細胞学会誌32号.indb

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1 支部 長 挨 拶 川崎医科大学病理学 2 鹿股直樹 2012 年 7 月の岡山県支部会総会で新支部長を拝命いたしました川崎医科大学病理学 2の鹿股直樹です. 何分, 若輩者でございますので, 諸先生方の御指導を仰がねばならないことが少なからずあろうかと思いますが, なにとぞよろしくお願いいたします. 日本臨床細胞学会は,2012 年 4 月 1 日をもって公益社団法人として内閣府より認可されました. このため, 各都道府県支部会もその立場, 役割が変わりつつあります. 既に他県では, 支部会の名称変更を行っている所もあります. また, 資格更新の際のポイント制度にも支部会所属の有無が明示的に関与することとなりました. 岡山県においても円滑に新制度に移行していきたいと思っておりますので, 会員の皆様のご協力を頂きたく思っております. 皆様ご存じの通り岡山県支部会では, 年 1 回の学術集会を行い, またこの集会での講演, 発表演題を中心とした内容で支部会誌を発行するのが主な活動内容となっております. 集会では, 発表経験の乏しい若手会員でも気軽に演題を出せるようにして行きたいと思っています. また, 集会当日には参加できなかった方であっても, 支部会誌への投稿は歓迎いたしますので, よろしくお願いいたします. 岡山県支部会誌は, 医中誌 web( に登録をいたしました. このため, 支部会誌への投稿文献は, 今後長い間検索が容易に可能となりました. 編集委員の先生方の御尽力で, 毎年定期的に発行されておりますが, 委員ではない方々にも査読などをお願いすることがありますので, 無理のない範囲でお願いいたします. 投稿も編集も, 厳しい日常業務の合間に行うのは決して楽なことではありません. 今後は省力化のためにオンライン ペーパーレスでの出版なども検討して行かねばならないかもしれませんが, 形式はともかく支部会誌は継続させたく思っております. なお, 会員情報管理, 会費徴収や支部会誌の発送などは, 全て川崎医科大学病理学 2の事務局で引き続き遂行いたします. 海外留学 病気療養 妊娠出産 育児 介護等, 特段の理由のある場合は会費の一時的な免除なども考慮していきたく思っておりますので, 事務局まで御相談下さい.

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3 巻頭言 編集副委員長 小林博久 猛暑も終わり, 数や被害が記録的だった台風もやっと収まり, なおも続くPM2.5を気にしているうちにすっかり冬ですが, 皆様いかがお過ごしでしょう. さて, 前号の編集委員会委員長の柳井先生からの引き継ぎで, 今回は副委員長の小林がこの巻頭言を担当させていただきます. いつもは編集後記で気楽な内容だったのですが, 今回は一時的な昇格を有効活用させていただき, 学会内容と雑誌編集に関していつもよりもう少し詳細にお伝えしたいと思います. 早速, 支部会から振り返ってみましょう. 今回の岡山県支部会は, 倉敷中央病院病理検査科の能登原先生を会長に同院大原記念ホールにて2013 年 7 月 6 日 ( 土 ) に盛大に行われました. 内容は一般演題 7 題に加え, シンポジウム EUS-FNA: 基礎から実践へ が行われました. 一般演題では症例報告 4 題とLBC, 婦人科 ASC-H, gangliocytic paraganglioma(gp) の細胞像の検討でいずれも, 稀少な症例と世相を反映する貴重な研究の発表でした. 特にGPの細胞像では, その後に続くEUS-FNAのシンポジウムの布石となるタイムリーな発表でした. このシンポジウムで印象に残ったのは, 検体採取後の処理に皆さん工夫されていることで, 手作り感満載から製品レベルの器具まで様々でしたが, これがよりよい診断に直結するのだと大変勉強になりました. また, 学術発表以外でも今回の総会では人事面でも重要な発表がありました. 支部長が森谷先生から鹿股 ( かのまた ) 先生に交代いたしました. 森谷先生には役員人事を始め, 本会の名称変更, ホームページ開設, 雑誌サイズの変替, 投稿規定, カジュアルな学会参加等々にご尽力いただき本会の発展に大変貢献していただきました. 今後は中央との橋渡しとしてまた, 本会の監事としてご指導, ご協力いただけるものと存じます. 新会長の鹿股先生は乳腺は元より泌尿器もご専門で, 細胞診に関係の深い分野であることから今後のご活躍に大変期待されます. さて, 最後になりましたが会誌については, 前回より査読制導入やB5 版からA4 版へとサイズを大きくし, 体裁の統一を行っています. 前号でも委員長が述べられていましたが査読に関しては, 投稿者だけではなく査読に不慣れな委員についてもとても良い勉強と刺激になっています. サイズに関しては,B5 版からA4 版にサイズが変更したことで掲載文字数が増え, また図表のサイズが大きくなり非常に見やすくなったと感じています. 特にB5では書き足りなかった人や, 小さな写真が見づらかった人には喜ばれていると想像しています. 体裁についても委員の努力により親学会である日本臨床細胞学会雑誌に準拠させていただきましたが, 大変良くなったと好評をいただいています. 今回からは印刷所に依頼することとなりますが, 今後もクオリティの高い雑誌を目指し努力していく所存です. 今後とも, 会員の皆様のご支援とご協力を心からお願い申し上げます.

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5 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 9 原 著 当研究所における過去 3 年間にみられた婦人科細胞診 LBC 法におけるASC-Hと診断された症例の追跡調査 岡本哲夫 1), 真田拓史 1), 松本智穂 1), 徳田清香 1), 亀田あい子 1), 2) 物部泰昌 西日本病理研究所 1) 2), 川崎医科大学附属川崎病院病理部 はじめに ASC-H( atypical squamous cell, cannot exclude HSIL, 以下 ASC-H) は, 高度異型扁平上皮内病変を除外できない所見を呈しつつ, 良性疾患の細胞像と区別する必要があるカテゴリーである 婦人科細胞診 LBC 法におけるASC-Hと診断された標本の再検討及び追跡調査をしたので報告する 対象と方法 2009 年 10 月 ~2012 年 9 月の過去 3 年間でLBC(Sure PathTM) 法にて組織診結果との対比ができた40 症例を対象とした 方法として, 組織診断との照合可能な症例を対比し, 比較検討を行った 結果組織診との対比の結果の内訳は, 良性疾患が2 例 (5%), 異型扁平上皮細胞が1 例 (2.5%), CIN1が 6 例 (15%),CIN2が16 例 (40%),CIN3が14 例 (35%), 浸潤癌が1 例 (2.5%) であった ASC-Hと判定した理由は, 未熟化生様細胞や予備細胞類似の細胞集塊を伴う深層型の異型細胞が多くみられ, 典型的な細胞が認められなかった また, 良性疾患ではN/C 比が高い核異型を伴う化生様細胞が見られたこと, 浸潤癌では, 化生様細胞集塊に混じって異型細胞がみられたが, 明らかな癌細胞は出現していなかった まとめ追跡調査では,ASC-Hと判定した症例の75% の割合で組織診の結果はCIN2~3であった ASC-Hの判定は, 深層型の異型扁平上皮細胞に対して用いられる傾向があり, 特有の細胞像がないため, 標本全体の判断で行う また, 組織診断との対比を定期的に行う必要がある Key words:atypical squamous cell,cannot exclude HSIL,liquid-based cytology,histology,follow up Ⅰ. はじめに Ⅱ. 対象と方法 ASC-Hは, 高度異型扁平上皮内病変を除外できない所見を呈しつつ, 未熟化生細胞などの良性疾患の細胞像と区別する必要があるカテゴリーである. 今回, 我々は婦人科細胞診 LBC 法におけるASC-Hと診断された標本の再検討及び追跡調査をしたので報告する 年 10 月 ~2012 年 9 月の過去 3 年間でLBC(Sure PathTM) 法にて組織診結果との対比ができた40 症例を対象とした. 方法として, 組織診断との照合可能な症例を対比し, それぞれの細胞所見について比較検討を行なった. Ⅲ. 結果 Tetsuo OKAMOTO,C.T.I.A.C 1), Hiroshi SANADA, C.T.I.A.C 1), Chiho MATSUMOTO, C.T.I.A.C 1), Sayaka TOKUDA, C.T.I.A.C 1), Aiko KAMEDA, C.T.I.A.C 1), Yasumasa MONOBE,M.D 2) West Japan Pathology Laboratory 1) Kawasaki Medical school attached Kawasaki hospital,department of pathology 2) 論文請求先 倉敷市笹沖 西日本病理研究所岡本哲夫 組織診との対比の結果の内訳は, 良性疾患が2 例 (5%), 異型扁平上皮細胞が1 例 (2.5%),CIN1が6 例 (15%),CIN2が16 例 (40%),CIN3が14 例 (35%), 浸潤癌が1 例 (2.5%) であった ( 表 1). 良性疾患の細胞像では, 両方とも,20 歳代で少数ながら, 正常化生細胞に類似するもやや極性を失いつつ,

6 10 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 やや核クロマチン増量と核 / 細胞質比の高い細胞が認 められた. 核に立体不整は認められなかった. 組織診 では慢性頸管炎と化生であった. 未熟化生細胞の一部 を見ていたものと考えられた. 異型扁平上皮細胞の細 胞像では,20 歳代でかつ異型細胞が少数しか認められ なかった. しかし, 明らかな細胞の大小不同と核クロ マチンの増量が認められた. 細胞質がやや厚い特徴が 表 1.ASC-H 症例の組織診断の内訳 組織診断 症例数 割合 (%) Chronic cervicitis Mataplasia Atypical squamous cell CIN CIN CIN Adenocarcnoma(EM) みられた. 組織診では, 軽度の化生細胞に異型が認められたため,Atypical squamous cell と診断された ( 写真 1,2). CIN1の細胞像では, 年齢分布としては,30~40 歳代を占めていた. 細胞像では, 表層型の異型細胞は目立たず, 中層型類似の異型細胞が少数認められた. 核のしわはなく, 核クロマチンの増量がみられたが, 異形成と診断することができず,ASC-Hと判定していた. 組織診では, 表層型の異型細胞が認められたことから,CIN1であった.CIN2の細胞像では, 年齢分布としては,30~40 歳代が主体を占めていていた. 細胞像では, 比較的中層 ~ 深層型の異型細胞が少数認められた. 核のしわは目立たず, 一部には集塊状に出現している異型細胞がみられたが, 異形成と診断することができなかった. しかし, 核に立体不整が認められた. 組織診では, 中層型の異型異型細胞が主体に認められたことから,CIN2であった( 写真 3,4). 写真 1. パパニコロウ染色 40 倍核クロマチン増量, 大小不同を示す N/C 比の高い細胞集塊が認められた. 写真 3. パパニコロウ染色 40 倍裸核状の異型細胞が散在性に認められた. 写真 2.HE 染色 20 倍 Atypical sqaumous cell が認められた. 写真 4.HE 染色 20 倍中層 ~ 深層型にかけて異型細胞が認められた.

7 VOL CIN3の細胞像では, 年齢分布としては,40~50 歳代が主体を占めていた. 細胞像では, 比較的中層型と深層型の異型細胞が認められた. 核のしわは一部しかなく, 断定はできなかった. また, 集塊状に多く出現していて, 細胞境界はっきりみえにくいことから, 細胞診断を確実にとらえにくい症例も一部にみられた. 再度見直すと少数の深層型の異型細胞も認められた. 組織診では, 深層型の異型細胞が主体に認められたことから,CIN3であった. Adenocarcinoma(EM) の細胞像では, 化生様細胞が多く認められた. 一部, 核 / 細胞質比の高い細胞と核クロマチンの増量が認められたため,ASC-Hと判定していた. 組織診では, 子宮体部由来の内膜腺癌であった. Ⅳ. まとめ ASC-H は, 細胞検査士会より発刊されたテキスト 1) 等で記載されている通り, 診断基準はあるものの特有な細胞像がないために, 正確にASC-H と判定することは容易でないものと考えられる. 11 三上等によると,ASC-H と判定された約 60% の例でCIN2 以上の病変が検出されていた2) が, 今回我々の施設における3 年間の追跡調査では,ASC-Hと判定した症例の75% の割合で組織診の結果はCIN2~3であった. 今回の追跡調査で,ASC-Hと正しく判定するには, 液状細胞診の細胞の出現傾向に注意しながら, 小型の異型細胞に注目して注意深くスクリーニングを行なうことが必要である. 細胞像では, 標本の全体像で判断を行なうことが重要であると考えられる. また, 判定に苦慮したASC-H 症例を集めて組織診との結果を照らし合わせる症例検討会を定期的に行って, 細胞検査士のスクーニング技術を常に磨いていく姿勢が必要であると思われる. そして, その後のfollow upを行ないながら, 組織診断との対比を定期的に行なうことが必要と考えられる. 文献 1) 日本細胞診断学推進協会細胞検査士会. ベセスダ システムの基礎と実践 その理解のために. 東京 :2010; ) 細胞診の基本から実践へ. 病理と臨床臨時増刊号 vol.31. 文光堂. 東京 :2013;

