2-1 EU

Size: px
Start display at page:

Download "2-1 EU"

Transcription

1 平成 26 年度発電用原子炉等利用環境調査 ( バックエンド関連事業の環境整備に向けた諸外国の事例調査 ) 報告書 平成 27 年 3 月 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

2 目次 Executive Summary... 1 第 1 章諸外国のバックエンド事業関連基本情報整理 アメリカ 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 バックエンド関連事業政策の状況 バックエンド事業関連プレーヤー バックエンド事業概要 原子力安全規制体系の概要と動向 イギリス 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 バックエンド関連事業政策の状況 バックエンド事業概要 バックエンド事業関連プレーヤー 原子力安全規制体系の概要と動向 スウェーデン 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 バックエンド関連事業政策の状況 バックエンド事業関連プレーヤー バックエンド事業概要 原子力安全規制体系の概要と動向 フランス 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 バックエンド関連事業政策の状況 バックエンド事業関連プレーヤー バックエンド事業概要 原子力安全規制体系の概要と動向 ドイツ 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 バックエンド関連事業政策の状況 バックエンド事業関連プレーヤー バックエンド事業概要 原子力安全規制体系の概要と動向 スイス 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 バックエンド関連事業政策の状況 バックエンド事業関連プレーヤー バックエンド事業概要 原子力安全規制体系の概要と動向 フィンランド 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 バックエンド関連事業の状況 バックエンド関連プレーヤー I

3 7-4 バックエンド事業概要 原子力安全規制体系の概要と動向 第 2 章バックエンド事業関連施設の立地地域と国 事業者の関係 一覧表 アメリカ バックエンド事業政策議論の変容 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 イギリス バックエンド事業政策議論の変容 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 スウェーデン バックエンド事業政策議論の変容 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 フランス バックエンド事業政策議論の変容 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 ドイツ バックエンド事業政策議論の変容 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 スイス バックエンド事業政策議論の変容 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 フィンランド バックエンド事業政策議論の変容 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 第 3 章バックエンド関連事業による経済的影響 アメリカ 廃止措置関連事業に係る経済的影響 最終処分事業に係る経済的影響 イギリス バックエンド事業における社会経済的な影響についての NDA の取組方針 核燃料サイクル事業に係る経済的影響 廃止措置関連事業に係る経済的影響 最終処分事業に係る経済的影響 スウェーデン 最終処分事業に係る経済的影響 II

4 4. フランス 諸論 ( フロントエンド概要含む ) フランスにおけるバックエンド事業による雇用 原子力産業が地方経済に与える影響 新型炉 EPR 研究開発炉が経済に与える影響 ドイツ 廃止措置関連事業に係る経済的影響 スイス 最終処分事業に係る経済的影響 フィンランド 最終処分事業に係る経済的影響 略語一覧 III

5 Executive Summary 本報告書では 3 つの観点から諸外国のバックエンド関連事業に関する事例を調査している 第 1 章では 諸外国におけるバックエンド関連事業に関する基本情報の整理を行い 廃止措置中の原子炉 再処理施設や使用済燃料中間貯蔵施設等の核燃料サイクル施設等につき 仕様 現状 今後の計画等についてとりまとめた また 福島第一原子力発電所事故 ( 以下 福島事故 ) 前後の対象諸国における原子力 核燃料サイクル政策や開発動向の経緯を詳細に調査し 福島事故がこれらの国の政策に与えた影響を分析した その結果 バックエンド政策については 米国でユッカマウンテン計画に代わる計画の進展が特に見られない ドイツでゴアレーベン計画が白紙撤回される等 概ね進展していないといえるものの これらが福島事故の影響といえる根拠はない また スウェーデンやフィンランドのように福島事故後も計画に着実な進展がみられることからも 総じて 福島事故が各国のバックエンド政策に及ぼした影響はほとんどないものと言える 第 2 章では 関連施設の立地地域との関係構築 強化を含む バックエンド関連事業の事業環境を整備するための枠組みや制度について整理を行っている 各国によって制度に相違はあるものの 特に関連施設の立地に際しては 事業者を中心とした地域住民への情報提供 全ての関係者の意思決定プロセスへの参加の機会確保が共通の課題として取り組まれている 立地地域へのアウトリーチ活動 ( コミュニケーション強化の取り組み ) としては 先進的な取り組みがイギリス フランス スウェーデンにみられる イギリスでは 立地地域と関係者のコミュニケーションツールとして自治体関係者等が定期的に集うステークホルダーグループ会議が開催されており SSG や LCLC LLC と呼ばれる会議体が存在する これらの会議体は ボランタリーな組織ではあるものの NDA が策定したガイドラインに沿った運営が求められており 施設に対する地域住民の監視や 重要案件に関する立地地域との協議等を行っている 同様の組織は フランスにも存在する フランスには 高レベル放射性廃棄物処分場の立地に際して CLIS が設置され 事業者と地域住民間のコミュニケーションの場として活用されている イギリスと異なる点は CLIS は TSN 法によってその設置や活動資金の拠出方法が規定されている点である また スウェーデンには オスカーシャム モデルと呼ばれる 環境団体を交えた 自治体 規制機関 事業者の協議体制がある 協議に参加する自治体側に常に拒否権があったこと 時間的制約が設けられなかったことから すべての関係者が議論に参加した上で十分な議論が尽くされ 最終処分場の決定まで至ったとされる バックエンド関連施設の立地地域に対して 日本ではいわゆる電源三法 ( 電源開発促進税法 特別会計に関する法律 発電用施設周辺地域整備法 ) に基づく交付金や補助金が 交付されている ユッカマウンテン最終処分場建設計画が中止となったアメリカでは 1982 年放射性廃棄物政策法 ( 及び 1987 年の改訂法 ) に立地地域への資金給付といった地域振興策が規定されているものの 処分場選定の新たな手法策定に合わせて 今後再度検討が進められることとなっている イギリスでは 地域振興のための方策は地域のニーズ 金額の妥当性等を考慮しながら協議の進展に合わせて立地地域 政府 NDA の間で協議しながら策定するという方針である フランスでは 地下研究所 地層処分場の設置及び操業の推進等を行う公共事業共同体と呼ばれる組織が設置され その財源についても法律に規定がなされている ドイツには 低中レベル放射性廃棄物処分場の立地地域について 地域振興を目的とした財団が設置され 事業者と連邦政府は当該財団を通して資金を拠出する仕組みがある スイスは現時点で地域振興を目的とした法的枠組みはないものの サイト確定後に交付金として検討することを明文化している スウェーデンでは電気事業者が拠出する廃棄物基金の一部が地域における協議活動資金として使われており その活動資金は協議に参加する全てのステークホルダー 例えば環境保護団体にも提供されている フィンランドでは 発電所や処分場といった原子力施設が立地する自治体に対して 固定資産税の税制優遇措置が設けられている また 処分場立地に関しては立地自治体と事業者が協力協定を締結し その中で高齢者向けホーム施設建設の資金を貸与している 1

6 総じて 調査対象諸国の制度は日本の交付金 補助金の概念とは若干異なり 地域住民の主体的な関与 がより強い枠組みとなっている 第 3 章では バックエンド関連事業の立地地域や周辺自治体への経済的影響に関する調査研究事例を整理している 諸外国では Socio-economic impact( 社会経済的影響 ) あるいは Induced effect( 波及効果 ) として関連する調査研究が実施されている アメリカでは 廃止措置が完了した原子炉が 11 基存在し 廃止措置中の原子炉も数多くあることから 原子炉の廃止措置ないしは発電所の閉鎖による立地地域への経済影響に関する調査研究が数多く実施されている アメリカの調査研究事例では ほぼすべての立地地域において原子力発電所が州や自治体の経済を支えているため 廃止措置のため一定程度の雇用等は維持されるものの 発電所閉鎖によって大規模な直接 間接雇用の喪失や 人口の移動による地域経済の縮小が指摘されている また 先行研究では 発電所の閉鎖は免れないため 自治体が発電所閉鎖後の経済刺激策を検討することや 発電所閉鎖に備えた立地地域間の情報交換や協力が望まれると指摘される イギリスでは NDA が 核燃料サイクル事業 廃止措置関連事業 最終処分事業に係る社会経済的影響に関する報告書を多数発表している これは 2004 年エネルギー法において 事業プログラムを行う際の社会経済的影響を考慮し自治体の社会経済的な便益を支援することが NDA に求められており イギリス政府が NDA へ経済影響を緩和するための役割を与えているからである 調査研究では 核燃料サイクル施設や処分場は 立地地域に長年にわたる雇用創出やそれにともなう地域経済の活性化 産業やインフラ投資のスピンオフ効果が期待できるといったプラスの経済影響をもたらすことが指摘されている また 廃止措置関連事業については アメリカと同様に発電所の閉鎖によって直接 間接雇用が喪失され 代替経済活動がなければ多くの人口が地域外に移転してしまう可能性が分析結果として示されている そこから 廃止措置作業が減少した後に有望と考えられる産業の検討等まで実施している点に特徴がみられる フランスの調査研究事例では 原子力施設は雇用を創出し 経済活動を支え 自治体に税収をもたらすという点で 直接的なプラスの影響をフランスの社会経済に及ぼしており フランスにおける原子力産業の経済上の重要性について指摘している これらの諸外国における先行事例は これから原子炉の廃止措置と最終処分場の選定を進めなければならない日本にとって 参考となる点が非常に多い 例えば スウェーデンのオスカーシャム モデルにおいて自治体側に常時拒否権が保証されたことが最終処分場合意に至った要因であること イギリスやドイツ スイス等において原子炉 核燃料サイクル施設の運転終了後にも長期にわたる代替産業や雇用の創出に重点が置かれていること等を十分に精査し 日本の取り組みに活かしていくことが 日本が今後も原子力発電とそれに付随するバックエンド事業に関する国民の理解と合意を得て行くで不可欠といえよう 2

7 第 1 章 諸外国のバックエンド事業関連基本情報整理 3

8 1. アメリカ 1-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 一次エネルギー供給構成 COUNTRY: United States 表 1-1 一次エネルギー需給バランス 石油ガス石炭原子力水力 ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 再生可能エネルギー等 (2013 年 Mtoe) 国内生産 ,859 輸入 輸出 在庫変動 一次供給 ,187 シェア 36% 28% 20% 10% 1% 6% 100% 合計 表 1-2 エネルギー源別消費動向 COUNTRY: United States (Mtoe) 石油 ガス 石炭 原子力 水力 その他 合計 , , , , ,187 シェア 36% 28% 20% 10% 1% 6% 100% '13/'12 1.7% 2.0% 2.4% 2.6% -2.6% 4.9% 2.2% ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 4

9 1-1-2 電力供給構成 水力 6% 原子力 19% その他 7% 2013年 4,274 TWh 天然ガス 27% 石炭 40% 石油 1% Country: United States 図1-1 発電電力量構成 2013 年 出所 IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition アメリカは 国内の豊富な石炭を用いた石炭火力発電を古くから利用してきた 2009 年以降のいわゆ る シェール革命 によって国内の天然ガス生産が大幅に拡大したこと 気候変動対策として石炭火力の 代替が進められていることから 発電構成に占める天然ガス火力発電のシェアが 近年急増している COUNTRY: United States 輸入 輸出 発電 発電構成 石炭 石油 天然ガス 原子力 水力 その他再生可能エネ 出所 単位 ktoe ,449 2,596 1,936 4,179 3,829 3,877 5, ,765-1,262-1,703-1,643-1, , , , , , , ,286 46% 17% 19% 5% 14% 0% 51% 11% 15% 11% 11% 0% 53% 4% 12% 19% 9% 3% IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 5 53% 3% 16% 20% 6% 2% 50% 3% 18% 19% 6% 3% 46% 1% 23% 19% 6% 4% 38% 1% 30% 19% 7% 6%

10 1-1-3 電力輸出入構成 アメリカは 主にカナダと電力の輸出入を行っている 40 メキシコ輸出 メキシコ輸入 カナダ輸出 20 カナダ輸入 純輸出 0 TWh 図1-2 アメリカの電力輸出入の推移 出所 EIA, Electric Power Annual エネルギー価格動向 表1-3 アメリカの電力 ガス価格 税込み 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 電力 産業用 (US$/MWh) 家庭用 ガス 産業用 (US$/MWh GCV) 家庭用 出所 IEA, Energy prices and taxes, 2014 年 2Q 国内商業用原子炉一覧 アメリカ国内には 100 基の商業用原子炉が稼働中であり 5 基の原子炉が建設中 さらに 5 基が計画 中となっている 2014 年末時点 アメリカ国内商業用原子炉一覧を表 に示す 表1-4 アメリカの商業用発電所一覧 PWR 稼働中 6

11 Name Type Status Location Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection ANO-1 PWR Operational POPE /8/17 ANO-2 PWR Operational POPE /12/26 BEAVER VALLEY-1 PWR Operational SHIPPINGPORT /6/14 BEAVER VALLEY-2 PWR Operational SHIPPINGPORT /8/17 BRAIDWOOD-1 PWR Operational BRAIDWOOD /7/12 BRAIDWOOD-2 PWR Operational BRAIDWOOD /5/25 BYRON-1 PWR Operational BYRON /3/1 BYRON-2 PWR Operational BYRON /2/6 CALLAWAY-1 PWR Operational FULTON /10/24 CALVERT CLIFFS-1 PWR Operational LUSBY /1/3 CALVERT CLIFFS-2 PWR Operational LUSBY /12/7 CATAWBA-1 PWR Operational YORK COUNTY /1/22 CATAWBA-2 PWR Operational YORK COUNTY /5/18 COMANCHE PEAK-1 PWR Operational GLEN ROSE /4/24 COMANCHE PEAK-2 PWR Operational GLEN ROSE /4/9 COOK-1 PWR Operational BRIDGMAN /2/10 COOK-2 PWR Operational BRIDGMAN /3/22 DAVIS BESSE-1 PWR Operational OTTAWA /8/28 DIABLO CANYON-1 PWR Operational AVILA BEACH /11/11 DIABLO CANYON-2 PWR Operational AVILA BEACH /10/20 FARLEY-1 PWR Operational DOTHAN /8/18 FARLEY-2 PWR Operational DOTHAN /5/25 FORT CALHOUN-1 PWR Operational FORT CALHOUN /8/25 GINNA PWR Operational ONTARIO /12/2 HARRIS-1 PWR Operational NEW HILL /1/19 INDIAN POINT-2 PWR Operational BUCHANAN /6/26 INDIAN POINT-3 PWR Operational BUCHANAN /4/27 MCGUIRE-1 PWR Operational CORNELIUS /9/12 MCGUIRE-2 PWR Operational CORNELIUS /5/23 MILLSTONE-2 PWR Operational WATERFORD /11/9 MILLSTONE-3 PWR Operational WATERFORD /2/12 NORTH ANNA-1 PWR Operational MINERAL /4/17 NORTH ANNA-2 PWR Operational MINERAL /8/25 OCONEE-1 PWR Operational OCONEE /5/6 OCONEE-2 PWR Operational OCONEE /12/5 OCONEE-3 PWR Operational OCONEE /9/18 PALISADES PWR Operational SOUTH HAVEN /12/31 PALO VERDE-1 PWR Operational WINTERSBURG /6/10 PALO VERDE-2 PWR Operational WINTERSBURG /5/20 PALO VERDE-3 PWR Operational WINTERSBURG /11/28 POINT BEACH-1 PWR Operational TWO CREEKS /11/6 POINT BEACH-2 PWR Operational TWO CREEKS /8/2 PRAIRIE ISLAND-1 PWR Operational RED WING /12/4 PRAIRIE ISLAND-2 PWR Operational RED WING /12/21 ROBINSON-2 PWR Operational HARTSVILLE /9/26 SALEM-1 PWR Operational SALEM /12/25 SALEM-2 PWR Operational SALEM /6/3 SEABROOK-1 PWR Operational SEABROOK /5/29 SEQUOYAH-1 PWR Operational DAISY /7/22 SEQUOYAH-2 PWR Operational DAISY /12/23 SOUTH TEXAS-1 PWR Operational BAY CITY /3/30 SOUTH TEXAS-2 PWR Operational BAY CITY /4/11 ST. LUCIE-1 PWR Operational FORT PIERCE /5/7 ST. LUCIE-2 PWR Operational FORT PIERCE /6/13 SUMMER-1 PWR Operational JENKINSVILLE /11/16 SURRY-1 PWR Operational GRAVEL NECK /7/4 SURRY-2 PWR Operational GRAVEL NECK /3/10 THREE MILE ISLAND-1 PWR Operational DAUPHIN /6/19 TURKEY POINT-3 PWR Operational FLORIDA CITY /11/2 TURKEY POINT-4 PWR Operational FLORIDA CITY /6/21 VOGTLE-1 PWR Operational WAYNESBORO /3/27 VOGTLE-2 PWR Operational WAYNESBORO /4/10 WATERFORD-3 PWR Operational TAFT /3/18 WATTS BAR-1 PWR Operational SPRING CITY /2/6 WOLF CREEK PWR Operational BURLINGTON /6/12 7

12 表 1-5 アメリカの商業用発電所一覧 (BWR 稼働中 ) Name Type Status Location Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection BROWNS FERRY-1 BWR Operational DECATUR /10/15 BROWNS FERRY-2 BWR Operational DECATUR /8/28 BROWNS FERRY-3 BWR Operational DECATUR /9/12 BRUNSWICK-1 BWR Operational SOUTHPORT /12/4 BRUNSWICK-2 BWR Operational SOUTHPORT /4/29 CLINTON-1 BWR Operational HART TOWNSHIP /4/24 COLUMBIA BWR Operational BENTON /5/27 COOPER BWR Operational BROWNVILLE /5/10 DRESDEN-2 BWR Operational MORRIS /4/13 DRESDEN-3 BWR Operational MORRIS /7/22 DUANE ARNOLD-1 BWR Operational PALO /5/19 FERMI-2 BWR Operational LAGOONA BEACH /9/21 FITZPATRICK BWR Operational OSWEGO /2/1 GRAND GULF-1 BWR Operational PORT GIBSON /10/20 HATCH-1 BWR Operational BAXLEY /11/11 HATCH-2 BWR Operational BAXLEY /9/22 HOPE CREEK-1 BWR Operational SALEM /8/1 LASALLE-1 BWR Operational MARSEILLES /9/4 LASALLE-2 BWR Operational MARSEILLES /4/20 LIMERICK-1 BWR Operational LIMERICK /4/13 LIMERICK-2 BWR Operational LIMERICK /9/1 MONTICELLO BWR Operational MONTICELLO /3/5 NINE MILE POINT-1 BWR Operational SCRIBA /11/9 NINE MILE POINT-2 BWR Operational SCRIBA /8/8 OYSTER CREEK BWR Operational FORKED RIVER /9/23 PEACH BOTTOM-2 BWR Operational YORK COUNTY /2/18 PEACH BOTTOM-3 BWR Operational YORK COUNTY /9/1 PERRY-1 BWR Operational PERRY /12/19 PILGRIM-1 BWR Operational PLYMOUTH /7/19 QUAD CITIES-1 BWR Operational CORDOVA /4/12 QUAD CITIES-2 BWR Operational CORDOVA /5/23 RIVER BEND-1 BWR Operational ST.FRANCISVILLE /12/3 SUSQUEHANNA-1 BWR Operational SALEM /11/16 SUSQUEHANNA-2 BWR Operational SALEM /7/3 表 1-6 アメリカの商業用発電所一覧 ( 新規建設 ) Name Type Status Location Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection SUMMER-2 PWR Under Construction JENKINSVILLE SUMMER-3 PWR Under Construction JENKINSVILLE VOGTLE-3 PWR Under Construction WAYNESBORO VOGTLE-4 PWR Under Construction WAYNESBORO WATTS BAR-2 PWR Under Construction SPRING CITY

13 表 1-7 アメリカの商業用発電所一覧 ( 閉鎖 ) Name Type Status Location Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection BIG ROCK POINT BWR Permanent Shutdown CHARLEVOIX /12/8 BONUS BWR Permanent Shutdown Rincon /8/14 CRYSTAL RIVER-3 PWR Permanent Shutdown /1/30 CVTR PHWR Permanent Shutdown Parr /12/18 DRESDEN-1 BWR Permanent Shutdown MORRIS /4/15 ELK RIVER BWR Permanent Shutdown /8/24 FERMI-1 FBR Permanent Shutdown LAGOONA BEACH /8/5 FORT ST. VRAIN HTGR Permanent Shutdown PLATTEVILLE /12/11 GE VALLECITOS BWR Permanent Shutdown Pleasanton, Sunol /10/19 HADDAM NECK PWR Permanent Shutdown HADDAM NECK /8/7 HALLAM X Permanent Shutdown Lincoln /9/1 HUMBOLDT BAY BWR Permanent Shutdown EUREKA /4/18 INDIAN POINT-1 PWR Permanent Shutdown BUCHANAN /9/16 KEWAUNEE PWR Permanent Shutdown CARLTON /4/8 LACROSSE BWR Permanent Shutdown GENOA /4/26 MAINE YANKEE PWR Permanent Shutdown WISCASSET /11/8 MILLSTONE-1 BWR Permanent Shutdown WATERFORD /11/29 PATHFINDER BWR Permanent Shutdown /7/25 PEACH BOTTOM-1 HTGR Permanent Shutdown YORK COUNTY /1/27 PIQUA X Permanent Shutdown Piqua /7/1 RANCHO SECO-1 PWR Permanent Shutdown SACRAMENTO /10/13 SAN ONOFRE-1 PWR Permanent Shutdown SAN CLEMENTE /7/16 SAN ONOFRE-2 PWR Permanent Shutdown SAN CLEMENTE /9/20 SAN ONOFRE-3 PWR Permanent Shutdown SAN CLEMENTE /9/25 SAXTON PWR Permanent Shutdown /3/1 SHIPPINGPORT PWR Permanent Shutdown /12/2 SHOREHAM BWR Permanent Shutdown SHOREHAM /8/1 THREE MILE ISLAND-2 PWR Permanent Shutdown DAUPHIN /4/21 TROJAN PWR Permanent Shutdown PRESCOTT /12/23 VERMONT YANKEE BWR Permanent Shutdown VERNON /9/20 YANKEE NPS PWR Permanent Shutdown ROWE /11/10 ZION-1 PWR Permanent Shutdown ZION /6/28 ZION-2 PWR Permanent Shutdown ZION /12/26 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System より作成 9

14 1-1-6 原子力発電所運転実績 MW 120,000 TWh ,000 設備容量 発電量 , , , , 図 1-3 アメリカの原子力発電所設備容量と発電量の推移 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System 100% 80% 60% 40% 設備利用率 20% 0% 図 1-4 アメリカの原子力発電所の設備利用率の推移 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System 10

15 hours 3,000 補修 & 燃料交換補修その他装置トラブル 燃料交換補修 & 燃料交換その他外部要因 2,500 2,000 1,500 1,000 計画外 外部要因 500 計画内 ( 出所 ) IAEA, Operating Experience data 図 1-5 アメリカの原因別運転停止時間の推移 1-2 バックエンド関連事業政策の状況 バックエンド関連政策アメリカでは 1970 代に再処理を放棄して以来 将来的には最終処分場 ( 地層処分 ) 建設を目指しながらも 中間貯蔵で対応してきた 発電用原子炉等で発生した使用済燃料 核兵器開発 製造や再処理施設で発生した高レベル放射性廃棄物の地層処分地の準備として 1982 年放射性廃棄物政策法 が制定され エネルギー省 (Department of Energy: DOE) が最終処分場候補地としてネバダ州ユッカマウンテンの特性調査を進め 2002 年 7 月には連邦議会で立地が承認された 2020 年からの操業開始を目指して 2008 年 9 月以来 処分場の建設許可に関する安全審査が原子力規制委員会 (United States Nuclear Regulatory Commission: NRC) で行われていたが 地元ネバダ州の反対は根強く オバマ政権は 2009 年にユッカマウンテンでの建設計画を凍結した その後 DOE は 2010 年 3 月に許認可申請の取り下げ申請を行い 米国の長期的高レベル放射性廃棄物管理戦略は見直されることになった その上で DOE の諮問機関であるブルーリボン委員会 (Blue Ribbon Commission for American Nuclear Future) が使用済燃料の処分問題に関する検討を続けてきた 同委員会は 2012 年 1 月に最終報告書を DOE に提出 その中で 1 速やかな恒久的地層処分施設開発の進展 2 廃棄物管理計画の策定 実施機関の創設 3 処分施設の立地 開発に関して 同意に基づく 科学的根拠に依拠した新たなアプローチの導入 4 速やかな集中中間貯蔵施設の設置 5 先進炉や核燃料サイクル技術に対する研究 開発 実証のための政府による支援等を提言している 2013 年 1 月には DOE が 使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理 処分戦略 を公表し ブルーリボン委員会の最終報告書で示された基本的な考え方に沿った実施可能な枠組みが示された 具体的には 以下のようなスケジュールを立てている 年までに 閉鎖された原子炉からの使用済燃料の受 11

16 け入れに焦点を当て パイロット規模の中間貯蔵施設の立地 設計と許認可 建設と操業を開始する 年までに より大規模な中間貯蔵施設を建設 年までに地層処分場を実現できるように処分 場のサイト選定とサイト特性調査を進める というものである バックエンド関連法令 バックエンド事業に関連する法令を以下に示す 主要な法令は 1982 年放射性廃棄物政策法 (1987 年修正 ) である 図 1-6 アメリカにおける処分事業に関する法律 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 1-3 バックエンド事業関連プレーヤー 廃止措置表 1-4~1-7 に示したとおり アメリカではこれまでに 33 基の原子炉が閉鎖され うち 16 基が PWR 11 基が BWR 6 基がその他の炉型 ( 重水冷却圧力管型炉 高速増殖炉 高温ガス炉 ) となっている 各原子炉の所有者は Exelon や Dominion をはじめとする各事業者である 廃止措置に関する規制は NRC 12

17 が管轄する 再処理アメリカには商業用再処理施設が存在しない 核兵器用プルトニウムの生産が行われていたワシントン州ハンフォードの化学分離工場 サウスカロライナ州サバンナリバー サイトやアイダホ化学処理プラントは すべて DOE が所有している MOX 燃料成型加工 2015 年 1 月現在 MOX 燃料製造工場がサバンナリバー サイトで建設中である ただし 同工場は余剰核弾頭の兵器級プルトニウムを処分するためのものであり DOE の国家核安全保障局 (National Nuclear Security Administration: NNSA) が所有する 放射性廃棄物処分アメリカでは 1982 年放射性廃棄物政策法の第 111 条によって 高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料の処分の責任は連邦政府にあると規定されている 具体的には DOE が処分の実施主体として定められており 同法第 304 条の規定により DOE 内部に設置された民間放射性廃棄物管理局 (Office of Civilian Radioactive Waste Management: OCRWM) が施策の実施に当たる 民間放射性廃棄物管理局は ユッカマウンテン計画中止の方針にともなって DOE の原子力局 (Office of Nuclear Energy: NE) がその責任を引き継いでいる 図 1-7 アメリカの処分実施体制 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 13

18 1-4 バックエンド事業概要 再処理アメリカでは マンハッタン計画において使用済み核燃料 ( ここでは核兵器用プルトニウムの生産炉で天然ウラン金属燃料を照射したもの ) からプルトニウムを回収するための再処理技術を開発し その後 冷戦終結後の 1990 年代まで ワシントン州ハンフォードの化学分離工場及びサウスカロライナ州サバンナリバー サイトにおいて 核兵器用プルトニウム生産のための再処理を行っていた また アイダホ化学処理プラントでは 同じく 1990 年代まで 各種の軍用炉の使用済燃料から高濃縮ウラン及びプルトニウムを回収することを目的とした再処理が行われていた 1960~1970 年代には 軍用の再処理技術に基づいた軽水炉使用済燃料再処理工場の建設 操業が行われたが カーター政権による核不拡散政策の一環として 1977 年に商業用再処理を禁止する政策が決定された その後 1981 年のレーガン大統領令で再処理凍結は解除されたものの 現在に至るまで軽水炉の使用済燃料は再処理せず 高レベル放射性廃棄物として直接処分する方針がとられている アメリカには商業用再処理施設はないものの マンハッタン計画から始まった米国の再処理技術開発は 主に国立研究所において継続的に研究開発が行われ 一定の技術基盤が維持されている そのため 1980 年代以降は 金属燃料高速炉と高温冶金法 ( 乾式 ) 再処理を組み合わせた IFR 計画 (Integral Fast Reactor, ) マイナーアクチニドの回収 変換による放射性廃棄物の毒性低減などをねらった ATW 計画 (Accelerator Transmutation of Waste) 新型炉と先進的核燃料サイクルの開発をめざした GNEP (Global Nuclear Energy Partnership, ) など 種々の枠組みによって 将来の実用化をめざした先進的な再処理技術 廃棄物処理技術 核燃料技術などの研究開発が行われてきた MOX 燃料成型加工 アメリカの MOX 燃料加工施設一覧を表 1-8 に MOX 燃料加工施設位置図を図 1-8 に示す 表 1-8 アメリカの MOX 燃料加工施設一覧 国名会社名施設名所在地 アメリカ DOE/NNSA MOX Fuel Fabrication Facility (MFFF) サウスカロライナ州サバンナリバー 製造能力 (thm/ 年 ) 生産量実績 生産量累計 操業期間 建設中 ( 出所 ) 世界の原子力開発の動向 2014 年版 14

19 図 1-8 アメリカの MOX 燃料加工施設位置図 ( 出所 ) Google map 現在 サバンナリバー サイトで MOX 燃料製造工場の建設が進行中である 1999 年に DOE の NNSA が 余剰核弾頭の兵器級プルトニウムを用いた MOX 燃料製造工場の建設契約を 現在の Shaw-AREVA MOX Service 社と結んだ 施設の設計は AREVA NC 社 MELOX 施設の設計に基づくものであり プルトニウムを精製し ウラン酸化物と混合して プルトニウム富化度数 % の軽水炉用 MOX 燃料を製造する 二酸化ウランと二酸化プルトニウム混合物の粉末化には 高富化度の混合物をボールミルで粉末化した後に二酸化ウラン粉末を加える MIMAS 法が採用されている 年間約 3.5tHM の兵器級プルトニウムを処理し 約 70tHM の軽水炉用 MOX 燃料を製造する 1 NRC によれば 2001 年に建設ライセンスの申請が行われ NRC は 2005 年に建設認可を承認した 2007 年から建設が開始されている 2 操業のライセンスは 20 年で 2030 年代までの操業を予定している 使用済燃料貯蔵施設 (a) 経緯アメリカは 使用済燃料を再処理せず 直接処分を行う事を基本方針としている 1982 年放射性廃棄物政策法によれば DOE が建設する高レベル廃棄物処分場への発電所からの使用済燃料の輸送は 1998 年 1 月 31 日までに開始される規定であった しかし処分場建設計画は大幅に遅れ DOE は 2008 年に ネバダ州ユッカマウンテンにおける高レベル廃棄物処分場の建設計画に関して NRC に事業許可申請を提出した 3 年から 4 年を要するとされたこの申請の結果を待つことなく 2009 年にオバマ政権はユッカマウンテンに反対の方針を表明し 2010 年に事業許可申請は取り下げられた その後 バックエンド対策の代替案を検討する アメリカの原子力の将来に関するブルーリボン委員会 が 2010 年 1 月に設置され 2012 年 1 月に最終報告書がとりまとめられた ( 詳細は を参照 ) 1 Shaw-AREVA MOX Service 社 HP 2 NRC ウェブサイト 3 Shaw-AREVA MOX Service 社 HP 15

20 (b) 貯蔵状況使用済燃料は 各発電所のプール等に貯蔵されていたが 上述のとおり最終処分場の操業開始が遅れていることから 乾式貯蔵施設の設置が各サイトで進められており 現在 56 のサイトで乾式貯蔵施設が設置されている 乾式貯蔵施設の位置を図 1-9 に示す アメリカの乾式貯蔵施設には 許認可上の貯蔵容量限度は設定されていない ( 出所 ) NRC ウェブサイト 図 1-9 アメリカの使用済燃料中間貯蔵施設位置図 (c) 貯蔵に関する許認可これらの中間貯蔵施設は 独立使用済燃料貯蔵施設 (Independent Spent Fuel Storage Installation: ISFSI) として認可を受け 貯蔵されるケースが多い ISFSI の認可に必要な手続き及び条件等は 10 CFR Part 72 使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の独立貯蔵に関する認可要件 で規定されており 乾式貯蔵施設の審査は NUREG-1536 乾式キャスク貯蔵システムの標準審査指針 及び NUREG-1567 乾式キャスク貯蔵施設の標準審査指針 に基づいて実施される ISFSI として認可を受ける場合 原子炉としての認可を受けているサイト内において その炉から取り出された燃料を NRC の認可を受けているキャスクを使用して貯蔵する場合は 申請者は事前届出のみで認可される また 安全解析書 (Safety Analysis Report: SAR) や安全評価書 (Safety Evaluation Report: SER) を必要とせず パブリックコメントの期間も設けられておらず 許認可手続きの時間と費用は大幅に軽減されている この認可方法は 1990 年から採用されている 4 10 CFR Part 72 に基づき ISFSI の認可期間は 20 年とされていたが 最終処分場建 4 ATOMICA アメリカの使用済燃料の中間貯蔵 ( ) 16

21 設の目途が立たず 中間貯蔵施設から使用済燃料の搬出ができない状況が続いている そのため 10 CFR Part (a) の規定に基づき いくつかの施設では認可期間の 40 年への延長が申請され 許可されてい る (d) 敷地外貯蔵施設 1997 年 6 月 民間企業の PFS(Private Fuel Storage LLC) により 敷地外乾式使用済燃料貯蔵施設 (Private Fuel Storage Facility: PFSF) の建設が ユタ州トゥーエル郡ゴシュート インディアン居留地 スカルバレーで計画された 2001 年 12 月に最終修正安全評価書が 2002 年 1 月に最終環境影響評価書が NRC から発行され安全審査が開始されたが 2012 年 12 月 計画は中止されることとなった 5 中止の理由としては 建設許可証の条件である資金確保がなされていないこと 建設許可証の条件である使用済燃料に関する全費用を顧客に転嫁する契約が締結されなかったこと 建設予定地がインディアン居留地にあり内務省の承認を得られなかったことが挙げられる 6 なお DOE の諮問機関であるブルーリボン委員会は 2012 年 1 月に提出した最終報告書で 速やかな集中中間貯蔵施設の設置 を提言している また 2013 年 1 月に DOE が公表した 使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理 処分戦略 では 2021 年までに 閉鎖された原子炉からの使用済燃料の受け入れに焦点を当て パイロット規模の中間貯蔵施設の立地 設計と許認可 建設と操業を開始 し 2025 年までに より大規模な中間貯蔵施設を建設 することが計画されており 今後集中貯蔵施設の立地検討が進められるものと考えられる 商業用発電所 サイクル施設 ( 実験炉等 ) 廃止措置表 1-4~1-7 で示したとおり アメリカではこれまでに 33 基の原子炉が閉鎖され うち 16 基が PWR 11 基が BWR 6 基がその他の炉型 ( 重水冷却圧力管型炉 高速増殖炉 高温ガス炉 ) である NRC によると 11 基の廃止措置が完了している 中 低レベル放射性廃棄物処分場 アメリカの放射性廃棄物処理施設一覧を表 1-9 に 放射性廃棄物処理施設位置図を図 1-10 に示す 表 1-9 アメリカの放射性廃棄物処理施設一覧 国名会社名所在地対象廃棄物処分方法埋設規模 (m3) アメリカ DOE( エネルギー省 ) US エコロジー ケム ニュークリアシステム ネバダ州 ユッカマウンテン ( 現政権は中止方針 ) ワシントン州 リッチランド サウスカロライナ州 バーンウェル ガラス固化体 使用済燃料 低レベル ( クラス A~ C) 低レベル ( クラス A~ C) 深地層 ( 凝灰岩 : ユッカマウンテン ) 埋設量実績 (m3) 総埋設量 (m3) ,000t 素掘トレンチ 1,700,000 1, ,964 素掘トレンチ 880, ,283 エネルギーソリューションズユタ州 クライブ低レベル ( クラス A) 処分セル 8,827,000 49,720 79,756 34,291 4,528,289 Waste Control Specialists (WCS テキサス ) テキサス州 アンドリューカウンティ 低レベル ( クラス A~ C) 素掘トレンチ 51, ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター WCS テキサスウェブサイト 埋設量は Manifest Information Management System による搬入量 総埋設量は IAEA NEWMDB の 2010 年総埋設量に 2011 年 ~2013 年の搬入量を加えた値であり 正確ではない 5 NRC ウェブサイト 6 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 7 NRC ウェブサイト 17

22 リッチランド クライブ ユッカマウンテン WCS テキサス バーンウェル 図 1-10 アメリカの放射性廃棄物処理施設位置図 ( 出所 ) Google map リッチランド処分場は US Ecology 社が操業する低レベル放射性廃棄物処分場である リッチランド処分場では クラス A~C までの放射性廃棄物を受入れており 素掘トレンチによる処分である 1965 年に操業を開始しており 埋設規模は 1,700,000m 3 である 2013 年の搬入量は 707m 3 (24,959ft 3 ) である バーンウェル処分場は Chem Nuclear Systems 社が操業する低レベル放射性廃棄物処分場である バーンウェル処分場では クラス A~C までの放射性廃棄物を受入れており 素掘トレンチによる処分である 1971 年に操業を開始しており 埋設規模は 880,000m 3 である 2013 年の搬入量は 218m 3 (7,706ft 3 ) である クライブ処分場は Energy Solutions 社が操業する低レベル放射性廃棄物処分場である クライブ処分場では クラス A の放射性廃棄物のみを受入れており 処分セルによる処分を行っている 1988 年に操業を開始しており 埋設規模は 8,827,000m 3 である 2013 年の搬入量は 34,291m 3 (1,210,988ft 3 ) である 8 アンドリューカウンティ (WCS テキサス ) 処分場は Waste Control Specialists Texas が操業する低レベル放射性廃棄物処分場である WCS テキサス処分場では クラス A~C までの放射性廃棄物を受け入れている 2012 年 4 月より 廃棄物の受け入れを開始した アメリカでもっとも新しい処分場である 許認可上の埋設規模は 1,802,865ft 3 (51,051m 3 ) である 高レベル放射性廃棄物処分場 (a) 商業用原子力発電所から発生する高レベル放射性廃棄物アメリカでは 1982 年放射性廃棄物政策法で DOE が処分場を開発すると定められており DOE が実施主体となる なお 同法により DOE 内に OCRWM が設置されていた 8 IAEA NEWMDB 搬入量は Manifest Information Management System による 9 WCS テキサスウェブサイト 18

23 DOE は 1983 年に 9 箇所の候補地点を選定され 候補サイトの環境アセスメント案が公表され 公聴会が開催された後 1986 年に DOE はサイト特性調査の実施に適したサイトとして 5 箇所を指定 このうち 3 箇所 ( ユッカマウンテン デフスミス ハンフォード ) が DOE 長官から大統領に推薦され 大統領の承認を得た しかし 翌 1987 年には放射性廃棄物政策修正法が成立し サイト特性調査を行う候補地点として ユッカマウンテンが指定される 予算削減により検討作業が遅れたものの 1998 年に DOE はユッカマウンテンがサイトとして実現可能であることを示す報告書を公表した ネバダ州が大統領の推薦に対して承認しないとの通知を行ったものの 連邦議会の立地承認決議を法律とすることにより 2002 年にユッカマウンテンが正式に処分場として決定された その後 2008 年に DOE は NRC に建設許認可申請書を提出したが 2009 年の政権交代後に成立した民主党政権は ユッカマウンテン計画の中止を決定 2010 年には申請自体も取り下げられた ユッカマウンテン計画の中止後 バックエンド対策の代替案を検討するとの方針を受けて DOE 長官は 放射性廃棄物管理を含むバックエンド政策の代替案を検討する ブルーリボン委員会 を 2010 年 1 月に設置し 検討を進めた結果 2012 年 1 月に最終報告書が発表され 8 項目の勧告が行われた 8 項目の勧告は以下のとおりである 適応性があり 段階的で 同意に基づき 透明性があり 基準及び科学に基づいて 放射性廃棄物管理及び処分施設のサイト選定を行い 開発するための新たなアプローチ 国内での放射性廃棄物の輸送 貯蔵及び処分のため 集中的で 統合されたプログラムを開発し 実施するための単一の目的を有する新たな組織 放射性廃棄物管理プログラムによる 放射性廃棄物基金の残高と毎年の放射性廃棄物拠出金を放射性廃棄物管理プログラムが利用可能であること 使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の安全な処分のための 1つまたは複数の地層処分施設の開発のための可能な限り迅速な取組 核燃料サイクルのバックエンドの管理のための計画の一部として 1つまたは複数の集中中間貯蔵施設の開発のための可能な限り迅速な取組 集中貯蔵施設や処分場が利用可能となった際に開始される使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の大規模な輸送のための迅速な取組 先進的な原子炉及び核燃料サイクル技術に関する研究開発 実証のための安定した長期的なサポート 全世界の原子力施設及び核物質の安全性及びセキュリティを向上させるための国際的なリーダーシップ ブルーリボン委員会の最終報告書では 実施主体について 過去 60 年間のアメリカの放射性廃棄物政策の歴史を検討して 輸送 貯蔵及び処分のための集中的 統合的なプログラムを実施するため 新たな 単一目標の組織が必要であるとの結論が示されている 具体的な法人形態としては 議会によって設立を許可される連邦公社が最も期待できるとされ 1933 年に設立されたテネシー川流域開発公社 (Tennessee Valley Authority: TVA) が既存の有用な事例とされている 連邦公社のような法人形態の場合 1 政治的な管理の影響を受けにくい 2 外部条件の変化に対応するための柔軟性などの性質をより多く有し 3 費用やスケジュールを管理するための能力がより大きくなると指摘されています また 新たな廃棄物管理法人には強力な最高経営責任者 (CEO) のリーダーシップが必要とするとともに CEO は 上院の助言及び同意によって大統領によって指名される取締役会の自己裁量で選ばれ 7 年間の任期で 1 回の更新が可能などの具体的な提案がなされている 2013 年 6 月 連邦議会上院に 2013 年放射性廃棄物管理法 (Nuclear Waste Administration Act of 19

24 2013) 法案が提出された 同法案は 超党派の上院議員 10が共同で提出したものである なお 同法案は 第 113 回議会 ( 会期 2013~2015 年 ) に提出されたが 会期終了にともない廃案となっている 法案の主な内容 11を以下に示す 放射性廃棄物管理を所管する新たな連邦政府関係機関 ( 行政府に設置される独立機関 ) の設立 同機関の長官は 連邦議会上院の助言 承認に基づき大統領が任命し DOE が設定した高レベル放射性廃棄物計画を実施 新たな連邦政府関係機関が パイロット規模の中間貯蔵施設や集中中間貯蔵施設 ( 民間の使用済燃料と DOE の国防関連の廃棄物を対象 ) を建設 処分場及び集中貯蔵施設に適用する新たなサイト選定プロセスを策定 サイト選定プロセスでは 新たな連邦政府関係機関は以下を実施する サイトを評価するための技術的なサイト選定ガイドラインを開発 自主的にサイトとなるような州及び自治体を募集 サイト調査実施のための州及び地元の協力を得る 協力協定については 貯蔵サイトについては任意とし 処分場サイトについては必須とする サイト特性調査の開始前 ( 貯蔵サイト 処分サイト ) 処分場サイトとして適性を最終的に決定する前に 公聴会を開催 処分場 または貯蔵施設のサイトとして選定するための州及び地元の同意を得る 処分場 または貯蔵施設の建設 操業のための NRC の許認可を得る 新たな連邦政府関係機関が 歳出予算措置を経ずに利用可能となる新しい運営資本基金を財務省に創設 当該基金には 電力会社からの拠出金を預託 本法案成立前に収集された拠出金は 従来の NWF に残り 歳出予算の対象となる また 2015 年 3 月 連邦議会上院並びに下院に 放射性廃棄物インフォームドコンセント法 (Nuclear Waste Informed Consent Act) 法案がそれぞれ提出された これらの法案は ともにネバダ州選出の民主党議員 12によって提出されたものである 法案の主な内容 13は 以下の通り ユッカマウンテン計画についても ネバダ州の承認を必要とすることを規定している エネルギー長官が 処分場候補地の州知事 影響を受ける地方政府 当該地方政府に隣接して輸送経路となる地方政府 及び影響を受ける先住民族と書面による合意を締結しない限り NRC は建設認可を発給してはならない 本法律は 施行時に存在しているか または 将来提出される建設認可の許認可申請書に対して適用される なお ユッカマウンテンで予定されていた処分量は 70,000tHM で その内 63,000tHM は商業用原子力発電所より発生した使用済燃料 7,000tHM は DOE が保有する使用済燃料やガラス固化体である また 地表から 201m~488m( 平均 305m) の不飽和帯 ( 凝灰岩 ) に建設する計画であり DOE が提出した許認可申請書では 2020 年の操業開始を予定していた ワイデン上院議員 ( 民主党 オレゴン州選出 ) アレクサンダー上院議員 ( 共和党 テネシー州選出 ) ファインスタイン上院議員 ( 民主党 カリフォルニア州選出 ) マコウスキー上院議員 ( 共和党 アラスカ州選出 ) キング上院議員 ( 無所属 メイン州 ) 11 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 12 上院ではリード上院議員 ( 民主党 ネバダ州選出 ) が 下院ではティトゥス下院議員 ( 民主党 ネバダ州選出 ) が法案を提出 13 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 14 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 20

25 (b) 商業用原子力発電所以外から発生する高レベル放射性廃棄物核兵器開発関係の研究及び核物質製造から発生した放射性廃棄物は マンハッタン計画以来約 50 年の間貯蔵されてきた その後 1975 年に民間の再処理は中止され 軍事関係施設でのみ再処理が行われた 排出された高レベル放射性廃液はガラス固化等の処理が行われ それぞれのサイト内で貯蔵されている また 米国海軍で発生した使用済燃料や高レベル放射性廃棄物も今後決定される処分場に地層処分されることになっている 軍事関連施設から発生した TRU( 超ウラン元素 ) 含有廃棄物は サバンナリバー研究所等で浅地中に埋設されていたが ニューメキシコ州カールスバッドに完成した廃棄物隔離パイロットプラント (Waste Isolation Pilot Plant: WIPP) において 1999 年 3 月から処分が開始された 2013 年末現在 WIPP は 1 万回以上もの廃棄物受け入れを行い 90,000m 3 を超える TRU 含有廃棄物が処分されている その他 ( 研究所 実験施設等 ) アメリカは 1990 年代まで軍事用再処理を行っており ハンフォード サイト サバンナリバー サイト アイダホ国立研究所には 再処理に付随した廃棄物が貯蔵されている ハンフォード サイトには 177 の地下貯蔵タンクに保管された 5,300 万ガロンの放射性廃棄物と有害化学物質 750,000 m 3 の固形廃棄物や様々な形状の使用済燃料 プルトニウムが貯蔵されている 15 サバンナリバー サイトには 51 の地下貯蔵タンクがあるが 二次汚染や漏洩検知に関する環境保護庁 (Environmental Protection Agency: EPA) の基準を満たしているものは 27 しかない タンクにはスラッジ ( 不溶性の水酸化金属 ) や水溶性の上清塩の混合物が保管されている 16 アイダホ国立研究所には 1953 年に設立されたアイダホ化学処理プラント ( 現 アイダホ原子力技術工学センター ) があり 1992 年まで使用済燃料の再処理が行われていた 1998 年 2 月までに 貯蔵施設 (Tank Farm Facility: TFF) に貯蔵された第一サイクルの抽出廃棄物は 移動され焼成加工されて凝固されている 原子力安全規制体系の概要と動向 安全規制関連法 18 高レベル放射性廃棄物処分場の安全性 安全基準については 1982 年放射性廃棄物政策法 (1987 年修正 ) の下に 地層処分場の建設 操業等の許認可要件 条件を規定する 地層処分場における高レベル放射性廃棄物の処分 (10 CFR Part 60) と 使用済燃料 高レベル及び TRU 放射性廃棄物の管理と処分のための環境放射線防護基準 (40 CFR Part 191) が定められている ただし ユッカマウンテンに関する許認可要件及び環境放射線防護基準としては 1992 年エネルギー政策法に基づいて ネバダ州ユッカマウンテン地層処分場の高レベル放射性廃棄物の処分 (10 CFR Part 63) 及び ネバダ州ユッカマウンテンのための環境放射線防護基準 (40 CFR Part 197) が適用されることとなっている 安全規制機関 アメリカの原子力規制の枠組みは 1954 年原子力法 によって規定され 同法は核物質の民生 軍事 15 NRC ウェブサイト 16 NRC ウェブサイト 17 NRC ウェブサイト 18 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 21

26 利用に関する基本法となっている 民生利用に関して同法は アメリカ国内の核物質と原子力施設の利用の開発 規制について定めており 同法によって国による許認可制が整備された 現行の原子力開発 規制体制では DOE が民生 軍事利用の原子力開発を行う一方で NRC が唯一の規制機関としての機能を果たしている NRC の前身である原子力委員会 (Atomic Energy Commission: AEC) は 1946 年原子力法 で設置され 原子力の利用促進と安全規制の両方を責務とする組織であった その後 1974 年エネルギー機構再組織法 によって AEC を改組する形で NRC が連邦政府の独立機関として設置された NRC の活動目的は 放射線による被害から公衆の健康と安全及び環境を守ることであり 主要な規制対象は 民生用の原子炉 ( 商用原子炉と研究用原子炉等 ) 核燃料サイクル施設 核物質 ( 原子炉で利用される核物質 研究用 医療用 工業用核物質等 ) 放射性廃棄物等である NRC の主要な業務には以下のようなものが挙げられる 原子炉 ( ウラン濃縮施設などその他の原子力施設を含む ) 新設の際の設計 立地 建設 運転の許認可 核物質の保有 利用 処理 輸出入の許認可 低レベル放射性廃棄物施設及び高レベル放射性廃棄物地層処分場の設計 立地 建設 閉鎖の許認可 既存原子炉の安全性に関する検査 運転許可の更新 独立した研究 データ 実験に基づく軽水炉の安全研究 原子力関連事故の事故調査 NRC の規則や基準の制定と施行 NRC の委員会は 大統領が任命し 連邦議会上院が承認した 5 名の委員から構成されており 委員の任期は 5 年間である 5 名の委員のうち 1 名が大統領によって委員長に任命され 同じ政党の委員は 3 名以内としなければならない この委員会の下に管理部門と運営部門 諮問委員会等が設置されている なお NRC の組織図は下図を参照されたい 運営部門には NRC の主要な規制機能を担う 以下の 7 つの局が置かれている 原子炉規制局 (Office of Nuclear Reactor Regulation): 既存の商業用原子炉 研究用原子炉 実験炉の運転に関わるすべての許認可 検査を担当する 新規原子炉局 (Office of New Reactors): 新規商業用原子炉の設計 立地 許認可 建設の安全管理を行う 核セキュリティ 事故対応局 (Office of Nuclear Security and Incident Response): 原子力施設等の安全政策を監視し 安全保障について他の連邦機関との連絡を行い 緊急時対応や事故対応を担当する 地方支局 (Regional Offices): 各地区 ( フィラデルフィア アトランタ シカゴ アーリントンの 4 つ ) で原子炉の検査や執行 許認可 緊急時対応等を担当する 原子力規制研究局 (Office of Nuclear Regulatory Research): 安全性に関する問題の解決のため 独立した専門家の知見や情報の提供を実施 技術的な規制や基準を策定し 原子力発電所の運転等の安全に係る情報を分析 普及を行っている 核物質安全保障局 (Office of Nuclear Material Safety and Safeguards): 商業用原子炉で使用される燃料の製造から保存 輸送 使用済燃料の廃棄までの規制を行う 連邦州核物質環境管理政策局 (Office of Federal and State Materials and Environmental Management Programs): 医療用 産業用 研究用 商業用の核物質の安全安心な利用 原子力施設廃止措置の規制枠組み策定 監視を担当する 規制の問題については 連邦機関や州 地方政府と協働する 図 1-11 に NRC の組織図を示す 22

27 委員会 委員委員委員長委員委員 原子力安全許認可協議パネル 法務顧問 原子炉安全諮問委員会 運営総局長 運営補佐官 国際計画局 秘書局 上訴委員会 副運営総局長 ( 原子炉 対応計画担当 ) 副運営総局長 ( 核物質 廃棄物 研究 州 部族 遵守計画担当 ) 副運営総局長 ( 管理担当 ) 原子炉規制局 原子力規制研究局 情報サービス局 新型炉局 執行局 管理局 核セキュリティ 事故対応局第 1 地区 ( フィラデルフィア ) 核物質安全 保障措調査局連邦 州 核物質 環境管理計画局 コンピューター 防護局 人事局 第 2 地区 ( アトランタ ) 第 3 地区 ( シカゴ ) 第 4 地区 ( アーリントン ) 図 1-11 NRC 組織図 ( 出所 ) 電気新聞 原子力ポケットブック 2014 年版 NRC ウェブサイトを基に作成 23

28 2. イギリス 2-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 一次エネルギー供給構成 2013 年時点でのイギリスの一次エネルギー供給の大半は石油 ガス 石炭であり 特にガスのシェアが高い 表 2-1 一次エネルギー需給バランス COUNTRY: United Kingdom 石油ガス石炭原子力水力 再生可能エネルギー等 (2013 年 Mtoe) 国内生産 輸入 輸出 在庫変動 一次供給 シェア 30% 34% 20% 10% 0% 6% 100% 合計 ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition イギリスは 北海地域の石油 天然ガス資源開発の成功により 長らくエネルギーの純輸出国であった が 2004 年には純輸入国に転じた 表 2-2 エネルギー源別消費動向 COUNTRY: United Kingdom (Mtoe) 石油 ガス 石炭 原子力 水力 その他 合計 シェア 30% 34% 20% 10% 0% 6% 100% '13/'12-1.7% -1.3% -4.3% 0.3% -10.8% 15.2% -1.0% ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 24

29 2-1-2 電力供給構成 イギリスの電源構成は化石燃料発電が過半を占めており 石炭 天然ガスの順で大きなシェアを占めて いる 水力 1% その他 14% 原子力 20% 石炭 37% 2013年 354 TWh 天然ガス 27% 石油 1% Country: United Kingdom 図2-1 発電電力量構成 2013 年 出所 IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition イギリスでは 2000 年代に国産天然ガスを利用したコンバインドサイクル発電のシェアが大幅に伸びて きた 近年は米国のシェール革命の結果 北米でガスの供給力が増し 結果として石炭が余剰となった この石炭が安価に欧州に流入し 石炭火力発電所の競争力が高まり また 近年は自国産ガス生産量の伸 び悩みもあり 2012 年には石炭火力が 40%と最大のシェアを占めるようになった 2000 年以降 政府の再 生可能エネルギー普及促進策の影響もあり 風力発電の容量が着実に増加し 2012 年末時点で再生可能エ ネルギーのシェアが 10%となった COUNTRY: United Kingdom 輸入 輸出 発電 発電構成 石炭 石油 天然ガス 原子力 水力 その他再生可能エネ ,196 62% 26% 1% 10% 1% ,430 73% 12% 1% 13% 1% , , , , ,006 65% 11% 2% 21% 2% 0% 33% 2% 40% 23% 1% 1% 34% 1% 39% 21% 1% 4% 出所 IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 電力輸出入構成 単位 ktoe , ,560 31,035 29% 1% 46% 16% 1% 6% 40% 1% 28% 20% 1% 10% 2010 年頃は年間を通じてネットの電力輸入量は多くなかったが その後 大きく輸入ポジションとな っている 主な輸入元はフランスであり 次いでオランダが近年その量を伸ばしている 一方でアイルラ ンド向けの輸出も 2013 年頃から拡大しており 国外への電力のやりとりの活発化が窺える この要因の 一つとして国内での再生可能エネルギーの導入拡大が指摘される 25

30 Jan-10 Mar-10 May-10 Jul-10 Sep-10 Nov-10 Jan-11 Mar-11 May-11 Jul-11 Sep-11 Nov-11 Jan-12 Mar-12 May-12 Jul-12 Sep-12 Nov-12 Jan-13 Mar-13 May-13 Jul-13 Sep-13 Nov-13 Jan-14 GWh アイルランド オランダ 北アイルランド フランス 合計 month/year ( 出所 ) ENTSO-E より作成 図 2-2 イギリスの電力輸出入の推移 エネルギー価格動向 2007 年以降のイギリスの電力 ガス小売価格は国際的な資源価格の高騰 国内産化石燃料生産の減少を受けて上昇傾向にある 表 2-3 イギリスの電力 ガス価格 ( 税込み ) 電力 ( /MWh) 電力 (US$/MWh) ガス ( /MWh GCV) ガス (US$/MWh GCV) 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 産業用 家庭用 産業用 家庭用 産業用 家庭用 産業用 家庭用 ( 出所 ) IEA, Energy prices and taxes, 2014 年 2Q 26

31 2-1-5 国内商業用原子炉一覧 イギリスでは商業用原子炉として 26 基のガス冷却炉 (GCR マグノックス炉 ) 14 基の改良型ガス冷 却炉 (AGR) 1 基の加圧水型軽水炉 (PWR 1995 年運転開始 ) が順次導入された 2013 年末時点で運 転中の原子炉は 16 基 初期に導入された GCR は 26 基が閉鎖されており 運転中の 1 基の GCR は 2015 年末までに 14 基の AGR も 2023 年までには運転を終了する見通し 表 2-4 イギリスの商業用発電所一覧 ( 稼働中 ) Name Type Status Location Reference Unit Power [MW] 表 2-5 イギリスの商業用発電所一覧 ( 閉鎖 ) Gross Electrical Capacity [MW] First Grid Connection DUNGENESS B-1 GCR Operational Romney Marsh /4/3 DUNGENESS B-2 GCR Operational Romney Marsh /12/29 HARTLEPOOL A-1 GCR Operational HARTLEPOOL /8/1 HARTLEPOOL A-2 GCR Operational HARTLEPOOL /10/31 HEYSHAM A-1 GCR Operational HEYSHAM /7/9 HEYSHAM A-2 GCR Operational HEYSHAM /10/11 HEYSHAM B-1 GCR Operational HEYSHAM /7/12 HEYSHAM B-2 GCR Operational HEYSHAM /11/11 HINKLEY POINT B-1 GCR Operational HINKLEY /10/30 HINKLEY POINT B-2 GCR Operational HINKLEY /2/5 HUNTERSTON B-1 GCR Operational HUNTERSTON /2/6 HUNTERSTON B-2 GCR Operational HUNTERSTON /3/31 SIZEWELL B PWR Operational Leiston /2/14 TORNESS-1 GCR Operational DUNBAR /5/25 TORNESS-2 GCR Operational DUNBAR /2/3 WYLFA-1 GCR Operational ANGLESEY /1/24 Name Type Status Location Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection BERKELEY-1 GCR Permanent Shutdown RIVER SEVERN /6/12 BERKELEY-2 GCR Permanent Shutdown RIVER SEVERN /6/24 BRADWELL-1 GCR Permanent Shutdown BLACKWATER ESTUARY /7/1 BRADWELL-2 GCR Permanent Shutdown BLACKWATER ESTUARY /7/6 CALDER HALL-1 GCR Permanent Shutdown SEASCALE /8/27 CALDER HALL-2 GCR Permanent Shutdown SEASCALE /2/1 CALDER HALL-3 GCR Permanent Shutdown SEASCALE /3/1 CALDER HALL-4 GCR Permanent Shutdown SEASCALE /4/1 CHAPELCROSS-1 GCR Permanent Shutdown ANNAN /2/1 CHAPELCROSS-2 GCR Permanent Shutdown ANNAN /7/1 CHAPELCROSS-3 GCR Permanent Shutdown ANNAN /11/1 CHAPELCROSS-4 GCR Permanent Shutdown ANNAN /1/1 DOUNREAY DFR FBR Permanent Shutdown DOUNREAY CAITHNESS /10/1 DOUNREAY PFR FBR Permanent Shutdown DOUNREAY /1/10 DUNGENESS A-1 GCR Permanent Shutdown ROMNEY MARSH /9/21 DUNGENESS A-2 GCR Permanent Shutdown ROMNEY MARSH /11/1 HINKLEY POINT A-1 GCR Permanent Shutdown HINKLEY POINT /2/16 HINKLEY POINT A-2 GCR Permanent Shutdown HINKLEY POINT /3/19 HUNTERSTON A-1 GCR Permanent Shutdown HUNTERSTON /2/5 HUNTERSTON A-2 GCR Permanent Shutdown HUNTERSTON /6/1 OLDBURY A-1 GCR Permanent Shutdown OLDBURY ON SEVERN /11/7 OLDBURY A-2 GCR Permanent Shutdown OLDBURY ON SEVERN /4/6 SIZEWELL A-1 GCR Permanent Shutdown SIZEWELL /1/21 SIZEWELL A-2 GCR Permanent Shutdown SIZEWELL /4/9 TRAWSFYNYDD-1 GCR Permanent Shutdown MERIONETHSHIRE /1/14 TRAWSFYNYDD-2 GCR Permanent Shutdown MERIONETHSHIRE /2/2 WINDSCALE AGR GCR Permanent Shutdown WINDSCALE /2/1 WINFRITH SGHWR SGHWR Permanent Shutdown DORCHESTER /12/1 WYLFA-2 GCR Permanent Shutdown ANGLESEY /7/21 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System より作成 27

