446 人 (2015) 面積 :492.86km 2 人口密度 :1,206.1 人 /km 2 主な産業 : 農業 漁業平均世帯収入 :119,000PHP/ 年 スリガオ市 人口 :154,137 人 (2015) 面積 :245.34km 2 人口密度 :628.2 人 /km 2 主な産業 : 鉱業 農業 漁業平均世帯収入 :126,000PHP/ 年主な宗教 : カトリック教 (79%) ブトゥアン市 人口 :337,063 人 (2015) 面積 :817.28km 2 人口密度 :412.4 人 /km 2 主な産業 : 農業 漁業 ( エヒ ミルクフィッシュ ) 林業 ( 木材加工 ) 平均世帯収入 :126,000PHP/ 年主な宗教 : カトリック教 (79%) ダバオ市 人口 :1,632,991 人 (2015) 面積 :2,444km 2 人口密度 :668.1 人 /km 2 主な産業 : 農業関連産業及び工業 情報技術産業平均世帯収入 :143,000PHP/ 年主な宗教 : カトリック教 日系企業進出のための課題 フィリピン進出における課題 (1) 電気料金の高さ フィリピンの電力料金はアジアでも最も高い水準にあり 進出企業のコスト高の一因 となっている また 電力供給が不安定な場合があることから 工場で自家発電設備が必 要とされるケースが多く 投資効率を押し下げる傾向がある 21

31 Seoul Beijing Shanghai Guangzhou Singapore Bangkok Kuala Lumpur Jakarta Batam Island Manila Cebu Hanoi Ho Chi Minh Da Nang Yangon Vientiane New Delhi Karachi Colombo Mumbai Dhaka Yokohama 図表 1-28 電気料金の国際比較 ( 指数 )(2015 年 ) 1.2 Index(Price/GDP per Capita PPP) As of ( 出所 )JETRO の統計を基に調査団作成 注 :2015 年のフィリピンの値を 1 として相対化している (2) 脆弱な物流インフラマニラ市内を始めとする大都市における慢性的な交通渋滞 道路舗装率の低さ等 全般的に物流インフラが脆弱であると言われている 特に フィリピンの貿易伸長に伴い マニラ港を始めとする港湾の処理能力不足が大きな問題となっており 港での滞留貨物が発生している ( 最大 1か月程度の遅延 ) このため 進出製造業企業には 生産スケジュール遅延 販売在庫不足等の悪影響を与えており 日系企業の生産拠点としてのフィリピンのボトルネックになっていると言われている (3) 現地調達率の低さフィリピンは アジア他国と比較すると製造業の裾野産業の発達が進んでおらず 日系企業が部品調達できるようなサプライヤーが不足しているケースが多い そのため 材料を輸入に頼らざるを得ないことから 原価の割合が高い業種の場合はコスト面のメリットがそれほど多くは享受できない可能性がある JETRO の最近の調査によると フィリピンの現地調達率は 31.6% に留まっており ASEAN で最も低い国の一つである 5 5 JETRO 2016 年アジア オセアニア進出日系企業実態調査 22

32 図表 1-29 原材料 部品の現地調達率の比較 (2016 年 ) ( 出所 )JETRO(2016) (4) VAT 還付に係る問題フィリピンでは 付加価値税 (Value Added Tax: VAT) の還付に関して アウトプット VAT 額 ( 企業が物品やサービスを購入した際に支払った VAT の金額 ) がインプット VAT 額 ( 顧客に物品やサービスを販売した際に課した付加価値税の金額 ) を上回った場合 差額の還付を受けることができることとなっている 特に輸出企業では 顧客への販売時に VAT を課さないことから還付対象となる VAT 金額が大きくなる傾向があるが VAT 還付には数年を要しており 輸出志向型製造業が多いフィリピンにおいて重要な懸案事項の一つとなっている (5) 撤退困難フィリピンは国際的に見て企業の清算 破産処理がしにくい国であると言われている 特にフィリピンにおいて会社を清算する場合の手続きで最も時間がかかるのが過去 3 年分の税務監査への対応であり 撤退手続完了までには平均 2 年 最長で3 年かかるとも言われている (6) 人材 人材に関しては 英語人材が豊富な一方で日本語人材の確保 育成は困難であると言 われている また 他のアジア諸国同様に 時間 納期 品質に関する一般的なフィリ 23

33 ピン人の意識は日本人とは大きな差がある点にも留意が必要である ミンダナオ進出における課題日系企業がフィリピンに進出する際には前項にて記載したような課題に直面することが多いが これらの課題には ミンダナオに進出する際にも基本的には共通課題として直面することが多い 6 他方 ミンダナオ進出にあたっては 安全面を始めとして ルソン ビサヤへの進出とは異なる独特の課題が存在している これらのミンダナオ特有の課題を整理すると以下のとおりである (1) 安全面への懸念ミンダナオでは 外務省の危険情報のレベル2 以上の地域が大半を占めており レベル 1の地域はダバオ カガヤンデオロ ジェネラルサントス等の一部の大都市に限られている 多くの日系企業では 外務省の危険情報でレベル2 以上の地域には進出することが難しいため ダバオやカガヤンデオロ等のレベル1の限られた都市に進出企業が集中している 例えば 日系企業のヒアリングにより 以下のようなコメントが聞かれた レベル 2 の地域への出張申請は本社の承認が下りない レベル 2 の地域に出張する場合は宿泊が禁止されており日帰りで出張せざるを得ない レベル 1 以外の地域での陸路移動は会社の規定により禁止されているため 空路で移動せざるを得ない インフラ案件のうち 道路 鉄道などの長物になると 安全確保が難しくなるため社内決裁を取るのが難しいだろう 他方 港湾や空港等 限られた範囲内で施工を行う案件であれば対応可能性は高くなるだろう このように ミンダナオでは 安全面が企業の進出にあたっての大きなボトルネックとなっている 日系企業の進出を加速するためにも このような状況の一刻も早い改善が求められるところである (2) 脆弱な通信インフラミンダナオでサービスを提供している大手通信会社は Globe Telecom 社と PLDT 社の 2 社のみであり 通信回線が遅く不安定なため 電話およびインターネットが切断されることが多い また 市内全体でインターネットが半日から 1 日使えなくなることもある ダバオ カガヤンデオロ等の大都市を中心として 最近はミンダナオにもコールセンター 6 ただし 道路交通状況はマニラに比べるとミンダナオの大都市のほうが相対的によく また港湾の混雑状況もマニラほどではない 電気料金も ルソン ビサヤに比べるとミンダナオは平均値は相対的に安い等 ミンダナオのほうが他地方よりも状況がよい事項もある 24

34 を始めとする IT-BPO 分野の企業が進出する動きが増加しつつあり 今後はいっそう通信 インフラが重要になることが想定される このため 今後の IT-BPO 産業振興に向けて 通信インフラの増強はミンダナオにおいて今後ますます重要になるだろう 25

35 第 2 章ミンダナオにおけるインフラ整備状況および今後の計画 2.1 ミンダナオのインフラ整備計画およびその整備状況 関連する計画の全体像および計画一覧 全体像ここでは フィリピンおよびミンダナオ各地域のインフラ整備に関連する計画につき概観する ミンダナオ島のインフラ事業に携わるうえで関係してくる計画として 中央の NEDA の策定する フィリピン国家開発五カ年計画 (Philippine Development Plan) 7 NEDA の各地域事務所の策定する 地域開発計画 (Regional Development Plan: RDP) に加えて MinDA の策定する網羅的な地域開発計画である ミンダナオ平和 開発フレームワークプラン (MINDANAO 2020 : Peace and Development Framework Plan ) ( 以下 ミンダナオ 2020 と称する) の 3 種類の計画が挙げられる 次図は 国家開発五カ年計画 ( ) に基づき ミンダナオのインフラ整備に関連する計画の関係図を整理したものである 図表 2-1 ミンダナオのインフラ整備に関連する計画の関係図 ( フィリピン全体の開発計画 ) Philippine Development Plan ( ミンダナオ島全体の開発計画 ) Mindanao 2020 Peace and Development Framework Plan ( ) ( 出所 ) 各地域 NEDA 事務所ホームページ等に基づき調査団作成 ( ミンダナオ島内の各地域開発計画 ) Region X Northern Mindanao Regional Development Plan Midterm Update Region XI Davao Regional Development Plan Update Region XII Updated Soccsksargen Regional Development Plan Region XIII Revised Caraga Regional Development Plan Region IX Zamboanga Peninsula Regional Development Plan ARMM ARMM Regional Development Plan 本節に記載する内容は 本報告書作成時点 (2017 年 1 月 ) の最新情報に基づいている 26

36 (1) 国家開発五カ年計画 ( ) 上図にて示したとおり 国家開発五カ年計画 ( ) がフィリピン全体でのインフラ開発計画を示す最上位計画となっている 本計画は 国家経済開発庁 (NEDA) により策定されている 本計画では 経済成長と貧困撲滅を実現するためにインフラ開発を加速することが謳われている また政府が 安全性 効率性 信頼性 費用対効果等を満たす持続可能なインフラ開発を促進することが示されている (2) NEDA 地域事務所 NEDA は国内各地域にも地域事務所を設置している これらの NEDA 地域事務所は フィリピン国内の各地域において 地方自治体の代表 国の地方部局 民間セクターで構成される地域開発会議 (Regional Development Council: RDC) を組織し 地域のビジョン 産業育成 インフラ整備 法整備 社会開発など 多方面を網羅する地域開発計画を定めている (3) MinDA 中央および地方の NEDA の策定する上述の 2 種類の開発計画とは別に MinDA は ミンダナオ島地域全体のインフラ整備および産業の発展に向けた開発計画を策定している 中央および地方の NEDA が策定する開発計画は 数値目標と具体的なプロジェクトの記述が中心である 一方 MinDA が策定する ミンダナオ 2020 は 国家開発計画の開発フレームワークおよび戦略的な方向性をミンダナオ島の課題と文脈に置き換えてローカライズしたものであり ミンダナオ島の開発におけるビジョン 目標および方向性を示す記述が中心である なお MinDA は ミンダナオ島の平和と発展のために戦略的な意思決定を行う政府機関であり ミンダナオ各地域の政策やプロジェクトの調整を行っている ミンダナオ 2020 の概要 MinDA の中長期計画の現状および今後の更改見通し MinDA はミンダナオにおける中長期計画として ミンダナオ 2020 を策定している 本計画は ミンダナオ島の平和で持続的な発展を通じて住民の生活の質を改善するため 選挙不正や地域内紛争に対処し インフラや金融等の事業環境を整え 環境に配慮した開発および産業育成を行うことを目指すものである 本項では 同計画に記述された産業およびインフラに関する現状 目標について取りまとめる 8 MinDA の詳細は 主要な関係組織の人員体制および予算 に記述している 27

37 (1) 産業の現状および目標 ミンダナオは従前より ココナッツ バナナ パイナップル等の農産品の輸出額が大きい 世界シェアの大きな農産品もあり 今後も引き続き輸出向けの農産品の生産拡大を目指す 島内は観光資源が豊富であり 観光業には潜在的な発展可能性がある ハラール産業やイスラム金融など アジア内でイスラム関連の市場が拡大しており 島内のイスラム教徒にとってビジネスチャンスである 近年 情報通信のインフラ整備が進んだため IT-BPO 産業に対し 官民双方から投資が予定されている ミンダナオには豊富な鉱物資源があるため 鉱業は高い成長可能性を有している 外国人投資家もミンダナオ島の鉱物資源に興味を示しているが 開発の際は (i) 環境に配慮しているか (ii) 地元政府が鉱物資源に対して適切な対価を得られるか (iii) 地元経済が鉱業で十分な付加価値を生み出し利益を得られるかという点に配慮しなければならない (2) インフラの現状および目標 1 インフラの現状と課題 ( 全般 ) 首尾一貫したインフラ開発計画がない ( 例 : 統合道路 橋梁 物流 水資源マネジメント等 ) インフラ開発 維持管理の資金が政府に不足している PPP の開発計画を実施するための政治環境が弱いために 民間セクターからの投資が不足している 公共インフラを窃盗したり破壊したりする犯罪や 特定地域における治安の問題がある 2 サブセクター別の問題と開発機会 電力 地域の深刻な電力不足は短期的には緩和されるが 2020 年までに 1,000MW 以上 2030 年までに 1,500MW 以上の新規発電容量が必要である 水力発電は安価だが 森林伐採により 河川およびダムへの土砂の堆積の問題をもたらす 気候変動の影響を受けて この問題はさらに悪化している 発電における化石燃料のシェアが増しており 外貨流出に加えて環境コスト削減目標から遠ざかっている 一方で 電力消費量の増加を管理し 送配電システム内の損失並びに電力の窃盗および浪費を削減することに強いニーズがある 28

38 運輸交通 国道の 34.8% およびバランガイ道( 自治体が整備した道 ) の 95% が舗装されていない また 舗装された道路の 39.2% が劣悪な状態である 都市鉄道に対し住民から強い要望があるが F/S 調査の結果 投資の採算性については論争が続いている カガヤンデオロ市とイリガン市との間を結ぶ 82.5km の鉄道開発プロジェクトには 外部資金が得られる予定である 貨物の輸送量は毎年 2.5% と堅調に増加しているが ミンダナオの 128 か所の港湾への船の寄港回数は減少している 減少理由として カボタージュ法等の制度の不備や 非合理的に高い輸送費 取扱費 設備老朽化による安全性への懸念が挙げられている RORO 船 ( 主に自動車用甲板を有する貨物船 ) の増加は ルソン島からの輸送時間を短縮し 輸送コストを減らすため 経済活動を促進し利益をもたらしている 既存の空港は改修される必要があり 短期および長期的な自然のリスクに対し適切な対処がなされる必要がある また 島嶼部では最寄りの空港まで陸路により 4 時間以内でアクセスできるように 空港を配置する必要がある 低所得層および学校にとっては 情報通信インフラへアクセスするための費用の負担が重い そのため 情報通信セクターにおける人材開発の機会を損なっている 3 サブセクター別の目標 ( 電力 運輸交通 ) 電力 ミンダナオにおける電力開発と持続可能性に関する長期計画を作成する 電力料金政策を改め ミンダナオにおける電力開発への投資を抑制するような問題点を解消する 発電および送配電システムにおける電力の損失に関する問題に慎重に対処する 民間の電力投資と公共の参加を促すような仕組みを強化する 再生可能エネルギーおよび国産エネルギーのシェアを拡大し エネルギーミックスの多様化を進める 環境負荷を減らすため 大規模水力発電所ではなく 小規模水力発電所建設の優先順位を高める 再生可能エネルギーの設備開発の優先順位を高める その研究開発のための専用のファンドを設ける ミンダナオ卸売電力スポット市場を 2014 年に開業し 電力市場の競争性を高める 地方電力協同組合を包括的に強化する 電力の節約および電力政策に関して 情報提供と教育キャンペーンを強化する 運輸交通 交通 物流システムにおいて 内陸 海岸 島嶼間における水上交通の役割を拡大す る 29

39 交通 流通システムの非効率性と高コストの原因となっている政策および規制を それらに関連している業界と共に改革する ( 例 : カボタージュ法 鉄鋼製品への高い輸入関税 ) 陸上 航空および水上交通システムを統合し 一貫した相互依存ネットワークに整理する 主要な幹線道路については 世界水準の全天候型の高速道路にアップグレードし 必要であれば新規に建設する ( 例 : ミンダナオの東西の連絡道 ) 地方政府機関および自治体の同盟関係を強化し 法的な環境を整え補助金のシステムを活用して 自治体による道路の建設を進める 一貫輸送および物流のスーパーハイウェイを補完するため 他のインフラ計画と綿密に調整して 鉄道システムの長期計画を策定する 既存の空港のアップグレード 拡張および近代化の優先順位を高める 特に 島嶼部にある空港と ミンダナオ島の中核地域に計画している最先端の空港の建設の優先順位を高める インフラ資源の有効利用のため 利用者による料金支払の政策を強化する 地域開発計画 ( 現状計画の一覧 概要 今後の更改見通し ) ミンダナオの各地域のうち 本調査の対象都市を含む地域の開発計画について インフラ 開発の観点から概要をまとめると以下のとおりである 9 (1) カラガ地域開発計画改訂版 (Revised Caraga Regional Development Plan( )) 10 1 陸上交通カラガ地域内の 1, km の国道ネットワークの全てを舗装する計画があり 公共事業道路省 (Department of Public Works and Highways: DPWH) は 2016 年までに 201 億ペソを投じるが 工事は翌年度以降も継続して行われる さらに 観光地へアクセスするための道路 ( 計 km) を建設又は改良するため 44 億ペソの投資をする 2 海上交通 当地方の港湾が増加する取扱量に対応しきれなくなったため ミンダナオ島とシアル ガオ島を結ぶ 4 か所の RORO 船のためのターミナルを建設する 9 NEDA による国家開発五カ年計画 ( 年版 ) の完成 公表後に各地域の開発計画も更改される見通しであり その作成と承認手続が進められている 10 カラガ地域には 本調査対象都市のうちブトゥアン市 スリガオ市が含まれる 30

40 3 電力電力セクターにおいて当計画に記載されたプロジェクトは 全て民間セクターによるものである プヨ川水力発電プロジェクト (30MW) マイニット湖水力発電プロジェクト (25MW) ワワ川水力発電プロジェクト(25MW) およびカバドバラン流込み式発電所 (9.75MW) の 4 件が挙げられている (2) ダバオ地域開発計画改訂版 (Revised Davao Regional Development Plan ( )) 11 1 陸上交通幹線道路の舗装 都市を結ぶ国道の改良 アグサン~ダバオ間道路やダバオ~コタバト間道路などの幹線道路の拡張 橋梁の改良と建設 東ダバオ州とコンポステラ バレー州において農場と市場を結ぶ道路の建設 ダバオ市内の都市鉄道およびミンダナオ島の主要都市間を結ぶ鉄道の建設 交通需要マネジメントの導入 都市部における歩道 自転車道およびバイパス道の整備 並びにアイランド ガーデン シティ オブ サマルとダバオ市を結ぶ橋の F/S 調査などを 優先度の高い計画として挙げている 2 海上交通 パナボ又はタグムにおける RORO 船用ターミナルの建設の F/S 調査 およびダバオ ( サ サ ) 港の拡張などを優先度の高い計画として挙げている 3 航空 ダバオ国際空港におけるレーダー設備の建設および IT システムの改修などを優先度の 高い計画として挙げている 4 電力タリカッド島での発電所の建設 バイオマスおよび太陽光発電の導入 民間資本によるテルマ サウス石炭火力発電所 (300MW) の建設 EEI 重油火力発電所 (15MW) の建設 並びにツダヤ水力発電所 ( 第 1:6.7MW 第 2:7MW) の建設などを 優先度の高い計画として挙げている 11 ダバオ地域には 本調査対象都市のうちダバオ市が含まれる 31

41 (3) 北ミンダナオ地域開発計画中期改訂版 (Northern Mindanao Regional Development Plan Midterm Update ( )) 12 1 運輸交通北ミンダナオ地域において最も優先順位の高いインフラ案件は ラギンディガン国際空港の商業運用の開始 (2013 年 6 月 15 日に開港 ) と ミンダナオ コンテナ ターミナル (Mindanao Container Terminal : MCT) の拡張である ラギンディガン国際空港と MCT の連携プロジェクト (Operation of Laguindingan Airport-Mindanao Container Terminal Allied Projects: OLA-MCTAP) は 両者を連携して 両者の利便性と効率性を共に高めるよう設計された ラギンディガン国際空港と MCT は 共にカガヤン~イリガン回廊に位置しており 北ミンダナオ地方内で経済波及効果をもたらしている さらに カガヤン~イリガン産業貿易回廊の発展を支えるため 高速道路とミンダナオ鉄道システム (Mindanao Railway System: MRS) の開発が計画されている 2 電力ミンダナオ島内の発電量の 67% は 北ミンダナオ地方内にある国営電力公社 (National Power Corporation: NPC) の発電所が占めている 発電所の新設計画のうち主要なものの 1 つに アグス第 6 水力発電所 ( ユニット 1 および 2) に係る改良プロジェクト ( 予算 26 億ペソ ) があり 同発電所の稼働可能年数を 30 年間に延ばす計画である また フィリピン送電会社 (National Grid Corporation of the Philippines: NGCP) が ミンダナオ バックボーン送電系統開発プロジェクト (Mindanao Backbone Transmission Project: MBTP) ( 予算 95 億ペソ ) を進めている (4) ソクサージェン地域開発計画改訂版 (Updated Soccsksargen Regional Development Plan ) 13 1 陸上交通ソクサージェン地域の陸上交通では 産業エリア 学校 病院 観光地へのアクセスを改善するための道路の建設計画があり ジェネラルサントス市の環状道路 ( 予算 1 億ペソ ) およびスララ~セブ~マイトゥム湖道路 ( 予算 1.7 億ペソ ) などが計画されている 2 電力 電力に関しては 当地域内での発電の自給率を上げるため ジオン山の地熱発電 スル タン クラダット州およびサランガニ州での 4 件の水力発電などの再生エネルギーの案 12 北ミンダナオ地域には 本調査対象都市のうちカガヤンデオロ市が含まれる 13 ソクサージェン地域には 本調査対象都市のうちジェネラルサントス市が含まれる 32

42 件が計画されている また サランガニ州マーシムで南ミンダナオ石炭火力発電所 (100MW を 2 基 ) の計画が進められており 未電化世帯を減らすため 送配電網の拡大 が進められている 33