8 12 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 原 著 LBC における細胞出現率の定量的解析 1, 宮本朋幸 2), 遠藤南 3), 富安聡 3) 1,, 大野節代 2) 1, 2,, 三宅康之 3), 1, 2, 坂口卓也 3) 1, 2, 3), 大野英治 背景 倉敷芸術科学大学生命科学部生命医科学科 1) 2), 加計学園細胞病理学研究所 3) 倉敷芸術科学大学大学院産業科学技術研究科分子細胞病理学系 近年普及しつつある liquid-based cytology (LBC) 法は 1 検体より複数枚の標本を作製するこ とが可能だが, 作製した複数枚の標本に出現する細胞数を定量的に解析した報告はない. 目的 2 社 (A 社,B 社 ) のLBC 法において, 保存液中の細胞数と, 標本中に出現する細胞数, および複数枚の標本を作製した場合の細胞の出現頻度について定量的に解析を行った. 結果 B 社はA 社に比し,1 標本あたりに出現する細胞数が有意に多かった.LBC 標本においてin situ hybridization 法による高リスクHPV DNAの検出が可能であった. 結語 LBC 法により作製した複数枚の標本を用いて, 遺伝子解析を含めた形態学的解析が可能であると思われた. Key words:liquid based cytology, in situ hybridization Ⅰ. 緒言近年, 子宮頸部擦過検体を中心とした細胞診標本作製法には, 標本作製手技の標準化, 固定不良による不適正標本の減少, 鏡検時間の効率化, 検体の長期保存等を目的とした液状化細胞診 (liquid-based cytology; LBC 法 ) が普及しつつある 1).LBC 法は採取した細胞を専用の保存液バイアルに回収し細胞浮遊液とすることで, 同一検体から複数の標本が作製可能であり, 形態学的解析や免疫細胞化学的解析, 遺伝子解析等への応用が可能である. しかし, 一検体から複数枚の標本を作製し種々の解析を行う為には, 作製した標本すべ てに標的とする細胞が出現する必要がある. 現在, 複数社から LBC システムが市販されており, 作製した複数枚の標本には均等に標的の細胞が出現するとされている. しかし, 検体中に含まれる細胞数と,LBC 法で作製した標本中に出現する細胞数について詳細に解析した報告は未だない. そこで本研究では,2 社 (A 社,B 社 ) のLBC 法において, 保存液中の細胞数と, 標本中に出現する細胞数, および複数枚の標本を作製した場合の細胞の出現頻度について定量的に解析を行った. Ⅱ. 対象および方法 Tomoyuki MIYAMOTO,C.T.,I.A.C 1,2), Minami ENDOU,C.T. 3), Satoshi TOMIYASU,C.T.,I.A.C3 ), Setsuyo OHNO,MS 1,2), Yasuyuki MIYAKE,PhD. 1,2,3), Takuya SAKAGUCHI,PhD. 1,2,3), Eiji OHNO, PhD 1,2,3). Department of Medical Life Science, College of Life Science, Kurashiki University of Science and the Arts 1) Kake Institute of Cytopathology 2) Graduate School of Science and Industrial Technology, Department of Chemical Technology, Kurashiki University of Science and the Arts 3) 別刷請求先 倉敷市連島町西浦 2640 番地倉敷芸術科学大学生命科学部生命医科学科宮本朋幸 Phone: 対象として子宮頸癌培養細胞株 HeLa(RIKEN BRC, RCB0007) を用いた.HeLa 細胞を10000,1000, 500,100 個ずつ計数し, 各社の専用バイアルにて固定した. 標本作製方法は各社のプロトコルに従い, 標本を5 枚作製した. 塗抹標本はパパニコロウ染色を施し, 標本 1 枚当たりの出現細胞数および作製標本 5 枚に対する細胞出現標本の割合を比較した. 統計学的解析にはMann Whitney U-test を用い,p 値が0.05 未満の群間に有意差があるものとした.

9 標本 1 枚当たりの出現細胞数 ( 個 ) VOL 表 1. 標本 1 枚当たりに出現する細胞数の理論値 細胞数 ( 個 ) 10,000 1, A 社 (%) 1, B 社 (%) 1, 表 2. 標本 1 枚当たりの出現細胞数 細胞数 ( 個 ) 10,000 1, A 社 ( 個 ) 27.6± ± ± ±1.4 B 社 ( 個 ) 518.3± ± ± ±3.6 表 3. 作製標本 5 枚に対する細胞出現標本の割合 細胞数 ( 個 ) 10,000 1, A 社 (%) 93.3± ± ± ±23.1 B 社 (%) 100±0 100±0 100±0 100± 固定液中の細胞数 ( 個 ) A 社 B 社 p 0.05, Mann-Whitney U-test 図 1. 標本 1 枚当たりの出現細胞数の比較 (Ave.±SD) Ⅲ. 結果各社プロトコルに従い標本を作製した場合の標本 1 枚当たりに出現する細胞数の理論値を求めた ( 表 1). A 社およびB 社とも理論値に大きな差はないが, 標本 1 枚当たりの出現細胞数を解析した結果, 算出した理論値に比し両社とも少ない結果となった. また, 固定液中の細胞数が10000,1000,500 個の場合,B 社はA 社に比し有意に出現細胞数が多かった ( 図 1, 表 2). 作製標本 5 枚に対する細胞出現標本の割合は,A 社では保存液中の細胞数が少なくなるに従い細胞出現率が低下するのに対し,B 社では保存液中の細胞数に関係なく, 全ての標本において細胞を認めた ( 図 2, 表 3). 観察された細胞の形態は,A 社およびB 社に明確な差は認められなかった ( 写真 1). また, 子宮頸部 HSIL 症例の臨床検体から標本を5 枚作製し, 高リスク HPV DNAに対する in situ hybridization(ish) を行った結果,5 枚目の標本においても標的の HSIL 相当の細胞が出現し,ISH 法にて陽性シグナルを認めた ( 写真 2). Ⅳ. 考察 A 社の標本作製は, 分離剤を添加して密度勾配法によって血性成分を分離し細胞を集め, 沈下した細胞を荷電によりスライドグラスに塗抹する. 一方 B 社は遠

10 14 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 A 社 B 社 固定液中の細胞数 ( 個 ) p 0.05, Mann-Whitney U-test 図 2. 作製標本 5 枚に対する細胞出現標本の割合 (%) 写真 1.LBC 標本における HeLa 細胞.(Pap. x100) A, B)A 社.C, D)B 社.

11 VOL 写真 2. LBC 標本における ISH 法 ( 高リスク HPV プローブ ) による陽性所見.(x100) A)HPV びまん性陽性 (4 枚目 ).B)HPV 点状陽性 (5 枚目 ). 心して細胞を集めた後, 細胞吸着ポリマーによって専用のスライドグラスに塗抹する 2).B 社がバイアルのまま遠心分離のみで標本作製が可能であることに比べ,A 社は分離剤やチャンバーを使用する必要があり, また工程が多く, 作製手技が煩雑である. 以上より,A 社では標本作製工程において検体中の細胞が失われ, 理論値との差が大きく, 出現細胞数に有意な差が出たと考えられる. LBC 法により作製した複数枚の標本には目的の細 胞が出現し,ISH 法による陽性シグナルも認めたことから,LBC 法は遺伝子解析を含めた形態学的解析にも応用が可能であると思われる. 参考文献 1)Jin XW, et al. Cervical cancer screening : Less testing, smarter testing. Cleveland Clinic Journal of Medicine ; 78(11): ) 久布白兼行. 液状検体細胞診. 日産婦誌 ; 62 :

12 16 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 原 著 超音波内視鏡下穿刺吸引法で得られた検体処理の工夫と 病理 細胞診の精度 高須賀博久 1), 畠榮 1), 成富真理 1), 日野寛子 1) 2), 物部泰昌 川崎医学大学附属川崎病院病理部 1) 2), 川崎医学大学附属川崎病院病理科 目的超音波内視鏡下穿刺吸引法 (Endoscopic Ultrasonography-guided Fine Needle Aspiration 以下 EUS-FNA) で採取された検体の処理方法と, 診断精度を検討した. 検体処理方法細胞検査士がEUS-FNAで採取された検体をその場で処理し, 圧挫細胞診標本を作製しDiff-Quik 染色で採取の適否を確認した後,Cell block( 以下 CB) 標本とフィルター細胞診標本を作製した. 対象と方法 2011 年 ~2012 年の2 年間で病理診断の得られた75 例を対象に, 細胞診断精度を検討した. さらに, 手術施行例の組織診断で悪性とされた13 例を対象に, 細胞診断とCB 組織診断の感度を比較した. 診断精度の結果対象の細胞診断精度は, 感度は95.0%, 特異度 80.0%, 正診率 92.0% であった. 手術組織診断悪性 13 例のCB 組織診断の内訳は, 検体不良 1 例, 陰性 3 例, 疑陽性 1 例, 陽性 8 例で感度は69.2% であった. いっぽう細胞診断は, 疑陽性 3 例, 陽性 10 例で感度は100% であった. まとめ今回の検討ではEUS-FNA 細胞診断がCB 組織診断より良好な結果を得た. Key words:eus-fna,on-site cytology,sampling technique,quality control Ⅰ. はじめに 腹腔内病変等に対し,EUS-FNAは低侵襲の検査法で質的診断に有用な手段として普及している. 今回我々は,EUS-FNAで得られた検体での当院の処理方法を紹介し, 病理診断と細胞診断の精度について検討した. Ⅱ. 検体処理方法とその工夫 当院では細胞検査士が採取現場に出向き, その場で検体処理を行い ( いわゆるon-site cytology), その結果を臨床に報告した. 持参する器具は, 固定液, スライドガラス, カバーガラス, 滅菌シャーレ, ピンセッ Hirohisa TAKASUGA,C.T.,I.A.C. 1), Sakae HATA,C.T.,C.F.I.A.C. 1), Mari NARITOMI,C.T.,I.A.C. 1), Hiroko HINO, C.T.,I.A.C. 1), Yasumasa MONOBE,M.D 2). Department of Pathology,Kawasaki Hospital Kawasaki Medical School 論文別冊請求先 : 岡山県岡山市北区中山下 川崎医科大学附属川崎病院病理部高須賀博久 ト, ライト,Diff-Quik 染色セット, 細胞保存液 (Cyto Rich ) および10% ホルマリン固定液などである. EUS-FNAにより生検針内に採取された検体をスタイレットの挿入により圧をかけてシャーレに押し出し, 透明感のある白色調の微小組織片をピンセットで摘みスライドガラスに載せ,2 枚の圧挫細胞診標本を作製した. そのうち1 枚の標本は,Diff-Quik 染色を行い検体採取の適否を確認した. 採取された検体中に凝血塊が認められた場合は10% ホルマリンで固定し, 通常の方法でパラフィン包埋組織標本を作製した. 採取された検体に細胞保存液を加え, その中の微小組織片を用いてCB 組織標本を作製した. 残りの検体はFile Cup Super を使用したフィルター法で細胞診標本を作製した. 各種標本の作製過程を図 1に示した. CB 組織標本の作製方法 ( 図 2) は, 細胞固化法で行った.1シャーレの検体をピペットで遠沈管に入れ, 2,000 回転 5 分遠心し,2 沈渣に10% ホルマリンを加えて1 時間固定した. 固定後再度 2,000 回転 5 分遠心し, 3 沈渣に1% エオジンを1 滴加え撹拌し局方エタノールを加えた. 次にその液をアジア器材の綿棒チューブ に移し2,000 回転 5 分遠心し,4 沈渣にHOLDGEL110

13 VOL 図 1 EUS-FNA で採取された検体から各種標本の作製過程 細胞保存液を遠心管 10% ホルマリン 1 時間固定 綿棒チューブに移す HOLDGEL110 メタノールを重層し固化後 ハサミで切断 パラフィン包埋 遠心 遠心 遠心 回転 5 分遠心図 2 Cell block 組織標本の作製方法 を数滴滴下した. その上にメタノールを重層し, 固化のため1 晩放置した. 固化したHOLDGEL110 は, 綿棒チューブ の底をハサミで切断して局方エタノールの中に取り出し, 通常の方法でパラフィン包埋組織標本を作製した. Ⅲ. 診断精度の対象と方法 2011 年 ~2012 年の2 年間に行われたEUS-FNAは 79 症例で, そのうち病理診断で検体不良とされた4 例を除く75 症例を対象に,EUS-FNA 細胞診断の精度について検討した. 方法は,CB 組織診断または手術組織診断での最終病理診断を基に陰性, 疑陽性および陽性に区分し, 陰性には非腫瘍性病変, 疑陽性には良性腫瘍性病変 異型細胞 境界腫瘍性病変, 陽性には悪性腫瘍性病変を分類した.EUS-FNA 細胞診断も病理診断と同様に陰性, 疑陽性および陽性に区分し, 陰性はパパニコロウ分類のClass1~2, 疑陽性はパパニコロウ分類の Class3, 陽性はパパニコロウ分類のClass4~5に分類し,EUS-FNA 細胞診断の感度, 特異度および正診率 をもとめた. さらに,75 症例のうち手術施行例で組織診断が悪性とされた13 症例を対象として,CB 組織診断とEUS-FNA 細胞診断の感度をもとめ比較検討した. Ⅳ. 診断精度の結果 a) CB 組織診断または手術組織診断とEUS-FNA 細胞診断の比較 CB 組織診断または手術組織診断で陰性とした症例は15 例 (20.0%) あり, その細胞診断の内訳は, 陰性 12 例, 陽性 2 例および検体不良 1 例であった. 細胞診断が陰性の12 例の内訳は, 非悪性 1 例, 膵嚢胞性病変 2 例, 慢性膵炎 4 例, 胆管炎 1 例, 自己免疫性膵炎 (IgG4+)1 例, 肝膿瘍 1 例, 脾膿瘍 1 例およびリンパ節転移無 1 例であった. 細胞診断が陽性の2 例は明らかな腺癌細胞 ( 図 3) を認め陽性としたが,CB 組織診断では異型細胞を認めず非悪性とされた. しかし, これら2 例は臨床的には明らかな浸潤性膵癌であった. 細胞診断が検体不良の1 例は, 上皮細胞成分を認めず検体不良とした.

