今日勉強すること 1. 脊髄と脳幹の構造 2. 自律神経一般的の性質 3. 臓器別にみた自律神経の作用 4. 自律神経反射の例

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1 中枢神経系 7 脊髄と脳幹の自律機能 医学系研究科 神経生理学講座 木田裕之

2 今日勉強すること 1. 脊髄と脳幹の構造 2. 自律神経一般的の性質 3. 臓器別にみた自律神経の作用 4. 自律神経反射の例

3 これまでの復習 特殊感覚とはどのよう感覚ですか? 固有感覚とはなんですか? α 運動ニューロンはどこにありますか?

4 脊髄と脳幹の構造

5 脊髄のつくり 1 上部は延髄に連なる 231 対の脊髄神経が出る 3 中心管の周囲に H 型の灰白質とそれを取り囲むように白質がある 灰白質神経細胞の細胞体が存在している部位 ( 前角 側角 後角 ) 白質脳 脊髄の神経線維の存在する部位 ( 前索 側索 後索 )

6 脊髄の神経伝導路 細胞体がどこにあるか注意! 自律神経は 側角にある 感覚神経は後根にある 運動神経は前角にある

7 脊髄神経 5 つの部位に分かれる 1. 頸髄 : 頸神経 (8 対 )C1-C8 2. 胸髄 : 胸神経 (12 対 ) T1-T12 3. 腰髄 : 腰神経 (5 対 ) L1-L5 4. 仙髄 : 仙骨神経 (5 対 ) S1-S5 5. 尾髄 : 尾骨神経 (1 対 ) Co1 計 31 対の脊髄神経がある 頸髄胸髄腰髄仙髄尾髄

8 感覚と運動の伝導路と脳 脳は反対側の情報を処理する 求心路 感覚路 ( 上行性伝導 ) 遠心路 運動路 ( 下行性伝導 )

9 脳幹と脳神経 脳神経は全部で 12 種類 中脳 橋 延髄 脳幹を経由 (10 種類 ) 脳神経は末梢神経

10 脳幹の生命維持機能 脳幹の障害は命にかかわる 中脳 橋 延髄 脳幹を外れれば生きていけるが 意識 循環 呼吸 内臓

11 自律神経の一般的性質

12 自律神経系とは? こんなときどうするよ? 1) 驚きと恐怖の表情瞳孔は開く 2) 鳥肌だっている毛根は収縮している 3) 手はジトーッ 精神性の発汗 4) 心臓はバクバク 心拍数は増加 5) 口の中はカラカラになる唾液の分泌は抑制 外界の刺激に対して応じるために不随意な機能を制御する

13 無意識に働くアクセルとブレーキ 交感神経 副交感神経 闘争 or 逃走か? 身体の静養

14 自律神経系の特徴 1) 自律性支配不随意 反射的に活動 2)2 重支配 自律的に働いている 多くの臓器は交感 副交感神経の両者に支配される 3) 拮抗支配 交感神経 心拍数 促進と抑制の拮抗作用副交感神経 ( 一部例外あり ) 一方が強く働いているときは他方は抑制されている

15 自律神経系の臓器支配 交感神経 胸ー腰髄 ( 体の真ん中 ) の側角から出る 交感神経幹 副交感神経 脳神経核 ( 体の上 ) と仙髄の側角 ( 体の下 ) から出る 脳神経を含むものがあることに注意

16 交感神経系の伝導路 ( 実線 ) 交感神経の細胞体 : 脊髄側角にある 軸索 ( 節前線維 ) は前根から出る 多くは交感神経幹へ 側角 交感神経幹 交感神経幹

17 副交感神経系の伝導路 ( 点線 ) 迷走神経が多くの臓器を支配している 骨盤神経 器官近くの神経節や器官内の神経叢 ( ソウ ) でニューロンを換える 節後線維は短い

18 副交感神経を含む脳神経 嗅球視床 中脳 橋 延髄 動眼神経 (III) 顔面神経 (VII) 舌咽神経 (IX) 迷走神経 (X)

19 副交感神経としての顔面神経 涙腺 唾液の分泌をコントロールする 鼻腺 上唾液腺 顔面神経 (VII) 舌下腺 顎下腺 舌咽神経 (IX) は下唾液腺から耳下腺へつながる

20 自律神経系の伝達物質 1) アセチルコリン (ACh) 自律神経節前線維 副交感神経節後線維 交感神経の一部の節後線維から 2) ノルアドレナリン (NA) 交感神経節後線維から 側索 交感神経 副交感神経 脊髄 節前線維 ACh 交感神経幹 節後線維 ACh 交感神経の最後だけノルアドレナリン NA ACh

21 伝達物質と効果器の例外 交感神経での一部例外を抑えよう 1) 交感神経節後で ACh を受容する効果器 ACh 汗腺 立毛筋 ACh 2) 節後線維がないもの ACh 副腎髄質アドレナリン放出ノルアドレナリン

22 臓器別にみた 自律神経の作用

23 ホメオスタシス バイタルが変わればすぐに対応する! 生体環境の維持 ( 恒常性 : ホメオスタシス ) 自律神経系と内分泌系 ( ホルモン ) による調整機構をもっており 外部環境または内部環境の変化に対して一定の幅の中で恒常性を保っている 発見! 指示! 対応!