43 2.2 政府関係組織 人員体制 予算 中央政府 地方政府 各自治体の関係図フィリピンは マニラ首都圏を含むルソン (Luzon) ビザヤ(Visayas) ミンダナオの 3 つのエリアに大きく分けられる 18 の地域 (Region) の下に地方自治機構として州 (Province) が 81 ある 州の下に 州を構成する市 (City) または町 (Municipality) があり さらにそれらの下に バランガイ (Barangay) と呼ばれる最小自治単位がある 図表 2-2 フィリピンにおける地方自治体の関係図 ( 出所 ) 調査団作成 続いて 同国の中央政府機関の関係図を以下に示す 14 図表 2-3 フィリピン中央政府機関の関係図 フィリピン大統領 オンブズマン 副大統領 大統領府 人権委員会 官房長官 大統領府秘書室 大統領特別顧問 補佐官 外務省 (DFA) 財務省 (DOF) 予算管理省 (DBM) 内務自治省 (DILG) 国防省 (DND) 司法省 (DOJ) 教育省 (DepEd) 農地改革省 (DAR) 農業省 (DA) 環境天然資源省 (DENR) 観光省 (DOT) 貿易産業省 (DTI) 運輸通信省 (DOTC) 科学技術省 (DOST) 公共事業道路省 (DPWH) エネルギー省 (DOE) 社会福祉開発省 (DSWD) 保険省 (DOH) 労働雇用省 (DOLE) 国家経済開発庁 (NEDA) マニラ首都圏開発庁 (MMDA) ( 出所 ) フィリピン政府ウェブサイトに基づき調査団作成 14 なお MinDA は特定の省庁には所属しない政府機関であるため 次図には記載していない 34

44 2.2.2 主要な関係組織の人員体制および予算ミンダナオのインフラ開発における主要な関係組織として 前節にて取り上げた開発計画を策定した NEDA および MinDA が挙げられる 本項では これらの機関の概要について以下に整理する NEDA (1) 設立年 根拠 沿革 1973 年 1 月 24 日 マルコス (Ferdinand Edralin Marcos) 大統領 ( 当時 ) による大統領令 107 号を根拠として創設された その後 1987 年 7 月 22 日のアキノ大統領 ( 当時 ) による大統領令 230 号により 現在の組織体制および権限と責任が定められた (2) 役割 フィリピン政府機関のうち 社会経済分野における計画立案主体の最上位に位置づけられる マクロ経済の予測や政策分析と調査を行う 国会および行政部門の政策立案者に対し ハイレベルの助言を提供する (3) 権限と役割 国全体ならびに各地域および地方開発における多数の変数を効率的に設定するため 開発政策と計画の立案全般およびそれらの活動の調整を行う 質の良いインフラ設備に対する需要が年々高まり 政府がインフラ投資の増額を目指す動きに合わせ 開発計画に記載されたインフラ開発案件のレビュー 評価ならびにモニタリングを行う 政府内意思決定者に対し 開発分野の問題点や代替的な政策に関する批判的な分析を提供するため 短期的な政策のレビューを行う (4) 人員体制 執行委員会 (Board) と事務局から構成される 執行委員会は 大統領を議長 NEDA 長官を副議長とし 各省庁の大臣および開発公社の総裁ら計 20 名を構成員とする 15 フィリピン予算管理省 (Department of Budget and Management: DBM) の 2017 年度予算資料によると 2016 年度の人員数は計 1,074 人である 15 MinDA 長官も NEDA 執行委員に含まれる 35

45 図表 2-4 NEDA 組織図 NEDA Board Office of the Director-General Internal Audit Services Financial, Planning and Management Staff Legal Staff Administrative Staff Information and Communications Technology Staff Development Information Staff Regional Development Staff Governance Staff National Policy and Planning Staff Agriculture National Resources and Environment Staff Trade, Services and Industry Staff Social Development Staff Monitoring and Evaluation Staff Infrastructure Staff Public Investment Staff Regional Offices (15) ( 出所 )NEDA (5) 地域事務所 各地に計 15 か所の地域事務所を有する 本調査対象都市を含む地域事務所は 北ミンダナオ地域事務所 (NEDA Region X) ダバオ地域事務所(NEDA Region XI) ソクサージェン地域事務所 (NEDA Region XII) カラガ地域事務所(NEDA CARAGA) の 4か所である MinDA (1) 設立年 根拠 沿革 創設に関する根拠法は 2010 年 2 月 17 日にアロヨ (María Gloria Macaraeg Macapagal- Arroyo) 大統領 ( 当時 ) により承認された共和国法第 9996 号である 特定の省庁には所属しない政府機関であり 活動成果に関する年次報告書は大統領および上下両議院に提出される ( 共和国法第 9996 号 ) 前身であるミンダナオ開発評議会 (Mindanao Economic Development Council: MEDCo) は 1992 年 3 月 19 日にコラソン アキノ (Corazón Aquino) 大統領 ( 当時 ) により創設された (2) 役割 ミンダナオの各地域および自治体の政策やプロジェクトの各種調整を行う政府機関である インフラ開発に関する構造的な意思決定および予算権限は有さない ( これらは NEDA の権限である ) 36

46 ドナー ( 世銀 ADB JICA 等 ) の調整も担当している (3) 長官 現長官はアロント氏 初のムスリム長官である同氏は カイロ大学で政治学を学び 1968 年の ジャビダ虐殺事件(Jabidah Massacre) の直後にイスラム教徒青年団 Lam Alif を組織した アロント氏は 2014 年にモロ民族解放戦線 (MNLF) の中心的指導者となった その後 1972 年にマラウイ市の副市長に当時最年少にて任命された 1979 年にミンダナオ自治区の制度化に参加し 1982 年にイスラム連邦党を設立 ミンダナオ島の民族主義政党の副党首に就任 (4) 権限と役割 ( 詳細 ) 共和国法第 9996 号によると ミンダナオ全域および地域間プロジェクトにおける活動の実施において以下の権限と機能を有する 中央政府の平和および開発イニシアティブと合致するミンダナオの統合開発枠組みを ( 実行可能な範囲で ) 策定する ミンダナオ全域および地域間 地域別のプログラムやミンダナオ全体への影響を伴うプロジェクト (ODA を含む ) を統合し 優先順位付け 計画 実行を行う 技術的 物理的支援 ( 一般的に優先の対象となる ) 農業 工業 商業 インフラ 環境 技術に関するプログラムおよび政府からの直接的または間接的な援助が要求されているプロジェクトに関して ( 必要に応じて ) 適切な機関に要請する ミンダナオの有権者 議会と中央政府によって選出された代表者 ミンダナオの統合的でバランスのとれた発展を促進する国家政策を支持する ミンダナオの社会経済的発展に繋がるあらゆる分野への投資 設備投資を促進し 人々の生活水準とその社会 政治活動を向上させる役割を担っている機関と密接に連携する ミンダナオ全域および地域間プログラム プロジェクトへ優先的に資金調達するための方策を検討する 投資家が必要とするプランニング マネジメント 技術的支援の調整および推進を実施する機関を補完する形で支援する ミンダナオと東アセアン成長地域 (BIMP-EAGA) に関する包括的かつ統合されたデータベースを確立する ミンダナオ全域および地域間の開発プログラム 活動およびプロジェクトの実施についてモニタリング 評価 提言を行う ミンダナオの戦略的方向性を提示する ミンダナオ全域および地域間プロジェクトの適時実施を確実にするための適切な仕組みを確立する NEDA 理事会によって承認されたミンダナオ全域およびミンダナオ特有の地域間プロジェクト 国家政府およびドナー機関による計画を検討し 推奨する 37

47 東アセアン成長地域 (BIMP-EAGA) のフィリピンでのコーディネート機関かつ政府の主導機関として 政策やプログラムの策定 調整 実施の際の調整を行う ODA を含む外国政府 国際機関 民間団体からのミンダナオの発展を目的とした寄付や贈与等を受け取り それを管理する この法律の目的を達成するために必要なあらゆる種類のプロパティを契約 取得 購入 保有 賃貸 移転 処分する (5) 人員体制人員体制として以下に組織図を示す 現在 執行委員会の構成員は 16 名 その他の構成員は 21 名である 図表 2-5 MinDA 組織図 MinDA Board RDC IX Chairperson RDC X Chairperson RDC XI Chairperson RDC XII Chairperson RDC XIII Chair ARMM Governor MinDA Secretariat MinDA Chairman Senate of the Philippines House Committee on Mindanao Affairs Chairperson House Committee on BIMP-EAGA Affairs Chairperson Executive Director Deputy Exec. Dir. ULAP President CONFED President SPDA Administrator NCMF Secretary Mindanao Business Council Chairperson PS/NGO Rep IPPAO PPPDO OFAS OACPM ( 出所 )MinDA インフラ関連予算およびミンダナオ島の各地方の予算 (1) インフラ関連予算フィリピンにおけるインフラ関連の予算は次頁の図のとおりであり 2016 年度は 7,564 億ペソ 2017 年度は 8,607 億ペソとなっている これは GDP の約 5% の割合を占める 38

48 所管省庁別でみると DPWH が 2017 年度の予算で 4,586 億ペソと全体の半分以上を占め ている 図表 2-6 フィリピンにおけるインフラ関連の予算 (2011 年 ~2017 年 ) ( 出所 )MinDA (2) ミンダナオ島の地域別予算配分 2017 年度予算 ( 地域別 ) は 下図のとおりである 図表 2-7 地域別の予算配分 (2017 年 ) ( 出所 )MinDA 39

49 ミンダナオ地域は 全体 3,609 億ペソの全体予算のうち 1517 億ペソと半分近くを占めている ( 北部ルソン :672 億ペソ 南部ルソン :601 億ペソ ビサヤ :585 億ペソ NCR: 234 億ペソ ) さらに ミンダナオ島内でみると 北部ミンダナオ地域(Region X) が 387 億ペソで一番予算の配分が大きく 僅差でダバオ地域 (Region XI) が続く (381 億ペソ ) さらに カラガ地域 (Region XIII) の 232 億ペソが続き 以降は ARMM(186 億ペソ ) ザンボアンガ地域 (Region IX)166 億ペソ ソクラージュン地域 (Region XII)165 億ペソという配分になっている (3)NEDA の予算配分フィリピンの DBM が公表した 2017 年度国家予算 (National Expenditure Program) によると NEDA の総支出は 億ペソであり うち NEDA 本庁の予算と各地域への配分額は以下のとおりである 図表 2-8 NEDA 2017 年度地域配分予算 地域 2017 年度予算 NEDA 本庁 (Central Office) 999,790 千ペソ Region I イロコス 36,619 千ペソ コルディリェラ行政地域 48,206 千ペソ Region II カガヤン バレー 29,442 千ペソ Region III 中部ルソン 36,508 千ペソ Region IV A カラバルソン 31,259 千ペソ Region IV B ミマロパ 26,847 千ペソ Region V ビコル 38,348 千ペソ Region VI 西ビサヤ 33,396 千ペソ Region VII 中部ビサヤ 39,496 千ペソ Region VIII 東ビサヤ 34,864 千ペソ Region IX サンボアンガ半島 36,831 千ペソ Region X 北ミンダナオ 38,321 千ペソ Region XI ダバオ 43,475 千ペソ Region XII ソクサージェン 66,539 千ペソ Region XIII カラガ 36,071 千ペソ 合計 1,576,012 千ペソ ( 出所 )DBM 上表のとおり NEDA の予算の約 3 分の 2 は本庁予算であり 残り 3 分の 1 が各地域 NEDA 事務所に配分される 本庁を除く地域事務所の予算が 億ペソであるが ミンダナオ地域は合計 億ペソの配分となっており 地域事務所への配分全体のうちミンダナオ地域への配分は 4 割近くと大きな割合を占める 40

50 2.3 関連法規 規程 政策 制度 インフラ整備に関する制度 規程等 ( 全般 ) フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規 制度等のうち インフラに関係する主なものを以下の表に 種類別 ( 全般 投資 環境 土地関連 ) に示す 図表 2-9 フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規 制度等 ( 全般 ) 名称民法典 ( 共和国法 386 号 ) 会社法 ( 国会法 68 号 ) 労働法典 (1974 年大統領令 442 号 ) 内国税法典 ( 共和国法 8424 号 ) 日比租税条約 知的財産法典 ( 共和国法 8293 号 ) 日比経済連携協定 AFTA (ASEAN 自由貿易地域協定 ) CEPT( 共通効果特恵関税 ) 協定建設業免許法 概要各種権利関係を規制する 外資制限との関係で特記されるべき事項として 民法典は土地の所有権と構築物の所有権は全く別とし 構築物自体を外国人が所有することは可能としている点が挙げられる また 現地企業とのパートナーシップについても規定がある 会社を設立する場合に関係する なお 外国資本が 40% を超えて会社設立を行う場合は オムニバス投資法 外国投資法の規定に従わなければならない 労働法は 1974 年制定の大統領令 442 号 フィリピン労働法 が基本法となっている 更に各実施細則および関連通達において雇用条件や福利厚生 労使関係 解雇 定年退職等が規定されている 1997 年フィリピン内国歳入同法典および関連法令は 個人所得税 累進課税最大 32% 法人税 30% 最低法人所得税 2% 不当留保金課税 10% 付加価値税 12% 酒税 たばこ税等を定めている 日比租税条約は 1980 年に両国間における二重課税を防止するために締結され 2009 年 1 月 1 日から改正後の新税率が適用されている 恒久的施設を通じた事業所得についてのみ 現地関係国は課税することができる等を定める フィリピンにおいて知的財産を保護する中心法規は 1997 年フィリピン知的財産法典 ( 共和国法 8293 号 ) であり 侵害の構成要件 罰則 損害賠償について規定を設けている 日比両国間の貿易投資自由化 拡大 相互依存関係深化の法的枠組みを整備するため 2006 年日比経済連携協定が締結された AFTA 実現のステップとして共通効果特恵関税 (CEPT) を 一部例外を除く原則すべての品目について実施した 除外対象品目は 国防 生命 健康保護 歴史 考古学的保護に係るものとされている フィリピン建設業許可委員会 (PCAB) が発給する許可の取得等が定められている 外資 40% 以下の現地法人が建設業許可を取得できる 建築基準法建設全般に関する規制 規則や着工前に取得が必要な許認可等が定められている 民間工事統一約款建設産業庁 (CIAP) が 契約および履行に関する約款を定めている ( 出所 ) 各種文書に基づき調査団作成 41

51 図表 2-10 フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規 制度等 ( 投資 ) 名称概要オムニバス投資法税務上の優遇措置やその他の優遇措置を拡大して比国への投資を推 (1987 年大統領令進するために 1987 年に制定された インセンティブを伴う投資に 226 号 ) 関する法律として位置づけられている 優遇措置の適用を受けるためには 投資委員会 (The Board of Investment: BOI) に登録して 承認を受ける必要がある 登録した企業は 法人所得税の一定期間の免除 その他原材料などの輸出に関する免税 労務費に関する追加控除等の優遇措置が適用される 外国投資法 ( 共和従来オムニバス投資法に含まれていた インセンティブを伴わない国法 7042 号 ) 投資 に関する規定に替わるものとして 1991 年に制定された 同法はネガティブリストに記載されている事業に対する外国人の出資比率規定を明確化したものである アンチ ダミー法外資規制を回避するためフィリピン人に資金などを提供し形式上の ( コモンウェルス株主とし 実質的には外国人が企業を支配することが考えられる 法 108 号 ) これを規制する法律がアンチ ダミー法である 特別経済区域法 1995 年に制定された特別経済区域法は 指定された経済地区に進出 ( 共和国法 7916 する企業に対して優遇措置を与えるもの 例えば フィリピン経済号 ) 区庁 (Philippine Economic Zone Authority: PEZA) スービック湾 クラーク特別経済区 オーロラ特別経済区等が該当する 製品又はサービスにつき 70% 以上輸出の経済区に存する登録輸出企業に関して 登録以降 4 年間 ( 非パイオニア企業 ) 又は 6 年間 ( パイオニア企業 ) の法人税免税期間を設定し 同期間終了後においては 5% 総所得課税を課す優遇措置を規定した 基地転換開発法基地転換開発法は 軍事基地 ( クラーク空軍基地 スービック海軍 ( 共和国法 7227 基地 関連基地 ) を生産活動拠点へと転換すること その管理機関号 ) 基地転換開発として 1,000 億ペソを資本金とする基地転換開発公社 および そ法改正法 ( 共和国の下部組織としてスービック湾地区行政庁 クラーク開発庁を設置法 9400 号 ) した また 同改正法により 要件を具備してスービック湾地区行政庁 クラーク開発庁に登録された輸出企業は 共和国法 7916 号の法人税免除を付与されることとなった ( 出所 ) 各種文書に基づき調査団作成 42

52 図表 2-11 フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規 制度等 ( 環境 ) 名称概要環境関連法規制国家の環境政策 環境目標 健康な環境を享受する権利 環境影響評価の実施および執行機関 ガイドライン等および 大気質 水質 土地利用 天然資源 廃棄物についての管理制度を定めている 環境アセスメント環境アセスメントに関する手続等を定めている 制度確立法 (1978 年大統領令 1586 号 ) 環境保護指針政府機関および営利企業等が 自然に重大な影響を与える事業を行 (1977 年大統領令う際には 環境影響報告書 (Environmental Impact Statement: EIS) を 1151 号 ) 作成することを求める 改正環境影響評価審査基準ガイドライン大気浄化法 バイオ燃料法 ( 出所 ) 各種文書に基づき調査団作成 環境保護指針に基づき 環境影響報告書を作成する際のガイドラインである 有害ガスを排出する都市ごみ 医療系廃棄物 有害廃棄物の焼却を禁止している フィリピン国内の自動車等に使用される液体燃料にバイオ燃料の含有が義務付けられている 図表 2-12 フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規 制度等 ( 土地関連 ) 名称外国人投資家による私有地長期リースに関する法律 ( 共和国法 7652 号 ) コンドミニアム法 ( 共和国法 4726 号 ) 国家平等保護地域制度法 先祖伝来の土地 領地所有権利の証明 範囲設定および認可の細則先住民の権利に関する法律 持続的森林管理および社会的公正を達成するための国 概要外国人投資家による産業全般に関わる利用に供される土地は 最長 75 年間のリースが認められる 産業活用を伴わないリース期間は 大統領令 471 号により最長 50 年である 区分所有建物 ( 占有部分 共有部分 敷地利用権が一体の物 ) に関しては 対象建物の 40% までの外国人による所有が認められる 先住民族文化社会の経済的 社会的 文化的な幸福 福利および健康を保証するため 彼らの先祖伝来の土地に対する権利を保護する法律 希少かつ危険にさらされている動植物種が生息する顕著な地域ならびに生物学的に重要な公用地の保護を目的とした フィリピン国内の保護地域の確定と管理が規定されている 先住民族に対し先祖伝来の領地所有権利証明書 (Certificate of Ancestral Domain Claims: CADC) および先祖伝来の土地所有権利証明書 (Certificate of Ancestral Land Claims) を授与する省令である 先住民問題に関する国家委員会を創設し 実施機構を設立し それらを目的とした資金を調達し 先住民文化共同体および先住民の権利を認知 保護 促進するための法律である 植林地や既存の森林を保全し 山地住民の生活向上を図ることを目的とする 地元住民の組織化と権限を与えられた住民組織が 森林資源の利用や開発 保護保全の責任を通して森林地や沿岸部の効果 43

53 名称家戦略 ( 出所 ) 各種文書に基づき調査団作成 概要的持続的な管理を行う仕組みを与えることによって 持続可能な森林管理を進めるための戦略である 地域住民組織に対して 25 年契約の林野利用権を認めて 地域住民による自然資源管理を進める政策であり 基本理念は1 森林資源の持続的な管理 2 社会的公正と地域共同体の福利 および環境天然資源省と地域社会の綿密な連携である インフラ整備に関する制度 規程等 ( セクター別 ) フィリピンにおけるインフラ整備に関する法規 制度等のうち 各セクターに関係する主なものを以下の表に記載する 図表 2-13 フィリピンにおけるインフラ整備に関する主な法規 制度等 ( セクター別 ) セクター 名称 概要 鉄道 海運 電力 水道 公共サービス法 鉄道 海運等のコモンキャリア 電力 並びに水道などの公共サービスを受託する事業者は 公共サービス法に基づき 政府により厳しく監督される 鉄道道路電力電力 フィリピン国鉄法 ( 共和国法 4156 号 ) フィリピン ハイウェイ法 ( 共和国法 917 号 ) 電力産業改革法 (EPIRA) 再生可能エネルギー法 ( 共和国法 9513 号 ) フィリピン国鉄が鉄道を建設および運営するに際しての資金調達方法 並びに国鉄の権限や機能等を定める 高速道路の建設 運営や資金調達等を定める 2001 年に施行された電力産業改革法 (Electric Power Industry Restructuring Act, 2001: EPIRA) により 電力事業の自由化に向けた改革が進められてきた 国営電力公社 (NPC) 所有の発電所は 2012 年末で約 91% が民営化され 卸電力事業者 (Independent Power Producer: IPP) との電力購買契約 (Power Purchase Agreement: PPA) で規定されていた NPC の電力購入 販売の権利も民間に売却された 一方 ミンダナオの電力セクターは他地域と比べ民営化が遅れている フィリピンは 30 年以上前から輸入石油に依存しない国内のエネルギー資源開発に関する政策および立法措置を進めてきた 中でも再生可能エネルギーは 供給の安定性や経済性 耐用性に優れた発電事業と位置付けられ 地熱 小水力 海洋 太陽光 風力についてそれぞれ大統領令で各種税制優遇策が講じられた そして 2008 年 12 月 再生可能エネルギー法が制定され 固定価格買取制度 (Feed-in Tariff: FIT) の導入や新たな優遇措置により さらなる民間主導の再生可能エネルギー開発を奨励している 44

54 セクター 名称 概要 電力 地熱発電開発に関する大統領令 (1972 年大統領令 1442 号 ) 1972 年の地熱発電開発に関する大統領令で税や会計上の優遇措置がとられ フィリピンは米国に次いで地熱発電設備容量世界第 2 位となっている 電力 電力 電力 水道 民間事業者が海洋 太陽光および風力のエネルギーを発電に用いることを許可する大統領令 ( 1997 年大統領令 462 号 ) およびその改正 (2000 年大統領令 232 号 ) 小型水力発電開発法 ( 共和国法 7156 号 ) ER1-94 法 ( 設置自治体への便益 ) 上水道整備促進プログラム ( 共和国法 6716 号 ) ( 出所 ) 各種法令に基づき調査団作成 民間事業者が 海洋 太陽光および風力を発電に用いるために調査や開発を行い 商業活動にそれらのエネルギーを用いることを認めると共に 優遇措置を設けた 小水力発電については 1991 年に小型水力発電開発法が施行され 外国人投資比率を 40% 未満に制限する一方で 各種の税制優遇策が講じられた ER1-94 法に基づき 当該地域の民生向上に寄与するために 地元の電化 開発 環境保全等を目的とした 3 種の基金に対して 1kWh あたりの売電につき一定額を拠出する 地方の開発 生活向上を目指し 地方上水道整備事業の促進を目的としている 45