32 2-1-6 原子力発電所運転実績 1990 年以降に原子力の発電設備容量が減少したため 発電量も減少傾向にあった 2007 年に大きく発電量が落ち込んだもののその後は持ち直しており 直近 3 カ年の 年の発電量は概ね横ばいとなっている 特に 2013 年は発電設備容量が前年から減少したにもかかわらず発電量は横ばいであり 設備利用率が過去 30 年の中でも最高水準の 79% となった MW 14,000 設備容量 発電量 TWh 90 12, , , , , , 図 2-3 イギリスの原子力発電所設備容量と発電量の推移 ( 出所 ) IAEA, The Power Reactor Information System (PRIS) より作成 100% 80% 60% 設備利用率 40% 20% 0% 図 2-4 イギリスの原子力発電所の設備利用率の推移 ( 出所 ) IAEA, The Power Reactor Information System (PRIS) より作成 設備利用率は 2007 年に大きく落ち込んだ後 回復傾向にある これについて発電所の原因別停止時間 28

33 データを見ると 要因としては補修及び装置トラブルにかかる時間が短縮されたことによるものと考えら れる 補修 & 燃料交換補修その他装置トラブル hours 4,500 燃料交換人的要因その他外部要因 4,000 3,500 3,000 2,500 外部要因 計画外 計画内 2,000 1,500 1, 図 2-5 イギリスの原因別運転停止時間の推移 ( 出所 ) IAEA, Operating Experience with NPP (OPEX) より作成 2-2 バックエンド関連事業政策の状況 バックエンド政策イギリスのバックエンド政策は政府主導で高レベル放射性廃棄物等の処分における放射性廃棄物管理方針の決定 サイト選定の実施等を行っている 放射性廃棄物の管理及び処分方針は エネルギー 気候変動省 (DECC) 環境 食糧 農村地域省 (DEFRA) 等が策定し 放射性廃棄物の安全規制については 保健安全執行部 (HSE) が実施している イギリス政府は 2010 年にすべての種類の放射性廃棄物を中間貯蔵後 最終的に一つの深地層処分施設に埋設する案を公表しており この過程で事業者は廃棄物の所有権と法的責任を政府に移転する契約を結ぶことになるとしている なお 政府は使用済燃料の取り扱いについて 再処理するか地層処分するかは所有者の商業的判断によるとしている 処分事業の長期的な計画として イギリスの原子力の将来 と題した報告書を 2013 年 3 月に取りまとめており この中で 地層処分場の開発は優先度の高い課題 との認識を示している この報告書は イギリスの原子力開発の中長期戦略となるものであり 2020 年代までに地上からの調査 2030 年代までに処分地の決定と地下特性調査施設の建設作業の開始 2050 年代までに地層処分場の設計 建設 操業の開始というマイルストーンを設定している また 2014 年 7 月 24 日には従来のサイト選定プロセスが難航したことを受けて DECC が新たなサイト選定プロセス等を示した白書 地層処分の実施 - 高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み (2014 年白書 ) を公表した 放射性廃棄物の安全規制は独立機関である原子力規制局 (ONR) や各自治政府が設置している環境規制 29

34 当局が担当している 事業実施主体として 2003 年 6 月 BNFL と英原子力公社 (UKAEA) が保有する施設の法的および財務面の責任を負う機関設立を盛り込んだ法案に基づき 2005 年 4 月に発足した軍事用以外の廃棄物処理や施設の除染 デコミッショニングをなどの債務整理を行う独立機関である原子力廃止措置機関 (NDA) がある また NDA 内に放射性廃棄物管理局 (RWMD) を設置している 19 再処理事業 MOX 燃料加工事業はともに 2005 年の原子力エネルギー法の改正に伴い NDA に資産が移転されており マグノックス炉の廃止措置などの事業とともに NDA 所管で事業が行われている その他 低レベル放射性廃棄物は浅地中処分 中 高レベル放射性廃棄物は上述の通り深地層処分する方針である 低レベル放射性廃棄物については 既にカンブリア州のドリッグ サイトと UKAEA のドーンレイ処分場で浅地中処分を行っているが 将来的な容量不足を踏まえて新規施設の建設が検討されている アルファ核種を含む低 中レベル放射性廃棄物は 現在各発電所サイトで貯蔵されている 表 2-6 イギリスにおける放射性廃棄物の分類と処分 ( 出所 ) 公益財団法人原子力環境整備促進 資金管理センター カナダ イギリス ドイツの放射性廃棄物処分に関する現状について ( 第 38 回原子力委員会資料第 1 号 ) 2014 年 12 月 2 日 IAEA, Operating Experience with NPP (OPEX) より作成 高レベル放射性廃棄物については 地層処分を最終的な管理方針として 2001 年から政府が実施してい る 放射性廃棄物の安全管理 と呼ばれる政府のアクションプログラムを通じて 2006 年に決定された 20 高レベル放射性廃棄物の政策開発 決定の方法として 公開討論を通じて政府に勧告する方式を打ち出し 19 RWMD は 将来的に NDA から分離され 企業化されてサイト許可会社 (SLC) とされることが検討されている 20 高レベル放射性廃棄物を含め 既存の浅地中処分場では処分できない放射性廃棄物を地層処分するという方針 地層処分場には 高レベル放射性廃棄物の他に 中レベル放射性廃棄物や一部の低レベル放射性廃棄物も併置処分することを想定している ( 出所 : 原環センター (2014) 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 )) 30

35 たことが特徴であり 政府は 公開討論の運営 政策提案を担う組織として 委員長を含む 13 名を公募 選任し 2003 年に放射性廃棄物管理委員会 (CoRWM) を設置している CoRWM は公衆 利害関係者参画プログラム (PSE) を進め 管理方針が未定の放射性廃棄物の管理の在り方について 技術 コスト面だけでなく 社会 倫理面からも検討 協議を重ねている 2006 年に CoRWM が提出した勧告を政府が受け入れ 高レベル放射性廃棄物等の地層処分を含む管理方針を決定した 処分の実施主体は 高レベル放射性廃棄物等の中間貯蔵の責任を有していた原子力廃止措置機関 (NDA) に割り当てている バックエンド関連法令バックエンドにかかる事業規制は 主として 1965 年の原子力規制法に基づいて規定されている 使用済燃料及び放射性廃棄物の管理 処分施設を含む原子力施設の建設 操業は 1965 年原子力施設法に基づき 原子力サイト許可の発給を受ける必要があると規定 また 原子力サイト上などでの放射性廃棄物の処分の実施に際しては 1993 年放射性物質法に基づき スコットランド環境保護局 (SEPA) 及び北アイルランド環境省 (DoENI) による事前の許可取得が必要であるとされている イングランドとウェールズでは 法改正により放射性廃棄物を処分するためには環境許可 ( イングランドとウェールズ )( 改正 ) 規則 2011 に基づく許可が必要となっている また 賠償等の責任についても 1965 年原子力施設法が主となっており 原子力事故発生時における許可取得者などの義務や義務の不履行に伴う賠償などに関しての規定が設けられている 安全規制 環境影響に関する法令については後述する 図 2-6 イギリスにおける高レベル放射性廃棄物処分にかかる処分に関わる法制度 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 2-3 バックエンド事業概要 現在 イギリスの放射性廃棄物の総量は 470 万 m 3 で約 500 万トンになり 更に 100 万 m 3 が既に処理 31

36 済みとなっている 総量の内 94% が低レベル 6% が中レベル 0.1% 以下が高レベル廃棄物に分類される 21 イギリスのバックエンド関連事業を担う主体として 2005 年に BNFL と UKAEA の原子力債務を管理する原子力廃止措置機関 (NDA) が設立された この時 債務と同時に施設 資産も NDA に移管され BNFL は DNA との契約によって各施設を運転する会社となった イギリスにおける代表的なバックエンド施設として NDA が保有する Magnox 燃料用及び軽水炉燃料用の再処理施設 (THORP: 年間処理能力 900tHM/ 年および B205: 年間処理能力 1,000tHM/ 年 ) がセラフィールドにある この他に 低レベル放射性廃棄物処分場としてドリッグ サイト ドーンレイ等がある また 廃止措置及び廃棄物処理処分に係る研究開発は活発に行われている なお 民間事業者である EDF Energy は 原子力負債基金 (NLF) 22を通じて 同社が所有する原子力発電所由来の廃棄物処理に取り組んでいる 23 イギリスにおけるバックエンド関連施設の所在地は下図の通り 図 2-7 イギリスの原子力発電所及び原子力関連施設の所在地 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年 版 ) NLF の 2012 年 3 月末現在の積立額は 億ポンド

37 図 2-8 イギリスにおける放射性廃棄物処分の実施体制 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年 版 ) 再処理イギリスでは軍事用プルトニウムの生産を目的に再処理開発を始めたが その後 民間原子力発電計画に基づき発生する使用済燃料の処理 再処理施設を持たない国に対しての再処理請負へと転換してきた Sellafield サイトでは軍事用再処理施設 B204 が 1951 年から 1964 年まで稼動した 同施設は Magnox 燃料 ( 金属ウラン燃料 ) の再処理施設であり 高燃焼度燃料の場合年間 300 トン 低燃焼度燃料の場合年間 750 トンの処理能力であった その後 B204 は民生用燃料も処理できるより大きな B205 施設 ( 処理能力 1,000tHM/y 1964 年 1 月に完成 運転開始 ) に置き換えられ B204 は B205 の前処理施設に衣替えした B205 はイギリスの全ての Magnox 炉からの使用済燃料を再処理するとともに 再処理契約のある海外 ( 日本とイタリア ) の Magnox 燃料の再処理を行うことになった その後 商業用原子炉として軽水炉が重視されたことを受けて BNFL は 使用済燃料の再処理を商業規模で行える施設として THORP (THermal Oxide Reprocessing Plant) の建設を含む拡張計画を立て 1976 年に公称処理能力濃縮ウラン 1,200 トン / 年 最初の 10 年間で 6,000 トンの処理を予定した ( 後に 7,000 トンに修正 ) 基本計画の許可申請を行った 現在の THORP の処理能力は 900tHM/y また 2005 年 4 月には軍事用を除く廃棄物の処理や施設の除染 デコミッショニング等の責務処理を行う原子力廃止措置機関 (NDA) が設立 施設は NDA へ移管されたが セラフィールドの再処理工場の実際の運営は従来どおり BNFL と UKAEA が行っている THORP は 2012 年に入り 2018 年までの既存の再処理契約を終えた後に閉鎖されることが決定されている また 同じくセラフィールドにある B205 再処理施設も Magnox 炉燃料の再処理が終わる 2017 年 ~2028 年頃には閉鎖される予定である 表 2-7 イギリスの再処理施設一覧 処理能力再処理量実績 (thm) 再処理量累計会社名施設名所在地燃料操業開始 (thm/ 年 ) Nuclear Decommissioning Authority(NDA) B205 1, 天然ウラン 1964 カンブリア Sellafield THORP 濃縮ウラン 1994 ( 出所 ) 世界の原子力発電開発の動向 2010~2012( 日本原子力産業協会 ) 33

38 B205 では Purex 法を用いており これまでに発生した 60,000tHM の使用済燃料のうち約 55,500tHM が Sellafield で再処理された 2012 年 7 月に発表された Magnox Operating Programme(MOP)9 24 では 現存の Magnox 炉閉鎖に伴い発生する使用済燃料の処理完了時期を 2017 年 ( 年間処理量 740tHM の場合 )~2028 年 ( 年間処理量 250tHM の場合 ) と想定している 2008 年に発表された MOP8 では 2016 年に処理完了としていたが 2010/2011 年度の処理実績は 233tHM と 目標の 703tHM を大幅に下回る結果となった 25 ように 処理実績が低迷していることが完了時期見直しの主な原因である なお 2012 年 4 月現在 3,800tHM の未再処理 Magnox 炉燃料が保管されている また 2011/2012 までの Magnox 炉燃料処理実績は下図の通りである ( 出所 ) NDA Magnox Operating Programme MOP9 図 2-9 イギリスの Magnox 燃料の再処理実績 THORP 施設も Purex 法を用いて国内の AGR 炉用の使用済燃料処理だけでなく ドイツや日本など海外からの再処理事業を請け負うことを想定していたため 国内需要の約 3 倍の処理容量を持つ施設として設計されている 同施設では国内の使用済燃料に加えて 日本やドイツなど海外の燃料の処理も行われている 同施設は 2011 年まで運転を続ける計画であったが 2005 年 4 月に判明した硝酸溶液漏洩事故以来 操業を長期停止したため 2007 年に処理量を削減し操業を再開した しかし 2012 年 6 月には現在締結されている外国との再処理契約が完了する 2018 年末を目処に閉鎖することを発表した /2011 年度の Magnox 燃料以外の燃料も含めた総再処理量実績は 350.5tHM であり 目標の 200tHM を上回る実績をあげた MOX 燃料成型加工 イギリスには MOX 燃料成形加工施設として MOX 燃料製造技術実証のためにイギリス燃料公社 24 NDA, Magnox Operating Programme (MOP9), 25 NDA, Annual Report & Accounts 2010/ NDA プレスリリース, 2012/6/7, 27 NDA, Annual Report & Accounts 2010/

39 BNFL が Sellafield に設置されていた高速原型炉 PFR 用の MOX 燃料製造施設を改修した MOX Demonstration Facility MDF がある 1993 年に操業を開始し 1999 年までスイス ドイツ 日本から の委託再処理で回収されたプルトニウムを用いた MOX 燃料製造が行われた MOX 粉末製造法としては 高速炉燃料製造に用いられた 富化度調整した二酸化ウランと二酸化プルトニウムの混合物をアトライタ 混合粉砕機 で粉末化する SBR 法が採用された しかし 1999 年に関西電力向けの MOX 燃料製造に おいて試験データの捏造があったことが発覚し 操業停止となった その後 2002 年に SMP 運転支援 データを得るための操業が行われたが 2007 年から解体に入っている 年間の製造能力は 8tHM であ った 同じく Sellafield にある Sellafield MOX Plant SMP は NDA 傘下の Sellafield 社が運用して いた 当初は 海外からの委託再処理で回収されたプルトニウムを原料とする120tHM/年の商業用のMOX 燃料製造施設として BNFL が 1997 年までに建設し 2002 年に操業を開始した しかし 操業開始後 粉末工程などの稼動が順調に進まず スイスなどへの燃料供給が計画通りに実施できなかった その後 達成すべき容量の目標を 40tHM/年に下げて安定操業をめざした取組みがなされてきたが 2011 年 8 月 3 日 NDA は福島事故により日本の原発稼動見通しが不透明となり MOX 成型加工事業の先行きが見通せ なくなったこと理由として SMP を閉鎖することを発表した イギリスの MOX 燃料加工施設一覧を下表に MOX 燃料加工施設位置図を下図に示す 表2-8 イギリスの MOX 燃料加工施設一覧 会社名 Nuclear Decommissioning Authority(NDA) 施設名 所在地 MOX Demonstration Facility (MDF) 製造能力 (thm/年) 2009 生産量実績 生産量累計 2011 操業期間 8 N/A N/A N/A N/A N/A N/A - N/A カンブリア Sellafield Sellafield MOX Plant (SMP 出所 世界の原子力開発の動向 2012 年版 使用済燃料中間貯蔵施設 高レベル放射性廃棄物の処分の方法として地層処分を選択すべきだが 処分が開始できるまでの間は中 間貯蔵を実施するとの方針を CoRWM が 2006 年に政府に勧告した それを受けて 2008 年に DECC によ って公表された 放射性廃棄物の安全な管理 地層処分の実施に向けた枠組み では 中間貯蔵 地層処 分及び研究開発の 3 つの主要な分野に関して 2009 年中に各々の分野についての報告書を政府へ提出す ることとされた 2009 年に CoRWM より提出された報告書では 上記方針に基づいて放射性廃棄物の安 全な管理計画のための研究開発のあり方などについて勧告がなされている 現在 使用済燃料貯蔵設備と して 5 ヶ所が運転中であり 設計容量は合計で 11,000 トンである 2015 年から Sizewell B において乾式 貯蔵設備が運用開始される見込み 表2-9 イギリス使用済燃料貯蔵施設 Facility Name Facility Type NDA Sellafield Fuel Handling Spent Plant Fuel Storage NDA Sellafield Pond Spent Fuel Storage NDA Sellafield Pond 4 Spent Fuel Storage NDA Thorp RT and ST-1,2 Spent Fuel Storage NDA Wylfa NPP Site Spent Fuel Storage NDA Sellafield Pond Spent Fuel Storage NDA Sellafield Pond Spent Fuel Storage Status In operation In operation In operation In operation In operation Decommissioning Decommissioning Scale Commercial Commercial Commercial Commercial Commercial Commercial Commercial 出所 IAEA Numbers of Nuclear Fuel Cycle Facilities より作成 商業用発電所 サイクル施設 実験炉等 廃止措置 35 Design Capacity Start of operation End of operation

40 イギリスでは初期に導入された GCR26 基が閉鎖 FBR が 2 基 SGHWR が 1 基 運転中の 1 基の GCR は 2015 年末までに 14 基の AGR も 2023 年までには運転を終了する見通し ( 廃止措置中の発電所リストは先述の通り ) イギリスでは関連設備の廃止措置について超長期的戦略を採用しており 廃止措置の完了は 140 年後の 2150 年を予定している 下図は Magnox 炉の長期廃止措置計画である ( 出所 ) Magonox (2013), Magnox plan summary 2013 図 2-10 イギリスの Magnox 炉の超長期廃止計画 廃炉について新たに原子力発電所を新設する事業者は 2008 年エネルギー法のもとで 2011 年に廃炉積立計画 (FDP) 指針を策定し 政府の承認を得た上で計画にそって事業資金を積み立てることが義務付けられている 放射性廃棄物の処分計画も FDP に含まれ 最終的には放射性廃棄物の所有権は政府に移転されることとなっている 中 低レベル放射性廃棄物処分場低レベル放射性廃棄物については 既にカンブリア州のドリッグ サイトと UKAEA のドーンレイ処分場で浅地中処分を行っているが 将来的な容量不足を踏まえて新規施設の建設が検討されている アルファ核種を含む低 中レベル放射性廃棄物は 現在各発電所サイトで貯蔵されている 低レベル放射性廃棄 36

41 物処分施設としてドリッグ サイトにおいて NDA が操業する施設がある ドリッグ サイトは 1959 年 より操業を開始しており埋設規模は 1,800,000m 3 埋設方法は浅地中処分である また 2007 年現在でど サイト単独の総埋設量は 800,000m 3 である 28 ドーンレイにある放射性廃棄物処分施設も NDA が操業す る低レベル放射性廃棄物処分施設である 1950 年より操業を開始したが 2005 年に閉鎖されている 同施 設の総埋設量は 34,000m 3 である 29 表 2-10 イギリスの放射性廃棄物処理施設一覧 埋設量実績 (m3) 総埋設量 (m3) 会社名所在地対象廃棄物処分方法埋設規模 (m3) 操業開始 中低レベル ( カンブリア州と同州内の2 市が関心浅地中処分で処分約 500, 年頃表明するも 州議会が次段階に進まできない放射性廃深地層内 ガラス固化体 HLW 2070 ないことを決議 募集継続中 ) 棄物 (7,454) 年代半ば原子力廃止措置機関 (NDA) カンブリア ドリッグ (LLWR) 低レベル浅地中処分 1,800,000 N/A N/A N/A 800,000* 1959 ハイランド ドーンレイ低レベル浅地中処分 34, , ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター IAEA NEWMDB ドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場の管理は NDA との契約の下でイギリス放射性廃棄物管理会社 (UKNWM 社 ;URS 社 ワシントン事業部門が率い Studsvik UK 社 AREVA NC セルコ -アシュアランス社を含む企業グループ ) が担っており 2013 年には同契約を 5 年間延長したことを NDA が公表している 図 2-11 ドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場概要 ( 出所 ) ( 左図 )RI 研究所等廃棄物作業部会第 4 回資料 (2006) ( 議題 1) 諸外国における低レベル放射性廃棄物処分事業の現状 ( 右図 )JAEA(2014) JAEA-Review 欧州地域のウラン廃棄物処分に関する調査; フランス, イギリス及びスウェーデンにおける処分及び規制の現状 (LLW Repository Ltd., "The 2011 Environmental Safety Case, Engineering Design",LLWR/ESC/R(11)10020, より転載 ) 高レベル放射性廃棄物処分場イギリスの高レベル放射性廃棄物処分場の建設実施主体は NDA である 現段階で処分場自体はまだ存在していないものの 2008 年に政府が白書 地層処分の実施に向けた枠組み を定めサイト選定を進めている 2008 年 7 月にカンブリア州のコープランド市が 12 月に同州アラデール市が関心表明 地質調査所 (BGS) の調査のもとで第 3 段階まで達し 更に 2 市は第 4 段階に進むことを決議したが 2013 年 1 月 州議会が第 4 段階に進まないことを決議し 当面 同州でのサイト選定プロセスは終了した NDA では引き続きサイト選定を進め 2040 年頃に操業 ( 低中レベル廃棄物の処分 ) 開始 2070 年代 28 IAEA NEWMDB 29 IAEA NEWMDB 37

42 半ばから高レベル放射性廃棄物の処分を開始する計画である 高レベル放射性廃棄物として処分対象となる廃棄物は既存の処分場で処理できない放射性廃棄物であり パッケージの総量は約 50 万 m 3 と推定されている その内 ガラス固化体の処分用パッケージの総量は 7,454m 3 と推定されている 廃棄物の処分深度は 200~1,000m が想定 現在 ガラス固化廃棄物はセラフィールドの再処理施設サイト内に貯蔵されているが NDA は操業開始時期を 2040 年頃 ( 高レベル放射性廃棄物の処分は 2070 年代半ば ) から開始する計画としている 30 図 2-12 地層処分場の概念図 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) その他 ( 研究所 実験施設等 ) 2011 年 11 月 8 日に ブリストル大学とオックスフォード大学が共同で 現在と将来の原子力発電所の設計と安全運転に資する研究および原子力産業界に対する技術者の育成を目的として設立された原子力研究センター (Nuclear Research Centre: NRC) 31 や NDA と多数の原子力事業者により 2012 年 5 月 28 日に開所したイギリスの原子力先端製造研究センター (NAMRC) イギリスの科学技術全体の振興役 InovateUK(NSB から改称 ) イギリス国立原子力研究所 (NNL) 等がある この他に Manchester 大学 Dalton 研究所や Oxford college 等 大学でも研究が行われている NAMRC は 先進製造工程に関する研究 技術を行っており Manchester 大学 Dalton 研究所の援助を受け Sheffield 大学によって運営される 32, 33 InovateUK 34 は広く科学技術をカバーしており その中に原子力に関するグループも有しており サプライチェーン全体にかかる研究 福島第一原発事故を受けた研究開発も進めている イギリス国立原子力研究所 (NNL) は燃料サイクル全体の研究に取り組んでお 30 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 31 同上 イギリス原子力産業協会 (NIA)(2013) イギリスの原子力産業の動向

43 り 廃止措置のコストダウンに係る研究も行っている 35 また NDA も 2004 年エネルギー法によって地層処分を含む研究を実施することが決められており 2009 年 3 月に地層処分の実現に向けた研究開発戦略文書を公表している 同戦略では NDA の研究開発テーマとして以下の 6 つを挙げている 1 高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料に関する研究開発の進展 拡張 2ウラン及びプルトニウムなどの核物質の将来の管理戦略の開発支援 3 中レベル放射性廃棄物処分のための研究開発の継続 4 処分プログラムの実施上の諸問題への対応 5サイト特性調査の準備 6 社会科学的研究の実施である 2-4 バックエンド事業関連プレーヤーイギリスにおけるバックエンドに関連するプレーヤーとして 政府及び政府系組織としての NDA 更に独立起案として規制機関である ONR 及び放射性廃棄物管理委員会 CoRWM がある この他に民間事業者として EDF Energy はじめ発電事業者と関連設備の立地自治体がある 官民独立機関及び自治体がそれぞれに団体を組織し 相互にコミュニケーションを図ることが出来る形となっている イギリスのバックエンド事業の主要なプレーヤーは廃止措置の専門組織である NDA である 2011 年度の NDA の収入は 1,300 億円程度 支出が 8,300 億円程度であり 差額の約 7,000 億円が税金処理されていると見られる それぞれの組織の関係性と役割は以下の図の通り 放射性廃棄物管理委員会 (CoRWM) 廃棄物処理に関する公開討論の運営 政策提案を担当 公募委員 13 名で構成 放射性廃棄物処理の実施計画の精査 助言 政府 放射性廃棄物管理方針の決定 サイト選定等の責任を負う バックエンド事業はエネルギー 気候変動省 (DECC) が主管 放射性廃棄物の最終処分計画の実施に係るパートナーシップ 周辺自治体 サイト選定プロセスへの参加検討 ( 参加決定後 ) 地域立地パートナーシップ (CSP) を組織 独立した存在 資金的支援 CfD 制度 規制機関 ( 原子力規制局 :ONR) バックエンド関連事業を含む 原子力施設の建設 操業 廃止等の許可 原子炉の廃止措置 放射性廃棄物最終処分の計画 実施等の許可 原子力廃止措置機関 (NDA) 原子炉の廃止措置 放射性廃棄物最終処分の計画 実施 事業者 (EDF Energy) 原子力発電事業者 図 2-13 イギリスのバックエンド関連事業に係る主要なプレーヤー 2-5 原子力安全規制体系の概要と動向 安全規制関連法と許認可スキーム 36 イギリスの原子力事業については 1946 年に制定された 原子力法 を基本法としており 原子炉の設 日本エネルギー法研究所 (2013) 諸外国における原子力発電所の安全規制に関する法制度 2013 年 1 月 参照 39

44 置 運転等の規制を定めた 原子力施設法 (NIA) (1965 年 ) 及び 安全規制機関の設置と権限等を定めた 労働保健安全法 (HSWA) (1974 年 ) に基づいて 原子力施設の実質的な安全規制を実施している また 放射性廃棄物については環境許可規制 (EPR)( 2010 年 ) がある その他の関連法令として 1993 年の 放射性物質法 1970 年の 放射線防護法 1999 年の 電離放射線規則 原子炉規則 2001 年の 放射性規則 2003 年の 原子力産業セキュリティ規則 などが挙げられる これら法律の下でエネルギー気候変動省 (DECC) 37 環境 食糧 農村省 (DEFRA) 環境庁 (EA) 及びスコットランド環境保護庁 (SEPA) が原子力施設の安全 放射線防護等の方針を策定することとなっている また 原子力全般の安全に関する規制は保健安全執行部 (HSE) 38 が実施している 許認可手続きについては HSE は主に原子炉設計の審査を EA SEPA は環境影響への審査を行っている EA と SEPA は 1995 年環境法の規制枠組みに基づいて設置されており HSE と EA 及び SEPA は 相互の規制を矛盾無く 調和的かつ包括的に実施するための協定を結んでいる イギリスの規制手法は 2010 年環境許可規則に基づく物質規制と 1965 年原子力施設法に基づく事業 施設の様態を問わない包括的な施設規則を組み合わせた規制方式を採用している点に特徴がある なお 原子力許可サイト内の放射性物質使用等にかかる規則は原子力施設法に基づく施設規制の中で対応されるが 環境許可規則も放射性廃棄物の排出等の規制対象に関連する設備の限りにおいて施設規制の側面も有している また 原子力サイト許可にはサイト寿命全体にわたる規制が含まれる点にも特徴があり 規制当局としていつでも規制の追加 変更 取り消しを可能とする権限が与えられているものでサイト特有の状況や寿命にあった柔軟な規制を可能とするものと理解される 安全規制機関原子力の規制を担う機関である原子力規制局 (ONR) は 2011 年 2 月の閣僚声明で原子力発電事業を規制する新たな独立した規制機関を設置することが発表され 創設された 従来 イギリスの原子力施設の建設と安全操業に関する主務官庁は 労働安全衛生法に基づいて設立された保健安全執行部 (HSE) 内の原子力局 (ND) 39 であり 個別の安全規制及び許認可などを行っていた この ND の役割が ONR に置き換えられたこととなり 事業者の原子炉建設許認可を行っている ONR の設置によって 民生利用 放射性輸送安全性 安全保障規制が一箇所に統合されることになった 同年 10 月 24 日より 運輸省危険物課放射性物質輸送班が統合され 2014 年 4 月より改正エネルギー法成立により独立機関となった 下図に 2015 年現在の ONR の組織図を示す ONR 役員の中には 必ずしも原子力が専門ではなく 会計士や労働安全人事責任者 労働組合代表などが就任している 一方で許認可の発行 法令に基づく命令など安全規制に関する全責任を負う常勤役員の一人である首席原子力検査官 (CNI: Chief Nuclear Inspector) は ONR スタッフ 即ち原子力安全規制の専門家がその任についている 役員会は安全規制に関する責任は負っておらず 全責任を CNI が負うという点において 委員会による合議制とされるアメリカ原子力規制委員会 (NRC) やフランス原子力安全委員会 (ASN) とは異なる体制にある 37 エネルギー政策と気候変動対策を連動させるため 2008 年 10 月に発足 1 イギリスのエネルギー セキュリティの確立 2 低炭素経済への移行 3 国際的な気候変動対策の取り組み などを活動の柱に掲げている ( 出所 : 電気新聞 原子力ポケットブック 2011 年版 509 頁 ) 38 原子力施設法 (1965 年 ) が改訂され エネルギー大臣とスコットランド大臣が有していた許認可権限を移管された組織 労働保健安全法 (1974 年 ) を根拠とし 作業活動によるリスク管理の確保を目的に原子力産業安全に関するほとんど全ての事項を取り扱う HSE は原子力安全諮問委員会 (NuSAC) の助言を受けて 安全規制政策の枠組みの策定や規制を実施 原子力事業者に敷地許可等原子力施設に関する許認可を発給する権限を持つ 2008 年 4 月に保健安全委員会 (HSC:Health and Safety Commission) を吸収合併し 独立した規制機関となった ( 出所 :ATOMICA) 年に設立され 1975 年にエネルギー省から HSE の執行局として移管された 独立機関 原子力施設の規制を担っており 原子力施設の維持 改善 放射線防護が主な役割で 標準設計認証 (GDA) のほか ライセンスの発給やライセンス条件 ( 運用規則 ) の策定及びその遵守状況の監視 放射性廃棄物の安全規制 緊急時の避難体制 原子力安全研究 国際協力などの安全性を実施する ( 出所 :ATOMICA) 40

45 民生用原子力安全 理事長 原子力施設主任検査官 副主任検査官 政府技術アドバイザー Sellafield ONR 横断事業 民生用原子炉 防衛 廃炉 燃料 廃棄物 ( 出所 ) ONR ウェブサイトより作成 副理事長 図 2-14 ONR 組織図 HR 戦略 HR 運用 IT セキュリティ コーポレートガバナンス ONR 取締役会担当 政策 国際部門 計画 ファイナンス 理事長室 41

46 3. スウェーデン 3-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 一次エネルギー供給構成 COUNTRY: Sweden 表 3-1 一次エネルギー需給バランス 石油ガス石炭原子力水力 ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 再生可能エネルギー等 (2013 年 Mtoe) 国内生産 輸入 輸出 在庫変動 一次供給 シェア 25% 2% 5% 36% 11% 22% 100% 合計 COUNTRY: Sweden 表 3-2 エネルギー源別消費動向 ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition (Mtoe) 石油 ガス 石炭 原子力 水力 その他 合計 シェア 25% 2% 5% 36% 11% 22% 100% '13/'12-4.7% -5.1% 1.0% 2.8% -22.4% -4.3% -4.3% 42

47 3-1-2 電力供給構成 その他 13% 石炭 2% 石油 0% 天然ガス 1% 水力 40% 2013 年 152 TWh 原子力 43% 図 3-1 発電電力量構成 (2013 年 ) ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition Country: Sweden COUNTRY: Sweden 単位 :ktoe 輸入 ,110 1,574 1,254 1,284 1,005 輸出 ,262-1,172-1,889-1,105-2,688 発電 6,713 8,282 12,555 12,490 13,619 12,767 14,313 ( 発電構成 ) 石炭 1% 0% 1% 2% 1% 2% 1% 石油 19% 10% 1% 1% 1% 1% 0% 天然ガス 0% 0% 0% 2% 1% 原子力 3% 28% 47% 39% 46% 39% 38% 水力 77% 61% 50% 54% 46% 45% 47% その他再生可能エネ 1% 1% 1% 3% 6% 11% 12% ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 43

48 Jan-10 Mar-10 May-10 Jul-10 Sep-10 Nov-10 Jan-11 Mar-11 May-11 Jul-11 Sep-11 Nov-11 Jan-12 Mar-12 May-12 Jul-12 Sep-12 Nov-12 Jan-13 Mar-13 May-13 Jul-13 Sep-13 Nov-13 Jan-14 GWh 電力輸出入構成 ポーランドノルウェイフィンランドデンマークドイツ合計 month/year ( 出所 ) ENTSO-E より作成 図 3-2 スウェーデンの電力輸出入の推移 エネルギー価格動向 表 3-3 スウェーデンの電力 ガス価格 ( 税込み ) 電力 (SEK/MWh) 電力 (US$/MWh) ガス (SEK/MWh GCV) ガス (US$/MWh GCV) 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 産業用 家庭用 1,485 1,570 1,609 1,516 1,522 産業用 家庭用 産業用 家庭用 , , ,060.2 産業用 家庭用 ( 出所 ) IEA, Energy prices and taxes, 2014 年 2Q 国内商業用原子炉一覧 スウェーデン国内には 10 基の商業用原子炉が稼働中である (2014 年末時点 ) スウェーデン国内商業 用原子炉一覧を表 3-4~3-5 に示す 44

49 表 3-4 スウェーデンの商業用発電所一覧 ( 稼働中 ) Name Type Status Location Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection FORSMARK-1 BWR Operational OESTHAMMAR /6/6 FORSMARK-2 BWR Operational OESTHAMMAR /1/26 FORSMARK-3 BWR Operational OESTHAMMAR /3/5 OSKARSHAMN-1 BWR Operational OSKARSHAMN /8/19 OSKARSHAMN-2 BWR Operational OSKARSHAMN /10/2 OSKARSHAMN-3 BWR Operational OSKARSHAMN /3/3 RINGHALS-1 BWR Operational RINGHALS /10/14 RINGHALS-2 PWR Operational RINGHALS /8/17 RINGHALS-3 PWR Operational RINGHALS /9/7 RINGHALS-4 PWR Operational RINGHALS /6/23 表 3-5 スウェーデンの商業用発電所一覧 ( 閉鎖 ) Name Type Status Location Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection AGESTA PHWR Permanent Shutdown AGESTA /5/1 BARSEBACK-1 BWR Permanent Shutdown BARSEBACK /5/15 BARSEBACK-2 BWR Permanent Shutdown BARSEBACK /3/21 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System より作成 原子力発電所運転実績 MW 12,000 設備容量 発電量 TWh 80 10, , , , , 図 3-3 スウェーデンの原子力発電所設備容量と発電量の推移 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System 45

50 100% 80% 60% 設備利用率 40% 20% 0% 図 3-4 スウェーデンの原子力発電所の設備利用率の推移 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System hours 3,500 3,000 補修 & 燃料交換 補修 改修 アップレート & 燃料交換 その他 装置トラブル 補修 規制 人的要因 その他 外部要因 2,500 2,000 1,500 1,000 計画外 計画内 外部要因 ( 出所 ) IAEA, Operating Experience data 図 3-5 スウェーデンの原因別運転停止時間の推移 46

51 3-2 バックエンド関連事業政策の状況 バックエンド関連政策スウェーデンでは 原子力発電所から発生する使用済燃料を再処理せず 高レベル放射性廃棄物として地下約 500m の結晶質岩中に地層処分する方針である 使用済燃料は各発電所で冷却した後 スウェーデン核燃料 廃棄物管理会社 (SKB) が操業する 集中中間貯蔵施設 (CLAB) に輸送し 地下 30m に設けられたプールで貯蔵されている バックエンド関連法令 バックエンド事業に関連する主な法令を以下に示す 図 3-6 スウェーデンにおける処分事業に関する法律 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 3-3 バックエンド事業関連プレーヤー 廃止措置表 3-4~3-5 に示したとおり これまでに 3 基の原子炉が閉鎖されている Ågesta の所有者は Atomenergi AB Barsebäck1/2 号機の所有者は Ringhals AB である 廃止措置に関する規制は スウェーデン原子力安全規制機関 Strålsäkerhetsmyndigheten(Swedish Radiation Safety Authority SSM) が管轄する 再処理 スウェーデンには 商業用再処理施設が存在しない MOX 燃料成型加工 スウェーデンには MOX 燃料成型加工施設が存在しない 47

52 3-3-4 放射性廃棄物処分スウェーデンでは 原子力活動法 によって 電力会社が発電所から生じる放射性廃棄物を安全に処分する責任を有することが規定されている スウェーデンの電力会社は 処分事業の実施主体となるスウェーデン核燃料 廃棄物管理会社 (SKB) を 1984 年に共同出資で設立した SKB は 使用済燃料の集中中間貯蔵施設 (CLAB) や低中レベル放射性廃棄物の処分場 (SFR) の操業も行っている 図 3-7 スウェーデンの処分実施体制 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 3-4 バックエンド事業概要 再処理 スウェーデンでは 再処理事業を行っていない MOX 燃料成型加工 スウェーデンでは MOX 燃料成型加工事業を行っていない 使用済燃料貯蔵施設 スウェーデンは 使用済燃料を再処理せず 直接処分を行う事を基本方針としている 商業用発電所 サイクル施設 ( 実験炉等 ) 廃止措置表 3-4~3-5 で示したとおり スウェーデンではこれまでに 3 基の原子炉が閉鎖された そのうち商業用発電所である Barsebäck1, 2 号機では 事業者の出資する廃棄物処分事業主体 SKB が 2020 年以降の廃止措置を計画中である 同プラントから発生する解体廃棄物の貯蔵施設を Forsmark にある SFR 貯蔵施設 ( 次節参照 ) 内に建設するための検討が 2015 年から開始される予定となっている SSM ウェブサイト 48

53 Barsebäck 発電所の事例の詳細は以下の通り 41 同発電所は 1965 年に Sydkraft AB 社によって土地が取得され 1975 年に Barseback1 号機 1977 年に 2 号機が稼働を開始した 同地に建設が決定された理由として 大量の冷却用水にアクセスできる点 同地の土地所有者が 1 人で取得が容易だった点 5km 圏内に居住する人が極めて少なかった点などが挙げられている 一方 原子力利用に抗議する運動がスウェーデン国内で活発化し 1978 年には参加者 2 万人規模の抗議活動が Barseback 発電所に向けて行われた 1980 年のスウェーデン原子力利用に関する国民投票が行われ 過半数が原子力の利用縮小に賛成票を投じた これを受けてスウェーデンの原子力発電所の段階的な閉鎖が決定され 国会は遅くとも 2010 年までには全ての原子炉を利用停止とすることを決定した また Barseback 発電所の立地場所はデンマーク首都のコペンハーゲンから極めて近い距離にあり デンマーク議会で発電所の停止を要求する法案が成立するなど デンマークからの外交的圧力が強くなっていった 42 こうした動きを受けてスウェーデン エネルギー環境大臣は原子炉の閉鎖を求める法案を強行採決した また 1997 年には原子力利用停止に関する法律が成立し 政府は原子力発電所の閉鎖を行う権限を与えられた 1998 年 2 月に政府は同法を根拠に Barseback1 号機を 1998 年 6 月までに閉鎖する事を決定したものの 事業者側より最高行政裁判所への訴えがなされ事から閉鎖は延期された 最終的に 1999 年 11 月に 1 号機が閉鎖され 2005 年 5 月には 2 号機が閉鎖されることになった スウェーデン Barseback 発電所 図 3-8 Barseback 発電所位置図 ( 出所 ) Google map なお 現在の Barseback 発電所では廃炉作業が進められている他 サイトの有効活用のため新たに Barseback トレーニング 研究センターを設立した 同センターでは 放射線防護トレーニングや治安部隊向けの対テロ対処訓練を提供している また破壊検査を行う事ができ 発電所設備を活用した原子力研究 開発や発電所運営実行上の課題点のテスト等を行っている 中 低レベル放射性廃棄物処分場 nhance-safety-/facilities-in-sweden/decommissioning-of-nuclear-facilities/ 41 Barseback Kraft AB, HP 42 Ragnar E. Löfstedt, Fairness across Borders:The Barsebäck Nuclear Power Plant ニューハンプシャー大学 43 Carl G Lindvall, Barseback Kraft AB, 49

54 スウェーデンの放射性廃棄物処理施設一覧を表 3-7 に 放射性廃棄物処理施設位置図を図 3-8 に示す 表3-6 スウェーデンの放射性廃棄物処理施設一覧 国名 スウェーデン 出所 会社名 スウェーデン核燃料 廃棄物管 理会社 SKB 2009 埋設量実績 m 総埋設量(m3) 2011 操業開始 約12,00tU 年頃 63, , 所在地 対象廃棄物 処分方法 埋設規模(m3) ウプサラ県 フォルスマルク 使用済燃料 深地層 結晶質岩 ウプサラ県 フォルスマルク SFR-1 短寿命中低レベル 岩盤内空洞 公財 原子力環境整備促進 資金管理センター フォルスマルク 図3-9 スウェーデンの放射性廃棄物処理施設位置図 出所 Google map SFR-1 は 1984 年に電力会社 4 社が共同出資して設立した民間会社である スウェーデン核燃料 廃 棄物管理会社 SKB が操業する短寿命中低レベル放射性廃棄物処分場である SFR-1 は フォルスマル ク原子力発電所の沖合 3km の海面下 50m に建設されており 1988 年から操業を開始している なお 極低レベル放射性廃棄物は原子力発電所サイト内で浅地中処分され クリアランス レベル以下の廃棄物 は 産業廃棄物として埋設処分または再利用される44 埋設規模は 63,000m3 であり SKB は埋設規模を 190,000m3 まで拡張する計画である 高レベル放射性廃棄物処分場 44 ATOMICA スウェーデンの核燃料サイクル ( ) 45 SKB aspx 50

55 スウェーデンの高レベル放射性廃棄物処分場の建設 操業実施主体は SKB である 処分場サイトの選定方法は 法令で定められていないが SKB が 3 年毎の研究開発計画を作成し これを規制機関等がレビューし 最終的に政府が承認する手続きを通じた間接的な規制が行なわれている 1995 年から行なわれた FS 調査受入れ承認が得られた 6 自治体での SKB による調査が行なわれ その結果 2000 年に 3 ヶ所が候補地となり サイト調査を受入れた 2 自治体で 2005 年まで調査を進めた結果 2009 年に SKB はフォルスマルクを処分場の建設予定地点として選定した 2011 年 3 月に SKB は立地 建設の許可申請書を提出している 2013 年 9 月に SKB が提出した 放射性廃棄物の管理及び処分方法に関する研究開発実証プログラム 2013(RD&D プログラム 2013) 46 では 新たな処分事業のスケジュールを提示しており 使用済燃料の処分場建設開始を 2019 年 操業開始を 2029 年としている 全ての使用済燃料をそのまま処分する方針であり 合計約 12,000tU が処分される計画である 処分場は結晶質岩層の深さ約 500m の地点に設置される予定である その他 ( 研究所 実験施設等 ) スウェーデンには商業用軽水炉の導入以前に建設された実験炉とウラン精錬施設が存在する 47 いずれ も現在は廃止措置中ないしは廃止措置が完了している R1 スウェーデン王立工科大学 (KTH) 構内の地下に建設された 天然ウランを燃料とし 重水減速 重 水冷却の実験炉 1954 年運転開始 R2 スウェーデン原子力研究所 (Atomenergi AB 現 Studsvik) 構内に建設された 天然ウラン燃料の 材料試験炉 1961 年から運転開始 Ranstad スウェーデン中部のウラン鉱床 Sydbillingen のウラン鉱石から天然ウランを抽出する目的で建設さ れたウラン精錬実証施設 1965 年から 1969 年にかけてウラン約 200 トンをスウェーデン原子力計画 に資するために生産している 1980 年代にはアルミニウム精錬施設として稼働し 2009 年に操業停止 した R2-0 R2 と同時期に建設され 主に教育用の実験炉として使用された R2 と同時期に 2005 年廃止措置 Ågesta ストックホルム南部に建設されたスウェーデン最初の発電炉で 1964 年に運転開始し 1974 年まで電 力及び地域熱供給に用いられていた 形式は重水冷却炉 燃料は天然ウランを使用している 熱出力は 当初の設計では 65MW であったが 1970 年代初めに 80MW に変更となり 電気出力は 10MW であっ た 3-5 原子力安全規制体系の概要と動向 安全規制関連法と許認可スキーム原子力施設の安全管理 放射性物質管理 放射線防護を担当しているのは スウェーデン放射線 安全規制機関 (Swedish Radiation Safety Authority / Strålsäkerhetsmyndigheten; SSM) である SSM に 46 RD&D プログラムとは 使用済燃料を含む放射性廃棄物の安全な管理 処分 及び原子力施設の廃止措置に関する包括的な研究開発などの計画のこと 原子力活動法に基づき 原子力発電事業者が 3 年ごとに策定することを義務付けられている SKB は原子力発電事業者 4 社の委託を受け とりまとめている 47 SSM ウェブサイト nhance-safety-/facilities-in-sweden/decommissioning-of-nuclear-facilities/ 51

56 は 原子力安全部 放射性物質部 放射線防護部 国際協力室のほか 管理部 組織サービス部がある 原子力発電所の新設に際しては 原子力活動法に基づいて与えられる許可と 環境法典に基づいて与え られる許可の 2 つの許可がそれぞれ必要となり 2 つの許可申請は同時並行で審査 審理が進められる 安全規制機関 SSM は 2008 年 7 月に当時の原子力監督局 (Swedish Nuclear Power Inspectorate: SKI) と国立放射線防護研究所 (Swedish Radiation Protection Institute: SSI) が統合し 誕生した SSM は 原子力活動法 放射線防護法のもとにそれぞれ制定された政府令に基づき 安全規制に係る技術的な要求事項や規制手続き上の詳細等を定める各種規則を制定する権限を有する 予算の配分上 SSM は環境省の下に位置付けられるが 同省の直接の指揮監督下にはない 図 3-9 に SSM の組織図を示す 長官 副長官 国際関係室 原子力安全部 放射性物質部 放射線防護部 開発部 管理部 施設放射線防護 運転 廃止措置 緊急時対応 分析 方法論 財務 発電所運転 財務管理 医療被ばく 研究 人事 人材 技術 組織 防護管理 環境評価 法務 IT 原子炉技術 分析 核不拡散 輸送 放射線対応 コミュニケーション 構造的完全性 事象分析 放射性廃棄物処分 特別活動班 システム評価 図 3-10 SSM 組織図 ( 出所 ) SSM ウェブサイトを基に作成 52

57 4. フランス 4-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 一次エネルギー供給構成 COUNTRY: France 表 4-1 一次エネルギー需給バランス 石油ガス石炭原子力水力 ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 再生可能エネルギー等 (2013 年 Mtoe) 国内生産 輸入 輸出 在庫変動 一次供給 シェア 28% 15% 5% 44% 2% 6% 100% 合計 フランスでは 電力需要の約 75% が原子力発電によって賄われており 1 次エネルギー需給においても 原子力が 44% という高いシェアを占めている 表 4-2 エネルギー源別消費動向 COUNTRY: France (Mtoe) 石油 ガス 石炭 原子力 水力 その他 合計 シェア 28% 15% 5% 44% 2% 6% 100% '13/'12-4.2% 1.6% 10.4% -0.4% 21.4% 4.3% 0.0% ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 53

58 4-1-2 電力供給構成 その他 石炭 石油 4% 5% 1% 水力 13% 天然ガス 3% 2013年 570 TWh 原子力 74% Country: France 図4-1 発電電力量構成 2013 年 出所 IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 第一次石油危機以降 輸入石油への依存低減のため 国内資源開発 省エネルギー推進 供給源の多様 化を進めており 特に国内資源としての原子力開発を積極的に進めた結果 発電電力量に対する原子力発 電の占める割合は 2012 年で約 76%と非常に高くなっている COUNTRY: France 輸入 輸出 発電 発電構成 石炭 石油 天然ガス 原子力 水力 その他再生可能エネ 出所 , ,345-1,066 22, ,482 35, ,293 46, ,882 49,137 20% 40% 6% 8% 26% 0% 27% 19% 3% 24% 27% 0% 8% 2% 1% 75% 13% 1% 6% 1% 2% 77% 13% 1% 5% 1% 4% 79% 9% 1% IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 54 単位 ktoe ,675 1,050-4,316-4,879 48,534 48,108 5% 1% 4% 76% 11% 3% 4% 1% 4% 76% 10% 5%

59 Jan-10 Mar-10 May-10 Jul-10 Sep-10 Nov-10 Jan-11 Mar-11 May-11 Jul-11 Sep-11 Nov-11 Jan-12 Mar-12 May-12 Jul-12 Sep-12 Nov-12 Jan-13 Mar-13 May-13 Jul-13 Sep-13 Nov-13 Jan-14 GWh 電力輸出入構成 イタリアイギリススペインドイツスイスベルギー合計 month/year ( 出所 ) ENTSO-E より作成 図 4-2 フランスの電力輸出入の推移 エネルギー価格動向 2009 年以降のフランスの電力 ガス価格は 資源価格の高騰に伴い 上昇傾向にある 表 4-3 フランスの電力 ガス価格 ( 税込み ) 電力 ( /MWh) 電力 (US$/MWh) ガス ( /MWh GCV) ガス (US$/MWh GCV) 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 産業用 家庭用 産業用 家庭用 産業用 家庭用 産業用 家庭用 ( 出所 ) IEA, Energy prices and taxes, 2014 年 2Q 55

60 4-1-5 国内商業用原子炉一覧 フランスでは 2014 年末時点で運転中の原子炉は商業用原子炉として 56 基の加圧水型軽水炉 (PWR) が運転中であり Flamanville 発電所において 1 基の EPR(European Pressurized Reactor) プラントが 建設中である 同国ではこれまでに 12 基の GCR(Gas Cooled Reactor) PWR FBR(Fast Breeder Reactor), が閉鎖されており 現政権は Fessenheim1 号機の閉鎖を公約に掲げている 表 4-4 フランスの商業用発電所一覧 ( 稼働中 ) Name Type Status Location Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection BELLEVILLE-1 PWR Operational LENE /10/14 BELLEVILLE-2 PWR Operational LENE /7/6 BLAYAIS-1 PWR Operational BRAUD ST.LOUIS /6/12 BLAYAIS-2 PWR Operational BRAUD ST.LOUIS /7/17 BLAYAIS-3 PWR Operational BRAUD ST.LOUIS /8/17 BLAYAIS-4 PWR Operational BRAUD ST.LOUIS /5/16 BUGEY-2 PWR Operational ST.VULBAS /5/10 BUGEY-3 PWR Operational ST.VULBAS /9/21 BUGEY-4 PWR Operational ST.VULBAS /3/8 BUGEY-5 PWR Operational ST.VULBAS /7/31 CATTENOM-1 PWR Operational CATTENOM /11/13 CATTENOM-2 PWR Operational CATTENOM /9/17 CATTENOM-3 PWR Operational CATTENOM /7/6 CATTENOM-4 PWR Operational CATTENOM /5/27 CHINON B-1 PWR Operational AVOINE /11/30 CHINON B-2 PWR Operational AVOINE /11/29 CHINON B-3 PWR Operational AVOINE /10/20 CHINON B-4 PWR Operational AVOINE /11/14 CHOOZ B-1 PWR Operational CHARLEVILLE /8/30 CHOOZ B-2 PWR Operational CHARLEVILLE /4/10 CIVAUX-1 PWR Operational CIVAUX /12/24 CIVAUX-2 PWR Operational CIVAUX /12/24 CRUAS-1 PWR Operational CRUAS /4/29 CRUAS-2 PWR Operational CRUAS /9/6 CRUAS-3 PWR Operational CRUAS /5/14 CRUAS-4 PWR Operational CRUAS /10/27 DAMPIERRE-1 PWR Operational DAMPIERRE-EN-BURLY /3/23 DAMPIERRE-2 PWR Operational DAMPIERRE-EN-BURLY /12/10 DAMPIERRE-3 PWR Operational DAMPIERRE-EN-BURLY /1/30 DAMPIERRE-4 PWR Operational DAMPIERRE-EN-BURLY /8/18 FESSENHEIM-1 PWR Operational FESSENHEIM /4/6 FESSENHEIM-2 PWR Operational FESSENHEIM /10/7 FLAMANVILLE-1 PWR Operational FLAMANVILLE /12/4 FLAMANVILLE-2 PWR Operational FLAMANVILLE /7/18 GOLFECH-1 PWR Operational AGEN /6/7 GOLFECH-2 PWR Operational AGEN /6/18 GRAVELINES-1 PWR Operational GRAVELINES /3/13 GRAVELINES-2 PWR Operational GRAVELINES /8/26 GRAVELINES-3 PWR Operational GRAVELINES /12/12 GRAVELINES-4 PWR Operational GRAVELINES /6/14 GRAVELINES-5 PWR Operational GRAVELINES /8/28 GRAVELINES-6 PWR Operational GRAVELINES /8/1 NOGENT-1 PWR Operational NOGENT-SUR-SEINE /10/21 NOGENT-2 PWR Operational NOGENT-SUR-SEINE /12/14 PALUEL-1 PWR Operational PALUEL /6/22 PALUEL-2 PWR Operational PALUEL /9/14 PALUEL-3 PWR Operational PALUEL /9/30 PALUEL-4 PWR Operational PALUEL /4/11 PENLY-1 PWR Operational PENLY /5/4 PENLY-2 PWR Operational PENLY /2/4 ST. ALBAN-1 PWR Operational SAINT-MAURICE-L'EXIL /8/30 ST. ALBAN-2 PWR Operational SAINT-MAURICE-L'EXIL /7/3 ST. LAURENT B-1 PWR Operational ST. LAURENT DES EAUX /1/21 ST. LAURENT B-2 PWR Operational ST. LAURENT DES EAUX /6/1 TRICASTIN-1 PWR Operational PIERRELATTE /5/31 TRICASTIN-2 PWR Operational PIERRELATTE /8/7 TRICASTIN-3 PWR Operational PIERRELATTE /2/10 TRICASTIN-4 PWR Operational PIERRELATTE /6/12 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System より作成 56

61 表 4-5 フランスの商業用発電所 ( 新規建設 ) 一覧 Reference Unit Gross Electrical First Grid Name Type Status Location Power [MW] Capacity [MW] Connection FLAMANVILLE-3 PWR Under Construction FLAMANVILLE ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System より作成 表 4-6 フランスの商業用発電所 ( 閉鎖 ) 一覧 Name Type Status Location Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection BUGEY-1 GCR Permanent Shutdown ST.VULBAS /4/15 CHINON A-1 GCR Permanent Shutdown AVOINE /6/14 CHINON A-2 GCR Permanent Shutdown AVOINE /2/24 CHINON A-3 GCR Permanent Shutdown AVOINE /8/4 CHOOZ-A (ARDENNES) PWR Permanent Shutdown CHARLEVILLE /4/3 EL-4 (MONTS D'ARREE) HWGCR Permanent Shutdown BRENNILIS /7/9 G-2 (MARCOULE) GCR Permanent Shutdown MARCOULE /4/22 G-3 (MARCOULE) GCR Permanent Shutdown MARCOULE /4/4 PHENIX FBR Permanent Shutdown MARCOULE /12/13 ST. LAURENT A-1 GCR Permanent Shutdown ST. LAURENT DES EAUX /3/14 ST. LAURENT A-2 GCR Permanent Shutdown ST. LAURENT DES EAUX /8/9 SUPER-PHENIX FBR Permanent Shutdown CREYS-MALVILLE /1/14 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System より作成 原子力発電所運転実績 MW 70,000 60,000 設備容量 発電量 TWh , , , , , 図 4-3 フランスの原子力発電所設備容量と発電量の推移 57

62 100% 80% 60% 設備利用率 40% 20% 0% 図 4-4 フランスの原子力発電所の設備利用率の推移 hours 燃料交換補修 & 燃料交換補修 2,500 その他装置トラブル燃料交換 人的要因その他外部要因 2,000 計画外 1,500 外部要因 1,000 計画内 図 4-5 フランスの原因別運転停止時間の推移 58

63 4-2 バックエンド関連事業政策の状況 バックエンド関連政策フランスでは 原子力開発利用の初期段階で GCR 開発され 商業用発電炉として導入されたが その後 PWR 型軽水炉に全面的に切り替えられている これまでに停止した発電炉は 表 4-6 に示す通り 炭酸ガス冷却炉 (GCR)6 基 PWR 1 基 重水減速炭酸ガス冷却炉 (HWGCR)1 基 FBR スーパーフェニックス 及びフェニックス プルトニウム生産兼発電炉 G2 及び G3 の 12 基である このうち 第一世代発電炉及びスーパーフェニックスは 2021 年までに解体を完了する予定である 2014 年に下院を通過した エネルギー転換法 では現在フランスの総発電量の約 75% を占める原子力の割合を 2025 年までに 50% に引き下げるとしており 同法案では具体的な廃止措置のスケジュールは記載されていないものの この目標が達成される場合には今後 10 年以内にフランス国内での廃止措置が増加することが想定される フランスでは La Hague 再処理施設において原子力発電所から発生した使用済燃料の再処理が行われている 同施設の再処理量は消費される MOX 燃料の量に基づいて計画されており この再処理量を超える使用済燃料は各発電所の使用済燃料プール等に保管されている フランス国内における使用済燃料の貯蔵量は年々増加しており 貯蔵施設の拡張が検討されている フランスでは 2012 年の大統領選によって政権交代が起こったが 同年開催された原子力政策審議会おいて 使用済燃料を再処理し MOX 燃料として利用していく方針が確認されており 福島第一原発事故後もフランスのサイクル政策に変更は無い また フランスでは将来の高速炉開発計画において核燃料サイクルの確立 ( 全量再処理 ) を目指しており 最終処分については 地層処分が基本となっている バックエンド関連法令フランスにおける原子力施設の安全規制の基本となるのは 2006 年 6 月に制定された 原子力安全透明化法 (TSN 法 ) 48 である これはフランスでの原子力活動の内容についての正確な情報が公表されるように行政府から独立した機関を設けることを目的としており これにより ASN( 原子力安全機関 : Autorité de Sûreté Nucléaire) が設立された 原子炉の解体の各過程は ASN の指針によって規制される TSN 法の施行デクレでは放射性廃棄物処分場も対象に含まれる原子力基本施設 (INB:Installations nucléaires de base) の定義や その具体的な設置許可手続などが規定されている また 深地層における放射性廃棄物の最終処分に関する安全指針が ASN により 2008 年に策定されている この指針では処分場閉鎖後の安全性を確保するために 放射性廃棄物の地層処分場の設計及び建設段階で遵守する項目を定めている また 処分場の設計及び建設の責任を負う実施主体である放射性廃棄物管理機関 (ANDRA: Agence Nationale pour la Gestion des Dechets Radioactifs) は ASN に対して この規則の適用状態に関する報告を行うことが定められている フランスでは 放射性廃棄物等管理計画法 (2006 年制定 ) において 放射性廃棄物管理に係る方針が定められている 同法では 高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物について将来の世代にも選択が可能となるよう 可逆性のある地層処分 を行うことを基本としており 2015 年までの地層処分場の設置許可申請 2025 年の操業を目標としている また 同法では政府が管理計画を策定すること 地下研究所区域に設置される地域情報フォローアップ委員会 (CLIS:Commission Locale d'information et de surveillance) 地下研究所または地層処分場区域に設置される公益事業共同体 (GIP:Groupement d'intérêt public) についても規定されている 高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物管理研究に係る諸活動の法的枠組みを与えることを目的として 放射性廃棄物管理研究法 が定められている 同法では 長寿命放射性核種の分離 48 TSN 法の正式名称は Loi n o du 13 juin 2006 relative à la transparence et à la sécurité en matière nucléaire である 59

