アメリカ神経内科専門医試験ワークブック

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まいかいさやま
5 years ago
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1 1 Autonomic Nervous System 自律神経系次の反応は交感神経系もしくは副交感神経系のどちらの刺激によるものか答えなさい縮瞳Ｄ三叉神経核副交感神経系の節前ニューロン終末部で放出されるのは次の神経伝達物質のうちどれか消化の抑制グルコース放出全身の血管収縮流涎気管支拡張流涙腸の血管拡張次のうち副交感神経系が関与していないものはどれかＡ動眼神経Ｄグリシン交感神経系の節前ニューロン終末部で放出されるのは次の神経伝達物質のうちどれかＤグルタミン酸Ｂ顔面神経交感神経系の節後ニューロン終末部で主に放Ｃ三叉神経出されるのは次の神経伝達物質のうちどれＤ舌咽神経か次のうち交感神経系の一部であるものはどれかＡ上頸神経節Ｂ耳神経節Ｄグルタミン酸Ｃ翼口蓋神経節Ｄ顎下神経節次のうち頸動脈小体の化学受容器と圧受容器を神経支配している脳神経はどれか次の文章は正しいか誤りか排尿中は交感神経が抑制されて膀胱頸部は緩み副交感神経系が刺激されて排尿筋が収縮するＡ三叉神経 10 自律神経機能障害を伴う小径線維ニューロパＢ顔面神経チー small fiber neuropathy を疑う患者をＣ舌咽神経診察する際次のうちどの検査が最も感度がＤ迷走神経高いか心臓肺そして胃腸管への副交感神経系の節前線維は次のどの神経核から生じているかＡ発汗テスト sudomotor test Ｂ筋電図神経伝導速度検査Ａ迷走神経背側運動核ＣホルターテストＢ孤束核ＤティルトテーブルテストＣ疑核 1

2 11 60 歳の男性が疲労と転倒を主訴に来院した ROHHAD syndrome 加えて便秘とあざも訴えている神経学的診 14 自律神経障害が疑われる患者でバルサルバ法察で末梢神経障害が明らかになりさらなるを行ったところ phase 4 でも血圧の上昇を認診察で巨舌症肝腫大斑状出血を認めた次めなかったこの所見は次のうちどれを示唆の検査のうち診断を明らかにすると思われするかＡ起立性低血圧るのはどれかＡ immunofixation electrophoresis 免疫固定Ｂパーキンソン病Ｃ副交感神経機能障害法Ｄ交感神経機能障害Ｂ腎生検Ｃ肝生検 15 次の文章は正しいか誤りかＤ経口ブドウ糖負荷試験体温調節発汗テスト themoregulatory sweat 歳の女性が複数回の転倒を主訴に来院し test で無汗症と診断されたが定量的発汗テた次のうち自律神経失調症を除外するのにスト quantitative sudomotor autonomic re- 最も有益な検査はどれか flex testing : QSART が正常という結果が出たＡ立ちくらみの除外Ｂ便秘の既往患者は節前発汗刺激機能の異常がある 16 次のうち自律神経機能障害と関連があるのＣ尿意切迫の既往Ｄティルトテーブルテストの結果が正常歳の女性がウイルス感染症の後に立ちくらみ頭痛そして疲労感を呈したため来院した少し動いただけで動悸と発汗を訴えていはどれかＡ抗 Hu 抗体別名 antineuronal nuclear antibody type 1 ANNA-1 Ｂ nicotine ganglionic acetylcholine receptor a3-achr 抗体る座位で心拍数は 80 回分立位で 120 回Ｃ抗 P Q 型電位依存性カルシウムチャネル分に上昇する血圧は変化しないもっとも妥抗体 P Q type voltage-gated calcium 当な診断は次のうちどれか channel antibody : VGCC antibody Ａ糖尿病Ｄ上記すべてＢ起立性低血圧 17 次のうち自律神経機能障害と関連があるのＣ体位性頻脈症候群 postural orthostatic tachycardia syndrome : POTS はどの疾患かＡシャーガス病Ｄ急性発症肥満低換気視床下部自律神Ｂジフテリア経機能障害症候群 rapid-onset obesity Ｃハンセン病 with hypoventilation, hypothalamic dys- Ｄ上記すべて function and autonomic dysregulation 1 Autonomic Nervous System 自律神経系) : 解答交感神経副交感神経反応 ) 縮瞳副交感神経 ) 消化の抑制交感神経 ) グルコース放出交感神経 2 ) 気管支拡張交感神経 ) 流涙副交感神経 ) 腸の血管拡張副交感神経表 1.1 参照) ) 全身の血管収縮交感神経副交感神経は頭蓋仙骨自律神経に由来し交 ) 流涎副交感神経感神経の節前ニューロンは脊髄の中間外側核