55 2.4 PPP 制度 ( 含む法律 政令 組織 ) およびその運用状況 PPP 制度の概要フィリピンではベニグノ アキノ前政権の時代より 海外からの直接投資を呼び込むために積極的な外交を展開する一方 PPP によるインフラ整備事業を主要政策課題に掲げ 道路 ( 高速道路 空港アクセス道路 ) 空港 鉄道 学校などのプロジェクトを進めてきた 2010 年 9 月には BOT センターを PPP センターに改組し 同センターの所管を DPWH から NEDA に移管させた また 汚職撲滅を掲げるアキノ前大統領は事業の透明性を重視し とりわけ大型事業に関してはこの過程で見直しが何度も行われ 入札日も度々延期されるなど 進捗が遅いとの批判も出ていた また 透明性の高い形で事業実施主体を選定できるよう アンソリシティド型 ( 民間提案型 ) の案件よりもソリシティド型 ( 政府計画型 ) の案件に重点を置いている これとの関係で 2012 年 7 月に改正された BOT 法 ( 1994 年制定 ) ではアンソリシティド型には財政補助金 (Viability Gap Funding: VGF) が与えられないこととなった PPP を重視する方針は 2016 年に成立したドゥテルテ政権においても変更はない 現政権下でも フィリピン政府は国家財政が厳しい環境下 基本的に PPP によりインフラストラクチャー事業を進めることとしている だが 政府主導のインフラ整備案件の多くはルソン島に集中し また 一定の事業規模が求められる このため ミンダナオでは中央政府主導による PPP は存在しない 16 一方 島内の電力不足問題に対してはソリシティド型ではなく 民間主導のアンソリシティド型のエネルギー開発に頼っている フィリピンにおける PPP 制度の概要を次表に示す 16 地方政府 (Local Government Unit: LGU) が実施する水道事業においては民間活用 ( 例えばバルクウ ォーターサプライ ) が数件存在する 46

56 図表 2-14 フィリピンにおける PPP 制度の概要 項目概要主要法制度共和国法 7718 号 ( 改正 BOT 法 ) BOT 法施行細則および規則 ( BOT-IRR ) 2010 年大統領令 8 号 (2010 年 9 月 ):BOT センターの PPP センターへの改組 JV ガイドライン (1989 年公布 年改定 ) 推進機関 PPP センター :2010 年大統領令 8 号によって (DTI から移管され )NEDA の下に設立 PPP Governing Board:2013 年大統領令 136 号により設立 5 億ペソを超える事業は閣議 (NEDA Board 大統領が Chair 財務省 国家経済開発庁 予算管理省を中心とする経済閣僚が構成員 ) にて承認される必要あり VGF 等の予算措資金調達 : 事業資金は国内外から調達することができる また プロジ置ェクト総額の最大 50% までは フィリピン政府の予算または外国政府 (ODA) からの資金調達が認められている 政府支援 : コスト分担 信用力強化 ( 政府保証 ) 直接政府補助金 政府出資 責任分担 法律支援 セキュリティ支援等につき 直接 間接的な支援を受けられる 但し この支援の対象は政府からのソリシティド型プロジェクトであり アンソリシティド型においては 政府保証 直接政府補助金 政府出資は認められない 外資規制ネガティブリストにより 公益事業免許を必要とする BOT プロジェクトの提案 施設運営 については 外国資本が 40% 以下に制限されている ( 出所 ) 新日本監査法人実施の既往 METI 調査および JICA 報告書等を基に整理 PPP 適用可能セクターフィリピンの PPP 制度においては 民間参入が可能なセクターとして BOT 法および同法実施細則によると 運輸 電力 通信 社会インフラ その他 が挙げられている 具体的な適用分野および対象事業は 次表のとおりである 図表 2-15 民間が参入可能なインフラプロジェクトの分野 運輸分野 幹線道路 ( 高速道路等の道路事業 橋等 ) 鉄道 その他の関連する商業開発施設 鉄道以外の大量輸送設備 内陸航行水路等 港湾 ( 桟橋 埠頭 桟橋などの関連施設 ) 空港 管制その他関連施設 電力 通信分野 発電 送電 その他関連施設 通信等ネットワーク施設 地上及び衛星通信関連のサービス及び施設 情報技術及びデータベース インフラ 社会インフラ分野等その他 灌漑及び関連施設 上下水道 排水等の関連施設 教育及び医療関係インフラ 埋め立て 浚渫その他の関連施設 工業団地及び観光地 並びに関連施設や公益施設 政府庁舎建物 住宅プロジェクト 市場 家畜処理施設及び関連施設 倉庫 収穫後施設 公共の漁港 養殖池 倉庫及び加工施設を含む 環境関連施設 固形廃棄物管理施設 ( 出所 ) 調査団作成 47

57 ただし 前述のとおり BOT 法はもともと 1994 年に制定されたものである 2012 年にマイナー改正はされたものの その内容は現行の PPP の実践と必ずしも一致していない 例えば 電力については EPIRA (Electric Power Industry Restructuring Act of 2001) によるセクター改革により PPP/BOT による新規の発電所案件は実施されていない このため 同国における電力 PPP 事業は 現在 事実上存在しない PPP 事業の実施状況とパイプライン フィリピンにおける PPP 事業の実施状況および計画については PPP センターが不定期 的にアップデートしてホームページに掲載している 図表 2-16 既に建設が完了して運営を開始した案件 セクター 案件名 プロジェクト金額 関係機関 道路 Daang Hari 南ルソン高速道路 (SLEx) 接 22.3 億ペソ DPWH 続道路 ( ルソン島モンティンルパ市 -カヴィテ州間高速道路 ) プロジェクト 教育 学校インフラストラクチャー PPP プロジ 98.9 億ペソ DepEd ェクト (PSIP) フェーズ 1 鉄道 自動運賃集金システム (Automatic Fare 17.2 億ペソ DOTr Collection System: AFCS) 道路 NAIA 高速道路 ( フェーズ 2) プロジェクト 億ペソ DPWH ( 出所 )PPP センター PPP 案件の状況 (2016 年 12 月 15 日時点 ) 図表 2-17 建設中の案件 セクター 案件名 プロジェクト金額 関係機関 教育 学校インフラストラクチャー PPP プロジ 38.6 億ペソ DepEd ェクト (PSIP) フェーズ 2 航空 セブ州マクタン島国際空港旅客ターミナ 億ペソ DOTr ルビル 道路 メトロマニラ スカイウェイ (MMS) ステージ 3 プロジェクト 億ペソ フィリピン有料道路規制委員会 運輸交通 南東部の統合交通ターミナル (ITS) プロ 25 億ペソ DOTr ジェクト 鉄道 MRT-7 線プロジェクト 693 億ペソ DOTr ( 出所 )PPP センター PPP 案件の状況 (2016 年 12 月 15 日時点 ) 48

58 図表 2-18 これから実施されるパイプライン案件 (NEDA Board 承認済の案件 ) セクター 案件名 プロジェクト金額 関係機関 鉄道 LRT-1 線 ( カヴィテ州 ) の延伸と維持管理 649 億ペソ DOTr 道路 カヴィテ ラグナ間 (CALA) 高速道路 億ペソ DPWH 運輸交通 南部の統合交通ターミナルプロジェクト 52 億ペソ DOTr 水道 ブラカン用水供給プロジェクト 億ペソ MWSS 情報通信 住民登録システム IT 化プロジェクト ( フ 15.9 億ペソ PSA ェーズ 2) 道路 北ルソン高速道路 (NLEx) と SLEx の接続道路 232 億ペソ DPWH 航空 ボホール島 ( パングラオ島 ) 新空港運営 45.7 億ペソ DOTr & 維持管理 開発プロジェクト CAAP 航空 ラギンディガン空港運営 維持管理 開発 億ペソ DOTr & プロジェクト CAAP 航空 ダバオ空港運営 維持管理 開発プロジェ 億ペソ DOTr & クト CAAP 航空 バコロド空港運営 維持管理 開発プロジ 億ペソ DOTr & ェクト CAAP 航空 イロイロ空港運営 維持管理 開発プロジ 304 億ペソ DOTr & ェクト CAAP 鉄道 LRT-2 線の運営および維持管理 資本的投資なし DOTr & LRTA 港湾 ダバオ市ササ港の近代化プロジェクト 億ペソ DOTr 道路 道路交通の IT インフラプロジェクト ( フ 2.98 億ペソ DOTr & ェーズ 2) LTFRB 水道 新 100 年水資源 -カリワ ダム プロジェクト 億ペソ MWSS & DPWH 司法 PPP を活用した 地域の刑務所施設 502 億ペソ DOJ & BuCor 鉄道 LRT-6 線プロジェクト 億ペソ DOTr 道路 NAIA PPP プロジェクト 億ペソ DOTr & MIAA 都市開発 新ナーヨン ピリピノ-エンターテイメント都市プロジェクト 14.7 億ペソ DOT ( 出所 )PPP センター PPP 案件の状況 (2016 年 12 月 15 日時点 ) フィリピンにおける PPP の課題これまで見たように フィリピンでは PPP を積極的に進めており 着実にその実績を積み重ねている 周辺他国に比べても その実績は突出している しかし一方で 下記のような課題も存在する 第一に 現行の実態にそぐわない BOT 法である BOT 法は もともと 1994 年に制定され 2012 年に改訂がなされた しかし その内容は依然として 1994 年のままであり 適用範囲 PPP の形態 ( モダリティ ) 政府支援措置などの面での刷新が必要とされる フィリ 49

59 ピン政府は 2010 年頃より BOT 法に代わる 新たな PPP 法 ( 仮称 ) の成立を目論んでいるが 国会での議論の進捗があまり芳しくない 第二は PPP を適用する地域や機関の限定性である 多くの PPP 事業は ルソン島で実施されている また 政府による 公式な PPP 事業 17 は ほとんど中央省庁により実施されているもので 地方政府 (LGU) により実施されているものはほぼ皆無である 上記の BOT 法の不十分さもあり PPP の適用が中央の大規模プロジェクトに集中する傾向が認められる なお ミンダナオでは まだ 公式な PPP 事業はない 第三は 地場の大手財閥による市場の寡占化である 基本的に フィリピンでの PPP 事業は 100% 外資のグループによる応札は認められておらず SPC の株式の過半数は地場企業が保有することとなっている また 実際の PPP 事業においては アヤラ サンミゲル メトロパシフィックといった大手財閥の参加が事実上必須となっており ある意味寡占状態に陥っている 同国の PPP 事業のプレーヤーの多様化 ( 外資企業や 地場の中小企業の参加 ) も 同国の PPP 政策において重要な課題の一つとなっている 2.5 本邦インフラ関連企業のパートナー候補企業ミンダナオ島における事業においては マニラに中心拠点を有するコングロマリット企業に加えて 現地のゼネコン等が有力な提携先となることが想定される 実際 これまでにミンダナオに進出し各種インフラ事業に関与している企業もミンダナオ島内の地元のゼネコン等インフラ関連企業とのパートナーシップにより成功しているケースが多い 以上の観点から マニラに拠点を有するコングロマリット企業 及びミンダナオ現地のゼネコン企業より本邦インフラ関連企業のパートナー候補企業としてリストアップしたのが次表である 17 公式な PPP 事業とは に詳述した PPP センターの公表案件を示す 50

60 図表 2-19 本邦インフラ関連企業のパートナー候補企業 会社名 所在地 セクター 概要 Ayala Corporation マニラ 水 エネルギ ー等 小売 教育 不動産 銀行 通信 水道インフラ 再生可能エネルギー エレクトロニクス 情報通信 自動車 ヘルスケア等の多様な事業を展開するフィリピン最大のコングロマリット企業 Aboitiz Power マニラ エネルギー 発電 送電 配電を手がけるコングロマ リット 親会社 Aboitiz Holding はミンダ ナオの内航海運を手がける最大手 Alcantara Group マニラ エネルギー 不動産等 Metro Pacific Investment Corporation San Miguel Corporation ANFLO MANAGEMENT AND INVESTMENT CORPORATION Engineering Equipment Inc. マニラ マニラ ダバオ 不動産 インフラ 病院 食品 道路 電力 不動産 農業 食品 空港 不動産 Aboitiz と並ぶミンダナオインフラ開発の雄 但し主に電力 セメント事業等を通じて日本の企業とも付き合いが深い 上下水道 不動産 インフラ事業 病院事業に投資をする投資信託系持株会社 食料品 有料道路 電力会社 製油所 不動産等へ投資するコングロマリット企業 農業 ターミナル運営 不動産 リゾート開発 食料品等へ投資するコングロマリット企業 ダバオ 電力 フィリピン国内 国外において 火力発電所 太陽光発電所 風力発電所等の建設を手掛けるフィリピン証券取引所に上場しているエンジニアリング企業 DM Consunji Inc. ダバオ 港湾 水道 ザンボアンガ浄水場およびダバオの埠頭拡張プロジェクト等を手掛けるフィリピン証券取引所に上場しているエンジニアリング企業 Dizon Farms ダバオ 農業 ダバオ周辺で地元コミュニティを巻き込んだ果樹 ( 珈琲 カカオ等 ) 果物 野菜等を添加する地元企業 ダバオ商工会議所の主要メンバーで現大統領との関連も深い ダバオ商工会の雄であるため 有望パートナー企業等の情報に通じている EQUIPARCO CONSTRUCTION COMPANY Twinpeak Hydro Resources Corporation ブトゥアン ブトゥアン ( 出所 ) 各種情報に基づき調査団作成 道路 橋梁 港湾 空港 ダム投資 道路 高速道路 橋梁 港湾 空港 ダム 灌漑等の設計 建設を手がけるミンダナオ島最大手のゼネコン ブトゥアン市に拠点がある事業企画開発および投資を行う事業会社 51

61 2.6 各国の事業展開状況 ミンダナオにおけるインフラ関連分野での他国の事業展開状況を見ると 特に韓国の事業が多く また欧州各国の事業展開も多い 分野としては 特に太陽光発電を始めとした電力 エネルギー分野の事業が多い ミンダナオにおけるインフラ関連分野での他国の事業展開状況を取りまとめると下表のとおりである 図表 2-20 ミンダナオにおけるインフラ関連分野での他国の事業展開状況 No. 国 分野 場所 関与企業 予算規模 備考 1 韓国 太陽光発電 ミンダナオ島南部 ハンファ Q セルズ 不明 28.6MW 相当 2 韓国 石炭火力発電 ミンダナオ地方スリガオデルスール州 韓国電力公社 (KEPC) 20 億ペソ 200MW 相当 3 韓国 橋梁 ミサミスオキシデンタル州トゥデラおよびラナオデルノルテ州トゥボット 4 韓国 ごみ処理 ブキドノン州およ びミサミスオキシ デンタル州 韓国輸出入銀行 (KEXIM) 首都圏埋立地管理公社東和コンサルティング エンジニアーズ 5 中国 高架鉄道 ミンダナオ地方 大連機車車輛有限公司 6 シンガポ 太陽光発 ミンダナオ地方サ nv vogt フィリピ ール 電 ウスコタバト州ス ン ソーラー エナ ララ ジー ワン 7 タイ 水力発電 ビサヤ地方 ミンダ コナル ホールデ ナオ地方 ィングス (CHC 8 イギリス バイオマ ス発電 9 ドイツ 太陽光発 電 ビサヤ地方 ミンダナオ地方 ルソン地方およびミンダナオ地方 ビサヤ地方 10 スペイン 地熱発電 オリエンタルミン ドロ州 11 ベルギー 太陽光発 電 ミンダナオ地方ダバオデスール州ディゴス市 12 メキシコ セメント リサール州アンテ ィポロ市ソリッド / セブ州ナガ市 ( 出所 ) 各種情報に基づき調査団作成 グローバル グリーン パワー (GGP) コナジー アジア パシフィック等 タモイン インダストリアル サービシーズ (TISCO) ニッケルアジア (NAC) エマージング パワー (EPI) 等エンフィニティ グループ セメックス 48 億 5,889 万ペソ 不明 地下埋立式ごみ処理場 37 億 5935 万ペソ 10 億ペソ 5MW 相当 不明 不明 不明 不明 20 億ペソ ( 第一期 ) 3 億米ドル /8000 万米ドル 99 MW 相当 87.5MW 相当 454MW 相当の規模 40MW 相当 25 万世帯に供給 28.6MW 相当 生産能力 300 万トン /525 万トン 52

62 第 3 章インフラ整備の現状 課題および優先プロジェクト 3.1 各都市別の状況 ダバオ インフラの現状ダバオは人口 163 万人 (2015 年現在 18 ) の都市であるが 地勢的な制約により限られた平地部に人口が集中し 道路網整備もこの平地部の人口密集地域に集中している しかし 計画的な整備がなされてきていないことから 無秩序で複雑に絡み合った連続性に欠ける道路網が形成されている 近年になって急激に自動車交通量が増加したことに伴い 市街地内では慢性的な渋滞が発生している また 市街地内での駐車スペースが限られていることから 路上駐車が街路を埋め尽くしており 道路の交通容量を低下させる要因ともなっている 加えて 現地調査では ダバオの街路は夜間の街路灯が少なく暗いことを確認した ダバオにおける公共交通手段は フィリピンの他の都市と同様に ジープニーやミニバン タクシーなどのパラ トランジットのみが運行されており 組織的な都市内公共交通システムの運用がなされていない ADB 支援のプロジェクトにより BRT (Bus Rapid Transit) 路線の整備計画が NEDA によりタグム~ダバオ~ディゴス間の鉄道整備の検討 (F/S 調査 ) が進められているが 市街地内での深刻な渋滞状況を鑑みても このようなマス トランジットシステムを早急に整備する必要がある 既存の産業ダバオ周辺では 農業 畜産 鉱業 IT-BPO 観光 不動産が主要産業である DTI 地方事務所へのインタビューによると 特に高付加価値農作物の生産や鉱山開発の推進が重要であるとの見解が聞かれた なお ダバオには 東京の築地をモデルとした食料ターミナル (Food Terminal) を建設する構想があり アラカン (Alacan) 地区がその候補として挙がっている データで見ると ダバオの属する Region XI の GRDP は 2013 年以降は年率約 11% の水準で伸びている また 同地域の主要産業である農業では 特にバナナとココナッツの生産量 ( トン数 ) が多い 年人口統計調査によると ダバオ市の人口は 1,632,991 人である 53

63 In Php Billions In Million Metric Tons 図表 3-1 ダバオ地域 (Region XI) の産業の状況 (2013 年 ~2015 年 ) % CAGR 地域別 GDP(Region XI) AFF Industry Service 563 ( 出所 ) フィリピン統計局 (PSA) を基に調査団作成 Region XI (Davao Region) Palay Corn Coconut Sugarcane Pineapple Banana Mango Coffee Region XI での主要農作物収穫量 プロジェクトニーズ (1) 今後の計画プロジェクトダバオにて計画されている主要なプロジェクトは 次のとおりである ダバオ市バイパス建設 ( トンネル区間を含む起点側区間が 円借款の対象として事業実施中 ) 上記バイパス道路の内側にもう一つのバイパス道路建設 ダバオ~サマール島間連絡道路 ( 橋梁もしくはトンネルでの建設が考えられる 橋梁案のみ経産省調査を実施済み ) BRT 整備 鉄道整備 ( タグム~ダバオ~ディゴス間 ) (2) プロジェクトニーズ 1 民間セクターのニーズダバオでの民間セクターのインフラ整備に対するニーズについて ダバオ商工会議所への聞き取り調査を行ったところ 同商工会議所のメンバー企業 (80 社 ) は 独立色の強い団体であり フィリピン商工会 (Philippine Chamber of Commerce and Industries: PCCI) とは政治的に一線を画しているとの発言があった これは かつてダバオとは直接ビジネスの関係のない役員がダバオ地区の統括を行う人事がなされたためと言われている 商工会会員のビジネス基盤はダバオ市の南側にあり 19 今後の投資や開発の意向もダバオ~ ディゴス~ジェネラルサントスを軸としたダバオ南部にある 19 ダバオ ~ カガヤンデオロ間のバレンシア マライバライ ブキッドノンにはそれぞれ独立した商工会が設立されており それぞれ地元の農業をビジネスの基盤としている またカガヤンデオロの商工会のメンバーはこの地域にもプランテーションや木材生産を始めとするビジネス基盤を持っている 一方 ダバオ商工会メンバーの基盤はこの地域の外側のダバオ ~ ジェネラルサントス道路に沿った両側の地域にある 54

64 従って ビジネス界の意向もダバオの環状道路 (Diversion Road) の内側地域の開発よりダバオ~ディゴス~ジェネラルサントス間のルートの強化に重きを置いており この導線の強化による以下のような産業振興のポテンシャルを見出している ジェネラルサントス東側半島は鉱業や観光の開発ポテンシャルが高い ジェネラルサントス西側のバンサモロにはコーンやキャッサバを中心とした飼料生産に関する投資熱が高まっている ( インド企業が投資を決めている ) ジェネラルサントス港で荷揚げされる魚の高付加価値化につながる ダバオ南部国道 1 号線沿線は渋滞が解消されると物流が活性化される 2 公共セクターのニーズダバオでは JICA の ダバオ市インフラ開発計画策定 管理能力向上プロジェクト が 2017 年 1 月より開始されたところである これは同地域のインフラの効率的 効果的な整備に寄与することを目的とした 都市インフラ ( 土地利用 道路 都市交通 上下水 廃棄物管理等 ) の開発計画の策定や フィリピン側関係機関のプロジェクト実施に係る能力強化を行うプロジェクトである ダバオの公共セクターではこのマスタープランに対して大きな期待を寄せている 一方 ダバオの公共セクターではダバオ産の野菜 果物 魚をカガヤンデオロ港により効率的に輸送する方法を探っている (NEDA- 第 11 管区 DTI- 第 11 管区 DPWH への聞き取り調査の結果 ) 現状 ダバオからカガヤンデオロへの輸送には船で 3 日程度かかるところ陸路では半日で輸送できるため 移送物の時間短縮と鮮度を向上させ 荷痛みを減少させることができると考えられている またドゥテルテ大統領出身地ということもあり ダバオへの投資は今後も拡大し 人口と雇用の増加が期待される カガヤンデオロ港から移入される建設資材 日用品などのダバオへの流通を促進するためにも このダバオ~カガヤンデオロ間の道路改良整備を推進したいとしている 55