64 変換 可逆性のあるまたは可逆性のない地層処分 長期地上貯蔵 長寿命放射性核種の分離 変換と中間 貯蔵に関する研究の実施が規定されている 以下にフランスにおけるバックエンド事業に係る法律 ( デクレを含む ) を示す 図 4-6 フランスにおける処分事業に関する法律 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 IAEA, Power Reactor Information System より作成 60

65 4-3 バックエンド事業関連プレーヤー 廃止措置 フランスにおいてこれまでに停止した発電炉は 表 4-6 に示す通り GCR 6 基 PWR 1 基 重水減速 炭酸ガス冷却炉 HWGCR 1 基 FBR スーパーフェニックス 及びフェニックス プルトニウム生産兼 発電炉 G2 及び G3 の 12 基であり いずれも所有者は EDF Électricité de France である このうち 第一世代発電炉 8 基及びスーパーフェニックスは 2028 年までに解体する計画が示されている49 廃止措置の規制については ASN が 技術面での支援組織である原子力安全 放射線防護研究所 IRSN:Institut de Radioprotection et de Sûreté Nucléaire の協力を得て実施している 再処理 フランスでは 軍事用プルトニウム生産炉の燃料を処理する UP1 を Marcoule に建設し 1958 年に稼 働させている その後 La Hague にも再処理施設が建設され 現在稼働しているのは UP2-800 UP-3 である フランスの再処理施設 閉鎖済も含む を下表に示す 表4-7 フランスの再処理施設一覧 Name Location UP1 UP2 UP2-400 UP2-800 UP-3 AT-1 APM TOP APM TOR Marcoule La Hague La Hague La Hague La Hague La Hague Marcoule Marcoule Status Decomissioning Decomissioning Decomissioning Operational Operational Decomissioning Decomissioning Decomissioning Ownwer CEA AREVA AREVA AREVA AREVA AREVA CEA CEA operating period 原子力分野の規制機関である ASN が再処理工場の規制を担当しており IRSN が技術的な支援を行っ ている 最終処分 フランスにおける高レベル放射性廃棄物処分に係る実施主体は ANDRA であり その他 政策決定等を 行う政府や議会 規制行政機関である ASN が関連機関として挙げられる このうち 議会の議員代表部 である議会科学技術選択評価委員会 OPECST L'Office parlementaire des choix scientifiques et technologiques は 可逆性のある地層処分 という基本方針の策定に深く関与している 政府の諮問組織として 放射性物質及び放射性廃棄物の管理研究 調査に関する国家評価委員会 CNE Comité National d Évaluation が設置されており 放射性廃棄物等管理計画法に基づき 全て の放射性廃棄物の管理を評価対象として年次評価報告書を取りまとめている 経済産業省 HP 61

66 図 4-7 フランスにおける処分事業の実施体制 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 62

67 4-4 バックエンド事業概要 再処理 フランスにおいて稼働中の再処理施設一覧を下表に 再処理施設位置図を下図に示す 表4-8 フランスの再処理施設 稼働中 一覧 国名 会社名 フランス AREVA NC 施設名 所在地 UP2-800 再処理量実績(tHM) 再処理量累計 ,000 バス ノルマンディー la Hague UP3 出所 処理能力 thm 年 1,045 1,023 1,172 29,195 1,000 世界の原子力発電開発の動向 日本原子力産業協会 La Hague 図4-8 フランスの再処理施設位置図 出所 Google map La Hague にある再処理工場は AREVA NC が所有 運営しており 使用済燃料貯蔵 前処理施設も 併設されている 1961 年に CEA の決定により GCR の使用済燃料再処理工場 UP2 の建設が開始された 1967 年に UP2 が商業運転開始 1974 年に CEA が UP2 における軽水炉用使用済燃料の再処理事業を認 可した 1976 年 軽水炉用の使用済燃料再処理事業が開始され 同年同サイトの運営権が CEA から COGEMA 現 AREVA NC に移管された 1981 年 増大する再処理事業の需要に対して COGEMA が UP3 の建設に着手 同年に両プラントからの廃水処理施設として STE-3 の建設も承認され 1987 年 STE 年 UP-3 がそれぞれ操業を開始している 1994 年には UP2 を閉鎖し UP2-800 が操業開 始している 現在の UP2-800 と UP3 の年間再処理能力はそれぞれ 1,000tHM であるが 両施設トータル の年間再処理能力は 1,700tHM である51 両施設とも再処理には PUREX 法が用いられている La Hague にある再処理工場には使用済燃料を貯蔵するプールが併設されており 各プールの貯蔵能力 は C プール 4,800tHM D プール 4,600tHM E プール 6,200tHM HAO プール 400tHM NPH 51 ATOMICA フランスの再処理施設 ( ) 63

68 プール :2,000tHM となっている 年末時点での UP2-800 と UP3 による再処理量累計は 27,000tHM であり 内 62% は EDF( フ ランス ) 20% はドイツ 11% は日本から持ち込まれた使用済燃料を再処理している その他 オランダ ベルギー スイス イタリア等の使用済燃料を受け入れた実績がある また 2005 年からは試験研究炉の 燃料を再処理することが可能となっており オーストラリア及びベルギーからの燃料を受け入れている 53 再処理に伴って発生し La Hague サイトに保管されている放射性廃棄物は 2011 年末時点でガラス固 化体 (CSD-V) が 11,138 体 固形物収納体 (CSD-C) が 11,308 体である 現在保管されている廃棄物の 起源国 即ち返還対象となる廃棄物の割合は下表の通りである なお 日本向けの CSD-V は 2007 年 3 月末までに 1,310 本を日本に輸送しており ガラス固化体の返還は終了している 年末時点で La Hague サイトには再処理に伴って発生したウランが 346t プルトニウムが 57t 保管されている 現在保管されているウラン プルトニウムの起源国は 表 6-5 の通りである 2011 年末時点で La Hague サイトに再処理を行うために一時的に保管されているウラン燃料は オー ストラリア :0.131tHM ベルギー :0.143tHM スイス :0.148tHM となっている 55 表 4-9 La Hague サイトに保管されている廃棄物の起源国 (%) 国名 CSD-V(%) CSD-C(%) フランス ドイツ オーストラリア <0.1 0 ベルギー スペイン 0 -* イタリア 日本 オランダ スイス ( 出所 ) AREVA Traitement des combustibles usés provenant de l étranger dans les installations d AREVA NC La Hague * スペインは現在 CSD-C が返還対象となっていない 表 4-10 La Hague サイトに保管されているウラン プルトニウムの起源国 (%) 国名ウラン (%) プルトニウム (%) フランス オーストラリア <0.1 <0.1 ベルギー <0.1 <0.1 イタリア 日本 オランダ ( 出所 ) AREVA Traitement des combustibles usés provenant de l étranger dans les installations d AREVA NC La Hague 52 IAEA INFCIS 53 AREVA Traitement des combustibles usés provenant de l étranger dans les installations d AREVA NC La Hague 54 日本原燃ウェブサイト 55 AREVA Traitement des combustibles usés provenant de l étranger dans les installations d AREVA NC La Hague 64

69 4-4-2 MOX 燃料成型加工 フランスの MOX 燃料加工施設一覧を下表に MOX 燃料加工施設位置図を下図に示す 表4-11 フランスの MOX 燃料加工施設一覧 国名 フランス 出所 会社名 製造能力 (thm/年) 施設名 所在地 カダラッシュ ガール県 Bagnols-sur-Cèze 40 - メロックス ガール県 Marcoule t AREVA NC 2011 生産量実績 生産量累計 2013 操業期間 - - N/A t 124t N/A 1974 世界の原子力開発の動向 年版 MELOX Cadarache 図4-9 フランスの MOX 燃料加工施設位置図 出所 Google map Cadaracheの再処理施設は 1962年から1991年まではCEAが操業しており 1991年に当時COGEMA 社 現在の AREVA NC 社 が 南仏 Cadarache に設置された CEA の高速炉用 MOX 燃料製造施設を譲 り受けて 軽水炉用 MOX 燃料の製造を開始した 原料には UP-2 再処理工場で回収されたプルトニウ ムが用いられた しかし より容量の大きな MELOX 施設が 1995 年に運開して順調に操業されたことか ら 2000 年に操業停止の方針が決定され 2003 年に操業が停止された MOX 燃料の製造能力は 年間 40tHM であった フランス南部の Marcoule にある MELOX 工場は 1985 年に電力庁と当時 COGEMA 社 Framatom 社 現在の AREVA NP 社 の間で建設が合意され 1990 年に建設開始 1995 年に操業を開始した MOX 燃料成型加工施設である UP-2 および UP-3 における国内および海外委託の再処理で回収されたプルト ニウムを原料とする 100tHM/年の商業用の MOX 燃料製造技術施設であり これまでに 国内 および ドイツ ベルギー スイス 日本に軽水炉用 MOX 燃料を供給してきている また 2003 年 2006 年に 容量が拡大され 現在は 195tHM/年となっている 2011 年の製造実績は 145tHM であり MIMAS 法 を採用している 65

70 4-4-3 使用済燃料中間貯蔵施設 EDF は毎年 約 1,200tHM の使用済燃料を取り出しており その内 850tHM 程度を再処理のために La Hague に移送している 残余は 将来第四世代炉を立ち上げる際に必要となるプルトニウムを供給するために再処理する目的で 保管されている 56 国内には La Hague に使用済燃料貯蔵施設がある 貯蔵施設は La Hague C / D / E / HAO / NPH とよばれる 5 つの区域に別けられており 総貯蔵容量は 18,000tHM である 年末時点で これまでに発生した使用済燃料の 70% は湿式 19% は乾式で保管されており 11% は再処理済みである 年時点での使用済燃料総貯蔵量は 14,204tHM である一方 2035 年までに貯蔵施設容量を増強させる予定は無い 商業用発電所 サイクル施設 ( 実験炉等 ) 廃止措置これまでに停止した発電炉は 表 4-6 に示す通り GCR 6 基 PWR 1 基 重水減速炭酸ガス冷却炉 (HWGCR)1 基 FBR スーパーフェニックス 及びフェニックス プルトニウム生産兼発電炉 G2 及び G3 の 12 基である このうち 第一世代発電炉及びスーパーフェニックスは 2028 年までに解体を完了する予定である 中 低レベル放射性廃棄物処分場フランスでは 低レベル放射性廃棄物を浅地中埋設する方針としており 1969 年から La Manche 処分場で受け入れていたが 1994 年に容量が限界に達したため閉鎖された 1992 年には La Manche 処分場の後継処分場として建設された Aube 処分場が操業を開始しており フランス国内で発生する短寿命の低 中レベル放射性廃棄物の全てを受入れ対象としている Aube 処分場の処分容量は約 100 万 m 3 ( 先行のラ マンシュ処分場は 53 万 m 3 ) であり 2050 年頃まで約 60 年間の操業が可能と見込まれている Aube 処分場の運営は ANDRA が行っており Aube 処分場は INB に区分されるため 10 年ごとに安全評価を実施し 認可の更新を行う必要がある 一部の低レベル放射性廃棄物はセントラコ低レベル放射性廃棄物集中処理センターにおいて減容されている この施設はフランス電力庁と COGEMA 社 ( 現 AREVA NC) が共同出資 (EDF51% COGEMA49%) して設立した SOCODEI 社が運営し 廃棄物の減容により処分コストの低減と処分場の延命を目的としたフランス唯一の低レベル放射性廃棄物集中処理センターであり 1999 年から操業している この施設では 発電所から発生する低レベル放射性廃棄物 (LLW:Low Level Wastes) の約 35% を受入れており 残りは発電所から直接 Aube 処分場に搬出されている フランス国内の極低レベル放射性廃棄物 (VLLW:Very Low Level Waste) については Morvilliers 処分場にて処分中である Morvilliers 処分場は Aube 処分場から数 km の距離に位置しており 2003 年より操業している Morvilliers 処分場の処分容量は 650,000m 3 で約 30 年間の操業が想定されている なお VLLW は 処分される廃棄物中の放射性核種濃度が低いため 原子力基本施設に適用される規制は受けず 環境保護指定施設に適用される規制を受ける 56 World Nuclear Association, 57 IAEA INFCIS 58 World Nuclear Association, 59 OECD/NEA, Nuclear Energy Data 66

71 4-4-6 高レベル放射性廃棄物処分場フランスでは原子力発電で発生した使用済燃料を再処理しており 地層処分の対象は再処理によって生じる高レベル廃液を固化したもの ( ガラス固化体 ) である また 再処理によって発生する TRU 廃棄物などの長寿命中レベル放射性廃棄物も同じ処分場内の異なる区画で併置処分する方針である ANDRA は Bure の研究施設付近の Meuse 県と Haute-Marne 県にまたがる地域に 高レベル放射性廃棄物および長寿命中レベル放射性廃棄物を 100 年以上回収可能な状態で貯蔵できる深地層最終処分場 CIGEO の建設を予定しており 2019 年に建設を開始 2025 年の操業開始を目指している ANDRA は 2013 年 5 月から 12 月の期間 CIGEO 建設に関する公開討論会を実施し 2014 年 7 月には 予備的研究作業を開始している その他 ( 研究所 実験施設等 ) フランスでは 高レベル放射性廃棄物の深地層への処分の研究の一環として Meuse/Haute-Marne 両県にまたがる東部サイトの Bure に粘土質岩を対象にした地下研究所が設置されている この Bure 地下研究所は 地上施設 主立坑 補助立坑および地下 445m レベルと 490m レベルにある水平坑道群で構成されている 地上施設としては 地下施設建設のための櫓 掘削土置き場 調整池 資材置き場 研究員の研究棟 ボーリングコア保存庫などが整備されている Bure ( 出所 ) Google map 図 4-10 Bure 地下研究所位置図 67

72 IRSN は 最新の国内及び国際的知見に基づいて 原子力と放射線リスクに関する分野の研究を実施しており 民生 軍事の両部門で 原子力の安全性 放射線防護 核セキュリティに関して 公的機関への技術サポートを行っている また IRSN は 既設炉の安全に関わる研究についてその全てを実施している フランス原子力 新エネルギー庁 (CEA:Commissariat à l énergie atomique et aux énergies alternatives) は 国防を含む原子力だけでなく 環境 新エネルギー 材料 情報 通信等の幅広い研究を行っている 原子力に関係しては 原子力廃棄物技術や次期炉 ( 第四世代原子炉 ) である高速炉による燃料サイクル技術や高温炉による電気 水素製造技術の開発等を研究しているが 既設炉の安全性に関する研究に CEA が関与することはない なお フランスでは放射性廃棄物管理計画法において 中間貯蔵および地層処分に係る建設費 運営費用確保のため ANDRA 内に INB 事業者からの拠出による基金を設置することが定められている また 同様に研究税を資金源とする研究活動に係る基金も ANDRA 内に設置されている 4-5 原子力安全規制体系の概要と動向 安全規制関連法 安全規制機関および許認可スキームフランスの原子力安全基本法に相当する TSN 法が 2006 年に制定されており この法律に基づき 行政機関や事業者から独立した 原子力安全機関 (ASN:Autorité de Sûreté Nucléaire) が設立されている ASN 委員会 ( 委員長 委員 ) 情報 技術管理室 (MEA) 本部長副本部長技術参与 秘書課長 事務局 (SG) 原子力発電所部門 (DCN) 原子力圧力機器部門 (DEP) 輸送 資源部門 (DTS) 廃棄物 研究施設 燃料サイクル施設部門 (DRC) 電離放射線 厚生部門 (DIS) 環境 緊急事態部門 (DEU) 国際関係部門 (DRI) 通信 広報部門 (DCI) ホ ルト ー支局 カン支局 シャロン アンカンハ ーニュ支局 テ ィシ ョン支局 リール支局 リヨン支局 マルセイユ支局 ナント支局 オルレアン支局 ハ リ支局 ストラスフ ール支局 技術支援組織 科学委員会 放射線防護原子力安全研究所 (IRSN) 諮問委員会 (7 委員会 ) ( 出所 ) 原子力ポケットブック 2014 より作成 図 4-11 ASN の組織図 68

73 TSN 法では各 INB 立地地域での CLI の設置が定められており 原子力の安全性 放射線防護 原子力施設の原子力活動の 人および環境に対する影響調査 情報収集 協議 情報公開といった一般的な任務を負うものとされている CLI の委員は 当該地域の地方議員 当該地域選出の国民議会 元老院議員 当該地域で活動する環境保護団体の代表者 代表権を有する労働組合の代表者 経済団体の代表者 医療関係者及び専門家から構成されている 60 が ASN の代表者だけでなく 事業者がこの委員会に出席 発言することができる すなわち ASN と事業者の橋渡し役としての機能も有しているといえる バックエンド関連法令は 参照 60 Décret n o du 12 mars 2008, article 5. 69

74 5. ドイツ 5-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 一次エネルギー供給構成表 5-1 一次エネルギー需給バランス COUNTRY: Germany 石油ガス石炭原子力水力 再生可能エネルギー等 (2013 年 Mtoe) 国内生産 輸入 輸出 在庫変動 一次供給 シェア 33% 23% 25% 8% 1% 10% 100% 合計 ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 表 5-2 エネルギー源別消費動向 COUNTRY: Germany (Mtoe) 石油 ガス 石炭 原子力 水力 その他 合計 シェア 33% 23% 25% 8% 1% 10% 100% '13/'12 0.2% 4.8% -2.6% -2.2% -5.7% -2.7% 0.0% ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 70

75 5-1-2 電力供給構成 水力 3% その他 22% 原子力 15% 2013 年 629 TWh 石炭 47% 天然ガス 11% 石油 1% Country: Germany 図 5-1 発電電力量構成 (2013 年 ) ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition COUNTRY: Germany 単位 :ktoe 輸入 1,693 2,010 2,724 3,882 4,890 3,695 3,979 輸出 ,395-2,644-3,619-5,283-4,981-5,746 発電 32,194 40,105 47,047 49,163 52,903 53,841 53,592 ( 発電構成 ) 石炭 69% 63% 59% 53% 48% 44% 46% 石油 12% 6% 2% 1% 2% 1% 1% 天然ガス 11% 14% 7% 9% 12% 14% 12% 原子力 3% 12% 28% 30% 27% 22% 16% 水力 4% 4% 3% 4% 3% 3% 3% その他再生可能エネ 1% 1% 1% 3% 8% 15% 21% ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 71

76 Jan-10 Mar-10 May-10 Jul-10 Sep-10 Nov-10 Jan-11 Mar-11 May-11 Jul-11 Sep-11 Nov-11 Jan-12 Mar-12 May-12 Jul-12 Sep-12 Nov-12 Jan-13 Mar-13 May-13 Jul-13 Sep-13 Nov-13 Jan-14 GWh 電力輸出入構成 スウェーデンポーランドオランダルクセンブルグフランスデンマークチェコスイスオーストリア合計 month/year ( 出所 ) ENTSO-E より作成 図 5-2 ドイツの電力輸出入の推移 エネルギー価格動向 表 5-3 ドイツの電力 ガス価格 ( 税込み ) 電力 ( /MWh) 電力 (US$/MWh) ガス ( /MWh GCV) ガス (US$/MWh GCV) 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 産業用 家庭用 産業用 家庭用 産業用 家庭用 産業用 家庭用 ( 出所 ) IEA, Energy prices and taxes, 2014 年 2Q 72

77 5-1-5 国内商業用原子炉一覧ドイツ国内には 9 基の商業用原子炉が稼働中である (2014 年末時点 ) ドイツ国内商業用原子炉一覧を表 5-4~5-5 に示す 表 5-4 ドイツの商業用発電所一覧 ( 稼働中 ) Name Type Status Location Reference Unit Power [MW] Gross Electrical Capacity [MW] First Grid Connection BROKDORF PWR Operational OSTERENDE /10/14 EMSLAND PWR Operational LINGEN (EMS) /4/19 GRAFENRHEINFELD PWR Operational SCHWEINFURT /12/30 GROHNDE PWR Operational GROHNDE /9/5 GUNDREMMINGEN-B BWR Operational GUNDREMMINGEN /3/16 GUNDREMMINGEN-C BWR Operational GUNDREMMINGEN /11/2 ISAR-2 PWR Operational ESSENBACH /1/22 NECKARWESTHEIM-2 PWR Operational NECKARWESTHEIM /1/3 PHILIPPSBURG-2 PWR Operational PHILIPPSBURG /12/17 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System より作成 表 5-5 ドイツの商業用発電所一覧 ( 閉鎖 ) Name Type Status Location Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection AVR JUELICH HTGR Permanent Shutdown JUELICH /12/17 BIBLIS-A PWR Permanent Shutdown BIBLIS /8/25 BIBLIS-B PWR Permanent Shutdown BIBLIS /4/25 BRUNSBUETTEL BWR Permanent Shutdown BRUNSBUETTEL /7/13 GREIFSWALD-1 PWR Permanent Shutdown GREIFSWALD /12/17 GREIFSWALD-2 PWR Permanent Shutdown GREIFSWALD /12/23 GREIFSWALD-3 PWR Permanent Shutdown GREIFSWALD /10/24 GREIFSWALD-4 PWR Permanent Shutdown GREIFSWALD /9/3 GREIFSWALD-5 PWR Permanent Shutdown GREIFSWALD /4/24 GUNDREMMINGEN-A BWR Permanent Shutdown GUNDREMMINGEN /12/1 HDR GROSSWELZHEIM BWR Permanent Shutdown KARLSTEIN /10/14 ISAR-1 BWR Permanent Shutdown ESSENBACH /12/3 KNK II FBR Permanent Shutdown EGGENSTEIN /4/9 KRUEMMEL BWR Permanent Shutdown GEESTHACHT /9/28 LINGEN BWR Permanent Shutdown LINGEN /7/1 MUELHEIM-KAERLICH PWR Permanent Shutdown MULHEIM-KAERLICH /3/14 MZFR PHWR Permanent Shutdown KARLSRUHE /3/9 NECKARWESTHEIM-1 PWR Permanent Shutdown NECKARWESTHEIM /6/3 NIEDERAICHBACH HWGCR Permanent Shutdown NIEDERAICHBACH /1/1 OBRIGHEIM PWR Permanent Shutdown OBRIGHEIM /10/29 PHILIPPSBURG-1 BWR Permanent Shutdown PHILIPPSBURG /5/5 RHEINSBERG PWR Permanent Shutdown GRANSEE /5/6 STADE PWR Permanent Shutdown STADE /1/29 THTR-300 HTGR Permanent Shutdown HAMM-UENTROP /11/16 UNTERWESER PWR Permanent Shutdown STADLAND /9/29 VAK KAHL BWR Permanent Shutdown KAHL /6/17 WUERGASSEN BWR Permanent Shutdown WUERGASSEN /12/18 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System より作成 73

78 5-1-6 原子力発電所運転実績 30,000 MW 設備容量発電量 TWh , , , , , 図 5-3 ドイツの原子力発電所設備容量と発電量の推移 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System 100% 80% 60% 設備利用率 40% 20% 0% ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System 図 5-4 ドイツの原子力発電所の設備利用率の推移 74

79 2,500 hours 補修 & 燃料交換改修 アップレート & 燃料交換装置トラブル規制 補修その他燃料交換その他 2,000 計画外 1,500 外部要因 1,000 計画内 ( 出所 ) IAEA, Operating Experience data 図 5-5 ドイツの原子力発電所の設備利用率の推移 5-2 バックエンド関連事業政策の状況 バックエンド関連政策ドイツでは 当初は使用済燃料を再処理して核物質を再利用するよう法律で定めていたが 1994 年の原子力法改正により 再処理せずに使用済燃料を直接処分することを原子力発電事業者が選択できるようなった その後 原子力発電からの段階的撤退政策を受けて 2002 年 4 月に改正された原子力法において 再処理を目的とした使用済燃料の原子力発電所からの搬出を 2005 年 7 月以降永続的に禁止している 原子力発電所で発生する使用済燃料は 原則として処分のために搬出するまで 発生したサイト内で貯蔵する方針である 使用済燃料は 燃料プールで約 5 年間冷却された後 輸送貯蔵兼用キャスク に収納して貯蔵される こうした乾式貯蔵は 運転中と閉鎖された原子力発電所を含め 12 の原子力発電所で実施されている 一部の使用済燃料は 原子力発電所から搬出され ゴアレーベンとアーハウスの 2 カ所の集中中間貯蔵施設で貯蔵されている 電力会社などが出資しこれらの中間貯蔵施設を操業する原子力サービス会社は ゴアレーベン中間貯蔵施設において使用済燃料だけでなく フランスとイギリスに委託した再処理からの返還ガラス固化体 ( 高レベル放射性廃棄物 ) を併せて貯蔵する計画であった ゴアレーベン中間貯蔵施設では 1995 年から使用済燃料を収納した 輸送貯蔵兼用キャスク の受け入れが始まった しかし 使用済燃料の輸送に対する反対運動が激しくなったことから 1997 年を最後に使用済燃料の搬入は行われていない 外国からの返還ガラス固化体の受け入れは継続していたが 2013 年 3 月の連邦とニーダーザクセン州の合意に基づき 搬入が停止されることになった アーハウス中間貯蔵施設では 主として研究炉や高温 61 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 75

80 ガス炉 ( 実験炉と実証炉 いずれも 1980 年代末に廃止 ) の使用済燃料を乾式貯蔵している なお 旧東 ドイツに導入された原子力発電所の廃止措置に伴い それらの発電所からの使用済燃料が ノルト集中中 間貯蔵施設において乾式貯蔵されている 図 5-6 ドイツの放射性廃棄物の主要な流れ ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 バックエンド関連法令ドイツでは 原子力の平和利用及びその危険の防護に関する法律 ( 原子力法 ) が 原子力の利用 放射性廃棄物管理 ( 貯蔵 処分等 ) の許認可手続や 関係機関の役割や責任等を定めている 放射性廃棄物の処分場設置の責任が連邦にあることも この原子力法で定められている 一方 処分サイトの選定は 発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律 ( サイト選定法 ) に基づいて行われる この法律では 選定に関わる安全要件や調査対象サイトの決定 処分サイトの最終決定など サイト選定に関わる重要な決定は市民集会などの公衆参加プロセスにかけた上で 最終的に議会が連邦法として採択するという形をとると定めている ドイツでは放射性廃棄物を定置する前のサイト調査活動は原子力法の適用を受けず 鉱山法の許認可取得が必要となる ゴアレーベンの地下探査活動も この鉱山法の許可に基づいて行われていた 76

81 図 5-7 ドイツにおける処分事業に関する法律 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 5-3 バックエンド事業関連プレーヤー 再処理ドイツは 2002 年 4 月に改正された原子力法において 再処理を目的とした使用済燃料の原子力発電所からの搬出を 2005 年 7 月以降永続的に禁止しており 再処理事業者は存在しない それ以前に搬出された約 6,670 トンの使用済燃料が 主としてフランス及びイギリスにおいて再処理さ 62 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 77

82 れている MOX 燃料成型加工 ドイツには MOX 燃料成型加工事業者は存在しない 5-4 バックエンド事業概要 再処理 ドイツには再処理事業は存在しない MOX 燃料成型加工 ドイツには MOX 燃料成型加工事業は存在しない 使用済燃料中間貯蔵施設ゴアレーベンには ゴアレーベン中間貯蔵社が操業する使用済燃料と放射性廃棄物の中間貯蔵施設も設置されている 同施設は 使用済燃料及びガラス固化体の集中中間貯蔵施設 放射性廃棄物集中中間貯蔵施設 及び使用済燃料のパイロットコンディショニング施設で構成されている 使用済燃料及びガラス固化体の集中中間貯蔵施設には約 5,000m 2 の敷地に 420 本のキャスクを貯蔵することが可能で 使用済燃料とフランスから返還されたガラス固化体が貯蔵されている 放射性廃棄物集中中間貯蔵施設には 原子力発電所や医療 産業 研究利用から発生する放射能レベルの低い廃棄物が貯蔵されている それらの廃棄物は 同施設に輸送される前に鉄やコンクリートで作られた容器に封入される 同施設は面積が 4,500 m 2 高さが 5m となっている 使用済燃料のパイロットコンディショニング施設は 使用済燃料を最終処分に適した形態へとコンディショニングするための技術開発のために設置されている ただし 現在の利用許可は 使用済燃料用キャスクの補修に制限されている アーハウス中間貯蔵施設は 1984 年に設置された使用済燃料の中間貯蔵施設で 電力会社の共同出資によって設立された原子力サービス社が施設の操業を行っている 貯蔵建屋は 全長 200m 幅 38m 高さ 20m となっている 旧東ドイツのグライフスバルト原子力発電所では 現在 世界最大級の廃止措置が進められているが サイト近傍に設置されたノルト中間貯蔵施設では 同発電所などからの使用済燃料が貯蔵されている ノルト中間貯蔵施設はノルト エネルギー社によって操業されており 上記の使用済燃料だけでなく 他の発電所の使用済燃料や廃止措置に伴い発生する廃棄物の貯蔵も行っている 商業用発電所 サイクル施設 ( 実験炉等 ) 廃止措置ドイツでは既に 27 基について廃止申請が行われ 事業者による廃止措置が進められている ( 解体完了分を含む ) しかしながら 福島事故を受け 政治的判断により 2011 年 8 月に廃止が決定された 8 基については 事業者が連邦政府に対して損害賠償請求を行うなどしており 具体的な廃止スケジュールは決まっていない 中 低レベル放射性廃棄物処分場 63 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 78

83 ドイツでは 処分時に考慮すべき熱影響の観点から放射性廃棄物を区分している 発熱性放射性廃棄物 ( 使用済燃料の再処理から生じるガラス固化体及び使用済燃料など ) については ゴアレーベンの岩塩ドームでの探査活動が 1970 年代から開始されていたが 2012 年 11 月に一時中止することが決定された 現在 ゴアレーベンの扱いを含め 新たなサイトの選定手続きを検討している 非発熱性放射性廃棄物については コンラッド処分場の建設に向けた準備が進行中である 旧東ドイツ時代に操業開始したモルスレーベン処分場は 現在閉鎖 廃止措置に向けた許認可手続きが行われている 高レベル放射性廃棄物処分場 ドイツでは 全ての放射性廃棄物を国内の地層中に最終処分する方針であり 高レベル放射性廃棄物も 前項の中 低レベル放射性廃棄物と同じ処分場で処分される予定である その他 ( 研究所 実験施設等 ) 1965 年に 放射線 環境協会 ( 現ミュンヘン ヘルムホルツセンター ) は放射性廃棄物の最終処分に関する調査 研究を実施するため かつて岩塩鉱山であったアッセ Ⅱ 研究鉱山を取得した アッセ Ⅱ 研究鉱山では 1967 年から 78 年にかけて中低レベル放射性廃棄物の試験的な処分が行われ その後地下研究所として高レベル放射性廃棄物の岩塩層への処分等に関する調査が続けられた アッセ Ⅱ 研究鉱山における研究所としての機能は実質的に終了している 2009 年 1 月に実施主体が連邦放射線防護庁 (BfS) に変更され BfS は複数のオプションによる研究鉱山の廃止措置の比較検討を行い 定置された廃棄物の回収し閉鎖することを廃止措置オプションとして選定した 5-5 原子力安全規制体系の概要と動向 安全規制関連法と許認可スキーム放射性廃棄物に関する安全規制については 原子力法では概括的な考え方が規定されているのみである 放射線防護に関する全般的な安全規制としては放射線防護令がその基本的な法令であるが 処分場に特化した形での規制は定められていない 放射性廃棄物処分に関する安全基準としては もとは原子炉安全委員会の勧告として出された 1983 年の 鉱山における放射性廃棄物の最終処分のための安全基準 があり 放射性廃棄物処分に関する基本的な要件を定めている この安全基準は コンラッドでの非発熱性放射性廃棄物の処分に係る計画確定手続において適用された 2009 年 7 月 連邦環境 自然保護 原子炉安全省 ( 現連邦環境 自然保護 建設 原子炉安全省の旧称 ) は 発熱性放射性廃棄物の最終処分に関する安全要件 を策定した (2010 年 9 月に一部改訂 ) この安全要件は 発熱性放射性廃棄物の地層処分のみに適用されるものであり 鉱山における放射性廃棄物の最終処分のための安全基準 に代わるものとされている 放射性廃棄物管理のための費用負担 資金確保についても 原子力法によりその基本的な枠組みが規定されている 処分事業に関する費用は いわゆる発生者負担の原則に基づき 処分場利用によって利益を受ける放射性廃棄物の発生者と定められている また 処分場の設置は連邦によって行われるが その操業までは長い年月を要すことから 発生した費用については処分場操業前に 前払い をすることが 原子力法及び同法に基づいた最終処分場設置の前払金令によって定められている 安全規制機関 処分場の建設 操業の実施主体として BfS が 1989 年に設置されている BfS は 連邦環境 自然保 64 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 79

84 護 建設 原子炉安全省 (BMUB) の監督下にあり 主として放射線防護などに関する連邦の業務を実施しているが 所掌の一つとして放射性物質の輸送の許可 核燃料の貯蔵の許可なども担当している 2013 年 7 月に新たに制定された 発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律 ( サイト選定法 ) では BfS はサイト選定の任務を負うことが規定された また 2014 年 1 月 1 日付けで発効した連邦放射性廃棄物処分庁設置法により 連邦放射性廃棄物処分庁が設置された 同庁はまず 処分場サイト選定手続全体の監督 調整を担う 処分場サイトが決定した後は 高レベル放射性廃棄物処分に関する規制当局として 実施主体である BfS に対する監督を行う なお 従来は高レベル放射性廃棄物の処分場については 州の管轄官庁が許認可当局としての役割を担っていたが 連邦放射性廃棄物処分庁の設置などに伴い規制 実施体制が見直された 連邦放射性廃棄物処分庁は サイト選定の段階から処分場の建設 操業 閉鎖に至るまで一貫して 高レベル放射性廃棄物の処分事業場規制監督の任を担う 原子力法では 同庁が許認可を発給する際は 州や関係自治体も決定に参加することとされている ドイツの原子力法では 放射性廃棄物の処分場を連邦政府が設置することになっている ( 州は 必要な場合 中間貯蔵施設を設置する責任がある ) 図 5-8 にドイツの安全規制機関の組織図を示す 図 5-8 ドイツの安全規制機関の組織図 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 80

85 6. スイス 6-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 一次エネルギー供給構成 COUNTRY: Switzerland 表 6-1 一次エネルギー需給バランス 石油ガス石炭原子力水力 ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 再生可能エネルギー等 (2013 年 Mtoe) 国内生産 輸入 輸出 在庫変動 一次供給 シェア 40% 12% 1% 25% 12% 10% 100% 合計 COUNTRY: Switzerland 表 6-2 エネルギー源別消費動向 ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition (Mtoe) 石油 ガス 石炭 原子力 水力 その他 合計 シェア 0% 0% 0% 53% 26% 22% 100% '13/' % -0.4% 3.0% 1.7% 81

86 6-1-2 電力供給構成 その他 5% 天然ガス 1% 水力 56% 2013 年 68 TWh 原子力 38% Country: Switzerland 図 6-1 発電電力量構成 (2013 年 ) ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition COUNTRY: Switzerland 単位 :ktoe 輸入 ,785 2,092 3,298 2,872 2,713 輸出 ,433-1,966-2,700-2,752-2,828-2,902 発電 3,166 4,143 4,730 5,687 4,969 5,680 5,862 ( 発電構成 ) 石炭 0% 0% 石油 7% 1% 1% 0% 0% 0% 0% 天然ガス 1% 1% 1% 2% 2% 1% 原子力 17% 30% 43% 40% 40% 40% 37% 水力 76% 68% 54% 56% 54% 55% 57% その他再生可能エネ 0% 1% 3% 4% 4% 5% ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 82

87 Jan-10 Mar-10 May-10 Jul-10 Sep-10 Nov-10 Jan-11 Mar-11 May-11 Jul-11 Sep-11 Nov-11 Jan-12 Mar-12 May-12 Jul-12 Sep-12 Nov-12 Jan-13 Mar-13 May-13 Jul-13 Sep-13 Nov-13 Jan-14 GWh 電力輸出入構成 イタリア フランス ドイツ オーストリア 1000 合計 month/year ( 出所 ) ENTSO-E より作成 図 6-2 スイスの電力輸出入の推移 エネルギー価格動向 表 6-3 スイスの電力 ガス価格 ( 税込み ) 電力 (CHF/MWh) 電力 (US$/MWh) ガス (CHF/MWh GCV) ガス (US$/MWh GCV) 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 産業用 家庭用 産業用 家庭用 産業用 家庭用 産業用 家庭用 ( 出所 ) IEA, Energy prices and taxes, 2014 年 2Q 国内商業用原子炉一覧 スイス国内には 5 基の商業用原子炉が稼働中である (2014 年末時点 ) スイス国内商業用原子炉一覧 を表 6-4~6-5 に示す 83

88 表 6-4 スイスの商業用発電所一覧 ( 稼働中 ) Name Type Status Location Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection BEZNAU-1 PWR Operational BEZNAU /7/17 BEZNAU-2 PWR Operational BEZNAU /10/23 GOESGEN PWR Operational DAENIKEN /2/2 LEIBSTADT BWR Operational LEIBSTADT /5/24 MUEHLEBERG BWR Operational MUEHLEBERG /7/1 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System より作成 表 6-5 スイスの商業用発電所一覧 ( 閉鎖 ) Reference Unit Gross Electrical First Grid Name Type Status Location Power [MW] Capacity [MW] Connection LUCENS HWGCR Permanent Shutdown 1522 Lucens /1/29 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System より作成 原子力発電所運転実績 3,500 MW 設備容量 発電量 TWh 30 3, , , ,500 1, 図 6-3 スイスの原子力発電所設備容量と発電量の推移 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System より作成 84

89 100% 80% 60% 設備利用率 40% 20% 0% 図 6-4 スイスの原子力発電所の設備利用率の推移 ( 出所 ) IAEA, Power Reactor Information System より作成 hours 補修 & 燃料交換 補修 改修 アップレート & 燃料交換 その他 1,600 1,400 装置トラブル 燃料交換 規制 人的要因 その他 外部要因 1,200 1,000 計画外 800 計画内 外部要因 図 6-5 スイスの原因別運転停止時間の推移 ( 出所 ) IAEA, Operating Experience data 85

90 6-2 バックエンド関連事業政策の状況 バックエンド関連政策スイスでは 原子力発電から発生する使用済燃料は 各発電会社が個別に外国 ( フランスとイギリス ) の会社と委託契約を結ぶことにより 再処理を実施してきた しかし 原子力法により 2006 年 7 月以降 10 年間にわたり再処理を目的とした使用済燃料の輸出を禁止している このため現在は 燃料プールで使用済燃料を数年間冷却した後 所内または所外の中間貯蔵施設で中間貯蔵している 発電所外の中間貯蔵施設には 原子力発電所を保有する 4 社が出資して建設されたヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設 (2001 年操業開始 ) がある この施設では 使用済燃料 ( 乾式キャスク貯蔵 ) のほか 外国での再処理に伴って返還されるガラス固化体や他の放射性廃棄物を貯蔵している 2 カ所の原子力発電所 ( ベツナウとゲスゲン ) には所内に中間貯蔵施設があり いずれも 2008 年から使用済燃料の貯蔵を開始した ベツナウ中間貯蔵施設は乾式キャスクを用いた貯蔵方式であり ゲスゲン原子力発電所の施設は湿式プール方式である 2010 年 12 月末時点で スイス国内の使用済燃料貯蔵量は約 1,241 トン ( ウラン換算 以下同じ ) である 外国との新規再処理委託契約が凍結されるまでに フランスとイギリスに約 1,139 トンの使用済燃料が搬出されており ガラス固化体の形で 115m 3 が返還される見込みである このうち 2010 年 12 月時点で 40m 3 が返還済みであり ヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設で貯蔵されている スイスでは原子力法において 再処理目的の使用済燃料の輸出を 2016 年 6 月末まで禁じている 現時点では将来に再処理を行うオプションが残されているので 使用済燃料は 直接処分する高レベル放射性廃棄物 と決まった訳ではない 2005 年施行の原子力令では 再利用しない使用済燃料を 高レベル放射性廃棄物 と定めている スイスでは 放射性廃棄物を国内で処分する場合には地層処分を行う方針である ただし 法的には 国際共同処分場での処分も可能としている 地層処分場の構成要素として 主となる処分施設とは別に 少量の代表的な放射性廃棄物を収納して一定期間にわたりモニタリングする パイロット施設 の設置を原子力令で定めている点が特徴的である このような処分概念は 監視付き長期地層処分 と呼ばれている 図 6-6 スイスの放射性廃棄物の主要な流れ ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 65 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 86

91 6-2-2 バックエンド関連法令 2005 年 2 月に施行された原子力法では 地層処分場の立地場所及びプロジェクトの基本事項などに関する概要承認 地層処分場設置に向けて実施される立地の可能性のある地域での地質などの調査 及び建設 操業 閉鎖について 連邦政府のみが許可発給を行うこととしてその手続等を規定している また同法では 原子力施設を操業または廃止する者は 施設から生じた放射性廃棄物を自らの費用で安全に管理する義務を負うこと この管理義務には 処分に関する研究 地球科学的調査及び地層処分場の設置などの準備作業なども含むことが規定されている さらに 廃棄物の管理義務を負う者は 廃棄物管理プログラムを作成 提出することが求められている 6-3 バックエンド事業関連プレーヤー 再処理スイスでは各発電会社が個別に外国 ( フランスとイギリス ) の会社と委託契約を結ぶことにより 再処理を実施してきたため 国内には再処理事業者は存在しない MOX 燃料成型加工 スイスには MOX 燃料成型加工事業者は存在しない 6-4 バックエンド事業概要 再処理 スイスには再処理事業は存在しない MOX 燃料成型加工 スイスには MOX 燃料成型加工事業は存在しない 使用済燃料貯蔵施設スイスでは 全ての放射性廃棄物を原則として国内の地層中に最終処分する方針である 処分事業は 電力会社と政府によって設立された放射性廃棄物管理共同組合 (NAGRA) が行うことになっている 放射性廃棄物は高レベル放射性廃棄物 ( 再利用されない使用済燃料と使用済燃料の再処理により発生するガラス固化体 ) おおむね日本の TRU 廃棄物に該当する α 廃棄物 及び中 低レベル放射性廃棄物に区分される 高レベル放射性廃棄物と α 廃棄物を併置処分する処分場と 中 低レベル放射性廃棄物処分場の二つの処分場を建設するか または全ての放射性廃棄物を対象とした処分場を 1 カ所に建設することが見込まれている また 放射性廃棄物の中間貯蔵施設としてヴュレンリンゲン集中中間貯蔵施設がある 同施設では既に 高レベル放射性廃棄物 α 廃棄物及び中 低レベル放射性廃棄物の貯蔵が開始されている また ベツナウ原子力発電所には 中 低レベル放射性廃棄物 使用済燃料とガラス固化体の中間貯蔵施設が設置されている 87

92 6-4-4 商業用発電所 サイクル施設 ( 実験炉等 ) 廃止措置 66 表 6-5 の 1 基 (Lucens) は 1969 年に事故により閉鎖された実験炉である 商業用発電所で廃止され たものはまだなく 最も早いもの (Beznau 1, Mühleberg) で 2019 年の廃止を予定している 中 低レベル放射性廃棄物処分場スイスには廃棄物処分場はまだ無く 中間貯蔵が行われている 処分場の試験サイトとしては 1984 年に NAGRA によって設置された地下研究所であるグリムゼル試験サイトがある 同サイトはスイス中央部の海抜 1,730m 地表から深さ 450m の結晶質岩の岩体内にある この試験サイトでは 掘削を開始した 1983 年より 地質学 地球物理学 水文地質学 岩石力学及び放射性核種移行などを含む多くの分野で幅広い調査が行われている 2003 年より 実際の処分により近い時間スケール及び環境条件で処分概念を検討するための研究を目的としたフェーズ Ⅵが実施されている 具体的なプロジェクトとしては 母岩の間隙の空間分布及びコロイド形成と核種移行に関する調査 核種の長期拡散試験 長期セメント試験が実施されており 原位置での遠隔操作定置試験や長期材料試験施設の設置などが計画されている グリムゼル試験サイトでの調査研究には フランス ドイツ 日本 スペイン スウェーデン スイス 台湾 チェコ 米国 フィンランド イギリス 韓国 欧州連合 (EU) からの約 25 の組織及び国内外の多数の大学 研究所及び会社などが参加している 高レベル放射性廃棄物処分場 前項に同じ その他 ( 研究所 実験施設等 ) モン テリ岩盤研究所では 1996 年に各国関係機関による国際共同プロジェクトとして スイス国立水文学 地質調査所が中心となる形で設置され オパリナス粘土に関する地質学 水文地質学 地球化学及び岩石力学的特性を調査するための実験が行われている 研究所の管理は 2006 年にスイス国土地理院が引き継いだ NAGRA は 処分場を設置する母岩の候補の一つであるオパリナス粘土に関する知見を深めるのに 同研究所においてデータを取得し 研究を行っている NAGRA が参加している主な研究として セメントと母岩の相互作用の研究や放射性核種の拡散と閉じ込めに関する研究 実規模での放射性廃棄物の定置の実証に関する研究などがある NAGRA の他にもフランスの ANDRA IRSN 日本の原子力研究開発機構 電力中央研究所 大林組などがプロジェクト毎に共同で研究を行っている 6-5 原子力安全規制体系の概要と動向 安全規制関連法と許認可スキーム 2005 年 2 月に施行された原子力法では 地層処分場の立地場所及びプロジェクトの基本事項などに関する概要承認 地層処分場設置に向けて実施される立地の可能性のある地域での地質などの調査 及び建設 操業 閉鎖について 連邦政府のみが許可発給を行うこととしてその手続等を規定している また同 66 World Nuclear Association, Nuclear Power in Switzerland, 31 January

93 法では 原子力施設を操業または廃止する者は 施設から生じた放射性廃棄物を自らの費用で安全に管理する義務を負うこと この管理義務には 処分に関する研究 地球科学的調査及び地層処分場の設置などの準備作業なども含むことが規定されている さらに 廃棄物の管理義務を負う者は 廃棄物管理プログラムを作成 提出することが求められている 原子力法及び原子力令では 原子力安全に関する監督官庁は連邦原子力安全検査局 (ENSI) であると規定されている また 同法では 特に規定がない限りにおいて 放射線防護法の規定を適用すると規定している 放射線防護法は 電離放射線による危険から人及び環境を保護する目的で制定された法律で 連邦評議会が個人の被ばく線量限度を設定できることが規定されている 放射性廃棄物に関しては 適切な方法で保管 密封 固化処理 集積などを行い 処分施設などへの引き渡しなどを行うまでは監督官庁の許可を受けた場所に貯蔵することが義務づけられている また 原子力令では 地層処分場のための特別設計原則をガイドラインとして定める責任を有することが規定されており 放射性廃棄物処分場の安全性について ENSI が安全性の確保のために適用される目標を定めた指針を策定している 図 6-7 スイスの安全規制法体系 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 安全規制機関 放射性廃棄物の処分に関わる連邦の行政機関には 連邦評議会 環境 運輸 エネルギー 通信省 (UVEK) と UVEK が所轄する行政機関である BFE ENSI がある ENSI は 前身の監督機関の原子力施設安全 89

94 本部が BFE から独立し 2009 年 1 月に発足した 放射性廃棄物の処分場の建設及び操業許可については UVEK が発給する UVEK は エネルギーや環境に関する連邦省であり UVEK の所轄する行政機関である BFE はサイト選定手続きの監督 責任官庁である ENSI は 原子力安全と放射線防護の観点から直接的な規制 監督を行い また 放射性廃棄物処分の安全確保のための指針を策定している 地層処分場専門家グループ 原子力安全委員会 放射性廃棄物管理ワーキンググループは 連邦評議会 UVEK BFE などに対する諮問機関として放射性廃棄物処分に対するレビューなどを行う役割を担っている 図 6-8 スイスの安全規制体系 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国での高レベル放射性廃棄物処分 90

95 7. フィンランド 7-1 基本的な電力事情と発電用原子炉の実態 一次エネルギー供給構成フィンランドではバイオマスの利用比率が高く 2013 年の一次エネルギー供給の 24% に相当する石油換算 776 万トンが固体バイオマスである そのほとんどは国内で生産されている バイオマスに次いで多いのは石油 (22%) であり それについで原子力 (19%) となっている 表 7-1 一次エネルギー需給バランス COUNTRY: Finland 石油ガス石炭原子力水力 再生可能エネルギー等 (2013 年 Mtoe) 国内生産 輸入 輸出 在庫変動 一次供給 シェア 22% 9% 15% 19% 3% 31% 100% 合計 ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 一次エネルギー消費量は 2004 年頃までは増加を続けていたが 2006 年の石油換算 3,740 万トンをピー クに減少に転じている 2006 年から 2013 年まで減少しているのは石油 石炭 天然ガス等の化石燃料で あり 原子力うあ水力はほぼ横ばい バイオマスはやや増加傾向にある 表 7-2 エネルギー源別消費動向 COUNTRY: Finland (Mtoe) 石油 ガス 石炭 原子力 水力 その他 合計 シェア 22% 9% 15% 19% 3% 31% 100% '13/'12-9.5% -5.8% 8.2% 2.7% -23.7% -2.9% -3.1% ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 電力供給構成 発電においてもバイオマスの比率は高く 2013 年に電源構成の 15% を占める 11TWh に達する 但し それよりも多いのが原子力発電であり その比率は 33% である 火力発電は 26% となっている 91

96 図 7-1 発電電力量構成 (2013 年 ) ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 国内に化石燃料資源がほとんどないフィンランドは 石油と天然ガスを完全に輸入に依存しており エ ネルギー安全保障上の観点から 原子力発電の利用を早くから推進してきた 国内に存在する化石燃料と して例外的に泥炭が挙げられ 一次エネルギー供給に占める泥炭の割合は 3.7% となっている 表 7-3 発電構成の動向 COUNTRY: Finland 単位 :ktoe 輸入 ,050 1,544 1,352 1,642 輸出 発電 2,245 3,504 4,676 6,000 6,048 6,915 6,029 ( 発電構成 ) 石炭 28% 43% 24% 19% 17% 27% 16% 石油 32% 11% 3% 1% 1% 1% 0% 天然ガス 4% 9% 14% 16% 14% 10% 原子力 17% 35% 32% 33% 28% 33% 水力 40% 25% 20% 21% 20% 16% 24% その他再生可能エネ 9% 13% 14% 14% 17% ( 出所 ) IEA, Energy Balances of OECD countries 2014 Edition 電力輸出入構成 電力については 主にロシア スウェーデンからの輸入を行っている 92

97 Jan-10 Mar-10 May-10 Jul-10 Sep-10 Nov-10 Jan-11 Mar-11 May-11 Jul-11 Sep-11 Nov-11 Jan-12 Mar-12 May-12 Jul-12 Sep-12 Nov-12 Jan-13 Mar-13 May-13 Jul-13 Sep-13 Nov-13 Jan-14 GWh ロシアスウェーデンノルウェイエストニア合計 month/year ( 出所 ) ENTSO-E より作成 図 7-2 フィンランドの電力輸出入の推移 エネルギー価格動向発電用燃料は課税対象ではなく 電気へは消費段階で課税される 電気税は 2 つに分類され 産業と professional market gardeners を対象とする分類 1 その他の消費者を対照とする分類 2 となっている 分類 1 の方がより安くなっている 表 7-4 フィンランドの電力 ガス価格 ( 税込み ) 電力 ( /MWh) 天然ガス ( /MWh GCV) 産業用 家庭用 産業用 家庭用 2010 年 年 年 年 年 1Q ( 出所 ) IEA, Energy price & taxes second quarter 2014 現行のエネルギー税制システムは 1997 年から施行されており エネルギー税は基本税と付加税に分け られる エネルギー税は消費税 / 物品税であり 輸送や暖房燃料 電気に対して課せられるとともに 供給 93

98 安全保障税もエネルギー製品に課税されている 国内商業用原子炉一覧 2014 年現在 4 基 286 万 kw の商業用原子炉が稼働中である 5 基目の原子炉である Olkiluoto 3 号機 は仏 AREVA 社の手になる初の EPR 欧州加圧水型原子炉 であるが 2005 年の着工の後建設が遅延し 現在では 2016 年の運転開始予定とされている また その他に 2 基の原子炉を建設する計画である 表7-5 フィンランドの商業用発電所一覧 稼働中 Name Type LOVIISA-1 LOVIISA-2 OLKILUOTO-1 OLKILUOTO-2 PWR PWR BWR BWR Status Location Operational Operational Operational Operational LOVIISA LOVIISA OLKILUOTO OLKILUOTO Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection /2/ /11/ /9/ /2/18 表7-6 フィンランドの商業用発電所一覧 建設中 Name Type OLKILUOTO PWR Status Location Under Construction OLKILUOTO Reference Unit Gross Electrical First Grid Power [MW] Capacity [MW] Connection 原子力発電所運転実績 発電設備容量は従来 2,310MW であったが 年にかけて Olkiluoto Loviisa 両発電所で出 力増強が行われた それに伴い発電量も増加している 3,000 TWh 25 MW 設備容量 発電量 2, , , , 図7-3 フィンランドの原子力発電所設備容量と発電量の推移 94

99 設備利用率は極めて良好であり 90%を上回る水準で推移している 100% 80% 60% 設備利用率 40% 20% 0% 図7-4 フィンランドの原子力発電所の設備利用率の推移 装置トラブルの発生した 1995 年を除き 計画外停止時間は比較的短い hours 1, 補修 燃料交換 改修 アップレート 燃料交換 装置トラブル 規制 その他 補修 その他 燃料交換 人的要因 外部要因 外 部 要 因 600 計 画 外 400 計 画 内 図7-5 フィンランドの原因別運転停止時間の推移 95

100 7-2 バックエンド関連事業の状況 バックエンド関連政策フィンランドでは ユーラヨキ自治体オルキルオト島のオルキルオト原子力発電所 1 号機及び 2 号機 ロビーサ自治体ヘストホルメン島のロビーサ原子力発電所 1 号機及び 2 号機が運転中であり 更にオルキルオト 3 号機が建設中 4 号機が計画中となっている 1978 年の原子力法の改正後 原子力発電所から発生する全ての放射性廃棄物は所有者 ( 電気事業者 ) の責任とされている 1970 年だしからは中低レベルの廃棄物処分の研究が開始され 1990 年代には地下数十メートルの地下空洞方式の処分場が建設 操業に至っている 高レベル放射性廃棄物の処分については 1983 年に放射性廃棄物管理政策に関する政府決定が行われ これが現在の計画の基礎となった 当初はロビーサ原子力発電所の燃料はロシアに返還される方針であったが その後の原子力法改正に伴い放射性廃棄物の輸出入は禁止され オルキルオト ロビーサともに発生した使用済燃料は国内で処分されることとなった 原子力法では使用済燃料の処分場についても 後述のように原子力発電所と同様にまず国が原則決定 (DIP) を行い その後建設認可 操業認可が行われることと規定されている これに従い まず 1986 年 ~1992 年の間に 5 つの地域について予備調査が実施され うち 3 地域が候補地域として挙げられた 次いで 1993 年 ~2000 年の間にサイト特性の詳細調査が行われ 1999 年には実施主体である Posiva 社がオルキルオトを対象として環境影響評価 (Environmental Impact Assessment: EIA) 報告書を提出 2000 年には地元 ( ユーラヨキ自治体 ) がこれを承認し 2001 年には国会が承認を行った 2012 年には Posiva 社が処分場建設許可を申請し 現在安全審査が進められているところである フィンランドでは再処理を行わない方針であり 使用済燃料は直接処分するものとされている バックエンド関連法令フィンランドでは 1983 年に政府による 廃棄物管理目標に関する原則決定 がなされてサイト選定を含めた基本的な処分の方針が定められた その後 1987 年には 原子力法 により バックエンドを含む原子力事業の基本的な枠組みが定められている その後原子力法は 2008 年に改正が行われている 廃棄物管理目標の原則決定では処分責任や計画作成義務 資金負担義務等について その後の原子力法での規定の骨格となる制度 及び段階的なサイト開発から処分場の操業に至るまでの目標時期も定められた その後に制定された原子力法は原子力関係の基本法であり ここでは処分場を含む重要な原子力施設の建設を行うにあたり 原則決定手続を定めている この原則決定手続きとは原子力施設の建設が社会全体の利益に合致するという原則的な判断を 建設許可の申請に先立って政府が決定するものであり 地元自治体からの肯定的な意見と国会による承認が必要とされている また 原子力法の規定のより詳細な手続等を定めた政令として 原子力令が制定されている 安全規制の細目については 放射線 原子力安全機関 (Säteilyturvakeskus: STUK) が定めることとされている ここでは YVL と呼ばれる安全指針が策定されるが この YVL には法的な拘束力はなく 例えばもし同等の安全水準が他の方法によって達成されるならば YVL の要求事項から逸脱することも許される STUK は 2013 年に YVL を全面的に改定した この全面改訂では オルキルオト原子力発電所 3 号機の建設に係る経験や 西欧原子力規制者会議 (WENRA) 等を通じた原子炉新設に係る知見 福島第一原子力発電所事故の教訓などを取り入れたものとされている バックエンドに関しては YVL D.4 低中レベル放射性廃棄物管理と原子力施設の廃止措置 及び YVL D.5 原子力廃棄物の処分 において定められている 96

101 7-3 バックエンド関連プレーヤーフィンランドにおいて バックエンド分野における全般的な権限は雇用経済省にある 一方で放射線と原子力に関する規制管理を行う独立の行政組織として放射線 原子力安全機関 (Säteilyturvakeskus: STUK) が存在する 国内で原子力発電所を操業するのはテオリスーデン ボイマ (Teollisuuden Voima Oyj: TVO) 社及びフォルツム パワー アンド ヒート社 (Fortum Power and Heat: FPH) 社である 前者はオルキルオト発電所を 後者はロビーサ発電所を運営している 使用済燃料処分事業の実施主体は TVO と FPH が共同出資して設立した民間企業である Posiva 社である 処分概念等は Poshiva 社が主体となって検討を進めている 図 7-6 フィンランドにおけるバックエンドの体制図 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 7-4 バックエンド事業概要 再処理上述の通りフィンランドは使用済燃料の再処理は行わない方針としており 再処理関連施設は存在しない 中間貯蔵オルキルオト発電所では所内に中間貯蔵施設が存在し 1987 年から操業している また 現在建設中のオルキルオト 3 号機から発生する使用済燃料の貯蔵に対応するために容量の拡大工事が行われている TVO によれば 2012 年時点の使用済燃料中間貯蔵量は 1,327 メトリック トンである 67 ロビーサ原子力発電所はロシアからプラント輸入を行った経緯もあり 1996 年までは使用済燃料をロシアに返還していた しかしそれ以降 所内で中間貯蔵を行っている 67 TVO, Environmental Report