14 18 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 図 3 EUS-FNA 細胞診断陽性で CB 組織診断陰性の細胞像 2 症例 ( 臨床診断 : 膵癌 ) ( 左 ; 症例 1 パパニコロウ染色 60, 右 ; 症例 2 パパニコロウ染色 60) 図 4 胃 GIST 症例 ( 左 ;EUS-FNA 細胞診パパニコロウ染色 20, 右上 ;CB 組織標本 HE 染色 20, 右下 ;C-KIT 免疫染色 20) 病理診断で疑陽性とした症例は11 例 (14.7%) あり, その細胞診断の内訳は, 疑陽性 5 例, 陽性 3 例, 陰性 2 例および検体不良 1 例であった. 疑陽性 5 例の細胞診断は, 異型上皮細胞 1 例, 膵 Intraductal papillary mucinous adenoma( 以下 IPMA) 疑い1 例および紡錘形細胞性腫瘍 3 例であった. これらの病理診断は順に膵異型上皮細胞 1 例,IPMA1 例, 胃 Gastrointestinal stromal tumor ( 以下 GIST)2 例および腹膜デスモイド1 例であった. 細胞診断で陽性とした3 例のCB 組 織診断は, 膵 Intraductal papillary mucinous neoplasia ( 以下 IPMN)1 例と膵異型上皮細胞 2 例であった. しかし, これら3 例は臨床的には明らかな浸潤性膵癌であった. 細胞診断が陰性の2 例は1 例が悪性リンパ腫症例で,CB 組織診断では異常リンパ球の集簇を伴う膵異型上皮細胞とされたが, 細胞診では異常リンパ球等の異型細胞は認められなかった. 他の1 例は, 手術組織標本で膵粘液性嚢胞性腺腫と診断された. 細胞診断で検体不良の1 例は, 上皮細胞成分を認めず検体

15 VOL 表 1 病理診断と EUS-FNA 細胞診断の比較 表 2 手術施行例で組織診断陽性の CB 組織診断と EUS-FNA 細胞診断の比較 不良とした. その病理診断は, 十二指腸 GISTであった. 病理診断陽性は49 例 (65.3%) で, その細胞診断の内訳は, 陽性 45 例と疑陽性 4 例であった. 細胞診断が陽性の45 例の内訳は, 膵癌 25 例, 転移性膵神経内分泌癌 1 例, 肝内胆管癌 1 例, 胆管癌 6 例, 胆嚢癌 2 例, 食道癌 1 例, 腎盂癌 1 例, 悪性リンパ腫 2 例, 腹膜ユーイング肉腫 1 例, 転移性肺癌 3 例, 転移性子宮頸部癌 1 例および胃癌又は胆嚢癌 1 例であった. 細胞診断が疑陽性の4 例は, 異型細胞の出現数が少なかったため確定診断に至らず疑陽性とした. その内訳は, 膵癌 1 例, 肝門部胆管癌 2 例および胆嚢癌 1 例であった. 疑陽性を正診としたEUS-FNA 細胞診断の感度は95.0%, 特異度 80.0% および正診率 92.0% であった. 以上を表 1 に示した. 胆管癌 1 例, 中部胆管癌 1 例, 下部胆管癌 3 例, 胆嚢癌 1 例および悪性リンパ腫 1 例であった.CB 組織診断の陽性は8 例 (61.5%) で, その細胞診断の内訳は, 陽性 7 例と疑陽性 1 例であった. 細胞診断が疑陽性の 1 例は, 異型細胞がごく少数のため確定診断に至らず疑陽性とした.CB 組織診断で疑陽性は1 例 (7.7%) で, その細胞診断は陽性であった.CB 組織診断で陰性は 3 例 (23.1%) で, その細胞診断の内訳は, 疑陽性 2 例と陽性 1 例であった. 細胞診断が疑陽性の2 例は, 異型細胞を認めたがごく少数のため確定診断に至らず疑陽性とした. CB 組織診断で検体不良とされた1 例 (7.7%) は, 細胞診断では腺癌細胞を認め陽性とした. それらを表 2に示す. 疑陽性を正診とした場合のCB 組織診断の感度は69.2% で, 細胞診断は100% であった. b) 手術組織診断で悪性とされた症例のCB 組織診断とEUS-FNA 細胞診断の比較対象の75 症例のうち, 手術組織診断で悪性とされた 13 症例の内訳は, 膵癌 5 例, 肝内胆管癌 1 例, 肝門部 Ⅴ. 考察 腹腔内腫瘤性病変に対し, これまでは画像診断による存在診断がなされてきたが,EUS-FNAの普及によ

16 20 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 り簡便で安全に組織採取が得られるようになり, 質的診断が可能となった. しかしながら,EUS-FNAで採取される検体は微小なことが多く, 組織標本の作製には工夫が必要である. そのためには細胞検査士が現場に出向き,EUS-FNAで採取された検体を的確に処理し, 良好な標本を作製することが大切である ( 図 1). また, その場で細胞検査士が, 検体採取の適否を術者に伝えることで穿刺回数を減らし患者の侵襲を低減できると考える. 我々は,EUS-FNAで採取された検体から組織標本を作製するためにCBを用いている.CB 組織標本の作製で細胞を効率よく収集する方法には, 大きく分けて 2 通りの方法が行われている. 一つは遠心分離細胞収集法としてのクロロホルム重層法, ナイロンメッシュ法, コロイジオンバッグ法, クライオバイアル法などがある. もう一つは細胞固化法として寒天やセルロース, アルギン酸ナトリウム, グルコマンナンなどを使用する方法である 1). 当院では,EUS-FNAで採取された検体に細胞保存液を加え, 細胞固化法のグルコマンナンを成分とするHOLDGEL110 を用いてCB 組織標本を作製している. そのため採取された検体の多くを組織標本にすることが可能で, 微量な検体でも容易にCB 組織標本を作製できる.CB 組織標本の有用性については多くの報告がある 1, 2). たとえば 連続切片を作製し免疫染色等を並行して行うことで,HE 標本と同一細胞を免疫組織学的に観察することが可能となり, 診断に対する高い有用性を得ることができる. 今回検討した胃 GIST( 図 4) の症例を例にとると, 細胞診断では紡錘形細胞性腫瘍としか診断できなかったが,CB 組織標本でC-KIT 免疫染色を行うことで最終診断が可能であった. CB 組織診断または手術組織断診での最終病理診断におけるEUS-FNA 細胞診断の検討では, 感度 95.0%, 特異度 80.0% および正診率 92.0% であった.EUS-FNA の成績についてのこれまでの報告例では, 感度 %, 特異度 100%, 正確度 % と報告されている 2 5). 今回の検討結果の比較では, 細胞診断の特異度がやや低かった. この理由としては, 細胞診断陽性でCB 組織診断陰性とされた症例が2 例あったことが挙げられる. これら2 例の細胞所見は, 偏在性の核を有し核腫大や核小体の腫大がみられ明らかな腺癌であった ( 図 3). さらに, これら2 例は臨床的にも浸潤性膵癌と診断されていた. しかし,CB 組織診断では異型細胞を認めず陰性とされていたためである. これら2 例を細胞診断が正診として陽性に扱った場合の EUS-FNA 細胞診断の成績は, 感度 95.2%, 特異度は 92.3% および正診率は94.7% と向上した. 次に,EUS-FNA 細胞診断とCB 組織診断の感度を比較するため, 手術施行例の組織診断で悪性とされた13 例で検討した結果では,CB 組織診断の感度は69.2% に対し,EUS-FNA 細胞診断の感度は100% であった. これらのことより, 腺癌等の通常型の悪性症例においては,CB 組織診断と比較してEUS-FNA 細胞診断は, 微量な検体であっても的確に異型細胞を塗抹でき, 良好な標本作製が可能であるため診断精度が向上したと考えられた. しかしながら, 胃 GIST 症例や腹膜デスモイド症例のように, 細胞診断では紡錘形細胞性腫瘍としか診断できない症例があり,CB 組織標本などの手法を用いて免疫染色を行うことで最終的な診断が可能であると考えられた. 今回のEUS-FNA 細胞診の検討は, 圧挫細胞診標本とフィルターを用いた細胞診標本で行ったが, 鮮明な細胞像と細胞保存が行えるLiquid- based cytology 技術の応用もさらなる精度向上に期待できると考える. Ⅵ. まとめ EUS-FNAで得られる検体は微小な組織片のため, オンサイドで細胞検査士の目で確認し, 的確にサンプリングを行い検体採取の適否を報告することは重要である. そして, 細胞診標本ならびにCB 組織標本の両方を作製することが, 診断精度の向上に寄与すると考えられた. 文献 1) 西国広, 國實久秋, 渋田秀美, 羽原利幸, 濱川真治, 藤田勝. 細胞診標本作製マニュアル ( 体腔液 ). 細胞検査士会 2008;1: ) 白波瀬浩幸, 小畑彩子, 平田勝啓, 白井孝夫, 辻眞里子, 南口早智子,et al. 超音波内視鏡下針穿刺吸引細胞診におけるセルブロック併用の有用性. 日臨細胞誌 2011; 50: ) 渋谷信介, 河野幸治, 松永徹, 本山睦美, 大道清美, 串田吉生,et al. 当院における超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診 (EUS-FNA) の現状. 日臨細胞誌 2012;51:367. 4) 井上博文, 藤田勝, 松岡博美, 今井みどり, 那須篤子, 森下由美子,et al. 超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診における検体の取り扱いとその有用性 第二法. 日本臨床細胞学会中国四国連合会会報 2009;24:39. 5) 羽場真, 山雄健次, 水野伸匡, 原和生, 肱岡範, 清水泰博. 胆膵癌実施臨床の最前線 - 膵 胆道癌の診断と治療. 内科 2011;107:

17 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 21 症 例 10 歳代後半に発生した尿膜管癌の 1 例 小林江利 1), 荒木豊子 1), 米亮祐 1), 鐵原拓雄 1), 畠榮 4), 伊禮功 1,2), 鹿股直樹 1,3) 1,3), 森谷卓也 川崎医科大学附属病院病院病理部 1), 川崎医科大学病理学 1 2), 同病理学 2 3), 4) 川崎医科大学附属川崎病院病理部 背景若年者に発生した尿膜管癌の1 例経験したので, 細胞学的形態を中心に報告する. 症例 10 歳代後半, 男性. 肉眼的血尿を自覚し近医を受診した.CTやMRI 検査で膀胱頂部に3cm大の腫瘤病変があり, 尿膜管腫瘍が疑われた. 尿細胞診では, 多くの好中球, 壊死物質とともに上皮細胞が集合性および散在性に認められた. これらの細胞は核が腫大しN/C 比が増大, 核形不整が強く, 核クロマチンも増量しており, 癌と判断した. 一部の細胞には核の偏在がみられた.TUR-Btおよび切除材料では, 膀胱壁内から腹壁の線維性索状物に連続する腫瘍で, 一部は膀胱粘膜に露出していた. 組織学的には腺癌で, 尿膜管癌と診断した. 考察とまとめ若年者に尿膜管癌が発生することは極めて稀である. 細胞学的診断には核の位置および細胞質の性状などを注意深く観察することが重要である. また,Sure Path 法とFilter 法の2 種類の検体処理方法で背景や出現様式が異なったことより, 両者を相補的に利用することも有効と思われる. 確定診断のためには, さらに画像を含む臨床所見との十分な対比が必要である. Key words:urinary bladder carcinoma, Urachal carcinoma, Urinary cytology, Case report Ⅰ. はじめに 尿膜管癌は, 膀胱腫瘍のうち0.34~0.7% 程度を占める稀な腫瘍である 1). 今回, われわれは尿細胞診を契機に発見された, 若年者発症尿膜管癌の1 例を経験したので, 細胞学的所見を中心に報告する. Ⅱ. 症例報告 症例 :10 歳代後半, 男性主訴 : 肉眼的血尿臨床経過 : 誘因なく肉眼的血尿を自覚したため近医 Eri KOBAYASHI,C.T.,I.A.C 1), Toyoko ARAKI,C.T.,I.A.C 1), Ryousuke YONE, C.T.,I.A.C 1), Takuo KANAHARA,C.T.,I.A.C 1), Sakae HATA,C. T.,I.A.C,CFIAC 4), Isao IREI,M.D. 1,2), Naoki KANOMATA,M.D. 1,3), Takuya MORIYA,M.D., MIAC. 1,3) Department of Pathology, Kawasaki Medical School Hospital 1) Department of Pathology 1, Kawasaki Medical School 2) Department of Pathology 2, Kawasaki Medical School 3) Kawasaki Hospital, Kawasaki Medical School 4) 論文別冊請求先 : 岡山県倉敷市松島 577 川崎医科大学附属病院病院病理部小林江利 を受診し,CTで尿膜管癌を疑われ, 当院に紹介された. MRIでは, 膀胱頂部に3cm大の腫瘤 ( 写真 1) が認められた. この腫瘍は腹壁の線維索状物から連続しており, 尿膜管癌や腸間膜由来の腫瘍が鑑別に挙げられた. 細胞診で悪性と診断されたため,TUR-Btを施行し, 尿膜管癌との確定診断がなされたため, 摘出術が施行された. Ⅲ. 細胞学的所見自排尿について,Sure Path 法とFilter 法で標本を作製した ( 写真 2). いずれの標本も背景に赤血球, 好中球, 壊死物質がみられたが, 粘液等はみられなかった. また, 壊死物質はSure Path 法の方でより多かった. この中に, 乳頭状集塊および散在性に上皮細胞を認めたが,Filter 法では平面的な集塊も混在していた. これらの上皮細胞は大小不同があり, 細胞形は類円形で, 細胞質はライトグリーンに淡染, 核は概して腫大しており,N/C 比が増大していた. 核形は不規則で, 核クロマチンの増量も認めた. また, 一部の細胞では核が偏在する傾向を示した.( 表 1)