65 図表 3-2 ダバオで計画されているプロジェクト (2016 年現在 ) ( 出所 ) 調査団作成 カガヤンデオロ インフラの現状 (1) 道路カガヤンデオロでは 幹線道路を軸に地形の緩やかな地域を中心に市街化が進んでいる しかしながら 道路ネットワークが十分に形成されておらずネットワークとして機能していないことや 近年 急激に交通量が増加していることもあり 主要交差点や市街地内での渋滞が深刻となり始めている また 不十分な道路ネットワークのために カガヤンデオロを通過する ( カガヤンデオロが目的地でない ) 交通のほとんどが市街地中心部を通過せざるを得ない状況にある 加えて 市街地内に十分な駐車スペースがなく 車道の多くが路上駐車の車で占拠されていることも 市街地内での渋滞の要因となっている この道路ネットワークの不十分さについては 政府の整備予算が単年度予算配分で潤沢とは言えないと思われること ( 予算額は未確認 ) 都市計画マスタープランや道路整備マスタープランのような上位計画がないことから 需要後追い的 ( ボトルネック対策型 ) での小規模な開発が進められていることに要因があると考えられる 56

66 カガヤンデオロを中心とする都市間の幹線道路 ( 国道 10 号線 ) は 市街地の後背地近くに丘陵地が控えていることもあり 丘陵地から山間部を通過する線形の悪い区間がある このため 急な上り坂での大型車の速度低下による混雑の発生や 40 フィート ISO コンテナ車の通行が困難な極小カーブ区間が存在するなどの問題がある DPWH は現在 幹線道路の拡幅工事や急な上り坂への登坂車線の設置工事を進めている しかし 上述のとおり 予算配分が潤沢ではないためパッチワーク的に改良工事が進められている状況である また 急峻な斜面で施工された切土や 斜面の安定上危険と思われる路肩の構築が散見され 今後の降雨等による浸食に伴い道路としての安定性に問題があると指摘されている 図表 3-3 カガヤンデオロの交通 道路整備状況 市内を東西方向に走る国道 9 号線の混雑状況 ( 出所 ) 調査団撮影 国道 10 号線上の地肌むき出しの切土斜面 (2) 公共交通カガヤンデオロの市街地内での公共交通手段は フィリピンの他の都市と同様に ジープニーやミニバン タクシーなどのパラ トランジットが主体的で 組織的な都市内公共交通の運営がなされていない このため 交通管理上の運用ルールが定められておらず 乗降のための駐停車がいたるところで発生し また ドライバーの運転マナーが悪いなど これらが交通阻害の要因となっている なお 市街地区域は限られた平地区域にコンパクトに収まっていることを考慮すると 組織的な都市内公共交通手段が確立されれば交通状況は改善されると考えられるが 現時点でそのような計画や構想は確認できていない (3) 空港カガヤンデオロのラギンディガン (Laguindiangan) 国際空港は フィリピン政府が機能強化を進める主要 5 都市 ( バコロド イロイロ ボホール カガヤンデオロ ダバオ ) の空港の一つである 2017 年 1 月現在 機能強化に向けた PPP による運営事業者選定のための入札が行われている また MinDA 本部をブキッドノンに移し ブキッドノンをミンダナオ島開発の中心地とする構想があるが これを受けて ブキッドノンに新空港を建 57

67 設する構想が出ている NEDA 本部としては主要 5 都市の空港の機能強化をまず進める 考えだが 今後 ブキッドノン空港建設の動きが出てくる可能性はある (4) 港湾カガヤンデオロにはフィリピン港湾庁 (Phillipine Port Authority: PPA) のコンテナ ターミナルとミンダナオ コンテナ ターミナルの 2 つの港湾施設があるが 漁港はない これらカガヤンデオロの港湾施設は ルソン島やセブなどへの輸送上 ミンダナオ島の中で地理的な優位性があることから カガヤンデオロ港をハブ港湾として機能を強化し 島内の周辺地域から港湾へのアクセス性を向上させることが開発戦略上期待されている 現地での聞き取り調査によると カガヤンデオロ港の貨物取扱量は現状で全体容量の 83% となっており 近い将来 容量オーバーになる見込みである このため中長期的には 増え続ける貨物需要を受け入れるためにカガヤンデオロ港の容量拡大 機能強化が必要になってくる 既存の産業カガヤンデオロが属する東ミサミス (Misamis Oriental) 地域は 土壌の豊度が高く台風が少ないことから 農業開発の好条件を揃えている カガヤンデオロの南に位置するブキッドノン (Bukidnon) はミンダナオ島のフード バスケットとも呼ばれるほど 農業が盛んな地域である 周辺では ドール (Dole) やデルモンテ (Del Monte) などの大規模プランテーションがバナナやパイナップル ココナッツなどの農作物を生産している他 中小の農家による高付加価値作物 ( ブロッコリー ランソネス コショウ コーヒー豆 トマト等 ) が栽培 収穫されている これまでは作物を島外に輸出することだけであったが 製品加工も島内でできるようになると島内での産業が活発化されると期待されている 鉱業では JFE スチールの 100% 子会社のフィリピン シンターがカガヤンデオロにて 焼結鉱 ( 溶鉱炉の主要原料で 鉄鉱石から焼成 ) を製造 販売している フィリピンはブラジルや豪州から日本への鉄鉱石輸送航路上に位置していることから 効率的な製造と運搬が可能となっているとのことである データで見ると カガヤンデオロの属する Region X の GRDP は 2013 年以降は年率約 9% の水準で伸びている また 同地域の主要産業である農業では 特にサトウキビの生産量 ( トン数 ) が多い 58

68 In Php Billions In Million Metric Tons 図表 3-4 北ミンダナオ地域 (Region X) の産業の状況 (2013 年 ~2015 年 ) % CAGR AFF Industry Service Region X (Northern Mindanao) Palay Corn Coconut Sugarcane Pineapple Banna Mango Coffee 地域別 GRDP(Region X) ( 出所 ) フィリピン統計局 (PSA) に基づき調査団作成 Region X での主要農作物収穫量 プロジェクトニーズ (1) 今後の計画プロジェクト NEDA Regional Office X が挙げる優先プロジェクトを以下に示す 1Road Inland Alignment (Expressway System) Project CDO~Malaybalay~Valencia~Davao 間 Dipolog~Ozamiz~Pagadian 間 Pagadian~Tubod (Lanao del Norte)~Iligan~CDO~Gingoog~Butuan 間 Davao GenSan の事業者のビジネスコストの低減が期待されている 輸送時間短縮 荷痛み減少効果により 農水産物の高付加価値化が実現する 2Bukidnon Airport Development Project 3Ozamiz City Airport Development Project 4Mindanao Railway Project Iligan~CDO~Butuan 間 Butuan~Davao 間 (Tagum~Davao~Digos 間の F/S 実施中 ) Davao~Iligan 間 5Laguindingan Seaport Development Project 6Improvement/upgrading of road leading to Laguindingan Airport( 空港アクセス ) 7その他 JICA 物流調査で挙げられたプロジェクトこのほか DPWH の Regional Office が検討している道路整備計画として以下の構想がある 1 Opol~Villanueva 間の高架高速道路建設 2 Iligan~CDO~Butuan 間の Superhighway 建設 将来計画は往復 6 車線での計画だが 予算が足りないため 往復 2 車線で先行整備を進めているところである 59

69 3 Bukidnon~Gingoog 間のバイパス道路建設 2017 年に工事が開始される予定だが 上記同様 予算のついた区間からの段階的な整備になるため 全線開通には 10 年程かかる見込みである 4 Bukidnon~Davao 間のバイパス道路建設 線形の悪い山間部区間のバイパスでトンネル建設が検討されているが DPWH から受領した資料での線形では縦断線形がとりつかないため 別ルートを検討する必要がある 図表 3-5 カガヤンデオロで計画されているプロジェクト (2016 年現在 ) ( 出所 ) 調査団作成 (2) プロジェクトニーズ 1 民間セクターのニーズカガヤンデオロ商工会議所のメンバー数はダバオより規模が小さく 50 社程度である 会員企業のビジネス基盤はやはり農業主体 ( プランテーション ) であり その中心はマライバライ ブキッドノンからカガヤンデオロにかけての地域である そのためマライバライからカガヤンデオロの港湾施設や空港施設への道路整備のニーズが必然的に高くなり マライバライ以南のダバオ~マライバライ間の道路改良のニーズはさほど高いものではない 60

70 商工会議所の会員企業のビジネスは パーム コーン パイナップルを主要な対象産品とし これらを飼料原料や缶詰 青果としてルソン島や香港に向けてカガヤンデオロ港から搬出することである そのため彼らのニーズは マライバライ~カガヤンデオロ港間の貨物輸送のアクセス性改善であり 既存のマライバライ~カガヤンデオロ間の山岳道路の改修よりも マライバライからカガヤンデオロ港までを高規格道路で結ぶバイパス道路の新設にある 産地と港湾施設とが直接リンクすることで 内陸部の農業資源を更に活用することができる ブキッドノンの高原野菜やマライバライ周辺の畜産は 地域産業としては有名であるが カガヤンデオロの大手ビジネス企業とはあまり関連がない これらは おそらく地域の小規模農家や地元の商工会会員企業のビジネスの範疇であるものと思われる カガヤンデオロの商工会によると カガヤンデオロ港東部で国道 9 号線上にある橋 ( カガヤン川にかかる橋 ) には重量制限があり 10 トン以上のものを通過させることができないとのことである すなわち 現在ミンダナオ島で盛んな発電所の建設等で運搬される重量部材はこの橋を通過して運搬することができない状況である 特にカガヤンデオロ東部からブトゥアンにかけての発電所の部材の陸揚げは 水深の深い民間のバージ ( フィリピン シンターが企業の社会的責任 (Corporate Social Responsibility: CSR) の一環として提供する施設内のバージ ) 等が利用されている このため 現時点では ミンダナオの発電建設にはこのバージがないと成立しない カガヤンデオロ東部の港湾開発では ヒンゴオグ (Gingoog) 港が代替地として有望とされ 複数存在する民間セクターの港湾を PPP のスキームで改修 増強するといった方法も提案されている 2017 年から 2022 年まではミンダナオの電力供給に余裕が生まれる時期であり この期間には多くの建設資材や原材料が流通する 現在 重量制限のため物資の流通に支障をきたしている橋梁の重交通に対する補強は 幹線道路全般に対して必要である その他 カガヤンデオロ東部に位置する日系企業からは 市域の海岸線 ( 国道 9 号線 ) に沿った導線の強化のニーズが強い 具体的には市域の東西をリンクする延長約 25km 程度のマストランジットの整備が挙げられる カガヤンデオロの製造業 発電所は海岸線に沿って立地しており 更にカガヤンデオロには大きな大学が多くある また カガヤンデオロの人流はダバオと違って海岸線に沿って一直線であり そこに多くの集落が存在することから マストランジットを導入しやすく十分な採算性があるという意識がある 2 公共セクターのニーズカガヤンデオロでは官民ともにダバオとの対抗意識が高く 現在 JICA が実施している ダバオ市インフラ開発計画策定 管理能力向上プロジェクト を注視しており 同様のプロジェクトをカガヤンデオロでも実施したいという意向が非常に強い NEDA の管区事務所や DTI の地域事務所によると カガヤンデオロ地域をめぐる開発は RDC の構成メンバーを中心に様々な計画を検討しているが 実施の主体となるカガヤンデオロ市政府でも開 61

71 発優先順位がつけられていない 優先順位設定の考え方やプロジェクト間の技術的な連携を確保するためにはこのようなマスタープランが必要との主張である そのため ダバオのようにマスタープランを作って開発の優先順位を定義したいとのニーズが強い このようなことから インフラ開発の優先順位については省庁間で温度差があるようである マライバライ空港の開発 マライバライ~ヒンゴオグ間のバイパス道路整備の優先順位は高いといった意見や (DPWH NEDA) 鉄道整備はまだ早い(DTI) ヒンゴオグ港の開発を優先すべき (DTI) といった様々な意見が聞かれた (3) 交通インフラ開発の方向性都市部での抜本的な交通状況改善に向けては 交通需要の分散や 都市開発を適度に誘導させていけるような上位計画の整備が必要不可欠で 道路整備と公共交通の整備とをバランス良く進めていくことが重要である これを踏まえて 今後の道路整備のあり方については 都市内道路および都市間道路に対して 以下のような方針にて進めていくことが望ましいと考えられる 1 都市内道路 都市内道路では道路ネットワークを強化するとともに 物流などの通過交通を市街地 から迂回させる道路を整備する 2 都市間道路都市間道路については より規格の高い道路に改良し走行性を向上させ 島内の産業の活性化や 地域間の交流の促進につなげる 特に カガヤンデオロ~ダバオ~ジェネラルサントスの 3 都市を結ぶ南北の軸を高速道路ないし高規格道路にて接続させることは ミンダナオ島での産業振興の背骨的役割を果たすことが期待できることから 優先度の高い事業であると考えられる 特に ミンダナオ島全体を一つの地域としてとらえた場合 南北の両側に良好な国際ゲートウェイを有し それらが島内の産業ポテンシャルと有機的に接続することは 島内物流の冗長性と複合的な発展の可能性を促すものと考える 3 公共交通カガヤンデオロの人口は 2015 年時点で 68 万人である この規模の都市においては バスを主体とする公共交通網の整備が最も経済的で効果的と考えられる ただし 現行のジープニーなどのような個々の車両が独立採算制のシステムではなく 組織的で計画的な運行とすることが必要である これには 新たなバス会社を設立することの他に 既存のジープニー等を組合化し かつ料金の一括徴収制を導入してビジネスモデルを改善させることも方策として考えられる 62

72 3.1.3 ジェネラルサントス インフラの現状ジェネラルサントスは ソクサージェン (Soccsksargen) 地域 20 における 外洋に面したゲートウェイの機能を有する都市であり 同市に存在する港湾と空港のキャッチメントエリアは ミンダナオ島南部における広大な範囲を担っている また ミンダナオ島全体の運輸セクターの観点からは ジェネラルサントス港は ASEAN 地域における経済統合の観点から立ち上げられた東アセアン成長地域 (BIMP-EAGA) の中で インドネシアのビトゥン港と接続する同地域の RO-RO 船 ( 貨物フェリー ) ネットワークの一部として認識されている 21 なお ジェネラルサントス空港も 同地域の唯一のゲートウェイとして機能している これらのゲートウェイと内陸部とを接続する都市間幹線道路は ダバオやコタバトへとつながる国道 1 号線であるが 日比友好道路として日本の支援を受けて整備されてきた歴史を持つ ダバオ~ジェネラルサントス間の区間は自国予算にて拡幅工事が進められてきており また コタバトまでの約 200km 区間は良好な複数車線での道路整備がされている状況である ジェネラルサントス市内の道路に関しては ミンダナオ島の他都市ほどではないものの徐々に交通量が増えていると指摘され 今後のミンダナオ島南部地域の発展に伴い 同市の運輸交通セクターの活動が増大することが見込まれる それらを見越したうえで ジェネラルサントス市内では 環状道路 ( 内側 外側 ) などの整備を進めていることから 道路インフラ整備計画が適切に進められていると感じる ただし 市内の交通管理の面では 未だ交通信号の設置が少ないことから 今後の交通量の増大への対処への課題があることや 都市間移動 ( 人流 物流 ) の現況が定かでなく 面的なインフラ整備を議論するのに必要な基礎情報が不足している 20 ミンダナオ島中部の地方の名称 (Region XII) 地域内の 4 州とその都市のうちの 1 つであるジェネラルサントスの頭文字で名付けられたもの 中心都市は コロナダル ( 英名 ) コタバト市である 21 JICA (2013), The Master Plan and Feasibility Study on the Establishment of an ASEAN RO-RO Shipping Network and Short Sea Shipping. 63

73 図表 3-6 ジェネラルサントスの交通 インフラ施設の整備状況 GS~Koronadal の 6 車線幹線道路 ( 出所 ) 調査団撮影 ジェネラルサントス港拡張工事 ( 杭打ち ) の様子 既存の産業ソクサージェン地域は パイナップル (Dole 社の大プランテーションが存在 ) コーヒー ココナッツ バナナ 米 コーン アスパラガス等の産地であり 国内 国外への主要な供給拠点となっている また ジェネラルサントスは 漁業や水産加工関連産業が多くを占めており ミンダナオ島の中でも水産業 水産加工業の中でも有数の都市である 鉱物資源については ジェネラルサントスの北側に位置するタンパカンにて 金 銅鉱山の採掘可能性調査が実施されており 資金または技術支援協定 (Financial or Technical Assistance Agreement: FTAA) を活用した開発が実施される予定ではあるが 南コタバト地方政府の法律により 露天掘り (Open-Pit Mining) が禁止されたこともあり すでに環境コンプライアンス証書 (Environmental Compliance Certificate: ECC) を取得しているものの開発許可が下りていない状況である (2017 年 1 月現在 ) ジェネラルサントスにおいても経済特区 (SEZ) は複数あるが 多くは個社による特区であり 唯一 工業団地と呼べる SEZ は ジェンサン (Gensan) 経済特区として空港近くのエリアにて整備され 水産加工業などの需要を見込んでいる なお 地域の発展モデルとしては 現在の漁業 水産業のみでの都市集中を目指すのではなく 農業 鉱物資源 観光資源なども含めた産業発展を地方部に展開し 地域全体としての開発が進められることを期待している プロジェクトニーズソクサージェン地域開発プロジェクトオフィス (Soccsksargen Area Development Project Office) によると 港湾 空港などの主な物流インフラ施設は 1990 年代に JICA や USAID の支援のもと建設されたものであり 老朽化 未改修が多いことから 改修事業を中央政府に対して要求していると示された 以下に 運輸 交通インフラ施設に関して ジェネラルサントス市内およびその周辺地域で計画中または実施中の案件を示すと共に 現地で把握したインフラ整備ニーズを記す 64

74 (1) 今後の計画プロジェクト プロジェクトニーズ 1 港湾インフラ ジェネラルサントス港 (Makar Wharf) は 取扱可能量の拡大に取り組んでいる 現在 同港の取扱量は既に取扱い可能容量に達しており遅延等が生じていることから ( インタビューでは 1 か月程度の沖待ちが生じているとのこと ) 韓国政府によって実施された港湾マスタープランに基づき 比政府予算によって拡張整備が進行中である 上のマスタープランには ガントリークレーンの整備 バース拡張 旅客ターミナルなどが含まれ いくつかは既に完成している 計画は第三フェーズまであり 第一フェーズで東側に 200m 岸壁を拡張予定であり 2017 年の 12 月には拡張が完了する予定である 取扱貨物の 80% は輸出用であり コンテナ貨物 (Dole 社のパイナップル バナナ等 ) が約 80% を占める バルク貨物は Kenram 産のパームオイルの取扱量が多い 輸入貨物としては 建設資機材や加工前原材料のバルク船が多く セメント輸入業者は 以前の 2 社から 5 社に増えている 今後の同地域の開発 ( 政府が提唱するインフラ投資額である年 7%) を考えると セメントや鋼材などの貨物が増えることから これまで以外の貨物の発生が想定される このような中 フィリピン港湾庁 (PPA) が実施する港湾整備計画もあるが 官主導の港湾整備は時間がかかることが課題であると捉えられており 民間による港湾整備が期待されている 具体的には PPA ではあまり優先度を設けられていないバルク貨物 ( 大豆 米 小麦 ) は 取扱いの遅延などが生じており 民間港の整備の可能性がある 漁港は 1990 年代の JICA 支援による整備以降 現在も活用され EU の支援により順次改善してはいるものの 排水処理等に課題が残っている 2 空港インフラ ジェネラルサントス空港は 20 年間前から改修されていないこともあり 今後 2 年間のうちに中央政府から空港の拡張 改修が実施される予定である 具体的には 空港ビル拡張 (2 階建て ) と 駐機場の拡張 (3 機分増やして計 6 機分とする ) が計画されている ( 一部 入札手続きが開始されている ) 空港周辺の用地は約 600ha 確保しており 空港都市 (Airport City) として空港周辺の産業 商業開発を行うことが期待されている 特に 同地域の玄関口として地域に裨益するような産業として観光を捉えており 観光受入れ施設などの整備を期待している 65

75 3 道路インフラ ジェネラルサントスとコタバトまでの海岸沿いの道路を ADB 支援にて拡幅整備中である ジェネラルサントス~ダバオ間の道路 ( 国道 1 号線 ) は 交通量が多い ( 重交通が多いと推察 ) ことから路面の傷みが激しく 補修後すぐに劣化が始まりそれへの対処もあり改良工事がなかなか進まない また 交通量が多く拡幅が必要な区間がある 同地域においても 農園から市場へ (Farm to Market) のアクセスは重要であり 幹線道路から産地までの道路整備ニーズは高い ジェネラルサントスでは 市の外縁部に環状道路 ( バイパス道路 ) を整備中である ( 空港と漁港とをつなぐ一部区間が完了していない ) これは a) 市内への流入を必要としない物流を流し市内の道路混雑を緩和させる b) 漁港と空港の連絡強化による新たな産業誘致を目指している c) ジェネラルサントス港アクセス道路としての迂回路と機能することが期待されている また 都市間バスの発着場を同道路上へ移動させることも計画中である なお 街路灯が不足しており 夜間の走行安全性の確保が課題である DPWH によると 洪水対策として 橋の強化や橋の上下流の河道固定を行っている 4 鉄道インフラ ジェネラルサントスでは 他の運輸交通インフラと比べて 鉄道インフラ整備の優先 度が高くない (2) 交通インフラ開発の方向性都市内の道路整備および交通管理 ( 交通信号など ) の拡充により交通混雑を解消させることや 現在計画中の環状道路の完成 ( ミッシングリンクの空港 ~ 漁港 ) 海岸沿いの道路拡幅などが 計画通り順次整備されることが求められる また 都市間および地域のゲートウェイ機能の強化については 今後の地域の産業発展の後追いとならないように 戦略的 計画的に十分な容量をもつインフラ整備 ( 港湾 空港 ) を整備するとともに 比較的整備されつつある都市間道路の安定性 安全性の確保に努めることが望ましい 公共交通に関しては 都市内の人口増加や居住地域 通勤通学地域などを見定めた公共交通システム ( バスを中心 ) の整備が求められる 66