102 7-4-3 廃止措置フィンランドで最も古いロビーサ 1 号機は 1977 年運開であり 耐用年数は 50 年とされているため 運転停止は 2027 年である オルキルオト 1 号機及び 2 号機は 60 年運転が想定されており 停止はそれぞれ 2039 年及び 2042 年になる 廃止措置の責任をもつのは運転者である TVO 及び FPH であり 5 年ごとに廃炉計画を見直すこととなっている 中 低レベル放射性廃棄物処分場オルキルオトの中低レベル放射性廃棄物処分場は オルキルオト発電所より発生する放射性廃棄物を処分するため 同発電所の構内に建設され 1992 年に操業を開始した処分場である 発電所と同様 TVO が操業している 地表から約 60m の深さにある花崗岩質の岩盤に 2 つのサイロが掘削されており それぞれ低レベル用と中レベル用に別れている 低レベル放射性廃棄物用は掘削した岩盤サイロに直接処分する方法としており 中レベル用は掘削した岩盤内部にコンクリートサイロを設け その内部に廃棄体を定置するコンクリートサイロ処分方法となっている 埋設規模は 15,500m 3 であり その内 6,400m 3 が中レベル用 9,100m 3 が低レベル用となっている 68 TVO によれば 2012 年の廃棄物発生量は低レベルが 172m 3 中レベル 20m 3 であった ライセンスは 2051 年まで有効であるが 工事が進められているオルキルオト 3 号機の放射性廃棄物の処分を勘案すると 2030 年頃に満杯となることが予想されており TVO は処分場の拡張を計画している ロビーサの中低レベル放射性廃棄物処分場は ロビーサ発電所より発生する放射性廃棄物を処分するため 同発電所の構内に建設され 1998 年に操業を開始した処 こちらの処分場も発電所の所有運転者である FPH が操業している 現在 低レベル処分施設のみが操業しており 引き続き中レベル用の処分施設建設が進められている 将来的には 発電所の廃止措置に伴って発生する廃棄物のための処分施設の建設も計画されている 現在操業中の低レベル用の処分施設は 地表から約 110m の深さの岩盤に水平空洞を掘削し 掘削された空洞内に廃棄体を直接定置する処分方法としている 現在 1 基の処分施設が完成しており さらにもう 1 基の処分空洞の建設が計画されている また中レベル用の処分施設も同様に水平空洞を掘削し 空洞内にコンクリートピットを構築し その内部に廃棄体を定置する処分方式が計画されており 現在その建設が進められている FPH によれば 2013 年にロビーサ発電所では 160m 3 の中 低レベル廃棄物が発生したが 放射能の測定後その一部は放射性廃棄物外の扱いとなった 2013 年に埋設された低レベル廃棄物の量は 38m 3 であり 処分所容量の 16% に該当する 高レベル放射性廃棄物処分場フィンランドでは 2001 年に使用済燃料の処分地としてエウラヨキ自治体のオルキルオトが選定されており 処分計画を政府及び国会が承認済みである フィンランドは 使用済燃料を再処理しない方針であることから 稼働中及び建設中の原子炉が閉鎖されるまでに発生する全ての使用済燃料を直接処分する計画である 政府の目標では 2020 年頃の操業開始を予定している また Posiva 社は 2012 年 12 月 28 日 地層処分に関する施設建設許可申請書の作成を終え STUK に申請書を提出している 操業許可については 2020 年に申請書を提出する予定であり これらによる許可が行われて後 初めて次のステップに進むことができる 現在の検討では 処分場の設置深度は地下約 400m とされており 廃棄物をキャニスタ 緩衝材 ( ベントナイト ) 埋め戻し材 地層からなる多重バリアシステムによって長期にわたり隔離する方針である 地質は結晶質岩である 2004 年から地下特性調査施設の建設が始まっており 並行して詳細特性調査が実施 68 原子力環境整備促進 資金管理センター 69 FPH, Sustainability

103 されている 処分場の規模としては最大 9,000tU 分が予定されており 建設中 計画中のオルキルオト 3 4 号機より発生する使用済燃料も含め 全量を処分することが可能である ( 出所 ) Posiva 図 7-7 フィンランドにおける地層処分の概念 ( 出所 ) Posiva 図 7-8 オルキルオト処分場のイメージ オルキルオトのサイト特性を詳細に実施するため 2004 年からオンカロ (ONKALO) と呼ばれる地下特性調査施設の建設が進められている 既に処分深度 (400m 以深 ) までの掘削が行われており 処分場の建設許可申請に必要な岩盤や地下水等のデータの収集が行われている オンカロは 将来は処分施設の一部として利用されることが想定されているが 許可が発給されていない現状ではあくまでも調査施設として位置づけられている 99

104 7-5 原子力安全規制体系の概要と動向 安全規制関連法とスキームフィンランドでは安全性確保のための基本的な枠組みについても 原子力法及び原子力令で定められている 廃棄物処分における処分施設の設計や安全基準等の安全性に関しては 2008 年の 原子力廃棄物の処分における安全性に関する政令 で基本的な要件の原則が示されており また安全規制の細目については STUK が定めることとされている 上述の通り 2013 年に STUK は原子力に関する安全指針 (YVL 指針 ) を全面的に改定した フィンランドにおいて原子力施設を新設する際のスキームは以下の通りである まず申請者は EIA を実施し 報告書を STUK に提出する ここでは放射線のみならず 自然環境 社会環境等幅広い意味での環境評価が行われる STUK はこの報告書を審査し 下記の 基本決定 の判断に寄与する情報を提供する 申請者は次いで 政府の 基本決定 を養成する STUK は申請者から提案のあった基本設計要求等に基づき 予備的な安全評価を実施する これらの情報に基づき 政府が許認可前の段階で 原則決定 (Decision in Principle: DIP) を行う これは原子力施設が社会の全体的な利益に沿っているかについて 判断を行うものである DIP がなされた後 政府は主要な設計特徴を評価し建設の認可を行う プラントの建設がなされ 適切に運転を行う準備が整ったことが STUK によって確認された後に運転の認可が交付される 安全規制機関フィンランドにおいて安全規制の細目を制定し 審査を行うのは放射線 原子力安全機関 (Säteilyturvakeskus: STUK) である STUK は 1958 年に設立され 当初は病院における放射線施設の監査を行っていた その後技術の進歩とともに対象とする領域も広がり 1968 年からは原子力施設をも対象とし 1984 年には放射線 原子力安全センター (Säteilyturvakeskus (STUK), Finnish Centre for Radiation and Nuclear Safety) との名称が定められた その後英語名称は 1997 年に Radiation and Nuclear Safety Authority と改められ 現在に至っている 2011 年現在 STUK は 356 名の職員を有する 予算規模は 2013 年に 4,000 万ユーロであるが その半分以上は安全審査料等から賄われている 職員の延べ時間の 34% が原子力安全 8% が放射線安全に向けられており その他に研究活動や放射線モニタリンク その他サービス等の活動を行っている 100

105 第 2 章 バックエンド事業関連施設の立地地域と国 事業者の関係 101

106 0. 一覧表 諸外国における 立地地域とのコミュニケーションの概要や 立地地域向け支援制度に関する比較表を 以下に示す 各国の制度に係る詳細は 後述する 立地地域とのコミュニケーションの概要主なコミュニケーション組織立地地域への支援制度備考 アメリカ ユッカマウンテン計画については 1969 年国家環境政策法施行手続き 1982 年放射性廃棄物政策法 (1987 年修正 ) に許認可手続きへの住民参加 住民への情報提供 公聴会の開催が規定される 1982 年放射性廃棄物政策法 (1987 WIPPに関する地域住民へのコ年修正 ) において 立地地域への資ミュニケーション活動は DOE 金給付が規定されている 財源は 放が主導 射性廃棄物基金 イギリス 原子力施設の立地地域において自治体関係者等が定期的に集う会議体が存在する * SSG(NDA 所有の原子力施設立地地域 ) 政府が検討する立地地域支援として * LCLC(EDF Energyが運転 Engagement PackageとCommunity する原子力発電所立地地 benefits packageがある 域 ) スウェーデン 自治体が独自の調査団体を設置し 環境法典 (Environmental Code) に基づき 安全規制機関と * Oskarshamn EIA Forum の交渉 議論を実施 * Forsmark Consultation 2003~2010 年 SKB 社と地域住民や団体等との協 and EIA Group 議を各候補地で開催 廃棄物基金から自治体に交付金が交付され その資金が個人や団体の活動資金に充てられる フランス TSN 法 において設置が定められているCLI CLIS * CLI(INB 立地地域 ) を通じ 原子力事業活動の周知 理解活動および * CLIS( 地下研究所またはステークホルダー間のコミュニケーションが行われ地層処分場の立地地域 ) ている CLI および CLIS の活動資金への補助 GIP( 地下研究所または地層処分場の立地地域のみ ) によるインフラ整備等 独立した国家討論委員会という組織を有しており 一定規模事業の構想段階の討議手続きとして公開討論会が行われる ドイツ サイト選定法 が サイト選定に関わる重要な事項 ( 候補地域 地上 地下での探査対象サイトの選定 候補サイトの最終比較等 ) については 市民集 * 市民集会 ( 左記参照 ) 会を開催するほか 関係する州や地元自治体の参加の上で決定すると規定 制度化されたものは無い ( 過去に連邦 州間の行政協定により補助金が支給された例あり ) 2011 年 12 月 コンラッド処分場の立地地域で 廃棄物発生者である電気事業者と連邦の出資により 地域振興を目的とした財団が開設 スイス 特別計画 地層処分場 により サイト地域 に属する自治体が地域参加の組織を設置することを規定 2011 年から 6 つのサイト地域において BFE の主導により設置された地域会議が活動を開始 * 地域会議 ( 左記参照 ) 制度化されたものは無い ( 特別計画 地層処分場 で サイト選定第 3 段階において概要承認が発給されてから 対価 と呼ばれる交付金に関する検討を行うことを規定 ) フィンランド 環境影響評価や政府による原則決定前など 様々な段階で住民が情報を入手し 意見を表明できる場を設置 Posiva 社と自治体代表との間では 協力とフォローアップのグループ を設置してコミュニケーションを図っている * 協力とフォローアップのグループ * 監査グループ 政府による直接的な補助は存在しない 但し 原子力施設は通常の施設よりも高い固定資産税 (2.5%) を払うこととなっている 102

107 1. アメリカ 1-1 バックエンド事業政策議論の変容 バックエンド事業政策 (a) 政策概要アメリカは 1970 年代に再処理を放棄しており 将来的な最終処分場の建設を前提として 使用済燃料を中間貯蔵している 高レベル放射性廃棄物には 発電用原子炉等で発生した使用済燃料 核兵器開発 製造や再処理施設で発生した高レベル放射性廃棄物ガラス固化体がある 高レベル放射性廃棄物の処分については 1982 年放射性廃棄物政策法 によって DOE がサイトを選定し 大統領へ推薦するという手続きが進められ 1987 年放射性廃棄物政策修正法 によって 2002 年 7 月にネバダ州ユッカマウンテンが唯一の処分場候補地として承認された しかし オバマ政権によるユッカマウンテンでの処分場建設計画凍結にともない DOE の諮問機関であるブルーリボン委員会が使用済燃料の処分問題に関する検討 提言を行っている 2013 年 1 月には DOE が 使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理 処分戦略 を公表し ブルーリボン委員会の最終報告書で示された基本的な考え方に沿った実施可能な枠組みが示されている (b) 事業者の自主的取り組み使用済燃料は 各発電所のプール等に貯蔵されていたが 最終処分場の建設開始が遅れていることから 乾式貯蔵施設の設置が各サイトで進められている 現在 56 のサイトで乾式貯蔵施設が設置されている これらの中間貯蔵施設は ISFSI として認可を受けている 10 CFR Part 72 使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の独立貯蔵に関する認可要件 に基づき ISFSI の認可期間は 20 年とされていたが 最終処分場建設の目途が立たず 中間貯蔵施設から使用済燃料の搬出ができない状況が続いているため 10 CFR Part (a) の規定に基づき いくつかの施設では認可期間の 40 年への延長が申請され 許可されている 福島事故直後の原子力政策の動向 (a) 福島第一原発事故直後の政府の対応福島事故直後の 2011 年 3 月 14 日 エネルギー省高官は 前月に発表した 2012 会計年度のエネルギー省予算のうち 原子力発電所新設支援のための融資保証枠 360 億ドルは変更しない と発言し 原子力政策の維持を表明した さらに 3 月 30 日にオバマ大統領はエネルギー政策に関する演説を行い そこで原子力の重要性に言及した このように 福島事故直後の時期にあっても 基幹電源のひとつとして原子力を使い続ける姿勢に変化はなかった この背景には NRC の監督のもと 国内原子炉の安全性が確保されている との信頼性があったといえる この方針に沿って 2012 年 2 月 9 日に NRC はSouthern Co. 等によるジョージア州 Vogtle 発電所における新規原子炉建設計画の承認を決定した 2013 年 3 月 12 日に 3 号機の 同年 11 月 19 日に 4 号機で原子炉建屋のコンクリート打設が完了し 同計画は本格着工した 2014 年 2 月 DOE は Georgia Power Company と Oglethorpe Power Corporation との融資保証交渉を完了し 両社分の融資保証 65 億ドルを付与することを正式決定した なお DOE はジョージア州営電力公社 (Municipal Electric Authority of Georgia; MEAG) との間で 18 億ドル分の融資保証について協議を継続している 70 また サウスカロライナ州 V.C. Summer 発電所における新規原子炉建設計画も 福島事故後の 2012 年 3 月 30 日に NRC より承認を取得し 2013 年 3 月 9 日に 2 号機の 同年 11 月 2 日に 3 号機の原子炉 70 Department of Energy, Loan Programs Office, 103

108 建屋のコンクリート打設が完了し 本格着工している (b) NRC の取り組み福島事故直後から対応活動を 24 時間体制で行ってきた NRC は 2011 年 3 月 21 日に行われた委員会の会合で NRC の規制とそのプロセスに関して評価し NRC の規制体系の追加的改善の必要性を検討し 委員会に対してとるべき政策の勧告を行う上級レベルの機関タスクフォースを設置することを決定した NRC 委員長は 2011 年 3 月 23 日に NRC スタッフ責任者に対して指示メモを出し タスクフォースが設立されるに至った 指示を受けたスタッフ責任者は 2011 年 3 月 30 日に短期レビューについてのタスクフォースを 6 名の上級スタッフで設立し タスクフォースは 7 月 12 日に報告書を提出した この報告書が 21 世紀の原子炉安全性強化のための勧告 71 である 短期レビュータスクフォースの勧告では まず スリーマイル島事故後の対応に見られるような NRC の過去の取り組みにおける教訓を反映させ 起因事象 機器と作業員の応答 事故の進展 に関して福島第一原子力発電所事故と関連する分野に焦点を当て 体系的 組織的に検討をとりまとめた また 福島事故の全容は詳細には理解できていないが プラントの広範囲にわたり損傷を与える外部事象 長時間の全交流電源喪失 (Station Blackout: SBO) に対する防護と緩和措置 緊急事態対応策といった分野を 米国原子炉の安全性に最も関連する主要なものとして特定した NRC の既存の規制取り組みには 設計基準では何層もの防護が確保されるとする 深層防護の原理への強い意志が含まれていること 深層防護の原理は有益であり広範囲に適用されている概念であることも認識された ただし 深層防護の概念の定義が曖昧であるため タスクフォースは以下を深層防護の概念として用いている (1) 燃料損傷に至る可能性のある外部事象からの防護 (2) そのような事故が発生した場合 炉心と使用済燃料の損傷 環境への放射性物質の放出制御不能の防止に重点を置いた事故影響の緩和 (3) 公衆と環境への放射性物質放出が発生した場合 その影響を緩和するための緊急事態対応策 (Emergency Preparedness: EP) タスクフォースが勧告を策定するに際して これまでのすべての規制 指針文書 ( 深層防護 安全目標の政策文書 規制解析指針 バックフィット規制 ) をレビューしたところ 既存の文書では 意思決定のための明確で一貫した枠組みが示されていないことが明らかとなった タスクフォースは 深層防護の各レベル ( 防護 緩和 EP) がそれぞれの安全機能を発揮する点で 完全かつ有効であるかを評価し 深層防護を中心とした意思決定根拠を採用し 勧告を策定した このタスクフォースの論理は (1) これらの勧告は 深層防護が各レベルにおいて完全で効果的なものになることを意図しており (2) 深層防護各レベルの完全性と有効性を確保することが 適切な防護 と呼ばれる安全確保のための総合的な取り組みの不可欠な要素である というものである 上述の短期レビュータスクフォースによる勧告を受けて 2011 年 8 月 19 日の SECY に基づき NRC スタッフはタスクフォースの勧告を詳細及び全体的に評価し 勧告のうち遅滞なく実施すべき項目を選定し NRC 委員会に提出した これは 2011 年 9 月 9 日に 短期タスクフォースレポートのうち遅滞なく実施されるべき勧告内容 (SECY ) として委員会に提出され 9 月 14 日には公開ミーティングが開催され 内容の説明が行われた NRC 委員会は 2011 年 10 月 18 日付けでこれを承認している また NRC スタッフは その後 SECY で検討対象外となった勧告について 短期タスクフォースによる勧告の優先度付け (SECY ) としてまとめている SECY は 2011 年 10 月 3 日付けで NRC 委員会へ提出され 10 月 11 日には NRC 委員への説明が行われた このように原子力発電の利用に対する大きな政策的な変化は アメリカではみられなかった 同様に バックエンド関連事業に関して 福島事故を契機とする政策的な変化はみられない 71 NRC: Recommendations for Enhancing Reactor Safety in the 21st Century,

109 1-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制 廃棄物隔離パイロットプラントに係るコミュニケーション廃棄物隔離パイロットプラント (Waste Isolation Pilot Plant: WIPP) とは 核兵器開発の過程で生じた放射性廃棄物のうち 超ウラン元素に汚染された廃棄物 (TRU 廃棄物 ) を地層処分するための施設であり DOE が所管する 1960 年代を通じて適地の選考が行われ 1979 年に連邦議会が WIPP に承認を付与 1980 年代にニューメキシコ州エディ郡カースルバッドの南東に施設が建設された 1998 年に連邦環境保護庁が TRU 廃棄物の長期的な処分場としての認可を与え 1999 年 3 月から地層処分が開始されている 72 WIPP では 地域住民に対するコミュニケーション活動として 以下のような取り組みを行っている これらの取り組みは 主として DOE が主導的な役割を担っている タウンホールミーティングの開催 (1 か月に 1 回 インターネットで会議を公開し 過去の映像も再生可能 ) 技術ミーティングの開催 ( 四半期に 1 回 ) Carlsbad Mayor s Nuclear Task Force(WIPP に関連する情報や 他の原子力関連事業に関する機会についてカールスバッド市長に助言を行う組織 73 Nuclear Nexus というウェブサイトを通じてタスクフォースの活動内容を配信している ) カールスバッド市の要人による DOE 本部への定期的訪問立地地域との定期的なコミュニケーションは よりよい隣人たるためのもの という位置づけである 2010 年 11 月にニューメキシコ州環境省が WIPP の運転期間延長を許可するにあたり 運転許可に関する背景情報や許可手続きに関する最新情報 許可プロセスへの参加機会を地域住民に提供するため DOE と WIPP の管理 運転者である Washington TRU Solutions LLC は WIPP Hazardous Waste Facility Permit Community Relations Plan を策定し 特設のウェブページ 74 の設置を行っている 最終処分事業に係るコミュニケーションユッカマウンテン計画に関する地域住民とのコミュニケーションとしては 法律で定められた許認可手続きへの住民参加と その他の情報提供 理解促進活動が行われていた 許認可手続きへの住民参加としては 1 環境影響評価上の手続きと 2 処分場のサイト選定や建設許認可上の手続きの 2 つがある 1は 1969 年国家環境政策法施行手続きの規定に基づいて 計画段階や環境影響評価書の草案公表後に 公聴会やパブリックコメントの募集が必要とされている 2は 1982 年放射性廃棄物政策法で定められる手続きで DOE 長官が大統領へ処分場の候補サイトを推薦する前 ( 第 112 条 (b)) サイト特性調査の実施前 ( 第 113 条 (b)) サイト承認や建設許認可に際して ( 第 114 条 ) 地域の住民に対する情報の提供やコメント募集 事前の公聴会を行わねばならないと規定されている ユッカマウンテンのサイト推薦にあたって DOE は公聴会に先立ち 推薦の科学的根拠を示した ユッカマウンテン科学 工学報告書 や環境影響評価書の草案補足書 予備的サイト適合性評価報告書 等を公表している また 2001 年 5 月から 12 月にかけて DOE はユッカマウンテンのサイト周辺での公聴会並びにサイト推薦に関するパブリックコメントの募集を実施 公聴会は ネバダ州 17 郡とカリフォルニア州 1 郡で開催されている パブリックコメントとしては約 4,600 件が集まり コメントに基づいた各報告書の内容改定や サイト推薦コメント要約文書 も発表されている 75 また NRC が所管する原子力施設の許認可手続きでは 州や関連する自治体が当事者として手続きに 72 Waste Isolation Pilot Plant, 73 The Carlsbad Nuclear Nexus, 74 WIPP Hazardous Waste Facility Permit Community Relations Plan, 75 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 105

110 参加することができる ユッカマウンテンの審理手続きでは ネバダ州及び同州の 7 つの郡 カリフォルニア州等も当事者として審理への参加が認められた 76 このような許認可手続きへの参加費用は 放射性廃棄物基金 (Nuclear Waste Fund: NWF) から拠出される その他の活動として DOE は 小冊子やインターネットでの情報提供 インフォメーションセンターを通じた理解促進活動を実施していた しかし オバマ政権によるユッカマウンテン計画中止の方針にともない インターネット上のウェブサイトやインフォメーションセンターは閉鎖されている 1-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 立地地域向け支援施策 (a) 廃棄物隔離パイロットプラントに係る施策 WIPP については WIPP 用地接収法 (WIPP Land Withdrawal Act, P.L , as amended) 第 15 条において ニューメキシコ州への経済援助や多岐にわたる支払いについて規定している 77 支援の規模は 1998 会計年度から 14 年間にわたり毎年 2,000 万ドルであり ニューメキシコ州リー郡とエディ郡内の自治体政府に配分されなければならない また 同条に基づく支援は 環境影響評価の実施や WIPP に関連する経済調査の実施のために利用できると規定されている (b) 最終処分事業に係る施策 年放射性廃棄物政策法 (1987 年修正 ) では 最終処分場の立地地域への財政支援として 第 116 条 (c) と第 170 条以下で立地地域に対する財政措置が規定されている 第 116 条 (c) は州等の参加を支える財政支援であり 第 170 条は処分場の受け入れに対する給付となっている 第 116 条 (c) では 補助金の交付と課税相当額の補填という 2 つが規定されている ここでいう補助金とは DOE がネバダ州と関係する 10 郡に対して 独自の評価や活動の実施のために交付するものである また 課税相当額とは 処分場開発活動は連邦政府が行うものであり 州の売上税 使用税の課税対象とならないため 仮に課税が認められるとした場合の税収相当額を放射性廃棄物基金から州に補填する という制度である これらの資金は 連邦議会が会計年度ごとに成立させる エネルギー 水資源開発歳出法の中で定められ 財源は NWF から拠出される 第 170 条では DOE と州の利益協定に基づく資金給付が規定されている この資金給付は 使用目的に制限がなく ネバダ州が最終処分場を受け入れた場合にその見返りとして州や自治体が享受できるものである 第 171 条で具体的な給付金額が規定されており 財源は NWF である DOE と州が利益協定を締結することで資金給付が決定されるが 利益協定の交渉に際しては州内の関係する自治体や先住民とも協議を行うこととなっている また 資金の 3 分の 1 は 関係する自治体へ配分されることとなっている 第 171 条に規定された 具体的な給付金額は以下の通り (A) 協定締結後から使用済燃料引き取り開始前 :1,000 万ドル / 年 (B) 最初の使用済燃料引き取り時 :2,000 万ドル (C) 最初の使用済燃料引き取りから処分場の閉鎖まで :2,000 万ドル / 年 ブルーリボン委員会の勧告の中でも 国家的問題の解決を支援する州や自治体等には便益が提供される 必要があると指摘されている 具体的には 支払い金額は現在のネバダ州向けの金額を大幅に上回る水準 が必要で 実施主体が州や自治体と取決めを出来るようにすること 他の連邦プロジェクトの立地が優先 76 同上 77 Public Law , The Waste Isolation Pilot Pland Land Withdrawal Act, as amemded by Public Law ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 106

111 して行われるように法律を拡張 改正すること 影響を受けた住民などは妥当な実費の補償を受けるべき ことなどが勧告されている 政策資源配分 1982 年放射性廃棄物政策法 (1987 年修正 ) では 第 302 条において NWF を設置している これは 高レベル放射性廃棄物や使用済燃料の発生者に対してその処分費用を拠出させるもので 原子力発電の発電電力量 1kWh あたり ドルが課されており 電気料金に反映されている NWF は財務省によって管理されており 財務省短期証券を通じて投資運用されている 2014 年 9 月末時点で NWF の市場価格は 398 億ドルとなっている 79 NWF では以下に係る資金が確保されることとなっている 年放射性廃棄物政策法に基づいて設置される地層処分場 中間貯蔵施設 試験 評価施設のサイト選定 開発 許認可活動 廃止措置及び廃止措置後の維持及びモニタリング 1982 年放射性廃棄物政策法に基づく研究開発及び実証 ( 一般的なものを除く ) を実施するための費用 地層処分場での処分 中間貯蔵施設での貯蔵 試験 評価施設での使用のための 高レベル放射性廃棄物の輸送 前処理 パッケージへの封入 地層処分場サイトの施設 中間貯蔵施設サイトの施設 試験 評価施設サイトの施設 並びにこれらの施設の必要施設もしくは付随施設の取得 設計 改造 建て替え 操業 建設 州 郡及び先住民への補助金 高レベル放射性廃棄物プログラムの一般管理費用 NWF に関して エネルギー長官は拠出金額の妥当性を毎年評価することが 1982 年放射性廃棄物政策法 (1987 年修正 ) で規定されている ユッカマウンテン計画を中止する方針が示された後も 2010 年に DOE は過剰または不十分な拠出金額を徴収していると判断する合理的な証拠はないとする覚書を発表していた しかし これに対して 全米公益事業規制委員協会 (National Association of Regulatory Utility Commissioners: NARUC) や原子力エネルギー協会 (Nuclear Energy Institute: NEI) 等は NWF への拠出金の徴収停止を求める訴訟を提起し 2013 年 11 月 連邦控訴裁判所は DOE に対して拠出金額をゼロへ変更するよう命じる判決を下した 2014 年 1 月 エネルギー長官は 当該判決について連邦控訴裁判所大法廷での再審理を求める申し立てを行ったが 同年 3 月に同裁判所によって却下されている 再審理の申し立てと同時にエネルギー長官から連邦議会へ提出された拠出金額変更の提案については 同年 5 月に提案が有効となり 拠出金の徴収が停止されることとなった 2015 年 2 月に公表された 2016 会計年度の予算教書の中で DOE は 使用済燃料及び高レベル放射性 廃棄物の管理 処分に係る 使用済燃料処分プログラム (Used Nuclear Fuel Disposition: UNFD) とし て 1 億 836 万ドルを要求しているが ユッカマウンテン計画に関連する予算の要求は行っていない 79 U.S. Department of Energy, Audit Report Department of Energy s Nuclear Waste Fund s Fiscal Year 2014 Financial Statement Audit, 80 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 107

112 2. イギリス 2-1 バックエンド事業政策議論の変容 バックエンド事業政策 (a) 政策概要イギリスのバックエンド政策の基本方針は 1995 年 7 月に発表された 放射性廃棄物管理政策の検討 - 最終結果 と題する白書に定められている 同方針を踏まえて政府主導で高レベル放射性廃棄物等の処分における放射性廃棄物管理方針の決定 サイト選定の実施等を行っている また 処分事業の長期的な計画として イギリスの原子力の将来 と題した報告書を 2013 年 3 月に取りまとめた 具体的には特に高レベル放射性廃棄物の処分の方法については 地層処分を選択すべきだが処分が開始できるまでの間は中間貯蔵を実施するとの方針を CoRWM が 2006 年に政府に勧告した それを受けて 2008 年に DECC によって公表された 放射性廃棄物の安全な管理 - 地層処分の実施に向けた枠組み では 中間貯蔵 地層処分及び研究開発の 3 つの主要な分野に関して 2009 年中に各々の分野についての報告書を政府へ提出することとされた 2009 年に CoRWM より提出された報告書では上記方針に基づいて放射性廃棄物の安全な管理計画のための研究開発のあり方などについて勧告がなされている (b) 事業者の自主的取り組み現在 イギリスで軽水炉の運転を担っている EDF Energy 社から発生する使用済燃料の一部については 同社が最終的な管理方針を決定しておらず発電所内で貯蔵している状況である EDF Energy 社は 2015 年に貯蔵容量が限界に達するため 2011 年 7 月に乾式貯蔵施設の設置許可を得て 2013 年 1 月 14 日より建設工事を開始している 乾式貯蔵施設の完成は 2015 年を予定しており 貯蔵期間は 発電所の存続期間中若しくは最終処分場が操業を開始するまでであるとしている 福島事故直後の原子力政策の動向 (a) 福島第一原発事故直後の政府の対応政府は原子力発電所の新規建設を進めるための各種政策を進めていたところであったが 福島事故を受けて 2011 年 3 月に予定されていた新規原子力発電所を計画するにあたっての政府の指針である国家政策声明 (National Policy Statements for Energy: NPS) の発表延期が決定され (2011 年 3 月 17 日 ) 同年 6 月に予定されていた標準設計認証 (GDA) も同様の理由により延期となった NPS はその後 2011 年 7 月に発表され 政府は 原子力の安全性には万全を期しているとして 原子力推進の姿勢は崩していない 2011 年 7 月 18 日 6 つの国家政策声明が下院で承認された 翌 19 日 エネルギー気候変動相は 2008 年計画法に基づき これを NPS として指定している 大臣により指定されたことは イギリスの計画システムが迅速で予測可能であり 責任あるものであるということを保証している 今後の計画意思決定は NPS で示された明確な政策枠組みの中で行われ 可能な限り透明性の高い意思決定が行われることとなる 福島第一原子力発電所事故直後の 2011 年 3 月 14 日に ヒューン エネルギー気候変動相によって日本の原子力事故状況に係る声明が発表された その中で大臣は 国内では同様の地震災害は起きないとしても 今回の事故を深刻に受け止める として マイク ウェイトマン主任検査官に福島事故の教訓をまとめるよう指示している 3 月 17 日には ヒューン エネルギー気候変動相が主任検査官の報告についての詳細を指示した 大臣は ウェイトマン主任検査官に対し 2011 年 5 月中旬には中間報告を 6 ヶ月以内に最終報告書を提出するように指示した この中間報告書の中では福島事故の教訓からイギリス原子力産業界へ 11 の結論と 26 の提言が述べられ 最終報告書では 6 個の結論と 12 個の提言が追加された 81 EDF Energy プレスリリース 108

113 (b) ストレステスト 2011 年 3 月 25 日には欧州理事会が ENSREG(European Nuclear Safety Regulators Group) と欧州委員会に対し ストレステストを準備するよう要請した 2011 年 5 月 25 日に ENSREG がストレステスト仕様を策定すると イギリスでは仕様に沿った内容の安全性検証が開始された 安全性検証と報告書作成が行われ ONR への事業者報告書提出期限 ( 進捗報告書 :8 月 15 日 メインの報告書 10 月 31 日 ) も イギリスの EC への報告書提出期限 ( 進捗報告書 :9 月 15 日 最終報告書 :12 月 31 日 ) も時間通り守られた ONR は事業者が実施した検証結果を精査すると同時に 事業者と技術面に関する会議等を開いている それらの結果 ENSREG の要綱に沿ったストレステストを事業者が適切に完了した事 イギリスの設計基準事象を考慮した場合 根本的な脆弱性は発見されなかった事 を ONR は確認している (c) 世論の動向 2011 年 9 月 9 日付の報道によるとイギリスで同年 8 月に実施された世論調査では 原子力の利用に対する支持は福島事故にほとんど影響されていないという結果が出た この調査は Populus 社とイギリス科学連盟 (BSA) が実施したものであり 回答者の 41% が 原子力発電の便益はリスクを上回る ことに同意しているが これは同設問に対する 2010 年の 38%(2009 年は 32%) より上昇している 逆の設問である 原子力発電のリスクは便益を上回る に対しては 2010 年の 36% から 28% に落ちている また 新規建設に対しては 2005 年にはわずか 9% だった支持が 23% にまで増加した これらの結果から BSA は 福島事故はイギリス国民の原子力に対する見方にほとんど影響を与えていない と述べている 以上より 福島事故後もイギリスの原子力政策に特段の変更はなく 世論の動向も福島事故に影響を受 けていないといえる 2-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制 2008 年イギリス政府白書では 放射性廃棄物処分地サイト選定プロセスにおいて自主的参加原理とパートナーシップに基づくアプローチの実施を位置づけた 82,83 本プロセスでは 段階的なプロセスを検討しており第 4 段階において地域立地パートナーシップの設立を求めている 84 このパートナーシップによる進め方によって処分施設の選定 建設 運用から閉鎖に関する懸念や疑問が解決され 自治体の更なる発展に寄与することをより確かなものにすることが期待されている 85 また この他に NDA や発電事業者によって自主的に自治体関係者が定期的に集う場としてステークホルダーグループが組織されている 2008 年政府白書が規定する枠組みに沿って 2008 年 7 月にカンブリア州が受け入れの関心表明を行った ことで カンブリア州 同州のアラデール市 コープランド市の 3 自治体が合同で自治体が参加是非を決 めるまで ( 第 3 段階 ( 後述 ) の終了まで ) の期間に限って西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナー 82 総合資源エネルギー調査会電力 ガス事業分科会原子力小委員会放射性廃棄物ワーキンググループ 第 5 回資料 1( 参考資料 ) 諸外国における立地選定プロセスについて 2013 年 11 月 8 日 83 処分場の選定プロセスへの参加は ボランタリーでありパートナーシップに基づくものであると 2008 年白書では規定している 政府はボランタリーな参加の要素として中止できる権利 (Right of withdrawal) の重要性についての認識を明らかにしている 84 政府と自治体のサイトパートナーシップ間の合意に基づいて協定が締結される 協定には設備情報 パートナーシップの狙い 目標 共同体の役割 自治体に求められる事項 パートナーシップの資金調達 パートナーシップの責任 中止する権利等の情報が含まれている (OECD/NEA, Radioactive Waste Management 2010) 85 OECD/NEA, Radioactive Waste Management

114 シップを立ち上げ 自治体での議論を支援した例がある 86 しかし 結果として合意に至らなかったこともあり 2013 年 9 月にサイト選定プロセスの改善向けた公開協議が開始された その後 2014 年 7 月 24 日に DECC が 新たなサイト選定プロセス等を示した白書 地層処分の実施 - 高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み (2014 年白書 ) を公表した 同白書では NDA の子会社として 2014 年 4 月に設立した放射性廃棄物管理会社 RWM を実施主体とし準備活動期間として 2014 年 年の 2 年間を想定し 地質学的スクリーニングの実施や 2008 年計画法の改正と並んで 自治体との協働プロセスの策定 を挙げている この協働プロセスには 意思表示プロセスの策定方法の検討 自治体への経済的なサポートに関する情報提供 自治体 実施主体 イギリス政府が独立した第三者機関から技術的事項のアドバイスを受けるメカニズムの策定 が含まれている 2 年間の準備活動後の関心を表明した自治体と実施主体との正式な協議において いかなる自治体も他の自治体のサイト選定プロセスへの参加を妨げることはできないとしている ステークホルダーグループ会議 87 イギリスでは 立地地域と関係者のコミュニケーションツールとして原子力施設の立地地域において自治体関係者等が定期的に集うステークホルダーグループ会議がある NDA 所有の原子力施設については Site Stakeholder Group(SSG) と呼ばれる会議体があり イギリス全土で 16 の SSG がある 民間事業者である EDF Energy が運転する原子力発電所の立地地域では Local Community Liasion Council (LCLC) ないし Local Liasino Committee(LLC) と呼ばれる会議体がある また Sizewell のような EDF サイトに NDA サイトが隣接する地域では 共同ステークホルダーグループがある 幾つかのステークホルダーグループにはサブグループがあり 緊急時計画等の詳細な議論が交わされている 例えば Dounreay のステークホルダーグループにはサイトの復元 ビジネス 社会経済にかかる 3 つのサブグループがある 88 SSG 及び LCLC の概要について 以下表の通り整理する 86 西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップはサイト選定プロセスの 4 段階以降で設立される 地域立地パートナーシップ (CSP) とは位置づけが異なる点に留意 87 菅原 (2013) 原子力事業と立地地域との関係構築に向けた提案 英国事例からの示唆

115 表 2-1 SSG と LCLC の概要比較 ( 出所 ) 菅原 立地地域におけるステークホルダー参加 海外事例を中心に ( 第 29 回原子力委員会資料 2014 年 9 月 2 日 ) (a) 英国ステークホルダーグループ会議の概要 SSG LCLC ともに設置が法令で義務付けられた組織ではなくボランタリーなものであるが イギリスでは軍用サイトを含む全ての原子力施設で設置されている SSG LCLC の基本的な活動概要は以下のとおり整理される 1 施設の安全や環境影響に対する地域住民の監視 2 施設の運転状況等についての情報提供 コミュニケーション 3 重要案件 89についての立地地域との協議 4 地域の社会的 経済的論点についての議論である なお SSG について NDA がガイドラインを発表しており SSG はガイドラインに沿って運営することを求められている ガイドラインに示されている SSG の主目的は 1コミュニティを代表して 事業者 NDA 規制車に対して疑問を提示する機会を提供する 2 事業の進捗状況やサイトの将来計画を受け コメントを出す 3コミュニティの意見を反映し NDA 事業者 規制者に対する助言をする を挙げている SSG の運営費用は NDA が負担し LCLC は事業者である EDF Energy の負担となっている (b) 英国ステークホルダーグループ会議の構成員 SSG の構成員は NDA のガイドラインに規定されており メンバーとアドバイザーに区分される メンバーとは立地地域から恒常的に参加する人を指し SSG の運営等にかかる意思決定について投票権を持つ ( 地域の政治家 環境団体 NPO 等 ) アドバイザーに投票権はないが 会議に恒常的に参加するステークホルダーである ( 規制者 組合などの代表 NDA の代表者 事業者の代表者 地元自治体の行政職員等 ) 実際の SSG の構成員は立地地域の社会的状況を考慮して 教会 商工会 環境団体 農業組合 観光協会 労働組合等が中心となっている メンバーの人数は議長 副議長を含めて 20~30 人程度 LCLC の場合も SSG と概ね同じ構成となっている SSG の議長職は NDA の雇用者及び事業者でないこととし 89 DECC の政策策定 NDA の戦略策定時に計画案について SSG は協議を求められることがある 111

116 た上で 利益は違反に関する情報を公開する等の規定がある 一方で LCLC は議長も事務局も EDF Energy のマネージャーが務めている また サブグループ等では論点に応じて参加メンバーを柔軟に選定されている 例えば 防災であれば計画範囲 ( ガス炉で 1-3km 程度 ) 地域経済に関する論点であれば通勤圏 (Travel-To-Work Area) 等 (c) 英国ステークホルダーグループの主たる活動 SSG LCLC の具体的な活動として 定期会合 協議 があり また 緊急時計画 の策定にも関わることがある SSG LCLC の定期会合は 事業者や規制機関から施設の運転状況やトラブル等の報告を受けた上で質疑を行う場である また 立地地域が特に高い関心を持つ論点については委員会の下に下部委員会を設置して集中的な議論を行うこともある また 協議 の場として NDA が事業戦略を決める際に立地地域から意見を求めることや 政府や事業者等が原子力政策などについて立地地域との対話を行うことや事業計画案の事前評価におけるステークホルダーの参加プロセスの場としても機能している 協議 に関する具体的な事例として プルトニウム戦略のケースと事業計画案の事前評価の事例がある 90 表 2-2 計画策定時の 協議 プロセスとプルトニウム戦略策定時の例 概要 決定前の段階でステークホルダーの意見を求め計画内容に反映 DECC( エネルギー気候変動省 ) の政策策定 NDA の戦略策定時等に立地地域を含む様々なステークホルダーに対して計画案に対する意見を求める 協議 を求められた SSG は 定期会合や下部委員会等で地元の意見を集めそれらを集約して NDA 等に提示 単一案ではなく複数の選択肢を提示し ステークホルダーの評価を仰ぐ タイムスケジ ュール 結果 2008 夏 : プルトニウム戦略ドラフト公表 協議 プロセス開始 2009 年 1 月寄せられた意見をもとに 信頼できる選択肢 (Credible options) を策定 : 追加の 協議 ワークショップ開催等 2010 年 12 月追加の意見を考慮して選択肢案をアップデート 2011 年.2 月プルトニウム戦略の決定すべての意見が反映されるわけではないが出された意見に対しては Post Consultation Response において丁寧に回答される ( 出所 ) 菅原 立地地域におけるステークホルダー参加 海外事例を中心に ( 第 29 回原子力委員会資料 2014 年 9 月 2 日 ) また NDA が管理するサイトとの立地地域において経済 雇用問題等を集中的に議論する委員会も設置されている イギリスではの廃炉予定の原子力発電所が多いことあり 廃炉措置中もしくは廃炉予定の施設を抱えている地域においては経済的な影響が強い関心事項となっている背景がある 具体的には 原子力施設が地元にもたらした経済的ベネフィットの可視化と今後の予測を定期的に行っており 投資が必要と考えられる分野や具体的な事業等について言及が行われる 施設の新規建設等にあたっては SSG が事業者や NDA に対して Benefit Pachage を求めるケースも見られる 90 菅原 (2013) 原子力事業と立地地域との関係構築に向けた提案 英国事例からの示唆 112

117 (d) 西カンブリアステークホルダーグループ (WCSSG) の事例 Sellafield を含む西カンブリアにおけるステークホルダーグループとして WCSSG が組織されており 原子力産業に関する公的な監査を行う独立組織として活動している 91 同グループには自治体 規制機関 労働組合 コミュニケーショングループの代表が含まれており 四半期に一回会合を開いている 6 つのワーキンググループが Sellafield と低レベル放射性廃棄物処分場について運用 環境影響 緊急時計画 社会経済的影響等の視点から詳細な調査を行っている また 一般市民も会議に招待されており 会議はプレスなどを含めて広く参加できる場所で開かれる 年イギリス政府白書に基づくサイト選定プロセスにおける地域立地パートナーシップの関与事例 92 (a) 地域立地パートナーシップ (CSP) の概要 2008 年の DECC による白書 放射性廃棄物の安全な管理 - 地層処分の実施に向けた枠組み では 高 レベル放射性廃棄物処分のサイト選定プロセスに自治体が参加を決定した後に 地域立地パートナーシッ プ (Community Siting Partnership: CSP) を組織することが定められている その性格を政府が規定 するものではないものの関係諸機関が考慮すべきガイダンスが定められており 以下のような役割を持つ ものとされる 意思決定機関に対して助言や勧告を行う 実施主体 (NDA) や実行組織の行う設計 建設 操業等の作業を検討し 貢献する 地元の懸念事項に対処し 地域の福祉の充実のために専門家の意見を聞く または調査を実施する サイト選定プロセスが有効で 前進に向け努力していることを確認する 自らの活動や見解 勧告等について情報を公開する 地元自治体や より広い地域の関係者と関わり 協議する 地域社会の多様な意見を把握し 対処する 関係する権限を有する地方機関 ( 地域の戦略的パートナーシップやサイトのステークホルダーグル ープなど ) と連携し 協議する 参加メンバーが自分の役割を効果的に実施できるよう キャパシティ ビルディングを行う この CSP はサイト選定プロセスにおける地元としての決定を行う機能 権限を有しているが NDA や政府等の決定の権限を奪うものではなく それらの決定が特に地元の懸念事項について十分に周知 考慮したものとなるための役割を果すものである CSP の構成員は最低限 以下の人員を含む 自治体代表 ( 公選議員または自治体職員 ) 地元選出の国会議員 地域の公共サービス部門 ( 消防 警察 保健トラストなど ) 地域住民または住民グループ 地域と密接に関わっている組織 ( 例えば 地域の非政府組織など ) 広域の地元関係者 NDA の放射性廃棄物管理局 (RWMD) 上記のように CSP の設立は地元自治体が主導的な役割を果す 一方で CSP のメンバーとして事業主体である NDA が入っていることが特徴である NDA はメンバーではあるが NDA は技術的な情報提供は行うものの 地元に関連する事項について直接的に意思決定に関わることはない 政府は CSP が地元の利益を代表するものと想定した上で決定を行うこととなる また政府は CSP の一員ではないが 求め 原子力環境整備促進 資金管理センター (2014) 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 113

118 に応じてオブザーバー等としてその活動に参画することもできる 規制機関も CSP にアドバイスを行う等の対応は可能であるが その独立性を失わないようその活動範囲は厳格に定められるべきであるとされる 政府が CSP について果たしうる役割としては 以下のように例示されている 提案 アドバイスや研究結果等を示すことにより タイムリーな情報提供を行う CSP の議論やワーキンググループ 研究等に参加する CSP からの情報やアドバイス提供の求めに応じる CSP が提供する場でより直接的に地元の意見を聞き また情報を提供する CSP のメンバーの能力形成の補助をする なお CSP の予算については 政府が 参加資金 として用意するが その使途の決定権は CSP にある CSP は自治体がサイト選定プロセス ( 机上調査を実施する 第 4 段階 93 ) に入った後に設立されるものであり その前の 関心表明 の段階ではまだ組織されない 2008 年に最終処分場サイト関心表明を行ったカンブリア州 及び同州のアラデール市 コープランド市の 3 つの自治体は CSP の前の段階として 西カンブリア放射性廃棄物安全管理パートナーシップ を立ち上げたものであり 約 6 週間に一回の頻度で意見交換や勉強会を実施したが 第 3 段階において 2013 年 1 月 30 日にカンブリア州の 2 市 1 州が第 4 段階に進まないことを決定した (b) 西カンブリア州放射性廃棄物安全管理パートナーシップの事例 年から始まった当初のサイト選定プロセスに関心表明を行ったカンブリア州及び同州内の 2 市は 地層処分場立地に関する地元の多様な意見の実像を評価し プロセスへの参加是非の判断材料とするために助言組織としてパートナーシップ組織を立ち上げた 活動資金は政府が提供していた パートナーシップの参加メンバーは両市議会 カンブリア州内の他の市議会 カンブリア州地方議会連合 全国農業者連盟 (NFU) 地方労働組合などが参加し オブザーバーとして CoRWM DECC EA NDA 他 原子力に批判的な立場のグループも参加した 住民や地元関係者に対する情報提供はこのパートナーシップ組織の活動を通じて行われた この活動の一環として各自治体がサイト選定プロセスへの参加に関する判断材料を提供することによって 自治体を支援しており 2011 年 11 月 21 日に 地層処分場のサイト選定プロセスへの参加に関する公衆協議文書を公表し 2012 年 3 月 23 日まで公衆協議を実施した しかし 2013 年 1 月 カンブリア州議会は地層処分場のサイト選定プロセスにおいて 第 4 段階に進まないことを議決した コープランド市議会は第 4 段階に進むことを議決したものの 第 4 段階に進むかどうかの決定においては 2 市 1 州の合意が必要とされていたため これら 2 市 1 州は そろってサイト選定から撤退することとなった 93 第 1 段階 : 公募の開始 自治体からの関心表明の受け入れ ( 自治体が将来の処分場の受け入れに関する責任を持たずに政府と心を開いて検討を行う段階 ) 第 2 段階 : 不適格な地域を判断するための初期スクリーニングの実施 ( 不適格な場合は自治体にその旨が通知される ) 第 3 段階 : 参加決定を行うための自治体での検討 ( 検討後の自治体の参加決定は この段階以降のサイト選定プロセスに公式の責任を有すると見なされる ) 第 4 段階 : 参加地域に関する机上調査の実施第 5 段階 : 好ましいサイトを特定するための残された候補地域での地表からの調査の実施 ( 政府はこの調査の後に好ましい 1つのサイトを決定して次の段階に移行する この政府の決定の前まで 自治体には撤回の権利が保持される ) 第 6 段階 : サイトの適性を確認するための地下での調査の実施 ( 出所 : 公益財団法人原子力環境整備促進 資金管理センター カナダ イギリス ドイツの放射性廃棄物処分に関する現状について ( 第 38 回原子力委員会資料第 1 号 ) 2014 年 12 月 2 日より ) 94 総合資源エネルギー調査会電力 ガス事業分科会原子力小委員会放射性廃棄物ワーキンググループ 第 5 回資料 1( 参 考資料 ) 諸外国における立地選定プロセスについて 2013 年 11 月 8 日 114

119 2-2-3 事業協力体 (Innvous の例 ) 地域の事業協力体として カンブリアでの事業を促進することを目的として組織された Innovus の例がある Innovus は国立原子力研究所 (NNL) とマンチェスター大学とのパートナーシップであり NDA BEC( 後述 ) 政府地域成長基金の支援を受けている Innovus では専門的な設備と技術 資金提供を通じて研究事業と技術の橋渡しを通じて カンブリアにおける技術革新 起業家支援 投資家支援等 経済活動を支援することを目指している 政府も同事業の活動を資金面で支援しており カンブリア Sellafield における課題の解決のための事業の開発に取り組んでいる バックエンド関連施設の立地地域向け施策 立地地域向け支援施策 96, 97 イギリス政府は 2008 年 6 月の白書において処分場の地元となった立地地域に対しては 地域振興のための方策については地域のニーズ 金額の妥当性 支払う金額に見合った価値などを考慮しながら協議の進展に合わせて地域社会 政府 NDA 間で協議しながら策定すべきであるという認識を示している さらに時間によって 地域によって異なる地域のニーズを的確に把握するために地元地域 政府及び NDA 等による協議を通じて具体的な地域振興策を検討していくとしている しかし 政府としてサイクル設備に関して経済的な補償をするという考え方に基づくプロセスは存在しない 98 政府が検討する立地地域支援の例として 具体的には地層処分場のサイト選定プロセスや研究開発や施設設計などに対して 地域社会が参加できるという可能性だけではなく 影響力をもって実質的に参加できる体制を整えられるようにするために 参加資金 (Engagement Package) 及び 地域社会への給付金 (Community benefits package) と呼ばれる政策支援が行われる なお カンブリア州の地層処分場サイト選定プロセスからの撤退決定を受け 2013 年 1 月 31 日付で 大臣声明を公表しており 立地地域支援について以下の点が示されている 99 イギリス政府は 処分場のサイト選定を行うための最善の方法は地元の自主性とパートナーシップによる取組に基づくアプローチであるとの見解を維持する 処分場の建設を受け入れた自治体の社会的 経済的なサポートを行うため イギリス政府は 数億ポンド規模に相当する可能性のあるものとして 利益のパッケージを立地自治体に提供することを確約する サイト選定へ自治体が関心表明を行うように呼びかけることは維持するが 新たな推進策に着手するとともに 西カンブリア地域での経験を反映するための検討を行う 上記を受けて 2014 年 7 月 24 日に DECC が新たなサイト選定プロセス等を示した白書 地層処分の 実施 - 高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み (2014 年白書 ) を公表しており 100 同白書で は 1 イギリス全土 ( スコットランドを除いて イングランド ウェールズ 北アイルランド ) を対象と した地質学的スクリーニングの実施 年計画法 (Planning Act 2008) の改正 3 自治体との協 働プロセスの策定によって 自治体が明確で 証拠に基づいた情報を得ることにより より安心してサイ ト選定プロセスに参加することができるとしている 特に自治体への直接的な支援策として以下の点を挙 げている 原子力環境整備促進 資金管理センター (2014) 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 97 NDA, UK Stakeholder Engagement Initiatives, 2010 年 1 月 30 日 98 例外として地層処分設備の提案にかかる事業と Hinkley Point C の新設プロジェクトがある 99 公益財団法人原子力環境整備促進 資金管理センター 平成 25 年度放射性廃棄物海外総合情報調査報告書 2014 年

120 イギリス政府は サイト選定プロセスに参加する自治体への経済的なサポート及び地層処分施設を設置する自治体に対して 更に追加される経済的なサポートに関する情報 ( 時期 方法について決定するプロセスを含む ) の提供を行う 地層処分施設の建設 操業は数十億ポンドのプロジェクトであり 今後数十年にわたって数百の雇用を創出するなど 立地自治体にとって大きな経済便益をもたらすものである 自治体 実施主体 イギリス政府がサイト選定プロセスにおいて 独立した第三者機関から重要な技術的事項についてのアドバイスを受けられるようなメカニズムを策定する 政策資源配分 101 (a) 2008 年白書における政策資源配分の概要 参加資金 (Engagement Package) 前項で示した 参加資金 (Engagement Package) はサイト選定の第一段階として 関心表明を行った自治体や参加表明後に自治体に設立される CSP( 上述 ) の活動に必要な費用について 一部または全部を政府が負担するものである その具体的内容や金額等については 全体の予算とプログラムの承認を経て 用途等についても地元と政府との協議のもとに決められるものとされる 具体的には 以下のような費目が例示されている 一般大衆への情報提供 会議や連携等に係る費用 CSP スタッフの給与 事務所の費用や一般管理費 CSP や その組織するワーキンググループ等の運営費 専門家の意見聴取のための費用 プロセス評価のための費用 その他 CSP メンバーに必要な雑費等 地域社会への給付金 (Community benefits package) 地域社会への給付金 (Community benefits package) は主に事業の実施に伴う経済効果等も含んだものとなっており 参加資金に追加して支払われるものになる 放射性廃棄物処分場の建設は高額のプロジェクトであり数十年にわたって技能的な雇用を確保する また派生的な産業振興やインフラ整備等は 設備が閉鎖された後も地域経済に長期の利益をもたらすものである このため国や NDA はこの観点から 地元の福祉に役立つことを確証することが望まれている 地層処分事業は処分場全体が最終的に閉鎖されるまで少なくとも 100 年かかり 地層処分施設の操業は数世代にわたる問題であることから 地域振興の問題も数世代にわたる要素を持つとされる 地域社会への給付金はこのような視点から捉えられるものであり 具体的なベネフィットとして以下の点が例示されている 地域の訓練 技能開発や教育への投資 地元サービス産業の活性化 公共事業や住宅等への投資 輸送インフラの強化 福利厚生サービスの改善 地域の環境改善 101 原子力環境整備促進 資金管理センター (2014) 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 116

121 (b) 2014 年白書における政策資源配分の概要前項で示した 2014 年白書では処分場建設事業は多額なものになり 雇用創出効果 経済活性化効果も大きいことを指摘している これに加えて政府として国家として必要なインフラ計画に由来する経済的メリットを最大化するための追加投資も検討しており これには技術者の訓練やインフラの整備 レクリエーション設備等も含まれるとしている ただしこれらの投資は 1990 年都市 農村計画法 の第 106 条に規定されるようなデベロッパーと自治体の間で建設に係る影響を緩和するための協定とは別にあるものとしている 更に 地層処分施設の設置に関心を示した自治体と協働するプロセス策定のために 自治体への経済的サポートを謳っており 102 サイト選定プロセスに参加している自治体には年間最高 100 万ポンド さらにボーリング調査等が実施されている自治体には年間最高 250 万ポンドが参加期間中に投資される見込み 103 Dounreay の低レベル放射性廃棄物処分場の例 104 地域でのバックエンド事業を支援する取り組み例として Dounreay の低レベル放射性廃棄物処分場における資金提供の事例がある これは 社会経済的な発展に寄与することを目的として NDA から総額 400 万ポンドの資金が基金へ提供されることとなっているものである 同地域では Caithness & North Sutherland Fund と呼ばれる基金が社会経済的な影響についての NDA の取組方針 ( 詳細後述 ) に沿って 地域経済の活性化に資するものとして設立されている 基金は スコットランドの 2006 年計画法第 75 条に基づいて設立されている 具体的な資金額の内訳は 2011 年の同処分場建設初期段階において 100 万ポンド その後 10 年間かけて年間 30 万ポンドずつが提供される 関係者の取り組み等西カンブリアでは多様で強靭で低炭素な経済を目指すために 2009 年にBritain s Energy Coast(BEC) を発足させている 105 BEC は既存の強みを活かしバイオ燃料や太陽光等の高成長が期待できるクリーン技術への投資機会を開拓するとともに 地元の原子力産業において潜在的に 900 億ポンドとも言われる投資を実現するために必要な経済支援とインフラ整備を進めている 具体的には BEC は当初は政府によって提供されていた資金を基に原子力事業者のパートナー (Sellafield Ltd NDA 等 ) 地元自治体 (Allerdale 市議会, Copeland 市議会 Cumbria 郡議会 ) と民間事業者との官民連携に基づいて更に発展させていくことを検討しており 世界市場における西カンブリアの地位を高めるために質の高いサービスの提供 エネルギー分野 投資基金などを支援など 経済発展にかかる総合デパートになることを目指している 2012 年 6 月には西カンブリアにおいてビジネスを行っている 200 中小企業 多国籍企業の代表が BEC が主導する The West Cumbria Economic Blueprint の立ち上げに伴って一同に介した The West Cumbria Economic Blueprint は 新たなビジネスチャンスと 経済的なポテンシャル 106 を発揮するために克服する必要がある課題を考慮した戦略を策定する役割を担っている Blueprint では西カンブリアにおいて今後 15 年間で 3,000 人を越える雇用を生み出すことで地域経済の発展に大きく貢献する とした 102 バックエンド事業とは別に原子力発電所の新設について Hinkley Point C 計画の事業期間全体に渡って 1 億 2,800 万ポンドの支援をすることに政府が同意した例もある これは当初は Business Rates Retention を通じて地域政府に提供され その後 DECC から直接提供される見込み 地層処分場の援助と同様に国家として重要なインフラ計画の受け入れる自治体に対して援助を行うという位置づけとなっている 103 DECC(2014), Implementing Geological Disposal -A Framework for the long-term management of higher activity radioactive waste 西カンブリアでは原子力産業における潜在的な投資額は 900 億ポンドに上るとも試算している (Britain s Energy Coast Cumbria, THE WEST CUMBRIA ECONOMIC BLUEPRINT) 117

122 地域経済の発展ビジョンを策定している 107 また Blueprint では戦略として ビジネス 各個人のイノ ベーションを促す環境の構築 地元企業による原子力の新設と廃炉にかかる着実な投資を保証するため に短期的な施策を着実に実行する ことを掲げている 図 2-1 西カンブリア地域の雇用者数の推移見通し ( ) ( 出所 ) 菅原 立地地域におけるステークホルダー参加 海外事例を中心に ( 第 29 回原子力委員会資料 2014 年 9 月 2 日 )

123 3. スウェーデン 3-1 バックエンド事業政策議論の変容 高レベル放射性廃棄物処分スウェーデンでは 原子力発電所で発生した使用済燃料を再処理せずに 高レベル放射性廃棄物として地下約 500m の深さの結晶質岩中に地層処分する政策を取っている この事業のために Vattenfall 及び E.On Fortum の各電力会社が共同出資して設立した SKB(Svensk Kärnbränslehantering AB 英語名は Swedish Nuclear Fuel and Waste Management Company) 社が処分実施主体となっている (a) 処分地の選定上述の通り スウェーデンでは処分場サイトの選定方法に関して法令では規定されていない 原子力活動法に基づき実施主体の SKB が 3 年毎に研究開発計画 (RD&D) を作成し 規制機関への提出とレビューを経て 最終的に政府がサイト選定を承認する間接的規制が行なわれている 図 3-1 処分場のサイト選定の流れ ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター SKB による過去の研究開発計画 (1992 年 ) では 総合立地調査及びフィージビリティ調査 サイト調査 及び詳細特性調査の 2 段階で選定が進められる事とした これに対し 国政府は第 1 段階の調査では 5~ 10 の自治体 第 2 段階では最低でも 2 か所で実施するという条件を提示している 119

124 表 3-1 フィージビリティ調査受け入れ自治体での議決状況 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 1993 年 ~1999 年にわたって行われた 6 自治体へのフィージビリティ調査では地質文献や環境 雇用影響を調査したが その際 全国の候補自治体に対して SKB が公募 申し入れを行い 自治体議会によって同意が得られた場合のみ調査が可能となった フィージビリティ調査の結果を踏まえ SKB は 2000 年に 3 自治体においてサイト候補地を設定した なお この選定結果について SKB は研究開発計画の補足書という形で取りまとめており 規制機関のレビューと政府の承認を受けている サイト調査の際 エストハンマルとオスカーシャムはサイト調査の受け入れを決めたが ティーエルプについては議会で反対票が上回ったため調査を打ち切っている SKB は 2002 年 ~2007 年までの 5 年間上記 2 自治体でサイト調査を実施し 2009 年にエストハンマル自治体のフォルスマルクを選定した 図 3-2 処分場のサイト選定の経緯 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 120