18 22 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 写真 1 MRI T2 強調画像膀胱頂部に3cm 大の腫瘤 ( 丸印部分 ) が認められ, 尿膜管腫瘍が疑われた. Sure Path 法 Filter 法 a b d 写真 2 自排尿の細胞像 a. 背景に壊死が目立つ (Sure Path 法.Pap. 染色 10),b. 乳頭状集塊 (Sure Path 法. Pap 染色 100),c. 背景の壊死が少ない (Filter 法.Pap 染色 10),d. 平面的な集塊 (Filter 法.Pap 染色 100) Ⅳ. 病理組織学的所見 1,TUR-Bt 所見粘膜固有層を主座として, 複雑に癒合した管状 乳頭状を示す腺癌の像が見られた ( 写真 3). 背景には出血 壊死が目立っていた. 2, 手術摘出材料組織学的所見腹壁の線維索状物 ~ 膀胱頂部にかけて cm大 ( 写真 4a) の組織が摘出された. 割面では cmの白色充実性の結節性病変 ( 写真 4b) があり, 乳頭状 管状の異型上皮からなる腺癌の像であった. 膀胱頂部では一部潰瘍が形成され, 腫瘍は膀胱内腔へ露出しており ( 写真 4c), 膀胱壁内 ( 粘膜固有層

19 VOL 表 1 自験例における,2 種の検体処理法による細胞像の特徴 Sure Path 法 Filter 法 背景 出血 壊死 ( 多 ) 出血 壊死 ( 少 ) 出現様式 乳頭状 ~ 重積性 乳頭状 ~ 重積性 ~ 平面的 細胞形 類円形 類円形 細胞質 ライトグリーン淡染 ライトグリーン淡染 核 不整形が強い, 一部偏在 不整形が強い, 一部偏在 写真 3 TUR-Btの組織像出血 壊死を背景に複雑に癒合した管状を示す腺癌の像 (HE 染色, 40) ~ 筋層 ) から腹壁の線維性索状物に連続増殖していた. 尿路上皮の介在は認めなかった. Ⅴ. 考察尿膜管癌は, 尿膜管の遺残に由来して発生した癌, と定義される. 厳密には,Sheldenら 1) の診断基準を 2, 改定した4 項目からなる基準 3) があり, それは,1) 腫瘍が膀胱頂部 前壁に存在すること.2) 腫瘍の中心が膀胱壁内にあること.3) 膀胱頂部 前壁外に広範な嚢胞性あるいは腺性膀胱炎がないこと.4) 他に原発を考えるような腫瘍がないこと. を満たすことが必要である. 今回の腫瘍は膀胱頂部に存在し, 腫瘍の中心が膀胱壁内 ( 筋層 ~ 粘膜固有層 ) にあり, 嚢胞や炎症などもみられなかった. また, 他臓器原発を示唆 する所見も得られず, 尿膜管癌に矛盾しないものであった. 原ら 4) が行った尿膜管癌の本邦症例集計では,1994 年までに311 症例の報告がなされており, 男女比は2.6: 1と男性に多かった. 発症年齢は31~70 歳が全体の 81.7% を占め,10 歳代は1 例のみであった. 組織学的には腺癌が86.3% と圧倒的に多かった. 特に, 粘液産生傾向が強い例が目立ち, 奥村ら 5) の報告では53.4% が粘液産生性を示していた. 尿所見に関しても, 塩沢ら 6) は5 症例中 2 症例が粘液尿であったと述べている. 細胞像に関する報告は, 本例を含めて7 症例 7-11) あり, その概要を表 2にまとめた. まず, 背景については6 例で壊死を認めたが, 粘液については3 例のみで, 自験例でも明らかではなかった. 癌胞巣の出現形態については, 高円柱状と乳頭状がそれぞれ3 例ずつ示さ

20 24 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 写真 4a, 膀胱頂部 ~ 腹壁にかけての切除肉眼標本. 4b, 線維性索状物部分の腫瘍割面で白色充実性の肉眼病変. 4c, 膀胱内腔へ露出した腫瘍部分の HE 標本 ( 10) 年齢 主訴 背景 出現様式 細胞形 細胞質 核 自験例 18 歳 男 肉眼的血尿 出血 壊死 乳頭状および集塊状 散在性 類円形 ライトグリーン淡染一部に泡沫状 一部偏在不整が強い 1981 年萩本ら 1987 年笹生ら 1991 年本多ら 1997 年下田ら 2002 年中村ら 年中村ら 2 47 歳 男性血尿 排尿痛下腹部しこり 40 歳 男性排尿疼痛 白色調粘液尿 出血 好中球 壊死 粘液性 出血 壊死 粘液性 重積性細胞集塊 高円柱状 細胞質内空胞 偏在 小型円形の 核小体 1 個 散在性 ~ 集塊と種々 63 歳 男性 無症候性血尿 重積性のある 集塊 60 歳 男性定期健診にて発見 50 歳 女性無症候性肉眼的血尿 43 歳 男性肉眼的血尿 背部痛 表 2 尿膜管癌の細胞像に関する報告とその所見 壊死 出血 壊死 出血 壊死 粘液性 散在性 集塊性 一部柵状配列大小不同の乳頭状集塊を形成し散在性に出現乳頭状および柵状配列 高円柱状 粘液空胞 ライトグリーン淡染, 泡沫状ないしレース状 ライトグリーン淡染 泡沫状 偏在核小体 1~ 数個偏在好酸性核小体 1~2 個 一部偏在 長楕円形 やや偏在性核小体 1~2 個 高円柱状泡沫状軽度不整 れており, 自験例は乳頭状集塊を主体としていた. 核異型については, 癌であることが比較的容易に判断可能と思われた. さらに, 自験例を含む7 例で核の偏在傾向が認められており, 腺癌を推定する根拠になり得る所見と考えられた. 尿膜管癌の局在は膀胱壁内を基準とするが, 浸潤し膀胱粘膜に露出すると尿中にも癌細胞が出現しうる. 尿細胞診で腺癌と判断した場合, 尿膜管由来以外の膀胱原発の腺癌の可能性を考慮すべきであり, 今回の症例は臨床像もそれに一致するものであった. しかし, 他にも腺系への分化を示す尿路上皮癌や, 消化管癌か らの転移も考慮しておく必要がある. しかし, 細胞学的所見のみから原発巣と発生起源を確定させるのは必ずしも容易ではなく, 臨床所見を合わせた総合判断が望まれる. 細胞所見を観察する際には, 検体処理法の差による所見の差についても考慮する必要がある. われわれが実施した2 種類の方法に関しては,Filter 法は5μm 径の穴より壊死物質が除去されるためより清明な背景が得られ, 上皮細胞の観察がしやすい. 一方,Sure Path 法は壊死性背景がそのまま残存するために, 腫瘍性背景を認識するのに役立つ. 出現様式については,

21 VOL Filter 法では平面的な集塊もみられ, 腺癌の特徴である立体的構築像を必ずしも十分に反映していない可能性が示唆された. 以上の差は, 本腫瘍に限らず両処理法の一般的特徴でもあり, 観察の際に注意すること, 2 法を併用する際には両者を相補的に観察することが肝要と思われた. Ⅵ. まとめ 10 歳代後半の若年男性に発生した尿膜管原発性の腺癌について, 細胞学的形態を中心に報告した. 細胞観察に際しては, 背景に粘液が存在しないか注意すること, 核偏在傾向を把握することが, 腺癌の判定に役立つものと考えられた. また, 検体処理法の特徴を意識することも必要である. さらに, 腺癌の診断が得られた場合にも, 尿路上皮癌や転移性腺癌との鑑別を試みる必要があり, 臨床所見も合わせた総合判断が望まれる. 謝辞 ; 稿を終えるにあたり, ご指導を賜った川崎医科大学泌尿器学教室, 永井敦教授ならびに横山光彦講師に深謝致します. 25 文献 1)Sheldon CA, Clayman RV, Gonzalez R et al : Malignant urachal lesion. J Urol 1984 ; 131 : 1-8 2)Beck AD, Gaudin HJ, Bonham DG : Carcinoma of urachus. Br J Urol 1970 ; )Gopalan A, Sharp DS, Fine SW et al : Urachal carcinoma : a clinico-pathological analysis of 24 cases with outcome correlation. Am J Surg Pathol 2009 ; 33 : ) 原芳紀, 井田時雄. 尿膜管癌の3 例と本邦 311 例の臨床的検討. 西日泌尿器科.1994;56: ) 奥村哲, 西村泰司, 長谷川潤, 金村幸男, 阿部裕行, 秋元成太. 尿膜管癌の3 例 本邦 237 例の臨床統計. 泌尿器科紀要.1984;30: ) 塩沢勇治, 上井良夫, 垣添忠生, 岸紀代三, 尿膜管癌の細胞診. 日臨細胞誌,1981;20:356, 7) 萩本美都子, 松田実, 泉春暁, 松瀬幸太郎, 上田陽彦, 細胞診で診断し得た尿膜管癌の1 例. 日臨細胞誌,1981; 20:798, 8) 笹生俊一, 菅井有, 高山和夫, 渡辺綾子, 高金弘, 大堀勉, 尿膜管癌の1 例 - 細胞診を中心に-. 日臨細胞誌, 1987;26: ) 本多健康, 久原肇, 岡山道明, 山田修, 丹羽京太郎, 平野善子, 清水康子, 田村潤. 尿細胞診陽性を示した尿膜管癌の1 例. 日臨細胞誌,1991;30:913 10) 下田昌司, 田路奈津子, 松田実, 上田浩, 西時男. 検診時の尿細胞診により発見された尿膜管癌の1 例. 日臨細胞誌,1997;36: ) 中村博, 岡崎哲也, 古谷津純一, 鈴木不二彦, 川地義雄. 尿膜管癌の2 例. 日臨細胞誌,2002;41:

22 26 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 症 例 乳腺腺様嚢胞癌の一例 西本菜美 1), 渡辺律子 1), 物部美佳 1), 豊田博 1) 2), 大森昌子 1) 総合病院岡山協立病院病理部 2) 岡山大学病院病理診断科 乳癌において稀な腺様嚢胞癌の細胞診を経験したので報告する.80 歳代女性. 右乳腺腫瘤を自覚し乳癌の診断にて乳房温存切除術および腋窩リンパ節郭清が施行された. 腫瘤捺印細胞診では比較的きれいな背景にオレンジGとライトグリーンに染まる粘液様物質とともに, 腺腔を有する重積性細胞集塊が出現. 集塊はN/C 比大の小型腫瘍細胞からなり, 核異型が強くクロマチンは顆粒状, 小型核小体が1~2 個見られた. また, 豊かで淡明な胞体を持つ大型異型細胞やオレンジG 好性の細胞が主に集塊の中心部に混在していた. 組織学的には, 粘液種様背景に偽腺腔を有する基底細胞様腫瘍細胞の充実性胞巣が浸潤性に増殖し, cm大の腫瘍を形成していた. また, 腫瘍胞巣には, 多形性の目立つ大型細胞や, 扁平上皮や脂腺への分化など多彩な像が見られた. 免疫染色では偽腺腔を取り囲む小型細胞はp63 陽性, 真の腺腔はCEA,EMA 陽性を示し, 腺様嚢胞癌と診断された. 細胞診において粘液様物質とともに小型異型細胞と胞体が豊かな大型異型細胞の混在する重積性集塊が観察されるときは, 腺様嚢胞癌を考慮する必要があると思われる. Key words:mammary gland, Adenoidcystic carcinoma, Cytology, Imprint cytology, Case report Ⅰ. はじめに 乳房温存切除術および腋窩リンパ節郭清が行われた. 乳腺腺様嚢胞癌は全乳癌中,0.1% 未満のまれな腫瘍で, 好発平均年齢は64 歳, 完全切除により多くの症例が治癒し, リンパ節転移も少ない低悪性度腫瘍である. 典型的な篩状構造がなく, 扁平上皮への分化など多彩な像を示した乳腺腺様嚢胞癌の一例を報告する. Ⅱ. 症例 80 歳代, 女性. 右乳腺腫瘤を自覚し, 他院で施行された穿刺吸引細胞診でclass5( 癌肉腫疑い ) が指摘され, 手術目的で当院に入院した. マンモグラフィーではカテゴリー 5, 造影 CTでは右乳房 C 領域に軽度増強される9mm 大の腫瘤を認めた. 乳癌の臨床診断で, Nami NISHIMOTO,C.T.,I.A.C 1), Ritsuko WATANABE,C.T.,I.A.C 1), Mika MONOBE,C.T.,I.A.C 1), Hiroshi TOYODA,M.D. 1), Masako OHMORI,M.D. 2) Okayama Kyoritsu Genaral Hospital 1) Department of Pathology,Okayama University Hospital 2) 論文別冊請求先 : 岡山市中区赤坂本町 8-10 総合病院岡山協立病院病理部西本菜美 Ⅲ. 細胞診所見当院手術時に得られた捺印細胞診では比較的きれいな背景にオレンジGとライトグリーンに染まる無構造で分厚い粘液様物質とともに, 腺腔を有する重積性細胞集塊が出現していた. 集塊はN/C 比大の小型腫瘍細胞からなり, 核異型が強くクロマチンは顆粒状で, 小型核小体が1~2 個見られた. また, 豊かで淡明な胞体を持つ大型異型細胞やオレンジG 好性の細胞が主に集塊の中心部に混在している個所も見られた ( 写真 1 -a). 他にも, 木目込み様や, 箱型集塊状に見える個所もあり, 多彩な細胞像を示していた. ディフクイック染色では, ひとつの細胞集塊に小型で均一な異型細胞と胞体の広い大型異型細胞の混在が見られた.( 写真 1-b). Ⅳ. 病理所見肉眼的には, 腫瘤は充実性で光沢のある割面を示した. 組織学的には, 粘液腫様背景に大小の腫瘍胞巣が

23 VOL 写真 1 捺印細胞診 a: パパニコロウ染色 ( 20) N/C 比が高い小型異型細胞の集塊の中心部に豊かで淡明な胞体を持つ大型異型細胞が見られる. b: ディフクイック染色 ( 20) ひとつの細胞集塊に比較的均一な小型異型細胞と胞体の広い大型異型細胞が混在してみられる. 写真 2 HE 染色 a: 充実性胞巣,b: 偽腺腔の形成,c: 扁平上皮分化,d: 脂腺分化 浸潤性に増殖していた. 基底細胞様の腫瘍細胞の充実性胞巣が多数形成され, 偽腺腔を伴っていた ( 写真 2 -a,b). また, 腫瘍胞巣には, 多形性の目立つ大型細胞も混在しており, 扁平上皮や脂腺への分化 ( 写真 2 -c,d) や, 管腔形成を伴う胞巣も観察された. 免疫染色では,CEA,EMAは, 真の腺腔内の分泌物, 角化物に陽性.P63は胞巣周囲や偽腺腔周囲の小型細胞に陽性,Collagen type Ⅳは偽腺腔に陽性であった. 以上の所見より腺様嚢胞癌と診断された.ER,PgR, HER2はいずれも陰性であった. Ⅴ. 考察腺様嚢胞癌の組織学的特徴は, 腺上皮細胞と筋上皮細胞の性格を有する二種類の腫瘍細胞が出現することにある 1). 細胞診では真の腺腔と粘液球など間質成分を含む偽腺腔からなる篩状構造が特徴的所見で, 扁平上皮などへの分化 2) や多彩な細胞像 3) を示す報告例もある. 自験症例では, 典型的な細胞像である篩状構造は観察されなかったが,N/C 比が高い小型異型細胞と胞体が豊かな大型異型細胞の二種類の細胞からなる重積性集塊が見られた.