76 図表 3-7 ジェネラルサントスで計画されているプロジェクト (2016 年現在 ) ( 出所 ) 調査団作成 ブトゥアン スリガオ ( カラガ地域 ) インフラの現状 (1) 運輸交通北ミンダナオ地域 ( 主要都市 : カガヤンデオロ市等 ) ダバオ地域( 主要都市 : ダバオ市 ) およびソクサージェン地域 ( 主要都市 : ゼネラル サントス市等 ) は 一人当たりの GRDP がミンダナオ平均と同等以上である これらの地域には ミンダナオ島内に立地する 13 の農工業経済特区のうち 11 の特区が立地している また 各地域ともに年間 16 万 TEU~21 万 TEU のコンテナ取扱量のある港湾を有しており 工業団地から港湾間の国道のほとんどが 4 車線で整備されている これに対し カラガ地域には農工業経済特区は存在しない また 中心的な港湾であるナシピット港の年間コンテナ取扱量は 3 万 TEU 程度であり 港湾周辺の国道の 4 車線整備も行われていないのが現状である 67

77 図表 3-8 ミンダナオ島における物流インフラの整備状況 ( 出所 ) フィリピン公共事業道路省 (DPWH)GIS WEB APPS 同港湾庁 (PPA) 同経済区庁 (PEZA) に基づき調査団作成 ミンダナオ コンテナ ターミナルのコンテナ取扱量は Port Call Asia による (2) 日本政府系機関によるカラガ地域のインフラ整備支援 ( 有償資金協力 ) カラガ地域では これまでに以下の有償資金協力によるインフラ整備支援が行われて いる 68

78 図表 3-9 有償資金協力によるカラガ地域のインフラ整備支援 (1995 年 ~2007 年 ) 事業名事業期間事業規模 第二マグサイサイ橋 バイパス道路建設事 業 日比友好道路修復 ( ミンダナオ島区 間 ) 事業 アグサン川下流域開 発事業 アグサン川 下流域灌漑事業 ( 出所 )JICA ホームページ フェーズ Ⅰ フェーズ Ⅱ 洪水制御事業ーズ Ⅰ 洪水制御事業ーズ Ⅱ 灌漑事業 2000 年 8 月 ~ 2007 年 5 月 1997 年 3 月 ~ 2006 年 9 月 1999 年 12 月 ~ 2008 年 2 月 1988 年 1 月 ~ 2000 年 2 月 1997 年 3 月 ~ 2007 年 4 月 1995 年 8 月 ~ 2006 年 8 月 事業費 5,722 百万円 ( うち円借款 3,506 百万円 ) 事業費 8,303 百万円 ( うち円借款 6,744 百万円 ) 事業費 9,639 百万円 ( うち円借款 7,842 百万円 ) 事業費 3,696 百万円 ( うち円借款 2,798 百万円 ) 事業費 10,828 百万円 ( うち円借款 7,317 百万円 ) 事業費 5,765 百万円 ( うち円借款 3,899 百万円 ) 既存の産業 (1) 人口カラガ地域の 2015 年人口は 2,469,557 人で 2010 年の 2,302,412 人から約 7% 約 147,000 人の増加している (2) 一人あたり GRDP 一人あたり GRDP は 59,941 ペソである (2014 年 ) これは ミンダナオ島内で 紛争により地域開発が著しく遅れているムスリム ミンダナオ自治区に次いで低い値であり この地域はフィリピンの最貧困地域の一つといえる 図表 3-10 ミンダナオ島の地域別の域内総生産 (2014 年 ) 地域 人口 GRDP 一人あたり GRDP ( 千人 ) (100 万ペソ ) ( ペソ ) フィリピン全体 ,642, ,579 ミンダナオ全体 23,748 1,874,849 78,948 Region IX サンボアンガ半島地域 3, ,060 70,074 Region X 北部ミンダナオ地域 4, , ,242 Region XI ダバオ地域 4, , ,479 Region XII ソクサージェン地域 4, ,357 77,662 Region XIII カラガ地域 2, ,296 59,941 ムスリム ミンダナオ自治区 3, ,362 30,602 ( 出所 ) フィリピン統計庁 (PSA) に基づき調査団作成 69

79 一人あたりの生産額 図表 3-11 ミンダナオ島の地域別の一人あたり GRDP(2014 年 ) ( ペソ ) 140, , , , , ,000 80,000 78,948 70,074 77,662 ミンダナオ平均 78,948 ペソ / 人 60,000 59,941 40,000 30,602 20,000 0 フィリピン ミンダナオ サンボアンガ半島地域 北部ミンダナオ地域 ダバオ地域 ソクサージェン地域 カラガ地域 ムスリム ミンダナオ自治区 ( 出所 ) フィリピン統計庁 (PSA) に基づき調査団作成 (3) 産業構成カラガ地域の GRDP の内訳では 農業および林業が 20.6% と最も多く 漁業を加えた一次産業 ( 農業 狩猟 林業および漁業部門 ) の割合は 23.7% である フィリピンの GDP に占める一次産業の割合は 11.3% であり カラガ地域の一次産業の割合はフィリピン平均の 2 倍以上である 図表 3-12 カラガ地域の域内総生産 (GRDP) の内訳 (2014 年 ) 分類項目生産額 ( 千ペソ ) 割合 一次産業 ( 農業 狩猟 林業および漁業部門 ) 農業および林業 31,931, % 漁業 4,875, % 二次産業 ( 工業部門 ) 鉱業および採石 21,958, % 製造業 4,013, % 三次産業 ( サービス部門 ) 建設 16,239, % 電気 ガスおよび水道 2,282, % 輸送 倉庫および通信 25,511, % 自動車 二輪車等販売および修理 6,940, % 金融仲介 7,749, % 不動産 賃貸 10,419, % 公務および防衛 必須社会保障 8,486, % その他サービス 14,886, % 合計 155,296, % ( 出所 ) フィリピン統計庁 (PSA) に基づき調査団作成 70

80 (4) 主要産業 1 林業カラガ地域はフィリピン国内で最大の木材生産地である フィリピンの 2014 年の丸太の生産量 1,102,365 トンに対して カラガ地域は 765,725 トン (69%) を生産している また ミンダナオ島全体では 967,670 トン (88%) を生産している 図表 3-13 フィリピンの地域別丸太生産量 (2014 年 ) ムスリム ミンダナオ自治区 0% カガヤンバレー地域 0% イロコス地域 0% コルディリェラ行政地域 0% 中部ルソン地域 0% カラバルソン地域 1% ミマロパ地域 0% ビコール地域 0% 西部ビサヤ地域 3% 中部ビサヤ地域 1% 東部ビサヤ地域 7% サンボアンガ半島地域 5% 北部ミンダナオ地域 7% カラガ地域 69% ダバオ地域 4% ソクサージェン地域 2% ( 出所 ) 森林管理局 (FMB) に基づき調査団作成 カラガ地域は 1950 年代に原木の輸出で栄えたが 1986 年に原木の輸出が禁止された 現在は 原木の切り出しに対して厳しい制限が課せられており 二次林での植林事業による木材の生産が主となっている 現在 カラガ地域の面積 1,913,842ha のうち 1,331,491ha(70%) が森林エリアに分類されている さらに 森林エリアのうち 939,685ha(71%) は TLA(Timber License Agreement) IFMA(Integrated Forest Management Agreement) SFMA(Socialized Forest Management Agreement) また CBFMA(Community Based Forest Management Agreement) 等の契約に基づく営林事業や森林管理が行われている 71

81 2 農業カラガ地域では 2014 年に年間 2,027,066 トンの農産物が生産されており 主な農産物は ココナッツ 米 バナナ アブラヤシおよびトウモロコシである 生産量が最も多いココナッツは 南スリガオ州での生産が最も多く 次いで 北スリガオ州と北アグサン州が多い 一方で 米は南アグサン州での生産量が最多い 図表 3-14 カラガ地域の種類別農産物生産量と生産地 (2014 年 ) 農産物の生産量 (ton) 0 100, , , , , , , , ,000 ココナッツ米バナナアブラヤシとうもろこしさつまいもキャベツマンゴガビゴム ( カップランプ ) アバカカラマンシーその他 北アグサン州南アグサン州北スリガオ州南スリガオ州ディナガット アイランズ州 ( 出所 ) フィリピン統計庁 (PSA) に基づき調査団作成 図表 3-15 カラガ地域の州別農産物生産量 (2014 年 ) 南スリガオ州 33% 北アグサン州 18% 北スリガオ州 14% ディナガット アイランド州 1% 南アグサン州 34% ( 出所 ) フィリピン統計庁 (PSA) に基づき調査団作成 72

82 3 養殖業 2014 年のカラガ地域の養殖業の生産額は 719,867,000 ペソであり ミルクフィッシュ ブラックタイガー 海藻類の順で多い 北アグサン州は 1990 年代にブラックタイガーの集約型養殖が行われ一大養殖地として栄えたが 病気の発生により低迷し 現在はミルクフィッシュやティラピアなどへの転換が進んでいる 南スリガオ州および北アグサン州で生産額が多く それぞれカラガ地域全体のそれぞれ 48% と 40% を占めている 図表 3-16 カラガ地域の種類別養殖生産額 (2014 年 ) 生産額 ( 千ペソ ) 0 50, , , , , ,000 ミルクフィッシュブラックタイガー海藻類マッドクラブイセエビティラピアホワイトシュリンプその他 ( 出所 ) フィリピン統計庁 (PSA) に基づき調査団作成 73

83 図表 3-17 カラガ地域の州別養殖生産額 (2014 年 ) 南スリガオ州 48% 北アグサン州 40% 南アグサン州 1% 北スリガオ州 11% ( 出所 ) フィリピン統計庁 (PSA) に基づき調査団作成 4 鉱業カラガ地域は金 銅 鉄 ニッケル等の鉱山資源に恵まれており 2013 年のカラガ地域の鉱業による生産額は 298 億ペソに上る 2013 年の鉱山使用料および物品税は 18 億ペソ また 直接雇用者数は約 2 万人である なお 北スリガオ州では Sumitomo Metal Mining Philippine Holdings Corporation が Taganito HPAL Nickel Corporation を運営している 図表 3-18 カラガ地域の鉱業 (2012 年 ~2013 年 ) 2012 年 2013 年 変化率 % 出荷数 価格 ( 百万ペソ ) 33,150 29, 鉱山使用料 ( 百万ペソ ) 1,350 1, 物品税 ( 百万ペソ ) 直接雇用数 18,828 20, ( 出所 ) 貿易産業省 (DTI) に基づき調査団作成 5 木材加工業カラガ地域は 丸太の生産ではフィリピン全体の 69% を占めるが 木材加工品の生産ではフィリピン全体の 28% に留まる 一方で カラガ地域に隣接する北部ミンダナオ地域とダバオ地域では 丸太のシェアはそれぞれ 7% と 4% と低いものの 木材加工品のシェアはそれぞれ 30% と 27% であり カラガ地域と同等のシェアを有している 74

84 図表 3-19 フィリピンの地域別木材加工品生産量 (2014 年 ) カガヤンバレー地域 0% コルディリェラ行政地域 0% カラガ地域 28% マニラ首都圏 3% カラバルソン地域 2% ビコール地域 2% 西部ビサヤ地域 3% 中部ビサヤ地域 2% サンボアンガ半島地域 2% ソクサージェン地域 1% ダバオ地域 27% 北部ミンダナオ地域 30% ( 出所 ) 森林管理局 (FMB) に基づき調査団作成 製材 合板 化粧版の合計 プロジェクトニーズ (1) 地域開発を支える物流インフラ整備計画 1 臨海道路公共事業道路省 (DPWH) は ブトゥアン市で日系企業が関与して開発が進むタギボ工業団地近傍から 物流拠点であるマサオ港 ナシピット港を結ぶ臨海道路を計画している この内 工業団地からマサオ港間 ( 区間 1-1: 延長 14.15km) の整備を優先する考えで マグサイサイ橋から 5km ほど下流側に新たな橋梁 (( 仮称 ) 第 3 マグサイサイ橋 ) の建設 ( 川幅 200m 強 ) を計画している 現道拡幅区間は既に一部施工が始まっている一方で 公共事業道路省 (DPWH) は 橋梁整備については今後も日本の ODA 資金および技術協力が必要との意向であり 円借款による整備が期待される この道路が整備されることで 工業団地からマサオ港へのアクセス性が大幅に改善し 市街地を通過する場合に対して 所要時間の短縮 市街地の混雑軽減や事故削減等の効果のほか 現在は主に農耕地として利用されている臨海エリアの開発効果が期待される 75

85 タギボ工業団地の概要タギボ工業団地の開発予定地はダバオ市 カガヤンデオロ市およびスリガオ市を結ぶ国道の分岐点という交通の要衝にあり ブトゥアン市の土地利用計画で工業ゾーンに指定されるエリアに位置する 開発予定地は 141ha で 現在その約 60% の用地を取得済みである 工業団地開発予定地の一角には既に精米工場が建設されて 精米事業を開始している タギボ工業団地の特徴カラガ地域が競争力を有する一次産品に付加価値を付けて地域の経済開発を促す目的で 豊富に生産される農林水産品の加工拠点として計画されている フィリピン経済区庁 (PEZA) の農工業経済特区 (Agro-Industrial Economic Zone) 指定による優遇措置を取得予定で 日系企業の誘致促進を図るため高品質のユーティリティおよびサービスを提供する計画である 小水力 バイオマス 太陽光 風力等による再生可能エネルギーを活用すると共に 工業団地内での消費電力を抑えるシステムを導入することで エネルギーの地産地消を目指した低炭素型工業団地として計画されている 入居企業 ( 計画 ) タギボ工業団地の入居企業には主に日系企業を想定しており 入居企業の業種は一次産品の加工 梱包工場 ( 木材 農水産物等 ) 飲料水製造工場( ミネラルウォーター等 ) 農業関連資機材製造工場( 農業機械 部品 梱包資材等 ) および物流企業などが計画されている 事業スキーム出資者であるエクイパルコ コンストラクション カンパニー ( エクイパルコ社 ) ツインピーク ハイドロ リソーシス コーポレーション ( ツインピーク社 ) および長大グループは タギボ工業団地の共同開発の覚書を締結しており 工業団地を開発 運営する特別目的会社 (Special Purpose Company: SPC) を 2016 年度内に共同で設立する予定で 日本政府金融機関の海外投融資等の活用を検討している 地元首長等の意向ブトゥアン市ロニー ラグナダ市長は ブトゥアン市を拠点とするエクイパルコ社の元 COO (Chief Operating Officer) であり PPP による官民一体の地域開発のキーパーソンである タギボ工業団地を核とした官民連携の地域振興モデルによる地域開発に積極的に取り組む意向であり ブトゥアン市の開発計画には 工業団地と物流インフラとしての産業道路や国際港湾としてのマサオ港拡張 国内物流拠点としてのナシピット港の構想が位置付けられている また 建設会社 COO として日本の ODA 事業で日系建設会社と長くかかわってきた実績があり 日本の製品 技術 マネジメント等をライフサイクルコスト (Life Cycle Cost: LCC) の観点から積極的に取り込んでいく人物である 76

86 ブトゥアン市の開発計画概要を次図に示す 図表 3-20 ブトゥアン市開発計画 (2017 年 ~2022 年 ) ( 出所 ) ブトゥアン市 2 港湾拡張 ( マサオ港 ナシピット港 ) フィリピン港湾庁 (PPA) は 増加する貨物需要に対して マサオ港の拡張に重点をおいた開発を進める方針で 今後 港湾整備を進めるため ODA 資金の活用を検討している マサオ港では短期的な拡張計画のうち 2,800 m2のヤードの埋め立ては既に完了しており 現在 51m の埠頭拡張工事中 今後防波堤の建設を予定している さらに今後中長期的な計画として 約 4.0ha のヤード埋め立ておよび 724mのバース新設を計画している 77

87 STP OPEN STORAGE AREA OPEN STORAGE AREA VEHICLE PARKING AREA TRANSIT SHED VESSEL 150M LOA ENTRANCE DOMESTIC VEHICLE PARKING AREA PTB w/ CANTEEN TICKET BOOTHS VEHICLE PARKING AREA VEHICLE PARKING AREA VEHICLE PARKING AREA PASSENGER WAITING / VENDOR AREA OPEN STORAGE AREA OPEN STORAGE AREA P R O P O S E D P O R T R O A D ( 15 meter - wide ) STAGING & MARSHALLING AREA VEHICLE PARKING AREA AREA RESERVED FOR SHIPPING & OTHER RELATED OFFICES PUJ / TRICYCLE TERMINAL RO-RO RAMP EXIT GATE DOMESTIC VEHICLE PARKING AREA ARRASTRE OFFICE CR VEHICLE PARKING AREA VEHICLE PARKING AREA RESERVED AREA FOR PCG ROOF LINE RAMP UP RAMP UP RAMP UP 2.0 MTS. WIDE WALKWAY F - 3 P-1 SD P-1 P-1 P-1 SD 1 SD 1 1 OFFICE OFFICE F - A SD 2 SD 2 RAMP UP RAMP UP STAGING & MARSHALLING AREA RESERVOIR W.T. PPA OFFICE & QUARTER ENTRY / EXIT GATE FOR FOREIGN BERTH PH GH EXIT GATE GH 図表 3-21 マサオ港の拡張計画 RO-RO VESSEL 100M LOA CONVENTIONAL VESSEL 100M LOA R O C K B U L K H E A D F U T U R E B E R T H S T U R N I N G B A S I N ( 100m Radius ) VESSEL 100M LOA W H A R F EXISTING WHARF RO-RO RAMP AREA FOR FOREIGN CARGO W H A R F W H A R F F U T U R E E X P A N S I O N TEMP. WAREHOUSE OFFICE P-1 SD 1 SD P-1 1 P-1 P-1 SD 1 F MTS. WIDE WALKWAY RAMP UP RAMP UP RAMP UP M.B. W ブトゥアン湾 N E S 中長期的整備計画 P-1 LINE OF CANOPY CARGO SHED (20 x 54 m) LEGEND: EXISTING PORT FACILITIES SHORT TERM DEV'T. PLAN MEDIUM TERM DEV'T. PLAN LONG TERM DEV'T. PLAN 凡例陸地既存港湾施設短期開発計画 TO BUTUAN CITY H O U S E S ITC 中期開発計画 長期開発計画 ( 出所 ) マスタープラン ( フィリピン港湾庁 (PPA)) 図表 3-22 マサオ港の拡張予定エリアの現状 ( 出所 ) 調査団撮影 78

88 一方 ナシピット港の長期的な計画として入江の南側の埋め立てが計画されている 図表 3-23 ナシピット港の開発マスタープラン 凡例既存港湾施設中期開発計画長期開発計画 ( 出所 ) フィリピン港湾庁 (PPA) 図表 3-24 ナシピット港の現状 ( 出所 ) 調査団撮影 79

89 PPA は ナシピット港は入江を利用した港のための大規模な拡張は困難であると判断しており 今後増加する貨物需要に対応するため マサオ港に重点を置いて開発を進める方針で 港湾整備を進めるため ODA 資金の活用を検討している ただし いずれの港湾においても現状の計画は工業団地開発を前提としたものではなく 計画の見直しも含めて港湾拡張事業が必要である 3.2 ミンダナオ全体でのプロジェクトの実施 計画状況ミンダナオの開発においては JICA ADB USAID 等がこれまでに支援を行ってきた実績がある MinDA によると これまでに各ドナーによりミンダナオで実施された主なプロジェクトは下図のとおりである 図表 3-25 各支援機関がミンダナオで実施した主なプロジェクト (2016 年時点 ) ( 出所 )MinDA また MinDA によると 主な優先プロジェクトとして次頁の図のようなプロジェクトが挙げられている 地域横断的なプロジェクトとしてミンダナオ鉄道プロジェクトが挙げられている また 本調査対象都市でみると ダバオ市において ダバオ国際空港の拡張に加えて 旧ダバオ空港ターミナルを活用した観光活動の実施が計画されている 80

90 図表 3-26 ミンダナオにおける主な優先プロジェクト (2016 年時点 ) ( 出所 )MinDA MinDA によると ミンダナオにて計画されている PPP プロジェクトとして次図のプロジ ェクトが挙げられている 図表 3-27 ミンダナオにおいて計画中の PPP プロジェクト (2016 年時点 ) ( 出所 )MinDA 81