125 (b) 処分場認可申請と審査 2011 年に SKB はフォルスマルクでの処分場立地 建設の許可申請を行い 環境法典と原子力活動法の 2つの法律に基づく許可が行われると建設地が決定した事になる 環境法典に基づく許可では 土地 環境裁判所により 目的に対して妥当な手段と場所を選択しているかに関する審理が行われる その際 裁判所の判断になじむ問題であるかを政府が事前判断するが これには建設予定自治体の受け入れ合意承認が前提となっており 地元自治体による実質的な拒否権となっている 原子力活動法 (Nuclear Activities Act) 第 6 章に基づく建設許可では 放射線安全機関 (SSM) による審査が行われ 政府が審査結果に基づいて判断を行う事になる なお いずれの許可申請においても地元自治体との協議 (Consultations) 環境影響評価 政府判断が含まれており 政府判断に矛盾が生じないよう同じ機会に審査 審理が行われる 自治体におけるこの協議の主管部署は 環境法典に基づき 当該県の管理委員会 (County Administrative Board) に置かれる 処分場を巡る地域住民との協議については 次節で述べる 2012 年に OECD Nuclear Energy Agency(NEA) によって安全性に関する国際審査が行われ 十分に条件を満たすものと判断された 108 処分場の建設は最短で 2015 年から開始され 運用開始は 2025 年を予定している 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制スウェーデンでの最終処分場選定プロセスは当初 1970 年代にスウェーデン北部地方 (Norrland) で始まった この地方の人々は原子力発電の恩恵を受けていないこともあり 合意を得ることは出来なかった その反省を踏まえ スウェーデン政府は戦略を変更し 事業者あるいは原子力発電の恩恵を受ける側のニーズを語るのではなく 自治体のニーズを聞くこととし 1970 年代後半から北部 2 県の地域と長い交渉を始めた まず各候補地の地質調査を行い それから SKB は 8 項目の FS( 文献調査 ) を実施したが このときの FS では地域住民のみならず 関心のある産業団体 環境グループ等 全てのステークホルダーを巻き込んで透明なプロセスのもとに実施されたことが大きな特徴と言える 環境法典及び原子力活動法に基づく使用済燃料最終処分場を巡る地域との協議 (Consultations) は前述の通り 2002 年に開始され 2010 年 5 月にエストハンマル自治体のフォルスマルクに決定するまで続けられた 最終処分場コンセプトは使用済燃料の中間貯蔵施設及び密封用施設 (Encapsulation Plant) 110 とパッケージであることから オスカーシャム及びエストハンマル双方の自治体で同時並行で行われた 足掛け 8 年にわたる協議の中で 地域住民 環境団体 規制機関からの質問は 3,000 件を超えたと SKB は述べている 111 協議開始直後から 参加者の質問には処分場やその付帯施設についてだけでなく スウェーデンのオフサイト使用済燃料管理施設 CLAB についての事項も多く寄せられた すなわち 住民の関心は特定の施設や事業というよりは スウェーデンとして原子力と使用済燃料問題を長期的にどのように考えていくべきか といったより広い論点にもあったといえる 限られた時間でそのような広い論点の質問に全て回答し 議論することは困難となったため SKB は時にテーマ別にまとめて集会を開いて対応した 108 SKB, プレスリリース 2012 年 6 月 3 日付 aspx 109 Kaj Ahlbom, SKB, Swedish Nuclear Fuel and Waste Management Company 使用済燃料を最終処分のための容器に封入するための施設 111 SKB, Consultations according to the Environmental Code Compilation

126 特に集中的に議論が行われたのが オスカーシャム及びエストハンマル ( フォルスマルク ) の地域で環境保護活動をしている団体 Oskarshamn EIA Forum( オスカーシャム環境影響フォーラム ) 及び Forsmark Consultation and EIA Group と規制機関 (SSM) や SKB との協議会である これらの環境団体を交えたオスカーシャム及びエストハンマル自治体での協議体制は 後に オスカーシャム モデル と呼ばれる成功事例となったものである 以下 両自治体における議論の発展経緯をレビューし コミュニケーションのポイントをまとめる 前述のように 1990 年代に 6 自治体が候補地として選定されたとき SKB は現地情報対策室を各市町村に設置した 市町村は SKB 社との連絡に対処する独自の調査グループを設置し 公開の集会や討論会が行われ SKB の職員が学校や職場を訪問し 他の SKB 施設や使用済燃料輸送船 MS Sigyn への施設見学など関心を高めるためのイベントも行われた オスカーシャム地方は 1970 年代に建設が開始された原子力発電所及び使用済燃料の集中中間貯蔵施設 CLAB の立地自治体であり 原子力立地としての歴史は長いといえる 1992 年 SKB 社が使用済燃料封入工場としてこの用地の検討を行った際 オスカーシャム地方委員会はプロジェクトを議論する上で次の二つの条件を付けた (1) 自治体の議論参加にかかる費用は放射性廃棄物基金が支払うこと (2) SKB および許認可機関は環境影響評価フォーラムの設立を認めること これらの要求は認められ オスカーシャム環境影響評価フォーラムは 1994 年に活動を開始した この年 プロジェクトオフィスである LKO( 地域能力開発センター ) も設置され 常勤のプロジェクト管理者も配置された その活動内容には地元住民だけでなく 隣接する市町村も参与した この環境影響評価プロセスは ステークホルダーが決断に関する独立性を維持しつつ参与できることに大きな特徴がある このフォーラムは政府または実施主体から単に情報提供を受けるだけのものではなく 市民団体および環境団体が主役と位置付けられている 具体的には オスカーシャム モデルの理念は以下のとおりである 一般市民が自ら参与することで意思決定に実質的な影響力を与えることができると意識できるよう 完全公開と参加を促す 地方自治体の議会はいわば サブ であり 地方の政治家が知識を高め 次回の決定に関与できるようにする 規制機関 ( 当時は SKI 現 SSM) は環境影響評価プロセスの早い段階から参与し 一般市民に助言する専門家としての役割を果たす SKB 社の労働環境は多角的な質問に答えられるよう広範な機能でなくてはならない スウェーデンでは以降 このオスカーシャム モデルが地域コミュニケーションの基本理念として根付いた すなわち 環境影響評価フォーラムが情報を伝え 論じる媒体となり 環境団体や市民などステークホルダーが積極的に情報を求め 処分場などバックエンド施設の事業プロジェクトを評価するものである 上記オスカーシャム モデルの理念としてもう 2 点 協議に長年関わってきた SKB が重要と考えるポイントが挙げられる 第一に自治体側にいつでも 嫌なら No という拒否権があったことである SKB が FS を遂行し SSM が安全評価を行い OK を出しても それでも住民側は納得できないならいつでも No といえる権利を保有することで住民側と政府 事業者が初めて対等な関係となった 第二には 時間に裕度 (Flexibility) があったことである つまり いつまでに Yes/No を決定しなければならない という制約からは一切自由で 住民側は急ぐ必要が無く 疑問点があればいつでも いつま 122

127 でも聞くことができた SKB は 2000 年の 2 カ所の候補地選定から 2010 年の最終サイト選定に至るまでにエストハンマル及びオスカーシャムの各自治体と議論した対話の記録集を公開している そこには毎回の住民と SKB との会議メモが詳細に残っており いつ どの会議で誰がどのような質問を出し SKB 側がどう答えたかを全て確認することが出来る 3-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 立地地域向け施策の位置づけ 112 スウェーデンの高レベル放射性廃棄物の処分場サイト選定プロセスにおいては フィージビリティ調査や国の立地審査等の各段階で常に地元自治体との協議 同意が必要とされる 実際に SKB 社による調査の各段階では立地受け入れを検討する各自治体による 地元協議 が開催されており SKB 社の調査結果等に関して議論を行っている さらに 各自治体は立地による地元社会への影響を多様な視点から検討する組織を設けており 住民が参加する同組織では住民間の情報共有や SKB 社からの調査報告及び質疑応答を行われた 自治体職員や議員 住民を含む協議組織を設置して懸案事項を協議する仕組みは スウェーデンにおける地方自治の歴史の中で培われてきたものであり 各自治体が主体的に意思決定を行う制度 仕組みとして機能している こうした主体的な住民参加を保障する制度 活動は スウェーデンの立地審査プロセスにおいて不可欠であり 自治体による住民への情報提供活動費用は原子力廃棄物基金 (Kärnavfallsfonden) の資金を活用する事ができると資金確保法で定められている 財政支援プロセスとして まず自治体が予算を放射線安全機関 (SSM) に申請し 事前に交付金を受け取る この交付金の額は 1 自治体あたり年間最大 500 万スウェーデン クローネ (7,500 万円 ) までは SSM が決定し 113 それを超える場合には政府が決定する また 環境 NGO に対する支援も行われており この場合も SSM への申請及び審査を経て交付金が支給される 1 団体あたり年間最大 250 万スウェーデン クローネ (3,750 万円 ) までが上限となっており 1 年間の全体支給額は 350 万スウェーデン クローネまでとなっている 自治体に対する交付金の用途は情報提供費用にあてられ 住民向けのセミナー開催などの費用のほか 協議に参加する自治体の議会議員や職員の人件費として使用される 政策資源配分自治体への配分では 下表のとおりエストハンマル自治体への支援額が最も多く全体の 58%(1 億 1,400 万円 ) となっており オスカーシャム自治体が 27%(5,250 万円 ) ウプサラ県域連合が 8%(1,590 万円 ) カルマル県域連合が 7%(1,290 万円 ) となっている 2013 年の拠出額合計では 1,302 万 SEK(1 億 9,530 万円 ) であり 年によって多少の変動があるものの一定額を拠出している また 原子力に関する活動を行っている環境 NGO に対しても支援金を拠出しており 原発廃棄物監視団体に対して全体の約 70% にあたる 241 万クローネ (3,628 万円 ) を拠出している 112 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 113 Ordinance (2008:715) on Financial Measures for the Management of Waste Products from Nuclear Activities 123

128 単位 :1,000SEK 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 オスカーシャム自治体エストハンマル自治体ウプサラ県域連合カルマル県域連合 ,500 7,600 1, ,686 8,205 1, ( 出所 ) Kärnavfallsfonden, Annual Report 2013 図 3-3 原子力廃棄物基金から各自治体への配分額 単位 :1,000SEK 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 原発廃棄物事務局 再生可能エネルギ- 協会 原発廃棄物監視団体 , ,363 図 3-4 原子力廃棄物基金から環境 NGO への配分額 ( 出所 ) Kärnavfallsfonden, Annual Report 2013 なお 資金配分を受けている環境 NGO の一つ 再生可能エネルギー協会 (Swedish Renewable Energies Association: SERO) は Consultation( 協議 ) にも頻繁に参加し 質問を精力的に行っている EU のプロジェクト Intelligent Energy Europe 114 等からも資金提供を受け 欧州における再生可能エネルギー普及に向けた調査研究と提言を行っているシンクタンクである 114 Keep on Track という 2020 年までに一次エネルギーベースで 20% の再生可能エネルギーを目指す EU の目標の達成可能性を追求するプロジェクト等を実施 124

129 3-3-3 関係者の取り組み等処分場サイト選定プロセスにあたり SKB 社と自治体により関係者を巻き込んだ協議が 2003~10 年までの 8 年間に渡って行われた 初期協議 (early consultations) はオスカーシャムとフォルマルスクの 2 サイトについて行われ 特に処分場の影響を受ける事が予想される住民向けに協議会招待状が送られた 表 3-2 初期協議の行われた日時 サイト 参加者 初期協議日時サイト会合参加者 / 参加対象者 最終処分場 2002 年 1 月 10 日オスカーシャム 110 人 / 300 世帯 封入施設 2003 年 3 月 8 日オスカーシャム Na / 125 世帯 最終処分場 2002 年 6 月 15 日フォルマルスク 30 人 / 300 世帯 封入施設 2003 年 10 月 29 日フォルマルスク Na / 300 世帯 ( 出所 ) SKB, Consultations according to the Environmental Code Compilation , Extended consultations according to the Environmental Code, 2003 SKB 社による協議は a) 関心を持つ市民や団体を対象にした集会 b) オスカーシャム EIA フォーラム及びフォルマルスク協議団体 EIA フォーラムを対象にした会合の 2つが行われた EIA フォーラムや協議団体を対象とした会合はあまり公開されなかったが 2005 年秋から全ての会合が公開となった 参加希望者は誰でも出席できるようになり 多くの聴衆が詰めかけ質疑応答がなされる場となった 協議全体の流れとテーマ (8 年間分 ) は以下の通りである 表 3-3 自治体との協議テーマ別開催一覧 テーマ最終処分場と封入施設のための EIS の範囲 内容 形最終処分場と封入施設のサイト及びデザインについて オスカーシャムとフォルマルスクのどちらが適しているか封入施設のための予備 EIS 方法 サイト 未来安全性と放射線防護サイト 美観 輸送最終処分場のための予備 EIS 水管理環境影響評価における安全性アセスメントの役割 期間 2003 年 11 月 ~2004 年 5 月 2004 年 11 月 ~2005 年 7 月 2005 年 11 月 ~2006 年 1 月 2006 年 5 月 ~8 月 2007 年 5 月 ~6 月 2008 年 10 月 ~2009 年 2 月 2009 年 12 月 ~2010 年 3 月 2009 年 12 月 ~2010 年 4 月 2010 年 5 月 協議一例 : 環境影響評価報告書 (EIA) に関するエストハンマル市集会 (2010 年 ) 115 日時 :2010 年 2 月 6 日 場所 :The Storbrunn cinema, Klockstapelsgatan 2, エストハンマル市 対象 : 一般市民 団体 政府機関 招待 : 地域各新聞への広告による参加呼びかけ 原子力廃棄物基金からの協議支援を依頼された団体や地元自治体 政府機関への招待状送付が行われた他 Dagens Nyheter や Svenska Dagbladet といった全国紙にも広告が掲載された 115 SKB, Consultations according to the Environmental Code Compilation

130 参加者 : 計 80 名ほど ( 住民 :2 名 SKB 社 :9 名 エストハンマル市 オスカーシャム市代表者 再生可能エネルギー協会 (the Swedish Renewable Energies Association SERO) Åland s National Association for Nature and Environment (ÅNOM) Baltic Sea Region Radioactivity Watch(BSRRW) 欧州放射線リスク委員会 (ECRR) 等 ) 背景 :2009 年に公開された予備的な環境影響評価報告書 (EIA) では 原子力関連施設による総合的な環境面への影響について述べている この EIA の内容と具体的な環境影響等について 立地が予定されている地元自治体での公集会で質疑応用を行った ( 質問例 1) 本日で環境影響評価書 (EIS) に関する協議は終わりとのことだが 長期的な安全性評価の観点が重視されていないのではないか EIS には供給 排出エリア 銅の腐食 ベントナイト層の崩壊が評価対象に含まれると期待していたが 今回の報告書では扱われていない 将来のシナリオは複数あると思うが 長期的な安全性の観点について協議願いたい ( 回答 SKB 社 ) まず 長期的な安全性については EIS に含まれる観点であるが 今回の安全性レポートでは含まれていない 現在 新たに長期的安全性評価 (SR-Site) を行っており また前回の長期的安全性評価 (SR-Can) は今でも有効である 新たな長期的安全性評価は前回の評価書とそう変わらない結果になりそうであるが 前回から指摘を受けていくつか前提を変更した点もある なお 前回の長期的安全性評価 (SR-Can) を公開した際に 協議テーマとして 安全性と放射線防護 を既に議論している 安全性分析については規制要求をにのっとって行われており 例えば SKB 社は銅の腐食や人的侵入等の評価を義務付けられている ( 質問例 2) EIS レポートの中に 運用期間中には放射線漏れのリスクは存在しない という文があるが これは運用期間中のみに当てはまるのか それとも処分場が閉鎖された後もそうだと言えるのか また 保存容器が破損するような状況とはどのようなものか ( 回答 SKB 社 ) 保存容器が破損する可能性を諸々検討した結果 例えば運用期間中に保存容器が高い場所から落ちた場合等が考えられる 対策としては 保存容器を扱う際に高度のある所で作業しない事が考えられる 放射線漏れの安全性については 運用期間 ( 閉鎖前 ) の安全性と長期的 ( 閉鎖後 ) の安全性を混同されないよう留意願いたい 長期的な観点から放射性同位体が漏れた場合については 長期的安全性評価 (SR-Can) で様々なシナリオが述べられている 例えば 地震によって断裂帯の岩が移動し 保存容器が破損する場合がありうる これは 断裂帯の近くに保存容器を設置しない事で回避できる 別のシナリオでは 真水が処分場内に浸透してゆき保存容器周りのベントナイト層を浸食する場合が想定でき これによって保存容器の破損につながると考えられる 第一氷河期は約 3 万年 ~4 万年 ~5 万年で発生すると予想されているが 長期的安全性評価は放射性同位体漏れが発生するとどうなるかを示すものであり EIS はその影響と帰結を説明するためのものである ( エストハンマル市 ) 大変見事な返答だったが EIS には記載されていない内容だ なぜ EIS では説明していないのか ( 回答 SKB 社 ) EIS に記載すべきだったかもしれないが EIS は環境への重要な影響を説明するものであってこうした安全性については触れていない 一方 安全性分析には含まれる予定である 126

131 4. フランス 4-1 バックエンド事業政策議論の変容 バックエンド事業政策 (a) 政策概要フランスでは 放射性廃棄物管理研究法が 1991 年に制定され この法律に基づいた研究 ( 長寿命の放射性核種の分離と短寿命の核種への変換を可能とする解決法 地下研究所を利用した 可逆性のあるまたは可逆性のない地層処分の実現可能性 長期中間貯蔵の方法および事前に必要となる廃棄物の前処理方法 ) が実施された この研究成果が 2005 年に取りまとめられ 2006 年には放射性廃棄物管理計画法が制定されることとなる 放射性廃棄物管理計画法において 放射性廃棄物の管理に関する基本方針が定められており 現在の処分方針である 可逆性のある地層処分 を基本に 2015 年までに地層処分場の設置許可申請を行うこと 2017 年に建設を開始 2025 年には地層処分場の操業を開始することが目標として定められた 2015 年 3 月時点では上記の計画が具体化しており Bure の研究施設付近の Meuse 県と Haute-Marne 県にまたがる地域に 高レベル放射性廃棄物および長寿命中レベル放射性廃棄物を 100 年以上回収可能な状態で貯蔵できる深地層最終処分場 CIGEO の建設が予定されている なお 放射性廃棄物管理計画法策定時点の計画から若干の遅れはあるものの 2019 年に建設を開始し 2025 年に操業開始となるよう計画が進められている 127

132 図 4-1 フランスにおける地層処分場 (Cigeo) 操業開始までの計画工程 ( 出所 ) ANDRA 現地調査入手資料 フランスでは既に使用済燃料の再処理が行われており 将来的には高速炉を開発し 核燃料サイクルを確立することを目指している また 再処理において発生する原子力発電所から発生する約 1,150 トン / 年のうち 約 1,050t が La Hague 再処理施設で毎年処理されており 残りの使用済燃料は各発電所や La Hague 再処理施設の貯蔵施設で保管されている 再処理の過程で発生する高レベル廃液は ガラス固化され La Hague Marcoule の再処理施設の専用サイトで冷却されている 冷却されたガラス固化体はキャニスタ ( ステンレス製 ) およびオーバーパック ( 鋼鉄製 ) に封入され 地層処分場で処分される計画である また TRU 廃棄物等の長寿命中レベル放射性廃棄物も高レベル放射性廃棄物と同じ処分場で併置処分する方針である 福島事故直後の原子力政策の動向 (a) 福島第一原発事故直後の政府の対応 福島事故を受け Fillon 首相 ( 当時 ) が ASN に対し国内原子力施設の安全性を調査するよう要請した 128

133 調査の結果 ASN は 2012 年 1 月 安全確保の追加費用が約 10,000,000,000 ユーロ ( 約 1 兆円 ) に上ることを発表している また 政府は原子力分野の情報提供を担う CLI と全国地域情報委員会連合 (ANCCLI:Association Nationale des Comités et Commissions Locales d'information) に対し 国の補助金を約 70% 増額すると発表している 福島事故後 (2012 年 5 月 ) には 運転開始から 40 年目を迎える Fessenheim 1 号機を任期中に廃炉することを選挙公約に掲げた Hollande 大統領が当選し Fessenheim 1 号機は 2016 年末までに閉鎖される予定である なお EDF は 顧客と株主の利益を守るため Fessenheim 閉鎖に伴う補償を政府に求める意向であることを明確にしており 要求額には言及していないが 8,000,000,000 ユーロ程度の補償額が示唆されているとしている 年 10 月に下院を通過したエネルギー転換法には 原子力発電所の容量を現行の 63.2GW を上限とすると記載されており 同法が成立した場合には Flamanville 3 号機 (EPR) が運転開始するまでに Fessenheim 以外の発電所を閉鎖する必要が生じるが 政府報道官が 2013 年 11 月 12 日に Fessenheim の閉鎖以降を計画していない 117 と述べている バックエンド政策については 福島事故以降大きな変化は見られない (b) ストレステスト ASN は2011 年 5 月 5 日に EU 仕様に一致する詳細なストレステストを実施するよう事業者に要求しており 2012 年 1 月 3 日に ASN が公表した報告書では 検査した施設は ASN が即時停止を必要としない安全レベルである としながらも 事故発生 24 時間以内に現場で対応できるように 特殊チームおよび設備 資機材を集結させる全国規模の緊急配置体制として 原子力即応部隊 (FARN) の段階的設置を義務づけるとともに 原子力施設の安全裕度向上の必要性を示している (c) 世論の動向 フランスでは 福島事故直後の 2011 年 3 月 23 日から 24 日にかけてインターネット調査 ( 回答者数 1,192 名 ) が行われており 下図のような結果 118 が得られている 図 4-2 フランスにおける福島事故前後での原子力利用への賛否 ( 単位 :%) 116 Le monde, Henri Proglio : "La France gardera l'électricité la moins chère d'europe", 2013/7/ Platts: 福島第一発電所事故後の原子力発電に対する海外世論の動向 (INSS) 129

134 上記の調査の結果 事故直後でも原子力利用への賛成は過半数を占めているものの 10 ポイント近く減少している また 福島事故後 (2012 年 5 月 ) の大統領選挙では Fessenheim 1 号機を任期中に廃炉すること 原子力発電比率を 75% から 50% まで低減させることを選挙公約に掲げた Hollande 大統領が 原子力を推進してきた Sarközy 前大統領に僅差で勝利している 4-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制 地域情報委員会 (CLI) 地域情報フォローアップ委員会 (CLIS) フランスの原子力施設立地地域では 事業者や住民代表を始め様々な関係主体が参加した 地域情報委員会 (Commission Locale d'information: CLI) と呼ばれる組織が存在している また 高レベル放射性廃棄物処分場の立地に当たり 立地促進に向けた理解 広報活動の主体として 地域情報フォローアップ委員会 (Commission Locale d'information et de surveillance: CLIS) という CLI と類似の組織が設置されている これらの組織は 事業者と立地地域住民の間のコミュニケーションの場として活用されている フランスでは 1970 年代末頃から原子力立地地域において 原子力施設の運転情報提供のあり方を改善するべく 委員会の設置が検討されており 1981 年には La Hague 再処理施設の立地地域に La Hague 施設特別常任委員会 (Commission Spéciale et Permanente d'information: CSPI) が設立されている 119 また 1981 年 12 月 15 日 当時のフランス首相であった P. Mauroy によって 100 万 KW 以上の出力を有する発電所 ( 原子力に限らず火力や水力なども含む ) や使用済燃料の再処理施設等 大規模なエネルギー関連施設の立地地域において CLI の設置を奨励する通達が出された Mauroy 通達を受け 多くの原子力立地地域で CLI が設置され 2010 年には民生用施設に関する CLI がフランス全土で約 30 軍事用施設に関する CLI(CI と呼ばれる ) が約 15 となっている しかしながら Mauroy 通達では CLI の設置推進と活動内容等を規定しているが CLI の存在自体に法的根拠は与えられておらず また財源も保証されていなかった 2006 年 6 月の TSN 法では 原子力の情報公開に関する国の役割と責任を明確化すると同時に 原子力基本施設の立地地域に CLI を設置することが義務付けられており CLI の目的は 事業活動の継続的な評価や情報の周知 原子力安全 放射線防護 公衆および環境への影響に関する協議 と明示されている 同法では CLI に係る財源や参加者 活動内容の概略 関係機関の協力等も規定された 具体的な参加メンバーの構成比率等は 2008 年 3 月 12 日の CLI 設置に関するデクレにおいて詳細に規定されている なお 同デクレには CLI が行う事業への出資形態は 立地県と国 およびその他の関係する地方自治体の間の協定によって定められる (article 15) ( 次年の ) 事業計画および予算計画 ( 前年の ) 執行予算報告は CLI 代表から県知事および ASN に提出される とされている Cadarache CLI および CLIGEET CLI の 2013 年度ファイナンスレポート 120 によると Cadarache CLI の収入は 182,400 ユーロ 支出は 174,697 ユーロであり CLIGEET CLI の収入および支出は ユーロであった それぞれの費用の負担は下表の通りである 119 青山美子, 澤田哲生, 藤井靖彦, 原子力施設運転に関するステークホルダー ミーティングの事例分析と社会的合意形成システムの設計に関する考察, 日本リスク研究学会誌,18[1], (2008)

135 表 4-1 Cadarache CLI 2013 年度収入内訳 ( ユーロ ) 支出元 金額 ブーシュ = デュ = ローヌ県 98,000 国 (ASN) 56,600 ヴォークリューズ県 8,500 ヴァール県 750 アルプ ド オート = プロヴァンス県 3,200 プロヴァンス = アルプ = コート ダジュール地域圏 7,000 エクス地域共同体 3,200 緊急時地域防災対象コミューン 2,150 ITER CLI 3,000 合計 182,400 表 4-2 CLIGEET CLI 2013 年度収入内訳 ( ユーロ ) 支出元 金額 ドローム県 3, ヴォークリューズ県 5,500 国 (ASN) 14,570 合計 24, TSN 法には地下研究所立地市域での CLIS 設置についても規定されており 代表は当該施設の立地県の知事とされている また CLIS の活動資金は 1991 年放射性廃棄物管理研究法のもとでは CLIS の活動資金はムーズ県及びオート =マルヌ県の GIP によって賄われてきたが 国の補助金と処分関連事業者による拠出金で均等に負担される形に変更された 121 図 4-3 CLIS の組織図 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分に ついて (2015 年版 ) 121 原環センター : 131

136 4-2-2 原子力安全情報と透明性に関する高等委員会 (HCTISN) TSN 法において 原子力活動に関するリスクおよび原子力活動による健康 環境 安全保障についての情報提供や議論を目的として 原子力安全情報と透明性に関する高等委員会 (HCTISN: High-level Committee for Transparency and Information on Nuclear Safety) の設置が規定された 2008 年 2 月 28 日に政令が出されるとともに委員 34 名が任命され HCTISN が発足した HCTISN は 原子力活動分野における監視と情報に関するあらゆる問題に対する意見表明や 原子力安全に関する情報へのアクセスに関する事項を取り扱い 原子力分野における透明性の確保或いは向上のための措置の提案を行うこと また 原子力安全担当大臣 上院 下院の所管委員会の委員長 OPECST 委員長 CLI 委員長 原子力事業者から依頼される 原子力安全及び監視に関するあらゆる情報に関する問題の検討を行うとされている HCTISN は 議会 CLI 事業者 関連機関 労働組合 国の関係部局の代表者 学識経者等で構成されており ASN の議長も委員となっている 公衆意見聴取および公開討論会フランスでは 1990 年代より事業計画等のプロセスの透明性や公正性を高めるための制度構築が進められており 1995 年に 大規模事業の環境配慮強化に関する法律 によって国家公開討論委員会 (Commission nationale du débat public: CNDP) という特定の組織に属さない組織が設立されている CNDP には一定規模事業の構想段階の討議手続きである公開討論の開催請求受理に関する権限が与えられており 任期 5 年の 21 名の委員で構成されている なお 原則として公開討論には誰でも参加可能とされている 122 放射性廃棄物等管理計画法の第 12 条には 2015 年迄に予定される地層処分場の設置許可申請に先立って 公開討論会を開催することが定められており ANDRA は 2012 年 10 月に CNDP に地層処分場の設置に関する公開討論会の開催を付託した 公開討論は 2013 年 5 月から 12 月に亘って開催され CNDP は国内各地で行う討論会の状況を公開するとともに 一般からのコメントを受け付けた 公開討論会の第 1 回と第 2 回が反対派の妨害によって中止となり 以降は小規模な会合や討論番組の Web 配信と言う形で討論が行われた また 公開討論の締めくくりとして 2013 年 12 月から 2014 年 2 月にかけ 全国から無作為に選出された 17 名の市民パネルによる市民会議が開催されており このうち 8 名は Meuse 県と Haute-Marne 県から選ばれている 公開討論会の終了までに 公開討論会の専用ウェブサイトには 76,000 件を超える接続があり 1,508 件の質問 497 件の意見表明がされたとしている 2014 年 2 月には CNDP から公開討論会の総括報告書が公表されており 結論と提言 は以下の通りである 123 公開討論会の間に表明された見解は数多く よく議論された内容であった 集会形式の公開討論会が一部の参加者によって妨害されたことは遺憾であるが 討論会は適切に実施されたと言える 多くの市民は 意見を表明することへの無力感や 自分の意見が軽視されたと感じていることが明らかとなった これらの市民は 2005~2006 年の放射性廃棄物管理に関する公開討論会で示された 地層処分オプションと長期貯蔵オプションを並行して検討すべきであるとの結論等が政府によって考慮されなかったと考えている さらに 公開討論会の開催期間中に ANDRA が地層処分プロジェクトに関する契約を締結したことは 地層処分場の設置が規定路線であるかのような印象を抱かせてしまっている これにより 公開討論会において表明される市民の意見 見解は重要性がなく プロジェクトは十分な時間をかけずに急いで実施されるとの市民の感情を強めることになった

137 公開討論会において損なわれた市民 専門家 ANDRA 及び政府関係機関の間の信頼関係を再構築することが急務であり 必要不可欠である 信頼回復のためには 政府関係機関や ANDRA は 公開討論会において市民から寄せられた疑問に耳を傾け 真実を伝え 責任を持ち 慎重に地層処分プロジェクトあるいはその他の代替プロジェクトを実施することが必要である 公開討論会の参加者や専門家の多くは 2006 年放射性廃棄物等管理計画法に規定された現行のスケジュールはタイトであり 地層処分プロジェクトの安全性に関する追加的な証明がなされるべきであるとの見解で一致している この場合 サイトにおける地層処分場の安全性を立証する重要な要素を確認できるのは設置許可申請が予定されている 2015 年以降になるため 複数の専門家は 2025 年の操業開始というスケジュールとも相容れないとしている 地層処分場のパイロット操業期間を考慮した新たなスケジュールに基づいてプロジェクトを実施するため 現行の法規制の変更措置が必要である 公開討論会において 地層処分場のパイロット操業期間を考慮した新たなスケジュールが提示されたことは大きな前進である このパイロット操業段階は リスクの管理が可能であることを確認し パイロット操業が失敗した場合には 定置された廃棄物パッケージを回収することも可能とするものである このようなパイロット操業期間を経た後で初めて 地層処分場の建設 操業を最終決定できるようになる 政府が策定を進めているエネルギー政策転換に関する計画法案において可逆性の問題を扱う方針は より長い時間枠で新たなスケジュールを設定しようとする公開討論会で示された目標と矛盾している 地層処分場に処分される放射性廃棄物インベントリに関しては 現時点では使用済燃料は含まれていないが 将来的な政策転換によって使用済燃料を処分する必要性が生じる複数のシナリオを想定して検討する必要がある また ASN の要請の如何に関わらず 地層処分場の設置許可申請には 使用済燃料の処分に関する補完的な安全証明も提出することが重要である 地層処分場に処分される放射性廃棄物に関する火災リスクについて検討することが必要である その検討には 100 年後に様々なリスク 機能不全 ヒューマンエラーが同時発生する可能性も考慮する必要がある 複雑な研究活動の全ての内容を一般公衆が理解できるようにするための取組みを継続すべきである 市民からは ANDRA の知見に基づくものではなく 別に独立した安全性の立証などを求める強い要望があったためである また それを担保するため 専門家や市民から提起されたプロジェクトの安全性に関する重要なテーマについては 全ての関係者によって 透明性が確保された形で議論が行われるべきである 市民の信頼を得るために 国内外の独立した専門知見も活用するガバナンス体制を再構築する必要がある 現在 ASN IRSN CLIS ANCCLI CNE OPECST などによる充実した組織体制が存在するが 組織内外の知見の活用が不十分である この再構築は 必要な資金が与えられた上で CLIS や ANCCLI を中心に実施することが可能であると考えられる より多元的な専門的知見を確保することは市民の信頼回復に不可欠である 規制機関や政策決定機関は 地元の環境保護団体等の意見聴取を公開で実施すべきである 公衆に対して 可逆性の費用も含めた地層処分プロジェクトに関する費用と資金確保方法についての情報を提供することが必要不可欠である 市民会議を開催した結果 専門的な知識を持たない一般市民でも 多様な観点を反映した情報提供を受けることで 複雑なテーマについて政策決定者が考慮に値する的確な意見 見解を示すことができることが証明された なお 市民パネルが公開討論会の結論と近い見解を示したことは注目に値する なお ANDRA は 総括報告書の公表を受けて 地層処分場プロジェクトの継続に関する方針を決定し ており 国レベルでも 議会内にある国会議員で組織する OPECST や 独立委員会である CNE が国民 133

138 目線でバックエンド戦略のレビューを継続している その他の事業者の取り組み現地での聞き取り調査において AREVA が国民の支持を得た事例として La Hague と Melox の施設 ( それぞれ再処理工場と MOX 成型加工工場 ) 及び核物質の国際輸送船の紹介があった La Hague では CLI の他に Nuclepolis という枠組みで自主的な交流がある CLI の半分は地域住民代表だが 10% ほどは環境問題の専門家 10% は社会学 経済学の有識者が参画している 全仏で 36 ある CLI の代表者が集まって情報交換する場もあり オピニオンリーダーをサイトに招いて見学会をしたりして理解促進に努めている なおサイト見学会は 15 年前から一般人の参加も可能となり 以来 人々の意識も変化したようである サイトツアーでは輸送容器に触れたり 燃料集合体を実際に見る等 現場ならではの工夫をしている他 工業系高校や大学 小中学校への講師派遣も行っている La Hague では 事業従事者の雇用 電力や道路などの社会インフラ 職員の移住による教育水準の向上 といった直接的な効果の他 地場産業の育成や間接人員といった間接効果 更には文化施設やスポーツ施設の充実や人口増といった波及効果もある また ANDRA も Bure の研究施設において AREVA 同様の現地見学会を開催しており インターネットでの情報誌の配布等も行っている 図 4-4 Bure 研究施設見学の様子 ( 出所 ) 西カンブリア地方ウェブサイト

139 4-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 立地地域向け施策の位置づけ 125 (a) 国による支援フランスにおいては 原子力施設に対する助成金や補助金といった仕組みは存在していないが 既存の原子力施設に比べて長期間の管理を必要とする高レベル放射性廃棄物の処分場については例外とされている 1991 年の放射性廃棄物管理研究法で GIP の設置が規定され 2000 年に Meuse 県と Haute-Marne 県に設置された また GIP は 2006 年に制定された 放射性廃棄物等管理計画法 によって新体制に移行 (1 適用範囲の拡大 2 資金の流れの変更 ) している GIP の役割は以下の通りである 地下研究所または地層処分場の設置および操業の推進 地下研究所または地層処分場の周辺区域などにおける国土整備および経済開発事業の自県内での推進 地下研究所内において研究されている諸分野および新しいエネルギー技術分野等における 人材養成事業ならびに科学的技術的知見の開発 活用および普及事業の推進 (b) 事業者による取り組み法的な枠組みに基づいて設置されている GIP と異なり 廃棄物発生者である EDF AREVA CEA が処分場プロジェクト以外に雇用を創出する活動を実施している 具体的には 当該地域をフランスのエネルギー戦略の拠点と位置付け省エネ バイオマス事業を新たに興すことにより 1000 人の雇用を創出することを目標としている 図 4-5 廃棄物発生者による地域振興事業例 ( 出所 ) 原環センター 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 政策資源配分 (a) GIP への補助金 GIP は上記の役割を果たすための財源として 原子力基本施設に課税される連帯税および技術普及税による税収の一部が割り当てられる GIP が設置された 2000 年から 2006 年までに各 GIP に支給された助成金は約 9,150,000 ユーロであり 内訳は ANDRA(6,860,000 ユーロ ) EDF(1,520,000 ユーロ ) その他 (760,000 ユーロ ) であったが 2006 年に制定された 放射性廃棄物等管理計画法 によって新体制に移行し 2007 年の予算規模は 125 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 135

140 20,000,000 ユーロ /GIP となり 現在の GIP の予算規模は 30,000,000 ユーロ /GIP である GIP の補助金は以下の用途に使用されている 経済開発と雇用の助成 自治体間において計画された地域開発 必要とされる地域への支援 インフラ整備の支援 観光開発とイメージ向上への支援 (b) 地方経済税フランスにおいては 処分場を除いた原子力施設に対する助成金や補助金といった仕組みは存在しておらず 再処理工場等のバックエンド施設に関する支援は 他の産業と差が無い 2010 年の税制改革時に廃止されるまでは 職業税 という当該地域に事業施設を持つ事業者および国に課される地方税が存在していた ( 現在では 企業不動産税 および 企業付加価値税 からなる 地方経済税 という形に改められている ) 職業税の課税基準は事業施設の地価 設備価値 動産価値 収益からなり これらの評価額に対して 地方自治体が一定の制約内で税率を決定していた 2009 年のフランスにおける職業税税収の合計は 31,370,000,000 ユーロであり これは地方税税収の 28.5% フランスの地方行政上の最小単位であるコミューンの税収の 30.34% を占めていた また 同年の地方税税収のうち 10.4% が地域圏に 31.3% が県に 58.3% がコミューンもしくはコミューン共同体に配分されていたとされる 年の職業税廃止によって生じた損失分については国が補填するなどの措置をとっていたが 2012 年の地方経済税による税収の合計は 23,860,000, ユーロで 職業税と比して減少している La Hague 再処理施設が立地する La Hague コミューン共同体 128は 2009 年には職業税によって約 34,000 ユーロの税収を得ていたが 2013 年には企業不動産税と企業付加価値税による税収の合計は約 20,000 ユーロとなっている 129 この税制の変更について La Hague コミューン共同体代表のミシェル カノヴィルは 当初は政府からの補填によって税収の変動はなかったが 2012 年以降は減額が通達された 130と述べている また 同時の税制改革では放射性物質の貯蔵施設に対して 従来の税に加算するという形での新たな税制も定められており 貯蔵する放射性物質の種類や施設の容量に応じて課税額が決定される 131 ことになっている La Hague 再処理工場は北コタンタン地方の約 20% の雇用を賄っている上 必要な物資等の約 80% は地元から調達しており その額は年間 300,000,000 ユーロに上る また 国や県 地元市町村の共同体などに合計して年間 130,000,000 ユーロの税金を納めており 132 立地地域の税収の大部分を占めている この税収は地域振興等に利用されており 処分場における特別な補助金のような制度は存在していないものの 立地地域の経済に大きく寄与しているといえる (c) 原子力基本施設 (INB) 税会計検査院の資料 133によると EDF が 2010 年に納めた税金のうち原子力発電と直接間接に関わるものの総額は 1,176,000,000 ユーロであった その内訳は INB 税 516,000,000 ユーロ 企業固定資産負担金 104,000,000 ユーロ 付加価値負担金 99,000,000 ユーロ ネットワーク企業定額税 (IFER)( 2010 年 126 Direction général des collectivité locales, Les collectivités locales en chiffres 2011, 2011, p Direction général des collectivité locales, Les collectivités locales en chiffres 2014, 2014, p La Hague 再処理施設の周辺に位置する 19 のコミューンからなる共同体であり 下記のデータベースでも職業税や地方経済税は各コミューンではなく この共同体の収支に記載されている 129 地方自治体総局ウェブサイト ( 内のデータベースより 130 Hag tions, no.52, 2010, p Loi n o du 30 décembre 2009, article むつ小川原産業活性化センター 平成 19 年度海外核燃料サイクル施設調査報告書 2008, p 会計検査院 原子力発電のコスト (Les coûts de la filière électronucléaire) (2012 年 1 月 ) 136

141 は国が徴収したが 2011 年以降は地方自治体または自治体グループが徴収 )187,000,000 ユーロ 固定資産税 165,000,000 ユーロ フランス航行可能河川開発公社 (Voie Navigable de France) に交付される賦課金 72,000,000 ユーロ 流域諸機関への払込負担金 32,000,000 ユーロである 以上の総額を原子炉 1 基当たりの年間納税額に換算すると 20,300,000 ユーロとなる なお 全国の事業者が国に納めた INB 税の 2010 年度総額は 580,000,000 ユーロであり EDF が納めた INB 税がフランス全体の INB 税の内の大部分 (516M/580M) を占めていることがわかる この INB 税は 原子力発電セクターとの関連で生じた国家予算からの支出を埋め合わせる 134 ため 2000 年に導入された 年度における原子力発電研究予算の総額は 10 億 5600 万ユーロであり この内訳は 放射線防護 原子力安全研究所 (IRSN) 補助金 (2010 年度分 1 億 2800 万ユーロ ) 原子力庁 (CEA) 補助金 (4 億 6000 万ユーロ ) 放射線廃棄物管理機関 (ANDRA) 補助金 ( 同 1 億 1200 万ユーロ ) および国立科学研究センター (CNRS) 補助金 (2800 万ユーロ ) 等である また 2010 年度の原子力保安 安全支出は 2 億 3000 万ユーロであり この内訳は国家憲兵隊警備費のうち事業者によって返済されていない追加費用 (2010 年は 特に輸送警備費 400 万ユーロ ) ヨード錠剤の配布を含む緊急時対策費 (1300 万ユーロ ) 原子力安全局 (ASN) への出資金のうち国 (6800 万ユーロ ) および IRSN (1 億 2900 万ユーロ ただし研究費を除く ) の直接負担分 および国際原子力機関 (IAEA) に対する国の拠出金 (1600 万ユーロ ) である 137

142 5. ドイツ 5-1 バックエンド事業政策議論の変容 バックエンド事業政策廃止措置に関しては 1998 年 9 月に誕生した社会民主党と緑の党の連合政府が 原油価格の下落 火力発電の効率向上及び 1986 年 4 月 26 日に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故を背景に 原子力エネルギー利用を廃止する脱原子力政策を打ち出したことを受け 2002 年 4 月に原子力法が改正された結果 新規発電所については建設 操業が禁止となり 既存の原子炉については総発電規制値を達成した後 ( 許可後最長 32 年 ) に操業許可が消滅することが定められた これに基づき 2003 年 11 月にシュターデ (PWR 67.2 万 kw) 2005 年 5 月にオブリヒハイム (PWR 35.7 万 kw) が閉鎖されるなど 福島事故以前に ドイツでは既に 19 基が閉鎖され 廃止措置が進められていた 135 再処理に関しては 第 1 章で述べたとおり 当初は使用済燃料を再処理して核物質を再利用するよう法律で定めていたが 1994 年の原子力法改正により 再処理せずに使用済燃料を直接処分することを原子力発電事業者が選択できるようなった その後 原子力発電からの段階的撤退政策を受けて 2002 年 4 月に改正された原子力法において 再処理を目的とした使用済燃料の原子力発電所からの搬出を 2005 年 7 月以降永続的に禁止している 放射性廃棄物の処分に関しては まず 1970 年代の旧西ドイツで 核燃料サイクル バックエンドに関係する全施設を一カ所に立地する 核燃料サイクル バックエンドセンター構想があった 放射性廃棄物を処分するには ドイツ北部の岩塩ドームが最も適していると考えられていたため 連邦政府と 岩塩ドームが多く分布するニーダーザクセン州が中心となってバックエンドセンターのサイト選定を進めた ニーダーザクセン州は 1976 年に選定作業を開始し 140 の岩塩ドームから 4 段階で絞り込みを行った結果 1977 年 2 月に連邦政府に対し 核燃料サイクル バックエンドセンターを旧東ドイツとの国境近くのゴアレーベンに誘致する提案を行った これを受けて 連邦政府は 連邦物理 技術研究所を実施主体とし 1977 年 7 月に同研究所がゴアレーベンでの処分場建設の計画確定手続 ( 許認可手続 ) を開始した バックエンドセンター構想に反対の動きがあったものの 最終的には 1979 年 9 月に連邦と全ての州の首相が合同でバックエンド決議を行った この決議により ゴアレーベンの調査を行った結果処分場に適していることがわかった場合には 同地において処分場を建設することが定められた 連邦物理 技術研究所は地表からの調査を行い 1983 年に ゴアレーベンのサイト調査の総括的中間報告書 を取りまとめ ゴアレーベンが処分場の建設地として適切であると評価した 1986 年には ニーダーザクセン州の許可を受けて 地下探査坑道の建設を伴う調査が開始された 1998 年の総選挙による政権交代で ドイツの原子力政策は大幅に見直されたが 原子力発電の段階的廃止を掲げた連立政権により ゴアレーベン プロジェクトにも疑問が投げかけられ 2000 年 10 月から 10 年間にわたり 新規に開始する地下探査活動が凍結されることになった この間 サイト選定手続きの見直しに向けた試みが行われたが 結論を出すには至らなかった ゴアレーベンでの探査活動は 2010 年 11 月に再開された 福島事故直後の原子力政策の動向 137 廃止措置に関しては 福島事故の影響を受けて脱原子力の機運が高まり 2011 年に 8 基の発電炉が閉鎖され 2013 年末時点で稼働している発電炉は 9 基となった これまでに閉鎖した発電用原子炉は 9 基の BWR 7 基の PWR 6 基の旧ソ連型の PWR 型 (VVER) など 福島第一原子力発電所の事故以前に廃止が決定していた 19 基を含めて合計 27 基であり このうち 10 基が解体を完了している 135 ATOMICA ドイツの原子力開発体制 ( ) 及び日本原子力産業協会 世界の原子力発電開発の動向 (2014 年版 ) 136 原子力環境整備促進 資金管理センター (2014) 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 137 同上 138

143 ドイツでは即時解体方式の採用を原則に 各プラントの廃止措置計画が進められている 解体技術の開発は 実証炉 ( グンドレミンゲン KRB-A) を用い 各種の解体ツールの性能確認 また 解体物をリサイクルする方針で解体実地試験が行われた この経験は 世界最大のデコミッショニング プロジェクトであるグライフスバルト発電所 (44 万 kw 5 基 VVER-440 型 ) に反映された 2011 年に閉鎖された 8 基を除き 多くのサイトで解体が進んでいる 138 再処理に関しては 福島事故前後で政策に変更はない 放射性廃棄物の処分に関しては 2011 年 3 月の福島第一原子力発電所事故後の同年 6 月 連邦政府は将来のエネルギー政策の重点項目の中で ゴアレーベンでの探査活動と並行して 代替の処分オプションを選定するための手続きを検討する方針を明らかにした 連邦政府と州は 2011 年 11 月に ゴアレーベンの代替処分サイトを選定する手続きに関する法案を策定することで合意した 連邦と州の協議のもとで法案策定が進められ 法案は 2013 年 4 月に閣議決定された後 7 月に議会を通過し 新しい法律 発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律 ( サイト選定法 ) として成立した ゴアレーベンで再開されていた探査活動は サイト選定の見直しに伴い 2012 年 11 月に一時停止されていたが サイト選定法により一旦中止されることになった サイト選定法では 今後行われる手続きにおいてゴアレーベンが再度検討対象となる可能性を除外していないが その場合も他のサイトと同列の扱いをするよう規定している 5-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制 廃止措置関連ドイツでは 廃止措置についても放射性廃棄物処分と同様 BMUB が許認可を行うが 州 地方自治体なども許認可に参加できる 廃止措置の実施主体である原子力発電事業者は 廃止措置のプロセス スケジュール 放射性物質の管理方法等の詳細を公表するなどして 地域住民からの理解獲得に努めている 図 5-1 地域住民向け説明資料の例 ( シュターデ原子力発電所の廃止措置 ) ( 出所 ) E.ON 社ウェブサイト 139 ( 廃止措置のタイムテーブル ) 138 ATOMICA ドイツの原子力開発体制 ( ) 及び日本原子力産業協会 世界の原子力発電開発の動向 (2014 年版 ) 139 E.ON 社ウェブサイト 139

144 図 5-2 地域住民向け説明資料の例 ( シュターデ原子力発電所の廃止措置 ) ( 出所 ) E.ON 社ウェブサイト 140 ( 廃止措置第 1 段階の工程図 ) 放射性廃棄物処分関連 141 放射性廃棄物の処分に関しては 発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律 ( サイト選定法 ) で まず国民各層の代表者 33 名で構成される 高レベル放射性廃棄物処分委員会 が 2015 年までの予定で 安全要件やサイト選定基準 サイト選定手続きの検討を行うことになっている 選定手続きの開始後は 実施主体である BfS が提案する複数の候補地域から 公衆参加プロセスを経て対象を絞り込むことになっている サイト選定法において これら手続きの期間を通じて 市民対話やインターネットなどのメディアを介して関連の情報発信 意見聴取を行うことを規定している また サイト選定に関わる以下のような重要な事項については市民集会を開催するほか 関係する州や地元自治体の参加の上で決定しなければならないとしている raft-decommissioning_stade_en.pdf 140 E.ON 社ウェブサイト raft-decommissioning_stade_en.pdf 141 原子力環境整備促進 資金管理センター (2014) 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 140

145 候補地域 地上からの探査対象サイトの選定 地上からの探査計画の策定 地下での探査対象サイトの選定 地下での探査計画の策定 候補サイトの最終比較 連邦レベルでの参画 サイト選定基準や安全要件が決定した後 BMUB が 連邦レベルにおける国民意見反映のための組織として 国民のさまざまな層で構成される 社会諮問委員会 を設置することになっている 委員の任命には議会の承認が必要である この委員会は選定手続きに関わるあらゆる文書にアクセスすることが可能で 手続きに対する勧告や見解を公表する役割を担う サイト選定手続きを監督する連邦放射性廃棄物処分庁 (2014 年に新設 ) は 検討対象地域やサイト所在地において 多くの人々が参加可能な形態の市民対話を設定することになっている また 検討対象地域や地元住民をサポートする組織として 処分庁が市民事務局を設置することになっている 市民事務局は独立の立場で 地域や地域住民に対し 手続きに関する専門的な助言を提供することになっている 市民集会は 2013 年のサイト選定法で新たに採り入れられた公衆参加手法である 集会は計画対象とされた地域内で開催される 連邦放射性廃棄物処分庁は開催の 2 カ月前までに連邦官報や同庁のウェブサイト 地元日刊紙に開催告示を出し 最低 1 カ月間 関連する基礎資料を提示する 市民集会の議事録にはその地域における公衆受容の度合いについても記載することになっている 連邦放射性廃棄物処分庁は 探査サイトや処分場サイトの検討を行う際に市民集会の結果を考慮しなければならない ドイツでは 2013 年 4 月にサイト選定法の法案が閣議決定された後 同年 5 月 31 日から 6 月 2 日の 3 日間にわたり サイト選定法に関する市民フォーラム がベルリンで開催された このフォーラムでは連邦議会に所属する各政党の議員や処分事業関連の専門家らが出席し 公衆参加などの社会的側面から資金面 技術面などサイト選定法案で扱われている多くの側面について説明し 市民と議論を交わした フォーラムの模様は全てインターネットで同時中継され 録画画像は動画投稿サイトを通じて公開されている 会場での議論に加え インターネットを通じた市民からの意見聴取も実施された ゴアレーベンでの探査が中止される以前は 処分の実施主体である BfS が主に一般市民向けの BfS の委託を受けて実際の調査作業を行っていたドイツ廃棄物処分施設建設 運転会社 (DBE 社 ) が主にサイト周辺住民向けの広報活動を実施していた プレスリリースや情報冊子 講演会の開催や見本市への出展に加え ゴアレーベンには情報センターが設けられ 地下探査坑道の見学を組み込んだサイトツアーが実施されていた 2009 年からは 移動展示車両で各地を巡回する情報提供活動も実施された 図 5-3 サイト選定法に関する市民フォーラム の様子 ( 出所 ) ニーダーザクセン州環境 エネルギー 気候変動省ウェブサイト ニーダーザクセン州環境 エネルギー 気候変動省ウェブサイト 141

146 5-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 立地地域向け施策の位置づけ 143 ドイツでは廃止措置や放射性廃棄物の最終処分等に関して制度化された地域振興方策はない そもそも ドイツでは 原子力法に基づき放射性廃棄物処分場の設置 運営は 連邦政府の責任で実施されることとなっており 放射性廃棄物管理費用の確保に関する公的な基金制度はない 連邦政府は 処分場を利用して処分する放射性廃棄物の発生者から 経費を徴収することが定められている また 廃棄物の発生者は 連邦政府の経費を負担する以外にも 自らの廃棄物の処理 貯蔵 処分場までの輸送など 放射性廃棄物管理全般に関わる費用を負担する BfS が処分事業の実施のために支出する費用は 前払金令 に基づき原子力発電事業者などが決められた比率に基づいて連邦政府に毎年納付する 前払金 で賄われる これには サイト選定法に基づくサイト選定 ( 探査や予備的安全評価 環境影響評価の実施 連邦放射性廃棄物処分庁による BfS の提案等のレビューや公衆参加手続きの実施などを含む ) 及び サイト決定後の処分場建設 操業 閉鎖に至るまでの一連の費用が該当する 原子力発電事業者などは 原子炉の廃止措置のための費用や 全ての放射性廃棄物の管理のために発生する将来費用を引当金として確保している 2002 年に連邦環境 自然保護 原子炉安全省 ( 現 BMUB の旧称 ) が各廃棄物発生者の引当金を集計した結果によると 総額で約 350 億ユーロ ( 約 4.7 兆円 ) である この金額のうち 約 55% が放射性廃棄物管理に必要な金額 ( 廃止措置以外の目的で引き当てている額 ) とされている 2000 年にゴアレーベンでの探査活動が凍結される前に 同地に処分場を建設するまでに要する費用を BfS が試算した結果では 処分場の設置費用は約 23 億 6,300 万ユーロ ( 約 3,140 億円 )(1997 年末での金額 ) であった また ゴアレーベンでの調査研究費 ( 地下探査坑道の建設を含む ) として 1977 年 ~ 2010 年末までの支出額の累計は約 15 億 5,900 万ユーロ ( 約 2,070 億円 ) となっている 政策資源配分 144 ドイツでは廃止措置や放射性廃棄物の最終処分等に関して制度化された地域振興方策はないものの ゴアレーベン プロジェクトでは 関係自治体の地域振興のために連邦と州の間に 2 回にわたって行政協定が結ばれ ゴアレーベン及び周辺自治体とそれらの自治体の所在するリュッヒョウ ダンネンベルク郡の財政負担を補償するために補助金が支給された 第 1 回目の協定は 1979 年 2 月に結ばれ 1979 年から 10 年間で合計 3 億 2,000 万マルク (1979 年当時の日本円で約 440 億円 ) の補助金が 連邦政府から州政府に支払われた 第 2 回目の協定は 1990 年 3 月に締結され 1990 年から6 年間で総額 9,000 万マルク (1990 年当時の日本円で約 80 億円 ) を支払う取り決めがなされた 2 回目の協定による補助金の支払いは 処分場計画に反対する州が受け取りを拒否したため 最初の 2 年間で中断された これらの補助金は法令に基づく制度的なものではないため 州を通じて支払いを受けた地元の郡及び自治体には 使途についての報告義務はない 支給された補助金については 防災関連の支出のほか 観光振興のための特別プログラムや名所 旧跡のための特別プログラムに対する支援 道路 公会堂や保養センター等の公共施設の建設等が主な使途として報告されている 関係者の取り組み等 関係者の取り組みとして 新たな枠組みによる処分場地元自治体等に対する地域振興方策が実施されて いる例もある すでにサイトが決定し 処分場設置準備が進められている非発熱性放射性廃棄物 ( 中 低 原子力環境整備促進 資金管理センター (2014) 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 144 同上 142

147 レベル放射性廃棄物に相当 ) のためのコンラッド処分場の立地地域では 地域振興を目的とした財団 ( コンラッド処分場財団と呼ばれている ) が 2011 年 12 月に設置された 廃棄物発生者である電気事業者と連邦は 同財団を通じて 処分場の閉鎖までの間 福祉や環境 若者支援 スポーツ振興 保養などのための立地地域振興事業に総額 1 億ユーロ ( 約 1 億 3,300 万円 ) の資金を提供することになっている この資金については 電気事業者が 4 分の 3 を 連邦政府が 4 分の 1 を拠出することになっている コンラッド処分場財団をモデルとする財団の設置が コンラッド処分場と同じニーダーザクセン州に立地するアッセ Ⅱ 研究鉱山においても計画されている しかしながら 地元メディアである Braunschweiger Zeitung 紙は こうした財団からの支出が地域振興方策として有効かどうかについて批判的な意見があることを紹介している こうした報道からは 立地地域における地域振興方策がまだ確立されていないことが推察される 図 5-4 コンラッド処分場財団に関する報道の例 145 ( 出所 ) Braunschweiger Zeitung 紙 2014 年 4 月 22 日付け記事 見出しには アッセ財団の資金はどこへ行くのか? 計画中のアッセ財団はコンラッド処分場財団をモデルにしているが 地域住民はその資金が地元に直接的な影響を与えないと批判している とある 146 Braunschweiger Zeitung 紙 2014 年 4 月 22 日付け記事 143

148 6. スイス 6-1 バックエンド事業政策議論の変容 バックエンド事業政策 147 スイスでは 原子力分野における規制が 数多くの法令に分散していたことなどを理由として 原子力分野の法制度の刷新の必要性が認識されていた 1998 年に連邦評議会は エネルギー対話 ワーキンググループを設置し 新しい原子力法の制定に向けた検討を開始した このワーキンググループには 関係官庁や NAGRA に加えて 原子力発電事業者や環境団体も参加し 原子力発電の継続や再処理の実施についての議論が行われた 同ワーキンググループは 放射性廃棄物管理の問題に関して 廃棄物の回収可能性に関する検討を継続することを勧告した その後 UVEK は 1999 年に 放射性廃棄物の処分概念に関する専門家グループ ( 以下 専門家グループ ) を設置し 技術と社会の両面から問題を検討 勧告するよう依頼した 専門家グループは 2000 年に最終報告書をまとめ 監視付き長期地層処分 という概念を提案し この概念で放射性廃棄物を処分することを法律で明確化するよう勧告した 専門家グループは 従来の地層処分 保守を行なわず 回収の意志を持たずに 放射性廃棄物を生物圏から永久に隔離 する概念のほか 無期限の地層貯蔵といった概念を比較検討した 無期限の地層貯蔵については 長期の安全評価に合致しないと結論付け 従来の地層処分にモニタリングの概念を積極的に組み込んだ 監視付き長期地層処分 概念を考案した 専門家グループの勧告を受け 処分実施主体である NAGRA も 監視付き長期地層処分 概念に基づく処分場システムの検討と安全評価を実施した 2002 年に取りまとめた 処分の実現可能性実証プロジェクト 報告書において 監視付き長期地層処分 概念に基づいた高レベル放射性廃棄物の地層処分により長期安全性が確保できる見通しを明らかにした その後 連邦評議会は 全ての放射性廃棄物を 監視付き長期地層処分 概念で処分する方針を立法化するために 原子力法制の改正準備を進めた 新たな原子力法が 2003 年に制定され 2005 年の同法の施行に合わせて 新たな原子力令を制定し 監視付き長期地層処分 の方針が法律で明確化された 2005 年 2 月に施行された原子力法及び同令において 原子力発電事業者は 放射性廃棄物管理プログラム を 5 年ごとに作成し 規制機関の承認を受けることが義務づけられている このプログラムは 廃棄物の種類や量 処分場建設の実施計画等を記述するものである NAGRA は 放射性廃棄物管理プログラムを 2008 年 10 月に連邦政府へ提出した 福島事故直後の原子力政策の動向放射性廃棄物の処分に関して 福島事故前後で政策に変更は見られなかった 連邦評議会は 2013 年 8 月に前述の放射性廃棄物管理プログラムを承認した この計画によると 下図のように 現在進行中のサイト選定手続きが予定通り 2019 年頃までに終了した場合 地下特性調査施設の建設及び調査の実施後 処分場の建設を 2044 年頃に開始し 2050 年頃に操業が開始される予定である 連邦評議会が 2013 年 8 月に NAGRA の 放射性廃棄物管理プログラム を承認した際には 同プログラムに沿って実施される研究開発計画 及び放射性廃棄物管理費用の見積りに関する報告書の提出に合わせ 次回の更新版のプログラムの提出を 2016 年にするよう NAGRA に要求している 原子力環境整備促進 資金管理センター (2014) 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 148 同上 144