3 表 1.1 交感神経と副交感神経系の働き交感神経副交感神経散瞳縮瞳心拍数心出力の増加心拍数の低下消化の抑制消化の促進気管支拡張気管支収縮射精勃起 A 副交感神経の節前ニューロンではアセチルコリンが放出される A 交感神経の節前ニューロンではアセチルコリンが放出される B ほとんどの交感神経の節後ニューロンではノ T1-L2 に位置している C ルエピネフリンが放出される汗腺は例外であり汗腺を支配する交感神経の節後ニューロン動眼神経顔面神経舌咽神経そして迷走神経は副交感神経の一部である三叉神経は副交感神経を含まないでアセチルコリンが放出されムスカリン受容体を有する正しい動眼神経は瞳孔と毛様体を収縮させる交感神経の膀胱への総体的な作用として尿道顔面神経は流涙と流涎を引き起こす平滑筋を通じて排尿を抑制することがあげられ迷走神経は心拍数の低下気管支拡張胃の消る化促進胆囊からの胆汁放出そして消化管の血管拡張を引き起こす A 10 A 発汗テスト sudomotor test は小径線維ニューロパチー small fiber neuropathy に関連した上頸神経節は交感神経の一部であり散瞳に関自律機能障害に感度が高い筋電図神経伝導わっている速度検査は小径線維を検査するには適切な検査 C ではなく小径線維ニューロパチーを見逃して舌咽神経は頸動脈小体の化学受容器と圧受容器しまう皮膚生検が小径線維ニューロパチーのを神経支配している血液量と血圧に関する情検査としては最も信頼性が高い報は頸動脈の化学受容器から孤束核に伝達さ 11 A れる同様の情報が大動脈から迷走神経を通じこの患者の診断は原発性アミロイドーシスでて孤束核に送られる自律神経性ニューロパチーを発症している舌咽神経痛は咽頭痛を引き起こしかつ反射性 immunofixation electrophoresis 免疫固定法徐脈と失神をもたらすことがあるが診断を確定する A アミロイドーシスで最も多いのが原発性アミロ迷走神経背側核 dorsal vagal complex は平滑イドーシスでこれは単クローン性ガンマグロ筋を支配し疑核 nucleus ambiguous は咽頭ブリン血症に起因する対して家族性アミロ喉頭食道上部の横紋筋を支配する迷走神経イドーシスはトランスサイレチンの変異により背側核は内側核である迷走神経背側運動核起こる dorsal vagal motor nucleus と外側核に分け 1) 12 D られるティルトテーブルテストが正常であることが遠心性副交感神経系の節前線維は迷走神経背側自律神経失調症を除外するのに最も有用であ運動核に始まり心臓肺そして胃腸管に至るる自律神経失調症の患者が常にふらつきを訴迷走神経背側核は孤束核からも情報を受けとっえるわけではない便秘や尿意切迫感は自律神ている咽頭反射経失調症に伴うことがある 3