91 3.3 優先プロジェクト 基本的考え方ミンダナオは これまでルソンやビサヤなどの他地域に比べて投資が遅れており フィリピンの中でも貧しい地域の一つといえる 数値的にみると 一人当たり GRDP はフィリピンの全国平均の 6 割に留まっている とりわけ ダバオやカガヤンデオロといった大都市を抱える地域に比べて 東西に位置するカラガ ( フィリピン平均の約 47%) やムスリム ミンダナオ自治区 ( 同 24%) はフィリピンの中でも最貧困地域となっている インフラ整備は 本来 産業を発展させて雇用を生み出し 地域の持続的な経済成長を担う受け皿となるべきものである マニラやセブのような特定地域にヒト モノ カネ サービスが集中することは 周辺地域との格差を拡大するとともに都市集中による弊害を生み 結果的に国土の均衡ある発展の足かせとなる可能性がある そうした観点から フィリピン政府が 今後 発展の遅れたミンダナオ地域への投資を積極的に進めていくことは重要であり それを日本政府が支援することにも高い意義を見出すことができる 折しも 2017 年に日本政府により発表された対フィリピン国援助方針の重点分野の一つに ミンダナオにおける平和と開発 が挙げられている ミンダナオのインフラ開発においては これまで進められてきた 需要追随型 一極集中型 開発ではなく 需要創出型 地域の個性ある発展型 を目指したインフラ整備のあるべき姿を明示した上で 優先プロジェクトを導き出すことが必要と考えられる 開発戦略 これまで述べてきたインフラ整備の状況や現地側のニーズ およびそれらを俯瞰して考 察した結果 以下のような開発戦略が考えられる 戦略的な物流ネットワークの構築開発戦略の第一は 地域の産業開発を視野に入れた戦略的な物流ネットワークの構築である これまで進められてきた 需要追随型 案件積み上げ型 の開発から脱却し あるべき姿としての上位計画をゴールとした 先行的整備 を進めていくことが重要である そして ミンダナオ島全域での開発戦略と戦略上の核となるインフラ施設の整備から順に開発を進めていくことが望ましい 道路インフラの整備については まずは 主要都市間 主要都市内 内陸産業拠点から幹線道路へのアクセスの新規整備や拡張を通じて移動や輸送の機能を強化することが必要である 具体的な整備対象の道路としては 以下の階層のものが想定される レベル1: 主要都市間を結ぶ高規格道路網の整備 レベル2: 主要都市内での交通需要を適度に分散させる面的開発 レベル3: 農園から市場を結ぶ道 (Farm to Market Road) のような内陸部での産業拠点 82

92 から幹線道路へのアクセス性強化その上で 今後さらに開発ポテンシャルのある港湾 例えば カガヤンデオロ港や ブトゥアンのマサオ港 ナシピット港などの機能やキャパシティの強化を図ることにより 島内外の陸上輸送の効率化 活性化を促進する 他方 長期的には 島内での鉄道ネットワーク整備の需要が出てくる可能性がある ヒトやモノの効率的な輸送という観点からは鉄道ネットワークの整備の意義は認められるものの 産業発展のための喫緊の基礎的インフラの整備ニーズという観点からは 短中期的には道路網を充実させることにより高い優先度を置くべきと考えられる なお 鉄道を整備するにあたっては 道路と鉄道の二重投資を避けるような包括的な計画づくり ( 道路と鉄道の役割分担の明確化 ) が必要である 都市部における交通渋滞の緩和開発戦略の第二は 都市部における交通渋滞の緩和である ダバオやカガヤンデオロといった大都市では 交通渋滞が深刻化の一途をたどっており 経済発展の妨げとなっている これらの障害を緩和するための交通システムが必要である 言い方を変えると 都市内での交通需要を適度にコントロールするには 道路整備と公共交通整備とのバランスをもった開発が必要である ダバオのように人口 100 万人を超える都市は別として ミンダナオ島内の各主要都市の人口は 100 万人に満たない 加えて 多くの都市では宅地化できる平地が限られていることから 市街地区域はコンパクトにまとまっている このため MRT やモノレールといった巨額のインフラ投資を必要とするマストランジットでなくとも バスの効率的な運用で公共交通利用環境は改善でき ひいては 交通混雑の緩和につながると考えられる ただし バスとは言っても 現行のジープニーの運行形態 ( 個々の車両が独立採算制のシステム ) をそのまま活かすのではなく 組織的に運行ルートや運行スケジュールを管理できる公社もしくは会社を設立し バス運行の最適化を図ることが重要である 加えて 運行するバスが清潔かつ安全で 誰もが使いたいと思える車両であることが望ましい これにより 自家用車依存の交通体系から公共交通利用主体の交通体系への移行が図れる 代替案としては 独立採算制のジープニーのオーナーとドライバーを組合化し 運賃決済に電子システムを用いて中央料金収受システムとすることも 計画的で効率的な運用の方策として考えられる 民間企業の投資促進開発戦略の第三は 民間企業の投資促進である フィリピン政府およびミンダナオ地域の各地方政府の公共投資予算は限られており ミンダナオの経済発展は民間企業の投資なしには成立しえない 民間投資の加速を促すため フィリピン政府および関係地方政府は 国内外の企業の積極的な投資を実現していくための様々な施策を打っていくことが必要であ 83

93 る 特に公共インフラの整備という観点からは フィリピン政府が従前より積極的に推進している PPP の活用も視野に入れたアプローチを考える必要がある 日本企業に関していえば 対フィリピン投資 輸出拡大を誘致する方策として 1インフラプロジェクトそのものへの日本企業の関与 および2インフラを利用してフィリピンでの事業を拡大する日本企業の進出支援 の 2 点が考えられる 1においては 質の高いインフラ輸出に沿った高い仕様にてスペックインを行う方策や 高度な技術が求められるインフラプロジェクトに重点を置いた支援方策を推進するなどの方策がある また2は 電力 水 運輸交通等の基礎インフラ整備を実施する戦略的な分野であり 戦略的パートナーと協働しながら実施することが極めて重要である これらを念頭に 運輸 交通インフラの整備支援における戦略的な方針として 下記を設定する 優先プロジェクトリスト ミンダナオ全体優先プロジェクトは 今後実施される上位計画策定調査 ( 例えば ダバオ市インフラ開発計画策定 管理能力向上プロジェクト (JICA) や 高規格道路網開発マスタープランプロジェクト (JICA) ) で推奨される優先順位の高いプロジェクトから順に進めていくことが望ましいが 運輸交通セクターにおいて現時点で重要と考えられるプロジェクトは 以下のとおりである (1) 道路上述のように 主要都市間 主要都市内 内陸産業拠点から幹線道路へのアクセスの新規整備や拡張を通じて移動や輸送の機能強化を図る 優先度の高い案件としては 以下が挙げられる ミンダナオの背骨としての カガヤンデオロ~ダバオ~ジェネラルサントスの高規格道路網整備 上位計画のアジアハイウェイと海の回廊構想を踏まえた都市間ネットワーク強化 AH26 路線 ( スリガオ~アムパヨン~ダバオ~ジェネラフサントス~コタバト~サンボアンガが中心軸 ダバオ~カガヤンデオロが補助軸 ) の高規格道路化 ミンダナオ島北部回廊 ( ブトゥアン~カガヤンデオロ~イリガン~オザミス~ディプログ ) の改良 強化 ミンダナオロジスティック道路の整備支援 ( ブトゥアン~マライバライ ) 主要都市内での交通需要分散に向けた道路ネットワーク ( ダバオ市バイパス カガヤンデオロ市バイパス ジェネラルサントス市環状道路 ブトゥアン市ロジスティック道路 ) 84

94 (2) 港湾物流機能向上 ( 特にミンダナオから島外への輸出機能 ) の観点に立った 既存港湾の拡張や潜在機能の引き出しを図る 地域全体と見ると ダバオ カガヤンデオロ ジェネラルサントス ブトゥアン等に主要港湾が存在するが 特に その開発ポテンシャルおよびニーズが高いと考えられる 島北部の港湾開発に着目する 優先度の高い案件として以下が挙げられる カガヤンデオロ市ミンダナオ コンテナ ターミナルの拡張 ブトゥアン市マサオ港 ナシピット港のポテンシャルの開発なお 道路との関係では 都市間貨物輸送が市街地区域を通過しなくても済むように 主要幹線道路からハブ港湾へのアクセス性強化につながるバイパス道路が建設されることも重要である (3) 都市交通市街地内での移動需要をカバーできる組織だった公共交通システムの導入と これを支えるインフラ ( バス停やバス専用レーン バス優先レーン ) の整備を進めることで 都市内での旅客需要の大部分を公共交通網でカバーできるようになる これによって 市街地内での渋滞緩和や移動時間の短縮が期待できる また 都市内での交通信号は それが国道であったとしても DPWH ではなく市の交通局が管理している 個々の信号は独立したシステムになっており 市街地全域での効率的な信号管制がとれていない このため 日本の交通管制システムを導入し かつ 市職員の能力向上を支援することが 今後増え続ける交通需要に対抗する上で有益である (4) 鉄道ミンダナオ島の発展 ( ヒト モノのより効率的かつ全体的な移動 ) を推進する観点から 長期的には島内における鉄道網の整備についても検討する価値が認められる 道路や港湾等の各種インフラ整備も この鉄道整備構想を念頭において実施する必要がある 一方 鉄道についてはネットワーク構想が明確に固まっておらず フィリピン政府でも検討中であることから 検討に欠かせない基礎的な調査 ( 現況物流量 コモディティ分析 ポテンシャル 開発構想 計画など ) を実施する必要がある 優先プロジェクト総括 運輸交通セクターにおける優先プロジェクトリストを 本調査対象都市別に示すと次表 のとおりである 85

95 図表 3-28 優先プロジェクトリスト ( 案 )( 都市 セクター別 ) 都市道路港湾鉄道空港全体 候補案件が多い 小規模案件 イリガン-カガ - が複数ありヤンデオロ-ダゴン-ダバオ-コタバト-イリガンの島内一周路線 ( ダバオ-ブトゥアン ダバオ-カガヤンデオロの Y 字路線 ) ブトゥアン市スリガオ市 ブトゥアン-ダグム-ダバオ間 ( 拡幅 橋梁 ) ブトゥアン-カガヤンデオロ間 工業団地 - 港間の産業道路 ( 拡幅 橋梁 ) ブトゥアン-マライバライ間 国道 -シャリガオ橋梁 スリガオ-レイテ橋梁 ダバオ市 渋滞対策 ( 信号故障など ) サマル島へのトンネル or 橋梁 カガヤンデオロ市 ジェネラルサントス市 ( 出所 ) 調査団作成 MCT バイパス上のフライオーバー カガヤンデオロ-ダバオ間 ( 山岳道路または別ルート ) カガヤンデオロ市をバイパスする道路 ( 下記 Expressway の一部となる可能性あり ) ブトゥアン-カガヤンデオロ-イリガン間 Expressway ジェネラルサントス- ダバオ間の急峻区間 マサオ港 ナシピット港 サマル島側での港湾 ( サマル島へのアクセス確保と共に ) MCT-Phase II (METI F/S) および工業団地整備 コンテナターミナルの拡張 漁港の廃水設備改善 - 都市公共交通 JICA ダバオ調査にて実施予定 (NEDA 承認済み ) - - また 上表のプロジェクトを地図上に示したのが次図である 86

96 図表 3-29 優先プロジェクトリスト ( 案 )( 都市 セクター別 ) マップ ( 出所 ) 調査団作成 87

97 第 4 章フィリピンおよびミンダナオにおける電力セクターの基礎情報 現状 課題 4.1 電力セクターの現状と課題 フィリピン全体 電力セクターの概要 (1) 電力セクターの特徴 フィリピン国内の電力セクターは 2001 年に施行された電力産業改革法 (EPIRA) によ り 電力事業の自由化に向けた改革が進められてきた この一環で 旧国営電力公社 (NPC) 所有の発電所は 2012 年末で約 91% が民営化され 卸電力事業者 (IPP) との電力購買契 約 (PPA) で規定されていた NPC の電力購入 販売の権利も民間に売却された これらの一連の改革の結果として フィリピンの電力セクターでは 民間の発電事業者 が発電を担い 民間の電力供給会社 (Distribution Utility: DU) や非営利の電化組合 (Electric Cooperative: EC) が配電 供給を担う構造となっている なお 送電については フィリ ピン政府とのコンセッション契約により 送電会社 (National Grid Corporation of the Philippines: NGCP) が独占的に事業を実施している また 事業者に対するライセンス付 与や料金の認可等はエネルギー規制委員会 (Energy Regulatory Commission: ERC) が担う (2) 電力需給状況最近のフィリピンの電力消費量および発電量の推移をみると 増加基調が続いている セクター別電力消費量を見ると 家庭 商業 工業のいずれも消費量が増加しており 過去 10 年間で約 3 割増となっている 年 6% 近い経済成長率が続いていることから 電力需要が高い伸びを示している また フィリピンの総発電量を見ると 2014 年の総発電量は 77,261GWh となり 過去 10 年間で約 4 割増となっている 88

98 GWh 図表 4-1 フィリピンにおけるセクター別電力消費量の推移 (2003 年 ~2015 年 ) ( 出所 )DOE 資料に基づき調査団作成 図表 4-2 フィリピンの総発電量 (2002 年 ~2014 年 ) 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10, 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 Biomass Solar Wind Hydro Geothermal Natural Gas Oil-based Coal ( 出所 )DOE 資料に基づき調査団作成 電源の内訳をみると 43% を石炭火力発電所が占め 天然ガス火力発電所が 25% で続く フィリピン全体でみて 老朽設備が多く 特にルソン ビサヤ系統では発電設備の故障等が生じると 停電が発生する 最近はミンダナオでは需給が改善する傾向にみられるが 全体としてみれば電力供給力の増強が必要な状況である また 今後 国内で産出するガスが枯渇すれば 輸入炭を利用した石炭火力発電のウエイトが高まることが予測さ 89

99 れることから 電力自給率が低下する可能性がある 図表 4-3 フィリピン国全体の電源別比率 (2014 年 ) Geoth ermal 13% Hydro 12% Solar Wind 0% 0% Bioma ss 0% Coal 43% Natur al Gas 24% Oilbased 8% ( 出所 )DOE 地方電化フィリピンの電化率は 最小行政単位であるバランガイでほぼ 100% に達しつつある しかし 個々の需要家では バランガイ中心部から離れた小集落等で電化が進んでいないところがあり 電化率は改善の余地がある 特にミンダナオにおいては 需要家の電化率は 2014 年時点で 71% にとどまり ルソン ビサヤ ( それぞれ 92% 91%) と比較して 相対的に低い水準となっている Region 図表 4-4 フィリピンの電化率 (2014 年 ) Potential Barangays Energized/ Completed % Potential To date Connections Energized/ Completed % To date Total Philippines 36,063 36,053 99% 13,081,400 11,174,080 85% Luzon 15,516 15,513 99% 5,909,500 5,440,235 92% Visayas 10,956 10,955 99% 3,242,400 2,939,400 91% Mindanao 9,591 9,585 99% 3,929,500 2,794,445 71% ( 出所 ) 国家電化庁 (NEA) 電気料金フィリピンの電気料金についてみると 国際的にみて著しく高い水準となっている 国によっては 補助金が導入されているケースもあり 単純な比較は難しいが マニラ セブでは日本を含むアジア他国よりも高い水準にある 90

100 Seoul Beijing Shanghai Guangzhou Singapore Bangkok Kuala Lumpur Jakarta Batam Island Manila Cebu Hanoi Ho Chi Minh Da Nang Yangon Vientiane New Delhi Karachi Colombo Mumbai Dhaka Yokohama 図表 4-5 電気料金の国際比較 ( インデックス )(2015 年 ) 1.2 Index(Price/GDP per Capita PPP) As of ( 出所 )JETRO に基づき調査団作成 注 :2015 年のフィリピンの値を 1 として相対化している フィリピンの電力料金の構成要素の中でもっとも比率が高いのは 発電 (Generation) コ ストである 主としてマニラ首都圏に電力を供給する同国最大の供給会社であるメラルコ (Meralco) 社の年次報告書によれば 2015 年の電力料金のうち 発電コストの占める比 率は 54% である この点を踏まえると 国際水準に比して高額であるとされる電力料金を 抑制するためには 発電の部分で工夫が必要になるといえる 図表 4-6 Meralco 平均料金 ( ペソ /kwh) 料金内訳 (%) 発電 % 送電 % 配電 % システムロス % 税金 / 補助金 / ユニバーサ % ルチャージ 再エネ発電賦課金 % 合計 ( 出所 )Meralco ちなみに 2015 年の発電コストは前年比 16% 低下しているが これはメラルコ社によれ ば 燃料費の低下 卸売電力取引市場 (Wholesale Electricity Spot Market : WESM) の卸取引 価格の低下を反映したものであるとのことである また FIT-Allowance の部分につい 91

101 ては フィリピン政府が導入した FIT プログラムによって生じる再生可能エネルギー導入によって生じる負担を ERC の指示に基づいて電力需要家から回収するものである フィリピン政府は 2012 年に FIT プログラムを導入したが 負担分の回収は 2015 年から始まった この負担分については 今後 導入量の増加に伴って 増加するものと予想される この間 発電コストの低下には 発電効率を改善することがポイントになる 図表 4-7 日 比の石炭火力発電所の発電効率の差 ( 出所 ) 経済産業省 災害への対応 フィリピンは 我が国同様に 自然災害が多く 電力セクターにおいても災害リスクを低 減することが重要になっている 92

102 図表 4-8 世界リスク報告 (2016 年 ) ( 出所 ) 国際連合大学 ミンダナオ ミンダナオの電力セクターの概要ミンダナオの電力需要は 経済活動が活発化する中で 増加傾向にある 電力消費量は 過去 10 年間で約 4 割増加している また 2014 年の総発電量は 9,481GWh と 過去 10 年間に 33% 増加した 最近の動向をみると 2016 年以降 石炭火力発電所の新設が続き 需給環境は改善している 93

103 図表 4-9 ミンダナオにおけるセクター別電力消費量の推移 (2003 年 ~2015 年 ) ( 出所 )DOE に基づき調査団作成 図表 4-10 フィリピンの地方別の発電量の推移 (2003 年 ~2015 年 ) ( 出所 )DOE に基づき調査団作成 94

104 GWh 図表 4-11 ミンダナオの総発電量 (2002 年 ~2014 年 ) 10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1, 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 2014 年 Biomass Solar Hydro Geothermal Oil-based Coal ( 出所 )DOE に基づき調査団作成 電源別にみると 2015 年は水力発電が 44% を占め 次いでディーゼル発電が 32% を占めている 主な電源を水力に頼っているため 発電所の多くが水資源の豊富な島北部に偏っている 一方で 島全体の需要のおよそ半分は 島南東部のダバオ地域周辺に集中しており 北部で発電した電力を南部に送電する構造となっていた なお 水力発電は 水資源量に影響されやすく 渇水等に脆弱である ただし 2016 年以降は石炭火力発電所が多く運転開始していることから 2017 年には下図のとおり石炭が 56% を占める構造に大きく変わる見込みである 図表 4-12 ミンダナオの電源別発電量比率 (2015 年および 2017 年 ) ( 出所 )MinDA 95

105 調査対象各地域の状況 (1) ダバオ地域ダバオ地域は 4 基のディーゼル発電所および 2 基の水力発電所が稼働しており これらの発電所の総発電出力は 252.8MW である エネルギー源別の発電出力をみると ディーゼル発電が 205.7MW 水力発電が 47.1MW である また オフグリッドの地域については 国家電力公社 (NPC-SPUG) が所有する 3 基の発電所から電力を供給している これらの発電所は北ダバオ州および南ダバオ州に位置し 総発電出力は 1.34MW である ダバオ地域の配電組合および電力会社は以下のとおりである 1 配電組合 東ダバオ州配電組合 (Davao Oriental Electric Cooperative: DORECO) 北ダバオ州配電組合 (Davao del Norte Electric Cooperative: DANECO) 南ダバオ州配電組合 (Davao del Sur Electric Cooperative: DASURECO) 2 電力会社 ダバオ電力会社 (Davao light Power Company, Inc.: DLPC) (2) カラガ地域カラガ地域には発電所がなく 全ての電力は島内の他地域で発電された電力に完全に依存している 各州に配電組合があり これら各州の配電組合がそれぞれ基幹となるフィリピン国家送電会社 (National Grid Corporation of the Philippines) の送電網を通して島内の IPP 事業者から電力を購入し 地域へ配電を行っている カラガ地域の配電組合は以下のとおりである 北スリガオ州配電組合 (Surigao del Norte Electric Cooperative) 南スリガオ州配電組合 (Surigao del Sur Electric Cooperative) 北アグサン州配電組合 (Agusan del Norte Electric Cooperative) 南アグサン州配電組合 (Agusan del Sur Electric Cooperative) (3) 北部ミンダナオ地域北部ミンダナオ地域は 8 基の水力発電所 ( 小水力発電所も含む ) 5 基のディーゼル発電所 1 基の石炭火力発電所 1 基のバイオマス発電所 1 基の太陽光発電所が稼働しており これらの発電所の総発電出力は 1,172MW である エネルギー源別の発電出力をみると 水力発電 ( 小水力発電も含む ) は 739.9MW 石炭火力発電所は 232MW ディーゼル発電所は 163.2MW バイオマスは 35.9MW 太陽光発電は 1MW である 北部ミンダナオ地域は 水力発電 ( 小水力発電も含む ) が総発電出力の 63% を占めており 水力発電によって発電された電力に大きく依存している 北部ミンダナオ地域の配電組合および電力会社は以下のとおりである 96

106 1 配電組合 西ミサミス州配電組合 I (Misamis Occidental I Electric Cooperative: MOELCI I) 西ミサミス州配電組合 II(Misamis Occidental IIElectric Cooperative: MOELCI II) 東ミサミス州配電組合 I (Misamis Oriental I Electric Cooperative: MORESCO I) 東ミサミス州配電組合 (Misamis Oriental IIElectric Cooperative: MORESCO II) ファースト ブキドノン州配電組合 (First Bukidono Electric Cooperative : FIBECO) ブキドノン州配電組合 II(Bukidnon II Electric Cooperative: BUSECO) カミギン州配電組合 (Camiguin Electric Cooperative: CAMELCO) 北ラナオ州 (Lanao del Norte Electric Cooperative: LANECO) 2 電力会社 カガヤンデオロ電力会社 (Cagayan Electric Power and Light Company, Inc.: CEPALCO) イリガン電力会社 (Iligan Light and Power, Inc.: ILPI) (4) ソクサージュン地域ソクサージュン地域は 3 基のディーゼル発電所および 1 基の地熱発電所が稼働しており これらの発電所の総発電出力は 189.5MW である エネルギー源別の発電出力をみると ディーゼル発電所が 81MW 地熱発電所が 108.5MW である ソクサージュン地域の配電組合および電力会社は以下のとおりである 1 配電組合 コタバト州配電組合 (Cotabato Electric Cooperative: COTELCO) 南コタバト州配電組合 I (South Cotabato Electric Cooperative: SOCOTECO I) 南コタバト州配電組合 II(South Cotabato Electric Cooperative: SOCOTECO II) スルタン クダラット州配電組合 (Sultan Kudarat Electric Cooperative: SUKELCO) 2 電力会社 コタバト電力会社 (Cotabato light and Power, Inc.: COLIGHT) ミンダナオにおける電源別発電所の立地状況 (1) 水力発電 DOE によると 2016 年 12 月 31 日時点でミンダナオでは 14 基の水力発電所が稼働しており これら水力発電所の多くが北部ミンダナオ地域に集中している ダバオ地域では電力需要が多いが 水力発電所は Tudaya 1(6.6MW) Tudaya 2(7MW) Shibulan Hep (42.6MW) および Talomo Hep(4.5MW) のみとなっている 97