24 28 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 当院の捺印細胞診標本にみられた小型異型細胞は筋上皮由来, 胞体の広い大型異型細胞は腺上皮由来の細胞であり, さらに扁平上皮や脂腺への分化を示していると考えられる. 鑑別診断としては, 乳頭腺管癌, 粘液癌および低悪性度腺扁平上皮癌, 扁平上皮癌, 基質産生癌などを含む化生癌が挙げられるが, 粘液様物質とともに小型異型細胞と胞体が豊かな大型異型細胞の混在する重積性集塊が観察されるときは, 腺様嚢胞癌を考慮する必要があると思われる. 参考文献 1) 黒住昌史, 森谷卓也, 腫瘍病理鑑別アトラス乳癌. 文光堂 : ) 中村佳世子, 平野耕一, 向野晶, 橋本和明, 北野正文, 高橋玲 ほか. 扁平上皮化生を伴う乳腺原発腺様嚢胞癌の一例. 日本臨床細胞学会雑誌 2007;46(2): ) 今井みどり, 濱田香菜, 那須篤子, 井上博文, 松岡博美, 藤田勝 ほか. 乳腺腺様嚢胞癌の一例 ~ 細胞像の多彩性について~. 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 2011; 30:34-35

25 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 29 症 例 膵 Solid-pseudopapillary neoplasm(clear cell variant) の一例 濵田香菜, 那須篤子, 井上博文, 今井みどり松岡博美, 藤田勝, 市村浩一, 柳井広之 岡山大学病院病理部 背景超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診 ( 以下 EUS-FNA) において, 膵 solid-pseudopapillary neoplasm( 以下 SPN) のclear cell variantを経験したので報告する. 症例 40 歳代, 男性. 造影 CTにて膵尾部に約 17mm 大の腫瘤を指摘.EUS-FNAが施行され, 比較的均一な, 小型類円形の偏在核を有する形質細胞様の腫瘍細胞が, 単在性あるいは小集塊で多数認められた. 多くの腫瘍細胞の細胞質に細胞質内空胞が見られ, 集塊内部や腫瘍細胞近傍にライトグリーン好染性の球状無構造物が観察された. 集塊の結合性は緩く, 一部でロゼット様配列を示し, 細い血管結合織を軸とする集塊も見られた. 以上の所見より細胞診では膵神経内分泌腫瘍が疑われた. 組織学的検索においても, 生検材料, 手術材料ともに膵神経内分泌腫瘍との診断を得たが, その後の再検討により,SPN(clear cell variant) と診断された. 結論 SPNは男性に発生する頻度は低く, 組織学的にも膵神経内分泌腫瘍と鑑別困難な場合があり, 細胞診判定に苦慮した. 本亜型の特徴所見である細胞質内空胞を認識することが組織型推定への手がかりとなる. Key Words:Pancreatic solid-pseudopapillary neoplasm, clear cell variant, EUS-FNA, cytology, case report Ⅰ. はじめに 膵 solid-pseudopapillary neoplasm(spn) は, 膵非内分泌腫瘍の約 1~2% と, 比較的まれな腫瘍であるが, 画像診断の進歩により発見率が上がり, それに伴って細胞像についての報告例も増えている. 若年女性に発生する傾向のある本腫瘍は, 低悪性度腫瘍と考えられているが, 再発や転移を認める例もあり, 組織型の同定は重要である.SPNには, 空胞を有する淡明な細胞質を特徴としたclear cell variantと呼ばれる亜型が報告されており 1)~3), 形態学的には膵内分泌腫瘍 (Pancreatic neuroendocrine tumor:pnet) との鑑別が問題となる. Kana HAMADA,C.T.,I.A.C, Atsuko NASU,C.T.,I.A.C, Hirofumi INOUE,C.T.,I.A.C, Midori IMAI,C.T.,I.A.C, Hiromi MATSUOKA,C. T.,I.A.C, Masaru FUJITA,C.T.,I.A.C, Koichi ICHIMURA,M.D., Hiroyuki YANAI,M.D. Department of Pathology,Okayama University Hospital 論文別刷請求先 : 岡山県岡山市北区鹿田町 岡山大学病院病理部濵田香菜 今回我々は, 中年男性に発生したclear cell variant のSPNを経験したので, そのEUS-FNAの細胞像を中心に報告する. Ⅱ. 症例患者 :40 歳代, 男性既往歴 : 腎炎, 尿路結石現病歴 : 健康診断において指摘された脂肪肝, 便潜血の精査目的で当院紹介となった. 入院後経過 : 入院時生化学検査では,CEA 0.41 ng/ml,ca U/mlと腫瘍マーカーは正常範囲内であった. 画像検査において膵尾部に結節を認め, EUS-FNAが施行された. 生検の結果膵内分泌腫瘍と診断され, 膵体尾部切除術が施行された. 以後, 再発はない. 画像所見 :15~17mm 大の境界明瞭な腫瘤を認めた ( 写真 1). 明らかな周囲への浸潤は認められなかった. 造影 CT 造影 MRIでは早期相の造影効果は乏しく, 徐々に造影される漸増性パターンであった. 決め手と

26 30 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌なる所見がなく, 鑑別として, 膵管癌, 腫瘤形成性膵炎, 腺房細胞癌, 内分泌腫瘍の変性を伴うもの等が挙げられた. Ⅲ. 細胞所見 写真 1 造影 MRI 画像比較的境界明瞭な 1.5 1cm 大の腫瘤を膵体尾部に認める EUS-FNAの細胞像およびセルブロック標本の組織像を写真 2に示す. 比較的均一な, 小型類円形の偏在核を有する形質細胞様の腫瘍細胞が, 単在性あるいは小集塊状に多数認められた. 核クロマチンは細顆粒状で小型核小体が数個認められた. パパニコロウ染色標本では, 多くの腫瘍細胞の細胞質に1 個ないし数個の大小の空胞を認めたが, 乾燥固定後のヘマカラー染色標本では不明瞭であった. 集塊の結合性は比較的緩く, 一部ではロゼット様配列を示し, 細い血管結合織を軸 写真 2 EUS-FNAの細胞像 (a) 形質細胞様の孤在性腫瘍細胞と球状無構造物 ( 矢印 ) (b) 空砲を有する孤在性腫瘍細胞 ( ヘマカラー染色 100) (c) ロゼット様集塊 ( パパニコロウ染色 100)(d, e) 血管を軸とした偽乳頭状集塊 ( パパニコロウ染色 40) (f ~ h) 球状無構造物 (f, g; パパニコロウ染色 100,h. ヘマカラー染色 100) (i) セルブロック標本 HE 染色 ( 20)

27 VOL 表 1 セルブロックおよび手術材料の免疫染色結果 写真 3 手術材料の組織像 (a) 間質により島状に区切られた腫瘍細胞.(HE 染色 40) (b,c) 好酸性球状物 (b.he 染色 100,c.PAS 染色 100) (d,e,f) 免疫染色 (d.β-catenin 20,e.CD10 20, f.mitochondria 100) とする集塊も見られ, 少数ながら偽乳頭状を示す集塊も認められた. 背景には, 泡沫細胞や間質成分が散見された. また, 集塊内部や腫瘍細胞の近傍にはライトグリーン好染性の球状無構造物が観察され, ヘマカラー染色ではメタクロマジーを呈した. LBC 検体よりセルブロックを作製し,HE 染色および免疫染色を行った.HE 染色では細胞質に空胞を有する形質細胞様の孤在性腫瘍細胞を認めた. 免疫染色は表 1の通りであった. 比較的均一な出現パターンやロゼット様小集塊, ライトグリーン好染性の球状無構造物をアミロイドと判断し, 細胞診判定はendocrine tumor 疑いとした. Ⅳ. 組織所見 胞体淡明な腫瘍細胞が充実性に増生し, 狭い間質に区切られた島状構造を形成していた. 被膜を欠き, 腫瘍が周囲膵実質の中に指を伸ばすように進展していた ( 写真 3-a). 嚢胞形成は認めず, 胞巣内に泡沫状組織球の集簇やPAS 染色陽性を示すhyaline globulesが散見された ( 写真 3-b,c). 免疫染色はセルブロックの結果に加えCD10,vimentin, α1-antitrypsinが陽性であった ( 表 1). また, 抗 mitochondria 抗体は細胞質に顆粒状に陽性反応を認めた ( 写真 2-d). Ⅴ. 考察 Clear cell variantのspnは,albores-saavedraらにより2006 年に報告されたSPNの亜型であり,SPNに特徴的とされる偽乳頭状構造を欠き, 細胞質内に空胞を セルブロック 手術材料 Synaptophysin Chromogranin A ±*1 ± CD ER PgR + + CD99 ±*1 CD β-catenin +*2 + vimentin ND + α1-antitrypsin ND + mitochondria ND + *1: 非特異的な陽性反応 ( 顆粒状の陽性所見なし ) *2: 核 細胞質陽性 ND : Not done 有する淡明な腫瘍細胞の充実性増殖が90% 以上に見られるもの, と定義される 1). 特徴所見である細胞質内空胞には, グリコーゲンやムチン, 脂質などを認めず, その発生機序は必ずしも明らかではないが,Albores-Saavedraらは超微形態学的検索から膨化 変性したミトコンドリアや滑面小胞体と考察している. 本症例における抗 mitochondria 抗体での免疫組織学的検索では, 腫瘍細胞内に陽性所見をみたものの空胞以外の狭い細胞質領域に顆粒状の陽性像がみられたのみであり, ミトコンドリアの膨化による空胞形成は否定的と思われた. 組織学的に, 毛細血管近傍の腫瘍細胞では細胞質が好酸性を呈し, そこから離れた腫瘍細胞には細胞質の空胞化がみられるとの報告がある. このような現象は虚血によって生じたと解釈され, ミトコンドリアの関与のもとに起こるオートファジーが空胞化発生の機序の基礎となる可能性を示唆している 3). 本症例においては, 膵組織と腫瘍領域との境界部に, 好酸性の細胞質を有する腫瘍細胞が部分的に観察された. 本症例は, 細胞診判定および組織診断において PNETとの鑑別に難渋した. 過去の報告例においても, clear cell variantのspn, あるいは細胞質の空胞化が目立つSPNはPNETとの鑑別が困難であったとの記載がある 1)~3).SPNの大部分は良性の経過をとり, ときに再発 転移を起こすものの死亡例はほとんど見られないのに対し,PNET( とくに非機能性 ) 症例の生存率は低く 3), 明らかな悪性度の差が認められることから, これらの組織型を正しく同定する意義は大きい. SPNとPNETはともに血管豊富な腫瘍であり, その細胞像は小型類円形の腫瘍細胞が一様に出現する点で類似している. とくに嚢胞形成を伴わない充実性腫瘍