149 図 6-1 地層処分場のサイト選定と許認可プロセスの流れ ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 2015 年 1 月 30 日 NAGRA は 特別計画に基づくサイト選定第 2 段階における地質学的候補エリアの絞り込みの結果として チューリッヒ北東部 及び ジュラ東部 の 2 つを提案したことを公表した NAGRA は 絞り込んだ 2 つの地質学的候補エリアについて 高レベル放射性廃棄物 中 低レベル放射性廃棄物のいずれの処分場にも適しているとしている 今回の NAGRA による提案については 今後 ENSI 等による審査を経た上で 連邦評議会が承認することにより サイト選定第 3 段階に進む候補として確定することとなっている 確定時期は 2017 年半ばと見込まれている 現在行われているサイト選定第 2 段階では サイト選定第 1 段階で選定された高レベル放射性廃棄物の 3 つ 中 低レベル放射性廃棄物の 6 つの地質学的候補エリアの中から 高レベル放射性廃棄物用 中 低レベル放射性廃棄物用のそれぞれの地層処分場について 2 カ所以上の候補を提案することが目標となっている この目標に向けて NAGRA は 科学的 技術的な基準に基づいて 安全性の観点からサイト ( 地下施設及び付属する地上施設の設置区域を含む ) を比較する作業を進めていた 具体的には 天然バリアの有効性 天然バリアの長期安定性 天然バリアの探査可能性 評価可能性 建設上の適性 の 4 つの評価項目を設けて その下に複数の指標を設定し これらを 最適 適格である 条件付きで適格 145

150 である あまり適格ではない の 4 段階で評価した なお NAGRA は 今回の地質学的候補エリアの絞り込みにおいて 社会 政治的な基準は考慮していないとしている 今回 NAGRA が提案したチューリッヒ北東部 ジュラ東部は 高レベル放射性廃棄物処分場 中 低レベル放射性廃棄物処分場のいずれについても 上記の 4 つの評価項目及び指標のすべてに対して 最適 または 適格である との評価がされている NAGRA は これら 2 つの地質学的候補エリアでは 不透水性の岩盤であるオパリナス粘土が適切な深度にあり 氷河等による侵食の影響を受けず長期に安定して存在しているため 放射性廃棄物を安全に閉じ込めることができると結論付けている 高レベル放射性廃棄物処分場の地質学的候補エリアとして検討していた北部レゲレンについては 建設上の適性 が あまり適格ではない と評価しており 候補から除外されている 今後は ENSI が 2016 年を目途に NAGRA が取りまとめた選定根拠に関する報告書を審査することとなる チューリッヒ北東部及びジュラ東部がサイト選定第 3 段階に進む候補として確定するまでの間 NAGRA は 2 つの地域を対象に地表からの三次元弾性波探査を実施する予定である なお ボーリング調査は サイト選定第 3 段階 (2017 年半ば以降 ) で実施することになっている NAGRA は ボーリング調査の実施候補区域として チューリッヒ北東部の 7 カ所 ジュラ東部の 8 カ所を示しており 最終的には各地域とも 4 カ所程度でボーリング調査を実施する計画である NAGRA は サイト選定第 3 段階において最終的な候補サイトを提案できるようになる時期を 2020 年頃としており 2027 年頃には処分サイトが確定する見込みである 149 なお 現時点における最終処分場の概念図は 下図のとおりとなっている 地上の各種施設の建設用に 80,000m 2 (200m 400m) 程度の敷地が必要であり 排気ベント用として 10,000m 3 程度の施設が必要 になるとしている ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター (2014) 海外情報ニュースフラッシュ 2015 年 2 月 10 日付け記事 BFE ウェブサイト 146

151 図 6-2 地層処分場の概念図 ( 出所 ) BFE ウェブサイト 6-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制 特別計画 地層処分場 に基づく活動スイスにおいて放射性廃棄物処分に関し 住民との間に十分なコンセンサスが得られなかった例として 中 低レベル放射性廃棄物処分場計画が挙げられる この計画では 電力会社と地方自治体の共同出資に 151 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 147

152 よって設立されたヴェレンベルグ放射性廃棄物管理共同組合 ( 以下 共同組合 ) が 1994 年にスイス中部のニドヴァルデン州ヴェレンベルグにおける処分場建設計画を発表し 概要承認手続を開始した しかし 1995 年 6 月の州民投票で 探査坑の掘削と処分場の建設を目的とした地下空間利用の許可及び連邦による概要承認に対する州の意見 勧告が否決され 共同組合は連邦 州政府 NAGRA などの協力のもとに処分概念の見直しを実施した 2002 年に共同組合は再び 探査抗掘削のみを目的とした地下空間利用の許可申請を州に提出したが 同年 9 月の州民投票で州の許可発給が再度否決されたため ヴェレンベルグ サイトを断念する決定がなされ 共同組合は解散した なお 2005 年 2 月に施行された原子力法では 処分場などの原子力施設の立地などに関しては 州政府による許可が必要とされないことが規定されている サイト選定手続等を定めた特別計画 地層処分場 は 2006 年 3 月の最初の草案の公表以降 国内や隣接諸国の当局や組織及び個人 スイスの州などから提出された意見を踏まえて 2008 年 4 月に連邦評議会により承認された 同計画は サイト選定の担当官庁である BFE の役割の一つとして コミュニケーション方針の作成や公衆への情報提供 及び広報活動を定めている また NAGRA には 関係者に対する専門的な知見の提供が求められている また 同計画によるサイト選定手続においては 情報提供や関係する州 地域 自治体及び公衆の関与が重要と考えられており 地域参加はそのための主要な手段とされている 特別計画は サイト地域 に属する自治体が地域参加の組織を設置することを定めており 2011 年から6 つのサイト地域において BFE の主導により設置された 地域会議 が活動を始めている 各地域会議は約 85 名から最大 110 名までのメンバーで構成されており 1 州やサイト地域を構成する自治体の代表者 2 経済団体 政党 教会等の代表者 3 住民が参加している また サイト地域にドイツの自治体が含まれる場合はドイツからも地域会議に参加する NAGRA の 2012 年年次報告書によると地域会議には約 200 の自治体が参加しており その中にはドイツの 12 の自治体が含まれている 地域会議は土地利用や社会経済発展に関する調査を実施し 地域の持続的発展に資するプロジェクトを作成する役割を担っている また NAGRA の提案と別に 地域会議が地上施設の配置と立地について独自に提案できる ジュラ東部とジュートランデンでは地域会議が提案した地上施設の設置区域案を NAGRA が採用した 地域会議の予算は 1 つの地域会議ごとで年間約 50 万スイスフラン ( 約 5,500 万円 1 スイスフラン = 109 円として換算 ) となっている 地域会議は予算案と活動費用に係る請求書を BFE へ提出し BFE はこの予算案を承認し 費用を NAGRA へ請求する この予算は地域会議の事務局の運営費用 広報活動 会議参加の費用などに割り当てられており 地域会議のメンバーは活動への参加に対する報酬を受け取っている なお 特別計画 地層処分場 は 州や自治体からも代表者が参加して構成される 下表のような委員会などの設置を規定しており これらは既に活動を開始している 148

153 表 6-1 特別計画 地層処分場 に基づく委員会 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) その他の広報活動等地層処分場の地質学的候補エリアの提案の公表後の 2008 年 11 月から 12 月にかけて BFE の主催によりドイツを含めた 9 カ所で 情報提供イベントが開催された このイベントでは ENSI 及び NAGRA もプレゼンテーションを行っている また NAGRA は 独自に情報提供のためのイベントを実施する他 パンフレット等の作成や教育機関への情報提供 地下研究所を利用した情報提供活動などを行っている この他にも NAGRA は 2012 年にチューリッヒ中央駅で TimeRide と題する大型展示を開始した この展示は地層の歴史やなぜオパリナス粘土は処分に適しているのかの理由などを紹介するものである その後 ベルン シャウフハウゼン ヴィンタートゥールの見本市でも展示を実施している 図 6-3 NAGRA による情報公開例 ( モン テリ岩盤研究所における研究状況の紹介 ) ( 出所 ) NAGRA ウェブサイト NAGRA ウェブサイト 149

154 6-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 立地地域向け施策の位置づけ 153 スイスでは 現時点では地域振興を目的とした法的な枠組みはないが 地層処分場プロジェクトに関する特別計画の確定手続きにおいて サイト確定後に交付金について検討することを明文化している 特別計画によると 対価 と呼ばれる交付金について 法的根拠は定められていないものの 第 3 段階において概要承認が発給されてから 対価に関する検討が行われ 廃棄物発生者によって支払われることが規定されている 対価の配分と用途については 地質学的候補エリアや計画範囲に含まれる自治体等が検討し 州などに提案することになっている 政策資源配分 154 スイスでは 放射性廃棄物の発生者が処分費用を負担しなければならないことが 2005 年 2 月に施行された原子力法で定められている 廃棄物発生者である電力会社及び連邦政府は NAGRA の放射性廃棄物管理に関する調査 研究活動などに必要な費用を負担している スイスでの放射性廃棄物管理の資金確保では引当金制度と拠出金制度が併用されている 原子力発電所の運転中に係る放射性廃棄物管理費用については 2005 年 2 月に施行された原子力法により 原子力発電所の所有者が引当金を計上することにより資金確保をしている 原子力発電所の運転停止後の放射性廃棄物管理については 必要な費用を賄うために設立された放射性廃棄物管理基金に対して 電力会社が毎年拠出金を支払う義務を有している 2000 年 3 月に放射性廃棄物管理基金令が制定され 原子力発電所の閉鎖後の廃棄物管理活動全般に必要な費用を基金化する制度が確立した この政令は 2007 年 12 月に 原子力施設の廃止措置基金に関する政令と一本化され 廃止措置 廃棄物管理基金令となった 放射性廃棄物管理のための基金の積立対象となるのは 原子力発電所の閉鎖後に必要となる以下の費用である 廃棄物の輸送及び処分 使用済燃料の輸送及び処分 処分場の 50 年間のモニタリング段階 処分場の設計 計画 計画管理 建設 操業 閉鎖及び監視 放射線防護措置及び作業被ばく防止措置 官庁による許認可及び監督 保険 管理費用 この基金は 連邦評議会により設立された管理委員会によって管理され またこの委員会が費用の想定額についての決定も行う 基金への払い込みは 2001 年末から始まり 2012 年末における放射性廃棄物管理基金の残高は 約 32 億 2,100 万スイスフラン ( 約 3,510 億円 ) である (1 スイスフラン =109 円として換算 ) 基金への拠出金および引当金は 5 年に一度行われる放射性廃棄物の費用見積りに基づいて決定される 最近では原子力発電事業者の団体であるスイスニュークリアが 2011 年に費用見積りを発表し ENSI が評価した これ受けて 2012 年から 2016 年までの拠出金および引当金が決定されている 次回の費用見積りは 2016 年に実施される予定である 放射性廃棄物の発生者が負う管理義務に基づいて NAGRA の事業費用は 現在 発生者からの引当金に基づく処分場へのプロジェクトへの支出により賄われている 現在スイスでは閉鎖された原子力発電所は存在しないため 放射性廃棄物管理基金 による支払いはないが 原子力発電所の運転停止後 NAGRA の活動費用は基金からの払戻金で賄われることになる 原子力発電事業者は スイスにおける高レベル放射性廃棄物の処分費用の総額が約 45 億スイスフラン 153 原子力環境整備促進 資金管理センター (2014) 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 154 同上 150

155 ( 約 4,910 億円 ) になると 2011 年時点で見積っている 処分費用見積額の内訳は サイト選定を含む概要承認までの準備作業費が約 4.4 億スイスフラン ( 約 480 億円 ) サイト特性調査施設の建設 操業費が 9.2 億スイスフラン ( 約 1,000 億円 ) 処分場建設費が 11 億スイスフラン ( 約 1,200 億円 ) 処分場操業費用 8.8 億スイスフラン ( 約 960 億円 ) 処分場モニタリング費用が約 10 億スイスフラン ( 約 1,090 億円 ) 処分場の閉鎖費用が約 2.3 億スイスフラン ( 約 250 億円 ) となっている (1 スイスフラン =109 円として換算 ) 関係者の取り組み等 155 特別計画は サイト選定の担当官庁である BFE の役割の一つとして コミュニケーション方針の作成や公衆への情報提供 及び広報活動を定めている また 放射性廃棄物管理共同組合 NAGRA には 関係者に対する専門的な知見の提供が求められている 一方で 各州は 連邦及び隣接州の方針を考慮しながらも 地域の利用については自らが責任を持つとされている そのため サイト選定手続きに関してサイト立地州と連邦及び隣接州との間で意見対立が生じた場合は 三者それぞれが担当省庁に対して解決手続きの実施を求めることができ それでも解決しない場合には 連邦議会が判断することとされている ( 出所 ) BFE ウェブサイト 図 6-4 特別計画における関係図 155 BFE ウェブサイト 151

156 7. フィンランド 7-1 バックエンド事業政策議論の変容フィンランドでは再処理を行わずに直接処分をする方針としており 1983 年の政府による 原則決定 において 放射性廃棄物の管理に関する研究 調査や実施計画策定等のスケジュールが定められた それによれば 第一段階としてサイト確定調査を 1985 年までに 次いで第二段階として概略サイト特性調査を 1992 年までに 第三段階として詳細サイト特性調査を 2000 年までに行い サイト選定を進めることとされた 当初は原子力発電事業者 2 社のうち TVO 社がサイト調査を実施していたが 1994 年に原子力法が改正され 使用済燃料の輸出入が禁止されてからは 発電事業者が設立した事業主体である Posiva 社が任を負うこととなった 実際にサイト選定のスケジュールは概ね 1983 年の決定通りに進行し 4 か所 ( クーモ アーネコスキ ロビーサ及びエウラヨキ ) の場所で詳細サイト特性調査が行われた上で 地元の了承のもと 2001 年には処分地選定の原則決定が議会によって承認された 図 7-1 サイト決定の経緯 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター なおフィンランドではこの原則決定の承認までの間は 大規模なサイトの地下掘削が禁止されている このため決定後の 2004 年からオルキルオト ( エウラヨキ ) において地下特性調査施設 (ONKALO) の建 設が開始され 計画が進んでいる最中である 7-2 地域住民とのコミュニケーション強化等の支援策 体制フィンランドにおいては サイト選定までのさまざまな段階で住民の関与が行われている 住民とのコミュニケーションに当って重要な情報源となるものは Posiva 社による環境影響評価 (EIA) の結果であり 最新の EIA 報告書は 2008 年に公開されている この報告書を作成するに当っては 一方的な情報の提供ではなく住民が情報を入手し 意見を表明できる場が設けられてきた 報告書中の記載によれば EIA のプロセスの中では 異なった利害関係者の関与が重要な一部分となっている と述べられている これにより EIA の初期の段階から様々な意見を反映させるものとなっている 具体的には Posiva 社が各利害関係者 ( 地元 中央政府 規制機関 関連企業等 ) からの代表者を招いて監査グループ (Audit group) を定期的に開催し 意見交換 情報交換を行っている EIA 2008 の作成に際しては ヴオヨキ マナーハウスにて計 2 回の監査グループが開催された また別途 地元 周辺住民のためのイベントも複数回行われており 活発な質疑がなされている 152

157 ( 出所 ) Posiva, EIA 2008 図 7-2 環境影響評価 (EIA) に関与する利害関係者 図 7-3 フィンランドにおける事業者と政府 自治体及び住民の関わり ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター また Posiva 社と自治体代表との間では 協力とフォローアップのグループ が設けられ ほぼ 1 カ月 に二回程度の会合を行うことにより 最終処分に関する諸問題や その計画 環境影響評価等について議 153

158 論を継続してきている 年の立地選定後もこの協力グループは毎年開催され オルキルオトでの 取り組みや ONKALO の建設 研究開発等について議論が行われている 7-3 バックエンド関連施設の立地地域向け施策 立地地域向け施策の位置づけ (a) 処分場立地自治体の振興策 157 フィンランドでは 地元に対する中央政府からの直接的な補助金 保証等は存在しない 158 原子力発電所や処分場等の原子力施設が立地する地方自治体に対し 固定資産税の税制優遇措置が設けられている 通常 地方自治体は固定資産税率を 0.5~1.0% の範囲で定めることができるが 原子力発電所や放射性廃棄物管理施設については上限が 2.85% まで引き上げられており 地元自治体にとっては固定資産税の増収が可能となっている ポシヴァ社の環境影響評価による下図試算では 各立地自治体に約 2 億円の税収増加が予想されるとしている 図 7-4 処分立地優遇措置による固定資産税の税収増加予測 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター (b) 企業 行政間の協定による措置 159 処分場立地に関する地元自治体との協定として Posiva 社とエウラヨキ自治体との間で協力協定が 1999 年に結ばれている この協定は Posiva 社及びエウラヨキ自治体の代表による少人数のワーキンググループから始まったもので 両者の協力の可能性を探し出すことを目的として行われた Posiva 社は同年にオルキルオトにおける処分場建設のための原則決定の申請を行っており この原則決定が国会で承認されることを協定発効上の条件として結ばれた 協力協定では Posiva 社はエウラヨキ自治体に対し 新たに高齢者向けホーム施設を建設する資金を貸与している 一方 エウラヨキ自治体は老朽化対策に悩んでいた高齢者向けホーム施設を Posiva 社にリ 156 OECD/NEA, Forum on Stakeholder Confidence (FSC), Partnering for long-term management of radioacitive waste overview of evolution and current practice in twelve countries 157 原子力環境整備促進 資金管理センター (2014) 諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について (2014 年版 ) 158 OECD/NEA, 同上 159 原子力環境整備促進 資金管理センター, 同上 154

159 ースを行っている Posiva 社はこの施設を改装して社屋として利用しているが これは 1836 年に建設された旧領主邸宅 (Vuojoki Mansion ヴオヨキ マナーハウス ) という歴史がある建物である Posiva 社は 施設の一部をレストラン 多目的ホールとして観光客や自治体住民が利用できるよう開放しており エウラヨキにおける観光の目玉となっている こうした地域文化財への投資活動 利用はエウラヨキ自治体から特に評価されている 160 ( 出所 ) Vuojoki Foundation ウェブサイト 図 7-5 ヴオヨキ マナーハウス 160 Posiva, EIA p 155

160 第 3 章 バックエンド関連事業による経済的影響 156

161 1. アメリカ 1-1 廃止措置関連事業に係る経済的影響アメリカでは 廃止措置が完了した原子炉が 11 基存在する 161 また 廃止措置中の原子炉も数多くあることから 原子炉の廃止措置による立地地域への経済影響に関する調査は NEI 162 や立地地域近郊に位置する大学 研究機関によって実施されている 本項では 廃止措置が完了した Yankee Rowe 原子力発電所 2014 年 12 月に閉鎖した Vermont Yankee 原子力発電所 アメリカ国内で多くの原子炉が立地するイリノイ州における廃止措置に係る経済的影響について分析した先行研究を概説する なお アメリカにおける廃止措置は 以下の 3 段階に分類される 初期段階発電所を閉鎖した被許認可者は 30 日以内に NRC へ運転の恒久的停止に係る証明書を提出しなければならない 燃料集合体の原子炉容器からの移送が完了すると 被許認可者は原子炉の運転 燃料装荷の権限を放棄する証明書を NRC へ提出しなければならない 恒久的な閉鎖に係る証明書を提出後 2 年以内に 被許認可者は廃止措置計画 ( スケジュールやコスト見積もりを含む ) を NRC へ提出しなければならない この計画書では サイト固有の廃止措置に関連する環境影響は過去の環境影響評価の中で対応済みである理由を指摘しなければならないことになっている NRC は計画書を受領後 連邦公報へ受領の通知を掲載し パブリックコメントを受け付け 公聴会を開催する 2 主要な廃止措置実施段階 NRC が廃止措置計画を受領してから 90 日後 被許認可者は NRC の個別の許可なしに主要な廃止措置を開始することができる この作業には 原子炉容器や蒸気発生器 配管システム ポンプ バルブといった主要な構造物の恒久的な撤去が含まれる 廃止措置の方法としては SAFSTOR( 安全貯蔵 ) DECON ( 即時解体 ) ENTOM( 遮蔽隔離 ) の 3 つが挙げられ 多くの場合 SAFSTOR の後に解体される 被許可者は NRC から異議が申し立てられない限り 廃止措置計画のために積み立てた基金の 3% を利用することが可能である 3 許認可停止段階被許認可者は 許認可停止予定の 2 年以内に許認可停止計画を提出しなければならない 計画には サイト特性 残りのサイト撤去活動 サイト復旧 ( 緑地化 ) のための計画 最終放射線調査の詳細計画 残りの作業に係るコスト推計 環境影響報告への補足 ( 最終的な除染作業に関連した環境影響について重大な変更等がある場合にそれを記載 ) が含まれる 許認可停止計画は NRC の承認を得る必要があり NRC の承認前に 発電所のサイト近郊で公聴会が開催される Yankee Rowe 原子力発電所 Yankee Rowe 原子力発電所は マサチューセッツ州フランクリン郡に位置する原子力発電所で 出力 18.5 万 kw の PWR であった 所有者 運転者は ヤンキー原子力発電会社 (Yankee Atomic Electric Company: YAEC) であり 1961 年 7 月に商業運転を開始し 1992 年 2 月に閉鎖している 廃止措置はすでに完了しており サイトには ISFSI が残るのみとなっている 161 NRC ウェブサイト NEI ウェブサイト NRC ウェブサイト 157

162 ( 出所 ) Yankee Rowe ウェブサイト 図 1-1 廃止措置開始前の Yankee Rowe 原子力発電所 図 1-2 廃止措置完了後の Yankee Rowe 原子力発電所跡地 (2012 年 4 月 ) ( 出所 ) Yankee Rowe ウェブサイト Yankee Rowe 原子力発電所の閉鎖に係る経済的影響については マサチューセッツ大学が 1997 年に公報告書 164を公表している 当該報告書によると 運転期間のうち最後の 1 年間にあたる 1991 年の YAEC のマサチューセッツ州西部地域 ( バークシャー郡 フランクリン郡 ハンプデン郡 ハンプシャー郡 ) に対する経済貢献は以下の通りである 表 1-1 YAEC のマサチューセッツ州西部に対する経済貢献 (1991 年 ) 項目 額 YAEC の給与支払い (payroll) $12,580,687 マサチューセッツ州西部における物品 サービス調達費 市町村関係費用 マサチューセッツ州西部における市民 公的サービスの寄付 $3,847,906 $17,295 市町村税 寄付金 $710,216 ( 出所 ) Unicersity of Massachusetts, Center for Economic Development (1991) 164 John R. Mullin and Zenia Kotval (1997), The Closing of the Yankee Rowe Nuclear Power Plant: The Impact on a New England Community 158

163 YAEC の雇用者 ( 約 250 名 ) は 発電所が立地するフランクリン郡内の 21 の市や町に居住していた YAEC は同郡内で可能な限り調達を行うという方針を掲げ 郡内 12 の地域の 125 の小企業から物品やサービスを調達していた また 発電所が立地するフランクリン郡ロー町では 1991 年に YAEC から約 69.6 万ドルが固定資産税として町に納められており 町の税収の約 33% を占めていた 当時 ロー町の人口は 357 人 町に上下水道設備はなく 小学校が 1 校 小売店舗が 3 店あるのみであった アメリカ商務省の産業連関モデルを用いて Yankee Rowe 原子力発電所の地元経済への影響を分析すると 万ドルの電力販売で地元経済 ( フランクリン郡とハンプシャー郡 ) に の雇用が創出されるという結果が示されている 1991 年には 7,000 万ドルの電力販売があり YAEC は両郡において 469 の雇用を直接創出している 表 万ドルの電力売上に係る経済効果 (1991 年 ) 乗数タイプ直接効果間接効果誘発効果合計 雇用 個人所得 ( 百万ドル ) ( 出所 ) Unicersity of Massachusetts, Center for Economic Development (1991) 発電所の閉鎖後 1994 年における YAEC のロー町に対する固定資産税の納付は約 20 万ドルと 1991 年時点の約 28% まで縮小しており 発電所の閉鎖による地元経済への影響は深刻であった この税収の減少は町の公共サービスに打撃を与えており 救急車や消防車 砂まき装置 市民保護に関連する機器の購入資金の不足 小学校の資金繰りの悪化などが発生した また 税収の減少を受けて ロー町は固定資産税を引き上げている 165 発電所の閉鎖によって 全体として 260 の正規雇用が失われ 失われた給与支払い分は 1,250 万ドルを超えると推定されている また 地元は 最も重要な (flagship) 企業を失ったという喪失感も大きいと分析されている マサチューセッツ大学の報告書では YAEC の事例研究から 原子力発電所の廃止措置は通常の工場や軍事基地の閉鎖とは異なり その規模や廃止措置に係る期間が長いことや 中短期的は発電所跡地の再利用は難しく 廃止措置が続く期間中は土地の価格や住宅の価値が下落し続け 税収の基盤を侵食することとなること等を懸念事項として挙げている 電力会社に対して発電所閉鎖後も地元経済を支えるための大型基金の設置を求める指摘もなされているが 同時に 市町村レベルでの発電所閉鎖後の地元経済刺激策の策定等を行うべきという点が提案されている その際に 計画策定のプロフェッショナルを職員として雇うこと 他の原子力発電所立地地域と連携して NRC や原子力産業界へ意見を発信すること 来るべき発電所の閉鎖に備えて事前にタスクフォースを組んでおくこと 他のコミュニティの経験を参考にすることが重要であると指摘している Vermont Yankee 原子力発電所 Vermont Yankee 原子力発電所は バーモント州ウィンダム郡に位置する出力 65.2 万 kw の BWR である 前述の Yankee Rowe 原子力発電所が立地していたマサチューセッツ州フランクリン郡は 隣接する郡となる 運転者は Entergy Nuclear Operations 社であり 1972 年 11 月に商業運転を開始し 2014 年 12 月に閉鎖した 同発電所は アメリカにおけるシェールガス開発にともなう天然ガス価格の下落の影響を受け 経済性の観点から 2013 年 8 月に閉鎖が発表されていた 165 $4.86/thousand of assessed value(1993 年 ) から $5.50/thousand of assessed value(1996 年 ) へ引き上げ 159

164 図1-3 Vermont Yankee 原子力発電所 出所 Entergy ウェブサイト Vermont Yankee 原子力発電所の閉鎖にともなう経済的な影響については マサチューセッツ大学ドナ ヒュー研究所が 2014 年に報告書166を公表している 同報告書では IMPLAN 産業連関モデル167を利用し Vermont Yankee 原子力発電所に隣接する 3 郡 Tri-County Region における経済影響を分析している 3 郡とは マサチューセッツ州フランクリン郡 バーモント州ウィンダム郡 ニューハンプシャー州チェ シャー郡を指す 発電所の作業員の大多数はこの 3 郡に居住しており 2014 年の居住状況をみると 発 電所の全雇用者 550 人のうち 481 人が 3 郡に居住していた また 発電所の作業員の給与所得は 3 郡の 平均値と比べて 2.5 倍以上となっている 2013 年の年間給与所得を比較すると Vermont Yankee 発電所 の作業員の給与は 105,000 ドルであったのに対し 3 郡の平均値は 40,000 ドルであった 3 郡が位置する 3 州のそれぞれの平均給与や全米の平均給与と比較しても 発電所の作業員の給与は十分高いものである これは 発電所の作業員には 発電所の管理や運転といった特殊な技能が必要とされるためである 69人 176人 101人 2014年 VY雇用者 合計 550人 フランクリン郡 204人 チェシャー郡 ウィンダム郡 他 図1-4 Vermont Yankee 原子力発電所の居住地域別雇用者数 2014 年 出所 UMass Donahue Institute, Economic and Public Policy Research (2014), Economic Impacts of Vermont Yankee Closure より作成 UMass Donahue Institute, Economic and Public Policy Research (2014), Economic Impacts of Vermont Yankee Closure 160

165 図 1-5 平均給与の比較 (2013 年 ) ( 出所 ) UMass Donahue Institute, Economic and Public Policy Research (2014), Economic Impacts of Vermont Yankee Closure より引用 報告書では 廃止措置の段階に応じて Vermont Yankee 原子力発電所の地元経済に与える影響を以下の通り分析している 使用済燃料プールを用いた燃料管理の段階 (2020 年までと報告書では想定 ) では エンタジーニュークリア社は Vermont Yankee 原子力発電所の既存の作業員や 近隣郡からの新規雇用者を継続的に活用するとされ 発電所の運転中と比較して雇用者数は大きく減少するものの これらの労働力は 3 郡の経済に引き続き貢献を果たすとされている ただし 雇用者数の大幅な減少により 経済貢献の規模は急激に縮小することが予想される 乾式貯蔵期間 (2021 年以降と想定 ) に入ると 雇用数はより減少し 雇用者の種類も発電所の運転 管理者から 建設要員や保安要員へと移行するため さらに経済貢献が縮小傾向となると予測されている 表 郡における発電所の経済貢献の変化 運転中 (2014 年 ) 年 年 2021 年以降 * 2021 年以降 ** 直接効果 雇用 雇用者所得 $82,099,127 $38,564,486 $15,508,264 $2,675,750 $1,100,406 付加価値 $244,286,992 $66,121,377 $26,547,585 $7,849,919 $3,242,067 産出 $402,707,428 $81,769,337 $32,091,293 $10,573,188 $4,328,235 間接効果 雇用 雇用者所得 $10,425,325 $3,547,281 $1,426,498 $618,522 $246,311 付加価値 $31,131,267 $5,541,555 $2,224,922 $968,233 $386,153 産出 $47,691,302 $10,528,954 $4,227,352 $1,734,171 $692,314 誘発効果 雇用 雇用者所得 $14,377,220 $6,106,431 $2,455,631 $361,327 $148,855 付加価値 $26,575,152 $11,297,051 $4,535,741 $667,946 $275,168 産出 $43,008,077 $21,464,397 $8,617,908 $1,081,549 $445,562 合計 雇用 雇用者所得 $106,901,672 $48,218,198 $19,390,393 $3,655,600 $1,495,572 付加価値 $301,993,411 $82,959,983 $33,308,248 $9,486,099 $3,903,388 産出 $493,406,806 $113,762,689 $44,936,552 $13,388,908 $5,466,111 * 使用済燃料の乾式貯蔵期間に該当 ** 最も雇用が少ないケースを想定 161

166 ( 出所 ) UMass Donahue Institute, Economic and Public Policy Research (2014), Economic Impacts of Vermont Yankee Closure より引用 また 産業別に Vermont Yankee 原子力発電所に関連する雇用数の変化をみると 以下の通りとなる 表 郡における発電所関連雇用数の変化 産業の大区分 運転中 (2014 年 ) 年 年 2021 年以降 * 2021 年以降 ** 天然資源 鉱業 電力 卸売業 小売業 運輸業 倉庫業 建設業 製造業 情報産業 金融活動 専門的 業務サービス 教育 健康サービス 娯楽 接客業 他サービス 行政 合計 1, * 使用済燃料の乾式貯蔵期間に該当 ** 最も雇用が少ないケースを想定 ( 出所 ) UMass Donahue Institute, Economic and Public Policy Research (2014), Economic Impacts of Vermont Yankee Closure より引用 発電所の作業員は給与所得を 3 郡の域内で消費するため レストラン等を含む娯楽 接客業や 銀行で の取引や不動産取引といった金融活動 ドライクリーニングやペットの世話等を含む他サービスといった 産業の雇用を支えている しかし 廃止措置期間に入り 発電所の雇用者数の減少や雇用者の種類の変化 によって 地域での関連産業における雇用数は大きく落ち込むとされる なお 実際の廃止措置は 60 年かけて実施される予定である Vermont Yankee 発電所の廃止措置計画では 2016 年から 2068 年の期間安全貯蔵され (SAFSOR) 2068 年から 2069 年の間に解体準備を行い 2069 年から 2073 年の期間に実際の解体作業を実施 2073 年から 2075 年の期間にサイト復旧作業 ( 緑地化 ) を行う予定となっている 168 そのため 廃止措置期間中にも地元経済への経済貢献はある程度続くと考えられるが その規模は報告書で示された通り 発電所の運転期間中と比較して大きく縮小すると指摘できよう イリノイ州イリノイ州には 11 基の原子炉 169が立地している すべての原子力発電所は Exelon Nuclear(Exelon 社の子会社である Exelon Generation 社の一部門 ) が管理 運転しており Exelon 社の本部も同州に位置している NEI は イリノイ州内の原子力発電所の雇用 経済影響を Exelon 社のデータに基づき Regional Economic Models, Inc. の Policy Insight Plus(PI+) 経済影響モデルシステムを用いて分析している 170 以下では 11 基の原子炉並びに Exelon 社本部のイリノイ州に対する経済影響 イリノイ州に立 168 WAMC Notrh East Public Radio, Braidwood 原子力発電所 (2 基 ウィル郡 ) Byron 原子力発電所 (2 基 オーグル郡 ) Clinton 原子力発電所 (1 基 デウィット郡 ) Dresden 原子力発電所 (2 基 グランディ郡 ) LaSalle County 原子力発電所 (2 基 ラサール郡 ) Quad Cities 原子力発電所 (2 基ロックアイランド郡 ) の 11 基である 170 NEI, The Impact of Exelon s Nuclear Fleet on the Illinois Economy (October 2014) 162

167 地する発電所のうち Byron Clinton Quad Cities 発電所が閉鎖した場合に州へ与える経済的影響につい て概説する (c) Exelon 社の州経済への影響 (2015 年見込み ) Exelon 社の施設 ( 本部 原子力発電所 ) による 2015 年の経済生産高は 89 億ドルに上り 2030 年には 114 億ドルまで拡大すると見込まれている 2015 年の Exelon 社による州経済への貢献 2015 年の経済生産高の産業別詳細 同社による直接雇用 間接雇用数は以下の通り なお 2013 年時点のイリノイ州の州内総生産 ( イリノイ州における国内総生産 ) は 7,206 億 9,200 万ドルとなっており 2009 年にはリーマンショック後の経済危機のあおりを受けて一時的に低下したものの 堅調な経済成長を続けている 171 単位は 10 億ドル (2014 年価格 ) 表 1-5 Exelon 社による州経済への貢献 (2015 年 ) 発電所 / 分類 直接効果 間接効果 合計 Braidwood 産出 $1.08 $0.62 $1.70 雇用者所得 $0.13 $0.24 $0.37 雇用者 898 4,023 4,921 州内総生産 $1.13 Byron 産出 $1.06 $0.67 $1.73 雇用者所得 $0.13 $0.27 $0.39 雇用者 880 4,264 5,144 州内総生産 $1.17 Clinton 産出 $0.43 $0.28 $0.71 雇用者所得 $0.10 $0.10 $0.20 雇用者 711 1,405 2,116 州内総生産 $0.46 Dresden 産出 $0.80 $0.50 $1.30 雇用者所得 $0.13 $0.19 $0.32 雇用者 915 3,008 3,923 州内総生産 $0.90 LaSalle 産出 $1.03 $0.62 $1.66 雇用者所得 $0.12 $0.24 $0.37 雇用者 875 3,971 4,847 州内総生産 $1.14 Quad Cities 産出 $0.84 $0.54 $1.38 雇用者所得 $0.13 $0.21 $0.33 雇用者 909 3,265 4,174 州内総生産 $0.94 HQ 産出 $0.14 $0.29 $0.43 雇用者所得 $0.14 $0.12 $0.26 雇用者 708 1,721 2,429 州内総生産 $0.28 合計産出 $5.39 $3.52 $8.91 雇用者所得 $0.88 $1.37 $2.24 雇用者 5,896 21,658 27,554 州内総生産 $6.02 ( 出所 ) NEI, The Impact of Exelon s Nuclear Fleet on the Illinois Economy (October 2014) より引用 171 U.S. Department of Commerce, Bureau of Economic Analysis, 163

168 表 1-6 Exelon 社による経済生産高の産業別詳細 (2015 年 ) 産業 Braidwood Byron Clinton Dresden LaSalle Quad Cities HQ 合計 電力 1,109 1, , ,409 建設業 専門的 科学的 技術的サービス 製造業 不動産 賃貸 金融 保険 小売取引 会社経営 保健 社会保障 卸取引 情報産業 州 自治体政府 管理 ごみ処分サービス 他サービス ( 行政除く ) 宿泊 飲食 鉱業 運輸業 倉庫業 美術 娯楽 レクリエーション 教育サービス 合計 1,700 1, ,305 1,656 1, ,906 単位は百万ドル (2014 年価格 ) ( 出所 ) NEI, The Impact of Exelon s Nuclear Fleet on the Illinois Economy (October 2014) より引用 表 1-7 Exelon 社による直接雇用と間接雇用 (2015 年 ) 産業 Braidwood Byron Clinton Dresden LaSalle Quad Cities HQ 合計 建設業 1,474 1, ,110 1,486 1, ,466 電力 ,511 専門的 科学的 技術的サービス ,056 小売取引 ,544 保健 社会保障 ,754 他サービス ( 行政除く ) ,209 管理 ごみ処分サービス ,015 宿泊 飲食 金融 保険 製造業 他 ,001 3,603 合計 4,921 5,144 2,116 3,923 4,847 4,174 2,429 27,554 ( 出所 ) NEI, The Impact of Exelon s Nuclear Fleet on the Illinois Economy (October 2014) より引用 このように イリノイ州において Exelon 社の本部 原子力発電所を含めた施設や事業は 州の経済に 大きな貢献をしている (d) 3 つの発電所が閉鎖した場合の経済影響シェールガス開発の進展にともなう天然ガス価格の大幅な下落や 経済の低迷等により Byron 発電所 Clinton 発電所 Quad Cities 発電所は早期閉鎖のリスクにさらされている 3 つの発電所の詳細は 以下の通り 164

169 表 1-8 発電所の詳細 発電所 出力 ( 万 kw) 炉型 営業運転開始 備考 Byron PWR 1985/9/16 Byron PWR 1987/8/21 Clinton BWR 1987/4/24 Quad Cities BWR 1972/8/ /10/28ライセンス更新 Quad Cities BWR 1972/10/ /10/28ライセンス更新 ( 出所 ) 日本原子力産業協会 世界の原子力発電開発の動向 2014 年版 NRC ウェブサイト 3 つの発電所が仮に 2016 年に閉鎖した場合 その影響は数十年にわたると分析される 最初の年は 直接的な経済生産高の損失が 24 億ドル 間接的な経済生産高の損失が 12 億ドルとなり その後 2030 年まで毎年 直接的な経済生産高が 28 億ドル 間接的な経済生産高が 22 億ドルずつ失われると見込まれる その期間に イリノイ州の州内総生産は 2016 年に 25 億ドル縮小し 2030 年には 33 億ドル縮小すると予測される これら損失の規模は 発電所の閉鎖にともなって発電所の作業員やその家族が州内から移動することにより 現在の州経済に対する経済貢献よりも大きくなっている 表 年の関連産業における損失 産業 Byron Clinton Quad Cities 合計 建設業 専門的 科学的 技術的サービス 製造業 不動産 賃貸 小売取引 金融 保険 保健 社会保障 電力 州 自治体政府 情報産業 他 間接的な経済生産高の損失の合計 ,979 直接的な経済生産高の損失 ( 電力部門 ) -1, ,618 損失合計 -2, ,645-4,597 単位は百万ドル (2014 年価格 ) ( 出所 ) NEI, The Impact of Exelon s Nuclear Fleet on the Illinois Economy (October 2014) より引用 発電所に閉鎖にともなう人口移動については 2030 年までに 17,000 人が州外へ移動すると予測されており 雇用損失は閉鎖から 4 年後には安定すると見込まれるものの 2040 年までイリノイ州の人口は継続的に減少すると推定されている また 2016 年には 9,000 以上の雇用 ( 直接雇用 間接雇用含む ) がイリノイ州内で失われ 2020 年には雇用喪失がピークに達し 13,300 もの雇用が失われると推計されている 165

170 表 年の関連産業における雇用喪失 産業 Byron Clinton Quad Cities 合計 建設業 -1, ,366-3,615 電力 ,878 専門的 科学的 技術的サービス ,870 小売取引 ,284 保健 社会保障 管理 ごみ処分サービス 他サービス ( 行政除く ) 宿泊 飲食 製造業 不動産 賃貸 他 ,651 合計 -5,952-2,555-4,842-13,349 ( 出所 ) NEI, The Impact of Exelon s Nuclear Fleet on the Illinois Economy (October 2014) より引用 1-2 最終処分事業に係る経済的影響ユッカマウンテン計画のネバダ州に対する経済影響について ネバダ州立大学が報告書 172を発表している また 1982 年放射性廃棄物政策法 (1987 年修正法 ) に基づき ネバダ州がユッカマウンテン計画に関する社会経済研究 173を実施している ネバダ州は当該計画に反対を表明していることから 州による社会経済的影響に係る研究は 当該計画に対して批判的な指摘を行っている 以下にそれぞれの研究の概要を示す ネバダ州立大学による報告書ネバダ州立大学による報告書は 2003 年 9 月に発表されたもので 報告書に記載されている金額はすべて 2003 年時点の実質価格である 報告書では 以下の点が指摘されている 現行のユッカマウンテン計画は 2000 年 ネバダ州経済に対して 1 億 9,570 万ドルの経済的貢献をもたらし 2001 年には 1 億 8,8600 万ドルの経済的貢献をもたらした 同計画は 2000 年に 3,650 の雇用を創出 これは 約 1 億 3,100 万ドルの実質可処分所得を毎年ネバダ州にもたらすことを意味する 現行のユッカマウンテン計画が承認されれば 施設の建設 輸送ルートの建設 廃棄物の輸送 貯蔵施設の運転の結果として 将来的な経済的効果が見込まれる なお DOE の処分場に関する最終環境影響声明によると ユッカマウンテンまでの廃棄物の輸送は ほとんどを鉄道輸送 することが最も望ましい選択肢とされている (DOE は鉄道建設 運転について 5 つの選択肢を検討している ) 経済的効果を 雇用 州内総生産 小売物価指数でみると 次のように見込まれている 雇用 : 最も大きな雇用への影響は 施設や輸送ルートの建設段階に発生する 建設に関連する雇用創出は 輸送ルートによって異なるが 3,200~4,000 以上となると推計される 廃棄物の輸送や施設の運転段階 (2010~2035 年と想定 ) における雇用創出は 年間約 2,000~2,500 とされる 小売物価指数 : ユッカマウンテン計画に関わる労働力は 州の平均賃金と比較して高い給与収入があると見込まれる ユッカマウンテン計画に関する小売物価指数は年々着実に伸びるとされ 建設初期段階において約 5,100 万ドル 2035 年に約 1 億 5,000 万ドルでピークを迎えると想定される 州内総生産 : 州内総生産は 建設段階における影響が最も大きい 雇用者への給与 賃金と州内で 172 Center for Business and Economic Research, Univercity of Nevada, The Economic Impact of the Yucca Mountain Nuclear Waste Repository on the Economy of Nevada (September 29, 2003) 173 State of Nevada Socioeconomic Studies: Biannual Report,

171 の調達活動によって 州内総生産は建設段階のピークの時点 (2006 年と想定 ) で 2 億 2,800 万ドルに拡大すると予測される 廃棄物の輸送段階 施設の運転段階における州内総生産は 年間 1 億 200 万ドルを超え 多くの年で 1 億 2,700 万ドルに達すると見込まれる ユッカマウンテン計画は 経済影響の循環がないが カジノ産業や観光産業のように国内外の景気に大きく影響されることもない 感覚に基づいたリスク影響 (perception-based risk impacts) は 雇用や州内総生産 小売物価指数のいくらかと部分的に相殺可能と考えられる 感覚に基づいたリスク影響は リスクに基づいた住居の移動に影響を受けやすい住民が よりリスクを受け入れやすい住民と入れ替わることで 早い段階で影響がなくなるとされている 雇用については 輸送リスクが何もなければ州の雇用創出は 2010 年に約 21,000 となる見込みであるが 輸送リスクによって 新規雇用創出は 3,300~17,700 になるとされる 州内総生産は 廃棄物の輸送開始段階 (2010~2011 年と想定 ) で 850 億 9,100 万ドルと推定されるが リスクの影響によって 4 億ドル超に留まるとされる しかし この影響は人口の入れ替えによって緩和されるとされ 廃棄物の輸送段階や施設の運転段階における州内総生産の損失は 年間約 1,700 万ドル程度となると考えられる 廃棄物の輸送リスクに関連するネガティブな経済影響は 人々が廃棄物輸送のリスクについて DOE とあまりにも異なる認識を持っていることが大きな要因の一つである 仮に 人々が DOE のリスク評価を受け入れたら リスクに関連する経済影響は小さくなる この認識の相違を埋めるため 人々にリスクに関する情報を提供する教育プログラムを用いることが挙げられる ネバダ州における経済影響は 資本や機械 建設資材をネバダ州外から調達することを前提としているため 主に給与 賃金に基づいている これは ネバダ州には このような資機材を製造 生産する基盤が現在存在しないためである ネバダ州による報告書 1982 年放射性廃棄物政策法並びに 1987 年放射性廃棄物政策法では 唯一の候補地とされたネバダ州に対して ユッカマウンテン計画の社会経済研究を行う権限を付与している ネバダ州は 州知事室の一部門として原子力プロジェクトに関する機関 (Agency for Nuclear Projects) を設置し 連邦政府の高レベル放射性廃棄物処分計画の監督や 独立した技術的 社会経済的な研究の実施 州政府機関や自治体政府機関との協働 州知事 州議会 利害関係者への情報提供を実施している 社会経済研究チームは 1986 年に設立され ネバダ州立大学をはじめとする大学の社会科学者や研究グループが参加している 同チームが 1995 年に発表した報告書 174では ユッカマウンテンにおける高レベル放射性廃棄物処分は ネバダ州に対して大きな利益をもたらすものではないと指摘している 高レベル放射性廃棄物処分計画は 国の原子力産業や核兵器関連産業に対し利益をもたらすように設計されている 放射性廃棄物がネバダ州へ移送されることによって州には何ら利益はない 州の雇用や所得 経済活動という観点では ネバダ州南部における利益は大変控えめである 約 1,500 人の DOE 職員はラスベガスといった都心部に居住しており ネバダ州内で物品やサービスが調達されたとしても 物品やサービスは州外で生産されていることが一般的である ネバダ州の税制度では 観光業やカジノ産業からの税収が税収の大部分を占めている これらは訪問客をベースとした収入である しかし ユッカマウンテン計画は訪問客や観光客を増加させるものでもなく 公共サービスに対する支払いが増加するものでもないため 税収という観点からも利益は望めない ネバダ州の経済 輸送 ビジネスの中心地であるラスベガスは ユッカマウンテン計画の本部が設置される可能性がある その結果 ラスベガスに汚名を着せる (stigmatize) こととなり 観光客数の減少を招き 都市のみならず州に深刻且つネガティブな経済的影響を与える可能性がある 174 State of Nevada Socioeconomic Studies: Biannual Report,

172 2. イギリス 2-1 バックエンド事業における社会経済的な影響についての NDA の取組方針 2004 年エネルギー法は NDA に対して施設運営自治体が事業プログラムを行う際の社会経済的影響を考慮し自治体の社会経済的な便益の支援を求めている 175 これを受けて政府は NDA に対して経済影響の緩和するための役割を与えている NDA は他省庁や地元自治体と連携し 直接資金援助 NDA の事業を通じた支援 サイトライセンス企業の基金援助等を行うことでこれらの事業に取り組んでいる 176 また NDA はサイト隣接地域の自治体にとって持続可能な経済の構築を支援するためのビジョンとして 雇用 教育と技術 社会経済インフラ 経済の多様性の 4 点をテーマとして掲げており 177 また 課題として技術力の低下等を挙げている NDA は上記の視点から処分場施設建設や発電所の廃炉にかかる社会経済的影響に関するレポートを多数発表している 表 2-1 NDA による社会経済影響に関する資料文書名発表年概要 Magnox Socio-Economic Development Plan 事業の優先順位付けに関する論理的根拠と MODP ( 後述 ) の着実な実施のための自治体支援策に関す る短 中期の行動計画を示す Strategy 2011 NDA の長期目標に対する戦略の方向性を示す Priority Area Plans West Cumbria Socio-Economic Priority Area Plan Caithness and North Sutherland Socio-Economic Priority Area Plan Anglesey and Meirionnydd Socio-Economic Priority Area Plan The Gretna-Lockerbie-Annan corridor in Dumfries and Galloway Socio-Economic Priority Area Plan 2009 各エリアにおける重要関連事項の詳細について情報 提供を行う NDA Socio-Economic Policy 2008 NDA 事業のプロセスと評価基準 優先順位を明ら かにし地方当局や関係者と共同で社会経済的影響に 係るイニシアティブに取り組むことを支援する ( 出所 ) NDA Key reference documents related to socio-economics 核燃料サイクル事業に係る経済的影響 NDA と Sellafield Ltd は 2013 年 11 月に開かれた第 43 回決算委員会で議論された Sellafield 事業の 進捗 に関する 提言 6 によって Sellafield 事業の更なる情報公開が要求された 179 これに対して NDA, Socio-Economic Policy

173 Sellafiedl Ltd は Sellafield の地域経済 国民経済への貢献について明らかにしている 180 各項目別に以下 の通りまとめている 雇用 西カンブリア地域における直接雇用が 9,034 名 更にサブコン関係で 950 名 直接雇用による賃金等による経済影響が年間 4 億 5,000 万ポンド (Copeland:56% Allerdale:24% Cumbria 他 :10%) 同地域はイギリス平均より生活費が低いため可処分所得はイギリス平均 ( ポンド ) より大きく ポンド サプライチェーンの雇用 責任ある調達方針 (Responsible Procurement Programme (RPP)) サプライチェーンの見通し 雇用などを通じて Sellafield Ltd は Tier 2 の供給事業者の参加を促し 地域の雇用機会創出に寄与している 特に の若年労働力と被雇用者に焦点を当てている Sellafield Ltd は Employment Brokerages のような地域との共同調達モデルについても積極的に検討し 成功裏に導入が広がっている 実習等訓練スキーム 技術訓練プログラムに取り組んでいる 更に 長期的に国家レベルと地域レベルでの技術水準に関するギャップを埋めるために 地元の雇用機会を最大化することを目指して Pathways to Employment に取り組むことが 2014/2015 の優先課題の 1 つ 調達 Sellafield Ltd の年間費用 9 億ポンドうち 34.4% が西カンブリア内であり これはカンブリア大学によってモニタリングされている 現在の調達方針から Sellafield 社会経済的戦略 181に基づいて さらに踏み込んで改善して行くことを検討している 実践例 新たな調達のあり方について NDA 政府と共同で実証事業を行っており ベストプラクティスの検討を行っている 国際的事業 Sellafield サイトは日本の原子力産業と強い関係を有している 具体的には東京電力と協力協定を締結しており 知見を共有することで革新の促進と福島後の廃炉 クリーンアップ事業に取り組んでいる これによって高度な技術分野におけるビジネスチャンスが生まれることが期待される 2-3 廃止措置関連事業に係る経済的影響廃炉関連事業にかかる経済影響試算についても NDA が多数の試算を行っている 例えばイギリス原子力産業協会資料では原子力発電所の閉鎖とクリーンナップにかかる経済影響について NDA の試算を引用して下記のとおりまとめている 182 現行の NDA の試算では 関連設備の安全管理 射性廃棄物 閉鎖措 180 NDA, Harnessing Sellafield s contribution to the regional and national economy, 同戦略のドラフトでは 1. 地元若年者の長期的な失業を削減 2.Sellafield Ltd に必要な技術について長期的な教育訓練を通じて地元雇用の改善 3. 地元の長期的な技術 サービスの成長のために中小企業の割合の増加 4. イノベーションを通じて地元サプライチェーンにおける技術的な課題の解決の支援 5. 道路交通 交通インフラの改善の支援 6.Albiton スクエアのような地元に必要な代替的な開発事業を通じた Sellafield サイトの直接雇用の削減 7. 熟練技術者と自治体投資の直接的資金援助 を検討事項としてあげている 182 NIA, Capability Report -CAPABILITY OF THE UK NUCLEAR NEW BUILD SUPPLY CHAIN DELIVERING A NUCLEAR FUTURE FOR THE UK-, Dec

174 置に係るプログラムによって 18,000 人の雇用が生まれると見込まれる これは 2025 年に向かって 10,000 人を下回る水準に減少していく 更に NDA が所管する雇用に加えて NDA との提携事業者において 2025 年まで 3,500 人の雇用があると見込まれる 以下に より具体的な経済影響分析結果例を示す NDA による Magnox 炉の廃炉に関する評価 183 NDA は Energy Solutions Magnox と共同で廃炉による社会経済影響を評価し マグノックス最適廃炉プログラム (MODP) を策定した 同報告は各自治体における社会経済的な影響を評価し この影響を緩和するとともに機会を作り出していくための計画づくりに資するものとして期待されている 評価はサイト毎に行われており 今後 合理的に廃炉を進めていくためには MODP として優先順位付けが必要であると指摘している MODP の主たる指摘事項は以下のとおり Wylfa と Oldbury 発電所の運転延期 マグノックス運転計画に基づく燃料の取り出し Bradwell Trawsfynydd の 2 サイトが初期メンテンナンスフェーズに入る Chapelcross Dungeness A の 2 サイトが 低コストでリスクの低い中間メンテナンスフェーズに入る Magnox 社全体でプログラムを実行することで 新技術の導入を含めたライフサイクルでのコストを低減するための最適化が実現できる プログラム実行のための人員の再配置の検討 Bradwell 発電所廃炉に関する評価の例 184 Magnox 社は Maldon 地区 NDA 共同で Bradwell 発電所の閉鎖にかかる社会経済的な影響とネガティブな経済影響を緩和するための施策手段のためのアクションプランの構築を目指してレポートを発表している 同レポートでは Bradwell 発電所の閉鎖の社会経済的な影響について以下のとおりまとめている Bradwell 発電所は地域経済において重要な要素となっており 現在廃炉に向けた準備段階にある同サイトでもオンサイトでの経済活動は活発であり 2011/2012 年において NDA から総額で 9,200 万ポンドの資金提供が行われている Bradwell サイトにおいて Bradwell 発電所の運営にかかる直接的な経済影響を示す Tier One のカテゴリーにおいて 900 人の雇用と 4,970 万ポンドの GVA 185 を生み出している サプライチェーン等の間接的な影響や 雇用者の消費などの誘発効果も含めれば Maldon 地域レベルで 1,000 人の雇用 5,250 万ポンドの GVA Essex カウンティレベルでは 1,100 人の雇用に 5,490 万ポンドの GVA 更にイギリス全体としてみれば 1,800 人の雇用と 9,071 万ポンドの GVA になると試算している 詳細は下表の通り 183 NDA, Socio-Economic Development Plan Regeneris Consulting Ltd, Bradwell Socio-Economic Study:Economic Impact Assessment ReportA Final Report by Regeneris Consulting, GVA は GDP の試算に用いられており 特定の経済活動による経済全体への貢献度を図る指標 170

175 表 2-2 Bradwell 発電所閉鎖にかかる社会経済的な影響 ( 出所 ) Regeneris Consulting Ltd, Bradwell Socio-Economic Study:Economic Impact Assessment ReportA Final Report by Regeneris Consulting, Dounreay 研究施設に関する評価 186 (a) NDA の資金投入に依る波及効果 187 NDA は Dournreay 施設のある Caithness & North Sutherland 地域に対して直接的 Dounreay Site Licence Company (DSRL) を通じた間接的に経済的支援を行っている NDA では自治体への直接的な支援額を 1,300 万ポンドと試算している これを踏まえて 2013 年に Dounreay 施設に対する NDA の資金投入に依る社会経済的な影響に関して NDA と DSRL が共同で調査を実施した 同調査では 大半のケースにおいて資金投入に依る経済的な追加性があり 経済活動を生み出したと結論づけている 分析結果は以下のとおり 186 Reference Economic Consultants, Socio-Economic Study: Opportunities Arising from the Decommissioning of Dounreay, August Dounreay Stakeholder Group: Socio Economics Dounreay Socio Economic Alliance, Economic Impact Assessment of Selected NDA/DSRL Interventions,

176 表 2-3 NDA の資金投入に依る影響 172

177 ( 出所 ) Dounreay Stakeholder Group: Socio Economics Dounreay Socio Economic Alliance, Economic Impact Assessment of Selected NDA/DSRL Interventions, 2014 (b) Dounreay 施設廃止にかかる経済影響 Reference Economic Consultants が NDA と共同で Dounreay 研究施設 188の廃止措置が完了するまでの期間 (~2036) に地元経済にどのような影響を及ぼすかについて 2004 年時点のスコットランドの産業連関表等を用いて詳細に分析している 189 これには廃止措置に携わる作業員の有するスキルを詳細に調査し 廃止措置作業が減少した後に有望と考えられる産業の検討等も含まれている 分析の主たる目的は以下のとおり Caithness & North Sutherland 地域経済の原子力事業への社会経済的な依存をベースラインとして明らかにする Dounreay 施設における雇用の変化と減少による影響を明らかにする Caithness & North Sutherland 地域経済の原子力事業への相対的依存度と他の地域における原子力関連施設と廃炉事業への依存度を比較する Caithness & North Sutherland 地域経済の Dounreay サイトへの現在の依存を考慮した上で 現在と将来の雇用創出 産業創出の機会について検討する 分析結果は以下のとおり ベースラインでの Dounreay 施設による社会経済影響 2005 年時点で 1,184 人の直接雇用創出 3,300 万ポンドの雇用所得 Caithness & North Sutherland 地域での 6,800 万ポンドの消費需要 間接雇用が 1,073 人 誘発雇用が 213 人 全体として Caithness & North Sutherland 地域で 15% の雇用に相当 Dounreay 施設閉鎖の影響 1,184 人の雇用喪失 関係事業者など 996 人の間接雇用喪失 代替経済活動がなければ 2,438 人が Caithness & North Sutherland 地域外に移動する可能性 世帯の減少は ボランティア等の社会的活動の低下につながる 16 歳以下の若い世代が 8% 減少 若年世代の流出は学校など潜在的に地域経済に影響 人口の流出を抑えるためには Caithness & North Sutherland 地域内での仕事を望む人に対して 531 名分の雇用と 他地域での転出を検討している人に対して 968 名分の雇用の提供が必要 これは向こう 30 年間で平均 50 名分の雇用創出に相当し 達成可能な目標 188 イギリス北スコットランド州に位置するドーンレイは 1950 年代から高速原型炉や再処理施設が建設され イギリスの高速炉開発の中心であった研究施設である この施設は 1998 年 6 月に閉鎖が発表され 2036 年に廃止措置が完了する予定である 189 Reference Economic Consultants, Socio-Economic Study:Opportunities Arising from the Decommissioning of Dounreay,

178 図 2-1 Dounreay サイトにおける雇用影響の推移 ( 出所 ) Reference Economic Consultants, Socio-Economic Study:Opportunities Arising from the Decommissioning of Dounreay, 2006 また この 2006 年の調査結果は 2012 年に最新のデータを用いてアップデートされている 最終処分事業に係る経済的影響 処分場施設の直接的経済影響 NDA は 地層処分場の建設には何百人もの熟練技術者が何十年にわたって必要な数十億ポンドに及ぶ事業となると指摘しており 雇用と熟練技術員に関するレポートを発表している 191 同レポートは サイト選定プロセスにおけるステージ 5 と6 の段階において処分場建設の実行のために必要な地表調査から設備の建設 運用 最終的な封鎖に至るまでに必要な人員について 量と質の両面から分析している 試算結果の概要は以下のとおり 詳細は下表にまとめられている 処分場建設プログラムでは全体として 77,712 人 年の人的資源が必要 これは年平均で 555 名の直接雇用を生み出すことになる 技術者の熟度としては全体の 49% がレベル 2( 熟練 ) 25% がレベル 4( マネージメントレベル ) 技術レベルが高い技術者が最も必要なのは建設分野であり全体の 33% 続いて廃棄物処分設備運用が 21% 雇用の 73% は処分設備施設立地地域において創出される 190 Grangeston, THE SOCIO-ECONOMIC IMPACTS OF DOUNREAY DECOMMISSIONING, NDA, Geological Diposal Development of manpower and skills data May