4 13 C 14 D 一般的に自律神経性ニューロパチーの最も多い原因は糖尿病だがこの患者の経過は体位性頻脈症候群 postural orthostatic tachycardia は交感神経の機能障害を示唆する訳者注 : バルサルバ法各 phase の詳細 syndrome : POTS に最も一致する POTS は phase 1 : 胸腔内圧が上昇して胸部大動脈が圧起立不耐性の一部である起立性低血圧は 3 分迫されることで平均動脈圧が最初は上昇間の起立後に収縮期血圧が少なくとも 20 圧受容器により心拍数が低下する mmhg 拡張期血圧が少なくとも 10 mmhg 下 phase 2 : 胸腔内圧の上昇により胸腔への静がる病態と定義されているこれらの血圧減少脈還流量が減少次第に平均動脈圧が低下すを認めなくても患者が頻脈や症状を呈した場るに伴い圧受容器が刺激され心拍数が上合は起立不耐症とみなされる POTS の成人例昇するでは心拍数は起立時に少なくとも 30 回分上 phase 3 : バルサルバ法の中止とともに大血管昇する POTS の小児例では心拍数は 40 回や肺血管が再拡張することで一過性に心臓へ分上昇する POTS の症状は何らかの疾患罹患の静脈還流量が低下して平均動脈圧が一過後に明らかになることもある治療は水分普及性に低下する圧受容器を介して心拍数が塩分摂取 strength & conditioning 身体能力を増加する高めるために必要なあらゆる体力的要素を強 phase 4 : 肺胸腔内圧が低下したため胸腔へ化調整していくことサポートストッキングの静脈還流量が増加して心拍出量平均動が用いられる POTS の薬物治療としては b 脈圧ともに増加する圧受容器を介して心拍ブロッカーミドドリンそしてフルドロコル数は低下するチゾンが使用されるミドドリンは交感神経様 15 正しい作用があり背臥位時の高血圧を引き起こすこ定量的発汗テスト quantitative sudomotor au- とがある tonomic reflex testing : QSART は発汗神経の急性発症肥満低換気視床下部自律神経機節後ニューロンを評価するテストであるもし能障害症候群 rapid-onset obesity with hypo- 患者が体温調節発汗テスト themoregulatory ventilation, hypothalamic dysfunction and auto- sweat test で無汗症と診断されても定量的 nomic dysregulation ROHHAD syndrome 発汗テスト QSART が正常であれば異常部は幼児に発症しそれまで正常であった患児に位は節前ニューロンである急速な体重増加を引き起こす自律神経機能障 16 D 害も起こり続いて時に致命的な低換気を合併抗 Hu 抗体別名 antineuronal nuclear anti- する ROHHAD 症候群で視床下部機能障害と body type 1 : ANNA-1 は肺小細胞癌にみらして体重増加に加えて多飲高ナトリウムれる血症もよく合併する自律神経機能障害は瞳孔 nicotine ganglionic acetylcholine receptor a3- 機能障害などの眼科的異常や体温調節不全 AChR 抗体は自己免疫性自律神経節障害胃腸運動障害を引き起こす ROHHAD 症候群 autoimmune autonomic ganglionopathy に認の患者の中には神経堤腫瘍 neural crest tu- められ汎自律神経異常症を呈する mor を発症するものもある ROHHAD 症候抗 P Q 型電位依存性カルシウムチャネル抗体群は先天性低換気症候群に似た症状を呈するこ P Q type voltage-gated calcium channel とがあるが先天性低換気症候群は PHOX2B antibody : VGCC antibody は Lambert-Eaton 2) 遺伝子変異と関連している 4 バルサルバ法で phase 4 での血圧上昇の欠如症候群に認められる Box 1.1 参照

5 Box 1.1 自律神経性ニューロパチーと関連する抗体 nicotine ganglionic acetylcholine receptor a3-achr 抗体抗 Hu 抗体別名 antineuronal nuclear antibody type 1 : ANNA-1) 抗プルキンエ細胞抗体-2 Purkinje cell cytoplasmic autoantibody type 2 : PCA-2) コラプシン反応媒介蛋白質 collapsin response mediator proteins anti-cv2 抗 P Q 型電位依存性カルシウムチャネル抗体 P Q type voltage-gated calcium channel antibody : VGCC antibody) N-methyl-D-aspartate NMDA 受容体抗体 17 D 蓋麻痺を起こす加えて他の脳神経も障害さシャーガス病は原虫 Trypanosoma cruzi トれることもある対光反射が健在であるにもかリパノソーマクルージの感染を原因とするかわらず輻輳反射が消失することがある迷感染症であり巨大食道症巨大結腸症を引き走神経の節状神経節も関与することで頻脈や起こすまた起立性低血圧失神動悸そし低血圧が生じることもあるて突然死をも起こすことがあるハンセン病は非対称的な感覚障害を起こす HIV ウィルスやボツリヌス症も自律神経性ニューロパチーを起こすことがある痛と温度への感受性が最初に障害されるハンセン病はまた自律神経皮膚障害を起こすため無汗症を生じる心臓自律神経ニューロパチーがみられることもあるハンセン病では神経腫大を生じて神経が触知できることもあるジフテリアは四肢の末梢性ポリニューロパチー対称性末梢感覚運動性ニューロパチーや口 References 1) Iodice V, Sandroni P. Autonomic neuropathies. Continuum Minneap Minn) ; 20 : ) Ice-Ludlow D, Gray JA, Sperling MA, et al. Rapidonset obesity with hypothalamic dysfunction, hypoventilation, and autonomic dysregulation presenting in childhood. Pediatrics ; 120 ; e Autonomic Nervous System 自律神経系) 5

解剖学　1

解剖学　1 解剖生理学内臓機能の調節 ( 自律神経系 ) 内臓機能の調節生体内の諸臓器組織は常に一定の活動をしているわけでなく生体内外の環境は常に変化するためその活動状態も環境に応じてダイナミックに調節されている生体内外の環境の変化に応じて臓器の機能状態を変化させているのが自律神経と内分泌腺から分泌されるホルモンであり両者はホメオスタシスの主役といえる (1) 神経による調節はその効果の発現 (