28 32 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 として出現するSPNの細胞像は鑑別困難である場合が多い 5). しかしながら,SPNではクロマチンが微細 ~ 細顆粒状で核の大小不同は少ないが,PNETではいわゆる salt and pepper pattern のやや粗いクロマチン像を呈し, 核の大小不同が目立つ傾向にある. また, SPNでは背景に泡沫細胞やmyxoidな間質成分, hyaline globulesの出現をみることが診断の重要な手がかりとなる 6). 本症例においてもhyaline globulesの出現がみられた. Clear cell variantのspnに最も特徴的な所見である細胞質の空胞化 泡沫化は,PNETにおいても見られることがある. しかし,SPNで見られる空胞は大型のものが1 個ないし数個であることが特徴であり, May-Giemsa 染色で観察され, パパニコロウ染色では見られないと言われている 2). 本症例においてはパパニコロウ染色標本で多く観察され, ヘマカラー染色標本では不明瞭と, 文献上の所見とは逆の結果が見られ, 症例によって空胞の見え方には差があるものと考えた. 空胞の大きさについて, 自験症例と細胞質に空胞を認めたPNETとを比較検討した結果, 本症例とPNET とも, 大小の空胞が認められたものの, 本症例ではより大型の空胞を有する傾向があり, また, 空胞を有する腫瘍細胞の数が圧倒的に多かった. すなわち, PNETとの鑑別においては, 空胞の性状 出現頻度が本亜型を同定しうる重要な手がかりとなる可能性が示唆された. SPNとPNETの鑑別には, 典型的なSPNと同様に免疫組織化学的検索が重要であり,β-catenin( 核および細胞質 ),CD10 の所見が鑑別に有用である. しかしながら, 本症例では chromogranin Aにおいて非特異的な陽性反応を認め, 判定を誤る結果となった. 通常型のSPNとclear cell variantのspnの肉眼的な所見は類似するといわれている 1). 典型的なSPNはしばしば女性に発生し, 嚢胞形成を伴う病変を呈することが多いが, 本症例では嚢胞形成を伴わず, また, 男性に発生した症例でもあり, これらが鑑別に苦慮した要因の一つとなった. 本邦における男性のSPNのうち嚢胞形成を伴わない症例の割合は, 女性症例の約 7 倍と言われており 7), 男性に発生した膵腫瘍症例において嚢胞を伴わない充実性腫瘍の場合には,SPNも鑑別の一つとして念頭におく必要がある. Ⅵ. 結語 EUS-FNAにおいてclear cell variantのspnを経験したので報告した. 本症例は発生頻度の低い男性症例であり, 細胞診判定のみならず組織学的にも膵神経内分泌腫瘍との鑑別に苦慮した. しかし, 従来のSPNの細胞所見 ( 特に背景所見 ) や免疫組織化学的所見に加え, 本亜型の特徴所見である大型の細胞質内空胞を認識することで, 診断は可能であると考えられた. 筆者らは, 開示すべき利益相反状態はありません. 本論文の要旨は, 第 52 回日本臨床細胞学会秋期大会 (2013 年 11 月 3 日, 大阪 ) において発表した. 文献 1)Albores-Saavedra J, Simpson KW, Bilello SJ. The clear cell variantof solid pseudopapillary tumor of the pancreas: A previously unrecognized pancreatic neoplasm. Am J Surg Pathol 2006 ; 30 : )Jhala N, Siegal GP, Jhala D. Large, clear cytoplasmic vacuolation:an under-recognized cytologic clue to distinguish solid pseudopapillary neoplasms of the pancreas from pancreatic endocrine neoplasms on fineneedle aspiration. Cancer 2008 ; 114 : )Zhao P, debrito P, Ozdemirli M,K. Sidawy M. Solid- Pseudopapillary Neoplasm of the Pancreas:Awareness of Unusual Clinical Presentations and Morphology of the Clear Cell Variant Can Prevent Diagnostic Errors. Diagn. Cytopathol ; 41(10): )Hochwald S N, Zee S, Conlon K C et al. Prognostic factors in pancreatic endocrine neoplasms: an analysis of 136 cases with a proposal for low-grade and intermediategrade groups. J Clin Oncol.2002 ; 20 : ) 濱中貴久子, 手塚文明, 高橋真紀, 畠山カヨ, 齋藤邦倫, 鈴木博義 ほか. 膵 solid pseudopapillary tumor without cyst formation の細胞像と免疫組織化学的検討. 日本臨床細胞学会雑誌.2009 ; 48(3): 97~102. 6)Meriden Z, Shi C, Edil BH, Ellison T, Wolfgang CL, Cornish TC, et al. Hyaline globules in neuroendocrine and solid-pseudopapillary neoplasms of the pancreas: a clue to the diagnosis. Am J Surg Pathol July ; 35(7): ) 吉岡正智, 江上格, 前田昭太郎, 片山博徳, 松田健, 内田英二 ほか. 膵 Solid-Pseudopapillary Tumorの臨床病理学的特徴と外科的治療本邦報告 302 例と自験 6 例について. 胆と膵.2001 ; 22(1): 45~52.

29 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 33 症 例 左腋下の副乳に生じた葉状腫瘍の一例 日野寛子 1), 畠榮 1), 成富真理 1), 高須賀博久 1), 物部泰昌 1), 2) 森谷卓也 川崎医科大学附属川崎病院病理部 1), 川崎医科大学病理学 2 2) 背景線維腺腫との鑑別が困難であった, 左腋窩の副乳から発生した葉状腫瘍を経験したので, その細胞像を中心に報告する. 症例 40 歳代, 女性. 左腋窩にしこりを触知し他院を受診. 穿刺吸引細胞診により乳癌のリンパ節転移が疑われ, 精査と加療目的で当院を紹介された.MRIでは左腋窩に約 10mm 大の腫瘤を認めたが同側の乳房内に病変が認められなかったため, 腋窩の腫瘤摘出術が行われた. 捺印細胞診では, 軽度の大小不同を示す楕円形 ~ 短紡錘型の裸核状細胞を背景に, 結合性の強い中 ~ 大型の平面的な上皮細胞集塊を数個認めた. それらの一部は, 長径が約 1mm 大の波打った形態を示す大型細胞集塊がみられた. 集塊を構成する細胞の核はほぼ均一で, 異型性は認めなかった. 線維間質細胞は採取されていなかったため線維腺腫との鑑別は困難であった. 病理組織学的には腋窩副乳発生の葉状腫瘍 ( 境界悪性 ) と診断した. 結論副乳に発生する葉状腫瘍は非常に稀である. 間質細胞所見の乏しい場合, 葉状腫瘍と線維腺腫を明確に鑑別することは困難であるが, 大型平面的乳管上皮集塊を認めた場合には葉状腫瘍を念頭におき精査することが大切であると考えられた. Key words:axillary accessory mammary gland, Phyllodes tumor, Fibroadenoma, Imprint cytology,case report Ⅰ. はじめに 葉状腫瘍は全乳腺腫瘍の約 0.5% で稀な腫瘍であるが, 副乳発生例はさらに稀有である. 今回, 左腋窩の副乳に発生した葉状腫瘍を経験したのでその細胞像を中心に報告する. Ⅱ. 症例 患者 :40 歳代, 女性主訴 : 左腋窩のしこり臨床経過 : 約 3か月まえから左腋窩にしこりを触知 Hiroko HINO,C.T.,I.A.C 1), Sakae HATA,C.T.,I.A.C,CFIAC 1),Mari NARITOM,C.T.,I.A.C 1), Hirohisa TAKASUGA,C.T.,I.A.C 1),Yasumasa MONOBE,M.D. 1), Takuya MORIYA,M.D. 2) Kawasaki Hospital, Kawasaki Medical School 1) Department of Pathology 2, Kawasaki Medical School 2) 論文別冊請求先 : 岡山市北区中山下 川崎医科大学附属川崎病院病理部日野寛子 し, 近医を受診した. 穿刺吸引細胞診ではclassⅤと診断され, 乳癌のリンパ節転移が疑われ, 精査と加療目的で当院外科を紹介受診した.MRI 検査では左腋窩に約 10mm 大の腫瘤を認めたが, 腋窩部以外の病変は見つからず, 腫瘤の摘出術が施行された. Ⅲ. 細胞所見術中迅速検査に提出された組織の捺印細胞診では, 背景は清明で軽度の大小不同のある楕円形 ~ 短紡錘型の裸核状細胞を認めた ( 写真 1a). その中に結合性の強い中 ~ 大型の平面的な上皮細胞からなる集塊を数個認めた. それらの一部には, 長径が約 1mm 大の, カーテンが風に揺れるような, 波打った形態を示す集塊が認められた ( 写真 1b). 個々の細胞の核はほぼ均一で, 類円形を呈し異型性は認めなかった. また一部には筋上皮細胞を伴う集塊もみられた.

30 34 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 写真 1 捺印細胞像 a. 楕円形の裸核状細胞がみられた. b. 長径約 1mm 弱のカーテンが風に揺れるような波打った形態の大型平面的乳管上皮集塊がみられた.(Pap. 染色 a: 60,b: 10) 写真 2 病理組織像 a. 線維性間質細胞は乳管上皮細胞を凌駕して増殖していた. b. 乳管上皮は管状, 分岐状に増殖していた. c. 乳管上皮細胞の過形成がみられた. d. 間質細胞の核異型性は軽度であった.(HE 染色 a: 4,b: 4,c: 40,d: 60) Ⅳ. 病理組織所見左腋窩部より cm 大の組織が摘出された. その皮下に乳白色の結節を認め, その内部に10 9mm 大の境界明瞭な白色結節を認めた. 組織学的には膠原繊維とともに乳腺組織が存在した. 白色結節の内部は線維性間質と乳管上皮細胞からなり線維性間質 成分は乳管上皮成分を凌駕していた ( 写真 2a). 乳管上皮は管状, 分岐状に増殖し ( 写真 2b) ときに乳管上皮の過形成が認められたが二相性は保たれていた ( 写真 2c). 間質細胞の核異型性は軽度で ( 写真 2d) 核分裂像は認めなかった. なお一部で間質成分の脂肪織内への浸潤が認められた. 以上より腋窩副乳発生の葉状腫瘍 ( 境界悪性 ) と診断された.

31 VOL 表 1 腋下に発生する各種疾患の細胞像の比較 ( 乳腺発生を含む ) 副乳 線維腺腫 葉状腫瘍 乳 癌 本症例 背景 清明 清明 清 明 壊 死 清 明 泡沫細胞 双極裸核 - + 少 数 - 少 数 間質粘液 - + 少 数 - - 大型集塊 ~+ + 雄鹿の角状 紙を二つ折 乳頭状 カーテンが風に 波のような形態 揺れるような形態 間質細胞 ~+ 少 数 紡錘形細胞 裸核状細胞 核分裂像 - - -~+ -~+ - Ⅴ. 考察乳癌取扱い規約 1) では, 本来の乳房以外の胸壁, 腋窩などに腫瘤を作り, 乳頭, 乳輪の有無に関係なく組織学的に乳腺組織と類似するものを副乳と定義している. Dasらの報告 2) では,418 例の腋窩腫瘤に対して穿刺吸引細胞診を施行したところ, 副乳は69 例で, そのうち臨床的に副乳と診断できたものは16 例であった. またDeyとKarmakarの報告 3) では1455 例の腋窩腫瘤中, 副乳は25 例で, 臨床的に副乳と診断できたものは 5 例のみであった. 腋窩副乳を臨床的に診断することの難しさと, 形態学的診断の重要性が伺われる. 腋窩副乳発生の葉状腫瘍の報告例は我々が調べた限り本邦で6 例であった.6 例中 4 例に穿刺吸引細胞診が行われており, 線維腺腫などを疑うものが3 例で, 鑑別困難で非浸潤性乳管癌も否定できないものが1 例であった. 本報告例では, 背景の裸核状細胞の異型性がごく軽度であったことや大型平面的な乳管上皮集塊を認めたことから, 線維腺腫と葉状腫瘍が鑑別に挙がったが, 両者を明確に判定することは困難であった. その理由としては, 標本の作製方法が捺印標本であったため, 長径が約 1mm 弱の大型でカーテンが風に揺れるような波打った形態の集塊を認めたものの, 葉状腫瘍でみられる異型を示す, 密度の高い線維間質細胞が採取されていないためと考えられた. 両腫瘍で大型 の平面的な乳管上皮集塊は認められるが,Shimizuら 4) は, 線維腺腫では管状や雄鹿の角状を呈することが多く, 一方葉状腫瘍では紙を二つ折りにしたような形態や波打ったような形態を呈し, 長径が以上の大型集塊も観察され, 両者を鑑別する一助となると報告している 4) ( 表 1). 腋窩部の副乳に葉状腫瘍が発症することはきわめて稀である. 今回報告した症例のように間質細胞所見の乏しい場合, 葉状腫瘍と線維腺腫を明確に鑑別することは困難であるが, 大型平面的乳管上皮集塊を認めた場合には葉状腫瘍を念頭におき精査することが大切であると考えられた. 文献 1) 日本乳癌学会編. 臨床 病理乳癌取扱い規約. 第 17 版. 東京 : 金原出版,2012; )Das,D.K. et al.:fine needle aspiration cytologic diagnosis of axillary accessory breast tissue,including its physiologic changes and pathologic lesions. ActaCytol,1994;38: )Dey P,Karmakar T:Fine needle aspiration cytology of accessory axillary breasts and their lesions.actacytol, 1994;38: )Shimizu K,Korematsu M:Phyllodes Tumor of the Breast,A Cytomorphologic Approach Based on Evaluation of Epithelial Cluster Architecture.Acta Cytol,2002;46:

32 36 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 抄 録 十二指腸乳頭部に発生した gangliocytic paraganglioma の 細胞像と組織像の検討 伏見聡一郎 1), 井上博文 2), 小田晋輔 1), 河原明奈 1), 板倉淳哉 1), 平麻美 2), 伊藤利洋 1), 松川昭博 1), 加藤博也 3), 市村浩一 2) 2), 柳井広之 岡山大学病理学 ( 免疫 第一 ) 1), 岡山大学病院病理部 2) 3), 同消化器内科 Ⅰ. はじめに Gangliocytic paraganglioma(gp) は, 十二指腸乳頭部およびその近傍に好発する稀な腫瘍で, 上部消化管内視鏡で粘膜下腫瘍として認られる. 組織学的には 3 種類の細胞から構成されるが, 生検による確定診断は困難なことが多い.EUS-FNAはその確定診断に有効な方法として期待されるが, その報告は少ない. Ⅱ. 症例 60 代, 男性. 上部消化管内視鏡で十二指腸乳頭部に近接して, 柔らかく可動性のある隆起性粘膜下腫瘍を指摘され生検されたが, 十二指腸粘膜のみしか得られなかった. EUS-FNA 検体では, 顆粒状クロマチンを有する短紡錘形 ~ 類円形核細胞を認め, 一部に核小体の目立つ大型細胞も認めた. 紡錘形細胞も少数認めた. セルブロック免疫染色で, 類円形細胞はシナプトフィジン陽性であった. 切除検体では十二指腸乳頭部に接して, 振り子状に隆起した粘膜下腫瘍が認められた. 組織学的に腫瘍は, パラガングリオン様配列をとる上皮様細胞, 神経節様細胞, 束状の間質の紡錘形細胞 ( 支持細胞 ) の3 成分 から構成されていたが, 先端部では上皮様細胞の割合が高かった. 最終的にはGPと病理診断された. Ⅲ. 考按本症例はEUS-FNA 検体で,GPとして合致する所見が得られたものの, 上皮様細胞の割合が高く, 神経内分泌腫瘍 ( カルチノイド ) との鑑別は容易ではなかった. 術前に確診する必要性は高くはないが, 本疾患の術前診断にEUS-FNAは有効な手段であると考えられた. Soichiro FUSHIMI,M.D. 1), Hirofumi INOUE, C.T.,I.A.C 2), Shinsuke ODA,M.D. 1), Akina KAWAHARA,M.D. 1), Junya ITAKURA,M.D. 1), Asami TAIRA,M.D. 2),Toshihiro ITOH,M.D. 1), Akihiro MATSUKAWA, M.D. 1), Hiroya KATOH,M.D. 3), Koichi ICHIMURA, M.D. 2), Hiroyuki YANAI, M.D. 2) Department of Pathology & Experimental Medicine Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences Okayama University 論文別刷請求先 : 岡山県岡山市北区鹿田町 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科病理学 ( 免疫病理 / 第一病理 ) 伏見聡一郎