179 表 2-4 処分場の建設 運用に必要な人的資源と技術レベル ( 出所 ) NDA, Geological Diposal Development of manpower and skills data May 処分場関連施設の経済影響 NDA は2012 年 11 月にまとめた Development of manpower and skills data forfacilities that could be sited adjacent to a Geological Disporsal Facility において処分場に近い地域において建造が想定される追加的な設備にかかる経済効果を分析している 192 同分析では処分場に対して追加的に必要な設備の建設にかかる社会経済的な影響として 向こう 100 年以上に渡り 231 人の雇用増出効果があることを示している 192 NDA, Development of manpower and skills data forfacilities that could be sited adjacent to a Geological Disporsal Facility November

180 表 2-5 処分場の関連設備建設 運用に必要な人的資源と技術レベル 追加施設タイムスケール ( 年 ) 平均労働力 容器封入設備 容器工場 使用済燃料貯蔵 中レベル廃棄物貯蔵 運搬システム 合計 ( 出所 ) NDA, Development of manpower and skills data forfacilities that could be sited adjacent to a Geological Disporsal Facility November 2012 より作成 この分析より 関連設備建設 運営にかかる経済効果 雇用の創出によって地域経済の活性化に起用することが期待されるとともに産業やインフラ投資のスピンオフ効果を促すことや自治体の教育や大学との連携等の利益も期待される 更に 交通インフラなどの他のインフラ整備が進み 処分場閉鎖後もこれらのインフラは自治体において活用されることが期待される 176

181 3. スウェーデン 3-1 最終処分事業に係る経済的影響 SKB では使用済燃料取り扱いや最終処分場に係る技術的評価だけでなく 社会 経済への影響評価 (Social Science Research Programme) も実施しており その中にはこのようなバックエンド施設の社会的合意形成には許認可プロセスとは異なる困難もあることを考慮した上で 地域や国への経済波及効果を評価 分析したものもある 193 この委託事業にはスウェーデン全国の研究機関 ( 主として大学 ) から応募があり 使用済燃料中間貯蔵や最終処分場に関する国民の関心や懸念を端的に反映している SKB においてこの委託事業をとりまとめたのは SKB 内の科学諮問グループ (Scientific Advisory Group) に属する以下 3 名の有識者である Professor Boel Berner リンショーピン大学 ( スウェーデン ) Professor Britt-Marie Drottz Sjöberg ノルウェー科学技術大学 ( ノルウェー ) Professor Einar Holm ウメオ大学 ( スウェーデン ) バックエンド事業による社会への経済波及効果を評価 分析した論文の一部を以下に紹介する 中小規模の自治体への大規模投資による長期的な社会経済影響 194 著者はウメオ大学の比較文化専攻の学生である エストハンメル及びオスカーシャムそれぞれについて 最終処分場プロジェクト関連の設備ごとに投資効果を分析している 前提条件として 最終処分場の総建設費用を 150 億スウェーデン クローネ ( 約 1800 億円 ) としている まず オスカーシャムには既に使用済燃料貯蔵施設 (SFR) があることから 将来この SFR の拡張工事が行われると仮定し 併せて使用済燃料の密封施設もここに建設されると仮定している 一方のフォルスマルクには発電所以外の施設が無く 全て外部から物資や原材料を調達すると想定している オスカーシャムとエストハンマルとでは 主として労働人口やそれを受け入れるためのインフラ設備の差から 同じ最終処分場を建設する場合でも エストハンマルに最終処分場を設置し オスカーシャムに密封施設等の付帯設備を建設したほうが その逆のケースより全体の経済波及効果としては大きい と結論付けている この論文が書かれ発表されたのは 2007 年であり 最終処分場がどちらの自治体に決まるかは不明であった ただどちらの町に決まっても雇用や経済に何らかの貢献があることは予想されていたため この論文では 一方の町に最終処分場が設置され もう一方の町に付帯設備が設置された場合と その逆の場合とで 総合的な経済波及効果はどう違うか を分析した点が新しいといえる 人口約 2 万 1000 人余りのオスカーシャムと 人口約 6,000 人のフォルスマルクとでは インフラ成熟度が異なっており どちらかというとより大きな町であるオスカーシャムに付帯設備を設置して最終処分事業以外の付帯事業を行い フォルスマルクでは最終処分事業のみに集中したほうが経済的に有利と結論付けているのである この結論が世論に与えた影響が少なくないであろうことは SKB の公開討論の中で言及されていることからも想像できる 大規模投資による地方自治体の発展と近代化 195 この論文では 原子力施設設置後 50 年にわたる人口や産業構造の変化も踏まえた長期の経済波及効果 193 SKB ウェブサイト aspx 194 Long-term socioeconomic effects of large investments on small and medium-sized communities, Urban Lindgren, Department of Cultural Geography, University of Umeå Local development and regional mobilisation of large-scale technical projects, Lena Andersson-Skog, Department of Economic History, Umeå University スウェーデン語の原文は 177

182 を分析し 更に他産業との比較も行っている 1960 年から約 50 年間 原子力施設の立地自治体と それ 以外の人口規模の近い自治体とを比較した結果 原子力施設立地自治体のほうが人口の安定的増加率も高 く 雇用や経済効果でも安定していることがわかっている 以上より 最終処分場においても同様の長期 的な経済波及効果が期待できるが それだけではなく 長期にわたり原子力発電そのものの意義を巡る国 民的議論が継続してきたことから おのずと住民の意識も高いレベルで持続してきた要因も見逃せない としている 従って筆者は 最終処分場プロジェクトが地域に長期的な経済波及効果をもたらすための要 因として 原子力の役割が引き続き社会で認識されること 明確な政策ビジョンが示されることを挙げて いる オスカーシャムとヴェステルヴィーク Västervik エストハンマルとティエルプ Tierp との立地 前後 40 年間の産業構造の変化の比較を それぞれ図 図 に示す 図 の評価 期間は 1950 年から 1990 年 立地時点を 1970 年とする 図 の評価期間は 年 立 地時点を 1980 年とする である 100% 15 80% サービス業 60% 商業 通信業 製造 建設業 40% 農林水産業 20% 0% 立地20年前 事業開始時点 事業開始20年後 スウェーデン 図3-1 立地前後 20 年間の産業構造変化の比較 オスカーシャムとヴェステルヴィーク 全国 出所 Växtkraft av kärnkraft?kärnkraftetableringens socioekonomiskaeffekter i Oskarshamn och Östhammar % % 44 サービス業 60% 商業 通信業 40% 製造 建設業 農林水産業 20% 0% 立地20年前 事業開始時点 事業開始20年後 オスカーシャム 図3-2 立地前後 20 年間の産業構造変化の比較 オスカーシャムとヴェステルヴィーク オスカーシャム 出所 Växtkraft av kärnkraft?kärnkraftetableringens socioekonomiskaeffekter i Oskarshamn och Östhammar

183 100% 80% % 40% 20% サービス業商業 通信業製造 建設業農林水産業 0% 立地 20 年前事業開始時点事業開始 20 年後ヴェステルヴィーク 図 3-3 立地前後 20 年間の産業構造変化の比較 ( オスカーシャムとヴェステルヴィーク ) ( ヴェステルヴィーク ) ( 出所 ) Växtkraft av kärnkraft?kärnkraftetableringens socioekonomiskaeffekter i Oskarshamn och Östhammar % 80% 60% サービス業商業 通信業 40% 製造 建設業 20% 農林水産業 0% 立地 20 年前事業開始時点事業開始 20 年後スウェーデン 図 3-4 立地前後 20 年間の産業構造変化の比較 ( エストハンマルとティエルプ ) ( 全国 ) ( 出所 ) Växtkraft av kärnkraft?kärnkraftetableringens socioekonomiskaeffekter i Oskarshamn och Östhammar

184 100% % 47 サービス業 60% 商業 通信業 製造 建設業 40% 農林水産業 20% 0% 立地20年前 事業開始時点 事業開始20年後 エストハンマル 図3-5 立地前後 20 年間の産業構造変化の比較 エストハンマルとティエルプ エストハンマル 出所 Växtkraft av kärnkraft?kärnkraftetableringens socioekonomiskaeffekter i Oskarshamn och Östhammar % % 32 サービス業 60% 商業 通信業 製造 建設業 40% 農林水産業 20% 0% 立地20年前 事業開始時点 事業開始20年後 ティエルプ 図3-6 立地前後 20 年間の産業構造変化の比較 エストハンマルとティエルプ ティエルプ 出所 Växtkraft av kärnkraft?kärnkraftetableringens socioekonomiskaeffekter i Oskarshamn och Östhammar オスカーシャムとヴェステルヴィークとの比較においては 特に立地 20 年前から事業開始時点までの サービス業比率の増加率に有意な差異がみられる 図 参照 これはオスカーシャムにおける初 期の投資の効果がより顕著だったためで 事業開始から時間が経過するにつれその初期投資の効果は薄れ 事業開始後 20 年時点でのヴェステルヴィークとの差は縮小している 一方エストハンマルとティエルプ との比較においては 事業開始時点から 20 年後までのサービス業比率の増加率に有意な差異がみられる 図 参照 エストハンマルでサービス業比率が飛躍的に増大した要因について この論文の著 者は エストハンマルの発展は近傍の大都市ウプサラ Uppsala や工業団地サンドヴィーク Sandvik の影響を強く受けた可能性を指摘している 原子力施設立地の波及効果のみを他の要因と分離して測定す ることの困難さと限界も認識した上でなお 特にオスカーシャムでは原子力施設立地による波及効果が顕 180

185 著にみられると結論付けている この研究が行われたウメオ大学はスウェーデン北部 (Norrland) 出身者が多く在籍する大学である スウェーデン北部の産業構造はストックホルムやノルショーピンといった大都市がある中部や デンマークとの国境に近い南部とはかなり異なり 林業と狩猟が中心でサービス業の比率は低い 本論文のオスカーシャムとエストハンマルの比較分析結果は 原子力施設立地による長期的な経済波及効果は施設それ自体もさりながら 周辺にある都市の産業の影響も大きいことを併せて示唆している 181

186 4. フランス原子力施設は 雇用を創出し 経済活動を支え 自治体に税収をもたらすという点で 直接的なプラスの影響をフランスの社会経済に及ぼしている 本項の記載内容の大部分は フランスにおける原子力発電の社会 経済的影響 (2011)Le poids socio-économique de l électronucléaire en France(pwc) を参照している 本文献では フロントエンド / バックエンドを含めたフランスにおける原子力産業の経済上の重要性について記載されている 4-1 諸論 ( フロントエンド概要含む ) フランスは世界の原子力事業のフロントエンド / バックエンドの全ての段階において重要な地位を占めており 世界の 12 カ国でフランス製の原子力発電所が利用 ( もしくは建設 ) されている 原子力事業における AREVA 社のシェアは採掘 : 約 20% 化学 : 約 20% 濃縮 : 約 20% 燃料加工 : 約 30% メンテナンス等のサービス : 約 15% 再処理 : 約 80% を占めている また EDF は 72GW の発電容量を有しており 2 位以下に 3 倍以上の差をつけている世界最大の原子力事業者となっている 図 4-1 原子力産業における AREVA 社のシェア ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料上記のように フランスにおける原子力産業は一大産業であり 原子力事業に関するノウハウを有している事業者数は 454( うち従業員 250 名以下の中小企業は 102 社 ) に上る これらの企業が従事する原子力産業全体では 410,000 人の雇用が創出されており これは全労働人口の 2% を占めている また GDP における原子力産業全体の割合は約 2% である (2009 年 ) AREVA 等 フロントエンド事業に関与している事業者数は 242 社であり このうち 35% は原子力産業を専門としている また AREVA 等 原子力施設の建設業務に関与している事業者数は 230 社であり このうち 32% が原子力施設を専門としている EDF を中心とする原子力施設の運転 保守 (O&M) に関与する事業者数は 221 であり このうち 37% が原子力施設の O&M を専門としている 4-2 フランスにおけるバックエンド事業による雇用 フランスにおけるバックエンド事業に関与している事業者数は 168 社である このうち 37% が原子力 182

187 を専門としている事業者であり 26% は独立した中小企業である また 52% が AREVA 等の大企業の傘下にある中小企業である バックエンド関連の直接雇用は 20,300 人であり 市場価値は約 3,500,000,000 ユーロである 主な事業者は AREVA Comex Nucleaire, Nuvia, Apave, L air liquide, Quille, Endel, Spie 等である フランスは世界の再処理能力の半分を占める La Hague 再処理工場を有しており La Hague の再処理能力は 1700t/ 年である また Gard( ガール ) 県には世界最大の MOX 燃料製造工場である Melox 工場を有しており 年間約 195t の MOX 燃料が製造されている 現在フランスで消費される原子燃料の約 10% 程度が MOX 燃料となっている フランスのバックエンドに係る雇用においては 上記の再処理 燃料製造に加え Gard 県 Marcoule La Hague の再処理施設 ( 表 2-7 参照 ) の解体作業も多くの雇用を創出している フランスにおけるバックエンド事業に係る直接雇用の地理的分布は下図の通りである 図 4-2 バックエンドに係る直接雇用の地理的分布 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 4-3 原子力産業が地方経済に与える影響 Basse-Normandie 地域圏への影響 Basse-Normandie 地域圏には以下の 4 つのサイトに 12 の原子力基本施設が設置されている Flamanville 原子力発電所 ( 稼働中 2 基 建設中 1 基 ) La Hague 核燃料施設 ( 再処理工場など 7 つの原子力基本施設 ) ANDRA La Manche 貯蔵センター 国立重イオン加速器研究所 (GANIL: Le Grand Accélérateur National d Ions Lourds) 原子力施設を所有している AREVA や EDF をはじめとした これらの原子力基本施設に関係する事業者数は 54 社であり 9,000 人以上の直接雇用を創出している なお AREVA は La Manche 県の最大雇用者である 地方税の主要な支出者である AREVA と EDF が Basse-Normandie 地域圏の不動産税および職業税に 183

188 占める割合は 7.5%( 原子力産業全体については不明 ) である 図 4-3 Basse-Normandie 地域圏における原子力産業による直接雇用者数 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 図 4-4 ( 左 )AREVA および EDF による不動産税および職業税 ( 右 ) 不動産税および職業税の総計 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 Rhône-Alpes 地域圏への影響 Rhône-Alpes 地域圏には以下の 9 サイトに 18 の原子力基本施設が設置されている Bugey 原子力発電所 ( 稼働中 4 基 ) Tricastin 原子力発電所 ( 稼働中 4 基 ) Cruas-Meysee 原子力発電所 ( 稼働中 4 基 ) Saint-Alban 原子力発電所 ( 稼働中 2 基 ) AREVA Comulex Eurodif の転換工場 (4 つの INB) これらの 4 つの原子力発電所と転換工場は 18,000 人の直接雇用を生み出しており 地域の経済に大き く貢献している 2009 年の AREVA および EDF の Rhône-Alpes 地域圏への不動産納税額は約 12,000,000 ユーロ 職業税納税額は約 94,000,000 ユーロに上っている 184

189 図 4-5 Rhône-Alpes 地域圏における原子力産業による直接雇用者数 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 図 4-6 ( 左 )AREVA および EDF による不動産税および職業税 ( 右 ) 不動産税および職業税の総計 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 県の税収に与える影響原子力産業の主要な企業である AREVA および EDF は県の地方税収の約 20% を治めている 原子力発電所の例としては Chooz 原子力発電所は Ardennes 県の地方税 ( 不動産税および職業税 ) の 23% Nogent 原子力発電所は Aube 県の地方税の 15% Cruas-Meysee 原子力発電所は Ardèche 県の地方税の 13% を納めている また AREVA 社は La Hague が設置されている Manche 県の職業税の 9% および不動産税の 17% を納めている 185

190 図 4-7 AREVA および EDF による各県への地方税への貢献 (2009 年 ) ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 4-4 新型炉 EPR 研究開発炉が経済に与える影響 新型炉 EPR 計画が生み出す経済活動第 3 世代炉である EPR 計画は フロントエンドからバックエンドまでの全ての事業を内包しており 90 年近くの間経済活動を生み出す 各計画の標準的な期間は以下の通りである 運転開始までの一連の計画 ( 開発 研究 建設 ):7 年間 原子炉運転 :60 年間 廃炉 :20 年間 これらの各期間において生み出される標準的な財政フローは 燃料供給を含むフロントエンド :200,000,000 ユーロ +100,000,000 ユーロ /18 カ月 (60 年間 ) EPR 建設 :5,000,000,000 ユーロ (7 年間 ) O&M:750,000,000 ユーロ / 年 (60 年間 ) 燃料サイクル :15,000,000 ユーロ / 年 (60 年間 ) 廃炉 :750,000,000 ユーロ / 年 (20 年間 ) である 186

191 図 4-8 EPR 計画が及ぼす経済効果 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 7 年間の EPR 建設では最大で 3,500 人以上の雇用が生まれる この内訳は約 1,200 人のサイト内雇用に加え 機器メーカの工場作業員やエンジニアリング業務要員が含まれる また 建設中に発生する付加価値は 290,000,000 ユーロ / 年であり 内訳は原子炉部分が 186,000,000 ユーロ 原子炉を除く設備で 70,000,000 ユーロ 付属機器で 33,000,000 ユーロである 運転中は 790 人 / 年の要員を必要とする この内訳は 運転 メンテナンスが 60 年間で 26,400 人 燃料の製造が 15,600 人 燃料サイクルが 5,450 人である また 運転中に発生する付加価値は 200,000,000 ユーロ / 年であり この付加価値は発電所の減価償却費による 廃炉期間は 20 年に亘り 4,100 人の雇用が生み出される これらの 建設 運転 廃炉期間の延べ人数では 77,000 人の雇用が生まれることとなり 建設から廃炉までの期間の雇用の付加価値の変化は下図の通りである 図 4-9 建設から廃炉までの期間における EPR 計画が創出する雇用 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 187

192 図 4-10 建設から廃炉までの期間における EPR 計画が創出する付加価値 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 また EPR がフランス以外の国において導入された場合においてもフランス国内に一定の経済影響がある 本検討では 仮定として 上流部分にフランス企業が関与する割合を 20% EPR 建設において EPR 技術に関わるコアな部分についてはフランスの事業者が施工 ヨーロッパにおけるサイクル事業の半分をフランスが担うとしている 建設段階では フランス国内に EPR を建設する場合 2,700 人の直接雇用が生まれる 一方 他国に建設する場合においても 1,200 人の直接雇用が生まれる また 付加価値についても フランスに建設する場合には 230,000,000 ユーロの付加価値が産まれ 他国に建設する場合には 110,000,000 ユーロの付加価値が生じる 図 4-11 EPR をフランス ( 左 ) フランス以外の EU 加盟国 ( 中央 ) ヨーロッパ以外の国 ( 右 ) に導入した場合に フランスで創出される雇用 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 188

193 図 4-12 EPR をフランス ( 左 ) フランス以外の EU 加盟国 ( 中央 ) ヨーロッパ以外の国 ( 右 ) に導入した場合に フランスで生まれる付加価値 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 次に EPR 計画がフランス以外の EU 加盟国の経済に及ぼす影響を検討した フランスに EPR が建設される場合にフランス以外の EU 加盟国に生まれる直接雇用は 800 人であるが フランス以外の EU 加盟国に EPR が建設される場合には 2,300 人の雇用が生まれる また 付加価値についても フランスに EPR が建設される場合にフランス以外の EU 加盟国に生まれる付加価値は 55,000,000 ユーロであるが フランス以外の EU 加盟国に EPR が建設される場合には建設中に 170,000,000 ユーロ 運転中に 220,000,000 ユーロの付加価値が生まれる 図 4-13 EPR 計画がフランス以外の EU 加盟国の経済に及ぼす影響 1フランスに建設する場合の雇用 2フランス以外の EU 加盟国に建設する場合の雇用 3フランスに建設する場合の付加価値 4フランス以外の EU 加盟国に建設する場合の付加価値 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 189

194 これらの検討を総合すると EPR プロジェクトがヨーロッパ全体に及ぼす影響は 建設期間に毎年最 大 11,800 人 運転 廃炉期間では毎年 2,000 人の雇用が生まれ 毎年 700,000,000 ユーロ程度の付加価 値が生じる 研究開発炉が経済に与える影響フランスでは核燃料サイクルにおいて重要な位置を占める高速炉の実証炉 ASTRID や国際熱核融合実験炉 ITER 材料 燃料の照射研究炉 RJH( ジュール ホロビッツ炉 ) の建設が計画されている これらの計画においては プロジェクト参加国から多くの建設費や運転費が出資されるため フランスの経済に大きな影響を及ぼすと考えられる このうち ITER 計画のプロジェクト費用総額は約 1,000,000,000 ユーロであり 分担比率は下図の通りである 図 4-14 ITER 計画におけるプロジェクト参加国の出資比率 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 る また ITER 計画によって創出される直接雇用は 建設期間で 600 人 運転期間で 1,000 人と想定され 図 4-15 ITER 計画によって生まれる雇用 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 その他 RJH 計画 ASTRID 計画についても ITER 計画ほどの規模ではないものの 地域レベルの経済に大きな影響を及ぼし 運転中には 建設期間以上の雇用が生じると考えられる また 初期投資が地域経済で再循環されることによる相乗効果も期待できる それぞれの計画の建設中 運転中の雇用への影響 プロジェクト費用は下図の通りである 190

195 図 4-16 ITER 計画 RJH 計画 ASTRID 計画が生み出す雇用とプロジェクト費用 ( 出所 ) CEA 現地調査入手資料 191

196 5. ドイツ 5-1 廃止措置関連事業に係る経済的影響公的機関 研究機関等によるバックエンド関連事業の経済的影響に関する調査 研究等は確認できていない 廃止措置事業の影響に関連して 発電事業者である E.ON 社の地域住民向け説明資料 196 中に 雇用に関する記述があるため以下にて紹介する E.ON 社のシュターデ原子力発電所は 2003 年に運転を停止し 現在解体中である 同社は上記の資料の中で 廃止の理由をまず次のように説明している 電力市場の自由化の結果として ドイツのエネルギー事業者は 原子力か否かを問わずコスト超過となっている発電所を廃止するため 規模縮小のプロセスに入っている シュターデ原子力発電所はもはや経済性が高くない ネットの発電容量が 630MW であり 発電量はドイツの他のほとんどの原子力発電所の半分程度しか無い ( 中略 ) 廃止を決めることとなったもう 1 つの要因は 発電所が立地するニーダーザクセン州による 取水に対する課税である 原子炉の冷却のためにエルベ川から取水することに対して課せられるこの税の導入により シュターデ原子力発電所にとって年間約 800 万ユーロのコスト増となっている 廃止による従業員の雇用への影響については 以下のように説明している ( 前略 ) 廃止措置は一方で 新たな仕事の範囲と責任をもたらす 例えば 解体された設備の利用に関する技術を持つ従業員に就業機会を作る また 廃止措置にあたって当社は放射線防護の専門家を追加で必要とする しかしながら 長期的に見れば 従業員の数は純減となる見込みである 当社は予想される仕事の減少の影響を最小化するために 二重の方策を用意している 1 つ目として 解体プロジェクトの終了までに定年となる者を含む 高齢の従業員は 特別な早期退職プログラムに参加することができる ( 中略 )2 つ目は 当社の他の事業場への配置転換である 廃止によって影響を受ける従業員は 配置転換や 恐らく雇用継続を必要とするだろう このオプションは 若い従業員にとってより魅力的なものだろう なお 立地地域への影響については 以下のような記述があるのみである ドイツでは 2 か所の原子力発電所が既に 緑の大地 に還っている 一般的に 発電所の立地していた地域は自然に還っている ( 中略 ) シュターデ原子力発電所もまた 緑の大地に還る 現時点では この立地地域が他の産業用途に利用されるかどうかや その利用の度合いについては未定である この資料では 廃止措置のプロセスや放射性廃棄物の管理方法について詳しく述べられている一方で 雇用や地元経済への影響については上述のような記載があるのみである ドイツでは脱原子力が政策的に進められており また 廃止措置にあたっては安全性を確保しながら 元の状態に戻す ことが最優先とされており 雇用や地元経済への影響に関する対応は後手となっていることが推察される 196 E.ON 社ウェブサイト raft-decommissioning_stade_en.pdf 192

197 図 5-1 地域住民向け説明資料中の挿絵 ( 廃止措置後の立地地域イメージ図 ) ( 出所 ) E.ON 社ウェブサイト E.ON 社ウェブサイト raft-decommissioning_stade_en.pdf 193

198 6. スイス 6-1 最終処分事業に係る経済的影響 調査の概要 198 第 2 章で述べたとおり スイスでは 特別計画 地層処分場 ( 以下 特別計画 という ) に基づく 3 段階のサイト選定プロセスが進められている 現在は第 2 段階にあり 地層処分場が立地される可能性がある 6 つの 地質学的候補エリア が検討されている 2014 年 5 月には 各地質学的候補エリアについて 地層処分場の地上施設の設置区域案が設定された これにより社会影響 経済影響 環境影響を具体的に評価する条件が整ったことから BFE は 2014 年 11 月 18 日付のプレスリリースにおいて 放射性廃棄物の地層処分場が立地地域に与える社会影響 経済影響 環境影響に関する調査の最終報告書 ( 以下 最終報告書 ) 199 を公表した BFE は 評価対象の地上施設の設置区域案 ( 計 7 つ ) における経済影響の差異は小さいものであるとしているが 環境影響と社会影響については 差異が大きい評価項目があるとしている 最終報告書では それぞれの地上施設の設置区域案を相互比較できる形で評価結果が取りまとめられている 図 6-1 候補エリア一覧 ( 出所 ) 最終報告書 ( 日本語訳は ( 一財 ) 日本エネルギー経済研究所による ) 198 ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター (2014) 海外情報ニュースフラッシュ 2014 年 12 月 1 日付け記事 199 最終報告書 ( ドイツ語 ) は以下から参照可能 nomisch-%f6kologische%20wirkungsstudie%20s%d6w%20in%20etappe%

199 特別計画に基づく地層処分場のサイト選定手続においては 安全基準が最重要とされているが 安全性が同等であるサイトが残った場合には 地域開発計画と社会経済的観点を考慮してサイト選定を行うとしている 現在進められている第 2 段階では 最終的に中 低レベル放射性廃棄物と高レベル放射性廃棄物用にそれぞれ 2 カ所以上の候補サイトを確定することが目標である これに向けて 処分実施主体である NAGRA が安全性の観点から比較する作業を進めている一方で BFE は地層処分場立地地域における社会経済の観点から比較する役割を担っている なお BFE のプレスリリースによると 安全性の観点での比較による地層処分場の候補サイトは 2015 年初頭に NAGRA から提示される予定である BFE が今回公表した社会影響 経済影響 環境影響に関する調査結果は 安全性の観点から絞り込みができない場合にのみ考慮されることになっている また 第 2 段階で確定した候補サイトについては 今回の調査結果が第 3 段階で実施される立地地域の開発戦略策定に活用されることになる 社会経済の観点からの比較材料を整えるため 社会 経済 環境の評価項目ごとに複数の評価指標を設定しており 評価指標に重み付けを反映させることにより 6 つの大項目の評価値を算出している こうした方法により サイト条件が異なる地上施設の設置案を相互比較できるようにしている 連邦エネルギー庁 (BFE) はプレスリリースにおいて 今回の調査の結果を以下のように要約して示している 経済影響について 地元経済への影響は 地層処分場の建設に対する投資額の多寡に直接左右される 今回の調査では 投資額は全地域同額の設定となっている 処分場建設に関連する産業の占める割合が高い地域は 処分場建設に伴う経済効果を期待することができる 一方 農業や観光の比率が比較的高い地域では マイナスの影響が及ぶ可能性が高い 処分場受け入れに対する立地地域への補償金については 第 3 段階で決定される予定であり 本調査の段階では補償金の経済効果の差異は考慮していない なお 現時点では 6 つの地質学的候補エリアのいずれについても 処分場の立地が他の都市計画の開発案件に干渉することはない見込みである 環境影響について 地層処分場設置により土地利用の観点で最も懸念されるのは 耕作好適区域や掘削土 野生動物の移動経路などの問題である また 地上施設への鉄道や道路のアクセスの状況の違いによっても 処分場設置に伴う環境影響に差異が発生する なお 地上施設の設置区域は自然保護区域や地下水源保護区域を避けて選定しているため そのような観点からの環境影響はほとんど確認されなかった 社会影響について 人口密度が高い 住宅地域の拡大が著しい 地上施設が目につきやすいといった傾向が高ければ高いほど 処分場がもたらすマイナスの影響は大きくなる 一方 すでに産業 商業施設が近隣に立地しているような場所では マイナス影響は小さい なお 保護対象とされている景観については ごくわずかな例で軽微な影響が認められるのみであった 調査結果の概要は以上のとおりである 次項では 最終報告書の経済的影響に関する部分について詳述する 経済的影響に関する調査結果 (a) 結論の概要経済的影響に関しては 主に 地域経済に対する影響の最適化 (W1) 及び 地元財政の最適化 ( W2) という 2 つの目標が追求される 指標の一部として不可欠な基盤となるのが NAGRA によって見積もられた 地層処分場の建物への投資コストである このような投資コストは 現時点ではまだ一般化された 195

200 ものであり 特定のサイトごとに見積もられているわけではない むしろ 評価の違いは サイト地域の有する経済力 あるいは地域間の創出価値ポテンシャルを可能な限り利用することによる経済力から生じる したがって サイト地域 の区分には 経済効果の程度を左右する重要な意味がある さらにその他の要因となるのは 地域経済の中で建設業が占める割合である 3 つの処分場タイプの違いは 投資額及び支出額が様々であることから生じる できる限り結果を良好に比較できるために 2008 年を基準年として これに基づいて効果を算定する 価値創出及び雇用の変化に関する指標及び税収効果について重要になるのは サイト地域の中で想定されるプラス効果の見積もりである 事業としての処分場それ自体が創出価値効果と雇用効果を及ぼし得るのは確実と認められる さらに 国家的課題を引き受ける代わりに 地域に補償を行うことも準備されている また マイナス効果が発生する恐れに関しても 既存の実例が欠けているので証拠は存在しない とはいえ 発生し得るプラス効果の度合いとは無関係に マイナス効果が発生し得ることには注意する必要がある 結果の概要は Abbildung 10( 中 低レベル廃棄物処分場 ) Abbildung 11( 高レベル廃棄物処分場 ) 及び Abbildung 12( 複合処分場 ) に示されている 特に目を引く事項は 以下の通りである ( 詳細については 次の 2 つの章で W1 と W2 に分けて説明する ) 地下処分場の効果による サイト地域での大きな経済的変化は生じない プラスの価値創出効果 雇用効果及び税収効果の値も マイナスの価値創出効果 雇用効果及び税収効果の値も 両方ともが この分野におけるプロジェクトの期間全体にわたる平均では 各サイト地域の現在の創出価値 雇用及び税収に比べて 明らかに 1% より低い値にとどまる 地下処分場の創出価値効果及び雇用効果については 各地域の間でほとんど違いが生じない 最も明らかな結果が得られたのは 創出価値の変化 ( 観光業 ) という指標である この指標については 観光業の盛んな地域であるヴェレンベルグが -0.9 ポイントで 中部地方の観光業が比較的に弱い地域に比べて際立っている 部分目標 主要な税収効果及び雇用効果の最適化 (W1.1) のもとでの指標分析は 主として処分場タイプの違いに応じて 評価の違いが生じることを示している 中 低レベル廃棄物処分場と高レベル廃棄物処分場との違いは コストの差が大きいために 1.5 倍となる 全体目標 W2 地元財政の最適化 では 全ての地域について処分場タイプごとに同等の金額で補償が想定されているために また この補償によって評価ポイントが同程度に高くなるために 各地域の間で明らかに効果が平均化される 処分場の ( 純 ) 税収効果は 補償と比べて明らかに小さい 特に 地下処分場それ自体は利益を生み出さず 税を納めもしないことから このような効果が生じる 現時点で見れば 6 つの地域のいずれにおいても その他の開発計画及び公共部門にとって持続的な価値を有する地下処分場への投資に関して 重大な対立は生じていない 196

201 図 6-2 (Abbildung 10) 評価ポイント一覧 ( 中 低レベル廃棄物処分場 ) ( 出所 ) 最終報告書 ( 日本語訳は ( 一財 ) 日本エネルギー経済研究所による ) 197

202 図 6-3 (Abbildung 11) 評価ポイント一覧 ( 高レベル廃棄物処分場 ) ( 出所 ) 最終報告書 ( 日本語訳は ( 一財 ) 日本エネルギー経済研究所による ) 198

203 図 6-4 (Abbildung 12) 評価ポイント一覧 ( 複合処分場 ) ( 出所 ) 最終報告書 ( 日本語訳は ( 一財 ) 日本エネルギー経済研究所による ) (b) 地域経済に対する影響の最適化 (W1) 以下の Abbildung 13 は 全体目標 W1 の結果を示す概要図である 部分目標によって また ( 関連の ある場合には ) 処分場のタイプによって 結果が異なる 199

204 W1 地元経済に対する影響の最適化 ジュラ東部 ジュラ ジュートフス 北部レゲレン ジュートランデン ヴェレンベルグ チューリッヒ北東部 中 低レベル廃棄物処分場 目標 W 創出価値の変化 (W ) 雇用者数の変化 (W ) 目標 W 観光業 (W ) 農業 (W ) 他の産業 (W ) 高レベル廃棄物処分場 目標 W 創出価値の変化 (W ) 雇用者数の変化 (W ) 目標 W 観光業 (W ) 農業 (W ) 他の産業 (W ) 複合処分場 目標 W 創出価値の変化 (W ) 雇用者数の変化 (W ) 目標 W 観光業 (W ) 農業 (W ) 他の産業 (W ) W1.1とW1.2のウエイトは各 50% W とW のウエイトは各 50% 図 6-5 (Abbildung 13) 評価ポイント一覧 ( 全体目標 W1) ( 出所 ) 最終報告書 ( 日本語訳は ( 一財 ) 日本エネルギー経済研究所による ) (c) 主要な税収効果及び雇用効果の最適化 (W 1.1) 中 低レベル廃棄物処分場主要な税収効果及び雇用効果については 結果は評価ポイントが 1.3~1.6 で 6 つの地域が非常に近接している 2008 年には 各サイト地域における地元経済は 中 低レベル廃棄物処分場のための支出額から 3 億 7 千万スイスフラン ( ヴェレンベルグ ) から 5 億 3 千万スイスフラン ( ジュラ ジュートフス ) を利用可能と思われる この結果は 特に 地下処分場の建築のために必要な部門が サイト地域の中でどれほど盛んであるかによって左右される ヴェレンベルグの場合には 部門構造により 理論上の域内吸収ポテンシャルが最 200

205 も低くなっており (72%) ジュラ ジュートフスでは最も高くなっている (100%) サイト地域では 直接的には地下処分場によって また間接的には従業員による準備作業及び個人消費によって 94 年間にわたるプロジェクト継続期間中は 年平均 440 万スイスフラン ~550 万スイスフランの価値創出が行われる この金額は 地域の創出価値に占める割合にして ヴェレンベルグ地域での創出価値の 0.31% 北部レゲレンの 0.12% ジュートランデン及びチューリッヒ北東部ではそれぞれの 0.09% ジュラ東部の 0.08% 及びジュラ ジュートフスの 0.04% に相当する 建築期間には 他の期間よりもはるかに大きな創出価値及び雇用が生み出される 少なくとも 120( ヴェレンベルグ )~ 最大限 200( ジュラ ジュートフス ) のフルタイム雇用が生み出される見込みである プロジェクトの継続期間全体では フルタイム雇用の数は年間 35~45 人まで減少する 中 低レベル廃棄物処分場におけるフルタイム雇用の数が 高レベル廃棄物処分場あるいは複合処分場に比べて少ない理由は 支出額の低さ及び現在の想定にあり この想定によれば NAGRA が将来 中 低レベル廃棄物処分場のサイトを高レベル廃棄物処分場あるいは複合処分場のサイト地域に移転させる見込みである 高レベル廃棄物処分場高レベル廃棄物処分場の支出からは 総計で 11 億 5700 万スイスフラン ( チューリッヒ北東部 )~13 億 5100 万スイスフラン ( ジュラ東部 ) が地域経済に流入する 投資額が増大した場合には 評価ポイントは 中 低レベル廃棄物処分場に比べて 3.2~3.5 ポイントにまで高まる だが 3 つの地域の数値の違いは 高レベル廃棄物処分場の場合でも 評価ポイントにして 1 ポイント以下である 地域経済は 地下処分場の支出の 80% から 92% を受け入れる チューリッヒ北東部地域では 金属部門が地下処分場の支出を全ては引き受けられないため その他の 2 つの地域とは違って 運転期間中にも 地域で見込まれる収益が地域の外へ流出する そのうえ チューリッヒ北東部地域では 建築部門もまた比較的速やかに 10% の限界に達する 創出価値は 72 年間の運転期間中 中 低レベル廃棄物処分場と同じほど大幅には減少しない なぜなら 高レベル廃棄物処分場のサイトは 前述のとおり NAGAR の拠点と見なされ そのため比較的多くの雇用を生み出すからである 複合処分場複合処分場の場合には 地元経済は 総計 15 億 1700 万スイスフラン ( チューリッヒ北東部 )~17 億 5600 万スイスフラン ( ジュラ東部 ) を引き受け可能と考えられる これは 84%~96% の引き受けに相当する 複合処分場についての評価ポイントは チューリッヒ北東部の 4.3 ポイントからジュラ東部の 4.8 ポイントの間に位置し したがって その差は 0.5 ポイントだけである 複合処分場の場合には 建築と運営が重なり合うため 地域は高レベル廃棄物処分場の場合よりも多くの支出を利用できる (d) 特に関係のある部門に対する二次的な経済効果の最適化 (W1.2) 二次的な経済効果の分析によって 観光業及び農業ならびに地下処分場によって損害を受けるその他の部門のポテンシャルが調査される 確固たる基礎が欠けているため 様々な処分場タイプの効果に関する区別は行われなかった 創出価値の変化 ( 観光業 )(W ) 創出価値の変化 ( 観光業 ) という指標についての調査では 評価ポイントが 北部レゲレンの からヴェレンベルグの -0.9 ポイントまでの間に入る結果になった この算定は 2008 年を基準年として サイト地域における観光頻度と収益 創出価値及び雇用に関する現実的な見積もりに基づき 地下処分場の結果として訪問客の頻度が減少するという見込みに基づいて行われる これにより 各地域が比較可能になる 201

206 ヴェレンベルグ地域は 地域の雇用に占める観光業の割合が約 17% であり 中部地方のサイトに比べて明らかに観光業が盛んである 地域の雇用に占める観光業の割合は 2.6%( ジュラ東部 )~4.6%( ジュートランデン及びチューリッヒ北東部 ) の間に位置する ジュートランデン及びチューリッヒ北東部の場合は 魅力ある観光スポットのラインファルがあるため 中部地方の他のサイト地域に比べて観光業従事者の数が少し上回っている 地下処分場を訪れる人々のプラス効果を考慮すると これらの地域では 需要が年間 20 万スイスフラン ( 北部レゲレン )~740 万スイスフラン ( ヴェレンベルグ )( あるいは 創出価値に関しては 10 万スイスフラン ~540 万スイスフラン ) 減少するという結果になった サイト地域ヴェレンベルグでの減少幅が大きくなった原因は レジャー客 特に自然の中に滞在して そのため地下処分場に対する許容度が比較的低いと想定される休暇客の割合が高いからである ジュラ東部地域は 自然公園 ジュラパーク アールガウ があるため 中部地方の他の地域に比べて 地下処分場に対する許容度が低い 自然ツーリスト の割合が高かった そのため この地域では ( 観光業の割合が比較的低いにも関わらず ) 絶対的な観点から見ればジュートランデン及びチューリッヒ北東部に比べて 減少幅が大きい これらの 2 つの地域では 将来の シャフハウゼン自然公園 訪問客を 敏感なグループに分類することができる これに対して ジュートランデン及びチューリッヒ北東部で訪問客の大きな部分を占めるラインファル訪問者は 地下処分場を気にする割合が少ないと考えられる 北部レゲレンでの減少幅が小さい理由は 総じてこの地域の観光業の割合が低いためである ジュラ ジュートフス地域では アーラウやオルテンといった都市を訪れるビジネス客の割合が高く このようなビジネス客は 地下処分場に対して寛容なグループに分類されるので 減少幅は比較的小さくなった 創出価値の変化 ( 農業 )(W ) 創出価値の変化 ( 農業 ) という指標についての調査では 地下処分場のマイナス効果は非常に小さいという結果になった 評価ポイントは ジュラ ジュートフス地域及びヴェレンベルグ地域の から その他の地域の -0.1 までの間に入っている 効果算定の手法では 製品の原産地が消費者に知られている場合にだけ収益が減少すると仮定している この仮定は 原産地表示の付いたブランド製品に当てはまる一方 全ての直販提供品にも当てはまる このような連関が分かっていたため サイト選定の過程で用いる地域表示には 通常の地域表示とは違った表示が選ばれた とはいえ 農産物の直販が地下処分場による悪影響を受けることも考えられる 各製品カテゴリーが直販に占める割合は それぞれ異なっているが 地下処分場の影響で直販は 5% 減少すると見込まれている 地下処分場によって地域農業が損害を被るポテンシャルを調査する際には できる限り客観的な方法で分析を行うべきである この場合にも 考えられる損失が実際に生じる確率と 損失額の絶対値を事前に確定するのは不可能である 6 つのサイト地域では 730 人 ( ヴェレンベルグ ) から 1990 人 ( 北部レゲレン ) までの人々が フルタイムで農業に従事している これは 地域雇用の 1.2%( ジュラ ジュートフス )~5.9%( ヴェレンベルグ ) に相当する ほとんどの農産物は 売上高に占める直販の割合が 1%~3% にすぎない これに対して ワイン生産では直販の割合が 40% である 以上の前提に基づき 地下処分場の影響で ジュートランデン地域では 年間の創出価値総額が 60 万スイスフラン減少し ジュラ東部及びチューリッヒ北東部地域では それぞれ約 40 万スイスフラン 北部レゲレンでは 30 万スイスフラン ジュラ ジュートフス及びヴェレンベルグ地域では それぞれ 10 万スイスフラン減少すると算定される 創出価値の変化 ( その他の部門 )(W ) この指標については 以上の指標では取り上げられなかった 地下処分場のその他のプラス マイナス効果が説明される 1 回目の分析では どのサイト地域でも その他の部門において創出価値が変化する可能性を示す十分明白な兆候は見出されなかった 2 回目の指標評価では 専門家に対する聞き取り調査の結果として ハイテク産業 及び 最新のサービス産業 の部門に属する企業も 地下処分場に影響を受ける部類の企業に分類された こうした評価の根拠は これらの部門における 地表施設の周囲 2km も 202

207 しくは 5km の範囲での従業員数である 以上のような 2 回目の分析に基づき サイト地区ジュートランデンの 2km 圏内では約 1300 人分の雇用がこれらの部門に登録されていることから ジュートランデン地域の評価は -0.2 となった ( 経験的証拠がわずかしかないので 慎重な評価となっている ) サイト地区ジュラ東部の周辺にはポール シェラー研究所があるので 前述の経済セクターに属する従業員数はさらに大きくなる しかし 同研究所では原子核研究が続けられており 現在ではツヴィラク及びベツナウ原子力発電所にも近いことから これらの雇用は潜在的に脅かされている部類には入れられなかった 既存の価値における変化 ( 視認性分析 )(W ) 評価の方法論によれば 特に従来の研究では経験的証拠が欠けていたので 不動産の潜在的な価値変化は貨幣価値では評価されていない だが この問題は 特別計画手続きの今後の段階に資する最初の基礎となるため 本調査の範囲内で 地表施設の視認性が評価の対象とされる そのため 高精度の地形モデル及び標高モデルを用いた地理情報システム解析が実施され 補完的な質的評価が行われる 以下では視認性を説明する 以下の Abbildung15 について 濃い青色の地域から見ると 地表施設 ( たとえば ジュートランデンの場合では 開発インフラも含まれる ) がはっきりと視認され 薄い青色の地域から見ると部分的に視認される Abbildung14 は 該当する居住ゾーンの数を示すものである 地上施設立地地点 居住ゾーン ( 地上施設立地地点からの距離 ) 0-2km 2-5km 5-10km JS-1 ( 中 低レベル廃棄物処分場 ) WLB-1 ( 中 低レベル廃棄物処分場 ) SR-4 ( 中 低レベル廃棄物処分場 ) JO-3+ ( 中 低レベル廃棄物処分場 ) JO-3+ ( 高レベル廃棄物処分場廃棄物処分場 ) ZNO-6b ( 中 低レベル廃棄物処分場 ) ZNO-6b ( 高レベル廃棄物処分場廃棄物処分場 ) NL-2 ( 中 低レベル廃棄物処分場 ) NL-2 ( 複合処分場 ) NL-6 ( 中 低レベル廃棄物処分場 ) NL-6 ( 複合処分場 ) 図 6-6 (Abbildung 14) 居住ゾーンの地上施設立地地域からの距離 ( 出所 ) 最終報告書 ( 日本語訳は ( 一財 ) 日本エネルギー経済研究所による ) ジュートランデンでは 地下処分場の建物に近接した周囲 2km までの範囲で ほとんどの居住ゾーンが ( 地下処分場の建物をはっきりと または部分的に視認できることにより ) 該当する ただし この場合には 新しい開発インフラ だけ が関係している 地表施設それ自体は森の中にある ジュラ ジュートフス及び北部レゲレンでは ほとんどの居住ゾーンから地表施設が視認できる さらに 2~5 kmの中距離の範囲では ジュラ ジュートフスには最も多くの居住ゾーンが該当しており 次に多く該当している地域はジュラ東部である その他の 比較的郊外のサイトでは 地下処分場の建物が視認できる居住地の数は少ない ジュラ東部の例では 2~5 kmの中距離 ( あるいは もっと近距離 ) の範囲で さらに細かい地域区分を行い 地下処分場の建物を評価する必要があることが示されている サイト地区ジュラ東部と地下処分場及び森林立地の区分けは良好なので ここで問題になっているのは ヴュレンリンゲン及び 203

208 デッティンゲンの標高の高い場所にある居住地域から見た どちらかといえば理論的な視認性である そ のうえ 視認性は 建物の形態 特に屋根形状によっても大きく左右される 図 6-7 (Abbildung 15) 地上施設立地地域の視認性 ( 出所 ) 最終報告書 ( 日本語訳は ( 一財 ) 日本エネルギー経済研究所による ) 204

209 (e) 地元財政の最適化 (W2) 全体目標 W2 に属する指標は 地下処分場によって直接的及び間接的に生み出される税収及び補償から構成されている この全体目標には さらに いわゆる その他の開発施設との紛争の潜在的可能性 及び 持続的な価値を有する地下処分場への投資 も含まれる 前者の その他の開発施設との紛争の潜在的可能性 は 公共的部門にとって 追加費用を意味する場合があり得るし 後者の 持続的な価値を有する地下処分場への投資 は 無償の支援を意味する場合があり得る 以下の図は 結果の概要を示している W2 地元財政の最適化 ジュラ東部 ジュラ ジュートフス 北部レゲレン ジュートランデン ヴェレンベルグ チューリッヒ北東部 低中レベル廃棄物処分場 税収の変化 (W ) 補償 (W ) 他の開発案件との潜在的対立可能性 (W ) 処分施設の継続的価値に対する投資 (W ) 高レベル廃棄物処分場 税収の変化 (W ) 補償 (W ) 他の開発案件との潜在的対立可能性 (W ) 処分施設の継続的価値に対する投資 (W ) 複合処分場 税収の変化 (W ) 補償 (W ) 他の開発案件との潜在的対立可能性 (W ) 処分施設の継続的価値に対する投資 (W ) W と W のウエイトは各 30% W と W のウエイトは各 20% 図 6-8 (Abbildung 16) 評価ポイント一覧 ( 全体目標 W2) ( 出所 ) 最終報告書 ( 日本語訳は ( 一財 ) 日本エネルギー経済研究所による ) 収益の変化 (W ) この指標は 地下処分場によって生み出される税収増に関する目安を示す この数字は 地下処分場が観光業及び農業に及ぼすと考えられるマイナス効果によって逸失した税収を差し引いた後の純益を表している 地下処分場それ自体は税金を支払うことがなく 法人税の税額はスイスでは一般に定額であるので 所得税の割合が法人税に比べてはるかに大きくなっている このことから 居住者要因 すなわち地下処分場によって誘引されて本人がサイト地域に居住している従業員の割合が 結果に大きな影響を及ぼす 地域の規模に応じて 居住者要因は 40%( ヴェレンベルグ )~60%( ジュラ ジュートフス ) の範囲に 205

210 入る 中 低レベル廃棄物処分場は サイト地域において 各地域の税収額に換算して 年間平均で -30 万スイスフラン ( ヴェレンベルグ )~+20 万スイスフラン ( ジュラ ジュートフス ) の税収をもたらす ヴェレンベルグでは 運転期間中の逸失税収額が高いため 結果がマイナスになった 建築期間中には ヴェレンベルグ地区でも 税収額はプラスになる 建築期間中に税収額が最も大きくなるのは ジュラ ジュートフス地域で 年間 140 万スイスフランになる 平均的な税収は 主要な運転期間中には 建築期間中と比較して明らかに少なくなる その原因は 前記のように 処分場それ自体が利益を生み出さず したがって 法人税を納めないからである 高レベル廃棄物処分場及び複合処分場については 投資コストが大きいために税収もわずかに大きくなる 高レベル廃棄物処分場は サイト地域において 年間平均で 30 万スイスフラン ( ジュラ東部 )~50 万スイスフラン ( チューリッヒ北東部 ) の税収をもたらし これに対して 複合処分場は 50 万スイスフラン~70 万スイスフランの税収をもたらす 補償 (W ) 処分場タイプの違いに応じた補償は サイト地域の場所には左右されず 原子力発電所運営者の暫定的な方針に従って 中 低レベル廃棄物処分場では約 3 億スイスフラン 高レベル廃棄物処分場では 5 億スイスフラン ならびに複合処分場では 8 億スイスフランと定められている これは 年間では 平均してそれぞれ 320 万スイスフラン 530 万スイスフラン 850 万スイスフランの金額に相当する 補償が税収の何倍もの金額に上ることは明らかである 想定された補償の配分方式は まだ確定されていない 公共部門にとって 現時点の自治体 地域及び州の計画から見れば インフラをめぐる今後の対立が示唆されている あるいは特殊な支援への意思表示があるサイト地域は無い 206

211 7. フィンランド 7-1 最終処分事業に係る経済的影響 Posiva 社は 最終処分地決定の判断資料として 1999 年に作成した環境影響評価 (EIA) 報告書において 4 つの候補地の自治体のそれぞれに対する処分場の立地が社会経済面に及ぼす影響の評価を行い公表している このうち地域構造への影響に対する評価結果ではどの自治体においても 農業 観光業 不動産価値に対して特にマイナスの影響が出ることはなく むしろ雇用創出 人口増加を始めとする経済効果が生じると見込んでいる 図 7-1 処分場立地による雇用の増加の予測 ( 出所 ) ( 公財 ) 原子力環境整備促進 資金管理センター ( 原環センター ) その後 処分場立地決定後の 2008 年に実施されたオルキルオトの EIA 報告書では 処分場建設と運営中の以下の項目について検討された 200 輸送 交通への影響 土地使用 文化遺産 景観への影響 地層 地下水への影響 大気への影響 水環境系への影響 廃棄物 副産物の影響 騒音 振動の影響 生態系への影響 天然資源利用への影響 人への影響 ( 健康 核廃棄物への態度等 ) 社会構造 地域経済への影響 事故発生による影響 長期的安全性 プロジェクトを実施しない場合の影響 選択肢の比較検討 (6,500tU, 9,000tU, 12,000tU) 200 Posiva, EIA

NDA の概要 名称 NDA(Nuclear Decommissioning Authority) 位置付 Non Governmental Public Body ( 独立行政法人 ) 設立 2005 年 4 月 1 日 根拠法 Energy Act 2004 使命国有時代に発生した原子力債務の処

NDA の概要 名称 NDA(Nuclear Decommissioning Authority) 位置付 Non Governmental Public Body ( 独立行政法人 ) 設立 2005 年 4 月 1 日 根拠法 Energy Act 2004 使命国有時代に発生した原子力債務の処 第 38 回原子力委員会資料第 1-1 号 NDA( 英国原子力廃止措置機関 ) 設立の経緯とその役割 一般社団法人海外電力調査会 1 NDA の概要 名称 NDA(Nuclear Decommissioning Authority) 位置付 Non Governmental Public Body ( 独立行政法人 ) 設立 2005 年 4 月 1 日 根拠法 Energy Act 2004 使命国有時代に発生した原子力債務の処理

More information

海外における高レベル放射性廃棄物 処理 処分の取組み事例について 平成 26 年 2 月 18 日 公益財団法人原子力環境整備促進 資金管理センター 1

海外における高レベル放射性廃棄物 処理 処分の取組み事例について 平成 26 年 2 月 18 日 公益財団法人原子力環境整備促進 資金管理センター 1 海外における高レベル放射性廃棄物 処理 処分の取組み事例について 平成 26 年 2 月 18 日 公益財団法人原子力環境整備促進 資金管理センター 1 ご説明内容 各国での放射性廃棄物の地層処分の取組状況 スウェーデン フィンランド フランス ドイツ 米国での高レベル放射性廃棄物対策 高レベル放射性廃棄物の処分概念 まとめ 2 各国での放射性廃棄物の地層処分の取組状況 事業段階国名地層処分計画の状況

More information

第 2 回保障措置実施に係る連絡会 ( 原子力規制庁 ) 資料 3 廃止措置施設における保障措置 ( 規制庁及び IAEA との協力 ) 平成 31 年 4 月 24 日 日本原子力研究開発機構安全 核セキュリティ統括部 中村仁宣

第 2 回保障措置実施に係る連絡会 ( 原子力規制庁 ) 資料 3 廃止措置施設における保障措置 ( 規制庁及び IAEA との協力 ) 平成 31 年 4 月 24 日 日本原子力研究開発機構安全 核セキュリティ統括部 中村仁宣 第 2 回保障措置実施に係る連絡会 ( 原子力規制庁 ) 資料 3 廃止措置施設における保障措置 ( 規制庁及び IAEA との協力 ) 平成 31 年 4 月 24 日 日本原子力研究開発機構安全 核セキュリティ統括部 中村仁宣 はじめに JAEA は 保有する原子力施設の安全強化とバックエンド対策の着実な実施により研究開発機能の維持 発展を目指すため 1 施設の集約化 重点化 2 施設の安全確保及び

More information

< D834F E8F48816A2D8AAE90AC2E6D6364>

< D834F E8F48816A2D8AAE90AC2E6D6364> 2013 Fall Meeting of the Atomic Energy Society of Japan 2013 年 9 月 3 日 5 日 第 1 日 理事会セッション 休憩 B04 B05 核融合中性子工学 B06 B07 特別講演 原子力安全部会セッション 第 2 日 総合講演 報告 4 市民および専門家の意識調査 分析 原子力発電部会 第 24 回全体会議 原子力発電部会セッション

More information

第 2 日 放射性廃棄物処分と環境 A21 A22 A23 A24 A25 A26 放射性廃棄物処分と環境 A27 A28 A29 A30 バックエンド部会 第 38 回全体会議 休 憩 放射性廃棄物処分と環境 A31 A32 A33 A34 放射性廃棄物処分と環境 A35 A36 A37 A38

第 2 日 放射性廃棄物処分と環境 A21 A22 A23 A24 A25 A26 放射性廃棄物処分と環境 A27 A28 A29 A30 バックエンド部会 第 38 回全体会議 休 憩 放射性廃棄物処分と環境 A31 A32 A33 A34 放射性廃棄物処分と環境 A35 A36 A37 A38 2013 Annual Meeting of the Atomic Energy Society of Japan 2013 年 3 月 26 日 28 日 第 1 日 原子力施設の廃止措置技術 A01 A02 A03 A04 原子力施設の廃止措置技術 A05 A06 A07 放射性廃棄物処分と環境 A08 A09 A10 A11 A12 A13 放射性廃棄物処分と環境 A14 A15 A16 A17

More information

<30345F D834F E8F48816A2D8AAE90AC2E6D6364>

<30345F D834F E8F48816A2D8AAE90AC2E6D6364> 2015 Fall Meeting of the Atomic Energy Society of Japan 2015 年 9 月 9 日 11 日 発表 10 分, 質疑応答 5 分 第 1 日 炉設計と炉型戦略, 核変換技術 A01 A02 A03 炉設計と炉型戦略, 核変換技術 A04 A05 A06 A07 休憩 教育委員会セッション 炉設計と炉型戦略, 核変換技術 A08 A09 A10

More information

新旧対照表

新旧対照表 - 1 - 原子力規制委員会設置法の一部を改正する法律案新旧対照表 原子力規制委員会設置法(平成二十四年法律第四十七号)(抄)(傍線部分は改正部分)改正案現行(目的)第一条この法律は 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故を契機に明らかとなった原子力の研究 開発及び利用(以下 原子力利用 という )に関する政策に係る縦割り行政の弊害を除去し

More information

A23 A24 A25 A26 A27 A28 A38 A39 燃料再処理 A40 A41 A42 A43 第 3 日 休 憩 総合講演 報告 3 日本型性能保証システム 燃料再処理 A29 A30 A31 A32 A33 A34 A35 燃料再処理 A36 A37 燃料再処理 A44 A45 A4

A23 A24 A25 A26 A27 A28 A38 A39 燃料再処理 A40 A41 A42 A43 第 3 日 休 憩 総合講演 報告 3 日本型性能保証システム 燃料再処理 A29 A30 A31 A32 A33 A34 A35 燃料再処理 A36 A37 燃料再処理 A44 A45 A4 2010 Fall Meeting of the Atomic Energy Society of Japan 2010 年 9 月 15 日 17 日 第 1 日 発表 10 分, 討論 5 分 燃料再処理 A01 A02 A03 A04 A05 A06 A07 休 憩 総合講演 報告 1 計量保障措置分析品質保証 燃料再処理 A08 A09 A10 A11 A12 燃料再処理 A13 A14 A15

More information

<93FA92F6955C2E6D6364>

<93FA92F6955C2E6D6364> E AN 2 JCO ATM 25320 0 m 100 m JR EV WC EV WC EV WC D101 1 D202 5 D201 WC WC 日 時 2010 年 3 月 26 日 ( 金 ) 場 所 会 費 定 員 会場への移動 日 時 2010 年 3 月 26 日 ( 金 ) 場 所 対 象 会 費 定 員 2010 年 3 月 29 日 ( 月 ) 2 月 8 日 ( 月 )

More information

< D834F E8F74816A2D8AAE90AC2E6D6364>

< D834F E8F74816A2D8AAE90AC2E6D6364> 2014 Annual Meeting of the Atomic Energy Society of Japan 2014 年 3 月 26 日 28 日 休憩 標準委員会セッション2( システム安全専門部会 ) 総合講演 報告 2 水素安全対策高度化 第 3 日 原子力安全部会セッション 原子力発電部会 第 25 回全体会議 第 1 日 原子力発電部会セッション 標準委員会セッション 3( 原子力安全検討会,

More information

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要) 地球温暖化対策基本法案 ( 環境大臣案の概要 ) 平成 22 年 2 月 環境省において検討途上の案の概要であり 各方面の意見を受け 今後 変更があり得る 1 目的この法律は 気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止すること及び地球温暖化に適応することが人類共通の課題であり すべての主要国が参加する公平なかつ実効性が確保された地球温暖化の防止のための国際的な枠組みの下に地球温暖化の防止に取り組むことが重要であることにかんがみ