107 既存の水力発電所の位置を示すと下図のとおりである 図表 4-13 既存の水力発電所の位置 (2016 年現在 ) 施設名 :CABULIG HEP 場所 :Claveria, Misamis Oriental 容量 :9.2MW 施設名 :AGUSAN 場所 :M. Fortich, Bukidonon 容量 :1.6MW 施設名 :BUBUNAWAN 場所 :Baugon, Bukidnon 容量 :55MW 施設名 :AGUS 4 場所 :Baloi, Lanao del Norte 容量 :158.1MW 施設名 :AGUS 5 場所 :Buru-un, Iligan City 容量 :55MW 施設名 :PULANGI 4 場所 :Maramag, Bukidnon 容量 :255MW 施設名 :AGUS 6 場所 :Buru-un, Iligan City 容量 :200MW 施設名 :SHIBULAN HEP 場所 :Santa Cruz, Davao del sur 容量 :42.6MW 施設名 :AGUS 7 場所 :Buru-un, Iligan City 容量 :54MW 施設名 :TUDAYA 1 場所 :Santa Cruz, Davao del sur 容量 :6.6MW 施設名 :AGUS 2 場所 :Saguiaran, Lanao Sur 容量 :180MW 施設名 :TUDAYA 2 場所 :Santa Cruz, Davao del sur 容量 :7MW 施設名 :AGUS 1 場所 :Marawi City, Lanao Sur 容量 :80MW 施設名 :TALOMO HEP 場所 :Mintal, Davao City 容量 :4.5MW ( 出所 )DOE に基づき調査団作成 (2) 石炭火力発電ミンダナオにおける石炭火力発電所はいずれも最近導入されたばかりであり 2016 年 12 月 31 日時点では 5 基の石炭火力発電所のみ稼働している なお これらの既存の石炭火力発電所の内訳は 東ミサミス州ヴィジャヌエヴァの 232MW( 運転開始は 2006 年 ) と 270MW( 同 2016 年 ) 南ダバオ州サンタクルーズの 300MW( 同 2015 年 ) 東ダバオ州マリータの 150MW( 同 2016 年 ) サランガニ州マシムの 118MW( 同 2016 年 ) である 既存の石炭火力発電所の位置は次図のとおりである 98

108 図表 4-14 既存および今後稼働予定の石炭火力発電所の位置 (2016 年現在 ) 施設名 :Mindanao Coal U1&U2 場所 :Villaueva, Misamis Oriental 容量 :232MW 施設名 :FDC MISAMIC U1&U2 場所 :Villaueva, Misamis Oriental 容量 :270MW 施設名 : FDC MISAMIC U3 場所 :Villaueva, Misamis Oriental 容量 : 135MW 施設名 :Balingasag Thermal CFBC Coal-Fired Power Plant 場所 :Balingasag, Misamis Oriental 容量 :165MW 施設名 :Therma South U1&U2 場所 :Santa Cruz, Davao Del Sur 容量 :300MW 施設名 :GNPower Kauswagan Clean Coal-Fired Power Plant 場所 :Kauswagan, Lanao del Norte 容量 :540MW 施設名 :SMC Malita U2 場所 :Malita, Davao Occidental 容量 :150MW 施設名 :SEC 場所 :Maasim, Saragani 容量 :118MW 稼働中 今後稼働予定 施設名 :SMC Malita U1 場所 :Malita, Davao Occidental 容量 :150MW 施設名 :Southern Mindanao Coal Fired Power Station Unit2 場所 :Maasim, Saragani 容量 :100MW 出所 :DOE に基づき調査団作成 (3) 地熱発電現在ミンダナオで稼働中の地熱発電所は 南ダバオ州にあるアポ山地熱発電所のみである DOE によると 北コタバト州において出力 MW の地熱発電所が開発段階にあるほか 開発前段階の地熱発電所が 7 か所ある 既存の地熱発電所 開発段階 開発前の段階にある地熱発電所の位置は次図のとおりである 99

109 図表 4-15 既存の地熱発電所 開発段階 開発前の段階にある地熱発電所の位置 (2016 年現在 ) 東ミサミス州バリンガサッグ (20MW) 西ミサミス州アムピロ (30MW) 北スリガオ州マイニット (30MW) 南サンボアンガ州レイクウッド (40MW) 南ダバオ州カタパガン Mt.Shibulan 北コタバト地熱発電所 出力 :108.48MWe 南ダバオ州北コタバト Mt. Talomo-Tico 南ダバオ州北コタバト (20MW) 商業中 開発段階 開発前の段階 アポ山地熱発電所 出力 :103.2MW 出所 :DOE に基づき調査団作成 ミンダナオにおいて今後稼働予定のプロジェクトミンダナオにおいて今後稼働予定のプロジェクトの容量の合計は MW である エネルギー源別にみると 石炭火力発電所が 1,510MW 石油火力発電所が 29.54MW 水力発電所が 134.2MW バイオマスが 14.2MW である なお ミンダナオにおいて今後稼働予定のプロジェクトは次頁に示す一覧のとおりである 100

110 プロジェクト名 石炭火力発電所 FDC-Misamis CFB Coal-Fired Power Plant Project SMC Davao Power Plant Project Phase I Unit1 SMC Davao Power Plant Project Phase I Unit2 Balingasag Thermal CFBC Coal-Fired Power Plant CNPower Kauswagan Clean Coal-Fired Power Plant Southern Mindanao Coal Fired Power Station Unit2 石油火力発電所 Peakpower Soccsargen, Inc. Bunker Fired Power Plant Peakpower San Francisco, Inc. Bunker Fired Power Plant Peakpower Budiknon, Inc. Bunker Fired Power Plant 水力発電所 図表 4-16 今後稼働予定のプロジェクト一覧 場所 東ミサミス州ヴィジャヌエヴァ 容量 (MW) 稼働開始年月 ( 見込み ) 年 月 南ダバオ州マリータ 年 11 月 南ダバオ州マリータ 年 12 月 東ミサミス州 バリンガサッグ 年 1 月 -5 月 北ラナオ州カウスワガン 年 3 月 サランガニ州マシム 年 南コタバト州ジェネラルサントス南アグサン州サンフランシスコブキドノン州マノロ フォーティック 年 12 月 年 3 月 年 6 月 New Bataan コンパステラバレー州ニューバターン 年 1 月 Manolo Fortich 1 ブキドノン州サンチャゴ 年 6 月 Manolo Fortich 2 ブキドノン州サンチャゴ 年 6 月 Lake Mainit 北アグサン州ジャボンガ 年 12 月 Puyo Hydoelectric Power Project 北アグサン州ジャボンガ 年 7 月 Asiga HEPP 北アグサン州サンチャゴ 年 8 月 バイオマス発電所 PTCI Rice Husk-Fired Biomass Cogeneration Facility マギンダナオ州 年 11 月 GEEC Biomass Cogeneration System マギンダナオ州 年 11 月 LPC Rice Husk-Fired Biomass Power Plant Project マギンダナオ州 年 11 月 合計 出所 :MinDA に基づき調査団作成 地方電化ルソン ビサヤと同様に バランガイ単位でみると ミンダナオでもほぼ全てのバランガイが電化されている しかし 次表にみるようにバランガイの中でも僻地にあたる地域では 電化が進んでいない ミンダナオにおいては 域内の経済格差の改善が重要な政策課題であり こうした未電化の地域の解消は 重要な課題である 特に ムスリム ミンダナオ自治区 (ARMM) の電化率は 2014 年時点で 36% と特に低い水準にとどまっている 101

111 Region 図表 4-17 ミンダナオの電化率 (2014 年 ) Potencial Barangays Energized/ Completed % Potencial To date Connections Energized/ Completed % To date Total Mindanao 9,591 9,585 99% 3,929,500 2,794,445 71% Region IX 1,865 1, % 654, ,960 71% Region X 1,843 1, % 750, ,762 83% Region XI % 555, ,380 77% Region XII 1,230 1, % 892, ,142 63% ARMM 2,447 2,441 99% 483, ,904 36% CARAGA 1,310 1, % 593, ,297 93% ( 出所 ) 国家電化庁 (NEA) に基づき調査団作成 4.2 今後の計画 フィリピン全体フィリピン経済は高成長が続いているが 今後も成長率は 7% 程度で推移すると見込まれる こうした中で 電力需要も高い伸びが続くと予想される 図表 4-18 フィリピンの経済成長 (2016 年 ~2030 年 ) 予測値 一人あたり名目 GDP( 右目盛 米ドル ) GDP 成長率 ( 左目盛 %) ( 出所 ) 国際通貨基金 102

112 Eletric Power Consumption (kwh per Capita) 図表 4-19 経済成長と電力消費量 (2016 年 ~2030 年 ) GNI per Capita (USD) ( 出所 ) 世界銀行に基づき調査団作成 エネルギー省が策定した電力需給見通しによると フィリピン全体で 2030 年には 2016 年時点の倍にあたる 35,000MW の発電容量を確保しないといけないとされる フィリピンの電源開発は 基本的には民間事業者の投資判断に依存するが 今後増加する需要に見あった十分な投資が進むかは不透明である 図表 4-20 フィリピンの電力需給見通し (2016 年 ~2030 年 ) (MW) 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 Existing Comitted Capacity Addition System Peak Demand ( 出所 )DOE に基づき調査団作成 103

113 2016 年末でみると 民間がすでにコミットした発電計画に対して 必要な投資量は大幅 に少ない状況である 特に 天然ガスを利用するガス火力発電所が担うと期待されるミドル 電源に対する投資が十分でないと考えられている 図表 4-21 フィリピンの必要電力供給力 既存 コミット済 追加容量 既存 コミット済 追加容量 ベースロード 11,277 1, ,277 3,091 8,388 ミッドメリット ピークロード 2, ,500 2, ,150 ( 出所 )DOE に基づき調査団作成 ミンダナオミンダナオに関しては 2016 年後半から 2017 年前半にかけて 輸入炭を利用した石炭火力発電所が相次いで運転開始をすることから 電力需給は改善する見通しである しかし 足元は改善したとしても 中長期的には電源の追加投資が必要な状況である 今後 2030 年までに ベース電源で 2,100MW ミドル電源で 1,500MW など合計で 3,650MW の投資が必要な状況である 次頁の図は これらの石炭火力発電所の新設も踏まえたミンダナオの電力需給の 2016 年 ~2030 年までの見通しを示したものである 104

114 図表 4-22 ミンダナオの電力需給の見通し (2016 年 ~2030 年 ) ( 出所 )MinDA 図表 4-23 グリッド別の必要電力供給力 (2016 年現在 ) 単位 :MW ルソン ビサヤ ミンダナオ 合計 ベースロード 4,320 1,968 2,100 8,388 ミッドメリット 4,800 1,500 1,500 7,800 ピークロード ,150 グリッド合計 10,070 3,618 3,650 17,338 ( 出所 )DOE に基づき調査団作成 105

115 4.3 フィリピンおよびミンダナオの電力セクターにおけるインフラニーズ フィリピンおよびミンダナオにおける電力セクターのニーズフィリピン経済が安定的かつ持続的に発展していくためには 国外からの製造業等の投資を誘致し 雇用を創出することが必要である そのためには インフラが低廉なコストで安定的に供給されることが重要になる すなわち 電力に関しては 安定供給の持続と電力料金の抑制が必要である フィリピンの電力セクターをみると ミンダナオグリッドでは 需給が改善しつつあるものの 最大需要地のルソングリッドでは 需給が逼迫している状況が続いている また電力料金をみると マニラ首都圏に電力を供給するメラルコ社の電力料金は 10 ペソ /kwh 程度と 国際的にみて高い水準にある もっとも フィリピンの電力セクターは基本的に 民間企業が主たるプレーヤーであり 官の役割は一部 ( 事業免許の付与 料金認可等 ) に限られている 基本的に発電資産への投資は 民間事業者の判断に委ねられている このため 市場メカニズム ( 民間事業者の事業判断 ) に依拠した場合 中長期的な需給の安定や エネルギー自給の確保 電化率の改善 効率性の追求 環境配慮等において 望ましい状況が達成できない可能性が指摘されている 例えば 一部からは 市場メカニズムに依拠した場合 将来的に電源の 8 割が主として輸入炭に依存する石炭火力発電所になるのではないか 巨額の資金を必要とする効率的な大規模電源投資が進まない といった懸念の声が聞かれている 本調査で実施した現地政府関係機関や民間企業に対する聞き取り調査では 以下 4 点の現地ニーズが確認された 増加する需要への対応今後増大する電力需要に対して 十分な電源投資が必要である その際には ピーク ミドル ベースのバランスについても検討し拡張する必要がある また 既存の老朽化した発電所の補修も必要である 地方電化 地方電化を通じてエネルギーを普及させる必要がある このためには電化組合の強化 や配電ネットワークの強化も必要である エネルギー安全保障 天然ガス枯渇が見込まれるなか 輸入炭火力発電への依存度が高まり エネルギー安全 保障の問題も注目を集めている 気候変動リスク 106

116 今後 石炭火力発電の比率が高まることが想定されるなか 気候変動リスクにも留意する必要がある なお DOE は 2016 年 ~2030 年のエネルギー戦略の方向性として 以下の 9 項目を掲げている 22 この中においても エネルギー自給の確保 エネルギーアクセスの改善 環境への配慮等が挙げられている このため 今後 フィリピン政府が 市場メカニズムと国策の方向性について整合性をとる方法が注目される エネルギー安全保障の確保 全ての国民に 手頃な価格で 信頼性の高い 持続可能な 近代的なエネルギーを保証するためのエネルギーアクセスの拡大 低炭素化促進 インフラ設備投資奨励 地域経済開発計画を支援する地域エネルギー計画の策定 実施 セクターロードマップおよびアクションプランの実施 モニタリング 法関連の議題の通過促進 マルチセクターマルチメディア IEC プログラムを通じた消費者福祉の強化 保護 国際関係 パートナーシップの強化以上の 9 項目の具体的な内容を次頁に示す 22 DOE (2016), Philippine Energy Plan Update 107

117 戦略エネルギー安全保障の確保 エネルギーアクセスの拡大 低炭素化促進 インフラ設備投資奨励地域エネルギー計画の策定 実施 セクターロードマップの実施 モニタリング 法関連の議題の通過促進 IEC プログラムを通じた消費者福祉の強化 保護国際関係 パートナーシップ強化 ( 出所 )DOE(2016) を基に調査団作成 図表 4-24 エネルギーセクターにおける戦略的方向性 内容 エネルギーインフラと設備の信頼性 可用性 耐久性改善 - ミンダナオグリッドのルソン ビサヤグリッドとの接続 国内産エネルギー開発 活用 技術革新の推進 - クリーン 効率的 スマートテクノロジー導入 気候耐久性の高いインフラ設備導入 - 気候変動への対応 災害への適応 電力開発計画の実施 100% 電化率の達成 PSALM ( Power Sector Assets and Liability Management Corporation) 資産の完全民営化促進 燃料ミックスポリシーのレビュー 再生可能エネルギー発電容量の拡大 電力容量の適切なポートフォリオの計画 構築 LNG(Liquefied Natural Gas) 受入 流通インフラの構築 地域エネルギー計画の策定 更新 - ミンダナオエネルギー計画 ビサヤエネルギー計画 ミンドロ島電力開発計画 パラワン島電力開発計画 ) 代替燃料 エネルギー効率化 保護 資源開発 ( 石油 ガス 石炭 ) 再生可能エネルギー ダウンストリーム ( 石油 ガス 石炭 ) 電力 電化 エネルギーの ICT 化 エネルギー効率化 保全 天然ガス LPG エネルギープロジェクトの国家的意義のあるプロジェクト化 石油上流規制 EPIRA 法 下流石油産業法 再生可能エネルギー法等既存の法のレビュー 国家全体での IEC キャンペーンの実施 公立学校の生徒へのエネルギーアウェアネス促進 二国間 多国間のエネルギー協力強化 エネルギー貿易に関する FTA 促進 国連の 万人のための持続可能なエネルギー (Sustainable Energy for All) フィリピン電力セクターロードマップ 上述のエネルギー戦略に基づき DOE ではエネルギー各分野のロードマップを作成して いる このうち特に電力セクターでは 2030 年までに以下の 5 点の改善を目指している 108

118 電力産業の完全な再構築 電力供給セキュリティの確保 電力アクセス改善 エネルギー耐久性の高いインフラの導入 電力市場の独立性の達成このような目標達成に向けて DOE では 電力セクターロードマップ (Power Sector Roadmap) として 発電 送電 配電 電力供給 市場開発 制度的支援メカニズムのそれぞれの分野について 以下のとおりロードマップを定めている 23 (1) 発電 短期 ( ) 中期 ( ) 長期 ( ) 電力プロジェクトを国家的意義のあるプロジェクトと宣言 発電事業への民間投資の奨励の継続 化石燃料ベースの発電所の排出レベルの削減 - 不動産税および地方税免除 - 市場主導政策開発の 発電技術における新技 - ビジネスパーミットと営業ラ 継続 術導入 ( 例 : 海洋発電, イセンス発行促進 - 政策と規制の透明性 燃料電池 原子力発電 発電のための燃料ミックス政策策定 ルソン ビサヤ ミンダナオグリッドでの 24 時間 365 日の電力需要およびリザーブの要件を満たすために必要な追加の発電所 ( ベースロード ミッドメリット ピーキング ) のポートフォリオ提供 発電事業への民間投資の奨励 NPC/PSALM の発電設備の民営化の追求 向上 発電セクターの効率性向上に関する国家戦略の実施 等 ) ( 出所 )DOE(2016) を基に調査団作成 (2) 送電 短期 ( ) 中期 ( ) 長期 ( ) 下記目的から送電プロジェクトの適時の完了を促進する 送電システムのアップグレードおよび拡張プログ ビサヤ ミンダナオ系統の接続の完了 - 新しい発電所をグリッドに接 ラムの継続的実施 エネルギー耐久性の 続しこれらの発電電力の導入を可能にする 風速 300kph への耐久性のある耐久性の高い送電設 高い送電システムの構築 - 既存の伝送設備の輻輳の問題を取り除く 備の導入を通じた耐久性プログラム ( Resiliency 比較的大きな SPUG 地域のメイングリッド 伝送システムインパクト研究の実 Program) の導入 への接続 ( 例 : パラワ 施におけるルールと手順を強化する 送電バックボーンと代替送電経路を増やす ン島 ミンドロ島 シキホル島など ) 強化 敏速な送電開発計画を立て る発電投資家ガイドの提供 主要 3 系統 ( ルソン ビサヤ ミン ダナオ ) の接続に関する研究 促進 ( レイテ ミンダナオ間の接続プ 23 DOE (2016), Power Sector Roadmap 109

119 ロジェクト ) 主要グリッドと島嶼部のグリッドとの接続 ( 例 : ミンドロ島など ) ( 出所 )DOE(2016) を基に調査団作成 (3) 配電 短期 ( ) 中期 ( ) 長期 ( ) 必要な配電設備の適時導入促進 ( 例 : CAPEX provision など ) 消費者にとって最小限のコストでより良いサービスが提供できるような配電 運用 制度的効率化に向けた配電開発計画の強化 網のアップグレードおよび拡張プログ 規制対応強化 ラムの継続的実施 配電事業の規模の経済促進 ( 例 : 共同での行動 需要集約 供給競売など ) 配電ユーティリティの運用 管理における運用効率化およびグッドガバナンス 消費者の新たな需要に対する政策的規制的支援の提供 に係る改善の継続 電気料金の透明性向上 競争的選定プロセスを通じた適切な電力供給契約の確保 電力リプレースおよびペナルティ規定を盛り込むよう電力供給契約の強化 ( 出所 )DOE(2016) を基に調査団作成 (4) 供給 短期 ( ) 中期 ( ) 長期 ( ) 1MW 以上の電力需要家のための 小売集約の開始 ミンダナオにおける 競争義務化 500kW 以下へのオープン RCOA の実施 750kW 以上の競合する電力需要家のための完全なオープンアクセス アクセス 小売集約のための市場調査実施 (750kw および 500kW) 小売供給契約の透明性向上 ( 出所 )DOE(2016) を基に調査団作成 (5) 市場開発 短期 ( ) 中期 ( ) 長期 ( ) WESM 設計の改善 ミンダナオ電力市場実施 先物市場 / 金融送金権 / 独立した市場オペレーターの任命 予備 / エネルギー市場の共 電力スポット市場 / デ ルソン ビサヤ ミンダナオにおけ 同最適化 リバティブ市場 る NPC 資産の民営化の継続 再生可能エネルギー市場 WESM における 組み込みジェネレーターへの政策 の運用開始 Demand Bidding ミンダナオ電力市場の実施に係る準備活動の実施 ルソン ビサヤ ミンダナオにおける NPC 資産の民 スマートグリッドに関するロード 営化の継続 マップ開発 全セクターにおけるスマートグリッド政策 ( 出所 )DOE(2016) を基に調査団作成 110