24 呼吸のホメオスタシス 延髄 呼吸回数 呼吸の深さを決める 呼吸中枢は延髄にある どんなときに呼吸が必要か? 酸素が不足したとき二酸化炭素が増えたとき PO2 60 mmhg 以下 PCO2 40 mmhg 以上 正常値 PO2 100 mmhg PCO2 40 mmhg 参考 ) 呼吸調節は CO2 の変化に非常に鋭敏であるが O2 の変化に対しては ある程度分圧が低下するまではほとんど変化しない

25 呼吸における化学受容器 舌咽神経 延髄 迷走神経 中枢と末梢で血液ガスをモニター 脳脊髄液中の二酸化炭素分圧 (PCO 2 ) や ph をチェック 頸動脈小体 大動脈小体 中枢化学受容器 末梢化学受容器 動脈血酸素分圧 (PO 2 ) をチェック

26 緊急時にはたらく交感神経 逆立つ 立毛筋 末梢血管 収縮 血圧上昇 目 心臓 気管 気管支 胃 副腎 腸 瞳孔散大 唾液腺 粘度増 拍出量 締まる 拡張 Ad, NA 分泌 消化機能 膀胱 排尿がまん

27 二重支配されてない領域 交感神経のみ瞳孔散大筋 動脈壁平滑筋 NA NA 立毛筋 汗腺 副交感神経のみ瞳孔括約筋 動眼神経の副交感神経としてのはたらき

28 副交感神経がはたらくとき 神経別に機能を抑えよう動眼神経顔面神経舌咽神経迷走神経骨盤神経 目 縮瞳唾液腺 粘度減 気管 気管支 収縮 胃 広がる 腸 消化機能 膀胱 排尿

29 自律神経の中枢はどこか? ( 大脳辺縁系 ) 視床下部は 自律神経支配の最高中枢 副交感神経の中枢 交感神経の中枢 情動を伴う

30 カテコールアミン受容体 受容体のタイプによって作用が異なることに注意! α 受容体 β 受容体 血管収縮 血管拡張 ほとんどはこのパターン 骨格筋気管支平滑筋

31 自律神経反射の例 圧受容器反射排尿反射体温調節反射など

32 自律神経は様々な内臓反射を担う 反射 意識されることなく起こる反応 1. 内臓 - 内臓反射 内臓感覚を求心路とし 自律神経を遠心路とする例 ) 血圧 胃腸運動 排尿の調節など 2. 体性 - 内臓反射 体性感覚を求心路とし 自律神経を遠心路とする例 ) 体温調節反射 射乳反射 射精反射など 3. 内臓 - 体性反射内臓感覚を求心路とし 体性神経を遠心路とする例 ) 筋性防御など

33 血圧って 血管壁を押す力最大 140mmHg/ 最小 90mmHg ガードレールをどれだけ強く擦るか? 血圧を決める要因 心拍出量 血管の太さ 流れやすさ 血管の柔軟性

34 血圧は変動する 血圧 = 心拍出量 x 末梢血管抵抗 流れにくさ ポンプ ( 心臓 ) 回数水の量 血圧 ( 動脈圧 ) 抵抗 ( 水の通りにくさ ) 太さ粘性柔らかさ

35 循環における圧受容器 呼吸のときと同じ場所にあるセンサー 舌咽神経 延髄 頸動脈洞 迷走神経 大動脈弓心臓 末梢圧受容器血圧をチェック 上昇したとき活動

36 血圧が高すぎるとき 循環中枢は延髄にある 副交感神経 ( 迷走神経 ) 延髄 胸髄 アセチルコリン 心拍数減少 頸動脈洞大動脈弓腰髄 血圧が高い! ノルアドレナリン 血管拡張 血圧を下げる

37 血圧が低すぎるとき 交感神経 延髄 胸髄 ノルアドレナリン心拍数増加 頸動脈洞大動脈弓 血圧が高い! 腰髄 ノルアドレナリン血管収縮 血圧を上げる

38 立ちくらみを防ぐために 急に立ち上がると 頭がクラクラするが 動脈圧受容器反射 拡張脳 収縮筋肉内臓 末梢 ( 筋肉 内臓 ) への血流を減らして血圧を上げ 脳血流を確保する