More information

技術等検討小委員会 ( 第 2 回 ) 資料第 1 号 原子力発電所の 事故リスクコスト試算の考え方 原子力発電 核燃料サイクル技術等検討小委員会 ( 第 2 回 ) 平成 23 年 10 月 13 日 内閣府原子力政策担当室

技術等検討小委員会 ( 第 2 回 ) 資料第 1 号 原子力発電所の 事故リスクコスト試算の考え方 原子力発電 核燃料サイクル技術等検討小委員会 ( 第 2 回 ) 平成 23 年 10 月 13 日 内閣府原子力政策担当室 技術等検討小委員会 ( 第 2 回 ) 資料第 1 号 原子力発電所の 事故リスクコスト試算の考え方 原子力発電 核燃料サイクル技術等検討小委員会 ( 第 2 回 ) 平成 23 年 10 月 13 日 内閣府原子力政策担当室 目次 事故リスクコスト試算の考え方 原子力損害賠償制度の概要 損害費用の試算方法 事故発生頻度の考え方 燃料サイクル施設 ( 再処理 MOX 燃料加工 ) の被害費用と事故発生頻度について

More information

Slide 1

Slide 1 バック エンド問題勉強会 2012 年 1 月 20 日 六ヶ所における放射線リスクと 様々なオプション ゴードン トンプソン資源 安全保障問題研究所 / クラーク大学 ( 米国 ) アウトライン 核施設での放射線リスク 福島第一のケース 六ヶ所のケース ゴアレーベンのケース セラフィールドのケース 悪意のある行為の重要性 六ヶ所における放射線リスク及び様々なオプションについての評価プロセス

More information

資料 4 廃止措置施設における 保障措置について 2019 年 4 月 24 日 Copyright CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 1

資料 4 廃止措置施設における 保障措置について 2019 年 4 月 24 日 Copyright CHUBU Electric Power Co.,Inc. All Rights Reserved. 1 資料 4 廃止措置施設における 保障措置について 2019 年 4 月 24 日 1 INDEX 01 02 廃止措置施設における保障措置について 浜岡原子力発電所 1,2 号炉廃止措置の概要 廃止措置中の保障措置について 03 04 廃止措置に係る DIQ 対応 その他 2 01 浜岡原子力発電所 1,2 号炉 廃止措置の概要 3 01 浜岡原子力発電所 1,2 号炉廃止措置の概要 廃止措置計画

More information

実用発電用原子炉の設置 運転等に関する規則 ( 抜粋 ) ( 昭和 53 年 最終改正 : 平成 25 年 )( 通商産業省令 ) ( 工場又は事業所において行われる廃棄 ) 第九十条法第四十三条の三の二十二第一項の規定により 発電用原子炉設置者は 発電用原子炉施設を設置した工場又は事業所において行

実用発電用原子炉の設置 運転等に関する規則 ( 抜粋 ) ( 昭和 53 年 最終改正 : 平成 25 年 )( 通商産業省令 ) ( 工場又は事業所において行われる廃棄 ) 第九十条法第四十三条の三の二十二第一項の規定により 発電用原子炉設置者は 発電用原子炉施設を設置した工場又は事業所において行 資料 6 トリチウムに係る規制基準 平成 26 年 1 月 15 日 トリチウム水タスクフォース事務局 1. 関係法令について 核原料物質 核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律 ( 抜粋 ) ( 昭和 32 年 最終改正 : 平成 25 年 ) ( 保安及び特定核燃料物質の防護のために講ずべき措置 ) 第四十三条の三の二十二発電用原子炉設置者は 次の事項について 原子力規制委員会規則で定めるところにより

More information

< D834F E8F48816A2D8AAE90AC2E6D6364>

< D834F E8F48816A2D8AAE90AC2E6D6364> 2014 Fall Meeting of the Atomic Energy Society of Japan 2014 年 9 月 8 日 10 日 第 1 日 倫理委員会セッション 社会 環境部会 第 31 回全体会議 社会 環境部会セッション 特別講演 理事会セッション 第 2 日 原子力安全部会セッション 休 憩 保健物理 環境科学部会セッション 放射線工学部会セッション 教育委員会セッション

More information

高速炉技術に対する評価のまとめ 2

高速炉技術に対する評価のまとめ 2 資料 3 現時点で我が国が保有している高速炉サイクル技術に対する評価について 平成 30 年 6 月 1 日 高速炉開発会議戦略ワーキンググループ統括チーム 高速炉技術に対する評価のまとめ 2 ナトリウム冷却高速炉開発の流れ 常陽 もんじゅ までの開発によりナトリウム冷却高速炉による発電システムに必要な技術は概ね取得した 残された課題としては安全性向上 信頼性向上 経済性向上が抽出され もんじゅ 以降も検討が進められてきた

More information

豊田通商株式会社 CSR Report 2011

豊田通商株式会社 CSR Report 2011 CSR Report 2011 Contents 200 171 185 158 111 150 146 102 93 85 110 120 124 135 125 77 100 67 68 72.5 60 85 60.3 60.0 60 50 47.4 50.1 50 53 56 52.5 58 61 65 69 74 25 30.3 0 2006 2007 2008 2009 2010

More information

第1章 原子力新時代を迎える世界 ーの導入に努めると同時に 原子力発電の利用を推進するエネルギー政策を採用している 2 世界に広がる原子力発電の拡大の流れ 原子力発電は 燃料となるウランを海外から輸入しているが ①ウラン資源は特定の地域 に偏在せず政情の安定した国々から産出されていること ②燃料の備蓄が容易であること ③これらの輸入制約が発生しても相当長期にわたって原子力発電所の運転の継続が可能で

More information

16-40.indd

16-40.indd 2009 Annual Meeting of the Atomic Energy Society of Japan 2009 年 3 月 23 日 25 日 炉材料 A05 A06 A07 A08 学生連絡会 第 17 回会員総会 第 1 日 第 41 回日本原子力学会学会賞 贈呈式 特別講演 炉材料 A01 A02 A03 A04 第 1 日 休憩 炉材料 A09 A10 A11 A12 A13

More information

Définition des options de réversibilité en vue du Jalon 2009

Définition des options de réversibilité en vue du Jalon 2009 地層処分プログラムへの住民参画アプローチ - フランスの事例 リシャール ポワソン - 上級専門家 ANDRA 国際事業部 プレゼンテーションの内容 本プレゼンテーションで取り扱う項目 : 廃棄物 廃棄物管理 フランスの管理体制を巡る状況 ANDRA の歴史のフェーズ 1(1991 年まで ) フェーズ 2(1991~1997 年 ) フェーズ 3(1997~2005 年 ) フェーズ 4(2006~2011

More information

世界の原子力発電所の平均設備利用率の推移

世界の原子力発電所の平均設備利用率の推移 世界原子力協会 世界の原子力発電所実績レポート2018 WNA World Nuclear Performance Report 2018 図表紹介 ( 仮訳 ) 2018 年 10 月 JAIF 国際部 図表一覧 世界の2017 年の原子力発電所 ( 発電量 建設中 ) 図 1. 世界の原子力発電量の推移 ( 地域別 ) 図 2. 世界の原子力発電設備容量の推移 図 3. 世界の地域別原子力発電量の推移

More information

北東アジア石油市場自由化の進展とその影響に関する調査¨

北東アジア石油市場自由化の進展とその影響に関する調査¨ 2030 までの世界の原子燃料需給展望 - 天然ウラン及びウラン濃縮役務の需要変動要因とその影響に関する分析 - 1 2030 2004 6.7 tu2030 8 10 tu 2 0.3% 0.2% 0.3% 0.2% 20% SWU 3 24% 4 1 2030 2 3 5 ( ) The Global Nuclear Fuel Market Supply and Demand 2005-2030

More information

日本原子力学会 2015 年春の年会 日程表 2015 年 3 月 20 日 ( 金 )~22 日 ( 日 ) 茨城大学日立キャンパス JR JR 11 10 21 22 23 24 EV EV 日 時 :2015 年 3 月 20 日 ( 金 ) 19:00~20:30 場 所 会 費 定 員 交 通 展示期間 :2015 年 3 月 20 日 ( 金 )~22 日 ( 日 ) 場 所

More information

第39回原子力委員会 資料第1-1号

第39回原子力委員会 資料第1-1号 使用済燃料対策について 平成 27 年 11 月資源エネルギー庁 エネルギー基本計画 ( 抜粋 ) 3. 原子力利用における不断の安全性向上と安定的な事業環境の確立 原子力の利用においては いかなる事情よりも安全性を最優先することは当然であり 我が国の原子力発電所では深刻な過酷事故は起こり得ないという 安全神話 と決別し 世界最高水準の安全性を不断に追求していくことが重要である いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ

More information

安全防災特別シンポ「原子力発電所の新規制基準と背景」r1

安全防災特別シンポ「原子力発電所の新規制基準と背景」r1 ( 公社 ) 大阪技術振興協会安全 防災特別シンポジウム 安全 防災課題の現状と今後の展望 原子力発電所の新規制基準と背景 平成 25 年 10 月 27 日 松永健一 技術士 ( 機械 原子力 放射線 総合技術監理部門 )/ 労働安全コンサルタント 目次 1. 原子力発電所の新規制基準適合性確認申請 (1) 東日本大震災と現状 (2) 新規制基準の策定経緯 (3) 新規制基準の概要 (4) 確認申請の進捗状況

More information

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ 清掃一組のごみ発電による電力売却の取組について説明します 施設管理部技術課発電係長の下田です よろしくお願いいたします -1- これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約

More information

第 6 回最終処分関係閣僚会議資料 科学的特性マップの提示と今後の取組について 平成 29 年 7 月 28 日経済産業省

第 6 回最終処分関係閣僚会議資料 科学的特性マップの提示と今後の取組について 平成 29 年 7 月 28 日経済産業省 第 6 回最終処分関係閣僚会議資料 科学的特性マップの提示と今後の取組について 平成 29 年 7 月 28 日経済産業省 1 これまでの経緯と今後の取組方針 2000 年 最終処分法 制定 処分地選定調査の受入れ自治体現れず 1 安倍政権として抜本的な見直しに着手 新たな基本方針を閣議決定 (2015 年 5 月 ) 現世代の責任として地層処分に向けた取組を推進 ( 同時に回収可能性を担保 ) 受入地域に対する敬意や感謝の念

More information

研究炉に関わる研究環境と課題

研究炉に関わる研究環境と課題 補足説明資料 京都大学臨界集合体実験装置 (KUCA) で使用する高濃縮ウラン燃料の撤去について 平成 30 年 8 月 京都大学複合原子力科学研究所 京都大学研究用原子炉 :KUR (Kyoto University Research Reactor) タンク型の軽水冷却軽水減速熱中性子炉 ( 最大熱出力 :5,000kW) 濃縮度約 20% の MTR 型燃料を使用 一般研究 材料照射 放射性同位元素生産

More information

Microsoft PowerPoint - WNA世界の原子力2016 [互換モード]

Microsoft PowerPoint - WNA世界の原子力2016 [互換モード] 世界原子力協会 世界の原子力発電所実績レポート 2016 WNA World Nuclear Performance Report 2016 図表紹介 ( 仮訳 ) 2016 年 7 月 日本原子力産業協会 国際部 図表一覧 図 1. 世界の電源別発電電力量の推移図 2. IEA 2 度シナリオ の発電電力量見通し図 3. 原子力発電所の新規送電開始予測 (WNA)-2050 年迄に新規 10 億

More information

2008年6月XX日

2008年6月XX日 2008 年 6 月 17 日 環境 持続社会 研究センター国際環境 NGO FoE Japan メコン ウォッチ満田夏花 ( 地球 人間環境フォーラム ) 新 JICA 環境社会配慮ガイドラインに関する NGO 提案 新 JICA が行うべき環境社会配慮手続きについて ( 協力準備調査の実施段階を除く ) 1. ローリングプランの公開... 2 2. 協力準備調査... 2 2.1 協力準備調査の実施決定プロセス...

More information

平成 29 年 12 月 27 日中部電力株式会社 浜岡原子力発電所原子炉施設保安規定の変更について 1. はじめに平成 28 年 4 月より導入したカンパニー制の自律的な事業運営をこれまで以上に促進するため, 各カンパニーへのさらなる機能移管をはじめ, 本店組織について, 戦略機能の強化と共通サー

平成 29 年 12 月 27 日中部電力株式会社 浜岡原子力発電所原子炉施設保安規定の変更について 1. はじめに平成 28 年 4 月より導入したカンパニー制の自律的な事業運営をこれまで以上に促進するため, 各カンパニーへのさらなる機能移管をはじめ, 本店組織について, 戦略機能の強化と共通サー 平成 29 年 12 月 27 日中部電力株式会社 浜岡原子力発電所原子炉施設保安規定の変更について 1. はじめに平成 28 年 4 月より導入したカンパニー制の自律的な事業運営をこれまで以上に促進するため, 各カンパニーへのさらなる機能移管をはじめ, 本店組織について, 戦略機能の強化と共通サービス機能の効率化 高品質化の促進を目的とした全社的な組織の再編を平成 30 年 4 月 1 日付で実施する予定である

More information

日程表 mcd

日程表 mcd 2011 Fall Meeting of the Atomic Energy Society of Japan 2011 年 9 月 19 日 22 日 特別シンポジウム 特別講演 第 1 日 第 2 日 理事会からの報告と会員との意見交換 第 2 日 放射性廃棄物処分と環境 A01 A02 A03 A04 原子力青年ネットワーク連絡会 第 12 回全体会議 男女共同参画委員会セッション 核化学,

More information

001p_......

001p_...... JAPAN WASTE RESEARCH FOUNDATION 3Rs Promotion Forum 20111 廃棄物研究 財団 3Rだより No.80 2011.1 特集 廃棄物処理法の改正について ④産業廃棄物管理票制度の強化 事業者が産業廃棄物の処理を委託する場合には その処理が適正に行われることを確認するため 産 業廃棄物管理票 以下 マニフェスト という を 産業廃棄物の引渡しと同時に交付する義務が課され

More information

<955C8E D342E6169>

<955C8E D342E6169> 2011年春の年会 福井大学文京キャンパス 交通案内 ①私鉄えちぜん鉄道 福井駅 福大前西福井駅 約10分 片道150円 時刻表 http://www.echizen-tetudo.co.jp/ 下り 三国港駅行き にご乗車ください ②京福バス JR 福井駅前 10のりば 福井大学前 約10分 片道200円 時刻表 http://bus.keifuku.co.jp/ ③空港連絡バス 小松空港 福井駅

More information

資料2 紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について

資料2   紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について 資料 2 紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について 1. 率先実行計画における推奨リストの策定 (1) 率先実行計画第一次環境基本計画 ( 平成 6 年 12 月閣議決定 ) における 4 つの長期的な目標の 参加 の施策の一つの柱として 国の事業者 消費者としての環境保全に向けた取組の率先実行 が掲げられ これに基づき 国の各行政機関共通の実行計画として 平成 7 年 6 月に 国の事業者

More information

内部統制ガイドラインについて 資料

内部統制ガイドラインについて 資料 内部統制ガイドラインについて 資料 内部統制ガイドライン ( 案 ) のフレーム (Ⅲ)( 再掲 ) Ⅲ 内部統制体制の整備 1 全庁的な体制の整備 2 内部統制の PDCA サイクル 内部統制推進部局 各部局 方針の策定 公表 主要リスクを基に団体における取組の方針を設定 全庁的な体制や作業のよりどころとなる決まりを決定し 文書化 議会や住民等に対する説明責任として公表 統制環境 全庁的な体制の整備

More information

我が国のプルトニウム管理状況

我が国のプルトニウム管理状況 我が国のプルトニウム管理状況 1. 概要 平成 28 年 7 月 27 日内閣府原子力政策担当室 (1) プルトニウム管理状況報告我が国は 核不拡散条約 (NPT) の下 全ての原子力物質 活動を国際原子力機関 (IAE A) 保障措置の下に置いており 特にプルトニウムに関しては 平和利用を大前提に 利用目的のないプルトニウムは持たない原則を堅持している そのため プルトニウム利用の透明性の向上を図り

More information

別紙 平成 25 年末における我が国の分離プルトニウム管理状況 1. 分離プルトニウムの保管状況 ( ) 内は平成 24 年末の報告値を示す (1) 国内に保管中の分離プルトニウム量 単位:kgPu 再 施設名 ( 独 ) 日本原子力研究開発機構再処理施設 日本原燃株式会社再処理施設 合計 処 理

別紙 平成 25 年末における我が国の分離プルトニウム管理状況 1. 分離プルトニウムの保管状況 ( ) 内は平成 24 年末の報告値を示す (1) 国内に保管中の分離プルトニウム量 単位:kgPu 再 施設名 ( 独 ) 日本原子力研究開発機構再処理施設 日本原燃株式会社再処理施設 合計 処 理 第 31 回原子力委員会資料第 3 号 我が国のプルトニウム管理状況 平成 26 年 9 月 16 日内閣府原子力政策担当室 1. 趣旨我が国は NPT( 核兵器不拡散条約 ) を遵守し 全ての原子力活動をIAEA( 国際原子力機関 ) の保障措置の下に置いている その上で 特にプルトニウムに関しては その利用の透明性の向上を図ることにより国内外の理解を得ることが重要であるとの認識に基づいて 平成

More information

我が国のプルトニウム管理状況

我が国のプルトニウム管理状況 我が国のプルトニウム管理状況 1. 概要 平成 29 年 8 月 1 日内閣府原子力政策担当室 (1) プルトニウム管理状況報告我が国は 核不拡散条約 (NPT) の下 全ての原子力物質 活動を国際原子力機関 (IAE A) 保障措置の下に置いており 特にプルトニウムに関しては 平和利用を大前提に 利用目的のないプルトニウムは持たない原則を堅持している そのため プルトニウム利用の透明性の向上を図り

More information

とを目指す必要がある このためには以下の10 領域における政策課題に取組む必要がある また 分類 Ⅳに分類される意見に基づく場合であっても 原子力施設の廃止措置やこれまで原子力発電の利用に伴い発生した放射性廃棄物の処分の取組に関するこれらの領域における政策課題に取組まなければならない (1) 福島第

とを目指す必要がある このためには以下の10 領域における政策課題に取組む必要がある また 分類 Ⅳに分類される意見に基づく場合であっても 原子力施設の廃止措置やこれまで原子力発電の利用に伴い発生した放射性廃棄物の処分の取組に関するこれらの領域における政策課題に取組まなければならない (1) 福島第 原子力発電のあり方に応じた今後の重要政策課題の整理 ( 案 ) 資料第 2-1 号 0. はじめに原子力基本法では 我が国における原子力の研究 開発及び利用は 安全の確保を旨とし 将来のエネルギー資源を確保し 学術の進歩と産業の振興とを図り もって人類社会の福祉と国民生活の水準の向上に寄与することを目指すべきとしている 原子力の研究 開発及び利用に関する事項等について企画 審議 決定することを所掌する原子力委員会は

More information

2. 各社の取り組み 各社においては 六ヶ所再処理工場の竣工に向けた取り組み等に加え これまで使用済燃料の発生量見通し等に応じて 使用済燃料貯蔵設備のリラッキングによる増容量 敷地内乾式貯蔵施設の設置 敷地外中間貯蔵施設の設置等の必要な貯蔵対策に取り組んできている ( 添付資料 1 参照 ) 今後も

2. 各社の取り組み 各社においては 六ヶ所再処理工場の竣工に向けた取り組み等に加え これまで使用済燃料の発生量見通し等に応じて 使用済燃料貯蔵設備のリラッキングによる増容量 敷地内乾式貯蔵施設の設置 敷地外中間貯蔵施設の設置等の必要な貯蔵対策に取り組んできている ( 添付資料 1 参照 ) 今後も 第 1 回使用済燃料対策推進協議会資料 3 使用済燃料貯蔵対策の取組強化について ( 使用済燃料対策推進計画 ) 2015 年 11 月 20 日電気事業連合会 1. 基本的考え方 エネルギー基本計画に記載のとおり 我が国は 資源の有効利用 高レベル放射性廃棄物の減容化 有害度低減等の観点から 使用済燃料を再処理し 回収されるプルトニウム等を有効利用する原子燃料サイクルの推進を基本的方針としている

More information

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案 既認定案件による国民負担 の抑制に向けた対応 ( バイオマス比率の変更への対応 ) 2018 12 21 日資源エネルギー庁 バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については

More information

2 瑞浪超深地層研究所坑道埋め戻し工事等への 民活導入アドバイザリー業務 ( 平成 31 年度 ) 仕様書 平成 31 年 3 月 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構核燃料 バックエンド研究開発部門東濃地科学センター研究計画調整グループ 1. 件名 瑞浪超深地層研究所坑道埋め戻し工事等への民活導入アドバイザリー業務 ( 平成 31 年度 ) 2. 目的及び概要日本原子力研究開発機構 ( 以下 原子力機構

More information

IEEJ: EDF 6,580 kw % % % % ,649.7 kw kw

IEEJ: EDF 6,580 kw % % % % ,649.7 kw kw IEEJ: 2007 3 1 2006 1 1-1 1-1-1 2005 2005 31 443 3 6,780 kw 84% 3 840 kw OECD 2005 7% 15% 2 7420 kwh 1-1 1-2 1-1 1-1 1990 1 1 IEEJ: 2007 3 2005 86 EDF 6,580 kw 3 1-1-2 1970-1980 80% 20 1979 1990 1996 18%

More information

Microsoft Word - 報告書.doc

Microsoft Word - 報告書.doc 第 4 節 電力市場自由化の先進地域の現状 PPS 事業者 オンサイト事業者などの新規参入者はターゲットとなる需要家が多い地域から優先的に事業展開を図る傾向があるため 参入状況は地域によって大きく異なる 図表 23 に示すとおり PPS 事業者の販売量シェアが高い地域のうち関東 近畿及び九州地域を先進地域と位置づけ 新規参入者の参入状況 その結果としての電力価格の推移等の情報を整理する 図表 24

More information

< F2D816994D48D FA957493FC816A >

< F2D816994D48D FA957493FC816A > -1- 厚生労働省 告示第二号農林水産省カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律(平成二十四年法律第八十二号)第八条第一項の規定に基づき カネミ油症患者に関する施策の推進に関する基本的な指針を次のように策定したので 同条第四項の規定により告示する 平成二十四年十一月三十日厚生労働大臣三井辨雄農林水産大臣郡司彰カネミ油症患者に関する施策の推進に関する基本的な指針カネミ油症(カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律(平成二十四年法律第八十二号

More information

原子力分野の研究開発に関する委員会 RI・研究所等廃棄物作業部会(第4回)【資料4-1-2】

原子力分野の研究開発に関する委員会 RI・研究所等廃棄物作業部会(第4回)【資料4-1-2】 RI 研究所等廃棄物作業部会 ( 第 4 回 ) 資料第 4-1-2 号 諸外国における低レベル放射性廃棄物 処分の現状について 本資料は日本における低レベル放射性廃棄物に相当する諸外国の放射性廃棄物についてまとめたものである 1 チェコ 原子力政策 原子力の利用を 地球温暖化ガスの排出低減 及び海外からのエネルギー依存低減の観点から高い重要度に位置付けている ( 国家エネルギー政策 :2004 年

More information

( 裏 ) ( 注 )1 1 の欄は, 記入しないでください 2 核燃料等を取り扱う行為等 の欄は, 修正申告に係るものを で囲んでください 3 2 の欄は, 茨城県核燃料等取扱税条例付則第 4 条第 1 項の規定に該当する使用済燃料について記入してください 4 3 の欄は, 茨城県核燃料等取扱税条

( 裏 ) ( 注 )1 1 の欄は, 記入しないでください 2 核燃料等を取り扱う行為等 の欄は, 修正申告に係るものを で囲んでください 3 2 の欄は, 茨城県核燃料等取扱税条例付則第 4 条第 1 項の規定に該当する使用済燃料について記入してください 4 3 の欄は, 茨城県核燃料等取扱税条 様式第 2 号 ( 第 6 条第 3 項関係 ) 受付印 ( 表 ) 茨城県知事 修 正 申 告 備考 原力事業者の所在地 原子力事業者の名称 及び代表者氏名印 法人番号 年月日 殿 1 処 理事 この申告の担当部課名等部課名 核燃料等を取り扱う行為等 ( 修正申告に係るもの ) 修 正 申 告 額 項 担当者名 電話番号 通信日付印 核燃料等取扱税修正申告書 発信年月日 確認印 原子炉の設置核燃料の挿入使用済燃料の受入れ

More information

第28回原子力委員会 資料第3号

第28回原子力委員会 資料第3号 我が国のプルトニウム管理状況 平成 27 年 7 月 21 日内閣府原子力政策担当室 1. 概要 (1) プルトニウム管理状況報告我が国は 核不拡散条約 (NPT) の下 全ての原子力物質 活動を国際原子力機関 (IAE A) 保障措置の下に置いており 特にプルトニウムに関しては 平和利用を大前提に 利用目的のないプルトニウムは持たない原則を堅持している そのため プルトニウム利用の透明性の向上を図り

More information

しかし その使途について 例えば 電源立地促進対策交付金は 道路や公共施設の建設等に限定されているなど 交付を受ける地方公共団体からは その使い勝手に不満も出ていた このような状況を受け 資源エネルギー庁では 平成 15 年 発電用施設周辺地域整備法及び電源開発促進対策特別会計法の一部を改正する法律

しかし その使途について 例えば 電源立地促進対策交付金は 道路や公共施設の建設等に限定されているなど 交付を受ける地方公共団体からは その使い勝手に不満も出ていた このような状況を受け 資源エネルギー庁では 平成 15 年 発電用施設周辺地域整備法及び電源開発促進対策特別会計法の一部を改正する法律 ( 参考 ) ⑽ 原子力施設等周辺上空の飛行制限区域を拡大し すべての航空機を飛行禁止とするよう 航空法等関係法令に明記すること 原子力関係施設上空の飛行制限について飛行の禁止区域としては 航空法第 80 条において 航空機は 国土交通省令 で定める航空機の飛行に関し危険を生ずるおそれがある区域の上空を飛行してはならない としており 機長に対しても出発前の航空情報として 航空路誌 (AIP) の確認が義務付けられている

More information

本書は 平成 28 年度発電用原子炉等利用環境調査 として経済産業省から一般財団法人日本エネルギー経済研究所が受託して実施した 米国における原子力の平和利用 核不拡散 核セキュリティに関する政策動向等調査 の報告書である

本書は 平成 28 年度発電用原子炉等利用環境調査 として経済産業省から一般財団法人日本エネルギー経済研究所が受託して実施した 米国における原子力の平和利用 核不拡散 核セキュリティに関する政策動向等調査 の報告書である 平成 28 年度発電用原子炉等利用環境調査 ( 米国における原子力の平和利用 核不拡散 核セキュリティに関する政策動向等調査 ) 報告書 平成 29 年 3 月 一般財団法人日本エネルギー経済研究所 本書は 平成 28 年度発電用原子炉等利用環境調査 として経済産業省から一般財団法人日本エネルギー経済研究所が受託して実施した 米国における原子力の平和利用 核不拡散 核セキュリティに関する政策動向等調査

More information

社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6 社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (1) 資料 2 少子高齢化の進行に伴い 社会保障給付費は年々増加していく見通し 89.8 兆円 (23.9%) 福祉等 14.9 兆円 (4.0%) ( うち介護 6.6 兆円 (1.8%)) 医療 27.5 兆円 (7.3%) 年金 47.4 兆円 (12.6%) 375.6 兆円 2006 年度 ( 予算ベース ) 1.6 倍 介護 2.6 倍 医療 1.7

More information

5 仙台市債権管理条例 ( 中間案 ) の内容 (1) 目的 市の債権管理に関する事務処理について必要な事項を定めることにより その管理の適正化を図ることを目的とします 債権が発生してから消滅するまでの一連の事務処理について整理し 債権管理に必要 な事項を定めることにより その適正化を図ることを目的

5 仙台市債権管理条例 ( 中間案 ) の内容 (1) 目的 市の債権管理に関する事務処理について必要な事項を定めることにより その管理の適正化を図ることを目的とします 債権が発生してから消滅するまでの一連の事務処理について整理し 債権管理に必要 な事項を定めることにより その適正化を図ることを目的 仙台市債権管理条例 ( 中間案 ) について 1 条例制定の趣旨 債権 とは 仙台市が保有する金銭の給付を目的とする権利のことで 市税や国民健康保険料 使用料 手数料 返還金 貸付金など様々なものを含みます そして 債権が発生してから消滅するまでの一連の事務処理を 債権管理 といい 具体的には 納付通知書の送付や台帳への記録 収納状況の管理 滞納になった場合の督促や催告 滞納処分 強制執行 徴収の緩和措置等の手続きを指します

More information

Microsoft PowerPoint - 【資料6】業務取り組み

Microsoft PowerPoint - 【資料6】業務取り組み 担い手確保 技術者育成に向けた 総合評価の取り組みの改善 平成 30 年 4 月 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism 1 建設コンサルタント業務等における総合評価の取り組み 品質確保の取り組み 業務能力評価型 ( 平成 25 年度 ~) 500 万円を超える業務において価格競争方式から 簡易な実施方針 を求め 総合評価落札方式

More information

42

42 海外展開に関する特別調査 海外展開に関する特別調査 結果概要... 43 1. 県内企業の海外展開の内容... 44 2. 現在行っている海外展開の相手国 地域... 46 3. 海外展開にあたっての課題... 47 4. 海外展開後に新たに発生した課題... 49 5. 今後の新たな海外展開の関心の高い相手国 地域... 50 6. 今後の新たな海外展開の内容... 51 7. 調査要領... 52

More information

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加 私たちの社会的責任 宣言 ~ 協働の力 で新しい公共を実現する~ 平成 22 年 5 月 12 日社会的責任に関する円卓会議 社会的責任に関する円卓会議 ( 以下 本円卓会議 という ) は 経済 社会 文化 生活など 様々な分野における多様な担い手が対等 平等に意見交換し 政府だけでは解決できない諸課題を 協働の力 で解決するための道筋を見出していく会議体として 平成 21 年 3 月に設立されました

More information

<4D F736F F F696E74202D E F EF816A8E9197BF A082E895FB82C982C282A282C4>

<4D F736F F F696E74202D E F EF816A8E9197BF A082E895FB82C982C282A282C4> 資料 3 ( 概要案 ) ( 概要案 ) 1 規制の必要性 2 規制のあり方 自主的に行われる調査が増加し 土壌汚染が判明することが多い 行政による環境調査等によって地下水汚染が判明しても汚染原因者が不明の場合 汚染拡大のおそれがある 土壌 地下水汚染状況の把握や対策方法を改善し 環境リスクの低減化や土地の改変等に伴う新たな環境リスクの発生の防止などにより 市民の不安感を払拭する 1 1 規制の必要性

More information

世界の累積使用済燃料発生量 貯蔵量 再処理量 2010 年時点で 世界の使用済燃料累積発生量は 約 334,500 thm である 世界の年間使用済燃料発生量は約 10,500 thm である 年間発生量の約 1 割は 日本の分 出典 :Costing of Spent Nuclear Fuel S

世界の累積使用済燃料発生量 貯蔵量 再処理量 2010 年時点で 世界の使用済燃料累積発生量は 約 334,500 thm である 世界の年間使用済燃料発生量は約 10,500 thm である 年間発生量の約 1 割は 日本の分 出典 :Costing of Spent Nuclear Fuel S 技術等検討小委員会 ( 第 8 回 ) 資料第 3-1 号 使用済燃料管理問題と 中間貯蔵の重要性 世界の動向 ( 財 ) 電力中央研究所 2012 年 2 月 23 日 世界の累積使用済燃料発生量 貯蔵量 再処理量 2010 年時点で 世界の使用済燃料累積発生量は 約 334,500 thm である 世界の年間使用済燃料発生量は約 10,500 thm である 年間発生量の約 1 割は 日本の分

More information

規制の事前評価の実施に関するガイドライン(素案)

規制の事前評価の実施に関するガイドライン(素案) 総務省規制の事前評価書 ( 電気通信事業者間の公正な競争の促進のための制度整備 ) 所管部局課室名 : 総務省総合通信基盤局電気通信事業部事業政策課電話 :03-5253-5695 メールアト レス :jigyouhoutou_kaisei@ml.soumu.go.jp 評価年月日 : 平成 23 年 2 月 1 日 1 規制の目的 内容及び必要性 (1) 規制改正の目的及び概要電気通信事業者間の公正な競争を促進するため

More information

4-(1)-ウ①

4-(1)-ウ① 主な取組 検証票 施策 1 国際交流拠点形成に向けた受入機能の強化施策展開 4-(1)-ウ国際交流拠点の形成に向けた基盤の整備施策の小項目名 交流拠点施設等の整備主な取組 Jリーグ規格スタジアム整備事業実施計画記載頁 353 対応する主な課題 2 国内外の各地域において MICE 誘致競争が年々拡大している中 既存施設では収容が不可能な 1 万人規模の会議開催案件も発生しており 国際的な交流拠点施設の整備が必要である

More information

1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一 ディスカッション ペーパー のれんはなお償却しなくてよいか のれんの会計処理及び開示 に対する意見 平成 26 年 9 月 30 日 日本公認会計士協会 日本公認会計士協会は 企業会計基準委員会 (ASBJ) 欧州財務報告諮問グループ (EFRAG) 及びイタリアの会計基準設定主体 (OIC) のリサーチ グループによるリサーチ活動に敬意を表すとともに ディスカッション ペーパー のれんはなお償却しなくてよいか

More information

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1 JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1 JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) ( 事業評価の目的 ) 1. JICA は 主に 1PDCA(Plan; 事前 Do; 実施 Check; 事後 Action; フィードバック ) サイクルを通じた事業のさらなる改善 及び 2 日本国民及び相手国を含むその他ステークホルダーへの説明責任

More information

第1章

第1章 エネルギー価格と為替レートが消費者物価指数へ与える影響 化石 電力ユニットガスグループ 上野宏一 1. はじめに 2013 年 4 月の日本銀行による異次元緩和政策の導入以降 一時は 1.5% まで上昇した消費者物価指数上昇率 ( 消費税を除く ) は 2014 年後半からの原油価格急落を要因として急激に低下した コアCPI(CPI 総合 < 生鮮食品除く>) の足元の動きをみると 2016 年初頭から原油価格は徐々に持ち直し

More information

2. 今後の主な検討事項 1 高濃度 PCB 廃棄物に係る行政代執行費用に対する支援の必要性 高濃度 PCB 廃棄物の処分は 排出事業者責任の観点から その保管事業者が行 うことが原則 このため 都道府県市による行政代執行に要する費用についても 保管事業者が負担することが原則 しかしながら 高濃度

2. 今後の主な検討事項 1 高濃度 PCB 廃棄物に係る行政代執行費用に対する支援の必要性 高濃度 PCB 廃棄物の処分は 排出事業者責任の観点から その保管事業者が行 うことが原則 このため 都道府県市による行政代執行に要する費用についても 保管事業者が負担することが原則 しかしながら 高濃度 1. 現状 高濃度 PCB 廃棄物に係る行政代執行に対する支援のあり方の検討について ( 主な検討事項 ) 資料 4 平成 26 年 3 月現在 PCB 特措法に基づき都道府県市に届出がなされている高濃度 PCB 廃棄物及び高濃度 PCB 使用製品に係る状況は 表 1のとおり これらの高濃度 PCB 廃棄物の確実かつ適正な処理のために必要な措置は 排出事業者責任の観点から その保管事業者が行うことが原則

More information

Ⅰ 4. ドイツにおける地域振興に係る支援 特例の事例 ~ ジョイント スキーム (Gemeinschaftsaufgabe)~ 1) 施策の狙い 1 施策制定の背景 ドイツは 歴史的に各州の権限が大きく 1969 年にドイツ連邦共和国基本法 ( 憲法 ) を改正する以前は 所得税 法人税 売上税などは全て州の財源であった また 経済政策 地域政策も各州が握っており国家全体の統一的な政策を打つことができなかった

More information

H28秋_24地方税財源

H28秋_24地方税財源 次世代に向けて持続可能な地方税財政基盤の確立について 1. 提案 要望項目 提案 要望先 総務省 (1) 地方交付税総額の確保 充実 減少等特別対策事業費等における取組の成果を反映した算定 減少等特別対策事業費 における 取組の成果 へ配分の段階的引き上げ 地域の元気創造事業費 における 地域活性化分 へ配分の重点化 緊急防災 減災事業債の延長および対象事業等の拡大 老朽化対策に係る地方財政計画における所要総額の確保

More information

<4D F736F F F696E74202D E9197BF A A C5816A CE97CD82CC90A28A458E738FEA2E B8CDD8AB B83685D>

<4D F736F F F696E74202D E9197BF A A C5816A CE97CD82CC90A28A458E738FEA2E B8CDD8AB B83685D> 世界の火力発電の市場動向 次世代 発電協議会 ( 第 5 回会合 ) 資料 2 1. はじめに 2. 世界の発電動向 3. 世界の国 地域別発電市場動向 4. 我が国の発電市場動向 5. 世界の火力発電の発電効率 6. 今後の世界の火力発電市場 一般財団法人エネルギー総合工学研究所小野崎正樹 1 1. はじめに 東南アジアを中心とした急激な経済成長にともない 発電設備の拡充が進んでいる 2040~2050

More information

開催日時 平成25年11月14日 木 9:3 17: 会場 東海大学高輪キャンパス1号館 第2会議室 講師 東海大学工学部原子力工学科 教授 大江 俊昭 氏 講義 課題1 放射性廃棄物処分の安全評価解析の基礎 Ⅰ 浅地中ピット処分の事例分析 Ⅱ 地層処分の事例分析 課題2 放射性廃棄物処分の安全評価

開催日時 平成25年11月14日 木 9:3 17: 会場 東海大学高輪キャンパス1号館 第2会議室 講師 東海大学工学部原子力工学科 教授 大江 俊昭 氏 講義 課題1 放射性廃棄物処分の安全評価解析の基礎 Ⅰ 浅地中ピット処分の事例分析 Ⅱ 地層処分の事例分析 課題2 放射性廃棄物処分の安全評価 RADIOACTIVE WASTE MANAGEMENT FUNDING AND RESEARCH CENTER TOPICS 213.12.NO.18...... Ⅰ 成果等普及活動の実施状況 25 2 2 Ⅱ 25 1 17 1:3 18: 2 3 1 2 3 HLW 25 3 3 Ⅲ 開催日時 平成25年11月14日 木 9:3 17: 会場 東海大学高輪キャンパス1号館 第2会議室 講師 東海大学工学部原子力工学科

More information

資料 4 平成 26 年報告書に提言された取組のうち 回収率目標達成アクションプラン以外の取組状況について 平成 29 年 12 月 4 日 経 済 産 業 省 環 境 省

資料 4 平成 26 年報告書に提言された取組のうち 回収率目標達成アクションプラン以外の取組状況について 平成 29 年 12 月 4 日 経 済 産 業 省 環 境 省 資料 4 平成 26 年報告書に提言された取組のうち 回収率目標達成アクションプラン以外の取組状況について 平成 29 年 12 月 4 日 経 済 産 業 省 環 境 省 2. 特定家庭用機器廃棄物の適正処理における具体的な施策 離 ( 島 2 対 ) 策不の法実投施棄対策及び 性 ( の 4 向 ) 上廃棄物処分許可業者による処理状況等の透明 不法投棄され 市町村が回収した特定家庭用機器廃棄物について

More information

5.政府保証民間ローン(FFEL)と政府直接ローン(FDSL)の状況(アメリカにおける奨学制度に関する調査報告書)

5.政府保証民間ローン(FFEL)と政府直接ローン(FDSL)の状況(アメリカにおける奨学制度に関する調査報告書) 5. 政府保証民間ローン (FFEL) と政府直接ローン (FDSL) の状況 1. 連邦学生支援の実施主体 実施状況連邦学生支援は, 教育省の学生支援局 (Federal Student Aid Office) が所管している 連邦教育省の組織は図 9 の通りである 図 9 連邦教育省の組織 出典連邦教育省ホームページより (2009 年 11 月現在 ) (http://www.ed.gov/about/offices/or/index.html?src=ln)

More information

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

平成20年度税制改正(地方税)要望事項 平成 30 年度地方税制改正 ( 税負担軽減措置等 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 その他 ) No 5 対象税目 要望項目名 要望内容 ( 概要 ) 府省庁名環境省 個人住民税法人住民税事業税不動産取得税固定資産税事業所税その他 ( 自動車取得税自動車税 軽自動車税 ) 車体課税のグリーン化 自動車取得税のエコカー減税については 平成 29 年度税制改正大綱において 対象範囲を平成 32 年度燃費基準の下で見直し

More information

資料 米国新政権の核不拡散政策 ( 意見交換 ) 2017 年 3 月 22 日 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 (JAEA) 核不拡散 核セキュリティ総合支援センター (ISCN) 平成 28 年度第 2 回核不拡散科学技術フォーラム

資料 米国新政権の核不拡散政策 ( 意見交換 ) 2017 年 3 月 22 日 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 (JAEA) 核不拡散 核セキュリティ総合支援センター (ISCN) 平成 28 年度第 2 回核不拡散科学技術フォーラム 資料 28-2-6 米国新政権の核不拡散政策 ( 意見交換 ) 2017 年 3 月 22 日 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 (JAEA) 核不拡散 核セキュリティ総合支援センター () 平成 28 年度第 2 回核不拡散科学技術フォーラム 目次 1. トランプ新政権の動向 ( 概要 ) 2. トランプ大統領の政策 発言 3. 国務省 4. エネルギー省 5. 政権移行チーム 6. トランプ政権を支えるシンクタンク

More information

することを可能とするとともに 投資対象についても 株式以外の有価証券を対象に加えることとする ただし 指標連動型 ETF( 現物拠出 現物交換型 ETF 及び 金銭拠出 現物交換型 ETFのうち指標に連動するもの ) について 満たすべき要件を設けることとする 具体的には 1 現物拠出型 ETFにつ

することを可能とするとともに 投資対象についても 株式以外の有価証券を対象に加えることとする ただし 指標連動型 ETF( 現物拠出 現物交換型 ETF 及び 金銭拠出 現物交換型 ETFのうち指標に連動するもの ) について 満たすべき要件を設けることとする 具体的には 1 現物拠出型 ETFにつ 規制の事前評価書 1. 政策の名称 ETF( 上場投資信託 ) の多様化 2. 担当部局金融庁総務企画局市場課 3. 評価実施時期平成 20 年 5 月 9 日 4. 規制の目的 内容及び必要性 (1) 現状及び問題点 規制の新設又は改廃の目的及び必要性 1 現状 ETF( 上場投資信託 ) は 投資家にとって 低コストにて 簡便かつ効果的な分散投資が可能となり また 取引所市場において 市場価格によるタイムリーな取引が機動的に行える等のメリットがある商品であるが

More information

(1) 当該団体が法人格を有しているか 又は法人格のない任意の団体のうち次の1~2の要件を全て満たすもの 1 代表者の定めがあること 2 団体としての意思決定の方法 事務処理及び会計処理の方法 並びに責任者等を明確にした規約その他の規定が定められていること (2) 関係市町村との協議体制を構築してい

(1) 当該団体が法人格を有しているか 又は法人格のない任意の団体のうち次の1~2の要件を全て満たすもの 1 代表者の定めがあること 2 団体としての意思決定の方法 事務処理及び会計処理の方法 並びに責任者等を明確にした規約その他の規定が定められていること (2) 関係市町村との協議体制を構築してい 復興庁 土地活用促進等モデル調査募集要領 1. モデル調査の趣旨 被災市町村では復興事業が進捗し 宅地の造成や災害公営住宅の整備も徐々に事業完了が近づいているところです 一方で まちづくりが進められる中で 造成された土地の有効活用や 津波被災を受けた低平地の管理 利活用 移転先での高台における生活サービスの維持が 復興の新たなステージにおける課題となっています こうした状況に対し 各市町村において

More information

untitled

untitled 資料 1 道路行政マネジメントを実践する栃木県会議 設立趣意書 平成 17 年 11 月 16 日 1. 設立の趣意道路行政に対するニーズは 標準品の大量供給から 国民の選択に基づく良質なサービスの提供へと変化してきており 行政スタイルもこれに見合った形に変えていくことが必要となっています 今後は 道路の現状などを示す分かりやすいデータや指標を公表し 幅広く県民の意見を聞きながら 施策を進めることが重要と考えています

More information

預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投

預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投 ミスミグループコーポレートガバナンス基本方針 本基本方針は ミスミグループ ( 以下 当社グループ という ) のコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方を定めるものである 1. コーポレートガバナンスの原則 (1) 当社グループのコーポレートガバナンスは 当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資することを目的とする (2) 当社グループは 戦略的経営の追求 経営者人材の育成及びグローバルの事業成長を通じて中長期的な企業価値の向上を図る

More information

スライド 1

スライド 1 162 国会原子力関連 2 法案について ~ バックエンド事業に対する制度 措置について ~ ~ 原子炉等規制に関する法律改正 ( クリアランス制度など ) について ~ 平成 17 年 2 月三労連原子力問題研究会議 ( 電機連合 基幹労連 電力総連 ) 電力総連の取り組みスタンス 労働組合が なぜ原子力 2 法案に取り組むのか 事業運営の観点から取り組むのではなく 国民生活のためにエネルギーセキュリティー確保

More information

<4D F736F F D B A815B836782CC8A C98C5782E9834B C4>

<4D F736F F D B A815B836782CC8A C98C5782E9834B C4> ヘルスケアリートの活用に係る ガイドライン素案 014 年 月国土交通省土地 建設産業局不動産市場整備課 1. 目的高齢化の進展に伴い ヘルスケア施設の供給の拡大等が求められる中 ヘルスケアリート創設の環境整備として 日本再興戦略 ( 平成 5 年 6 月 14 日閣議決定 ) において 民間資金の活用を図るため ヘルスケアリートの活用に向け 高齢者向け住宅等の取得 運用に関するガイドラインの整備

More information

資料3

資料3 資料 3 論点に対する回答 重点分野地方税 論点 1. 国税 地方税共通の論点 (1) 電子申告義務化は法制措置を要すると思われるが 1 実際の施行までにどの程度の期間を見込むのか 2また 具体的に義務化する対象につき どのような範囲で考えているのか 例えば 添付書類の提出も含めて電子申告を義務化するのか 回答 施行時期については 企業から寄せられている声も踏まえつつ 税制改正プロセスの中で適切に検討してまいりたい

More information

原子炉の原理と構造

原子炉の原理と構造 使用済燃料と高レベル放射性廃棄物問題 目次 使用済み 燃料ー再処理か直接処分か使用済み燃料の組成放射性廃棄物の区分と発生個所高レベル放射性廃棄物の減衰と 処分 原子力発電所における廃棄物の処理方法高レベル放射性廃棄物の処理 処分プルサーマル問題を考える核種転換 ( 消滅処理 ) とは何か核種転換 ( 消滅処理 ) の展望 評価ー Made by R. Okamoto (Emeritus Prof.

More information

品質マニュアル(サンプル)|株式会社ハピネックス

品質マニュアル(サンプル)|株式会社ハピネックス 文書番号 QM-01 制定日 2015.12.01 改訂日 改訂版数 1 株式会社ハピネックス (TEL:03-5614-4311 平日 9:00~18:00) 移行支援 改訂コンサルティングはお任せください 品質マニュアル 承認 作成 品質マニュアル 文書番号 QM-01 改訂版数 1 目次 1. 適用範囲... 1 2. 引用規格... 2 3. 用語の定義... 2 4. 組織の状況... 3

More information

原子力に関する特別世論調査 の概要 平成 21 年 11 月 26 日 内閣府政府広報室 調査概要 調査対象 全国 20 歳以上の者 3,000 人 有効回収数 ( 率 ) 1,850 人 (61.7%) 調査期間 平成 21 年 10 月 15 日 ~10 月 25 日 調査方法 調査員による個別

原子力に関する特別世論調査 の概要 平成 21 年 11 月 26 日 内閣府政府広報室 調査概要 調査対象 全国 20 歳以上の者 3,000 人 有効回収数 ( 率 ) 1,850 人 (61.7%) 調査期間 平成 21 年 10 月 15 日 ~10 月 25 日 調査方法 調査員による個別 原子力に関する特別世論調査 の概要 平成 21 年 11 月 26 日 内閣府政府広報室 調査概要 調査対象 全国 20 歳以上の者 3,000 人 有効回収数 ( 率 ) 1,850 人 (61.7%) 調査期間 平成 21 年 10 月 15 日 ~10 月 25 日 調査方法 調査員による個別面接聴取 調査目的 原子力に関する国民の意識を調査し, 今後の施策の参考とする 調査項目 1 原子力発電に関する認知度

More information

PowerPoint Presentation

PowerPoint Presentation 平成 25 年 2 月 18 日共に語ろう高レベル放射性廃棄物大阪ワークショップ 1 放射性廃棄物の地層処分について 東京大学大学院工学系研究科原子力専攻 木村浩 2 放射性廃棄物とは 放射性物質を含む廃棄物のこと ただし ここで扱うのは 事業から出た 放射性廃棄物 高レベル放射性廃棄物 : ガラス固化体 低レベル放射性廃棄物 : 高レベル放射性廃棄物以外の放射性物質を含む廃棄物 3 地層処分とは

More information

食肉製品の高度化基準 一般社団法人日本食肉加工協会 平成 10 年 10 月 7 日作成 平成 26 年 6 月 19 日最終変更 1 製造過程の管理の高度化の目標事業者は 食肉製品の製造過程にコーデックスガイドラインに示された7 原則 12 手順に沿ったHACCPを適用して製造過程の管理の高度化を

食肉製品の高度化基準 一般社団法人日本食肉加工協会 平成 10 年 10 月 7 日作成 平成 26 年 6 月 19 日最終変更 1 製造過程の管理の高度化の目標事業者は 食肉製品の製造過程にコーデックスガイドラインに示された7 原則 12 手順に沿ったHACCPを適用して製造過程の管理の高度化を 食肉製品の高度化基準 一般社団法人日本食肉加工協会 平成 10 年 10 月 7 日作成 平成 26 年 6 月 19 日最終変更 1 製造過程の管理の高度化の目標事業者は 食肉製品の製造過程にコーデックスガイドラインに示された7 原則 12 手順に沿ったHACCPを適用して製造過程の管理の高度化を図ることとし このための体制及び施設 ( 建物 機械 装置をいう 以下同じ ) の整備を行うこととする

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 第 1 5 回地域医療構想に関する W G 平成 3 0 年 7 月 2 0 日 資料 2-1 1. 地域医療構想調整会議の活性化に向けた方策 ( その 3) 1 公立 公的病院等を中心とした機能分化 連携の推進について 2 地元に密着した 地域医療構想アドバイザー について 1 経済財政運営と改革の基本方針 2018 ( 平成 30 年 6 月 15 日閣議決定 )[ 抜粋 ] 4. 主要分野ごとの計画の基本方針と重要課題

More information

スライド 1

スライド 1 資料 WG 環 3-1 IPv6 環境クラウドサービスの構築 運用ガイドライン骨子 ( 案 ) 1 本骨子案の位置付け 本ガイドライン骨子案は 環境クラウドサービス を構築 運用する際に関連する事業者等が満たすことが望ましい要件等を規定するガイドライン策定のための準備段階として ガイドラインにおいて要件を設定すべき項目をまとめたものである 今後 平成 21 年度第二次補正予算施策 環境負荷軽減型地域

More information

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査 市町村における住民自治や住民参加 協働等に関する取組状況調査結果 ( 平成 24 年度 ) 道内市町村における地域力向上の取組を把揜するため 住民自治や住民参加 協働に関 する取組状況の調査を行い その結果を取りまとめました ( 平成 24 年 6 月調査 179 市町村回答 ) 調査の趣旨 少子高齢化や過疎化が進むこれからの地域社会において 例えば 災害時の助け合いや子育て 高齢者の生活介助など

More information

Microsoft Word - 規則11.2版_FSSC22000Ver.4特例.doc

Microsoft Word - 規則11.2版_FSSC22000Ver.4特例.doc マネジメントシステム審査登録規則 FSSC22000Ver.4 特例 第 11.2 版改訂 :2017 年 9 月 15 日 発効 :2017 年 9 月 15 日 一般財団法人日本品質保証機構 マネジメントシステム部門 はじめに本特例は 一般財団法人日本品質保証機構 ( 以下 JQA という ) が運営する JQA マネジメントシステム審査登録制度 ( 以下 審査登録制度 という ) の詳細を規定した

More information

寄附文化の醸成に係る施策の実施状況 ( 平成 26 年度に講じた施策 ) 別紙 1 < 法律 制度改正 > 総務省 ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 特例控除の上限の引上げ

寄附文化の醸成に係る施策の実施状況 ( 平成 26 年度に講じた施策 ) 別紙 1 < 法律 制度改正 > 総務省 ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 特例控除の上限の引上げ 関係府省における寄附文化の醸成に係る施策の実施状況について 平成 2 7 年 6 月 5 日共助社会づくり推進のための関係府省連絡会議 寄附文化の醸成のため 関係府省において 平成 26 年度 平成 27 年度に以下の取組を実施 ( 予定 ) 平成 26 年度に講じた主な施策 < 法律 制度改正 > ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 ~) 総 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和

More information

504 特定事業等に係る外国人の入国 在留諸申請優先処理事業 1. 特例を設ける趣旨外国人研究者等海外からの頭脳流入の拡大により経済活性化を図る地域において 当該地域における特定事業等に係る外国人の受入れにあたり 当該外国人の入国 在留諸申請を優先的に処理する措置を講じることにより 当該地域における

504 特定事業等に係る外国人の入国 在留諸申請優先処理事業 1. 特例を設ける趣旨外国人研究者等海外からの頭脳流入の拡大により経済活性化を図る地域において 当該地域における特定事業等に係る外国人の受入れにあたり 当該外国人の入国 在留諸申請を優先的に処理する措置を講じることにより 当該地域における 504 特定事業等に係る外国人の入国 在留諸申請優先処理事業 1. 特例を設ける趣旨外国人研究者等海外からの頭脳流入の拡大により経済活性化を図る地域において 当該地域における特定事業等に係る外国人の受入れにあたり 当該外国人の入国 在留諸申請を優先的に処理する措置を講じることにより 当該地域における高度人材の活用を通じた地域の活性化等に資することを目的とするものです 2. 特例の概要特区において 当該特区の特定事業又はその関連事業の遂行に必要な業務に従事する外国人又は当該外国人の家族に係る在留資格認定証明書交付申請等の入国

More information

図 12 HACCP の導入状況 ( 販売金額規模別 ) < 食品販売金額規模別 > 5,000 万円未満 ,000 万円 ~1 億円未満 億円 ~3 億円未満

図 12 HACCP の導入状況 ( 販売金額規模別 ) < 食品販売金額規模別 > 5,000 万円未満 ,000 万円 ~1 億円未満 億円 ~3 億円未満 平成 29 年 6 月 30 日食料産業局食品製造課 平成 28 年度食品製造業における HACCP の導入状況実態調査 HACCP を導入済みの企業は 29 導入途中の企業は 9 HACCP( ハサップ : Hazard Analysis and Critical Control Point) とは原料受入れから最終製品までの各工程ごとに 微生物による汚染 金属の混入等の危害を予測 ( 危害要因分析

More information

Microsoft PowerPoint - Itoh_IEEJ(150410)_rev

Microsoft PowerPoint - Itoh_IEEJ(150410)_rev 第 4 回エネルギー輸送ルートの多様化への対応に関する検討会 日本の LNG 原油輸入と 米国シェール革命の現況 2015 年 4 月 10 日於国土交通省 ( 中央合同庁舎 3 号館 ) 伊藤庄一 戦略研究ユニット国際情勢分析第 2 グループ マネージャー 研究主幹一般財団法人日本エネルギー経済研究所 日本の LNG 原油輸入状況 (2014 年 ) 1 LNG 原油 ( 出所 ) 日本貿易月表

More information

(Microsoft Word \224N\203\215\203V\203A\213\311\223\214\223\212\216\221.doc)

(Microsoft Word \224N\203\215\203V\203A\213\311\223\214\223\212\216\221.doc) 2004 年のロシアロシア極東極東の外国投資 2005 年 10 月 日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) 海外調査部 はじめに ジェトロでは ロシア科学アカデミー極東支部経済研究所 ( ハバロフスク経済研究所 ) の協力を得て 情報収集 調査活動を行なっているが 本レポートは 2004 年のロシア極東地域の経済情勢について同研究所に整理並びに分析を委託 とりまとめたものである 本レポートが関係各位の参考となれば幸いである

More information

<4D F736F F F696E74202D EF8B638E9197BF82CC B A6D92E894C5816A E >

<4D F736F F F696E74202D EF8B638E9197BF82CC B A6D92E894C5816A E > 資料 3-1 無駄の撲滅の取組について ー行政事業レビューについてー 平成 25 年 2 月 27 日 これまでの行政事業レビューについて 1 行政事業レビューとは 毎年 各府省が自ら全ての事業の点検 見直しを行うもの ( 閣議決定が実施根拠 ) 1 前年度の事業を対象に 概算要求前に 執行状況 ( 支出先や使途 ) 等の事後点検を実施 2 5,000 を超える全事業についてレビューシートを作成し

More information

Microsoft PowerPoint JRF-WS2.pptx

Microsoft PowerPoint JRF-WS2.pptx プライバシー保護とモバイルコンピューティングのングの観点からハードディスク暗号化への期待 2010/11/4 インテル株式会社 竹井淳 Networked Readiness Index Source: http://www.weforum.org/pdf/gitr10/gitr%202009-2010_full%20report%20final.pdf Page 5 NRI と国際競争力 NRI:

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 地域医療構想調整会議について 資料 1-2 医療法の規定 第 30 条の 14 都道府県は 構想区域その他の当該都道府県の知事が適当と認める区域ごとに 診療に関する学識経験者の団体その他の医療関係者 医療保険者その他の関係者との協議の場を設け 関係者との連携を図りつつ 医療計画において定める将来の病床数の必要量を達成するための方策その他の地域医療構想の達成を推進するために必要な事項について協議を行うものとする

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 資料 3 1. 再エネ海域利用法における促進区域の指定 再エネ海域利用法においては 国が促進地域の指定を行った上で 公募により当該地域において事業を実施する事業者を選定する 参考 : 総合資源エネルギー調査会省エネルギー 新エネルギー分科会 / 電力ガス事業分科会再生可能エネルギー大量導入 次世代電力ネットワーク小委員会洋上風力促進ワーキンググループ 交通政策審議会港湾分科会環境部会洋上風力促進小委員会

More information

別添 4 レファレンスアプローチと部門別アプローチの比較とエネルギー収支 A4.2. CO 2 排出量の差異について 1990~2012 年度における CO 2 排出量の差異の変動幅は -1.92%(2002 年度 )~1.96%(2008 年度 ) となっている なお エネルギーとして利用された廃

別添 4 レファレンスアプローチと部門別アプローチの比較とエネルギー収支 A4.2. CO 2 排出量の差異について 1990~2012 年度における CO 2 排出量の差異の変動幅は -1.92%(2002 年度 )~1.96%(2008 年度 ) となっている なお エネルギーとして利用された廃 CGER-I111-2013, CGER/NIES 別添 4 レファレンスアプローチと部門別アプローチの比較とエネルギー収支 別添 (Annex)4. レファレンスアプローチと部門別アプローチの比較と エネルギー収支 ここでは UNFCCC インベントリ報告ガイドライン (FCCC/SBSTA/2006/9) のパラグラフ 31 に則り レファレンスアプローチと部門別アプローチの比較を行う A4.1.

More information

「自動運転車」に関する意識調査(アンケート調査)~「自動運転技術」に対する認知度はドイツの消費者の方が高いことが判明~_損保ジャパン日本興亜

「自動運転車」に関する意識調査(アンケート調査)~「自動運転技術」に対する認知度はドイツの消費者の方が高いことが判明~_損保ジャパン日本興亜 2018 年 4 月 10 日 自動運転車 に関する意識調査 ( アンケート調査 ) ~ 自動運転技術 に対する認知度はドイツの消費者の方が高いことが判明 ~ 損害保険ジャパン日本興亜株式会社 ( 社長 : 西澤敬二 以下 損保ジャパン日本興亜 ) は 4 月 10 日の 交通事故死ゼロを目指す日 を前に 事故のない安心 安全な社会の実現 の重要な手段と考えられている自動運転技術の普及促進に向けて

More information