120 (6) 制度的支援メカニズム 短期 ( ) 中期 ( ) 長期 ( ) 情報 教育 コミュニケーションキャンペーンの強化 継続的な市場運営監査および Metering Service Provided Review WESM ルールレビュー DOE 電力データベース管理システムの構築 DOE の能力強化 マーケットオペレーターパフォーマンスのモニタリング WESM ルールへのコンプライアンスのモニタリング JCPC への半年ごとの EPIRA ステータスレポートの定期的な提出 EC の制度強化プログラムの監督 支援 発電計画ソフトウェアおよび送電計画ツールの調達を通じた発電計画強化支援 ( 出所 )DOE(2016) を基に調査団作成 優先プロジェクトリストこれまでに述べてきたような フィリピンにおける電力インフラ整備の状況や 現地側のニーズ フィリピンの電力 エネルギーセクターの戦略的方向性 およびそれらを俯瞰して考察した結果 これらのニーズや戦略的方向性に対応するものとして 下表のような優先プロジェクトが考えられる 図表 4-25 電力 エネルギーセクターにおける優先プロジェクト ( 案 ) 現地ニーズ 戦略的方向性エネルギー安全保障の確保 : エネルギー自給率改善エネルギー安全保障の確保 : 電力需給の安定 効率化に寄与する電源投資 エネルギーアクセスの拡大低炭素化促進 ( 出所 ) 調査団作成 現地ニーズ 戦略的方向性に即した優先プロジェクト ( 案 ) 国内産エネルギー開発 活用 LNG 受入 流通インフラの構築 ミンダナオグリッドのルソン ビサヤグリッドとの接続 比較的大きな島嶼部のメイングリッドへの接続 気候変動対応 災害適応技術の導入 送電網の強化 代替経路増強エネルギー耐久性の高い送電システム構築 スマートテクノロジー導入 新技術導入 ( 海洋発電 燃料電池 原子力 等 ) 既設発電所の補修 配電におけるシステムロス改善のための設備導入 発電運営の高度化 配電網のアップグレード 地方電化推進 再生可能エネルギー導入 クリーンコール石炭火力発電所導入 111

121 第 5 章フィリピンおよびミンダナオのインフラの課題に関する本邦技術の活用 5.1 運輸 交通 現地ニーズに適合しうる本邦技術およびその適合性検証 ミンダナオ内の多くの地域は地形が急峻で それゆえに規格の高い道路の建設が遅れて いるのが現状である このような急峻な地形での道路工事にはトンネルや長大橋などの構 造物や斜面防護工を必要とする区間が多く 日本の技術支援が期待される これまで 本邦技術活用のプロジェクトとして 本邦技術活用条件 (Special Terms for Economic Partnership: STEP) が活用されてきたが 今後は 技術移転 を全面に出した日本 タイドの借款の枠組みを整備していく必要があると考えられる フィリピン国内でのインフラ整備にはフィリピン国の建設会社だけでなく 近年では 中 国や韓国 スペインの企業が応札し 熾烈な価格競争がなされている 高い品質管理や工期 管理を得意とする本邦企業は 価格競争のみの一般国際入札では 勝ち上がるのは極めて困 難な状況である 他方で 使用材料の 30% を日本製とする STEP での案件形成の方法にも限界が見えてき ている 例えば トンネル建設技術は本邦企業が有する差別化できる技術だが 特殊な材 料や資材を使う ことが本質的に重要なのではなく 掘削して初めて分かる本当の地山の地 質 土質条件や地下水の状況を見極めながら状況を判断し工事を進めていく ノウハウ が 建設の肝となる このため 工事をしながらノウハウを地元建設業者に指導し 地元を育てる という視 点での案件形成ができると 本邦技術活用の幅が広がると考えられる 分野道路 物流 ( 出所 ) 調査団作成 図表 5-1 運輸交通分野の現地ニーズに適合しうる本邦技術 技術 トンネル トンネル掘削技術 長大橋梁建設 ( 対候性鋼材 ) 法面保護 安定性等のモニタリング トラッキングデータ等も駆使した物流 人流の実態調査 災害時の物流路確保 輸送計画の立案 ( 防災拠点の整備等 ) 112

122 5.1.2 ミンダナオにおける有望案件リスト ( ショートリスト ) 以上のような点を総合的に考え ミンダナオにおける有望案件として下記の 9 案件を提 案する (1) 日比友好道路の交通機能強化日本政府はこれまで ミンダナオ島東部を南北にスリガオ~ブトゥアン~ツグム~ダバオと通る道路を日比友好道路として 1960 年代後半に整備計画を策定して以来 整備 補修を支援してきた 対象区間はアジアハイウェイ路線 AH26 の一部区間を構成している 一貫した 4 車線数整備や登坂車線整備による走行利便性向上 交通事故対策による安全性確保等 より強靭で質の高い交通ネットワークの基礎インフラとしての機能を整備 強化することで 都市間の往来を活性化させ ミンダナオ島の経済活動全体の底上げを図ることが望まれる また 同路線の山間部では 特定の区間内において同じような災害が繰り返されることが多く 頻繁に多額の補修費がかかる したがって 日本が誇る災害対応技術を移転し 災害に強くより安定した交通機能を発揮する道路としての規格を満たした整備が望まれる (2) カガヤンデオロ~ダバオ間高規格道路上述のとおり カガヤンデオロ~ダバオ区間の走行性向上も 優先度の高いプロジェクトの一つと考えられる 丘陵地や山間部を通過する区間が多く橋梁やトンネルなどの構造物区間の比率が高いことから 長大橋 山岳トンネル 斜面防護などにおいて高い水準を誇る多くの本邦技術を活用することが可能である (3) カガヤンデオロ港の機能強化 容量拡大とアクセス道路の整備ミンダナオ コンテナ ターミナル (MCT) の拡張とアクセス道路の整備により 島内のゲートウェイ機能を強化させることが期待される MCT については拡張計画が現在進行中であるとともに アクセス道路も整備中である 一方 国道 9 号線と港湾アクセス道路が交差する部分の立体化の検討が事業主管や予算面で滞り 平面処理での整備となっていることから 立体化によるゲートウェイ機能の確保が必要である (4) ブトゥアン市内ロジスティック インフラ ( 道路 港湾 ) 整備親日家の新市長であるロニー ラグナダ (Ronnie Vicente C. Lagnada) 同市長を中心に 日本の製品や技術 マネジメント 資金を使いつつ 地元の産品を活用した産業育成が進められている DPWH の協力の下 海運物流拠点となるマサオ港 ナシピット港の拡張事業 および当該 2 港と産業開発エリアを連絡する物流道路整備計画が進められ 113

123 ている 港拡張事業とアグサン川渡河道路では日本国政府からの支援を必要としてお り 2015 年度に海外建設協会が工業団地開発と物流インフラを対象に基礎調査を実施し た (5) ミンダナオ島北部回廊整備 ( ブトゥアン~カガヤンデオロ~ミサミス~ディプログ ) 本路線は ミンダナオ島北部のゲートウェイとなる各都市の連絡を強化する路線である 同区間内の東西ミサミス地域は元来一つの地域 (Region) であったため 道州制への移行構想があるなか 地域の一体感を再度強化させるためにも非常に重要な路線である 当該区間は現状として国道 (National Highway) には位置付けられておらず 線形条件が悪く 主としてコンクリート舗装である等 走行利便性も悪い 一方で 荷痛みを防ぐ必要のある産品が輸送されており 規格の高い道路としての整備が望まれる (6) ダバオ~サマール間連絡道路 METI 調査報告書によると 将来の交通需要は 1 日当たり約 1 万台とそれほど多くはないが 24 サマール島は観光資源を有することから アクセス性が向上することで同地域の発展やダバオへの旅客需要も増えることが見込まれる 橋梁建設の場合 大型船舶の航行上のクリアランスと ダバオ空港へ離発着する航空機の航路上のクリアランスにより 上下空間の厳しい制約の中で構造物を建設する必要がある トンネル建設の場合 これらクリアランスは考慮する必要がなくなるが 建設コストは高めになる 橋梁 トンネルともに日本企業が有する質の高い技術を活用することができる案件である (7) 道路資産管理技術支援 / パイロット路線運営支援都市間道路では 過積載に起因する道路舗装の悪化や 災害などにより同地点で継続的に道路倒壊が起こる等の状況が散見される 過積載に対する規制や取締り強化 LCC 低減に資する運営管理の技術移転を目的に 一部区間をパイロット事業として資産管理を導入 適正な維持管理体制を構築する技術支援プログラムの実施が有効であると考えられる (8) ブトゥアン市内都市交通マスタープラン策定人口約 35 万人をかかえるミンダナオ島北東部カラガ地域の拠点都市であるブトゥアン市内では 人口増加や自動車交通量増加 都市開発により交通の円滑性が損なわれつつある 一方で ブトゥアン市は日本が誇る低炭素型都市である富山市との都市間連携 24 経済産業省 平成 27 年度エネルギー需給緩和型インフラ システム普及等促進事業 ( 円借款 民活インフラ案件形成等調査 ) フィリピン国 : ダバオ サマール間橋梁建設計画調査報告書 114

124 を構築しており 富山市の知見を活かしながら 利便性の高いマストラ交通インフラをコアにした都市整備を進めている このような背景の下 将来的な更なる交通需要増加を見据えた都市交通マスタープラン策定に早い段階から支援を行い 質の高いインフラ整備につなげ よりいっそうの日本の技術や製品 管理運営 資金の導入につなげて行くことが 日本国の戦略的な ODA 支援として有効であると考えられる (9) ミンダナオ島内の物流実態調査 ( 人流実態調査も含む ) 2004 年以降の状況の変化を把握するための貨物輸送物流実態調査 (OD 調査 ) を実施 し 今後の運輸交通インフラの必要性検討に用いる基礎情報を収集する案件である 115

125 5.2 電力 現地ニーズに適合しうる本邦技術およびその適合性検証第 4 章にて取りまとめた電力エネルギー分野の現地ニーズに鑑み 同分野の現地ニーズに適合しうる本邦技術について 日本企業ヒアリングに基づき抽出を行った その結果は下表のとおりである 図表 5-2 電力エネルギー分野の現地ニーズに適合しうる本邦技術 現地ニーズ 戦略的方向性エネルギー安全保障の確保 : エネルギー自給率改善エネルギー安全保障の確保 : 電力需給の安定 効率化に寄与する電源投資 エネルギーアクセスの拡大 低炭素化促進 ( 出所 ) 調査団作成 現地ニーズ 戦略的方向性に即した優先プロジェクト ( 案 ) 国内産エネルギー開発 活用 LNG 受入 流通インフラの構築 ミンダナオグリッドのルソン ビサヤグリッドとの接続 比較的大きな島嶼部のメイングリッドへの接続 気候変動対応 災害適応技術の導入 送電網の強化 代替経路増強 エネルギー耐久性の高い送電システム構築 スマートテクノロジー導入 新技術導入 ( 海洋発電 燃料電池 原子力 等 ) 既設発電所のリハビリ 配電におけるシステムロス改善のための設備導入 発電運営の高度化 配電網のアップグレード 現地ニーズに適合しうる本邦技術 LNG ターミナル CCGT 火力発電所 配電網の災害対応力増強 既設発電所のリハビリ 発電運営の高度化 (IOT を活用した O&M サービス拡大 ) 地方電化推進 地方電化 ( 配電網拡張 ディーゼル発電と再生可能エネルギーを組み合わせたシステムの導入 ) 再生可能エネルギー導入 クリーンコール石炭火力発電所導入 再生可能エネルギー ( 地熱発電 風力発電等 ) クリーンコール石炭火力発電所 116

126 5.2.2 フィリピンにおける有望案件リスト ( ショートリスト ) 前項までに整理した情報に基づき フィリピンにおける有望案件リストを取りまとめる と下表のとおりである 図表 5-3 電力エネルギー分野の現地ニーズに適合しうる本邦技術 案件 対象地域 パートナー候補 備考 LNG ターミナル ルソン 現地民間企業 PNOC 現地企業は日本の技術に期待 現地では比国がアジアの LNG ハブになる可能性を期待する声もある CCGT 火力発電所 クリーンコール石炭火力発電所 既設石炭火力プラントのリハビリ 地熱発電 地方電化 配電網の災害対応力増強発電運営の高度化 (IOT を活用した O&M サービス拡大 ) ( 出所 ) 調査団作成 ルソン ミンダナオ フィリピン全土 フィリピン全土 ミンダナオ 離島フィリピン全土フィリピン全土 現地民間企業 PNOC 現地民間企業 PNOC ミンダナオグリッドがルソン ビサヤグリッドに接続されればミンダナオへの売電が可能 上述の LNG 導入に依存する ミンダナオとルソン ビサヤの両グリッド接続が重要 ( ルソン島への売電可能性確保のため ) 現地民間企業 日本企業が既存施設に設備導入実績あり 燃料コスト抑制や環境負荷低減に資する効率向上が可能 現地民間企業ほか NEA NPC- SPUG 地熱資源開発促進のため 試掘リスクを公的資金で負担する可能性の検討 ADB でも関心あり 電化組合等 JICA 基礎調査を実施済 比側の関心も高い 現地民間企業 日本企業の導入実績ありほか 117

127 5.3 課題解決に向けたアクションプランこれまでの節でみたように フィリピンおよびミンダナオにおける開発課題の解決に向けて 我が国の貢献できる分野は多い このような課題解決に向けたアクションプランを以下に整理した (1) 電力アクションプランの作成 有望プロジェクトの推進 2017 年 1 月にフィリピンで実施された日比首脳会談にて提起された 電力アクションプラン を策定し 今後の比国電力セクターの課題解決に向けた支援を行う なお 具体的な有望案件については 前頁図表 5-3 にて示したものが想定される なお 引き続き民間の投資を活かしながらも 必要な部分は積極的に政府が手を打っていく必要がある (2) ミンダナオ開発に向けた運輸交通セクターの主要プロジェクト支援道路 港湾 都市交通の整備等の運輸交通セクターのプロジェクトは ミンダナオの経済活動の発展に大きく寄与しうる このため これらの運輸交通関連の主要プロジェクトの形成 実施を積極的に支援すべきである 本邦技術の活用が期待される有望案件は ミンダナオにおける有望案件リスト ( ショートリスト ) に示したとおりである (3) コア都市を核としたミンダナオ開発 メガビジョンの策定支援 JICA が支援したメトロ セブ ( セブ市を含む 13 の自治体で構成 ) の都市開発ビジョン メガ セブ ビジョン 2050 のような ミンダナオ全島をカバーする開発 メガビジョンを策定することの意義は高い 現在 連携を強化しつつある 4~5 都市を中核ととらえ そうしたメガビジョンの策定を日本が支援していくことも有益と考えられる (4) ミンダナオ PPP センター / プラットフォームの設立ミンダナオの経済社会の発展には PPP 等を通じた民間投資の促進が必須である ミンダナオに特化した PPP ユニットもしくは PPP プラットフォームを設立して 官民一丸となった開発を進めることが求められる また 日本政府がそれらの設立や運営の支援 あるいは PPP パイロットプロジェクトの実施を支援することも有益と考えられる (5) ミンダナオ全土における開発の支援ミンダナオでは ARMM を始めとする西部地域を中心として開発が遅れている地域も多い また ミンダナオ全土における安全性の向上は 新たな企業投資を呼び込むためにも必須の要素といえる JICA では これまでにも バンサモロ包括的能力向上プロジェクト など同地域での支援を積極的に実施しているが 今後も SDG 達成 レジリエンシー向上 平和構築に向けて このような無償資金協力の継続が期待されるところである 118

128 第 6 章セミナー開催概要 6.1 セミナー開催の趣旨および概要本調査の一環として 2017 年 2 月に 経済産業省と MinDA との共催により ミンダナオ電力 エネルギーセミナー をフィリピン国ダバオ市にて開催した 本セミナーでは はじめに ミンダナオのインフラ開発ポテンシャルに着目し 電力分野を中心とした現在のインフラ開発の状況および今後の計画について概観した また 本邦企業が有するインフラ技術をミンダナオインフラ関係者へ紹介し 円借款案件や日本企業の案件受注を目指すとともに 日本の技術 ノウハウとミンダナオ現地のプロジェクトニーズとのマッチングを促した 特に 本セミナーを通じて ミンダナオのインフラ開発の最新情報を提供するとともに 当地のインフラ事業に関わる両国官民のキーパーソンによる直接交流の場になることを目指した セミナー当日は MinDA アロント長官 モンテネグロ次官補が参加しスピーチを行ったほか 調査対象自治体の市長 現地商工会の会頭等 ミンダナオインフラ開発に係る官民のキーマンが参加し 日比間で活発な交流が行われた 本セミナー開催に関する概要は以下のとおりである セミナー名 ミンダナオ電力 エネルギーセミナー 日時 平成 29 年 2 月 16 日 ( 木 )9 時 30 分 ~12 時 30 分 会場 マルコポーロ ダバオボール ルーム I & II 参加者 日本側 58 名 ( うち政府関係者 13 名 民間企業ほか 45 名 ) 比側ほか 44 名 ( うち比政府 自治体関係者 24 名 国際機関関係者 1 名 民間企業他 19 名 ) 合計 102 名 図表 6-1 セミナー光景 ( 出所 ) 調査団撮影 119

129 6.2 当日のアジェンダ セミナー当日のアジェンダは以下のとおりである Time Agenda Speaker 9:00-9:30 Registration 9:30-9:35 Opening remarks Mr. Shinji Hirai, Director, Financial Cooperation Division, METI 9:35-9:40 Welcome remarks Sec. Datu Abul Khayr D. Alonto Chairman Mindanao Development Authority 1) Mindanao Development Plan 9:40-10:00 Outline and Issues of Mindanao Development Plan 2) Japan s support and action plan for Mindanao Development 10:00-10:20 Mindanao Infrastructure Study Report 10:20-10:40 Q&A / Coffee break 3) Case Study Presentation 10:40-11:00 Improving Disaster Resiliency of Electric Power Distribution Network 11:00-11:20 Introduction of Small Size Geothermal Power Plant 11:20-11:40 History of Power / GSC Future Aspect 11:40-12:00 Chodai's Renewable Energy Projects towards Regional Development in Caraga, Mindanao 12:00-12:10 Q&A 4) Actions to be taken by the Philippine Government 12:10-12:30 Philippine Energy Plan - Current Status and Future Plan 5) Networking Lunch Asec. Romeo M. Montenegro Deputy Executive Director Mindanao Development Authority Mr. Satoshi Yamada, Executive Director, Ernst & Young ShinNihon LLC Mr. Kenichi Kuwahara, Shikoku Electric Power co., Inc Mr. Takeshi Kuwabara, Sompo Risk Management & Health Care Inc. Mr. Taiga Todoroki Commercial, Thermal Power Global Sales, Toshiba Corporation Mr. Hiroshi Fujii Chief Technical Officer Mitsubishi Hitachi Power Systems Asia Pacific Philippines Branch Mr. Satoshi Kato Head of Manila Representative Office, Chodai Co., Ltd. Mr. Jesus Tamang Director, DOE 120

130 6.3 セミナーにおける議論の概要 セミナーにおけるプレゼンテーションおよび議論の概要は 以下のとおりである (1) 経済産業省挨拶 (Opening Remarks)9 時 40 分 ~9 時 50 分 貿易経済協力局資金協力課比良井慎司課長 2017 年 1 月に安倍首相がダバオを訪問した際 ミンダナオの電力に関するアクションプランを作成したいと述べた そのため 我々は電力アクションプランを起案し 内容を精巧に作り上げる必要がある ミンダナオは将来の成長の余地があり 日比の二国間関係においても重要である 本日のセミナーは電力 エネルギーがテーマであるが これらはミンダナオに住む人々の生活改善のためのキーエレメントである 日本はフィリピン同様自然災害が多く それを技術で補ってきた 今日のセミナーでは 日比のネットワークを作りたい (2) MinDA 挨拶 (Welcome Remarks)9 時 50 分 ~10 時 00 分 アロント長官 現在 ミンダナオは諸外国からの投資に対して開かれている ミンダナオは天然資源が豊かであり 諸外国との繋がりも以前より広がっているため 将来ミンダナオへの投資が増える見込みについては楽観的に捉えている 進行中の計 3,000MW の電源開発や JICA 等の支援を受けた港湾 空港の整備等のインフラ投資を通じて ミンダナオの経済を持続的に成長させる (3) MinDA プレゼンテーション ミンダナオ開発計画の概要と諸課題 ( Outline and Issues of Mindanao Development Plan) 10 時 00 分 ~10 時 30 分モンテネグロ (Romeo M. Montenegro) 次官補 特に ARMM( ムスリム ミンダナオ自治区 ) の貧困と低電化率が課題 電化率の向上に焦点を当てている 20 年前は発電量のうち 95% が水力などの再生エネルギーであったが 現在の再生可能エネルギーの比率は 30% のみ 5 年間で石炭火力発電が増加した ベースロードキャパシティの増加には時間がかかるが 今後は再生可能エネルギーを増やす計画である PPP の活用は 特に電力分野について関心がある 121

131 図表 6-2 経済産業省挨拶 MinDA 挨拶光景 経済産業省比良井課長挨拶 MinDA アロント長官挨拶 ( 出所 ) 調査団撮影 (4) 新日本有限責任監査法人プレゼンテーション ミンダナオのインフラ調査結果(Mindanao Infrastructure Study Report) 10 時 30 分 ~10 時 40 分海外企画部エグゼクティブ ディレクター山田聡 エネルギー自給および電化率の改善については 日本から支援できると考えている 投資を呼ぶためには 公的セクターの関与が重要である 電力の需要と供給のバランスの確保は重要であるが 民間のみに任せると偏る可能性がある 日本企業は技術を有しており投資をしたいと考えているが ミンダナオへの投資にはリスクがあると考えている (5) 日本企業プレゼンテーション 1 フィリピンの配電ネットワークにおける災害の影響軽減( Improving Disaster Resiliency of Electric Power Distribution Network) 10 時 55 分 ~11 時 20 分四国電力事業企画部海外事業推進室統括管理グループリーダー桑原憲一様 SOMPO リスケアマネジメント執行役員グローバル事業部長桑原健様 日本もフィリピンと同様 台風の被害をよく受ける 自然災害による被害を完全に回避することは不可能であるが 合理的に軽減する ことは可能である 122

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