39 膀胱の神経支配 排尿筋 尿道 外尿道括約筋 骨盤神経 ( 副交感神経 ) 膀胱壁の伸展 腰 仙髄は排尿中枢内尿道括約筋 ( 膀胱括約筋 ) 尿意

40 蓄尿反射 + 意志による我慢 蓄尿反射 ある程度まで膀胱内に尿をためる 排尿筋弛緩下腹神経 ( 交感神経 ) 大脳皮質 我慢! 尿道 内尿道括約筋収縮 下腹神経 ( 交感神経 ) 外尿道括約筋収縮陰部神経 ( 体性神経 )

41 排尿反射 排尿中枢は脳幹にある 排尿筋収縮 骨盤神経 ( 副交感神経 ) 大脳皮質による抑制解除 ( 随意的 ) 尿道 内尿道括約筋弛緩 外尿道括約筋弛緩 下腹神経 ( 交感神経 ) 陰部神経 ( 体性神経 )

42 体温調節の仕組み (1) 視床下部で温度を感受 温度感受性ニューロン 体温調節中枢の設定された温度 ( セットポイント ) と比較 放熱中枢 37 ( 視索前野にある ) (2) 体温を調節する 産熱中枢 セットポイントより高い 放熱中枢がはたらくセットポイントより低い 産熱中枢はたらく (3) 自律神経等を活動させる

43 体温調節について 暖かいとき > 筋は弛緩して熱の発生を減らす皮膚の血管を拡張して血液を循環させて熱の放散を大きくする発汗を盛んにして熱を奪う 寒いとき> 皮膚筋が収縮 ( 鳥肌 ) する 皮膚の血管を収縮して血液から熱の失われるのを防ぐ 震えたりして筋肉を運動させ, 熱の発生を盛んにする

44 CBT 問題にチャレンジ 内臓運動神経を含む副交感神経はどれか 1) 三叉神経 2) 舌咽神経 3) 外転神経 4) 副神経 5) 舌下神経

45 中枢神経系で勉強したいこと ( 試験には出しません )

46 CBT コアカリキュラムの例 臨床実習開始前までに取得すべき到達目標 視覚 聴覚 平衡覚 嗅覚 味覚の受容機序と伝導路を概説できる 視覚情報の受容としくみと伝導路を説明できる 大脳皮質の機能局在 ( 運動野 感覚野 言語野 ) を説明できる などたくさん

47 神経系の役割を理解する いろいろな環境に適応するために 外部刺激をどのように ( 体の中で ) 表現するのか? 末梢にあるセンサー細胞の受容野 刺激に応じた電気活動 どのように無駄なく合理的に整理するのか? 脳機能局在体部位局在地図細胞活動の順応

48 受容器の守備範囲 受容野 1つの神経細胞の反応に影響を与える領域 受容野 ( 紫色 ) 刺激 皮膚 体性感覚野 触られた 神経活動 触覚受容器 活動電位 後根から脳へ

49 体部位局在地図 反対側の体部位局在地図がある どういう人間が脳内にいるのか? 顔 手等の領域は大きい

50 ネズミのヒゲも体性感覚! < ヒゲを利用した探索行動 > < 体性感覚野を染色 > < 大きなヒゲはマトリックスを形成 > A B C D E 1 2 特定のヒゲに応じる細胞が領域ごとにまとまっている

51 刺激の特徴をコードする 方位に選択性をもつ細胞の活動 同じ場所に受容野をもつたくさんの神経細胞 刺激 動きに選択性をもつ細胞の活動 刺激 違う特徴選択性をもつ細胞がいるから細やかな感覚が成立する

52 受容野ごとに整理された情報 指先 圧覚温覚冷覚触覚 体性感覚野 < 人差し指の領域 > 圧を感じる細胞の集合 温度を感じる細胞の集合 カラム構造 ( 機能カラム ) 同じ種類の感覚受容器からの求心性インパルスを受けるニューロンが円柱 ( カラム ) 状に配列している

53 暗い 眩しい 感覚は環境に慣れてくる 時間をかけて慣れてくる ( 暗順応 ) すぐに慣れてくる ( 明順応 ) 順応同じ刺激に長くさらされていると その刺激に対する感じ方が弱まる効果

54 順応の意義 急に明るい場所に出ると 100 検出しやすい明るさ 眩しい 0 検出しやすい明るさがシフト 1 変化を検出できるように 2 新しい環境に適応する

55 電気信号からみた順応 同じ刺激でも細胞によって反応の仕方が異なる 順応しにくい 順応しやすい その他おさえておく点 1 刺激の強度は活動電位の発火頻度で表現される 2 閾下の刺激強度では活動電位は発生しない

56 授業のまとめ 多くの臓器は自律神経に 2 重支配されている 交感神経と副交感神経は拮抗作用を持つ 自律神経はホメオスタシス維持に関与する 内臓感覚は自律神経等を介して内臓反射を引き起こす その他のキーワード 脳幹脳神経反射アセチルコリンとノルアドレナリン

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