33 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 37 総 説 Endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration: 基礎から実践へ - 病理の立場から - 細田和貴 愛知県がんセンター中央病院遺伝子病理診断部 Ⅰ. はじめに Ⅲ. 診断報告の様式 超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診 Endoscopic ultrasoundguided fine-needle aspiration( 以下 EUS-FNA) は, 機器と生検針の進歩に支えられ穿刺技術が向上し徐々に全国に普及している. 膵臓病変はEUS-FNAの良い適応であり, また膵腫瘍の多くが切除不能の膵管癌であることから,EUS-FNAによる穿刺材料が確定診断かつ最終診断となることが多い. 愛知県がんセンター中央病院では1997 年よりEUS-FNAを施行し,2008 年で1,200 件を越えるに至っている. 現在では膵腫瘍に対する診断感度は89%, 特異度は100% と良好な成績を示すに至っている. 重大な合併症は殆どなく (0.56%, 9/1594), 検査中は麻酔を使用することから, 患者さんにとって安全かつ負担の少ない検査となっている. マンパワーや設備に応じて各施設で種々の工夫がなされているが, 当院における経験を紹介したい. Ⅱ. 穿刺検体の扱いとオンサイト診断 当院では以下の3 種類の形式で診断結果の報告を行っている. 1) 細胞診報告書 :papanicolaou 染色とDiff-Quik 標本により診断する. 2) 組織診報告書 : セルブロックによるH&E 染色と, 必要に応じて免疫染色を行い診断する. 組織診の形で報告しているが, 採取される細胞は吸引圧により細片状となっていることが多いため, あくまで細胞診の延長線上であり針生検とは同一でないことを診断書の末尾に付記している. 3) 遺伝子検査報告書 :KRAS 遺伝子 codon 12, 13, 61の点変異の有無を報告している. 細胞よりRNAを抽出し,RT-PCR 法でcDNAを増幅した後, 直接塩基決定法で解析している. また必要に応じてセルブロック標本から癌組織のDNAを抽出し, 高感度 PCR 法であるCycleavePCR 法 ( タカラバイオ ) で変異を検出している. ペトリ皿に置かれた穿刺検体より, 白色糸状の部分をピンセットで採取し, 引き伸ばし法でプレパラートに広げる.Diff-Quik 染色による迅速染色を施行し, オンサイト細胞診断を行う. 採取の確認の後,Papanicolaou 染色用の標本を採取し, 残りをセルブロック ( ホルマリン固定 ) と遺伝子検査用検体 (RNA 抽出液 ) の2 つに分ける 1. Waki HOSODA, M.D. Aichi cancer center hospital 論文別刷請求先 : 愛知県名古屋市千種区鹿子殿 1-1 愛知県がんセンター中央病院遺伝子病理診断部細田和貴 Phone: whosoda@aichi-cc.jp Ⅳ. 膵腫瘍の診断膵腫瘍のうち以下の4つの腫瘍型が主要な穿刺対象となる. これらに対し細胞診の要点と, さらに補助となる免疫染色や遺伝子検査について簡潔に述べたい. 1) 膵管癌細胞重積が強くクロマチン増量が明らかな症例な場合癌の診断は容易である. シート状に出現する異型細胞が主体の症例も少なくないが, その様な場合にも集塊の辺縁には細胞のほつれがみられ, 孤立散在性の異型細胞も複数確認される. シート状集塊が殆どでクロマチンがやや繊細, 配列の不整が目立たない場合には, 非腫瘍性の消化管上皮との鑑別に苦慮することがある ( 特にオンサイト診断で ). 一方, 核異型が高度な細胞を見る場合, 癌の診断は容易であるが, 退形成癌が含まれることがある. 腺扁平上皮癌では充実性集塊が主

34 38 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 図 1 高分化型の膵管癌の一例.(A)Diff-Quik 染色. シート状の異型細胞集塊で, クロマチン増量がみられるが, 核形の不整は軽度.(B) セルブロック (H&E 染色 ). クロマチン増量など核異型が認められるが, 細胞の極性は概ね保持され分化が良い. この症例は KRAS 遺伝子 codon12 変異が検出された. 分化の良い腺癌では良悪の判定に苦慮することがあるが,KRAS 遺伝子が有用となることがある. 図 2 腺房細胞癌と内分泌腫瘍における BCL10 染色.(A) 腺房細胞癌のセルブロック (H&E 染色 ), および BCL10 免疫染色 (B),(C) は高分化型内分泌癌のセルブロック (H&E 染色 ), およびその BCL10 免疫染色 (D). 体でPapanicolaou 染色におけるOrange G 好性細胞の他,Giemsa 染色 /Diff-Quik 染色における透明感のある青色 (robin s egg blue) の胞体が特徴的である. 膵管癌の補助診断としてKRAS 遺伝子検査が有用である. 膵管癌では高頻度にKRAS 遺伝子変異が認められ, 当院では膵管癌の90% 以上で変異陽性である 2. 特に細胞量が少ない症例や, 分化の良い膵管癌の症例では補助的診断としての有用性が高い ( 図 1). 転移性腫瘍が鑑別に挙がる際にはKRAS 遺伝子変異のパターン解析が診断的となることがある. 2) 膵内分泌腫瘍腫瘍細胞は均一で, 粗造なクロマチン, 円形核, 核偏在など内分泌細胞の形態を示すが, それ以外に集塊の中心に一筋の細血管が認められる, 比較的結合が弱く孤立散在性に出現する細胞が多い, などの特徴がある. セルブロックでは, ホルマリン固定が良いためか核クロマチンは均一かつ濃染し, いわゆるクロマチンのごま塩状の所見を呈さないことが多い. 鑑別診断は高分化型腫瘍ではsolid-pseudopapillary neoplasm(spn), 低分化型腫瘍では膵管癌や腺房細胞癌が挙げられ, セルブロックを用いた免疫染色の検討が必要である. 神経内分泌マーカー synaptophysin, chromogranin Aが陽性であるが, 高分化型腫瘍ではび漫性に強陽性となる

35 VOL 図 3 Solid-pseudopapillary neoplasm か膵内分泌腫瘍かの鑑別に苦慮した一例.(A) セルブロック (H&E 染色 ).(B)beta-catenin 免疫染色では核陽性を示す腫瘍細胞は一部であり, 膜陽性の腫瘍細胞が多く混在していた.(C) 細胞外ドメインを認識する E-cadherin (clone 36B5) 染色では膜陽性所見の消失が,(D) 細胞内ドメインを認識する E-cadherin (clone 36) 染色では膜陽性所見の消失と核陽性所見が得られ,SPN を支持する結果であった. 点が重要と考えている. その他, 膵管上皮マーカーの CK7やCDX2は内分泌癌 ( 転移陽性 ) の30~50% で陽性となる.KRAS 遺伝子変異は低分化型内分泌癌で陽性となる傾向がある 3. いずれも補助的な所見として利用できる. Ki-67 標識率が2010WHO 分類で採用され, その標識率により3 段階のグレードに分類されるようになった. グレード分類は手術材料での評価が基本であるが,EUS- FNA 材料による Ki-67 標識率の算定について我々は検討を行っている. 自動計測ソフト (Aperio ImageScope ) を用い切除された膵内分泌腫瘍のKi-67の腫瘍内分布を詳細に検討したところ,G2 では全例 (16/16) で2% をまたがるばらつきを示した.EUS-FNA 材料で検討したところ, グレード間で予後に有意な差が得られた 4. 細胞数の少ない検体 (500 細胞以下 ) では手術材料との間に不一致例がみられ, 検体量の少ない標本では計測を行わないという判断も必要と考える. 膵内分泌腫瘍のグレード分類については腫瘍内不均一性や,20% をわずかに越えた症例をG3(=neuroendocrine carcinoma) として治療してよいか ( 小細胞癌に応じた化学治療の適応か ) など, いくつかの問題を孕んでいる. 非切除症例の場合 EUS-FNA 検体でどこまでグレード分類を行えるかについては更に検討が必要である. 3) 腺房細胞癌腫瘍細胞は全体に均一感があり, 核は類円形で核型不整は目立たない, 明瞭な核小体を有するなど, 内分泌癌様の所見を呈する. 膵内分泌腫瘍に比べると充実性胞巣が目立ち, 孤立散在性の細胞が少ない傾向にある. 稀な腫瘍であり, 低分化型腺癌や内分泌癌との鑑別が難しい. 細胞診では癌の診断にとどまり, 確定診断はセルブロックでの評価に委ねられることが多い. セルブロックでは均一感のある細胞の充実性増殖が特徴的である. 免疫染色にて神経内分泌マーカーが陰性から部分陽性, トリプシンなどの膵外分泌マーカーが陽性となる. 近年,La RosaらがMALTリンパ腫の遺伝子転座の責任因子として同定されたBcl-10の免疫染色が膵内分泌腫瘍で陽性となることを報告した 5. 我々も切除材料とEUS-FNA 検体で検討したところ, 腺房細胞, 腺房細胞癌, および腺扁平上皮癌の角化細胞に特異的に陽性を示した 6. トリプシンやアンチキモトリプシンと比べ非特異的反応が少なく, 検体量の少ないEUS-FNA 材料に適している ( 図 2).KRAS 遺伝子変異は陰性であり, 膵管癌の鑑別に有用である. 4)SOLID-PSEUDOPAPILLARY NEOPLASM 核異型軽度な腫瘍細胞が均一に増生する. 内分泌腫瘍様の細胞であるが, しばしば核溝を有する. ライトグリーン好性の間質を有しながら球状に増生する像

36 40 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 や, 血管周囲にライトグリーン好性の間質の付着がみられる. これらの所見が得られれば細胞診でSPNの推定が可能である. 免疫染色では神経内分泌マーカーが部分陽性となることがある.Beta-catenin の核陽性所見が有用であるが, 不均一な染色パターンを呈し判定に迷うことがある.SPNは2 種類のE-cadherin 免疫染色で異常染色像を呈することが報告されており 7,betacateninの判定の難しい症例では一助となる ( 図 3). Ⅴ. おわりに EUS-FNAを用いた診断には, 内視鏡医, 細胞検査士, 病理医の連携が非常に重要である. 穿刺技術の向上, 穿刺材料の適正な扱い, より確定的な診断のためには3 者のdiscussionが欠かせない. 膵管癌は依然予後不良な癌腫でありEUS-FNAが最終的な組織材料となることが多い. また近年, 局所進行, 切除不能な膵内分泌腫瘍ではエベロリムス, スニチニブ, オクトレオチドなどの分子標的薬が使用されるようになり, EUS-FNAが確定診断となる. 治療の進歩に伴い, 他癌腫で行われている様な治療効果推定に関わるバイオマーカーが明らかになれば, さらに重要なモダリティとなることが予想される. 謝辞本発表は愛知県がんセンター中央病院遺伝子病理診断部 ( 谷田部恭部長他, 細胞検査士の皆様 ), 同消化器内科 ( 山雄健次部長他 ), 同消化器外科 ( 清水泰博部長他 ) の諸先生方, 愛知県立大学看護学部の越川卓 先生の日々の努力と工夫によるものであり, 私が当院を代表して発表させて頂きました. 皆様に感謝申し上げます. 文献 1 所嘉郎. 超音波内視鏡検体の標本作成. Histo-Logic Japan ; 40 : Ogura T, Yamao K, Sawaki A, et al. Clinical impact of K-ras mutation analysis in EUS-guided FNA specimens from pancreatic masses. Gastrointest Endosc ; 75 : Hosoda W, Takagi T, Mizuno N, et al. Diagnostic approach to pancreatic tumors with the specimens of endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration. Pathol Int ; 60 : T. Hasegawa KY, S. Hijioka, V. Bhatia, N. Mizuno, K. Hara, H. Imaoka et al. Evaluation of Ki-67 index in EUS- FNA specimens for the assessment of malignancy risk in pancreatic neuroendocrine tumors. Endoscopy, in press La Rosa S, Franzi F, Marchet S, et al. The monoclonal anti- BCL10 antibody (clone 331.1) is a sensitive and specific marker of pancreatic acinar cell carcinoma and pancreatic metaplasia. Virchows Archiv ; 454 : Hosoda W, Sasaki E, Murakami Y, Yamao K, Shimizu Y, Yatabe Y. BCL10 as a useful marker for pancreatic acinar cell carcinoma, especially using endoscopic ultrasound cytology specimens. Pathol Int ; 63 : Chetty R, Serra S. Membrane loss and aberrant nuclear localization of E-cadherin are consistent features of solid pseudopapillary tumour of the pancreas. An immunohistochemical study using two antibodies recognizing different domains of the E-cadherin molecule. Histopathology.2008 ; 52:

37 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 41 総 説 私たちの経験と工夫 ~ 岡山大学発 BIOEVALUATOR ~ 井上博文 岡山大学病院病理部 Ⅰ. はじめに 超音波内視鏡下穿刺吸引組織検査 (Endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration:eus-fna) は1992 年にVilmann 1) らによって初めてヒト膵癌への臨床例成功が報告された検査法で, 従来の開腹生検と比較すると患者侵襲が低いこと, また平成 22 年 4 月より診療報酬改訂で保険適用となったこともあり国内では急速に普及している. これまで多くの施設でEUS- FNA 細胞診において診断精度の向上した報告がある. 岡山大学病院では2006 年 8 月より細胞検査士立ち合いのEUS-FNAを開始した.2009 年 8 月からは検体処理の工程においてLED 光を検体下部から照射, 改良を加えながらこの度, 検体の色調を明らかにする機器 (BIOEVALUATOR : 村角工業 ) を共同開発導入したところ, 処理に当たる細胞検査士だけでなく検査に当たる内視鏡医や介助する看護師, 見学する学生にも検体の有無やその色調別性状の判別を可能とした. 立ち会うことで見えてきたEUS-FNAの利点と今後の課題について, これまでの経緯も踏まえ報告する. Ⅱ.EUS-FNA の検体 EUS-FNAには, 先端に超音波振動子を取り付けた内視鏡カメラが使用され, 内視鏡挿入後, 消化管壁に振動子を当てて, その向こうにある病変部を描写する. 穿刺針は鉗子穴から入れ超音波造影下で病変部を穿刺する. 穿刺後, 穿刺針内部のスタイレットを抜いて注射器で吸引し, 陰圧下で10~20 回, 上下に腫瘍内部を穿刺, 陰圧解除後, 抜去する 2). 採取される検体は, 全体に同じ太さの糸状検体であり ( 写真.1 左),CT ガイド下生検組織 ( 写真.1 右 ) と比較すると, 赤色ベー Hirofumi INOUE,C.T.,I.A.C Department of Pathology,Okayama University Hospital 論文別刷請求先 : 岡山県岡山市北区鹿田町 岡山大学病院病理部井上博文 スに斑状に白色調部位が介在する特徴的な所見を呈する. CTガイド下生検や鉗子生検,Core needle biopsyなどは採取部位を穿刺針で切り取り組織構築を保って検体が採取されてくるが,eus-fnaでは腫瘍病変部を針先で掘削し, 崩れた組織片を血液とともに吸引してくるため, 病変が採取された場合は, 採取材料の中にパズルのようにバラバラに病変組織が存在することになる.( 図.1) 膵実質には基本的に明らかな有色素成分が存在しないため, 赤血球に埋もれるように観察される白色調部位 ( あるいは透明部位 ) は, 何らかの組織成分である可能性が高い. これらを選択的に採取できれば, 診断成績の向上が期待できる. 基本的な手技は, 乳腺や甲状腺などの穿刺吸引細胞診と何ら変わりのない採取法であり, 的確な穿刺と採取材料からのサンプリングが本法における細胞診の診断成績を決める. Ⅲ. 簡易染色で良好な標本を EUS-FNAでは検体採取量が比較的多い. 問題は, そのサンプルを迅速かつ正確に, 細胞診断に資する適正な標本にできるか, にある. すなわち, 検体処理の現場での塗抹方法にも一工夫が必要となる. 当院では採取現場での細胞確認に, ヘマカラー染色 (Diff Qick 染色, ギムザ染色とほぼ同様の染色性を示す ) を使用している. この染色では, 塗抹が厚くなると染色不良となり, その部位は紫色に濃染して顕微鏡観察できなくなってしまうことがある. これを防ぐために我々の考案した塗抹法が 圧挫擦り合わせ法 である.( 図.2) この塗抹法の利点は, 均一な厚さに材料を引き延ばすことで, 重積性のある集塊を構成する個々の細胞はもちろん, 集塊内部を明瞭化できることにある. たとえば通常の圧挫法では, 写真.2 右の植木鉢のように, 茂った植物を真上から観察しているイメージとなり,

38 42 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 写真 1 図.2 図.1 写真.2 写真.3( 左 : 圧挫法, 右 : 圧挫擦り合わせ法 ) 全体像をつかみにくいが, 圧挫擦り合わせ法は左の写真のように植木鉢と植物を横から観察しているイメージなので茎の伸び方など, 立体構築を把握しやすい. 写真.3は同一の検体からサンプリングし, 圧挫法と圧挫擦り合わせ法でそれぞれ処理した標本の細胞像である. 通常の圧挫法では, 細胞集塊の構築, 個々の細胞像とも詳細な観察は困難であるが, 圧挫擦り合わせ法では, 乳頭状の構造や内部の血管結合組織も明瞭である. ただし, 圧挫擦り合わせ法は, 物理的なストレスを細胞により強く与えることになり, 脆弱な細胞は挫滅する場合がある. たとえば, 悪性リンパ腫症例で検体処理に伴う核破砕像の出現を経験している. しか しながら, このようなアーチファクトも病変部の組織型推定に寄与する大切な情報ととらえることができ, 形態学的検査の現場において, 限られた場所と時間で迅速に判断するための有用な手法と考えている. Ⅳ. より詳細な検体情報をかつて検体の塗抹 固定を臨床にゆだねていた我々は, 採取現場での検査立ち合いによる標本作成を開始したことで, 以前よりも格段に診断精度の向上を見た. とはいえ, 検査で使用する穿刺針は19G ~25Gと様々であり, 細い穿刺針では検体量がわずかしか得られず,

39 VOL 写真.4 資料.1 立ち合いなし 室内光下 間接光下 導光板下 期間 2 年 ( 生検 ) (04 年 1 月 ~ 2 年 11ヶ月 (06 年 8 月 ~ 2 年 4ヶ月 (09 年 8 月 ~ 1 年 4ヶ月 (12 年 1 月 ~ 05 年 12 月 ) 09 年 7 月 ) 11 年 12 月 ) 13 年 4 月 ) 検体数 58 件 160 件 213 件 122 件 検体不適数 (%) 14 件 (24.1%) 3 件 (1.9%) 3 件 (1.4%) 1 件 (0.8%) 感度 43.6% 96.9% 96.2% 98.8% 特異度 100% 100% 100% 90.9% 診断精度 50.0% 97.5% 97.1% 97.1% 照明を落した検査室での作業に難渋することもしばしばであった. そこで実体顕微鏡の光源を利用した検体判別装置を自作し検査に用いた. 同時に簡易の染色液も携行することで検体採取現場での染色を可能にした. 光源による透過光の下での検体処理を始めたことで, それまで固形成分中心に行ってきたサンプリングのみならず, 同時に採取される液状物中に透明に浮き出てくる成分にも診断に有用な材料が含まれることを見出した. 手作りの光源装置では光の分布にムラがあったため, 光源位置を調節し検体吐出場所を均等に照らすよう改良を加えた. 現在では導光板という特殊なLED 発光板を用いることで, 検体全体をさらに明るくし, 採取材料の識別をより詳細に行っている. こうして完成した本器は BIOEVALUATOR と命名された. 本器の使用経験から, 今まで一括して白色調と表現してきた赤色部位以外の材料が, 実は様々な様相 ( 色調 ) を呈していることを見出した. たとえば膵癌組織からの採取材料では, 純粋に目的とする病変部の組織はおおむね透明で, この部位からのサンプリング標本では豊富に病変部の組織, 細胞成分を確認できる ( 写真.4). また, 透明とは異なるやや混濁した白色調部位からは, 壊死成分や間葉系成分を豊富に認めることが多い. 同時に, 材料の硬さや柔らかさなど, 圧挫擦り合わせ法を用いることで, 塗抹時の引き残り感といった感触も, 検査材料の適否を判断する重要な手掛かりを与えてくれる. こうして, 現在では経験に基づく自信も得られ, 必要最小量で迅速に塗抹する技術が確立すると同時に診断成績も向上した ( 資料.1). Ⅴ. 最後に我々はEUS-FNA における細胞検査士の立ち合いを開始することで, これまでの報告 2~5) と同等の診断精度向上を見た. それに加えより確実に, より迅速に判断できる手立てとして, 独自に検体識別台 BIOEVALUATOR を作成し, 今日では製品化までに至っている. 診断精度の向上とともに, 明らかな変化として, 検査に使用する穿刺針の本数が減少した. 集計によれば BIOEVALUATOR 使用以前と比較し, 約 0.8 本の減少をみている. これはすなわち, 必要最低限の穿刺回数で十分量の検体採取が実現でき, また, 患者への侵襲をより低く抑え, 合併症の発症に対しても大いなる抑止効果を得たものと評価される. 同時にこれは, 検査全体のコスト ダウンにもつながっている. 透過光による検体色調の違いから, 採取される細胞像が異なることも経験的に確信できた. 透明部は病変部の実質細胞のみならず粘液も含む. また赤色部では血液が主となり, 白色 ~ 灰白色部位では壊死様成分や血管結合組織などの成分を豊富に含む. 現時点ではあくまでも経験に基づく推論の域を出ないが, 今後, より判別しやすくするために背景色を変え目的部位のコントラストを上げることや, 目的検体の輝度値に着目

40 44 日本臨床細胞学会岡山県支部会誌 し統計学的検体識別法を導入するなど, より客観性のある精度の高い検査法を目指して検討を進めている. 本法は,EUS-FNAのみならず, 気管支鏡下穿刺吸引検査の検体識別, 乳腺や甲状腺などの穿刺吸引細胞診にも応用可能であり, サンプリング エラーを減少させ, 診断精度の向上に貢献できるものと考えている. 1)Vilmann P, Jacobsen GK, Henriksen FW, et al: Endoscopic ultrasonography with guided fine needle aspiration biopsy in pancreatic disease. Gastrointest Endosc.38: , ) Bhultani MS: Endoscopic ultrasound guided fine needle aspiration of pancreas. Interventional endoscopic ultrasonography. Butani MS, p65-72, Harwood Academic Publishers, Amsterdam, ) 越川卓ほか :EUS-FNAにおける穿刺材料の取り扱い, 消化器内視鏡 2004; 16: ) Ryozawa S, Kitoh H, Gondo T et al : Usefulness of endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration biopsy for the diagnosis of pancreatic cancer. J Gastroenterol. 40: , ) Eloubeidi MA, Varadarajulu S, Desai S, et al. A prospective evaluation of an algorithm incorporating routine preoperative endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration in suspected pancreatic cancer. J Gastrointest Surg 2007; 11:

41 VOL 平成 25 年度日本臨床細胞学会岡山県支部会総会議事録 平成 25 年 7 月 6 日 15 時 10 分 ~40 分 < 会場 > 倉敷中央病院大原記念ホール 議事録署名人として, 大森昌子先生, 宮本朋幸先生が選出された. 報告事項 1. 平成 24 年度活動実績 1) 決算報告 ( 鹿股幹事 ): 会費の徴収は継続中であること, 支部会誌の発刊が遅れたため, 次年度会計に繰り越したことが報告された. 井上監事より監査報告がなされた後, 決算が承認された. なお, 宮尾監事退会に伴い, 畠榮細胞検査士に監査を代行していただいた. 2) 第 32 回支部会 ( 平成 24 年 7 月 14 日 )( 舟田和幸会長 ) 3) 中四国連合会 ( 平成 24 年 7 月 28,29 日出雲市 ): 支部推薦演題 : 石原真理子 4) 支部会誌の発刊 ( 柳井幹事 ): 会報をA4 版とし, レイアウトも変更した. また, 投稿様式を変更し, 査読制を導入した. 2. 会員の動向平成 25 年 7 月 6 日現在の会員数は204 名 ( 功労会員 3, 専門医 35, 医師 8, 細胞検査士 153, 臨床検査技師 5 名 ) である. 新細胞診専門医は3 名 : 高田友子, 塩田充, 藤澤真義. 新細胞査士は11 名 : 山辺慶子, 谷祥代, 和田裕貴, 井川奥義, 遠藤南, 栃原しおり, 古本玲奈, 持田洋利, 山口大介, 黒木知佳, 森本可奈. 当日参加していた方々から挨拶があった. 3. 全国支部長連絡会からの報告 ( 森谷支部長 ): 日本臨床細胞学会が公益社団法人となり支部のあり方が変わったが, 支部の名称変更については全国の動向に従って検討を進める. 4. 日本臨床細胞学会の公益社団法人化について ( 森谷支部長 ): 公益法人化に伴い全国学会の会員が支部に所属する義務はなくなったが, 専門医および細胞検査士のクレジットを得るために支部活動が必須であるため, 引き続き支部所属を維持していただきたい. 5. 支部会 連合会における利益相反申告 開示および公開に関して : 全国学会に従って開示を行っていただきたい. 協議事項 1. 平成 年度役員の改選について : 会長として鹿股直樹が推戴され承認された. 新支部長からの挨拶がなされた後, 副支部長として藤田勝, 幹事として大原信哉, 柳井広之, 舟田和幸, 関典子, 物部泰昌, 監事として井上博文, 森谷卓也の各氏が推戴され, 承認された.24 年度途中より本郷幹事の後任を務めている関幹事より挨拶があった. 2. 会則の一部変更について : 全国学会の公益社団法人化による文言の変更. 3. 平成 25 年度支部活動について 1) 平成 25 年度予算案について, 鹿股幹事から説明があり承認された. なお,NPO 法人から細胞検査士会活動資金が提供されるが, 一旦本支部の会計に組み込むことも承引された. 2) 第 33 回支部会 ( 平成 25 年 7 月 6 日能登原憲司会長 ) 3) 中四国連合会 ( 平成 25 年 8 月 3,4 日広島市 ) 4) 支部会誌の発刊 ( 柳井幹事 ): 医学中央雑誌への登録を進めることが承認された. また, 査読者は委員以外にも依頼する予定である. 4. 平成 26 年開催の第 34 回支部会について ( 石原真理子次期会長 ): 倉敷市内で7 月開催を予定している. 連合会の日程を確認後に最終決定する予定である. 5. 平成 27 年開催の第 35 回支部会について : 鹿股次期支部長による開催が提案され, 承認を得た. 6. 技師功労賞について : 支部長推薦として, 藤田勝氏を推挙することが承認された. 7. 最後に, 森谷支部長から退任の挨拶がなされた.

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